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ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)のある高校3年生の息子の小学校時代現在高校3年生の息子は、6歳でASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)の診断を受けています。息子は、小学校入学時から自閉症・情緒障害特別支援学級に在籍し、学年や科目によって通常学級にも通うスタイルで、学校生活を送っています。通った地域の小学校は、通級指導教室の受け入れを行うなど支援が手厚い学校でした。この環境があったからこそ、息子は自分のペースで学び、成長することができたと思っています。小学校4年生の時に引越ししましたが、転校はせずにそのまま学区外通学を選択しました。私は毎日車で送迎、大変でしたが、「ここに通わせて良かった」と思えるほど学校の支援体制や先生方の理解が深かったのです。そして小学校6年生になり、中学への進路を考える時期になりました。私の住んでいる地域では小・中連携の取り組みが積極的に行われていたため、中学進学を見据えた事前見学や面談が多く、学校側からのフォローが非常に手厚かったです。こちらでは、中学校進学への準備や学校生活など、わが家の体験をお話したいと思います。苦手な板書や書き取りはほぼ免除、デジタル教材の活用。「困ったらすぐ相談しましょう」といってくれた中学校中学進学を控え、地域の中学校で行われた事前の見学や面談では、校長先生自らが対応してくださいました。これを聞けて助かったと感じたのは、授業や部活動、試験に関する具体的な話でした。例えば、教科ごとに先生が変わること、定期試験があること、体育などで着替えがあった場合の男女の分け方など、細かな点もすべて丁寧に説明していただき、息子も私たち家族も安心して新しい環境に入ることができたと思います。また息子は療育手帳が取得できなかったため、将来は高等特別支援学校に進むことが難しく、高校では一般入試を受ける必要がありました。そこに向けた相談もできたのは大きかったです。校長先生から「やってみて、もし困ったらすぐ相談してください。息子さんの過ごしやすいように変えていきましょう」と言っていただけたため、入学後も相談しやすい環境を作ってくださったと思っています。Upload By ユーザー体験談中学校生活では連絡帳を活用し、授業の受け方や席の配置、クラスの中でのトラブル対策など、状況に応じて調整が行われました。学習面でもIT化が進んでおり、苦手な板書や書き取りはほぼ免除され、デジタル教材を活用したことで理解度は高まったと思います。Upload By ユーザー体験談ただし、試験中、集中力が持続しないという面は解決できず、成績には課題が残りましたが、担任の先生が席の向きやタイマーの位置など工夫を凝らしてくださり、助けられました。また、勉強に自信がついてきた息子は数学検定に挑戦、無事合格をもらい喜んでいる姿を見て、私も嬉しかったです。このように順調だった中学校生活ですが、一つ大変だったなと思うことは電車通学のことでした。中学校で電車通学を開始。トラブルと自信の芽生え中学進学に伴い、息子は電車通学を始めました。事前に駅でのリハーサルを何度も行い、駅員さんに挨拶をして困ったときの対処をお願いするなど、私も念入りに準備を重ねました。Upload By ユーザー体験談電車通学は、単に学校への移動手段にとどまらず、息子にとって大きな成長の機会となりました。乗り遅れや忘れ物などのトラブルが起こった時、パニックにならず駅員さんに聞くなどして冷静に対処することができるようになり、息子は少しずつ自信をつけることができました。また、電車という他人と同じ空間を共有する場に一人でいるという経験を積むことで、少しずつ「他人を意識する」という感覚が育まれたようです。この変化は、家庭ではなかなか得られないものでした。Upload By ユーザー体験談やはり親としては一人で電車移動する子どものことは心配でしたが、チャレンジしてよかったと思っています。高校生活の終わりも間近。「自立」に向けた1歩を前にして現在、息子は定時制高校の3年生です。精神障害者保健福祉手帳を取得したので、卒業後は就労移行支援を経て社会に出ていく準備を進める予定です。生活面ではグループホームの利用を考えていて、少しずつ自立に向けたステップを踏み始めています。息子がここまで成長できたのは、周囲の支援のおかげだと思っています。感謝しかありません。小さい頃から比べるとできることも増え、大きく成長した息子ですが、それでも息子が周囲の人に興味を持ち始めたのはつい最近のことです。これからの課題は多いと思いますが、本人のペースで少しずつ「自立」に向けた歩みを進めていければと思います。イラスト/ネコ山エピソード参考/まつ(監修:鈴木先生より)小学校でも中学校でも社会性を身につけることは大事であり、誰に相談したらいいかが決まっていれば安心です。最近は小中連携した一貫校スタイルが公立でも見受けられるようになってきました。小学校での問題点などがそのまま同じ中学校へ引き継がれるため環境の変化に弱いASDの患者さんにはいいことなのです。また、6歳からADHDの治療はできるので、集中できないこと、忘れ物があること、時間処理の問題などは投薬である程度コントロールが可能です。ただ、高校生になると小児科では診てくれなくなり、精神科でもADHD治療のできるクリニックは限られてしまいます。今後は高校卒業後の就労支援がどの程度できるかで将来像が変わってきます。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年12月15日ヘルプマークはどこで手に入れるの?つけることでどんなメリットやデメリットがある?ヘルプマークは、外見からは分からなくても援助や配慮を必要とする人たちが、周囲の方に知らせることができるマークです。私はSNSで障害のあるお子さんたちがヘルプマークをつけている写真を見かけ、知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)のPにもつけたい!と思っていたのですが、つけることでどんなメリット・デメリットがあるのか?など、悩みながら模索していた時期がありました。まずはヘルプマークを手に入れるため、市役所の障害福祉課へ行きました。当時、Pは発達支援施設に通うためにすでに受給者証を取得していて、療育手帳も申請中だったので、そのことを説明すると問題なくいただくことができました(入手方法は地域、自治体によります)。Pはまだ幼いので一人で外出することはありませんし、何か具体的な配慮が必要でそれを周りに求めたいわけでもありませんでしたが、ヘルプマークを手に入れてホッとしたのを覚えています。Upload By みん知的障害(知的発達症)のあるわが子にヘルプマークが必要な理由私がPにヘルプマークをつけたいと思った1番の理由は、万が一Pが迷子になったときのことを考えたからです。メッセージ性のない普通の迷子札をつけているよりも、「ヘルプマークをつけている子どもが一人で歩いている」というほうが、周りの人たちが気づきやすく、緊急性を感じてもらえると思ったのです。また、ヘルプマークの裏面を見れば、P自身のことや連絡先なども知ってもらえるので、保護してくれた方がPへの対応に戸惑わなくて済むのではないか?とも考えました。定型発達の子であれば迷子になったときに、大声で親を呼んだり、ほかの大人に自分の名前やどこから来たのかなどを話すことができたり、大人しくその場で待つことができたりするのかもしれません。でも障害のあるPにはそれらの行動が難しいと想像できるので、だからこそヘルプマークが必要だと感じました。Upload By みんヘルプマークをどのようにつけ、周囲にどうやって必要な配慮を知らせる?また、その他の理由としては外出先でPが奇声を発したり、床に寝転んだりなど、不適切な行動を取ってしまったときに、ヘルプマークをつけていたほうがPの行動に対しても理解へとつながる場合があると考えたからです。ヘルプマークをつけているPの姿を見て「ヘルプマークをつけているということは、何か困り事がある子なのかもしれない」と周りの人たちに察してもらえるかもしれないと思いました。とはいえ、どこにどうやってヘルプマークをつければ良いのか?も悩みました。幼い頃は特定の鞄をいつも持って出かけているわけではないので鞄にはつけられないし、安全ピンで服につけると、無理やりはずそうとするので危険でしたし、つけるときもじっとしていないのでいつも苦戦していました。悩んだ結果、名札クリップを購入してヘルプマークを背中につけてみることにしました。するとすぐにサッとつけることができ、背中なのでヘルプマークをつけている状態に違和感がなかったのか?素直につけさせてもらえるようになりました。ヘルプマークがつけられるようになったのは良かったのですが、人によってはヘルプマークの裏面に説明書きがあることを知らない場合もありますし、ヘルプマークだけではわが子が何に困り、どんな支援や配慮が必要か?が伝わりにくいと思ったので、ヘルプマークの表面にも見えるように補助的な意味で説明事項を書き、気づいてもらいやすいようにしています。Upload By みんPは小学3年生になった今も、お出かけの時はヘルプマークをつけています。幼い頃ほどの問題行動は減りましたが、もし迷子になったときに3年生くらいの子どもであれば、一人で歩いていても迷子だと気づいてもらいにくいかもしれません。これからPが成長するほどヘルプマークは必要で、大切だと感じています。これからもヘルプマークを正しく使いながらお出かけし、そしてヘルプマークの周知が少しでも増えることを願っています。執筆/みん(監修:鈴木先生より)世間ではヘルプマークを付けていても気づいてくれない人が未だに多く見かけられます。シルバーシートで席を譲らない若い人たちもよく見かける光景です。学校教育でしっかりと教える機会がないと、こうしたことは改善しないのではないかと思っています。また、ヘルプマークを発行している自治体がポスターなどでもっと啓蒙する必要もあります。社会の意識を変えるには各自治体の努力が必要なのです。願わくば、ヘルプマークがなくても周りの皆が気遣ってくれるような世の中になればいいなと思う次第です。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年12月14日小学校への就学先どこにした?皆さんのアンケート結果と、寄せられたコメントは?発達ナビでは、2024年10月、会員の皆さまに、発達が気になるお子さんの就学先についてアンケートを行いました。Upload By ユーザー体験談通常学級を選んだ/選ぶ予定…27%通常学級+通級指導教室を選んだ/選ぶ予定…18%知的障害特別支援学級を選んだ/選ぶ予定…20%自閉症・情緒特別支援学級を選んだ/選ぶ予定…25%特別支援学校を選んだ/選ぶ予定…10%小学校での進路について、最も多かったのは「通常学級を選んだ/選ぶ予定」の27%で、次いで「自閉症・情緒特別支援学級」が25%、「知的障害特別支援学級」が20%と続きました。そして、「通常学級+通級指導教室」が18%、「特別支援学校」が10%となっています。皆さんわが子にはどこがあっているか、悩まれて慎重に選んでいる様子が伺われます。アンケートに寄せられたコメントはこちら。Upload By ユーザー体験談進学する小学校には情緒学級はなかったし、就学時検診でも特に何も言われなかった(こども園には発達障害は伝えていました)ので、とりあえず通常学級を選びましたが、1学期後半から問題行動が増えてきて息子も私も大変な思いをしました。2年生に進学し、情緒学級の新設を学校にお願いし、3年生から情緒学級に在籍することになりました。もっと積極的に小学校に発達障害の事を伝えておけばよかったと思いました。言葉の発達が遅いことは保育園でも言われていたのですが「みんなこんなものかな」と特に相談に行くこともなく通常学級へ入学しました。結果、文字が読めず、発言もできずクラスメイトに悪意なくバカにされ自己肯定感がどんどん下がり毎日学校を嫌がり泣いて過ごしていました。知的判定を重視し、支援学校で障害者として生きるための術(自立)を身につけるか。現在の姿を重視し、集団生活の中で社会性を伸ばすか。ギリギリまで悩みに悩み「今、子どもが必要としていること」を重視し、支援学級に行かせることを決めました。現在小学二年生。入学直後からすぐに学校生活に順応し、さまざまな刺激や困難に揉まれながらも大好きな先生や友だちと充実した毎日を送っています。皆さん「ああすればよかった」「いい選択ができた」などさまざまです。その他の回答についてはこちらからご覧いただけます。【小学校への就学先アンケート】通常学級、特別支援学級、特別支援学校どこにした?希望は通った?みなさんの経験を教えてください!次に、アンケートに寄せられた体験談の中から、小学校入学や中学校進学についてのエピソードについてご紹介します。小学校では知的障害特別支援学級を、中学校では「学区の知的障害特別支援学級」「国立大学附属の特別支援学校」「国立大学附属小中学校の知的障害特別支援学級」で迷われたというあきっちさん。どのようにして決めたのか、また進学後のご様子についても教えていただきました。ぜひご覧ください。【読者体験談】年長でほぼ月1ペースで小学校を見学、特別支援学級に決めたわが家わが家の息子は現在小学校6年生。3歳児健診での指摘をきっかけに療育へ通いだし、6歳の時に軽度知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けています。学区の小学校は幸いにも特別支援に力を入れていて、年長の時はほぼ月1ペースで小学校の行事に参加、小学生になった息子が安心して楽しんで過ごせる場所はどこか模索し続けました。通常学級、特別支援学級(この小学校にあるのは知的障害特別支援学級のみでした)ともに見学しましたが、息子がよりリラックスして楽しんでいられた特別支援学級を選びました。楽しい6年間、保護者参加型の授業、交流級、息子の成長、そして少しの後悔特別支援学級での6年間、息子は行き渋るどころか、毎日学校に行くのを楽しみにしています。特別支援教育に理解が深いこともあり、通常学級の児童たちにも特別支援学級のことを知る機会を持たせてくださるので、みんなに受け入れられて楽しく過ごせているようです。感謝の気持ちでいっぱいです。特別支援学級の授業参観には保護者参加型の授業が多くあるのですが、そこでみんなでポテトサラダを作りました。息子は調理の過程を楽しんで、できあがったサラダを食べて嬉しそうな笑顔。また外国語の授業では、タブレットを使用して外国語のポスター作りにも取り組んでいました。息子はエコラリアが英語というくらい英語が大好きなので、とても楽しかったそうです。交流級では理科と体育がメインで、家庭科の調理実習なども一緒に行っています。理科の実験は大好きなようで、積極的に取り組んでいるようです。6年生になってから、「『みんなと一緒に頑張る』という意識が強く感じられるようになってきた」と特別支援学級の担任の先生から教えてもらいました。Upload By ユーザー体験談担任の先生方も温かく支えてくださいました。3年生から4年生の間は少し控えめ先生が担任でしたが、息子はこの先生をとても慕い、離任式では先生にハグして別れを惜しんでいました。5年生以降は最初から一緒だった担任の先生が再び担任となり、息子との絆をさらに深めているように思います。一つ後悔があるとすれば、交流級での英語の授業のことです。4年生に進級する際、交流級で英語受けられないかと先生と相談したのですが、コミュニケーション力が問われるので、そこでつまずいて大好きな英語に苦手意識を持ってしまうともったいない……と言われ、それももっともだなと思ったのです。ただ先日、学校で保護者向けの英語の授業の体験会のようなものがあり参加したのですが、これならもしかしたらついていけてたかも……と思いました。あの時見学していればよかったと少しですが後悔しています。そしてあっという間に6年生になり、中学への進路を考える時期になりました。先生と相談し、見学に行ったのはこちらの3校です。・学区の知的障害特別支援学級・国立大学附属の特別支援学校・国立大学附属小中学校の知的障害特別支援学級それぞれの感想を紹介します。Upload By ユーザー体験談学区の知的障害特別支援学級への見学は、私だけで行きました(息子は小学校中学校合同行事として、特別支援学級の交流会や学校見学があります)。そちらは今の小学校と同じく複数担任制、習熟度に合わせて2グループに分けて、各々の先生が授業をされていました。保育園からのお友だちや元クラスメートもいていろんな面で安心できるなと思いました。なにより家からも徒歩数分で通いやすい立地であるのも魅力的でした。国立大学附属の特別支援学校は、自然豊かで設備なども充実しており、息子も少し興味をもったようでした。ただ、やはり授業は実技が多く、国語や数学といった授業が少ないのと、受けるなら第一志望にすることが条件だったので、勉強が好きな息子には少し物足りないかもというのと、単純に発達検査や知能検査の結果の数値的にはじかれるかもしれないなと思いました。国立大学附属の小中学校知的障害特別支援学級は、1クラス6人と決まっており、個人タブレットも駆使して授業を行っていました。その時の授業は国語でローマ字の読み方でしたが、息子はパソコンでローマ字入力をスムーズに行える程度には理解しているため授業内容が息子には物足りないかな……と思いました。またガイダンスで「進学先は附属もしくは県内の特別支援学校高等部です。全日制や定時制などに進学するための(いわゆる受験を目的とした)カリキュラムではないので、そちら方面への進学を考えておられるようならば、当校の受験は考えていただいたほうがいいです」というお話があったので、息子には合わないかな……と思いました。わが家が選んだ進路と決め手わが家が選んだのは、学区の中学校の知的障害特別支援学級でした。決め手は主に以下の4つでした。1、小学校の環境と大きく変わらない雰囲気での授業だったこと2、私の友人のお子さんが通常学級にいること3、家から近いこと4、知的障害特別支援学級の担任の先生とお話させていただい時、交流授業や内申点のことも逐一相談に乗りますと言っていただけたこと息子も納得の選択で、もうすぐ卒業することへのさみしさを感じながらも、進学を楽しみにしているようです。Upload By ユーザー体験談昔はランドセルに背負われてるんじゃないかと思うほど小さかったのに、今となっては母親の私の身長に追いつくほど成長した息子。これからの中学校生活がどういうものになるのかまだ想像もつきませんが、人見知りも場所見知りもあまりない子なので、きっと何とかなるのだろうとわりと楽観的な気持ちでいます。また少し、親の手から離れていくのかな、と少し寂しい気もしなくもないですが、ここまで息子なりに頼もしく成長しているので喜ばしいことですね。いろいろつまずくことも出てくるかと思いますが、母子二人三脚で乗り越えていきたいと思います。Upload By ユーザー体験談エピソード提供/あきっち通常学級、特別支援学級、特別支援学校――小学校への就学先を決断すること就学先を選ぶことは、家族にとって大きな決断です。選択肢が複数ある中、どの道が子どもにとって最善かを悩むのは当然のこと。「特別支援学級を選んでよかった」と安心する方もいれば、選択後も「これで本当に正しかったのか」と考え続けることもあるでしょう。ですが、たとえ選択に迷いや後悔が残ったとしても、その時「最善だ」と思う道をその都度選び直すこともできます。進学後も、学校と連携をとりながら子どもの成長を見守る日々が続きます。これからもその時その時のお子さまに向き合いながら、成長をサポートしていきたいですね。(監修:新美先生より)小学校就学時から、6年間特別支援学級での日々、さらに中学校進学への準備と選択について、たくさんのエピソードを聞かせていただきありがとうございます。小学校進学時も、中学進学時も、選択肢になりうる場に、できるだけ見学や体験をしたうえで、しっくり合いそうな場所を見つけるのがいいですよね。息子さんは、年長で月1回ペースで小学校の見学に行ったのはすごいですね。これだけ見学を重ねると、場にも慣れて入学時もスムーズにいきそうです。これだけの回数見学に行けるというのはめったにないことかもしれませんが、ぜひ読者の方々も参考にしていただけたらと思います。小学校は充実して過ごすことができて、さらに中学校進学の進路選択ですね。中学の進学は、卒業後の進路もある程度見据えて検討する必要があります。とは言え、3年間の日々の充実の先に本人に適した進路が見えてくるので、卒業後の進学先を決めてしまって中学の生活の場を選ぶのは本末転倒になることには注意が必要です。息子さんの場合は、いくつかの選択肢から、小学校での生活をふまえてご本人が充実して過ごせそうなところを選べたようですね。ご本人が納得して進学できたことがなによりですね。たくさんの選択肢から吟味される過程が、皆さんの参考になったと思います。ありがとうございました。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年12月13日不登校の中学生、高校受験はどうする?中学生のわが子が不登校だという場合、高校受験について「高校に入学したら毎日通えるのか」「勉強は間に合うのか」「学校に行きたがらない子どもが行きたい学校は見つかるのか」など、ご家庭によってさまざまなお悩みがあるのではないでしょうか。発達ナビのQ&Aコーナーでも、以下のような声が寄せられています。中学校を不登校だったが、途中から登校できるようになった人いますか?高校はどのようなところ(全日制普通科・定時制・通信制等)に行けましたか?今回はそのような中学校で不登校のときの高校受験について、鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生にお伺いしました。学校に行きたくない中学生。通学や進学はどうすればいい?A:本人の好きなことや関心があることから、本人にとっての「通う目的」を一緒に探していくことも大事です。「学校に行く意味が分からない」「なんで勉強しなきゃいけないの?」とお話するお子さんには、“学校に行くことが、自分の人生にとってどんな価値があるのか分からない”という思いもあるかもしれませんね。そうすると、大人から「義務教育だから行くものだよ」などと言われても、なかなか納得できないこともあるでしょう。登校渋りのある子どもたちの中には、自分にとっての目的が明確になると、学校に行くモチベーションに大きくつながることもあります。大人でも、大きな目的があるほうが、目の前の課題に立ち向かいやすい部分もありますよね。例えば、以前フィギュアを集めることが大好きなお子さんがいました。そのお子さんは、お小遣いを使って次々にフィギュアを集めようとしますが、お小遣いには限りがありますよね。そこでフィギュアを集めるだけでなく、そのフィギュアを写真に撮ってみることにしました。お子さんは大人と一緒に、フィギュアをカッコよく撮影するためのシーンを作って、照明を工夫したり背景を設定したりして、まるで映画のワンシーンのように撮影する楽しさを体験しました。そのうちに「写真部のある高校に行きたい」という気持ちが湧いてきて、高校の受験や通学につながったという例もあります。「写真部に入りたい」という目的ができたことで、本人にとっての「学校に通う意味」が見えてきたのかもしれません。このように本人の好きなことや関心があることから、本人にとっての「通う目的」を一緒に探していくことも大事になるかもしれません。Upload By 発達障害のキホン中学で不登校。高校は全日制に行けるの?A:不登校のお子さんの進路選びで大切なことが2つあります。それは「実際に学校を見てみる」ことと「複数の選択肢を用意しておく」ことです。中学校でほとんど登校していなかったお子さんが、高校入学後に毎日通えるのだろうかというご心配もあるかと思います。高校入学という大きな環境の変化を機に、毎日通えるようになったお子さんもおられます。しかし実際に入学してみないと分からない部分はあり、入学後も登校が難しい可能性は考慮しておいたほうがいいでしょう。ご相談いただいたように、お子さん本人が行きたい高校と、保護者の思いが食い違うこともありますよね。こういった場合、お子さんを説得して保護者が勧める高校を受験することもできるかもしれませんが、やはり本人の気持ちや納得が大切です。「本当は違う高校を受けたかった」「受験すれば受かったかもしれないのに」という気持ちがいつまでも残ってしまうかもしれません。進路選びのポイントの一つは、オープンスクールや学校説明会に行ってみることです。オープンスクールは、授業の様子や生徒たちの活動、校舎や施設などを、お子さんが直接見ることができます。学校の雰囲気や特色、通学方法や通学時間などが、自分に合うものか、通い続けることができそうかをお子さま自身が改めて考えるきっかけにもなるでしょう。もう一つのポイントとしては、複数の選択肢を想定しておくなど、うまくいかなかったときに軌道修正をする心づもりをしておくことです。誰であっても受験の第一志望が叶わないこともありますし、合格したけれど通い続けられないこともあるかもしれません。そんなときに、より本人に合う環境に切り替えていくことは大切です。お子さんも保護者も1つの道だけに固執してしまうと苦しくなってしまうこともあるでしょう。うまくいかなかったときの別プランを想定しておくことも、保護者の心構えの1つと言えるかもしれません。Upload By 発達障害のキホンまとめ:不登校の子の高校受験、焦らないために子どもの考えや志望校について、人生経験のある大人の視点では、さまざまな懸念が生じることもあるかもしれません。しかし、お子さんの考えを初めから否定してしまうと、お子さんとしては納得できずにネガティブな気持ちを抱え続けたり、受験や登校へのモチベーションを持ちにくくなったりすることもあります。保護者としての懸念点については、お子さんに具体的な学校の情報を伝えながら、本人の考えや希望とすり合わせていくことも大切です。複数の選択肢の情報を集めていくことで、保護者としての焦りも和らぐかもしれません。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年12月12日コクヨ、インクルーシブデザインのプロセス「HOWS DESIGN」が「サステナブル★セレクション2024」三つ星受賞Upload By 発達ナビニュースコクヨ株式会社が取り組んでいる、インクルーシブデザインのプロセス「HOWS DESIGN」。特例子会社・コクヨKハートのメンバーや社外の多様な人々の意見を取り入れて商品やサービスの企画・開発を進めることで、障害の有無にかかわらず、すべての人にとっての使いやすさを追求し、バリアを減らして誰もが自分らしくいられる社会の実現を目指しています。この度、その取り組みが評価され、株式会社オルタナと一般社団法人サステナ経営協会共催の「サステナブル★セレクション2024」で最高位の三つ星を受賞しました。「HOWS DESIGN」のプロダクトには、多様な「HOW?」から生まれる対話を通して豊かな共創を育むイメージを、重なり合う吹き出しのモチーフで表現したマークが付与されています。例えば、2023年10月に発売された「USBメモリスライド式」は、色の区別がつきにくい色覚特性のある方にも識別しやすい本体のカラー選定と、印字するフォント・太さにもこだわっています。また、「取り出しやすい箱入り封筒」は、どこから開けるか一目で分かりやすい視認性と、軽い力で切り取れるジッパーなど、最初から最後まで使いやすいことが意識されています。Upload By 発達ナビニュースコクヨグループでは、2030年までに「HOWS DESIGN」のプロセスによる新商品開発を全体の50%まで拡大するチャレンジ目標を掲げ、日々達成に取り組んでいるとのことです。これからも多くの人々の問いや、違いへの気づきから生まれた「HOWS DESIGN」のプロダクトやサービスに、ぜひ注目してみてください。※クリックすると、発達ナビのサイトからコクヨ『HOWS DESIGN』Webサイトに遷移します。美術館でダンスに親しもう!東京都渋谷公園通りギャラリー「ダンス・ウェル」1月18日(土)開催Upload By 発達ナビニュース美術館などの芸術空間で実施するダンス・プログラム「ダンス・ウェル」が、1月18日(土)に東京都渋谷公園通りギャラリーで開催されます。「ダンス・ウェル」の試みは、もともとはパーキンソン病と共に生きる方々を対象に、イタリア・CSC現代演劇センターの主宰により始まりました。当ギャラリーでは2回目の開催で、1回目は、アール・ブリュットの魅力を紹介する展覧会、アール・ブリュット2024巡回展「抽象のラビリンス ―夢みる色と形―」の展示空間で、心地よい音楽にゆれながら、からだをほぐしたり、作品のイメージを自由に表現しました。今回は、展示作品のないホワイトキューブの静寂な空間で実施。窓から渋谷の風景を臨みながら、リラックスした時間を過ごしませんか?パーキンソン病と共に生きる方々はもちろんのこと、子どもから大人まで、どなたでもご参加いただける内容となっています。美術館という芸術空間で、ダンスに触れることのできる素晴らしい機会ですので、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。【詳細】日時:2025年1月18日(土)14:00~15:30講師:白神ももこ(振付家、演出家、ダンサー、ダンス・ウェル講師、ダンス・パフォーマンス的グループ「モモンガ・コンプレックス」主宰)長澤あゆみ(ダンス・アーティスト、ダンス・ウェル講師)アシスタント:酒井直之(ダンサー、映像作家、ダンス・ウェル講師)会場:東京都渋谷公園通りギャラリー参加費:無料定員:20名(事前申込制・先着順)申込方法:以下サイト内にある申込フォームから、必須事項をご記入ください。※クリックすると、発達ナビのサイトから東京都渋谷公園通りギャラリー「ダンス・ウェル」Webサイトに遷移します。ギフトにも!imperfect「アート&カカオ」クリスマス限定商品発売中Upload By 発達ナビニュースimperfect株式会社では、障害があるアーティストの所得支援を目指すアートライブラリー「アートビリティ」とのコラボレーションで、障害者アーティストの作品をパッケージに配したチョコレート「アート&カカオ」を発売しています。今回、クリスマスシーズン限定で販売されている新商品では、昨年の冬にも大好評だった岡村陸矢さんの「シロクマのクリスマスツリー」をパッケージに使用。シロクマたちが仲良くクリスマスツリーを飾り付ける様子を描いた、可愛らしく温かみのあるデザインが目を引きます。チョコレートは、ROSE & HAZELNUT、EARL GREY MILK TEA & CASHEWNUT、DARK CHOCOLATE & ALMONDの3つのフレーバーが楽しめます。さらに今回は、バリスタが選んだチョコレートと相性抜群のコーヒーとのペアリングが楽しめるこだわりのギフトセットも販売されています。imperfectは「アート&カカオ」を通じて、カカオの主要産地ガーナの森の保全にも取り組んでおり、おいしさだけでなく環境を守ることにも力を注いでいます。食べる人にもつくる人にも幸せを運ぶ「アート&カカオ」は、大切な方へのギフトや自分への特別なご褒美にぴったりです。用意されている商品数に限りがあり、なくなり次第販売終了とのことですので、気になる方はぜひお早めにご注文ください。【商品情報】1.アート&カカオ「シロクマのクリスマスツリー」内容:クランチチョコレート 3種類×3粒 計9粒入り価格:1,667円 (税込価格 1,800円)2.アートコフレ内容:アート&カカオ「シロクマのクリスマスツリー」1箱コーヒードリップバッグ3種(各1枚)限定ギフトボックス入り価格:2,593円 (税込価格 2,800円)注意事項:12月24日(火)までの商品到着希望の場合は、12月18日(水)までにご注文ください。※クリックすると、発達ナビのサイトから『imperfect表参道オンラインストア』Webサイトに遷移します。世界に羽ばたく異彩を求む!ヘラルボニー「HERALBONY Art Prize 2025 Presented by 東京建物|Brillia」公募受付中Upload By 発達ナビニュース「異彩を、放て。」をミッションに掲げ、アートを起点に誰もがありのままに生きる社会の実現を目指しているヘラルボニー。国内外の主に知的障害のあるアーティストの作品を、さまざまな形で社会に送り届けています。現在、国際アートアワード「HERALBONY Art Prize 2025 Presented by 東京建物|Brillia」の開催に向け、応募作品を募集しています。今年9月まで開催されていた「HERALBONY Art Prize 2024 Exhibition」では、世界28の国と地域から1973作品の応募があり、会期中の来場者数は1万人を超える大盛況となりました。また、企業賞を受賞した作品は、JALやトヨタ自動車といった名だたる企業のサービスやプロダクトデザインに採用されるなど、アーティストのさらなる活躍を後押ししています。2025年開催のアワードでは「限界はない。障壁を越え、創造性を解き放て!」をテーマに、東京建物株式会社をプラチナスポンサーに迎え、国内外の文化・芸術分野の専門家が審査員を務めます。グランプリ作品を始めとする受賞作品は、2025年秋から冬にかけて、岩手、フランス・パリの3都市にて特別に展示されます。「障害者」ではなくひとりの作家として、その才能が正当に評価され、活躍の道が切り開かれるチャンスです。ぜひ奮ってご応募ください。展覧会概要:会期:2025年5月31日(土)〜2025年6月14日(土)会場:三井住友銀行東館 1F アース・ガーデン(東京都千代田区丸の内 1-3-2)主催:株式会社ヘラルボニー応募資格:国内外で活躍を目指す、障害のある作家を対象とします。(国内在住)障害者手帳をお持ちの方(海外在住)自治体/行政機関/医療機関の発行した「障害の内容が明記された」内容の書類をお持ちの方※一次審査通過者は本人確認書類として上記書類のコピーを提出いただきます。賞および表彰:・グランプリ(1名)賞金300万円・審査員特別賞(各1名)賞金30万円・企業賞(協賛企業より各社賞:各1名)企業賞は、本プライズの協賛企業が複数社が選出する賞です。受賞作品は、その企業のサービス・プロダクト・事業のいずれかに採用される可能性があります。※各賞受賞作品は、株式会社ヘラルボニーとのライセンス契約対象となります。応募方法:公式ウェブサイト上の専用応募フォームからご応募ください。応募期間:2024年12月30日(月)23:59まで(JST)応募の詳細は、「HERALBONY Art Prize 2025 Presented by 東京建物|Brillia」特設Webサイトをご確認ください。※クリックすると、発達ナビのサイトから「HERALBONY Art Prize 2025 Presented by 東京建物|Brillia」Webサイトに遷移します。きょうだいの視点から理解を深める!ぜんち共済が「きょうだいである私と親との確執~両親が亡くなって思うこと~」オンラインセミナーを12月21日(土)開催Upload By 発達ナビニュース「きょうだい」とは、障害のある人の兄弟姉妹という意味合いで使われる言葉です。子どもの頃から家庭内でケア的役割を担う場合も多く、近年、社会的な課題として注目されてきています。今回、ぜんち共済が主催するオンラインセミナーでは、全国のきょうだい会で活動されている方々が講師を務め、当事者の視点から親との関係性や確執について深く掘り下げます。【詳細】「きょうだいである私と親との確執~両親が亡くなって思うこと~」日時: 2024年12月21日(土)10:00~11:45講師:太田信介氏(全国きょうだい会事務局長)小川洋子氏(福岡きょうだい会)参加費:無料視聴方法: YouTubeライブ主催: ぜんち共済株式会社※12月20日(金)までに申し込みをいただいた方は、アーカイブ配信(一部編集の可能性あり)をご視聴いただけます。※クリックすると、発達ナビのサイトからぜんち共済株式会社セミナー申し込みフォームWebサイトに遷移します。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年12月12日自閉症息子のこだわりについて主治医から言われていたことASD(自閉スペクトラム症)の息子のこだわりにずっと応じるのはしんどい面もありました。ですが、応じないことによる癇癪、パニックのほうがずっとずっとつらいものです。医師からはこんな風に言われていました。「パニックを起こす理由が立石君にはあるのです。『こうしてほしい』というこだわりには応じ、小さいうちに安心できる生活環境をお母さんが与えてください。パニック起こして一番しんどいのは本人なんですから」「もし、お母さんが人の履いたスリッパがどうしても履けなかったとしましょう。『履け』と命令されたらどうですか?それを履いて落ち着いていられますか?こだわりは自分だけのスリッパと同じなんです」「人が食べたガムを食べることができますか?子どもにとって偏食は、芋虫や他人が食べたガムを食べろと言われているようなものなのです」「喘息発作も起こせば起こすほど、それを誘発させます。普段から吸入して発作を起こさない予防をすることが肝心です。ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんのパニックもそれと似ています。起こさないように周りが配慮してやることです」「お母さんからすれば『なんでこんなことにこだわるんだ』と思うことも、本人にとってはとても耐えがたい嫌なことなのですから、こだわりには応じてあげてください」かつてあったたくさんのこだわり。今はこだわりが崩れてもパニックを起こさなくなった面も息子にはたくさんのこだわりがありました。・同じ道順しか歩かない・井の頭線に乗るときは3000系の各駅停車しか乗らない・電車で同じ席にしか座れない。誰かが座っていると、「替わってほしい」と暴れる・タクシーを使う場合は特定のタクシー会社にしか乗れない。・同じ靴しか履かない・スーパーの納豆がきちんと並んでいないと許せない・5種類の食べものしか食べない・夜のニュース番組の「こんばんは、〇〇ニュースです」のアナウンサーの第一声「こ」と同時に夕飯の一口目を口に入れないとダメ・消火器のメーカーを確認する・非常口のマークを探して回る・マンション内で「あなたは何号室に住んでますか?」と聞きまくる(管理会社に不審者と通報されました)・私が話す言葉に「ね」という音を入れてはならない(これは困りました。私は喋ることができなくなりました)現在は・水曜日は生魚を食べる・日曜日に家でバリカンで頭を刈る・週末は一人で趣味である(商業施設などの)トイレ巡りをする挙げたらきりがないくらい諸々ありますが、今はこれらが崩されても、例えば水曜日に生魚を出さなくても、バリカンで頭を刈る時間がなくなっても、パニックは起こさなくなりました。「今日は刺身はないよ」「今日はバリカンをする時間はないよ」「今度の日曜日は法事だよ、だからトイレ巡りの外出はできないよ」と伝えれば納得します。本人もこだわりの緩め方を人生で学んできたせいでしょうか。こだわりボックスASD(自閉スペクトラム症)のある子どもは「こだわりボックス」を持っているように思います。こだわりボックスが満タンでないと不安になるので、こだわりを取り上げられてしまうと、空いた部分を満タンにするために別のこだわりを作る、そんな風に感じます。無理矢理取りあげることもなく自然とこだわりがおさまったのだとしても、また新たなこだわりが出現するので余計そう感じます。つまりこだわりボックスを満タンにすべく新たなこだわりが出てくるので、こだわりを辞めさせてもいたちごっこ、あきらめたほうがいい場合もあると私は思っています。人に大迷惑をかけないこだわりだったら許容してもよいのではないでしょうか。「世の中には自分のこだわりが通じないこともあるんだ」と学んでいくためにただし、日常生活を送っていると、どうしても通すことのできないこだわりがあります。例えば、ピンクの服しか着ないというこだわりがあるとします。本人だけならまだしも次第に家族にもそれを強要するようになりました。けれども家族全員、毎日ピンクの服を着るわけには行きません。走行している車のナンバープレートを触るこだわり。ベビーカーに乗っている赤ちゃんの鼻を触るこだわり。そんなこだわりは認められませんし、止めさせるしかありません。そうしているうちに「世の中には自分のこだわりが通じないこともあるんだ」と本人なりに学んでいくのだと思います。ということは、応じられるこだわりはできるだけ応じてやる、そうすれば本人も「受け入れてもらえるものもあるんだから、そうではないものは我慢するしかない、仕方がない」と折り合いを付けられるように成長するのではないでしょうか。そんな風に私は思います。執筆/立石美津子(監修:鈴木先生より)こだわりボックスが満タンになるのは、「こだわり保存の法則」が自閉スペクトラム症の方にはあるからです。一つのこだわりが無くなるとほかのこだわりが出てきます。他人に迷惑をかけないこだわりならいいですが、電車内で席を移動させるなど人に迷惑のかかるこだわりは徐々に変えていく必要があります。もしほかの席に座れたなら思いっきり褒めてあげてください。一般の人には普通なことでも、本人は努力したのですから。前の記事はこちらUpload By 立石美津子Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年12月11日就学先の選択、入学後のトラブル、転学……わが家の体験私には現在8歳になる息子がいます。4歳の時ADHD(注意欠如多動症)とASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けました。多動や癇癪があり、勝敗や順位へのこだわりが強い性格です。一方で「学校へは行かなければいけない」「授業は受けなければいけない」と守る真面目な面もあります。そんな息子の就学に際しては選択の難しさや迷い、そして入学後にさまざまなトラブルを経験することになりました。今回は、就学相談でのやりとりや小学校生活での先生とのトラブル、そして転学についてお話しさせていただきます。同じように発達障害のあるお子さんをお持ちの方々の参考になれば幸いです。「IQが高ければ、配慮はいらないですよ」就学相談で一方的に決めつけられ……わが家が住む自治体には自閉症・情緒障害特別支援学級自体がなく、また知的障害特別支援学級は学区外の学校にしかありませんでした。また、知的障害特別支援学級には、基準のIQ内では入れないと聞いたため、悩んだ結果、わが家では学区内の学校の通常学級に在籍しつつ、通級指導教室の利用を希望することにしました。就学相談前に知能検査をすることになりました。普段なら座っていられず、一方的な会話をしたり話を聞けないことが多いのですが、「大人と1対1で質問をされ答える」という形式が息子は楽しかったようで、離席もあまりせず実施できたようでした。そして迎えた就学相談、知能検査の結果が「きちんと座って検査を受けることができた」「IQが高い」というものだったため、「通常学級で問題ない」と勧められたのです。私は息子の落ち着きのなさ、座っていられないこと、話を聞けないこと、一方的な話をすること、勝敗や順番へのこだわりが強いこと、切り替えが苦手こと、癇癪あることなどを説明しましたが、「通級指導教室も必要ないと思いますよ。現在の教育現場では、ある程度個別対応可能ですし、1年生になるまでに成長する部分もありますから」「IQが高いですし、配慮はいらないですよ。むしろ通級指導教室に1人だけ教室移動することを本人が嫌がると思いますよ」と、こちらが話す隙がないほど担当の方が喋り続けられて……。このままいくら話しても聞き入れてもらえなさそうと感じた私は、その日は通常学級ということで話をまとめ、終了するしかありませんでした。「何を考えてるか分からない」「強く叱っても効果がない」担任の先生の無理解に苦しんで結局、その後再度事情を話して別の方と就学相談をし、最終的に「通常学級+通級指導教室利用」で決定となりました。しかし、入学した学校では大変なことが連発しました。入学後息子について担任の先生に面談の時間をとってもらいました。そこで息子の特性について説明したのですが、担任の先生は「みんな同じように接します。特別扱いはしません」と宣言。息子を叱るときは強い口調だったそうです。「学校=怒られるところ」となってしまうも、真面目な息子は『学校には行かなくてはいけない』ということを守ろうとしました。ですが、校門の中に入ると不安感が押し寄せ癇癪を起こすようになってしまったのです。通級指導教室の先生は寄り添ってくれましたが、担任の先生と連携をとっていたのかは分かりません。Upload By ユーザー体験談その後息子は授業中も癇癪がでるようになり、担任の先生から「何を考えてるか分からない」「強く叱っても効果がない」と言われるようになりました。ここにいては息子がつらい思いをするだけだと感じるようになり、私は毎日悩んで泣く日々でした。Upload By ユーザー体験談『追い出されてしまった』癇癪を起こさず静かに涙を流す息子の姿そんな時、担任の先生から面談をしないかと提案され承諾すると、校長も同席すると言われました。当日は最近の様子や問題行動などの報告を受けたあと、ほかの保護者の方からのご意見もあるなどと言われながら、最終的に特別支援学級を見学に行ったらどうかと提案されました。息子は「転校する」ということにとてもショックを受けていました。学校でみんなと一緒に授業を受けることが楽しみだったので、『適応できなかった』『追い出されてしまった』『先生に嫌われてしまった』というような気持ちがあったと思います。本当に嫌なことは態度や口に出さない息子。転校を告げた時は癇癪を起こすこともなく、騒ぐこともなく、ただ静かに話を聞いて涙を流していました。私が「ごめんね」と言うと、「大丈夫だよ。泣いてないよ」と言われました。その姿が忘れられません。Upload By ユーザー体験談就学時の選択に後悔。わが家の場合は「先」よりもまず「現在」に目を向けたい転校し所属するようになった知的障害特別支援学級では、受け入れてもらえているという感覚が息子にも感じられるようで、先生にたっぷり甘えさせてもらいながら通学しています。宿題を嫌がったり、できなかったことや勝敗などで騒いでしまうことは多々ありますが、ひどい癇癪はなくなりました。行き渋りも全くなくなり、楽しく通学しています。先生方も不適切な言動はしっかり指導してくれますが、その行動は愛情たっぷりです。息子にはとても合っている環境だと思うので転校してよかったと思っています。Upload By ユーザー体験談ただ、今の私は後悔しかありません。最初から特別支援学級を選んでいれば、息子をたくさん傷つけることはありませんでした。通常学級に在籍することが息子にとってどのくらい負担になるか考えが及ばず、特別支援学級に行ったら選べる進路が少なくなるのではないかと先々への心配を優先した結果、息子につらい思いをさせてしまいました。もっとよく考えて入学先を考えてあげていれば、今抱えている問題ももう少し良い方向に進んでいたかもと思うことばかりです。今は先のことよりも息子の「現在」のことを考えていきたいと思っています。イラスト/志士ノまるエピソード参考/わかめ(監修:森先生より)わかめさん、お子さんの支援につながるまでの体験談を聞かせてくださってありがとうございます。 発達の偏りでお悩みの方の中には、高IQのために障害に気づきにくかったり、困っていても支援につながりにくかったという方が少なくありません。「IQが高いのだから配慮はいらない」と思われて必要な支援を受けられないと、問題が起きた際に周囲から頭ごなしに怒られてしまい、学校そのものに苦手意識を持ってしまう、ということにもなりかねません。 また、学校内での支援を受けられても、担任の先生との連携がうまくいかなかったり周囲の理解が得られないと、つらい思いをすることもありますよね……。理解のない環境で生きづらさを感じ続けて、二次障害につながってしまうケースもあります。 ただ、学校に入学して生活を送るまでは、担任の先生やクラスメイトの雰囲気などの環境によるところが大きく、実際のところどうなるかわからない部分は大きいのではないでしょうか。わかめさんがお子さんの様子をしっかりと見て、学校や支援機関に相談を続けていたからこそ、今の支援につながることができたのです。素晴らしいことではないでしょうか。 保護者の方が、自分のつらい気持ちを受け入れてくれる、ベストな道を手探りでも探してくれるということはお子さんに伝わります。それはお子さんの自己肯定感につながるでしょう。 これからもお子さんの「現在」に目を向けて、その都度その都度最善の選択肢を探していけるように願っております。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年12月10日今年の悩みは今年のうちに!インフルエンザなどの冬の病気、放デイ・児発の満足度や併用利用、発達検査や知能検査、思春期など皆さんのお悩みやエピソードをお聞かせください2024年も残りあと1か月を切り、今年あったことを振り返る機会も多いのではないでしょうか。子育てに奮闘中の全国の保護者の皆さま、今年1年も本当にお疲れ様でした。発達ナビでは現在5種類のアンケートを行っております。ぜひ今年を振り返りながらご回答いただけますと幸いです。アンケート結果は、まとめコラム・体験コラム内などで読者の方からの声と共に年末年始にかけて紹介予定です。楽しみにお待ちください。12月となり、周りでもインフルエンザを始めとした冬の病気が流行りだし、インフルエンザの予防接種を考えているご家庭も多いのではないでしょうか。ただでさえ大変な予防接種……特性のあるお子さんですとその苦労もより多く感じることだと思います。・予防接種は大変だけれどなんとか毎年連れていっている・病院で予防接種が怖くて子どもが号泣!結局打たずに帰ってきた・わが家の注射ライフハック・絶対に予防接種拒否!なのでこんな工夫をしてインフルエンザや冬の病気を防いでいる・インフルエンザにはかからなかったが、こんな冬の病気が大変だったなど、インフルエンザの予防接種だけでなく注射や冬の病気にまつわるエピソードを是非お寄せください。【アンケート期間】2024年12月4日(水)から12月14日(土)まで「どの施設が子どもに合っているのかわからない……」「比較が難しい……」「満員ばかりで通える施設がなかなか見つからない…」など、放課後等デイサービス(放デイ)や児童発達支援(児発)の施設探しについて、お悩みの方も多いと思います。・施設探しは年長の夏から始めて、●件見学にいって一番近い場所にあるところに通っています。・小学校入学後特性が分かり、急ぎ放デイを探しました。発達ナビの施設ページ検索を利用しました・年長の秋、見学に行って気に入った施設が満席で結局通えたのは2年生の冬から。やっと入れて嬉しかったのですが、先生とのコミュニケーションがうまくいかず悩んでいます。など、みなさまの施設探し、利用についてのエピソードを是非教えてください。【アンケート期間】2024年12月5日(木)から12月15日(日)まで発達検査とは、子どもの心身の発達の度合いを調べる検査のことです。質問や観察、実際に道具を使って実施するなどさまざまな方法があります。発達検査を受けることで、子どもの特徴を客観的に知ることができ、今後の関わり方のヒントにすることができます。子どもの発達の段階や状態を調べるために、WISCや新版K式発達検査などの発達検査や知能検査を受けたことのある方も多いのではないでしょうか。・健診の時に発達の遅れを指摘されて〇歳のころに新版K式発達検査を受けた・就学前に行ったWISCの結果が学校での合理的配慮を考えるのに役立った・〇歳の頃に知能検査を受けたが、子どもが集中できずにうまくいかなかった。でもその〇年後には落ち着いて検査ができるようになって成長を感じた・発達検査を受けることで子どもの苦手な部分が分かり、家などでの対応のヒントになった・まだ発達検査や知能検査を受けたことがないが、このような理由で受けたいと思っているなど、発達検査、知能検査にまつわるエピソードを是非お寄せください。【アンケート期間】2024年12月6日(金)から12月16日(月)まで子育てに悩みはつきものですが、小学校高学年頃から思春期が始まると、幼少期とはまた違う難しさを感じた……という方も多いのではないでしょうか?今年、発達ナビでも多くの反響を集めた「思春期」にまつわるエピソードについて、アンケートを募集いたします。・親の目の届かないところで、インターネット・金銭のトラブル発生!・複雑になる人間関係の悩み、どうやって解決した?・勉強、部活動、受験……発達の特性で困りごと多発・反抗的な態度、暴言、イライラ……こんな方法で乗り越えた!など、皆さまのエピソードをぜひ教えてください。【アンケート期間】2024年12月8日(日)から12月18日(水)まで障害があったり、発達特性があるお子さんの保護者の皆さんの中には、放課後等デイサービスや児童発達支援など発達支援施設を利用されている方も多くいらっしゃると思います。地域によっては放課後等デイサービスに空きがなかったり、入れたとしても週に利用できる回数が少なく、「掛け持ちしたいけど、周りはどのくらい発達支援施設を利用しているんだろう……」と悩まれてる方もいるのではないでしょうか。・入れる回数が少なく、掛け持ち利用をしたいがどのように探せば良いのか悩んでいる・勉強に力を入れてる児発、運動が中心の児発など特色の違う児発を併用しているが、こんな成長があった・小学校の頃は学童と放デイ1か所を併用していたが、中学校以降は学童がないので放デイ2か所を併用することにした・2か所の放デイに通っていたが、片方の放デイが突然閉鎖!困ってしまったが、もう一方の放デイの利用日数を増やしてもらうことができたのでなんとかなった。併用していて良かった。など、皆さまの施設併用についてのエピソードを是非教えてください。【アンケート期間】2024年12月9日(月)から12月19日(木)まで(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年12月09日“中学校特別支援学級卒業後の進路選択について”大学の研究のお手伝い発達障害のある私の娘は、中学2年の3学期から特別支援学級に入級し、高等特別支援学校卒業後、特例子会社(※1)に5年間勤務しました。そして現在はグループホームで暮らしながら就労継続支援A型事業所(※2)に通っています。今年の夏、私のもとに大学院生のSさんから“中学校特別支援学級卒業後の進路選択についての研究”に関するインタビューの依頼がありました。親や本人へのインタビューというかたちでの研究への参加の打診があったことを話すと、娘は「自分の経験が役に立つなら」と快諾しました。※1 特例子会社…障害のある人の雇用促進と雇用の安定化を図るために設立された会社のこと※2 就労継続支援A型事業所…障害や難病のある人が、雇用契約を結び支援を受けながら働くことができる障害福祉サービス発達障害のある娘と母が受ける初インタビュー大学院生のSさんからは「オンライン形式でのインタビューも可能です」と言われましたが、娘は親子同伴の対面形式インタビューを希望しました。所要時間は1時間ほどです。娘は話すことがあまり得意ではありませんが、聞き上手なSさんと話していくうちに徐々に緊張はほぐれていきました。親がいると本音で話しづらいこともあるかと思い、私はトイレ休憩と称して途中で10分ほど席を外しました。Upload By 荒木まち子席に戻ると、娘から「思い出せないこととか、自分では説明がうまくできないことがあるから、お母さんからも説明してほしい」と言われました。卒業してから時間が経ち、記憶が曖昧な部分もあったので私たちは持参したサポートブックなども参考にしながら質問に答えました。娘の本音私が席を外している間、娘は「自分の好きな絵の道に進みたい気持ちがあった」「絵の専門の大学に進学したかった」と話していたそうです。その後、Sさんから「なぜその道を選択せずに就労を目指す学校を選んだのか」と聞かれ、彼女は「ぎりぎりまで悩んだけど、中学校の特別支援学級の先輩が通っている学校を選んだ」と答えていました。そして「本心では高校卒業後、就労は望んでいなかったけど、親や先生が私のことを思ってすすめてくれていることは分かっていたから……」と話していました。娘の気持ちには薄々気付いていましたが、私が本人の口から直接そのような話を聞いたのはこの時が初めてでした。Sさんは娘と同世代なので娘の気持ちがよく分かるようでした。きっとSさんがいなければ娘からこの言葉を聞くことはなかったでしょう。進路選択の最終決定は娘がしたとはいえ、彼女の本心を聞き私は胸の奥が少し痛みました。親に対する質問Sさんからは私にもいろいろな質問がありました。Sさん「クリエイティブスクールなどは選択肢にはなかったですか?」私「当時、通える範囲にあったクリエイティブスクールからは“発達障害に対する配慮は特にしてない”と言われていたし、自由度が高い校風が娘には合っていなかったので選びませんでした。また、親としてはWISC(※)などの検査資料を見て本人の特性を理解できる先生がその学校にいるかどうかも学校選択の大きな判断材料でした」※WISC…WISC検査。知能検査のひとつまた、私は今まで娘の前では言ったことがないような話もしました。私「娘には芸術的なセンスがあるのは確かだと思う。でも今までそれが認められたり評価されたりしてきたのは周りの『サポート』があったからだと思っている。“親は子どもに成功体験を積ませて自己肯定感を上げるように”ってよく言われるけど、大人になってサポートがなくなってうまくいかなくなり、ジレンマに陥ったり落ち込んだりすることって絶対あると思う」これには娘もうなずいていました。私「学生のときは特定の分野に抜きん出ていた人も、大人になったら意外とうずもれてしまう、なんてこともよくあるし。まあこれは障害の有無に関係なく言えることだけど」インタビューを受けて私が感じたこと私自身がこんな辛辣(しんらつ)ともいえる親としての本音を口にできたのも、やはりSさんという中立的な立場のインタビュアー(第三者)の存在があったからでしょう。わが家の場合は卒業してある程度時間が経過していたこともあり、心理的な負担がそれほどない状態で親子ともども本音を語ることができました。インタビューを受けることで、それまでお互いが面と向かって言えなかったこと、心の奥底に秘めていた気持ちを言い合うことができたのは、私にとって予想外の出来事でした。そして、それまで押しに弱く流されやすいと思っていたわが子が、自分の言葉でしっかりと己の意思を伝える様子を目の当たりにし、私は「娘はいろいろな経験を経て、親と対等な存在になった」と彼女の成長を実感したのでした。若き未来の支援者Sさんとはそれほど長いお付き合いがあるわけではありませんが、事前にお会いし話をしていたので、私は彼の勉強熱心で実直な人柄を知っていました。研究データの収集にはインターネットや書面でのアンケートも有効でしょう。でも彼は『今まで表明の機会がなかった方の声が必要』と考え、『対面で親や当事者の話を聞く』ことを選択しました。若い彼が、警戒心が強い可能性のある保護者にアポイントメントを取り、障害のある当事者から話を聞くのは決して簡単なことではないと思います。時間も労力も要するこの方法は効率的とは言えないかもしれません。それでも地道に調査を重ね、結果を分析する彼の姿はまさに“研究者”そのものだと私は感じています。自治体間の比較の分析も含めると、研究は数年続くと聞いています。将来、Sさんがどのような職種・業種に携わるかは、未知数です。でも、試行錯誤を繰り返しながらも各地を訪れ、日々邁進している彼を私は応援せずにはいられません。Sさんの研究によって障害のある子どもの進学についての課題や地域格差の問題が明確化されることで、近い未来、当事者や親の悩みが軽減されたら良いなと思っています。微力ながらそのお手伝いができたなら、それは私たち親子にとってこの上ない喜びです。Upload By 荒木まち子執筆/荒木まち子(監修:初川先生より)大学院生のインタビュー調査を母子で受けたエピソードをありがとうございます。テーマは「中学校特別支援学級卒業後の進路選択について」。保護者の声のみならず、ご本人の声も対象となることがとても貴重かつ今日的な研究だなと感じます。さて、まち子さんからすると当時はうすうす気づきながらもはっきりとは聞いていなかった「娘のホンネ」が聞けたインタビュー。当時はおそらくそこまで言葉にできなかった(親の思いもキャッチしている娘さんだからこそ言葉にしづらかったかもしれないですし、そもそも人生の大事な局面で自分の意志を口にすること自体なかなか勇気のいることでもあります)、その思いを大人になり、働き始めてしばらく経った今だからこそ言葉にできたようにも感じます。そして、その進路選択に関する親としての思い。サポートがある場でないと傷ついてしまう。そこを親として大切な観点とされたのだと思います。当時その話をもしお互いでぶつけるように話されていたとしたら、親という立場、自分より長く生きている上の立場の人が(まだ何も傷つく前だとしても)サポートがないと大変と良かれと思って言ってくれていることに直面し、それはそれで娘さんは葛藤を深めたかもしれません。娘さんは娘さんなりに熟考し「最終決断」されたのだと思いますが、岐路にある際の決断ではどんなときも「得るもの」「失うもの」があり、全方位的に100点満点の決断というのはないのかもしれないと感じます。その後の質問の流れで、どうしてクリエイティブスクール(特別支援教育そのものとは違う学校選択)を選ばなかったのかについての親としての語り、娘さんの芸術的なセンスに関してのまち子さんの思いを娘さんが初めてしっかり聞くことになったのはとてもよかったと思います。進路選択のようなお子さん本人にとっても家族にとっても大きな局面。それがどうであったかを語ることはそこからの時間経過の長さによっても変わるでしょうし、現在のありようを本人・家族がどう捉えているかによっても変わると思います。そういう意味で、大人になってある程度落ち着いた良きタイミングにこのような機会があって、お互いの立場からの捉え方を意見交換するような場となってとても意義深い機会になられたようで何よりです。今は、「当事者の意見を聞く」潮流がだいぶ強くなってきました。これまで周囲の人だけで良かれと思ってさまざま決めてきてしまった反省など、国際的な潮流、あらゆる分野での潮流をふまえてのこの展開ですが、今後もっと発達障害や知的障害分野でも当事者の声が表に出やすくなると思います。家族や支援者はそうした声を参考に、そして目の前のお子さんの声を聞こうとしながらやっていく。当たり前といえば当たり前のことなのですが、思いが強いとついそこが抜けがちな面もあります。時代のアップデートに私たちの意識もアップデートしながら、日々の支援を考えていきたいですね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年12月09日希望が通らず……就学相談についての悩み、成人した娘の児童発達支援での成長を振り返って、特別支援学校に通う息子の原因不明の不登校エピソードなど【2024年11月】通常学級、特別支援学級、特別支援学校……今の時期就学先が決まるご家庭も多いのではないのでしょうか。「どうして⁉」特別支援学校を希望していたのに、判定は特別支援学級でショック!、特別支援学級に通わせようと思っていたのに「通常学級でもいける」という周囲の声に戸惑い……など就学先が決まるまで、沢山悩んだエピソードや、3歳で無発語・多動だったお子さんの児童発達支援での成長、特別支援学校高等部に通うお子さんの原因不明の不登校問題など今月も読者の皆さんからさまざまな体験談が寄せられました。今回は2024年11月にお届けした読者体験談をご紹介いたします。ASD(自閉スペクトラム症)のあるお子さんの小学校就学。特別支援学校を希望しましたが、結果は知的障害特別支援学級でした。ひらがなの読み書きができず、数字も3まで数えることが難しいことも伝えたはずなのに……!納得がいかなかったゆきこさんは、教育委員会との話し合いへ挑みましたが、結果は……!?現在知的障害特別支援学級に在籍中の苗さんの息子さん。「わが子には特別支援学級が合っているだろう」と思っていたのですが周りからの「通常学級でもいける」「通常学級と特別支援学級、どちらがいいか正直、迷うところです」などさまざまな意見に混乱してしまいます。さらに知人から言われた言葉も心に引っかかり……。S.Kさんの娘さんは3歳8か月で軽度知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。幼少期は無発語や多動など悩むことも多かったですが、20歳になった現在は、職場の人たちとの関係も良好で穏やかな日々を過ごしています。今があるのは3歳後半から通った療育センターでの支援のおかげだというS.Kさん。大変だった当時を振り返っていただきました。特別支援学校に通う高2の息子さんが突然不登校に!?発語がない息子さんの「学校へ行きたくない」というアピールに頭を悩ませながら、病院通いを続ける日々に疲弊……。そんな中、バスや電車が好きなら行けるかも?と宿泊学習・修学旅行へ参加するまでのご家庭での工夫や学校との連携などの苦労を綴っていただきました。ご自身のエピソードを投稿してみませんか?『発達ナビ 読者体験談』は皆さんのご経験を基に制作されています。ご投稿いただいたエピソードは、連載ライターさんのイラスト、専門家の先生からのコメントをつけた上で掲載させていただきます。「あの時は悩んでいたけれど、今はこうなった……」など、発達障害のあるお子さんを育児している皆さんへ、ご自身の経験をお届けいただけないでしょうか。ご応募は以下の応募フォームから受け付けております。皆さんのご投稿を、お待ちしております。【現在の募集テーマ】・障害告知・パートナー(夫婦) 関係・両親(義両親)、親族関係・進学・受験関係・冠婚葬祭関連・反抗期、思春期・自傷・学習関係・不登校、行き渋り・ゲームとの関わり・不器用さについて・ママ友や、ほかの保護者の方とのエピソード・ご近所関係(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年12月08日全てが初めてで手探り状態……。コロナ禍でオンライン授業から始まった中学校生活!小学校の卒業式の1か月くらい前から新型コロナウイルス感染症の流行が始まりました。小学校の卒業式はなんとか行えたものの、せっかく入った中学校もどうなるのかいろいろな意味で想像がつかない状態でした。コチ丸が入学した私立中学は「学びの多様化学校」(当時の名称は「不登校特例校」)でした。不登校の児童生徒に配慮して特別に編成された教育課程に基づく教育を行う学校だったため、オンライン授業もすでに導入されていました。当時、日本各地の小中学校でタブレットの導入が始まった時期でしたが、コチ丸の学校では入学当初からタブレットが配られており、当たり前のようにオンラインでの授業が始まりました。オンライン授業では、授業開始時に名前を呼ばれたら返事をするなど、いくつかの決められた規定を守れば授業に出席したことになります。理解ある上司に恵まれたこともあり、オンライン授業に慣れるまでは、会社にコチ丸を連れて行かせてもらい個室を借りて授業を受けるなど、周囲の協力も得ながら学習を習慣づけるようにしていきました。秋口からは、いよいよ学校での授業が始まりましたが、ほとんどの生徒は引き続き自宅からオンラインで授業を受けていました。コチ丸は、田舎の自宅からバスと電車を乗り継ぎ、片道約2時間くらいの道のりを通うことになりました。最初は週に2~3日ほどは学校へ通い、残りは自宅でオンライン授業を受けるという通い方をしていました。また、小学校の時からそうでしたが、「今日は学校行く?」という声かけでコチ丸の意思を確認する毎日でした。それがどんな回答でも受け入れ、「今日は何して過ごすの?」と聞き、本人の意思を尊重するようにしました(もちろん、コチ丸が計画通りに動くことはほとんどないのですが……)。Upload By あき好きなドラムを武器に大活躍した文化祭で学校生活も一変!そんな中、コチ丸の学校生活を大きく変える、おそらく地元の中学では体験できなかった出来事が2つありました。1つは部活動です。ドラムを習って1年ほど経っていたコチ丸は、地元の中学校にはなかった、軽音楽部に入ることを入学前から楽しみにしていました。入学後はもちろん、軽音学部に入部。初めての文化祭では、1年生ながら先輩たちと共にステージに立ち、会場を沸かせていました。そしてもう1つは、軽音楽部で同じバンドのメンバーになった先輩たちに勧誘されて、生徒会に立候補したことです。元来、目立つことが嫌いじゃないコチ丸の性格も幸い(?)して、コチ丸は学年でも一目置かれる存在になっていきました。1年生の後半から生徒会活動にずっと参加するようになり、3年生では生徒会長として活躍をしました。振り返れば小学校の時のコチ丸からは想像もつかない変貌でした。Upload By あき徐々に安定してきた特性の凸凹や多動な行動。でも勉強は相変わらず……中学校に通うようになると、小学校時代とは打って変わって、席にもちゃんと座り(よく居眠りはしていましたが……)、教室を飛び出すことなく授業も受けられるようになりました。年齢を重ねたせいで落ち着いたというのもあったと思いますが、授業や行事の内容がユニークだったのが良かったのかもしれません。例えば歴史の授業では教科書通りに進むのではなく、自分で興味のある時代や出来事について、とことん調べてまとめて発表するという課題が出ました。あんなに文字を書くのが苦手だったコチ丸がポスターサイズくらいある紙に、びっちり書きこんでいたのを見た時には正直驚きました。しかし、小学校3年間の不登校での勉強の遅れは、なかなか取り戻すことはできませんでした。保護者の中には高校からは普通科高校に通ってほしいと考える方もいましたが、わが家は高校に行かないならそれでも良いと思っていました。本人が必要だと思ったときに勉強をすれば良いと思っていましたし、それが例え社会人になってからでも遅くはないと思っていました。私がここまできて気がついたのは、学校の学年は目安でしかなくて、その子その子に合った学ぶ年齢があるということでした。しかもその学びは「Aを最初に学ぶ子」もいれば、「Bを最初に学ぶ子」もいたりして、みんなバラバラなんだなということです。あんなに小学校で暴れていたコチ丸も中学に入ったらすっかり落ち着き、人付き合いも上手になっていました。このまま高校に行かずに社会に出ても、案外うまくやっていけるのかもしれないなという雰囲気すらありました。Upload By あき先生・友達・先輩……。周りに大きく影響を受けた中学生活こんなふうにコチ丸が変わったのは、小学校まではほぼ家の中で過ごし、自分のことしか見えていなかったものが、中学に入って電車やバスで通学したり、友だちや先生方と関わったりする中で、他者の視線や気持ちに気づき、自分自身も周りを見られるようになって、「自分はこうなりたい」とか、「だったらどうしたら良いか」とか、いろいろなことを考えるようになったからだろうなと思います。また、コチ丸が通った中学校の先生方は、子どもたちを中学生である前に一人前の人間としてみてくれており、一人ひとりの考え方や意見を大切にしてくれていました。地元の小学校では取り合ってもらえなかった自分の意見に耳を傾けてくれる場所ができ、安心して学校に通えるようになり、友達が増え、自分の意見も言えるようになって……その過程で自信をつけたり、取り戻したりしていく子どもの姿を、中学校の3年間でたくさん見ることができました。また、私も含め、子育てに自信をなくして孤独だった保護者も、同じように成長できた3年間だったと思います。コチ丸にとっても、自分の社会での立ち位置を見つけ、自信を持って毎日を送れるようになったきっかけがこの中学の3年間でした。結果的に、コチ丸にはこの私立中学という進路選択が合っていて、人生を変えるために親子2人で頑張ってよかったと思っています。Upload By あき執筆/あき(監修:新美先生より)とっても素敵なエピソードを聞かせていただきありがとうございます。小学校にはほとんど通えていなかったコチ丸さんが、「学びの多様化学校」(不登校特例校)での中学校生活で、さまざまなことを経験して変化、成長していかれる様子を読ませていただき、読んでいるほうもパワーをいただけたように感じました。学びの多様化学校(不登校特例校)は、令和6年度時点で公立と私立の学校が全国に35校設置されています。文部科学省からも、各都道府県で1校以上の設置を促すような呼びかけも出ており、今後は各地に増えていくことが期待されています。そもそも、子どもの個性・特性・学び方は多様であり、現在の多くの公立学校のように何もかも一律で決められた生活・学習では、通いづらいお子さんがいるのは当たり前で不登校の児童生徒数は増加の一途をたどっています。通っているお子さんの個性・特性を尊重し、自分らしく登校しやすいよう、多様性を尊重し学び方、活動の仕方の選択肢を広くした「学びの多様化学校」が注目されています。コチ丸さんは、たまたま入学時にコロナ禍スタートで、オンライン授業が続いたのですね。それが学校の雰囲気に慣れ、授業を受けるのも大丈夫だと実感するのに、ちょうどタイミングがよかったのかもしれないですね。そのままオンラインで授業を受けてもいいというのに、2時間もかけて学校まで通うようになったというのは、コチ丸さんがここに通いたいという意思を明確に持てたのですね。部活動や生徒会など、自分からやりたいと思えて活躍できる場があり、とても充実した中学校生活が送れたのですね。コチ丸さんが、中学校は自分の意見を聞いてもらえる場だと感じられ、他者視点に気づきながら、自分のことを自分で考え行動する中学校生活になったことは、本当に素晴らしいと思いました。こんなふうに、どのお子さんにとっても、自分の居場所だと感じられる学びの場・居場所の選択肢がもっともっと増えて、多様な個性のお子さんだれもが自由に選べるようになるといいなと願っています。学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)の設置者一覧|文部科学省前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年12月07日背景に着目した癇癪へのサポートを実践してみよう作業療法士の野田遥です。「LITALICO発達特性検査」の研究・開発に携わっています。今回は、2024年の夏に行ったオンラインセミナーでの講義内容から、特に保護者の方の関心の高かった癇癪(かんしゃく)について、講義内容を再構成して詳しくご紹介します。これまで、癇癪を引き起こしやすい背景要因がいくつかあることや、癇癪が起きる仕組み、対応方法など、癇癪についての基本的な考え方をお伝えしてきました。特に前回は癇癪が起きている間の対応方法や、癇癪自体を減らす手がかりなどについてご紹介しました。そこで、「その場でその場で癇癪をとめる」といった直接的な対応だけではなく、その背景を見ることで癇癪自体を減らしていく手がかりになるとお伝えしました。しかし、いざお子さまの癇癪を減らしていきたいときに、保護者の方が自分で困りの原因や背景を見つけたり、それぞれの原因にアプローチできるような対応方法を考えるのは少し難しいかもしれません。そこで今回は、具体的な事例とともに、癇癪の「なぜ?」と「どうすれば癇癪が起きにくくなるか?」についてヒントを見つけるため、「困り→背景要因→サポート」のフレームワークを実際に使って解説します。※イベントの内容やフレームワークについては以下の記事でも紹介しています。※LITALICO発達特性検査について、詳しく知りたい方は以下の記事を併せてお読みください。「困り→背景要因→サポート」のフレームワーク「なぜ癇癪が起きているのか」に着目して、お子さまの困りごとの根本的な原因に働きかける分析と実践は、いざ取り組もうとすると、何からやっていいか分からないという方もいらっしゃると思います。そこで、分かりやすい方法にしたのが「困り→背景要因→サポート」のフレームワークです。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部癇癪の困りごとを減らすためには、癇癪が起きる前の防ぐ手立てとして、興奮の波をキャッチしたり、お子さまのコミュニケーションの特性や選択肢を増やすといった方法が重要です。しかし、どんなサポートをすればいいのかはお子さまや状況によっても変わります。その点で、癇癪の困りごとの場合、特にフレームワークを使って背景要因を探り、分析していくことが重要になってきます。癇癪が起きたときに、その場でとめるといった対応をするだけでは、その場では行動がやんだとしても、そのあとまた同じ行動が起きるかもしれません。また、その行動を起こしている原因が別の困りや行動につながっていくということがあるかもしれません。それらを避けるためにも、その場の状況を収めるための表面的な方法だけではなく、困りの背景にある要因から考えることがとても大事になってきます。背景要因として、以下の2つの軸でお子さまの行動を捉えてみることが重要です。以下の図のように、お子さまの行動の背景には、複数の特性が関係している場合があります。特定の刺激に反応しやすい(感覚過敏など)、突然変更があった場合に不安を抱きやすい(「同じ」へのこだわりなど)など、行動の背景にはさまざまな特性がありますし、それらの強さも個人によってバラバラです。お子さまの特性を知っておくことで、特定の行動の原因を捉えやすくなります。図に示した以外にも、さまざまな特性が行動と関係してきます。癇癪と関係していそうなお子さまの特性はないか、振り返ってみましょう。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部次に行動の前と後に着目して、要因がないかを検討していきます。癇癪が起きたときの状況やきっかけは何か、起きたあとにどのような状況になったか、お子さまはどのような結果を得たか、ということに注目します。行動の前後に着目する分析の方法についてはこちらの記事も参考にしてください。「困り→背景要因→サポート」を実践してみよう具体的な事例で考えてみましょう。以下のお子さまが、「園で庭遊びをやめて教室に戻る時間に、声をかけられると癇癪を起こす」という困りごとです。【お子さま】・5歳の女の子・ASD(自閉スペクトラム症)の診断・幼稚園の年中在籍【困りごと】・好きな遊びをなかなかやめられない・特に砂遊びが好きで、園では切り替えができず癇癪を起こしているお子さまは大好きな砂遊びをやめるように言われ、癇癪を起こしました。・なぜ癇癪を起こすのか?・なぜ砂遊びをやめられないのか?先ほどのフレームワークに当てはめて考えてみましょう。まず、「1.行動が起きやすい背景の分析」として、今回は不安とコミュニケーションという2つの特性との関係がありそうという見立てをして進めていきます。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部・不安いつまで続けられるか分からない、次にいつ遊べるか分からないという状況で遊びをとめられるとすごく不安になります。これが切り替えにくいということにつながっている可能性があります。・コミュニケーション手段嫌だと伝えるためのコミュニケーション手段を癇癪以外に持っていないということが考えられます。「もっと遊びたい」と伝えたいのに、うまく言葉で伝えられない場合、癇癪によって表現しているという可能性があります。また、「2.行動自体の分析」としては、癇癪を起こした結果、砂遊びが続けられたことがあったようです。お子さまにとっては、癇癪を起こすことで、望ましい結果が得られたということなので、癇癪という行動の頻度は増えます。このように、その行動の結果、つまりお子さまはどのようなことが得られたかということを考えると、行動の理由が分かりやすくなる場合があります。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部さまざまなサポート方法が考えられます。1.行動が起きやすい背景からサポートを考えるUpload By LITALICO発達特性検査 編集部「いつまで続けられるのか」という不安に対しては、残り時間が視覚的に分かるタイマーを活用する方法があります。事前に「あと5分で砂遊びはおしまいにするよ。タイマーがなったら教室に戻るよ」など具体的に伝えてタイマーをかけるという方法です。「ここまでは砂遊びができるんだな」と分かるので、見通しが持て、受け入れやすくなる可能性があります。「嫌だと伝えるためのコミュニケーション手段が癇癪以外にない」ということへの対応案の一つとして、絵カードで意思を伝える方法を教えていくという方法が挙げられます。その場合、「砂遊びはおしまいだよ。このあと、教室でどちらをしたい?」と聞いて「お絵描き」「鬼ごっこ」など、お子さまが選択して主張できる状況を作るのも一つの方法です。また、図のように砂遊びを続けるか終了するかの意思を聞く機会を作っていくことで、自発的に次の予定や行動を選ぶという経験につながります。まずは選択肢を提示してお子さまが選ぶところからスタートして、最終的にはお子さまが自分でカードを提示して次の遊びに移行できるようになるといいですね。コミュニケーションによって「やりたいことができる」という成功体験を積むことで、切り替えもしやすくなります。今回、背景要因についてこの2点に絞って分析しましたが、実際にはもっと複雑な場合も多いです。お子さまに合うように試行錯誤をしながら調整する必要があるという点にご注意いただければと思います。2.行動の前後に着目してサポートを考える「癇癪を起こした結果、砂遊びが続けられた」という行動の前後と結果についての分析からのサポート方法を考えます。行動自体ではなく、前後を変えることで行動が変わることを狙う方法です。こちらも先ほどの・タイマーで事前告知をする・絵カードで砂遊びをやめた後の教室での遊びを選択してもらうというサポートを例にして考えます。癇癪が起きやすい行動の前を「タイマーが鳴る」という事象に変えます。お子さまにとって「突然砂遊びをやめさせられる」という状況から「時間がきたからおしまい」と認識が切り替わります。こういった事前予告によって、行動の切り替えに対して受けとめやすくなります。必ずしも予告だけで効果が出るとは限りませんが、結果として癇癪が減る可能性があります。また、「砂遊びをやめたあと、教室に移動したら楽しい遊びができた」というように行動の結果に働きかけることで、ほかの選択肢を選んだり、促しに応じたりすることでもいいことがあると感じることができます。そういった成功体験を積み上げていくと、「砂遊びをやめてもいい」と切り替えやすくなります。結果として、癇癪を起こさなくてもいい状況につながっていきます。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部背景要因の洗い出しが難しいと感じたら背景要因を分析していくのは、フレームワークを使ったとしても慣れないうちはとても難しいことです。また、専門的な知識を要する場面も多いと思います。複雑な要因で起きていることも多いですし、すでに癇癪を強力なコミュニケーション手段として身につけている場合などには、対応はより難しくなると思います。そのような場合、保護者の方だけで対処するのは負担も大きいことでしょう。ここで重要なのが、家庭で抱え込まず、ツールや専門家などを頼って、負担を減らしていただくことです。地域の児童発達支援や放課後等デイサービス、児童発達支援センターなどの相談機関や支援機関、受診されている病院の医師や心理士さんなどに相談していただき、連携して対応を考えることをおすすめします。ただし、周りにリソースがない、相談できる人がいない、あるいは近くに相談機関があったとしても気軽に相談できない、時間が取れないという方もいるのではないかと思います。そのような場合には、インターネットなどで利用できるツールもあるので、ぜひ利用を検討していただければと思います。例えば、家庭からオンラインで受検できる「LITALICO発達特性検査」では、オンラインで質問に回答することで、お子さまの特性や背景要因の分析ができ、お子さまにあったサポートの方法が提案されます。「LITALICO発達特性検査」では、先ほどご紹介した「困り→背景要因→サポート」のフレームワークに沿って検査結果のレポートが提示されるように作られています。検査結果をヒントにしながら、お子さまの困りの背景要因や、それらへのサポート方法を考えたいという場合にはお役立ていただけるかもしれません。また、発達が気になるお子さまの保護者さま向けサービス「発達ナビPLUS」では、子育て解説動画や個別相談、LITALICOジュニアでも使われている7,000点の教材やライブ配信などを通して、オンラインで医師・心理師など発達支援にかかわるさまざまな専門家と繋がることができます。まとめ癇癪について、お子さまや状況にあった対応方法やサポートを見つけていくのは、簡単なことではないかもしれません。実際、その都度発生するお子さまへの対応の繰り返しで疲弊してしまうこともあると思います。少しでもお子さまへの対応の糸口を見つけるためには、行動そのものだけではなく、お子さまの持つ特性の高低や、行動の前後の状況を把握し分析することが大事になってきます。対応が終わって少し落ち着いたタイミングでも構いませんので、癇癪があったときの状況やその前後にどんなことがあったかなど、メモをとってみてください。いくつかたまったときなどに、今回ご紹介したフレームワークを参考に振り返ると、背景要因となっていそうなことが見つかるかもしれません。また、専門職に相談する際にも、このようなメモは役に立つかもしれません。分析をすることで、お子さまの状況や特性に合わせた対応方法が考えやすくなります。ぜひ、別の手段に置き換えられないか考えたり、癇癪を起きにくくするような環境調整の方法を探してみてください。もし、癇癪への対応が難しいと感じたら、ご家庭だけで抱え込まないことが重要です。先ほどご紹介した「LITALICO発達特性検査」や「発達ナビPLUS」などのツールの活用や、相談機関や支援者の方などの力を借りることもご検討ください。
2024年12月06日小5兄、小1弟、ついに兄弟一緒の運動会に!わが家は、現在小学校5年生でASD(自閉スペクトラム症)の診断がある兄のミミ、小学1年生の弟・ふーの二人兄弟です。ふーは児童精神科での診断はありませんが、ASD(自閉スペクトラム症)の傾向があると言われています。ふーが1年生になった今年、初めて兄弟一緒の運動会に参加することになりました。ふーにとっては初めての運動会になりますので、とても楽しみにしていました。一方ミミは、昨年4年生の時の運動会では帰宅後大号泣。5年生の今年はどうなるかと少し心配していました。高学年になった長男は裏方の仕事も!楽しく観覧できた運動会でしたが……Upload By taekoまず初参加のふー。ふーは最後まで楽しそうにダンスを踊り、徒競走も走っていました。よかったね。そして兄のミミは、高学年となったため用具の移動などのお手伝いといった裏方の仕事もやりながらの運動会。ミミは太鼓や大玉の移動をする担当だったようで、演目が始まる前にチームの数人で出したり、終わったら片づけをしていました。しっかり自分の役割をこなしていて大きくなったな~とほっこり。そして運動会前日、徒競走で「1位になる!」と宣言していたミミは、見事に1位に!体操も恥ずかしがりながらも頑張っていました。私は終始運動会をとても楽しく観覧できました。ですが……。運動会は大成功!だったはずが、帰宅した長男がなぜかシクシク泣き出して……Upload By taekoうちが通っている小学校の運動会は午前中で終わりです。昼過ぎ、先にふーが一人で帰宅しました。そしてその少しあとにミミが帰宅。「おかえり!」と明るく声をかけたのですが、ミミはなにも言わず家に入り着替えたあと、お昼ご飯も食べずに部屋の隅でシクシクと泣き出したのです。(え?なんで!?何があったの!?)と思う私。パパがミミに声をかけてくれたのですが、泣いている理由は言ってくれませんでした。その後私は、ミミが落ち着くまで隣の部屋で普段通りに過ごしました。1時間ほどしてミミが昼食を食べ始めてくれたので、少し安心しました。Upload By taeko食べ終えて、いつも通りのミミになった頃、なぜ泣いていたのかをミミに聞いてみたら、「うーん、暑くて疲れたから」とミミ。本当かどうかは分かりませんでしたが「そうだったんだね」とミミの言うことを受け止めることにしました。Upload By taeko今年も泣いたけれど、成長したなあ去年の運動会で、ミミの待機席の日差しが強く、暑くてつらかったと帰宅後に大号泣したことを思い出しました。今年も暑かったし、裏方の仕事もあった分余計疲れたんだろうなと思いました。ただ、去年ほど激しく泣きませんでしたし、1時間で自分で切り替えることができています。1年でやっぱり成長したんだなあ。来年も泣くかもしれませんが、また別の成長を見せてくれるのかなと思えました。執筆/taeko(監修:井上先生より)taekoさんが安心して見られた運動会だった一方で、暑い中での特に苦手な行事参加は、お兄さんにとって想像以上にハードだったのでしょう。お兄さんにとって弟も参加する運動会で頑張らればという意気込みもあったのかもしれません。毎年一つひとつの行事をこなしていく中で、ご本人が成長していく姿を感じながら、お子さんにもよかったところや頑張ったところをさりげなく伝えてあげると自信につながるのではないでしょうか。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年12月06日市の教育センターへ登校渋りの相談小学校入学当初から登校渋りが激しかった長男。1年生の10月頃にスクールカウンセリングを受けました。その時スクールカウンセラーの先生から、市の教育センターに不登校専門の窓口があり、そこへ相談へ行くことを勧められました。また、勉強への苦手さが強いようであれば知能検査の一つである「KABC-Ⅱ」を受けられることも教えてもらいました。当時は正直、いろいろなところへ相談へ行ってもあまり変わらないのではないかとマイナス思考でした。 でもやれることはやっておこうと思い、教育センターに予約をしました。Upload By ねこじまいもみ相談の予約はすぐに取れ、1年生の1月頃に訪れました。 相談員さんはとても理解を寄せて話を聞いてくださり中でも印象的だったことは、「長男は同じ直線を行ったり来たりする常同行動があり、学校ではそれをしないようにしている」と話した時、相談員さんが「落ち着くために動きたくなる気持ちを我慢して過ごしているなんてそれはしんどいよね。本当によく頑張っているんだね」と言ってくださったことでした。この話を今までここまで理解してくれる人がいなかったので、私はすごく嬉しかったし、改めて長男の頑張りを感じました。 さらに、本当に学校へ行けなくなった場合の居場所として教育支援センター(適応指導教室)があることなど教えていただき、何も知らなかった私は少し気持ちが楽になったことを覚えています。Upload By ねこじまいもみ検査結果を一人で聞きに行くと「KABC-Ⅱ」の予約はすぐには取れず、長男が2年生の6月に検査を受けました。検査は認知能力と基礎学力を推定し、学習の得意不得意を知ることができ、学校や家庭での支援に活かすことができると説明を受けました。約2時間の検査を終え、後日私1人で結果を聞きに行きました。長男はそれぞれの力にそこまで大きな開きはなく、全体的には平均だと言われました。 そこまで目立つわけではないが平均下は数字と書き。まさに私が苦手そうだなと感じていたことでした。 また、文章題や入り組んだ話など複雑な情報が苦手そうで、学校でも急な指示や全体の指示が聞けてない場面があるかもしれないと言われました。それも納得でした。さらに検査時の行動観察から、長男は独特な鉛筆の持ち方をしており、それも指摘されました。長男は自分がこうしたいというこだわりが強いため、鉛筆にしろ箸にしろ小さい頃から正しい持ち方を教えるのが困難でした。おそらくもう直せないだろうと思っていたし、本人もそれで良いと言っているのでなにもできずにいたのですが、改めてほかの人に言われると私の力不足だったかなと少し気にしてしまいました。 学校へ行かないと書く機会がグッと減るため、家でも積極的に書くことをやり、枠いっぱいにゆっくり書くことを意識すると字の上達につながるとアドバイスをいただきました。Upload By ねこじまいもみ検査結果に基づいて検査の結果をもとに、長男の認知様式に合った学習の仕方を教えてもらいました。 例えば漢字なら、「山」という字は山の形のようになっていて……とイメージを持たせてあげると覚えやすいことや、画数の多い漢字はパーツを分けて何と何が組み合わさっているかパズルを作って組み立てさせるのも良いこと、算数は問題文を図や絵にして視覚的に導いてあげると良いことなど教えてもらいました。 苦手と思っていることも学習の仕方で苦手ではなくなる場合もあり、個々に合った学習方法が見つけ出せると良いと言われ、私も大変勉強になりました。Upload By ねこじまいもみ検査を受けて良かったこと最初はピンと来ていなかったのですが、検査を受けて良かったと思いました。 のちに発達検査でも同じようなことを言われる特性もあったり、2年生から勉強のつまずきが見られるようになったのですが、検査で教えてもらったことを参考に私も教えたりできるようになりました。また、困った時は担任の先生にもこういうのが苦手なようで……と伝えやすくなり、先生が学習の仕方を提案してくださったり、一緒に考えてくださったりしたこともありました。現在4年生の長男。今でも苦手な単元はこういうやり方だと分かりやすいかな?と家庭学習の際は私の考えを提案してみたり、長男も成長するにつれて自分で試行錯誤し、「このやり方が僕には合ってるかもしれない」と言う場面も出てきました。苦手な科目を好きになるのは難しいし、無理強いすることではないと思いますが、分からなかったことが分かるようになった時は本人も喜んだり達成感を感じたりしています。勉強ができたり分かったりすることが長男にとっては登校へのモチベーションには直接は繋がらないですが、そういったことも何かのきっかけだったり、自信の積み重ねになっていくと思うので、長男に合った方法を模索しながら無理なくサポートしていけたらと日々思っています。Upload By ねこじまいもみ執筆/ねこじまいもみ(監修:初川先生より)長男くんがKABC-Ⅱを受検されたエピソードをありがとうございます。「検査を取る」という場合に、WISC-ⅣやWISC-Ⅴなどの知能検査をはじめに勧められることが多いと思います。WISCの場合、全体的な知的発達の水準や4つないし5つの観点から知的発達に関する得意不得意を見ます。WISCの受検によっても、学習の進め方、得意な学び方に関する事柄も出てきます。ただ、どの検査にも測れるものと測れないものがあり、WISCだけではお子さんのつまずきや困りごとを見るには不十分と専門家や支援者が判断したり、SLD(限局性学習症)が疑われる場合などにKABCも追加で実施されることが多いように感じます。さて、長男くんに関しては、視覚的に捉えて理解することのほうが、言葉での説明によって理解するよりも得意といった結果が出たようですね(※このあたりに関しては、WISCを受検しても同じような助言をもらうこともあります)。コラムに書かれていたように、漢字学習で視覚的イメージを活用したり、図形的に分解して覚えやすくしたりといったやり方がまずあります。そうしたやり方をほかの学習内容に関しても活用・応用していくことになりますが、ここは工夫や経験などによってさまざまなやり方を考え、実際にやってみる(試行錯誤する)ことになります。担任の先生はこうした学習方法に関してさまざまレパートリーをお持ちかもしれませんし、相談員の方もご存知かもしれません。保護者の方だけで考えてやっていくのも1つですが、相談しながら、お子さんに合うやり方を探っていくこともよいと思います。そして、長男くんは4年生になり、自分に合う方法はどんなものか試してみた際に「合う合わない」が分かってきているようですが、だんだん本人が「これは自分に合う」と感触を掴めるようになってきたり、「こうやってみたらできるかも!」と自分で工夫できるようになったりもします。まずは、周囲の大人が、お子さんに合うやり方を提案していき、ゆくゆくは本人が自分に合う方法を理解していく。このプロセスをぜひ歩んでいただけたらと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年12月05日幼稚園でのお友だちづくり。なかなかうまくいかなくて……Upload By プクティ長男は幼稚園に入園するまで、同年齢のお友だちがほとんどいませんでした。そのため、幼稚園に入ったら、長男がお友だちづくりに励む傍ら、私もほかのママさんたちと交流を楽しもうと意気込んでいたのですが……。Upload By プクティ長男はお友だちと遊ぶことはあまりせず、園庭で砂遊びをするなど、一人で遊ぶことのほうが多いようでした。お友だちとの関わり方が分からず、トラブルに!Upload By プクティ長男はお友だちに全く興味がないというわけではなく、気になるけれど、なんて声掛けをしていいか分からないようでした。お友だちとの関わり方が不器用な長男は、気を引くためにぶつかったり、身体を押したりという行動に出てしまっていました。するとお友だちは怒ったり、泣いたりして先生に報告するので、帰りの時に先生から指摘を受ける日々が続きました。そのたびに私も申し訳なさを感じ、ほかのママさんとの交流を避けてしまうことが多くなりました。発達に特性があることが分かってから、ママ友関係はさらに悩ましく……Upload By プクティ長男の発達に特性があることが分かってからは、余計にほかのママさんたちと距離を感じるようになりました。長男以外は定型発達のお子さんばかりだったので、ママさん同士の会話についていけないことが増えてきました。直接何かを言われたわけでもないのに、私がいることで会話しづらい部分もあるだろうと考えたり、迷惑を掛けていたらどうしようとマイナスな思考が出てきて、クラスの集まりに呼ばれても断ったり、ますます交流を避けるようになってしまいました。結局、長男が卒園を迎えるまで、ほかのママさんたちと深い交流をすることはできずじまいでした。安心して付き合える次男のママ友。当時を思い返してUpload By プクティその後、次男も幼稚園へ入園しましたが、今のところ発達に関して気になるところはなく、お友だちとも大きなトラブルはない様子です。長男の時にはいつも不安や申し訳なさが先に立って、安心して交流を楽しむことができなかった私ですが、次男の同級生のママさんたちとは、違った付き合い方をしているなと感じます。私にとって、少しほろ苦い思い出でもある長男のママ友関係。あの頃は、私も長男と同じように、関わり方が分からなかったように感じます。それはもしかしたら、私もまだ発達障害についてよく理解できていなかったからなのかもしれません。現在、長男は小学校の特別支援学級に在籍しています。未就学期に児童発達支援を受けたおかげか、お友だちとのコミュニケーションもとれるようになってきました。学童保育でも楽しく過ごすことができているようです。私も長男と共に成長しながら、これから先、また新たなご縁があるといいなと考えています。執筆/プクティ(監修:森先生より)プクティさん、ママ友付き合いの体験談をありがとうございます。1人目のお子さんですとママもすべてが初めての経験ばかりですから、考えすぎてしまったりしてうまく振る舞うことが難しいのかもしれません。お子さんとお友だちとのトラブルがあったと聞いたら、ほかのママとコミュニケーションを取るときも、関わり方が分からず緊張してしまいますよね……。お互いにどんなことを考えているかよく分からないと、コミュニケーションを取る時に不安になったり緊張してしまいますよね。お子さんがお友だちとトラブルになってしまったときは、お子さんと一緒にお友だちとそのママに謝って、「ごめんね、お友だちと仲良くしたくてぶつかっちゃったんだ。今度からは遊ぼうって言えるようにするね」と気持ちを伝えるようにしてみると、相手も安心できますし、お子さん自身も自分の気持ちやお友だちとの付き合い方を学ぶきっかけになるかもしれません。ただ、言うは易しで、実際に声を掛けることはとっても勇気が要ることですよね……。お子さんに発達障害があることが分かると、「この悩みを抱えているのは自分だけなのでは……?」と感じてしまって、さらに孤独に陥ってしまうママは少なくありません。でも、実は、発達に偏りがあるかどうかにかかわらず同じような悩みを抱えているママはとっても多いのです。楽しそうに話しているママたちが目立っていて自分だけが輪に入れていないように思われるかもしれませんが、実際には1人でいるママもいるでしょうし、育児やママ友づくりに悩んでいるママもきっといるはずです。お子さん自身も初めての経験、ママも初めての経験に戸惑いながら、一緒に成長していくのでしょうね。今ではママ友付き合いも安心してできていて、お子さんも楽しく過ごすことができているとのこと、とっても素晴らしいですね。これからもプクティさんとお子さんが一緒に楽しく過ごすことができるように願っております。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年12月05日お互いに苦手?13歳の自閉症長女と3歳の次男との関係は…広汎性発達障害(ASD・自閉スペクトラム症)の娘には、弟が2人います。Upload By SAKURA娘と5歳差の長男とは、今はとても仲が良く、よく同じ話題で盛り上がっています。しかし、10歳差の次男とは、以前もコラムで書いたように……仲が悪いというわけではないけれど、お互いを苦手とするような微妙な関係でした。しかし、以前のコラムから時が経ち、次男が2歳になると、イヤイヤ期の2歳児VS反抗期の中学生という最悪な組み合わせになり……次男がすれ違うだけで、長女を叩いたり……それに娘がイライラする、という気が抜けない関係になってしまいました。なぜこんなにも相性が悪いのか……。ASD(自閉スペクトラム症)の特性から「察する」のが苦手で次男を怒らせてしまう娘と、イヤイヤばかりで姉を拒否する次男というだけではなく、もっと何か原因があるのではないか。私は、2人の様子を見てみることにしました。毎日毎日もめる姉と弟。見ていて気づいたことは…毎日毎日もめる2人を見ていて、あることに気がつきました。娘は、次男の行動を注意ばかりしていたのです。それに対して次男が反発し、それにイライラした娘がまた注意するという負の連鎖でした。私は娘に注意する意図を確認することにしました。Upload By SAKURAなんと娘は、10歳年下の弟のことを姉としてしつけなければならないと考えていたようでした。驚きましたが、今までの次男に対する行動や発言のすべてに納得できました。Upload By SAKURAそれから、娘の次男への態度は急激に変わりました。愛でて……Upload By SAKURAおだてて……Upload By SAKURAとにかく次男に甘くなりました。そんなことを続けてしばらくした頃、次男が……Upload By SAKURA次男が娘に自分から抱きつくなんて、信じられない光景でした。それから、次男は娘に自分から近づくようになり、Upload By SAKURAとにかく姉を、尊敬するようになりました。すると娘も、今まで次男のことを嫌がっていたのが……Upload By SAKURAと、次男を好きなんだと伝わることをよく言うようになりました。もともと人に対してあまり興味のなかった娘がこんなことを言うようになるなんて……。これで3きょうだい関係は安心!……と思いきや、今度は、今までうまくいっていた同性同士の2人に暗雲が……。Upload By SAKURA今まで次男が小さいからと、いろいろ譲ってくれていた長男でしたが、次男の力が強くなり、体も大きくなったことから、やり返すようになりました。2人が遊び始めると、いつも喧嘩が始まります。一難去ったけど、また一難(笑)長男と次男の場合は、同性同士だし、なんだかんだ喧嘩しても引っつくので、そこからお互いにいろいろ学んでくれと思いながら、見守る私です。執筆/SAKURA(監修:室伏先生より)SAKURAさん、ほほえましい姉弟関係を共有いただき、ありがとうございました。弟さんへの注意は、お姉ちゃんとしての責任感や正しいことを教えてあげたいという想いからきていたんですね。その行動を観察し、疑問を投げかけながらお気持ちを理解され、関係性を良好にする言葉かけをされたSAKURAさんの姿勢、見習いたいです。お子さんの気持ち、考えを尊重するためには、まずそれを正確に理解するための観察と会話が欠かせないということを改めて気づかせていただいたエピソードでした。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年12月04日「なぜ?」に着目して癇癪への対応を考えよう作業療法士の野田遥です。LITALICO発達特性検査の研究・開発に携わっています。今回は2024年の夏に開催したLITALICO発達特性検査のオンラインセミナーでの講義内容を再構成し、「なぜ?癇癪(かんしゃく)が起きるのか?」に着目した対応方法について、基本となる考え方をお伝えします。イベントの内容やLITALICO発達特性検査について、詳しく知りたい方は以下の記事を併せてお読みください。この記事では、怒りや不安、欲求不満などの感情によって、気持ちや行動のコントロールがうまくできなくなった状況のことを癇癪と呼ぶこととします。お子さまの癇癪は、子育ての大きな悩みの一つであり、対応が難しいと感じている保護者の方も多いかもしれません。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部保護者の方にとって、お子さまの癇癪は止めたい、起きないように予防したいものだと思います。今回は、この「なぜ?」に着目した考え方に沿って、癇癪が起きたときの対応、また減らすための対応方法について、詳しくご紹介します。前回の記事では「癇癪がなぜ起こるか」についてお伝えしました。・興奮の波に影響される・コミュニケーションの手段が少ない・お子さまに癇癪と関係しやすい発達特性があるなど、癇癪が起きる仕組みやきっかけになりやすいことがあります。これらの中からお子さまの場合、関係していそうな要因はないかを考え、理解することが最初のステップになります。「なぜ癇癪が起きているか?」、つまりお子さまにとって癇癪がどのような機能を持つかを考えた場合、その行動は「何かを伝えたい」という誰もが持っているコミュニケーションの一つの形でもあります。そう考えると、癇癪という手段に頼らなくても自分の気持ちや要求が伝えられるようになったり、興奮の波をある程度コントロールできるようになることが、癇癪を減らしていくことにつながります。基本となる癇癪への対応方法癇癪の前後や最中には、お子さまは興奮状態にあると言えます。まずは、この興奮に対してアプローチする方法を2つご紹介します。癇癪が頻繁に起きる場合、お子さま本人が自分で気持ちを落ち着けるのは難しいことが多いです。お子さま自身に頑張ってもらうこと以上に、周囲の大人の対応の仕方や環境調整によって、落ち着きやすい状態にすることが対応の基本になります。以下で詳しく見ていきましょう。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部癇癪の要因となる興奮を抑えるために、刺激の少ない状態にするということがポイントです。焚き火にガソリンを注ぐとどんどん燃え、周りに燃えるものがなくなってくるとだんだん火は鎮火してきます。癇癪も同じで、興奮の燃料となる刺激をなくしたり、減らすことが重要です。癇癪を起きにくくするだけでなく、癇癪が起きたときにも、再燃させる刺激がなければ、時間経過とともに癇癪や気持ちの興奮もだんだん落ち着いていきます。そのため、癇癪が起きたときに刺激のないクールダウンルームやスペースを利用するということが有効な場合があります。専用の部屋や設備をしっかり作らなくても、工夫することでご自宅や園・学校などでもクールダウンのスペースを作ることができます。例えば、教室の後ろに大きめの段ボールを置き、切り抜いて扉を作ることでクールダウンスペースにする方法があります。ちょっと気持ちがしんどくなってきたときや、気持ちのコントロールが難しそうだな、というときにお子さまが自発的に中に入れるようにしておきます。そうすると、癇癪が起きたときにクールダウンを促したり、癇癪が起きそうなときにお子さまが自ら選択して刺激を避けることができます。落ち着くことにつながる活動も有効です。落ち着きやすい活動はさまざまな選択肢があります。お子さまに合ったリラックスできる方法がないか探してみてください。・水を飲む・仕切られた空間で横になる・お気に入りのぬいぐるみを触るなどほかの活動をして気をまぎらわすというのも一つだと思います。単調なことをしたり、好きな活動をすると、落ち着いてくることがあります。・緩衝材のプチプチを潰す・好きな本や音楽を聴くなどここまで2つあげましたが、何より大事なのが安全確保です。投げて怪我をしそうなものなど、周りに危険なものがないようにしておく、自動車などが通る場所であれば移動するといった対処や、壁に頭を打ちつけるなどの行動が見られるときには、お子さまが怪我をしないよう専門家に相談しながら対応を考えていく、調整していくということが必要になるかもしれません。また、本人だけでなく、保護者の方やきょうだいなど、周りの方の安全確保も大事です。年下のきょうだいがいる場合、怪我をしたり巻き込まれたりしないよう特に気をつけたいポイントです。お子さまが成長するにつれ、力が強くなっていくこともあるので、より安全確保が重要になってきます。興奮状態のお子さまを抑えて安全を確保するのが難しい場面もあると思います。ぜひ、保護者さまだけで抱え込まず、周囲や専門家に相談していただければと思います。癇癪を減らしていくためのヒント予防的に取り組めることの一つとして、直接的に癇癪にアプローチするだけでなく、癇癪以外の行動や選択肢を増やすようなアプローチを取ることが考えられます。充実した時間を過ごすことができていると、癇癪が起きるような状況が減ってきたり、興奮や不快な刺激が少なくなったりすることがあります。反対に、手持ち無沙汰でほかにすることがない場合や、楽しめる複数の選択肢がないと、切り替えのタイミングで癇癪が起きることも多いですね。例えば排水溝にものを落とす遊びが好きで、ほかの遊びにあまり興味がないというお子さまの場合、それを止められてしまうと「ほかに自分にとっての楽しいことがないから、楽しいことを奪われた」という気持ちがすごく強くなるでしょう。しかし、ほかにいろいろな遊ぶ手段があれば、「別の遊びをすればいいか」「排水溝から離れても楽しいことがある」などと切り替えやすくなるかもしれません。そういった意味で楽しくできることの選択肢を増やすというのが重要です。癇癪を起こしていない時間が長く、充実していることが、癇癪を減らすこと自体につながるのです。また、選択肢を増やしていくという意味では、癇癪を別の行動に置き換えたり、気持ちを切り替えてみた結果、いいことがあった、という経験を増やして実感できるようにするのもポイントです。選択肢をどう作るかのポイントとしては、興奮するような楽しいことだけでなくて、落ちついて楽しめることを見つけることです。「落ち着くことにつながる活動をする」でご紹介したような、リラックスできるような状況や手段を増やすことが大事になってきます。癇癪につながるサインに応じて、癇癪が起きる前の対応も重要です。興奮の波をキャッチして、癇癪の前兆の段階で落ち着けるような関わりをしてクールダウンしていくというのが大事になってきます。癇癪の前兆のサインは「モジモジしている」「動きや声が大きくなる」などお子さまによってさまざまです。起きている時や事前にどういうことがあったかなどを分析すると、こういう時に起きやすいんだな、というパターンが見えてくることがあります。「よく起きるな」というときの状況や様子をメモなどにして書き溜めて振り返ってみるといいかもしれません。癇癪が起きている間に気をつけること癇癪を起こしている際は、いつもなら受け入れられる内容でも刺激になってしまう場合があります。興奮して怒っているときや、納得できていないときに正論を言われても、注意したことが刺激となって、かえって癇癪が収まりにくくなることもあります。もちろん安全確保は必要ですが、まずは気持ちを落ち着けることを優先した方がいいかもしれません。説明が必要な点については、落ち着いて話ができるようになってから伝えるといいでしょう。癇癪をやめさせるためにお菓子やおもちゃを与えると、その場では収まりやすいかもしれません。特に長い時間癇癪が収まらないとき、気分がなかなか切り替えられないとき、外出先でどうしても収めたいときなどには、つい、頼りたくなってしまいますよね。ですが、その後、それが欲しくて癇癪を起こすというふうに意味合いが変わってくる可能性があります。「癇癪を起こしたら欲しいものが手に入った」という経験から、お子さまが菓子やおもちゃを欲しいときに癇癪を起こすということを学習し、要求のコミュニケーションとして癇癪を用いるようになるということです。ここでポイントとなるのが、欲しいものをあげることがよくないのではなく、「癇癪を起こしたからあげる」というのは避けた方がいいということです。反対に、事前に約束したご褒美であれば有効だと考えられます。例えば癇癪が起きる前に、「歯医者さんで頑張ったら、おもちゃを用意しているからね」と事前に提案しておいて、できたらご褒美をあげるというのは、苦手なことだけど必要なことに取り組んでもらうためにはとてもいいと思います。ご褒美の仕組みや取り入れ方については、以下の記事も参考にしてください。まとめ今回のコラムでは、オンラインセミナーでお伝えした内容をもとに、癇癪についての基本となる対応方法をお伝えしました。取り入れられそうなものがあれば、試してみてください。とはいえ、癇癪は、解決するのがとても難しいお悩みの一つです。対応する保護者の方にとって、家庭で抱え込んでつらくなってしまうこともあるかもしれません。癇癪が起きる要因は複雑で分かりにくい場合もあります。具体的に分析し、どのようにサポートするか方法を考えるハードルもあるでしょう。そのような場合には、相談機関や支援者の方への相談をお勧めします。近くに相談できる場所がないという場合には、サポートの方法のヒントが得られるオンラインツールなど、負担を減らす方法を検討するといいでしょう。発達ナビにもいくつかの選択肢があります。活用できるものがないか探してみてください。
2024年12月04日育児で毎日イライラ、感情的に怒って後悔……どうすればいい?発達障害のあるお子さんの育児をしていると、イライラしてしまうことってありませんか?私はあります。ほぼ毎日です。自分で言うのもなんですが、私は自分のことを穏やかな性格だと思っていました。育児を始めるまでは。子どもに対する怒りをどうにかしないといけないと強く感じたのは、たーちゃんが2歳半くらいの頃でした。何度言っても帰宅してから手を洗わない時期で、「手を洗おうね」と私が言うだけで毎回のようにたーちゃんは癇癪を起こしていました。道中気になるものはなんでも触ってしまう2歳児。土を触っては泥にまみれ、ガードレールを触っては肌を真っ白にしていました。正直、かなり汚い手です。衛生的にも良くないですし、洗わなくてもいいルーティンが身につくのもどうかと私は思っていました。Upload By みかみかんなので、手を洗わずにそのままリビングに入ることは私が許せませんでした。どうしても言うことを聞いてくれない時には、泣いて嫌がるたーちゃんを強くって無理に手を洗わせたこともありました。しかし、感情に流されてたーちゃんを怒ってしまった後には、いつも後悔があり……。「どうして、こんな小さな子どもに怒鳴ってしまったのだろう」「ASD(自閉スペクトラム症)特有のこだわりかもしれないから、私は根気強く頑張らないといけないのに」そんなふうに自分を責めたり、落ち込んだりしていました。Upload By みかみかんカッとなってしまうのをやめたい!対処法を調べてみたそして、「このままではいけない」「カッとなってしまう自分をどうにかしよう」と対処法を考えるようになりました。まず、インターネットでアンガーマネジメントについて調べました。記事を参考にして、どうして怒ってしまうのかを自己分析し、怒ってしまいそうになった時、どうしたらいいかを書き出しました。Upload By みかみかん私がどうして怒ってしまうのかという理由は、・毎日何度言っても改善されず、いつまで続くのかと思う・私は早く家事をしたいのに、癇癪に付き合わないといけない・部屋を汚されるのが嫌だ……等々でした。冷静な時に考えれば、どれもたーちゃんを激しく叱る理由にはならないと気づかされました。試した結果しっくりきた、私なりの怒りへの対処法は?結局、私とたーちゃんの関係でうまくいった怒りへの対処法は、「しばらく離れる」ことでした。帰宅して「手を洗おう」と誘うとすぐに癇癪が始まるので、安全な玄関や廊下でしばらくそっとしておく。↓自分は先に手を洗い、癇癪が落ち着くまで少し離れたところで見守る(その時の私の気持ちは「無」です)。↓たーちゃんが落ち着いてから、手を洗うのを手伝う。Upload By みかみかんこの方法を試してみると、距離をとっているおかげか、私のイライラや怒りがかなり穏やかになりました。たーちゃんにとっても、気持ちの整理は自分でするというトレーニングになったと思います。また、癇癪をおこしているたーちゃんの言葉には無理に返事をしなくてもいいと自分で決めていました。癇癪中のたーちゃんには全てが刺激になってしまう様子だったので、とにかく見守ることだけを徹底し、自分はリラックスした状態を維持するように気を付けました。それでもついカッとなってしまいそうになったら、洗面所に逃げていました。さらに、時間にゆとりを持つようにして、大人の都合でイライラしてしまうことを防ぐようにしました。早めに帰宅したり、夕食の支度を済ませておいたりして、癇癪が落ち着くまでの時間を気にせずいられるように努めました。Upload By みかみかん思い通りにはいかない育児。怒鳴りたくなってしまったり、カッとなってしまったりする保護者の気持ちは痛いほど分かります。だからこそ、「こうしなくちゃいけない」という決めつけをなくし、育児のハードルを下げてみようと私は思うのです。子どもが泣いて暴れているのに対応しないように見える私は、傍から見たらひどい親かもしれません。それでも、激しく叱りつけるよりはマシだと思っています。家族みんな元気で生きていたらOK!と肩の力を抜いて育児ができれば、カッとなることも減るのではないでしょうか。いつも心穏やかに育児をすることは難しいですが、自分の怒りを子どもに向けることなく過ごすために、私は努力し続けようと思います。執筆/みかみかん(監修:新美先生より)お子さんの癇癪に、カッとなることをやめようと工夫されたエピソードを聞かせていただきありがとうございます。日々の育児の中で、お子さんの言動に、カッとなってしまうことは誰でもありますよね。怒ってもどうにもならないと思っても、その場になると毎回イラっとして怒ってしまってから後悔することもあるものです。みかみかんさんは、自分がなぜカッとなるのかについて、冷静に自己分析されたのですね。これってなかなかできないことですが、とてもいいやり方ですね。子育ても相性なので、お子さんの言動に自分がカッとなるのには自分のこだわりポイントが潜んでいるということはよくあります。子どもに対してこうしてほしいという思いであったり、自分自身のこだわりや苦手さ(例えば、部屋が片付いていないといやだとか、子どもの泣く声がつらい)などがあったりすることもあります。そのこだわりポイントやこうなってほしいという思いに対処するには、「カッとなって怒る」以外にどのようなやり方があるかなと考えてみると発想転換ができることもあります。記事に書いてあったように、癇癪時に「しばらく離れる」というのは良い対処法ですね。癇癪を起こしているときに、声をかけたりもっと大きな声で怒ったり、逆になだめたりしてもあまり効果はありません。むしろ刺激を減らしておさまるまでそっとしておくほうが早く落ち着くことも多いものです。危険がなければ少し距離を置いて関わらないようにするのはお勧めです。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年12月03日教室にいられなかった小1のリュウ太の特別スペースUpload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。ADHD(注意欠如多動症)とASD(自閉スペクトラム症)の息子リュウ太は小学1年生の時、なかなか教室で授業を受けることができませんでした。そのリュウ太のために担任の先生は、階段がある廊下の一角にリュウ太専用の特別スペースを作ってくれました。その場所は、リュウ太だけが使えるルールになっていました。周りの人の目が気にならないようにホワイトボードを衝立代わりにしてあり、個室のような空間でした。また「リュウ太くんがこの場所にいるときは、リュウ太くんに話しかけない」というルールも作ってもらっていました。Upload By かなしろにゃんこ。リュウ太は、みんなと一緒に教室で何の問題もなく勉強していると信じていた母の私は、その特別スペースの存在を最初はよくは思っていませんでした。でも、母の気持ちとは真逆でリュウ太にとってはオアシスそのもの。一畳分の広さしかない場所でしたが、リュウ太はその場所がお気に入りだったと言います。17歳になったリュウ太に当時のことを聞いてみるとUpload By かなしろにゃんこ。リュウ太が専修学校の高等課程2年生の時に「あの特別スペースをどう思っていたの?」と聞いたことがありました。すると「あの場所大好きだったんだよね。教室はいろいろな音がうるさくて落ち着かないし、勉強よりも絵や工作をやりたかったから。その場所では自由に好きなことをやってOKだったから、午前中はだいたいそこにいたよ」と話してくれました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。私はリュウ太が小学1年生の頃は知らなかったのですが、リュウ太には感覚過敏があり、教室に居られなかった原因はどうも感覚の問題もあったようでした。教室では「いろいろな音が同時に耳に入ってくる」「みんなの話し声がうるさくて勉強なんて無理」「暑かったり、まぶしかったり、汗で体がかゆくなったり、体の不快感がたくさんあって先生の話に集中なんてできない」……などなど困った状態であったと教えてくれました。これらの不快な症状があるときにクラスメイトからからかわれたり、ちょっかいを出されると一気に我慢していた心が崩壊してしまい、周りの子に怒鳴ってしまったり大きな声を出してしまったり、イライラしてしまうと教室に居られなくなっていたと言うのです。「あの場所がある」イヤなことがあっても学校に通えたUpload By かなしろにゃんこ。そんなときに特別スペースで気持ちを落ち着けることができたそうです。教室が暑くてツライとき廊下は涼しく気持ちがよくてサイコー!そして、一人で好きなことをやってOK!というルールだったから、イヤなことがあっても「僕にはあの場所がある」と学校に通えたみたいです。落ち着く場所ということ以外にもリュウ太にとっての安全地帯だったのかな?と思います。小学2年生からはそのスペースはなくなってしまいましたが、廊下の心地よさを知ったリュウ太はその後廊下で過ごすのが大好きになっていきます。そのお話はまた次の機会に書きたいと思います。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:井上先生より)教室の環境が合わないお子さんに対して、避難できる場所を作るということはときどき行いますが、階段の下というのはめずらしいですね。こういった場所を作ると“みんなと同じ教室に入れなくなるのでは”という懸念を抱く保護者の方もいらっしゃるかもしれませんが、その場所があるから学校に行けたり、登校を維持できる場合があり、お子さんにとって大切な場所です。リュウ太さんのように一時的にはこういうスペースにいるけれども、最終的にはみんなと一緒に勉強ができるようになっていくという事例もあります。またそのプロセスもお知らせいただけるとうれしいです。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年12月02日癇癪の対応は難しい作業療法士の野田遥です。LITALICO発達特性検査の研究・開発に携わっています。今回は、2024年の夏に行ったLITALICO発達特性検査のオンラインセミナーでの講義内容から、特に保護者の方の関心の高かった癇癪(かんしゃく)について、講義内容を再構成して詳しくご紹介します。イベントの内容やLITALICO発達特性検査について、詳しく知りたい方は以下の記事を併せてお読みください。今回開催したオンラインセミナーでは、保護者の方の子育てに関するお悩みや、お子さまの困りについてをテーマに取り上げました。なかでも、事前の質問や当日の質疑応答では、癇癪に関するお悩みがたくさん寄せられました。お子さまの癇癪について悩まれる方が多く、またその困っている度合いも強いのだろうなと実感しました。まず前提として、癇癪への対応は簡単ではないと感じています。ご自宅だけでなくて、園や学校、外出先で困った経験のある保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。日々の中で、お子さまの癇癪が繰り返し起きると、全てにうまく対応するのはとても難しいです。仮に周りから「こうしたらいいよ」などと言われても、そう簡単に実践できないこともあるでしょうし、試してもうまくいかない場面が多いかもしれません。結果として、対応する保護者の方も、気持ちをうまく処理できなかったり、怒りがちになったりすることもあるでしょう。また、お子さまの癇癪について、癇癪の程度や頻度が高く特別なサポートや対応が必要なものなのか、それとも成長の過程で必要な一過性なものなのかなど、判断に悩む方もいらっしゃると思います。そのような場合、癇癪がなぜ起きているかに着目することで、対応のヒントが得られるかもしれません。今回は、癇癪が起きるメカニズムと癇癪に影響しやすい要因などについてお伝えします。癇癪についての理解を深め、対応方法を考える一助になれば幸いです。癇癪とははじめに、癇癪とはどういう状態を指すのか整理します。ここでは、怒りや不安、欲求不満などの感情によって、気持ちや行動のコントロールがうまくできなくなった状況のことを癇癪と呼ぶこととします。◾️癇癪が起きた際の行動例・声を荒げて泣く・激しく奇声を発する・手足をバタバタする・床に寝転がる・ものを投げる・足を踏み鳴らすなどまず始めに伝えたいのは、興奮しているときには癇癪が引き起こされやすいということです。興奮のレベルは常に変動しています。興奮のレベルが高い状態から寝起きのような低い状態まで、同じ人でも常に変動していて波があります。重要なのは、この波の振れ幅や繰り返しのスパンには個人差があるということです。強い興奮が起きやすかったり、頻繁に興奮のレベルが変わったりする人がいるということです。なぜ、興奮状態に癇癪が起きやすいかというと、興奮して感情的になっているときには普段できることもできなくなるからです。いつもは優しい口調で話せているのに、疲れてイライラしている時には意図せず強い口調になってしまうことは、誰もが経験することではないでしょうか。コミュニケーションの複雑さという観点で考えると、叩く・叫ぶというのは比較的単純な方法です。発達するにつれて、以下の図のように単語で伝える、短文で伝えるなどレベルが上がっていって、最終的には交渉するといった複雑なコミュニケーションができるようになっていくわけです。お子さまによって習得状況は違うと思うのですが、例えば、普段だったら「やりたくない」と口頭で意見を言えているのに、興奮状態の場合はその複雑なコミュニケーションができず、より容易な手段である「叩いて拒否する」、「泣き叫ぶ」という行動しか取れない場面があるかもしれません。普段できる行動が取れなくなりとった行動が、結果的に「癇癪」だったのかもしれません。このように、興奮と癇癪に関連性があると捉えると、興奮しやすい状況を把握し、興奮に至る前にクールダウンするなど、興奮の波のサインを把握して対応するということが、癇癪を引き起こさないために重要になってきます。お子さまにどのような興奮の波があって、どういうタイミングに興奮状態が起こりやすいか、ということを知ることで、癇癪へのアプローチの手段が増えてくるのではないかと思います。癇癪はなぜ起きるの?影響しやすい3つの要因癇癪がコミュニケーションに用いられてしまうのはなぜか?ということについて、押さえておきたい観点が3つあります。どうして癇癪が起きるのかというと、大きな理由の一つとして、要求を伝え、叶えるためのコミュニケーションの難しさがあげられます。誰もが小さい頃は癇癪のような行動をしていたと思います。例えば赤ちゃんは、生理的な不快がある時、泣きます。赤ちゃんには不快という状況に対して反応する方法がほかにないので、泣くことで示します。癇癪も同じで、不快だという感情を伝えるための手段として泣いたり、行動の形で示すことを機能としています。ほかに訴える方法がなく、泣くことや癇癪で要求を伝えていたお子さまも、年齢が上がってくるにつれて、ほかのコミュニケーション手段が増えていくため、結果として癇癪が減る場合が多いのです。一方で、うまく伝える方法がなかったり、気持ちのコントロールが難しかったりする場合には、癇癪を継続したり頻度や激しさが高まる場合があるかもしれません。ただし、年齢が小さい時とは、コミュニケーション手段としての使い方や意味合いが変わってきている場合があります。単に不快さを伝えるシンプルな意味から、「お菓子が欲しいから」「遊びをやめたくないから」「その場所に行きたくないから」といったように、何かを獲得するため・嫌なことを回避するためといった、複数の意味を持つコミュニケーション手段として癇癪が使われている可能性があります。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部癇癪は成長とともに落ち着いていくことが基本的には多いです。気持ちのコントロールが上手になってくるだけではなく、癇癪ではない形のコミュニケーションの手段を獲得していくからです。先ほど「赤ちゃんはみな泣いたり癇癪を起こしたりして不快を伝える」という例えをしましたが、言葉の発達に遅れがあったり、伝えたい事に対してコミュニケーション手段が十分に獲得できていなかったりする場合は、ほかに要求を伝える手段がないから癇癪になりやすいとも考えられます。また、年齢が小さいお子さまは体が未発達なこともあって、まだできないこと、思うようにいかないということが多く、失敗体験をしやすいことも、癇癪につながりやすい要因の一つかもしれません。癇癪が起きやすくなる要因として、発達特性が関与している場合があります。例えば以下のような苦手なことがあると、要因1の興奮しやすさや、要因2の癇癪以外の適応的なコミュニケーションをとるのが難しいなどにつながりやすい可能性があります。その結果として癇癪となって現れるということもあります。・気持ちのコントロールが難しい・相手の意図を汲んだり、他者と自分意見を擦り合わせたりするのが苦手である・環境の変化に弱い・感覚の過敏さがある先ほど、年齢が上がることで癇癪が落ち着くことがあるとお話ししましたが、年齢が上がっても継続することがあります。その要因としては、「癇癪を起こせば思いが伝わる」など、癇癪がコミュニケーション手段として強固に身についている、ほかにコミュニケーションの手段がない、上記のように環境と特性がうまく噛み合わず、癇癪が起きやすい状態がある、などが考えられます。このような場合には、特性に合った対応や支援がより必要になるかもしれません。今回は、オンラインセミナーでお伝えした内容をもとに、癇癪が起きる仕組みや影響しやすい要因をお伝えしました。「なぜ癇癪が起きているのか?」という観点で振り返ってみると、もしかしたらお子さまの行動に影響している要因のヒントが見つかるかもしれません。とはいえ、癇癪は、解決するのがとても難しいお悩みの一つです。対応する保護者の方にとって、家庭で抱え込んでつらくなってしまうこともあるかもしれません。また、具体的に要因を探ったり、どのようにサポートするか方法を考えたりするにはハードルもあるでしょう。そのような場合には、相談機関や支援者の方への相談をお勧めします。近くに相談できる場所がないという場合には、お子さまの特性や背景要因、サポートの方法などのヒントが得られるオンラインツールなど、負担を減らす方法を検討するといいでしょう。発達ナビにもいくつかの選択肢があります。活用できるものがないか探してみてください。
2024年12月01日双極性障害(双極症)とは?原因や症状、ADHD(注意欠如多動症)との関連は?双極性障害(双極症)は、気分が極端に昂揚する躁状態と極端に落ち込む抑うつ状態を繰り返す精神疾患です。躁状態では、以下のような症状が見られます。・気分が高揚し、いつもより活発になる・睡眠時間が短くても平気・いつも以上に自信満々で、後先のことを考えずに行動してしまう・集中力が途切れやすく、一つのことを長く続けるのが難しい・衝動的な買い物やギャンブルをすることがあるなど一方、抑うつ状態では、以下のような症状が見られます。・気分が落ち込み、何もやる気が起きない・眠れない、または逆にいつも眠たい・食欲がない、または逆にいつもお腹が空いている・疲れやすく、身体が重い・何もかも嫌になり、自己否定的な考えが頭をよぎるなどこれらの症状は、人によって現れ方や程度が異なりますが、躁状態とうつ状態が交互に繰り返されることが特徴です。参照:双極性障害|MSDマニュアル家庭版双極性障害(双極症)は、状態によって1型と2型に分けられます。「双極1型障害」と診断されるのは、非常に高いエネルギーレベル、睡眠の必要性の低下、自己への過大評価、衝動的な行動など、日常生活に著しい支障をきたすほどの激しい「躁状態」がおこる場合です。双極1型障害では「うつ状態」(強い悲しみ、無気力、食欲不振など)も起きる場合がほとんどですが、躁状態があれば、うつ状態がなくても双極1型障害と診断されます。双極1型障害ほどの激しい躁状態ではなく、やや高揚した気分、多弁、活動量の増加などが見られる「軽躁状態」と、1型と同様の「うつ状態」の両方がおこる双極性障害(双極症)は「双極2型障害」と診断されます。双極性障害(双極症)の原因はまだ明らかになっていませんが、体内でつくられるノルアドレナリンやセロトニンなどの神経伝達物質の調節がうまくいかないことが原因の一つではないかと考えられています。双極性障害(双極症)は、ストレスを感じるような出来事のあとに発症する場合がありますが、因果関係は証明されていません。また、双極性障害(双極症)の発症には遺伝が関与していると考えられています。そのほか、甲状腺ホルモンの量が過剰になる甲状腺機能亢進症などの病気によって、双極性障害(双極症)の躁症状が見られることもあります。このコラムでは、・双極性障害(双極症)とADHD(注意欠如多動症)との関連・双極性障害(双極症)の注意すべき症状や関わり方のポイントなど、医師のアドバイスを交えてご紹介します。【医師に聞く】双極性障害(双極症)は子どもでもなるの?ADHD(注意欠如多動症)の症状と似ている?気になるギモンを医師が分かりやすく解説!ここからは小児科医の藤井明子先生に、双極性障害(双極症)とADHD(注意欠如多動症)の関連についての質問にお答えいただきます。Q:ADHD(注意欠如多動症)と診断された子どもがいます。双極性障害(双極症)を併発することがあると聞きましたが、子どもでも併発することがあるのでしょうか。A:ADHD(注意欠如多動症)やASD(自閉スペクトラム症)などの発達障害と双極性障害(双極症)が併発することもあります。ADHD(注意欠如多動症)と双極性障害(双極症)のどちらがメインなのかを診断するのは難しく、症状や経過を丁寧にみる必要があります。ADHD(注意欠如多動症)の診断には、幼少期、幼稚園の年長くらいまでの間に、何か兆候がなかったかを重点的に確認します。大人になってから急に発達障害があらわれることはありません。一方、双極性障害(双極症)の初発年齢は10代後半から20代前半が多いと言われています。小児期(10歳以下)での発症は稀ですが、報告例があります。幼い子どもにおいては、症状が非典型的であることが多く、診断が難しい場合もあります。Upload By 発達障害のキホンQ:ADHD(注意欠如多動症)と双極性障害(双極症)は重複する症状があり、診断が難しい場合があると聞きました。治療法には違いがあるのでしょうか?A:子どもの双極性障害(双極症)とADHD(注意欠如多動症)では、似ている症状が見られることがあります。Upload By 発達障害のキホンまた、双極性障害(双極症)と診断される特徴的な症状としては、以下のようなことが挙げられます。Upload By 発達障害のキホンADHDに対する治療薬(メチルフェニデート、アトモキセチン、グアンファシンなど)は多くの場合有効ですが、双極性障害(双極症)を伴う場合、躁症状の悪化を招く可能性があります。双極性障害(双極症)の治療薬(気分安定薬、抗精神病薬)を併用することで、症状のバランスをとる必要があります。Upload By 発達障害のキホンQ:高校生の子どもが双極性障害(双極症)と診断されました。どんな点に気をつけてサポートすればよいでしょうか。A:双極性障害(双極症)は躁状態と抑うつ状態を繰り返す病気であり、これが日常生活や人間関係に影響を及ぼします。家族が、病気の特徴を理解し、適切に対処することが大切です。双極性障害(双極症)は生活リズムが崩れることで症状が悪化しやすいといわれています。規則正しい生活を維持できるようにしましょう。また、症状を悪化を引き起こす環境がないか、学校との連携も大切になります。双極性障害(双極症)は、治療を継続することが安定した生活を送るために不可欠になっていきます。薬物療法を継続してできるように、サポートしていきましょう。Upload By 発達障害のキホン双極性障害(双極症)、ADHD(注意欠如多動症)にまつわるコラム(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年11月30日夏休み明けの次女の様子夏休みに、しっかりダラダラして休むことができた次女。2学期が始まってからも、夏休み前と同じく週1回程度学校をお休みするようなペースで登校していました。相変わらず、毎朝付き添い登校が必要で、だるくなってしまうこともありましたが、家での次女の様子を見ていると、夏休み前とは少し変わってきたなと感じる部分もありました。「だるいからお風呂で髪を洗うのを手伝って」など、自分でやっていたことまで母である私に頼んだり、体調不良を訴えたりする頻度が減ってきて、夏休み前より明らかにラクに過ごせているように見えました。Upload By まりまりそろそろ対応変えてみても良いのかも……?と、以前の失敗そんな次女を見て、そろそろ勉強面に手をつけてみても良いのかも……と思いました。それまでの次女は、学校に行っているだけで精一杯で、勉強に手をつけられるような状態ではありませんでした。それにもかかわらず、私自身の焦りや不安から、次女に半ば無理やり勉強をさせてしまった時期がありました。その時は、さらに次女を疲れさせる結果となり、学校を休むことも増えて、とても反省したという経緯があるので、今回は次女と相談して慎重に進めていくことにしました。次女の気持ち次女と話してみると、次女自身、以前と比較してだるさが減ってきていることに気がついたようでした。Upload By まりまりそして、次女としても「勉強しなくちゃ……」という思いを強くもっていました。勉強のことはずっと頭にあるものの、どうしてもだるくて取り組めず……という感じで、やらなきゃいけないことは、次女が一番よく分かっているのに、できないことをつらく感じているようでした。相談しながら、試しにルールをつくってみた次女と相談して、「学校はいつ休んでもいいけど、宿題だけはやる」というルールを決めて、取り組んでみることにしました。だるくて学校に行けなくても、宿題だけはやってみて、このくらいの負担なら大丈夫そう……というラインを探っていく感じです。この頃、私が学校に休みの連絡を入れることを負担に感じていたように、次女も私に「休みたい」と言うことを負担に感じていました。次女としては、だるくて無理だから休みたいと言っているのに、つい私が「体調悪いの?」「ほんとに無理そう?」「午前中だけ行ったら?」などいろいろ言ってしまっていたので……。とにかく試行錯誤しながらベストを探る感じだったので、次女が「休む」と言う時は、私もいろいろしつこく聞いたり言ったりしないようにして休ませることにしました。Upload By まりまりルールを決めて変わったことこのルールを決めてから、まず、私自身の気持ちが軽くなりました。朝に「休む」と次女から言われても、「いろいろ試している時期だから……」とそれまでほどの負担を感じなくなりました。次女のほうも、私の朝の対応が変わったことと、「宿題さえやれば、いつ休んでもいい」というルールで、それほど負担なく私に「休む」と言いやすくなったようです。そして、イヤイヤながらも宿題に自ら取り組むようになりました。この、「気楽にいつ休んでも良い」というのが、次女の安心感につながった気がしています。Upload By まりまり今回はタイミングが良かった結果、気楽に休みやすくなったからといって、次女のお休みが増えることはありませんでした。むしろ以前より、学校に行く様子が少しラクそうになった感じがありました。Upload By まりまり週1回程度休みつつ学校に行くのは夏休み前と変わりませんでしたが、休む時のルールを決めてからは、宿題については少しずつ自分で取り組めるようになっていきました。以前、私の不安をぶつけて勝手に進めてしまった時と違って、この時は、夏休みの間にしっかり休めたことと、親子で話し合って良いタイミングで試行錯誤したことで、小さな一歩を踏み出すことができたのではないかと思っています。執筆/まりまり(監修:新美先生より)場面緘黙のお子さんの、学校で疲れてしまうことに寄り添って対応されていることについて、詳しく聞かせていただきありがとうございます。お子さんの様子の変化をしっかり見極めて、ご本人と話し合って対応されている様子がとても丁寧で素晴らしいと思いました。ご本人と話し合って、ルールを決めたのがよかったですね。基本的には学校に行こうと思っているけど、どうしても無理な日に「休みたい」と言っているのに、いろいろ気にかけるのが負担という気持ちを娘さんが言ってくれてよかったです。そして宿題だけはやることで、休んでも「やることをやっている」という気持ちになれるのもちょうどよいのかもしれません。こういう、本人が大事にしたいポイントは、お子さんによってまた時期や環境によって変わってくるので、その都度気持ちを聞いたり、選択肢を出したりしながらちょうどよいルールを決めていくと、お互いに楽になっていいですね。また状況が変わってきたらルールも柔軟に変えていったらいいと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年11月30日東京都児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報白金高輪駅より徒歩5分のリィスポーツスタジオ白金高輪では、運動や福祉の専門知識を持つスタッフが多数在籍。「子どもの発達には環境が大きな影響を与える」という考えのもと、自社開発のデジタルツールを用いて、お子さんが自ら動き出すような環境を設定し、ゲーム感覚で運動を楽しめるように支援しています。「運動で幸せな人を増やす」ことを目指し、日々お子さんの支援に取り組んでいるリィスポーツスタジオへぜひ一度見学に行かれてみてはいかがでしょうか。東京都の児童発達支援をもっとみる埼玉県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報ウィズ・ユー南浦和は、2024年6月1日にオープンした事業所です。「子どもたちの自己肯定力を育てる」を最大のテーマに、一人ひとりに合わせてサポートする継続的な発達支援プログラム・余暇活動を体験することにより、成功体験をもとにした「生きる力」を、そしてその結果として「自己肯定力」の向上を一緒に目指します。また、保護者の方には、ウィズ・ユー南浦和を利用していただくことで「ほっと一息」つける時間を確保するレスパイトケア機能や、保護者同士の交流を持つことのできる保護者会の開催もしているそうです。埼玉県の放課後等デイサービスをもっとみる埼玉県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報てらぴぁぽけっと三郷駅前教室では、ABA(応用行動分析)を元に一人ひとりに合わせたセラピーを実施し、小さなステップを一緒に進んでいくことを大切にしています。そのためにすべての職員がABA(応用行動分析)専門トレーナーによる指導を受けており、「発語を促す」「困った行動を減らし望ましい行動を増やす」「集団の中での指示理解」など、お子さんが日々を充実させられる行動の獲得をお手伝いしています。見学や教室体験等、随時受付中とのこと。ぜひお気軽に相談されてみてはいかがでしょうか。埼玉県の児童発達支援をもっとみる大阪府放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報MIKKE HOUSEでは、“子どもの自立と成長”を目的としています。そのために、毎日のカリキュラムや環境、保護者の方へのサポート体制を充実させるよう取り組んでいます。MIKKE HOUSEを見学した方々から「探していた場所がやっと見つかった」という言葉をもらうことや、お子さんが「ここがいい」と決めてくれることもあるそうです。気になる方はぜひ、お問合せしてみてはいかがでしょうか。大阪府の放課後等デイサービスをもっとみる大阪府児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報MIKKE HOUSEでは、さまざまなカリキュラムにおいて専門分野に特化したスタッフを配置しています。SST(ソーシャルスキルトレーニング)/制作/感覚/英語/そろばん/運動など、子どもの「できた!」を増やすカリキュラムも充実しています。週末は【体験型プログラム】として課外活動へ出かけ、本物の体験や実践的な体験を通して子どもたちに豊かな学びの機会を提供しています。大阪府の児童発達支援をもっとみる兵庫県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報お子さん一人ひとりと向き合うをコンセプトに「やってみる!」「できた!」の気持ちを育み、自己肯定感を高めることを目指しています。また、集団生活に適応できるように幼稚園・保育所・小学校へのスムーズな移行を支援しています。落ち着いて学習ができる個室、小集団プログラムができるプレイルーム、通うのが楽しくなる設備も充実しています。保育士や児童指導員などの専門スタッフが、一人ひとりに寄り添いながら「楽しい!」を大切にした個別指導を行っています。兵庫県の児童発達支援をもっとみる「もっと施設の情報を詳しく知りたい!」「見学をしてみたい!」と思ったら、Webからもお問い合わせが可能です。施設情報ページでは、掲載されている施設の情報を地域ごとに検索して見ることができますよ。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年11月29日きっとまたいなくなる…あきらめた末に提案された居宅介護ホームヘルパーさんに来てもらうことになったのは今から3年前、息子が中学2年生の頃でした。特別支援学校に進学したものの、登校は数日しかできず、やっとのことで見つけた放課後等デイサービスにもフリースクールにも行けず、八方塞がりだった時に知り合った福祉施設の方から「計画相談支援を入れましょう!計画相談支援とは一生の付き合いになりますから!」と言われ、計画相談支援を受けることになりました。計画相談支援とは、ものすごく簡単に説明するとケアマネージャーさんのようなもので、障害福祉サービスの利用に関する相談や利用施設との調整をしてくださいます。サービスを受けるには、まず役所の福祉課に行き、「計画相談支援を受けたい」とお伝えします。そして、どの計画相談事業所を選ぶかを決めるのですが、それには役所で紹介してもらう方法と、自分で探す方法の2つの方法がありました。役所の方には「個人の特性や事情等に配慮はなく、リストにある事業所に順番に連絡していくので、息子くんのケースだとご自身で探されたほうが良いのでは」と言われてしまいました。困り果てた私は再び福祉施設の方に相談したところ、お知り合いの方を当たってくださり、息子のことを担当していただけることになりました。そしてその相談支援員さんから、「居宅介護(ホームヘルプ)」を提案されました。1.障害福祉サービス等の利用計画の作成(計画相談支援・障害児相談支援)サービス等利用計画についての相談及び作成などの支援が必要と認められる場合に、障害者(児)の自立した生活を支え、障害者(児)の抱える課題の解決や適切なサービス利用に向けて、ケアマネジメントによりきめ細かく支援するものです。引用:障害のある人に対する相談支援について|厚生労働省居宅介護居宅において、入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の生活全般にわたる援助を行います。引用:障害福祉サービスについて|厚生労働省その頃の私は、かなり頑なであきらめてしまっている状況でした。学校の先生は定期的に家庭訪問に来てくださるものの、一度「学校の先生」に対する信頼を底の底までなくしてしまった息子にとっては、現状の打開には難しく、また学校のシステム上、年度を超えて関わることは困難で、担当者が変わるたびに全てを1から説明しなければならない段取りに疲れてもいました。誰かを頼ってもどうせまたすぐにいなくなるのだという思いは、息子だけでなく私の中にもあり、それならば、誰にも頼らずに自分たちだけで生きていくしかないのだという決意すら固めていました。ホームヘルパーさんが来ても、きっと何も変わらないのではないか、むしろ来たことでさらに荒れるかもしれないという懸念はありましたが、息子は意外にも了承してくれました。「今の生活を変えたい」という思いは確実に息子にもあったのです。私は居宅介護のために必要な受給者証を取得するために、役所の福祉課へ向かいました。障害福祉サービス受給者証障害福祉サービス受給者証は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスを利用する際に必要となる受給者証です。障害福祉サービスには大きく分けて、介護に関する「介護給付」と自立や就職に関する「訓練等給付」があります。介護給付には子どもが対象のサービスとして、居宅介護や行動援護、短期入所などがあります。居宅介護は利用者の自宅にスタッフが訪問し、入浴、排せつ、食事などの介護を提供するサービスです。行動援護は、行動上著しい困難があり、常時介護が必要な障害のある方に外出中のサポートを行います。短期入所は普段自宅で介護を担当している方が、病気などの理由で介護が困難な場合に、短期間施設に入所してスタッフが介護や見守りを行うサービスです。利用者が子どもの場合は児童福祉施設などで行われます。 By 花森はなホームヘルパーさんとの出会い受給者証を無事に取得したことを相談支援員さんに報告し、同時進行で探してくださっていたホームヘルパーさんも見つかったので、いよいよ初訪問の日がやってきました。当日は相談支援員さん、担当していただくホームヘルパーさん、そしてその事業所の施設長さんの3名でお越しくださいました。息子は警戒心が特に強すぎるタイプで、相談支援員さんが家にモニタリングに来られてもいつも塩対応。果たして大丈夫なのかな……と思っていましたら、意外にもホームヘルパーさんとは好相性!始まって30分もしないうちに意気投合。偶然にも好きなゲームと好きなシリーズが完全に一致し、残り時間もずーーーっとゲームの話をしていました。相談支援員さんが紹介してくださったのは「年が近くて息子くんの好きなゲームの話ができる男性」でした。実際来られたホームヘルパーさんはとても若くて、私も第一印象は「大丈夫かな……」とつい心配してしまったのですが、とても優しく対応もきちんとされた方で、息子のケアもしっかりとしてくださいました。その頃の息子の重要課題として、一番大きなものが「入浴と歯磨き」。入浴はできて2週間に1度、歯磨きもできそうな時に促して……という感じでした。私が声を掛けてもなかなか聞き入れてくれなかったのですが、ホームヘルパーさんの声掛けだと素直に行ってくれました。思春期の息子にとって、親からの言葉には反抗してしまうのかもしれませんが、他人からの言葉には素直に従えるのでしょう。歯磨きの声掛けは来るたびにやっていただいていると、ほんの少しずつですが息子が自主的に歯磨きをする日も出てきました。そして、入浴のほうも「明日はホームヘルパーさんの日だよ!」と声掛けすることで、入ってくれることが多くなりました。「家に定期的に他人が来る」というのは、こんなに良い変化をもたらすんだなと思いました。Upload By 花森はなやっと踏み出せた!移動支援で広がる世界ホームヘルパーさんがいらして半年が経った頃。息子の希望ではありましたが、利用時間がほとんど息子の話し相手で終わってしまうため、ほかの利用者さんたちがどのような利用の仕方をしているのか伺いました。そこで移動支援の話をお聞きしました。移動支援とは、移動が困難な人に対してガイドヘルパーが行う外出の支援サービスです。これは障害者総合支援法にもとづく地域生活支援事業サービスの一つであり、障害のある人の地域での自立した生活と社会参加を促すことが目的です。屋外での移動に困難さがある場合、外出を控えがちになるかもしれません。そのために、社会生活上の必要な活動が制限されてしまうこともしばしばあります。移動支援では、移動が困難な人に対して社会生活上必要不可欠な外出や、社会参加のための外出支援がガイドヘルパーによって行われます。息子は、学校へ行くことが難しかったため、本当は登校の付き添いを一番お願いしたかったのですが、私たちの住む自治体では通勤や通学に移動支援を利用することはできず、あくまで「余暇」のみでした。「ゲームセンターや映画館、回転寿司などの外出も付き添うことがありますよ」と教えていただきましたが、その頃の息子は外出自体が困難でずっと自宅に引きこもり状態でした。それでも「いいなぁ……僕も行ってみたいなぁ」と息子が言ってくれたので、ひとまず受給者証を取得することにしました。移動支援の受給者証は、居宅介護の受給者証と異なるのです。移動支援では通学時にも付き添ってもらえるの?子どもの通学の場合には、原則として保護者や介護者が移動の支援を行うことになっています。しかし、保護者や介護者が毎日の子どもの通学に付き添うことは現実的に困難です。以下のような場合には、例外的に通学における移動支援のサービスの利用が認められることがあります。2020年度の調査によると、43.8%の事業所で、一定の要件を満たす場合に通学の利用が可能、という報告もあります。出典:地域生活支援事業における移動支援事業の実態調査|厚生労働省ホームページ移動支援には、ガイドヘルパーという資格を持った方などのサポートが必要になります。ガイドヘルパーとは、一人で外出するのが困難な障害者の外出同行や移動を支援する専門職です。わが家に来ていただいてるホームヘルパーさんは、幸いガイドヘルパーの資格をお持ちとのことでした。受給者証が届いたあと、改めて「ヘルパーさんとどこか行ってみたいところはある?」と聞いてみると、すぐに答えは出ませんでしたが、数日後「コンビニに行ってみたい……」と言ってくれたので、次の利用日にヘルパーさんと私と息子の3人で行ってみることにしました。久しぶりのコンビニで、大好きなチキンとおにぎりを自分で選んだ息子の表情は満足げでした。ガイドヘルパーという「プロ」が付き添うことで、外出の不安が軽減されたのです。ガイドヘルパーは、移動支援従業者とも呼ばれ、障害の種別に応じた養成研修を受講し修了することで、資格を取得できます。ただし移動支援事業に従事できる要件は、ガイドヘルパー資格に限定しているわけではなく、市町村によって定められています。移動支援でできること移動支援では、社会生活を送る上で欠かすことのできない外出や、余暇活動等の社会参加のための外出支援を受けることができます。◇社会生活上、必要不可欠な外出の例・金融機関における手続き ・市役所、区役所、警察署 ・日用品の買い物 ・家族の学校行事など◇社会参加のための外出の例・美術館、映画館、コンサート ・体育館、トレーニングジム、プール ・動物園 ・ボランティア活動など By 花森はな「困っています」と親が叫ぶことは子どもたちの未来のためホームヘルパーさんが来てくれるまで、息子と私の世界は閉じたままでした。ですが、思い切って利用してみたことで「もう少し福祉を頼ってみてもいいのでは?」という気持ちが生まれました。これまで同情を毛嫌いし、「息子は不登校で精神障害がありますけど、全然大丈夫!私元気ですよ!」という顔をしていたのを止め、素直に「だから大変なんです!困ってるんですよ〜!」ということを他人に伝えることができるようになりました。これは長い将来、支援を受けて生きていくであろう息子にも重要なことで、私が「困っている」と伝えることで息子の生きやすさに繋がると思いました。また、息子と同じくASD(自閉スペクトラム症)の娘がいるのですが、娘の支援を考える時、迷わず放課後等デイサービスの利用やスクールカウンセリングを活用することができました。今も最大限使える支援を利用させていただいています。相談支援員さん曰く「子どものホームヘルパー利用で一番重要なのはマッチングなんです」とのことで、私も実際このマッチングがうまくいかなかったら、再び支援と繋がろうという気持ちは起こらなかったと思います。ですが、実際うまくいくかいかないかはやってみなければ分かりません。ホームヘルパーさんの支援によって 、息子の表情は明らかに明るくなり、今はひとりで外に出ることもできるようになりました。もしわが家と同じような環境で、現状に行き詰まりを感じておられる方がいらっしゃいましたら、利用を検討してみてもいいかと思います。Upload By 花森はな助けを求める勇気を持ちたいあんなに支援を拒絶していた私が、「居宅介護(ホームヘルプ)」の利用を決意したのは、もう一つ理由がありました。私が、服薬治療中だった病気で手術をする可能性があったからです。相談支援員さんが役所の福祉課の方に相談してくれましたが、本来そういった場合はグループホームでのショートステイが推奨されるようでした。しかし、当時の息子は、家から連れ出すことは不可能な状態でした。息子が入所を拒否して大暴れした場合、無理に入所させることはできず、置いていくことになってしまうかもしれないと説明を受けました。そこで、役所の方とも相談しながらホームヘルパーを通しての見守りはどうかと提案され、ほかに方法はなく受け入れた形でした。幸いにも手術は免れ、現在は経過観察となっていますが、もしまた私に何かあった時、息子が外の人を頼れるようにしておかなければなりません。居宅介護の利用はその第一歩でした。家に他人を入れることに抵抗のある方もいると思います。私も最初のうちは部屋を完璧に片付けたりしていましたが、今はもう洗濯物を端に寄せたり、多少散らかっていても普通にお招きしています。ホームヘルパーさんも「全然お気になさらないでください!」とのことなので、気にしないようにしました!これも大切なことです。他人に弱さを見せること、助けてもらうことは恥ずかしいことではないと言いたいです。こうして不登校サポートや障害児育児をしていると、どうしても謝る場面が人より多く、自らを恥じ入り、消えたくなってしまう日々ですが、全てを一人で抱え込むには無理がありますし、助けを求めてもいいんだと思います。最近は、不登校や発達障害に特化した居宅介護や訪問看護も増えているそうです。どうしても困ってしまったら、どうか「助けて」と言ってほしいです。私も「助けて」と伝え続けます。執筆/花森はな(監修:渡部先生より)計画相談支援事業者は、必要な福祉サービスについて情報を提供し、アドバイスを行って、実際のサービス利用の道筋を作ってくれる、障害児・者にとってのキーパーソンです。息子さんの状況や特性を理解して、「プロ」のヘルパーさんをマッチングしてくれたとのことで、とても素晴らしい事業者さんと出会えましたね。こうやって一歩を踏み出せたのは、「助けて」と伝えることができたからです。成人期以後も、日中活動や暮らしの場面などで、さまざまな支援が必要になってくるかと思います。これからも、困ったときには躊躇せず相談をして、息子さんやご家族の安心につなげていってください。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年11月28日特別支援学校で不登校になった息子特別支援学校高等部3年生の息子は、アンジェルマン症候群という指定難病です。アンジェルマン症候群は重度の発達の遅れや知的発達症(知的障害)、動きがぎこちないなどの症状がある先天性の疾患です。息子は発語はありませんが、人が好きでニコニコと笑顔を振りまき、電車やバスといった乗り物が大好きです。そんな息子は2年生の11月から、特別支援学校で不登校になりました。11月のある朝のことです。息子が「以前骨折した腕が痛い」というアピールをしました。腕は完治しているはずなのですが、ちょうど寒くなってきた時期だったため、(寒さで古傷が痛むのかな?)と思い、私は病院へ連れて行きました。診てもらったところ特に腕に問題はなく、学校へは遅刻して行ったのですが、それから毎日のように病院へ行くというサイン、アピールが始まりました。Upload By ユーザー体験談参考:201 アンジェルマン症候群|厚生労働省不登校のきっかけは?体調不良アピールは続き……そして毎朝のように「病院へ行く」というサインは続きました。「学校へ行くよ」と言っても家から出てくれないので、その頃から私は「病院へ行って、その帰りに学校行くよ」と声がけをして息子を家から連れ出すようになりました。やがてはじめは腕だった痛みのサインも、鼻やら耳やら喉を指差すように変化。でも、いくら痛いアピールがあっても、病院へ毎日は行けません。すぐ近所の耳鼻科はほぼ行きつくすぐらいになってしまい、受付で事情を説明して何とか診てもらっていました。幸い病院のほうも「何かあるのかもしれないね~。先生に診察してもらうことで納得できるなら!」と言ってもらえたのでよかったです。そして病院へ行ったあとに学校へ連れていくも、だんだんと車から降りられなくなった息子。学校へは完全に行けなくなってしまったので、放課後等デイサービスに連れて行くようになりました。ですが、12月中旬になると放デイに送って行っても車から降りられず……。とうとう外へも出られない状態になりました。Upload By ユーザー体験談なぜ急に学校へ行きたがらなくなったのか……。あとから思ったことは、体調不良アピールが始まる1週間前にあった宿泊学習のこと。そこでなにか嫌な思いをしたのかも?ということが頭によぎりました。ただ学校に聞いても特に何かあったわけでないそうです。きっかけが分からないまま、息子の不登校は続きました。配布物、提出物のために学校へ通う日々いつか学校へ行ける日がくるはずと思った私は、学校へ配布物を取りに行ったり、提出物を持っていったりしていました。基本は私一人でやっていたのですが、病院に行った日などは息子も連れていくようにしました。二人で行く時は大体下校時間ぐらいに行くようにしました。下校中のお友だちがいると息子に声かけしてくれるので、そのほうが息子も動けるような気がしていたのです。ですが、息子はお友だちには笑顔で反応するのですが、車を降りることはできませんでした。下校が落ち着いて人がいなくなったあと、「書類を取りに行く、取ってきたら帰るよ」と声をかけると降りることもありましたが、それは稀。先生たちが付き合ってくださる時間も限られているので、先生が昇降口に置いてくれた書類を私が息子を誘導する形で取りに行き、車へ戻りました。また息子の不登校は私たち夫婦の仕事にも当然影響しました。私は上司と相談して在宅勤務に切り替えました。どうしても出社しないといけない時は、夫に半休を取ってもらいなんとか乗り切る日々でした。バスが好きな息子なら行けるかも?校外学習に参加そして年が明けて2月、校外学習がありました。バスに乗って出かけ電車で帰ってくる行事です。先生が「息子さんはバスと電車が好きだから、参加しませんか?」と声をかけてくれました。当日、私は出発時間ピッタリに登校させ、教室へ行かなくても息子がそのままバスに乗れるようにしました。無事バスに乗っていってくれた時は「よかった……!」とほっとしました。校外学習では、昼食(ファミレス)も、トイレもできて楽しんでいたそうです。これがきっかけで、2月中旬から3月初旬は学校に通うことができました。ですが、中旬からまた家から出られなくなり、毎日病院のサイン……。「病院に行ってから学校に行くよ!」の声かけで家から出れましたが、学校に行くと車から降りられずという状態が続きました。そのまま4月は不登校。でも校外学習の時うまくいった経験があったので、5月の修学旅行も行ければ良いなと思った私。修学旅行の事前学習のある日は登校するようにチャレンジしましたが、結局学校には行けませんでした。そこで、先生にお願いして修学旅行の資料をもらい、家で事前学習をすることにしました。宿泊するホテル、行き先、食事場所などの動画をタブレットで見せ、「ここに行くんだよ!楽しそうだね」と声かけをしました。Upload By ユーザー体験談新幹線に乗り、2泊3日の修学旅行へ。母も影から見守り……修学旅行先は大阪、2泊3日です。幸い、ホテルも行き先も以前いったことのある場所で、新幹線も乗り慣れていたことが功を奏し、修学旅行にはなんとか参加することができました。帯同こそしませんでしたが、実は私も大阪へ行きました。何かあった時にすぐに駆け付けられるようにと思ってのことです。ほかの保護者の方が帯同していたので、息子の様子を撮った写真や動画を送ってくれていたのですが、それを見ると楽しんでいる様子でほっとしました。あとから先生に聞いたところ、睡眠時間はいつもの半分ぐらいだったようで、最終日の昼食はほぼ食べられませんでしたが、ほかは普通に食べられた様子。かなりの疲労はあったようですが、「参加することに意味がある!」と。お友だちと一緒に行動できて、少しでも楽しい気持ちになれたのではと思いました。最終日、見つからないないように尾行(?)して様子をみましたが、先生が息子にマンツーマンで付いている感じはなく、エスカレーターに一人で乗っているところを見た時はびっくりしました。息子は疾患のため姿勢を保つことが難しく、倒れてしまうことがあるのですが、体勢を崩した時にすぐに対処できる様子ではないことに驚いたのです。先生たちは、「息子は割と何でもできる」と判断しているところがあって、学校生活でもこのような状況があったのでは?と、感じました。特に大きな問題を起こさず、比較的穏やかに過ごせている息子。ただ手をかけなくても、安全のためにも目はかけてもらいたい……。もしかしたら本人は孤独を感じていたのかもしれないと想像しました。学校からの提案で、学校へ通えるようにこの修学旅行のあと、学校から「息子さんが車から降りられない時は、私たちが降ろして連れて行ってもいいでしょうか」と提案いただき、そのように対応していただくことにしました。これで、息子は登校できるようになりました。先生からの提案で始まったことですが、車から連れていく際パニックになることはあっても教室では落ち着いているようで、先生も私もびっくりしてます。車を降りられた時、周りが拍手喝采してくれるのですが、その時の息子はすごくいい笑顔!周りから関心を持ってもらえていると実感することが、いい方向に働いているのかもしれません。現在、木曜~週末は自ら降りることもあるのですが、月曜日や長期休み明けは先生に連れていってもらっているようです。Upload By ユーザー体験談息子が学校に行ってくれることで、私も以前のように仕事ができるようになり、とてもありがたいです。ただ今後、卒業後にこのようなことがあったら……と思うと不安です。生活介護の事業所では、ここまでの対応は難しいと思うからです。特別支援学校の卒業が迫ってきました。残りの学校生活を楽しく過ごせることが願いです。イラスト/keikoエピソード参考/こうちゃんママ(監修:鈴木先生より)「少しでもできたら褒めること」が大切です。アンジェルマン症候群は重度の知的発達症を伴います。何ができないかよりも何ができたかに注目することが重要です。注目されることを好むお子さんも多いので、今回のようにバスから降りた時に拍手喝采があれば喜びます。定型発達の子どもが普通にできることでもアンジェルマンの子はそれを行うために努力をしているからです。修学旅行の睡眠時間が半分だったことからも、息子さんにはアンジェルマン症候群に多い睡眠障害が併存しているものと思われます。6歳から15歳までであればメラトニンの補充療法などで入眠を早めることも可能なので、一度主治医に相談をしてみましょう。参考:アンジェルマン症候群の特徴|NIPT Japan(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年11月28日「お子さまの困りごとはどうして起きる?」解決の鍵は「背景」を紐解くことUpload By LITALICO発達特性検査 編集部「一度癇癪が起きると収めるのが大変」「本人がどうして苦手なのか分からない」「どうサポートしたらいいか分からない」など、子育てについての悩みについて、解決法が見つからず悩む保護者の方は多いのではないでしょうか?そのような声に応え、2024年7月に、LITALICOでサービス開発などにも携わる作業療法士の野田遥さんのオンラインセミナーが開催されました。「癇癪やこだわり等、お子さまの困りはどうして起きる?サポート方法をまるっと解説!」と題した今回のセミナーでは、困りごとをどう捉え、サポートしていくかについての解説のほか、当日参加した保護者の方からのお悩みや具体的な事例の相談の機会もあり、時間いっぱいまで質疑応答を行ないました。今回は、イベントの内容を再構成してご紹介します。「どうして困りごとが起きるの?」困りごとを読み解くための考え方とはセミナー前半のテーマは、「お子さまの困りごとについての考え方」でした。まずは、困りごとや生きづらさ、困難さがどのように起きているのか、本人の「特性」との関係や、またそれが障害となるのはどのような時なのかについて、野田さんから分かりやすく解説がありました。(野田さん)「LITALICOでは、個と環境の相互作用の中に生きづらさや困難さがあると考えています。今回はこの基本に沿って、困りごとがなぜ起きているかを考え、何に着目すると解決する方法が見つかりやすいのか、ということをお伝えできればと思います。個人の特性の高低・強弱だけで診断が決まるのではなく、実際に過ごしている環境の中で困りが生じているかが重要なポイントになってきます。ただ、ここで誤解していただきたくないのは、「環境が悪いから障害が起きる」というわけではないということです。決して、保護者の方の接し方や育て方、周りの環境がよくないから困りごとが起きたり、解決できなかったりするという意味ではありません。今の社会の仕組み、家庭以外の環境も含めて考えていくと、環境を整えてもなお、困りを感じやすい特性や、困りごとが強く出てくるケースもあります。それを踏まえた上で、社会全体の仕組みをどのように整えるか、お子さまやご家族を取り囲む状況のなかで、どのようにして困りを減らしていけるかということを考えることが、ポイントになってくると思います」(野田さん)「ある環境の中で、特性が困りとなって現れているのかどうか、ということが、重要になってくると考えています。困りごとの解決方法について考える時も、例えば、「ASD(自閉スペクトラム症)の診断があるからこの対応をする」というような考え方ではなく、お子さまの発達特性や状況、環境を個別に把握し、それに合った対応方法やサポートを考える必要があります。また、診断がなくても困っていることがあったら当然サポートが必要になってきますよね」野田さんからは、特性が強いが診断されていないというパターンもあること、また、一つの診断がある方にさまざまな併存症・併存的な特性が存在するケースも多く見られることもあるという最新の研究や、「発達特性」とはそもそもどういうものなのかの定義などの解説がありました。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部紹介された公認心理師である井上雅彦先生の定義からは、特性の強さも人によって異なり、診断の有無や診断名だけを見て判断するのではなく、個人についてのアセスメントが重要だということが分かります。この考え方については、発達ナビのコラムでも詳しくお読みいただけます。お子さまの困り、「なぜ」を飛ばして解決策を考えていませんか?続いて、具体的に困りごとを解決するため、まずお子さまの状態や特性を調べ、どうして困りごとが起きるのかを把握する方法が紹介されました。(野田さん)「困りごとを解決したいと考えたときに、『なぜその行動が起きるのか?なぜ適応的ではない行動をとるのか?』といった疑問を飛ばして解決方法を考えていませんか?」Upload By LITALICO発達特性検査 編集部(野田さん)「例えば『授業中に立ち歩く』という課題があったとします。立ち歩かないように注意すると、その場ではやめられるかもしれません。しかし、そのお子さまが立ち歩いている根本的な原因に対応できていないので、また別の場面や時間が立ったら同じことが起きるかもしれません。また、この行動を引き起こしている原因が、別の形で別の困りや行動につながっていく可能性もあります」野田さんは、困りごとから一直線に解決策を考えるのではなく、そもそもどうして困りごとが起きているのか、「なぜ?」を考えるということを挟んで、困りごとの背景からアプローチしていくことが根本的な解決のために大切だと言います。「困り→背景要因→サポート」で、なぜ困りが起きているかにアプローチ(野田さん)「『この困りにはコレ!』という一直線の考え方ではなく、『背景を知る』ということを間にはさむと、根本的な原因に即した適切なサポートを選びやすくなります。では、実際にどのように考えていけばよいのでしょうか?以下のフレームワークで見ていきましょう」Upload By LITALICO発達特性検査 編集部まず、どのような場面で起きるか? ということを観察し、仮説を立てていきます。(野田さん)「小学校1年生の男児で「学校で耳をふさいでパニックになることがある」というお子さまの例を取り上げてみましょう。どのような場面で困りごとが出るのか?困りごとの現れ方が異なる場面はないか?など、複数の場面を比較して背景を深掘りしていくと、より『なぜ?』が見つけやすくなるかもしれません」野田さんからは、具体的な仮説の例として・大きい音は大丈夫だけど、反響する音が苦手なのかな?・いつもと違う状況が苦手なのかな?などが挙げられました。ただ「音が苦手」と捉えるだけでなく、背景は何かという仮説を立て、さらに深掘りして考えていくことで、具体的な方法や取る手段が変わっていくのが印象的でした。野田さんの解説から、こうした小さな違いが、サポート方法が合うか合わないかということにつながっているのではないかという気づきが得られました。とはいえ、実際に試してみないと分からないということもあるといいます。(野田さん)「例えば、聴覚過敏のある方がノイズキャンセリングを使うことで、全体的に音量が下がることで逆に苦手な音が気になることもあります。こういったことは、実際に試してみないと分からない場合もあります」野田さんの方法を試す際には、仮説を立てて、実際に試して検証していくという試行錯誤のサイクルを繰り返していくことが必要で重要だということです。だからこそ、できるだけ確度の高そうな仮説を立て、合いそうな方法を選び、試していくことがうまくいく方法が見つかりやすくなるポイントになってくるのではないでしょうか?背景に合った個別的なサポート方法を考えていく上で、もう一つのポイントとなるのが、「困り→背景→サポート」は一対一でつながっているというよりは、「多 対 多」の構造になっているということだと言います。(野田さん)「一つの困りにもいろいろな背景があるし、背景はいくつかの困りに関係している、そしてそのサポートもいくつか考えられる。すごく複雑なんですよね。困りだけみて決め打ちしないのがとても大事なんだな、というのが分かっていただけるといいなと思います」複数が関係している可能性があることを前提に、困りだけを見るのではなく、また背景やサポートも一つだけに絞らず、さまざまな角度からアセスメントをし、サポート方法も複数試すことが重要であるそうです。また、以下もアセスメントのポイントとして挙げられました。・複数の困りに共通して存在する背景もある・複数の背景に共通のサポートが適切な場合もある・一つの背景に複数のサポートが考えられるなどとはいえ、実際にはこのような複雑な要因や方法を家庭でアセスメントをしてサポートしていくのは、かなりハードルが高いのではないでしょうか?(野田さん)「ご家庭で取り組むのが難しい場合は、アセスメントに役立つツールや専門家への相談なども活用していただくことをおすすめします。例えば、私が開発に携わったLITALICO発達特性検査は、『困り→背景→サポート』という今日使った考え方に沿って作られています。お子さまの困りや背景要因の分析をし、お子さまにあったサポートを考えるのはすごく大変だと思うのですが、オンラインの検査を受けるだけで結構な情報量のレポートが出るサービスです。受検することで思考の整理ができるので、専門家に相談する際の材料としても使っていただけると思います」Upload By LITALICO発達特性検査 編集部質疑応答と参加者の方の感想オンラインセミナーでは、「逆上がりが苦手」、「靴紐が結べない」、「癇癪」、「きょうだいに対して手が出てしまう」など、保護者の方から具体的な困りごとについてさまざまな質問が寄せられました。野田さんからはそれぞれのケースについて、時間いっぱいまで解決方法の提案がありました。イベント後、参加者の方からは分析や実際の対応方法についての感想が多く寄せられました。「行動の前後をみて、どうして困り感があるのかを考えることが大切だと分かりました」「1つの行動に対するアプローチは1つではなく、多くの選択肢を挙げられると、本人の思考や行動の幅も広がっていくのではないかと思いました。できることからやってみようと思います」「癇癪やパニックの行動のみに着目するのではなく、その前後の関わりや言動をよく観察し、柔軟に支援していくことが大切だと感じました。パニックになったときに注意などはせずにクールダウンする場所をつくるなど、具体的な関わりについて学ぶ方ができてよかったです」「なぜ」に注目して、困りごと解決への道を見つけよう野田さんのレクチャーを聞いて、一見同じような困りごとも、背景が違えば対応方法も変わる場合があることが分かりました。だからこそ、今回の野田さんによるレクチャーのように、背景に着目し、よりお子さまの困りごととその根本に向き合えるサポート方法を探すことがポイントになって来るのではないでしょうか。「困り→背景要因→サポート」は、LITALICO発達特性検査でも用いているフレームワークです。この方法は、「今、困っている」という保護者の方にとっては、一見遠回りに見えるかもしれませんが、困りごとを軽減していくために必要なステップだともいえます。課題ができたとき、「では、なぜ困っているのか?」と振り返る機会を持つことが、困りの解決に向かう糸口につながるかもしれません。その際、背景やサポート方法を適切に判断・選択するには、より詳しい知識や観察の手法が必要になるかもしれません。一方で、参加者の中には、実践は難しいと感じる方もいらっしゃるようです。参加者アンケートでも「実践が難しい、保護者だけでは解決しきれない」と回答された方もいらっしゃいました。そのような場合には、セミナーでも紹介があったように、ツールや周りの方の力を借りることも、保護者の方が実践される際にはポイントになってきます。・支援者や周りの人に相談する・発達ナビのコラムで同じような特性・ケースの事例を読む・発達ナビPLUSなどのオンライン相談ツールを活用する・LITALICO発達特性検査で背景要因とサポートの方向性を知るなどぜひ、さまざまなツールや機会を活用し、困りごと解決に向けて、取り組んでいただければ幸いです。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年11月27日小学校1年生の冬、発達障害と診断されましたUpload By もっつんタクが発達障害だと診断されたのは、小学校1年生の冬のことでした。授業中に静かに座っていられないなどの多動性と、道路に飛び出したりする衝動性が酷くて困っていました。病院に行って診察してもらうのは、私にとってとてもハードルの高いことでしたが、突発的な他害などが問題となったことが、病院で診察を受ける後押しになりました。スクールカウンセラーの先生に小学校で知能検査「WISC」を行っていただき、紹介状を書いていただいて診察へ向かいました。最初に行った病院では「親の躾の問題」とも言われ、タクの問題行動は私の接し方が悪いから?と、とても悩み落ち込みました。ですが、すごく親身になってくれたスクールカウンセラーの先生のおかげで別の病院で再度診察を受けることになりました。そして次に行った病院の小児神経科で、タクは正式にADHD(注意欠如多動症)だと診断されました。また、ASD(自閉スペクトラム症)の特性も強く持っているとのことでした。診断された時は「あぁ、やっぱり」と強く納得したのを覚えています。ついに服薬開始。先生の説明を聞く息子の反応は…Upload By もっつんこの頃のタクは道路で急に走り出したり、お友だちに対しての危険行為があったので早急に対策が必要でした。先生から提案されたのは薬の服用。ひとまず他害行為を落ち着かせるために、気持ちが落ち着く作用があるというお薬として、「インチュニブ」を処方されました。処方にあたって担当の先生はとても丁寧に、タクに向かって説明してくれました。「教室で急に走りたくなったり友だちを叩いてしまったりで、怒られてつらいよね。本当はやっちゃダメだって分かってるんでしょう?」「これは君の中の『ガマンしたい』という気持ちを手伝ってくれるお薬。これを飲んでも良い子になれるわけじゃないよ、ちゃんと自分でもガマンの心を応援してあげないといけないよ」と話す先生に、タクは「分かった!」と返事をしていました。子ども目線で話してくれる先生に感動しつつ、帰宅後も改めて薬を飲む意味を説明しました。少しでも他害や問題行動が減って、落ち着いた学校生活をおくれますようにと願いを込めて服薬開始したのを覚えています。服薬は本人の気持ちを応援してくれるサポーターUpload By もっつん幸いなことにタクの場合は副作用も現れずにスムーズに服用できていました。しかし効果もあまり感じられず、突発的なトラブルは発生していました。定期診察時に相談すると「神経系の薬は人によって合う合わないがある」と改めて説明を受けて、ほかの薬も試してみることにしました。そしてほかの薬を経て、タクがたどり着いたのは「コンサータ」という薬でした。1度の診察で処方できる量が限られているので、1か月に1回以上は通院する必要があり、薬局でも毎回登録カードと身分証明書が必要です。ほかの薬に比べて取り扱いが大変な印象があるコンサータでしたが、これはタクに合っていたようでした。本人も体感で分かるほどに「今やらなきゃいけない事に集中できる」と周りの雑音や誘惑に振り回されることが減りました。ちなみに母親である私自身もADHDがあり、コンサータを服薬しています。注意散漫になりがちな場面で、もう少し頑張れそうという気持ちが湧いて1つの事に集中できるようになったかなと思います。ただ、服薬はメリットばかりではないので、体調変化など気になることがあれば主治医の先生にご相談するようにしています。服薬しないと学校にも行けないの?と不安になる日々もあったけどUpload By もっつん合う薬に出合えてからは、タクは学校での問題行動が減ってきたようでした。特別支援学級の先生や補助の先生が手厚くサポートしてくださったおかげで友だち関係も改善されていきました。しかし平穏な時間はずっとは続かず、また少しずつ荒れていきました。仕事中の私に小学校から電話があり「タクくんが帰りたいと言っています、落ち着かない様子です」「今日はお薬飲み忘れでしょうか?持ってきてもらえますか?」という内容でした。何度もそんな事が続き、仕事を早退して迎えに行くこともありました。タクが学校で落ち着かないのにはいくつか理由がありましたが、原因の一つに薬の飲み忘れがありました。飲み忘れた日はやはり多動の特性が強く出ていて、友だちと衝突してしまうこともあったようです。忙しい日々で服薬について毎回確認できていなかったことに責任を感じつつ、「周りの子は落ち着いて登校できているのに、わが子は服薬しないと学校生活がままならない……」と必要以上に落ち込むことがありました。なんでこんなにトラブル起こすの?お願いだからトラブル起こさないで!とやり場のない感情で悩みは深まっていきました。タクの薬の飲み忘れについて改めて話すと、「最近調子が良いから、飲まなくても大丈夫だと思った」と言われたことがありました。しかし飲み忘れた日は結局気持ちも行動も落ち着かずに、失敗して怒られるという悪循環を断ち切らなければいけません。そこで、飲み忘れ防止のために工夫をしていきました。日付入りのピルケースに薬を準備したり、服薬チェック用のマグネットをつくったり。その甲斐もあってか飲み忘れることは減っていきました。薬は一生飲み続ける?Upload By もっつんこうして服薬を続けてきたタクですが、現在は中学3年生(特別支援学級に在籍)になりました。今の薬との付き合い方はとてもうまくいっていると思います。時々飲み忘れて登校してしまうこともありますが、明らかに授業中の集中力に差があるので補助の先生がすぐに気づいてくださり、自分で予備に持ち歩いている分で対応するなどしています。そしてタク本人の希望もあり、週末などは休薬日を設けています。特に放課後等デイサービスの友だちと遊ぶ日は「今日は飲まない」と言っています。気が合う友だちと思いっきり遊びたいという気持ちもよく分かるので、学校や放課後等デイサービスの先生と連携をとりながら対応しています。今まで服薬させながらの子育てを長くやってきて、この先も飲み続けるんだろうなぁ……と漠然と考えていた私でしたが、先日の定期診察の時に驚く事がありました。「来年は高校生になるから、受験が終わったら薬を減らしていこうね」と主治医の先生に言われたのです。びっくりして思わず「ええっ?」と聞き返してしまいました。この年頃になると内面もちゃんと成長していることが多く、最初から中学3年くらいで服薬は終わりにするつもりで処方してきたとのことでした。そして、注意欠如は残っていますが、多動性の部分がかなりなくなっていることが決め手だそうです。長い間、服薬してきたので不安な気持ちもありますが、信頼している先生とご相談しながら見守っていきたいと考えています。これから高校進学という大きなイベントを控えたわが家ですが、タクのことを信じて乗り越えていきたいと思っています。執筆/もっつん(監修:藤井先生より)ADHD(注意欠如多動症)の薬には、コンサータ、ビバンセ、アトモキセチン、インチュニブの4種類があります。お薬の形状、効果が出るまでの時間など薬によって違います。今回処方された、インチュニブは食欲不振やチックなどの副作用もないため使いやすいですが、効果が出るまで数週間要します。コンサータは飲んだら12時間効果が持続するため、集団生活での多動・衝動性には効果を認めます。服薬終了のタイミングは、お子さんの様子を見ながら検討していきます。もっつんさんが、大人になってからコンサータを飲まれているように、高校進学前に薬を服用終了しなくてはならないというわけでもありません。薬を飲むメリット、デメリット(副作用)などを主治医の先生と相談しましょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年11月27日おむつ交換の日々と不安なスタート小学校の特別支援学級に通うハジュは、現在4年生になり、中学年となりました。入学したばかりの頃、私は毎日、給食の後と帰りの会の前にせっせとハジュのおむつ交換のために学校へ通い、最後は一緒に下校するという日々を送っていました。特別支援学級に通っていたものの、まるで赤ちゃんのような姿に、あの頃は「この先どうなるのか……」という不安が頭をぐるぐる回っていました。Upload By スパ山お兄ちゃんになった⁉ハジュの成長ハジュには当時、大好きなお人形があって、いつも一緒に登校して肌身離さず持ち歩いていました。ですが、3年生になったある日突然「ハジュは3年生のお兄ちゃんなので」と言ってお人形をベッドに寝かせて登校したのです!家に戻ると、「ただいま!」とお人形をぎゅっと抱っこしている姿は変わりませんが、あんなに離れたくなかったお人形という安心できる存在を、少しずつ手放していく姿に驚きと成長を感じました。同じ頃、長く続けてきたトイレトレーニングも、ついに卒業を迎えることができました。トイレトレーニングは2歳から始めていたものの、なかなか進まず。ハジュにとっておむつもまた、安心できる存在だったのだと思います。入学後も焦らず少しずつ進めてきました。最初は新しい環境に慣れることを優先して、焦らず自然なペースで「行けたらラッキー♪」くらいの気持ちで取り組みました。休み時間や給食前などタイミングを見計らい、トイレに行けたら盛大に褒め、行けなかったり、失敗しても気にしない!と、とにかくポジティブ作戦で練習していました。そして「自分でズボンをはいてみる」など、小さな目標を立てることで達成感を積み重ね、ハジュの自信を少しずつ育てていきました。それでも心が何度も折れそうになりましたが、とにかくあきらめずに、同じ事を数年積み重ねた結果、ハジュは自分の力で卒業にたどり着きました。自信を持って一歩を踏み出した姿に、成長を感じてとても感慨深かったです。Upload By スパ山「動きたい」気持ちと向き合うそれから、ハジュには「じっとしているのが難しい」という特性があります。動きたい衝動を抑えられないのです。入学当初は授業中でもふらっと立ち上がってしまうことが多く、床に寝そべったり、日によっては教室を飛び出してしまうこともありました。そこで、先生と相談し、リトミックや「だるまさんがころんだ」のような体を使って集中力を高める活動を取り入れたり、座学の前に身体を動かす時間をつくってメリハリをつける工夫をしていただきました。さらに、授業中は「プリントができたら」「〇分経ったら」といった目安で短い休憩を挟み、教室後ろのパーテーションで囲まれたカームダウンスペースでリラックスできる時間を設けていただきました。こうして少しずつ「座る」ことに慣れていく工夫をしていき、最初はほんの数分だった授業中の着席も、年を追うごとに増え、今では45分の授業をほとんど座って受けられるようになったのです。もちろん、すべてが順調に進んだわけではなく、「どうしてこの子はじっとできないのだろう」「もしかして周りと同じようにできないのでは……」と感じて悩んだ時期もあります。それでも、ちょっとした進歩があれば「やったね!すごい!」と一緒に喜び、失敗した時にはその理由を一緒に考えました。そんな日々を過ごしているうちに、ハジュが自分なりに少しずつ自信をつけていく姿を見て私もとても励まされてきました。Upload By スパ山周りの大人たちに感謝ハジュがここまで成長できたのは、学校の先生や周りの大人たちのあたたかいサポートがあったからこそです。私一人ではどうしようもないことも多く、入学当初から彼の特性を理解して何かと気にかけていただき、根気強く見守ってくださったおかげで、ハジュにとっての安心材料になったと思いますし、自分のペースで成長することができたのだと思います。幼稚園の先生をはじめ、主治医の先生、学校の先生、そして家族……多くの方がハジュを支えてくれています。親の私でさえ心折れそうになることもあるのに、初めて関わるハジュに対しても、一つひとつのささいな困りごとに丁寧に寄り添い、あきらめずに向き合ってくれました。例えば、主治医は投薬治療を提案してくれて、細かく様子を見ながら薬の調整を続けてくれました。幼稚園では、ハジュの特性に配慮し、イベントや制作活動への参加方法を何度も話し合い工夫してくれました。祖父母も、どんな小さなことでも喜んで褒め、ハジュの成長を一緒に喜んでくれています。いつも「この子にできることは何か?してあげられることは何か?」という姿勢で接してくれる方々のおかげで、ハジュへの理解が広がり、私自身も心が折れずに頑張る力をもらっています。このあたたかい支援の輪が、ハジュの成長の原動力になっていると感じています。Upload By スパ山これからも成長を楽しみにもちろん、まだまだ課題はありますし、これからも周りに頼ることも多いですが、親ばか心全開で「次はどんな新しい一面を見せてくれるのかな?」とワクワクしています(笑)。この先も、ハジュが自分らしく成長し、楽しい学校生活を送れることを願いながら、温かく見守っていきたいと思います。支えてくださる周りの方々に感謝しつつ、これからもハジュの成長を楽しみにしています。執筆/スパ山(監修:藤井先生より)スパ山さんが、ハジュさんに寄り添いながら、さまざまな人と連携されて、ハジュさんの成長があるのだなと思いました。お子さんを見守る時に、親御さん一人では心が折れそうになることがあるかもしれません。学校や園の先生、祖父母などのご家族、療育先のスタッフの方々など、周囲に相談するのはとても大切ですね。スパ山さんの周囲への感謝の気持ちが伝わる素敵なコラムを、ありがとうございます。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年11月26日言葉遣いが悪い……反抗期のせい?きょうだいのことを「お前」と呼んだり、「は?」と聞き返したり、「知らねぇよ」と語尾がキツくなったり……。年齢が上がるにつれて、子どもの言葉遣いが気になり始める保護者も多いのではないでしょうか。特に小学生以降は、だんだんと友だち関係を大事にする発達段階に入ることもあり、周りからの影響が心配になることもあるでしょう。発達ナビのQ&Aコーナーでも、以下のような声が寄せられています。言葉遣いについてです。小二の息子です。小学校入学後から、言葉遣いがひどいなと感じ入学して一週間くらいで、クソババアと言われました。同じクラスの子が言っていたから、悪いとは思わずに言ったようでした。今回はそのような小学生の言葉遣いについて、鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生にお伺いしました。反抗期の息子。小学生の乱暴な言葉遣いは直せるの?A:大人しかったわが子が急に乱暴な言葉遣いをし始めたとすると、保護者としては少し驚いてしまいますよね。「お友だちの影響もあるのかな?」と思われるかもしれませんが、きっかけはテレビや動画サイト、漫画など、ほかにもあるのかもしれません。実際にお友だちと同じような口調になってきたという場合には、お子さんは年齢相応の友だち関係を築けているという捉え方もあります。小学校高学年くらいで、同じ表現を使ったりノリが合ったりすることで、仲間意識が高まることもあるでしょう。家庭での対応のポイントとしては、「使い分けのルール」を教えることもひとつです。例えば、「仲間内ではいいけれど、そうでない相手(先輩・先生など)には言わないよ」というような簡単なルールがあるといいかもしれません。保護者としては、お子さんの少し荒々しい言動は気になるかもしれませんが、実は「使い分け」が既にできているお子さんも少なくありません。例えば、テレビの悪役の真似をして、家では一人称が「俺様」だったり、お母さんに対して「〇〇様と呼べ」と言ったりするお子さんが、外では言っていないという場合もあります。使い分けができていて、一時的なブームのような場合には、家での許容範囲を広げるという対応もあるでしょう。ゲームに負けてしまった場面など、テンションが上がったときにだけ暴言が出るようであれば、落ち着いたときに“そうしたことは言わない”ということを伝えます。興奮している状態だとそうした言葉が出やすいという本人の傾向も同時に伝えていくようにしましょう。一度伝えるだけでは難しいかもしれませんが、少し長めのスパンで繰り返し伝えていきます。また相手を傷つけるような言動や、相手を不快にさせてしまう言動がある場合にも、対応が必要となります。一律に「このワードはOK/NG」という線引きがあるわけではないのでお子さんに教えていくことはなかなか難しいかもしれません。特に相手の気持ちを想像することが苦手な場合などには、「相手が嫌がることはしない」などよりも「仲の良い〇〇さんや〇〇さんだけと使おう」「〇〇さんには××とは言わない」など明確なルールのほうが分かりやすいと思います。例えば、お子さんを中心とした円を紙に描いて、お子さんと仲の良い友だちの名前を円の中に書き入れて、「(相手を下の名前で呼ぶのは)この中のお友だちにはいいけれど、円の外の人には使わない」など、視覚的に教える方法もあります。相手との関係性を図式化しながら伝えるとより分かりやすいかもしれませんね。Upload By 発達障害のキホンまとめ:反抗期の対処法って?子どもの乱暴な言葉遣いや反抗的な態度に、保護者としてもイライラしてしまうことがあるかもしれません。一方で、全面的に禁止したり、厳しく言い過ぎたりすると逆効果のこともあるでしょう。子どもの言動が、相手を傷つけてしまっているのか、あるいは「やりたくねえよ」など荒い言葉遣いになっているだけなのかという点から対応を検討していってもいいと思います。小学校入学以降から思春期くらいまで、一時的に荒っぽい言葉遣いが出てくるお子さんは決して少なくありません。相手を傷つけているわけではない場合には、少し許容範囲を広げるのもひとつです。そして「これだけは変えてほしい」という言葉については、「〇〇という言い方をしてほしい」と端的に具体的に伝えるのもいいでしょう。Upload By 発達障害のキホン(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年11月25日マイペースなコウの「友だちつきあい」のこれまでUpload By 丸山さとこ現在では驚くほどおしゃべりな息子のコウですが、保育園では年長になるまであまり話しませんでした。その上、指示や集団の行動に合わせて動くことが苦手だったため、「保育園ではどう過ごしているのかな?」と気になることもありました。ところが、保育園では周囲の子どもも幼いためか、意外にも『何となくその辺りにいる』ことにより大きな問題はなく園生活を過ごしていたようです。運動会など行事の際も1人だけ輪や列を外れてフラフラ歩いていることがありましたが、先生や園児に誘導されて、これまた大きな問題になってはいないようでした。無口だったコウも5歳頃から少しずつ話すようになり、6歳になる頃には気の合う子どもも現れたようで、園に迎えに行くと「修行だー!」と言いながら友人と園庭でタイヤを押したり図鑑を読んだりしている姿を見かけるようになりました。Upload By 丸山さとこ「何だかんだ気の合う子どもと楽しく過ごしているようでよかったな」と思っていたのですが、コウが小学校に入ってからは友人関係のトラブルが目立つようになってきました。保育園のようにはいかなかった小学校時代小学校入学後、子どもたちが遊んでいる時の様子が保育園の頃とは変わってきたのを感じるようになりました。園児の頃は、たまたまその時に同じ遊びをしたくなった子どもたちが『何となく一緒に遊んでいるような雰囲気』で過ごしていることが多くありました。場合によっては「(遊びに)いれて」「いいよ」のやりとりすらなく、友人の輪は流動的でした。ですが、小学生になってからは『声かけをして遊ぶための集団を作る』ことや、『同じ遊びをしていた集団がそのまま次の遊びに移行する』ことが増えてきました。Upload By 丸山さとこクラスメイトから「校庭で遊ぼう!」と誘われても、コウは今したいことがあれば断ります。「今は本読むから」などと断るのであれば良いほうで、場合によっては声をかけられたことにも気づかず無視をしてしまいます。そんなコウであっても、1年生の半ばまでは何となく遊びの集団に入れてもらうこともありましたが、2年生になる頃には明確に『友だちと行動を共にすること』や『ルールを擦り合わせて共有すること』が必要になってきました。そうして遊びのスタイルや集団のあり方が変わっていく中で浮き始めたコウは、小学校高学年にかけてたくさんのトラブルを起こしました。小学生のコウは、悩んだことや困ったことをときどき親に話してくれたので、コウと一緒に振り返ったり考えたりする時間を持つようにしていました。例えば、先に書いた『友だちと行動を共にすること』についてコウが戸惑ったり困ったりした時は、以下のような会話をよくしていました。私:コウとしては、自分がやりたいことをしたいよね。順番とかのルールは守っているしね。あとは自由にしたいよって思うかな?コウ:思う。なのに自分勝手って言われることある。私:そうか。それは困ったね。コウの都合に対して、その友だちにはどんな都合があるのかな?コウ:その友だちの都合?私:お母さん考えてみたんだけど、遊んでいた友だちが移動する時にコウがついていかないのであれば、その子はまた新しく遊ぶ相手を確保しなくちゃいけなくなるんじゃないかな。コウ:それはそうだね。私:そんなことが何回もあったら、その子は次からどうするかな?コウ:うーん……『最初から違う子に声をかけたらずっと遊べる』ってなるか……。Upload By 丸山さとここのように状況を推測して共有したあとは、コウに「どうしたい?」と聞くようにしていました。コウが「それなら僕も1人で遊んでいたほうが自分のペースで遊べていいな」と思うのであれば、それに対するメリットとデメリットを並べて一緒に考えます。・友だちの繋がりを持っておかないとサッカーやキャッチボールなどの1人ではできない遊びの時に困るかもしれません。自分にとって都合の良い時だけ仲良くしよう!とはいかないからです。・一方、あまりに無理をして友だちのペースに合わせていると、「ちっとも楽しくないし疲れる!」となってしまうかもしれません。・ノリが合って楽しいけれどヒートアップしやすい友だちとは、トラブルも起きやすくなります。そのため、「自分の今のコンディションはどうかな?」「自分たちは楽しいけれど、周りはどうかな?」と広く考える必要が出てきます。そうしてクラスメイトとの関わりを体験し考えていく中で、コウは「ここはもう少し周りに合わせたほうが良さそうだな」とか「これは譲りたくないな。どう言ったらいいのかな?」というように、少しずつ試行錯誤していくようになったそうです。成長にともない解決する悩みもあれば、新たに増えた悩みもありますもちろん、現実はそこまでシンプルではありません。特に中学年以降になると、“相手も本当は嫌だけど我慢をしている”とか“力関係でNOを言いにくい状況である”などの複雑な場面も増えてきました。それでも、高学年になり周囲の子どもたちも成長して落ち着いていくことで、揉めている時のコウとは距離を置いたり言い合いを避けたりするようになりました。その結果、コウも周囲からの刺激にパニックになることなく冷静に自分を振り返ることが増えてきたようです。Upload By 丸山さとこ小学校高学年に入り、ふと周りを見た時に、『あれ?僕だったら怒るような関わりでも、みんな怒ってないな?』『怒ってる時や嫌な時の僕の表現は、みんなよりも激し過ぎる?』と気づいた時があったのだとコウは言います。その甲斐あってか、6年生の担任の先生との面談では「彼はすごく成長しましたね!周りとのトラブルも減りました」とホッとするお話をうかがいました。これで「コウも成長しました!めでたしめでたし~‼」……となるわけではなく、・趣味のプログラミングや音楽で友だちができたけれど、休み時間や部活中も学校貸与のタブレットを手放せなくなり大問題に発展・趣味の合う女友だち数人と過ごすことが増えて『男子のノリが荒っぽくて苦手』と言うようになる・女友だちと2人で出かけて「デート?」「彼女じゃん」と言われるなどなど、大小さまざまなトラブルや悩みは相変わらず続いています。成長や変化があればあったで、そこにはまた違った形のトラブルや悩みがあるのだなと思います。トラブルや悩みは少ないほうが私としては安心ですが、「トラブルや悩みが変わっていくのは成長も含めた変化があるからなのだろう」と心の端にとどめて、コウのこれからを見守っていきたいなと思います。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:室伏先生より)保育園から中学生までのお友だち付き合いについて、詳しくお話しいただきありがとうございました。コウくんとさとこさんが一緒に、友だち関係の悩みやトラブルを振り返り、考える時間を持てたことはとても素敵ですね。神経発達症のお子さんの中には、他者の複雑な感情を想像したり、微妙な表情の変化を感じ取ることが難しい子もいます。そのため、思いやりの気持ちや優しい気持ちを持っていても、相手の気持ちがうまく理解できず、トラブルになることもあります。こうした場合、相手の気持ちを代弁したり、状況を整理して「もし自分だったらどう感じるかな?」と考えてもらうことは有効な手段です。説明や指示を与えるのではなく、ヒントを伝えてコウくんに自分で考えてもらい、コウくんの気持ちや意見を尊重するという関わりがとても素敵だなと感じました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年11月25日