「スリ行為」が認められて「痴漢が無罪」に…未遂でもなぜスリで有罪にならないの?
「訴えられた事実そのものは痴漢行為であったのですが、実際の裁判において、被告人は、スリ(窃盗)のつもりだったと、痴漢行為に故意があった事を否認したところ、裁判所がこれを認め、痴漢行為には故意がなかったとされたため、訴えの事実となっている犯罪行為については、無罪となりました。
痴漢と窃盗は、その罪の質が全く異なり、どちらかがどちらかの故意を含むという明確な相関性がないため、訴えの事実に窃盗が入っていない以上、『痴漢ではなく窃盗の故意があった』と認定する場合には、無罪とせざるを得ません。」(竹内弁護士)
つまり、痴漢として被害届を出されて裁判に持ち込まれたものの、被告側は「痴漢ではなくスリ目的だった」と主張し、裁判官にこの主張が認められたため、痴漢に関しては無罪となったのですね。確かに痴漢とスリでは該当する法律も全く異なりますからね。
■もし痴漢で捕まっても「スリ目的」だったと主張すれば無罪に?
では、もし仮に痴漢目的の人が今回の事案を参考にして痴漢をして捕まったとしても、「実はスリ未遂だったんだ!」と主張すれば、無罪になる可能性はあるのでしょうか。
「まったく同じ事案ではあり得るでしょうが、今回は、痴漢されたという被害者の女性の供述の信用性が減殺された点が、検察官側の痴漢行為の態様の立証を大きく妨げたと思います。