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夫の愛が冷めてゆく…それは、妻に
モンスターワイフの影が見えるから…。
拙著『モンスターワイフ―幸せなふりはもうしない』が出版されてから10年。この間に、私たちを取り巻く環境は大きく変化しました。女性が一線で働くようになり、寿退社の激減、そして年収格差もろもろ。
それにともない、より複雑かつ強力な
『新型モンスターワイフ』まさにモンスターワイフ2.0が増殖中です。誰でも陥りそうな不安定な結婚生活から現れ始めた新型モンスターワイフは、急激な社会の変化による犠牲者といえるかもしれません。
目まぐるしく変化する現代社会の中で、気付けば自分もモンスターワイフと化していた…そんなことはありませんか?
■一番幸せなのは絶対にワタシ! 新型マウンティング妻、現る
「マウンティング系モンスター 勝ち組はワタシ」代表:小百合(仮名)31歳の場合
「亜美、ニューヨーク赴任決定おめでとう!」
久しぶりに集まった4人組は、汐留のイタリアンレストランで乾杯した。大学時代、いつも一緒だった4人。
それが今では、バラバラの世界に散らばっている。ちゃんと結婚して子どもを2人生み、
正統派の女の幸せをつかんでいるのは私だけ…小百合はワイングラスを片手に、しみじみと感慨にひたった。
「ありがとう」
パリッとしたスーツに身を包んだ亜美は、祝福に笑顔で応える。大手銀行に就職し、海外勤務を志望していた彼女は、とても幸せそうだ。
「さすが、亜美」
「ニューヨーク、遊びに行きたいな!」
はしゃぐ2人を横目に見ながら、
刺々しい声で小百合は言い放った。
「でも、3年は向こうにいなくちゃいけないんでしょ? 戻ってきたら
高齢出産のお年頃よ…結婚は? ちゃんと考えてる?」
「うーん、今は仕事がすごく楽しいから、仕事優先かなぁ」
スッキリとセットされたセミロングの髪に手をやりながら、亜美が
曖昧な笑みを浮かべて答える。そして話題を変えるように言った。
「そうそう、直美、テーブルマナー講座始めるんだって?」
直美は結婚後、仕事を辞めて夫のイギリス赴任に同行していた。
イギリス滞在中にテーブルマナーを学び、帰国後、日本でも資格を取ったという。
「そうなの。今は準備で大忙し」
大忙し、と言いながらも、直美からは優雅な余裕が漂っている。直美の質のいい素材のブラウスをにらみながら小百合は思う。幾何学模様のスカートはイタリア製か…頭の中のブランド辞典がパラパラめくれる。
テーブルマナー講座? 子どものいないヒマな主婦による、ヒマな主婦のための講座でしょ。こっちは2人も子どもを育ててるのよ。そんなヒマつぶしで「大忙し」だなんて、
笑っちゃう。
本音がにじみ出ないよう注意しながら、小百合は言った。
「直美、せっかく大企業に就職したのに、旦那さんの赴任で辞めちゃって、
惜しいことしたよね。イギリスでは働けないから、その間に出産ってプランかなと思ってたんだけど…そっか、マナー講座かぁ」
直美も亜美と同様、
微妙な表情を浮かべながらも、おっとりと答えた。
「そうね、そういう考え方もあったかも…。でも向こうで学んだことを生かしてみたいと思って」
小百合はなおも何か言い出そうとしたが、恵美子が直美に助け舟を出した。
「マナー講座、楽しそう! 私も最近、習い事を始めたんだ。ほら、ジェルネイル」
屈託なくそう言うと、縦ロールが揺れる長い髪を耳にかけながら、ピンク色に輝く指先をヒラヒラしてみせる。小百合は
呆気にとられた。ネイル? 結婚して家事をするようになったら、ましてや子どもでも生まれたら、ゆっくりハンドクリームを塗る時間すらないんだから!
「恵美子は昔からオシャレだったもんねー。でもさ、今は実家暮らしだからいいけど、結婚して家事をするようになったり、子どもが生まれたりしたら、
爪なんて伸ばせないよ」
誰も反論できない正論を突きつけたつもりだった。ところが恵美子の反応は、小百合が予想していなかったものだった。
「だったら私、結婚も出産もまだ先でいいやー。やってみたいこと、まだ山ほどあるし。服とか髪とかネイルとか、自分の好きなように選べないのって、
辛くない?」
小百合は全身がカッと熱くなるのを感じた。好きなようにファッションを選べない…。恵美子、私がダサいって言いたいわけ? 確かに青山の美容院には長いこと行けていない。
服もずっと動きやすさ重視のものばかり選んできたけど…。
でも、バリキャリの亜美や、子どものいない有閑マダムの直美、ファッション誌から飛び出してきたようなOLの恵美子たちと比べられてはたまらない。私は主婦業にママ業と、フル稼働してるんだもの。そしてそれこそ、
女の真の幸せでしょ?
「全然、辛くなんかないよ。子どもは宝物だし、子どもたちと過ごす時間が
一番幸せよ!」
■浅ましいマウンティング妻に夫も友人もウンザリ■
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特別、趣味や特技もなく、大学卒業後は小さな会社に就職し、そこで出会った夫と結婚。2人の子どもが生まれ、大忙しの毎日を送っていた。夫の仕事は忙しいわりに、お給料が良いとは言い難い。けれども、それを理由に、夫は家事や育児に消極的だ。
小百合は家で孤軍奮闘。いわゆる
ワンオペ育児で、正直、辛い。それが小百合の人生だった。だけど、自分で自分をあわれんでしまったら、それこそ救いがない気がする。だから「結婚、出産、育児に専念」という昔ながらの女性の生き方こそ、
女の真の幸せなのだと自分に言い聞かせてきたのだ。
しかし、そのジレンマで小百合はどんどん
「イヤな女」になっていった。久しぶりに女友だちと会った後は、
嫉妬丸出しの愚痴をぶつけた。
「亜美ってば海外赴任だって。
帰って来てから婚活始めて、手遅れにならなきゃいいけど」
「直美は講師を始めるとか…。20代のうちに子作りすればいいのにね」
「恵美子なんて、まだ独身でネイルがどうとか言ってるのよ。ちゃんと将来のこと考えてるのかしら」
お前はお節介な親戚のおばちゃんか? どうして人のことばっかり、あれこれ言いたがるんだ? 夫からすれば、小百合が友人たちを妬んでいるようにしか見えない。そこには、かつて愛した妻ではなく、トゲのある言葉しか吐かない、
うっとうしい、浅ましい女がいるだけだった。
「こんなやつだったかなあ…」
自信のなさの裏返しなのか、マウンティングに走り周囲を見下すことによって、自分の生き方こそ幸せ、
自分こそが勝ち組だと思い込もうとして、イヤな言葉やオーラを周囲にまき散らしている小百合さん。
この「イヤな女」むき出しの姿は、女友だちから引かれるだけではなく、
夫の心も遠ざけていました。
次回は、あなたの中にも潜んでいるかも知れないマウンティング系モンスター度を調べてみませんか? チェックテストをぜひお試しください。
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