浪曲師・京山幸枝若が重要無形文化財(人間国宝)に認定 独演会を8月10日(土) 東京・木馬亭で開催
それでも初代幸枝若はこの幸枝若節が現代に妥協しているという悩みを持っていたと言いますから芸の葛藤は奥深いし根深いものがあります。
幸枝若節の特徴として活舌の良さが挙げられます。単語と文脈の明快さは声の良さも手伝って聞きやすい浪曲の最高峰と言えます。
この幸枝若節を直接継承しているのが現幸枝若なのです。
音楽的要素が不可欠な浪曲では曲師の存在は極めて重要です。時にリズムパート、時にはメロディ、時には効果音を受け持つ融通無下な三味線を弾きこなさねばなりません。浪曲師とのイキが合わなければ成り立たないことは言うまでもありません。これで楽譜がないというのですから驚きです。
近年では幸枝若の曲師は一風亭初月師匠が一貫して受け持っております。その献身的な三味線があってこそ幸枝若の浪曲が光ります。
二代目京山幸枝若浪曲の魅力(仕形の綺麗さ)
幸枝若の大きな武器に仕形(所作)の美しさが挙げられます。扇を開いた形や刀を構えた形の見事さ、指先の決まり方には惚れ惚れするばかりです。若き日に日本舞踊を学んだことが生きております。これらは音や映像では全てを確認することが難しいため、それだけに是非劇場に足を運んでいただきたいのです。