くらし情報『舞台『あーぶくたった、にいたった』稽古場レポート』

舞台『あーぶくたった、にいたった』稽古場レポート

と作品作りをしてきたからだろう。演出の西沢にも出演者たちにも、焦燥感のようなものは感じられず、むしろ余裕すら感じられた。

例えば、一般家庭の日常を描いた場面。男が出勤前にラジオ体操をしていて、女は男のためにお弁当をこしらえている。淡々と進む会話のなかに、別役らしい可笑しみが感じられる場面だ。俳優たちの演技を一度通してみた後、ちょっとした呼吸や目線に気を配る西沢。たった1行のセリフであっても、俳優たちの思惑を探りつつ、時に自らも実演してみて、よりよい方向はないか検討を重ねていた。

例えば、こつこつプロジェクトの1st Trial(1回目の試演会)では、シーンとシーンの合間に、別役実が書いた別作品『風のセールスマン』からインスパイアされたスケッチを挟み込んだという。
多角的に作品にアプローチできる、こつこつプロジェクトならではの試みだ。

ある種とても“贅沢な”物づくりの現場だった。きっと本番を迎えるまでも、もしかしたら迎えた後も、作品はこつこつと育っていく予感がした。一つの集大成となる初日開幕を待ちたい。出演は山森大輔、浅野令子、木下藤次郎、稲川実代子、龍 昇
公演は12月7日(火)〜19日(日)まで。チケット発売中。

取材・文・撮影:五月女菜穂
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