くらし情報『現在進行形の“現実”を日本に置き換えた恐るべき監獄劇「トムラウシ」開幕』

現在進行形の“現実”を日本に置き換えた恐るべき監獄劇「トムラウシ」開幕

当初、ディストピアな遠い未来を描いているように感じられる物語だが、“北の大地“から来た白い巨人の輪郭がハッキリしてくるにつれて、ここで展開している物語が単なる比喩や起こるかもしれない未来にとどまらぬ、ちょうど1年前、ヨーロッパで起こり、現在進行形で事態が悪化し続けている“現実”そのものであることに気づかされ、ゾッとさせられる。

主人公の名前を大和(ヤマト)とし、4人の囚人仲間たちの名にも“春夏秋冬”の一字をそれぞれ冠し、和太鼓を単なるBGMではない、物語上のキーアイテムにも用いるなど、“日本(の文化/美しさ/伝統)”を前面に押し出した演出となっているが、何より強調されるのが無関心とあきらめ(ニヒリズム)こそ最大の問題だということ。

白い巨人の国から来た監獄長・モッチを角田信朗が迫力たっぷりに演じる。同役は宮迫博之とのWキャストとなっており、前者がフィジカルを前面に押し出して演じたのに対し、宮迫はどういう路線で演じるのか、楽しみなところ。「トムラウシ」は自由劇場にて2月12日(日)まで上演中。
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