いわゆる会話劇ではなく、演者の長い独白がパッチワークのようにつなぎ合わさって構成されている。全体的に詩的で哲学的な台詞が続くので、全てを一度に理解しようとするのは観客側もなかなかのエネルギーを要するが、THEATRICAL LIVEと銘打たれている通り、生演奏の音楽が合わさることで、空間が豊かになるのを感じた。上演台本・演出を手掛けた鈴木勝秀が「作品全体を生演奏のミュージック・コンクレートだと思って作った」と明かすように、14曲のロックテイストの楽曲のみならず、何かしらの音で溢れている舞台。どこか遠い物語だが確かな匂いや手触りが感じられる、そんな不思議な空間だった。
この日は会見は行われなかったが、以前行われた会見で、辰巳は「新たな挑戦になる舞台。作品をより楽しんでいただけるように、ステージ上で生きる僕たちを劇場でご覧いただけたら」、浜中も「映画、舞台、漫画の3つが同時進行という貴重な経験をさせていただいて、本当に嬉しい。いろいろな楽しみ方ができる作品なので、ご期待ください」と話していた。
上演時間は1時間45分(休憩なし)。
東京公演は9月18日(月・祝)まで。大阪公演は9月24日(日)まで。
取材・文:五月女菜穂