主演・井之脇海に寺脇康文が賛辞、『エレファント・ソング』開幕
失踪した医師とまるで関係のない象に関する知識を無邪気にまくし立てたかと思えば、ピーターソンの休暇周期に対して皮肉を言う一面も。次第にその色が濃くなり、質問をはぐらかしつつ「取引に応じれば失踪した医師の抱える事情を教える」と言ってグリーンバーグを翻弄し始める。
マイケルの芝居を受ける寺脇も、はじめは「15分で終わる」としながらも次第にマイケルのペースに巻き込まれ、手を焼く焦燥感を覗かせた。「何かあったら呼んで」と言い残して出ていったピーターソンは、呼び戻された際にマイケルへ向かって「お行儀よく」と子どもを手懐けるように注意する。序盤ながらあらゆる伏線が散りばめられており、ひと言たりとも聞き逃せない緊張感が張り詰めた。
取材会で、井之脇は「マイケルは愛を渇望する青年」と役どころを紹介しつつ、「マイケルの抱える『自分って何者だろう』という想いと、僕が追求する『お芝居って何?』という問いかけがリンクする瞬間がありました」と稽古を振り返る。寺脇はそんな井之脇を優しく見つめながら「感性が素晴らしく、気持ちでぶつかってくる芝居をしてくれる座長」「僕は還暦を迎えましたが、20代だった頃を思い出して芝居の原点に戻れた」