「タイプじゃなかったけど、最高…!」理想の彼氏になる男性の特徴と行動
当日は、諸橋くんが車で迎えにきてくれた。よくあるグレーのワゴンR。
「わ、浴衣すごく似合ってるね」
紗凪の姿を見るやいなや、ぱあっとうれしそうな顔をする諸橋くん。紗凪は今日「どうせ今年は他に着る機会ないし」と思って、去年買ったアイボリーの桃柄浴衣を着てきたのだ。
…。渋滞にハマった。
「川瀬さん、喉乾いてない?あと、トイレとか平気?もうすぐSA寄れるよ」
諸橋くんは、こまめに聞いてくれる。お父さんみたいって思ったけど、渋滞でも全然不機嫌にならない彼の明るさには、なんだか救われる。
「行くまでの道が、ワクワクして一番楽しい説あるし。いや、着いたら絶対もっと楽しいんだろうけどさ」「今日、特設ステージで、気になってるバンドが演奏するみたいで。動画でチェックしてみて」と、むしろウキウキしている様子で楽しそうだ。
意外と、就活の話なんかでも盛り上がり、やがて会場へと到着。
「あ、諸橋くんが楽しみにしてたライブ、はじまっちゃう!」
急いで車を降り、ステージのほうに向かおうとしたけれど、車でシートに寄り掛かっていたせいか、なんと帯がほどけかけてしまう。
「やば」
すると、諸橋くんはすぐに紗凪のもとにきてくれた。