LITALICO発達ナビがお届けする新着記事一覧 (6/132)
「インクルーシブ教育システム」を推進するための指針を、教育リーダーズから学ぶ。2022年に国連から日本へと推進が通達されたこともあり、昨今大きな注目を集めている「インクルーシブ教育システム」。インクルーシブ教育システムとは、文部科学省で下記のように定義されています。「インクルーシブ教育システム」(inclusive education system、署名時仮訳:包容する教育制度)とは、人間の多様性の尊重等の強化、障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みであり、障害のある者が「general education system」(署名時仮訳:教育制度一般)から排除されないこと、自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること、個人に必要な「合理的配慮」が提供される等が必要とされている。障害のある子もそうでない子も、共に学ぶための仕組みづくり。しかし実際の市区町村、学校教育の現場では、対応のノウハウが欠如していたり、人員が足りなかったり、チームの目線が合わなかったりと、推進が難しい現状もあるという声も散見されています。そんな中でも、すでに全国でインクルーシブ教育システムを先駆けて推進している人たちがいます。彼らはインクルーシブ教育システムをどのように捉え、何を考え、推進を実現してきたのでしょうか?この連載では、そんな彼らを「教育リーダーズ」と位置付け、その言葉に耳を傾けることで推進のヒントとなる”指針のカケラ”を集めていきたいと思っています。第四回は、2023年にLITALICOと連携協定を結んだ宮城県教育委員会の、佐藤靖彦教育長と佐々木利佳子宮城教育大学副学長のお二人にお話を伺いました。Upload By 発達ナビ編集部佐藤靖彦教育長1988年、宮城県に入庁。人事課長、保健福祉部次長、経済商工観光部次長、会計管理者、環境生活部長を経て、2023年4月に宮城県教育委員会教育長に就任Upload By 発達ナビ編集部佐々木利佳子宮城教育大学理事・副学長2022年、宮城県教育庁義務教育課課長。2023年、宮城県教育庁副教育長。2024年、宮城教育大学副学長連携担当理事・副学長Upload By 発達ナビ編集部教育を開き、学校現場と悩みや感動を共有するーーまずは佐藤教育長にお話を伺います。宮城県が推進してきた教育がどこを目指しているのか、そして教育長としてその原点にあるものがどこにあるのか、教えていただけますでしょうか。宮城県ではこれまで、小・中・高等学校を通じて、人や社会と関わる中で社会性や勤労観を養い、社会の中で果たすべき役割を考えながら、将来の社会人としてのよりよい生き方を主体的に求めさせていく『志教育』を推進してまいりました。そんな『志教育』が始まった1年後に起きたのが、東日本大震災です。ーー2011年の震災のタイミングと重なった。子どもたちは内面的なストレスや、将来に対する不安を抱えながらの生活を余儀なくされました。その時に、ある方の言葉が心に残っているのですが、「子どもたちは復興の進まない荒れた地域で生活をして、その光景を見続けることでそれが『心の原風景』になるんだ」というようなものでした。その言葉に、心を動かされたんです。Upload By 発達ナビ編集部ーー震災後の風景が、子どもたちの原風景となった。だからこそ最優先に考えたのが、1日でも早く学校を再開するということでした。多くの方々のご支援のもと、当時の被災状況からは考えられないスピードで学校を再開することができて、子どもたちの居場所をつくることができました。停電することも多かったのですが、先生たちが蝋燭の火を灯してその中でテストの採点をしていたことをはっきりと覚えています。学校を再開して、学校に行けば友達に会えることが、一番の心のケアになったのではと感じています。地域の方々にとっては元気に学校に通う子どもたちの姿に、希望や未来を見ていたのではないでしょうか。その光景がずっと心に残っていて、それが私の教育における原点の一つになっています。ーーその原点が、『志教育』にも繋がっていると。『教育は明るい未来のためにある』と思っており、同時に教育は未来のための仕事だと信じています。学校は子どもたちの夢の実現のために、未来を創る場所だとも思っています。『志教育』の取り組みは子どもたちに将来への夢や希望を持たせ、復興や地域に貢献できる人材を育てる上で重要な役割を担ってきたものと考えています。ーー今後の推進に向けて、どのような絵を描かれているのでしょうか。そうですね。今後はこれまでの小・中・高等学校との縦の連携に加えて、地域の企業など横の連携にも力を入れ、学校で学ぶ知識と実社会との関連性を意識させながら、子どもたち一人ひとりがより具体的な将来の夢や希望を持って学べる教育環境をつくりたいと考えています。また、子どもたちが積極的に地域に出て、地域の方々と関わりながら活発に活動することで、人口減少が進む中にあっても、地域の人々の目に子どもたちの元気な姿がしっかりと映るような街にしていきたいです。Upload By 発達ナビ編集部ーー教育長が大切にしている考え方として、指針となるものはありますか?3つの指針を掲げています。1つ目が『教育を開く』ということです。今の教育が抱えている課題の多くは、例えば教育の範囲や学校の単位では、解決が難しくなっていると感じています。今後は、教育を地域社会の課題として、全体で考えていく必要があるのです。これまでは、学校という「家」を創ってそれぞれに守ってきたものを、これからは、教育という「街」を地域と一緒に創っていくようなイメージを持っており、そのことをみんなで共有しながら、取り組んでいます。2つ目が『考える、考える、考える』ということで、一度出した結論でもそこに立ち止まらず、常に考え続けることを大切にしています。状況が変われば結論も変わるので、そのことを恐れないであらゆる可能性を否定せずに、常に考え続けてしなやかに進みたいと思っています。最後は『学校現場と悩みや感動を共有する』ということなのですが、教育の本丸は学校での授業だと思っています。楽しい授業であること、子どもたちが行きたくなる学校づくり、学校現場で働く先生がやりがいを持って楽しく働ける学校づくりを目指していきます。前例が無いからこそやってみる精神で挑戦するーー「第2期宮城県教育振興基本計画(改訂版)」を策定される上で、特に大切にされたことを教えてください。何よりも子どもたちの計画となる必要があるということ、そしてこの計画を実現していくために学校現場の先生方が誇りとやりがいを持って働き続けられる環境をつくること、この二点を大切にして策定を進めてきました。施策展開の横断的な視点として、従来のものに加えて「教育DXの推進」と「持続可能な学校教育の推進」を新たに掲げ、ICTを活用した学力向上対策などさまざまな施策においてデジタルを積極的に活用していく姿勢を打ち出しています。子どもたちが主体的に学び、教員がやりがいを持って働ける環境づくりの視点を念頭に置きながら、持続可能な学校教育を推進していきます。ーーどのように策定を進められていったのでしょうか。とにかく、子どもたちの声を直接聞くことを大切にしました。県内5ヶ所で、中高生にも参加してもらって意見を伺い、どんな学校にしたいか、学校生活に何を期待するかなど、自分たちの思いを自分たちの言葉で話してもらいました。そんな子どもたちの声を聞いて、意見交換会に参加した職員たちも目がウルウルしてきて、開催して非常に良かったと思っています。ほかにも子どもたちへのアンケート調査を大規模に行いました。そこで見えてきた生の声が今の我々にとって宝物になっていて、しっかり噛み締めながら共に目指す教育の姿を必ず実現していきたいと思っています。Upload By 発達ナビ編集部ーー「第2期宮城県教育振興基本計画(改訂版)」の中で11の施策を掲げていらっしゃるとのことですが、その中でも自立と社会参加に繋げる、「共に学ぶ教育推進モデル事業」について伺わせてください。小中学校の通常の学級の中で、特別支援学級に在籍する子どもが障害のない子どもたちとどうやって共に学んでいくかを考えています。それは学校だけでなく、外部の専門家ですとか、地域の方々にも協力をいただきながら、障害のある児童生徒が集団の中で、自分を生かすことができる学習環境の整備を進めてきました。ユニバーサルデザインの考え方を授業に取り入れるということで、軸は障害のある子どもたちに対する支援なのですが、結果それがほかの子どもたちにもとっても分かりやすい授業になるという成果も出ています。ーーそんな宮城県は、弊社LITALICOと包括連携協定を結んでから約1年が経過しました。LITALICO教育ソフトを導入して、例えば生徒の実態を入力すると、適切な教材が紹介されるとか、一人ひとりに応じた教材を探すためのツールとして非常に有効だったという声があります。また若手教員も増えていて、特別支援教育に携わった経験のない教員もいるので、支援のスタートを切る上でこのツールが非常に役に立ったという声も聞いています。あとは家庭と学校で同じ教材を使って支援することができるということで、学校と家庭の両輪で支援を行えることも良い点ですね。ーー今後の取り組みについても教えてください。今年4月に開校した「秋保かがやき支援学校」には、従来の支援学校の高等部の普通科と、軽度の知的障害の生徒を対象とした高等部の産業技術科を同じ学校の中に設置しました。それぞれ教育課程は違うのですが、普通科と産業技術科が一緒に学べる機会をつくり、お互いの個性を認め合い、理解し合うインクルーシブな学校づくりを目指しています。先日高等部のスポーツフェスティバルが開催されて、普通科と産業技術科の混合チームで対抗戦を行いました。それぞれ協力しながら競技に取り組んで、大変盛り上がりました。お互いの良さを認め合いながら全員参加を目指す、これこそが共生社会の一つの形だと思っています。Upload By 発達ナビ編集部ーーとても興味深いインクルーシブ教育の取り組みです。また、この学校に地域開放型の実習施設とカフェをつくって、地域の方と交流できるようにしています。そこで生徒がつくった製品や食品の販売が行われ、接客もする形で地域の方と交流を活発に行い、触れ合いながら教育をしていく新しい形の学校です。ほかにも、全国的にも珍しい公立の小中一貫の学びの多様化学校、3つの異なる形態の学びの多様化学校、夜間中学など、学びの多様化を推進しています。ーー先日発表された、新しい学校のお話も伺わせてください。はい、インクルーシブやダイバーシティの視点を重視した、新しいタイプの学校「ideal(アイデアル)スクール」を令和9年度の開校を目指してつくっているところです。単位制で、時間割が8時間目まで幅広く用意されて自分のペースで学ぶことができ、登校できない生徒には県内の通信制高校の単位も認めています。定時制と通信制のいいところを両方持っている、これまでにない全日制の学校で、複数の大学と共同でカリキュラムの開発を進めています。教員が一人ひとりの生徒をきめ細かく対応するチューター制の導入、ICT学習支援ツールを活用した学び直しの授業、企業の長期インターンシップ、多様なキャリアのスタッフによる手厚いサポートなど、本当に理想的な学校になれば良いなと考えています。ーー最後に、教育長が大切にしているインクルーシブ教育を進める上での考え方を教えてください。『前例が無いからこそやってみよう』という風土があって、大変革の時代の中で自分たちが気づいて考えて挑戦するということが非常に大切だと思っています。市町村と一緒に汗をかきながら、課題も解決策も現場にあると思うので、現場に通って私たちの考えとミスマッチが起きていないかを検証し、常にアップデートしながら、一歩一歩努力を積み重ねていきたいと思っています。思わないと実現しないのでまず思うことが大事で、それが全ての第一歩かなと思いながらやっています。民間企業のサポートも取り入れるーーLITALICOは、開かれた教育を進められている宮城県と約1年前に連携を開始しました。その連携のきっかけとなった佐々木様(現宮城教育大学副学長、元宮城県教育委員会副教育長)にもお話をお伺いします。佐々木様の教育の原点にある考え方について教えてください。以前、海外で障害のあるお子さんのリハビリのお手伝いや、親がいない子どもたちが集まる乳児院でボランティアをした時期があります。その時に、ある8歳ぐらいの男の子と接する機会がありました。言葉も通じない中で、折り紙を教えながらやり取りをしていくうちに少しずつ笑顔も増えて気持ちが通じるようになったことがあって。この子たちを救うのは、「教育」だと思いました。子どもたちの幸せにつなげることが教育の役割だと思っていますが、その時改めて教育に携わりたいと強く感じたことが、今の私にとって一番のベースとなっています。Upload By 発達ナビ編集部ーーそんな経験が、今どのように教育に落とし込まれているのでしょうか。例えば宮城県では、「学び支援教室支援事業」というものを立ち上げています。学校に登校していない子どもたちが自分の意思で学校に戻って来たいと思ってもなかなか通常学級の教室はハードルが高いですよね。だから、別に教室を一室用意していつでも登校できるようにしたり、不登校を未然に防ぐために教室で居心地の悪さを感じている子どもたちの居場所をつくったりする取り組みです。不登校の子であろうと障害が有ろうと無かろうと学校は、子どもたちが幸せになるためのお手伝いができる場所でなければという思いがずっとあるので、この教室はとても大切にしています。ーーなるほど。学び支援教室支援事業を立ち上げられた際にどのような課題を感じられていたのでしょうか。先生たちが多忙のために、休みがちのお子さんが別室に登校してもプリントをやってもらうだけとか、それって子どもたちの成長を保証ってできているのかなって感じていました。そこにちゃんとした仕組みをつくることができれば、子どもたちにとってもう一つの教室になる。居場所をつくることができるのではというのはありましたね。Upload By 発達ナビ編集部ーー弊社との連携協定締結、および「特別な教育的支援を必要とする児童生徒の支援に係る実証事業」を立ち上げられた経緯を教えてください。まず、学校の先生たちにとっては特別な配慮が必要なお子さんの支援を考えた時に、どうしても第三者からのアセスメントの視点やサポートが必要だという声を受けていました。そのために、必要な支援が必要なタイミングで届いていないのでは、という懸念がありました。それに加えて、上述の休みがちだったり、教室で過ごすことに居心地の悪さを感じている子どもたちのためにつくった居場所には、特別な支援や配慮を必要としている子どもたちが多いという実感がありました。ですので、一人ひとりにあった適切な支援を、適切に行う必要性を感じていました。また、特別な支援が必要なお子さんの情報共有が、特に中学と高等学校で上手くできていなかった。特別な配慮を要するお子さんは、小学校から中学校、中学校から高等学校に進学する段階の、支援の継続に関して課題がありました。今後やはり高等学校まででもなく卒業後の社会生活まで見通した形の支援計画の作成や支援体制の整備など、さらに追求していく必要があると感じています。今困っているお子さんに必要な支援を届け、学校の間での情報共有を切れ目なくスムーズにしていくために、行政の力だけでは難しいと感じたため第三者としてのLITALICOさんの力を借りた形でしたね。そして、LITALICO教育ソフトのトライアル導入をスタートしました。現在は連携協定内で13の市町村、小中学校38校における特別支援教育の推進に活用しています。Upload By 発達ナビ編集部ーー客観的なサポートと、切れ目のない支援のために必要だった。はい。未就学から、小・中・高等学校までの切れ目のない支援を実現していくために活用しています。実際に現場の先生たちからは指導のサポートになっているという声をいただいていて、発達障害の知識の獲得はもちろん、一人ひとりに合った指導計画をつくったり、日々の指導に役立ててもらえたりしているようです。ーー現場の反響はいかがですか?実際に先生と話す中でも、1年の振り返りの中でLITALICO教育ソフトの導入がまずあがったりと、前年度の踏襲ではなくこのソフトを活かして新しく一人ひとりの生徒と向き合えたということで、現場でも浸透してきているのかなと感じます。とてもうれしかったですね。昨年の夏ぐらいから活用しているのですが、特にお子さん自身がアセスメントを取ったりもできるようになっているので、自分自身を見つめ直すためにも使っていただけるなと感じています。ーー現職の宮城教育大学では障害のある学校の先生方の育成もご担当されているそうですね?子どもたちと同様に、先生を志す学生の中にも発達障害特性を持つ方はいらっしゃいます。だから、まずは本学の教職員に対して障害に対する合理的配慮に関する研修を実施したりすることで、お互いに理解のある環境をつくっていこうとしています。学校って育てる場所であるし、同時に育てられる場所でもあると思うので、教員も一緒に成長できる場でありたいと常に思っているんです。子ども向けにインクルーシブ教育を伝えていくだけではなく、学校の先生方も同じ状況にならないと、本当の意味でのインクルーシブな学びの環境づくりは実現しないと考えているからです。Upload By 発達ナビ編集部ーーインクルーシブ教育を今まさに推進しようとする自治体の方に向けて、何かメッセージはありますか?以前、特別支援学級のお子さんに英語を教えたことがあります。その子はとても数字にこだわりがあり、先生たちの生年月日を全て記憶していました。あるきっかけで30年経って再会した時に、覚えてないだろうなと思っていたら旧姓で呼んでくれて、まだ生年月日を覚えていてくれて。先生が子どもたちに働きかけたこととか一緒に過ごした時間って、子どもたちの中にずっと残っていて。とても尊い仕事だと改めて思いますし、いい加減なことはできません。障害の有る無しに関係なく、子どもたちと先生が共に過ごす時間がより幸せなものになるように、私たちもインクルーシブ教育の推進を続けます。各自治体の皆さまにとっても、宮城県の取り組みが何かヒントになれば幸いです。この連載を重ねることで、インクルーシブ教育推進のためのヒントを集めていきます。佐藤様と佐々木様は、それぞれの別の原体験を持ちながら同じ志を持ち、ビジョンを共有しながらインクルーシブ教育の推進に奔走されていました。これから全国の教育リーダーズの話を取材し、皆さんにお伝えしていきます。インクルーシブ教育の取り組みを知ることで指針を集め、今まさに実践されている、実践しようとしている方のヒントになりますように。ここまで読んでいただきありがとうございました。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年08月01日小学生になった「ふー」。4月は平和に過ぎたけれど……次男のふーは、繊細で敏感な性格です。診断はありませんがASD(自閉スペクトラム症)の傾向があると言われており、4歳から療育に通っていました。就学相談の結果、通常学級に所属しながら特別支援教室に通うことになったふーは、入学前に特別支援教室の体験授業を受けることになりました。ぐずることなく、元気に楽しく受けられてホッとした私。そして、小学校の入学式もトラブルなくバッチリ! 4月は平和に過ぎました。5月から始まった宿題。ふーは音読を拒否……!?Upload By taekoふーが通う小学校では、5月の連休明けからプリント1枚と音読の宿題が始まりました。ずっと順調に行くはずはない……とある程度覚悟はしていましたが、ふーは音読を頑なに拒否!プリントはやってくれるのですが(むしろ楽しそうにやっている)、音読は、絶対にやらないのです。ページを開いて「このページだよ」と言っても揺るがない拒否……。どうして……。でも、ここで無理強いすると音読を嫌いになってしまうかもしれません。なんとか強要せず、でも少しでも読んでもらうにはどうしたらいいのか……。音読が難しい子どもへの対応策!そんな時、ふと思い出したことがありました。以前、長男のミミが発達障害だと分かった頃読んだ本に、音読が難しい子どもに「本人が読んで楽しめる文章を考えて、それを音読してもらう」という対応方法が書かれていたことを!いちからストーリーを考えるのはなかなか大変なので、私は家にある絵本の中から本人が読みたいと思う本を選んでもらい、1~2ページ読めたら音読の宿題をしたことにするという形なら読んでくれるのではないかと考えました。Upload By taeko担任の先生にメモで事情を説明したところ、ありがたいことに快くOKしてもらえました。そしてこの作戦は功を奏し、ふーは、車種などが書いてある電車の図鑑などをご機嫌で読んでくれるようになったのです。やはり、興味がある文章なら読んでくれるようでした(つまり、教科書の文章には興味がない……ということのようです)。これで音読カードに保護者の「音読を聞きました」ハンコを押して、提出すれば宿題は完了です。担任の先生と特別支援教室の先生との連携に感謝!Upload By taeko1ヶ月ほどあとに、担任の先生と面談する機会があり、そこで音読について柔軟な対応をしてくれたことについて感謝を伝えました。担任の先生は、「これから少しずつでいいので、教科書の文章に興味を持てるようになると良いですね」と、話してくれました。担任の先生と特別支援教室の先生は、連携ファイルなどでこの方向性を共有してくださっています。音読をいやがるふーに、特別支援教室でも適切な働きかけをしてくださるそうです。感謝しかありません!これからもふーのこと、どうぞよろしくお願いします!執筆/taeko(監修:鈴木先生より)ASDのお子さんは興味への限局性があり、授業でも本でも興味のあるものに対しては熱心になりますが、興味がないとやる気が起きづらい傾向があります。国語の読解のテストでも、たまたま興味のある内容だと点数はいいのですが、興味のない内容だと点数は悪くなりがちです。算数が好きで国語が苦手な傾向があるお子さんが多いように感じています。そういう場合、計算ドリルは一生懸命頑張るのですが、漢字ドリルはあまりやりたがらないことが多いでしょう。大人になっても、文章・説明書などをあまり読まない方も見受けられます。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年08月01日二度目の不登校は「学校が怖い」から始まった小学校3年生の三学期から行き渋りが始まった息子は、5年生の時に再登校できるようになったものの、6年生で完全不登校になりました。不登校からの復活を果たしてからの再不登校は、これまでとは全く違うものでした。まず体が動かない、布団から起き上がることもできないのです。4年生の時なら抱き抱えることができましたが、体の大きな息子は6年生になるととっくに私の身長を超えていて、「学校もう無理や!怖い!怖い!」と布団で泣き叫び、為す術がありませんでした。きっと再登校後の無理もあったのでしょう。以前のような「それでも学校に行きたい」という気持ちは消え去り、コロナの感染不安もあいまって、学校はただただ恐怖の対象になってしまいました。Upload By 花森はなだけど進路は待ってくれない…2つの選択肢しかし小学校の最終学年、学校に行けなくても進路だけは何とか決めなければなりません。地元の公立中学校に通うか、特別支援学校に通うか、そのどちらかです。特別支援学校に関しては、不登校になる前に当時の特別支援学級の先生に「特別支援学校を視野に入れてみるのはいかがですか」とおっしゃっていただき、常に頭の片隅にはありました。しかし、息子の希望は「みんなと一緒にいたい」「みんなと同じ中学校に行きたい」で、私もなるべくその意思を尊重したいと思っていました。そして、夏休みに2つの学校に教育相談に行くことになったのです。教育相談とは、子ども、保護者、教員の悩みごとの解決に向けて行われる相談活動のことです。 By 花森はな行って見て分かった公立中学校の現実教育相談は学校を通して申し込みます。まず先に返信が来たのが公立中学校でした。本来は息子を連れて行きたかったのですが、本人の調子が悪く、私と支援担当の先生2人で伺いました。学校の会議室で、特別支援学級のことや授業ではどのような対応をしてくださるのか一通りお聞きしました。「大人の怒鳴る声がつらく、パニックを起こすのですが、その際対応はしていただけるのでしょうか?」「全て必要な指導ですので、怒鳴らないというのは無理です」「学校に登校できた日は教室に行けずに1日支援教室で過ごしているのですが、可能でしょうか?」「不可です。基本的にはそれでも授業に出ていただくか、別室対応になります」この時点でやはり中学校は厳しいと感じていたのですが……。「もし、中学に行くことができたらクラブに入りたいと思っているんですが……」「特別支援学級の子が入れるのは、特別支援学級のクラブだけです。バスケやサッカーなど普通の部活は加配の教員がつけられないため、入部できません。特別支援学級のクラブでは授業でできなかった勉強や課題をやります」中学校でも、小学校と同じように教員不足を肌で感じました。また、不登校担当の先生はいるけれども、できることは電話での登校刺激のみで、本来の業務の隙間にやっているので、期待はしないでほしいということを重ねて言われました。息子にはたぶん、合っていないのではないかなと思いました。Upload By 花森はなここが新しい居場所になってくれたら……2校目は特別支援学校です。今回は息子にもどうしても行ってほしかったので、なんとか連れていくことができました。特別支援学校はまず、入った瞬間から空気が違いました。先生方がみんな笑顔でウエルカムモード。保護者の私でさえ、地元の公立中学校に見学に行った時に感じた疎外感を全く感じず温かく接していただき、第一印象は「大きな特別支援学級みたいだな」と思いました。「クラスは基本的に5〜7人で教員が3人入ります。学習は習熟度に分けてグループを作ります」「もししんどくなった時はどうすれば……」「クールダウンスペースもありますし、休む場所はたくさんあります。教員もつきますので、一人になるようなことは絶対にありません。息子くんのペースで、一緒に考えながらやっていきましょう」先生のお言葉で、ここだ!と思いました。この学校が息子の新たな居場所になってくれたらいいなという気持ちが瞬時に湧き出ました。それは息子も同じだったようで、私や小学校の先生と離れて、別室で特別支援学校の先生と簡単なテストを受けた息子は「僕もここやったら行けるかな」と言ってくれました。ただ、特別支援学校への進学については、次のようなことから悩みました。 特別支援学校の高等部を卒業した場合、特別支援学校高等部卒となり、制度上は大学入学資格は得られます。ですが、実際に希望する大学の受験が可能かどうかは履修単位などの確認が必要になります。 また、息子が通っている小学校から特別支援学校に進学予定の児童はいませんでした。 通学方法も、スクールバス通学か自力通学という選択をしなければならず、クラブに入れるのは自力通学の子のみなので、一人で外に出ることのできない息子はおそらく無理です。それでも笑顔で迎えてくださったこと、拒絶されなかったのが私たちの中でものすごく大きなことでした。Upload By 花森はな最後は自分でしっかりと考えて結論を公立中学校で聞いた話と自分で実際に行ってみた特別支援学校と、自宅でゆっくりと比べてみることにしました。「友達と同じ中学校には行きたい。でも今の自分には無理やと思う。まず制服が着れない」と息子は言いました。ここ数年で感覚過敏がひどくなり、ボタンのある服が一切無理になり、長ズボンも息がしにくくなるという理由で履けなくなっていました。交渉すれば体操服で通うことも可能だったかもしれません。ですが、一つひとつを交渉して勝ち取っていく元気は、私たちにはありませんでした。今の息子を全て受け入れようという姿勢が感じられた特別支援学校に、入学を希望することになりました。こうして特別支援学校中等部に進学した息子でしたが、実際登校できた日数は3年間で1ヶ月くらいでした。ですが、この進路が間違っていたとは思いません。学校に通えなくても、先生方は定期的に家庭訪問をして、息子とたくさん話をし、信頼関係を築いてくれました。特別支援学校高等部には進まず、通信制高校進学を選択した息子のことを応援してくださり、手厚く受験対策までしていただきました。これは公立中学校に進学していたら得られない支援であったと思いますし、今でも深く深く感謝しています。学校に通えないのにこれからのことを考えなければならない、心がしんどい時に人生の大きな選択をしなければならないのは、とても大変なことです。それがたとえどんな進路でも、自分自身で答えを出せたことが一番重要ですし、後悔が残らないように思います。これからも息子の選択を応援し続ける親でありたいです。執筆/花森はな(監修:森先生より)花森さん、お子さんの進路で悩まれていた体験談をありがとうございます。実際、通常学級に通うべきか、特別支援学級・特別支援学校に行くべきかで悩まれる方は少なくありません。地域によって通いやすさにも差がありますし、お子さんの慣れている環境のほうがいいのか、支援体制の整った環境がいいのか、など、どちらが良いとは一概に言えない部分もあり難しい問題ですね。ただ、やはり特別支援学級・特別支援学校では、教職員に発達障害についての理解があり、お子さん一人ひとりの特性に寄り添ったきめ細やかな指導がしやすいというメリットがあります。結局のところ、お子さんが長い学校生活を送る場として大切なのは、お子さん自身が安心して過ごせるかどうかです。お子さんがのびのびと過ごせるかどうか、見学や相談に行って、実際の空気を知ることが一番ではないでしょうか。限られた時間、限られた情報の中で進路を決める必要がありますが、何が正解かは誰にも分かりません。どんな道を選んでも、よかったと思う点もあれば、残念に思う点もあるでしょう。それでも、進路を考える時に、保護者の方がお子さんの気持ちをしっかり考えてくれたこと、不安を受け止めてくれたことは、これからのお子さんの自信につながるのではないでしょうか。これからの人生も、お子さんが自分の気持ちを大切にしながら決断していけるよう、応援しております。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月31日五月雨登校時の次女、不安も強くなり、依存的に小学5年生の時、初めての宿泊を伴う校外学習への参加後、しばらくの間学校に行けなくなった次女。受診した小児科の先生のポジティブな対応のおかげもあり、また学校に行き始めました。しかし、登校はできるようになったものの、休んだり、早退したり、遅刻したりしながらなんとか通っている状態でした。さらに、次女の疲れやすい状態やだるさは継続。次女がだるくてできないという入浴時の洗髪を手伝ったり、不安が強く夜ひとりで寝られないのに付き合ったり……。次女も「ママが良い」「ママがやって」と、今までより私に対して依存的になっていました。毎日付き添い登校や早退のお迎え、毎朝のやり取り…学校への付き添い登校や、遅刻・早退のお迎えなどの時間の工面。また、学校に行くかどうかは朝決まるので、そのための毎日のやり取りと、学校へのお休みの電話など……。学校に行けなくなった最初の頃は、つらそうな次女を見て「なんとかしなくちゃ!」と必死でやっていましたが、時間が経つにつれて、こういった毎日の積み重ねが、私にとってつらく感じるようになってきました。Upload By まりまり今まで少しずつ自立してきたのに、それが消えてしまうみたいでつらかったそれまでの次女は、場面緘黙はあって支援も必要だけれど、学校には休まず通っていました。ゆっくりではあるけれど自分自身で苦手なことにも挑戦し、次第にできることも増えて、次女なりのペースで成長していく姿をとても心強く思っていました。ただこの時に学校に行けなくなってからの次女を見ていると、そういった次女の今までの頑張りが消えてしまうような気持ちになって、私も焦りと不安を感じるようになっていました。Upload By まりまり焦って、自分の不安を押しつけてしまった次女が学校に行けなくなってから、怠さが強かったこともあり、宿題や勉強に取り組むことができない状態が続いていました。傍から見ていても、取り組めない状態であることは分かっていたけれど、学校で担任の先生に勉強の遅れを指摘されたことをきっかけに、私自身が焦ってしまいました。そのため、まだその状態ではないのに次女の無理に勉強させようとしたり、学校へ行かない次女を責めたりしてしまいました。Upload By まりまり次女から言われたこと私がそういう感じになってしまっていた時に、次女から「ママはどうしてそんなに私を学校に行かせたいの?」と聞かれました。Upload By まりまりその言葉を聞いて、ハッとしました。本当は学校に行きたいけれど行けない次女を応援していたはずだったのに、なぜ無理をさせようとしてしまっているのか……。私自身の焦りから、次女の気持ちをないがしろにしていたことに気づきました。学校に行けなくなった最初の頃は、次女がどうしたいのか、自分のペースで、自分自身で選択していくことを見守るつもりだったのに……と思い出して、少し客観的な視点を取り戻すことができたのでした。なるべく一定の気持ちで対応するように努めて、日々なんとかやり過ごしたその後ももちろん引き続き私の気持ちは不安定だったし、つらく感じることもありましたが、次女が学校へ行っても行かなくても、自分自身の気持ちをなるべく一定に保つように努め(できていたのかは分からないけれど……)、日々なんとかやり過ごすようにしました。Upload By まりまりそして長期休みへそして、そんな日々をなんとか過ごしていき、やっと夏休みが近づいてきました。いつもは長期休みとなると、ごはんや生活の心配があって面倒くさく感じることが多かったのですが、この時だけは、長期休みに心底ほっとしました……。休み中は私の気持ちは軽くなり、次女はダラダラの限りを尽くして、力をためることができたのでした。その後、夏休み明けには、また少し状況が変わっていくのでした。執筆/まりまり(監修:新美先生より)娘さんが学校に行けたり行けなかったりが続いた時期に、保護者として感じられていたことを聞かせて下さりありがとうございます。学校に行きづらくなって、明日は行けるのか、今日は行けるのか?行けないのか?という日々は、お子さんもとても葛藤してつらいのは当然ですが、それを支える保護者のほうとしても、気持ちも揺れるし、予定も定まらないし、ほかの用事や仕事の兼ね合い調整も大変、学校とのやり取り、配偶者とのやりとりなど……、本当に疲弊するものです。親として、何をしてあげたらいいのか、どう支えていくのがいいのか、迷いも悩みも尽きません。比べるものではないですが、完全不登校になってからのほうが腹が決まって楽になったという実感を持たれる方も多いぐらい、五月雨登校を支える保護者は本当に大変です。学校行けるか行けないかという葛藤の時期は、お子さんは相当にエネルギーを消耗していて余裕がなくなっています。イライラしたり、今まで当たり前にできていたことができなくなってしまったり、急に気持ちが変わったりするのは、無理ないことです。お子さんの言動に一喜一憂しすぎずおおらかに構えられたらよいのですが……実際に親としてはなかなか難しいものですね。親のちょっとした言動で、学校に行けたり行けなかったりするようにも見えるので、気を遣いすぎてしまうこともあるかもしれません。でも親の一言で不登校になるならないが変わることはそんなにないかと思います。気を遣いすぎるとかえって緊迫感や窮屈さにつながるかもしれません。不安と葛藤でいっぱいいっぱいになっているお子さんが、少しでもエネルギーを貯められるように、必要な情報(学校の予定、保護者の都合)は伝えて、あなたが学校に行く日も、行かない日も、お母さんはあなたの味方だよということを感じてもらえるようにすることが大切かなと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年07月31日東京都児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報発達支援チャレンジスタジオちゃれんじキッズ千代田は、2024年8月1日にオープン。個別と少人数集団で、トータル3時間の発達支援を行います。感覚統合、応用行動分析、ソーシャルスキルトレーニングの三位一体の支援を目的としたプログラムでお子さんの発達を促していきます。スタッフは、中学校・高等学校教諭免許資格、保育士、公認心理師などの資格を保有しており、お子さんにより良い発達支援ができるよう日々研修も重ねています。体験、見学も受付中ですので、お問合せしてみてはいかがでしょうか。東京都の児童発達支援をもっとみる埼玉県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス鶴ヶ島教室は、東武東上線 鶴ヶ島駅から徒歩3分のところにある事業所です。コペルプラスでは、「子どもの可能性は無限大」を合言葉に瞳が輝くような楽しい発達支援を通して、自発的に取り組み、自ら能力を発揮していく姿をサポートします。2,000種類以上のオリジナル教材を用意しており、楽しく遊びながら学ぶ中でできることを増やし、園や学校、家庭で自分らしく過ごしていくためのスキルを身につけるサポートをしています。指導員の皆さんは明るく元気!お子さんの笑顔が絶えない楽しい発達支援を行っています。埼玉県の児童発達支援をもっとみる千葉県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報児童発達支援事業所ponoponoは、JR下総中山駅から徒歩1分のところにある事業所です。お子さん一人ひとりの特性を理解し、工夫する方法を見つけることで、お子さん自身と周囲も「楽しい!」「できた!」の体験が増えてきます。そのために、ponoponoは応用行動分析を軸に、個別指導を大切にし、小集団指導も取り入れながら、ルールやコミュニケーションの練習をしています。スタッフは、さまざまな分野で活躍してきたベテランが揃っていますので、ご家庭での困りごとや対応についてなどもご相談いただけます。千葉県の児童発達支援をもっとみる大阪府放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報かみか企画は、2024年5月にオープンした事業所です。大阪メトロ今里筋線・中央線「緑橋」駅7番出口から徒歩で約1分の場所にあります。ご家族との面談やお子さんとの関わりなどを通じてアセスメントし、お子さん一人ひとりに合った発達支援を行っています。個々を大切にしつつ集団生活もできるように小集団指導も取り入れています。アセスメントに関しては、AIを活用したツールを導入しており、支援者とAIの分析により、プログラムを重ねるほどお子さんの特性に合わせた発達支援プログラムを提供できるようにしています。大阪府の放課後等デイサービスをもっとみる大阪府児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報ウィズ・ユー×モンテツリー桜の宮では、モンテッソーリ教育をベースに、お子さんの「自立」の根幹となる「手や身体を自由に使いこなせること」に繋がる行動を心ゆくまで行うことができる環境、そしてステップアップしていける環境を整えています。全スタッフは、モンテッソーリの研修を受けており、また、モンテッソーリ教師による発達支援や鍼灸師による小児鍼の提供も行っています。個別指導や小集団指導をお子さんに応じてバランスよく計画し、「日常生活の練習のおしごと」や個別課題のほか、月替わりの活動プログラムを実施しています。Upload By 発達ナビ施設情報かみか企画は、2024年5月にオープンした、医療法人が行う個別指導中心の児童発達支援・放課後等デイサービスです。お子さんの特性は、個性や才能。お子さんの「好き」「得意」「できた」をいっぱい見つけて伸ばしていくことができるよう支援をしているそうです。プログラムの内容は、ご家族との面談やお子さんとの関わりなどを通じてアセスメントし、お子さん一人ひとりに合った支援を個別中心で行っています。楽しそうなイベントや支援内容をブログで発信していますので、ぜひご覧ください。大阪府の児童発達支援をもっとみる「もっと施設の情報を詳しく知りたい!」「見学をしてみたい!」と思ったら、Webからもお問い合わせが可能です。施設情報ページでは、掲載されている施設の情報を地域ごとに検索して見ることができますよ。
2024年07月30日久しぶりの健診1歳を過ぎて歩きはじめたマユユ。毎日公園通いをしていたのですが、手を繋げず、声かけにもほぼ反応なし……私に構うことなく興味の湧いた方向へピューっと走り出すような子どもでした。「早くコミュニケーションしながら外出できたらな」そう思い描きながら、ふらふらと歩くマユユが危なくないようにガードして歩き回る日々。そしてある日、ついに「1歳半健診のお知らせ」が届きました。Upload By サチコ知らせを受け取ったとき、私は少しホッとしました。前回健診を受けたのは、9〜11ヶ月健診。久しぶりに成長を見てもらえる場ができたなと思ったのです。わが家は転勤も多く、実父母(マユユのじいじとばあば)も友人も遠方に居たため、この頃成長について身近な人に相談できる機会がほとんどありませんでした。そのため、この時はまだ「マユユは、どれくらい大きくなったかな?」と1歳半健診に対してプラスの感情のほうが大きかったです。健診会場に着いて健診会場は、子育て支援センターの中の仕切りのない広いスペースでした。身体測定・内科検診・歯科検診・最後に栄養士さんや保健師さんと話すコーナーがあり、順番に周っていくようなシステム。覚悟はしていたものの、これは大変だぞ……と思いました。Upload By サチコマユユは、順番待ちの時間は待てずにウロウロ、引き止めたら大泣き。身体測定・内科検診・歯科検診についてはスタッフの方にも抑えてもらいながらどうにか受けました。ちょっとドキリとしたのが”周りにマユユと同じような様子の子はおらず、ほかの子はみんなウロウロしたり暴れたりせず健診を受けていた”こと。普段の公園などでも周囲の親子との違いを感じていたので、慣れたつもりでした。しかし、(この大人数の中でも浮くのか……)と私はショックを受けていました。その後の栄養相談も暴れるマユユを抱っこしながらなので、正直頭も回らずそれどころではありませんでした。Upload By サチコそして運命の保健師さんのコーナーへ最後に保健師さんのところへ。私はすでに(もうすぐ終わる……!)と安心し始めていました。保健師さんから「最後に困ったことはないですか?相談ありますか?」などと聞かれて終わるのかなと思っていましたが、向かい合って始まったのは検査のようなものでした。私はこの時、積み木や指差しの確認があることを初めて知りました。Upload By サチコマユユは、指差しすることや単語を答えることはできませんでしたし、それ以前に何か聞かれているということすら分かっていない様子でした。私はマユユを抱っこしながら、(こんなやりとりできないです……)(もしかしてほかの子は、もうこんなことできるの?)と焦って思わず周りを見ました。何度か聞かれてもマユユは答えられそうになく、保健師さんは絵カードをおしまいにして代わりに積み木を取り出しました。この時もうすでに、保健師さんが「あれ……」という様子なのが私にも伝わり、少し不安になっていました。「積み木できるかな?」と保健師さんが言いました。わが家には積み木がありませんでしたが、保健師さんがお手本を見せてくれても、マユユは真似してやってみることもしませんでした。Upload By サチコそのあとは保健師さんから少し待つように言われ、この時初めて心理士相談を提案されました。“心理士”と聞いて私は「発達に遅れがあるってこと?」とびっくりしました。Upload By サチコ保健師さんたちは悪くないのに、この時は自分の子育てを否定されたような、絶望的な気持ちにもなっていました。私は心理士相談についての案内用紙を受け取り、なんとか「様子を見て連絡します」と伝え、逃げるように会場を去りました。もうずっと鼻の奥がツーンとしていたのですが、車へ戻ると大人になってから初めてくらいの大声でわんわん泣いてしまいました。心理士相談は”待ち”も多く数ヶ月後の予約になる……。そのことを知ったのはしばらく様子を見て、気持ちを少し整理できた頃に問い合わせてからでした。最後に指差しや言葉については、結果としてその日できなかった、というところだけでなくマユユの視線の合わない感じや興味を示さない様子も含めて引っかかったのだろうなと今となっては思います。とてもつらかった思い出なのですが、ここで指摘を受けたことで・マユユの様子が見過ごせないレベルでほかの子と違うこと(活発とか自我が強い、ではすまない)・心理士(発達)相談という存在について知ることができ、今では感謝しています。ただ知識も覚悟もなく行ってしまったためこの時は頭も気持ちもついて行かなかったです。そして気持ちがついていかない日々は、ここからスタートしました……。執筆/マユユ(監修:鈴木先生より)1歳半健診は、人生最初の正式な総合健診です。初めての経験は誰でも緊張し、不安がよぎり、ついつい悪いほうに考えがちです。保健師や心理士でもハードルが高いので医師ともなるとさらなる高いハードルがありますね。しかし、誰もが気軽に話せるような、ハードルの低い、優しい理解のあるかかりつけ医が理想です。だから、私の診察室はいわゆる診察室ではなく「チャットルーム」、つまり、雑談部屋という意味を持つ名称にしています。保護者の方の気持ちがついていけなくても、それを待ってくれるような心理士や医師が必要だと思っています。診察室であっても雑談できるような、緊張がほぐれて本音が言えるような雰囲気作りが大事なのです。私のチャットルームには、ソファーも用意されています。ご両親やきょうだいがくつろいで座れる工夫もしています。これからの日本の医療は、「診察室」の常識を覆していくことが大事ではないかと思っています。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月30日とにかくよく泣いて目が離せない!誤飲やボヤで大変だった乳児期Upload By もっつん乳児期はとてもよく泣く赤ちゃんだったと思います。そして、後追いをほとんどしませんでした。後追いが激しいお子さんを育てている親御さんの苦労はよく耳にしていましたが、「見えなくなると不安で泣いてしまう」「トイレにも行けない」などといった行動がなくて拍子抜けしたのを覚えています。ただ、後追いがない子育ても気が抜けず大変でした。具体的には、目を離すとすぐにどこかにいなくなってしまう。何でも口にしてしまう時期には、それはそれは大変で……私より早く目覚めたタクがほかの部屋へと一人で進んで行ってしまって、部屋中を冒険して誤飲の心配が絶えませんでした。一瞬の隙にボタン電池を飲み込んでしまって、肝を冷やしたこともあります。嫌な予感がしてすぐに病院を受診し、翌日には便と一緒に排出されました。目を離した隙にオーブンで遊んでボヤ騒ぎを起こしたこともありました。人との距離感が近すぎる。幼児期ってこんなもの?Upload By もっつん歩けるようになるとさらに目の届かないところに飛び出していくことが増えました。買い出しに行く時には、常に手を繋いでないと好奇心が向くまま飛び出していってしまいます。公園に遊びに行くと、大きなお兄ちゃんたちが遊んでいる中に突っ込んで行く。犬の散歩をしている人を見かけては走って触りに行ってしまう。警戒心がなく甘えん坊なタクは、優しそうな人を見るとグイグイ距離を詰めていきます。商店街を歩いている時に微笑みかけてくれたおじさんに対して、自ら手を繋いだ時もありました。私とタクと知らないおじさんが3人で手を繋ぎ歩いたのは、思い出しても苦笑してしまいます。ファーストフードで食事をしている時、隣のおばあさんが食べているナゲットをタクが欲しがって見ていた時がありました。おばあさんのご好意で1つ頂くことになり、一つまた一つと頂いてしまって5個中3個も食べてしまったことがあります。幼く甘えん坊なタクは可愛がってもらえましたが、私はこの距離感の近さに違和感を覚えていました。ちなみにそのあと、ナゲットは丸ごと買い直させていただきました。距離感が近いタクに対して、優しく接してくれる人もいればそうでない人もいました。タクの距離感の近さやヤンチャさ故に世間に対して肩身の狭い思いを抱きつつも、ずっと家で遊ばせているのも難しくて外出することへのジレンマがありました。2、3歳ごろの子育ては大変だと言いますが、一切気を抜く隙がなくて私はどんどん疲弊していきました。成長と共に、パーソナルスペースの近さに違和感……Upload By もっつん人との適切な距離感が分からないというのは、発達障害の特性の一つにも挙げられます。甘えん坊なタクはまさに当てはまっていて、パーソナルスペースが近すぎることが成長と共に目立ってきました。幼稚園では先生に対してもお友達に対しても、特に母親の私に対しては頬がつくような距離で接していることがありました。その都度「近すぎるよ」「大好きは、ギュ〜以外で伝えようね」と教えてもなかなか行動は変わりませんでした。それと共に、気持ちが昂った時には体が先に動き出してしまっていました。例えば絵本の読み聞かせをしている時には、読んでいる途中で先のページが見たくて勝手にめくろうとする。教室で配布物がある時は、離席して取りに行こうとしてしまう。注意しても何度も繰り返すので、徒労を感じてうんざりしてしまう日々でした。近すぎる距離をその都度注意するもののUpload By もっつんお友達との距離を近くしすぎて、嫌がられることも多々ありました。そこまで仲が良い訳ではないクラスメイトに急に抱きついて、びっくりさせてしまったり。私が気づいた時には注意して、一緒に謝ることを繰り返しました。それでも、一方的に注意をしないように気を付けていました。「お友達がびっくりして嫌な気持ちになってしまうよ」と説明しつつ親子で適切な接し方を何度もシミュレーションしてみたり、「仲良くしたい時には抱きつくのではなくて、言葉で伝えたほうがかっこいいんだよ」と根気強く伝えたり……いろいろ試す中で、タクに伝わっていると感じることもあれば、あまり伝わっていないこともありました。周りの目が厳しいと感じるが故に真っ先に注意や駄目出しをしてしまいがちですが、注意されて嫌な気分になるとそこしか記憶に残らなくなってしまうように思います。パーソナルスペースを教え込むのはとても大変なことですが、間違った距離感ばかりに目を向けずに、正しい距離感を分かりやすく伝えることができたら、きっと良い方向に成長してくれると信じていました。就学して落ち着く過ごし方を見つけたタクUpload By もっつん小学校に入学すると、男女別のグループができ始めたり同級生たちがよりパーソナルスペースを大切にするようになる中、空気感を読み取れないタクは苦労しているようでした。この調子で小学校でお友達と仲良くできているのかな?と私は毎日心配していました。ある日、「今日は誰と遊んだの?」という問いかけに対して「くうき君と遊んだ」と答えたことがありました。くうき君というのは、空気のことでした。誰とも遊べてないということを知った私はショックを受けてとても心配しました。「くうきくんは優しいし怒らないから好きなの」というタク。それを聞いた夜は私は、眠れないほど悩んでしまいました。しかし今になって振り返ってみると、友達と遊ぶということを最優先にする必要はなかったと思います。タクは大人数でルールのある遊びをするよりも、自分のペースで石を探したり昆虫観察をする事のほうが好きでした。その事実を優しく受け止めて「友達の輪に入ってほしい」という私の願望を切り離して考えられたら、感じなくて良いストレスも多かったのではないかと思います。型にはまった幸せというものを無意識に求めてしまいますが、その型がわが子と自分を苦しめることも多いものです。タクが成長して友達付き合いに関して、親の私が気にしたりストレスを感じてしまうこともあります。そんな時は、あの時の「くうき君」のことを思い出して自分の中にできてしまった型を取り払うように意識しています。型にはまりに行くことは、子育てにとって余計なストレスを増幅させてしまうのでこれからも気をつけようと思います。ちなみに適切な距離感を前よりもとれるようになったのは、社会的ルールを少しでも身につけさせてあげたいと願い、根気強く言い聞かせてきたことが少しずつ効いてきたのだと感じています。執筆/もっつん(監修:森先生より)もっつんさん、お子さんの幼少期の体験談をありがとうございます。タクくんは、後追い、人見知りがあまりないお子さんだったのですね。好奇心旺盛で人と近い距離で接することができるという良さもありますが、迷子になったり、相手によってはびっくりされてしまうこともあるので、保護者としては心配になりますよね……。これは大人にも言えることですが、「心地よい」と感じる他人との距離感は、お子さんそれぞれで違います。「心地よい」と感じる人との距離感に、「間違っている」とか「正しい」という決まりがあるわけではありません。一方的に注意するのではなく、もっつんさんのように「お友達がびっくりしない距離感」、「お友達と仲良くなれる方法」を根気強く伝えていけると良いのではないでしょうか。また、「人以外のもの」への関心や愛着の度合いも人によって違います。本だったり、音楽だったり、景色だったり、自分の好きなものに囲まれて過ごす時間は、友達と過ごす時間と同じく大切なのです。タクくんの場合は、「くうき君」や「石」「昆虫」などなど、大切なものがたくさんあったということですね。実際、大人だって毎日毎日誰かと会う予定が入っていたら疲れてしまいますよね。たまには一人で趣味の時間を楽しむ日もないと安まらないのではないでしょうか。お友達と遊びたい時間と自分の好きな世界にひたりたい時間のバランスは、人によって違います。親としてはついつい自分の考える幸せの型を求めてしまいがちですが、もっつんさんのように、お子さん自身の求める幸せを考えてあげられると良いですね。これからも、タクくんももっつんさん自身も、「こうあるべき」という型にこだわらず、のびのびと生活できるよう、応援しております。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年07月29日大学での「合理的配慮」の広がりは?2021年5月に障害者差別解消法が改正・公布され、2024年4月1日より国公立、私立問わず、大学・短期大学・高等専門学校では以前から禁止されていた「障害者に対する不当な差別的取扱い」に加えて「合理的配慮の提供」も法的に義務付けられることとなりました。ある調査によると大学に在籍する障害のある学生は、2012年度:10,916人から2018年度:30,190人へと2.8倍増加をしているとのことでした。その中で発達障害のある学生数も年々と増加し、2012年度:1,573人から2018年度:5,063人へと3.2倍になっています。(※全学生に占める障害のある学生の割合は2012年度0.4%、2018年度は1.0%と0.6ポイントの上昇にとどまる)Upload By 発達ナビ編集部参考:障害のある学生の修学支援に関する検討会報告(第三次まとめ)|文部科学省参考:障害のある学生等に対する 大学の支援に関する調査|総務省オープンキャンパスの季節!発達障害のある子どもの大学進学のために今できることは?受けられる合理的配慮の具体例なども【専門家に聞きました!】Q:発達障害のある子どもがいます。夏休みに大学のオープンキャンパスに行く予定ですが、見ておくべき点や聞いておくべき点などあれば知りたいです。A:オープンキャンパスでも学生相談の担当の方が参加されていると思います。障害のある学生の支援に関して、専門の相談部門があるかどうか、保健管理センターなどの利用、合理的配慮の相談に関する窓口はどこかなど、確認しておくとよいと思います。また、実習などの卒業要件となっている科目について、その内容や合理的配慮によって基準がクリアできるかどうかなど各専攻やコースの教員に尋ねてみるのもよいと思います。Upload By 発達ナビ編集部Q:発達障害のある生徒は大学でどのような合理的配慮が受けられるのでしょうか?具体例が知りたいです。A:全ての要望に対しての合理的配慮が得られるわけではありませんが・提出物の期限の延長、リマインド・授業中の配布物や板書の撮影・別教室での試験や試験時間の延長・パソコンの使用など、本人の障害の種類や程度に合わせて考えていきます。これらの配慮については本人との話し合いの中で決定されます。Upload By 発達ナビ編集部発達障害の大学生のよくある困り、大学での合理的配慮の取り組み、通信制の大学について知りたい!発達障害の大学生、どんなことに困りやすい?「支援の厚い大学」の見分け方や合理的配慮の具体例、合理的配慮をすることで過保護な保護者に思われないか不安……などの質問、疑問に専門家が回答!中央大学の発達障害学生支援の新たな展開。支援に必要な「連携」をどうつくる?同研究チームの主査を務めた山科満教授に、学生支援の根底にある想いや、具体的な支援事例、支援者の方へのメッセージを伺いました。中央大学で発達の特性がある学生への支援体制の構築と支援のノウハウについての臨床研究を続けている山科満教授へのインタビュー。学生支援の現状や、発達による特性がある学生、保護者の方への願いについて伺いました。発達障害がある学生の相談は年々増加傾向に。障害のある学生の修学や大学生活の困りごとに寄り添い、教職員への支援も行う、東北大学の「学生相談・特別支援センター 特別支援室」の取り組みをインタビューしました。障害のある学生を支援するための教職員向けの研修事業や、各大学などにおける障害のある学生の修学支援に関する実態を把握するための調査などを行っている「日本学生支援機構」。発達障害がある学生への支援データや調査結果、実際の支援事例など気になる情報が満載です。発達障害のあるお子さんの大学選び、「通信制のほうがわが子に合うかもしれない」と思っている保護者の方も多いのではないでしょうか。8万人を超える学生が在籍する通信制の大学「放送大学」学びの特徴と障害学生支援についてお聞きしました。「大学選び」「オープンキャンパス」「合理的配慮」「大学生活」についての連載コラム連載ライターさんたちの「大学選び」「オープンキャンパス」「合理的配慮」「大学生活」などのコラムをまとめました。具体的なエピソードは大学探し、大学生活のヒントになるのではないでしょうか。まだお子さんが小さいご家庭も、将来の進路について考えるきっかけになりそうです。寺島ヒロさんの娘さん、いっちゃんは高校3年生。ASD(自閉スペクトラム症)に加え、非24時間性睡眠覚醒症候群と呼ばれる睡眠障害もあるため、日中登校することが難しく高校は通信制を選びました。大学に進学したいという希望のあるいっちゃんのオープンキャンパス参加エピソードです。発達特性のある次男、ウッシーヤさんは受験にあたり中学生の頃から通っている発達支援施設で助言を受け、県が作成しているテンプレートを活用して「合理的配慮申請書」を提出することに。実際の申請書の写しや合理的配慮の内容など参考になる内容満載です!通信制の高校に通っている寺島ヒロさんの娘さん、いっちゃん。大学進学のために学校外の試験や模試を継続的に受け、対策をするようすすめられたのですが、勉強以前の問題が……!?公立高校の普通科へ通う2年生の娘さん。小学校1年生のときADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けました。義務教育期間はスクールカウンセリングや担任との臨時の個別面談など、手厚い支援がありましたが、高校に入って支援が不足していると感じ……そんな娘さんの高校受験、そして大学を目指す、現在のエピソードです。高校1年生の2学期になって、いきなり学力がアップし、同級生たちに追いついた次男ウッシーヤさん。「高校を卒業したら保育科のある大学に進学したい」と目標を持ち大学受験にチャレンジしますがまさかの手続き失敗が起こり……!?私立の中高一貫校に通っていた、寺島ヒロさんの息子さんのタケルさん。今回は高校の進路指導を受けたときのことについて書いていただきました。ASD(自閉スペクトラム症)のある宇樹義子さん。大学に入ると、高校までと一転して自由なぶん、すべてのことを自分で考えて積極的に決めていかなければならず、とても戸惑ったとのことでした。宇樹さんが経験した「大学生活の自由さゆえの困難」とは……。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年07月29日言葉の遅れ(言語発達遅滞)とは?言葉の遅れ(言語発達遅滞)とは、生活年齢から予測される平均的な状態よりも発語や言葉の理解が大幅に遅れることをいいます。例えば、言葉に遅れがあることは以下のような状態をおおまかな基準として判断をします。・1歳半で、意味の伴った言葉が2つ以下である場合・3歳で、「ジュース のむ」など2つの単語による言葉である「2語文」が出ていない場合なお、子どもの言葉が出てこない原因には性格や環境などさまざまな要因による個人差が大きいので、必ずしも上記が当てはまるからといって言葉の遅れがあるとは限りません。参考:改訂版乳幼児健康診査身体診察マニュアル|国立成育医療研究センター言葉が出てこない原因は?発達障害が原因?言葉の遅れ(言語発達遅滞)について専門家が回答!Q:3歳ですが、言葉の遅れがあり、まだ単語しか出ていません。言葉が出ない原因などは何があるのでしょうか?Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン参考:城野 明子, 久保田 功, 楠本 季佐子, 太田 文彦著「言語発達遅滞児の遅れの要因」『小児耳鼻咽喉科』13 巻(1992年) 1 号 P.34-37Q:2歳の子どもですが、まだ言葉が出ておらず言葉の発達が遅れているように感じます。家でできる働きかけなどあるのでしょうか。Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月28日放課後等デイサービスを利用したことがないコウですUpload By 丸山さとこ神経発達症(発達障害)がある息子のコウは、中学3年生の今まで放課後等デイサービスを利用したことがありません。小学生の間は探したり空きを待ったりしていたのですが、結局一度も利用することなく小学校を卒業しました。中学生になってからは部活が忙しく、放課後等デイサービスは選択肢から外れている状態です。今は主に発達外来とスクールカウンセリングにお世話になっています。未就学児の間も、支援施設に通っていたのは1年間だけです。3歳児健診の際に勧められた週5回のクラスは定員に達していたため、1年で卒園する規定のある週1回のコースを利用していたのですが、その後も週5クラスの空きは増えずに療育園を卒園しました。そのため、4歳と5歳は保育園のみ通い、支援とは一切繋がりがない状態で過ごしていました。そうして、療育園卒園以降は特にどの支援機関とも繋がりがないまま小学校入学が近づいた保育園年長のある時、ふと「あれ?小学校入学前の相談とかしなくていいのかな?」と気になりました。保育園では先生や同級生の助けを得て過ごすことができたため、大きな問題は目立ちにくくなっていましたが、3歳児健診で「発達障害の可能性あり」と指摘された箇所は卒園が近づいても大きく変わっていないように見えました。Upload By 丸山さとこどこに連絡をすればよいのか分からなかった私は、ひとまず市の保健センターに相談の電話をしました。すると、「小学校内のことはスクールカウンセラーが対応しやすいので、入学後の活動が心配であれば、スクールカウンセリングを受けるのが良いと思います」と教えていただけました。Upload By 丸山さとこ「スクールカウンセラーの先生は、クラスの様子を直接見に行くことができます。学校内でトラブルがあったり、それについての小学校の先生とのコミュニケーションがスムーズに運ばなかったりした場合は、専門家としての意見を踏まえた上で調整を助けて下さることもあります」……と詳しく教えていただき、私は学校に連絡をとりました。そのおかげで、小学校入学後から中学3年生の今に至るまでとても助っています。私は今までに数人のスクールカウンセラーの先生にお世話になっています。「やはり相性の合う合わないは大きいな~!」と実感したこともありましたが、それでもメリットのほうが大きかったと思います。早め早めに動くこと、選択肢を多く持っておくことの大切さこのようにしてスクールカウンセリングという情報を得て助かった反面、当時の電話相談の中では『放課後等デイサービス』の名前が出ることはありませんでした。放課後等デイサービスは2012年4月に児童福祉法に位置づけられた支援です。コウが小学校に入学する頃はまだ選択肢が少なかったのも、今振り返れば「それはそうだろうな」と思います。ですが、三歳児健診で「発達障害の可能性が高い」として療育園への通園を促され、その後支援との繋がりがプツンと切れてしまった私は、当時その状況に戸惑いを感じていました。参考: 放課後等デイサービスガイドライン|厚生労働省Upload By 丸山さとこよく、「子どもが対象の福祉は受け身でいると得られない。保護者の積極的な行動が必要」という体験談を聞くことがあります。それは、コウをこれまで育ててきた中で私も実感していることです。スクールカウンセリングや病院での診察の際に「コウが通える放課後等デイサービスはありますか?」と伺っては、選択肢の少なさと空きのなさに打ちのめされたことは数知れず……「放課後等デイサービスを利用するには、保育園に入る時と同じか、それ以上の『リサーチと行動と運』が必要だな!」としみじみ思いました。早め早めに動くこと、頼れる先を多く持っておくことの大切さそんな風にオロオロしたまま過ぎてしまった『コウが小学生だった頃』に比べると、今は選択肢が多くなったようです。市内を移動中に「あっ、ここにも新しくできたんだ!」と目にするほど支援施設が増えたことを実感しています。とはいえ、まだ順番待ちだったり、合うところを選べなかったりすることも多いだろうと思います。このたった10年ほどの間にもこれほど状況が変わっていったことを考えると、事前リサーチが空振りになることも、きっとあるのだろうなと思います。それでも、調べたことや行動したことは無駄にはならないのだろうということも、私はこの10年で実感しました。3歳児健診にて療育園の情報は貰えますが、連絡や入園手続きは保護者の私が行わなければなりません。スクールカウンセリングを利用しなければ、発達外来の受診や服薬についても様子見期間がもっと長くなっていた可能性があります。そうであれば、コウは今よりも学校生活に疲れ果てていたかもしれません。Upload By 丸山さとこ今回のコラム内では「時期によって状況や得られる情報は変わる」というお話をしましたが、時期だけでなく地域による差も大きなものです。地元に詳しい医師やカウンセラーなどの支援者を頼るほか、地域の親の会に参加するのも選択肢のひとつだと思います。それはそれとして、私は、本来であれば児童福祉に関する情報が得られるかどうかが保護者次第であってはならないと考えています。現状が結果的にその状態であったとしても、「ちゃんと情報を得ないのは親が動かないからだ」と他者から責められるいわれはないし、自分を責める必要もないと思っています。その上で、何とかして多くの家庭が支援に繋がれることを願っています。情報がなく頼れるところがない状況で子育てをするのは大変なことです。書籍やWebサイトの情報を足掛かりに放課後等デイサービスなどの支援に繋がり、多くの保護者と子どもが助けを得られるようになって欲しいと思っています。執筆/丸山さとこ(監修:室伏先生より)さとこさん、放課後等デイサービス探しの状況や、児童福祉に関する情報を得る方法などについて共有くださり、ありがとうございました。さとこさんのおっしゃる通り、現在は放課後等デイサービスは増えてきてはいるものの、情報が整備されていて、誰でも簡単に情報にアクセスできる状況かというと、まだ課題がある部分と思います。さとこさんには、学校外の活動である、放課後等デイサービスについてご紹介いただきましたが、それに加えて現在では学校での支援も少しずつ強化されてきています。就学にあたって、特別な配慮・教育を希望される場合や、発達に不安があり就学先について相談・検討をしたい場合には、各自治体で行われている就学相談を受けることができます。特別な配慮・教育を受けられる学校、教室としては、特別支援学校、特別支援学級、通級指導教室などがあり、お子さんの知的能力や、お困りの内容や程度によって、どちらを利用するのが望ましいのかを、専門スタッフで検討します。就学相談を受けられると、その決定した場所に必ず通わなければならないのかと心配に思われる親御さんもいらっしゃるかと思いますが、この決定に強制力があるわけではなく、最終的な判断は親御さんにしていただけるようになっています。放課後等デイサービスを選ぶにしても、学校や教室を選ぶにしても、やはりリサーチは必要ですし、迷われることも多いと思います。このような時には、園の先生方、療育先のスタッフの方々、市区町村の相談先など、地域のプロフェッショナルの方々に相談してみるのもよいかもしれません。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年07月28日新版K式発達検査とは?新版K式発達検査は、子どもの心身の発達の状態を観察し、支援に役立てるための検査です。課題への子どもの反応や回答から、発達の状態を多面的に評価します。検査の適用年齢、かかる時間、費用などは以下となります。・新版K式発達検査の適用年齢:0歳~成人まで・新版K式発達検査にかかる時間:生活年齢や検査を受ける子どもの発達によって検査内容が異なります。時間に余裕をもって受検しましょう。・新版K式発達検査の費用:受検の目的や実施機関によって費用が異なります。専門・相談機関でのアセスメントを目的の場合は無料の場合が多く、保護者や本人の希望により民間施設などで受検する場合はその施設が定める料金がかかりますので、受検の前に確認をしておくと安心です。知能検査は学習能力や知識などの認知機能を中心に評価します。検査結果は精神年齢(Mental Age:MA)や知能指数(Intelligence Quotient:IQ)で示されます。一方発達検査は、知能検査と一部重複する認知機能の評価も含みますが、それ以外にも姿勢・運動の発達や言語・社会性の発達など幅広い領域にわたって評価をします。検査結果は発達年齢(Developmental Age:DA)や発達指数(Developmental Quotient:DQ)で示されます。検査結果の見方や準備するもの、心構えなど新版K式発達検査のギモンを専門家が解説!Q:新版K式発達検査を受けるにあたって、準備するものや心構えなどはありますか?Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンQ:新版K式発達検査を受けたのですが、検査結果の見方などが知りたいですUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年07月27日入学する前に常同行動について確認すると……長男は、同じ直線をお気に入りのものを持って行ったり来たりする常同行動を幼稚園でも頻繁にしていました。小学校でもするかもしれないと思った私は長男に、とんがったものや長いものを持って走らないこと、廊下や教室で走らないこと、休み時間に外で走ることなどを入学前に話しました。もともと幼稚園でも邪魔になるような場所でやったり、トラブルになったことはないのですが、小学校だとまた環境が違うので一応話しておこうと思いました。しかし、それを聞いた長男の反応は予想外でした。「知らない人ばかりで人の目も気になるし、変なやつだと思われたくないから常同行動はやらない」と言ったのです。長男なりにいろいろと考えているのだと驚きました。そして本当にやっていない様子でした。Upload By ねこじまいもみ 小学校も数日で登校渋りに 入学してから数日、順調に登校していましたがすぐに登校渋りになりました。理由は「楽しくない」と最初は漠然としていましたが、後々音がうるさいこと、友達ができないこと、窮屈であることなど少し具体的に教えてくれました。また、常同行動を自分の意思でやっていなかったのですが、やはりその衝動的な行動を無理やり抑えているのもあり、学校では思うように走れないことや常同行動の時に手に持っているお気に入りのものを学校へは持っていけないことも理由として話してくれました。入学したばかりだし幼稚園とのギャップもたくさんあるだろうし、こういったこともだんだん慣れていくことなのか、そういう問題ではないのか私は悩みました。どうしても無理な時は休ませていたのですが、その様子を見た夫も行かないとますますなじめなくなるんじゃないかと心配していました。しかし休めばまた次の日行ける様子だったので、しばらく休みを挟みながら様子を見ることにしました。Upload By ねこじまいもみ長女もかつて登校渋りだったが長男とは理由が違う休みたがる長男に比較的冷静に対応できたのは、2つ上の長女も1年生の時に登校渋りだった経験があったからです。長女の場合は母子分離不安で長男とは少し違いますが、月日と共に成長していく長女の様子を見ていたのもあり、1年生になったばかりは不安も多いのでできるだけ寄り添っていこうと長男に余裕が持てたのもその経験からでした。しかし長女の場合は母子登校すれば行ける様子だったのですが、長男は朝から泣いて暴れて登校を拒否していました。長女で登校渋りを経験しているとはいえ、一筋縄ではいかないまた違った長男の登校渋りは心構えがあってもなかなか大変でした。Upload By ねこじまいもみ体育の時間に「変な子」と言われて…そんな中長男がますます行きたくなくなる出来事がありました。体育の時にクラスの子に「変な子」と言われて砂をかけられたと泣きながら帰ってきた日がありました。長男はその子に何もした覚えはなく心当たりがない様子でした。長男の話をよくよく聞くと長男は体育の整列の時、普通に並んでいたつもりだったけどその場所が違っておりそれに気づいた女の子がそう言ってきたのではないかと私は予想しました。長男は、当時順番を覚えたり列にならぶことが苦手でした。保育園や幼稚園、習い事でもその様子を見たことがありました。並んでいても気づいたら列からはみ出ていたり全然違うところに行ってしまったり。その一件からますます学校を拒否するようになり、悩んだ末に担任の先生に相談しました。先生は、相手の子と話す機会を設けてくださり和解することができました。やはり原因はきちんと並んでいなかったことでした。先生は「こちらが簡単にできると思い込んでいることも、そうではない場合もあると大変勉強になりました」とおっしゃってくださり、体育の時ビブスを着て色と番号で並ぶ場所が分かりやすくなるように対策してくださいました。直接長男本人とも話してくださり、また長男は登校することができました。本当に当時の先生には感謝の気持ちでいっぱいです。Upload By ねこじまいもみほかにも、長男が休み時間1人で過ごしており机のまわりをずっとぐるぐるまわっていると長女から聞いたり、友達ができる気がしない、「友達って何?」と口にしたり、みんなの声で先生の話が聞き取れず先生が何を言っていたか覚えていない場面が多々あったり、本当に心配の尽きない日々でした。甘えなのかそうでないのか、どこまでが寄り添いなのか、時が経てば慣れて解決していくのか、本当に迷うことばかりで、少しでも何か向き合うヒントになればと発達検査の日を待っていました。執筆/ねこじまいもみ(監修:初川先生より)長男くんの小学校入学後の様子のエピソードをありがとうございます。長男くんは常同行動を学校ではしないと言い、実際にしなかったり、登校渋りを呈してからもその理由を家庭で話せていてすごいなと感じました。自分のことをある程度分かっているからこそ、うまくできないことはさぞつらかったろうと思いますし、集団の中にいるだけでさまざま緊張しているだろうにそこで同級生からの刺さる発言をされたこともとても悲しかっただろうと思います。いもみさんは長女さんでの渋りの経験もあり、慣れるのには時間がかかるだろうと登校渋りを大らかに捉えてくださいました。焦って無理に行かせてもいいことはないので、大らかに捉えてくださったことは長男君にとっても、よかったと思います。体育の一件を経て「悩んだ末に担任の先生に相談した」とのことですが、普段学校でスクールカウンセラーとして働く私からすると、もっと早くお知らせしてほしかったとも感じます。教室にいる子どもたちが、どんな思いでその場にいるのかということは集団生活の中だと見えにくいものです。登校をめぐって実は行きたくない気持ちが強い、教室の音がうるさく感じている。そうしたことはお子さん本人が担任の先生に言えれば伝わりますが、案外学校の中で先生とお子さんが個別に話す場面も少ないと思います。そうした場合、家庭からそのような様子や言動について、連絡帳や電話などで知らせていただいたり、面談を設定してお話できたりするとそういった面を担任側が知ることができ、さまざま手立てを講じたり、工夫や予防をしたりできることもあるだろうと感じます。基本的には、担任はじめ学校の職員はみな、子どもたちが学校で健やかに過ごし、学習や集団での活動を通して成長できることを願っています。学級の中でどこまでできるかはケースバイケースではありますが、お子さんがどんな思いで教室にいるのか、家庭でどんなふうに学校のことを話しているのか。そうした面を共有しながら、お子さんにとって過ごしやすい環境調整をすり合わせていけたらと思いました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月26日マンガ「発達障害の子どもと私たち」1章はるき編が完結!発達ナビユーザーから寄せられた体験談を元にしたストーリー・マンガ「発達障害の子どもと私たち」。この物語の主人公は、発達障害のある子ども、そして彼らを育てる保護者たちです。子どもたちと保護者は、幸せに暮らすことができる環境を迷いながら求め続けます。それを乗り越えるため、それぞれが選んだ道は――。プロローグはこちらからご覧いただけます。はるきは3歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けました。小学2年生まで元気に学校へ通っていましたが、運動会が終わった5月の下旬頃から「学校を休みたい」というようになって……。母親は発達障害の勉強をしていて理解はあるのですが、完全な不登校となったらどうしようという気持ちもあるようです。なぜはるきは学校へ行けなくなってしまったのか。はるきの気持ち、そして保護者の決断は……?学校へ行くとさみしくて涙がでてしまう……。不登校トラブルに悩む「はるき編」を完結まで一気読みはるき編全4話は現在公開中です!以下関連記事からぜひご覧ください。そして2章みき編、8月中旬から連載スタートそしてもう一人主人公・みき編が8月中旬から連載スタートします。小学4年生のみきは、5歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。小学校では通常学級に在籍していたのですが、小学3年生から勉強が難しくなり、そして今4年生では――。また、みき編の完結後は、はるきのその後についてもお届けいたします。お楽しみに。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年07月25日発達障害グレーゾーンの次男、通常学級へ?わが家には、3歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けた長男けんと、そして、病院の先生に「ASD(自閉スペクトラム症)の診断がつくか、つかないかの境界付近」と言われたことがある発達障害グレーゾーンの次男ゆうきがいます。長男けんとは現在、小学3年生。特別支援学級の情緒クラスに在籍。次男ゆうきは現在、小学1年生。通常学級に在籍しています。次男ゆうきは発語が遅く、2歳から発達支援施設に通い出しました。3歳の誕生日頃に話したいスイッチがオン。言葉が出始めたら一気に出ました。1人遊びばかりでしたが、集団行動はできており、こども園での友達とのトラブルは特にありませんでした。ただ、負けることや、間違えることを極度に嫌がり、負けてパニックを起こすことがありました。発達障害グレーゾーンの次男ゆうきの就学について……なぜ通常学級にしたのか、どのように決定したのかを書いていこうと思います。次男ゆうきに合いそう?居住地域の特別支援学級次男ゆうきは、こども園の年中までは1人遊びばかり。コミュニケーション面が心配でした。月に1回受けていた言語訓練で、何か上手くいかないことがあると怒りだし、中断することも。Upload By ゆきみ私の住んでいる地域では、特別支援学級に在籍した場合、基本的な活動と国語、算数の時間は特別支援学級で過ごし、そのほかの教科(生活、図工、体育、音楽など)の時だけ通常学級の教室へ行き、勉強します。次男ゆうきがこの地域の特別支援学級に合っているのか?ということが心配だったので、2歳から通っている言語訓練のSTの先生や、こども園の放課後に通っていた発達支援施設の先生などに年中の頃から就学について相談させていただきました。いろいろなことを考慮し、年中の時点では特別支援学級か通級指導教室の利用、どちらかで考えようと思っていました。年長の夏、就学に向けて発達検査をすることにUpload By ゆきみ年長の夏。STの先生とのお話しの中で、就学に向けて発達検査をすることになりました。検査当日。間違えることを極度に嫌がる次男ゆうきは、問題の回答の仕方が理解できなかったり、決められた時間内でできない問題があったことへの不満が爆発。パニックになり、検査を中断。日を改めて、もう1度だけチャレンジすることになりました。2度目の挑戦で、何とか最後まで受けられたものの、先生には「発達検査の点数には出てこない、特性的な難しさがある」と指摘を受けました。そして検査結果で数値が高い項目と低い項目との間に大きな差があることが判明。特に、「耳からの情報を一時的に記憶する」というのが苦手とのこと。「言葉を聞いて、頭で内容をイメージすることが難しい可能性がある」と、教えていただきました。Upload By ゆきみ年長での変化そして就学相談で感じたことUpload By ゆきみ年長になってから、次男ゆうきの様子に変化が。お友達と楽しそうに遊ぶようになり、家でもお友達の名前が出てくるようになりました。言語訓練で上手くできず、怒って中断することも、ほぼなくなりました。年長の1年間で成長を感じる場面がとても多くなったのです。そして9月。発達検査の結果を持って、市が行っている就学相談に行きました。個人的な希望としては、次男ゆうきの場合は基本的な活動は通常学級で過ごし、何かパニックを起こしたり、静かな環境に身をおきたい時は特別支援学級で過ごせたらいいのにな……と思っていました。しかし、その子1人ずつの希望ピッタリの環境をつくることは、私の住んでいる地域の学校では難しいのだと就学相談の際に感じました。通級指導教室について伺うと、就学前は受け付けておらず、入学後に担任の先生と相談して通級指導教室を利用する希望を出してくださいとのこと。住んでいる地域では、入学時は特別支援学級か通常学級のどちらかを選択するということだったようです(地域によって違うようです)。兄弟で同じクラス?容易に想像できた姿は……わが家の場合、もう1つ大きな問題を抱えていました。とても小規模な小学校なので、次男ゆうきが特別支援学級を希望した場合、長男けんとと同じクラスになる可能性が極めて高いというところです(実際、今年度は特別支援学級の情緒クラスは全校で1クラスだけだったので、同じクラスになっていたはずです)。Upload By ゆきみ同じクラスになった場合、間違いなく2人で遊ぶ、気が散る、ケンカをするという姿が容易に想像できました。長男けんとにとっても集中しづらい環境になってしまいます。次男ゆうきが年長で友達と遊んだり、こども園や発達支援施設でも安定して過ごし、集団行動ができていたこと。長男けんとと同じクラスになる可能性の高さ……いろいろなことを考慮して、秋ごろにゆうきは通常学級に通うことを決めました。入学後は保育所等訪問支援とも連携し、学校での様子をうかがっているので、今後も引き続き見守っていきたいと思っています。執筆/ゆきみ(監修:初川先生より)次男ゆうきくんの就学先を決めるプロセスのシェアをありがとうございます。お子さんが年中さん頃から、小学校の就学形態を検討される方もいらっしゃいますね(年長になってから検討しても間に合いますのでご安心を)。年中、年長それぞれの1年間で子どもの発達はめざましいものがあります。ゆうきくんは一人遊びばかりで集団遊びが苦手だったとのことですが、できるようになったり。間違えることに強い拒否感を示すところが和らいできたり。お子さんの様子はどんどん変化します。そういう意味では、早めに決めきるのではなく、このままこの苦手さがあまり改善されなかったらこうしよう、でももう少し様子を見て年中の秋冬ごろに決めようというスタンスで良いかと思います。ただ、就学相談そのものには時期が決まっているので、締め切りの時期よりも早めにお申込みされることをおすすめします(締め切りごろだと混み合うことがあります)。通級指導教室に関しての運用は自治体によって異なります。入学時からの利用ができるところもありますので就学相談等でそのあたりもご確認ください。通常学級に入学した場合、発達的なつまずきや集団生活の苦手さが想定されるお子さんの場合、保護者の方は、「うちの子、うまくやれているかなぁ」と心配になることも多いと思います。ゆきみさんは保育所等訪問支援(保護者の依頼で、発達支援事業所や放課後等デイサービスの事業所が訪問し観察してくれる支援)を利用されているようですが、ほかにも担任やスクールカウンセラーに相談する、(全体を統括されている)特別支援コーディネーターの先生に相談する(自治体で活用できる心理職の申請等ができるかもしれません)など、お子さんの学校での様子を見ていただいた上で相談できる方はいらっしゃると思います。さまざまなリソースを活用しながらお子さんの学校生活を見守れると良いと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月24日「インクルーシブ教育」を推進するための指針を、教育リーダーズから学ぶ。2022(令和4)年に国連から日本へと推進が通達されたこともあり、昨今大きな注目を集めている「インクルーシブ教育」。インクルーシブ教育とは、文部科学省で下記のように定義されています。「インクルーシブ教育システム」(inclusive education system、署名時仮訳:包容する教育制度)とは、人間の多様性の尊重等の強化、障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みであり、障害のある者が「general education system」(署名時仮訳:教育制度一般)から排除されないこと、自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること、個人に必要な「合理的配慮」が提供される等が必要とされている。障害のある子もそうでない子も、共に学ぶための仕組みづくり。しかし実際の市区町村、学校教育の現場では、対応のノウハウが欠如していたり、人員が足りなかったり、チームの目線が合わなかったりと、推進が難しい現状もあるという声も散見されています。そのような中でも、すでに全国でインクルーシブ教育を先駆けて推進している人たちがいます。彼らはインクルーシブ教育をどのように捉え、何を考え、推進を実現してきたのでしょうか?この連載では、そのような彼らを「教育リーダーズ」と位置付け、その言葉に耳を傾けることで推進のヒントとなる“指針のカケラ”を集めていきたいと思っています。第三回は、東京都日野市教育委員会の教育長である、堀川拓郎氏にお話を伺いました。Upload By 発達ナビ編集部プロフィール堀川拓郎氏1987(昭和62)年生まれ。 東京大学法学部、米 コロンビア大学教育大学院卒業。 2010(平成22)年文部科学省入省。 初等中等教育局 教育課程課係長、幼児教育課専門官、 スポーツ庁オリパラ課専門官、初等中等教育企画課専門官、教育 DX推進室室長補佐等を経て2022(令和4)年から現職。Upload By 発達ナビ編集部全員が主体的に取り組むことができるよう対話を重ねるーー本日はよろしくお願いいたします。日野市の教育をリードする立場にある堀川さんですが、まずはご自身の教育に対してのお考えの原体験にあるものを教えていただけますでしょうか。原体験で言うと、あれは今からちょうど10年ほど前に、アメリカのコロンビア大学に留学して教育工学を学んでいた時の話です。学校の先生たちが日々実践していることを持ち寄って、自分たちで研修をつくるというプログラムに出合ったのですが、そこで大きな衝撃を受けました。というのも、先生たちがこんなに良い顔をするんだって驚くほど、そのプログラムにみんなワクワクしながら参加していたんです。Upload By 発達ナビ編集部ーー先生たちから能動的でポジティブなエネルギーを感じたと。そうなんです。研修が終わって帰るときには、明日から学校で実践するのが楽しみだとうれしそうに話していて。やらされるのではなくて、自分からこれをやりたいという人たちが集まってモチベートし合いながら学ぶことで、こんなにも希望が生まれるのかと感じました。挑戦する先生がどんどん増えていくこと、そして挑戦する先生が称賛される社会をつくっていくことが、教育にとって不可欠である。そのことに実感として気付いたんです。ーー今のご自身の教育観にもつながっていますか?はい、私自身強い意志を持って教育委員会という立場にいるつもりですが、一律に型にはめるということではなく、それぞれの学校と先生と子どもにとっての「やりたい」を尊重し応援することを大切にしたいと常に思っています。そしてその気持ちがしっかりと現場にも伝わって、現場に自身の挑戦を応援されていると心底感じてもらえる状態まで持っていきたいと考えています。ーー思い描くだけではなく、現場への浸透までがやはり大切であると。そうですね。今日も明日も学校に行きますが、教育委員会は先生たちの挑戦を常に応援しているというメッセージを伝え続けています。日野市の教育の大方針として、先生や子どもたち全員が関わって学校教育基本構想をつくり、2024(令和6)年4月に公表しました。第一に、市や学校を含め、みんながプロジェクトベースで学校教育を前に進めていくこと。第二に、構想の中に多くのプロジェクトが位置付けられている中で、それぞれの学校が取り組みたいものを主体的に選ぶ形をとっていることが特徴です。全部の取組を全部の学校でやろうとしても無理なので、学校ごとの文脈や問題意識を踏まえて、色とりどりの学校づくりを進めています。Upload By 発達ナビ編集部ーー具体的にはどのようなプロジェクト活動があるのでしょうか。例えば、「子どもたちがつくる学校プロジェクト」というものがあります。これは委員会活動や学年・学級の活動などを中心に「やらされる」ではなく、より良い学校に向けて自分たちが提案し、自分たちでつくっていくというものです。他にも、運動会や音楽会、学年の枠を超えた活動や修学旅行のプログラムを自分たちでつくったり、SDGsに関するプレゼン大会を企画したり、時に各教科での学びと絡めながら、主体的に取り組んでいます。教育委員会としても、各学校のプロジェクトを支援するために、特色ある学校づくりに対して手挙げ制で応募を募って審査をして予算をつけることもしています。私たちが各学校の挑戦を応援することで、各校の新しい挑戦へのモチベーションにつながり、良い循環を生み出す環境をつくっていきたいと考えています。教育の現場にある既存の枠を一つひとつ外していくーー教育委員長として、普段から特に意識していることはありますか?特別支援教育を含めた市の教育の根本的な考え方の一つが「一人ひとりに必要なアプローチをすべての子に」です。その本質は裏を返せば、「特別ではない支援教育」を全員に届けていくことだと思っています。特別ではない支援教育を届けていく上で、インクルーシブ教育として既存の「枠」を一つひとつ外していく、ということが極めて重要です。例えば日野市では「かしのきシート」という取り組みがあり、これは0歳から18歳までの子どもの成長の記録や受けたサポート内容(個別の支援計画)を、入園や入学・進学にあたり切れ間なく蓄積し、つないでいく日野市のシステムです。担任の先生や専門職が作成し、保護者の方に確認を取りながら1年ごとに1枚のシートにまとめ、独自の電子システムにより関係者が参照することができます。ーー「かしのきシート」はどのような意図でつくられた仕組みなのでしょうか?これは、障害者総合支援法体系に基づく個別の支援計画、そして学校教育法体系に基づく個別の教育支援計画、就学・進学にあたっての就学支援シートなど数あるシートの間に存在していた「枠」をとり除いて、カルテを一元化しようという取り組みです。学年や教育機関が変わっても、スムーズに一人の成長を見守ることができます。例えば小1の壁、中1ギャップの問題や、公立と私立、学校教育と放課後の分断という視点においても、「枠」を外すことで現場において適切な支援や判断がしやすくなるという意味合いを持っています。「特別支援教育」が必要だからシートを作成するのではなく、子どもの個性や特性について関係機関により良く理解してもらうためにシートをつくる。結果として、文部科学省の調査によれば、通常の学級に在籍する子どものうち、個別の教育支援計画を作成している割合は2022(令和4)年時点で1.6%とされていますが、日野市では小学校で14%、中学校で10%が計画を作成しています。Upload By 発達ナビ編集部ーーなるほど。特別支援学級で取り組まれていることについても教えてください。私自身は「特別支援学級」「通常の学級」という表現自体が変わっていくことが大切だと思っています。。「通常」という言葉を使うことで「通常」という枠をつくってしまわないか。例えば、少人数学級と一般学級でもよいのではないか。日野市では、特別支援学級かどうかにかかわらず、誰にとっても困りごとの少ない授業が実現できる学校環境をつくる、授業のユニバーサルデザイン(授業UD)に取り組んでいます。その理解を促進するために研修会を実施するのですが、現在では教育委員会が年間28回の特別支援教育に関する研修会を開催しています。昨年度から全ての先生を対象に希望者が誰でも参加できる形にして、開かれた形で困りごとの少ない授業の実現を目指しています。ーー日野市ではさまざまな形でインクルーシブ教育に取り組まれているのですね。これらのベースとして「ひのスタンダード」という取組の方向付けをしているんです。ごく簡単に言えば、チェックリストをつくり、学習面でのつまづきや、教室でじっとしていることが難しいなどの、子どもたちの日々の困りごとをできるだけ少なくする学習環境をつくろう、というものです。障害の有無に留まらず、多様性あふれる教室という場が、みんなにとって困りにくい環境であることはとても大切なことで、実現のために2つのアプローチで日野市では取り組みを進めています。ーーどのようなアプローチでしょうか?まずは共通の基盤となる環境を整えること、そしてその上で個別に必要なサポートの手立てを充実させていくことです。みんなが困りにくい環境をベースとすることで、先生や子どもたちがゆとりを持って個別の対応へと進んでいくことができます。場や時間の構造化を含めた授業UDがあり、校内委員会を含めた学校の環境があり、行政による複層的な支援策を含めた地域の環境がある。その全ての方向付けを、日野市の教育に関わる人がみんなで議論しながらつくってきたということがポイントだと思っています。日野の教職員全員が作成に関わった「ひのスタンダード」について、みんなが腹落ちをして取り組めることが、主体的な挑戦のための大切なポイントなのではないでしょうか。Upload By 発達ナビ編集部ーー「ひのスタンダード」はどのように浸透と改善をしているのでしょうか?この「ひのスタンダード」は300ページに及ぶ一冊の本としてまとめられていて、各学校に置いてあります。理解を浸透させるための研修会も必ず開催をし、各校で目線合わせをするようにしています。その上での課題として、時間が経つにつれて形骸化することはどうしても起こってしまいます。直近では、改めてチェックリスト項目の精査を行いました。教育委員会が決めたことをトップダウンで現場に下ろすのではなく、現場を含めた関係者みんなで考える、ということに日野市の特徴があるのではと考えています。ーー改善を繰り返す中でも、本質がぶれないようにするために大切なことはどのようなことですか?自治体の中だけでガラパゴス化しないよう、国全体の動きや学術的な視点も取り入れながら、開かれた視野を持って進めていくことを心掛けています。最終的に、現場にとってより価値のあるものになっているか、が何より大切だと思います。また日野市では、インクルーシブな教育環境の一環として、福祉と教育の「枠」を外すことにも取り組んでいます。日野市では発達・教育支援センター「エール」を設置しており、心理士やスクールソーシャルワーカー(SSW)だけでなく、保健師や保育士、ST、OT、看護師など、多様な専門職が1か所にいて、子どもの発達や育ちについて教育や福祉の垣根を超えて考えています。保護者の方にとって、学校と福祉の「枠」を感じることなく、ワンストップであらゆる相談ができ、適切な支援を得られるという環境づくりを進めています。Upload By 発達ナビ編集部最後はやっぱり、子どもたちがインクルーシブな学校づくりの主人公ーー多くの自治体でも課題としてフォーカスされている、不登校のお子さんについてはいかがですか?不登校については、すべての子どもに質の高い学びへのアクセスを保障する、という理念のもと、子どもの状況に合わせた複層的な選択肢を準備しています。日野市としても力を入れていて、予算で言えば前年度比で172%増となっています。特徴的な取組としては、全国で行われている教育支援センターや小中学校における校内登校支援教室の取組の充実に加え、中学校の中に、不登校の生徒を対象にした少人数学級である「チャレンジクラス」という学級を今年度から新たに開設しました。これは、東京都から6名の教員の追加配置を受け、教育課程に基づき日々授業を行う「校内分教室」であり、市と都がタッグを組んで取り組む新しい試みです。加えて、この5月には母子保健と子ども政策の担当部門を一元化した子ども包括支援センター「みらいく」がオープンし、施設内に中高生専用の居場所を開設しました。教育委員会だけでなく、子ども政策や福祉政策、民間の取組を含め、子どもたちの居場所の選択肢が街の中に増えてきています。オンラインの活用も含め、枠を一つずつ取り外しながら、その子にあった安心できる環境で、つながりを持ち、学びに向き合えるようにしていくことが重要です。Upload By 発達ナビ編集部ーーさまざま取り組まれているのですね。他にも新しい取り組みとして、経験豊富な元校長先生を今年度から「教育支援コーディネーター」として配置して、各学校の一人ひとりの出席状況を細やかに確認し状況をフォローし、スクールソーシャルワーカー(SSW)などのスタッフと連動した個別支援のサポートや、学校とフリースクールの連携促進の取組も始めました。挙げればキリがないのですが、他にもNPO法人と連携した不登校に関わるスタッフ研修の仕組みづくりや、保護者同士の繋がりを生む仕組みづくりなど、さまざまなアプローチで取組を進めているところです。ーー取り組みに対しての手応えはありますか?例えば、ある中学生の生徒が校門から中に入れないという状況から、1年経って学校に入ってきて給食を食べられるようになった、と。そんな話を先生方からたくさん聞いています。課題は大きいですが、同時にいかに学校現場が一人ひとりを大切に取り組んでいるかを感じています。ーーインクルーシブ教育が、言葉だけではなくて実践されている。現場の強い思いを感じます。教育委員会としても「インクルージョン」を学校教育基本構想の中で最上位の姿の一つとして位置付けていますが、インクルーシブな学びをつくるのは誰かと考えたときに、最後はやっぱり子どもたちなんだということが、非常に大きなポイントだと思っています。Upload By 発達ナビ編集部ーーなぜそう思われたのでしょうか?非常に印象的だったのが、市内の小学校と特別支援学校との交流および共同学習の中であった、3連フラフープという、小学生の子ども2人の間に特別支援学校の子ども1人が挟まって取り組むという競技での光景です。特別支援学校ではなく、ある市立小の子どもがどうしてもフラフープの輪に入ることができなかったのですが、みんなでサポートしながら最後にはゴールすることができました。その時に、歓声をあげたり拍手が起こったり、その子が達成できたことに対してみんなが称え合う姿、これこそがインクルーシブな学びが実現している姿だと感じたんです。やはり最後は、子どもたちがインクルーシブな環境をつくっていくんだと強く感じました。ーーLITALICOのソフトも導入していただいています。LITALICOの教育ソフトを導入したいと考えた意図としては、個別の教育支援計画や指導計画である「かしのきシート」の質を高めていく力になると考えたことです。もう一つは、さまざまな教材を子どもの特性や必要性に応じて選べるような環境をつくることで、先生の働き方改革につなげることや、アセスメントによって子どもたちの理解を深めていくことが狙いとしてありました。実際に活用してみた中では、教材をゼロから自分でつくるのではなくて選べることで、働き方の改善につながったという声や、保護者を含めたニーズの把握に生きているとの声も聞いています。Upload By 発達ナビ編集部ーー最後に、これから教育長が目指すインクルーシブ教育の理念について、教えてください。インクルーシブ教育の先には共生社会があって、その共生社会とは、多様性が輝く社会のことだと思います。そこに向かう道のりとしてインクルーシブ教育があるとすれば、それは多様な個性が輝く学びの場、それをつくる営みなんだろうと。そしてそれは、多様な個性が輝く教室をつくっていくということでもあるのだろうと思っています。その中で、全員がこの共生社会をつくっていく主体なんだということ、多様性が輝く場をつくることに貢献することは、全員に開かれた権利なんだということが、非常に大きなポイントです。これは先生たちだけが進めていくでもなく、教育委員会だけが進めていくでもなくて、全員が進めていくことなんだと。全員に対して開かれているということは、それはとても素敵な権利の一つなんじゃないかなとも思うんです。当然、教育委員会にしかできない仕事もあるし、先生にしかできない役割もあるし、子どもたちにしかできないこともある。全員で枠を一つずつ外しながら、インクルーシブに取り組んでいきたいです。Upload By 発達ナビ編集部この連載を重ねることで、インクルーシブ教育推進のためのヒントを集めていきます。堀川さんは明確なビジョンを示しつつ、現場の声を何よりも尊重し、双方の視点を持ってリーダーシップを発揮されています。その姿勢こそが、全員が主体的に関わる事例としての日野市をつくっているのだと感じます。これから全国の教育リーダーズの話を取材し、皆さんにお伝えしていきます。インクルーシブ教育の取り組みを知ることで指針を集め、今まさに実践されている、実践しようとしている方のヒントになりますように。ここまで読んでいただきありがとうございました。
2024年07月24日幼稚園入園後、気になった長男の様子3歳で発語なし、指差しもなし。泣く、怒る以外で唯一できる発信は「ちょうだい」のアクションのみの長男りーでしたが、無事に幼稚園へ入園しました。入園当初はさみしくて泣いてしまう子どもが多いという話をよく聞いていたので、りーもそんなふうになるのかなあと思っていたのですが、そういったことも一切なく、されるがまま、いつも通りのりーでした。母は少しさみしかったです……(笑)。Upload By かし りりあ幼稚園では加配の先生がつき、常にりーと一緒にいてくれました。りーが疲れた時には抱っこしてくれたり、りーがうれしそうにしている時には一緒に飛び跳ねてくれたりと、言葉で表現することができないりーの気持ちを受け止め、違う方法で表してくれました。親以外にはクールな表情が多かったりーでしたが、幼稚園に通ううちに、いろいろな人に明るい表情を見せるようになりました。幼稚園で制作をする時には、りーの状態を見て、場合によってはカンタンなもの(クレヨンで顔を描く→りーは顔を丸シールで貼るなど)に変えてくれました。また、お手製のパーテーションを用意してくれ、りーにじっくり伝えたい時にはそこへ誘導するなど、りーに応じた対応をしてくれました。幼稚園に通ううちに、困りごとが徐々に増えてきて……Upload By かし りりあこのように幼稚園ではとても丁寧な対応をしてくださったのですが、困ったこともありました。幼稚園では給食がありましたが、野菜嫌いのりーは残すことが多くありました。家でも野菜はほとんど手をつけないりー。食べさせようとすると寝転がって泣き、拒否するため、無理強いはせずに家へ帰ってからおやつを多めに食べさせる、野菜ジュースを飲ませるなどしていきました。Upload By かし りりあまたある時は、園からの電話で、りーが園庭から抜け出すということを聞きました。勢いよく飛び出るということではなく、ふらーっと出ていき、気づいたら園庭そばの駐車場にいたようです。先生は申し訳なさそうに伝えてくれましたが、こちらのほうが申し訳なく感じました。Upload By かし りりあそして、幼稚園の行事への参加も、私にとっては気が重いものでした。子どもたちが座っている中、りーは先生に抱っこされながらもぐにゃぐにゃとしていて、静かにする場面で声をあげてしまいます。心なしか、りーのクラスも次第ににぎやかになってしまっているような気がして、「これってうちの子がクラスの子たちへ良い影響を与えていないのではないか……」と思い悩むときもありました。幼稚園に通って一年。このままでいいのかと悩むように……幼稚園に通い始めて約1年がたち、幼稚園の先生との面談がありました。そこで、進級することで特別活動が始まること、りーには難しいと幼稚園が判断した時には一緒の活動ができなくなってしまうかもしれないこと、その時には下の年齢との活動をすることになるかもしれないことを伝えられました。りーは環境に慣れ、友達も優しく接してくれる。しかしりーにとって幼稚園で過ごすことは良いことなのか考えるようになりました。当時次男のかーの妊娠出産もあり、りーの育児や対応に専念できずに申し訳ない気持ちになっていました。そうして思い悩んでいた頃、児童発達支援施設での面談がありました。そこで私から話す前に先生からある提案を受けました。Upload By かし りりあそれは幼稚園から療育園への転園の提案でした。私たち家族にとって大きな変化となった療育園への転園については、また別の機会に書かせていただきます。執筆/かしりりあ(監修:鈴木先生より)お住まいの市町村で違いはありますが、3歳時点で発語がない場合、一般的には3歳児健診で難聴を否定するためにABR検査を勧めます。さらに、幼稚園ではなく療育園を勧める場合も多いと思います。今回のコラムでは、りーさんに専属で加配の先生がつきましたが、発語のないお子さんを幼稚園でみるのには人的な限界があるからです。そして、加配の方とどういうコミュニケーションツールを用いたかは記載されていませんが、発語のないお子さんに対するコミュニケーションツールの一つとして私は絵カードの利用をお勧めしています。これは日本語が分からない外国人のお子さんに対しても有効な手段です。これからは、幼稚園ー療育園ー小学校とどう連携していくかが重要になってきます。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月23日LITALICOジュニアスタンダードコースってどんなところ?スタンダードコースは、通所受給者証を使って通うコースで、児童発達支援と放課後等デイサービスの2種類があります。児童発達支援は0歳から年長のお子さま、放課後等デイサービスは小学1年生から高校3年生のお子さまが対象です。スタンダードコースでは、約10人の子どもたちが集団で過ごす場と個別指導を組み合わせ、合計3時間程度の支援を行っています。(※)体験授業では、豊富な知識や経験に基づき、一人ひとりに合わせて楽しく学べるような工夫がされた授業を実際に体験できます。※お子さまの状況やニーズに応じて1.5時間などでの支援提供もしております。詳しくはお問い合せ時におたずねください体験授業を受けてくれるBくんのプロフィールUpload By 発達ナビ編集部今回体験授業を受けるのは、保育園に通う5歳の男の子Bくんです。保育園で友達に手を出してしまうことがあり、「友達と仲良く過ごせるようになってほしい」というご両親の願いから、LITALICOジュニアスタンダードコース・児童発達支援の体験に参加しました。事前にお母さまにお話を伺いました。「Bは手が出てしまうこと以外にも、眠くなると怒りっぽくなったり、落ち着きがないところもあるんです」LITALICOジュニアスタンダードコースの体験授業では具体的にどんなことを体験できるのか、Bくんの1日体験の様子をご紹介します。丁寧なヒアリングでお悩み相談しながら困りの整理ができる!体験授業を申し込むと教室から電話があり、体験授業の内容やその後の流れについて説明があります。その後、お子さまの困りごとを先生が丁寧にヒアリングします(教室やご状況によって、当日行われる場合もあります)。「好きなことがたくさんあって素敵ですね!注意が逸れやすいのは、興味の幅が広いということも関係してるかもしれませんね」「お母さまに手が出やすいのも、お母さまやお家が安心できる場だからこその行動なのかなと思いました。お母さまが汲み取ってくれるからBくんも安心できるんでしょうね」などお子さまのいい面をしっかり分析しているのも印象的でした。お母さまに事前の面談について、感想を聞いてみました。「先生がいろんな視点から質問してくださって、質問の内容もとても的確で、あ、そういえばそうだなと答えながら思うこともたくさんありました」「いろんなお子さまを見てきたから分かるんだろうなと、先生の専門性の高さを感じました。とにかく話していてとても安心感がありました」先生にも、事前の面談でどんなことをヒアリングされているのか聞いてみました。「困りごとは同じでも、その要因はお子さまによってそれぞれです。ですので、より細かくお話を聞きながら、考えられるたくさんの要因のうち、お子さまの困難さはどこにあるのか、困りごとの根底にある要因を見立てていきます」「お子さまはこういう様子がありそうなので、体験ではこういうところを見ていきましょう」というように体験授業で見るべきポイントを提示してもらえるので、お母さまも一緒の目線で体験授業を見られるところもいいですね。Upload By 発達ナビ編集部体験授業では、LITALICOジュニア川崎駅前教室を訪問しました。教室は明るくカラフルで、子どもたちの賑やかな声が聞こえてきます。お母さまと教室にやってきたBくん。数日前まで風邪をひいていたこともあり、体調が万全ではないとのこと。お母さまと離れるのが難しく、予定していた集団授業のお部屋に入ることができません。そこで、先生はタブレットで集団のお部屋の様子を見ることを提案。「ここでお友達がどんなことしてるか見られるんだよ」とタブレットを見せると興味津々のBくん。徐々に笑顔が見られました。先生とほかの教室を一緒に探検したり、好きなもののお話をしていくうちに、Bくんは先生とすっかり打ち解けていました。集団授業に入って体験を受けられる予定でしたが、予定を変更し、このまま個別で行われることに。最初お母さまと離れることが難しかったBくんも、先生と2人でお部屋で過ごすことができました!先生から好きなものを聞かれると答えたり、「これはどうかな?」「こうやってあそぼう!」と自分からもたくさんお話しする姿がみられました。Upload By 発達ナビ編集部このように、お子さまの状況に合わせて、体験できるのは安心ですね。最初はお母さまと離れるのも難しそうだったBくんがここまで楽しそうに過ごせたのはなぜなのか、先生に伺いました。「体験授業は、お子さまのご様子をみて、必要に応じて形を変えて行うこともあります。それは、まずはお子さまに楽しかったなと思ってもらうことを目的にしているからです。そのために、お子さまの興味がありそうなおもちゃを用意したり、お子さまが興味をもたれたものは積極的に共感したりしながら、まずは『楽しい場所だ!』『褒めてくれる人だ!』と思ってもらえるような関わりを意識しています」Upload By 発達ナビ編集部また、Bくんとあそびながらも、Bくんの得意不得意や事前の見立てがあっているかなどを見ながら授業をしていたという先生。先生は具体的にどんなことをされていたのでしょうか。「隣の部屋の音を気にしていたり、先生の持っているシートのにおいを気にしたりしている様子から、もしかしたら感覚の過敏さがあるのかもしれないなと思いました」「また、力いっぱいおもちゃを押す様子があったので、力のコントロールに苦手さがあるのかなと感じたので、『そっと押すとうまくできるよ』と声をかけると、上手に力をコントロールできていました。このように、お子さまの困りごとはどんなところにあるのか、どういう声かけをしたら解消できそうかを考えながら接していました」お子さまも楽しく過ごせている状態で、困りごとの根底にあるもの、どういう支援や関わり方でそれが解消できそうかを専門的な視点で見てもらえるのはうれしいですね。また、先生があそびの中でも、「教えてくれてありがとう」「先生のお話聞いてくれてありがとう」などBくんの一つひとつの行動を見逃さず褒めている姿が印象的でした。※クリックするとLITALICOジュニアのお問い合わせページに遷移しますお子さまの困りの要因や関わり方のアドバイスを教えてもらえる!Upload By 発達ナビ編集部体験中の様子はリアルタイムで視聴でき、体験後には授業中のお子さまの様子や課題の解決方法についてフィードバックがあります。Bくんの体験授業について、先生からは「人も場所もはじめてのところで見通しが立っていなかった中、2、30分でこれだけ慣れることができたので、事前に情報が分かるとBくんのいいところがたくさん発揮できるかもしれないですね」とお話が。的確なアドバイスをしてくれる先生に、お母さまから就学に向けての相談も。「園での様子があまり分からないんですが、手が出てしまうという話は聞いているので、小学校入学に向けて今のままで大丈夫か心配で……」先生からは「通う小学校を事前に見ておいたり、学校の先生と面談をしておくと、どんなことをするところかが分かって安心して通えるかもしれないですね」とアドバイス。また、「園の様子が分からないと不安ですよね。LITALICOジュニアでは保育所等訪問支援を行っているので、指導員が園を訪問してお子さまの様子を見てお母さまに共有したり、LITALICOジュニアでうまくいった方法を園の先生と共有したり、連携することもできるので、一緒に活用されるのもおすすめです」と、実際のサービスを使ったときのイメージがわくような説明も。体験授業のあとにどんなお話をされているのか先生からもお話を伺いました。「体験授業後は授業の振り返りとともに、どういうスキルを獲得すれば過ごしやすくなるかといった個の側面と、どんなふうに環境面を整えてあげれば過ごしやすくなるかといった環境の側面のそれぞれで、LITALICOジュニアではどんなアプローチができそうかといったことをお話ししています」Upload By 発達ナビ編集部体験授業後、お母さまにお話を伺いました。「とにかく褒めて、とにかく居心地のいい居場所をつくることに全力を尽くしてくれる先生がいるという安心感がありました。園で怒られて、家でもうまくいかなかった日も、ここでは絶対に褒めてもらえるということが、子どもの力になるんじゃないかと思いました。体験授業の1回だけでも、子どもが成功を実感して積み重ねていける『成功体験の場』だと実感できました!」「ほかにも、『感覚の過敏さはありますか?』という質問をされたのですが、まさに聴覚過敏気味なのが気になっていたので、『体験の時間だけで見抜くのがすごい!プロの目ってこういうことだ!』と実感しました」Bくんは体験が終わってからも、「次はいつ行く?」とお母さまにLITALICOジュニアのパンフレットを持ってきてくれるそうです。Bくんが楽しめた様子が伝わってきますね!「子どももとっても楽しかったみたいです。親としては子どもが楽しいというのであれば、じゃあ行こうか!という気持ちになりますね!」とお母さまもお話しされていました。LITALICOジュニアスタンダードコースは、お子さまが楽しみながら学べる場所。教室によってはすぐに体験授業を受けられる場所もあるそうなので、気になった方はまずは問い合わせてみてはいかがでしょうか。先生に聞く!体験授業を受けると何が分かる?Upload By 発達ナビ編集部LITALICOジュニアスタンダードコースの体験授業を受けるとどんなことが分かるのか改めて先生にお伺いしました。「LITALICOジュニアスタンダードコースの体験授業は、実際の集団指導を受けられるので通ってからの様子がイメージしやすいと思います。また、体験授業後には、指導員の視点から見たお子さまの様子をお伝えしているので、お子さまの新たな強みを知ることができるかもしれません」「そして、今後どうすればいいか手立てが分かるので、やるべきことの整理がしやすくなるのも体験をおすすめするポイントですね」Upload By 発達ナビ編集部何をするべきか、今どのステップにいるのかが分かるだけでも体験授業を受ける価値がありそうですね!保護者さまのお話を聞く先生のあたたかい雰囲気がとても印象的ですが、どんな気持ちでご家族を迎えられているのか聞いてみました。「保護者さまは、さまざまな困りごとやお悩みがあって相談してくださっていると思うので、まずはその気持ちをしっかり受け止めたいなと思っています。そして、違う側面から見るとお子さまの素敵な強みを知っていただき、お子さまと関わる時のヒントになればいいなと思っています 」「たとえば、園などの集団の中では『できていない』と判断されてしまっても、大人になって広い世界に出たときには、お子さまの強みが発揮されることもあります」「LITALICOジュニアでは、困りごとを解消するために必要なスキルの獲得をサポートしているのと同時に、お子さまの強みを伸ばすことも心がけています。お子さまには強みを伸ばしながら、いずれはお子さま自身が自分のもっている強みを理解して発信できるようになるといいなと思っていますし、保護者さまにもお子さまの強みにあらためて気づいてもらえたらいいなと思っています」お子さまが楽しみながら必要なスキルを獲得できるように、指導員みんなでご家族をサポートしてくれるスタンダードコース。気になった方はまずはお問い合わせしてみるのがおすすめです。LITALICOジュニアスタンダードコースの体験授業のまとめ教室ではどんな授業を受けられるのか、利用したときの様子をイメージできるLITALICOジュニアスタンダードコースの体験授業。集団生活の中での困りごとや、学習でのつまずきなど、お子さま一人ひとりの課題に合わせて集団指導と個別指導を受けられるスタンダードコースの体験授業であれば、お子さまの困りごとの解決の糸口が見つかるかもしれません!体験授業では、利用するにあたっての疑問点や不安なことも相談することができるので、気になった方は問い合わせてみてはいかがでしょうか。※この記事は、LITALICOジュニアに掲載のコラムの一部を変更し、構成しています※クリックするとLITALICOジュニアのお問い合わせページに遷移します
2024年07月22日子どもの性にまつわる悩みや疑問に!『親子で話そう!性のことー3歳から始める性教育ー』Upload By 発達ナビBOOKガイド「性について子どもにどう教えればいいか分からない」「子どもの気になる行動をやめさせたいけれど、伝え方に悩む」など、大切なこととは分かっていても、子どもの性教育についてお悩みの方も多いのではないでしょうか。本書の著者である臨床心理士の高山恵子さんと、保健師の佐々木睦美さんのお二人は、長年にわたり子どもたちや教職員に向けた性教育講座を実施しているエキスパートです。子どもからの質問にどう答えればいいのか、子どもの性にまつわる悩みや疑問など、分かりやすくQ&A方式で解説しています。命に繋がる「性」について知ることは、自分自身を大切にすることにも結びつきます。まずは大人が正しい知識を身につけることができれば、子どもからの突然の質問にも 、恥ずかしがったりすることなく、自信をもって答えることができるはず。巻末には取り外せる絵本もついており、親子で楽しみながら学び、性のことについて話し合うきっかけになるのではないでしょうか。遊びながら「できた」が増える!『発達障がい・グレーゾーンの子のための水中療育 からだ・こころ・ことばを育むスイミング』Upload By 発達ナビBOOKガイド本書の著者である酒井泰葉さんは、元アーティスティックスイミング日本代表選手で、長年にわたり発達障害がある子どもに水泳指導を行っていらっしゃいます。本書で紹介されている「水中療育20の実践プログラム」は、リラクゼーション・ウォーキング・ジャンプ・潜水など、さまざまな水遊びを楽しみながら、体性感覚・平衡感覚などを養うというものです。本書で紹介されているプログラムの実際の様子を動画で見ることもできるので、合わせて活用することで、より理解が深まります。体の動かし方に苦手さがあったり、水が怖かったりするお子さんにも、取り組みやすい工夫がたくさん紹介されている本書。この夏、水に親しみながら心身を成長させる機会として、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。55の実例で手立てを紹介!『少しの工夫で変わる!気になる子が過ごしやすくなる保育の環境構成』Upload By 発達ナビBOOKガイド発達が気になる子どもの「遊びに集中できない」「友だちとトラブルになる」「パニックやかんしゃくを起こす」といった行動へ、どのように対応すればよいのか困った経験のある方は多いと思います。本書では、子どもが「できない」のではなく、周りの環境が子どもに「合っていない」という考えのもと、環境構成による支援を紹介しています。実際の保育の現場でみられる全55の実例を掲載し、「お支度」「着替え」「集まり」「食事」「トイレ」「午睡」「室内遊び」「外遊び」など、さまざまな場面で起こりがちな困りについて、ビフォーアフターの写真付きで分かりやすく手立てが紹介されています。「段ボールでパーテーションをつくる」「給食の配膳の仕方を変えてみる」「おもちゃの片づけ方を変えてみる」「保育室の隙間を落ち着けるスペースとして活用してみる」など、本書で紹介されている実例はどれも手軽にできるものばかり。ぜひ本書を参考に、保育の現場やご家庭でも、お子さんに合った環境の工夫に取り組んでみてはいかがでしょうか。最新の臨床精神医学に関する知識を深める!『神経発達症群(講座精神疾患の臨床 9)』Upload By 発達ナビBOOKガイド近年、「発達障害」という言葉の認知度は高まっていますが、医学的には知的発達症(知的障害)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、SLD(限局性学習症)といった疾患を総称して「神経発達症」としています。本書は、発達ナビでも多くの記事をご執筆いただいている本田秀夫先生が編集を担当され、神経発達症群全般における概念や、各疾患の分類の歴史的変遷についても詳しく解説されています。医学専門書ではありますが、「神経発達症群」の各疾患の診断概念や症状、原因、治療・支援に関する正しい情報を知りたい医師以外の医療・福祉関係者の方や、より深く学びたいと考えている方にとって、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年07月21日発達ナビ連載ライター陣や読者の皆さんにお寄せいただいた、面談や学校からの呼び出しにまつわるエピソードをご紹介!定期テストなども終わり、多くの学校で担任の先生との面談が始まる時期となりました。「先生に子どもの特性を伝える際に何を用意したらいいの?」「合理的配慮、どこまでお願いできる?」「学校でトラブルなどを起こしていたらどうしよう……」など悩む保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、発達ナビ連載ライター陣や読者の皆さんにお寄せいただいた、面談や学校からの呼び出しにまつわるエピソードをご紹介します。持ち物や相談の内容など、ぜひ参考にしてみてくださいね。発達ナビみんなのアンケート「連載ライターのみなさんに聞いてみたいこと大募集!」に寄せられた「小学校・中学校の先生に理解を得るコツ」の声。このコラムでは丸山さとこさんとコウさんの小学校から中学校にかけての合理的配慮についての実体験をつづっていただきました。幼児の頃から動きが大きくて速かった次女のリスミーさん。小学校の三者面談でリスミーさんが授業中に走り回っていることを知らされ……!先生に教えてもらった「落ち着くための工夫」とは?ASD(自閉スペクトラム症)のある小学校2年生のミミさん。お母さまのtaekoさんは面談で担任の先生からミミさんの友達トラブルについてのお話を聞きます。「指摘グセ」のあるミミさんに対してtaekoさんの考えは……。発達障害のある息子のコウさんが中学に入学して1ヶ月、担任の先生と二者面談を行った丸山さとこさん。診断書とWISCの検査報告書をコピーして挑んだ面談の結果は……。面談で心がけたこと、新生活後すぐに面談をする意義など参考になるお話がたくさん盛り込まれています。ASD(自閉スペクトラム症)のあるミミさん。小学校1年生から2年生への進級にあたって先生が変わると知ったお母さまのtaekoさんが新しい担任の先生に連携したものとは?また、「宿題がつらい」と悩むミミさんについて面談で相談すると……。小学校6年でSLD/LD(限局性学習症/学習障害)グレーゾーンと診断を受けたひらたともみさんの息子さん。中学3年生、夏の三者面談で高校進学について先生から聞かされたのは「母の知らない息子の頑張り」で……!中学受験をし、中堅の私立中学に進学したあっきーさんの息子さん。ある日突然、学校から呼び出しを受け、向かうとそこには担任、学年主任、副校長などの面々がずらり……息子さんの起こした「ある事件」で停学処分、さらには退学の危機にまで……!?ASD(自閉スペクトラム症)のあるまゆんさんの息子の太郎さん。行き渋りなどはまったくなかったものの、小学生のころは体調不良で学校から急な呼び出しがかかることがたびたびあったそうです。気になって小児科を受診すると……。その他関連コラムはこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年07月20日LITALICO発達特性検査の結果をヒントにLITALICO発達特性検査は、保護者の方がお子さまについての質問にスマートフォンやパソコンから回答することで、お子さまの特性や困っていることが分かるオンラインの検査です。検査について知りたい方はこちらをご覧ください。LITALICO発達特性検査の結果では、お子さまの特性に合わせて取り組みやすい対応方法も紹介されます。ご家庭や園・学校などで、おすすめされているサポートを試すことで、困りごとが軽減される可能性があります。そこで、この記事では検査結果を使って対応方法を試す方法について、Q&A形式でお答えします。うまくいかない場合の解決法など、検査結果の使い方に関する疑問を解消し、お子さまの対応や特性理解に活かすためのヒントとしてお使いください。Q.検査結果を受けて、まずは何をすればいいでしょうか?検査結果が出たら、まずは以下の3つを試してみましょう。周囲の人にとっての「困った行動」が、実は本人自身もどうしていいか分からない「本人が困った結果の行動」である場合があります。例)欲しいものを言葉で伝えることができずに、保護者の手を引っ張ってその場まで連れて行くなどまた、保護者や周りの人が「やめてほしい行動」「意味がない行動」と思っていても、本人にとっては必要のある行動だという場合もあります。例)筋力が弱く、姿勢を保てないために、寝そべりながら宿題をするなど特性やそれに関連した行動がなぜ現れるかを理解すると、解決法を一緒に考え、困っていることを減らしたり、適応的な方法に置き換えていくこともできます。また、「困った行動」ではなく「特性による行動」として、周囲の理解を得やすくなるかもしれません。検査結果レポートの「サポートの方向性」の中から、お子さまに合いそうで、できそうな方法からやってみるのがポイントです。「試しやすい」のタグがついているものがあれば、はじめに取り組んでみてください。基本となるサポート方法や、まずは取り組みやすいサポート方法を示しています。ほかにも、お子さまの特性や困りごとに対応して複数のサポート方法が提示されますが、すべてを一度に始めなくても大丈夫です。お子さまに合いそうなもの、できそうなものから順番に試してみるといいでしょう。一つの方法が合わなくても、そのときは別の方法を試してみましょう。検査結果を周りの人と共有することで、お子さまへの一貫した接し方につながります。お子さまにとって、取り組みやすく失敗しにくい方法や環境があり、それを繰り返すことで習慣化できれば、困りごとは軽減されていくでしょう。そのために、特性や本人に合った方法を本人や家族、園や学校などの周りの人と共有することが必要になってきます。また、LITALICO発達特性検査は保護者の方の視点での回答に基づく検査です。保護者の方と関係者で見立てが異なる場合や、環境によってお子さまの困りや特性の現れ方が異なる場合もあります。「家庭ではこのような困りがあり、この方法でうまくいきました」「学校ではその点は困っている様子がありませんが、こういう場合には困ることがあるようです」など、園や学校、専門家との相談などで結果を共有し、話し合うきっかけにすることで、別の情報やサポートのヒントが得られることもあります。相談や対応方法を試す際などに、検査結果を周りの人と共有するためのツールとしてご活用ください。Q.サポートを試してもうまくいかない場合はどうしたらいいでしょうか?検査結果レポートの「サポートの方向性」では、基本的にはお子さまの特性や年齢に合わせ、比較的うまくいきやすい方法が表示されています。ですが、お子さまの状況や環境、またほかの特性や要因が影響している場合などもあるため、表示された方法がそのまますべてうまくいくとは限りません。お子さまの場合はどう当てはめたらうまくいきそうか調整をしてみましょう。例えば、課題の難易度や取り組む時間、内容などをカスタマイズしたり、お子さまに合うように試してみてください。検査結果を参考にしながら、本人が困っていることや状況に合わせて工夫や調整をしてみましょう。「サポートの方向性」の例示そのままではうまくいかない場合でも、以下のような工夫でうまくいくようになることもあります。・好きなものや取り組みやすいもの、ご褒美でモチベーションをあげる例)着替えのあとでジュースを飲めるようにスケジュールを示す・本人に分かりやすい言葉や方法で伝える例)「早くして」と注意する代わりに、時計を示して「短い針が6になるまでにやってね」と具体的な指示に変更するこのほかにも、課題の難易度や取り組む時間を調整する、スモールステップで段階に分けて取り組む、本人に合う道具や環境を探すなどの工夫もできます。タイミングがいいときや慣れることによってうまくできるようになったり、調子がいいときにうまくいく場合もあります。どのようなきっかけや状況があると困りごとが現れるかや、どのようなときにうまくいくかなど、お子さまの様子を観察することもポイントです。カスタマイズできるところがないか、何度か試してみるといいでしょう。サポートは一つだけではなく、いくつか試して本人に合う方法を探していくといいでしょう。うまくいかない場合は、特定のやり方にこだわらず別のサポートも試してみてください。対応方法を試してもうまくいかないときや、何らかの理由で試すことができない場合、無理に取り組んでお子さまや保護者の方がつらくなる場合は、家庭で抱え込まず、専門家に相談するのも大切です。「やり方を工夫する」ことについて、カスタマイズの方法を専門家や周囲の関係者と相談するのもいい方法です。相談支援や児童発達支援、医療機関など、園・学校以外の機関も含めて相談していきましょう。以下の記事で相談や連携ができる機関を紹介しています。お子さまのことを考えて、試行錯誤する中で疲れてしまう保護者の方もいることと思います。お子さまと向き合うのがしんどくなってしまったり、心身に不調が現れたりしたときには、保護者の方自身のサポートや負担を軽くする方法を検討してみてください。Q.困っていることが変わってきました。どうしたらいいでしょうか?以前検査した時から困りごとの様子が変わったり、新しい困りごとが出てきたり、対応方法がうまくいかなくなることがあります。同じ特性があっても、状況や環境が変わったり、お子さまの発達や成長によって変化することによるものかもしれません。逆に、本人に合った対応をすることで、困りごと自体がなくなっていくこともあります。特に幼児期の場合は、発達による変化も大きい時期です。・入園や入学などの環境の変化・ストレスや体調の影響・発達や成長による変化・要求されるスキルの変化などその際には、変化した状況に応じて、サポート方法も調整できることがないか試したり、新たに現れた困りごとに合わせたサポートをしたりすることも検討しましょう。検査結果では、困りごとや年齢に応じた検査結果が表示されますので、LITALICO発達特性検査を定期的に受検することで、子どもの発達の記録として残していくことも可能です。Q.医療機関やほかの検査では指摘や診断をされませんでした。その場合でも子どもへのサポートをすべきでしょうか?診断がない場合、サポートは不要である、ということではありません。医療機関では、疾患や障害の有無を医学的な診断基準と照らし合わせて判断します。そのため、特性があっても基準を満たさない場合などには診断されない場合もあります。ほかの検査や医療機関で指摘や診断をされなかった場合でも、困りごとが生じたり、特性に合わせたサポートが必要になることは多いと言えます。医療機関で診断されなかった場合には、公的な支援や医療的なサポートにつながりにくい場合もあるかもしれません。そのような場合に、本人や周りの人が困りを感じているときには、LITALICO発達特性検査で得られた結果をもとに、サポートを試すことでうまくいく方法が見つかる可能性があります。また、児童発達支援や放課後等デイサービスなど公的な支援の中には、診断がなくても支援の必要が認められれば利用できるケースもあります。診断の有無にかかわらず、本人や周りの人が困っていることにフォーカスし、本人の特性に合わせた対応方法を探すために、LITALICO発達特性検査の検査結果をぜひ活用し、サポートをしてください。また、医療機関では確定診断までに何度か経過や様子を見るなど、すぐに診断されないケースもあります。そのような場合にも、特性を理解し早期にサポートを開始することが重要です。Q.困りの強さや困りごとの分類などは、どのように理解すればいいでしょうか?LITALICO発達特性検査の検査結果は、年齢群・性別ごとの定型発達母集団データを元に、平均点が50になるように得点を変換し、判定しています。困りの程度や特性が強いほど点数が高くなります。「困りが強い」「困りがやや強い」「今は困っていない」の困りのラベルについては、変換した点数を元に、どのくらい困っているかを得点によって以下のように分類しています。得点70以上:「困りが強い」得点60-69:「困りがやや強い」得点59以下:「今は困っていない」※ただし、一部の分類は上記の点数換算が妥当でないことを踏まえて、定型発達データと臨床データから推定した困りの強さの判定を元に、点数の割付を行っています。Upload By LITALICO発達特性検査 活用サポート大分類内における小分類ごとの困り度ラベルの組み合わせによって、お子さまに最も近いタイプを推定しています。こちらは、より妥当な困りごとの背景説明やサポート方法をお伝えするための分類となっています。Upload By LITALICO発達特性検査 活用サポートQ.検査結果レポートは年齢に合わせた内容ですか?LITALICO発達特性検査では、お子さまの年齢によって適切な検査結果が出るように設計されています。同じ特性でも、年齢によって困りごとの内容や強さ、その対応方法が変わると考えているためです。検査結果の得点は、年齢・性別ごとに算出しています。また、提示される検査結果のレポートも、できるだけ年齢段階に応じた例示や、その年齢段階で起きやすい困りごととその対応方法を取り上げています。例えば、学齢期の学習面でのサポート方法については、学習内容に応じて、学年相当の漢字を例にするなど、学年に応じた例示が提示され、より具体的な支援で役立つことを目指しています。また、その発達に応じたコミュニケーションの方法や手先操作の難易度を考慮し、内容を提示しています。中高生には生活面で身の回りのことを自分でできるような工夫、お小遣いやスケジュール管理の方法などのヒントや、パソコンやスマートフォンを使った環境調整の方法などが提示される場合があります。まとめお子さまにとって取り組みやすい環境があり、それを繰り返すことで習慣化できれば、困りごとの軽減につながります。また、失敗しにくい環境で成功体験を積むこともできます。特性や本人に合った方法を本人や家族、園や学校などの周りの人と共有することが必要になってきます。そのために、LITALICO発達特性検査の検査結果は詳細な内容で複数の「サポートの方向性」が示されます。さまざまな方法が提示されることで、何から手をつけていいか、迷うことがあるかもしれません。そんなときは、お子さまの様子で当てはまりそうな背景はないか「ちょっと考えてみる」、「できそうな対応方法から一つだけやってみる」でもいいのです。お子さまの特性を整理して、困りそうな状況を減らしていくことができれば、保護者や周りの人にとっても、子育てがスムーズになったり、つらい状況が減っていくことにつながります。もし、サポートが難しいと感じたら、専門機関に相談することも検討しましょう。その際にも、検査結果が参考資料として役立つかもしれません。LITALICO発達特性検査を、お子さまの特性理解とサポートのためのツールとして、ぜひご活用ください。
2024年07月19日音楽を使った発達支援を始めるまでのまゆみ長女のまゆみには、ASD(自閉スペクトラム症)と中等度の知的な遅れがあります。療育へつながるまでの流れは前回の記事にさせていただきましたが、今回は同時期に始めた音楽を使った発達支援のお話です。私は、まゆみがお腹にいた頃から「豊かに生きる一環として、音楽を好きになってくれたらいいなぁ」と思っていました。「この歌を歌うとこんな表情になった」とか、「親子番組のこの歌で揺れていた」とか、まゆみの変化を読み取りながら歌のレパートリーを増やしていくことは私の楽しみにもなっていて、まゆみの発達の遅れに気付き始めた頃もあちこちのリトミックイベントや体験教室に顔を出していました。Upload By にれが、これが親子で泣いて帰ることの連続!参加するどころかその場にいることもできないまゆみの姿にはショックを受けながらも、「集団になると参加できないだけで、この子は音楽が好きなはず」という直観だけはあり、どうしたらその気持ちに応えられるのか分からず無力な気持ちで過ごしていました。音楽を活用した児童発達支援に通い始めてひだまり児童園(仮称)に親子通所を始める直前、相談支援の先生から連絡をいただきました。「音楽特化型発達支援の事業所を設けている楽器店さんがあるんです。まゆみちゃんは音楽が好きだとおっしゃっていたので……こちらもどうですか?」もちろん二つ返事でお願いしました。一般のリトミック教室には参加できなかったまゆみも、発達支援という枠組みでなら音楽を楽しむことができるかもしれない。そんな期待に胸を膨らませて、まゆみと二人で音楽を活用した児童発達支援事業所「ぴあちぇ~れ」(仮称)の扉を叩きました。当時1歳8ヶ月のまゆみには同年代の生徒さんがおらず、個別療育でのスタート。先生方はあたたかく迎え入れてくれて、とことんまゆみに合わせたプログラムで対応してくれました。最初は入室拒否して『大文字泣き』していたまゆみも、次第に「どうやらここは楽しい場所らしい」と気付いたようで、3回目くらいからは自分でドアを押して入ろうとしていたように記憶しています。重いガラスのドアで、しかも引くタイプだったので押しても開かないのですが、進んで入ろうとしてくれる姿が嬉しくて涙が出ました。音楽を使った発達支援の内容Upload By にれ1)まずは教室の隅に用意された小さな椅子を親子で運び、着席できたらご挨拶です。「今日は○月○日○曜日、お天気は○○。よろしくお願いします」という先生の声にはあまり反応しませんが、その後の「はじまりの歌」では、渡されたタンバリンをリズムよく鳴らしたり振ったりしていました。この歌は毎回同じなので、「これからはじまる」という導入のサインにもなっていたのだと思います。2)歌・楽器遊びでは、毎回違う歌と楽器が用意されます。1曲につき数種類の楽器が並べられ、そのうち1つを選んで先生のピアノ・歌に合わせて自由に演奏を楽しみます。カスタネットや鈴といったお馴染みの楽器に加え、ウインドチャイムやスリットドラム、カホン、セミーヤといった珍しい楽器も。鳴らしてみたい楽器が複数あるときは同じ歌でもう一度トライできたり、柔軟に対応していただきました。3)2~3曲、歌と楽器を楽しんだあとは、形の違う4つの太鼓を用意します。大きな太鼓、平べったい太鼓、細長い太鼓、小さな太鼓……音の違いや感触の違いを楽しみながら、こちらもピアノに合わせて手やマレットで演奏を楽しみます。4)その次は、細長い太鼓だけを教室に残して体を動かす遊びです。太鼓の周りを、ピアノの調べに合わせて走ったり歩いたりしながらグルグル回ります。やがてグループ療育にも参加するようになると、年齢や参加人数に合わせて「音が止んだら太鼓を叩く」「名前を呼ばれた人が太鼓を叩く」などバリエーションが増えていきました。5)太鼓をしまうと、回によって内容は変わりましたがリラックスできるような遊びが多かったと思います。まゆみを仰向けに寝そべらせた状態で行う手遊びを教えてもらったり、リトミックスカーフを使う遊びなどを教えてもらいました。6)終わりの挨拶と歌も毎回同じなので、まゆみにとって「これでおしまい」というのが分かりやすかったようです。教室内をウロウロしていても、終わりの歌が始まると先生の前に戻ってくるようになりました。まゆみの変化まず驚いたのは、楽器を選んだことでした。二択でも「選ぶ」という行為が難しいまゆみにとって、並べられたものから一つを手に取るだけでも珍しいことでした。選んだすぐあとでほかのものが気になって手を伸ばしたりしてしまう姿は今も見られますが、少しずつ「選ぶ」「順番」の概念を学んでいってくれているように思います。さらに、表情が乏しかったまゆみが、太鼓の周りを走りながら満面の笑みを見せてくれたことも衝撃でした。リラックスタイムで、たくさんの造花の花びらをまき散らしながら嬉しそうに寝そべっていた様子も忘れられません。Upload By にれ一番の変化は、教わった手遊びを家でも繰り返すうちにまゆみから催促してくれるようになったことです。一緒に遊びたくてもまゆみが受け付けてくれない日々が続いていた中で、初めて「わが子と遊んでいる」という実感が持てました。あまりに嬉しくて、自宅用に買ったリトミックスカーフがボロボロになるほど相手をしました。触れ合いが増えていくにつれてまゆみの表情が柔らかくなっていき、笑顔が増えていきました。振り返りと、現在ぴあちぇ~れさんには音楽を通して「楽しい」という感覚を育ててもらえたのではないかと思います。そうして1年4ヶ月ほど楽しく通わせてもらいましたが、まゆみが3歳になる直前に一旦卒業することになりました。メインとなる療育先を移って単独通所を始めることになり、平日昼間の予定が埋まることになったためです。それから2年ほど経ったまゆみ5歳3ヶ月のとき、ぴあちぇ~れから「金曜夕方のクラスを開設することになったのでいかがですか?」と連絡がありました。またも二つ返事でお願いし、まゆみは2年4ヶ月ぶりに音楽を使った発達支援を再開しました。ぴあちぇ~れが楽しい場所だと覚えていたまゆみは、入るなり大興奮!……復帰第1回目はひたすら跳ね回っているうちに終わってしまいました……。それから数ヶ月通い続けていますが、楽しすぎて動き回ってしまうことが多く、なかなか身を入れて参加とはいかない日が続いています。けれど、音楽が好きという気持ちはまゆみの中で育っているようで、家では自分からピアノに向かったり、クリスマスプレゼントにハープを欲しがるような女の子に成長しました。コミュニケーションは相変わらず独特で何かを教えることは難しいのですが、いつの間にか一人で覚えた『きらきら星』や『ハッピーバースデー』を演奏してくれます。これも、楽しく楽器に向かう気持ちを音楽を使った発達支援が種まきしてくれたからかもしれません。まゆみが音を楽しむ様子を、これからもじっくり見守りたいと思います。Upload By にれ執筆/にれ(監修:室伏先生より)にれさん、音楽を使った発達支援の内容や、まゆみちゃんがそれらを楽しむご様子について詳しく共有くださり、ありがとうございました。ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんは、周りの方との関わりに興味が向きにくい傾向にありますが、音楽を使った発達支援には、音楽を使った関わり遊びやふれあい遊びを通して、ご家族や支援者との関係性の改善や、コミュニケーションスキルの向上によい影響があることが分かってきています。そのほかにも、聴覚過敏のお子さんがさまざまな楽器の音に楽しく慣れることができたり(感覚過敏のお子さんにとってさまざまな刺激を受け取ることを楽しめるというのは貴重な機会です)、音楽に合わせて体を動かすことで運動能力の向上なども期待できます。これらは、お子さんがこの活動を楽しめる場合に得られる効果です。好きなもの、好きな遊びはお子さんによって異なりますので、その子の趣向に合わせた療育や活動の場を選ぶことができるといいですね。前の記事はこちらUpload By にれ(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月19日マンガ「発達障害の子どもと私たち」はるき編 第4話(最終話)Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談私も息子と同じだった……?Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談わが家が選んだ道――Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談家族で話し合い、不登校に取り組んでいく発達ナビユーザーから寄せられた体験談を元にしたストーリーマンガ「発達障害の子どもと私たち」の最終話(第4話)をお届けします。小学2年生のはるきさんは、3歳でASD(自閉スペクトラム症)、4歳で知的障害(知的発達症)と診断を受けています。2年生の5月、運動会のあとから学校を休みがちになり、保護者はそんなはるきさんを受け止めていました。しかしある日登校をうながされたはるきさんは、教室で腹痛を訴えることに。身体症状がでたはるきさんは、完全に不登校となりました。保護者である母は、自宅でリモートワークをしているのですが、仕事が忙しいためはるきさんを全く構えない状態。部屋の隅で気配を消してゲームをしているはるきさんを見て、心を痛めていました。A家がとった選択は「母が仕事を辞めて、今ははるきさんと向き合う」こと。長期で休むことによって、学校の先生やスクールカウンセラーと話す機会が減っていくかもしれません。自分ひとりで悩みを抱え、孤独になりがちだった母とパートナーが話し合いをし、一つの決断をできたのはとても大切なことです。もちろんこれは選択肢の一つであって、唯一の正解があるわけではありません。このことによってはるきさんとの時間がとれるようになった母は、はるきさんと会話したり、はるきさんの居場所探しをすることができるようになりました。はるきさんたちのその後は、2章みき編完結後にお届けする「エピローグ」でご紹介します。不登校の子どもの居場所は?今や将来についての情報を集める【専門家解説】ずっと家にこもりっきりでいいのだろうかと不安になることも多いと思いますが、今は家にいるだけで精一杯のお子さんも、少し元気が出てくると、家にいながらオンラインなどで興味関心のあるイベントに参加したり、やがて実際に行われているイベントへ行ってみたいという気持ちが湧く場合もあります。また、同世代の友達がほしいと思う場合、「不登校」仲間がいると心強いと感じるお子さんもいます。そうした単発イベントや継続して通える公的・民間の居場所についての情報を集めてみるといいでしょう。フリースクール、放課後等デイサービスなどは地域の相談支援専門員などと相談しながら進めていけるとよいでしょう。※放課後等デイサービスの利用には「通所受給者証」(受給者証)が必要となります。取得の条件や手続き方法は自治体により異なります。在宅勤務で家にいるのに、はるきさん相手にできない罪悪感があったと思います。はるきさんとお母さんの場合、退職をするという一大決心をされたのは良い側面もあるでしょう。寄り添う時間をもつことが、大きなプラスになったと思います。一方、不登校状態になってしまったお子さんに対する親御さんの関わり方として、一定の答えがあるわけではありません。寄り添うことが親御さんにとって過度な負担になって、お子さんとの関係が悪化してしまうケースもあるので、一人ひとりに合わせて判断する必要があるのでしょう。Upload By ユーザー体験談不登校への対応については、以下記事を是非ご覧ください。次回からは2章「みき編」がスタートします。通常学級に通うみきさんは、小学校4年生になりだんだんと学校の勉強についていくことができなくなりました。苦しむみきさんを見て母は「このままではみきの心が壊れてしまう」と感じ、転籍を求め学校、教育委員会との話し合いに臨むのですが……。お楽しみに。【マンガ発達障害の子どもと私たち】(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年07月18日成長しても「何でも口に入れる」息子。外出時も……息子は赤ちゃんの頃から、自分の指はもちろん、固いおもちゃから柔らかいおもちゃ、絵本など何でも口に入れてしまうところがありました。赤ちゃんとはそういうものかもしれません。でも、息子は大きくなってきてもそれを止める気配がありませんでした。特に冷たくてつるつるしたものを口で確かめたくなるようで、家の中では床や窓ガラスに口をつけていることが多かったです。外でも油断は禁物で、できるだけ気をつけていましたが、防ぎきれないこともあったので、常に除菌ウェットティッシュを持ち歩くようにしていました。注意するとその場では止められるけれど、また気づくとどこかに口をつけている……という状態でした。Upload By メイついに恐れていたことが!幼稚園年少での誤飲トラブル物をなめたり口の中に入れたりする癖が災いし、息子は幼稚園の年少の時、小銭を飲み込んでしまったことがあります。その日私が家事をしていると、急にむせるような息子の声が聞こえました。慌てて息子のもとに駆けつけましたが、息子はけろっとしています。周りを見ると、幼稚園への支払い用に準備してあったお金が散らばっていました。金額を確認すると50円足りません。息子に、「もしかしてお金飲み込んじゃった?」と聞くと「うん」と答えました。Upload By メイ急いで口の中を見ましたが、もう飲み込んでしまっていて、口の中に50円玉はありませんでした。息子は何事もなかったかのように平気そうな様子でしたが、異物を飲み込んでしまうのは初めてのことだったので、どうしたらいいか分からず、かかりつけの小児科に電話をかけました。その時はすでに夜だったのですが、かかりつけの先生の勧めで夜間もやっているこども病院を受診することにしました。子ども病院の夜間救急を受診。レントゲンを撮ってもらうと……こども病院で、お腹のレントゲンを撮ってもらいました。すると、50円玉が胃の中にあることが確認できました。Upload By メイお腹の中まで入ってしまっていたら後は出てくるのを待つしかないということで、ちゃんと50円玉が出てくるか、これからしばらくの間は便を確認するように言われました。それから数日間、息子が排便をするたびに割り箸を使って探しましたが、結局見つかりませんでした。その後再びこども病院で診察をしてもらい、もうお腹の中に50円玉はないということを確認してもらいました。一度だけ息子が自分で便を流してしまったことがあったので、その時にもしかしたら入っていたのかもしれません。この時は大事に至らずに済んでよかったのですが、もしうまく胃の中まで入らず、途中の食道で引っかかって止まってしまっていたら、手術をしないと取り出せなかったかも……とお医者さんに言われてゾッとしました。小学生になった今も「物を口に入れる癖」は残っていて……実は小学生になった今も、食べ物ではないものを口に入れたがることがあります。さすがに懲りたのか、小銭を口に入れることはありませんが、プラスチックのお菓子のゴミやティッシュなどを口に入れている時があります。Upload By メイ特に宿題をしている時に口に入れていることが多いので、何かしらのストレス発散になっているのかもしれません。学校や外ではやっていないようですが、誤って飲み込まないように注意しつつ「それはゴミだから口に入れるものじゃないよ」ということはその都度伝えています。最近では何か口に入れたくなった時のために、ボトルのガムを常備するようにしていて、異物を口に入れることは少しずつなくなってきています。執筆/メイ(監修:新美先生より)乳児期を過ぎても何でも口に入れてしまうことが続くタイプのお子さんがいます。口腔内の感触でどのようなものか確かめたい場合や、口腔内の触感の刺激を好んでいる場合、口腔内の感触で気持ちが落ち着く安らぐ場合などがあります。大人から見ると誤飲・窒息のリスクが高いことはもちろん、衛生面の心配や、周りからどう見られるかマナー面での心配などがあり、やめさせたい行動ですが、無意識的にやっていることも多く、やめさせるのがなかなか難しいこともあります。まず、誤飲・窒息を避けなければいけないので、口の中に入るサイズのものや、たばこ・薬など少量でも毒性のあるものは、絶対に、子どもの手の届く場所に置かないというのは大人の責任でやっていくしかありません。親戚の家に遊びに行ったときなどは、もう、目を離さず見ているしかないでしょう。……とはいえ絶対に目を離さないということは現実的ではないし、どんなに気をつけていてもついうっかりと言うことは、あるものですよね。本当に大変です。ある程度理解できるようになってきた場合、なぜ、口の中にものを入れてはいけないのかを、4コマ漫画などを使って視覚的に具体的に伝えることで、本人が自覚してやめようと思えるようになることもあります。この際は本人が気にしていること……例えば病気になるのが怖いお子さんだったら、衛生面から病気になる可能性があることを伝えるなど、本人が納得しやすい観点から理由を説明するとよいでしょう。消しゴムをかむのをやめられない子どもが腹痛で入院した時に、お医者さんから指導されて、消しゴムをかむのはやめられた……なんていうエピソードがあったりもします。何かのきっかけで本人が納得できるとやめられることもあります。本人が、その行動をやめようと思えた場合であっても、代わりになる行動を提案しないと、無意識的にやってしまうことはあります。なめたりかんだりしても差し支えないもの、ガムやカミカミグッズ(かんでもOKなタオルや、それ用に販売されているグッズもあります)などを手に取りやすい場所に置いておくなどがいいかもしれません。集中したい時にかむ刺激があることで集中できるお子さんもいます。じゃあ、ガムで!といっても、ガムの味や触感が好きじゃないという子どももいて、どうしても不適切なものをかんでしまうことをやめられない場合もあります。TPOを考慮する(学校など公共の場ではしないけれど家ならOK)など、徐々に折り合いをつけていけるといいですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年07月18日保育園の保護者さんたちにわが子の障害を受け入れてもらいたい!きいちゃんは身体が小さめなため、小学2年生くらいまでは保育園児に間違えられることも多かったのですが、小学3年生になった今はどこからどう見ても小学生!という体格にすくすくと成長中です(母はうれしい反面、ちょっと寂しい……)。さて、前回は「新生活」をテーマにして、保育園入園時(当時きいちゃん0歳)に主に保育園や担任の先生に対し、障害のある息子を理解し、受け入れてもらうために私がしたことを書きました。今回は、同じ保育園のクラスに通う児童の保護者さんたちにどうやって溶け込めたか、そしてどうやってきいちゃんの障害を受け入れてもらったか、ということについて書きたいと思います。受け入れてもらえるかは私の説明次第⁉意気込むも……きっと昔の私のように、保育園や幼稚園に通う前の障害のあるお子さんをお持ちのパパママさんたちは、ほかの保護者や子どもたちに自分の子どもを受け入れてもらえるか心配な方もいらっしゃると思います。まずは、自分の口から丁寧にきいちゃんの障害を説明して、ほかの保護者さんたちに理解してもらわなければ……‼と当時の私は意気込みました。Upload By 星きのこしかーし‼きいちゃんが入ったのは保育園。そう、働くパパママたちのお子さんが通う園です。はっきり言って、行きも帰りもバッタバタ。私もでしたが、みんな、仕事前や帰りに子どもをサッと預け、サッと連れて帰り、忙しくて1日1日を回していくのに精いっぱいです。ほかのママさんたちとも、挨拶を交わすことはあるものの、少し立ち話……なんて、そんな時間はありませんでした。Upload By 星きのこしかし、保育園が始まって間もなく、その時は、やってきました……。そう、懇談会です。やっとめぐってきた自己紹介の機会!明るく笑顔で話そうとしたら……やっと、やっとここで自己紹介ができる……!ここできいちゃんの障害をカミングアウトできる……!と思いました。保育園入園当時、きいちゃんはまだ6ヶ月。私もダウン症のある子のママになって6ヶ月。まだまだ気持ちが安定していない状態でした。でも……!暗ーくならず、障害なんか気にせずに、明るくきいちゃんのことを笑顔で話せば、きっとほかの方も構えすぎることなく自然に受け入れてもらえるはず……!元気に挨拶して頑張ろう……!と、何度もシミュレーションまでして挑みました。そして当日、10人くらいの0歳児クラスで、保護者の方は7名くらい出席されていたでしょうか。みんな、自分の子どもの性格、好きなこと、嫌いなものなどを話して、和やかに自己紹介が進みます。そしてとうとう私の番に……Upload By 星きのこなんと……途中まで普通に話せていたのに、きいちゃんの障害名を口にした途端、ポロッと涙が出てしまったのです…。自分では明るくしようと思っていたのに、心はそうじゃなかったんですね。つらいという本音の気持ちが涙になって出てしまいました……。でも、見渡すと……「うん、うん」という顔で聞いて下さっている方、「頑張れ」というような気持ちで聞いてくださっている方、そこには温かい空気が流れていました。考えてみるとみんな、ママ歴1年経ってないママさんたちなんですよね。自分の子どもに今、障害がなくても、いつどうなるかなんてわからないし、障害だけではなく、急な発熱や病気など、不安に思ったこともあったのかもしれません。だから、きっと私の気持ちや立場同じ年頃の子どもを持つ親として、分かってくださっていたのかもしれないな、と今は思います。きいちゃんが保育園でいじめられるかも……!と思っていたのは私の杞憂でした。そうして、きいちゃんと私の保育園生活は無事にスタートしたのでした。保育園の先生方もほかの保護者さんたちも、明るく普通に私たち親子を受け入れてくださったのでした。これから新しく新生活を送る予定のお子さんやそのママパパたちは不安があると思いますが、こちらが心を開くと、分かってくださる方のほうがずっと多いです。頑張ってくださいね!執筆/星きのこ(監修:鈴木先生より)私は障がいを持って生まれてきたお子さんの親御さんに「この子の染色体の1%には染色体異常があるかもしれませんが、99%は正常なのです」と日頃から伝えています。つまり、その1%のところは主治医が診るので、残りの99%のところは親御さんが楽しく育ててくださればいいのです。世間ではさまざまな障がいや病気を抱えて過ごしている方々がいます。そして周りの人たちは、その障がいや病気の詳細を知る由もないのです。最近は、その子の持っている障がいや病気に関して周りの子たちにも知ってもらうために、親御さんが教壇に立って伝えることも珍しくありません。できるだけ早い時期に学校のみんなに障がいのことを理解してもらえれば、障害や特性があるお子さんも楽しい学校生活が送れるのではないかと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年07月17日娘が赤ちゃんの頃は、積極的に育児していた夫わが家の娘(ASD/自閉スペクトラム症、現在小学校4年生) は、生まれた時から私の想像を絶する育てづらさでした。抱っこしていないと寝ない、母乳も飲まない娘に、私は心身共に疲弊していました。産前産後は実家に里帰りをしていましたが、夫が仕事で不在の間1人で世話をするのは無理だと思い、1ヶ月間のつもりだった里帰りをさらに1ヶ月延長してもらったほどでした。生後2ヶ月が過ぎ、ついに夫の待つ自宅に帰りました。私は気合を入れて帰りましたが、想像以上に夫も気合いを入れて待っていてくれていました。ほぼ一日中泣いて抱っこしないと寝ない娘に対して、夫は夜の担当を申し出てくれました(母乳は飲まなすぎて、完全ミルク育児に切り替えていました)。何時間も泣き止まない時や何日かに一度は交代したものの、仕事をしながら夜もみてくれて本当に感謝していました。Upload By マミヤ献身的に育児をしていた夫に変化が?娘の乳児期は献身的に頑張ってくれていた夫でしたが、娘が1歳を過ぎると、多動やパパのお世話を嫌がる「パパイヤ期」など違う育てづらさが出てきました。次第に、夫は子育てに対して壁を感じるようになってきたようでした。私も育てづらさを感じていましたが、夫は娘と2人きりになるのを拒否し、子育てを「大変なもの」としか認識しなくなっていきました。夫は娘を「怪獣みたい」「俺は公園に娘と2人で行けない」「可愛いよりも大変」と言うようになり、今思うと「育児ノイローゼ」のようになっていたように感じます。娘は1歳半健診で要観察になり、発達障害なのでは?と思った私は療育を始めたいことを夫に伝えましたが「ママがそう思うならいいよ」と即答でした。私は「他人事みたいだけど、反対されるよりはいいか」と思っていました。Upload By マミヤ徐々に開き始めた娘と夫の距離娘は2歳4ヶ月でASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。ほどなくして、わが家は他県に引っ越しをしましたが、その引っ越しをきっかけに夫は娘の寝かしつけをやめ(娘が夫を拒否して泣くので)、一人で自分の部屋で寝るようになりました。休日に娘を連れて遠出する時なども、夫には留守番してもらうようになりました。これ以上夫に子育てを負担に思ってほしくないと、私が考えたことでした。その頃私は、夫にも娘の発達のことを知ってもらいたいと思い、発達障害に関する本をすすめました。しかし夫の返答は「どうしてもっていうなら、今内容を口頭で教えて。それからどうしても読んでほしいところに付箋をつけといて」でした。このあたりから、娘のことに関して夫には意見がないことが気になるようになりました。発達外来にかかっても、療育に行っても、幼稚園を選ぶ時も自発的な気持ちを感じないのです。そして、娘のこだわりや特性を理解して臨機応変に対応しない夫に、娘はどんどん懐かなくなっていきました。娘の5歳の誕生日に起きたトラブル。思わず涙した私に、夫は……そして月日が経ち、娘の5歳の誕生日がやってきました。夫と娘の関係は悪くなる一方でしたが、事前に「その日は家族仲良くできるよう協力してね」と夫には伝えていました。それにもかかわらず、誕生日の当日に夫と娘は喧嘩をしました。私は初めて夫の前で泣きました。夫はすぐに謝ってくれましたが、私はその日の夜に思っていたことをたくさん伝えました。うちの子は定型発達の子ではない。ASD(自閉スペクトラム症)なんだ。親がしっかり向き合って、信頼できる存在にならないと今後親子関係が破綻する。いつまで目を背けているつもりだ。病院にも療育にも興味を示さないし、娘のことなんてどうでもいいと思ってるのか。私が一番恐れているのは発達障害の二次障害で、ストレスなどが原因で自傷行為に発展することもある。また父親と仲が悪くなり家に居場所がなくなって家出したらどうするんだ……と。夫は衝撃を受けた顔をして私の話を聞いていました。そこまで先のことは考えていなかった、どうしてもその場その場の感情で接してしまうと言って再度謝ってくれました。Upload By マミヤ本音をぶつけた日を境に、変わり始めた夫この日を境に夫は娘への態度を変えたような気がします。病院での話も詳しく聞いてくれるようになったし、就学相談の時も、発達検査の結果を見てはじめは 「通常学級でいいんじゃないの?」と言っていましたが、特別支援学級に行かせたいという私の意見に理解を示して「しぇーちゃんが楽しく通えるほうにしよう」と言ってくれました。娘が一時期不登校になった時も「しぇーちゃんが落ち着いて過ごせる場所を探せばいい。学校に絶対に行く必要はないよ」と娘に話し、いつでも味方であるとしっかり伝えてくれていました。わが家は、夫婦で同じ方向を向いて育児することに時間がかかりました。夫だけでなく私自身にも落ち度はあり、夫と言い合いになることを避けていたところもあります。娘は現在9歳になりました。今では夕食のあと3人でいろんな話をしたりカードゲームをして楽しく過ごしています。Upload By マミヤ執筆/マミヤ(監修:室伏先生より)ご家族のしぇーちゃんへの向き合い方、しぇーちゃんとお父さまの関係性について詳しく共有してくださり、ありがとうございます。お子さんのことをとても大切に思っているのに、拒絶されたように感じてしまって葛藤を感じたり、どのように接したらいいのか分からなくて戸惑いを抱えたり、というご経験がある方は少なくないと思います。外来ではお母さまとお子さんだけでお話にいらっしゃったり、ご家族でいらしてもお母さまが中心にお話しされることもしばしばあります。しかし、お父さまのお気持ちやご家族全体の関係性に思いを馳せること、そしてご家族全員の心が健康でいられるようなサポートなどもとても重要なことだと、マミヤさんの記事を読ませていただいて、私自身も改めて感じました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月16日ヘルプマークって?みなさんヘルプマークをご存知でしょうか?発達がゆっくりな子どもを持つ親御さんは、一度は聞いたり見たりしているのではないかと思います。一般的には「外見では分からない、見えない疾患や障害がある方など、援助や配慮を必要としている方々が、そのことを周囲の方に知らせることができるマーク」として周知されていると思います。 私自身、子どもが生まれる前……独身時代からテレビや電車の掲示で存在は知っていましたが、どちらかというと「ペースメーカーや内臓の疾患などの外見で分からない方が使用するマーク」という認識が強かったと思います。2歳半で息子がASD(自閉スペクトラム症)と診断され、療育などいろんな手続きをしているうちに、発達障害がある場合でもヘルプマークを使用するケースがあることを知りました。Upload By 海乃けだまヘルプマーク、つける?つけない?……悩んだ末に息子は年少・年中の年は療育園に通い、年長の年から地域の幼稚園に転園したのですが、まず最初にヘルプマークをつけようか悩んだのはこの転園のタイミングでした。というのも、療育園と違い、地域の幼稚園は定型発達の子どもが大半だったので、その親御さんたちの中に「発達障害のことをよく知らない方もいるのでは?」と思ったからです。私自身息子の診断がなければ、発達障害についてこんなに深く調べることもなかったでしょうし、実際育児の"い"の字も知らない独身時代は「子どもは保護者のしつけ次第」なんてお恥ずかしいことを思っていました……(恥)。転園する頃には、一応一通りの生活動作は自立していた息子ですが、なんせ何事にも時間がかかり、場面の切り替えも苦手で、特に運動面と食事動作は「本当に5歳?」と初めて会ったお友達に言われるほどでした。幼稚園児といえど、もう年長……定型発達の子どもたちは自分と他人の違いも分かっている年齢……。診断名をカミングアウトとかそんな大それたことはせずとも、ほかの親御さんに息子が発達ゆっくりさんであることをそれとなく知ってもらうためにヘルプマークをつけようか迷いました。メリット、デメリット、そして息子本人の気持ち……(息子には診断名は伝えていませんが、改まったカミングアウトという形ではなく、日常的に「お友達よりも苦手なことがある、難しくて時間がかかってしまう。でも息子のペースでできるようになるからね」という話はしていました)。夫とも話し合った結果、幼稚園での生活では、先生が常に子どもたちのそばにいて見守りをしてくれているし、登園降園も必ず保護者が付き添うので、ヘルプマークはつけない選択をしました。いよいよ小学校入学。ヘルプマークをつけようと思った理由。そしてヘルプマークを見た上級生の子が……!?無事幼稚園を卒園し、いよいよ小学校入学となりました。幼稚園は少人数で3クラス(年少・年中・年長)、そして異年齢の交流も多々あったので、園児のみんなが息子のことを知っていました。しかし小学校は1年生~6年生、異学年の子どもたちは名前も知らなかったり……。そんな中で、登下校には息子が慣れるまで付き添いをするつもりでしたが、学校生活では息子のことを知らない子どもたちが多いのでヘルプマークが必要だと感じました。地域の登校班で登校する初日、息子のランドセルにヘルプマークをつけて、息子以上にドキドキしながら集合場所に到着しました(上級生の親御さんたちには軽く息子が発達ゆっくりさんであることを話しました)。道徳の授業でヘルプマークについても習っていることを聞いていたので、子どもたちがどんな反応をするかドキドキでしたが、初日は歩き慣れてない息子が「疲れたーー!ランドセル重いー!」と不機嫌になるのをなんとか励ましながら歩くのが精一杯で、ほかの子どもたちを気にすることができませんでした(汗)。やっとの思いで校門に到着し、息子を見送ろうと手を振っていた際、目撃してしまったのです……!!上級生の女の子が息子のランドセルを指さして(ヘルプマークがついてるあたり)、お友達に耳打ちしている姿を……。Upload By 海乃けだまやっぱりつけないほうがよかったかも……落ち込んで帰宅。翌日からの周りの反応は?上級生の女の子がランドセルを指さして耳打ちをしている姿を見てしまった後、見送りの帰り道は頭の中でずっと「あの子はお友達になんて言ったんだろう。ヘルプマーク、つけないほうがよかったかな」とマイナスなことばかり考えていました。家事も手につかず(←いつも手につかず(笑))、息子に申し訳ないことをしてしまったんじゃないかと気持ちも沈んでいました。落ち込んでいても仕方ないので、下校のお迎えに行った際に息子との距離感をそれとなく確かめようと思いましたが、その上級生の女の子とは下校時間が違い会えませんでした。そして翌日……昨日の登校よりさらにドキドキして集合場所に行きました。「昨日耳打ちしてた女の子はどの子だったかな……」と考えていると、上級生の女の子2人が息子の近くに寄ってきて「ひとでくん、一緒に手繋いで歩こう?」と声をかけてくれたのです…… (感動)!!そう、その女の子たちは昨日耳打ちしていた女の子とそのお友達でした……!!耳打ちしているところを見たことで、悪い方向に考えてしまっていた自分を恥じました。今ではその優しい上級生の女の子たちのことがとっても大好きな息子。毎朝姿が見えると「〇〇ちゃーん!」と息子からニコニコ寄っていきます。Upload By 海乃けだま入学して3ヶ月経った今でも登下校には必ず付き添っていますが、元々インドア志向で登校しぶりのある息子が楽しく登校できているのはこの上級生の女の子をはじめ、優しい登校班のお友達のおかげです。ヘルプマークをつけるか、つけないかとても迷い、悩み・葛藤がありましたが、今のところつけていて良かったと思います。執筆/海乃けだま(監修:新美先生より)お子さんのランドセルにヘルプマークを付けることにした経緯とその反響についてのエピソードを聞かせていただきありがとうございます。ヘルプマークは、援助や配慮を必要とされるすべての方が、「援助や配慮をしてほしい」という意思を示す目印です。対象となる障害や疾患が特に決まっているわけではなく、必要な方は誰でもつけることができます。メリットは、援助や配慮が必要になる場合があるということを明示できることです。例えば、「がんの治療中で体力がない」ということをわざわざ言わないで優先席に座っていても、ヘルプマークがあれば何らかの事情があるのだろうと理解してくれるかもしれません。ヘルプマークの意味を認知している人の中には、困っている様子を見て声をかけてくれることがあるかもしれません。また、緊急事態のために、ヘルプマークの裏面に必要事項をメモしておくことも可能です。緊急連絡先やしてほしい対応などを書いておくこともできます。デメリットもないとは言えません。なんらかの「障害」がある人とみなされて、差別や偏見の目で見られることがないとは、今の世の中で言えません。また、お子さんの場合、ご本人が自発的にというのではなく、保護者が良かれと思ってつける場合、お子さんが物心ついて、ヘルプマークの意味を知った時に、疑問を抱いたり、自分の意志とは無関係につけられていたことに反感を持つかもしれません。周囲の子どもから「なんでこれをつけているの?」と聞かれて、困ってしまうというようなことも起こり得ます。今回は、ヘルプマークをつけることで、理解のある上級生が声をかけてくれるきっかけになったという、あたたかいエピソードをきかせていただきほっこりした気分になりました。ヘルプマークをつけるかどうかは、ご本人の性格・特性や周囲の環境を考えて、メリット・デメリットを検討して、各自に決められたらよいかと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年07月15日心が重たい放課後等デイサービス探しスバルが年長の秋頃、当時通っていた療育先で1番の情報通ママから「放課後等デイサービス探しもう始めてる?」と聞かれました。就学相談や学校見学やサポートブック製作で身も心もいっぱいいっぱいなのに、情報通はもう放課後等デイサービスも探しているのかと焦りました。その人は「放課後等デイサービス探しは意外と楽しいよ」と言っていましたが、私は「楽しい訳あるかい」と思いました。スバルは3歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断され、当時入園する予定で通っていたプレ幼稚園を退園になり、大急ぎで幼稚園を探したことがありました。その記憶とリンクして心が重たくなりました。さらに私の住む地域では放課後等デイサービス契約までの道のりはやたらと長くややこしいものだと分かりました。私の心はますます重くなるのでした。楽しくなってきた放課後等デイサービス探し市のWebサイトに放課後等デイサービスの一覧がありました。想像していたよりたくさんの放課後等デイサービスがあり、地域でしぼったあと、1つずつインターネットで検索しました。その際にWebサイトがなかった放課後等デイサービスは候補から外しました。なんかアナログだから古そう……と思ったのです。いろいろ調べて行くうちに居場所系、療育系、お勉強系、イベント系など施設によって特色があることが分かりました。この時点で少し楽しくなってきていましたが、とある新しい施設のWebサイトが目にとまり、さらにテンションが上がりしました。その放課後等デイサービスでは毎月たくさんのイベントがあり、外部から特別講師が来て教えてくれるというのです。英会話、ダンス、ヨガ、工作、化学、プログラミング、ほかにもいろいろなイベントの日があり、こんなところに通えたら最高だと思いました。スバルと習い事と私スバルが赤ちゃんの頃、スバルの寝顔を見ながら夫とこんな話をしていました。「スバルは大きくなったらどんなことに興味を持つかな」「オレは水泳をさせたいな」「運動系ならダンスや体操もいいね」「剣道や柔道にも憧れる」「今の時代は英語も必要かな」「プログラミング教室も駅前にあったよ」「楽器もいいね」習い事ができる年齢になる頃にはASD(自閉スペクトラム症)と診断されており、集団活動が苦手なこと、先生からの集団への指示が通らないこと、びっくりするくらい不器用なことが分かりました。「先生の指示が聞けないと命に関わるから水泳は無理だね」「不器用だから楽器も厳しいね」「スバルは英語に興味がありそうだけど、集団だとほかの生徒さんに迷惑がかかるから英語教室も難しいかもね」「あれも……」「これも……」と諦めてきました。Upload By 星あかりそんな記憶がブワッっと溢れて、この放課後等デイサービスではあれも選べるこれも選べると感動しました。放課後等デイサービスの中でなら苦手なことにだって挑戦できるし、失敗したって集中できなくだって迷惑だなんて考えなくていいし、未知の分野に触れることもできる……。なんて楽しい場所なんだ!なんなら私が通いたい!と思いました。スバルは新しい場所や新しい体験が好きなのできっと楽しんで通えると思いました。アドレナリンがドバッと出て、その後は面倒な手続きもあっという間にこなしてしまいました。結局こちらのイベントもりもりの放課後等デイサービスと、これといってイベントはないけれど先生の印象がとても良かった放課後等デイサービスの2ヶ所に通うことになりました。いざ通所が始まると……小学校に入学し、学校に慣れ始めた頃に放課後等デイサービスの通所を開始しました。今まで体験した事のないイベントや習い事に目を輝かせて「楽しい!」と言っていたスバルですが、1ヶ月経った頃から行きたがらなくなりました。行くたびに違うことをしなくてはいけない環境に疲れてしまったのです。冷静になって考えるとスバルは新しい場所や新しい体験は好きなのですが、ルーティンが落ち着くという性質もあります。1ヶ月経ち、放課後等デイサービスへの通所がスバルにとって「日常」になったのでルーティンの優先度が上がったのだと思います。私が自分の欲望に目がくらみ、スバルの本質を忘れてしまったために起こったミスマッチでした。Upload By 星あかりその後はスバルが好きなイベントの日をメインに通い、もう1つの放課後等デイサービスとバランスを取りながら楽しく通所していましたが、数ヶ月後人間関係のトラブルで辞める決断をしました。紆余曲折あり、もう1つの放課後等デイサービスも辞め(その話はまたの機会に)現在は穏やかにルーティンをこなしながらエッセンス的に毎日楽しい活動がある放課後等デイサービスに通っています。人間関係も活動内容もスバルにぴったりあっているようで、心の底から楽しんで通っているのが分かります。この放課後等デイサービスはWebサイトがありませんが、先輩ママの紹介で見学に行き決めました。「Webサイトがない放課後等デイサービスはなんか古そう」と避けていた私ですが、WebサイトがなくてもSNSなどを上手に活用して情報を発信している施設がたくさんあることをこの時に学びました。SNSに疎かった私のほうがアナログでした。現在のスバルと習い事幼稚園児の頃と小学校低学年の頃は集団の中で活動しているスバルの姿が想像できなくて諦めていましたが、なんと現在は習い事に通っています。この習い事は、小学3年生になったスバルが「最初の放課後等デイサービスのイベントで体験したあれが習いたい」と言い出して決まりました。この頃には集団の中でも活動に参加できるようになっていたので、体験教室に何度も通い決定しました。楽しかったりつまづいたりしますが、小学5年生になっても自分の意思で習い事を続けています。舞い上がった私が決断した最初の放課後等デイサービスへの通所は、反省の多いものになりましたが、今の習い事につながったことで少しだけ心が軽くなりました。執筆/星あかり(監修:新美先生より)放課後等デイサービスは、活動内容や雰囲気が施設によってかなり異なっています。定員もあり、放課後等デイサービスを探すのは本当に大変ですよね。放課後等デイサービスを利用する目的として、療育的な関わり、学習サポート、家や学校でできない活動を経験する場、安全に過ごせる居場所などさまざまあると思います。学校生活を頑張ったあとにほっと一息、安心して過ごすことを目的とするなら、自由度が高くのびのび過ごせる放課後等デイサービスを選んだほうが良いでしょうし、ふだん家だけではできない活動を発達特性を踏まえてサポートを受けながら経験する場にしたいのであれば、興味ある活動が多い場所が気になりますね。放課後等デイサービスは定員があり、通える地域の制約もあるのでインターネット発信をほとんどしていない施設もけっこうあります。福祉サービスを紹介してくれる窓口は公的機関だと公平性の担保のため、どこがおすすめというようなことは教えてもらえないことも多くて、探すのは本当に大変です。相性の問題も大きいので、少々面倒でもいくつか見学して、ご本人に合った場所を見つけられると良いと思います。スバルくんは、放課後等デイサービスでの活動がきっかけで、やりたい習い事がみつけられたのですね。慣れて安心して通える放課後等デイサービスのイベントだったからこそ、その活動に出合えたといえるのかもしれません。そして、その活動をもっと深めたいと思えて、習い事を始めることができたのですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月14日小さい頃から怖がりだった息子しのくんは発達障害グレーゾーンの男の子。現在6歳で小学校へ通っています。しのくんは昔からとっても怖がり。爪切り、耳掃除、髪の毛をカットするのもすべて怖がります。なので、赤ちゃんの頃から、寝ている間にこっそり素早く済ませるのが習慣になっていました。もちろん「歯磨き」も苦手で、怖がってなかなか口を開けてくれず暴れてしまうので、私はしっかりと仕上げ磨きができないことに悩んでいました。Upload By keiko歯磨きを怖がる息子に、とうとう虫歯が……!そんな怖がりのしのくんに、保育園の年中になって、急に虫歯ができてしまいました!しのくんの抵抗にあいながらも仕上げ磨きはしていたし、保育園の歯科健診ではいつも問題がなかったので、これには私もショックを受けました。お菓子が大好きなしのくん。年中になってできることが増えてきたので行動範囲が広がり、時々、戸棚からお菓子を探し出して勝手に食べていたからかもしれません……。とにかく、虫歯になってしまったからには仕方ありません。小児歯科を探してしのくんを連れて行くことにしました。ところが、何とか歯科医院には連れてきたものの、しのくんは歯医者さんをとっても怖がり、診察台に寝ころぶこともできません。Upload By keikoこのままだと全身麻酔するしかない!?当時5歳だったしのくんはかなり力も強くなっていたので、歯医者さんには「このままだと、全身麻酔で治療できる病院に行ってもらうかも」と言われてしまいました。ですが、全身麻酔の治療となると、入院もしなければならないので、できれば回避したい……!ということで、虫歯の進行止めのお薬を塗って様子を見てもらうことになりました。その様子見の間に、歯医者さんにあるいろんな機械を触らせてもらったり、寝ころぶ練習をしたりして、慣れてから治療に進もう!という計画だったのですが……。直後に虫歯が悪化!治療することにそんな思いも虚しく、歯科医院にいった数日後に、しのくんの虫歯が痛くなってきてしまいました!歯の痛みが強かったので、その歯科医院で急きょ治療することになりました。私はしのくんの上に馬乗りになり、しのくんの腕と足を抑える担当です。しのくんの頭と足は看護師さん達に抑えてもらい、5人がかりで治療が始まりました。あまりの怖さに泣き叫ぶしのくん。緊張が走る治療の最中、歯を削る時に水が出る機械がまさかのタイミングで故障してしまい、現場は一時的に大パニック!ここまできて治療を中断するわけにはいかないので、凄まじい緊張感の中、先生が手早くなんとか治療を完了してくれました。Upload By keiko現場は水浸しになり、私はしのくんにひっかかれて流血……。しのくんは泣きすぎて目の周りが点状出血してしまいました。Upload By keikoこんな怖い思いをしたら、もう二度と歯医者に行ってくれないのでは?と心配していましたが、小学生になった現在は、嫌がりながらも病院にはちゃんと行ってくれています。嫌だけれど行かなければいけないと分かってきたのかな?と成長を感じています。執筆/keiko(監修:鈴木先生より)ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんは初めてのことが怖い傾向があります。動画があればあらかじめ見せて予習してから行く方法もあります。しかし、今回のような歯科治療や予防接種などはあらかじめ見せても余計に怖がるかもしれません。私の外来でもASD(自閉スペクトラム症)のお子さんの予防接種は、激しく暴れる場合には安全性を優先して、お子さんには壁に向かって立ってもらい、親御さんとスタッフで動かないようにサポートしてもらいながらやることもあります。このように多少強引にではあっても、予防接種ができた時には褒めます。ただ、それ以上のことはしないと分かれば、だんだんと分かってくれるものです。そして、ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんの怖がりの裏には感覚過敏がある場合が多いのです。そのため、爪切りや耳掃除、髪の毛カットも嫌います。できるだけ早いうちから慣れさせて習慣づけてしまえばお互いに楽なので、少しずつスモールステップで慣れるようにしていくといいでしょう。もしできなくても叱らず、できたらたくさん褒めてあげるといいですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月13日医療機関での相談と連携お子さまの発達が気になるとき、医療機関を受診する場合もあるでしょう。受診では、お子さまの様子を実際に診察するほか、保護者の方への問診が行われます。特に、それまでの生育歴や様子、気になっていることなどの保護者の方からの情報が重視されます。必要に応じて検査や診断を行う場合もあります。発達が気になる場合の専門科としては、発達外来や児童精神科、小児神経科などがあります。Webサイトなどで診療科を確認したり、発達障害の診断や診察ができる専門医が在籍している医療機関を調べたりしてみましょう。かかりつけの小児科や、相談機関から紹介を受けて受診するケースもあります。もし、自分で専門の医療機関を見つけることが難しい場合や、受診すべきか迷う場合などには、地域の子育て支援センターや発達支援センター、保健センターなどの相談機関や、かかりつけの小児科などで受診について相談するといいでしょう。紹介状をもらえることもあります。発達障害診療医師名簿(一般社団法人日本小児神経学会)事前に具体的な困りごとを整理しておくと、問診がスムーズに進みます。その方法の一つとして、LITALICO発達特性検査があります。オンラインで受検できる検査サービスのため、自宅など好きな場所で利用でき、受検後すぐに検査結果レポートをWebブラウザで閲覧できるほか、PDF形式でダウンロードできます。お子さまの困っていることや特性の傾向や強さのほか、その困りや特性の背景にどのようなことがあるか、またどう対応すればいいかのサポートの方向性が表示されます。検査結果のデータやPDFをプリントすることで、医療機関での相談・共有のためのツールとしてお役立てください。検査について知りたい方はこちらをご覧ください。連携と情報提供のポイント問診では、まずは家庭での様子や保護者の方やお子さまが感じている困りごとや課題を具体的に共有します。どのくらい困っているかなどは、主観的な内容でもあり、なかなか説明するのが難しい部分です。LITALICO発達特性検査を受検している場合は、その結果を持参し、検査結果のグラフなどを見せながら説明すると、より伝わりやすくなります。注意点としては、LITALICO発達特性検査は保護者の方の視点で測定されるということです。保護者として感じている不安や困りごとは重要な情報となりますが、医療機関では、そのほかの情報も含め、診断基準を満たしているかなどを慎重に判断します。そのため、医師の見立てが保護者の方の見立てと異なることもあります。環境によって特性や困りごとの現れ方が変わっている可能性もあり、見立てが異なること自体も重要な情報になります。専門家の見立てや場面による行動の違いを知る機会と考えて、相談を進めるとお子さまの理解が深まるかもしれません。検査結果のほかにもフラットな情報収集を意識するといいでしょう。問診では、出産時の状況やその後の病歴、歩き始めた時期や言葉の発達の様子など、生育歴についても聞かれることがあります。また1歳半健診や3歳児健診時の様子やそこで言われたことなどが確認されるケースもあるので、母子健康手帳なども準備しておくとよいでしょう。LITALICO発達特性検査を複数回受検している場合には、過去の結果も持参すると、困りごとの現れ方の変化の情報にもなります。また、授業についていけなくなった、学校に行くのを嫌がるようになったなど、新しい困りごとが出てきたり、お子さまの様子が変わってきたことをきっかけに受診する場合にも、情報を整理しておくと問診がスムーズになります。変化によって不安が強まりやすい特性があるお子さまの場合、また、困りごとの生じにくい環境や方法がある場合などには、本人に合った環境で一貫した対応が必要なことがあります。そこで、保護者だけでなく、周囲で関わる人が情報の共有をし、理解をしたうえで同じような接し方をすることが大切です。特に、医療機関では、治療方針や診断をよりきめ細やかにするために、実際に家庭や園・学校で試してみた対応方法などの結果といった情報の共有が必要になることがあります。また対応方法や環境調整についても、医学的な見地からのアドバイスを得られるチャンスとなります。具体的な支援方法や、家庭で試してみてもうまくいかなかったことなどについて、レポートの結果をもとに話すことで、限られた診察時間の中で、より具体的で専門的な相談ができるかもしれません。予約や診断まで時間がある場合にできること医療機関や状況によっては、予約がとりにくいなどで初診までに時間がかかることもあります。また、子どもの発達障害の診断には、さまざまな検査や経過をみる必要があるため、ある程度の期間がかかる傾向があります。また、一度受診したあと、再診までに期間があくこともあるでしょう。その間にできることをいくつかご紹介します。受診時にその場で考えると意外と焦ってうまく伝えられないことや、思い出せないこともあります。事前に以下のような情報を集め、まとめておくといいでしょう。・困っていることやお子さまの気になる様子・様子がいつ頃から続いているか、変化した時期はいつか・いつ、どのような状況で困りごとが起きるか、家庭で試してみた対応方法などの様子・園や学校での様子や、相談機関などに相談した際の内容など、外部からの情報など家庭で保護者の方が観察したり、これまでを振り返ったりすると、時間がかかって負担が大きいと感じるかもしれません。LITALICO発達特性検査の検査結果の情報を切り取ったり、マーカーや付箋、メモなどをつけて活用するといいでしょう。どのような観点で気になっているかが分からないときには、ヒントとしてLITALICO発達特性検査の検査結果を活用することもできます。検査結果で困りが強く出ているところや、特性などで当てはまると感じた部分に注目してみましょう。事前に相談機関や園・学校で情報収集する際の連携ツールとしても、検査結果を活用できます。問診の時間が限られていることもあるので、相談したいことが複数ある場合は、事前に相談したいことに優先順位をつけておくことをおすすめします。検査結果を持参する際には、特に相談したい点にマーカーや付箋をつけておいたり、自分でメモをつくる際には箇条書きなどにしたり、簡潔にまとめておくといいでしょう。さらに時間がある場合、検査結果で表示されたお子さまに合いそうなサポートの中からいくつか試してみて、その結果がどうだったかメモしておくのもおすすめです。それらを医療機関で伝えることで、お子さまの特性についてより把握しやすくなることもあります。今後の方針や、より具体的な配慮について相談するきっかけにもなります。再診時のポイント再診時には、前回の受診時との変化や、直近の様子などを中心に聞かれることが多くあります。お子さまの様子や、治療や発達支援などを受けた様子、家庭や学校で試したみた方法などについてまとめておくといいでしょう。特に、前回の受診から数年経っているときなど、間が長くあいた場合には、困りごとの内容や強さが変わっているかどうかが情報として役立ちます。検査結果と以前の様子で変化があるところや、気になるところをまとめておくといいでしょう。まとめお子さまに合った対応をすることで困りごとが軽減する場合、発達が気になる場合でも、必ずしも受診や診断が必要であるとは限りません。ですが、困りごとが強く、長く続いている場合などには、医療機関に相談し、より専門的な支援を検討することが重要です。また、医療機関の受診や診断がなくても、受けられる支援もありますが、福祉的な支援や園・学校での配慮を受ける際に、医療的な見解を求められる場合もあります。医療機関と連携し、信頼関係をつくることで、お子さまと保護者の方にとって心強いサポートになるともいえます。医療機関への相談で重要なのが、保護者の方からの情報をスムーズに伝えることです。受診の限られた時間の中で情報の共有やより具体的な相談をするためにも、事前に情報をまとめておく、優先順位をつけておくといった工夫がポイントとなります。そのような際に、ぜひLITALICO発達特性検査を連携のためのツールとしてご活用ください。
2024年07月12日重度知的障害(知的発達症)息子のレスパイト、ショートステイの経験をご紹介します4歳で知的障害(知的発達症)と診断された現在33歳の息子の母です。現在息子の知的障害(知的発達症)は重度判定で、グループホームで生活しています。息子は、真面目で、かつマイペース。今はすっかり大きくなりましたが、小さい頃はできないことも多く、悩んだこともありました。ですが、嘆くより「どうしたらできるようになるか」「こんなことができるんだ」と思うようにし、息子と一緒に成長してきました。わが家では、中学生でレスパイトを初めて利用し、20歳でショートステイに登録、その後グループホームへ入所しました。この経験をご紹介します。※レスパイトケア:日頃ケアを行っている保護者に息抜きを提供するため、代理の介護者が一時的にケアを行うこと※ショートステイ:家庭において養育を受けることが一時的に困難となった児童について、児童養護施設などに入所させ、必要な保護を行うこと参考:レスパイトケア|MSDマニュアル参考:在宅の子ども・子育て家庭支援事業の概要|厚生労働省レスパイトの想定外のメリットは「送迎」でした子どもが特別支援学校の中学部に進学した頃から、レスパイトを利用し始めました。利用前にはたくさんの書類を書く必要があったため大変でしたが、登録してよかったです。もちろん自分の時間が持てるというのはありました。ですが、想定していなかったメリットは「送迎」。わが家が登録したレスパイト先は送迎も利用できたので、保護者が送迎しなければ行けない場面で、レスパイト先の送迎に頼ることができました。例えば、息子の学校では、夏休みにプール活動がありました。スクールバスがある登校日は良いのですが、ない時は保護者が送迎する必要があります。私に用事があって送れないときは、レスパイトの送迎で学校まで送っていただきました。この送迎には高等部でも助けられ、部活の迎えなどでも利用していました。子どもの送迎というものは、送迎時間自体が短いものだとしても、丸1日仕事を入れることも難しくなるし、予定も立てづらいですよね。これを解決してくれるレスパイトの送迎には本当に助けられました。Upload By ユーザー体験談「お守り」になったショートスティショートステイには20歳の頃に登録しました。その頃、同居している義父が入院することになりました。身の回りの世話や、突発的に病院へ行くこともあるかもしれないと思い、1人で留守番ができない息子の預け先を確保しようと思ってのことです。幸いにも1人で留守番をする場面はなかったのですが、「もしものとき」を考えるともっと早くから登録しておけばよかったと思いました。この時登録したことで、もしなにかあっても預け先があるという「お守り」として、私の安心材料になりました。Upload By ユーザー体験談特別支援学校高等部卒業後、就労継続支援B型へ。グループホームを将来の居場所として息子は特別支援学校高等部を卒業後、就労継続支援B型に通所しはじめました。月曜から金曜まで通所し、土日は休みです。その施設はグループホームも運営しているため、将来の居場所としても意識していました。息子ははじめ自宅から作業所へ通っていましたが、20歳を過ぎた頃から少しずつショートステイを始めて「ホームで過ごす日」を増やしていきました。※就労継続支援B型:障害や年齢、体力などの理由から一般企業に雇用されることが難しく、雇用契約に基づく就労が困難である方に対して、就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供を行う障害福祉サービス参考:障害者の就労支援対策の状況|厚生労働省Upload By ユーザー体験談週に1回から増やしていき、やがて帰宅が毎週末になって慣れた頃、コロナ禍になりました。グループホームで新型コロナウイルスの感染が広がってしまい、息子は一時期帰宅ができなくなりました。この長期滞在をきっかけに、その後は月2回の帰宅が定着しました。今ではすっかりグループホームが息子の居場所になっています。Upload By ユーザー体験談とにかく「見学」と「質問」で子どもの居場所を探すレスパイト、ショートステイについてはとにかく見学し、聞きたいことは遠慮なく聞くことが大事だと感じました。いきなり泊まるのが心配なら、日帰りできるかを聞いておくのも良いと思います。現在の息子は、グループホームで穏やかに生活しています。特別支援学校卒業後に入った就労継続支援B型での仕事も続いています。老後は、同じ施設が老人ホームを運営しているので、そこに入れたら……と親なきあとをイメージしています。イラスト/海乃けだまエピソード参考/RINRIN(監修:井上先生)青年期のお子さんが学校に通うためにアパートに下宿したり、一人で生活する体験をすることはよくあると思いますが、障害のあるお子さんも親から離れて生活する機会が選択肢としてあることは大事だと思います。それぞれのご家庭の事情でショートステイのニーズは異なると思いますが、このコラムのご家庭のようにグループホームへのステップとして体験されるのも良いと思います。親御さんとして、最初は心配なことも沢山あるとは思いますが、ショートステイでのさまざまな体験がお子さんにとって貴重な経験になっていくと思います。しかしながら地域によってはショートステイの枠が不足しているという現状もあります。その場合、それぞれの地域の自立支援協議会などで行政のほうにも働きかけていくことも大事だと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年07月12日