殺陣が伝える物語。劇団壱劇屋の挑戦、最終章が開幕!
』では“戰場”、そして今作『荒人神(あらびとかみ)』では“人々”に焦点を当てたストーリーが描かれる。物語に連続性はないが、4作とも冒頭で白装束の人物が登場しており、今作では遂にその人物も物語に参加する。出演者は、前出の竹村、大津夕陽、北川愛乃(SKE48)、美津乃あわ、上枝恵美加、丹羽愛美(劇団壱劇屋)、岡村茉奈らバラエティ豊かな顔ぶれ。
物語の軸となるのは、主人公で腕っ節の強い男・荒(竹村)、荒のもとで働く青年・元(大津)、荒を描きたいとついてまわる墨絵師・白(北川)の3人。荒と元は“便利屋”として人々の依頼を引き受け報酬を貰っている。荒は強いが、便利屋の仕事はあくまで依頼主の依頼を果たすこと故、思わぬ暴力に加担させられることも。そういうときは純粋な元に悟られぬよう一人で遂行していた。しかし――。
“台詞や言語の代わりに殺陣や身体で物語を紡ぐ”とはどういうことかと思うが、本作を観ていると、言葉のない世界から見える景色は広く、それは、対極であるが小説を読んでいるときの感覚とも似ている。殺陣からは感情が溢れ、その表情から、動きから、ときにはシルエットから、物語が生まれていくのだ。剣を交える度に生まれる血しぶきが散り、それが片付けられることなく少しずつ積もっていく演出なども印象的。