恋愛情報『夏目漱石流の“色気”とは? 官能の世界に導かれる名作3冊!』

2019年4月1日 20:20

夏目漱石流の“色気”とは? 官能の世界に導かれる名作3冊!

その顔に浮かんだ“憐れ”の表情こそが、彼女の美を完成させる要素だったと、その様子をそばで見ていた画家は思うのです。つまり、色気とは“憐れ”。弱者へ共感を抱いた時にこそ発揮されるものだという、漱石独自の色気論ではないでしょうか」(鈴木さん)

住みにくい人の世を芸術の力で打破できぬかと思案する青年画家。温泉場の出戻り娘・那美に惹かれ、絵に描きたいと思うが何か物足りなさを感じていて…。新潮文庫430円

決して触れ合えない、淡く切ない恋心。(石井さん選書)
『たけくらべ』樋口一葉
夏目漱石流の“色気”とは? 官能の世界に導かれる名作3冊!


「ある雨の日に、家の前で鼻緒が切れて困っている信如を美登利が見かける、という場面。今ではあまり考えられないことですが、物語の背景は男女が簡単に触れ合えない明治時代。二人が戸惑う姿は微笑ましく、また“触れたくても触れられない”ギリギリのところで、美登利が格子の隙間から端切れを“投げ入れる”という情景も味わい深い。
初々しさの中にこの時代ならではの色っぽさを感じる一文です」(石井さん)

吉原の遊郭に住み、遊女を姉に持つ14歳の美登利と、ゆくゆくは僧侶になる定めの信如との思春期の淡く密かな恋を描く短編。『にごりえ・たけくらべ』新潮文庫370円

“清潔”という言葉で色気を表現する奥深さ。

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