何ヶ国語も自在に操れるのは子どもだけ?それとも大人でもOK?
■早く外国語を勉強させるのはダメ?
ところで言語の習得には、臨界期(ある能力を発達させるためのタイムリミット)があるという説があります。一定の年齢(臨界期)までに目や耳に光や音の刺激が入らないと、視覚や聴覚の神経回路が発達しないということ。
つまり臨界期を越えてしまうと、脳のレベルで見たり聞いたりできなくなるというのです。言語の習得も同じで、一定の年齢までに学習しないと難しくなるわけです。
たしかに大人より子どもの方が、外国語の習得は早いですよね。
でも注意していただきたいのは、「早めに外国語の勉強をさせればよい」という考えは少し単純すぎるということ。
なぜなら、母国語が未発達なまま複数の言語に接していると、ことばが混乱し、どの言語も発達が遅れてしまうことがあるのです。これをセミリンガル(semilingual)といいます。
年齢に応じて、ことばが心の発達に追いつかないと、周囲とうまくコミュニケーションが取れないわけです。
子どもをポリグロットにしようと思う親御さんには、気をつけていただきたいと思います。そもそも外国語の語学力は、母国語を超えません。母国語の語彙や表現力が豊かでないと、外国語の表現も貧しくなるのです。