そう今回のワークショップを通じ知れたことは、非常に心強く、励まされる思いでした」
さらに本作に出演予定の3人の俳優とはすでに話し合いの場が持たれたそうで、「私の役割のひとつに、俳優たちがどんな方々なのかを探り、彼らが創作をする上でなにが必要かを考えることがあります」と、演出家としてのスタンスを明かす。そしてそれはもちろん単純なものではなく、「俳優によっては対話を必要としている人もいれば、それを嫌がる人もいますし、役の内面を知りたい人もいれば、そういったことにまったく興味がない人もいます。その中で私はサッカーチームのコーチのように、一人ひとりの能力を引き出すためにはどうすればいいかと考える。それは大変なことでもありますが、その根底には“人間を理解する”ということがあるので、非常に魅力的です」
自らの演出法について、「古い戯曲にありがちなパターンのようなもので観る者の視界をふさいできた埃を吹き払い、現代の観客に向け、生き生きとした作品に作り変えること」と語るギビンズ。アーサー・ミラーの不朽の名作が、ギビンズの手でどう現代で生まれ変わるのか。そこにはきっと新たなる劇体験が待っているはずだ。