クリスマス・イヴを舞台にした、3人の濃密な会話劇「ダブリンキャロル」
小日向が演じるのは、ジョンの葬儀屋を手伝っているマーク。「ジョンの長話にもちゃんとつき合ってあげる、心根の優しい奴だと思います。演じる上では、その“聞く姿勢”みたいなものが大事になってくるだろうなと。ただ彼なりに抱えているものはあって、実は『早く帰りたい』と思っているかもしれない(笑)。それでも基本的にジョンのことは大好きだし、彼のかつての様子を聞いて、自分に重ねているところもあるのかもしれないですね」
出演者は3人ながら、物語はそれぞれジョンとメアリー、ジョンとマークのふたりのみの会話で紡がれていく。首藤が「僕がしっかりしなきゃいけないんだけど…」と苦笑いを浮かべると、「すごく魅力的ですし、体も言葉も表現する根底は一緒で、いろんなものが首藤さんから出てくるのを感じます」と小日向。山下も「首藤さんが諦めない分、こちらも信じてやれるのでとてもありがたいです」と全幅の信頼を置く。
公演はクリスマス直前とのことで、首藤はこう締めくくる。
「クリスマスの飾りつけのように、お客さまそれぞれが、この作品からなにかひとつずつ持って帰ってもらえたら嬉しいなと思います」
取材・文:野上瑠美子