2017年11月14日 10:47
【男から見た結婚のリアル】第8回 旦那の小遣いが決まった瞬間
「一緒に住んだら、家賃とかどうする?」と、ヨメはぼくに尋ねました。
家賃とか、の「とか」がかなり曲者だと、瞬間ぼくは感じましたが、つねに冷静沈着なヨメを前に、「とかってなに?」と言うことができず、「毎月決まった金額を渡すから、そこから払えばいいよ」と答えました。
こういうのはもう、男の条件反射みたいなものです。
「家賃、折半ね」と、しれっと言える反射神経が欲しかったと思っても、そんなもの、あとの祭りですよ。
続けて、「わたしのお小遣いは?」と、ヨメが尋ねました。
「毎月渡すお金の中から自由にとればいいよ」と、ぼくは答えました。
「ということは、あなたもお小遣い制になるけど?」と、ヨメは、しれっとぼくに言いました。
今度は「けど」が怪しい、なにか良からぬにおいがプンプンする、とぼくは思いました。
が、長年このカラダに染みついてしまっている哀しい反射神経ゆえ、ぼくは「はい」と答えそうになりました。
が、ここは踏みとどまった。新橋の駅前で、鉄でできている黒いメタリカルなSLよりカタくこわばった表情で缶コーヒーをすすっているおとーさんたちの姿が、反射的に脳裏をよぎったから。しばし沈黙がふたりを包みました。