イケるのでは…と思った男が寄ってくる「受け身の女」【カレー沢薫 アクマの辞典】
な態度が全て従属的かというと、必ずしもそうではない。
私は数年前、家を建てた。注文住宅なので、敷地面積と予算の許す限り自由にすることができた。なんでも自分の思い通り、と言えば聞こえは良いが「なんでも」の中には便所のドアノブの色とかも含まれているのだ、正直どれでもよい。
しかし施工主は、どうでもいいことまで全部決める義務があるため非常に疲れた。
「なんでも自分で考えて決める」というのは、意外と面倒くさいのだ。
それよりもっと楽なのは「誰かに決めさせ、気に入らなかったら文句をつける」ことだ。
夕飯はなんでもいいと言いながら「そうめん」と言ったら「え~」と言うポジションである。
「あなたに任せる」と、一見受け身な態度で面倒くさいことは下々にやらせ、最終決定権は自分が持つと言う「従属的」どころか完全に「貴族の思想」だ。
時には他人に決断を委ねたほうが効率的なこともあるし、「乗るしかない、このビッグウェーブに!」という名言があるように世の中の流れに身を任せたほうが良い結果になることもある。受け身な女は現代的ではないかもしれないが、だからと言って「総攻め」という同人誌でしか見ないような、攻め一方の女も柔軟性がないし、何より疲れてしまう。