LITALICO発達ナビがお届けする新着記事一覧 (1/131)
子育ての悩み、何から手をつけたらいいか分からないときLITALICO発達特性検査を受検される方は、おそらくなんらかの課題や悩みがあって利用されると思います。以前、検査結果にはその具体的な解決のヒントが紹介されているとお話ししました。今回は、実際にレポートを読んだ際に、何から取り組むかをテーマにお話しできればと思います。お子さまの課題や困りごとがいくつかある場合、どれから取り組んでいいのか迷いますよね。あるいは頑張ってあれこれ試してみたけれども、なかなか効果が見えにくく、疲弊するという方もいるのではないでしょうか。取り組むべき課題の優先順位のつけ方や、どのような対応方法を選び何から試すのか、家庭で考えて選択していくのはなかなか難しいことだと思います。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部検査結果レポートを、お子さまについての「辞書」だと考えて家庭で取り組む際にLITALICO発達特性検査をヒントにしていただけるといいなと思っているのですが、その理由の一つが検査結果のレポートにあります。LITALICO発達特性検査のレポートの量は、検査対象のお子さまによって変わります。困りや特性が強い傾向のある場合や、複数の分類の特性があるお子さまの場合には、それだけ検査結果も多く出力されることになります。PDFにした場合、40ページくらいの方から、多い方で100ページを超える方もいらっしゃると思います。これは、一般の心理検査に比べると、検査結果のレポートの量としてはかなり多いでしょう。LITALICO発達特性検査のレポートは詳しい内容が広い分類にわたって出力されますし、解決法もできるだけ多くの選択肢が持てるように複数提示されるようになっています。この量を受け取るとびっくりするかもしれないですね。ちょっと多いな、読むのが大変だな、と思われる方もいるかもしれません。せっかく検査を受けたのだから、しっかり読みこんで、対応方法を試さないといけないと考える方にとっては、量が多いとプレッシャーに感じるかもしれないですね。検査結果レポートの量が多いと感じる場合は、辞書のように気になるところを調べ、いくつか載っている選択肢から必要そうなところを選ぶというイメージで使うといいと思います。「お子さまのサポート辞典」、あるいは「優先順位をつけるためのヒント集」というイメージです。私は、結果が出ても、すぐにすべてを読まなくてもいいのではないかと思います。逆に、検査を受けたときにさっと目を通して終わりではなくて、手元に置いてずっと使ってほしいとも思っています。対応方法もいっぺんに取りかからなくても大丈夫です。そう考えていただくと、ボリュームが多かったとしても、そんなにプレッシャーにならないのではないでしょうか。何から始めればいいか分からない場合の優先順位量が多くて何から始めればいいのか迷う場合の具体的なアドバイスもお伝えします。課題が多い際には、取捨選択をして優先順位をつけていくことが大事なのですが、どうしても「一番苦手なことや、一番目立っている課題から」と考えがちですね。でも私は、どちらかというと、ちょっと困っていて、ちょっとやり方を変えられそうなことが、まず試してみるにはちょうどいいと思います。一番困っていることや苦手なことって、なかなかすぐには変えられなかったり、お子さまにとっても負担が大きいことでもありますよね。苦手なものよりは比較的得意なものから取り組むと、うまくいきやすいですし、成功体験になります。また周りの人もどうしたらできるようになるか、共通理解をしていけるといいですね。そのためにも、手をつけやすい課題がおすすめです。大きな目標に取り組む場合、課題を分解して小さな目標にしていくといいと思います。うまくいかなかったとしても、それは失敗ではなくて、どうしてうまくいかなかったか、より適切な方法はないか改善点を考えるための材料になります。周りの方と話し合ったり、相談して別の方法を試すための出発点として使っていただくのもいいですね。どれが試しやすいか悩むなというときや、やはり今一番困っていることから取り組みたいという場合には、ぜひ、専門家に相談して一緒に取り組むといいと思います。年齢や発達段階によっても変わる優先順位の考え方もう一つのポイントとして、その子の発達段階や環境などによって、取り組む優先順位や手段を選んでいくといいなと思っています。特に、スキルの獲得と環境調整について、この観点が大事になってきます。詳しく説明しましょう。サポートの方法として、大きく挙げられるのがは本人がスキルを獲得できるように促していくという考え方と、周りを本人に合わせていく環境調整です。両方大事な考え方なのですが、「どちらをより重視すべきか」とよく聞かれます。時々誤解をされることもあるので、あえてお話しすると、これは特性のあるお子さまにとって、苦手とどう向き合うかという話にもつながると思うのです。苦手を克服するために訓練する・我慢する、あるいは苦手なところはすべて環境調整で補うというふうに両極端に捉えて考えると、なかなかうまくいきません。スキルトレーニングだけでは解決できず、無理や疲弊につながる可能性があったり、環境調整だけではお子さま本人にとって本来獲得すべきスキルが身につかなかったりするからです。スキルトレーニングと環境調整、どちらか一方だけではなく、そのときの発達段階や環境に応じた方法を選択したり、両方をミックスしていくことがポイントになります。もしかしたら、保護者の方だけで、まずどちらからやってみるか決めたり、ちょうどいい落としどころを見つけるのは意外と難しいかもしれませんね。やってみてうまくいかない場合や、対応方法の選択に葛藤した場合、LITALICO発達特性検査のレポートを支援者や専門家に見せることで相談もしやすくなります。年齢が低いお子さまの場合、発達段階の途中としてスキルを獲得するということがまだまだ必要な場合もあります。また、発達段階を飛ばしていきなり難しいことに取り組むのも、無理があるということもあります。そのときにちょうどいい、「ちょっと頑張ればできそう」に取り組んで、スキルを獲得していくということが重要になってきます。逆に、年齢が上がってくると、頑張って苦手なスキルを獲得することよりも、周りや本人が自分の特性を理解して、うまく付き合っていく方法を身につけるというほうが大切な場面も出てきます。例えば、うまくいかない場合に別の方法に切り替えたり、周りに助けを求めることができるスキルをつけていくという方法です。LITALICO発達特性検査で紹介されるサポートの方法や、困りごとの事例は、3歳から高校生の年代まで、それぞれの年齢に応じた内容で出し分けられます。なので、同じ特性であってもお子さまの年齢によってレポートの文章や内容が変わるのです。その理由の一つが、発達段階や環境などに応じた対応方法を選んでいくという、先ほどお伝えした観点にこだわっているからです。幼稚園で現れる困りと高校での困りは当然違うし、その解決法やサポートも変わりますよね。ですので、同じ特性や困りごとであっても、年齢に応じた適当な例示やサポートの内容を提示できる仕組みにしています。例えば、不注意の特性があるお子さまに向けての「分かりやすい手がかりを活用する」というサポートについてを例に挙げてご紹介します。分かりやすい手がかりを用いることで、指示や課題を理解しやすくなるという方法なのですが、その年齢に応じて、よく挙げられる悩みや課題を例示として提示し、その対応方法を紹介しています。未就学のお子さまの場合は、口頭でのコミュニケーションでの困りごとに対し、「話し始めるときは名前を呼び、注意を引きつけてから話す」という方法が示されます。中学生の場合は、授業での場面を想定した事例で、「『黄色の文字は重要単語だよ』『下線部は間違いやすいから要確認だよ』など強調して注意を促す」という方法が紹介されています。ほかにも未就学のお子さまの場合、具体的にボタンをとめる練習方法を挙げていたり、その年齢でのスキル獲得でよくある課題を多く取り上げています。また、サポートの方法も、手助けの量が多めだったり、発達段階に応じて無理のないようなやり方を提示しています。年齢が上がってくると、本人が自力でできることを目指した対応方法も多くなります。あるいはどうしても難しい場合は人に助けを求めたり、道具を変えてみたり、合理的配慮を求めたりといったスキルや方法を多めに紹介したりといった工夫がされています。受検されたときのお子さまの年齢で検査結果が出るので、1回の受検ではおそらく保護者の方は気づかないとは思うのですが、もし今後、成長につれて再受検されると、同じ困りごとや特性であっても、レポートで提示される内容が変わる場合があるかもしれませんね。このように、お子さまの発達段階やライフステージに合わせて、スキルやサポート方法を変えていくという視点もヒントにしていただけるといいと思います。「これならできそう」を見つけて試すUpload By LITALICO発達特性検査 編集部今回は優先順位についてお話ししましたが、LITALICO発達特性検査のいいところは、レポートの段階ですでに優先順位がつけやすくなっていると言うことが挙げられます。質問に回答することで情報がお子さまに合うように絞られること、その中から選択肢が選べるということです。複数の選択肢が記載されている意味としては、実際には、お子さまにとってどれが合うか、どれが取り組みやすいかは試してみないと分からないということがあります。また、それぞれのご家庭でその子や状況に合うように、さらにチューニングしていく必要はあると思います。それでも、家庭でまずやってみる場合、十分ヒントになるのではないでしょうか?受検された方には、検査結果を手元に置いていただいて、時間のあるときにパラパラ見ていただければと思います。きっと「これならできそうかも」「ちょっと試してみようかな」「支援者の方に共有すると役に立ちそう」というところが見つかるのではないかと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年11月21日直前まで就学先に悩み……。知的障害特別支援学級に通う小学1年生の息子DQが82で境界域の小学1年生の息子は、現在知的障害特別支援学級に在籍しています。問題もなく、毎日楽しく通学しています。交流級と特別支援学級、だいたい半々くらいで過ごしているようですが、やはり息子は特別支援学級を自分の居場所と感じているようです。ですので、就学先選びはうまくいったのではないかと非常に満足しています。このように結果からみれば正解だった選択ですが、息子の就学先をどうするかについては直前までかなり悩みました。比較的早くから「息子には特別支援学級が合っているだろう」と思っていたのですが、それでも周りの意見を聞いたり、学校見学、就学相談する度に「本当にいいのかな」と揺らぐ気持ちはなかなか消えなかったのです。そんな就学にあたってのわが家の体験談です。少しでも皆さんの参考になれば幸いです。先生からの「通常学級でもいけるかも?」、知人からの「楽なほうに行くと、どんどんそっちに流れる」。さまざまな意見を聞いて私は、息子が年中の時点から、特別支援学級を視野に入れていました。ですが、周りの方の意見はさまざまで、「本当に特別支援学級がいいの?」という思いは浮かんだり消えたりと、最後までかなり悩みました。まず先生方の意見もさまざまでした。息子のこども園で発達支援センターとの窓口役をしてくれていた先生からは、「●●くんはできることが増えてきたので、通常学級でも問題なく過ごせるのでは?」と言われていました。一方、息子の発達検査をしてくれていた発達支援センターの担当者の方は「正直、迷うところです」とのこと。プロの方の意見が合わず、いったいなにを基準にしたらいいかとても悩みました。Upload By ユーザー体験談また、知人の発言も私を揺さぶりました。息子の就学先で悩んでいる頃、よく行くお店のなじみの店員さんに、ついポロッとその話をしました。すると、偶然にもその店員さんの娘さんが特別支援学級に通っているとのことで、熱心に話を聞いてくれました。「で、あなた的には、どっちがいいと思ってる?」と聞かれたので、「息子の特性を考えると、知的障害特別支援学級が合うのではないかという気がしている」と答えたのですが、それに対して、その人から「でも、最初から特別支援学級を考えてるのって、子どもに楽をさせていることになりませんか?」と言われたのです。その方は、娘さんが小学校高学年のとき、担任の先生から特別支援学級への転籍を進められ、それを機に受けた知能検査の結果も踏まえて転籍したのだそうです。ですが、そのことに今も納得していないようで、「中学校でも特別支援学級に進むと、進学の幅が狭くなる可能性もあるから、中学校では通常学級に戻したい」という思いがあるようでした。なので、息子の子ども園の先生が「通常学級でもいけるのでは?」と言ってくれているのに、私が特別支援学級という選択肢も視野に入れているのが受け入れられなかったのだと思います。私はその人の考えに影響されることはなかったのですが、特別支援学級を選択することが「子どもに楽をさせること」だという言葉は嫌な感じに引っかかりました。多分、そういった考えは、子どもをとりまく社会に少なからずあるだろうと実感したこともあり、余計に引きずってしまったのだと思います。その後、夫にその話をしたら、「仮に楽させていたとしても、別に良いのでは?今の息子がどこならより良く学べて、学校生活を楽しめるかで決めれば良いと思うよ」と言われ、その通りだなと思いました。また、公立中学校で教員をしている友人にもその話をしたら、「通常学級に入っても、その環境が子どもに合わない場合、二次障害で不登校になり苦しむこともある」とも言われました。私が信頼する二人もそう言っているんだし……と、改めて特別支援学級という選択を前向きに捉えることができました。Upload By ユーザー体験談学校見学、聞けばよかったと後悔していることと、息子の残念な反応見学は通常学級と特別支援学級の見学に行くことになったのですが、今も後悔していることがあります。小学校の見学を申請する際、見学したい学級を選択する必要があり、私は「通常学級」「知的障害特別支援学級」「自閉症・情緒障害特別支援学級」のすべてを選択していたのですが、こども園の先生から「自閉症・情緒障害特別支援学級の見学は必要ないと思います」と言われ、「あ、そうなんだ……」と思って素直に従い、その後、息子の就学先を「通常学級」か「知的障害特別支援学級」かの二択に絞りました。結果的に、うちの子には知的障害支援学級が合っていたと思うので良かったのですが、なぜ「自閉症・情緒障害特別支援学級の見学は必要ない」という判断だったのかは、確認すべきだったと思いました(こども園の先生がいい方だったので、面倒な親だと思われたくないという思いが働いてしまいました)。今でも後悔はあるので、みなさんは気になること、なぜ?と思うことはしっかりと聞き返すことをお勧めします!また見学で息子の反応を参考にしたいと考えていましたが、息子がかなり場所見知りをしてしまいました。通常学級、特別支援学級両方とも見学を嫌がって、ものの数分で帰りたいと言いだしたため、結局見学は私だけですることになってしまいました(その間、教頭先生が教室の外で息子の相手をしてくださいました)。このような場合は、2度目、3度目の見学を希望すれば良かったと思っています。「私の言ったことで息子の進路が決められてしまう?」緊張の就学相談そしてついにやってきた就学相談。私の住んでいる市の就学相談では、息子が担当の方と遊んでいる間、保護者とこども園の先生が相談担当の先生方(公立小学校の特別支援学級の先生、公立中学校の特別支援学級の先生、特別支援学校の先生の3人でした)と話をするシステムでした。細かな質問項目は特になく、割と自由に喋る感じだったので、「私の言ったこと(言わなかったこと)で息子の進路が決められてしまうのでは」と不安でした。あとで振り返って、「息子のできることよりもできないことのことばかり言い過ぎてしまったのでは……」とも感じました。そして待ちに待った自治体からの答申結果。緊張しながら見てみると、「知的障害特別支援学級が望ましい」というものでした。自分でもこれが息子にとって最善の選択肢だと分かっていたのにもかかわらず、答申結果を見て少し落ち込んでしまったのが、われながらめんどくさい奴だと思いました。でも、夫と「今の息子にとってベストと思える選択を前向きに考えよう」と話し合い、知的障害特別支援学級の在籍を決めました。Upload By ユーザー体験談「あれだけ悩んで出した結果だから!」と納得できた進路選択息子は楽しく通ってくれるだろうかとドキドキしていましたが、実際に小学生になり楽しそうに登校する姿に心から安堵しています。当時はあんなに悩んだのに、あるいは、あれだけ悩んだからか、今は息子に合った選択ができたことにとても納得できています。これからもきっと悩んだり迷ったりする場面はあるでしょうが、悩みつくし気になることは遠慮をせず聞いて、息子の幸せな毎日を守る選択をしていけたらと思います。Upload By ユーザー体験談イラスト/ネコ山エピソード参考/苗(監修:井上先生より)知能指数や発達指数が境界域にある場合、通常学級か特別支援学級かは悩ましい選択です。特別支援学級を考えられる場合、自閉症・情緒特別支援学級と知的障害特別支援学級の二つの違いを理解し、実際に両方の学級を見学させてもらうのがお勧めです。これらの在籍は変更することも可能ですが、中学校の特別支援学級選びの中で、自閉症・情緒の特別支援学級を選ぶのか、知的障害の特別支援学級を選ぶかは、そのカリキュラムの違いから高校進学にも影響してきます。発達レベルや学習の意欲、本人に合わせた柔軟な教育が可能か、将来の進路なども含めて総合的に考えていくのがよいと思います。地域によって違いがあるので、先輩の親御さんたちの情報も参考になるかもしれません。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年11月21日志望校けってーい!でも母は不安…小さい頃から「生きものハカセ」を目指していたタケル(ASD・現在24歳)、高校2年生の夏にはオープンキャンパスなどにも参加して、早々に志望校を絞り込んでいました。タケルが選んだのは大阪にある小規模な大学で、希望する学科の合格予定者は6名です。たった6人……!?上位6人に入らないといけないの!?母は震えましたが、タケルは涼しい顔。「生物で100点とればいいんだよ!」と言います。そりゃそうだけどさあ……。Upload By 寺島ヒロ理学部全体では50人位採用しているらしいのですが、学部学科ごととなるとそれぐらいなんだそうです。ちなみに商学部は区分けがなく200人採用とのことでした。「お試し一人旅」で慣れよう受験でもう一つ私が不安だったのが、慣れない受験旅でタケルがパニックになって、テストがまともに受けられなかったらどうしようということでした。そこで、「3年生のゴールデンウィークに一人旅をしたい!」とかねてより言っていたタケルに、大阪の受験校を下見に行ってもらうことにしました。当時のタケルは一人で電車やバスに乗る練習はしていたものの、外泊や長距離移動は初めてでした。不安で嫌がるかな?とは思いつつ、私が「旅行計画を自分で組んで、時間がかかってもいいから自力で回っておいで」と伝えると、タケルは「大阪、一人で行ってみたかったんだ」と喜び、あっさり出発してしまいました。ちなみに宿だけは駅近に私が手配しました。好きな事には頑張れる!タケルが行きたかったところとは?さて、タケルのスマートフォンにはGPSがついています。心配で心配でたまらない夫は、ずっと片手にスマートフォンを持ってうろうろしていましたが、2日目になって「タケルのスマホが壊れている」と言いだしました。夫曰く「大阪に到着した日は、学校まで行って、近くの公園で半日過ごしてからホテルに帰ったみたい。でも今日は気がついた時にはもうホテルにいなくて、天王寺近くの公園からずっとマーカーが動かない。スマホがおかしくなったか落としたに違いない!」「どれどれ」と夫のスマートフォンを見てみると、マーカーはかすかに動いているのでした。場所は……んん?オオカミ舎?「これ、ホントにずっといるんじゃないの?動物園の中みたいだし」と、私が言うと、夫は「こんなに動かないわけはない!大体動物園に何時間もいられないでしょう?」と言います。はからずもASDとADHDの争いが勃発!?実は、わが家は私とタケル、妹のいっちゃんにはASD傾向があり、夫にはADHDがあるのです。自分自身じっとしていられない性分の夫は、たいして広くもない動物園でタケルが半日ほとんど動かないでいるなんて信じられない!何かあったに違いない!と言うのです。Upload By 寺島ヒロその後、「放っておけ」という女性陣の声を振り切り、夫が電話をかけたのですが、案の定「はい、無事です。いま動物園。昨日は自然史博物館にいた。写真撮るから充電もったいない」とそっけなく切られてしまい、いっちゃんには「な?」って言われていました。タケルは自分のペースで動物園を満喫していたのです。一人で行ってみたかったのは、このためだったんだなあ……と思いました。3日目の昼、タケルは自力で無事に帰宅しました。一人旅は楽しい!自信をつけたタケルの進化こうして大阪で一人旅を経験したタケルは、冬休みには別の大学を受験するために一人で東京にも行きました。こちらの大学は試験と面接で2日間の日程。タケルは試験前後の空き時間に、いくつかの動物園、植物園、博物館、大学の資料室、ふくろうカフェなど……予定をぎっちり詰め込み、ろくにごはんも食べずに飛び回ったそうです。親の想定外の行動範囲でびっくりしました。Upload By 寺島ヒロ今では一人でどこへでも行けるようになったタケル。しっかり下調べと準備をして、あまり人が行かないようなところへもフィールドワークに出かけます。息子の「どこでも一人で行ける」という自信の根底には、あの大阪と東京の旅がしっかり刻まれているのだと思います。執筆/寺島ヒロ(監修:鈴木先生より)「かわいい子には旅させよ」ですね。子どもに初めての経験をさせる時はどんな親でも心配ですね。しかし、失敗は成功のもと。どんどん失敗させて学んでいけばいいのです。いわゆるヘリコプターペアレント(最近ではバイシクルペアレントになってきている)と言われるように、子どもに何かあるとすぐに親が出てきて対処してしまうことは子どもの成長を邪魔することになりかねません。大阪が遠くて心配なら初めは近隣へ行かせて試すことも一つのアイデアかと思います。極端な話、コンビニでもいいのです。スモールステップで少しずつ成功体験を増やしていけば段々と慣れていくはずです。ただ、一度成功しても次に何があるかは分かりません。いざという時のためにメールなどで適宜連絡を取りながら進めていけばいいのではないでしょうか。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年11月19日"なぜか伝わらない"を"伝わる!!"に『発達障害の子どもに伝わることば』Upload By 発達ナビBOOKガイド「言葉は理解できているはずなのに、どうして通じないんだろう?」と不思議に思ったり、子育ての中でイライラを感じたことのある保護者も多いのではないでしょうか?本書「発達障害の子どもに伝わることば」は、発達障害のある子どもとのコミュニケーションのポイントについて書かれた本です。著者の川﨑総大先生(立命館大学教授)は、言語聴覚士・発達心理士として、発達障害のある子どもたちと深く関わってきました。その豊富なご経験から、私たちが誤解しているかもしれない発達障害についての知識、そもそもコミュニケーションとは何か?という根本的な考え方を紐解きながら、発達障害のある子どもたちとのコミュニケーションについて、分かりやすい言葉で具体的に解説しています。1~4章の最後には、4人の専門家が寄稿したコラムも掲載されており、発達障害に関する知識をより深めることができます。コミュニケーションとは一方的なものではなく、伝える側、受け取る側が相互に思いやりをもって楽しむもの。発達障害のある子どもの保護者はもちろん、障害の有無にかかわらず、コミュニケーションに悩むすべての人に読んでいただきたい一冊です。遊びながら認知能力を強化!『学習の土台をつくる 1さいからのコグトレ おなじのど~れ?』Upload By 発達ナビBOOKガイド『学習の土台をつくる1さいからのコグトレ おなじのど~れ?』は、繰り返し遊びながら、認知能力を鍛えていくアクティブ絵本です。本書のタイトルにもある「コグトレ」とは、児童精神科医の宮口幸治先生が、認知能力を鍛えることを目的に開発したトレーニング教材です。認知能力を鍛えることで、学習に必要な「数える」「覚える」「写す」「見つける」「想像する」力を育むことができると言われています。本書では、簡単な図形や身近な自然・乗り物などのイラストカードを使って、「かたち」を認識する力、「どうさ」を理解する力、「なまえ」を覚える力を高めます。字が読めなくても遊ぶことができるので、1歳頃のお子さんから楽しく取り組める内容となっています。その教育は本当に「こどものため」?『エデュケーショナル・マルトリートメントの理解と対応 教師と支援者が「教育虐待」を防ぐためにできること』Upload By 発達ナビBOOKガイド「エデュケーショナル・マルトリートメント」とは、教育場面において行われる子どもへの不適切な行為を表す概念です。本書では、「教育虐待」と共に社会的課題となっているエデュケーショナル・マルトリートメントについて、日本の教育環境の問題点や子どもへの影響、そして多様な事例を踏まえた具体的な対応方法を紹介しています。子どもへの身体的・心理的暴力といった従来の「児童虐待」のイメージとは異なる、「熱心な教育」「親心」といった考えに潜むエデュケーショナル・マルトリートメントの実態をとらえ、子どものSOSを見逃さないためにはどうすればいいのか丁寧に解説されています。子どもにとって本当に大切なものとは何か、そして子供の健やかな成長のために大人ができる行動とは何かを考え直すきっかけとなる一冊です。最新の知識が分かりやすくまとまった一冊!『ADHDがわかる本 正しく理解するための入門書』Upload By 発達ナビBOOKガイドわが子の困った行動の理由が知りたい。どこに、だれに相談すべき?治療を受ければ落ち着くの?将来は大丈夫……?子どもがADHD(注意欠如多動症)と診断された、あるいはその傾向が強いと感じている保護者の中には、不安や疑問がたくさんある……という方もいらっしゃることと思います。本書は、発達障害のある子どもの医療に長年携わってきた榊原洋一先生の監修による、ADHD(注意欠如多動症)の基礎から理解できる入門書です。幼児期から成人期までのADHD(注意欠如多動症)の特性、相談先や治療法、家庭でのかかわり方、支援についてなど、保護者が知っておきたい情報が網羅されています。豊富なイラストや図解で、専門知識も一目で理解しやすいように工夫されている本書。ADHD(注意欠如多動症)どう向き合い、対処していけば子どもの幸せにつながるのか?初めてADHD(注意欠如多動症)について学びたい方だけでなく、改めて最新の知識を得たいという方にとっても、役に立つのではないでしょうか。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年11月18日2年生に進級して様子が変わった息子。イライラすることが増えてきて…小学2年生に進級した頃から、トールは家でも学校でもイライラすることが増えました。手が汚れているということに敏感になって、洗いすぎて手がガサガサになり、血が出てしまうこともありました。外から聞こえる車やバイクの音、冷蔵庫のモーター音などにも非常に敏感になって、怖がったりうるさいとイライラしたりするようになりました。常に何か不安な気持ちを抱えていて、些細なことに怯えているような状態でした。Upload By メイまた、それまでできていた量の宿題も、全くできなくなってしまいました。本人はやらなければいけないという気持ちがあるのに、どうしても宿題に取り組めずにイライラしていました。私もそばで見ていて、どうしたらいいのか分からないと感じていました。学校では通常学級に通っていたので、たくさんのクラスメイトと一緒に授業を受けていました。でも、授業中の物音や周りの子たちの視線が気になって急に怒ったり、授業中に立ち上がって歩きまわったり、廊下に出たりすることが増えていきました。特に音楽の授業がつらかったようです。鍵盤ハーモニカの音がとてもつらくて、うるさいと泣いていました。Upload By メイ学校へ配慮をお願いすべき?でも言い出すことができず…私は担任の先生とも何度か面談をして、学校や家での息子の様子を共有するようにはしていました。しかし、宿題や学校での過ごし方など、配慮してもらったほうがいいかもしれないと思うことはあっても、私はそれを先生にお願いしてもいいのかどうか分からずにいました。先生は30人の児童を1人で見ているのに、自分の子だけに特別に時間を使うことをお願いしてもいいのかどうか。そこまで先生にお願いしてしまうのは頼りすぎなのではないか。もしお願いして先生がそれを実践してくれたとしても、うまくいくかどうか分からないのに……。そんな不確定のものに手間をかけさせてしまうのが申し訳ないと思ってしまったのです。もしかしたら先生は、そんなこと考えずに言ってくれたらいいと思ってくださっていたかもしれません。でも私は、どうしても先生にお願いすることができずにいました。Upload By メイそんな思いもあって、「もしトールが特別支援学級に在籍していたら、もっと気軽に個別な対応をお願いしやすいのかもしれない……」と、考えるようになりました。思い切って特別支援学級への転籍について担任の先生に相談してみたところ、特別支援学級を体験させてもらえることになったのでした。特別支援学級の体験で、少しずつ落ち着きを取り戻してきた息子特別支援学級の体験は2年生の秋頃から始まりました。まだ正式に在籍していたわけではなかったので、1日のうち特別支援学級の先生の都合の良い1、2時間だけ、特別支援学級で過ごしてみることになったのです。特別支援学級では、トールが1番気になっていた教室内の物音やざわめき、周りの視線などから解放され、トールにとってリラックスできる時間になったようです。1日中気を張って過ごしていた毎日が少しずつ変わっていって、気持ちも少しずつ落ち着いていきました。一日のうちのほんの数時間を特別支援学級で過ごすようになっただけで、通常学級でのトラブルもだんだん減っていきました。Upload By メイそんなトールの様子を見て、私は3年生から正式に特別支援学級に転籍したほうが良いのではないかと考えるようになっていきました。しかし、実際に転籍するにあたっては、トール本人も私も不安がたくさんあり、とても頭を悩ませることになりました。そのことについてはまた別の機会に書かせていただきます。執筆/メイ(監修:鈴木先生より)ASD(自閉スペクトラム症)の併存症の一つに強迫症があります。一般的には潔癖症と言われるような「手が汚れるとすぐ洗う」「家に帰ると靴下や服を着替える」など、よく言えばきれい好きな面が出てくることがあります。家の鍵を閉めたかどうか、ガスの元栓を閉めたかどうかなど何回も確認しないと気が済まない確認行為も見られることがあります。症状がひどい場合にはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)というお薬でこれらの調整は可能です。また、感覚過敏がある人の困りごとの中で、多くを占めているのが音(聴覚)過敏の問題です。クラス替えで以前より賑やかな環境下になると、登校渋りや耳を押さえる所作が増えてくることがあります。そういう場合は今回のように特別支援学級で過ごせるように検討するのも一つの案でしょう。通常学級にいても綿球などで軽く耳栓をしたり、イヤーマフのようなものを付けたりして音を減らす工夫をされている場合もあります。ASD(自閉スペクトラム症)のさまざまな併存症をあらかじめ知っておき、お子さんのサポートに役立てていくことが重要です。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年11月18日3ヶ月で保育園を転園することになった次女次女のあずさは、2歳になりたての頃に「①癇癪の強さ」「②物怖じしなさ」について長女(知的な遅れを伴うASD/自閉スペクトラム症)の療育先から指摘を受け、療育に通ってきました。その後、成長とともに①②の点は解消していき、よくしゃべるおしゃまな子に成長し……2歳クラスの一年間を小集団の療育にみっちり通う間、先生からは「コミュニケーション能力が高い」「最年少なのに年長児と同じことができる」と、あずさについては良い報告ばかり。なんなら「スーパー2歳さん」と呼ばれていました。親目線では「ん?まゆみのこともあるし、指摘があったから心配で通所させているけど……診断が出るほどの症状ではないあずさは療育を受けさせてもらっていていい子なんだろうか?」と思ってしまうほど順調に見えていました。それが入園後、保育士さん達から「しっかりした子ですね」と言われていたのも束の間、集団の中で浮きまくって先生方を困らせるようになり、その他の理由もあってわずか3ヶ月で転園となってしまったのは前回記事のとおりです。Upload By にれあずさの抱える困りごとまず、あずさはとても空気を読みます。「ふざけていい場か?」「甘えてもいい人か?」を本人なりに判断していて、家庭・保育園・療育先で見せている顔がそれぞれ違います。あずさはよく創作クイズを出してくれるのですが、振る舞いを使い分けていることがよく分かるのが以下の例です。Upload By にれ一方で、集団の中に入るとハミ出てしまう側面もあります。先生方が口を揃えて言うのは、「話を理解した上で、聞かない」という点……。たとえば、「動かずジッとしていてね」とクラスで一列に並んでいる時、目の前にかわいい着ぐるみが出てきたとします。それを見て一歩出てきて話しかけてしまうのがあずさです。大人が一声かけると自分から列に戻ることはできますが、衝動性の高さでつい動いてしまうのか、「このくらいええやろ」と自己判断でそうしてしまうのかは分かりません。見ていると両方あるような気がします。また、不適切な行動をした際にやんわり注意すると、今度はこちらの目を見ながら同じ行動を繰り返してこちらの出方を探るようなこともよくあります。さらに、人の制止よりも自分の好奇心を優先させることも多いのに、日頃のお調子者ぶりからは意外なほど失敗を恐れる傾向もあって、いろいろな側面があると感じています。大人からすると期待値の高さに反して望ましい結果にならないことが多く、「どうして言うことが聞けないの!?」と受け取られがちになるといった困りごとがあります。本人も、「ずっと家でママといたい」と言うくらいなので生きづらさを感じ始めているかもしれません……。困りごとの根幹は何なのか?発達検査で明らかになったことあずさに対し、「集団に上手く馴染めないのは、きっと発達の凸凹が大きいのだろう」と思っていたものの、一対一や小集団でのコミュニケーションなら大人顔負けのやりとりを見せ、運動もまぁまぁ得意、『にんぎょひめ』の絵本で号泣するほどの豊かな情緒……と、『何がこの子の困りごとなのか?』を把握できずにいました。転園を機に、ずっと問題を絞り切れていなかったあずさの発達について詳しく知りたくなり、市に申し込んで正式な発達検査を受けたのですが……検査後に心理士さんがうなりながら答えたのは、私の予想とはまったく違う「発達が全体的に早い」というものでした。具体的な数値は伏せますが、新版K式発達検査の「姿勢・運動」「認知・適応」「言語・社会」すべてが年齢以上である結果、年少クラスの活動が本人には退屈に感じられ、刺激を求める性格から自由行動に走ってしまうのだろうということでした。元から知的には問題ないと思っていましたが、驚くよりも思わず天を仰ぎました。Upload By にれ「発達が早い」「数値が高い」というと良いことのように聞こえますが、実際に困りごとが起きてこの場にいるわけです。また、仮にあずさが年齢以上の水準を保ちながら成長していったとしても、早いか遅いかだけでお友だちも大人になれば発達は追いついてくるはず……。年齢以上にいろいろできることよりも、先々の学校生活で周囲に馴染めず相当な苦労をするのでは?それがあずさの人間形成に影響するのでは?という心配のほうが先に立ちました。私の予想と今後心理士さんによると「お母さんの心配するような凸凹は見られない」ということでしたが……あずさを観察していると、たしかに知能や言語発達には実年齢以上のものが感じられても、自制心や協調性は実年齢よりも下なんじゃ?と思うことがよくあります。なので、やはり何かしらの発達面の凸凹はあるのだろうと予想しています。これは決して次女をおとしめたいわけではなくて、すでに困りごとが発生している以上は早めに特性への対応を学び、少しでも生きやすくしてあげたいのです。素人考えですが、5歳になれば知能検査のWISCが受けられるので、より詳細な領域ごとの発達度合いが分かるのではないかと期待を持っています。特性はそれぞれ違っても共通する方針長女のまゆみに「精神遅滞」と「ASD/自閉スペクトラム症」の診断が出た時は、通信制の大学に入り直して発達心理を学ぶなど、「自閉症児」に対する理解を深めようと一生懸命でした。今、まゆみの育児で学んだことはあずさには全く通用せず、高知能児の浮きこぼれの問題など新たに知ることばかりで、バラエティに富んだ育児をしているなぁと我ながら思います。けれど、まゆみに対してもあずさに対しても根っこのところは同じで、①親自身がわが子の安全基地になる②気軽にトライさせてみる③ルールとマナーの範囲内で好きなことをさせてあげるというのがわが家の方針となっています。どんな性質の人であれ人生で上手くいかないことがあるのは当然ですし、そんな時に乗り越えられる力を日々の中で少しずつ養うことができればと思っています(まゆみは自力では難しいこともあるでしょうから、人に助けを乞える「受援力の向上」も課題の一つです)。それぞれの子に対して自分自身まだまだ勉強しないとと思うことが多く、育児は修行の連続だなぁと感じる毎日です。Upload By にれ執筆/にれ(監修:井上先生より)にれさんのおっしゃるように、通常の知能検査や発達検査では協調性や衝動性は測ることができません。また、知能指数や発達指数も幼児期は年齢によって大きく変動します。お姉さんとの違いだけではなく、子育ての共通点を見出されたのはすばらしいと思います。姉妹がお互いにどのような役割や関係性をつくりながら発達していくのか成長を見守っていけるといいですね。前の記事はこちらUpload By にれ(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年11月17日特別支援学級に通う娘、転校でどうなる?わが家の体験ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けている娘(現在小学4年生)は、特別支援学級に通っていた小学2年生の3学期に、夫の転勤で他県へ引っ越ししました。転校が決定してすぐに、私は引っ越す予定の自治体の市役所に電話をしました。転校先の小学校でも特別支援学級に在籍できるのか、受給者証などの手続きはどうしたらいいのかなど、分からないことだらけだったからです。すると特別支援学級に転入を希望する場合、事前に教育センターで面談しなくてはならないということが分かりました。その際に、学校での通知表など成績が分かるもの、診断書が必要とのことでした(手続きや必要書類は自治体によって異なる場合があります)。私は早速、教育センターに連絡して面談の予約をしました。引っ越し先は当時住んでいた県から遠く、気軽に行き来できるような距離ではありません。そのため、面談した次の日に、転校先の小学校へ見学に行けないかと聞いてみました。教育センターの方がとても親切で、希望の日程で学校見学ができるように小学校と調整してくださいました。こうして、家族3人で1泊2日の「教育センター面談と小学校見学ツアー」が実現しました。登校渋りのある娘……転校先での配慮はどこまで可能?Upload By マミヤ教育センターの面談では、用意していた資料を渡し、転校先でも特別支援学級に通いたいことを伝えました。娘は、当時通っている小学校を4時間目で早退したり、苦手な給食ではなくお弁当を持参したりしている状況だったため、私はこの現状をしっかり伝え、転校先の小学校でも配慮をお願いしないといけないと考えていました。教育センターでの面談の結果、特に問題なければ希望通りに特別支援学級に入れそうということで、ほっとしました。面談の翌日、私は娘を連れて転校先の小学校の見学に行きました。見学したのは特別支援学級の5時間目の授業で、娘が参加しやすいようにと生活の授業にしてくれていました。あまり人見知りしない性格の娘は、クラスの子どもたちが楽しそうにしてる様子を見て、すんなりと輪に入っていきました。娘が授業に参加している間、私は隣の教室で先生と面談をすることになりました。私が娘の現状と配慮をお願いしたいことを伝えると、先生は「2年生のあいだは無理せず、交流学級へはほぼ行かなくていい」「お弁当でいい。給食がはじまったら牛乳は申し込まなくていい」とおっしゃってくださいました。これは本当にありがたかったです。これで娘の登校へのハードルが下がりました。授業も楽しく参加できたようで、クラスの子どもたちともすっかり打ち解けて、娘は転校を少し楽しみにするようになっていました。Upload By マミヤ理解ある環境の重要性を実感。転校先での順調な滑り出しも、母には不安が……娘は希望した通り、転校先の小学校でも特別支援学級に通えることになりました。転校後はじまった学校生活は驚くほど順調でした。特に担任の先生は特別支援学級を何年も受け持っていらっしゃる方で、給食なども、娘が食べられる物から少しずつ挑戦させてくれ、1か月後にはお弁当ではなく、みんなと同じように給食を食べられるまでになりました。さらに、転校前の学校に通っている時は、4時間目で早退しても疲れ果てていた娘が、帰宅後も元気なことが増えました。気づけば転校前の早退生活から一転、最後まで授業をしっかり受けられるようになっていたのです。Upload By マミヤ転校後感じたことは、指導をされる先生や過ごす環境によって、娘が学校で感じる疲労感に違いがあるのではないかということでした。娘の場合は、担任の先生との相性が特に重要なようで、転校前の学校ではそのことで疲れがたまり、結果的に行き渋りにつながっていたのではないかと思います。転校を通じて、理解のある環境にいることの重要さに気づくことができました。それと同時に、3年生に進級したら、きっとまた先生が変わってしまうのだろうな……と一抹の不安がよぎったのでした。Upload By マミヤ執筆/マミヤ(監修:室伏先生より)マミヤさん、転校の準備から、転校後のしぇーちゃんのご様子まで共有くださり、ありがとうございます。特にASD(自閉スペクトラム症)のお子さんは見通しを立てにくかったり、新しい環境に身を置くことが苦手であったり、転校に対する不安やストレスを感じやすいため、転校前からの準備、サポートが特に重要になりますよね。しぇーちゃんは事前に学校見学をされたことで、これから自分が過ごしていく環境を想像でき、不安が軽減されたのではないでしょうか。面談の際には、マミヤさんがされていたように、現状の共有や配慮をお願いしたいことを準備していかれると、転校後の生活がスムーズになりますね。ご本人が気になることをあらかじめ話し合い、質問を準備していくのもよいかもしれませんね。3年生になっても安心できる環境で楽しく過ごせること、私も応援していますね!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年11月16日早期療育を受けたいけれど断られ……療育迷子に!さて、前回のコラムでは、きいちゃんが生まれて間もなくの頃、ダウン症の子は早期療育が大事だと言われながらも、市役所に行っても「療育はお座りできるようになってから」と断られてしまい、いわゆる「療育迷子」になってしまったお話を書きました。ダウン症の子は、発達に定型発達の子の2倍時間がかかり、首の座りは平均半年、お座りは1年以上かかると言われています。その間、ずっと療育できないの?もしずっとお座りができなかったらどうするの?どうしたらいいの……!?!?と、途方に暮れてしまったものの、ここで負けてはいけない!きいちゃんのために何かしないと……!と奮起した私。Upload By 星きのこお国(市役所)がダメなら、民間じゃーーーい!!と、少しでもきいちゃんに発達にプラスになりそうなものは、お家療育から民間の赤ちゃんマッサージからカイロプラクティックなど、できる限りですがやりました。今思えば、正直、効いたかどうか怪しいなと思うものもありますが(汗)、その時は必死でした。市役所がダメなら、療育センターへ電話してみよう!そして、それでも不安な私はやっぱりちゃんと療育センターで療育を受けたいと思い、市役所がダメなら療育センターに電話してみよう!と、思い切って直接電話してみるという行動に出てしまいました……!市役所と同じように断られるかな……?と、ドキドキして電話をしましたが、なんとあっさり、「3か月後から始めましょう!」とお返事が……!よかった、本当によかった……!!Upload By 星きのこきいちゃん、生後6か月でようやく正式に療育センターで療育を受けられることになりました……!わりと私は「押してダメなら引いてみろ」の突撃タイプなのですが、とにもかくにも電話をしてみたという行動が功を奏したといえばそうなのかもしれません……。てゆーか、市役所のおじさんーーー!!お座りできなくても療育始められるんじゃないか!!と、心の中でつい毒づいてしまったのはここだけの話……(笑)。先輩ママからも聞いた話ですが、使える制度や補助があったとしても、その情報を役所のほうから教えてくれることはほぼないそうです……。自分から情報を取りにいったり、調べたりして初めてそんな制度があったのか……!と知るパターンも多いとか。私の場合は、親の会に入っていたおかげで、先輩ママさんたちから色んな情報を教えてもらってかなり助かりました。横の繋がりはかなり大事でありがたいなあと思ったことの一つです。無事療育開始!PT、OTは始まるも、STはNGに……結果、きいちゃんはPT(理学療法士。主に運動面を見てもらえる)は生後6か月から、OT(作業療法士。主に咀嚼や着替え、トイレなど生活全般を見てもらえる)は1才くらいから市の療育センターで始めることができました。ただ、ST(言語聴覚士。言語、音声機能を見てもらえる)を始めるにあたって、療育センターの医師から許可がおりなかったのです。「カタコトが話せないのでまだ早い」と言われました。そして、最後まで療育センターで訓練することはできませんでした……。「カタコトが出ないって、一生喋れなかったらどうするの……⁉」と不安にかられた私は、またも民間のSTさんを探し、民間で習うことに。Upload By 星きのこ早期療育の結果は?療育はきいちゃんだけでなく私のためでもあった!結果としては、きいちゃんは半年で首が座り、1歳くらいでお座り、2歳でようやくヨチヨチ歩けるようになりました。咀嚼は今も怪しい感はあるものの、お箸やスプーン、フォークで自分で食べることができています。言葉は5歳くらいから単語が出てくるようになり、小学生になってから劇的に言葉は増えました(と、いっても発音が悪いのでまだまだ宇宙語に聞こえたりしますが……汗)。療育をしなくても、きぃちゃんと同じダウン症でも1歳で歩けるようになる子もいますし、おしゃべりがすごく達者な子もいます。もちろんその逆パターンもありますし、ダウン症に限らずですが、発達は本当にその子その子で違います。きいちゃんは、周りのダウン症の子よりも少し発達が遅いほうだったのでつい比べてしまい、小学生になる前は私が勝手に落ち込んだり焦った日々もありますが、きいちゃんなりに成長を感じてくると、自然と周りと比べることも減ってきました(とはいえ、今でもとっても発達の早い子を見るといいなあ、お母さんはきっと楽だろうなあと羨ましくなってしまうのも本音です(笑))。Upload By 星きのこ今は市の療育センターは卒業し、療育に通う日はほぼなくなってしまったのですが、今振り返るときいちゃんと頑張った療育の日々はきいちゃんのためでもありましたが、私の精神的な支えや安定が大きかったと思います。障害を持って生まれてきたわが子のために、なんとか少しでも生きやすくしてあげたいーー療育を頑張るお母さんは、きっとそういう気持ちが心の根底にあると思います。時には頑張りすぎて親自身が疲れてしまう時もありますが、そんな時は少しくらいサボっても大丈夫。適度に息抜きしながら、無理なく頑張っていければいいですね。執筆/星きのこ(監修:鈴木先生より)療育の予算や人手の不足も影響があるのではないかと感じています。療育としてはOT/PT/ST以外に、MT(音楽療法)というのもあります。日本ではまだまだ馴染みが薄いようですが、私のクリニックでは月2回やっており、人気があります。私のクリニックのMTでは、感覚統合訓練も取り入れているのでバランス感覚も養えます。特別支援学校に通うお子さんたちは就学後もMTに通われており、一方的に卒業させられることはありません。就学すると事務的な問題などで療育を中止されてしまうケースも多いのですが、私のクリニックでは、MTを卒業するかどうかは本人と親と主治医との間で相談して決めています。一旦やめたとしても希望があればいつでも再開することができます。前の記事はこちらUpload By 星きのこ(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年11月15日息子の推しチームを探す旅に!?映画のモデルとなった父子へのインタビューをお届け!ドイツ本国で100万人動員の大ヒットを記録し、ハリウッドでのリメイク版制作も決定するなど、大きな反響を呼んでいる映画『ぼくとパパ、約束の週末(原題:Wochenendrebellen<週末の反逆者>)』が、11月15日(金)より公開されます。ASD(自閉スペクトラム症)と診断されている10歳のジェイソンは、ある日クラスメイトと喧嘩騒ぎを起こします。原因となったのは、好きなサッカーチームはどこか?ということ。サッカーに興味を持ったジェイソンは、父親のミルコと共に、自分の「推しチーム」を探すことを決意しますが、なんとそれは「毎週末、ドイツにある56チームすべてのスタジアムで現地観戦する」という方法で……!?今回は、本作のモデルで、今でもスタジアム巡りを続けているというジェイソン&ミルコ・ユターツェンカ親子へのインタビューをご紹介します。私たちにとって些細なことでも、ジェイソンにとってはすごく大事なことなんです(ミルコ)――映画『ぼくとパパ、約束の週末』は、お父さんのミルコさん、ASD(自閉スペクトラム症)の息子さんのジェイソンさんの実話がもとになっているそうですが、推しのサッカーチームを探すためにさまざまな場所に行くことで、どんな心境の変化がありましたか?ジェイソン・フォン・ユターツェンカ(以下ジェイソン):最初は、ただサッカースタジアムに行き、サッカーを観戦するということが楽しみで仕方がなかったんです。でも、実際に行ってみて、混雑のなかで警備の人やほかのサッカーファンの人に身体に触れられたり、急に大きな音を聞いたりするリスクを冒さなくてはいけないことを学んだんです。僕にとって、これは非常に嫌なことなんですが、回を重ねることでそれらのことに対してどうすればいいかが分かりましたし、どんなことが起きても驚くことが少なくなったんです。そう考えると、以前よりも自分の中で問題だと思っていたこと、大変だと思うことが少なくなったように思います。Upload By 発達ナビ編集部ミルコ・フォン・ユターツェンカ(以下ミルコ):私たちにとって些細なことでも、ジェイソンにとってはすごく大事なことなんです。そこの対立は数えきれないくらいあるので、それを映画にしようと思ったらものすごい年月がかかるくらいなんですよね。対決するたびに2人ともひどく傷つきますし、心が痛むんです。でも、そこから学ぶことも多いですし、ひとつの対立から立ち直り、それをいい経験にしようと考えるきっかけにもなるんです。私にその力を与えてくれたのはジェイソンでもありますし、ジェイソンの妹である娘、妻でもあるんですよね。家族から力をもらい、どんな対立があったとしても、その都度、元気をもらってきました。そう言えるのは、つらい体験だけでなく、素晴らしい体験もいっぱいしているからなんです。大変な電車での旅もしましたし、いまこうやってジェイソンが個人的に社会に貢献しようとしている姿を見ると、ものすごく心が潤いますし、あらためて、ジェイソンから力をもらっています。ーー映画化する際に、ミルコさんが一番大事にしたことを教えて下さい。ミルコ:映画化のお話を頂いたときに、重要だと思ったことは3つありました。1つ目は、内容が歪んで伝えられないこと。2つ目はジェイソンのキャラクターが正確に再現されること。そして3つ目は苦しむことを見せる映画ではなく、観てくれた方が楽しいと思える作品にするということでした。とくに2つ目のジェイソンのキャラクターでは、彼がどのような才能を持っているか、そして彼がこだわる“持続可能性”や環境に対する情熱、我慢できることとできないことなどを、しっかり正確に伝えることを大事にしてほしいと制作サイドに伝えました。――実際にスクリーンでジェイソンを見て、どう感じましたか?ジェイソン:僕が最初に見たシーンは、電車の中で食事をするシーンでした。劇中でジェイソンはパスタとソースがくっついてしまい、パニックになってしまうんです。そのシーンがあまりにも現実と同じで、僕自身、恥ずかしくなってしまうくらいで(苦笑)。でも、それくらい迫真の演技だったんです。ほかのシーンにはポジティブなシーンもありましたし、全体的に素晴らしいと思いました。なによりも、自分のキャラクターを、客観的にみることができたのも、すごく良い経験になりました。Upload By 発達ナビ編集部――映画では息子さんがパニックを起こした時に周りの人から理解を得られず、お父さんが葛藤しているシーンも描かれました。ミルコさんは、ジェイソンさんの障害をどのように受容してきたのでしょうか。ミルコ:僕がミルコの障害を受容できるようになったのは、ふたりで旅をし始めてからだと思います。僕も、妻もASD(自閉スペクトラム症)と向き合うのは初めてだったからこそ、最初は、間違った対応をたくさんしてしまいました。それこそ、パスタとソースが触れて、パニックになり、何も知らない周りの人達からいろいろ言われた時は、どうしていいか分からなかったんですよね。でも、今の私たちは、周りの言うことなどどうでもよく、ジェイソンがやりたいようにやらせてあげられるようになりました。というのも、ASD(自閉スペクトラム症)の人が、社会において、きちんとした立ち位置、居場所を得なければいけないと思っているので、その第一段階として、親である私たち夫婦が、ジェイソンそのものをまるっきり受容しなければいけないと思ったんです。その決意は確固たるものなので、その気持ちが揺らぐことはないですね。現在、大人になったジェイソンは自立し、遠い地域に離れて暮らしていますが、もし私たちの助けを求めているのなら、すぐに飛んで行って助けてあげたいと思っています。ジェイソン:こうやって助けてくれた両親がいることに、僕はすごく感謝しています。でも、ASD(自閉スペクトラム症)の人も1人の人間として、まっとうな権利をもっているからこそ、要求が満たされて生きる価値、自分が生きやすいように生きる権利があるんです。それに、お父さんは全部のサッカーを見て、推しのチームを決めることを約束してくれたので、その約束は守らなくちゃいけないから、そこは感謝というよりも、当たり前のことですよね。ミルコ:おいおいおい(笑)!長距離の会場まで付き合っているんだからそこは感謝してほしいんだけど(笑)!ジェイソン:あはは。――ジェイソンさんは、ASD(自閉スペクトラム症)の子どもたちに、どんなメッセージを伝えたいですか?ジェイソン:「君は今のままでいいんだよ」と伝えたいです。この言葉は、映画の中で祖父がジェイソンに向かって言うセリフなんです。これは私が今作のなかで一番大事なメッセージだと思うんですよね。ASD(自閉スぺクトラム症)の人は、自分を社会に適応させたり、自分を社会に適応させるために変える必要はまったくないと思うんです。だって、ASD(自閉スペクトラム症)であることは間違いではないですし、本人にとって負担、重荷であることはないんですよね。そこに適応ができないところに身を置くと、そう思ってしまうだけなんです。なので、当事者の方はもちろん、その家族の方々も、そのメッセージを受け取ってもらえたらうれしいです。(取材・文/吉田可奈)『ぼくとパパ、約束の週末』上映情報11月15日(金)より新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町ほか全国ロードショー監督:マルク・ローテムント(『5パーセントの奇跡噓から始まる素敵な人生』)出演:フロリアン・ダーヴィト・フィッツ(『100日間のシンプルライフ』)、セシリオ・アンドレセン、アイリン・テゼルほか(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年11月14日希望が通らなかった就学の判定。結果に納得できなかったわが家は……2歳の時、中度知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム)と診断を受けた息子がいます。現在10歳です。小学校入学前の息子は、ひらがなの読み書きができず、数字も3まで数えることが難しい状態でした。一方興味があるものにはとことんのめりこむタイプで、鉄棒と跳躍器具ばかりの毎日。興味がかなり限定されていました。学校見学をし、夫とも相談した結果、息子には特別支援学校が合っていると希望を出したのですが、結果は知的障害特別支援学級判定でした。納得がいかなかった私は、教育委員会との話し合いに臨みました。そんなわが家の就学の時の体験談をご紹介します。学校見学へ。授業が難しいと感じた特別支援学級、息子が笑顔で通うイメージが浮かんだ特別支援学校年長の1学期、まず地域の特別支援学級を見学しました。あくまで私の印象ですが、その時のクラスはどちらかというと息子のような特別支援学級か特別支援学校か迷っている人が選択する場所というよりは、『通常学級だと少し心配だから特別支援学級を選ぼうかという人が対象』なのかなと思うほど、授業が難しそうだったのです。また、その時の1年生が偶然にも幼い時から知っているお子さんばかり。みんな昔とは比べようもないほど言葉が増え、成長していました。今から7か月後、息子はこの教室でみんなと同じように授業を受けられるのだろうか……と考えると、どうしてもその教室にいる姿を想像できなかったのです。授業だけでなく、交流級の様子も見学しましたが、こちらも息子が参加するのは難しそうだと感じました。それに対して特別支援学校を見学した時は、すぐ息子が笑顔で教室に居られる姿を想像できました。息子は3歳から卒園まで児童発達支援に通っていたのですが、『いつもの児童発達支援の対象年齢が上がった場所』という印象だったのです。ここなら息子も嫌がらずに通える!と思い、わが家は特別支援学校を希望することにしました。ですがなんと結果は特別支援学級の判定だったのです。「どうして⁉」ととてもショックを受けました。Upload By ユーザー体験談判定は変わる?教育委員会の方との面談へ結果に納得がいかなかった私は教育委員会へ行き指導主事の方とお話をしました。しかし、「就学支援委員会が決めたことはどうにもなりません」というお返事でした。それでも何とかなりませんか?と相談したところ「判定をされた教育委員会の方と面談をセッティングします」と提案され、後日面談をすることになりました。※編集部注:基本的には就学先は市町村教育委員会が、本人・保護者に対し十分情報提供をしつつ、本人・保護者の意見を最大限尊重し決定しています。参考:2.就学相談・就学先決定の在り方について|文部科学省私は、(教育委員会の方と話すことで、もしかすると判定が変わるかもしれない)と希望を持って面談に行きました。ただ実際は私を安心させるための面談だったと思います。「(特別支援学級に通うことで)お母さんが不安に思っていることはどんなことですか?」という質問があり、不安なことをいくつか話しました。ひらがなが読めない、書けない、数を数えられない、興味があることが限定されている、興味がないことはやる気がないし、集中力も続かないなど……。あとは、言葉も2語文3語文程度しか話せないことも言いました。教育委員会の方は一つひとつの質問にきちんと答えてくれました。その後で「息子さんは教科書で勉強することは難しいと思います。でもこういうのもあるんですよ」とひらがなや数字が書いてある絵本を見せてくれました。文字より絵が多い特別支援学校向けの教科書があり、それを使うことができるということも教えてくれました。そして、「特別支援学級のほうが息子さんの成長に繋がるからこそこの判定だと思います。安心して地域の学校(特別支援学級)に通わせて下さい」と目を見てまっすぐ言われたのです。しっかり話を聞いてくれ、具体的な対応方法を聞けた私は(ここまで言われたのなら通わせるしかないのかもしれない。もし通えなくなったら転校も視野にいれてで特別支援学級に通わせてみようかな)と前向きな気持ちになれました。そして、息子は知的障害特別支援学級へ入級することになりました。Upload By ユーザー体験談知的障害特別支援学級に通って4年。良かった面と気になる面、そしてまだ尽きぬ悩み息子は、4年生になった現在も知的障害特別支援学級に通っています。この4年で息子には大きな変化がありました。なんといっても、入学前と比べて言葉がかなり増えました。学校で学んだことはもちろんですが、おしゃべりが上手なクラスのお友だちの影響が大きいと思います。先生が言っても言うことを聞かないのに、お友だちから言われると素直に聞けることがあるようです。入学前はほぼ大人とのやりとりで、大人が介入しないと子ども同士でやりとりはできなかったので、同じ年齢のお友だちと接することができるようになったというのも成長したなと思います。入学前は、(こんなに幼いと、クラスメイトから相手にされないんだろうな)と悪い方向に考えていたので、優しく接してくれるクラスのお友だちに感謝しています。息子もクラスのお友だちが大好きです。Upload By ユーザー体験談ただ、当初から懸念していた通り、学習面では特別支援学級のクラスのお友だちとはレベルが違います。学年が上がるにつれて、差はますます広がるばかりです。勉強だけでなく体育も個別授業になっているため、もしかしたら小学校在籍中に特別支援学校の判定が出るかもしれません。わが家は地域の中学校の特別支援学級、特別支援学校の中学校両方見学済みで、中学校では特別支援学校を考えているのですが、場合によっては中学生になる前に転校したほうが良いのかもしれないとも思っています。一方で、今の特別支援学級のお友だちはみんな息子によくしてくれ本人は喜んで通っているため、できれば小学校は今のクラスで卒業させたいとも思うのです。どちらが息子にとっていいのか、答えがでません。Upload By ユーザー体験談特別支援学級ではハードルが高く、希望していた特別支援学校では一日の勉強時間が30分と聞きました。特別支援学級よりはゆったりとしたペースで、特別支援学校よりはもう少し勉強時間が多い、着替えや排泄が自立していて言葉でコミュニケーションのとれる息子のような中度知的障害の子ども向けの教室(学校)があればいいなと、強く望んでいます。幸いなことに今は「楽しい」と言って学校に通ってくれている息子。これからも同じ気持ちで通ってもらいたい、そのためにどうすればいいのか考える日々です。イラスト/よしだエピソード提供/ゆきこ(監修:井上先生より)投稿者さんのお子さんのように知的障害が中程度の場合、知的障害特別支援学級か、特別支援学校か迷われている方は多いと思います。特別支援学校は複数担任制ですので、その面で安定感はあると思いますが、特別支援学級の場合は担任の先生の専門性や力量、クラスメイトの障害特性や相性、人数といった入級前には予測できない不確定要因もあるかもしれません。特別支援学級の場合、地域や学校による違いが大きいので、実際の授業を見たり、どの程度本人に合わせたカリキュラムを作ってもらえるかを事前に中学校と相談していくことが大切だと思います。一方、特別支援学校の場合は、中・軽度の知的障害のある生徒のためのクラスを作っている学校もありますので、こちらも実際に見学に行かれるといいと思います。ベストな選択を考えると悩ましいところですが、いずれの選択肢も合わなければ途中の進路変更も可能です。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年11月14日自閉症娘、中学でスマートフォン(スマホ)デビュー!どう使うか、親はしばらく様子見で…広汎性発達障害(ASD・自閉スペクトラム症)の娘は、中学2年生。中学に入ってから、スマートフォン(スマホ)デビューしました。スマートフォンを購入した時、使用ルールを決めたほうがいいか悩みましたが、娘がスマートフォンを、どう使うか分からなかったため、様子を見ることにしました。だんだんとスマートフォン(スマホ)を使う時間が増えていき、トラブルもスマートフォンを持ってすぐの頃の娘は、スマートフォンを持ち歩くことも、部屋に置くこともしないぐらい依存していませんでした。その様子を見て、私たちはとりあえずルールはつくらないことにしました。しかし、だんだんスマートフォンを使いこなせるようになると、スマートフォンで動画を見たり、ゲームで遊んだり、使う時間が増えていきました。それでも私たちは、宿題やお手伝いなどのやるべきことさえやれば、スマートフォンを使う時間を制限させたくないと思っていました。最初は、やるべきことをしっかりやっていたため、問題なかったのですが、そのうちに、宿題中にスマートフォンを見て、宿題がなかなか終わらず、泣き出したり……Upload By SAKURA私たちが呼んでいるのに気がつかなかったり……Upload By SAKURAお手伝いを頼むと、スマートフォンを見たいがため、嫌がるようになりました。Upload By SAKURA私たちは娘と話をすることにしました。Upload By SAKURAこの時、設けたルールは、①宿題が終わるまでスマートフォンは触らない。見ない。②スマートフォンは夜9時まで。②お手伝いを頼まれたら、すぐやる。でした。このルール決定後すぐ、中学校の試験期間に入りました。娘は中学校に入っても、勉強を頑張っていて、成績は悪くなかったので、私は娘の試験勉強のやり方に、うるさく言ったことはありませんでした。この時も、「頑張ってねー」と声をかける程度でした。試験終了後、返ってきたテストの点数を見て驚き!理由は…夜遅くまで机に向かう日もあったので、今回も頑張っているなーと思っていたのですが、試験終了後、返ってきたテストは、どの教科も今までで一番悪い点数でした。びっくりした気持ちもありましたが、「今回のテストは難しかったのかな?」と思い、夫に見せると……Upload By SAKURAなんと娘はルールをやぶり、夜の9時以降も、スマートフォンを触っていました。そして、それを見ていた夫。なぜ注意をしなかったか聞いてみると……Upload By SAKURA確かに今まで、私たちがいろんなことを注意しても、娘はすぐ言う通りにはしませんでした。いつも、実際に痛い目をみたり、自分でなぜそうしなければならないか、分かっていないとこちら側の助言を受け入れませんでした。私たちは娘を呼んで話をすることにしました。Upload By SAKURA最初は、スマートフォンを見ていたことを言わなかった娘でしたが、最終的には、ルールを破っていたことを認めました。Upload By SAKURA夫は、今回の成績を責めず、次につなげるように話しました。それから時間が経ち、やってきた次の試験。試験期間に入った時、私は娘に声をかけました。Upload By SAKURA娘はそれから、夜9時になったらリビングにスマートフォンを持ってきて、自分で箱に入れるようになりました。Upload By SAKURAスマートフォンが目に入らなくなってから、勉強がはかどるようになり、返ってきたテストの点数は前回より、上がっていました。Upload By SAKURA試験が終わってからも、娘は9時になったらリビングの箱にスマートフォンを入れに来ています。私たちは強制していませんが、自分で判断しています。スマートフォンを持ったことで、いろんなトラブルや心配も増えます。安全に使えるよう、ルールも必要ですが、そのルールを破ってしまうこともある。私が中学生の頃、スマートフォンはありませんでしたが、ルールをつい破ってしまうという経験はあるので、気持ちは分かります。あまりルールで縛りすぎると、自分で考えなくなってしまい、それも考えもの……。ある程度自由を与えつつ、失敗もさせ学んでもらい、本当に危ない時や困った時にその都度、様子を見て話し合いながら、見守りたいと思います。執筆/SAKURA(監修:井上先生より)スマートフォンを持たせたあとの使い方についての悩み相談は非常に多く、思春期の関わりにくさと合わさって時として深刻な問題になってしまうこともあります。あーさんのように自分の失敗体験から親の意見を受け入れ、どうしたらよいか自身で考えてうまくいくこともあれば、最初に与えたことが子どもにとっては既得権になりルールを作ることに対して大きな感情的な反発を招いてしまうこともあります。ルールの作り方は、体験させてから作るか最初から作るかが話題になりますが、正解がある訳ではありません。ただ、最も大切なことはルールを決める場合に子どもと親とがなぜルールが必要なのかその目的を共有し、話し合ってルールを作るということです。ここが最も難しいところです。親の立場からはついつい感情的になってしまいがちなことですが子どもの立場や視点も考えて話し合いができると良いと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年11月13日“いのち”の輝きを描く!『石村嘉成展 ~いのちの色たち~』兵庫県立美術館にて開催中(12月8日まで)Upload By 発達ナビニュース愛媛・岡山で約8万人を動員した話題の展覧会『石村嘉成展 ~いのちの色たち~』。現在、兵庫県立美術館にて12月8日(日)まで開催されています。石村嘉成さんは2歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。高校3年生の選択授業で版画に触れたことがきっかけで、2012年から作品制作に取り組むようになり、翌2013年には第2回新エコールドパリ浮世・絵展で優秀賞を受賞するなど、すぐに才能が開花。その独特な色彩とダイナミックな画風で、日本のみならず海外でも注目を集めています。今回の展覧会では、石村さんの代表作であり、全長26mの圧巻の大作「Animal History」をはじめ、新しいテーマに挑戦した意欲作など、約300点の作品が展示されています。10年間の制作活動の中で700点を超える作品を生み出し続けている石村さんですが、一番好きな作品は?と問われると、決まって「次に描く絵」と答えているそうです。石村さんご自身の持つ前向きなエネルギー、そして“いのち”への温かなまなざしが感じられる作品を、ぜひこの機会にご覧になってみてはいかがでしょうか。【詳細】石村嘉成展 ~いのちの色たち~会期:2024年12月8日(日)まで開館時間:10:00~18:00※最終入館は閉館の30分前休館日:月曜日※ただし祝休日の場合は開館、翌火曜日休館会場:兵庫県立美術館ギャラリー棟3階ギャラリー〒651-0073 兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1主催:読売テレビ、産経新聞社、キョードー関西共催:兵庫県立美術館後援:兵庫県、兵庫県教育委員会、神戸市、神戸市教育委員会、FM802、FM COCOLOお問合せ:キョードーインフォメーション0570-200-888(月~土11:00~18:00)※クリックすると、発達ナビのWebサイトから『石村嘉成展 ~いのちの色たち~』のWebサイトに遷移します。いざという時にあわてないために!『医療的ケア児・者の災害時支援について~日常の備えから災害時対応まで~』12月21日開催Upload By 発達ナビニュース医療的ケア児・者にとって、バギーや車椅子は日常的な移動手段であり、呼吸器などの医療機器も欠かすことのできないものです。そのため、大地震や台風などの災害が起きた場合、避難の際には多くの配慮を必要とします。12月21日(土)に、公益財団法人ひょうご子どもと家庭福祉財団が主催する講演『医療的ケア児・者の災害時支援について~日常の備えから災害時対応まで~』の講師を務めるのは、災害時支援をテーマに多くの講演を行っている医師の本田義信先生(いわき市医療センター)。東日本大震災で被災されたご経験などを踏まえて、被災した時のためにできる準備や、被災した際の対応について詳しくお話しくださいます。医療的ケア児・者に、どのような配慮が必要なのかを知り、いざという時に備えることができる機会です。オンラインでも見逃し配信の受講が可能とのことですので、ご興味のある方はぜひご参加ください。【詳細】日程:・現地参加:2024年12月21日(土)14:00〜16:00・見逃し配信:2024年12月23日(月)~2025年1月17日(金)※見逃し配信のみの受講も可能。見逃し配信の視聴方法については、現地開催後にメールにてURLを送付場所:兵庫県立のじぎく会館204号室住所:兵庫県神戸市中央区山本通4ー22ー15講師:本田義信 先生平成4年に福島県立医科大学小児科学講座大学院卒業後、いわき市立総合磐城共立病院(現いわき市医療センター)に就職。NICUにおいて、多くの新生児の治療に取り組む。また、外来フォローとして、障害のあるお子さんが地域で過ごしやすいように、学校等との連携を行っている。東日本大震災の際に病院で被災した経験等も踏まえて、災害時支援をテーマに講演を実施している。対象:医療的ケア児・者に関わる方定員:会場参加/35名見逃し配信/65名受講料:2,000円(税込)内容:・被災した時のためにできる準備について・被災した際の対応について・質疑応答ツール:Microsoft Teamsお申込方法:「こくちーずプロ」よりお申込みください。お申込締切:会場参加‐2024年12月12日(木)まで見逃し配信‐2025年1月15日(水)まで※クリックすると、発達ナビのWebサイトから「こくちーずプロ」のWebサイト(『医療的ケア児・者の災害時支援について~日常の備えから災害時対応まで~』申し込みページ)に遷移します。自閉症の少年と家族の成長を描いたドイツ映画『ぼくとパパ、約束の週末』11月15日より公開Upload By 発達ナビニュースASD(自閉スペクトラム症)の少年とその家族の物語をモデルにしたドイツ映画『僕とパパ、約束の週末(原題:Wochenendrebellen<週末の反逆者>)』が、11月15日(金)より公開されます。ASD(自閉スペクトラム症)と診断されている10歳のジェイソンは、宇宙に興味があり、知的好奇心が旺盛な男の子です。しかし、音や光についての過敏、こだわりが強く融通が効かない、他者の感情やまわりの空気を読めないなどの特性があり、学校や外出先では度々トラブルを起こしていました。ある日、クラスメイトから好きなサッカーチームを聞かれたジェイソンは、的外れな答えをしてからかわれ、喧嘩騒ぎを起こしてしまいます。しかし、そのことをきっかけに、ジェイソンは自分の「推しチーム」を探すことを決意。父親のミルコは、息子がサッカーに興味を持ったことを喜び、推しチーム探しに付き合うことを約束しますが、なんとジェイソンは「毎週末、ドイツにある56チームのスタジアムを巡り、全部の試合を見てから好きなチームを決める」と言い出して……!?周囲の無理解やジレンマに苦しみながらも、両親や祖父母はジェイソンの気持ちを尊重し、夢の実現を手助けしようと奮闘します。本作のモデルになった父子は、今でもスタジアム巡りを続けているそうです。ドイツでは100万人動員の大ヒットを記録し、『ワンダー君は太陽』の監督・脚本によるリメイク版制作も決定するなど、大きな反響を呼んでいる本作。発達障害のあるお子さんを育てている保護者にとって、共感するポイントがきっとあると思います。ぜひご家族でご覧になってはいかがでしょうか。【詳細】映画『ぼくとパパ、約束の週末』11月15日(金)より新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町ほか全国ロードショー監督:マルク・ローテムント(『5パーセントの奇跡噓から始まる素敵な人生』)出演:フロリアン・ダーヴィト・フィッツ(『100日間のシンプルライフ』)、セシリオ・アンドレセン、アイリン・テゼルほか※クリックすると、発達ナビのWebサイトから映画『ぼくとパパ、約束の週末』のWebサイトに遷移します。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年11月13日本人が安心し楽しく過ごせる場所発達障害のある私の娘は現在25歳。私は、娘が安心して楽しく過ごせる“居場所”をずっと探してきました。娘が小学生の頃にはまだ放課後等デイサービスがなかったので、娘は放課後の居場所として隔週で2時間程、近所の造形教室に通っていました。そこはフリースクールが主宰していて、不登校のお子さんも通っており、年齢もさまざまでした。毎回、制作のテーマはありましたが自由度が高く、時間の半分ぐらいは個々が好きなことをして過ごしていました。最初の1、2回は私も同伴しましたが、慣れてくると娘はひとりで通うようになりました。講師の先生は、子どもたちの大胆な発想や伸び伸びとした感性をいつも褒めてくれました。幼稚園の頃から絵を描くことが好きだった娘は、そこでは水を得た魚のようにイキイキとしていました。そこは娘にとって居心地がよい場所で、小学校卒業までこの造形教室に通いました。中学生になると娘は、障害児専門の塾に通い始めました(この塾はのちに放課後等デイサービスになりました)。また、基幹相談支援センター(地域活動ホーム)主催の余暇支援活動にも通い、料理やフラワーアレンジメントのほか、ネイルや化粧やヘアメイクなどもプログラムにも参加しました。高校生になってからは、同センター施設内のショートステイなども利用しました。社会人になってからは医師が主宰する“インターネットを活用した余暇支援活動”に参加しました。これらはすべて私が探し、事前に下調べをして娘に合っているかなどを確認してから参加していました。子どもに必要な福祉や支援の情報を調べること、伝えることの限界娘は高等特別支援学校卒業後、特例子会社(※)に就職しました。そして、親元から離れ、グループホームに入居することを自ら選びました。※特例子会社とは、障害のある人の雇用促進と雇用の安定化を図るために設立された会社のこと娘が選んだグループホームは県外だったため別の自治体管轄になり、福祉支援の担当者も変わりました。グループホーム入居後に、娘から余暇を過ごす場所について相談されたことがありました。一緒に暮らしていた高校生までは、私が娘に合いそうな居場所やコミュニティについて調べていましたが、娘が入ったグループホームのある地域の支援情報を私はほとんど知らなかったので「支援者の人に聞いてみて」としか言えず、親の私から支援の情報を伝えることの限界を感じました。娘はその後、多くの支援者の方のお世話になり、私がサポートしなくても余暇を過ごす場所やコミュニティにも出合うことができました。6年勤務した特例子会社を退職し、就労継続支援A型事業所(※)に転職しますが、そのときも相談支援センター相談員やハローワーク、ジョブコーチなどの支援者の方々がサポートしてくださいました。※障害や難病のある人が、雇用契約を結び支援を受けながら働くことができる障害福祉サービス大学のセミナー、とな⁉娘が就労継続支援A型事業所に転職してしばらくしたころ、「高校時代の恩師から、大学のセミナーに誘われた」と連絡がきました。娘が通っていた高等特別支援学校でお世話になったG先生が定年退職後、カレッジ型福祉サービスなどに携わり、障害のある子どもたちの支援に尽力されていることは知っていましたが、大学のセミナーに娘が誘われるなんて、私はびっくり仰天です。Upload By 荒木まち子私は、まずセミナーにかかる金銭面が心配でした。以前娘が特例子会社で働いていた頃、そこの先輩に『自分が興味あることを学びなおしたい』という理由で退職し、それまで働いたお金で専門学校に入学した方がいました。でも、娘にはそのような貯蓄はありません(むしろマイナス)。私は娘に「先生に、自分は他の同級生とは違って実家暮らしじゃないからお金に余裕がないけど大丈夫かどうかを聞いてね」と伝えました。恩師G先生その後、そのセミナーは障害のある若者と大学生が共に大学で学ぶための行政と大学の連携・協働を通じたインクルーシブ・プログラムであること、セミナー受講が無料であることなどが分かりました。社会人向けの生涯学習に近いものと知り、私はほっとしました。インクルーシブ生涯学習プログラム【夢をかなえるセンター】生涯学習:「みんな集まれ!大学で学ぶ楽しみ発見セミナー」の紹介「みんな集まれ!大学で学ぶ楽しみ発見セミナー」の紹介チラシ娘は高等特別支援学校卒業後、就職をしましたが、「大学に進学したい」という思いがあったことは察していました。また、娘は中学2年生まで通常学級で過ごしていたこともあり、“定型発達の人たちのコミュニティへの参加”をどこかで求めていたことも私は知っていました。そんな娘がこのプログラムに強い関心を持つのは当然でした。娘の卒業から7年が経ちますが、その間もG先生はずっと子どもたちのことを想い、彼らが活き活きと過ごせるような居場所を創り続けてくださっていたと知り私は胸が熱くなりました。新しいインクルーシブ・プロジェクトこのような取り組みをしている自治体や大学があることを、私は全く知りませんでした。G先生は「当事者と大学生がフラットな関係性の中で学べるようになることを願っています。インクルーシブ・プログラムは大学生にとってもかけがいのないものだと思います」とおっしゃっています。私もこの取り組みが全国に広がってスタンダードなものになってくれたら良いな、と思います。そして日本の従来のインクルーシブ・プログラムとは違う『障害のある当事者自身が己の意志を発信し、大学生たちも能動的・自主的に関わっていく』そんな“青年期のインクルーシブ・プロジェクト”が今後、社会にどのような変化をもたらすのか、今から楽しみでなりません。親として思うこと親は“子どものため”と思ってさまざまな情報収集をし、居場所を探します。親なきあとのことを心配して、就労先や住むところを探します。でも、その行動は果たして子ども本人が望んでいることなのか、本人はそこに幸せを感じているのか。実は一連の行動は“親自身の安心のため”なのではないか?子どもが成長するにつれ、いろいろと考えさせられます。高校生までは私が娘にとって必要であろう福祉や支援の情報を探してきましたが、今回のように娘自身が積極的に情報を探すようになってきたことを私はとてもうれしく思っています。それらは、親のフィルターを通さず、娘自らが望み、選んだ情報だからです。そして、そんな場を創ってくださる方々、サポートしてくれる人々に、私は感謝の気持ちでいっぱいです。執筆/荒木まち子(監修:井上先生より)勉強だけでなく、余暇や居場所づくりは幼児期から成人期まで継続的に必要なことです。成人期になって、自分でそういった場が選択できるようになったベースには、幼児期からの親御さんのご努力があったのだと思います。働く場所以外の交流の場は、親にとって心配な部分もありますが、信頼できる支援者の方たちのサポートがあることによって、本人も親御さんも安心して参加できる場所になっていると思います。先輩や友人との交流によって、自分の価値観や生活スタイルに広がりがでてくるとよいですね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年11月12日不安だらけの小学校生活。発達グレー息子は集団登校できる?しのくんは発達障害グレーゾーン 、6歳の男の子です。現在小学1年生で、通常学級に籍を置いています。しのくんは2歳まで発語がなく、身辺自立や運動面の発達もゆっくり。保育園での集団生活も苦手で、教室から脱走したり、行事に参加できなかったりすることもありました。しかし、 年長の頃には加配の先生が付かなくても過ごせるようになり、 成長を感じることも増えてきました。それでも、保育園とはがらりと変わる小学校生活。心配事は数えきれないほどたくさんありましたが、そのうちの一つは「しのくんが一人で歩いて登校できるのか?」ということでした。しのくんは小さい頃から多動傾向があり、道路への飛び出しなどの心配が絶えませんでした。そのため6歳になっても、道を歩く時には必ず手をつなぐようにしていました。しのくんが通う小学校は、集団登校をする決まりです。一応しのくんには、集団登校というものを説明して、みんなと一緒に行けるかどうか聞いてみましたが……。「えー?しのくん無理よ。ママついてきてよー」という自信なさげな答えが返ってきました。でも正直なところ、しのくんと同じかそれ以上に、親の私も集団登校に緊張していたのです……!Upload By keikoそのため私は、1年生のはじめから登下校に付き添うと決めていました。もしかすると仕事に間に合わないことがあるかも?と、しのくんが小学校へ通い出す前に、 職場にも息子の現状を報告して相談。幸い上司に理解があったので、もし遅刻しても気にしなくて大丈夫と言ってもらえました。一緒に働いているスタッフにも理解を示してもらって、ホッとしたのを覚えています。Upload By keikoいよいよ始まった集団登校。「みんなと一緒に歩いている!」と喜んだけれど……!?そして小学校が始まり、初めての集団登校。私はドキドキしながらしのくん達の列の後ろについて歩きました。しのくんはちゃんとみんなと一緒に歩いていて、すごい!と思ったのも束の間……。しのくんは歩くのが遅く、ほかの班に追いつかれてしまい、「もー遅いなぁ」と言われてしまいました。そんなことには全く気づいていない様子のしのくん。なので、私がしのくんに「早く歩こうね」と声掛けが必要な状況になりました。Upload By keiko集団登校が始まったばかりの頃は、ほかにもついていっている保護者も見かけましたが、1週間もすると一緒に登校する保護者はほとんどいなくなって、 私をいれて3名ほどになりました。ほかの子たちに「何でしのくんのママだけいるの?いつ一人で行くようになるの?」と言われてどう返せばいいか悩む時もあります……。一度、旗当番で私が一緒に登校できず、夫が付き添っていった日があったのですが、その時しのくんはシクシク泣きながら集合場所に行き、学校へ行ったと夫から聞きました。Upload By keiko入学から半年たった現在の様子は?しのくんと登校しはじめて半年以上経ちますが、現在も一緒に登校しています。相変わらず歩くのが遅くマイペースなので、ほかの子たちに遅れないように、今は私と手を繋いで歩いています。ゆくゆくはしのくん一人で登校できるようになってほしいなと思っていますが、まだ先は長そうです……。それでも、楽しく学校へ通えているならよし!と考えて、無理のないようしのくんに合わせていきたいと思います。執筆/keiko(監修:井上先生より)大きな荷物を持ち、上級生の子どもたちとペースを合わせながら交通ルールを守って集団登校するのは、子どもにとって大変な作業です。また保護者にとっても心配なところです。keikoさんのように、最初はスムーズに登校できるように、親御さんと一緒に登校する期間を長めに取られるのは、安全の上でも、ほかの児童とのトラブルを防ぐ上でも、よいことではないかなと思います。一般的には、親御さんが大丈夫と思った時点から少しずつスモールステップで離れていくのが基本になりますが、場合によっては、下校時から同様にして少しずつ一人下校のアプローチをしていくのもよいかと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年11月11日発達障害のある子どもに処方される漢方ってどのようなものがあるの?発達障害の特性があり、環境調整だけでは対応できない場合には、漢方薬を内服することもあります。漢方の特徴・基本的な考え方は以下のように記されています。古来に中国から伝わり、日本において発展してきた医学が漢方医学であり、後ほど西洋から日本に入ってきた蘭方(西洋医学)と区別するためにこの名前がつけられた。漢方薬は、漢方の考え方に沿うように、生薬が一定の規則によって組み合わせて構成されたものであり、処方全体としての適用性等、その性質からみて処方自体が一つの有効成分として独立したものという見方をすべきものである。漢方薬は、使用する人の体質や症状その他の状態に適した処方を既成の処方の中から選択して用いられる。引用:ⅩⅣ 漢方処方製剤・生薬製剤|厚生労働省今回は発達障害や特性のある子どもに処方されることの多い漢方薬と、発達障害に合併することもある起立性調節障害に使用される漢方薬をまとめて紹介します。「甘麦大棗湯(かんばくたいとうそう)」は心身の興奮を鎮める効果があり、自律神経の乱れ(いわゆる自律神経失調症)や癇癪に対しても用いられることがあります。不安からくる腹痛にも効果があり、強い不安が腹痛の要因となっている場合には甘麦大棗湯で症状が改善することがあります。・甘麦大棗湯の効果的な症状:癇癪、夜泣き、不眠、ひきつけ、不安からくる腹痛 など・甘麦大棗湯の副作用:手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばり、脱力感、筋肉痛 など柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)は、不眠や不安、ストレスによるイライラ、子どもの夜泣きなどがある際に用いられる漢方薬です。柴胡加竜骨牡蛎湯には身体の炎症を鎮める柴胡(さいこ)や気分を落ち着ける竜骨、牡蛎などが配合されています。・効果的な症状:不安、不眠、夜泣き、神経過敏、イライラ など・副作用:発疹、発赤・かゆみ、腹痛や下痢、胃の不快感 など抑肝散は神経の高ぶりを抑える効果があるといわれている漢方薬です。神経の高ぶりを抑えることで、不眠の改善にも効果があります。もともと子どもの夜泣きに使われていたことで知られていますが、現在では大人の精神的な症状に対しても使われています。・効果的な症状:不眠、夜泣き、神経過敏、イライラ、けいれん、手足の震え、ひきつけ など・副作用:発疹などの過敏症、食欲不振、胃部不快感、吐き気といった消化器の症状、倦怠感 など朝の起床困難、倦怠感、動悸、頭痛、立ちくらみ、失神などの症状が表れる疾患、「起立性調節障害」の治療にも漢方が処方される場合があります。起立時のめまいなどに漢方が効果があると言われています。・苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう): 立ちくらみやめまい、頭痛など・半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう):胃弱、頭痛、ふらつき、めまいなど・補中益気湯(ほちゅうえっきとう):疲労倦怠など・小建中湯(しょうけんちゅうとう):腹痛、疲労倦怠など・真武湯(しんぶとう):冷え性、胃腸虚弱、神経衰弱などその他、発達障害に処方される薬などの関連コラムはこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年11月10日どのグループにもイマイチなじめなかった高校時代私は当時、イケイケのギャルで構成されたグループに憧れを抱きつつも、そちらにはどうしても属せませんでした。学校での成績は学年トップクラスの優等生キャラ、しかも家の生活上の縛りが厳しいというか……、私が「不良」になんかなったら、当時から不安定だった母がどれほどの大騒ぎをするかと思うと、「不良になれなかった」のです。そんなわけで、おとなしい優等生で構成されたグループに属していましたが、私はそこでもちょっと浮いていました。グループの皆は決して目立った言動はせず、いつもおっとりしていて静か。一方で私は極端な性格。先生に口論はふっかける、グループの中で唯一スカートを超ミニにしたりして制服を着崩す、ギャル風に肌を焼く、高いテンションでゲラゲラ笑ったりおどけたりする。自分はこのグループでも何か異質だ、でもかといってほかに行けるところもない、という不安が常に心のどこかにありました。優等生グループからハブにされてキレたある日、その優等生グループの皆が、休みの日にこっそり私だけ抜きにして遊びに出かけていたことが発覚。私はその一件で、自分が実はグループの皆からかなり敬遠されていたことに初めて気づき、大きなショックを受けました。私はそこでキレて「私に文句があるならはっきり言えばいいのに、こそこそ私抜きで約束して出かけるなんて! なんて不誠実なの!」みたいに怒ったと思います。いま思えばこれは一種の癇癪ですね……。当時は理解していませんでしたが、彼女らは普段の学校内で私に冷たくすることも、排除しようとすることもしなかったわけです。おそらく彼女らは、よくよく考えて相談した結果「宇樹に何か苦言を呈しても過剰反応して手に負えなくなるだけで事態の改善は見込めなさそうだ。普段の友だち関係が破綻するだろう。かといって一緒に遊びに行くのも疲れるよね……」ということになって、苦肉の策をとったのだと思います。あれは彼女らなりの最大限の優しさと視野の広い熟慮による、バランスのとれた行動だったはずなのですが、私はそれに対して激怒してしまった。今は本当に彼女らに申し訳なかったと思っていますし、その一件を経ても私をグループから追い出さずにつきあいつづけてくれた彼女らにはとても感謝しています。取り合いにも気づかない。人間関係の機微に疎かったグループからは敬遠される一方で、2人のクラスメートが宇樹の取り合いをしていた、という一件もありました。なんだか変だなと思っていたのです。普段あまり感情を荒立てることのない、冷静な理系の優等生の子2人が、私の前でなんだかムキになって言い合いをすることが多くて。何?? と思っていたある日、別の子から「なんで気づかないの? あの2人、宇樹のこと取り合いしてるんだよ」とイライラした口調で言われ、アゴが外れるかと思うほどびっくりしました。聞くに、私を取り合いしていた2人は、「優等生だけど、まじめで無難な枠から外れられないし、文系的なセンスも特にない」ことにフラストレーションを感じていたらしい。宇樹は、理系分野のことにも強い関心があり、彼女らと難しい話もできる。かつ型にはまらずエキセントリックで、校内誌に文章を投稿してファンがついたり、作文コンテストで賞を取ったりするなど、文芸のセンスもある……そういうわけで、私に憧れみたいなものを感じて、2人でどっちが私の関心を引けるか競っていたようなのです……。今となってはまあ、彼女らの立場になって考えればそんなこともあるかもなとも思うのですが、ともかくびっくりしました。なにせ、人間関係の機微に疎い。他者が相手に向ける感情に、良きにつけ悪きにつけ気づかない。優等生グループの皆から敬遠されていたのにも気づかなかったように、憧れを向けられて取り合いされていたのにも気づかなかったのですね。1対1の関係でも不器用さを発揮1対1の関係となると、やたらとどっぷり仲良くなる子がたまにいたのですが、いま思えばどの子も、多少なり生き方の不器用さみたいなものを抱えていて、共依存的な関係性になっていたと思います。一方で、ごくたまに、というか、小学校から大学まで考えて1人しかいないのですが、いわゆる陽キャで、笑いのセンスが素晴らしく、成績もよくてバランスのとれた子と、お互いに「大好き!」となることもありました。授業中に面白いボケを書いたメモを渡し合って、必死に震えながら笑いをこらえたりして、楽しかったなあ。いま思えば、この子は私の能力も性格も含め、私の良いところに惚れ込んでくれて、私のバランスの悪さも丸ごと許せるぐらいに好きになってくれたのだと思います。私は私で彼女に惚れ込んでいました。折り合いが悪いグループへの間違った接し方クラスに、いつも私には笑いどころのわからない内輪ノリでものすごく盛り上がり、大きな声でゲラゲラ笑ったり騒いだりしているグループがいました。私には当時自覚はなかったものの聴覚過敏があったので、頭にガンガン響いて不快で耐えられず、「何が面白いのかわかんない。うるさいんだけど。ちょっと静かにしてくれる?」と繰り返し言い放っていました。私にとっては事実を言っただけでしたが、こうした言い方が一般的には悪意のある攻撃ととられることがほとんどであることを、当時の私は知りませんでした。大学に進んである留学プログラムに参加したとき、本当にたまたまなのですが、上記のグループのサブボスだった子が別の学部から参加していました。そしてなんと彼女は、2週間の共同生活中ずっと、ほかの彼女のゼミ仲間(当然、私と彼女の間のことには無関係)を巻き込んで執拗な嫌がらせをしてきたのです。私にとってはまったく意味がわからず、理不尽きわまりないこと。お決まりの理詰めの大喧嘩で応酬したのですが、あまりの動揺と怒りに動悸がしてゼイゼイ息切れがしてきて、私の味方をしてくれたメンバーに背中をさすってもらったりしたのを覚えています。30歳を過ぎてASD(自閉スペクトラム症)の診断を受け、高校時代の自分の言動の何が間違っていたのかを知って理解しました。あの嫌がらせは、私が彼女にした「嫌がらせ」への「仕返し」だったのだと……。振り返って反省ばかり今の知識経験、自分や他者への理解度を持った状態で、高校時代をやり直したいと思うことがあります。当時の私にとっては、世界も他者もみんな敵で、世の中というのは自分の居場所のない冷たい場所でした。でも、30歳を過ぎてASD(自閉スペクトラム症)の診断を受け、ASD(自閉スペクトラム症)や定型発達について必死に学びつつ、トラウマ治療も受けてきた今になっては、当時の私の考え方はあまりに極端だったと思います。クラスメートにはたくさん嫌な思いをさせてしまったと思うし、自分も不必要な傷を負いました。でも、時代も時代だったし、仕方なかったかな。そう思うと少し気が楽ではありますが、ある意味、余計に悲しかったりします。今は友人に恵まれている今は、数は少ないものの、深く理解しあい、互いに高めあえる友人に恵まれています。やはりこの実現に最も大きく寄与したのはASD(自閉スペクトラム症)の診断で、次につらい環境からの脱出とトラウマ治療です。さらにここ1年ほどは言語学や発達心理学を学んだことで、定型発達の人のコミュニケーションのしかたについても深く網羅的に学ぶことができ、定型発達の人たちとも広く浅く、楽しくつきあえる場面も増えてきました。よい友人関係を作り、維持するには、何よりも自己理解、そして仕上げとして他者理解が不可欠だと感じます。長い道のりでしたが、これは歩むに値する道だったと、今は思っています。文/宇樹義子(監修・鈴木先生より)特に成績が優秀な高機能のASDの方は人間関係や感覚過敏で悩むことが多いようです。テストの成績が良いため、何か問題があっても見過ごされてしまうことも多く、周囲からは何ら病的には感じられていないのです。私のクリニックでは社会人になって初めて神経発達症を疑って相談してくるケースが増えています。SNSなどを見て自分でそうではないかと疑って来院してきます。親御さんも同じASD系統のこともあるため、今まで誰にも相談してこなかったり、その後精神科で相談しても成績が良くて大学を出ているから問題ないと言われたりといった「大人になってしまったASD」の患者さんたちなのです。その裏には実はADHDもあり、受診することでようやく治療にこぎつけられています。小児科に通っている時期に早期介入していればその後の人生が少しは良くなったのかもしれません。ただ、小児科も神経発達症専門でなければ気づかれないことも多いのです。高校生になるとどこに相談したらいいかもわからなくなります。日本では思春期外来という看板はほぼ見当たりません。人生のどこかで気づき、診断されることで初めて過去のさまざまな問題が自分の中で解決できればいいのではないでしょうか。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年11月09日発語がない娘。私は1歳3か月の頃から「何か障害があるのではないか?」と思い……現在20歳の娘は、3歳8か月で軽度知的障害を伴うASD(自閉スペクトラム症/当時は広汎性発達障害)と診断されました。娘は注意力散漫な面があるとともに、なにかにつまずくとひどく落ち込んでしまうところがあります。でも素直で真面目な性格で、愛嬌があるかわいい子です。今は穏やかな日々を過ごすことができていますが、それは3歳後半から通い出した児童発達支援のおかげだと思っています。なかなか発語らしいものが出なかった娘。私は娘が1歳3か月の頃から「何か障害があるのではないか」と思っていました。ですが、健診で指摘を受けることなく、そのまま幼稚園へ入園。その後さまざまなトラブルが起こるようになったのです。Upload By ユーザー体験談入園後間もなく加配が。年少クラスと未就園児クラスへ半々に通うように娘は発語がないだけでなく、じっとしていることができませんでした。椅子に数分と座っていられませんでしたから、ほかのお子さんたちと同じように行動することはとても難しい状況だったようです。まだ診断はありませんでしたが、3歳から入園して間もなく娘に加配の先生がついてくださるようになりました。そして、園と保護者で相談をし、娘に園に早く慣れてもらうために、登園は午前中のみ、1週間のうち3日は在籍している年少クラスへ、残りの2日は未就園児クラスへ通うことになりました。障害や特性のある子どもに対して理解のある園だったので、柔軟に対応してくださったのだと思います。その後、娘はなんとか幼稚園に通っていたのですが、相変わらず話すことはありませんでした。ある日、加配の先生、担任の先生、副園長先生たちから「娘ちゃんはお話しをしません。保健センターへ相談してみませんか」と提案いただきました。ショックはありませんでした。ずっと一人で娘の障害を疑っていましたが、他人からの指摘に「やっぱり……!」と確信を持った瞬間でした。私は、市の保健センターへ相談へ向かいました。Upload By ユーザー体験談居住地に療育センターがない!往復2時間半かけて隣の市まで通う日々市の保健センターでは、臨床心理士さんと娘、私で何度か面談をし、検査が行われました。やはり娘はASD(自閉スペクトラム症)だと思われる面が多いと指摘され、児童発達支援へつながることになりました。ただ当時、私が住んでいる地域には療育センターがなかったのです。臨床心理士さんに探していただいたところ、ありがたいことに隣の市の療育センターが受け入れてくれることになりました。さっそく紹介状を書いていただき、娘は隣の市の施設へ月2回通うことになりました。保健センターへの相談からここまでは約1か月半という、かなりスピーディな展開でした。ただ、隣市の療育センターまでは往復で2時間半!月2回といえども、最初は私も娘も、精神的、体力的にきつく大変でした。※当時は療育センターという名称でしたが現在は「児童発達支援事業所」「児童発達支援センター」などに変更されています。参考:児童福祉法等の一部を改正する法律(令和4年法律第6 6号)の概要|こども家庭庁児童発達支援での刺激は、娘の成長の種に距離は遠かったですが、3歳後半から満6歳になる就学前ギリギリまで、2年6か月ほど療育センターに通って本当に良かったと感じています。児童発達支援を始めるようになってからも、教室から飛び出す場面はありましたが、娘をみて下さった心理士さんは丁寧に対応してくれ、落ち着いてみんなと同じ行動が取れる場面が少しずつ増えていきました。ずっと同じ心理士さんに見ていただけたのも、安心材料でした。それまで娘の世界は家庭と幼稚園のみでしたが、療育センターという居場所ができ、そこで適切な関わり方をしていただけると、ある瞬間ぐっと成長することに気づきました。適切な他者からの刺激はこんなにも子どもを伸ばしてくれるのかと驚きました。さまざまなことを教えてもらい、それを娘は自分のペースで吸収していったようです。Upload By ユーザー体験談幼稚園、療育センターの方と相談し、年中時は年少クラス、年長時はからは年中クラスのみに通いましたが、卒園については「大丈夫!」とお墨付きをもらい、娘と同級生の年長さんたちと一緒に卒園できました。そこには入園当時トラブル続きだったのが嘘のように成長した娘がいました。児童発達支援での時間があったからこそ、現在の穏やかな日々がある大人になった今、じっとしていられないということはありません。たまに噛み合わないこともありますが、会話も問題なく続けることができ、職場の人たちとの関係も良好です。児童発達支援での時間があったからこそ、現在の穏やかな日々があるんだなあと実感しています。ただ、働くようになりお金の管理もだいぶできるようになりましたが、料理や洗濯などはまだまだ……。でも、今のように明るく過ごしてくれれば、それでいいかなとも思います。親なきあとのことは心配ではありますが、これからもさまざまな刺激の中、娘のペースで成長して人生を楽しんでもらえればと思います。Upload By ユーザー体験談イラスト/星あかりエピソード参考/S.K(コメント:井上先生より)お子さんが成人期の今、幼児期を振り返るとその当時悩んでいたことや受けて良かった支援、反省点など、いろいろな思いがあるでしょう。発語の遅れなどに悩まれていた幼児期、療育センターに早期につながり、お子さんに合ったプログラムを受けることによって少しずつ成長を感じられるようになられたのですね。幼稚園と専門機関を並行して活用する並行通園は当時からありましたが、通われていた療育センターと在籍園との連携はとてもうまくいっていたのではないでしょうか。幼児期に親子を支えるさまざまな地域機関が互いに連携できることも大切だと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年11月08日大暴れのピーク!魔の(?)小学5年生小5になるとコチ丸は家で過ごすことが多くなっていたのですが、それでもたまに学校に行くと、何かしら事件を起こしては呼び出されました。私としては家にいてくれたほうが安心なくらいでしたが(笑)、コチ丸もどこかでは外と繋がっていなくてはという意識があったのか、完全に不登校になるということはなかったので、私もコチ丸の自由登校を尊重していました。以前のコラムに書いた、卒業式をすっかり自分のものにしてしまった事件、学校で先生が集めた葉っぱに火をつけて起こしたボヤ騒ぎ、掃除をしないコチ丸に注意した女の子に怪我をさせたことなどはほぼこの頃に起こしたものです。ボヤ騒ぎの時には「子どものいたずらでは済みませんよ」と学校から言われ、真剣に頭を悩ませました。なんと家でもお仏壇に置かれているマッチに火をつけて遊んでいて焦ったと祖父も証言しており(!)、当時は家中の火をつける物を隠しまくっていました。女の子に怪我をさせたと聞いた時にはさすがにコチ丸を強く叱り、女の子のお家にも謝罪の電話をしてなんとか許していただけました。私自身が逃げ出したくなるようなことが日々起こり、頭を下げまくることばかりでしたが、「どんな時でも馬鹿正直な姿をコチ丸に見せよう、そうしたらコチ丸には大事なことはいつか伝わる」と自分の中で決めていたのと、母子家庭だったので社会で通じる姿を父親代わりに見せていかなくてはという気持ちで乗り越えてこられました。まさかの単三電池を丸呑み事件小6のはじめに、コチ丸が「ドラムをやりたい」と言い出しました。音楽の先生に「打楽器の才能があるのでは?」と言われてその気になったようでした。(おそらく)根拠もなくちょっとした話の流れで言われただけのことだったのだと思いますが、私も若い頃にバンドをやっていて音楽が好きだったこともあり、本人が言い出したことならとドラムを習うことにしました。忘れもしない、体験レッスンを申し込んでいた前々日の夜。コチ丸が不意に私に「電池って飲んだらどうなる?」と聞くので「いや、死ぬんじゃないの?」とテレビを見ながら安易に回答をしたところ、コチ丸が「電池飲んじゃった」と言い出すではないですかー(大汗)。それも単3電池、うっかり飲み込むには結構な大きさです。慌てて緊急外来に車を走らせました。最初、医師ですら半信半疑で、「一応レントゲン撮ってみますけど……」という感じでしたが、レントゲンを撮ってみると体内にしっかりと電池が入っておりました。Upload By あき急いで内視鏡で取り出す処置をとることになりましたが、その日は食後すぐだったこともあり、食べたもので喉を詰まらせる可能性もあるため、取り出しを断念し、入院することに。そこで丸2日飲まず食わずで胃が空っぽになった状態で再度内視鏡を試してみて、ダメだった時は開腹手術を行うことになりました。体の中に電池が入っているなんて……とコチ丸の絶食期間中は生きた心地がしませんでした。それから2日間、状況が急変するということもなく、少しだけ落ち着きを取り戻してきたとき、「そういえばドラムの体験レッスンの日だった!」と思い出しました。電話でレッスン延期をお願いするはずが、なぜか私が体験レッスンを受けることになり、息子が病室で絶食生活に苦しんでいる中、私は自分が習う予定でもないドラムを叩くというカオスな体験をしました。電池は2回目の内視鏡で無事に取ることができました。「ご飯食べられるよ、良かったね」と言った私に、麻酔が切れてまだ呂律が回らない中、コチ丸の第一声が「はくはい(白米)?」だったのを聞いて、よっぽどお腹が減っていたんだなと思いました(笑)。コチ丸は小6になってもなんでも口に入れる癖があって、当時よく注意をしていたのですが聞く耳持たずでした……が、流石にこの件で口に物を入れることはなくなりました。ものすごいリスクを伴いましたが、やはり「身をもって知る」って大事なんだなとしみじみ思いました……。また、この緊急事態に私になぜかドラムを叩かせてくれたちょっと天然(?)なドラムの先生は、コチ丸とウマがあい、コチ丸は高校進学で地元を離れるまでドラムを習い続けました。とても穏やかで、できないことを無理にやらせるようなことはしない先生で、「やりたいことをトコトンやらせる」というわが家の方針に近かったような気がします。良い先生に巡り会えたことに感謝です。中学・高校生活で、ドラムはコチ丸の特技になり、武器になりました。バンドをやりたい時には大体ドラムが足りないため(笑)、重宝されているようです。ドラムを通して「誰かに必要とされること」に喜びを感じたようで、自信と自分の居場所を持つことができました。Upload By あき私立中学を受験!決め手をくれた奇跡的な縁同じく小6のはじめ頃、担任の先生との面談で「学習面もだいぶ遅れているし、授業も受けられないので中学からは特別支援学級に入ってほしい」と言われました。そこから私のコチ丸の居場所探しが始まりました。私は、中学校の特別支援学級はコチ丸には合わないだろうと考えていました。そして、コチ丸は自分に合った場所に行けば必ず化けるはず、という根拠のない自信(笑)がありました。しかし、今の時代に果たしてそんな選択肢は存在するのか……?日々ネットで民間のフリースクールや学習施設などを探していました。私はどれだけ費用がかかっても良いから、コチ丸がいつか高校や大学に行きたいと思った時にその道に戻れるよう、中学を卒業したという証明がもらえる学校が良いなと思っていました。私立中学校も早い段階から検討はしましたが、担任が言うように、学習面は小3くらいで止まっているので、なかなか難しいことも承知していました。その中で見つけたのが不登校特例校(現在は「学びの多様化学校」と呼ばれています)に指定された、ある私立中学校でした。しかし初めて聞く「不登校特例校」という言葉や、私が知っている一般的な私立中学校とはどこか違う雰囲気が伝わってくるWebサイトを見て、「ここで良いのか?」という思いがぬぐえませんでした。Upload By あき悩んでいたところに、私の会社のスタッフの知り合いで、小学校の元校長で不登校児の支援活動をされている方に偶然出会い、相談をさせていただく機会がありました。さらに偶然は続き、その方は、私が進学先として悩んでいた不登校特例校の校長先生とお知り合いでした。その方の後押しもあり、コチ丸と私はすぐに学校見学を申し込み、コチ丸も興味を持ったので毎月のように体験入学に通いました。年末、コチ丸本人にも現状を正直に伝えました。「学校の先生からは地元の中学校の特別支援学級への進学を勧められている」「中学受験は失敗する可能性もある」という話と、それぞれのメリットデメリット、そしてもし私立へ行くなら、ひとり親の家計にはとても苦しい選択だから、コチ丸も責任を持って通ってほしいということ……。コチ丸に自覚を持ってほしくてそんなふうに伝えましたが、私の中では、もし合格して通ってみてダメだったとしても、それは受け止めようという覚悟もしていました。最終的にコチ丸は、中学受験を自分で選びました。試験は、小4程度の国語・算数の学力テストと親子面談でした。コチ丸は市販のドリルを使って小4までの勉強はなんとか学び、面接の練習も行い、コロナが始まりつつあった年、希望した私立中学校に合格を決めました。そして迎えた小学校の卒業式。コチ丸の通っていた小学校は進学する中学校の制服を着て卒業式に出るのですが、一人違う制服を着たコチ丸がいました。周りの友達と楽しそうに写真を撮っているコチ丸を見て、彼なりの距離感で、この小学校でも自分の居場所をつくって生活していたのだなと感じました。大変な小学校時代でしたが、振り返ると頑張ったな、戦ったな(笑)、と思っています。コチ丸もまた、この時期があったからこそ、今自分がいる場所の大切さを知り、「もうあの頃には後戻りしない」と、学校に通い続ける強さを手に入れたのかもしれません。Upload By あき執筆/あき(監修:井上先生より)小学校時代のコチ丸さんのさまざまなトラブルから、親御さんもかなり悩まれて、コチ丸さんにあった中学の進路を決断されたのだと思います。お聞かせいただいたエピソードから、学力的な部分だけでなく、コチ丸さんの得意なこと(ドラムなど)があったことも、本人の自信や集団の中での積極性、学校に通い続ける強さなどに影響したのだと感じました。子育ての中では子どもの苦手なことについ注目しがちですが、あきさんが意識されていたように、強みの部分を伸ばしていくことが、良い結果に繋がっているように思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年11月07日子どもの腹痛のさまざまな原因。ストレスが原因の場合もある?子どもが「お腹が痛い」と訴えてきたときに、詳しい症状や原因が分からず困ったという方も多いと思います。子どもの腹痛にはさまざまな原因があり、それぞれに対処法も異なってきます。原因として多いものは便秘、食べ物による食あたりや消化不良、胃腸炎、風邪、急性虫垂炎、ストレスなどがあります。今回はその中でもストレスや緊張、不安感がきっかけとなる過敏性腸症候群について解説していきます。「子どものお腹の悩み」アンケート 結果は?発達ナビでは「子どものお腹の悩み」のアンケートを実施しました。「子どもがストレスや緊張などの理由からお腹を下したことがある」を選んだ方が54%と、半数以上の方が子どものストレス性の腹痛を経験している結果となりました。Upload By 発達障害のキホン参考:みんなのアンケート「子どものお腹の悩み」寄せられたコメントも紹介します。当事者です。私はもちろん緊張でお腹下すこともありました。(校外学習前後は特に酷かった。見学場所によっては現地でお手洗い借りて5分ほど籠るなんてザラ。5年になってピタッと止んだ)(Zeroさん)心因性の腹痛の症状、対処方法は?もしかして過敏性腸症候群?何らかの原因でストレスが強くなると、ホルモンや自律神経、免疫などに影響が生じ、そのことで身体にもさまざまな症状が表れてきます。その中でも腹痛に関連する疾患として、過敏性腸症候群があります。過敏性腸症候群とは腹痛とともに下痢や便秘、ガスがたまるなどの症状が表れる消化器官の疾患のことです。英語では「Irritable bowel syndrome」と記載し、略して「IBS」と呼ばれることもあります。過敏性腸症候群は身体的な要因と精神的な要因が関係して、消化管が刺激に対して敏感になっている状態と考えられていますが、原因はまだはっきりとは分かっていません。過敏性腸症候群の有病率は中学生で2~5%、高校生で5~9%と言われており、児童・思春期の代表的な消化管疾患として知られています。下痢などの身体症状により行動に制限が生じるとともに、頻繁にトイレに行くことに引け目を感じるなどの精神的な負担も生じ、学生の場合は不登校につながる可能性もあります。また、ストレスや緊張などで症状が悪化することもあり、そのためにさらに外出がしづらくなる場合もあります。厚生労働省のWebサイトでは以下のように記載されています。過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome:IBS)は、大腸の正常な機能を妨げる慢性疾患です。症状としては、腹痛、腹部疝痛(痙攣)、腹部膨満感、便秘、下痢などがあります。IBS患者の多くは、症状を軽減するために補完療法に頼ることがあり、そして、これらのアプローチの中には、いくらか有用である可能性を示す新たなエビデンス(科学的根拠)も出てきています。引用:過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome:IBS)と補完療法について知っておくべき7つのこと|厚生労働省 eJIMまた、過敏性腸症候群は次のように診断基準が定められています。過敏性腸症候群の診断は、ローマ基準に従って、過去3カ月間に少なくとも週1回の頻度で腹痛がみられ、かつ以下の基準の2つ以上に該当する場合に下されます。・排便に関連した痛みがある。・痛みが排便回数の変化(便秘または下痢)に連動している。・痛みが便の硬さの変化に連動している。引用:過敏性腸症候群(IBS)|MSDマニュアル家庭版過敏性腸症候群に似た症状の疾患は複数あるため、子どもが上記の基準に当てはまっても、自己判断せずに消化器内科や小児科などで医師の診察を受けることが大切です。過敏性腸症候群の治療では薬物療法のほかに、食生活の改善、精神療法などが行われます。薬物療法では腹痛緩和のために抗コリン薬が用いられることが多く、ほかにも下痢や便秘など過敏性腸症候群の症状に応じて適した薬が処方されます。また、痛みや精神的な症状の緩和のために抗うつ薬が用いられ、薬物療法の効果が低い場合には認知行動療法、催眠療法などを行う場合もあります。食生活の改善も症状やその人の体質に応じて適した対応を行います。一回の食事の量を減らして食べる回数を増やし、ゆっくりと食事をするようにすると改善する人が多い傾向にあります。また、負担となる食べ物を減らす方法もあります。乳糖不耐性の人は乳製品を避けたり、ガスがたまりやすい人は豆やキャベツなど消化しにくいものを避けたりするなど、症状や体質を考慮して食生活を改善を行います。Upload By 発達障害のキホン参考:過敏性腸症候群(IBS)|MSDマニュアル家庭版参考:宮本信也,星加明徳,生野照子,平山清武,斉藤万比古「小児心身症についての調査(Ⅱ)-過敏性腸症候群と判断された症例のまとめ-」|国立保健医療科学院ホームページ発達障害と心因性の腹痛・過敏性腸症候群は関係あるの?自家中毒についてもASD(自閉スペクトラム症)の子どもは過敏性腸症候群などの消化器症状を併発することが多いと言われています。必ず併発するわけではありませんが、「もともとの身体過敏性」「不適応からくる身体化症状」「こだわりによる身体症状への固着」などの特性から身体症状が長引く可能性が高いことも原因だと考えられています。また、ストレスから腹痛が生じる疾患として自家中毒も考えられます。自家中毒とは現在では周期性嘔吐症などと呼ばれていて、1歳半から8歳くらいまでの子どもに、嘔吐や腹痛、頭痛などの症状が表れる疾患のことです。行事や習い事の発表会などでの不安や緊張によるストレスがきっかけで発症することもあると言われています。過過敏性腸症候群・自家中毒のどちらもストレスがきっかけとなり発症することがある疾患で、日常生活や集団活動に影響が出るため、医療機関を受診するとともに子どもの特性や困り事に合わせた発達支援や環境調整などの対策をしていくことが重要です。参考:藤井 智香子, 岡田 あゆみ, 重安 良恵, 塚原 宏一著「小児科で経験する過敏性腸症候群の特徴」心身医学61 巻 (2021) 1 号 p. 57-63参考:過敏性腸症候群(IBS)|MDSマニュアル家庭版発達障害のある子どもの過敏性腸症候群はストレスを軽減するために環境調整や発達支援などを行いましょう子どもの慢性的な腹痛として過敏性腸症候群があります。不安や緊張などストレスを感じると症状が悪化することもあり、不登校など学校生活に影響が出ることも考えられます。過敏性腸症候群の治療法として薬物療法や食生活の改善とともに、カウンセリングなどの精神療法が用いられることがあります。発達障害のある子どもはストレスを感じやすい場合が多く、そのことが過敏性腸症候群につながる可能性もあります。ストレスによる心身の不調は過敏性腸症候群以外にもあるため、医療機関の治療とともに、ストレスを軽減するために発達支援や環境調整などを行っていくと良いでしょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年11月06日通信制高校の専願入試準備と、体育祭の練習ASD(自閉スペクトラム症)の太郎は、通信制高校の専願入試を受けることになった。専願入試では、願書作成と作文が必要になる。作文は事前にテーマが決められていて、面接時までに指定枚数分を書いておかなければいけない。作文は太郎の苦手とする分野であるため、間違いなくストレスを大きく感じるだろうと思った。そしてこの受験準備に体育祭の練習がきれいに重なった。太郎は体育祭の練習が始まると、すぐに自宅で異変が表れた。食事中にえずいたり、表情が強ばったり、口数が減ったりしていた。太郎の苦手なことに対する拒否反応のサインは幼い頃から続いている。保育園時代は声が一時出なくなったりもした。小学生時は嘔吐や体調不良になった。中学1年次も吐き気がすると言い保健室で過ごしたりもした。昨年の中学2年生時は学校へは行ったが、体育祭までは毎日のようにうつ向いて歩いて活気もなくなっていた。なので今回の異変にも直ぐに「体育祭と直結しているな」と思った。Upload By まゆん私は、太郎がストレスを抱えていることは100も承知だったが、あえてそのストレスに対しての直接的な声かけはせず、「どうしたの?」「 大丈夫?」という間接的な声かけにとどめた。最近は太郎自らがヘルプを出せるようになっていたからである。体育祭の練習が始まって2日目くらいの出来事だった。朝は私のほうが太郎よりも先に仕事へ行く。「行ってきます」と言うと、太郎は少し元気なく「行ってらっしゃい」と言った。しばらく車を走らせるとまだ家に居る太郎からメッセージがきた。Upload By まゆん言葉で表せんのかい!!っと心の中で突っ込みつつも、仕方ない、ようやくヘルプがきたな、と直ぐに電話をした。「どうしたの?」「きつい」「何がきついの?身体?心?」「分からない、学校に行きたくない」「そうか、理由はあとで聞こう。休みの連絡しておくから休むといいよ」「うん。ありがと」ここからが始まりだった。1度休むことを良しとしたあと、太郎は学校へ行かなくなった。夜になると私の周りをウロウロとして「明日はどうしよう」と話し始める。「体育祭が終わるまでは学校へ行かない」太郎の固い意志Upload By まゆん行くかどうか迷っているのかと思ったが、そうではなかった。太郎の中では決まっていた。「体育祭が終わるまでは学校へ行かない」、その意思は固かった。学校へ行かないことに対して、私は否定はしなかった。行きたくない理由はちゃんと彼なりにあるからである。運動が苦手、周りに迷惑をかける、見られて笑われる、大勢の人から見られる、などである。そして体育祭が終わったら必ず学校へ行くと意思を示しているので、太郎の言動を見守ってみようという気持ちになった。しかし、通信制高校の願書作成や作文作成が進めなければならない。私は自分の仕事もあるため、少し焦りつつも相談先は決まっていた。小学生低学年の頃からお世話になっている放課後等デイサービスだった。学校に行かなくなってから昼間はほぼ放課後等デイサービスで過ごした。作文作成も願書作成もデイサービスで作成を一緒にしてくださった。デイサービスのスタッフの方と中学校の先生も情報共有をしてくださっており、願書作成の仕上げの時だけは太郎も学校へ行った。願書を仕上げてきた日、太郎は私の周りをウロウロ回りながら「疲れた……」と言いつつも少し安心しているようにも思えた。Upload By まゆん初めての願書作成、何度も経験してきた体育祭の練習。いよいよ始まった不登校。体育祭が終わるまでの10日間だけで終わるのか、通信制高校の面接は受けることができるのか。私自身も分からないけれど、不安や焦りも不思議と軽く、ただただ、太郎の様子をみながら毎日を過ごしている日々です。執筆/まゆん(監修:初川先生より)通信制高校の専願入試準備の時期と体育祭練習の時期が重なってしまったとのエピソードをありがとうございます。私立通信制高校の専願だと出願の時期が秋から冬の始まり頃の場合もあり、中学校的には行事の多い時期にもなるのでこういうこともありますね。太郎くんにとって、体育祭やその練習期間がいかにストレスフルかということがよく分かるような変化を呈したのですね。つらい気持ちをスタンプだったとしても知らせてくれたのは何よりだなと思います。体育祭が終わるまで休ませる決断をされましたが、もちろんそれも1つですし、また、体育祭には参加しない(練習にも参加しない)ことを本人と学校交えて決めたうえで、学校には行くけれど体育祭関連の時間は教室で自習して過ごすなどそうしたやり方もお子さんの希望と状態によってはあるかなとは思います(本人や学校がそれを良しとするかにもよります)。身体症状まで表れる状態で、無理して頑張っていいこともあまりないのではとは思います(ただ、お子さんによっては運動会の練習を見学するなどのゆるめの近づき方がその後に良い場合もありますので、そのあたりは学校やカウンセラーなどとご相談してみてもいいと思います)。太郎くんは、休んでいる間に放課後等デイサービスにて出願の準備を進めることができたのですね。大きなタスクに取り組む際は1つずつ取り組んだほうがいいお子さんもいるので、結果的によかったように感じます。また、出願に関する準備を保護者と家でやる場合も多いですが、保護者以外と(学校、相談機関、教育支援センター・適応指導教室、放課後等デイサービスなど)やることはそれはそれで意義のあることです。保護者だとどうしても合格してほしいという思いが強くなってしまうために、本人の思いを形にしていく過程にどうしても口を挟みたくなることもあるでしょうし、それも自然なことだと感じます。思いを言葉にすることが苦手、作文にまとめることが苦手な生徒さんは多いですが、そこを根気強く見守ってくださる面で、家庭以外のリソースを使うのは本人の成長にとってよいと思います。体育祭期間を休むこと、その間に受験の準備はできたこと(それに取り組むだけの元気はあったこと)、そして体育祭終わったら学校に行くと自分なりの見通しを語れていること。太郎くんの自分なりの気持ちと行動の折り合いのつけ方が自分でやれている感じがして、とても成長を感じました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年11月05日初めての児童発達支援わが家の長男が発達支援施設に通うようになったきっかけは、幼稚園入園から半年ほど経った頃の保護者面談で、先生から「療育に通ってほしい」と言われたことでした。幼稚園で席に座らない、上履きも履かない、ときには教室から脱走し、運動会の練習は不参加……など、長男のさまざまな困り事が発覚したため、そこから3か月待ちの発達相談、受給者証の取得、知能検査などを経て、ようやく年中の夏頃から発達支援施設に通えることになりました。Upload By プクティ最初に通った発達支援施設では、1回約2時間の児童発達支援を週に2~3回、幼稚園が終わったあとに受けていました。親子分離で学習メインの個別支援が基本で、ほかにもお友だちがいる時は2~3人の小集団で行うこともありました。流れとしては、最初に部屋の中でのウォーキングなど身体を動かす時間があり、そのあとにクイズや絵本、製作など長男の様子を見ながら長男に合った学習内容で進めてくれていました。はじめは楽しそうだったのに……長男の様子に変化が!?Upload By プクティこちらの施設に通い始めて1年ほど経つと、遊び中心の内容から、だんだんと小学校へ向けての学習がメインになっていきました。通い始めたばかりの頃は長男も通うのをとても楽しんでいたのですが、課題の難しさもあってか、だんだんと行き渋ることが多くなっていきました。嫌がる長男を連れて行くのは大変でしたが、いま振り返ってみると、文字や数などの理解力向上に繋がったと思いますし、小学校での掃除の仕方や授業の受け方なども教えてくださり、本人も小学校入学後に助かったのではないかと思います。2か所目の発達支援施設長男は年中の12月に幼稚園から保育園へ転園し、年長からは保育園に併設されている発達支援施設にも通い始めました。この発達支援施設は、長い間運営しているところで、経験豊富な先生が揃っていることで知られており、キャンセル待ちも多数でるほどの人気でした。そのため、最初に通っていた施設は週に1回土曜のみにし、2か所目の施設は週に2回、保育園を途中で抜けて平日に通うことにしました。Upload By プクティ2か所目の発達支援施設も親子分離での支援でしたが、こちらは10人ほどの小集団で行われていました。長男は、日常生活の支援がメインの「生活クラス」に入りました。まずは着替えなどのお仕度、挨拶から始まり、「日付やその日の天気、その日の参加人数」を毎回担当になった子が発表します。そのほか、運動の時間や給食もありました。Upload By プクティこちらの施設では、1回の活動は約4時間と、1か所目の施設の支援時間と比べると倍の長さでした。指導方針は、その子ができないところは手助けしつつも、できるまであきらめないという、ある種の厳しさがありました。通い始めの最初の2か月間は親子通所をする決まりがあったので、支援中の様子を近くで見ることができたのですが、長男が活動を嫌がって癇癪を起こす場面もよく見られました。しかし、先生方は長男が活動に取り組めるようになるまで、根気強く付き合ってくださっていました。不思議なことに、こちらの発達支援施設に関しては、長男が行き渋ることは最後までありませんでした。年長の1年間で見違えるほど成長した長男Upload By プクティ年長の終わり頃になると、支援中に嫌がる場面はほとんどなくなっていきました。むしろ、普段保育園では拒否する集団遊びやダンスにも楽しそうに参加し、周りの子たちをサポートする姿まで見られるようになりました。こちらの施設でたくさんの成功体験を積ませてもらったことで、自信をもって過ごせているように感じました。通った期間は年長の1年間だけでしたが、この1年で長男はものすごい成長を見せてくれました!結果として、どちらの発達支援施設での経験も長男の成長に繋がったと実感することができて、通ってよかったと心から思っています。執筆/プクティ(監修:室伏先生より)プクティさん、発達支援施設でのご指導の様子や、長男さんのご様子について共有してくださり、ありがとうございました。これらの施設での経験が、長男さんの成長に繋がったとのことで、本当に良かったですね。1か所目の施設では、お子さんが自信を持って学びに向き合えるよう、お子さんのペースに合わせた取り組みをされていたのですね。課題の難しさにつらくなってしまった場面もあったかもしれませんが、小学校での学習を中心とした生活の準備・練習ができたことは、きっと大きな意味を持つ経験になったのだと思います。2か所目の施設は、日常生活における自立支援や集団生活に必要なスキルの獲得が重要視されていたのですね。これは小学校生活のみならず、今後の長い人生においてとても重要な能力です。ご家庭でいろいろ教えようとしても、お子さんはご家族には甘えたくなってしまって最大限の力が発揮できないこともあります。また、生活の中でできることが増えると、ご家庭でも園でもさまざまな機会に成功体験が積み重なり、自信に繋がります。成長の兆しをいち早くキャッチして、ご家庭でもポジティブなフィードバックをしてあげたいですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年11月04日完璧主義、こだわり、多動での登下校トラブルや不登校息子の支えになった存在についてのエピソードなど【2024年10月】「お母さんが悪い!」「もう一生学校行かない!」「多動で交通事故を起こしかねません」……。印象的なシーンも多い、特性のある子どもとの登下校中のトラブルエピソード。今月も読者の皆さんからさまざまな体験談が寄せられています。読者体験談は、読者の皆さんから寄せられた困った経験、こうしたら良かったといった経験をもとに書き下ろしている人気コラム。今回は2024年10月にお届けした読者体験談をご紹介いたします。「挨拶だけでいいから学校へ顔を出す」という約束を担任の先生していたASD(自閉スペクトラム症)の息子さん。不登校の息子さんに付き添って毎日母子登校をしていましたが、完璧主義な性格の息子さんは毎日登校中にイライラが止まらず……。その様子にとうとう我慢ができず、言ってしまった母の一言で大変な事態に。バス通学をしているASD(自閉スペクトラム症)、LD・SLD(限局性学習症)のある息子さん。マイルールやこだわりの強さがある息子さんはある日のバス通学で「こだわり」が発動し、「もう一生学校行かない!」と癇癪を起こしてしまいます。一体癇癪の原因はなんだったのでしょうか。幼少期は多動がひどく、医師からも服薬を勧められ「多動で交通事故を起こしかねない」と言われていたADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)の息子さん。問題なく登下校ができているのか不安になった母親が、周りに聞いてみるとなんと思ってもいない状況になっていたのです!しのっぺさんの息子さんは中学校のときにクラスメイトからのからかいが原因で一時期不登校気味になったことがありました。親友ともクラスが分かれて「俺、なんで生きているんだろう……」と思い詰める息子さん。しのっぺさんは息子さんの居場所を見つけるために奔走、そして親友との絆が息子さんを救うきっかけとなったのです。ご自身のエピソードを投稿してみませんか?『発達ナビ 読者体験談』は皆さんのご経験を基に制作されています。ご投稿いただいたエピソードは、連載ライターさんのイラスト、専門家の先生からのコメントをつけた上で掲載させていただきます。「あの時は悩んでいたけれど、今はこうなった……」など、発達障害のあるお子さんを育児している皆さんへ、ご自身の経験をお届けいただけないでしょうか。ご応募は以下の応募フォームから受け付けております。皆さんのご投稿を、お待ちしております。【現在の募集テーマ】・障害告知・パートナー(夫婦) 関係・両親(義両親)、親族関係・進学・受験関係・冠婚葬祭関連・反抗期、思春期・自傷・学習関係・不登校、行き渋り・ゲームとの関わり・不器用さについて・ママ友や、ほかの保護者の方とのエピソード・ご近所関係(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年11月03日児童発達支援を増やしたい!でも幼稚園からの通所は想像以上にハードで……たーちゃんはプレ幼稚園の頃から5歳の今まで、10時~16時までと預かり時間が長めの発達支援施設に通所しています。幼稚園に通い始めたばかりの頃は、土曜日だけ通所していました。こちらの施設は送迎もしてくれるところなので、土曜日に通所する時は、自宅から施設への送りも迎えもお願いしていました。年少の夏休み直前の頃、「もっと児童発達支援の時間を増やしたい!」と思い、平日で幼稚園が午前保育の日にも、幼稚園が終わったあとに通所することにしました。午前保育のあとに通所する初日。11時半に幼稚園にお迎え、自宅に戻って2人でお昼ごはんを食べ、自転車で施設に送っていき、16時にたーちゃんが帰宅……というスケジュールを考えていた私。これが、思っていた以上にハードだとすぐに気づかされることになりました。午前中に昼ごはんの支度をして幼稚園に向かいましたが、その日は雨だったため自転車に乗れず、たーちゃんを連れて徒歩やバスで移動する羽目に……。分刻みのスケジュールで一日を何とか乗り切りました。Upload By みかみかんそのあとも、綱渡りのようなスケジュールで幼稚園と自宅、発達支援施設を行き来する日々……。それに加えて気持ちの切り替えが苦手なたーちゃん。一度自宅へ帰ってきたのに、また出かけなくてはいけないというのがストレスだったようでした。癇癪がひどく、児童発達支援の開始時間に間に合わないことも度々あり……。そんな日が続き、私自身も参ってしまいました。Upload By みかみかんそんな理由もあり、幼稚園にたーちゃんを迎えに来てもらって、施設に直接行くほうが、たーちゃんにも私にも負担が少ないのではないか?と思うようになりました。頼りになるのはやっぱりママ友の情報!送迎事情を聞いてみるとところで当時私には、たーちゃんと同じ幼稚園に通っている年長児のママ友がいました。もともと親同士は顔見知りではありませんでしたが、たまたま公園で会って一緒に遊んだことがきっかけで交流するようになり、そのうちに、お互いの子どもが同じ発達支援施設に通っていることが分かったのです。そのママ友から、午前保育の日には幼稚園からの送迎を利用していると伺っていたので、送迎の利用について気になることをたくさん質問させてもらいました。Upload By みかみかん私「発達支援施設の支援員さんに幼稚園で子どもをピックアップしてもらう時間は、何時にしてる?」ママ友「通常保護者がお迎えに行く時間の10分前に来てもらってるよ。幼稚園の先生に聞いたら、お迎えの時間と被ると先生の手が足りなくてバタバタするみたいだから、その時間にお願いすることになったの」私「子どもは幼稚園のどこで待っているの?」ママ友「基本は教室の中だけど、迎えが少し遅くなったら職員室で待たせてもらっているみたい」私「今まで何かトラブルはあった?」ママ友「自分の目が届かないところだから心配だと思うけれど、大きなトラブルはないよ!でもしっかりスケジュール管理して、児童発達支援を受ける日は専用のリュックを忘れないようにしてる」私「幼稚園の連絡帳には、その都度送迎を利用することを書いているの?」ママ友「『通園鞄のほかに児童発達支援用のリュックを持たせている日は、ピックアップをお願いしている』と幼稚園の先生に伝えてあるから、毎回連絡帳には書いていないよ」それぞれの施設によって対応は違うかと思いますが、たーちゃんの通う幼稚園と発達支援施設ではこういった流れになっているようでした。保護者の立ち合いなしで送迎を頼むことに不安もありましたが、利用しているママ友から直接話を聞いてみて、大丈夫そうだと納得することができました。さらに、ママ友が「一人で頑張りすぎないで!使える制度は使ってみて!」と、利用の後押ししてくれたこともうれしかったです。そして、年少の冬休み直前から、児童発達支援施設に幼稚園からの送迎をお願いすることに決めました。送迎について幼稚園と発達支援施設に相談。利用を開始することに次に、通っている幼稚園と児童発達支援双方の承諾をもらうために相談してみました。ちょうど秋頃にどちらも面談があったので話をすることができました。幼稚園では「12月の午前保育の日、発達支援施設の支援員さんに迎えに来てもらおうと思うのですが大丈夫ですか?」と話を切り出し、「年長の〇〇くんが利用している施設と同じで……」と続けました。前例があったおかげで話はスムーズに進み、ありがたかったです。事前にたーちゃんがASD(自閉スペクトラム症)であること、児童発達支援を受けていることを幼稚園の先生方に伝えていたのも良かったと思います。Upload By みかみかん施設側にも相談したところ、問題なく利用できるとのことでした。降園時にタイムカードの打刻が必要か、どこから入るか、何組か、などの情報についても、予め伝えておきました。利用数日前には、たーちゃんにも発達支援施設の支援員さんが幼稚園に迎えに来てくれることを説明しました。不安感の強いたーちゃんが当日癇癪を起こさないために、説明を理解できなくても繰り返し伝えました。そしていよいよ、利用当日。たーちゃんは通園鞄と児童発達支援用のリュックを持ち、元気に登園していきました。私も忘れ物のチェックを念入りに行い、連絡帳には何時に支援員さんが迎えに来るかを書いておきました。ピックアップ予定の時間、トラブルはないかな……と、私はスマートフォンの傍でソワソワしていたのを覚えています。その日は緊急の連絡もなく、予定していた時間にたーちゃんは支援員さんが運転する車に乗って、無事に自宅へに帰ってきました。支援員さんに様子を聞いてみたところ、癇癪を起こすこともなく、スムーズに送迎の車に乗り、幼稚園から発達支援施設に移動できたとのことでした。その話を聞いて、今後も問題なく送迎の利用をお願いできそうだと安心しました。Upload By みかみかんそして今でも、午前保育の日には送迎をお願いしています。そのおかげで、私もたーちゃんも負担が減り、助かっています。幼稚園でも午後のお預かりをしてくれますが、発達支援施設で過ごすほうがたーちゃんはリラックスできるようなので、送迎を利用してこれからも併用する予定です。この記事が、幼稚園から発達支援施設への送迎の利用を考えている方の参考になればうれしいです。執筆/みかみかん(監修:新美先生より)児童発達支援施設の送迎利用について、具体的に聞かせていただきありがとうございます。放課後等デイサービスだと、学校や家までの送迎があるところが多いですが、児童発達支援施設ではそこまで一般的ではないので、送迎サービスがある事業所もあるのだということ自体、知らなかった方も多いかもしれません。みかみかんさんの場合、幼稚園が午前中で終わる日がもともとあるのですね。記事にあるように、幼稚園が終わって、一度お母さんの顔を見るとほっとしてしまって、さらにまた集団の施設に行くのがおっくうになるというのもよくあることかと思います。幼稚園→発達支援施設の外モードのまま行けるほうがスムーズと言うのは納得です。送迎でトラブルが起きないように、事前の綿密な打ち合わせは重要ですね。また、お子さんによっては、事前の練習や手順書、発達支援施設の利用日かどうかが本人もすぐにわかる仕組み(記事にあるようなカバンを変えるというのは分かりやすいです!)など、いろいろ工夫は必要そうです。運用の仕方などは、施設による差や、通っている幼稚園・保育園によっても異なると思うので、施設・園と十分打ち合わせをされるようお願いします。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年11月02日不登校、学習の壁、転籍……リアルな体験をもとにしたセミフィクションストーリーが完結発達ナビの読者の声から生まれたセミフィクションストーリー「発達障害の子どもと私たち」全10話が完結しました。2人の主人公・小学3年生のはるきさん、小学4年生のみきさんはそれぞれの「壁」に直面、学校へ行くことができなくなってしまいました。それに対し、本人とその家族がどう立ち向かっていったのかがリアルに描かれています。各話の終わりに鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生からのアドバイスも掲載しています。プロローグ、そして二人のその後が描かれたエピローグとともに、「発達障害のある子どもと私たち」全10話を読み返してみませんか?「なんで僕は学校に行けないんだろう…」プロローグ~第1章はるき編完結までUpload By ユーザー体験談3歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けているはるきさんは、現在小学3年生。通常学級に所属しています。2年生までは元気に学校へ通っていましたが、3年生の5月、運動会が終わった頃から「学校を休みたい」というように。発達障害について自分で学んでいる母親は、(ここは休ませるべき)と理解はあるのですが、その後はるきさんは身体症状もでるようになってしまって……。はるきさんの気持ち、そして保護者の決断をご覧ください。私だけ勉強についていけていない――壊れそうな娘の側で保護者は……第2章みき編Upload By ユーザー体験談みきさんは5歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けています。小学校3年生から勉強に難しさを感じるようになり、小学校4年生になると「クラスで私だけ勉強についていけていない」「学校へ行きたくない」と言うように。みきさんの担任の先生は頼りにならず……。みきさんの困りごとにどう対応していくべきなのか、保護者は悩んだ末、ある結論を出しました。ですが……。また、エピローグでははるきさん、みきさんのその後に触れられています。はるき、みきのその後を描いたエピローグ、そして注目の専門家コメントもご覧くださいUpload By ユーザー体験談それぞれ新しい道を進みだしたはるきとみき。そんな二人のその後に触れています。こちらのエピローグには、井上雅彦先生から中学、高校の進路の選び方について解説をいただいています。進路についてお悩みの方はぜひご覧ください。マンガ「発達障害の子どもと私たち」いかがでしたか?引き続き読者体験談をお楽しみに。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年11月01日ストレス?鉛筆がボロボロに…1年生から登校渋りがあった長男。2年生も変わらぬ様子で休みながら長男のペースで登校していました。1年生では「友だちができない。友だちって何?」と悩む様子が見られたのですが、始業式の日に自己紹介カードを記入した際、「2年生の目標」の欄に「友だちをたくさん増やしたい」と書いていました。周りの人に興味関心が薄いように見えていたけど、そんな思いがあるのだなぁと私も胸がいっぱいになり影ながら応援していました。そんなある日、長男の筆箱の中を見るとほとんどの鉛筆がボロボロになり木屑でいっぱいで大変驚きました。どうやらかじっている様子でした。それと同じ時期に宿題がなかなか進まない、手がつけられないという様子が見られるようになりました。鉛筆をかじるのもストレスかもしれないと気にしていたら長男が私に手紙を渡してきました。その手紙には「ストレスなのかしゅくだいをやるきがなくなったりえんぴつをかじってしまいます。どうしたらいいですか?」と書かれていました。教えてくれて嬉しかったし、自分でもどうしたらいいか分からなくてつらかっただろうなぁと私も胸が痛みました。どうしていくのが良いか2人で話しました。噛むのがもったいなくなるような好きな鉛筆を買おうかとか、ほかで代用できるものはないだろうかとか。宿題は私がいつも見ていたのですが、なるべく私もイライラしないよう心がけようと思いました。Upload By ねこじまいもみ悪化する宿題問題、私も限界を感じてしかし状況は日に日に悪くなるばかりで、宿題に取りかかるのがだんだん遅くなったり、いざ始めても泣いてしまったり時に癇癪を起こしてしまい進められず、そうしているうちに寝る時間が迫ってきてまたパニックになって泣いてしまうという繰り返しでした。結局鉛筆も使えるものがないくらい全部かじってボロボロでした。私も、落ち着いて進められるように声をかけたり待ってみたりするのですが毎日こんな感じで本当に大変でした。下の子のこともやらなくちゃいけなかったり、家事もしたいし、そこにかなり時間を取られることが私もとてもつらく感じて、結局イライラしてしまうことも多く私自身も自己嫌悪の日々でした。最悪やれなかった場合、先生に正直にできなかったと話してはどうか?と提案しても、「宿題を忘れていくというのは考えられない、できなかったらもう休みたい」と言いました。その気持ちからか机や壁に「学校へ行きたくない」と書いていたりしました。できなかったことを素直に伝えることも大切だと思うと話しましたが聞く耳持たずでした。長男は真面目で人の目を気にする傾向が強いため、宿題を忘れていくことでどう思われるかをすごく気にしていました。また、怒られるということにとても抵抗を持っていました。なのでなんとしても終わらせたい。しかしスムーズに進められない。やらなきゃと思うけどできなくて余計に追い詰められて激しく泣いたり怒ったり。そんな様子でした。 だんだん私自身も宿題の時間がつらくなり疲弊していたので、担任の先生にこんなこと相談していいかずっと悩んでいたのですが、限界を感じて相談してみることにしました。先生は親身に聞いてくださり、長男と話をして少し考えてみますねとおっしゃってくださいました。Upload By ねこじまいもみ先生は宿題の量を…?先生に相談した数日後、宿題のノートを見ると量を減らしてもらっていました。「ここまではやって、ここからはやらなくてよい」と先生が印をつけてくださっていたのです。私はびっくりして、もう一度先生に電話をしました。ありがたい反面、長男を甘やかす結果になってしまったのではないかという気持ちと、申し訳ない旨を伝えました。Upload By ねこじまいもみすると先生は、「量が多く感じて苦しくなっていた様子だったので、どのくらいなら余裕を持ってできそうか話し合い少し削ってみました。削った部分は次の日の休み時間などに一緒に取り組んだりして補うという形でやっていこうと話しました。少しずつ量を増やしていって、まずはやれる範囲で気持ちよく『できた!』という成功体験を積んでいけたらと思います。宿題がつらくてますます学校が嫌だなぁと感じてしまったら悲しいので」と話してくださいました。それから長男は比較的スムーズに宿題に取り組めるようになり、先生には感謝の気持ちでいっぱいでした。思い切って相談して良かったなぁと思いました。Upload By ねこじまいもみそれからはだんだんと通常の量をこなせるようになっていき、4年生の今もたまにやりたくなくて怒る時もありますが、2年生の時のようにできなくて激しく泣いたりパニックになることはなくなりました。 鉛筆かじりも2年生の一時期だけで気づいたらしなくなっていました。 みんなと同じ量をこなしたり、同じように勉強を理解したりが難しく、あとから追いかけていくこともいまだによくありますが、やる気をなくさないように手助けしていけたらと毎日試行錯誤の日々です。Upload By ねこじまいもみ執筆/ねこじまいもみ(監修:新美先生より)ストレスが大きい時期に、宿題量の調整をしたエピソードを具体的に聞かせていただきありがとうございます。嚙み砕いて木屑でいっぱいになった筆箱を見た時、息子さんからの渾身のお手紙を読んだ時は、お母さんもどれほど胸が痛んだろうかと、他人の私でさえ切ない気持ちでいっぱいでした。それを乗り越えて、落ち着いてきつつあるところまで教えていただきほっとしました。さて、学校で精いっぱい一日頑張って、家に帰ってくると、へとへとになり、宿題のような努力的な課題をやる気力がわかないということはしばしばあります。ASD(自閉スペクトラム症)の特性があると、集団生活で受けるストレスは通常よりも大きく、また、興味の偏りのため興味ないけどやらなければいけないとわかっていることをやるのに、通常よりもエネルギーを要するのです。なので、皆が当たり前にこなしている宿題が、たとえ学力的な問題がなかったとしても、単純作業のようなものであったとしても、すごくやるのが大変になってしまうこともしばしばあります。そもそも、一人ひとり学習の仕方も進度も違うのに、クラスの全員が一律の課題を課すような宿題制度は「百害あって一利なし」と常々思っていますが、そんなことを私たちがいくら言っても、実際にはほとんどの学校で、クラス全員が一律の宿題を課されるのが当たり前になっているので、子ども自身も親も、宿題はやって当たり前と思っていることでしょう。帰ってきて、宿題をやろうやろうと思っても気力がわかなくて後回しになり、終わってないのでずっと気がかりでイライラして、親子で言い合いになったり、寝る時間が遅くなったりして、お子さん自身も罪悪感を感じてしまっているのは、とてもつらいと思います。もし、記事のようにストレス症状が出ていたり、宿題をめぐって毎日親子でバトルになったりする状況があるのであれば、早めに、担任の先生と相談して、宿題の内容や量の調整をすることを全力でお勧めします。記事の中にも同様のことがありましたが、「できる分だけでいいよ」「できない日はやらなくてもいいよ」というような本人に判断をゆだねる言い方だと、なかなか自分では決められないことも多いので、「ここだけやってこよう」「1か月宿題をお休みにしよう」など具体的にはっきり先生から本人に話してもらうのが大事です。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年10月31日神奈川県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報ケイベースでは、利用者のお子さんみんなが自分らしく生きること、個性を伸ばすことができるよう、発達支援を行っています。「つぶぞろいより、つぶちがい」の思想のもと、さまざまな経験を持ったスタッフでお子さんの支援に取り組んでいます。また、お子さんとその家族の方との信頼関係を大切にしており、お子さんやり家族の方の悩みや問題に真摯に向き合い、共に解決していくことが事業所の使命だと考えているそうです。Upload By 発達ナビ施設情報運動プログラムを中心に、身体能力の向上はもちろん、自己肯定感やソーシャルスキルの向上を目指しているTAKUMI登戸教室。お子さんにたくさん動いてもらえるように、教室が30平米と大きく、明るく開放的な空間を用意しています。ブログでは日々のプログラムや支援内容を定期的に更新しており、お子さんが楽しめる運動や創作活動を提供している様子がうかがえます。TAKUMI登戸教室では、体験会を実施中です。興味のある方は参加し、一緒に運動してみてはいかがでしょうか。神奈川県の児童発達支援をもっとみる埼玉県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報ブロッサムジュニア新座栗原教室では、小集団指導と個別指導の良さを最大限駆使して、お子さんの「できた!」「楽しい!」を大切にした発達支援を行っています。得意なことはもっと得意に、苦手なことも得意なことに。小集団で実践、そして学校や社会へ!ソーシャルスキルトレーニングを基本に、将来に向けて社会性が学べるように取り組んでいます。また、新座市栗原周辺と西東京市と練馬区一部地域の小学校への送迎を実施しています。埼玉県の放課後等デイサービスをもっとみる埼玉県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報ブロッサムジュニア新座栗原教室では、お子さんが集団活動に取り組めるよう、一人ひとりに丁寧な支援を心がけています。また、小集団指導と個別指導を取り入れ、お子さんが自信を持ってコミュニケーションがとれるように個別プログラムを作成しているそうです。発達支援の基本として「楽しく!」をモットーに、お子さんが「ブロッサム楽しい!」「また行きたい!」と思ってもらえる児童発達支援施設を目指しています。埼玉県の児童発達支援をもっとみる栃木県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報お子さんの第3の居場所として、いつでも温かくお子さんを迎え、お子さんの笑顔を何よりも大事にしている放課後等デイサービストム・ソーヤ。スタッフに向けた研修用のオリジナルサイトをつくり、対面でもオンラインでも学習できるようにしています。進路相談、学習支援も可能で、ブログには過去の資格取得実績やイベントの内容なども掲載されていますので気になった方はぜひご覧ください。栃木県の放課後等デイサービスをもっとみる茨城県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報HANAFUKUは、2024年6月にオープンした児童発達支援事業所です。遊びや作業活動を通して運動・感覚・認知・行為機能に働きかけ、家庭や保育施設などでの日常生活や遊び・学習に必要な支援を行います。集団と個別の指導を中心に独自のプログラムや教材を用いて就学に向けて楽しい学習支援にも取り組んでいます。また、特性のあるお子さんの保護者にも寄り添い、保護者用セミナーや発達相談など、お子さんの自立支援アドバイスも継続的に実施。保護者も安心して信頼できる発達支援施設を目指しています。茨城県の児童発達支援をもっとみる愛知県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報Lii Sports studios桜本町では、「運動で幸せな人を増やす」ことを目指し、日々お子さんの支援に取り組んでいます。実際に保護者の方々から「子どもが運動が好きになった」「運動以外でもできることが増えた」などの声が届いているそうです。事業所では「子どもの発達には環境が大きな影響を与える」という考えのもと、自社開発のデジタルツールを用いて、お子さんが自ら動き出すような環境を設定し、ゲーム感覚で運動を楽しめるように支援しています。お子さんたちに負けないくらい元気なコーチが皆さんを待っています。Upload By 発達ナビ施設情報2024年11月オープンのFineキッズアカデミーは、地下鉄桜通線「徳重」駅より徒歩4分の場所にあります。運動を中心とした集団指導と短時間の個別指導を行います。さまざまな運動器具やプロジェクターを設置し、「今日も楽しかった!」「また来たい!」と思えるような事業所を目指しているとのことです。また、お子さんだけではなく、保護者の方とも積極的にコミュニケーションをとりサポートしていくそうです。愛知県の児童発達支援をもっとみる大阪府児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報amico玉造教室は、お子さんの「基礎」を育むことを大切にしています。根拠に基づいた発達支援を、一人ひとりに「しっかりじっくり」個別と小集団で行っています。自分で考え、自信をもって取り組める子になってほしい、イキイキと自分らしく毎日を過ごしてほしい、そう願っているご家庭に向けた発達支援施設です。園や学校など、一律のマニュアル教育が合わないお子さんたちに対し、「個別最適化」により「学び、経験し、成長できる機会」の提供を目指しています。Upload By 発達ナビ施設情報さまざまな資格を持つスタッフが、体幹・姿勢・ストレッチ・体操・運動のコツ・切り替え・集中力・手先訓練を取り入れた発達支援を行っているTAKUMI堺教室。運動プログラムを中心に、お子さんの苦手や得意を見つけ、身体能力の向上はもちろん、自己肯定感やソーシャルスキルの向上を目指しています。毎回利用後は、お子さんの様子についてのフィードバックやご家庭でのサポート方法などもお話するとのこと。お子さんへの支援だけではなく、保護者とのコミュニケーションにも重点を置いているそうです。大阪府の児童発達支援をもっとみる岡山県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報あそび王国今事業所では太田ステージと呼ばれる検査を用いてお子さんの発達段階を測り、最適な活動や遊具を使ってお子さんが楽しく発達できるようサポートしています。お子さん同士が関わり合いながら、楽しくコミュニケーション力を育てるアナログゲームを取り入れた発達支援を行っています。時にはお子さんたちの好奇心を刺激し可能性を広げるために外部講師を招いてさまざまなイベントを開催することも。初めての場所では緊張しがちなお子さんも、笑顔になれる放課後等デイサービスを目指しています。岡山県の放課後等デイサービスをもっとみる広島県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報Kids spase リフライズ府中本町(広島県安芸郡)では、お子さんたちがスタッフ、お子さん同士の人間関係の中で社会的なマナーやルールなど日常生活、社会生活のスキルを身につける場を提供しています。何か特別な事、決まった訓練ではなく、日常的な社会生活を経験してもらう工作やお菓子づくりをしたり、自分のお金で買い物に外出したりとさまざまな実践的な活動に取り組んでいます。広いスペースでゆとりのある空間に設計されており、自分のペースで人との距離感を調節できるような環境づくりをしてます。広島県の放課後等デイサービスをもっとみる「もっと施設の情報を詳しく知りたい!」「見学をしてみたい!」と思ったら、Webからもお問い合わせが可能です。施設情報ページでは、掲載されている施設の情報を地域ごとに検索して見ることができますよ。
2024年10月30日どちらを選ぶ?通信制高校選び、そして決断へ通信制高校に進路を決めた息子のために、合同説明会や個別相談へとあちこち奔走してきましたが、ようやくA高校とB高校の二校に志望校を絞り、それぞれの学校の特色をしっかりと息子に話した上で、両校に見学に行くことになりました。まず直近でオープンスクールが開催されるB高校へ。B高校には私だけ事前に個別相談に行っていたのですが、対応も細やかで特別支援の資格のある先生も常駐しており、障害のある生徒も広く受け入れているとのことでした。息子も楽しみにしていたのですが、冒頭の説明を聞いたところで教室から動けなくなり、その後のプログラムに参加できなくなってしまいました。仕方なく落ち着くのを待って個別相談へと移らせてもらい、授業内容やコース説明、学習環境などをお伺いしました。息子も自分でも気になったことを都度質問していました。この時点では「B高校いいな……。もう一つの学校、見学行かなくてもいいかも?」と言っていました。その後、A高校へ。A高校は、合同説明会ですでにお話を聞いていたところで、以前に個別相談に伺った別の通信制高校でも「息子くんの状況ならこちらはどうでしょうか?」とオススメいただいた学校でもありました。A高校はB高校よりも設備や制度が整っている…という訳でもなかったのですが、ただ一つ明らかにほかの学校と違うところがありました。先生方の熱意です。こちら側が何か質問をすると、必ず息子の目を見て、息子自身に語りかけてくれます。これまで支援児ということで過剰に子ども扱いされたり、一人の人間としても見てもらえないと感じていた息子には、とても大きな出来事でした。A高校との面談のあと、帰ってきてすぐ息子が私に言ったのは……。「A高校にする!A高校やったら行けるかもしれん!」という言葉でした。私も、同じ気持ちでした。Upload By 花森はな願書提出…この奇跡がどうか最後まで続きますようにこうしてA高校へと進路が決まりました。外に出ることが難しい子にとって、受験は大きな難関です。特に、願書の提出は本人にとって大きな負担となります。多くの高校では本人が直接提出することが求められますが、今回私たちが選んだA高校は、どうしても本人が無理なら保護者だけでの提出も可能でした。受験に全力を注ぎたかった私たちには本当にありがたかったです。願書受付当日、特別支援学校に朝イチで書類を取りに行き、そのまま通信制高校に私一人で願書提出しにいきました。学校の方はあたたかく受け入れてくださり、その際に面談でもお話しておいた「別室受験をしたいこと」「精神障害があり人の多いところが苦手なこと」の2点を改めてお伝えしました。別室受験についてはその場で確認を取ってくださり、当日の不安が少しでも少なく済むようにしてくださいました。願書提出後、近くの神社で合格を祈願しました。通信制高校の場合、希望者はほぼ入学できると言われてきましたが、最近は希望者が増加していて入学できないことがあるという話を聞いたからです。ずっと外に出ていなかった息子が「高校に行きたい」「受験をする」と言ったこと自体が奇跡なので、その奇跡をどうか叶えてあげたいと必死の思いでした。お守りを購入して、受験当日に背負うリュックにぶら下げました。Upload By 花森はな「書く」ことが苦手な息子。作文はどうすればいい?願書提出を終え、次は受験対策本格始動です!特に作文の指導方法については、先生も私もかなり悩みました。「書く」ということに激しいストレスを感じてしまう息子は、中学生の間はほぼ文字を書くということがありませんでした。しかし、パソコンのタイピングは大人よりも速いです。不登校の間に覚えたパソコンは、いつのまにか息子の大きな力となっていました。テーマは事前通知されていたので、パソコンで手早く文章を作成。おそらく15分程度で完成したと思います。パソコンでは文章を組み立てることはできるのですが、いざ紙と鉛筆を前にするとダメになってしまうので、この文章を手書きで何度も書き写して暗記する方式にすることにしました。まず、息子が作成した文章を、作文用紙に書き起こします。そこから覚えられる文量まで削り、それを再度作文用紙に書き起こして、清書することにしました。児童精神科の先生からは「この清書作業にはお母さんは関わらないように」と言われました。なぜなら受験当日は私が側にいないからです。受験当日の空気をつくるために、私はなるべく姿を隠し、清書作業は特別支援学校の先生か、週2回来ていただいているヘルパーさんにお願いしました。作文というと、原稿用紙全て埋めなければいけないのでは?と思いがちですが、その点はあらかじめ学校に確認しておきました。「原稿用紙一枚埋めることができなくても、たった一行でも、テーマに沿っていてこの学校に入りたい!という思いが伝われば充分ですよ」というお言葉をいただいていたので、息子の思いが伝わる渾身の文章を、負担にならない程度に練習し続けました。メンタルケアも当然怠らず、あとは本番を待つのみです!Upload By 花森はないよいよ受験当日!緊張と不安を乗り越えて受験前日は、学校近くのホテルに泊まりました。これは児童精神科の先生の提案でした。A高校の受験日は、ほかの私立高校と重なっているので、当日の朝、多くの受験生で混雑する電車を避けるためです。遠方の大学受験では宿泊することが一般的ですが、近場のホテルに宿泊するという発想は全くなかったので、目からウロコでした。前夜は緊張のためほぼ眠れないというアクシデントはありましたが、ホテルから徒歩で会場に向かうことができたので、安心して試験に臨むことができました。試験会場に到着すると、先生が付き添ってくださり、保護者は別の部屋で待つことができました。付き添い受験なんてうちだけではないだろうか……という不安もあったのですが、部屋には既に何家族もいました。お話を聞いてみると、やはりわが家と同じように不登校からの受験で、外出に不安のあるお子さんとのことでした。「うちだけじゃない」そして「同じようにみんな頑張ってるんだ」と思いました。受験はあっという間に終わり、面接は3分もかからず、作文は暗記していた通りに書けて、むしろ時間が余ったと息子は話してくれました。時間が余ったけれど、それ以上のことをしなかったのは良い判断だったと思います。もし、ここで強引に続きを書こうとして時間が足りなくなってしまったら、焦ってパニックになってしまい、このあとに控えていた面接に落ち着いて臨めなかったかもしれません。今の自分の持っている力で「無理をしないで終わらせる」ことができたのは、今後のためにも大きな経験になりました。全てを終えた息子の表情は達成感というより、疲労困憊一色でした。ふらふらになりながら試験会場を出た息子と私たち家族は電車に乗り込み、すぐに帰宅しました。息子の受験生生活は、ひとまずこれで全て終わりました。Upload By 花森はなやっと見つけた、息子の「新しい居場所」通信制高校から、合否の封筒が来た日のことは今も忘れられません。息子ははじめあまり実感がないようでしたが、合格通知書を何度も見ては、喜びを静かにかみしめているように見えました。傍から見ると、「簡単な受験」で「受かりやすい高校」かもしれません。でも、息子はそこに行きたいと心から願って、自分のできる限りの力を振り絞り努力をしました。近年、通信制高校ではあらゆる事情の生徒を広く受け入れています。先生方も生徒の各事情を考慮し、温かく受け入れてくださっています。障害や特性があるからといって、排除という方向に進むのではなく、こうした「居場所」が少しでも増えてほしいと切に願っています。執筆/花森はな(監修:初川先生より)息子くんの通信制高校受験、そして合格エピソードをありがとうございます。通信制高校が昨今注目を集めているので、学校自体も増えているように感じます。それぞれの学校が特色を持っているので、見学や体験、個別相談を通して比較検討されたのはよかったと思います。またA高校の決め手は、先生方の熱意だったとのことですが、そこはパンフレットなどでは分からないことですね。学校に見に行くことの大切さを改めて感じます。通信制高校のニーズの高まりに合わせて、エリアによっては人気の通信制高校があり、受験に倍率がついている場合があったり、受験での求められるものが高くなった学校、早めに動き出さないと締め切ってしまう学校もあります。そのあたりについても説明会などに参加していただき、どんな準備が必要そうか、受験で問われるものは何かなどご確認ください。多くの通信制高校では作文・面接が求められます。このあたりは中学校の先生はもちろん、教育支援センターや適応指導教室の先生方、自治体の教育相談なども対策をよくご存知なので学校や地域のリソースをぜひご活用いただき、お子さん本人とそうした先生方とで練習できるといいと思います。花森さんは児童精神科の先生の助言をさまざま活かしてご準備されていましたが、保護者がどこまでお手伝いするか、また、当日はどう会場へ向かうかなどは児童精神科の先生のご助言はさすがだなと感じました。試験会場で頑張るのはお子さん本人なので、当日に近い準備をしておくこと(保護者がそばにいすぎないのも1つ)。そして当日の交通事情も前泊するかどうかはさておき、早めに行く、あるいは同じ時間で向かう練習をしておくなどさまざま備え方はあると思います。通信制高校や不登校生徒向けの公立学校の受験などでは、志願動機や高校で頑張りたいことを聞かれることが多いです。そうしたことへ受験という形で必要に迫られているからという理由であったとしても、準備をしておく、つまり、自分の未来に思いを馳せてどう頑張りたいかを練り、語ること。そのこと自体がとても中学3年生の子どもたちを成長させるように感じています。これから始まる高校生活のとても大事な準備と思います。確かに“入りやすい受験”の場合もあるかもしれませんが、そのお子さんにとっては人生に数回しかない受験の1つ。しっかり心の準備をして新生活が始まる気配を感じながら受験に臨めるといいと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年10月29日実は難しい……!家庭学習のフォローやサポート毎日の宿題やテスト勉強などの家庭学習は、お子さんが一人で行うことはまだ難しく、保護者のサポートが必要な場合も少なくありません。発達ナビのQ&Aコーナーでも、以下のような声が寄せられています。子供の宿題の取り組み態度について質問させていただきます。小1の息子は家に帰ってすぐ宿題をやらず、やりなさいと促しても始めるまでに1時間以上、やり始めても集中出来ずにプリントを破いたり落書きしたり。トータルでかなりの時間がかかります。みなさんのお子さんは宿題を家で出来ていますか?小学校3年生のADHDの男の子、支援学級(国語、算数のみ)在籍です。家でなかなか宿題ができず1、2年生の頃は授業の中で宿題をやってもらっていました。診断はされていませんが、LDの傾向があり書く事が苦手です。3年生になって宿題の量、授業内容も増えほぼ学校で宿題が出来ない状態で家で宿題をやらせていますが、漢字ドリルだとノートに3〜4ページで息子にとってはかなり多く、集中力も続かない為終わりにする事が出来ません。さらに小学校高学年以降の思春期は、保護者だからこそサポートしにくくなることもあります。サポートの仕方や加減に悩むご家庭も多いのではないでしょうか。今回はそのような小学校高学年以降のお子さんの学習サポートについて、鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生にお伺いしました。勉強しないときもあれば、過集中になることも……発達障害のある中学生にちょうどいい勉強計画とは?A:大人であっても、やる気になったときにはできるけれど、そうでないと後回しにしてしまうことはありますよね。よりその傾向が強いタイプのお子さんもいると思います。対応としては、例えば1日1つ最低限やることをお子さんと一緒に決めて、終わったらカレンダーにチェックするなどもいいかもしれません。「ちょうどいいペース」の見通しを一緒に立てていきます。カレンダーにチェックすることで、本人のがんばりが「見える化」されるので、お子さんのモチベーション維持にもつながります。ここでのポイントは、無理のない計画を立てることです。最低限やることは、最初はできるだけ苦手教科や嫌いな教科ではなく、好きな教科や得意なものを選び、毎日無理なく継続できる難易度や量にするといいでしょう。保護者としては、「もっとやってほしい!」「もっとできるのでは?」と感じることもあるかもしれませんが、勉強の負担が大きくなると取り組むこと自体を嫌がるようになることもあります。無理なく継続できるよう、お子さんと話し合って、課題の難易度や量を調整していくことも大切です。また、お子さんが普段1時間かかる課題を15分で終えられたという日もあるかもしれません。こんなとき、保護者の皆さんだったらどうしますか?「今日はもう1枚くらい追加できそう」「こんなに簡単にできるなら、次から量を増やしてみよう!」のように考えるかもしれませんね。しかしお子さんにとってはどうでしょうか。せっかく集中して早く終えたのに課題が増えてしまった、ということになれば、「頑張ったのに損した」という体験になりかねません。集中して早く終えられたときこそ、たくさん褒めて「集中できたから、いつもよりたくさん遊べるね!」などのように、お子さんにとって「頑張って良かった」という経験にできるといいですね。Upload By 発達障害のキホンやる気がでない日は勉強しなくてもいい?約束が守れなくなってしまうのではないか心配A:保護者としては「毎日ペースを乱さずに勉強してほしい」という思いがあるけれど、お子さんとしては「金曜日は勉強したくない」ということですね。お子さんとしては、金曜日の放課後はもうお休みの気分だからやる気が起きなかったり、遊びたかったりするのかもしれません。一週間の疲れがたまっている場合もあると思います。一方で保護者としては、毎日の習慣づけが大事で乱さないほうがいいという考えもあるかもしれませんね。これはどちらの考えが正しい・誤っているということではなくて、親子の間で意見が食い違っているということなのかもしれません。その場合は、どこかに「妥協ライン」を作っていくことが必要だと思います。例えば、お子さん自身は本来やりたくないけれども、金曜日も取り組むことにするならば、それに見合う特別ボーナスがあってもいいかもしれませんね。例えばいつもよりゲームの時間を20分増やす・お気に入りのアイスを食べられるなど、お子さんと決めていくといいでしょう。ほかにも、毎週金曜日ではなく、「第1・第3金曜日はノー勉強デー」のようにするのも「妥協ライン」の一例です。こういった家庭学習のルールについては、ひとつの「正解」があるわけではありません。保護者としての考えや望みはあると思いますが、それが「絶対」でもないものです。子どもの将来を想うからこその「こうしたほうがいい」という考えはあっても、それにこだわってしまうと、特に思春期はお子さんと衝突してしまうこともあるかもしれません。また、年齢が上がってくると、どのようなペースで取り組むといいか?をお子さん自身がつかんでいくことも大事だと思います。例えば、定期テストに向けて2週間前からコツコツ取り組むことは苦手だけれど、直前にスイッチを入れて集中して、それなりに点数を取っているお子さんもいます。集中できない長期間より、短期間でも集中して取り組むことで学習の成果につながることもあるでしょう。中学生くらいになると、自分でペースをつかんでいくお子さんもいますが、なかなか難しいこともあるでしょう。本人の様子を見ながら、「こんな風にやってみたらどうかな?」「ちょっとここを変えてみる?」といったように、自分に合う方法を試していくイメージで一緒に考えていくこともいいかもしれませんね。Upload By 発達障害のキホン子どもがなかなか勉強しない・やる気が出ないときには?わが子が課題の締め切りやテストの直前に、慌てて少し無理をして勉強している姿を見ると、親としては「コツコツ取り組んでおけば……」と思うのも自然な気持ちだと思います。ただ大人が「コツコツ取り組んだほうが良い」と分かるのは、これまでの経験あってのことです。お子さんは、どのようなペースで取り組むと良いかを経験から学んでいる最中でもあるのです。今回ご紹介したような工夫をしてみても、勉強になかなか取り組めないという場合には、課題の難易度や学習環境を今一度見直してみることも大切です。特に各教科について「何がどこまでできているか」「どこにつまずいているか」「どのようなサポートが必要か」は、学校や塾などを頼っていくのもいいでしょう。思春期は特に、ご家庭だけで抱えないこともポイントです。また背景に読み書きの困難さがある場合があります。専門機関などに相談し、読み書きの困難さがあることが分かった場合には、書く宿題は少なめにして、タブレットなどで答える割合を増やすというような合理的配慮を検討してもいいかもしれません。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年10月28日春休み、新学期への不安感が頻尿として現われ……学年の変わり目の春休みはASD(自閉スペクトラム症)のスバルが1年の中で一番落ち着きがなくなる時期です。スバルはいつもと変わらぬ環境でルーティンをこなすことで安心する性格なので、学年が上がって何もかもガラリと変わる春が苦手なのです。幼稚園の年中に上がる年の春休みは、5分に1度トイレに行くという形で不安が現れていました。本人は本当に尿意を感じているようなのですが、さすがに5分に1度は多すぎるので「夜に寝ている時には何時間もトイレに行かなくても大丈夫なんだから、昼間も大丈夫だよ」と説明し、タイマーを使って10分、15分と時間を延ばしていきました。1時間をクリアしたあたりで通常の回数に戻りました。年長に上がる年、小学校に上がる年にも同じ症状が出ましたが、自らタイマーをかけ対応していました。入学前のストレスの原因はルーティンの変化や見通し不安など多くあり…小学校に上がる年の春休みは、幼稚園の学年が上がるのとは比べものにならないくらい不安でいっぱいでした。小学校という未知の場所に通わなくてはいけないし、服装も持ち物も朝のルーティンもがらりと変わります。スバルには特別支援学級に通うことを説明していたので「みんなとは違う少数派の道に進む」という事実もスバルを不安にさせました。そしてこの年はコロナの流行1年目で、入学式の日程も延び、長い長い春休みを過ごすことになりました。予定が狂った上に入学式の日程が未定という状況は、先の見通しが立たないことが苦手なスバルにとって大きなストレスとなりました。テレビをつければ世の中の恐ろしい情報が溢れていて、外出するのもひと気のない時間に散歩をするくらい。家の中では母がピリピリとした空気をまといながら古着を裂いてマスクを大量に縫っているし、今まで経験したことのない状況にスバルの不安は増すばかりでした。激しい首振り。常同行動?感覚を楽しむ遊び?もしかして…「チック」!?そんなある日、スバルが首を激しく左右に振っていました。常同行動の仲間か感覚を楽しむ遊びなのかと思いました。「クセになるからやめときな」と注意したものの、1日に何度も首を振っていました。その後も首を振る日々が続きました。その時はその症状とチックが結びついておらず、食事中に首を振りはじめた時にはキツめに注意したりもしました。そして「これはわざと首を振っているわけではない」と感じ、ようやくチックだと気づきました。Upload By 星あかりチックの存在は知識としては知っていたのに、気づくのが遅くなってしまい、スバルには申し訳ないことをしてしまいました。チックには波があり、激しく出る日もあれば穏やかに出る日もあり、どうしたものかと様子を見ているうちに入学式の日程が決まりました。通学路を歩いてみたり、担任の先生と面談したり、クラスメイトと顔を合わせて入学式の練習をしたりと忙しく過ごし入学式を迎えました。入学後はあっという間にクラスに馴染み毎日楽しく通学していました。そしていつの間にかチックはおさまっていました。その後もスバルの心の動きに合わせてチックは顔を出しました。チックが出ていることについては本人に指摘せず、チックの原因となる不安やトラブルを解消することで対応しました。不安がなくなるとチックはいつの間にかおさまりました。学校トラブルのストレスで1日中首を振る深刻なチックに特別支援学級のクラスが大荒れした年がありました。この時もストレスからチックが出ました。このトラブルは長期間に渡ったため、スバルのチックはおさまることなくどんどん悪化していきました。それまでのチックは1時間に数回首を振るくらいのペースでしたが、この時のチックは1日中首を振って過ごし1時間に数回首を振らない時間があるというくらい深刻なチックでした。私1人の力ではチックの原因を解消してあげることもできず、藁にもすがる思いで病院へ行く事にしました。Upload By 星あかりしかし小児神経科や児童精神科はすぐに受診できませんでした。そこでスクールカウンセラーの存在を思い出し相談することにしました。スバルは自分の抱えるトラブルを他人に話したがりませんが「こちらの先生は専門家だから何でも話して大丈夫」と説明すると安心して話しはじめました。スバルはインプットした知識を話す時は流暢ですが、自分の気持ちを話す時は幼い話し方になります。この時も主語もなく、時系列もめちゃくちゃでいつもに増して拙い話し方で、これまでのことを話していました。内容は家でも話してくれていたものでしたが、ハアハアと息を切らしながら、時には立ち上がり椅子の周りを歩きながら話すこともありました。このように気持ちをさらけ出すような話し方をするスバルは初めて見ました。でも、帰る時にはスッキリした顔をしていました。その後も度々スクールカウンセラーの先生とも話をするようにしました。私と一緒に話しに行く事もあったし、スバルが自分で予約して1人で話しに行く事もありました。それと同時にクラスでのトラブルへの対応がうまく回りだし、何ヶ月も続いたチックもゆっくりおさまっていきました。ちなみに病院の予約の日、チックはほとんどおさまっていたものの別の困りごとがあったのでそちらをメインに相談しました。ストレスからリラックスへ。最近のチックスバルは車が大好きで家で頻繁に車がバックする時の音を真似して遊んでいます。各社、年代別に「ピーピーピー」「ポンポンポン」「ティントンティントン」「ファンフォンファンフォン」……。時にはクイズ形式で出題されることもあります。空想に没頭している時の表情で「ティントン」だけ言うこともあります。なかなかすごい頻度で「ティントン」と言うので正直うるさいと感じるのですが、1人でご機嫌で遊んでいるので「まあいっか」と見守っていました。ある日、会話の最中「今日の給食は『ティントン』カレー」と言ったことで「ティントン」もチックであることが発覚しました。最初は遊びだったことは確かなのですが、いつの間にかご機嫌な「ティントン」はチックになっていたのです。一体いつから……。私の日々の観察と調査によるとおそらく「ティントン」は首振りとは違い深刻な原因と結びついておらず家の外では滅多に出ません。リラックスタイムに出ることが多いので日常の風景として受け入れています。執筆/星あかり(監修:藤井先生より)発達障害のお子さんの中には、新しい環境の変化に慣れるのが苦手という特性があることがあります。その特性ゆえに、新年度や、運動会・お遊戯会などのイベントの際には、チックが出てくるという相談を受けることは珍しくありません。チックには症状はさまざまで、始めはチックと気づかれないこともあります。また症状の程度に波があるため、生活に支障がない程度であればご自宅で様子を見られていることもあります。しかし、頻回だったり、声などの音が出てしまうチックの場合は、お子さん自身も、見守る周囲も自身にも支障が出てくることがあります。症状の程度が強い場合には、お薬を使うことで症状が軽減されることもあるので、主治医の先生に相談することをお勧めします。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年10月28日児童発達支援とは?児童発達支援とは、障害や特性のある未就児を対象とした、児童福祉法に基づく通所支援です。一般的には「児童発達支援」と「療育」はほぼ同じ意味合いで使われることが多くあります。児童福祉法において、「児童発達支援」及び「児童発達支援センター」は、以下のように規定されています。<児童福祉法>児童発達支援とは、障害児につき、児童発達支援センターその他の内閣府令で定める施設に通わせ、日常生活における基本的な動作及び知識技能の習得並びに集団生活への適応のための支援その他の内閣府令で定める便宜を供与し、又はこれに併せて児童発達支援センターにおいて治療(上肢、下肢又は体幹の機能の障害(以下「肢体不自由」という。)のある児童に対して行われるものに限る。第二十一条の五の二第一号及び第二十一条の五の二十九第一項において同じ。)を行うことをいう(第六条の二の二第二項目)。児童発達支援センターは、地域の障害児の健全な発達において中核的な役割を担う機関として、障害児を日々保護者の下から通わせて、高度の専門的な知識及び技術を必要とする児童発達支援を提供し、あわせて障害児の家族、指定障害児通所支援事業者その他の関係者に対し、相談、専門的な助言その他の必要な援助を行うことを目的とする施設とする(第四十三条)。引用元:児童福祉法|電子政府の窓口 e-Gov児童発達支援を利用するには「通所受給者証」が必要です。通所受給者証は各自治体で発行しており、発行には医師の診断書や意見書などが必要な場合もあります。自治体によって必要な書類が異なりますので、まずはお住まいの地域の担当窓口に確認をしましょう。児童発達支援を利用する日数には上限があります。子どもや保護者の状況、環境、利用意向などをふまえ、1ヶ月にサービスを受けられる日数が受給者証の発行時に決まります。「児童発達支援」アンケート結果発表!みんないつくらいから通ってる?通ってよかったことは?今回発達ナビでは「児童発達支援」についてのアンケートを実施しました。児童発達支援に通ったことがある方が70%と、多くの方が児童発達支援に通っている(通ったことがある)結果となりました。Upload By 発達障害のキホン参考:みんなのアンケートここからはご回答いただいた読者の皆さんの声をいくつか紹介させていただきます。また、帝京科学大学准教授(社会福祉学修士)として教壇に立ち、フリースクール運営も行っている中里哲也先生にもコメントをいただきましたのでぜひご覧ください。親子で通う児童発達支援に息子が3歳(2歳児)の時から卒園まで通っていました。(ポポポたさん)公立の児童発達支援(いわゆる公立療育)に1歳10カ月から小学校入学まで5年間通園しました。(あまだれさん)歳後半から満6歳になる就学前ギリギリまで、2年6ヶ月くらい。ずっとお世話になりました。(キングプロテアさん)子供は現在小学生ですが、二歳から年長さんまで通いました。(アラフォーママさん)歳半くらいから年中で保育園に行くまで大変お世話になりました。(hatsuneさん)(コメント:中里先生より)児童発達支援施設は、発達に支援が必要な子ども(0歳から6歳の未就学児)を対象に福祉サービスを提供する施設です。子どもの発達を促進し、将来の社会適応能力を高めることを目的として、日常生活に必要なスキル(日常生活動作)の獲得や、認知発達コミュニケーション、集団生活への適応訓練などの支援を受けることができる場所です。児童発達支援に通うきっかけはさまざまですが、保護者や子どもに関わる周囲の大人が言葉や運動能力、社会的スキルの遅れに気づくことが一因になることが多いです。一例ではありますが、保育士や幼稚園教諭からの指摘、そして、定期健康診断での発達の遅れに関する助言も通うきっかけとなります。さらに、医療機関で発達障害や発達の遅れの診断を受けた場合も、児童発達支援施設の利用が推奨されます。加えて、保護者自身が日常生活の中で育児の悩みを感じ、地域の育児相談窓口に行き、支援が必要と判断されることもあります。このように、児童を取り巻くさまざまな大人の気づきによってつながることが多いことが特徴です。先生方が発達に遅れのある子供たちに接する姿を日々近くで見ることができたのが何よりの財産になりました。こういうふうな場合はこんな風に声かけすればいいのだなとかプロの技を色々学べたのがとても貴重な体験になりました。(ポポポたさん)年間、児童発達支援で培ったことは…当時は「何のために通っているんだろう」と思ってはいたのですが、小学生になってから、中学生になってから………何年も経ってから「あ、活きている!」というほどに、本人の「ガッシリした土台」になっていました。親の私も、「発達障害の基礎」を徹底的に叩き込まれたこともあって、今でも役に立っています。(あまだれさん)当時、娘は言葉だけではなく、とにかく。じっとしていられず、椅子には数分と座っていられませんから、他の子のように。同じことをするのはとても難しい状況にもありました。(略)今、思うと親も娘も精神的にも、体力的にも。きつく大変でしたけれども、この勉強の時間があったからこそ。現在の穏やかな日々があるんだなあと、お世話になった全ての方々に、感謝!です。(キングプロテアさん)(コメント:中里先生より)児童発達支援施設では、子どもの発達を支援するために、個々のニーズに応じたさまざまなサポートが提供されます。主な支援内容として、個別療育や集団療育、言語・コミュニケーション支援、日常生活動作の支援、遊びを通じた支援、保護者へのサポートなどがあります。これらの支援は、子どもの発達段階や障害の特性に基づき、専門スタッフが適切に対応します。個別支援計画は子どもの成長に応じて作成されます。まず、初回面談で保護者の希望や子どもの発達状況が詳しく聞き取られ、その後専門スタッフと保護者が協力して支援計画を作成します。支援計画には、子どもが目指すべき目標や、そのために必要な支援内容、家庭でのサポートの方法が含まれます。また、定期的に保護者と進捗を確認し、必要に応じて支援計画を見直します。お子さん一人ひとりの状況に沿った支援が展開されること、加えて、保護者の方の相談者としての役割も果たすため、保護者の方にとっては強い味方になってくれると思います。一方ではこのような意見もありました。支援センターは半年待ち、事業所はどこも一杯で見学すらできず…毎日ネット検索の日々でした。偶然、空きありと記載のあった事業所にすぐに連絡し、見学に漕ぎ着けました。そこで受給者証が必要な事を知り、申請に時間もかかり…開始までに時間がかかりました。保健所でもう少し丁寧な説明があったらな、と思います。(にんじんさん)市の子育て相談に行って「療育センター」を紹介されましたが、(略)バスと電車を乗り継いでいくような場所だったので子連れの移動で時間厳守は無理やねと諦めた。(aoniyoshiさん)現在通っている保育園に比べ 登園距離は10倍ひとりで車に乗れぬころじは 送迎サービスも利用不可施設の設備も現在のころじには危険な箇所がいくつかある…シングルのわしにとっては働く事が困難になる保育時間や内容で辞退せざるを得ませんでした(ろじさん)児童発達支援センターの待機児童数や、地理的な問題などまだまだ課題も多いと言えます。個別支援計画ってどんなふうに策定するの?自治体と民間の児童発達支援施設の併用、小集団のメリットなど児童発達支援についての疑問に専門家が回答!Q:個別支援計画は一般的にどんなふうに策定をするのか知りたいです。どのくらい保護者から希望を伝えていいのでしょうか。A:個別支援計画は、子どもの発達状況や保護者の希望を聞き取り、その情報を基に作成されます。計画には、子どもが将来的に身につけるべきスキルや解決すべき課題に対する具体的な目標と、支援方法が含まれ、家庭で行う支援との連携も考慮されます。支援計画は子どもの発達を支える重要な要素であるので、保護者の方との協議を重ね、見直しや変更等をしつつつくられます。保護者からの希望がある場合には、可能な限り伝えることが大切です。上記のように、施設と家庭の連携はとても重要であり、保護者は家庭での支援方法のアドバイスを受けたり、施設が提供するワークショップや相談会に参加したりすることで、家庭内でのサポート力を強化します。こうした協力関係を通じて、子どもに最適な支援が施設及び家庭で提供され、より効果的な成長が促されることを目指します。個別支援計画は保護者との密なコミュニケーションを基盤に作成され、子どもの発達を包括的に支えるものです。Upload By 発達障害のキホンQ:自治体がやっている児童発達支援に月に数回通っています。もっと通いたく、民間の施設を併用する場合、どのように活用すると良いでしょうか。A:自治体運営の施設と民間施設を併用して児童発達支援を受けることは可能です。どちらの施設も子どもに対してそれぞれの特長を活かした支援を提供します。具体的には、自治体運営の施設は、公的支援を受けながら運営されており、低料金で広く地域住民に利用されることが特長です。発達支援センターなどが代表的で、地域とのつながりや公的なネットワークを通じて一貫したサポートを受けられます。一方、民間施設は、より柔軟な支援や専門的な療育メソッドを提供することが多く、個別のニーズに対応したカスタマイズされたプログラムを受けられる場合があります。これにより、子どもの特性や発達段階に合わせた、より細やかな支援を受けられるのがメリットです。支援には利用日数等に上限が設けられていますが、併用する際はその範囲内で自治体と民間施設の特長を最大限に活かすことができます。例えば、自治体施設で基本的な支援を受けつつ、民間施設での専門的なアプローチを組み合わせることで、子どもの発達に対して多角的かつ包括的なサポートを得ることが可能です。また、併用する場合、支援計画の一貫性を保つため、両施設間での情報共有や計画の統合が重要です。子どもに最適な支援環境を整えることができ、支援の効果が高まります。複数施設の併用は、異なる視点から子どもの発達をサポートし、最適な成長を促すための柔軟で有効な手段となります。Upload By 発達障害のキホンQ:小集団での活動でタイプが違うお子さん、発達段階が違うお子さんが多く不安です。小集団の活動にはどんなメリットがあるのでしょうか。A:小集団で行うプログラムは、児童発達支援においてさまざまなメリットがあります。特に、社会的スキルを学び、協調性やコミュニケーション能力を育むために、集団活動は重要な役割を果たします。小集団では、他者と関わりながら役割を分担し、ルールを守ることで、子どもたちは社会性を向上させます。また、言語的・非言語的なコミュニケーションを通じてほかの子どもとやり取りし、相手の意図を理解しながら自分の考えを伝える能力を発達させることができます。集団の中で自分の意見や気持ちを表現する機会が増えることで、自己表現力が向上し、自己肯定感を育むことにもつながります。さらに、小集団での活動では、ほかの子どもを模倣することで新しいスキルを習得する「模倣学習」が自然に行われます。例えば、ほかの子どもが行う遊びや協力的な行動を見習い、社会的なスキルが強化されます。また、集団活動で直面する困難やストレスに対処する経験を通じて、適応力や自己コントロールの力も育てることができます。感情を適切にコントロールし、ほかの子どもたちと協力して活動を進める経験が、子どもたちの発達に良い影響を与えます。もう一点、小集団のメリットを挙げるとすると、自己肯定感の向上です。何かを成し遂げた際に得られる達成感や喜びを仲間と共有する体験は、自己肯定感の向上につながります。他者との協力を通じて成功体験を味わう経験は非常に大切なものになります。このように、小集団でのプログラムは、子どもたちにとって社会的スキルを習得する貴重な場であり、個々の発達段階や特性に応じた工夫を加えることで、最適な支援を提供することが可能です。一方で、集団には馴染みにくいお子さんがいることもまた事実です。その際には、専門のスタッフとよく相談し段階を踏むなどして小集団プログラムに徐々に参加できる環境づくりに努めることも大切です。Upload By 発達障害のキホンその他、児童発達支援についてのコラムはこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年10月27日