と語る。このように俳優陣と解釈について対話を重ねつつ、落とし込んでいくのが、このカンパニーの特徴と言える。この日も、シーンの合間にソニンが鵜山に質問をぶつけ、話し込む姿が見られた。
続いて、行われたのは主要人物が一堂に会してのクライマックスのシーン。クローディオの妹のイザベラ(ソニン)が、アンジェロの下劣な振る舞いを公爵に訴え、さらに、アンジェロのかつての婚約者・マリアナ(中嶋朋子)らも登場し、公爵の真の意図が明かされるなどし、物語が結末に向かって動き出していく。
鵜山は、気づいたことがあればすぐに芝居を止め、ニュアンスや細かい立ち位置の修正を伝える。俳優陣も即座に鵜山の言葉を咀嚼し、途切れたシーンから迷うことなく芝居を再開する。流れるようなこうしたやりとりも、実力派の俳優陣が揃っているからこそであり、長い時間を共に“劇団”のような深い関係でつながったこのカンパニーだからこそと言えるだろう。
稽古場でも本番さながらの熱と気迫のこもった演技合戦が繰り広げられており、どのような完成形を見せてくれるのか楽しみだ。公演は10月18日(水)~11月19日(日)、新国立劇場 中劇場にて。
取材・文:黒豆直樹