くらし情報『現実と幻想が混在! 壮大な生命賛歌「エンジェルス・イン・アメリカ」』

現実と幻想が混在! 壮大な生命賛歌「エンジェルス・イン・アメリカ」

公園でのプライアーとルイスの再会のシーンは、現実を生きる人間の愛や憎しみ、葛藤を凝縮した会話劇となっており、ひとつひとつの言葉のニュアンスにいたるまで大切にした上村の精緻な演出が光る。

一方のクライマックスシーンはファンタジー要素の最も色濃いシーンのひとつ。舞台装置や音響を含め、壮大なスケールで超越した世界を舞台に、「生きる中毒」、「僕はもっと生きたい!」といったプライアーの言葉にのせて、生命への賛歌が力強く描き出される。

他にも、辣腕弁護士として成功を手にするもエイズに罹患するロイ(山西惇)、ジョーの母親で敬虔なモルモン教徒であるハンナ(那須佐代子)、同じくモルモン教徒の裁判所書記官ジョー(坂本慶介)、ジョーの妻で薬物依存のハーパー(鈴木 杏)、元ドラァグクイーンの看護師ベリーズ(浅野雅博)など、実力派の俳優陣が魅力的な人物たちを演じている。
たった8人のキャストで、上演予定時間は第一部、第二部、それぞれ4時間で計8時間!現代にも通じる混乱と分断の時代の中で、彼らがどのように人生に向き合うのか? 天使は何をもたらすのか? 壮大な物語の完成が楽しみだ。

「エンジェルス・イン・アメリカ」は新国立劇場小劇場にて4月18日(火)より上演。愛知・兵庫公演あり。

文:黒豆直樹
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