親子で学校がしんどかった頃、支え続けてくれたスクールカウンセラー出典 : こんにちは。『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。現在、新型コロナウイルスによる影響下で、登校をしぶりがちだったり、学校生活に戸惑いや負担感を感じるお子さんも、少なからずいるでしょう。また、親だって、子育ての悩みや不安があっても、他の人には気軽に相談しづらい方もいるのではないでしょうか。そんな「学校、しんどいな」「子育て、大変だな」という時、うちでは長男が小1の頃から現在まで、スクールカウンセラーを親子で活用し、支え続けて頂きました。そこで、今回はスクールカウンセラーの基本的な利用のしかたと、相談できることや活用法などを、うちの親子の実体験からご紹介します。出典 : 「スクールカウンセラー」は、学校の中で、児童・生徒、保護者、教員などの心のケアを中心に支援をしてくれる身近な相談役です。一般的に、臨床心理士・公認心理師・精神科医などの専門の資格がある先生が配置されることが多く、子どもの発達面についても詳しいことが多いようです。ただし、現在その配置数は年々増加傾向にあるとはいえ、各学校専属のカウンセラーはまだ少なく、大抵は自治体ごとなどで複数の学校を巡回している先生が多いかと思います。うちでお世話になったスクールカウンセラーの先生も、公立小学校も私立中学も、複数校のかけ持ちです。スクールカウンセラー等活用事業:文部科学省こういった事情から、スクールカウンセラーの利用は「第2・第4の○曜日」など、決まった回数、決まった曜日が相談日になっていることが多いでしょう。また、自治体によっては、在籍校ではなく、近隣の他校に訪問する必要があることも(あえて、他校での相談を希望する方もいるようです)。ですので、もし、「ちょっと相談してみようかな?」と思ったら、まずは学校のお便りなどをチェックしてみるといいでしょう。うちの小学校では、月に一度配布される「スクールカウンセラーだより」に、先生の来校日や予約のしかたが書いてあります(分からなければ、管理職の先生等にお問い合わせを)。うちの小学校の場合、予約は予約担当の先生(教頭先生、特別支援コーディネーターの先生)か、事務職の方に電話で希望日時を伝えて調整していただきましたが、「利用日時を在籍校の先生方に知られたくない」などの場合は、カウンセラーの先生の来校日に電話をして、本人に直接予約を取ることもできるようです。また、一度利用すると、次の予約を相談時間内に口頭で取ることもできました。うちでは長男にも小学生の頃から「予約の取り方」を電話の横で一つひとつ教え、自分で予約をして1人でも相談できるようになり、中学でも(勝手に)活用しているようです。スクールカウンセラーって実際どう?話聴くだけ…?出典 : 「スクールカウンセラーって、実際どうなの…?」「話を聴いてくれるだけじゃないの?」と思われる方も多いのではないでしょうか。でも、スクールカウンセラーの相談内容は、子どもの心のケアはもちろん、発達面の心配や不登校の悩み、学校の先生や友人関係のこと、いじめ対応、進路や就学の相談、家庭問題や親自身のこと…など多岐に渡り、実は「話を聴く」以外の働きかけも沢山あるんですよ。実際に、うちでは主に…・子どもの発達のこと・学校との連携や仲介・子ども自身の相談・代理相談と親のケア…などを相談してきました。また、最初に、「ここで話したことには『守秘義務』が課され、本人から希望しない限り、学校の先生なども含めて、他人に知られることはありません」と、(子どもにも)説明がありました。では、それぞれ、うちではどう相談し、学校生活に活かしてきたのか、可能な範囲で紹介しますね。出典 : 「子どもの発達のことが気になるんだけど、専門の医療機関は敷居が高い」「初診の予約がなかなか取れない」などや、「発達障害の診断はついたものの、その後どうしたらいいのか分からない」「検査結果が上手に学校生活に活かせない」などでお悩みの場合、スクールカウンセラーが助けになってくれるかもしれません。私は、長男が小1で発達障害の診断がついた頃、初めてスクールカウンセラーを利用しました。担当してくれた先生は、臨床心理士の資格もあり、発達面についても詳しい方でした。当時の私は「発達障害」という言葉を知ったばかりで、右も左も分からない状況の中、知能検査の結果などを持参しながら、「専門病院でこんな風に言われたのですが…」と、恐る恐る相談しました。すると、カウンセラーの先生は、数字だけではよく分からなかった知能検査の結果を見立てながら、「この数値が高いので、〇太郎君はこういうことが得意で、こういうことが苦手だと思います」「こことここの差がこんなに開いているので、学校では〜することが、かなり負担なんじゃないかな」など、ひとつひとつ詳しく解説してくれ、「あー、そういう意味だったのか!」と、ストンと納得できたことを覚えています。そして、当時の長男は漢字書き取りの宿題を泣くほど嫌がり、「国語のある日は学校行きたくない」と、毎朝登校しぶりが続いていました(国語って、毎日ありますよね…)。私も親としての自信をすっかりなくして抑うつ的な気持ちが続き、外出するのもつらく感じていました。こんな悩みは、幼稚園からの長いつき合いでも、普通に元気に学校に通えているお友達のママ友さんにも打ち明けられず、私は1人で抱え込み思いつめていたので、話を否定せずに聴き、一緒に「どうしたらいいか」考えてくれる存在がいたこと自体が、何よりの助けになった気がします。私も、カウンセリングの最初の数回は泣いてばかりだったように思いますが、相談を重ねるうち、次第に気持ちや頭の中が整理され、長男に対しても、学校に対しても、なんらかの前向きな行動につなげる力を頂きました。また、長男のことが落ち着いてきてからも継続的にカウンセリングをお願いし、その際、「発達障害の診断が出るほどではない」グレーゾーンの次男や長女のことも、最近の様子などを報告しながら一緒に成長を見守って頂きました。Upload By 楽々かあさん「担任の先生のやり方が我が子に合わないようだけど、モンスターペアレントだと思われないか心配」「配慮をお願いしたいけど、先生も忙しそうで言いづらい」「学校に理解を求めたいけど、口下手で上手に伝えられない」…などでお悩みの場合も、スクールカウンセラーを頼ってみてはどうでしょうか。私は子どものことで、学校に配慮や理解をお願いしたい時に助言を頂いたり、時には、スクールカウンセラーの先生が直接、担任の先生などに「カドが立たないように」上手にこちらの要望を伝えて下さったり…と、親と学校の間の仲介役となって調整して下さいました。また、私は長男が小学生の時、毎年担任の先生に「サポートブック」を作って連携をお願いしてきたのですが、その際も、担任の先生に渡す前に、スクールカウンセラーの先生に一旦チェックしていただきました。第三者の客観的な視点から、「学校に過剰な要求をしていないか」「担任の先生の負担にならないか」…などへのご意見を頂けたのは(お互いのためにも)助かりました。そして、子どもと担任の先生やクラスメイトとの関係が気になる時などは、スクールカウンセラーの先生が、実際に休み時間や授業中に教室の様子を見に行くことも。うちでは、校内で長男に声をかけてくれたり、クラスの子や他のクラスの先生からもそれとなく様子を聞いてくれたりしました。親は大抵、わが子の話からしか学校の様子が分かりませんし、また、一見その子の個性の問題に思えることでも、クラス全体の雰囲気や子ども同士の関係などが影響していることもあります。そこを、「〇太郎君は、クラスで全く孤立しているワケでもなさそうですよ」「今、教室が結構騒がしいようで、〇次郎君にはきついかも…」など、第三者の視点から様子を教えて頂き、私も安心できたり、家での接し方を変えたりすることができました。また、教室の状況次第で、管理職の先生方などにも連携を取って頂けるように働きかけてもくれました。出典 : こうして、なにかある度に、私はスクールカウンセラーの先生に相談してきたのですが、長男が小学校高学年になった頃、前述のように「自分で相談できるように」徐々に慣らしていくことにしました。その理由は、改善傾向にあるとは言え、発達障害・グレーゾーンの子に対する公的な支援体制は、(特に地方では)まだまだ十分とは言えず、また、子どもの成長に伴い、「なんでも親が解決!」とはいかなくなるからです。そして、思春期の子には、親には話しにくい悩みもあれば、時には親への不満だって出るのも健全な成長の証でしょう。だから、子どもが自分で、親以外の誰かに助けを求めたり、相談したりできる力を、親が間近でフォローできるうちから、ゆっくり身につけておこうと思ったのです。そこで、長男の場合、最初は親子面談で予約しました。私は「初回は挨拶程度でも十分」と考えていたのですが、まあ、よく喋ったこと!(笑)とにかく言いたいこと、誰かに聞いて欲しいことが沢山あった長男は、親以外でそれを否定せずに受け止めてくれる存在が身近にいたことが、すごく嬉しかったようです。それ以来、相談時間をとても楽しみにしていました(ちなみに、カウンセリングは授業中の時間帯でも可能なので、正当に教室を抜け出せるのも良かったようです)。そして、長男が自分1人で相談できるようになると、カウンセラーの先生は、中学受験前の面接の練習にもつき合ってくれたり、時には一緒に給食を食べてくれたりもしたようです。後日、お礼を伝えると、「〇太郎君と話すの、私もすごく楽しいんですよ。素直でユニークで、いろんなこと考えてて…」なんて聞き、私もなんだか嬉しくなりました。出典 : でも、カウンセリングに積極的になれる子ばかりではありませんよね。うちの次男もそうでした。次男は、5年生の頃、登校前になるとお腹が痛くなって、学校に行けない時期が続きました。そこで私は長男同様に、次男も一度、親子でカウンセリングを受けてみたものの、控えめで繊細な次男は「うーん、僕は『さあ、どうぞ、悩み事を何でも話して下さい』ってカンジが、どうも苦手なんだよね…」とのこと。なので、次男の場合、それ以降は無理に本人をカウンセリングに連れて行くことはせず、親だけでの代理相談で続けてもらいました。そこで、家での次男の様子や、お医者さんから聞いたことなどを詳しく伝えると、カウンセラーの先生は、「おうちではこんな風に接してみてはどうでしょうか?」と助言してくれたり、担任の先生や保健の先生などともやりとりしてくれ、いろんなことが複雑に絡まっていた当時の次男への「支援の中継地点」のようになって、働きかけて下さいました。そして、突然「不登校の子を支える親」となった私の心のケアも同時にして頂きました。子どもが学校に行けなかったり、その子の個性や親の育て方などに何か問題があるかのように周りから思われたりすることが続くと、親はどうしても自分を責めがちになりますから、同じようにつらい思いをされている方もいるでしょう。私自身も事態が長期化してくると、「一番つらいのは子ども」だと分かっていても、正直かなりストレスや疲労を溜めがちに…。こんな、親のほうもしんどい時期に、「自分を気にかけてくれる人がいる」「大変さを分かってくれる人がいる」というだけでも、かなり違うのではないでしょうか。どんなに大変な時でも「自分を孤独にしない」努力だけは、したほうがいいように思います(私の経験上!)。親子でスクールカウンセラーを利用してきて…出典 : こうして、小学校時代、私達親子は長い間継続して、スクールカウンセラーのお世話になってきました。そのおかげもあり、長男は「自分の言葉で、自分のことを説明する」のが、かなり上手になりました。そして、中学でも自分で定期的にスクールカウンセラーを利用しているようです(ほぼ、雑談をしに行っているだけみたいですが、本人は「超楽しい!」そうです)。そして、次男のことの相談時間の終わりに、私は中学で自分らしく過ごしている長男の近況などを伝えると、スクールカウンセラーの先生は目を細めながら、(少々手のかかる子だった)長男の成長を「〇太郎君、本当に良かったですね〜」って、一緒に心から喜んでくれました。でも、そのカウンセラーの先生はコロナ休校中の間に、いつの間にか転任されていきました。お別れのご挨拶もできなかったけれど、その後、心配をかけた次男も回復し、無事小学校を卒業して、「おかげさまで、お兄ちゃんと一緒に、毎日元気に中学に通ってますよ」って、いつか報告できたらいいな…と思っています。大場美鈴(著),『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』あさ出版, 2020.6.27
2020年09月14日むっくんの通う特別支援学級についてむっくんはADHDと自閉スペクトラム症の診断を受けていますが、発達検査上は大きな凸凹はなく、数値的にも通常学級に通えると言われていました。しかし、感覚過敏や感情のコントロール、対人コミュニュケーションの苦手さが親として心配だったことから、小学校と相談の上、特別支援学級の情緒級に在籍するに至りました。むっくんの通う小学校の特別支援学級は全部で4クラス。1クラスの定員は8名で先生は各クラス2人です。むっくんのクラスには1年生3人と5年生3人が所属しています。1年生3人は交流学級でも同じクラスです。運営上の理由もあってのクラス編成だと思われますが、移動教室の多い特別支援学級生活の中で、同じ友達と行動を共にできることがむっくんの安心に繋がっているように感じます。Upload By ウチノコまた、5年生も同じクラスなので、授業以外の場面でずいぶん上級生に面倒を見てもらっている様子。異なる学年の子と日常を一緒に過ごすというのは、刺激も多くおもしろいなぁと思いながら見守っています。むっくんの小学校生活特別支援学級では主に算数と国語の授業が行われています。先生1人で3人の1年生を指導しており、子どもの状態によってはヘルプの先生が来てくれることもあるようです。むっくんは情緒級なので、教科書、ノートなどの教材は全て通常学級と同じものを使用しています。また、各教科の授業回数、授業内容も通常学級と同じです。ただ、課題プリントなど、先生がオリジナルで作成する教材は交流学級とは違うものを使用しているようです。授業中の様子については、せっかちで課題を終えるのが早いむっくんはみんなの課題が終わるまで待つことが苦手だそう。待つのは嫌だと怒り、機嫌が悪いと課題の間違いをやり直すことも難しく、先生の指導に反発することも多いようです。今は無理にやらせるのではなく、先生との信頼関係を築きながらゆっくり本人のペースで進めてもらっています。おかげさまで夏休みには怒りながらも、指摘された間違いを直せるようになっていました。また、注意深く文章を読むことが苦手なむっくんが、文章にえんぴつを当てて、読み飛ばしを防止している姿には感動しました。個人の得意不得意を考慮しての指導が伺えます。Upload By ウチノコ特別支援学級に所属する子どもは、通常学級にも所属することになります。これは、交流学級と呼ばれる特別支援学級から通常学級に戻って授業を受ける時間があるためです。交流学級での科目は、体育、音楽、図工、生活など。むっくんの小学校では交流学級の時間には、必ず特別支援学級の先生が付き添う仕組みになっています。むっくんは集団の中でスムーズに授業を受けることが難しいときもあるので、この仕組みは親としてはとても安心です。Upload By ウチノコそんな交流学級についてむっくんは、「人が多くて疲れるから嫌だ。」と愚痴ることもあれば、「楽しい!」と話すこともあり、本人のペースで学んでいるようです。ただ、音に敏感なためか音楽の授業は辛いことが多いようで、どうにも参加することが難しいときは授業を受けずに特別支援学級に戻り、休ませてもらったこともあります。辛いときに静かに過ごせる場所が確保されているという安心感があるからこそ、少し疲れても交流学級を頑張れているのかもしれません。Upload By ウチノコUpload By ウチノコ特別支援学級の友達とはとても仲良く過ごしている様子です。特に同級生に対しては「一番仲良しの友達!」と嬉しそうに話してくれます。積極的に人と関わるタイプではないので、また、長時間過ごさない交流学級では友達を作ることが難しいかと思っていたのですが、意外とむっくんの名前を覚えて声をかけてくれる子もいてホッとしています。Upload By ウチノコ次回に続きますさて、ここまではいかにも学校らしい部分についてのお話となりました。とは言っても学校によって、様子やシステムには違いがあると思います。全ての小学校に当てはまるわけではないと思いますが、少しでも生活をイメージする参考になればと思っています。さて、次回は学校生活に付属する登下校や給食、休憩時間などについて詳しくお届けします。Upload By ウチノコ
2020年09月14日\チェック!/うちの子どうしたら勉強してくれる?こんな場合はオンライン学習が合うかもUpload By LITALICOライフUpload By LITALICOライフUpload By LITALICOライフ「学校の勉強に集中できない」「マイペースすぎて学校を窮屈に感じている」というお悩み。LITALICOライフの勉強会や個別面談でも、よく耳にします。Upload By LITALICOライフオンライン学習ってどんな学習スタイル?過去の学年の学び直しもできる2019年、文科省は「GIGAスクール構想」を打ち出しました。タブレットやインターネットを使い、それぞれのお子さまに最適な学習スタイルを実現させる構想です。オンライン学習の良い点は、自分のペースで進められること。そのため、苦手な科目を重点的に学んだり、好きな科目を先取りして学ぶこともできます。大人数で同じペースで進めることが苦手なお子さまも、主体的に取り組める良さがあります。Upload By LITALICOライフUpload By LITALICOライフ通学するスタイルのオンライン学習もある!「オンライン学習」というと、どんなものを思い浮かべますか?学校から帰ってきた放課後、自宅でタブレットなどで学習する…というイメージもあるかもしれません。実は今、授業そのものがオンライン化しているものもあります。高校の選択肢では「通信制高校」はずいぶん認知されてきましたが、中学でも一部出てきました。家で一人でもくもくと机に向かうスタイルのものもあります。一斉指示が通りにくかったり、周りがガヤガヤしていると集中できない、というお子さまには良いかもしれません。先生やお友だちと関わるタイプだと、スクールに通学し、自習室で自分のペースで進めるスタイル、家で、ビデオ会議を用いて朝礼やグループワークをするスタイルなどもあります。Upload By LITALICOライフUpload By LITALICOライフUpload By LITALICOライフオンライン学習はあくまでも選択肢の一つ。他の選択肢や、お子さまに合った環境の整理は、無料勉強会でお伝えしていますもちろん、オンライン学習は、あくまでも選択肢の一つです。学習方法や合うと感じる環境は、お子さまによってそれぞれです。Upload By LITALICOライフLITALICOライフでは、保護者さまに向けた無料勉強会を開催中です。オンラインでの開催なので、ご自宅からご参加いただけます。「グレーゾーン向け 個性を伸ばす「中学・高校受験」発達に特性のある子にあった個性を伸ばす進路の選択肢勉強会」では、STEAM教育やものづくりの特色がある学校、海外留学についてなど、多様な学びの環境についてもお話します。「個別でより具体的に話したい」という場合は、勉強会参加後に希望すると、個別面談で進路や教育費など幅広い話をすることもできます。Upload By LITALICOライフ「不登校の支援と将来への準備」がテーマの勉強会は、不登校だけではなく、“お子さまが学校を行き渋っている”“不登校ではないけれどさまざまな選択肢を知りたい”、という方にもおすすめです。義務教育以降の高校進学の選択肢として、通信制・サポート校や高等専修学校、チャレンジスクールなどについてもお話します。Upload By LITALICOライフどの勉強会でも、チャットで質問できる機能や個別面談の案内をしています。少し興味がある、という方はお気軽にご参加ください。LITALICOライフでは、幼児教育や中学・高校受験、キャリア支援など、さまざまな専門領域をもつコンサルタントが、年間2,000以上のご家庭へ勉強会や個別面談を行っています。これらの知識やノウハウを基に、より多くのご家庭の困りごとや将来への不安を、少しでも「安心」に変えていけるような情報をお届けするメルマガを配信しています。想定配信内容・発達障害のある子にあった進路や自立に関するヒントやイベント情報・発達障害のある子の特性や個性を活かす手立てやお役立ち情報・読者からの子育てのお悩みQ&AなどUpload By LITALICOライフLITALICOライフはお子さまとご家族が「自分らしい人生」を歩んでいくために障害分野とファイナンス、その両方の専門家としてライフイベントやライフプランの見直しを相談できるパートナーです。社会資源やサービス・お金の知識といった幅広い内容を身につけることができる勉強会や、専門領域をもつコンサルタントとの個別面談・プランニングを提供しています。Upload By LITALICOライフ
2020年09月13日授業中にぼんやりしている子のつらさこれまで私は児童精神科医として少年院に勤めながら、自治体の教育相談、学校コンサルテーションなども行ってきました。教育相談の場を通じてお子さんの知能検査などを行うこともあり、その際に、お子さんの「見る・聞く」といった認知機能に弱さが見つかれば、それが学業不振につながっている可能性を保護者の方に説明してきました。すると、保護者の方の多くは、「それじゃあ、この子が授業中にぼんやりしていたり勉強が苦手なのは、ふざけていたりなまけたりしているせいではないのですね」と納得がいった様子を見せます。なかには、それまでの子どものつらさに思いをはせてか涙を流される方もいらっしゃいます。認知機能に弱さがあるのはどうしたら?そのあと、決まって保護者の方から受けるのはこんな質問です。「認知機能に弱さがあるのは、どうしたらいいですか?」しかし、そうたずねられても、以前の私は、なかなかいいトレーニングを紹介できずにもどかしい思いを抱えていました。当時も書店に行くと「見る・聞く力を育てる」という書籍もありましたが、効果検証が不足していたり、包括的に力をつけさせるものではなかったり……。学習ソフトやオンライン教材で「見る・聞く力を育てる」トレーニングを提供しているものもありますが、とても高額であったりしました。そこで、私自身が約5年間にわたり、当時勤務していた医療少年院でトレーニングを実施し、少年たちに対して手応えの得られたトレーニングを『コグトレ』として提供するようになったのです。認知機能を強化する『コグトレ』『コグトレ』とは、「認知○○トレーニング(Cognitive 〇〇 Training)」の略称です(○○には「ソーシャル(社会面)」「機能強化(学習面)」「作業(身体面)」が入ります)。コグニティブ(Cognitive)とは日本語で「認知」のことで、社会面・学習面・身体面から包括的に子どもたちを支援するプログラムが『コグトレ』です。認知機能強化もその1つです。私たちは、五感(「見る・聞く・嗅ぐ・味わう・触れる」の感覚)を通して外部から入ってきた情報を処理しています。これが「認知機能」です。認知機能によって、自分の置かれている状況を認識したり、言葉でコミュニケーションをしたり、問題解決の手段を考えたりして、日常生活を送っています。先生の言うことも聞き取れないことも認知機能が弱いと、学習や対人関係にも弊害が生まれます。例えば、見る力が弱かったら、板書を写せなかったり、漢字の書き取りができなかったり、算数のうっかりミスにつながっているかもしれません。聞く力が弱かったら、先生が言っていることをきちんと聞き取れないこともあります。もしも、お子さんがまじめに勉強に取り組んでいても、テストでいい点が取れない、苦手意識がある、覚えられないというケースでは、認知機能のどこかにつまずきがある可能性があります。認知機能は、子どもの見る力、聞く力、想像する力といった、いわば「学習の土台(スポーツでいう基礎体力)」なのです。分かっていなくても「はい」と答える子の心理相談を受けたお子さんのなかには、先生の言うことが聞き取れていないのに、「分かりましたか?」という問いに、とりあえず「はい」と答えてしまうような子もいました。その子なりのプライドで、「分かっていない」と周囲に知られるのが嫌なのです。そうなると、あとになってできていないことが発覚したときに「ウソつきだ」「ふざけているんだ」「なまけたいからだ」などと誤解を受けてしまいかねません。授業についていけない子が「コグトレ」をすると教育相談では、市内の学校から、授業についていけない、黒板が写せない、漢字を覚えるのが苦手、計算が苦手といったお子さんが、保護者とともにやってきます。年齢はだいだい小学2~3年生が多く、なかには高学年のお子さんも見えます。わが子の発達を心配してわざわざ相談に来られるくらいですから、やはりなんらかの課題が見つかります。多いのが境界知能(明らかな知的障害ではないものの支援が必要な水準)や能力の偏りといったものです。その後は、お子さんの発達の特徴をより詳細に見るために、『コグトレ』のワークシートの問題をやってもらいます。計算が苦手、漢字を覚えられない、黒板を写せない背景「まとめる」「点つなぎ」「形さがし」といった課題シートに取り組んでもらいますと、黒板が写せない、漢字を覚えるのが苦手、計算が苦手といったお子さんは、いずれかの、またはすべてのシートがうまくできないことが多いです(課題シートの例題は、追って紹介します)。「まとめる」問題で、5つまとめて囲む力がなければ、繰り上がり・繰り下がり計算のときに必要となる「数を量としてみる力」が育っていないため、計算が苦手になってしまいます。「点つなぎ」問題で、見本を見ながらそれを模写することができなければ、漢字はもっと難しいのでなかなか習得できないでしょう。漢字を覚えられないのは、「形を認知する力」が育っていないことが原因の1つです。また、「形さがし」問題で、いくつもの点々のなかから三角形や四角形を見つけることができなければ、場所や大きさが変わってもある形を認識できる「“形の恒常性”という力」が育っていないと考えられます。“形の恒常性”が育っていないと、黒板に書かれた図形などをノートに小さくまとめて写すといったことが難しいのです。できないことの練習で苦しい子どもこういった「数える」「写す」「見つける」といった基礎的な認知能力の弱さが背景にあれば、どうしても勉強についていくのが難しくなります。しかし学校では、計算が苦手ならばひたすら計算ドリルを、漢字が苦手ならばひたすら漢字のドリルをやらせる場面もあるでしょう。そんなふうに苦手を克服させようとしても、子どもは苦しいだけかもしれません。計算や漢字といった学習の土台には、「数える」「写す」といった基礎的な認知機能が必要なのです。そして、基礎的な認知機能はトレーニングにより高められる可能性があります。子どもが楽しい「コグトレ・パズル」を紹介それでは次に、お子さんがもっと楽しんで取り組めるように再編した『コグトレ・パズル』の問題から、いくつか紹介しましょう。まずは「数える」問題からです。以下の問題は、5人のオバケ(コバケというキャラ)を5人ずつ、〇でかこんでいく「まとめる」問題です。数のまとまりを感覚的に身につけていきます。Upload By 宮口幸治「写す」の「点つなぎ」問題は、見る力の基礎力を強化していきます。以下の問題は「点つなぎ」で正確に形を見る力をつけていきます。漢字や黒板の書き写しのトレーニングになります。Upload By 宮口幸治「見つける」問題では、見る力の応用力を強化していきます。以下の問題は「形さがし」です。Upload By 宮口幸治また、「同じ絵はどれ?」では、複数ある絵のなかから同じものを見つけることで、物事を見るときに共通点や相違点を把握する力をつけていきます。Upload By 宮口幸治最後に、「想像する」問題です。以下の問題「スタンプ」ではイメージを反転させる力を強化します。ほかにも、他者視点で考える力、論理的な思考力、時間的思考力を強化する問題もあり、幅広い思考力や推理する力、物事を判断する力をつけていきます。Upload By 宮口幸治これらの問題は、スピードが遅いせいで時間内に課題を達成できないお子さん、記憶力は悪くないはずなのに暗記が苦手なお子さんの処理速度のアップや記憶力のアップも期待できます。また、中学生や高校生でも教科学習にミスの多いお子さんにも、力になることでしょう。ぜひ一度お試しいただければ幸いです。
2020年09月12日学校では教えてくれない、発達障害当事者の「将来」の描き方「進路や職業を考えろと言われるけれど、自分には何ができるのか分からない」年若い、発達障害当事者の友人から、そんな悩みを聞かせてもらったことがあります。「中学、高校、大学と進むにつれて支援が薄くなっていく。我が子の将来をどう考えればいいのか」発達障害のあるお子さんを育てる保護者の方から、そんな不安をお話しいただいたことがあります。発達障害者支援法が制定されてから15年が経ち、「発達障害」という概念やその特徴に対する認知は高まってきました。学校での特別支援教育や、児童発達支援・放課後等デイサービス、就労移行支援といったさまざまな福祉サービスも少しずつ、ですが着実に、充実してきたと言えるでしょう。しかし、思春期・青年期の子ども・若者たちの進路や職業選択に関するサポートはまだまだ手薄いのが現状です。世の中にはさまざまな職業があり、生き方がありますが、このような生の声は学校では教えてくれません。「他の多くの人と同じような人生を送ることはしたくないし、できない、しかし何がやれるのか分からない」「好きなことはあるけれど、自信がなくて諦めざるを得ない」と嘆く子どもたち・若者たちも少なくないと思います。そこでこの度、発達障害の診断のあるミドルエイジの先輩方から思春期の後輩たちに向けた、仕事・人生に関するアドバイスやメッセージを届けていく『すてきなミドルエイジをめざして:発達障がいのある子どもたちの人生設計のために』(仮)という企画をスタートしました。職業やライフスタイル、診断や特性、年齢もさまざまなミドルエイジの発達障害当事者の先輩方のインタビューを重ね、学苑社(特別支援教育関連図書を発行する出版社)さんからの書籍出版を予定しています。今回、LITALICO発達ナビとの連動企画として、書籍出版に先がけて、ウェブ上でのインタビュー記事連載をお届けします。職業も特性も多種多様。ミドルエイジの先輩たちが「自分らしい生き方」に至るまで記念すべき連載第1回は、落語家の柳家花緑さんのインタビューです(2020年9月23日に記事を公開します)。Upload By 鈴木悠平2017年に、発達障害の一種で文字の読み書きが難しいディスレクシア(読字障害・読み書き障害)であることを著書で公表した落語家の柳家花緑さん。幼少期の悩みや、落語家の道を進み、自信をつけるまでの過程を語っていただきました。研究者、事務職、整備士、バーテンダー、作家、心理士、ショップ店員などなど、これからご紹介するインタビュイーの方々の職業や働き方も多種多様です。働き方や生き方に、万人に通じるたったひとつの「正解」というものはありません。「発達障害だから」こういう仕事ができる・できないと決めつけることもできないし、するべきではないと思います。だからこそ、この連載では「答え」を提示するのではなく、多様な先輩たちの多様な生き方と、そこに至るまでの考え方や道のりをなるべく丁寧に共有していきたいと考えています。「これから」を考える思春期・青年期の若い発達障害当事者の皆さんが、自分らしい生き方を考える上での「ヒント」を、それぞれに見つけてもらえるような、そんな連載・書籍にしていきたいと思います。ぜひお読みいただき、感想をいただければ幸いです。企画メンバーからのメッセージ連載企画をスタートするにあたって、企画メンバーからのメッセージです。Upload By 鈴木悠平皆さんの将来の夢はなんでしょう?この企画では、発達障害のあるミドルエイジの人の仕事や生き方にフォーカスしていきます。自分のやりたいことと自分のやれることのギャップに悩んでいる人、障害があることを理由に夢を諦めようとしている人、また子どもの将来に不安を持つ保護者の方にはぜひお読みいただきたいと思います。連載で取り上げられる職業の中には一見、発達障害がある人には向いてなさそうな仕事で活躍している人もいます。自分の特性に周りの環境をいかに合わせるか、先輩達の工夫から「発達障害」の考え方自体が変わるかもしれません。プロフィール:鳥取大学医学系研究科臨床心理学講座教授 LITALICO社外取締役専門は、応用行動分析学、自閉症と発達障害への支援、臨床心理学、特別支援教育。 ペアレントトレーニングシステム、強度行動障害研修プログラム、不登校支援プログラムなどの支援プログラムを開発し、LITALICOジュニアのプログラム監修も務める。学生時代はオフロードバイクにテントを積んで各地を放浪、長らく続いたバイク乗り行動も最近は周囲のご批判から黄色信号。大人になりきれないアラフィフ。井上研究室ホームページ井上雅彦TwitterUpload By 鈴木悠平思春期はどんな人でも悩む時期です。発達障害の特性のある方は、さらに人付き合いや家族のこと、進路で頭がいっぱいになってしまうこともあるでしょう。実際、私も何をやりたいのか、やりたいことがあっても実際にそれで食いっぱぐれずに生活していけるのか、不安だらけだった時期がありました。誰に相談すればいいのかも分かりませんでした。でも、これからご紹介するミドルエイジの先輩たちならば、きっと乗り越えるためのヒントを何かしら知っているはずです。連載、どうぞご期待ください。プロフィール:フリーライター。1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本史学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをし、編集業務を学ぶ。卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。猫が好き過ぎて愛玩動物飼養管理士2級を取得。著書に『私たちは生きづらさを抱えている発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)、『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー21)趣味はサウナと読書、飲酒。姫野桂TwitterUpload By 鈴木悠平進路のこと、仕事のこと、将来のこと。未だ来ずの「未来」のことなんか分からない。「早めに考えてしっかり準備する」なんてこと、僕にはとても出来ませんでした。今もあんまり分かっていません。これから連載を読んでくださる皆さん、特に、思春期・青年期の若い世代の皆さんには、だからどうか、焦らずじっくり、考えたり悩んだりする時間を大事にしてほしいなと思います。今回の企画では合計8名のミドルエイジの先輩方のインタビューをお届けしますが、参考になることもあれば、ならないこともあるでしょう。全部を無理に取り入れようとする必要はありません。でも、たくさんのインタビューの中から、何か1つでも2つでも、皆さん一人ひとりにとって「お守り」となるような、言葉や考え方が見つかると嬉しいな、と思っています。楽しんでもらえると嬉しいです。ぜひ感想もお聞かせくださいね。プロフィール:文筆家/インターミディエイター® 1987年生まれ。株式会社閒 代表取締役。LITALICO発達ナビの初代編集長として、2016年〜2019年4月までの3年間、発達ナビユーザーの皆さんと一緒に歩んできました。現在は独立し、文筆・研究を中心に活動しています。ADHD/ASD混合型。体調を崩したり色々ありながらも、仲間たちと助け合いながら無理なく健やかに働き続ける方法を模索中です。閒 - あわい -鈴木悠平TwitterUpload By 鈴木悠平年を重ねるにつれて、支援は薄くなっていく――これは障害のある子どもを育てる私にとっても常に心のどこかで不安を感じ、懸念していることです。そしてそれは保護者の方が多く感じていることだと思っています。「才能を生かして自立すればいい」と言われ、なぜ障害のある子ばかりがそう言われなくてはいけないのか、そのように吐露してくださった保護者の方は一人や二人ではありません。「手に職を」と言われ、まだ将来の夢も描き切れない幼いうちから職につながる進路選択を迫られることへの悩みを話してくれた中学生もいました。生き生きと等身大で暮らす当事者の取材を通して、将来に悲観することなく、今を大切に生きる道しるべを届けられたらと願っています。プロフィール:LITALICO発達ナビ編集長。慶應義塾大学法学部政治学科卒。大学卒業後、約15年大手出版社で雑誌・書籍の編集に従事。その後、事業会社の広告宣伝部を経て現職。子どもは高校生と小学生の2人。長女には先天性の重度知的・身体障害がある。発達ナビ上でのダイアリーへの投稿、コラムへのコメント投稿、編著メンバーのSNSへのリプライなども大歓迎です。
2020年09月11日友達付き合いは“コウのペース”で少しずつUpload By 丸山さとこ読書・工作・折り紙などの1人遊びが好きなコウですが、友人と遊ぶことも大好きです。学校の休み時間も家と同じように本を読んだり絵を描いたりしていることが多いようですが、たまにクラスメイトと絵を描いたり話をしたりすることもあるようです。今ではそんな風に自分なりのペースで友達関係を育んでいるコウですが、3歳頃までは公園や児童館で会う子ども達に興味を示すことはなく、むしろ避けて通ることもあるくらいでした。幼児期のコウの友達との関係は?相手が大人であれ子どもであれ人間にあまり興味を示さなかったその頃のコウは、行動が激しく声も大きいためか基本的には子どものことが苦手なようでした。大人しい子であれば近くにいることはできましたが、関わることはありませんでした。Upload By 丸山さとこ「同年代の子どもと接することを強要しても仕方ない。興味が出るのを待とう」と考えた私は、積極的に仲介をすることはしませんでした。とはいえ、「子どもという存在が見慣れないものになると“興味を持つきっかけ”も生まれないかもしれない」とも思ったため、コウにとって強いストレスにならないよう、ある程度空いている時間帯に公園や児童館へ行っていました。そうしてあまり子どもとの関わりがないまま保育園に入園したコウは、反応が乏しく大人しいことからおままごとに誘われるなどして、意外にも集団での遊びに参加していました。おままごとは家でも自発的に行うことの多い遊びだったことから、コウにとっても落ち着く作業になっていたようです。彼にとってのおままごとは“関わり遊び”というよりは“知っているシーンの再現遊び”だったようで、特に他の子と話をすることもなく黙々と料理を作ったりしていましたが、周囲もまだ幼児であることから大きく浮かずに一緒にいることができたようです。あまりしゃべらず大人しかった3歳までから一転、4歳になったあたりから語彙が増え始めたコウは、5歳頃から思うようにいかない時にブリッジをして怒るようになりました。Upload By 丸山さとこある程度会話で意思を伝えられるようになってきたことで、かえって「思うようにならない!」と感じることも増えてきたのかもしれません。この頃はまだ同級生とケンカが成立する程のコミュニケーション力はなく、突然1人で怒りながらブリッジを始めることが彼なりの怒りの表明だったようです。「意思を伝えるということは高度なコミュニケーションなのだな…」と思ったことを覚えています。そんなコウも、年長になる頃には一緒に図鑑を見たりふざけあったりする友達ができたようです。迎えに行くと誰かと遊んでいる姿を見ることも多くなりました。小学生になり、友達と行動を共にできるクラスメイトの中で…小学校入学後も、まだ学年全体に幼さの残る1年生の1学期までは“同じところに集まってワイワイやっている”だけで何となく友人関係が成立していましたが、夏休みが明けた頃から少しずつ周囲とズレが出てくるようになってきました。Upload By 丸山さとこ2年生にもなると、たとえ気の合う子と遊ぶのであっても、「友達と行動を共にする」ことや「ルールを擦り合わせて共有する」ことが必要になってきます。皆が違う遊具に移動する際に声をかけられても「僕はこれをしていたいから」と言いその場に留まるコウです。そんな“協調性の無さ”から同級生の中でも浮いていることが目立つようになってきました。私は、学校でのクラスメイトとの関係については“いじめ”でない限りは直接的な介入はしませんでした。授業中のグループワークなど、協力を得られず課題を進められないのであれば義務教育に支障が出ているということで介入の必要があるかと思いますが、休み時間に誰とどう過ごすかは、子どもの自由だと考えているからです。親から見れば些細な事に思えることでもコウ本人がいじめだと感じていることはありますし、“いじり”なのか“いじめ”なのか微妙だなと思う時もあります。そのような時は担任の先生に事実の確認や見守りをお願いしたり、スクールカウンセリングにて相談をしたりしていました。「こんな時どうする?」を一緒に考える日々コウは今までSSTを受けたことはありません。近くに通える施設が少なく、月に1度病院にてカウンセリングを受けながら空くのを待っている状態です。Upload By 丸山さとこその為、カウンセリングにて相談をしている他は、私がただの親子関係として「こんなことがあったんだよ」「お母さんはこういう時どうしたらいいと思う?」を聞いたり答えたりしているだけです。私自身もASD・ADHDの成人当事者です。コミュニケーションは全く得意ではありませんが、年齢分の経験があることから少しだけ「こうじゃないかな?」「こういうことが起こっているのかもしれないね」と“お母さんはこう思うよ”の範囲で話すことはできます。「遊んでいた友達が移動する時にコウが付いていかないのであれば、その子はまた新しく遊ぶ相手を確保しなくちゃいけなくなるね。そうしたら、その子は次からどうする?」と聞くと、コウは「うーん…『最初から違う子に声をかけたらずっと遊べる』ってなるか…」と答えます。そうして状況を推測して共有した後は、コウに「どうしたい?」と聞くようにしています。コウが「それなら僕も1人で遊んでいた方が自分のペースで遊べていいな」と思うのであれば、それに対するメリットとデメリットを並べて一緒に考えてみます。友達の繋がりを持っておかないとサッカーやキャッチボールなどの1人ではできない遊びの時に困るかもしれません。自分にとって都合の良い時だけ仲良くしよう!とはいかないからです。Upload By 丸山さとこ一方、あまりに無理をして友達のペースに合わせていると、「ちっとも楽しくないし疲れる!」となってしまうかもしれません。そうして考えていくと、「こういうところはもう少し周りに合わせた方が良さそうだな」とか「これは譲りたくないな。どうやって伝えたらいいのかな?」とか、「遊びの好みやテンポが合う子と一緒にいた方がいいんだな」ということが分かっていきます。もちろん、現実はそこまでシンプルではありません。特に、中学年以降になると“相手も本当は嫌だけど我慢をしている”とか、“力関係でNOを言いにくい状況である”など、色々と難しい場面もあるとは思います。それでも、「そういうパターンの可能性もあるよ」という経験を重ねていくことでトラブルの原因や対処法を理解していく部分はあるようです。資源回収などで色々な学年の子ども達が集まった時の様子を見ると、大体2~3学年下の子どもと丁度足並みが合うようで、本当は年齢に縛られず「コミュニケーション能力の発達段階が丁度合う相手」と関わる場があると良いのかもしれないなと感じています。5年生となった現在でも年齢より幼いコミュニケーション力からトラブルを起こすことはしばしばありますが、時には先生などの大人だけでなく、クラスメイトや上級生が仲裁に入ってくれることもあります。Upload By 丸山さとこまた、趣味をいくつか持つようになったことで、それをきっかけにクラスメイトとの交流が生まれることもあるようです。ゲームや将棋やScratch(プログラミングソフト)など趣味が合う友達と遊んだりしているようです。趣味があると余暇の過ごし方も少し豊かになるようです。無理強いにならない範囲で、新しいものに触れる機会を作っていけたらいいなと思っています。
2020年09月08日20代半ばで知った広汎性発達障害…診断を受けたのは就職後Upload By 桑山 知之「♯見えない障害と生きる」連載第2回は、愛知県名古屋市でグラフィックデザイナーとして働くノビさん(38歳・男性)に話を聞いた。ノビさんは愛知県内の大学を卒業後、印刷会社のデザイナーとして就職した。しかし、ある程度のカリキュラムをこなしていれば一定の評価を得られる学生時代とは違い、入社後ほどなくして壁にぶち当たった。「手が遅いんです。仕事にも時間がかかって、すごく残業してたんです。先輩に『そこまでやんなくていいよ』『うまく手を抜けよ』って言われるんですけど、手を抜くと肝心なところをすっ飛ばしちゃったりして、めちゃくちゃ怒られる。『うまく手を抜く』、その“うまく”ができなかったんです」その後、仕事を辞め個人でデザイナー業を始めようとしたが、それも失敗した。どうにもうまくいかなかった。何かがおかしい。そんな折、大学時代に同じゼミだった友人と再会する機会があった。彼は発達障害だった。「多分お前もそうだと思うから、診断受けてみろよ」。そう言われるまま、ノビさんはクリニックに足を向けた。そこで、広汎性発達障害という診断を受けた。20代半ばだった。発達障害の診断は「許されたような感じがした」Upload By 桑山 知之ノビさんは学生時代、勉強こそ多少できる方だったが、算数だけは異常に出来が悪かった。そして何より、誰かと一緒に何かをやるという楽しみがあまり理解できなかった。「大学時代の友達に久しぶりに会ったら、『学生のときは修行僧のようだった』と言われました。自分の中で正しいと思っていることは譲らないというか、会話を楽しんだり雑談が苦手というか…」思い返せば、幼いころから対人コミュニケーションには難があったノビさん。保育園ではみんながジャングルジムで遊んでいるのを見て「何が楽しいんだ」と思っていた。中学・高校では、仲の良いグループ以外の人間とはほとんど親しくすることができなかった。複数のコミュニティをまたいでいる友人は輪を広げていき、それに乗っかることができなかったノビさんは、やがて遊びに誘われる機会が減っていった。だが20代半ばで発達障害の診断を受け、心が穏やかになったという。「どちらかというとポジティブに受け止めたところがあって、正直ホッとしたんですよ。コミュニケーションもうまくいかなかったことが多くて、自分の努力が足りないとか、自分に責任があると思ってたんですけど、『障害です』『先天的なものです』って言われたときに、なんかこう許されたような感じがしたんですよ」Upload By 桑山 知之3歳児検診で「傾向あり」…伝えてほしかった発達障害というのは、“見えない障害”である。それゆえ、親が自身の常識や価値観を押し付けてしまい、子どもが苦しんでしまうことがままある。発達障害の特性が少しずつ見えてくるのは、3歳児健診であったり、幼稚園や保育園などといった集団生活であることが多い。早期に我が子の特性を理解したうえで親が接していくことで、併発しがちな二次障害を防ぐこともできるだろう。ノビさんは、診断について家族に対し思い切って打ち明けてみた。すると意外な言葉が返ってきた。「けっこう自分としてはそれなりに覚悟を持ってカミングアウトするつもりで、あるとき折に触れて話をしたんですよ。そのときの母の反応が、『あぁ、なんかね、そんな感じだよね』みたいな。なんかそんな気がしてたっていうノリだったんですよ」実はノビさんの母は、おそらく3歳児検診の際、「発達障害の傾向がある」と指摘されていたという。ただ、その段階では保育園で友達と揉めているなどの問題が起きていたわけではなかったため、様子を見ようということになり、そのまま進学、就職まで至ったらしい。その過程でも時折、例えば高校の進路を決めるときには自然がいっぱいあるところがいいんじゃないかという「謎の提案をしてきたこともある」と回顧する。Upload By 桑山 知之「(発達障害かも知れないと)わかってたんならもうちょっと何かこう、訓練とか何かあったんじゃないの?こっちはそれなりに苦労してるんだよ?っていうモヤモヤとした気持ちはありましたね。親は自由な考え方なので、こうじゃなきゃダメとか、レールを敷くような感じは全然なくて、放任主義なんです。それはそれでよかった部分もあるんですけど、もっと関わりがあってもよかったかなと。関係性が薄かったんです」我が子に発達障害かも知れないと伝えることのストレスは非常に大きい。ひょっとしたらノビさんの母はあえて“伝えない”という形を選んだのかも知れない。またそれは我が子を思っての選択だったのかも知れない。しかし成人後、ノビさんは確かに生きづらさを抱えてきた。これはあくまで結果論ではあるが、子どもが生活するうえで違和感を覚えていないか、親はアンテナを張っておく必要があるのかも知れない。再就職失敗、そして離婚…挫折から人の気持ちが分かるようにUpload By 桑山 知之“修行僧”のようだった大学生のころから、ノビさんには恋人がいた。「恋愛偏差値が低すぎた」ため、彼女の方からグイグイと来てくれたのがよかったという。やがて社会人になり24歳で結婚。しかし、個人での事業もうまくいかず、再就職を決意した。「新卒の就職活動と違って、再就職はレールがあるわけではない。面接で自分は必死にアピールしてるつもりでも、面接官から『お前さぁ、今のままでいいと思ってんの?』と説教されて帰ってくる。そうすると、夜の公園でブランコにもたれながら泣いちゃうんですよ。『何やってんだ自分は』って。抑えきれなかったんです」自分自身にそこまで感情の起伏がないため、他人の気持ちが理解できなかったノビさん。人が泣いているのを見ても、本当なのかと疑っていたという。しかし、再就職での挫折を受け、思わず涙をこぼす日々が続いた。それとほぼ同時に、離婚することになった。「本当に胸が潰れるような気持ちをそこで初めて経験しました。あのとき、あの人たちが言っていたつらい気持ち、苦しいとか悲しいっていうのはこれなんだというのが、そこで初めてわかったんです。今までは“自分の中での正しさ”を大事にしていたんですけど、“相手がどう思っているか”を大事にした方がコミュニケーションがうまくいくんだなって」発達障害の僕が生きるための“工夫”診断を受けたことで就労移行につながり、そのままその運営会社に就職したノビさん。現在はさまざまな受託事業のチラシを制作するデザイナーとして活動している。聴覚過敏で特に気になる「人のガヤガヤ声」を遮断するため、最近ではライフル射撃の選手が使うような耳栓をしているという。「努力というよりは、工夫するって感じですね。僕は発達障害以外にもてんかんの持病があって、薬を1日4回飲まないといけないんです。そこで、薬を1錠飲んだら、右腕から左腕にこのブレスレットを1本移していくんです。忘れないようにするっていう努力だとつい忘れちゃうので、仕組みを作るようにしました。このルールを伝えている人なら『朝飲んでないんじゃないの?』とか指摘をしてくれるんです。『この時間は全部左腕にないとダメなんじゃないの?』みたいな」つい忘れてしまうのであれば、仕組みやシステムを変えて、工夫する。診断を受け入れたからこそできる行動だ。他にも、仕事のタスクを付箋で貼っていく中で、優先順位が上がるとその付箋の位置を変えていくことで、見過ごさずに取り組めるといった方法を紹介してくれた。「前にインターネットで見た呟きで、すごいグッと来たものがあって。『みんなすごく我慢してるんだからお前も我慢しろ』って、よくあるセリフじゃないですか。でも、みんなが我慢してるんだったら、システムが悪いでしょって。障害って、みんなが当たり前にできることができないからこそ、“工夫”でなんとかしようと思ってます」Upload By 桑山 知之取材・文:桑山知之取材協力:若者支援ネットワーク研究会in東海
2020年09月03日初めての夏休みUpload By taeko夏休みが始まり、朝から一日中学童で過ごす生活になりました。夏休みの宿題はプリント13枚ほど、読書3冊~、休校期間中から育てていたアサガオの観察日記2枚、夏休みの出来事の絵日記2枚、防災マップを家族と話し合う課題がありました。今まで学童の学習時間には宿題をせず、市販のドリルをやっていました。市販のドリルはご褒美のシールが男の子向けのカッコいい絵柄で、それが目当てで同じドリルを持ってるお友達と競っているらしく…その調子でドリルを頑張ってほしい!そこで、夏休み期間中も学童ではドリルを、自宅で宿題をすることにしました。朝食後に「時計の針が何になったらやる?」とミミに聞いて、決めさせてから宿題の読書とプリントを1枚(表裏)やることに。Upload By taeko学童では一緒に遊ぶお友達がいるみたいなので心配していませんでしたが、ある日ミミは「学童に行きたくない」と言いました。迎えに行くと汗びっしょりになる程楽しんでいるのに、なぜ行きたくないのか理由を聞くと「家で遊んでいたい」とのこと。色々と疲れてるのかも?と思い、一日だけ休ませることに。私とパパは家にいるけど仕事をしているからミミと一緒に遊べないこと、私はオンラインで打ち合わせがあるから、その時は静かにしてねと伝えました。弟のふーは保育園に行っているのでミミ1人で過ごしてもらうことに。1回30分位と決めた動画を見終わると、やっぱりまだ1人ではいられず、ちょこちょこ話しかけて来るので私は仕事に集中できず...。打ち合わせ中も落ち着かず私はそわそわ。察してくれた部長がチャットで様子を聞いてくれて、「お子さん、学童楽しめるといいね」とフォローしてくれてホッとしました。ミミは学童を休むと、お友達に会えなくて退屈になることが分かった様子。私も仕事しながら小学1年生と過ごすのはまだまだ大変であると痛感したのでした。Upload By taeko学童を休ませた日、自主的にドリルをやりたいと言うミミ!ヤル気がある今がチャンス!でも私の仕事は就業時間が決まっているので、時間の融通が効きやすいパパに見てもらうよう頼みました。けれど、ミミは予想通り数分で涙を流して私の所へ。パパに聞くと、「ダメな所を注意してたら、勝手にあっち行った」とのこと。私は何も言わずにミミのフォローへ。Upload By taekoパパはよくいえばブレない性格。ミミへの言い方を優しくして欲しいとか、「ダメ」という言葉を「○○してごらん」と具体的に指示して欲しいとか、療育的な対応のアドバイスは一切聞いてくれないので、私も求めないことにしています。パパの言葉などによって自己肯定感が下がるようなことが起きたら、パパはミミのためを思って言っているのだと伝えるけれど、「僕はダメなんだ...!」と何度も否定しては落ちていくループ状態に...。私は「そうか~。でね...」と他の話題に変えて、ミミを切り替えます。Upload By taeko感情的になってケンカすると、ミミが「自分のせいでパパとママはケンカしている」と思ってしまうので避けたいところ。私がいつも通りにしていると、いつの間にかパパとじゃれていて拍子抜け。さっきあんなに怒ってたパパと、怒られて涙だったミミだけど、心配要らなかったようです。特別な夏休みだからこそUpload By taeko新型コロナや暑さで外出するのも大変だけど、この状況を楽しみたいものです。家にいる時間が長くなったこともあって子ども達に動画を見せるようになり、私も子育てや自己啓発についての動画を見始めました。参考になる所はどんどん取り入れていきたいなあと思います。
2020年08月31日「お母さん一緒に遊ぼう!」スペシャルタイムを与えるつもりが…Upload By スガカズUpload By スガカズある日の夜、次男と2人で遊ぶ約束をしたのですが、3歳の長女と2歳の三男を寝かしつける必要があったので、「下の子たちを寝かせてから遊ぼう」と言い寝室に行ったのですが、そのまま眠ってしまいました。気付いたころには深夜の1時…。焦った私は、寝ずに待ってくれていた次男を見て「まだ起きてたの?」「もう寝ないといけないよ」と、本人が頑張って待っていた行動を否定する声かけをしてしまいました。案の定次男は怒ってしまい、次の日の朝も険悪な状態でした。謝るタイミングもうまく見つけることができず、激しく後悔…。「約束をする前に、【寝てしまう場合がある】ことを話しておけばよかった」と後悔もしました。Upload By スガカズUpload By スガカズ次男を怒らせてしまった次の日、次男の特別支援教室の専門員さんと電話をしました。「頑張っていた次男くんに温かいミルクを差し出して、【待ってくれたんだね。ありがとう。】を付け加えると納得したかも知れないですね。」とアドバイスをいただけました。起こった後の行動を振り返るのも大事ですが、一番大事なのは次男にまず「待ってくれてありがとう」「寝てしまってごめんね」と気持ちを伝えること。当たり前のことですが、できていなかったのです。先生の言うとおりだと反省し、帰宅した次男にすぐ謝罪しました。この時「約束を交わしたとしても、守れない場面がある」ことについても話し合いました。本人の気持ちを考えたコミュニケーションが大事だと改めて感じた出来事でした。
2020年08月28日着慣れた服がいちばん!新しい洋服には興味ナシUpload By かなしろにゃんこ。ADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太は現在22歳。昨年、車の整備士の資格を取得して車の販売店に就職しました。整備士として働いています。休みの前日や休日は、疲れていても誘われると友だちと遊びに行くなどして過ごし、人と関わることがわりと好きな性格です。女の子とも気軽に会ったりドライブをするのですが、息子は女の子と会うのにテキトーな服ばかり着ていきます。以前デートに毛玉だらけの服をチョイスしようとしたコラムを書きましたが、ファッションに関しては数年経った成人後でも成長がないままでした。Upload By かなしろにゃんこ。肌の感覚過敏があって、幼少期から中学卒業頃までは服の素材によっては痒みが出たり、肌と服がこすれる感覚を気にしたり、ストレッチ素材でないものは体の動きが阻害されるようで着ていてツラくなったり、色物の服では素材とインクによって汗をかいた際に化学変化で体臭が臭くなることを気にしていたり...と問題がいろいろありました。そのため、着るものでパフォーマンスを下げたくないという気持ちが大きく、結局は着慣れた服を着ることが一番落ち着くことから、新しい洋服への興味も、流行りのものに惹かれることもなかったのでした。Upload By かなしろにゃんこ。17歳くらいから母が買ってきた服で「カッコイイんじゃね」と気に入ったデザインの物は着ていましたが、ゆったり感がないものや綿以外の素材のものだとイヤがって絶対に着ませんでした。ところがそんな息子が今年になってはじめて、「こういう服が欲しい」と主張したのです。そんな息子が突然オシャレに目覚めた!?「80年代風の服が欲しい!」Upload By かなしろにゃんこ。80年代風のロゴデザインがあるTシャツや夏用の短い丈のパンツなどがほしいとのこと――そこで、一緒に買いに行くことになりました。成人したんだから一人で買いにいけば?とも思うのですが、上下をどう合わせていいのかなど分からないことがあるし、店員に聞きにくいというので母が合わせてあげることにしました。母は、女の子と出かけるのにオシャレしたいんだな…ふふふ大人になったわね♡と思って心の中でニヤニヤしていたのです。ファッションに興味を持ったことは成長なので、母の意見をグイグイ押し付けるのではなく、欲しいシャツに合わせてパンツや履物をいくつか候補に挙げて自分で選ばせることにしようと思いました。タグや襟首などの素材が肌にソフトな物を選ばせるようにアドバイスしながら選ばせ、お気に入りの物が手に入りました。早速新しい服で出かける息子。「もしかして、デート?」と尋ねると...Upload By かなしろにゃんこ。早速出かけるときに着ていたので、「女の子に会いに行くの?」と聞いたら...「違うよ、80年代旧車のイベントに行くんだ!参加する人はみんなオシャレだからオレも服を合わせたんだよ。女の子と出かけるときは普通のTシャツにGパンでよくね?」と。いやいや逆だろ!女子と会うときこそオシャレしろよ!とツッコミました。どうも「いいね♡」と思われる対象が同じ趣味の少し大人の人らしいのです。承認されたい相手が憧れの人というのはわからなくもないです。他人の目を気にせずに自由に振舞ってきた子でしたが、やっと社会の目や見た目に気を配るようになったのでした。次回は女の子と出かけるときに息子が気を付けている3つのことをお話したいと思います。
2020年08月27日自立生活を選ぶ障害者の日常を描いた映画、『インディペンデントリビング』Upload By 発達ナビニュース大阪にある自立生活センターを舞台にした本作。監督は、自らも介助者として働く田中悠輝さんです。障害当事者からの「自分たちの姿を撮って欲しい」という声を受け、自立支援の現場で3年にわたり撮影を続けました。本作で描かれているのは、病気や事故などによりさまざまな障害を抱えながらも、家族の元や施設ではなく、自立生活を希望する人たちです。彼らにとって、自立生活は自由を得られる一方、多数のリスクや責任を負うことになります。家族との衝突や介助者とのコミュニケーションでのトラブルなど課題も多く、ときに失敗することもあります。しかし、そんななかでも、自ら決断し着実に変化していく当事者たちの様子が鮮明に描写されています。“自立生活運動”の現在をテーマにした本作。「自立生活運動は出会った人を元気にし、社会を着実に変えていく力をもつ」と言う監督の田中さん。しかし一方でこれまで、自立生活運動はあまり国内で知られていませんでした。そんななかで「これからが本当に『この運動の価値を伝える』段階になっていきます。」と田中さんは語ります。今まであまり知られていなかったテーマに踏み込んでいるのが、本作の大きな見どころのひとつです。【上映情報】インターネット配信で上映中※詳しくは公式ホームページをご覧ください障害のある人たちを、デザインで楽しく応援する!手帳ケースやバリアフリーグッズがフェリシモから発売中!Upload By 発達ナビニュース車いすの女の子を家族に持つ水戸川真由美さんらによる「ブルーナ バリアフリープロジェクト」。フェリシモは、このプロジェクトの「〜こころのボーダーをなくそう!〜すべての人が共存するやさしい環境をめざす」というコンセプトに共感し、障害のある人たちを応援する雑貨を共同企画しました。汚れから手帳を守り、両面窓で提示も楽な障害者手帳ケースや、カーステッカーなど、ブルーナのイラストを使った素敵な商品が目白押しです。デザイン性だけでなく、機能性も抜群で、絵本のようなA4ファイルポーチはメッシュ素材で中が見やすいなど、日常使いに優れています。また9月中旬には、伸縮性のある素材とかかとのない仕様で、幅広いサイズに対応するバリアフリーな靴下が発売開始!イレギュラーなサイズの多い車いすのお子さまを持つママたちの声で生まれました。いずれもフェリシモのオンラインショップから、お買い求めいただけます。※詳しくはホームページをご覧ください子どもとおとなが共に創る「あそび場」Upload By 発達ナビニュース一般社団法人谷中のおかってが運営する「ぐるぐるミックス」は、たくさんの出会いのなかで、子どもとおとなが一緒になって「あそび」を生み出す創作教室。いつもは教室を拠点 に、地域やご家庭と連携しながら、子どもたちの日常の延長線上に、子どもたち一人ひとりにあったもうひとつの「あそび」の習慣をつくっていくことができる環境を提供しています。今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、zoomを使って「リモート版ぐるぐるミックス」という活動を実施中です。リモート版ぐるぐるミックスは、オンライン上でおとなと子どもが一緒に遊べるアトリエの時間です。アーティストのアイデアが詰まった「ぐるぐるキット」が事前に参加者一人ひとりのお家に届き、そのキットを使って、アーティストの講師と一緒に作品を作ったり試行錯誤を楽しんだりすることができます。また、今までは4,5歳の子どものみが対象でしたが、9月からは「ダイバーシティ枠」という、年齢不問で、障害がある子どもも参加しやすい枠を設けるそう!以下は秋開催で実施予定のプログラムです。<秋開催のプログラム>1)9/26(土) オリエンテーション +「みてみてツール」2)10/10(土) 「飛んで!フェンフェン」3)10/24(土) 「ひたすらぷすぷす♪」4)11/7(土) 「不思議生物じゃーしの旅」5)11/21(土)「ナガイさんの帯紙(おびがみ)」6)12/5(土) 「アルミホイルで乾杯!」開催概要や募集要項など、詳細はホームページをご覧ください。
2020年08月26日ニュースを見るたび、不安が募る日々…新型コロナウイルスの影響で、なかなか気軽に外出できない日々ですが、みなさま、いかがお過ごしでしょうか。私が住む沖縄も日に日に状況が悪くなり、毎日ニュースで感染者の数を見るたびに不安が増してしまいます。Upload By SAKURAしかし、子どもたちの手前…なかなか不安を表に出すことはできません。大人だって不安だし、怖い。しかし、怖い怖いと泣き叫ぶわけにもいきません。Upload By SAKURA子どもには、冷静な対応を!私が過剰に怖がれば、子どもたちも不安にさせてしまいます。特に広汎性発達障害の娘(9歳)は、神経質で感じやすいところがあるため、私自身、落ち着く!冷静に対応する!…を心がけていました。最初の頃は、神経質に考えることはなく、いつも通り気にせず生活していた娘でしたが、沖縄での感染者が増える日々…そのニュースをテレビで見る機会も増えていきました。娘はだんだんと心配になってきたようで、不安を口にするようになりました。Upload By SAKURAその度に私は、手洗いうがいの大切さや、免疫力を上げるために規則正しい生活・睡眠・食事が大事ということを話すようにしていました。正しい知識を知ってもらい、少しでも子どもたちの不安が和らぐように、気にかけながら話をするようにしました。とはいえ、大人だって怖い!…とは言いつつも、本当は心配で仕方ない私。「今日は何人だろう…」「どこの地区の人だろう…」と考えるたび、マイナスな想像ばかりしてしまいます。不安をなかなか口にできない分、私の中には、もやもやした思いが溜まっていきます。ニュースを見た後は、ついつい考えすぎてしまって、子どもたちの前にもかかわらず黙り込んでしまうこともあります。Upload By SAKURAそんなふうに不安が溜まってくると、私は無意識に、“ある行動”をとっています。それは…不安な時、無意識にやってしまうのは…Upload By SAKURAパンやお菓子づくり。なぜか、私は不安に感じた時、無意識にキッチンへ向かい、パンやお菓子づくりを始めます。しかし、実は私、料理が苦手。普段のご飯づくりにもストレスを感じるタイプです。パンづくりも、お菓子づくりも、子どものためにはやりますが、そこまで好きではありません。Upload By SAKURAご飯の支度ほどではありませんが、パンもお菓子も、子どもたちに頼まれればつくりますが、できればつくりたくないと感じる方。普段、自分からつくることはほとんどありません。複雑な工程を淡々と続けることで、感じなくなる不安。しかし、その“したくないこと”を、不安になると急激にやりたくなるのです。その時は、やりたい・やりたくないの気持ちより先に体が動く…という感じ。材料をまぜたり…こねたり…工程のめんどくさいことを淡々と続けます。Upload By SAKURAいつもと同じように楽しいとは感じませんが、不思議と、作業している間は不安を感じることはありません。できあがったものを、子どもたちのところへ持っていき、「やった~!」「おいしい~!」「もっと作って~!」という子どもたちの笑顔を見る頃には、不安は消えています。ニュースは情報として知っておく必要がありますし、警戒もしなければなりません。しかし、過度に考え込んだり、不安を感じていては、精神的にも良くないし、免疫も落ちるかもしれない。不安は、考えないように、感じないように頑張ってみても、ついつい出てきてしまうもの…。私は、面倒な工程をこなすことで不安を追い出し、無意識に自己防衛しているのかもしれません。Upload By SAKURA私の場合…ですが、自分を平常心にすることができ、なおかつ子どもたちも喜ぶ、パンやお菓子づくり。みなさんも試してみてはいかがでしょうか。
2020年08月26日"一緒にいてもそれぞれ好きなことができる"心地よい家族の関係我が家はでこぼこ兄妹の二人と、兄妹のお父さん、それから私の4人家族です。なかよし兄妹のタケルといっちゃんを中心に、大体いつも一緒に行動しています。よそのお宅のことはよくわかりませんが、大変仲の良い家族だと思います。外に出ているより、家の中の方が安心ということもありますが、我が家はASD気質の強い人がマジョリティ(多数派)なので、お互いあまり邪魔にならないように暮らしており、一緒にいても好きなことができるというのが大きいと思います。Upload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロお父さんが反抗期いっちゃんのターゲットになったワケは...しかし、時々その静寂が破られることがあります。それはお父さんが「不安定」なとき。LITALICO発達ナビでは子どものエピソードを中心に書いているので、今まであまり取り上げてきてはいませんが、でこぼこ兄妹のお父さんにはADHDがあります。また、Ⅰ型糖尿病で血糖値の高下が激しくなりがちなこともあり、身の回りのことに気が回らなくなって、ふらふらウロウロしていることがしばしばあります。普段から、パーソナルスペースが狭く、散らかし屋のお父さん。「不安定」になっているときは、ますますその傾向が強くなり、そのことがルールに厳格な子どもたち(私も)をイラつかせるのです。例えば、棚の上のリモコンを取ろうとして、床に置いたプリント類を踏み荒らしていくことなど日常茶飯事なわけです。Upload By 寺島ヒロ私たちASD組(でこぼこ兄妹と私)であれば、相手が集中して作業をしている間はできるだけ話しかけません。何か用事があっても、後でもよいことだと思えば、とりあえず棚上げし、自分も何か他のことを始めてしまいます。そうして伝えるのを忘れてしまうこともしばしばなのですが、お互いの間では「そういうこともある」とおおらかに捉えています。それで揉めるということはないのです。でもお父さんはADHDからか、一度話したい!と思うと待てません。相手が何をしているか、どこにいるかも構わず話し始めて、反応がないとどんどん声が大きくなっていきます。何か用事…伝言などあれば、更に傍若無人です。お父さんに言わせると「思い出したときに言わないと忘れちゃうじゃないか!」ということになるのですが、ASD組の方から見ると、いきなり飛び込んできて、何かわあわあ言っているぞ?…という感じにしかならないのですよね。ASDのある人に話を聞いてもらうには、まず「あなたに話しているのだ」ということを認識させ、短い言葉で、端的に伝えなければならない、とはよく言われることですが、他のことに集中しているときにそれを中断して、他のことに注意を向けるのは、ASDのある人にとっては大変な苦痛を伴う作業です。度重なると「この人、いつもなんかイライラすることを言ってくる」というイメージが人についてしまいます。わが家ではそれが「お父さん」だったのです。Upload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロ普段から泣くこともない妹いっちゃん、「荒れる」といった形で感情を表出させることもないので、反抗といっても大したことはしないのですが…何かというとお父さんに不満げに当たるようになりました。Upload By 寺島ヒロさすがにお父さんも「最近ムスメのあたりがキツイ…。」とこぼしていますが、いっちゃんの言っていることも一つ一つは至極ごもっとも。あるとき、「これを機会に、娘に尊敬されるきちんとしたお父さん像を目指してみてはいかがですか?」と言ってみたところ、お父さん、「え?俺が?ムリ。」「ただの反抗期でしょ?大丈夫だよ。お父さんキライって言ってるいっちゃんもかわいいよ!」とのこと。全く意に介すそぶりを見せません。と、そのとき…!Upload By 寺島ヒロ実は隣の部屋で聞いていたいっちゃん。絶対零度の冷たさを感じる一言でした…。まだまだこの件、解決にはほど遠いようです。
2020年08月25日神奈川県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報放課後等デイサービス心音~ころん~では、運動プログラム、創作、クッキング、畑作業、ソーシャルスキルトレーニング等、様々なプログラムを通して、子どもたちの「脳」と「五感」を最大限に刺激し、発達を促しています。スタッフ間では日々検討会議を行い、支援のあり方や情報共有に努め、定期的な研修も取り入れ専門性を深めながらお子さんの支援を行っています。経験から得られる知識や知恵に繋げられるよう、世界の喜び・感激・神秘などを、子どもと一緒に再発見し、感動を分かち合うことで、様々な体験から得られる気付き、宝物を発掘します。神奈川県の放課後等デイサービスをもっと見るUpload By 発達ナビ施設情報Solverde global kids(ソルヴェルデ グローバル キッズ)は、療育と英語が学べる多機能型療育施設です。療育にあたるスタッフは日本人バイリンガルであり、かつ2年以上の療育経験者の為、お子さんも安心して学習が進められる環境が整っています。また、サイエンス(科学)、テクノロジー(技術)、エンジニアリング(工学)、アート(芸術)、マセマティックス(数学)にも取り組み、楽しみながら学習を進めています。英語ではお子さんの好きを見つけて伸ばし Specialist を、またはお子さんの好きを増やして伸ばし multi-potentialite を目指します。神奈川県の放課後等デイサービスをもっと見る神奈川県児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報LITALICOジュニア中山教室では、言葉の遅れやコミュニケーション、集団行動などの困りごとを中心に、一人ひとりに合わせた指導計画を作成します。発語、親子やお友だちとのコミュニケーションスキル、身辺自立をはじめとする基本的な生活スキル・社会性を身につけながら、言葉や数の概念、手先や体の動かし方、読み・書きなどのプログラムを通じて学習を深めています。また、保育園・幼稚園との連携も積極的に取り入れていますので、包括的にお子様の生活や成長を支えていくことが可能です。小学校に向けての就学移行期にも、訪問や引継ぎなどを通して、お子様の未来もサポートしていきたいと考えています。神奈川県の児童発達支援事業所をもっと見るUpload By 発達ナビ施設情報Solverde global kids(ソルヴェルデ グローバル キッズ)は、英語を中心に支援を行う多機能型事業所です。科学や芸術、数学等様々な療育を取り入れながら、多角度からお子さまが楽しく英語を学べるよう自己肯定感を養います。航海をテーマとし、スタッフは旅のプランナーとして保護者様と旅のプランニング(経路、目的地)を行い、お子さんと航海(輝く未来)への夢を巡らすことで、錨をあげてお子さんの背中を押し、旅立ちを応援していきます。神奈川県の児童発達支援事業所をもっと見る千葉県児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報LITALICOジュニア流山おおたかの森教室では、0歳~6歳(年長)のお子さんを対象とした児童発達支援をおこなっています。指導内容はコミュニケーションから集団参加、学習まで多岐にわたり、お子様に合わせた支援を提供しています。教材や指導員の研修は発達障害児支援の専門家である教授や医師に監修をいただいています。教室スタッフの思いとして、お子様、ご家族1人1人に寄り添い、お子様のできた!やお悩みを一緒に共有していける教室をつくっていきたいと考えています。また、保育園・幼稚園等への訪問支援を取り入れていくため、日常生活の中にも、よりお子様のできたを拡げていけたらと思っています。不安な点やお悩みは何でも教室スタッフにご相談ください。千葉県の児童発達支援事業所をもっと見る埼玉県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報オレンジスクール越谷教室では、学習を主体とし、一人ひとりのレベルにあった教材に取り組む中で、学力の基盤づくりを行っています。また、少数のグループで支援を行う事で、お子さんも安心して質問ができる環境を整えています。学習の時間と遊ぶ時間を分け、その日のスケジュール管理はお子さん自身で行うことで、自己決定力や気持ちの切り替えなどの力を養う事にも繋げています。学校での指導経験や、福祉施設での勤務経験のあるスタッフが、お子さまが楽しく学べるようサポートします。埼玉県の放課後等デイサービスをもっと見る大阪府放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報放課後等デイサービス スマイルでは学習面から、運動・音楽・ソーシャルスキルトレーニングなど幅広く支援を行っています。思いっきり体を動かすことのできるプレイルームと学習スペースを分けることで、気持ちの切り替えができるよう環境整備。療育は担当制となっており、お子さんとスタッフ間の信頼関係を築きながら、療育の進み具合や変化等もしっかり把握します。個々に合わせた支援方法で、得意なことを伸ばし、笑顔で過ごせる環境を提供します。大阪府の放課後等デイサービスをもっと見るUpload By 発達ナビ施設情報児童発達支援 スマイルでは、就学前の準備や生活習慣のサポート等から運動療法・音楽療法、また個別支援から集団支援まで、幅広く支援を行っています。個別の支援計画とは別に学習支援計画を作成し、お子さんのペースに合わせて活動できるようサポートします。スタッフ同士が密に連携を図り、その日の様子や進み具合を確認、また親御様への日々の活動報告や支援内容の進め方等も確認・共有しながら療育を進めていきます。子ども達が大人になり、社会生活をしていく上で必要なスキルを習得できるように指導します。大阪府の児童発達支援事業所をもっと見る「もっと施設の情報を詳しく知りたい!」「見学をしてみたい!」と思ったら、WEBからもお問い合わせが可能です。施設情報ページでは、掲載されている施設の情報を地域ごとに検索して見ることができますよ。
2020年08月24日成長と共に“特性の現れ方”も少しずつ変化をしていて…?Upload By 丸山さとこ先生からの個別の声かけや“小まめで具体的な指示”のおかげで小学1年生は大きなトラブルもなく過ぎていったコウですが、2年生になれば“自主的な判断”や“臨機応変な対応”が求められることも増えていきます。『大丈夫かな?1年生の時より集団行動は難しくなっているのでは…?』と気にかけていた2年生の1学期でしたが、意外にも担任の先生からは太鼓判を押されるくらい、学校生活は順調な様子でした。毎日楽しそうに出かけていくコウの様子を見ながらほっと一安心したのも束の間、予想外の方向から問題はやってきたのです。息子の特性の変遷――並べる、クレーン、オウム返し。「ASDあるある」が目立つが対応しやすかった頃【幼児期~1年生編】まず、2学期に入った頃から「連絡帳に宿題や忘れ物を書いてこない(ので親が気付かない)」ということが急に増えてきました。先生から連絡をいただいて初めて気が付いたので、とても驚き反省したのを覚えています。Upload By 丸山さとこ1年生から2年生の初めにかけて宿題の漏れが殆ど無かったことからすっかり油断をした私は、マメにチェックをしていませんでした。基本的には家事をしながら「机に向かっているな」と遠目に見ておしまいです。そんな行動を深く反省しつつ、同時に「え?たまたまチェックした日だけ宿題をしていたってこと?」と混乱もしました。おそらく連絡帳に全ての宿題を書いていないのだろうと察しはつきましたが、そうであれば連絡帳に赤ペンでの“忘れ物の記載”がある筈です。急にどうしたのか…宿題が難しいのか面倒なのかと本人に聞いたり先生に確認したりしたところ、どうやら2年生から始まった新ルールが影響していたようでした。本来は「宿題の大切さ」を教えるためのルールだった筈が…!?先生のお話によると、「宿題は必ず出さなければいけない」という方針に基づき、2年生になってからは“宿題をしていない児童は、登校後所定の時間内に終わらせて提出する”という新しいルールがあったのだそうです。それは多分、「宿題をすること・きちんと提出することの大切さ」を教えるためのルールだったのでしょう。けれど、コウは「登校後に終わらせれば大丈夫。家ではしたい読書や勉強をしよう!」と考えて動くようになってしまったのです。Upload By 丸山さとこ私はルール自体に大きな穴があったとは考えていません。コウの言う理屈は一般的には屁理屈とされるものですし、宿題未提出の逃げ切りを防ぐことで一定の効果もあったのではないかと思います。ただ、「コウならそう考えるだろうなー…!」と頭を抱えました。2年生になり、先生の指示や児童の行動に「臨機応変さ」が出てきたことも、コウの「自分にとって都合の良い解釈」に拍車をかけたようです。物事の背景が見えにくいコウにとっては、「皆、自分の都合に合わせてルールを変えていく」のが新しいルールに見えているところもあったのかな?と思います。本人としては「自分はしっかりルールを守っている。何も問題はない」という意識があったそうです。コウはそれ以降、自宅で宿題をやりたがらなくなりました。チェックが強化されてからは、チェックをすり抜けられるよう連絡帳から宿題の記載を消すようにもなりました。コウも理屈の上では宿題をする必要があるのだと分かっています。けれども、コウからしてみれば「宿題をしていなくても何も困らない」のです。Upload By 丸山さとこ見落とし多発、見通し下手な発達障害息子、脱・「やってもらって当然」へ…!助けを求めるスキル、ただいま習得中この頃のコウはADHDによる不注意やうっかりミスが強く目立ってきた頃だったので、「宿題やったよ」と本人が言っていても宿題の範囲を間違えたりページが飛んでいたりすることが多く、手書きの文字を読むのが苦手な私にとって、彼の宿題をチェックするのは難しい作業でした。それでも何とかチェックを済ませ、宿題が終わっているのを確認したとしても、「あ、忘れてた」「あれ?学校では見つからなかったんだけどな…?」と宿題を未提出のまま持って帰ってくることも珍しくありませんでした。(後に、「チェックは私には難しい」ということで夫に担当してもらうことになりました。)一度「ルーズであること」「嘘をつくこと(その場の利益が得られる行動をとった結果嘘になること)」の旨味を知ったコウは中々手強く、4年生まで2年半かけて“お父さんにチェックをお願いする”という習慣が身につくようになりました。1つ1つ“解説”していく日々コウが宿題をしたくない理由は明快です。「学校から帰ったら疲れてる。疲れている時にしたくないことはしたくない。宿題より他にもっとしたいことがある」ただそれだけです。Upload By 丸山さとこ親としては「それは通らないよ」と言いたくなるようなコウの主張ですが、苦痛が大きく必要性の見えないことをするのが嫌だという気持ち自体は分かる部分もあります。実際、学校から帰ってきたコウは「1クラスにいる人間の数が多い…いるだけで疲れちゃう…」とかなりグッタリしていますし、宿題は学力をつけるためだと言われても、コウからすれば「宿題をしなくても漢字や計算はもう覚えてるよ」といったところでしょう。コウの気持ちは分かる。でも親としては「そうではないよ」と思う。気持ちだけで動くと“コウが望んだ通りの結果”にならなかったりする。その辺りを伝えるのは私が比較的向いているということで、チェックのメインは夫、説得(?)は私がすることになりました。Upload By 丸山さとこ見落とし多発、見通し下手な発達障害息子、脱・「やってもらって当然」へ…!助けを求めるスキル、ただいま習得中チェックのメインが夫なのは、「一緒にいる時間が長い私がチェックをすると細かくなり過ぎてしまうだろうな」という予想もあってのことです。思春期に入っていく今、「見て見ぬふり」をする技術は私の今後の課題なのかもしれません。コウは“理屈を理解する力”そのものは高い一方、その場の気持ちだけで見通しなく動くところがあります。なので、理屈を理解したからといって即行動を変えるわけではありません。そのこと自体は何も珍しくはないことなのだろうと思います。「甘いものばかり食べていてはいけないと知っていてもついつい食べてしまう」「明日の朝が辛いと分かっていてもスマホに手が伸びてしまう」「運動をした方が健康に良いと分かっているが面倒」どれも珍しくはない話です。もし「分かっているのに何で!?」と聞かれたら、「したかったから(したくなかったから)…」としか答えようがないのではないかと思います。私がコウに理屈を伝えるのは、もちろん彼の行動を変えて欲しいからです。同時に、理屈を知って納得をすることで、彼の「理不尽だ!」という辛い思いを少しでも減らせたらいいなとも考えています。Upload By 丸山さとこ全てのことを理屈で解説するのは実際のところ無理なことです。どうしても納得いかない!と思うこともあるでしょう。けれど、そういう時に「納得いかない!と思ったけれど、後から考えたらそうでもなかったな」と思い出したら、「仕方ない、一回やってみるか」と思えるかもしれません。その上で「どうしても嫌だ!おかしいと思う!」と感じるのであれば、その時は考えたり聞いてみたり止めてみたりしてもいいのかな?と思います。その時々に合わせて、少しずつこうして改めて振り返ってみると、コウの特性の現れ方はその時々によってかなり違っているのだなと感じます。2年生から忘れ物などのミスが増えるようになったのは、コウが「忘れ物をしてもパニックにならなくなった」という意味では成長と捉えられるのかもしれません。大人から見れば悪知恵にしかならない理屈を繰り出すのも、成長による知恵の1つと言えそうです。Upload By 丸山さとこ環境という面から見れば、保育園~1年生まで忘れ物などが目立たなかったのは「親がフォローできたから」という部分も大きかったのだろうなと思います。そうして考えてみると、その時々によって現れ方が様々なように見える特性そのものは、実はあまり変化していないのかもしれません。今後もコウ自身の成長や環境の変化によって“現れ方”が変わっていくであろう特性を「ゆっくり見ていけたらいいな」と思う、何かと焦りがちな私です。コウのノンビリさを、少し見習っていくといいのかもしれません。
2020年08月24日通常学級に通わせる良さ、難しさ私は息子には特別支援教育しか受けさせていませんので、障害のある子を通常学級に通わせる良さを私は経験したことがありません。ですから本当のところはわかりません。これは例えば、双子を育てている人が「大変でしょ」と言われても、その人は双子を育てた経験しかありませんから比較するものがなく、答えようがないのと同様でしょう。もしかしたら、一人っ子でも大変な思いをしている人もいるかもしれません。通常学級に知的障害のある程度ある子どもを在籍させることで、定型発達のクラスメートから多くの刺激を受けることができるという、良い点もあると思います。地域の中に顔なじみの子ども達やその保護者がいることで、災害時など何かあった時にも気にかけてもらえたり、将来地域で暮らしていく時にも何かと安心かもしれません。けれども、残念ながら、いじめられることもあります。また、着替えなどがうまくできないと、自分から助けを求めなくてもいつの間にかクラスの子の誰かが手伝ってくれた結果、ヘルプを出す経験も積まず、また周りの人にやってもらうことが当たり前になってしまい、自立につながらないケースもあると聞きます。気をつけてあげたい、おとなしい子自己主張する積極的なタイプ、受け身のおとなしいタイプなど人間にはさまざまな性格があります。障害のある子も同様です。クラスメートを突きとばす、教室から脱走する、授業中に大声で叫ぶ――こうした行動がある場合、先生はほうっておくわけには行かず、叱ったり呼びに行ったりしなくてはなりません。行動が目立つので、そうせざるを得ないでしょう。また、本人からの「いやだ」とか「つらい」というSOSがあった時も、担任も保護者もキャッチしやすいでしょう。その問題行動が障害に起因していれば特別支援学級や特別支援教室(通級)へ行くことも検討されます。けれども、おとなしい子の場合はどうでしょう。授業がチンプンカンプンでも椅子にじっと座っている子、いじめられても黙っているタイプの子の場合、周りは本人がつらい状況にあっても、気づきにくいのではないでしょうか。クラスメートに危害を加えたり立ち歩いたりしないので、周りに迷惑をかけることもありません。その結果、問題に気づかれず、放置されてしまうケースもあると聞きます。教育虐待という言葉教育虐待という言葉を耳にしたことはありませんか?これは、「あなたのため」という大義名分のもと、保護者が子どもに課す行き過ぎた教育やしつけをすることを指します。しかしこれは、定型発達の子どもに限った話とは言えないのではないでしょうか。ある事例についてご紹介したいと思います。知的障害は中度でおとなしいタイプのAさん。義務教育の期間は保護者の意向もあり、通常学級に在籍していましたが、一般の高校受験は難しく、特別支援学校高等部に入学しました。入学してみるとAさん以外のクラスメートは、特別支援学級の出身者でした。Aさんより知的障害の程度は軽く、登校、着替えなどの身辺自立はもちろんのこと、読み書きもある程度できるようになっていました。また、「できないことは恥ずかしいことではない、わからないから助けてください」とSOSを出す教育も受けてきたので、“できないことは他人に頼る”ことも、中学までの間に学んでいました。ところが、通常学級に9年間在籍していたAさんは、Aさんにとって必要な支援をうけられていなかったため、持ち物管理、片づけ、着替え、一人登校などが身についていませんでした。きめ細かな対応には限界がある通常学級では教科書の内容を理解できるという前提で、国語、算数など授業が行われます。一クラスの人数は35人~40人、たとえ加配の先生がついたとしても基本、担任は一人でこの大人数の子どもを担当します。ついていけない子がいたら周囲や先生が「周りに遅れないように」とやってあげるなどで対応をし、みんな同じペースでカリキュラムをこなすことになります。これに対して特別支援学級では、質問のタイミングや着替え、生活のルールなど基本のきの部分から生活を作っていきます。通常学級では、丁寧な支援をしたくても、人数の関係もあり難しいこともあるのではないでしょうか。そして子どもは、黙って待っていれば、誰かがやってくれるという待ちの姿勢になってしまうこともあるのかもしれません。なによりも、わからない授業を9年の間、じっと座って受け続けていたAさんの苦痛はどれほどのものだったでしょう。さらには、身につけたい身辺自立の力は育むことはできなかったのです。自分から親や先生につらさを発信できないおとなしいタイプの子だからこそ、進級・進学先で困っていないかどうか、大人はアンテナを立てて気を付けて見なくてはならないと思います。小学校卒業までは、中学校卒業までは――いったん入学すると、卒業まではがんばろうと思いがちです。でも、子どもの様子をしっかりと見て、困っているのではないかと気づいたら、子どもにとって最適な環境を親や教師など支援者の側が速やかに用意をしてあげることが、何より子どもの力を育むのではないか。私はそう思うのです。
2020年08月22日関係性へのアプローチに着目!『発達障害のある子どもと周囲との関係性を支援するコミュニケーション支援のための6つのポイントと5つのフォーカス』本書は、学校や児童発達支援センター、放課後等デイサービスの支援者に向けて「コミュニケーション支援」について書かれている本です。LITALICO研究所所長の野口晃菜さん、 LITALICOワークスのシニアスーパーバイザー・LITALICO研究所のチーフリサーチャーを務める陶貴行さんが編著、そして7名の専門家が執筆しています。著者の野口さんはかねてより、発達支援や特別支援教育の現場では、コミュニケーションに困難さがある子どものみに変化を促す偏った支援や教育が行われていると感じていたそうです。そこで本書では、コミュニケーションはそもそも双方向で行われるものであり、支援には子どもと周囲の人の「関係性」にアプローチすることが重要であることを、数多くの事例を紹介しながら解説しています。専門用語をできるだけ使わずにやさしい言葉で解説されているほか、イラストも多く挿入されているなど工夫が凝らされているため、とても読みやすい一冊です。自閉症の娘との葛藤と喜びの9年間――『うちの子、個性の塊です』本書を執筆したのは、LITALICO発達ナビで、発達障害のある子の育児コラムが人気の漫画家、SAKURAさん。長女のあーさんは、自閉症スペクトラム障害のある女の子です。真面目で心優しいあーさんは、今9歳。2歳のときにあーさんが「ほかの子と違う」と気づいてから今までの記録が書かれています。また、各章ごとに、監修の鳥取大学大学院の井上雅彦教授による解説も挿入されています。タイトルにもなっている「個性の塊」という言葉は、著者のSAKURAさんが主治医から言われた言葉でした。もともと、SAKURAさんはあーさんが他の子と違うことに葛藤を抱いていたそうです。しかし、この主治医の言葉によって、「娘の個性をもっと楽しもう」という前向きな方向に変わったとSAKURAさんは語ります。あーさんは今9歳で、家族と楽しく暮らし、学校にも楽しく通っています。そんな幸せな日々を送るための、家庭での療育から、学校との関係、親としての周りの人との折り合いのつけ方にいたるまで、こまやかな秘訣がこの本にはたくさん描かれています。言葉が遅い娘に試みた言語トレーニング、就学先選び、娘の障害告知など、発達が気になる子どもの保護者の皆さんが悩んだり迷ったりすることが多いことについて、SAKURAさんが試行錯誤してきたことを、専門家である井上先生からの視点とともに読むことができます。学習や行動のつまずきに「感覚統合」の視点がヒントになる!?――『感覚統合の発達と支援』本書は、保護者が子どもの学習のつまずきや問題行動の原因のひとつに、感覚統合の問題があることに気づき、何が起きているのかを理解して支援するきっかけとなることを願って書かれたものです。著者は感覚統合理論の生みの親であるアメリカの作業療法士、エアーズ博士。感覚統合理論は1960年に発表され、今ではアメリカだけでなく日本でも感覚統合への認知が広がり、多くの療育支援が実践されています。今回、そんなエアーズ博士の名著が25年の時を経て、より保護者向けの内容にリニューアルされました。脳の感覚統合という観点から、子どもが抱える困りごとを科学的かつ網羅的に解説した本書は、専門的でもありながら保護者が知りたいと思っている情報を分かりやすく紹介してくれています。「もしかしたら、感覚統合の問題があるのかしら」と不安に感じていた保護者の方だけでなく、現場で支援をする人にも役立ちそうです。社会スキルが漫画で学べる――『10代のためのソーシャルシンキング・ライフ』本書は私たちが生きていくうえで欠かせないスキルである、「ソーシャルシンキング」について解説しています。「ソーシャルシンキング」とは、他者の感情や考えを推察することです。私たちはこのスキルを使いながら「その場に合った求められる行動の選択」を繰り返しています。私たちは日々さまざまな選択を行いますが、それによって、状況は「いい方向」にも「悪い方向」にも変わります。本書では、同じ状況下で下す選択によって「いい方向」および「悪い方向」にいくパターンを漫画で分かりやすく紹介しています。また、巻末には自身で書き込める「問題解決メーター(感情コントロール)」表と「ソーシャルフォーチュン/ソーシャルフェイトの対人行動マップ」表が付いています。これらを活用しながら、実際に行動をシミュレーションすることも可能です。漫画を中心に分かりやすく説明されている本書は中高生にも理解しやすく、手に取りやすい一冊です。安全で楽しい水泳の教え方が写真でわかる!――『発達が気になる子への水泳の教え方』本書を執筆したのは、アクアマルシェ代表の酒井泰葉さん。スイミングスクールでアルバイトをしていた大学1年生のときに、知的障害のある人が楽しそうに水で遊ぶ姿に引き込まれたそうです。そういった経験から、もっと多くの人に水泳を楽しんでほしいと思うようになったと酒井さんは語ります。しかし一方で「水が怖い」という不安や恐怖心がぬぐえず、尻込みして全然入れない、水際で嫌がって泣き叫ぶ…そんな経験から、プールから遠ざかってしまったというお子さんも少なくありません。本書では、そういった不安を解決するために細かく段階が設定されており、最初の「水慣れの練習」の章では、子どもが水に慣れ、水の中でも安心して過ごせるという感覚を知るための16の方法が紹介されています。支援方法や、教え方についても写真やイラストを交え分かりやすく解説されているので、泳ぐことが苦手なお子さんが、楽しく水泳に取り組むための指導のヒントをたくさん得ることができそうです。「こうしたらもっと伝わる」スキルがたくさん――『大人が変われば、子どもが変わる発達障害の子どもたちから教わった35のチェンジスキル』長年、発達障害のある子とその家族の相談支援に携わってきた星槎大学大学院の阿部利彦教授によって執筆された本書では、発達障害のある子を育てている保護者をはじめ、大人が身につけると良い「応援スキル」が紹介されています。本書の中で阿部教授はこのように語っています。「発達障害のある子どもたちを育てている保護者だって、人間です。イライラしたり、つまずいたりしながらも、いつも子どもの一番の応援団でありたいと願っています。」本書は、そんな保護者が子どもに思いを適切に伝える方法について、具体例を示しながら教えてくれています。「また怒っちゃった」「いつもガミガミ叱ってしまう」と落ち込むこともあるでしょう。そんなときに本書を手に取れば、前向きになれるのではないでしょうか。どんなふうに接したらいいの?どんな声掛けなら心に届く?そんな疑問や不安にこたえてくれる一冊です。
2020年08月20日怪しい集団について行ったピンク、果たして無事なのか!?「お菓子を食べにきませんか?」と言われて、怪しい集団について行ってしまったピンク。レンジャーたちは協力してピンクの救出を試みます。Upload By 荒木まち子ピンクがいた『マジョの館』と怪しい集団。その正体は...Upload By 荒木まち子執筆後記『マジョリティー(majority)』は「大多数」や「過半数」「多数派」という意味です。対義語・反対語は『マイノリティー』。世間一般では障害のある人がマイノリティーですが、発達ナビサイトの中では障害のある人や障害にかかわりのある人がマジョリティーですね^^(荒木まち子)
2020年08月20日発達障害のある私が、自立して生きていくために必要なもの発達障害があると、過集中やタスクのうっかり忘れ・先延ばしで生活リズムが乱れたり、日々小さな失敗体験を積み重ねたりしてしまいがちです。失敗に思い悩み、自己肯定感が下がり、さらに生活が乱れていく…私はそんな悪循環を繰り返していましたが、この悪循環を断ち切るのに、ITが大きく役に立ってくれました。ITは、「人にはできないタイプの支援」「人には気軽に頼めない、24時間レベルのマメな支援」を可能にします。これが発達障害者の困りごとにピタッとはまる、と私は感じています。まずは「本人や家族の困りごとを軽減してくれるITは身の回りにたくさんあるのだ」と知ることが大事です。ITを使いこなせば、発達障害児者の生活は想像以上に円滑で便利になるはずです。将来的にお子さんにITを使いこなしてもらいたいと考えるなら、まずは周囲の家族がどんどんITを活用してみて、その便利さを体感してみるとよいのではないでしょうか。生活リズムを整えようまず私がおすすめしたいのが、スマートスピーカーを、生活リズムを作る補助役として使うことです。スマートスピーカーとはAI(人工知能)を搭載したスピーカーで、声で話しかけたり事前に設定しておいたりすることでさまざまな動作をしてくれます。音声アシスタント「Alexa」の搭載されたAmazon Echo、「OK,Google」で動作するGoogle Homeなどがあります。このようなスマートスピーカーでは、時報を流すことができます。私はスマートスピーカーに、一定時間ごとに決まった文言を流してもらうようにしています。たとえば平日には以下のような感じです。9時です。洗濯は終わりましたか?10時です。少し身体を動かしましょう。10時半です。午前のお茶を飲みましょう。12時です。お昼の休憩をしましょう。3時です。お茶を飲んで一休みしましょう。4時です。作業をやめて、家事やセルフケアの準備をしましょう。7時です。夕ご飯は食べましたか?8時です。お風呂の準備をしましょう。このようにしておくと、ある程度の過集中であればハッと気がついて、そのとき移るべき次の行動に移るきっかけになります。「今日はなんだか生活のテンポが悪いな、知らないうちに時間がたっているな」というときは、時報を設定していない土日だったりします。人に「行動を修正すべきですよ」と気づかせるための刺激は、なるべく感情が乗っていないほうがいいと言われています。このため、たとえば指しゃぶりをしている子に指導していく場合、指しゃぶりに気づいたら声をかけるのではなく、ピッと機械的に笛を鳴らす方法が勧められることがあります。スマートスピーカーの声には感情が乗っていません。「機械的だ」と嫌われる場合もありますが、子どもの行動修正に関してはスマートスピーカーの機械的なところこそが威力を発揮するのではないかと思います。親が口を酸っぱくして指示しても聞かないのに、スマートスピーカーの指示にはスッと従う、という話もよく聞きます。家事・事務手続きをこなそう生活に必要な活動の中で、家事や事務手続きは、発達障害者が苦手なもののひとつです。基本的にマルチタスクで、細切れに時間をとられるものが多いからです。発達障害があると、ワーキングメモリ(情報を一時的に脳に保持する力)が小さいという傾向があります。タスクをこなすためのモチベーションにも困難を抱えがち。このため、「タスクが頭から吹っ飛んでしまう」「タスクを先延ばししてしまう」という失敗をしやすいのです。私は、こうした発達障害の特性からくる不得手を、ITを駆使することでかなり軽減できました。使うのは、タスク管理アプリ、カレンダーアプリ、スマートスピーカー。私は「Todoist」「Googleカレンダー」、Amazon Echo用の音声アシスタントアプリ「Amazon Alexa」を使っています。初めの設定がやや複雑ですが、TodoistとGoogleカレンダーとAmazon Alexaを連携させておくと、以下のような環境が実現できます。Alexaに話しかけるだけでTodoistにタスクが登録される↓Todoistのタスクに期日を設定するだけでGoogleカレンダーのスケジュールに登録される↓期日になるとスマホやPCに通知がくる発達障害者のタスク管理でもっとも重要なのは、「タスクが発生した瞬間にタスクを書き留める」ことだと私は思っています。発達障害者のタスクへの注意や意欲は、タスクが発生した瞬間の刺激で最も強く喚起される、と聞いたことがあるからです。あとで書き留めようと思っていたタスクがいつの間にか消し飛んでしまう現象は、タスク発生の瞬間の、最も忘れにくいタイミングを外してしまうから起きるのではないでしょうか。ここで大事になってくるのは、「いかにタスク発生の瞬間をとらえるか」です。タスク発生→タスク書き留め の間の敷居を限りなく低くする。これには、話しかけるだけでタスクをタスク管理アプリに登録してくれる、スマートスピーカーが最適です。冷凍してあるごはんのストックがなくなるなと思った瞬間に、「Alexa、やることリストに『ごはんを炊く』を追加して」と話しかける。そろそろ役所にあの書類を提出しなければと思った瞬間に、「Alexa、やることリストに『役所に書類提出』を追加して」と話しかける。サラダ油を使い切りそうだなと思った瞬間に、「Alexa、買い物リストに『サラダ油』を追加して」と話しかける。これだけで、まずは「タスクの消し飛び」だけは防ぐことができます。あとは私の場合、タスクが登録された先であるTodoistをPCやスマホで確認し、期日が必要なものには期日を追加してそのままGoogleカレンダーのスケジュールにも登録してしまいます。買い物リストは出先からスマホで確認しながら買い回りをします。このおかげで、その日に食べるごはんがない、役所の手続きの期日を過ぎてしまう、などといった失敗が激減しました。スマートスピーカーが我が家に来る前、私が最もストレスに感じていた家事が洗濯でした。仕事しながら洗濯をこなそうとして仕事に没頭してしまい、洗濯前につけおきしたまま忘れる、洗濯機をまわしたまま干すのを忘れる、といったことを繰り返して、干そうとしたときには午後になっていたり…こうした失敗が続くと本当にイライラしますし、「自分はなんてだらしないんだろう」と自己肯定感も下がっていきます。けれどスマートスピーカーのおかげでそんな生活も変わりました。スマートスピーカーにはタイマー機能があり、話しかけるだけでタイマーをかけてくれます。この「話しかけるだけ」というのが大きなポイントです。今までのタイマーは手元でぽちぽちボタンを押して設定する必要があり、「何かしながら設定する」ということができませんでした。けれど話しかけるだけなら、皿洗いしながらでも、部屋の中を歩き回りながらでも、「Alexa、45分のタイマーをかけて」などと、気軽にタイマーを設定することができます。スマートスピーカーのタイマー機能のおかげで、ちょっとしたときにタイマーをかける機会が大きく増え、気づいたら家事のテンポがよくなって、「自分なかなかやれてるじゃないの」と思えるようになっていました。スマートスピーカーには、タイマー機能だけでなく、指定の時間に音を鳴らしてくれるアラーム機能もあります。「1時間だけゲームしたい」「ゲームは◯時までね」といったときに、子どもに約束を守らせる手助けにもなるかもしれません。カレンダーアプリには、曜日ごとや週間ごとなどにスケジュールを繰り返す、「繰り返しスケジュール機能」があります。定期的に発生するスケジュールは、繰り返しスケジュール機能を使ってあらかじめ登録し、通知が来るようにしておくとよいでしょう。ごみの日、通院日など月レベルのものだけでなく、障害者手帳や自立支援制度の更新期限など、年単位のものを登録してもよいかもしれません。掃除のスケジュールや食事の献立も、あらかじめ曜日ごとに決めておくと、特にASDのある人は安心できそうです。◯曜日はトイレ、◯曜日はキッチンを掃除するとか、月水は肉、金曜は魚を食べる、火曜は焼き物、土曜は煮物、日曜は麺類、とか。家族ひとりひとりがカレンダーアプリのアカウントを作り、それに自分の予定を入れて互いにカレンダーを共有すれば、スマホやPCでカレンダーアプリを見るだけでお互いの予定が一覧できて便利です。私は夫と互いにカレンダーを共有しあっています。宅配が届く予定や訪問者の予定をスケジュールに入れておくのも便利です。お子さんが小さい場合、予定外の訪問者には決してドアを開けない、呼び鈴にも出ないように教えておくと、防犯上もよいかもしれません。少しお金がかかりますが、リビングの壁にGoogleカレンダー専用のディスプレイを設置し、そこに常時Googleカレンダーを表示しておくという手もあります。お子さんがまだスマホやPCを持っていない場合、家族共通のカレンダーをディスプレイに掲示していつでも見られるようにしておけると便利だと思います。自立生活をするには、毎日の食事の管理も大事です。頑張ってたまに料理できたとしても、それが毎日の食事となると別。料理もマルチタスクで体力も必要なので、一人暮らしだと食事の用意を負担に感じてカップ麺で済ませたりしがちです。今はたくさん便利なサービスがあります。お惣菜やレトルト食品、冷凍食品を使うだけでなく、宅食サービスやミールキット(届いた食材を料理するだけのキット)、食べ物のサブスクサービス(月々一定額で利用し放題など)を活用するのもひとつの手です。食材をうまく使い回せずに捨ててしまったり、栄養バランスが偏ったり料理に疲れてしまったりすることを考えると、一見割高に見える宅食サービスなどにも投資する価値があるかもしれません。お子さんのいるご家庭でも、食事にまつわる家事負担が大きくなっているときは気軽に導入してみると、お子さんの将来のための生活スキル教育になりつつ、家事負担の軽減にもなりそうです。また、お子さんが一人暮らしを始める際に利用できると、親御さんも安心かもしれません。お金の管理もきっちり発達障害があるとお金の管理にも苦労しがちです。なにしろ、家計簿をつけようとしてもともかく続かない… こういった困りごとを乗り越えるには、家計のキャッシュレス化と家計簿アプリの組み合わせが役に立ちます。まず、通販はクレジットカードで購入、日々のスーパーなどでの買い物には電子マネーを使うなどして、できるだけ家計のキャッシュレス化を進めます。そしてクレジットカードや電子マネーの情報を家計簿アプリに取り込みます。※災害などもしもの事態のため、現金は手元に数万円分用意しておくとよいと思います。家計簿アプリには自動取得機能があり、かなりの種類のカードや電子マネーなどの出入金記録を自動で取得してくれます。レシートを見ながら自分でぽちぽち入力する必要がないわけです。単に会計するだけで出入金が家計簿アプリに記録されていく…紙の家計簿の時代と比較すると驚きの便利さです。カードや電子マネーなどの種類によっては自動取得に対応していないものがありますが、その場合もレシートをスマホのカメラ機能で読み取る機能があったりと、紙の家計簿よりも圧倒的に続けやすくなっています。お金の使用状況のレポートも自動で作成してくれ、週ごと、月ごとに「今月は使いすぎています」とか「指定額以上の出金がありました」とか通知してくれるので、お金に関する自己管理の大きな助けになります。私はお金の管理に非常に苦手意識があるのですが、子どものころからこういったアプリがあったら、お金についてもっと自信を持って過ごせたのではないかと思っています。私は家計簿アプリは「マネーフォワードME」を使っています。近い将来、子ども向けのサービスを開発することも検討中だそうなので、お子さんのお小遣い管理などで取り入れてみてもいいかもしれません。服飾品の管理を乗り切ろう発達障害者が社会人になったときに苦労するのが身だしなみです。子どものうちは家族が服を用意したり、お風呂や歯磨き、散髪などを管理したりしてくれますし、制服のある学校も多いですが、大人となるとそうはいきません。お風呂や歯磨き、散髪などはタスクとして家事と同様に処理していくとして、持っている服飾品の管理はどうしましょう。実はこの分野にもITが役立ちます。私も最近見つけたのですが、「クローゼット管理アプリ」というものがあるのです。クローゼット管理アプリとは、クローゼットの中身(服、鞄、ファッション小物)を管理するアプリです。クローゼットの中身を登録しておくと、AIがその日の登録地点の気温や天気に合わせてコーディネートを提案してくれたりします。発達障害がある人の中には、「見えていないものは『ない』」という認知傾向のある人がいて、どんどん服を買い込んでクローゼットから服が溢れているのに今日出かけるための服が決まらない、ということもあります。私の場合、20代のころはこうした傾向をきっかけに身支度に悩んで何時間も費やすことが多くなり、それがひきこもりの原因のひとつにもなりました。クローゼット管理アプリは、身支度を格段に楽にしてくれます。最初のアイテム登録は大変ですが、一度アイテムを登録してしまえばAIが最低限ちぐはぐでないファッションを提案してくれるので、毎朝あてもなく鏡の前で悩む必要がなくなります。アイテムごとの使用回数も記録してくれるので、「これは1回しか着ていないから」などと、断捨離する際の判断材料も提供してくれます。整理整頓しよう生活の中で意外とスペースを圧迫するのが、「ちょっと大事な印刷物」ではないでしょうか。大きさも形もバラバラで、そのままとっておくには労力もスペースも必要です。こうしたものは私の場合、届いたらすぐにスキャンして、クラウドストレージ(ネット上のデータ倉庫)に預けてしまいます。発達障害者の場合、管理できる情報の上限が発達障害のない人よりも低いと言われています。家の中にモノや情報が増えすぎるとその人の管理能力のキャパシティを超え、結果的にどんどん散らかっていってしまう。こうした散らかる流れを断ち切るためにも、減らせるモノは減らしていくのがコツだと思います。クラウドストレージにはいろいろあるのですが、私はDropbox、Evernote、Googleドライブを使っています。詳細は仕事編でお伝えします。役に立つ本最後に、ITとは関係ありませんが、発達障害者が自立生活を送るうえで必要な生活スキルについてまとめた本を紹介しておきます。支援者向けの本ですが、発達障害の子どものいるご家族や、高校生以上のお子さんにとって参考になりそうな情報がたくさんあります。個人的に重要だと思っているのは、「ああ、こんなことも意外と練習が必要なんだな」という気づきです。本人が読んで理解できる本です。ふりがなのついた平易な文章で書いてあるので、子どもでも読みこなすことができるでしょう。災害があったときどうするか、犯罪から身を守るには、お金の管理方法など、こういう内容こそ義務教育で教えてほしいという内容が詰まっています。
2020年08月18日家で子どもと過ごす時間が増えると、正直キツイ!?出典 : こんにちは。「発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換」著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。新型コロナウイルスの影響が長期化してきて、おうちで子どもと過ごす時間が増えたり、学校のスケジュールに合わせて様々な予定変更に対応しないといけなかったり……が続いていますよね。率直に伺いましょう。正直、キツイですか?……ですよね。どんなに可愛いわが子でも、一緒にいる時間が長くなったり、不安を抱えたままの生活が続いたりすれば、誰だってストレスを感じるのは当たり前です。ましてや、ちょっとしたお出かけにも何かと神経を使うし、お友だちとワーッと密に遊ぶ機会もつくりづらかったり、おじいちゃんおばあちゃんのおうちにも気軽に行きづらかったりと、子ども達がのびのびと遊ぶことが難しい状況です。親のほうも、テレワークや、きょうだい児のお世話をしながら、宿題を見たり遊び相手になったりですから、余裕だってなくなりますよね。さらには、繊細で不安感の強い子や、元気で活発な子の子育てをしていれば尚更大変でしょう。まずは、「こんな状況では、お互いにイライラするのは当たり前」だと思って、つい怒ってしまう自分がいても、必要以上にできないことを責めないのが大事なのではないでしょうか。その上で、「できる範囲」「気が向いた時だけ」「余裕のある時だけ」でいいので、子育てと親子のコミュニケーションをちょっとだけ効率UPする「声かけ変換」を、脳トレの1つだと思って試してみませんか?日々の小さな「イラッ」「ムカッ」だって、チリも積もれば大きなストレスになります。伝え方ひとつ、言い方ひとつで、子どもにちゃんと伝わる回数が増えれば、いつの間にか、子どもと過ごすおうち時間が少しだけラクに感じられるかもしれません。親子コミュニケーションの効率をUPする「声かけ変換表」がコレ!Upload By 楽々かあさんかつては怒ってばかりだった私・楽々かあさんが、うちの(ちょっと手のかかる)3人の子ども達を相手に、悪戦苦闘・試行錯誤し、長年の「うちの子研究」の末に、ようやくたどり着いた「子どもに伝わりやすい声かけ」を、[before]→[after]で一覧表にまとめたのが「声かけ変換表」です。2014年に私が手作りしたオリジナルの「声かけ変換表」がネットで拡散されて話題になったので、記憶力の良い方は覚えてくださっているかもしれませんね。あれから更に6年経って、その後の子ども達の成長や思春期のことなども踏まえてパワーアップした【決定版】が、新著刊行に伴って開設された「あさ出版特設サイト」より公開され、どなたでも無料ダウンロードできるんですよ。よかったら、プリントアウトしてご家庭の冷蔵庫やトイレの壁に貼るなど、毎日の子育てのヒントにご活用いただけたら嬉しいです。では、この「声かけ変換」の発想で、おうち時間でありがちな場面での小さな「伝わらない」イライラを減らす声かけのコツを、うちのリアルな「実例」でご紹介します!出典 : 私は筋金入りのインドア派なので、おうち時間自体は全く苦になりません。今は、動画配信サービスなども充実し、家でいくらでも映画やドラマが見放題ですから、窓の外から聞こえるセミの声をよそに、エアコンの効いた部屋で涼し〜く快適にくつろいでいると……突然、2階から長男がドタドタと駆け下りてきて、バーン!と居間のドアを開け放ち、「充電!充電!おー、ココにあった」などと、また嵐のように立ち去ろうとするではありませんか。ちょっと待て〜い!!ドア、開けっ放しで行く気ッ!?でも、ココで私が長男をギロリと睨みつつ、少々ドスの効いた声で……「ア・ツ・イ!」と、言ったとしても、「だよね〜。夏だしね〜」……としか、本人は思いません。うちの長男は空気を読むのが苦手なので、それが「貴重なエアコンの冷気が逃げていくから、ドアを閉めて欲しい」という言外の意図まで察するのは難しいんです。これは、長男ばかりの責任ではありません。私のほうも言葉を省略し過ぎているんですね。実は、子育てに限らず、私は対人関係のイライラやトラブルの原因の多くは、当人同士の性格や相性の問題などではなく、「言葉の過不足」から生じているのではないかと思っています。ですから、ここでは、「暑いから、ドアを閉めてくれる?」と、言葉を省略せずに「して欲しい行動」を最後まで伝えれば、大抵は、ちゃんと分かってくれます。※時々の換気も大事!出典 : 家族の昼ごはんのために、折角、お母様が熱気ムンムンのキッチンに独り決死の覚悟で立って、グツグツ煮立ったお鍋でそうめんを茹でて差し上げたというのに、子ども達がオンライン・ゲームに夢中で、ちーっとも食事が始まらなかったら、そりゃあ、腹も立つというモノ。「いい加減にしなさい!」……って、ブチッと電源を引っこ抜きたくなりますが、まあ、子どもには子どもの都合もあるんですね。うちの子曰く、「オンライン・ゲームって、急にやめられないんだよ。勝手に抜けると次に入れてもらえなかったりすんのッ!」とのこと。私も小中学生の頃には、ドラクエに夢中だったので「そんなの知ったこっちゃない」とも思えず、一応、子どもの都合も聞いてみます。例えば……「その対戦、あと何分で終われそう?」「次のセーブポイントまで、どれくらい?」……とか。子どもの世界に話しを合わせながら伝えてみると、意外と素直に終われることも多いんです。そして、ココで大事なのは、たとえ多少約束の時間をオーバー気味だったとしても、最終的にゲームをやめて来られたら、「終われたね」……と、できたことに注目してフィードバックしてあげること。こうすると、次も同じように終われたり、だんだんともう少し早めに行動できたりする確率UPです。出典 : 親の休息時間確保のために、やむを得ず、子どもに動画を見せっ放しにしていると、いつの間にか「迷惑系」などと呼ばれるモノまで見ていることも……。テレビのニュースでも、国内外の大人や無謀な若者達の迷惑行為や、感染リスクを軽視する行動などが時折報じられたりもします。大人達があまり「いいお手本」を示せていないのに、「あれもダメ、コレもダメ」と、子どもの行動を制限することを理解させ、十分納得させるには、なかなか説得力を出しにくい状況なのかもしれません(もちろん、「いいお手本」になる情報もたくさんありますが……)。それでも、親や周りの大人達は、お互いを守るための行動を、子どもに根気よく理解させていく必要があるでしょう。例えば、子どもが久しぶりの外食で食事中にマスクを外している時に、ついはしゃいで大きな声で騒いでしまう場合などに、「メーワクだよ!」……の一言で済ませると、その場ではとりあえずやめられても、親が見ていない時やみんながやっていない時にできなかったり、逆に、話していい時でも過剰に意識しすぎたり……なんて可能性も。ここは、少しだけ丁寧に、「大きな声で話すとちっちゃいツバ(飛沫)が飛びやすくて、もしも自分が感染してて、そこにウイルスが入っていたら、周りの人に移してしまうかもしれないから、これくらい(←実例)の小さな声で話そう」とか、「〜食事が終わって、マスクつけてから話そう」……など、「メーワク」の中身を、具体的に「どんな行動(言葉)で、誰がどんな思いをしたり、どんな不便や負担をかけたり、どんなリスクにつながったりするのか」、子どもが納得できる理由を説明するといいでしょう。それと同時に「やっていいこと」もセットで伝えると、たとえ親が見ていない時でも周りに配慮する行動ができる確率がUPすると思います(テイクアウトにしたり、屋外で広々と食事できる場所を選ぶのもGood!)。そして、子どもにして欲しい行動があったら、親や周りの大人はその子の目の前で、繰り返し繰り返し、実際にお手本を見せてあげ続けることで、いつの間にか身につけられることって、本当に多いんです。変換できても、できなくても、親ががんばってることは同じ!出典 : こんな風に、伝え方ひとつで、お互いに言いたいことがまっすぐ相手に伝わるようになると、日常の親子のコミュニケーションのすれ違いから生じるストレスが次第に減っていくでしょう。でも、私が声を大にして伝えたいのは、声かけを「変換できても、できなくても、親が毎日子育てをがんばっていることは同じ!」だということ。「声かけ変換」は、子育てをちょっとラクして効率をUPする「省エネ術」のようなものですから、たとえ上手に変換できなかった時も、あなたが子育てをがんばっていることには全く変わりありません。ですから、たとえ、つい子どもにイライラしてしまっても、このような状況では尚更、そんなの当たり前です。こんな時は、子どもと物理的に少し距離を置く「家庭内ソーシャルディスタンス」をとりながら、冷たい麦茶でも飲んで一息入れつつ、「しゃあない、しゃあない、あるある〜」と、自分にも声かけを。そして、子どもと同じように、自分自身の「できてること」「がんばれていること」「フツーにこなせていること」などにも、ちゃんと目を向けてあげて下さいね。大場美鈴(著),『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』あさ出版, 2020.6.27
2020年08月17日1人息子は小5で発達障害グレーゾーン。42歳、契約社員の事務職。今の仕事に、何となく不安を感じていた…Upload By LITALICOライフ会社でお昼休み、携帯のチェックをしていて、LITALICOライフのキャリア面談がふと目に留まりました。1人息子は小5で発達障害グレーゾーン。学校では、友達とも大きな問題なく過ごせているけど、引っ込み思案で、自分の意見や気持ちを伝えるのは苦手。勉強もだんだん難しくなってきて、最近は自信がなくなってきたみたい。中学生になったらきっと手も離れるだろうから、私は正社員になって、もっと仕事にうちこみたいな…と思っていました。現在、42歳で契約社員の事務職。今からでもできる正社員の仕事は、あるのでしょうか。今の仕事に、何となく不安を感じていた私は、無料で行っているというキャリア面談に申し込みました。※このコラムは実話をベースとしたフィクションですLITALICOライフのサービスとは――お子さまに関するお悩みごとだけでなく、ご家族のことも考えたサポートの提供Upload By LITALICOライフこれまで子どもの成長や、学校生活、お友だちとの関わり方に不安があったので、LITALICOはチェックしていました。しかし、どうして保護者向けのキャリア相談をしているのでしょう。面談はネットで申込むことができ、土曜日の午前中を指定しました。オンライン面談が始まると、スタッフの方が説明をしてくれました。「これまでLITALICOライフは、多くのご家庭から、お子さまのことについてご相談をいただいてきました。実はその中で多いお悩みは、お子さまのことだけではなく、保護者さまご自身の、『仕事をしながらの送り迎え、勉強のサポ―トが難しい』『預け先がなく、仕事をやめてしまった』という仕事の悩みだったんです。」だからこそ、お子さまだけではなく、ご家族全体に向けたサポートも開始したとのこと。私と同じような悩みを持った人が多いんだな、と少し安心しました。面談の中で、「子どもが心配で、いつも時間を気にしながら働いていた」自分が見えてきたUpload By LITALICOライフ面談が始まり、これまでの経緯を話しました。息子が発達障害グレーゾーンであること。朝もまったく起きられず、何度も起こして送り出していること。学校から帰ってくると疲れてしまって、宿題も、明日の支度もなかなか進まないこと。だから、ついつい声をかけ、手を貸しながら毎日やり過ごしていること…。「お母さま、本当に大変ですよね。」スタッフの方がそう一言声をかけてくれ、思わず涙が出そうになりました。子どもが発達障害ということは、会社などではなかなか理解してもらえません。それから、自分の仕事に対する姿勢や、想いについても聞いてくれました。子どもの発達障害への理解があり、安心して本音を話すことができました。「働きたい理由は何ですか?家計が安心でも働きますか?」「正社員として仕事をしたいのはなぜでしょうか?」スタッフの方からの質問に対する、自身の回答に自分でもびっくり。――子どもの学費を考えると、家計に少しでも収入がほしいと思います。でも、家計の心配が無かったとしても働きたいです!子どもが大きくなった時、自分はいったい何なんだろう?って思ってしまう気がします。子どもが成長したとき、自分も少しでもキャリアアップしていられたら、って思うんです!――正社員に踏み出せないのは、子どものせい?Upload By LITALICOライフ「では、いつ正社員になりたいとお考えですか?」思わず言葉が詰まってしまいました。小さい頃の息子は、お友だちとのトラブルが多くありました。今でも学校でいじめられていないか、空気が読めずに仲間外れにされていないか、心配です。宿題を出せない日もあり、本当は、もっと手伝ってあげるべきではないか。母親の私が仕事しているから、寂しい思いをさせてしまっているのではないか…。息子が中学生になるまでは、正社員は止めておいたほうがいいのかもしれない。そう伝えました。すると、スタッフの方から今度は「中学生になった時に変わりそうな点はどんなところですか?」と質問されました。質問の一つ一つに答えていくことで、自然と自分の考えが整理されていきます。息子が中学生になれば、もっと働ける時間が増えるかもしれない。でも、寂しい思いはさせてしまうかもしれない…。結論を出せずにいる私に、スタッフの方がこう言ってくれました。「時間の”長さ”ではなく、”質”で、お子さまとの関わりを充実させていくのはどうですか?お子さまが高学年、中学生、高校生と大きくなっていくと、自然と一緒にいる時間は減っていくと思います。その分、夜のこの時間は一緒に過ごす、など決めることで、お互いその時間が大事にできるようになるかもしれません。」目から鱗でした。これまで少なからず罪悪感を抱いて仕事していましたが、息子が大きくなってきたことで、必ずしも「長い時間一緒にいる」ことだけが、母親としてできることではない、と気づくことができました。息子が大きくなるのと同時に、私の年齢も上がっていきます。迷っているうちにどんどん時間は過ぎてしまうんだなと、改めて感じました。42歳で、特別なスキルがない自分でも正社員としてできる仕事はあるのか聞いてみると、未経験からでもできるテレワークの仕事を紹介してもらいました。息子とも話して、前向きなチャレンジを踏み出すことにしました。Upload By LITALICOライフ日々の子育てに追われ、あっという間に時間が過ぎていく毎日。気が付くと42歳になっていました。母親としても頑張りたいけど、将来の自分のためにも頑張りたい。面談を通して、忘れていた自分の気持ちを思い出すことができました。未経験からでも正社員になりたい、自分と家族に合った正社員の仕事を知りたい。そんな思いを持っている方は、一度お話されてみてはいかがでしょうか。LITALICOライフの正社員キャリア面談に申し込むUpload By LITALICOライフ「正社員として働きたいけど、育児との両立が難しい」「より自分の生活スタイルに合った正社員の仕事を探したい」LITALICOライフのスタッフが、あなたのお話を伺います。あなたの大切にしたいことや、お子さまのことも伺いながら、お仕事のご紹介をすることもできます。≪例えばこんな仕事をご紹介しています≫お仕事内容:お電話でのカスタマーサポート働き方:完全リモート(9:00~21:15のうちのシフト制)、週休2日(週によっては土日祝日勤務の場合あり)待遇:正社員、福利厚生・研修制度あり★通勤時間を気にせず働くことができる★在宅業務を活用し、休憩時間に家事もできる★実績を活かし、キャリアアップも期待できるLITALICOライフでは、幼児教育や中学・高校受験、キャリア支援など、さまざまな専門領域をもつコンサルタントが、年間2,000以上のご家庭へ勉強会や個別面談を行っています。これらの知識やノウハウを基に、より多くのご家庭の困りごとや将来への不安を、少しでも「安心」に変えていけるような情報をお届けするメルマガを配信しています。想定配信内容・発達障害のある子にあった進路や自立に関するヒントやイベント情報・発達障害のある子の特性や個性を活かす手立てやお役立ち情報・読者からの子育てのお悩みQ&AなどLITALICOライフはお子さまとご家族が「自分らしい人生」を歩んでいくために障害分野とファイナンス、その両方の専門家としてライフイベントやライフプランの見直しを相談できるパートナーです。社会資源やサービス・お金の知識といった幅広い内容を身につけることができる勉強会や、専門領域をもつコンサルタントとの個別面談・プランニングを提供しています。
2020年08月13日気持ちを上げるために発達障害の娘は今年で社会人3年目です。今では休むことなく毎日勤務している娘ですが、就職して間もない頃は嘔吐や頭痛、腹痛などでよく会社を休んだり早退したりしていました。状況改善のためジョブコーチや地域活動ホームの相談員さんと連携・相談などをする一方で、気分が落ち込み気味だった娘のモチベーションアップのため、家庭では仕事以外の趣味や余暇の過ごし方を工夫しました。休みのときはスイーツを食べたり、カラオケに行ったりしました。また、唯一好きなスポーツ、水泳で体を動かしたりもしました。中でも、娘が小さい頃から大好きだった絵画の制作には多くの時間を費やしました。あるとき、娘が描いた絵画が、ある賞を受賞したと主催者から連絡がきました。私は娘の気持ちを上げるため、ここぞとばかり娘を褒めまくりました。Upload By 荒木まち子その様子を見ていた定型発達の弟の反応は...Upload By 荒木まち子メディアの影響もあるのかも確かに娘には凸凹があります。空間認知能力が低い。聴覚過敏がある。人とのコミュニケーションが取りにくい。計算が苦手。それでいて本から学んだ知識の量、PCスキル、勢いのある絵の描写や色彩のセンスは優れています。でもそれらが『特別な才能』と言えるほどかというと、正直“?”な感じです。息子は当時10才。まだ幼いこともあり、よくメディアなどで取り上げられる『障害のある人は、特定の分野においてずば抜けた才能がある』といった情報を鵜呑みにしていたのかもしれません。実際『ある分野で天才的に秀でた能力を持っている障害者』もいるでしょう。しかしながらそれはほんの一握りであって、娘を含め多くの障害者はそうではありません。私は娘が「得意なこと」や「好きなこと」で生計を立てていくことを望んではいません。本人が熱意と覚悟を持ってそれを希望するなら話は別ですが、好きなことも仕事になると自分の思い通りにならないことが多く、逆に辛くなるということを、娘はすでに経験から学んでいます。また、娘は体調がメンタルに左右されやすいタイプです。趣味や好きなことでストレスを発散し、精神的・身体的に落ち着いて、“毎日ハッピー!”とまではいかなくても、辛いとかしんどいと感じない日々を送ってくれたら良いな、と私は思っています。私は自己肯定感が低い娘の気分がアップして、メンタルの安定に繋がれば…という気持ちで彼女を褒めてきました。なので、息子が姉を羨ましいと感じていることに驚きました。Upload By 荒木まち子親として“同じだけ気にかけている”をアピール定型発達児・者が難なくできることに障害児・者は多くの労力を使いますし、その努力が報われないこともままあります。なので親は彼らの小さな一歩に大きな幸せを感じることがあります。でも定型発達児・者も苦労や努力をしていないわけではありません。きょうだい児より障害のある子どもの方が手がかかるため、関わる時間に差がでてしまうかもしれないけれど、“気持ちの面ではどちらも同じだけに気にかけている”ということを両者に上手く伝わるようにしていくことも、とても大切なのだと感じました。息子は運動が得意で他人とのコミュニケーション能力に優れています。読書が苦手で算数が好きです。幸いにも娘とは真逆のタイプなので、それぞれの得意分野を違ったアプローチで褒めることができます。「これからは娘が嫉妬しない程度に、息子の長所ももっと褒めていこう!」と私はこの時思いました。息子は娘と違って微妙な空気の違いを察することができるので、娘に対してするような“大げさな褒め”ではなく“ほどほどの褒め”を心掛けつつ(笑)
2020年08月13日気になるきょうだい児との関係。発達障害の子を持つ親にとって、他の兄弟姉妹(きょうだい児)との関係は、気になるところではないでしょうか。広汎性発達障害がある、9歳(小4)の娘には、3歳10ヶ月になる、定型発達の弟がいます。私も、息子が生まれてから、2人の関係がどうなっていくのか気になり、注目してきました。Upload By SAKURAそして、娘と息子…それぞれの成長の度に、いろいろと変化していく、その関係性を見てきました。しゃべりが得意な弟に、たじたじな姉。息子は1歳の時から、保育園に通っています。現在は、3歳児クラスにいて、年下の子をリードし、面倒を見る"お兄さんお姉さんポジション"になりました。先生たちの指導も厳しくなってくる時期になり、自分のことは自分でやる、けじめのある行動…などなど、鍛えていただいているおかげか、母の想像を超える、たくましい姿を見せてくれるようになりました。Upload By SAKURA保育園のお友だちとのやり取りで鍛えられ、おしゃべりも達者。聞くことも、しゃべることも、かなりしっかりしています。初めのころは、おしゃべりがたどたどしい息子に対して、娘が先輩風を吹かせていたのですが…Upload By SAKURA自分の言いたいことをしっかり伝えられるようになった息子に、おしゃべりが苦手な娘は、たじたじ。5歳(6学年)の差がありますが、同じ説明を同時にしても、息子の方が理解が早いこともあります。もちろん、単語の数や、知識は、当然娘の方が多いのですが、説明の理解に関しては、息子の方が早いと感じることが多々あります。気を使った接し方。息子が生まれてから、私が2人の関係を注意深く見てきた理由…それは、「発達障害がある娘を、息子が見下すようには、なってほしくない」と思っていたからでした。私はそのことを、常に意識して、息子に接してきました。Upload By SAKURA親である私たちが、娘の苦手を認めているということを見せ、息子が娘のできないことを、強く指摘しないように気をつけていました。息子にも、娘の苦手な部分を理解できるようになってほしいと思っていたからです。しかし同時に、娘を過度に優先にして、息子が不満に感じないように…そして、娘に対する接し方について厳しく言い過ぎて、息子にとっての負担にしたくないとも、考えてきました。息子が大きくなるにつれて、2人のやり取りはより複雑なものになっていきました。私は、言いたいことをうまく説明できないことがある娘に対して息子がどういう態度を取るのか、いつも気になりました。幸い息子は、娘の言葉がつまった時も急かすことをせず待ってくれ、娘の言葉について、からかうことをしない子に成長してくれました。そんな時、息子に変化が…そんな中、ここ数か月の間に、姉弟間での息子の立ち位置に変化がありました。娘のパニックが起きた時、以前の息子は、娘の泣く様子を少し気にかけることはありましたが基本的に関わることはなく、私と娘が話し合いをしている中、背を向けることが多い状態でした。Upload By SAKURAしかし少し前から、息子はその一部始終をずっとそばで見るようになったのです。時には、私たちの間に座り、泣いてる姉を見つめ、話す母(私)を見つめ、その目線はいったりきたり。Upload By SAKURA姉の状況を考えられるように!また、話し合いが終わった後にも、変化がありました。娘は、私との話し合いが終わった後は、心を落ち着けるためか、必ず家の中をウロウロし、いろんなものに触ったり、テーブルやソファーの周りを回ったりします。いつもはそのタイミングで娘が息子のおもちゃに黙って触ると、息子は「勝手に触らないで~!」と言うのですが…Upload By SAKURA最近は怒らず、娘の様子をじっと見た後に、私の方を見るようになったのです。私にはそれが「今は、そっとしといた方がいいんだよね?」「触らないでって言わない方がいいんだよね?」という視線に見えました。Upload By SAKURAずっと、私と娘のやり取りを見ていた息子。どういう心理かはわかりませんが、何か感じるものがあったのかもしれません。娘をそっとしておいてくれる行動がまた一段階レベルアップし、その間の娘の行動に寛大になったことは、ありがたい変化でした。お決まりになってきた、私と息子のアイコンタクト。その後も娘が泣いていると、息子は私の方をちらりと見て、確認するようになりました。私が「大丈夫よ」と言うと、うなずき、そのまま娘をそっとしておいてくれます。私と息子の間でこのアイコンタクトは定着していき、息子が私を見る…私が頷く…という形が多く見られるようになりました。Upload By SAKURAこの息子の静かな見守りと確認は、娘にとっても私にとっても、平和で助かっています。2人の気持ちを同時に叶えることは、難しい。その一部分で息子に変化はあったものの、他は今まで通り。相変わらず、物の取り合いや順番…場所の取り合いで、喧嘩も毎日しています。喧嘩は、お互い言いたいことをいうので、収拾がつかなくなることも多々あります。2人を育てていく上で、娘の特性に配慮しつつ、息子に負担をかけすぎないように…私たちはそう考えてはいますが、おそらくどちらも全く不満に感じないということは不可能でしょう。どちらも、我慢している部分はあります。発達障害のある娘の、特性は理解してあげたいと思います。しかし、息子はまだ3歳。自己主張もあり、意地も張ります。Upload By SAKURA姉弟喧嘩に関しては、息子が号泣し、娘が折れてくれることがほとんどです。現状、割合的には、歳上の娘が我慢しなければならない場面が多くあります。喧嘩の時は一歩も引かない息子ですが、娘がパニックを起こした時は全く違い、娘の様子をよく見て、私に確認をとりながら、行動や言葉を選び、気づかってくれます。親の配慮を除いても、なんだかんだでうまくバランスが取れていると、私は感じています。しかし、そのことに甘えず、親としてそれぞれの気持ちを理解し、お互いの負担を最小限にする姿勢は常に忘れずにいたいと思いながら、今日も2人を見守っています。
2020年08月12日計12名様に! 日々のお子さんとの関わりに役立つ書籍をプレゼントしますLITALICO発達ナビでは、書籍レビューコラムや新刊情報コラムにて、発達障害や子育てに関する本の情報をお届けしています。今回は「夏の読書企画」と題し、発達ナビユーザーの皆さまに話題の新刊を抽選でプレゼントします!出版社のご協力のもと、発達ナビでおなじみのライターさんの著書などをご用意しました。ぜひ興味のある書籍を選んで応募してください!2020年夏の書籍プレゼントキャンペーンの応募期間は、2020年8月21日(金) 18時まで。下記の応募要項を確認の上、奮ってご応募ください!【応募要項】■ご応募はお1人様1回までです。■当選した方には、書籍の送付先をお伺いするため8月31日(月)までにメールにてご連絡いたします。ご応募の際は必ず受信確認ができるメールアドレスをご入力ください。※ご連絡が取れない場合、期日までに送付先情報がいただけない場合には、当選は無効となります。■個人情報取扱の注意事項にご同意の上お申込ください。お申込いただいた時点で同意いただけたとみなします。発達ナビでコラム連載中のSAKURAさんの著書です。SAKURAさんの長女のあーさんは、自閉症スペクトラム障害のある女の子です。本書はあーさんの9年間の成長過程をまとめたものとなっていて、幼稚園時代から小学校入学、学校や放課後等デイサービスでの出来事が綴られています。進路先選びや、通常学級から特別支援級へと転籍した際のエピソードなども。さらに、鳥取大学大学院の井上雅彦先生による解説も各章ごとに入っています。タイトルにある「個性の塊」という言葉は、あーさんの発達支援センターの先生から言われたものでした。それまで、あーさんが他の子と違うことに葛藤を抱くこともあったというSAKURAさん。しかし、この主治医の言葉によって、SAKURAさん自身の気持ちが、「娘の個性をもっと楽しもう」という前向きな方向に変わったのだそうです。そこから、SAKURAさんはあーさんが一人で行動するようになったときに困らないように、と「今できること」として療育をスタートします。この本には、そんな療育についての手がかりを見つけるヒントがたくさん詰まっています!著者は、発達ナビでコラム連載中の楽々かあさん。楽々かあさんが育児を続けるうえで、効率のいい声かけ例をまとめた自作の「声かけ変換表」が書籍化されました。自身も3人の子育て真っ最中の楽々かあさん。かつては自分も怒ってばかりでうまくいっていなかったと本の中で語っています。この本ではそんな著者の苦い経験から、どんな子にも伝わりやすい166もの声かけ変換例を、身近な話を用いて具体的に分かりやすく紹介しています。著者は「子育ては長期戦、無理なく続けられることが大事」と語っており、毎日がラクになる親子コミュニケーションのヒントもたくさん掲載しています。「お子さんに言っていることが『伝わらない』」という方は、本書をヒントに声かけを変換してみるといいかもしれません。著者は、長年にわたり発達障害のある子とその家族の相談支援に携わってきた経験をもつ、星槎大学大学院の阿部利彦教授。著書も多数あり、発達ナビのイベントでの登壇もいただいているので、ご存知の方も多いでしょう。7月に発売された新しい著書は、発達障害のある子を育てている保護者をはじめとした大人が身につけたい「応援スキル」を紹介する一冊です。本のなかで、著者は「保護者の方も自分の人生を楽しむことを忘れないでほしい」と語っています。発達障害のある子どもたちを育てている保護者だって、人間です。イライラしたり、つまずいたりしながらも、いつも子どもの一番の応援団でありたいと願っています。本書は、そんな保護者が日々子どもと接し声かけする中で思いをより適切に伝えるためのスキルを、具体例を示しながら教えてくれています。「また怒っちゃった」「こんなときはどうしたらいいのかな」と思ったときに本書を手に取れば、「次はこうやってみよう」と前向きになれるのではないでしょうか。「コミュニケーションが苦手」などと表現されることはよくあるかと思いますが、そもそもコミュニケーションとはどのようなものなのでしょうか。本書ではコミュニケーションは“双方向のやりとり“であると定義し、「社会モデル」で捉えながら、その人の特性だけではなく身近で関わる人々や環境にまで視点を向けた支援を行うことの重要性と、そのポイントについて解説しています。LITALICO研究所所長の野口晃菜さん、 LITALICOワークスのシニアスーパーバイザー・LITALICO研究所のチーフリサーチャーを務める陶貴行さんが編著、そして7名の専門家による支援事例の紹介も含んだ構成となっているので、理論と実践を結びつけて学びやすく、支援の現場で役立てられる内容が詰まっています。
2020年08月10日成長と共に“特性の現れ方”も少しずつ変化をしていて…?Upload By 丸山さとこASDとADHDの診断を受けているコウですが、成長に伴いそれぞれの特性の出方は変わっているなと感じます。小学校1年生まではASD的な「ルール遵守」が強く出ていました。“いかにもASDの子ども”らしい行動をしていたコウ未就園児の頃は「物を並べる・回転する物をずっと眺める・親を含め人間に対する興味が薄い・クレーン現象・オウム返し」など、全体的に“ASDの子ども”感のある行動をとっていたと思います。Upload By 丸山さとこ歳児検診で初めて言われた「発達障害かも」――不安や抵抗を感じる余裕もなく...7年経った今、息子について思うこと【障害受容 前編】検診結果「発達障害かも」を信じられなかった夫。練習していない会話ができない様子を見て納得しーー夫婦で違う?息子への関わりから学んだこと【障害受容 後編】その頃はルールを理解する力が弱く「自分が見出したルール」に固執することもあり、彼の“こだわり”に首をかしげながら付き合うことも多くありました。入園後は集団行動から外れることも多くありつつ、ルール遵守の傾向が強く出ていたことから“真面目だけどズレたところのあるマイペースな子”という感じでした。Upload By 丸山さとこ息子の入学準備!母自身のとまどいの思い出から生まれた「授業ごっこ」とは小学校に入ってからは「一斉指示についていけるだろうか?」と心配もありましたが、1年生ということもあって先生が小まめな声かけをしてくださったことで、大きなトラブルはなく1年間を終えました。セリフ集をもって学校へ!オウム返しだったASD息子との「言いたいことを伝える」ための会話練習とは?会話がオウム返しであること、彼のこだわっているルールに付き合いつつそれらを緩めていくこと、親という存在を認識してもらうこと、パニックを避けたり鎮めたりすることなどに対しては大変だなと思うこともありました。とはいえ、大変な一方で“1つ1つ対応していくことが可能”であることや“できることが少しずつ増えていくこと”から、凄く困ったことはあっても「どうしたら良いのだろう?」と深く悩むことはありませんでした。Upload By 丸山さとこ息子は親に興味ゼロ!幼児期から「親の存在価値」をあれこれプレゼンした結果…多動は基本的にはあまり目立つことはなかったとはいえ、幼児の頃は食品売り場のレジで財布を出そうとした隙に遠くの靴売り場まで行ってしまう子どもだったコウですが、それもハーネスリュックを使うことで事故は防ぐことができました。Upload By 丸山さとこそんな風に「工夫をすることや手をかけること」は必要ながらも、「まだ小さいからね」で周囲からも温かい目で見られることも多かった小学1年生でしたが、2年生頃から少しずつ対処しきれないことが増えてきました。また、それと同時に“今までとは違った特性の現れ方”が見られるようになってきたのです。小学2年生、出だしは順調に見えたものの…?コウが感じる困りごとに対しては、小学1年生まではある程度親がフォローすることが可能でした。学年通信に記載されている内容も細かく、小学生として生活するスキルがまだ未熟な「新一年生」への手厚いバックアップがあったことも大きかったと思います。Upload By 丸山さとこ2年生になると、先生からの指示が1年生程“小まめで具体的なもの”ではなくなります。分からない時は先生や周りの児童に尋ねられるとよいのですが、その頃のコウは自分からヘルプを出すことが難しく、「何て言えばいいの…?」とオロオロするばかりでした。そのため、先生との面談にて「起こりそうなこと」をあらかじめ伝えていたのですが、1学期がスタートしてしばらくたった頃には「全然大丈夫ですよ!他の子よりもしっかりしているくらいです」と先生から太鼓判を押されるくらい、学校生活は順調な様子でした。そうして「学校楽しい!」と毎日登校するコウの様子にホッと一安心したのも束の間、予想外の方向から問題はやってきました…!次回、“それまでは思ってもみなかった特性”がどう現れどう振り回されたのか、お話ししていきたいと思います。
2020年08月07日約600名が参加!イベントの様子を紹介Upload By 発達ナビニュース2020年7月10日、「発達障害のある子どもと周囲との関係性を支援する~コミュニケーション支援のための6つのポイントと5つのフォーカス~ 」の出版記念イベントをオンラインで開催しました。イベントには、書籍の執筆に関わったLITALICO研究所所長の野口晃菜ほか著者・編集者4人が登壇し、オンライントークセッションを行いました。このイベントには、約600名がリアルタイムで参加。発達障害がある子どものこれからの支援について、関心の高さがうかがえるイベントとなりました。なぜ、この書籍を書こうと思ったのか?Upload By 発達ナビニュース本書の企画から編集までを務めた野口晃菜さんはイベント冒頭で、「本を書くのが苦手で、様々な書籍の執筆の依頼を断ってきました(笑)」と、話しました。そんな野口さんが、今回書籍を企画からやろうと踏み切った理由は3つあるとのことでした。1つ目は、「障害のある人のコミュニケーションの困難さはどこにあるのか?」を発信したいこと。本来、コミュニケーションは「双方向のやりとり」であるため、障害のある人のみに原因があるわけではないはず。それを多くの方にこの書籍を通して知っていただきたいということ。2つ目は、野口さん自身が尊敬している支援者と彼らの支援・取り組みについて知ってもらいたいという想いから。本書では、その7人の支援者が、それぞれの専門性からの支援の事例を紹介しています。3つ目は、発達障害の子どもの支援には、非常に多くの専門家・支援者が関わっているが、共通言語がなく、それぞれの専門性が活かしきれていないという課題感から。本書はこのような想いをもとに、高い専門性がありながらも、誰でも読めるようなわかりやすさがあり、コミュニケーション支援における共通言語と共通のポイントをまとめてあります。イベントでは、著者編集者自らが、自らの専門性に基づき、一歩進んだコミュニケーション支援をするための共通のポイントについて語りました。著者らが大切にしているコミュニケーション支援のポイントとは?Upload By 発達ナビニュースパネルディスカッションでは、本書のサブタイトルにもなっている「6つのコミュニケーション支援のポイント」について、4人の登壇者が自身が特に大切だと思っているポイントを選びトークが繰り広げられました。Upload By 発達ナビニュース緒方さんは6つのポイントの一番最初のポイント”「わからないから知りたい」からスタートする”を選択しました。全ての支援のはじまりになるのは、「この子が何をどう感じているのか?」「その子のこともっともっと知りたい」「お子さんや親御さんは何が大変なんだろう?」という想いがやっぱり大事。親御さんやお子さんが歩んできた歴史を理解したうえで、支援をするということを大切にしていきたいと話しました。Upload By 発達ナビニュース野口さんが選択したのは”誰かに原因を求めても解決しない”でした。「人間、うまくいかなかったとき、どうしても誰かのせいにしたくなる」自分自身もうまくいかなかった時に、子どもや関係者のせいにしたことがあるという野口さんですが、誰かのせいにしてもうまくいくわけではなく、自分が変わらなくてはいけないと気付いたとのことです。自分に対しても同じで、ただ自責しても良い支援ができるようになるわけではないとも話しました。そんな時大切にしているのは、その人の中に原因があるのではなくて、その人と、その人を取り巻く環境の相互作用の中に何かのズレが発生しているという考え方だと言います。Upload By 発達ナビニュース陶さんは全てのポイントが大切だと言いつつも、”キラキラポイントに目を向ける”を選択。「困難を切り抜ける時、キラキラしていることで切り抜けてきている」これは、これまでの支援の経験の中で、利用者から教えてもらったとのこと。生きていくとはそういうことだとも言います。子どもだけの力、先生・親御さんだけの力では難しく、みんなでキラキラするポイントを環境調整して引き出すように支援していくことが大切ではないかと話していました。Upload By 発達ナビニュース井上さんは、”チームで支援する”を選択。お子さんが感じていることのサインを、チームで見逃さないこと。そして、お子さんの本当に伝えたいことは何なのかをチームで考えることが大切だと話しました。また、良いチームは?という問いに対し、「フラットに、違いも踏まえて対話し続けられるチーム」という回答もありました。体験していくしかなくて、気付いた人から啓蒙していくことが大事だということです。Upload By 発達ナビニュースこのレポートでは伝えきれないくらい、興味深い話が多くつまったイベントでした。ご関心がある方はぜひ、アーカイブでイベントの様子をチェックしてみてください。アーカイブはこちらからご覧になれます!Upload By 発達ナビニュース■ イベント概要 ■ ■2020年7月4日(土)に「発達障害のある子どもと周囲との関係性を支援する~コミュニケーション支援のための6つのポイントと5つのフォーカス~ 」が出版されました。これを記念した執筆者達によるオンライントークイベントが開催されました。■ 登壇者プロフィール ■ ■<野口晃菜>博士(障害科学)。小学校6年生の時にアメリカへ渡り、障害児教育に関心を持つ。高校卒業時に日本へ帰国、筑波大学にて多様な子どもが共に学ぶインクルーシブ教育について研究。その後小学校講師を経て、現在障害のある方の教育と就労支援に取り組む株式会社LITALICOにてLITALICO研究所所長として、一人ひとりに合わせた支援・教育の実現のための仕組みづくり、自治体との共同研究、少年院との連携などに取り組む。文部科学省「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議」委員<陶 貴行>株式会社LITALICOLITALICOワークスシニアスーパーバイザー・LITALICO研究所チーフリサーチャー約15年障害のある方の就労支援に携わっている。元、障害者職業カウンセラーで、専門は職業リハビリテーション、応用行動分析、認知行動療法。公認心理師、臨床心理士も取得している。これまで、障害のある方の就労支援における応用行動分析や認知行動療法による介入や就労移行支援事業所スタッフ向けのスタッフトレーニング(応用行動分析のスキル習得)、障害者の職場定着に影響を与える要因を検討するための調査、インターネット認知行動療法の効果検討等の研究を行ってきている。現在は、アクセプタンス&コミットメント・セラピーの就労移行支援事業所における応用や、就労移行支援事業所におけるオープンダイアローグの実践を行い、その効果を検討する研究を行っている。<井上いつか>株式会社LITALICOLITALICOジュニアアドバイザー言語聴覚士医療・福祉機関で勤務後、現在フリーランス。複数の支援機関でお子さんの療育や自立支援、ご家族や指導者のサポートを行っている。<緒方広海>株式会社LITALICOLITALICOジュニアチーフスーパーバイザー公認心理師臨床心理士さいたま市にて専門職(心理)として約15年間従事。こころの健康センター(精神保健福祉センター)、障害者総合支援センター(発達障害者支援センター)、子ども家庭総合センターなどで、乳幼児から成人期までの精神保健福祉、障害福祉の分野で幅広く心理臨床業務に携わる。現職においても支援に関わる指導員への研修やスーパーバイザーの育成の統括を担当している。
2020年08月06日発達障害当事者との対談連載、スタート発達障害を描いたドキュメンタリーCM「見えない障害と生きる。」でプロデューサーを務めた東海テレビの桑山知之が聞き手となり、さまざまな発達障害の当事者と対談する連載がスタート。連載初回は、このCMにも出演したラッパー・GOMESSを取材し、「家族と発達障害」について語ってもらった。10歳の冬、診断は高機能自閉症…あだ名は“障害者”GOMESSが初めてパニックを起こしたのは、地元のバザーに家族で行ったときのことだった。楽しむ母や姉を横目に公園でうたた寝をしていたところ、ふと首に違和感を覚えた。毛虫だった。GOMESSは、毛虫が大の苦手だった。我に返ると、パニックを起こしたGOMESSは母親によって強く抱きしめられていたという。後日、家族に連れられ赴いた精神病院で、高機能自閉症という診断を受けた。その後、症状が悪化するのを見かねた母は、小学5年の春、担任教師に相談した。自閉症とはどういうものか、子どもにも分かるような資料が朝の会で配られた。「それが成功する可能性もあったと思うんですよ。でも僕の場合は違って。陰で言われてたのは、障害者とか、野獣とか、エイリアンとか……。どんどん学校に行きづらくなりました」そこから5年間にわたり不登校、引きこもり生活を送ったGOMESS。今でこそ母の支えや頑張りが痛いほど分かるものの、当時は「お母さんが余計なことをしたから」と責めてしまったと振り返る。しばらくは母もなんとか学校に行かせようとしたが、GOMESSは強く抵抗した。「本当に悪いことなんですけど、すぐに死をほのめかしてたんですよ。『そんなに言うんだったら学校に行くフリして死ぬけどね?』とか。『生まれてこなきゃよかった』とか、お母さんに直接言わなくてよかったようなこともいっぱい言いました」3歳上の姉とは、自身が引きこもる前はケンカもしていたが、やがてほとんど会話もなくなった。避けられていた。「ずっと部屋で暗い顔してる弟は嫌だったんじゃないですかね」。Upload By 桑山 知之担当医「この子にはできないことがある」親が考える“正規ルート”からの脱却静岡県内の精神病院で診断を受けたGOMESS。代表的な楽曲の一つ『人間失格』にも登場する当時の担当医師“カゲヤマ先生”のある言葉で、家族の接し方は変わっていったという。「カゲヤマ先生がいなかったらうちの家庭はダメだったと思います。お母さんたちに『この子にはできないことがあります。それはできるものじゃないです。無理なものは無理。それをきっぱりと親が諦めてください』と言ってくれたんですよ。そこから僕の生活が楽になりましたね。文字が読めないのも、頑張って読めと言われなくなりましたし、ひどい偏食も理解してくれるようになりました。いつかカゲヤマ先生にお礼を言いたいんですよね」言うなれば「お父さんはスポ根の熱血系で、お母さんは知性と優しさ」だという両親。どちらかが叱るときは、もう一方が必ず優しく包み込んでくれた。特に母は、海外の和訳本を取り寄せるほど発達障害に関する本を読み漁るなど、息子について理解を深めようと努力を惜しまなかったという。GOMESSは「親がしてくれたことはすべて自分のことを思っての行動だった」と当時を振り返りながら、「子としてはすごく理想の両親」と誇らしげに語る。「親が予定していた我が子の“正規ルート”みたいなものからの“外れ方”ってすごく大事だと思うんです。一番まずいのは、子どもが何もしなくなること。どんな形であれ、ポジティブな気持ちで何かやろうとしていることがあるんだったら、止めない方がいいと思います。ポジティブな気持ちを何かに向けてることってけっこう奇跡だから、その奇跡的なポジティブは守ってあげてほしい」進学や就職など、親が思い描く「理想」は少なからずある。しかし、それは必ずしも我が子を幸せにするとも限らない。引きこもっている間も呆けるだけでは退屈だったGOMESSは、親に見守られながら、とにかく熱中できるものを追い求め続けたのだった。Upload By 桑山 知之教科書は読めないが、五線譜は読める色んなものに熱中していく中で、「音楽」へと到達するまでにそう時間は掛からなかった。ワールドミュージックを聴けば、ラテンのリズムについて母に力説していた。文字が読めないゆえ、教科書は読めなかったが、五線譜はすぐに読めるようになった。気づけば自ら音楽を作るようになっていた。「(親としては)本当は学校行かないにしても義務教育で習うものくらいは勉強してほしかったんだと思いますけどね。これだけ熱心にやってるんだからいいか、みたいな。僕は“プレイ”よりも“クリエイト”の方が好きだから、毎日毎日色んなことをクリエイションするようになって。その中で音楽が一番ハマりました」ここでもう一つエピソードがある。「音楽に勉強的だった」頃、ゲームにも没頭していた。裕福な家庭ではなかったため、買ってもらえたのは中古で300円ほどのスーパーファミコンのソフト『RPGツクール2』。その名の通り、命令や画像・音楽を組み合わせ、オリジナルのロールプレイングゲームを作るゲームで、GOMESSはPC版も含めこのシリーズをやり込んだ。そこで音楽素材のため、曲を作り始めたのだという。結果、自作のRPGは完成しなかったが、サウンドトラックはできていた。「親がゲームを止めないでくれたんですよね。それは大きかったですね。だからポジティブな気持ちで何かやってるときは、そういう何かが生まれることがある」姉が好きだというモーニング娘。のCDも借りて聴き、衝撃を受けた。「これめっちゃファンクじゃん!すげぇかっこいい!」と、インストゥルメンタル版のテンポを遅めてビートを乗せ、ラップをする。自然とサンプリングもこなれたものになっていた。Upload By 桑山 知之家族が疲弊…ラップが人生を見つめ直すきっかけに献身的に我が子を見守り続けた親だったが、自分を責め、時に精神的に病むこともあったという。「何年も何年も手を尽くしてくれた結果、頑張った末ですね。俺もズカズカとお母さんに言っちゃうから、お母さんは自分を責め続けちゃって。お母さんが僕よりも程度のひどい引きこもりになりました。部屋から出てこないみたいな。台所とかでたまたま会って、目が合うと下向いてすぐに速足で自分の部屋に帰っていって、扉をバンと閉めるみたいな」当時は自分が正気を保つのに精一杯で、家族に支えられていることに気付いていなかった。ラップを通して、いつしか自己を客観的に見られるようになった。「CDデビューをしたり、テレビに出たり、ライブをしたりするようになってから、精神的自立が始まったのかなと思うんですよね。その辺から少しずつ。歳で言えば18・19歳から20・21歳にかけての4年間くらい。僕にとって過去の清算じゃないですけど、こういう恩恵を受けていたんだなとか、一つひとつ噛み砕いていく時間だったなと思います」第2回『高校生RAP選手権』で準優勝を収め、世間からの注目が彼に集まる中で、姉も存在を認めるようになっていた。家でブツブツとラップをしていた引きこもりの弟が、「お姉ちゃんにとっても、ようやく人として接する価値のある人間になれたのかな」と感じた瞬間だった。Upload By 桑山 知之家族を幸せにするために、僕は幸せにならなきゃいけない自身の人生は「みんなのおかげで運良く素敵になった」と語るGOMESS。一方で、母から「私があなたをフツウに産んであげられなかった」と、我が子に対して罪を感じていることを吐露されたこともあった。自分にできることは何か。答えは明確だった。「手間暇かけて全力注いで頑張って育てた息子が人様の役に立つっていうのは、きっとすごくお母さんにとって誇らしいことの一つだと思うから、実際“罪滅ぼし”はできないにしても、何かお母さんのためになると信じてやっているんです」GOMESSは、ラッパーとしての現在の活動について「罪滅ぼしみたいな気持ち」と表現する。「だから、僕は幸せにならなきゃいけないんだなって。僕が幸せになれば、お母さんが感じてきた罪悪感は消えるんじゃないかなと思うんですよね」Upload By 桑山 知之GOMESSがCM「見えない障害と生きる。」で書き下ろした楽曲『COMMON』は、Apple Musicなどで近日配信予定。本連載では、第2回以降も桑山知之が見えない障害のある人を取材し、社会で生きる上でのヒントを探っていく。平成元年愛知県名古屋市生まれ。慶應義塾大学経済学部在学中からフリーライターとして活動。2013年に東海テレビ入社後、東京支社営業部を経て、報道部で記者/ディレクター。2018年から公共キャンペーンのプロデューサーとして「いま、テレビの現場から。」や「見えない障害と生きる。」、「この距離を忘れない。」といったドキュメンタリーCMを制作。主な受賞歴は、日本民間放送連盟賞CM部門最優秀賞、ACC TOKYO CREATIVITY AWARDSゴールド、JAA広告賞 消費者が選んだ広告コンクール経済産業大臣賞、ギャラクシー賞CM部門優秀賞など。・2019年 日本民間放送連盟賞 CM部門 最優秀賞・2019 59th ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS フィルム部門Aカテゴリー ACCゴールド・第58回JAA広告賞 消費者が選んだ広告コンクール 経済産業大臣賞・第57回(2019年度)ギャラクシー賞 CM部門 優秀賞取材・文:桑山知之取材協力:若者支援ネットワーク研究会in東海公式サイト
2020年08月03日子育ての悩みを解消する支援・サービスには何がある?出典 : 発達が気になるお子さんをもつ保護者様は、それぞれに困りごとを抱えていらっしゃいます。2020年5月から、発達ナビで新しくスタートした有料サービス「発達ナビPLUS」は、そのようなご家庭の子育てをトータルにサポートすることを目指しています。具体的には、発達の専門家とオンラインで繋がり、個別相談ができたり、さまざまなテーマの勉強会への参加などができます。とはいえ、「発達ナビPLUS」ですべての悩みが解決できる訳ではありません。オンラインではなく、園や学校、お住まいの地域で利用できる社会資源の長所や短所を正しく理解し、うまく組み合わせて活用していくことも大切です。そこで、ご自身が既に活用している支援、まだ検討できていない支援を整理できる機会にもしていただける無料オンライン体験会を開催いたします。お子さんの年齢層別によくあるお悩みや、悩みの要因、一般的な支援・サービスをご紹介します。例えば、未就学のお子さんの場合、「かんしゃくや他害が酷くて保護者自身が疲れきっている…」、「発語・発話がゆっくりで心配」、「小学校入学に向けて、特別支援級がいいのか、通常学級がいいのか悩んでいる」などのお悩みをよく伺います。このように、年齢層ごとによくあるお悩みをサポートする支援・サービスの長所や短所を理解していただいたうえで、発達ナビPLUSでできること、できないこと、困りに合わせた具体的な活用方法もお伝えします。体験会の最後は、チャットで質問も受け付けます。サービスに関するどのような疑問でもお気軽にお申し付けください。参加者限定の50%OFFクーポンコードをプレゼント!Upload By 発達ナビ編集部無料オンライン体験会にご参加いただいた方限定で、お得なクーポンコードを送付します。クーポンコードのご利用で、初期コンテンツ利用料29,800円が【50%OFF】の14,900円になります。お得な機会にぜひご検討ください。開催概要/お申し込み▼未就学児の保護者さま向け・8/5(水) 11:00・8/13(木) 11:00・8/15(土) 14:00・8/20(木) 11:00▼小学生の保護者さま向け(学習編)・8/8(土) 11:00・8/18(火) 11:00▼小学生の保護者さま向け(コミュニケーション編)・8/7(金) 11:00・8/11(火) 11:00▼中高生の保護者さま向け・8/8(土)14:00・8/15(土)11:00オンライン会議ツール「zoom」を使用し、オンラインにて開催します1.参加にあたってのご注意&お願い2.「発達ナビPLUS(プラス)」の概要紹介3.参加年齢層のお子さまによくある悩みについて4.「発達ナビPLUS(プラス)」の活用方法5.申し込み・割引クーポンご案内6.質疑応答Q.自分の顔は映る?参加される皆さまの映像や音声はオフになっており、スタッフのみ映し出されますQ.質問はどうやってするの?チャット機能を使って質問をご入力いただきます
2020年08月03日学校・学童が再開!ミミは大丈夫?6月に学校が再開し、少しずつ慣れてきた小学校生活。毎日の宿題や持ち物、連絡帳などの確認事項が多く、私は混乱気味です。毎日の体温を記入する健康観察カードは3ヶ月間学校で保存するそう。Upload By taeko登校班を途中まで見送った後、私は在宅勤務。夕方になって学童に迎えに行くと、私の心配をよそに楽しそうに遊んでいるミミ。同級生の名前を良く覚えて「○○君はアレルギー対応」なんていうことも教えてくれたりします。学童に大好きなスタッフさんができて、なついている様子。学童へ行く楽しみができて良かった。Upload By taekoスクールカウンセラーさんと2回目の面談。カウンセラーさんは2人いて、それぞれ別の曜日に週1回来てカウンセリングするほか、教室を回って生徒を見守ってくれています。カウンセリングでは、学校での様子を担任の先生以外の大人から知ることができて、私も安心。カウンセラーさんの話では、ミミなりに学校生活を楽しんでいるそう。家でも落ち着いているので私からは特別な相談事はなく、話した時間は20分ほど。次回の面談の予約をして終了。ミミも同席していたけど、出入り口付近をウロウロして早く帰りたいアピール...。時々面談することで私の悩み相談もできるし、ミミも学校で相談できる大人がいることが分かって安心できるかな。Upload By taeko7月から週に2時間、特別支援教室で指導を受ける、通級がスタート。保護者会は当面延期なので、先生のことや授業の様子は、連携ノートとミミに聞いて知ることができています。最初の1時間目は先生と一対一。2時間目は小集団(と言っても2人)。ミミに感想を聞くと、「楽しかった」そう。連携ノートには、人との関わり方を楽しく学んだ授業内容や、授業中のミミの様子がビッシリ書かれていました。その中に、ミミは「手先が器用」とのコメントも。ミミは不器用さがあるので作業療法に行ってるけれど、私の思い込みもあって、実は器用なのかもしれない。先生によっていろいろな見方があるんだなと思いました。前日に「明日は○○教室だよ~」と伝えると、大抵「え~行きたくない」と言うけれど、行けば楽しんでいる様子。Upload By taeko偏食のミミ。給食は食べられなくて当然と思っています。一応、何を食べたか聞くと牛乳だけは飲んでいる様子。他は、食べられた物は覚えているけど、そうでない物は「忘れた」とのこと...。それでも、周りのお友達が食べていると影響を受けるようで、食べたことのない物に挑戦しているらしい!!そんな日はたくさん褒める!!偏食でも身長は伸びているし、いろいろと成長しているようです。最初は心配だったけど、学校生活を楽しんでいて良かった!!
2020年07月31日お手伝いしたら報酬アリ!なのに、やりたがらない息子...そのワケは?Upload By かなしろにゃんこ。ADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太に社会勉強をさせようと、小3頃から買い物や掃除のお手伝いをさせていたのですが、毎回いやいやと拒否しながらやっていました。トイレ掃除1回50円、買い物1回100円+好きなお菓子を1つ買ってよい、という決まりで提案していたのですが「面倒くさい」と言ってはやりたがりません。毎月のお小遣いを使い果たし金欠になると金銭目的で仕方なくやる気にはなるのですが、成人した息子にその頃の気持ちを聞くと不平不満でいっぱいだったといいます。「お手伝いは大変なことがいっぱいなのに、金額が安すぎるよ!」Upload By かなしろにゃんこ。なにが不満ですか?毎月の決められたお小遣い以外にお金を稼ぐチャンスを与えてあげているというのに?と私は思っていたんです。息子の気持ちはこうでした。「お手伝いの賃金が安すぎて悲しくなってた。自分の働きがこんなに安いんだって。買い物なんて重い物を持たなくちゃいけないし、買う物を広い売り場でアレコレ探し回らなきゃいけない。なんやかんやで1時間は経っちゃうのに、100円しか貰えないなんて有り得なくない?子どもにだってきちんと地域の最低賃金を守るべきなんじゃないかな?って思うよ。賃金がもう少し高かったら、やる気も出たと思う」というのです。Upload By かなしろにゃんこ。以前買い物のお手伝いのコラムを書きましたが、息子はウッカリ忘れが多い特性上、お手伝いを100%遂行できません。そのため出来高制を用いていたのです。とはいえ、「家のお手伝いをするのは家族として当たり前」という夫の教育方針と、「子どもに高額な金額をホイホイ与えてしまうのはいかがなものか?」という考えもあり、『買い物1回100円』にしたのですが、思いっきり不満があったとは驚きです。Upload By かなしろにゃんこ。息子がいうには、大人がするのと違って子どもは力もないし知恵もない中で頑張るのだから、働きに対してもっと労ってほしかったという気持ちだったようなのです。例えば風呂掃除なども、注意散漫ゆえに周囲に気を配ることができないまま掃除をすると蛇口に体をぶつけて痛い思いをしたり、滑ってしまったりと危険がいっぱいだったといいます。必要だったのは、苦労を認めてあげることUpload By かなしろにゃんこ。息子がいうのは、"単なる金額への不満"というより、「苦労して頑張ったことを認めてほしい」ということだったのかもしれません。やり甲斐を感じるような言葉かけも必要だったんですよね。「ありがとう、助かったよ」と伝えていたけれど、もっと響くような感謝のパフォーマンスが必要だったのかもな~と思いました。人の表情から相手が喜んでいることや悲しんでいることが判断しにくい子なので、欧米人のようにオーバーアクションをしたら分かりやすかったのかな?中学では反抗期でまだまだ手伝いを拒否することがありましたが、17歳くらいから買い物やゴミ出しなど家の手伝いをマメにやるようになりました。大人になったリュウ太、床下修理で大活躍!対価もしっかり...Upload By かなしろにゃんこ。大人になったリュウ太、新型コロナの影響でGWに多めに仕事を休んでいたときには家の床下に潜り、床の沈み込みを補強するために3か所ジャッキをはめる手伝いをしてくれました。このときはさすがに大変な仕事なので、3000円でお願いしたのでした。汚れてもいいツナギに着替えてヘッドライトを装着して工具を握り暗い床下に。床下の柱などが邪魔する狭い場所でのジャッキのネジ締めなどはとても大変だったようで...途中で「え?3000円って安くね⁉」と思ったそうで、床下から這い出てから私に賃上げの交渉をしてきました。労働者の権利を主張できるようになったことで損することなく8000円を請求し、みごとゲットしたのでした。大きな案件に対して頑張ってくれるようになった息子。洗い物や掃除など小さい手伝いは普段あまりやってくれないけれど、息子は活躍したい場所が違うのかもしれないと気がつきました。少しだけ頼もしくなった息子に嬉しくなりました。
2020年07月30日