2018年8月19日 22:00
AV監督・二村ヒトシが教える“いいセックス”の秘訣
少ない。それはたぶん親から受けた「女の子は性に対して真面目じゃなきゃいけない、奥手じゃないといけない」という呪いのせい。その呪いが、女性にとっても“自分を解放できる時間”であるべきセックスを、中途半端なものにしているんです。そんな時間を持てるからこそ日常を続けていけるのに。
社会の通念として、女性は受け身な性です。その分、女性は自分の欲望に向かい合わずに成長し、積極的になろうとしても、女性として許される範囲の「まともさ」を志向がちです。
しかし人間がセックスに求めているのは、“無我”=個がなくなることです。あなたと私しかいない場所で、蕩(とろ)けて、いまだけの存在になる。
「変性意識状態」と呼ばれる、エゴのコントロールが利かなくなるような一種のトランス状態です。どちらかが一方的に奉仕するのではなく、ふたりが溶けあって、あなたの“やりたいこと”が彼の“してほしいこと”になり、彼の欲望があなたの欲望になる。それがマッチングです。性愛の快楽は、手に手を取って共犯となり一緒に社会の外に出られるふたりにしか得られないのです。
にむら・ひとし1964年、東京都生まれ。著書・共著に『なぜあなたは「愛してくれない人」