夫婦が「不仲」だと不倫してても慰謝料は発生しない?
そのため、不倫(不貞)の慰謝料請求の実際事案でも、不貞行為当時に、婚姻関係は既に破綻していたとの反論(弁解)がされることがよくあります。しかし、裁判所はその「破綻」の認定は慎重であり、まず「破綻」という認定はされません。
よく考えてみれば、それはそうですよね。不倫をする場合、不倫相手には通常、嘘でも「うちの夫婦はうまくいっていない」などと説明するでしょうから、不倫相手からの反論としては「破綻していると思っていた」というのが多くなるでしょう。
もっとも、そのような反論が簡単に通ってしまっては、不倫の事案の慰謝料請求が極めて困難になってしまうため、「破綻」の認定は慎重にならざるをえないでしょう。
ですので、一般的に、夫婦関係の悪化、破綻寸前といったような状況は、不法行為責任を認めた上で、慰謝料の減額要素として考慮されることが多いです。
なお、これに関連して、たとえば、夫に慰謝料を請求している妻にも不倫相手がいるような場合には、婚姻関係が円満ではなかったとして、慰謝料の減額要素として考慮されることになり、裁判例においても、そのように判断されています。
■子どもの有無により慰謝料の金額は変わる?
夫婦間に子どもがいるかいないかで不貞に基づく慰謝料の金額は変わるのか。