StudyHackerこどもまなび☆ラボがお届けする新着記事一覧 (6/28)
2020年に発表された「レポートカード16-子どもたちに影響する世界:先進国の子どもの幸福度を形作るものは何か」(ユニセフ・イノチェンティ研究所調査)で、日本の「子どもの幸福度」は先進国38ヵ国中、20位でした。2013年に行なわれた前回調査の6位からかなり順位を落としています。特に「精神的幸福度」については、生活満足度の低さや自殺率の高さが影響し、ワースト2位という結果に。健康や学力、経済面はトップクラスなのに、子どもが幸せを感じられないという事実。どうしたら、子どもたちは「自分は幸せ」と思えるようになるのでしょうか。今回は、「子どもの幸せ」と「子どもを幸せ体質にする親の特徴」について考えてみます。「幸福の4因子」があれば人は幸せになれる!人はどうすれば「幸せ」を感じられるのでしょうか?心理学・統計学をベースとし、「人はいかにすれば幸せになれるのか?」を追求する学問「幸福学」の第一人者である前野隆司氏(慶應義塾大学大学院教授)は、幸せを感じるための要素として、「幸福の4因子」を挙げています。やってみよう因子幸せを感じるためには、やりがいを見つけること。小さなことでもいいので、何かトライすることがとても有効です。新しい学びを得て、成長することに、人は幸せを感じるのです。 ありがとう因子「感謝の気持ち」をもっている人は、周囲といい人間関係を築けるため、幸せを感じやすいそう。また、人を喜ばせたいという気持ちがある人も、相手から感謝されることが多く、幸せを感じることができます。 なんとかなる因子リスクテイクできることは大きな強みになります。「なんとかなる!」と失敗を恐れずチャレンジできる人は、自分の世界が広がり、幸せへの道筋を見いだすことができるでしょう。 ありのまま因子人との比較で勝って得た幸せは、長続きしないことがわかっています。「人は人、自分は自分」と、ありのままの自分を受け入れることが、幸せにつながります。つまり、「幸せな人」というのは、「自己肯定感が高く、利他的で、人への感謝を常にもち、楽観的である人」と言えるでしょう。前野氏によると、不幸せな人は視野が狭くなりがちなのだそう。抱えている問題に対し、その一点しか見ていないため、袋小路に入り込んで出られなくなってしまうのです。反対に、幸せな人は、物事を俯瞰して見ることができるため、視野が広くなり、さまざまな解決策を出すことができます。解決策が出せれば、「なんとかなる」と考えられるため、楽観的にもなれるというわけです。そして驚くべきことに、「幸せな人」は「不幸せな人」よりも、寿命が7~10年長く、仕事の創造性は3倍、生産性は1.3倍になるという研究結果も出ています。幸福学についてもっと詳しく知りたいという方は、前野氏の著書『幸せのメカニズム 実践・幸福学入門』を読んでみてはいかがでしょう。「幸せは自分でコントロールできる!」と断言している前野氏が、幸せの仕組みをロジカルに解き明かしています。子どもの幸せの鍵を握っているのは、親ところで、いま、あなた自身は幸せですか?なぜこんな質問をしたのかというと、親の幸せが子どもの幸せに大きく関わっているからです。『世界に通用する子どもの育て方』の著者で、臨床心理学医学博士の松村亜里氏は、「子どもの幸せの鍵を握っているのは、親である」と言っています。どんな親でも子どもの幸せを願って、いろいろしてあげたいもの。しかし、まじめな人ほど、子どもを差し置いて自分の幸せを追求することに後ろめたさを感じてしまうようです。実際に、この後ろめたさを感じたことのある方は多いのではないでしょうか。ですが、「自分の欲求を我慢して子どもにばかり尽くしてはいけない」と前野氏は言います。尽くした先に生まれる、「ずっとそばにいてほしい」という束縛する気持ちは、子どもの自由を奪います。それに、子どものためにどんなに頑張っても、イライラして子どもにあたってしまっては本末転倒です。また松村氏は、もっと個人の強みにフォーカスするべきだと言います。日本人はつい弱みに注目してしまいがちですが、研究によると「自分の強みを知っている人は幸せになる」と証明されているのだそう。「人前で話すのは苦手でも、自分の考えをまとめることは得意」「飽きっぽいけど、新しいことにチャレンジするのは好き」というように、誰にでも「その人なりの強み」があるはず。これからAI化が進む未来に生きる子どもたちには、強みを生かし、価値を自分でつくり出していく力が絶対に必要なのです。まずは親自身がそのお手本になるべく、自分の強みを見つけ、幸せを積み重ねていく姿を子どもに見せましょう。親が毎日楽しそうに生きていれば、子どもは「自分もそうなりたい!」と思うもの。まさに「子は親を写す鏡」。ですから、「親自身が幸せになることはわがままでも勝手なことでもなく、むしろ子どものため」なのです。子どもを幸せ体質にする親の特徴6つ前述した「子どもの幸福度」の調査で、1位に輝いた国はオランダでした。オランダの子どもたちには、いわゆる「反抗期」もないのだとか。日本とオランダ、何が違うのでしょうか。どちらも、安全で物質的にも恵まれて、十分な教育を受けられることは、共通しています。違いは「その幸せを感じることができるかどうか」にある模様。そこには親の影響も少なからずあることは先に述べました。子どもを幸せ体質にしているオランダの親たちの特徴に、改善の糸口を探してみましょう。特徴1:子どもを「できる子」に育てようと思っていないオランダの親は、「頭がいい子」に育てる教育法などにあまり関心がありません。ですから、知育DVDを子どもに見せたり、幼児向けの習い事をさせたりする親はほとんどいないようです。親たちは、自分の子どもが「頭がいい子」に育つよりも「明朗でのびのびとした子」に育つことを願っています。特徴2:子どもの外遊びに付き添わない親の付き添いなしで外で遊ぶ子どもの姿は、オランダでは珍しくありません。よちよち歩きの子どもふたりが公園の滑り台で遊んでいても、親たちはベンチに座っておしゃべり。危ないからと横で見守ったり、「そこは触ったらダメよ」なんて言ったりはしません。オランダの子どもたちは外遊びで自由を満喫できるのです。特徴3:「ダメ」「~しなさい」と言わないオランダの親は、子どもに意見を押しつけることを嫌がります。しつけとして “指示する” ことも良しとしません。その代わりに、「~してほしい」という親の意思を、その理由とともにきちんと伝えるのです。そして、それをやるかどうかは子ども次第。考えさせて、行動は子どもに委ねます。特徴4:とにかく忍耐強い子どもと同等に向き合うことを常としていて、子どもの意向を確認しながら物事を進めるので、何事にも時間がかかります。そのため忍耐力は不可欠。子どもは大人のように、効率的に動くことができません。それでも、オランダの親たちは子どもの判断を待ちます。子どもを信じているからこそ、意志を尊重できるのです。特徴5:完璧主義ではない以前、ニューヨークタイムズで「オランダ人女性はなぜうつにならないのか?」と取り上げられたことがあります。その理由のひとつは、オランダの人は「完璧主義」でない人が多いから。「理想の自分」をつくりあげたり、人と自分を比較して落ち込んだりということが少ないのだそうですよ。特徴6:自分時間を大切にしているオランダは「パートタイムワーキング大国」。ワークシェアも進んでおり、自分に合ったライフスタイルを選ぶことができます。また、オランダの親たちは自分の時間を必ずもつようにしています。そのちょうどいいライフワークバランスこそが幸福感につながることを、オランダの親たちは知っているのです。オランダで、幸せのベースになると考えられているのは「平等主義」です。みなが平等であることで、比較、嫉妬、葛藤などの精神的ストレスがかなり減ります。それは親子関係でも同じ。親は子どもと対等でありながらも、人生の先輩として、「よいお手本」となることが推奨されています。親がよい行動と幸せな様子を見せることで、子どもの「幸せ感度」も自然と高まっていくのでしょう。***「幸福度研究」の第一人者であるオランダ・ロッテルダム エラスムス大学のルート・フェーンホーフェン教授は、「幸せは、生活満足度」だと述べています。経済的な豊かさではなく、「どれだけ生活を楽しんでいるか」ということが幸せにつながるのです。オランダの親たちはその点に価値を見出して、実践しています。もちろん、それぞれの国の文化、慣習、社会システムがあり、それぞれの家庭事情もあるので、すべて同じというわけにはいかないでしょう。それでも、オランダの事例に学ぶことは多いですね。(参考)Rese Mom|「親が幸せになることが大切」幸せな子どもを育むポジティブ心理学 松村亜里さんunicef|ユニセフ報告書「レポートカード16」発表 先進国の子どもの幸福度をランキングSTUDY HACKER|幸福学が証明「幸せな人はいろいろお得」――今日から始められる“幸せ習慣”教えますSTUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|「子どもは宝物だ」という思考が危うい訳。子を思うなら親は“自らの幸せ”を追求すべきYouTube|Well Being~幸福の4因子〜リナ・マエ・アコスタ 著, ミッシェル・ハッチソン 著, 吉見・ホフストラ・真紀子 訳(2018),『世界一幸せな子どもに親がしていること』, 日経BPマーケティング.親力|あなたは待てる親?待てない親?待てる親だけが子どもを伸ばせる
2021年01月08日前回の連載『「教室での集団授業」ばかりが正解ではない。未来の子どもの学習スタイル予測』では、RISU Japanのオンライン授業サービス「RISU小学生オンラインスクール」を取り上げ、アフターコロナ時代の子どもの学びを見つめました。学校での集団ベースの一斉授業から、個人に最適化された自由度の高い学びへと、教育の主流は変わりつつあります。そんな変化の時代にあって、オンライン教育への注目度はますます高まっています。人々の関心の高まりを反映して、外国でのオンライン教育の取り組みが紹介されるケースも増えました。しかしその論旨は、「外国ではこんなにオンライン教育が進んでいるのに、日本はこんなに遅れている!」というものがほとんど。はたして、本当にそうでしょうか?RISUでは、RISU USAというアメリカ向けのサービスを展開しています。今回は、RISU USAスタッフが見た、アメリカのオンライン教育の現状をお伝えしたいと思います。それらの知見はきっと、日本でも活きてくるはずです。RISU USAのオンライン授業は1クラス7~8人RISU Japanのアメリカ支社であるRISU USAは、英語圏にもRISUの教育サービスを展開するため 、アメリカ・カリフォルニア州シリコンバレーに設立されました。アメリカにおける教育の知見を取り入れるのも目的のひとつでした。RISU USAでは地元のニーズに合わせて、日本のRISU教材と同じようなプログラムに加え、論理思考(Critical Thinking)のプログラムも取り入れた授業を展開していました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大にともない、シリコンバレーでは3月18日から6月末までのロックダウン措置が決定。RISU USAのアフタースクールも、オンライン化を余儀なくされました。RISU USAのオンライン講座では、小学生向けの「Scratch Game Coding」(プログラミング)や中学生向けの「Python coding」(プログラミング)、「Financial Literacy」(金融リテラシー)、それに加えてクリティカル・シンキングの授業など、理数系を軸にした幅広いコースを開講しました。授業では、画面を共有し、機器の使い方のレクチャーを交えながら課題を解いてもらいます。そして、子どもたちの課題への取り組み方を確認しながら、教師がフィードバックを行ないました。対面形式では、1クラス20人近くの子を見ることができましたが、オンラインでは、1クラス7~8人が精一杯。オンライン上でひとりひとりと双方向的なコミュニケーションをとる難しさを実感させられました。Wifi環境がない!?アメリカのオンライン教育の現状手探りで始まった、RISU USAのオンライン講座。試行錯誤のなかで見えてきたのは、アメリカにおけるオンライン教育の難しさでした。一番多かったのは、機材に関連するトラブルです。いくら現代の子どもがデジタル機器に親しんでいるといっても、実際にそれを使ってコミュニケーションをとるには、いろいろな問題があります。Wifi接続や機材のセッティングといった準備は子どもには難しく、通信不良もたびたび起きます。また、子どもが自分のタブレットやPCをもっていない家庭では、親の仕事用PCを使っているため学習時間が限られてしまう、という問題もありました。RISU USAは、もともと学校に出向いて授業を行なうというスタイルをとっていたので、子どもたちは学校のWifiを利用することができました。しかし、オンラインへ移行すると、家庭にWifiがないという理由でRISU USAを辞めてしまう子も出てきました。日本でも、Wifiがない家庭への対処が問題になっていますが、アメリカでも、Wifi環境の整備は大きな課題です。「経済格差が学力差を生んでいる」という事実突然のロックダウン措置によるオンライン教育への移行から半年以上が経ったいま、アメリカの教育事情はどのように変化したのでしょうか。RISU USAのスタッフに話を聞いてみたところ、アメリカの教育現場が直面する厳しい現実が見えてきました。どうやらアメリカのオンライン教育の現状は、あまり変わっていないようです。地域間の格差、あるいは同一地域内でも家庭間の格差が、そのまま子どもの学習機会の差を生んでしまっています。裕福な家庭では、「パンデミック・ポッド」と呼ばれる、固定した生徒数人に対して、教員免許をもった先生1人の組み合わせで対面学習をさせる取り組みをしています。学校が提供するオンライン教育を受けながら、その補填をパンデミック・ポッドで行なうのです。一方で、低所得者層を中心に失業率が上がっており、学年始めからオンライン教育にすら参加できていない生徒も一部いるのが現実。こうした経済格差の問題は、これから先、ますます顕在化してくることが予測されます。アメリカ社会が抱える問題。いずれ日本でも……また、アメリカ社会全体に目を向けると、9月末で立ち退き請求保留の暫定法が失効し、家を追われた家庭も増えています。日本では、生活保護を受ければ最低限の衣食住を保証されています。しかし、アメリカでは住居に関するサポートは非常に限定的です。そのため、親にお金が入ったときは深夜運航のバスで寝て、それ以外は路上かホームレスのシェルターで寝る生活を余儀なくされる子どもたちもいます。アメリカでは、最も裕福と言われるシリコンバレーでも、約1割の家庭は学校給食なしでは3食食べられないのが現実です。学習機能だけでなく、生活サポートの場としての学校、という側面も考えていく必要があるでしょう。これまで見てきたように、最先端のIT企業がひしめくシリコンバレーでさえ、オンライン教育をめぐるさまざまな問題に直面し、その対応に追われています。アメリカで明らかになったこれらの問題は、いずれ日本でも十分に起こりうるものです。しかし、コロナ禍がもたらした「変化の時代」は、従来のやり方を見直し、教育をよりよい方向に変えるチャンスでもあります。コロナウイルス第三波の到来が叫ばれるいま、状況を冷静に分析し、関係者どうしが協力し合って、よりよい学習環境をつくっていくことが大切だと、強く感じています。『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』今木智隆 著/文響社(2019)■ 算数塾「RISU」代表・今木智隆先生 インタビュー記事一覧第1回:子どもを「算数嫌い」にしない大原則。幼児期からできる“算数好きの基礎”の築き方第2回:子どもが勉強で成果を出せないのは、親の「勘違い」が原因かもしれない第3回:10億件のデータを調べてわかった、小学生が「ずば抜けて苦手」な算数の単元と例題第4回:「算数の文章題が苦手」な子どもが、ひねった応用問題でも解けるようになる教育法
2020年12月25日子どもを「ほめること」と「叱ること」については、そのメリット・デメリットを理解している親御さんは多いでしょう。一方、「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えることについては、あまり意識することはないかもしれません。しかし、親が子どもへの感謝の気持ちを言葉にすることで、子どもは自信をもってその先の人生を歩むことができるようになるのです。さらに「ありがとう」は、言われたほうはもちろん言ったほうにもよい影響を与え、ポジティブな人生を送るキーワードにもなります。今回は、「ありがとう」がもつ大きなパワーと、親が子に感謝の気持ちを伝えるメリットについて考えていきましょう。毎日何回「ありがとう」と言っていますか?子どもに対して、「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えるよりも、叱ったり注意したりすることのほうが圧倒的に多いご家庭は少なくないはず。考えてみれば、お手伝いをしてくれたときやプレゼントを渡してくれたときくらいしか、はっきりと子どもに「ありがとう」を伝える機会はないかもしれません。「親子なんだから」「夫婦なんだから」と、家族であることを理由に、改まって「ありがとう」と言うのが照れくさい人もいるでしょう。しかし、どんなに感謝の気持ちをもっていても、それを言葉にして伝えないことには意味がありません。夫婦間では、「ありがとう」の一言が円滑な関係を構築するのに一役買うことがよくあります。東京大学名誉教授で教育学者の汐見稔幸先生は、著書の中で「とくに男性は感謝の気持ちを表したり、人をほめたりするのが苦手であるからこそ、『ありがとう』は超えなくてはならないハードルなのです」と、「ありがとう」がいかに重要な言葉であるかを説いています。汐見先生によると、「妻が自分のためにしてくれたことに対して『ありがとう』と伝えることで、相手は『またがんばろう』と思えたり、お互いのことに興味や関心を向けるようになったりする。そして好循環が生まれ、コミュニケーションが深まる」とのこと。もちろん親子関係においても同様です。むしろ、日常的に親から子どもに感謝の気持ちを伝えるように心がけると、想像以上の「いい効果」が期待できることもわかっています。次に詳しく説明していきましょう。子どもの自己肯定感を上げる「ありがとう!」親の「ありがとう」の言葉は、子どもにどのようなよい影響を与えるのでしょうか。具体例を交えながら解説していきます。■「生まれてきてくれてありがとう」アドラー心理学カウンセリング指導者で上級教育カウンセラーの岩井俊憲さんは、「あなたがうちに生まれてきてくれて、お母さんは幸せだわ」「うちの子になってくれて、ありがとう」など、「かけがえのない存在」「必要とされている存在」というメッセージを伝えることで、子どもは自分自身を信頼できるようになると言います。自分の子どもに対して、親ならば「生まれてきてくれてありがとう」と思うのは当然です。ただし、口に出すのは気恥ずかしく、きちんと伝えたことがないという親御さんも多いはず。しかし、言葉にすることで、子どもは自分の存在を肯定し、自信を育むことができるのです。■「(お手伝いや片づけを)してくれてありがとう」お手伝いや片づけなど、子どもの行動に対して「ありがとう」「助かったよ」と声をかけると、子どもは自分が役に立てたことに喜びを感じます。東邦大学医学部名誉教授であり生物学者の有田秀穂先生によると、感謝されることで感じる温かい気持ちは、オキシトシンの分泌によって生まれるそう。オキシトシンは、ポジティブな気持ちになる効果があることもわかっています。発達臨床心理学を専門とする、東京都市大学教授の井戸ゆかり先生もまた、子どもの好意に対して親が「ありがとう」と表現することで、子ども自身の感謝の気持ちを育み、自己表現を豊かにし、人間関係を円滑にしていく強さを培うことにもつながると話しています。■「えらいね」のほめ言葉を「ありがとう」に変える日本キッズコーチング協会理事長で幼児教育家の竹内エリカさんは、「行動を評価する『えらいね』という言葉をかけられ続けた子どもは、評価ばかりを気にするようになり、その言葉を得るために行動を起こすようになる」と指摘します。子どもをほめるとき、つい「えらいね」と言ってしまいますが、それよりも「ありがとう」を伝えるように意識しましょう。すると子どもは、「誰かの役に立ちたい」という本能的欲求が満たされて、思いやりや貢献心のある人間へと成長するそうです。■「○○くんのおかげで助かったよ。ありがとう」『子育てハッピーアドバイス』シリーズの著者である精神科医の明橋大二先生は、「子どもの自己肯定感を育むのに、いちばん簡単で有効な言葉は『ありがとう』」だと話します。「ありがとう」はただのお礼の言葉ではなく、同時にその人の存在価値を認め、自己肯定感を高めてくれる言葉でもあります。「自分でも人の役に立てる」「自分は必要とされている」という実感こそが、生きる力にもつながるのです。■「早く準備をしてくれてありがとう。助かるよ」出かける前にモタモタして準備が進まない子どもがいれば、「早くして!」と注意したくなりますよね。しかし、前出の岩井俊憲さんによると、その気持ちを抑えて、まずは「○時までに出発したいから協力してね」と促すといいそう。そして、ちゃんと準備ができたら「○○ちゃんが早く準備をしてくれて助かったよ。ありがとうね」とお礼をしましょう。すると子どもは、「自分が協力したらお母さんはこんなに喜んでくれるんだ」と学び、自分から進んで準備するようになります。■「お母さんが忙しいのをわかって手伝ってくれたんだね。気づいてくれてありがとう」また岩井さんは、「優しく思いやりのある子に育ってほしいなら、子どもの『共感に基づく行動』に注目して感謝するといい」と述べています。たとえば、こちらからは頼んではいないのに、大変そうにしている親や困っている兄弟を見て、自分から手を差し伸べてくれたとき。「気づいてくれてありがとう」「弟が困っているの、お母さんも気づかなかったよ。助けてくれてありがとう」など、その行動を受け止めて、感謝の気持ちを言葉にするといいでしょう。「感謝の心」はポジティブな状態を生み出す誰に対しても感謝の気持ちをもち、素直に相手に伝えることは、簡単なようで意外と難しいですよね。なにより自分に余裕がないと、なかなか「ありがとう」の言葉も出てきません。しかし、「ありがとうの言葉」や「感謝の気持ち」が、いかに人生の充実度や幸福度を左右するのかを知れば、できるだけその気持ちを保ち続けていたいと思うはずです。「感謝の心をもっていると、妬み、憤り、後悔や落ち込みといった、私たちを幸福から遠ざける有害な感情を抱かなくなる」と述べるのは、カリフォルニア大学デービス校のポジティブ心理学者、ロバート・エモンズ教授。つまり、人生をより前向きに生きていくには、感謝の心をもち続けることが大切なのです。ペンシルベニア大学心理学部教授マーティン・セリグマン氏がうつ病患者に行なった実験では、「感謝の気持ちによって通常よりも幸福感が高まり、抑うつ状態が減った」という結果が導き出されました。また、心理学者のロバート・エモンズ氏とマイケル・マッカロー氏の調査では、不眠症の症状がある人たちに感謝の気持ちを書いた日記を書いてもらったところ、症状の改善や睡眠の質が向上するといった変化がみられたそう。さらには、ノースイースタン大学が中心となって行なった研究によると、感謝の気持ちは自制心を高める効果があるということがわかっています。これらの研究結果からも、感謝の気持ちは人間の幸福感を高め、人生の質向上に良い影響を与えることは明白だと言えるでしょう。感謝の気持ちをもつことが幸福感につながるというのは、大人の場合に限ったことではありません。筑波大学人間系教授の相川充先生が小学生を対象に行なった調査(2013年実施)では、子どもたちの感謝の気持ちが友人関係における好循環を作り出すことがわかりました。感謝の心をもち続けると、幸福感が得られる感謝の心は、ネガティブな感情を取り除き、人生をより豊かにし、幸福へと導いてくれる大きな力になります。さらに幸福感を得た人は、あらゆる面でよりよい結果が手に入りやすい状態になることから、感謝の心がもたらす好循環の連鎖は想像以上だと言えるでしょう。人間の幸せのメカニズムを科学的に明らかにする “幸福学” の第一人者であり、慶應義塾大学大学院教授の前野隆司先生は、次のように述べています。たとえば幸せな人は、自己肯定感が高い、仕事のパフォーマンスが高い、目標が明確、利他的、楽観的、多様な友達がいるなど、どんな人でも生かせる知見が蓄積されています。すでにある程度幸せな人も、ポジティブ心理学を学ぶことで、さらに幸せになれる時代がやってきたのです。(引用元:前野隆司(2017),『実践 ポジティブ心理学 幸せのサイエンス』, PHP新書.)前野先生によると、ポジティブ心理学とは「心が普通の状態にある人が、いまよりももっといい状態になって幸せになることのできる学問」だそう。従来の心理学が、病気や悩みなどネガティブな心理状態にフォーカスしていたのに対し、ポジティブ心理学は「普通の生活をさらに生き生きとしたよい状態にすること」を目指しているのです。深刻な悩みや不安を抱えているわけではなく、むしろ毎日を問題なく過ごしているーー。そのうえで、さらに心身の状態をレベルアップしたり、子どもとの関係をもっとよい方向へと深めていったりしたいと望む人にとってはうってつけの心理学が、このポジティブ心理学です。もっと深くポジティブ心理学について知りたい、親子のコミュニケーションにも役立てたい、という人は、ヒューマンアカデミーの「ポジティブ心理学資格取得講座」を受講してみるのもいいでしょう。オンラインで月々3,000円から始められるので、気軽にチャレンジできるのも嬉しいですね。親子で「ありがとう」を学べる絵本4冊最後に、お子さまと一緒に感謝の心を育める絵本を紹介します。どれも名作と呼ばれるものばかりです。親子で「ありがとう」の大切さを実感してくださいね。◆『ありがとう』いなかから遊びに来てくれたおばあちゃんから、手づくりのクッキーをもらったにゃんた。「本当はおもちゃが欲しかったのに……」という気持ちから、素直に「ありがとう」が言えません。子どもが「ありがとう」の本当の意味を考えるきっかけになる一冊です。◆『ありがとう』山へ出かけたりすの親子は、大好きなどんぐりをたくさん集めます。そのどんぐりは世代を超えて、おじいちゃんやおばあちゃんからつなげられたものでした。まさに、出版社からのコメントにあるように「自分ひとりでは生きてはいけない。自分を支えてくれる人たちの大切さを学べる絵本」です。◆『うまれてきてくれてありがとう』「生まれてきてくれてありがとう」と、子どもに直接言うのが照れくさいのなら、絵本を通して伝えてみましょう。優しく、心温まる世界を描いた本作に、「子どもに読み聞かせをしながら泣いてしまった」というお母さんが多いのもうなずけます。◆『どうぞのいす』30年以上愛され続けているロングセラー絵本であり、いまもなお小さな子どもたちの「思いやり」の心を育み続けている一冊。うさぎさんがつくった「どうぞのいす」をめぐって、次々と動物たちの優しさが連鎖していく様子は、子どもに「他者への思いやりと感謝」を教えるのにぴったりです。***そういえば最近、子どもに「ありがとう」って言えてないな……と感じているのなら、さっそく「ありがとう」と伝えてみませんか?あれこれ理由など考えずに、お片づけやお手伝いをしてくれた、約束を守ってくれた、今日も元気に過ごしてくれた、など小さなことに感謝して言葉にしてみましょう。(参考)汐見稔幸(2008),『夫婦力ー夫の「話し方」で夫婦はこんなに変わる』,岩崎書店.PHPのびのび子育て 2019年10月特別増刊号,PHP研究所.加藤紀子(2020),『子育てベスト100』,ダイヤモンド社.mamagirl|「ありがとう」は、人の役に立つ子どもを育てる魔法の言葉!マンガで楽しく、手軽に読める『子育てハッピーアドバイス』シリーズ|自己肯定感を育むのに、いちばん簡単で、有効な言葉は?ダイヤモンド・オンライン|「人に感謝できる子」の親がしている5大習慣HUFFPOST|The Surprising Benefit Of Writing A Gratitude Letter To My FatherPsychology Today|How Gratitude helps You Sleep at NightNortheasternUnivercity college of science|CAN GRATITUDE REDUCE COSTLY IMPATIENCE?モチベーション研究所|研究所第6回フォーラム「感謝するとwell-beingは高まるのか?」前野隆司(2017),『実践 ポジティブ心理学 幸せのサイエンス』,PHP新書.ヒューマンアカデミー|ポジティブ心理学取得講座
2020年12月23日いまもなお、世界で猛威を振るう新型コロナウイルスは、医療の現場のみならず、教育の現場にも大きな影響を与えています。いまでこそ、ほとんどの学校で通常授業が再開し、子どもたちは学校で授業を受けることができるようになりましたが、緊急事態宣言が発令された2020年4月から5月にかけては、多くの子どもが各家庭で学習を進めなければなりませんでした。長引く休校期間中、「子どもに勉強をさせる難しさ」に直面し、頭を悩ませたおうちの方も多かったのではないでしょうか。そんななか、私が経営しているRISU Japan株式会社では、4月27日から5月27日までの約1ヶ月間、Youtube上で無料の「RISU小学生オンラインスクール」を開講しました。これは、新型コロナウイルスの影響で自宅学習を余儀なくされた子どもたち、とりわけ小学校1・2年生を対象に、無償でオンライン授業を提供するサービスです。ありがたいことに、チャンネル登録者数5,000人以上、合計視聴回数は約13.9万回と、大変なご好評をいただきました。社会が落ち着きを取り戻すまでの期間限定サービスであるオンラインスクールは、5月末に配信を停止しました。その際には、「今年いっぱいは開講してほしい」「長期休みに期間限定で復活してほしい」など、閉校を惜しむ声もたくさんいただきました。今回は、そんなオンラインスクールの経験から見えてきた、「未来の子どもの学び」の姿についてお話ししたいと思います。オンライン授業の実施率、アメリカは83%。日本はたったの5%!まずは、RISU Japanがオンラインスクールを開講した背景からお話ししましょう。2020年2月28日より始まった新型コロナウイルスによる休校期間。感染の恐怖と隣り合わせながら、いつ休校が明けるのか先も見えない状況のなか、多くのおうちの方から、子どもの学習機会の減少や学習の遅れ、学習内容の定着を心配する声をうかがいました。「新型コロナウイルスによる学習機会の減少で、子どもたちの貴重な才能を失いたくない」そう強く思った私たちは、この状況下で、私たちができることはなにか、必死に考えました。RISU Japanの強みを最大限活かしながら、子どもたちの才能を伸ばす方法ーー。ベストアイデアを求めて社内での検討は続きました。そこで考え出されたのが、「RISU 小学生オンラインスクール」でした。私たちは、デジタル教材に専門で携わってきたこともあり、動画制作や配信などのノウハウがあります。また、それだけではなく、10億を超える学習データを分析しながら自社サービス「RISU算数」のカリキュラムを作成したことから、子どもの学習に効果的なカリキュラムを作成することも得意分野でした。加えて、少し視点を広げ、コロナ禍での世界の学習状況にも目を向けてみました。たとえば、中国は国家単位で、無償の教育ツール(教材等)を提供しています。あるいはアメリカでは、「学校が提供するオンライン遠隔教育で子どもが学習している」と答えた親が2020年4月初旬ですでに83%おり(ギャラップ社調べ)、小学校から高校生まで、教師と生徒はオンラインで授業や課題のやりとりをするようになっていました。一方日本はというと、2020年4月16日時点で、休校中または休校予定の1,213自治体のうち、双方向型のオンライン授業を行なっていたのはわずか5%(文部科学省調べ)。諸外国と比較すると、日本の学習状況は明らかに遅れをとっていました。こうした状況を少しでも打破したい、という思いが社内での意見としてまとまってきたのです。そのようにしてやっと、「RISU小学生オンラインスクール」の構想が生まれました。どんな時代でも生き残る人材になるための「基礎力」とは?急ピッチでオンラインスクールの準備を進めるなか、私たちは、オンラインスクールの構想に興味を示してくれるひとりの人物と出会うことになります。それが、RISU小学生オンラインスクールで校長を務めることになる佐藤雅巳さんです。東京大学在学中から、長年にわたって大学受験の予備校講師を務めていたという、佐藤校長。担当した受験生のなかには、算数レベルの計算でつまずく生徒や、簡単な漢字が書けない生徒も少なくなかったと言います。そして彼らを見ているうちに、「本当に必要な『基礎力』を、早いうちから子どもたちに提供したい」という思いが芽生えたのだそう。佐藤校長のそのような思いと、RISUオンラインスクールの構想が結びつき、RISU Japanは佐藤さんをオンラインスクールの校長として迎え入れることとなりました。「コロナ禍で変容しつつある社会において、『どんな時代にあっても生き残れる人材』を育成するには、ひとりひとりに寄り添った低学年教育こそが必要だ」以前、佐藤さんがおっしゃったこの言葉が、私の頭を離れません。小学校1・2年生の子どもたちを対象に、算数と国語の授業を提供したRISU小学生オンラインスクールでは、そんな佐藤さんの「学習における『基礎力』を」という考えも大きく反映されています。たとえば、授業を見ながら自分で問題を書き取るような活動を入れたり、自分で問題や文章をつくったりする活動も授業では行ないました。「オンラインスクール」は受動的になりやすい授業形態です。だからこそ、自分で考え、アウトプットするという「学習にとってもっとも基礎になること」を勉強する時間を設けたのです。しかし、オンラインスクールというかたちでアウトプット主体の授業をつくるのはなかなか難しい作業でした。配信を開始してからも、受講者の声を聞きながら難易度やカリキュラムを調整し、一方的な配信にならないよう、注力し続けました。オンラインスクールで最も力を入れたのは、こうした「アウトプット主体」型の授業とオンラインという形態にどのように折り合いをつけるのか、ということでした。こうした苦労が功を奏したのか、RISUオンラインスクールは開校当初から、多くの好意的な反応をいただきました。TwitterなどのSNSでは、「休校中にもかかわらず、学び続けることができた」「動画での授業なのに、子どもが熱心に取り組んでいた」などの反応をいただきました。「教室での集団授業」ばかりが正解ではない最後に、コロナ禍での教育を見つめたひとりの人間として、withコロナ/アフターコロナ時代の教育について、私がいま考えていることをお話ししましょう。コロナウイルスの影響で、私たちの生活スタイルは以前とは異なるものになりました。それにともない、子どもたちの教育のあり方も大きく変わるに違いありません。西洋で近代教育が始まってからの200年間、「学校」は社会で役立つ人材を効率よく育てる組織として機能してきました。しかし、時代は複雑化し、個人が選択しうる職業やライフスタイルの幅は格段に広がりました。そうした社会状況のなかで、子どもたちの幸せ、あるいは将来を考えたときに、「教室での集団授業」ばかりが正解ではないと私は考えています。以前の連載でもお話ししましたが、これからの時代は、集団ベースの一斉指導ではなく、個人の個性に最適化された学習が教育の主流になっていくでしょう。私たちが提供するタブレットサービス「RISU算数」の学びは、そうしたものに近いと思います。タブレット学習の利点を活かして、それぞれの子どもが各自のペースで学習を進められ、自分の苦手をしっかりとカバーしてもらえる。そしてその過程で、社会で生きるために必要な論理的思考力なども、個人に最適化された形で身についていく。それこそが、私たちが目指す教育の姿なのです。また、現状では教育サービスに最も適したデバイスとして、タブレットが導入されていますが、私は今後、デジタルペーパーなどの紙の代替品が、教育と関わっていくのではないかと注目しています。未来の子どもの学習スタイルは、きっと、いまとはずいぶん異なるものになるでしょう。たとえば、リビングの机に座ると、机そのものがデジタルになっていて、声で呼び出すと机にRISUの画面が現れる。あるいは、自分の勉強部屋に行ったときも、同じように机の上にRISUの画面を呼び出し、勉強することができる。そんな世界が来る日も、そう遠くはないかもしれません。そしてそんな世界では、子どもたちの学びは各自のペースで、それぞれが好きなやり方で進めるものになっているかもしれません。もちろん、これはとても先の、未来のお話です。しかし私たちRISUJapanは、「才能あふれる社会を創り出す」をモットーに、教育でこんな未来を実現するひとつの手助けになれれば、と思っています。『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』今木智隆 著/文響社(2019)■ 算数塾「RISU」代表・今木智隆先生 インタビュー記事一覧第1回:子どもを「算数嫌い」にしない大原則。幼児期からできる“算数好きの基礎”の築き方第2回:子どもが勉強で成果を出せないのは、親の「勘違い」が原因かもしれない第3回:10億件のデータを調べてわかった、小学生が「ずば抜けて苦手」な算数の単元と例題第4回:「算数の文章題が苦手」な子どもが、ひねった応用問題でも解けるようになる教育法
2020年12月11日これからの時代に求められる力として、いま最も注目されているのが「思考力」、そして「発想力」です。これらの力を伸ばすために、たくさんの習い事やさまざまな体験をさせたい、と考えている保護者の方も多いのではないでしょうか。もちろん、特別な体験を通じて得られるものはたくさんあるでしょう。しかし、子どもの思考力や発想力を鍛えるヒントは、日常のなかにあふれているのです。今回は、すぐに実践できる「子どもの思考力・発想力を鍛える方法」について解説していきます。将来のためにいま「思考力」「発想力」の土台を築こう子育てをしていると、いまの子どもたちを取り巻く環境は、昔に比べてガラリと変わったと感じさせられます。私たち親世代が子どもであったほんの数十年前には想像もできなかったほど、社会全体がものすごいスピードで変化していることは、誰の目から見ても明らかでしょう。特に幼児期~学童期にかけての教育においては、昔といまでは「常識」とされていることがまったく違っているケースも多く、保護者のなかには戸惑う人もいるはずです。社会の仕組みが大きく変われば、教育のあり方や進むべき方向性も一変します。これまではペーパーテストで高得点をとることを目標にして、よい学校へ進学して安定した職業につくことが、一般的に「理想のコース」とされてきました。しかし、これからの時代に求められる能力やスキルは、テストの点数だけでは判断できないようなものばかり。そのなかでも、子どもたちが将来のために身につけておきたい能力として、重視されているのが「思考力」と「発想力」です。「考える力」と「ひらめき力」が伸びるとき思考力と発想力について、具体的に説明していきます。■思考力とは「思考力」いわゆる「考える力」は、当然誰にでも備わっているものであり、特別な訓練などしなくても “ただ考える” ことはできるでしょう。しかし、幼児期において育むべき「思考力」は、「物事を自分で判断し、自分で学んでいく力」だと東北大学加齢医学研究所教授の瀧靖之先生は述べています。情報があふれる現代社会では、正しい情報や自分にとって有益な情報を選び抜き、そこからさらに学びを深めていくことが求められます。そのために必要なのが、嘘やうわさに惑わされずに自分で考えて判断する力。そして、正しい判断力のベースとなるのは「考える力」です。子どもの「考える力」を育てるためのカギとなるのは「好奇心」にほかなりません。「知ることが楽しくてしょうがない!」という状態になった子は、親に「勉強しなさい」と言われなくても、勝手に知識をどんどん吸収していきます。まずは、子どもが好きなことに没頭できる環境づくりと、見守ってあげる心の余裕が必要かもしれませんね。■発想力とは「発想力」とはつまり「ひらめき力」。これからの時代は、常識にとらわれない柔軟な考え方ができたり、新しい感性で独創的なものをつくり出したりと、その人なりの個性を発揮することが求められます。子ども教育アドバイザーの岩田かおりさんは、「子どもは、周りの大人やお友だちとの『おもしろいね』『楽しいね』という会話や経験を通じ、自分とは異なる発想があることに気づき、学び、取り込み、新しいイメージをつくり出していきます」と説明しています。幼児期はこのような “楽しい体験” を重ねやすいため、自然と「ひらめき力」が育まれていくそう。子どもの発想力を伸ばそうとして、大人が無理に「考えなさい」と強要してしまうと、子どもは考えること自体が嫌いになってしまいます。大事なのは、自由な環境のなかで、のびのびと「ひらめき力」を伸ばしてあげること。そのためにも、どんどん楽しい体験をさせてあげましょう。思考力・発想力がアップする声かけの工夫続いて、子どもの思考力と発想力をアップさせる声かけ例を紹介します。■思考力アップの声かけー「なぜそう思ったの?」「どうしてこれを選んだの?」教育評論家の石田勝紀さんによると、「人間は『なぜそうなの?』『なぜだと思う?』と問われると考えるようになる」のだそう。子どもが興味をもっているものや好きなものに対して、「なぜ?」と問いかけてあげることで、考えるきっかけが生まれます。ー(子どもが自分で調べたあとに)「どういうことがわかった?」子どもの知的欲求が高まっているときは、質問をされてもすぐに答えを教えてあげるのではなく、調べる方法を伝えましょう。心理カウンセラーの浮世満里子さんによると、「調べたことに対して『どういうことがわかった?』と聞き、子どもに発表してもらうと効果的です」とのこと。それにより、ますます理解力が深まるというわけです。■発想力アップの声かけー「ゆっくりでいいよ」「待ってるから大丈夫」せっかく子どもが考えているのに、「まだ?」「早く早く」と急かしていませんか?親としてはパッとひらめいてほしいと考えてしまいますが、岩田さんいわく「『楽しい経験』や『周りの人の好反応』がなければ、子どもの発想力は育まれません」とのこと。ひらめきが生まれるまでじっくり考えさせてあげましょう。ー「○○ちゃんらしい絵だね」「世界にひとつの絵だね」浮世さんは、「お絵かきや工作などで、お友だちとは違う独創的な表現力を発揮している場合、ほかの子と比べたり評価したりするのではなく、ありのままの表現を認めてあげましょう」とアドバイスしています。それが自信につながり、さらに創意工夫を重ねることにつながるのです。ドリルを活用して、さらに思考力・発想力アップにつなげよう!声かけのほかにも、思考力・発想力を鍛える効果的な方法があります。書店やインターネットですぐに手に入るドリルなどは、まさにうってつけのアイテムだといえるでしょう。■『脳みそぜんりょくドリル』のここがスゴイ!○遊びのジャンルは13種類(おえかき、クイズ、こうさく、かいぶん、いたずら、など)。その日の気分に合わせて選べる!○300以上の遊びを詰め込んだ全600ページという大ボリュームで、飽きずに続けられる!○どこから始めてもOK、どこでやめてもOK!○1ページだけでもOK、10ページ進めてもOK。自由な遊び方で思考力・発想力がぐんぐんアップする!また、ページの途中でも切り離せるようなつくりになっているのも嬉しいポイント。「おえかき」ジャンルから数枚選んで切り離し、色鉛筆と一緒に荷物に入れておけば、車での移動中や食事の待ち時間にも遊ぶことができますね。このように『脳みそぜんりょくドリル』には、子どもたちの脳をフル回転させて、思考力・発想力を伸ばす工夫がたくさんつまっています。集中してよ〜く考えれば小さな子どもにも簡単に解ける問題ばかり。「どっちが早く見つけられるかな?」と親子で競争しても◎めがねやイヤリングを描き込んだり、お化粧をしてあげたりしてもいいですね。楽しみ方は無限大!少し難易度が高い問題もあるので、年齢に応じて長く楽しめます☆こちらもおすすめ!『しりとりあそび』遊びながら言葉を覚えるのに最適な「しりとり」は、小さな子どもが言葉を使いこなせるようになる訓練にも。たったの32ページなので、「最後までやりきった!」という達成感を得やすい構成になっています。『ちえあそび6』折る、切る、貼る、描き足す、といった動作によって手先を器用に使いながら、子どもの自由な発想力を育みます。迷路や仲間さがしなど、子どもが楽しみながら学べるしかけがたくさん!『めいろ1』子どもの能力が飛躍的に伸びる2~3歳は、脳に刺激を与えてあげることで思考力や直感力がぐんぐん発達していきます。カードを切り抜いて迷路をたどったり、ページを折ったりと、手を動かしながら進めていくことでさらに効果アップ!***特別なことをしなくても、日常生活のなかで子どもの思考力や発想力は確実に鍛えられます。声かけを工夫したり、ドリルを活用したりしながら、お子さまの能力を伸ばすサポートをしてあげましょう。(参考)PHPのびのび子育て 2020年12月号 ,PHP研究所.東洋経済オンライン|「考える力がない子」を変える3つの問いかけ新井洋行(2020),『脳みそぜんりょくドリル』, ポプラ社.宮西達也 著, みやしたはんな 絵(2015),『しりとりあそび』, ポプラ社.宮西達也 著, 下間文恵 絵(2014),『ちえあそび6』, ポプラ社.たかいよしかず 著, 吉田朋子 絵(2014),『めいろ1』, ポプラ社.
2020年12月02日前回の連載では、データが示す復習の重要性と、復習効果をアップさせる正しい方法についてお話ししました。今回も引き続き、自宅学習にまつわるお話です。RISUで学習する子どものデータを比較・分析したところ、理想的な学習習慣のヒントが見えてきました。「個々人の経験則ではなく、統計データなどの科学的根拠に基づいた知見を入れて教育をとらえ直そう」という、エビデンス・ベースドの視点に立って、「学習の時間帯」「学習の頻度」というふたつの入り口から、いま一度お子さんの学習習慣を見直してみませんか?夜中まで頑張る子ほど、成績が下がる!?まずは、「学習の時間帯」についてお話しします。みなさんのお子さんは朝型ですか?それとも夜型ですか?子どもが夜遅くまで勉強しているのを見ると、つい「えらい!」とほめてあげたくなりますよね。私も夜型の子どもだったのですが、遅くまで机に向かっていると、よく母親が夜食を用意してくれたものです。 それが嬉しくて、当時は深夜まで勉強を頑張っていました。でもじつは、深夜学習は効率が悪いばかりか、お子さんの成績を下げる原因にもなる、おすすめできない習慣です。思い当たるおうちの方がいらっしゃったら、すぐにやめさせたほうがよいかもしれません。夜学習の効率の悪さを示す、こんなデータがあります。朝型と夜型の子どもの「学習スピード」と「継続力」をそれぞれ比べたあるデータによると、朝型の子どもを100としたとき、夜型の子どもの学習スピードは73、継続力は48まで落ちるという残念な結果が出ています。勉強に取り組む時間帯が遅くなるにつれて、学習理解のスピードも、継続期間も下がっていきます。つまり、夜遅い時間に勉強する子ほど、効率も悪く、続かないということなのです。これは、いったいなぜでしょう。「脳の疲れ」が勉強効率を下げる!夜型の子の勉強効率を下げる大きな要因は、「脳の疲れ」。子どもは日中、さまざまなことに夢中になっています。学校で勉強をしたり、友だちと遊んだり……。朝起きてから12時間以上もたてば、体はもちろん、脳も疲れきってしまいます。一日活動して疲れた脳に、新しい情報を詰め込もうとしても、思うように入らないのは当然のこと。効率よく学習するには、脳のコンディションを整えることが大切です。脳の疲れをとるには、充分な睡眠が欠かせません。これは科学的にも証明されていることですが、たしかに、しっかりと睡眠をとった翌朝は、心も体もすっきりしますよね。朝型のほうが夜型より学習効率がよいのは、朝は、学習内容を吸収するための脳のコンディションが整っているからなのです。また、夜学習の問題点は、効率の悪さだけではありません。夜遅くに学習する生活を続けていると、非効率な夜型の学習習慣がすっかり体に染みついてしまいます。たとえば、試験前の30日間、毎日2時間勉強したとします。朝型の子の習得度を60とすると、夜型の子の習得度は30〜45くらいまで落ちてしまうわけです。単純に考えると、夜型の子は、そのぶんの時間(15〜30時間)を無駄にしてしまっているとも言えます。まして一度身についた習慣を変えるのは、難しいものですから、小学校入学から大学卒業までの約16年間における、夜型の学習習慣が及ぼす悪影響たるや、恐ろしいものです。理想の学習時間は、やはり朝。まずは朝に10分でもいいので、勉強する時間をとれるとよいですね。「たった10分」と思わず、習慣化してみましょう。一度習慣化できれば、その時間を15分、20分と伸ばしていくのは難しくありません。朝学習で脳を目覚めさせれば、日中の活動もスムーズになり、一石二鳥です。ぜひ、朝型の学習スタイルを取り入れてみてください。週1回60分 VS 週3回20分次は、「学習の頻度」のお話です。RISUのデータによると、同じ期間に同じだけの時間学習している子どもでも、学力の向上にはバラツキがあることがわかりました。学習時間はきちんと確保しているのに、成績の伸びがいまひとつの子どもと、学習したぶんだけ成績アップにつながっている子どもの差は、いったいどこにあるのでしょうか。その答えの鍵を握るのは、「学習頻度の違い」です。子どもの学習傾向を「1回に長時間学習する、長時間型」と「短い時間で何度も学習する、短時間型」に分けて比べてみたところ、「短時間型」の子のほうが学習効率がよく、成績の伸びも明らかに大きかったのです。具体的には、短時間型の子の50時間での平均学習スピードは長時間型の1.1倍、という結果が出ました。たとえば、週3回20分学習する子と、週1回60分学習する子の、1週間でのトータルの学習時間は同じです。しかし、前者が2〜3日に一度は学習をしているのに対して、後者は7日に一度。学習と学習の間が、160〜170時間も空いてしまっています。これでは、一度理解した内容もうろ覚えになりがちです。せっかく覚えた公式も忘れてしまうかもしれません。そうすると、前に学習した内容を思い出すのに時間をとられて、結果的に学習効率が下がってしまいます。成績アップのためには、学習の間隔を空けないことが大切なのです。ここまで読んでいただいた方は、「じゃあ、まとまった勉強時間をとるより、スキマ時間で1日に何度も勉強した方が、成績が上がるの?」とお思いかもしれません。しかし、ここで注意してほしいのが、「1回の勉強が10分を切ると、学習効果が薄れてしまう」ということ。1回の勉強時間は、20分は確保できるとよいですね。学習習慣は、日々の積み重ねです。ほんの少しの違いが、のちのちの大きな差につながります。同じ時間勉強をしているはずなのに、ライバルとの差が埋まらない……。そんなときは、「学習の時間帯」と「学習の頻度」を振り返ってみてはいかがでしょうか。『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』今木智隆 著/文響社(2019)■ 算数塾「RISU」代表・今木智隆先生 インタビュー記事一覧第1回:子どもを「算数嫌い」にしない大原則。幼児期からできる“算数好きの基礎”の築き方第2回:子どもが勉強で成果を出せないのは、親の「勘違い」が原因かもしれない第3回:10億件のデータを調べてわかった、小学生が「ずば抜けて苦手」な算数の単元と例題第4回:「算数の文章題が苦手」な子どもが、ひねった応用問題でも解けるようになる教育法
2020年11月27日「個々人の経験則ではなく、統計データなどの科学的根拠に基づいた知見を入れて教育をとらえ直そう」という「エビデンス・ベースド」の考え方を手がかりに、さまざまな視点から算数教育を見つめてきた本連載。今回からは2回にわたって、データから見えてきた正しい学習法のヒントをご紹介したいと思います。自宅での学習は、大きく分けて「予習」と「復習」のふたつに分類できます。みなさんは、どちらに力を入れていますか?勉強しているのに成績が伸びない……と悩む人は、じつは「復習」を軽視しているケースが多いことがデータからわかりました。逆に言えば、復習を上手に日々の勉強に取り入れれば、伸び悩んでいた成績をグッと成長させることができるかもしれません。今回は、データに基づいた「正しい復習方法」についてお話しします。学習内容をすべて記憶する「復習のタイミング」まずはこちらのグラフをご覧ください。※画像はRISU Japanにて作成これは、「エビングハウスの忘却曲線」と呼ばれるグラフ。いままでの経験と関係ないことを記憶したときに、人間がどれくらいの期間でそれを忘れてしまうかを表しています。このグラフからわかるのは、「人間は、物事を記憶した1日後にはその74%を忘れてしまう」という事実(本来はもっと複雑なデータなのですが、ここではこれくらいの理解で大丈夫です)。私と同じ40代で、「最近物忘れがひどくって……」と嘆いている人がいますが(笑)、もともと人間の記憶力は、私たちが想像している以上に頼りないものなのです。次に、こちらのグラフをご覧ください。※画像はRISU Japanにて作成グラフの青い線は通常の記憶の定着率、オレンジの線は復習をした場合の記憶の定着率を表しています。このグラフは、「学習から2日目に10分」・「学習から7日目に5分」・「学習から30日目に2〜4分」の復習を行なうことで、学習内容のほとんどを覚えておけることを示しています。適切なタイミングの復習が、記憶の定着率をアップさせるのです。逆に言えば、復習を適切に行なわなければ、せっかく学習した内容もどんどん忘れてしまうのです。これらのグラフから、正しい復習の重要性がおわかりいただけたと思います。やり方によっては「ほぼ無意味」の復習とは?たしかな算数の力を身につけるために欠かせない復習ですが、やり方によっては「ほぼ無意味」になってしまう危険もあります。そのやり方とはズバリ、「総復習」。よく、子どもの算数の実力に不安を感じるおうちの方から、「ちゃんと総復習をさせてください」とお言葉をいただきます。でも、じつは、総復習で得られる効果は微々たるもの。かかる時間の割に、効果が少ない復習方法だと言えます。総復習には、「いい点数がとれて安心してしまう」という落とし穴があるのです。たとえば、子どもが学期末の総復習テストで90点をとってきたら、おうちの方は「うちの子はちゃんと理解できているんだ」と安心しますよね。でもそこで注目すべきは、じつは落とした10点。そもそも、総復習テストの役割は、「わかっている単元」と「わかっていない単元」を明らかにすることだけです。間違えた問題をしっかり見直し、その単元に戻って勉強して初めて、総復習テストは意味を持ちます。本来復習とは、テストで間違えた問題だけではなく、つまずいた単元の土台となる単元を見直して初めて効果があるもの。総復習で理解できていない単元を洗い出し、一から復習するのも手ではありますが、それにはかなりの時間が必要になります。長期休みに総復習を始めたものの、時間がかかりすぎて中途半端なまま新学期を迎えてしまった……なんてことにもなりかねないのです。総復習をする前に、「4つの土台」を見直そうでは、総復習にあまり効果が望めないとしたら、どんな勉強をすればよいのでしょうか。お子さんの算数の実力に不安を感じたら、総復習ではなく、まず次の4つの大きな単元を見直すようにしてください。2〜3桁の位の理解図形の組み立て、立体の基礎目盛りの読み方円と直径・半径の理解第3回連載『10億件の学習データから判明。算数の苦手は「位」「単位」「図形」の3つに分類できる!』でも少し触れましたが、これらはほかの単元と多く関連している、いわば「算数の土台」となる単元。さらに、統計データを調べると、これらは多くの子どもが苦手だと感じている単元でした。つまり、これらの単元を十分に理解できていないために、その先の範囲でつまずいている子どもが多いのです。効率的にいままでの学習を見直したいのなら、この4つの大きな単元を復習させてみることをオススメします。モチベーションアップの魔法「レベル上げの可視化」とはいえ、一度やった範囲をもう一度勉強しなければならない復習は、なかなかモチベーションが上がらないもの。私も、子どもの頃は復習が大嫌いでした(笑)。最後に、復習のモチベーションアップの秘訣をお教えしましょう。算数はさまざまな単元を少しずつ積み上げて、より難しい範囲に進んでいく「RPGゲーム」のようなもの。そして、「復習はRPGのレベル上げ」です。私が提供しているRISU算数では、そのことを子どもにわかってもらうためにある仕組みを採用しています。RISUの問題のクリア条件は50点以上なのですが、50〜99点だと、評価として星3つ中2つがつきます。100点をとるまで、星3つの評価はつきません。100点をとると、星が1つ増える。この仕組みは、いわば「レベル上げの可視化」です。レベル上げを、子ども自身の目に見える形にすることで、成長を実感しながら復習することができるのです。こうしたRISU算数の仕組みは、ご家庭での心がけにも応用できます。たとえば、お子さんが復習で100点をとったら、それをめいっぱいほめてあげましょう。90点から100点への点数アップは些細なことに見えるかもしれません。しかし、その10点分をたっぷりほめてあげることが大切です。場合によっては、復習に対してご褒美をあげるのも効果的でしょう。復習の効果を、子どもに気づかせてあげること。それが、子どもを復習に向かわせるために最も有効な方法なのです。次回は、自宅学習のさまざまな方法について、統計データを比較しながらご紹介したいと思います。お楽しみに。『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』今木智隆 著/文響社(2019)■ 算数塾「RISU」代表・今木智隆先生 インタビュー記事一覧第1回:子どもを「算数嫌い」にしない大原則。幼児期からできる“算数好きの基礎”の築き方第2回:子どもが勉強で成果を出せないのは、親の「勘違い」が原因かもしれない第3回:10億件のデータを調べてわかった、小学生が「ずば抜けて苦手」な算数の単元と例題第4回:「算数の文章題が苦手」な子どもが、ひねった応用問題でも解けるようになる教育法
2020年11月13日「うちの子は、ほかの子供より敏感かもしれない……」と親が感じるようであれば、お子さまはHSCかもしれません。「HSCとは?」「HSCは遺伝なのか」「HSCが必ずもっている4つの面(DOES)」「子供がHSCだったときの関わり方」などについて詳しく説明しましょう。HSCと呼ばれる子供とはHSCとは、Highly Sensitive Child(ハイリー・センシティブ・チャイルド)の略で、「ひといちばい敏感な子ども」という概念です。HSCは、生まれつき非常に敏感な感覚や感受性をもっているため、刺激を受けやすく、些細なことが気になってしまいます。また、ひといちばい敏感な大人は、Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)、略してHSPと呼ばれます。このHSPという概念は、1996年に心理学者であるエレイン・アーロン博士によって明らかにされました。アーロン博士の研究によって、HSPでない人(非HSP)から「恥ずかしがり屋」「怖がり」「臆病」などと表現されやすいHSPの特徴は、HSP特有の「敏感すぎる気質」が原因であるということがわかったのです。そしてアーロン博士は、2002年に『The Highly Sensitive Child』という、ひといちばい敏感な子どもの特徴や育て方について詳しく書いた本を出版しました。自身もHSPであり、HSCを育てる親でもあるアーロン博士は自著のなかで、「HSCの敏感さは、病気でもない、障害でもない、単に生まれもった気質によるもの」と言っています。そう――、HSCである子どもたちの敏感さは、病気でも障害でもないのです。5人に1人の子供がHSCHSCである子どもは、人種に関係なく、どの社会にも15~20%の割合で存在します。たとえば、1クラス30人であれば、クラス内に5、6人はHSCがいるということ。5人に1人がHSC――意外と多いと感じた方も多いのではないでしょうか。しかし社会は、約80%のHSCでない子どもたち(非HSC)向けになっています。ですから、児童精神科医の長沼睦雄先生が『子どもの敏感さに困ったら読む本』のなかで言うように、HSCにとっての日常生活は疲れることが多いのです。ちなみに、HSC・HSPの70%は内向的ですが、30%は外向的なのだそう。この外向的なHSC・HSPは、HSS(High Sensation Seeking)と呼ばれ、「好奇心旺盛で新しいもの好き」「退屈さを嫌う」などの特徴をもつ、刺激を追い求めるタイプとされています。しかしHSC・HSP特有の敏感すぎる気質から、刺激を追求しつつも、その刺激に疲れてしまうとのこと。にぎやかな場所は好きだけど、楽しむ前にぐったりしてしまうような子供は、外向的なHSCであるHSSの可能性が高いかもしれません。子供がHSC、原因は遺伝?HSCの子供たちは、なぜひといちばい敏感なのでしょう。どうやらHSC・HSPは、非HSC・HSPの人と比べて、脳内の神経が高ぶりやすい傾向にあるようです。HSPについての発信が多い、渡邊真也先生が統括院長を務める新宿ストレスクリニックHPでは、HSPの敏感さについて次のように説明されています。ストレスを感じやすいHSPの人はもともとストレスを処理する「扁桃体」が活発で、不安や恐怖を感じ取りやすいのです。さらに、激しい感情などが起こったときに分泌される「ノルアドレナリン」や、俗にストレスホルモンとも呼ばれる「コルチゾール」も非HSPの人に比べて分泌されやすいため、さまざまなことを警戒し敏感に反応してしまいます。(引用元:新宿ストレスクリニック|HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)とは?~HSPはうつ病になりやすい!?~)HSC・HSPの脳は、不安や恐怖を感じ取りやすいのですね。そして前述したように、HSCの敏感さは生まれもった気質。ということは、HSCは遺伝なのでしょうか?HSC・HSPの原因が遺伝子なのか否かという研究はまだ続いているようで、結論は出ていません。ですが、アーロン博士が自著のなかで「ひといちばい敏感であるという性質は『主に』遺伝子で決まる」と書いているように、遺伝子要因は強いけれど、遺伝子以外の要因もあると考えられています。前出の長沼先生も同じ意見のようで、「HSCやHSPは遺伝的なもの」と肯定しつつも、「HSPではない親からHSCの子どもが生まれることについて、遺伝ですべてを説明することは難しい」と主張しています。HSCの子供が必ずもっている「4つの面(DOES)」次に、HSCの子供たちの特性を見てみましょう。アーロン博士は、2015年に発売された『ひといちばい敏感な子』の巻末「――日本語版の発刊に際して――」のなかで、HSCが必ずもつ「4つの面(DOES)」について説明しています。HSCであれば、以下に挙げる「4つの面(DOES)」すべてが当てはまるのだそう。逆に、ひとつでも当てはまらないならHSCではありませんとのこと。【D】(Depth of processing):深く処理する【O】(being easily Overstimulated):過剰に刺激を受けやすい【E】(being both Emotionally reactive generally and having high Empathy in particular):全体的に感情の反応が強く、特に共感力が高い【S】(being aware of Subtle Stimuli):ささいな刺激を察知するD:深く処理するHSCは、物事や情報を深く受け取って考えます。それゆえ、「行動を起こすのに時間がかかる」場合も多いかもしれません。お子さまに次のような傾向はありませんか。物事の本質をつくような深い質問をする聞きかじりの言葉を使って大人びたことを言うユーモアのセンスがあるいろいろな可能性を考えてしまうので、なかなか決断ができないじっくり観察してから考えるので、行動するのに時間が必要優柔不断などと言われがちなHSCですが、「HSC=優柔不断」ではありません。HSCが判断を迷っているときは、「この人は〇〇と言っているけど、あまり嬉しそうな顔をしていないから、もしかしたら△△なのではないか?」など、情報を「深く処理している最中」なのです。O:過剰に刺激を受けやすいHSCは、自分のまわりで起こっているすべてのことに気がつき、深く考えます。ですから、HSCは過剰に刺激を受けやすく、非HSCに比べて疲れやストレスを感じやすい。たとえば、以下のような反応・行動です。楽しいはずのイベントや旅行なのに、ぐずったり、ぐったりしたりする興奮することがあった日の夜は眠れない大きな音が苦手痛みに弱い暑さや寒さ、サイズの合わない靴、濡れている・チクチクする服に文句を言うサプライズが苦手人に見られる・実力を試される場面などで普段の力を発揮できないE:全体的に感情の反応が強く、特に共感力が高いHSCは、自分の感情にも敏感ですが、自分だけでなく他者の感情に対しても敏感です。たとえば、掃除機をかけながらキョロキョロしている母親の様子を見て、「はい、メガネだよ」と探しているものを持ってくるといった行動。HSCには、人の様子を観察し、その人がなにを求めているのかを察する力があるのです。しかし一方で、人の心を読むことに長けているがゆえ、他者の悲しみや不安などの感情にも強く共感してしまいます。そのため、家族や友だちだけでなく、初めて会った人や動物のストレスまでも感じ取ってしまうのです。以下のようなことはありませんか?親は妹を叱っているのに、なぜか隣にいる兄のほうが泣き出してしまうペットの死から数ヶ月たつのに、まだ落ち込んだ状態が続いている動物の気持ちに共感してしまい、「牛がステーキになる」などの事実にショックを受けるS:些細な刺激を察知するHSCは、小さな物音や、かすかなにおい、わずかな味の違いなど、些細な刺激や変化によく気がつきます。思考や感情のレベルが高いため、非HSS・HSPが気がつかないほどの刺激や変化に敏感に反応するのです。たとえば、次のようなことでしょうか。肌触りが違うからか、お気に入りのバスタオルしか使わない店内や乗り物のにおいにものすごく敏感夫婦喧嘩になるかならないかのときに、悲しそうな顔をしたり泣き出したりするいつも食べ慣れているおかずの味を少し変えただけで「おいしくない」と言う遠くの鳥の声や飛行機のエンジン音が聞こえる「前髪を切った」「小物を移動させた」など、人や場所の小さな変化によく気がつく他者の視線やあざ笑い、お世辞などにすぐ気がつくしかし、決して悪いことばかりではありません。アーロン博士によると、HSCである子供は、「深く考える」という特性から、芸術鑑賞の際などに大人が驚くような洞察力を発揮するそうですよ!HSC診断テストでチェックしてみようHSCである子供に見られる特性、「D:深く処理する」「O:過剰に刺激を受けやすい」「E:全体的に感情の反応が強く、特に共感力が高い」「S:ささいな刺激を察知する」の説明を読んでも、「ちょっとまだうちの子がHSCなのか判断がつかない……」という方は多いかもしれません。そんな方は、アーロン博士がつくったセルフテスト「Is Your Child Highly Sensitive?」(※チェックリスト・得点評価は日本語です)をやってみてください。「親から見た子ども」についての23の質問を読んで、「当てはまる(どちらかというと当てはまる)」項目のみにチェックを入れます。13個以上の質問に当てはまった場合、あなたのお子さまはHSCでしょう。また、当てはまった質問が1~2つしかなかったとしても、その度合いが極端に強いようであれば、お子さまはHSCの可能性があります。次項では、HSCの子供が成長する過程(0歳~12歳)で親が気をつけることについて見てみましょう。HSCの子育てアドバイス【乳児期・幼児期・学童期】お子さまがHSCの親御さん、もしくは、「HSCかどうか判断が難しいけれど、ほかの子供と比べて敏感すぎる……」と感じている方に向けて、HSCの年齢別アドバイスを紹介します。【乳児期(0歳~1歳)】アーロン博士によると、敏感な乳児は過剰な刺激が原因で泣き続けることがあるそうです。生後4ヶ月以上の乳児(*)で、「一度に2時間以上泣く」「1日に3時間以上泣く日が週に3日ある」ときは、赤ちゃんのまわりにある「刺激」を減らしてみましょう。たとえば、以下のようなことです。無理に喜ばせようとしたり、大きな声であやしたりしないおもちゃ、写真、スマートフォンなどをベッドまわりから排除する夜だけでなく、日中の音も抑えるお風呂や食事は、できるだけ毎日同じ時間に行なう知り合いの訪問はなるべく避ける綿100%の柔らかい服を選ぶ1歳になるまでは引っ越しや旅行を避ける親は子供の近くで興奮しないようにするまた、生後6ヶ月頃のHSCは、非HSCに比べて「眠りにくい」「すぐに目を覚ます」といったことが多いでしょう。その場合も、刺激を減らすことを意識してみてください。*…栄養状態も体格もよく、病気ではない乳児【幼児期(1歳~5歳)】HSCのストレスの原因は、過剰な刺激です。そして幼児期のHSCにとって最大の刺激は「変化」なのだそう。弟や妹ができたとき、食べたことのない料理を出されたとき、日々の習慣が変更されたとき、新しいことに挑戦するとき、突然の計画変更などです。HSCが変化に対応するときは、脳内で刺激を処理する必要があります。AがBに変わるならば、Aに合わせてつくり上げてきた脳の処理プロセスを、今度はBに合わせてつくり上げなければなりません。親が考える以上に、HSCにとって変化への適応は大変なのです。ですから、HSCである子供には、次のような「変化を負担に感じさせない工夫」をするとよいでしょう。「あと5分だよ」「あと1分だよ」と約束の時間を前もって知らせる。時間になったら、「ご飯の時間だよ」と声をかける初めての食べ物を出すときは、「これもお母さん(お父さん)がつくったご飯だよ」「このソースは、昨日食べたトマトからつくったよ」など、変わっていない点を伝える「朝ごはんを食べたら、歯磨きをして、幼稚園に行こうね」と、これからやることを伝え、子供に心の準備をさせる「お母さん(お父さん)に手伝ってもらいたい?それとも自分で着替えたい?」と、子供に選ばせて、次のステップへの不安を取り除く「パーティーではこんなことをするよ」など、子供がびっくりしないように、これから起こることについて話をしておくHSCの敏感さを理解していない親は、変化に戸惑う子供に対して「このくらい大丈夫でしょう!」と責めることが多いそうです。しかし長沼先生は、「HSCの子供を頭ごなしに叱ったり、イライラをぶつけたり、バカにしたり、あざ笑ったりしないで」と訴えます。親が子供の感じ方や考え方をできる限り尊重することで、「お母さん(お父さん)にわかってもらえた」と子供は安心するのです。【学童期(5歳~12歳)】アーロン博士は、HSCの学童期について「独特の才能を開花させる時期」だと言います。どうやら、HSCのなかには、音楽、絵画、数学、自然科学などのさまざまな分野で、すばらしい才能を発揮する子供がいるらしいのです。また、ベストセラーとなった『「繊細さん」の本』著者で、HSP専門カウンセラーの武田友紀さんも、テレビ番組『世界一受けたい授業』のなかで、HSPは想像力が豊かだと話しています。毎日の生活でクタクタにならないように、親が気を配ってあげてください。そうすれば、HSCの好奇心や創造性をめいっぱい伸ばすことができるでしょう。十分な睡眠時間をとらせるHSCにとって、睡眠時間はダウンタイムです。ダウンタイムがとれないと、気分が落ち込んでしまいます。睡眠の専門家である成田奈緒子先生(文教大学教育学部教授)の調査によると、23時以降に就寝する小学生は「イライラすることが多い」「自分なんていないほうがいいと思う」と答える子が多かったそう。非HSCの子供でさえ、心の不調を訴えるのです。子供が慢性的な睡眠不足にならないよう、毎日十分な睡眠時間を確保してあげてください。できれば21時にはベッドに入れるといいですね。もし子供が疲れているなと感じたら、学校を休ませてゆっくり寝かせてもよいでしょう。連休や長期休みは「いつも決まった場所」で過ごす連休や長期休みには、いつも決まった場所に行くなどの習慣的な過ごし方がおすすめです。HSCにとって刺激の強いイベントや遠出ですが、習慣にすることで刺激を抑えることができ、休日を楽しめるようになります。また、年末年始やお盆などにありがちな「突然の来客」や「多すぎるお客さん」は、HSCの負担になることが多いようです。挨拶ができればそれだけでOK。無理に大人の会話に引き込んだり、愛想よく話すことを求めたりしないように気をつけてください。子供が熱中できる習い事を探す長沼先生は、子供が「やりたい」と言った習い事はできるだけ挑戦させるべきだと話します。著書『子どもの敏感さに困ったら読む本』によると、音に敏感なHSCの子供がピアノレッスンを始めてみたら、どんどん上達したそう。また、運動系の習い事では、単純な動きを繰り返し練習することで「できた」という感覚を知り、自分の運動能力に自信をもてるようになります。HSCは熱中できるものを見つけると心が安定するので、必ず “子供が希望する習い事” をやらせてあげてください。HSCの子供の敏感さは長所になる!敏感すぎるという面だけ見ると、ネガティブなイメージが強いHSCの子供たちですが、最近の研究では、ポジティブな側面も多いことがわかっています。人間発達学が専門のジェイ・ベルスキー氏(カリフォルニア大学デービス校教授)は、HSCの敏感さについて、「良質の子育てを受けるなど、よい環境に置かれた場合には、ほかの子よりもプラスに作用します」と主張しています。HSCは非HSCよりも感受性が強いため、同じような幸せな環境にいた場合、非HSCよりも幸せを感じることができるのです。また、物事を深く考えるので、勉強に集中できる環境であれば、成績もよいのだそう。ほかにも以下のようなポジティブな面がありますよ。幸せを感じやすい病気や怪我が少ない成績がよいモラルのある行動ができる他者への気づかいができるでは、「良質な子育て」とはどのような子育てなのでしょう。アーロン博士は、HSCが幸せな人生を送るためには、自己肯定感を育むことが大切だと言っています。HSCの子供は、「叱られたときに自分はダメな人間だと感じる」「間違いをひどく後悔して自分を戒める」「友だちに言われたことを深く考える」といったことが多いでしょう。ですから、自己肯定感という心の土台がないと、悪いことがあったときに、その影響をまともに受けて傷ついてしまうのです。自己肯定感とは、「自分は自分であっていい」という揺るぎない気持ちであり、「ありのままの自分に価値がある」と考えられること。HSCである子供の自己肯定感を高めるには、次のようなアプローチがよいでしょう。敏感さは「すばらしいことだ!」と伝えるHSCの敏感さについて、「とてもすばらしいことなんだよ」と折に触れて教えてあげましょう。もちろん、親自身が本当に「わが子の資質はすばらしいのだ」と心の底から感じることが大切です。もしあなたが少しでも「うちの子は敏感すぎて将来が心配」などと思っていたら、その不安はHSCである子供に伝わってしまいます。ありのままのわが子を誇りに思うことが重要です。「優しい」「深く考える力がある」など、敏感さのメリットを伝えてもよいでしょう。HSCの感じ方や気持ちを受け止める子供の感じ方や気持ち、意見を尊重しましょう。たとえば、「このお店のなか、変なにおいがする」という感覚は、親には理解できないかもしれません。でも、頭ごなしの否定はしないようにしましょう。「そうなんだね。買い物を済ませたらすぐに帰ろうね」と、気持ちを肯定することで、子供は「この感覚は間違いではなかった」と安心することができます。この安心感が、「自分は自分でいいんだ!」という気持ちにつながるのです。親が受け止めてあげることで、HSCの子供の自己肯定感はアップしますよ。HSCの子供について書かれた本、おすすめ3冊「もっと、HSCの子供について情報が欲しい」という方におすすめの3冊をご紹介します。『ひといちばい敏感な子』「HSCとは?」という概念から、年齢別のアドバイスまで詳しく書かれているので、この1冊でHSCについての基本的なことが理解できます。「もしかしてうちの子ってHSC?」と感じたら、まずこの本を購入することをおすすめします。子供の敏感さをよい方向に導いていくためのアドバイスが満載です。『子どもの敏感さに困ったら読む本』著者は、日本では数少ないHSPの臨床医・長沼睦雄先生。「困ったときの子育てアドバイス」や「こじらせないために親がすべきこと」など、子どもの敏感さに困っている親に向けた助言にページが多く割かれています。神経発達症との違いなどについても詳しく書かれているので、さまざまな不安を抱えた親御さんにおすすめです。『HSCの子育てハッピーアドバイス』著者の明橋大二先生は、『ひといちばい敏感な子』の訳者でもあります。敏感すぎるHSCの子供をもつ親御さんがハッピーになるアドバイスばかりが詰まっているので、読み終えるころには、「私、この子の親でよかった!」と感じるはずですよ。子育てに息苦しさを感じている親御さんにこそ読んでほしい1冊。HSCの子供のSOSサインを見逃さないために……HSCは、非HSCの子供に比べて、とても生きづらい世界を生きています。親であれば、そのストレスを少しでも軽減してあげたいと思いますよね。そこで、子供のストレスケアについてもっと知りたいという方や、「子供のことを考えていたら、自分もストレスを感じるようになってしまった……」などの悩みを抱える親御さんに「青少年ケアストレスカウンセラー講座」をご紹介しましょう。以下のように、子供のストレスだけでなく、親のストレスについても学ぶことができます。青少年とストレスについてストレスとうまく付き合うための対処法ストレス解消法コミュニケーションや自己表現の仕方育児ノイローゼや虐待について引きこもりなどのメンタル疾患ほかにも、子供のSOSサインを見逃さないためのポイントや、困っている子供をサポートする技法などが身につきます。自宅学習できるので、時間に縛られることなく「ストレスケア」について学ぶことが可能です。ストレスケアを知ることで、HSCの子供だけでなく、親御さん自身の心も軽くなるはずですよ。また、子どもとのコミュニケーションについて以下のように考えている方であれば、ヒューマンアカデミーの「心理カウンセラー講座」をおすすめします。子どもの悩みを一緒に解決したい子どもともっと上手にコミュニケーションをとりたい自分の感情をコントロールしたいたとえば、「みんなが私のことを嫌いって言った」というお子さまの悩みを解決する場合。親が適切な質問をすることで、「じつは、ひとりの子の言葉が記憶に残っていただけ」と判明することもあるそうです。心理学者であるアーロン博士によると、親自身が感情をコントロールできないと、HSCの自己コントロール力は下がってしまうとのこと。心理学は、子どもの心だけでなく、自分自身の心までも知ることができる学問です。デジタルパンフレットで詳細を確認してみてくださいね。心理学を学ぶことで、HSCである子供とのコミュニケーションが、楽しい時間に変わるはずですよ。***「HSC」や「ひといちばい敏感な子ども」という言葉を知る前は、筆者自身、敏感すぎるわが子を少し面倒だと感じることが多々ありました。食器棚から出したコップに「食器棚の匂い」を感じたり、スーパーで売っているカット済み野菜を食べたときに「変な味がする」と言ったり――。しかし、執筆を通して、HSCの感じ方や考え方を理解することができました。アーロン博士は著書の最後に、「慎重に考え、深く感じ、些細なことに気がつき、最終的には対局を見ることができる人材」であるHSCは、いま、社会で必要とされていると言っています。HSCの子供たちが、敏感さを「強み」にすることができますように――。(参考)エレイン・N・アーロン著 明橋大二訳(2015),『ひといちばい敏感な子』, 1万年堂出版.長沼睦雄(2017),『子どもの敏感さに困ったら読む本』, 誠文堂新光社.The Highly Sensitive Person|Is Your Child Highly Sensitive?HSS型HSPの才能を生かす生き方を実現する「ブレーん塾」|好奇心旺盛なのに傷つきやすい。複雑な特性を持て余す才能豊かなHSS型HSPたちダイヤモンドオンライン|コロナで「生きにくい」が加速、「HSP」とはどんな人たちか新宿ストレスクリニック|HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)とは?~HSPはうつ病になりやすい!?~日本テレビ|5人に1人?「繊細」すぎて疲れてしまうHSPって何?King’s College London|Vantage Sensitivity: Individual Differences in Response to Positive Experiencesお茶の水女子大学|繊細な子どもの情緒的発達は良い学校環境から良い影響を受けやすい~発達における脆弱性を可塑性として捉え解析~STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|自己肯定感も勉強への姿勢も“熱中体験”の先で生まれる
2020年10月30日特許技術を活用し、そろばんの仕組みをiPadに応用した電子そろばん教材「そろタッチ」。「そろばん式暗算」が効率的に習得できるこの教材が現在注目を集めています。今回は、教育とテクノロジーが融合した教材「そろタッチ」を提供している株式会社Digika社長、橋本恭伸氏(以下、橋本)とRISUの今木(以下、今木)が、Edtech(教育×テクノロジー)が開く教育の新しい姿をめぐって繰り広げた対談の模様をお送りします。そろばんが手元になくても暗算ができる能力を!今木:こんにちは。今日は、こどもまなび☆ラボでの連載「学びノベーション」の特別対談企画として、株式会社Digikaの社長、橋本恭伸さんをお呼びしました。橋本さんは、この連載でたびたび触れてきた「エビデンス・ベースド」の考え方を、そろばん教室に応用なさっています。橋本さん、そろタッチを開発した経緯についてお聞かせ願えますか。橋本:私たちはそろタッチのサービスを始める前にそろばん教室を運営していましたが、そのときの経験がそろタッチの開発に関わっています。そこからお話ししましょう。私たちは、そろばん教室の目的が「そろばん式暗算能力」を身につけることにあると考えています。かつてそろばんは、計算に必要なツールでした。しかし、Excelのような表計算ソフトが普及したいま、もはやツールとしてのそろばんは社会に求められていない。そんな時代にそろばん教室に価値づけをするとしたら、やはり「そろばん式暗算能力」の育成だと思ったわけです。今木:「そろばん式暗算能力」は具体的にはどのような能力なのでしょうか?橋本:そろばんが手元になくても、頭のなかでそろばんの珠をイメージすることで、暗算ができる能力です。しかし、ひとつ課題がありました。当時、私たちのそろばん教室を辞めた子どもの9割は、いざそろばんが手元からなくなると、難しい暗算ができなかったのです。つまり、そろばん教室では、そろばんというツールの使い方は身についても、肝心の「そろばん式暗算能力」を身につけることにはとても苦労していました。では、「そろばん式暗算能力」を伸ばすにはどんな方法が効果的なのか。試行錯誤の末にたどり着いたのが「そろタッチ」です。計算を頭のなかで画像処理する「そろばん式暗算能力」橋本:先ほど、そろばん式暗算とは頭のなかでイメージしたそろばんの珠をはじくことだとお話ししました。そろタッチには、「珠のイメージ力」をサポートする特許技術が入っています。加えて、生徒からリアルタイムで送られる学習履歴データを分析し、カリキュラムに活かすことによって、効率的な能力開発を可能にしています。今木:生徒の学習データを分析するのは、RISUでも同様です。この連載のテーマのひとつに「エビデンス・ベースドの教育」があるのですが、まさに「そろタッチ」もエビデンス・ベースドな教材なわけですね。そろばん教室からそろタッチ教室へ転向したことで、どれくらいの効果が生まれたのですか?橋本:そろばん教室では、4年間で全体の10%の子どもがそろばん式暗算を習得していたところを、そろタッチ教室では、62%の子どもが平均20ヶ月で習得しています。今木:すごいですね……半分の時間で6倍の効果が出るとは。でも、そろばんもそろタッチも、「指を使う」という点は同じですよね。なぜそろタッチのほうが効果が上がったのでしょう?橋本:たとえば、そろばんで桁数の少ない計算をするときを考えてみてください。すると、盤上には計算に使わない珠がたくさんあります。これが、そろばん全体のイメージをするときに邪魔になってしまうのです。一方、そろタッチは、iPadの技術を活かして、計算に使う珠だけが真っ暗な背景に色つきで表示されるようになっているんです。今木:必要なものが必要なときに出てくる。橋本:そうです。両手で操作する「両手式」もひとつのポイントです。片手で操作するより計算スピードも速くなりますし、脳の数字を処理する部分とイメージを処理する部分を同時にバランスよく刺激できるので、脳が活性化して、イメージ力のアップにつながります。きわめつけは、珠をタッチしても色がつかないモードです。このモードでは、頭のなかで珠をイメージしながら計算しなくてはならないので、イメージ力をより効果的に鍛えることができます。今木:前にタッチした珠を覚えたまま、次の珠をタッチする――手前まで戻って考えるというのは将棋みたいですね。橋本:そうですね。囲碁も近いかもしれません。とにかく、タッチすると色がつく「見えるモード」と色がつかない「あんざんモード」、このふたつを反復して行なうことによってイメージ力を鍛え、計算を頭のなかで画像処理する「そろばん式暗算能力」を効率的に身につけることができるのです。今木:機械の特性をうまく活かして、子どもの暗算能力を伸ばせる教材をつくられたわけですね。そしてそれは実際、データとしても成功している。最高のパフォーマンスを出すための「Growth Mindset」今木:最近、スイミングスクールでもそろタッチ教室が導入されたと伺いました。スイミングなど運動系の習い事と塾をかけもちする子どもは多いですが、一方で、「習い事が忙しくて、勉強の時間がとれない」という声もよく聞きます。習い事と勉強の関係について、橋本さんはどのようにお考えですか?橋本:はい。今年の6月から、東京都内のカルチャースクールを併設しているスイミングスクールでそろタッチが導入されました。スポーツに限らず、さまざまな習い事を受けられるこの施設で、われわれがなぜそろタッチ教室を開講したか。その理由からお話ししましょう。じつは、僕らがそろタッチを使って達成したい目標は、いままでお話ししたような「計算力を上げる」というところに留まりません。計算力を上げることは、目標ではなく、手段に過ぎません。つまり、「計算力」というわかりやすい能力が開発される過程を経験することによって、数字に対する自信、ひいては「Growth Mindset(経験や努力によって将来をポジティブに変えられるという考え方)」を獲得すること、それが最終的な目標なんです。スポーツにおいて、Growth Mindsetは非常に重要です。Growth Mindsetをもてず、「僕(私)なんていくらやってもダメだ……」と思っていたのでは、どんなに練習を積んでもよいパフォーマンスは出せない。これは勉強も同じことだと思います。今木:スポーツと勉強は、土台の部分ではすごく近いわけですね。橋本:すごく近い。そろタッチは、90%以上の学習は家で行なわれるよう “仕組み化” しています。だから、スイミングスクール内で提供されているそろタッチコースは、学習の場というよりむしろ、家での勉強の成果を披露する場なんです。そして、それを見守るファシリテーターと呼ばれる大人の役割は、スイミングスクールでコーチをしている人たちの役割にすごく近い。今木:子どもに成功体験を与えることで、モチベーションアップを手助けしている。橋本:そうですね。子どもの能力開発において、やはりGrowth Mindsetの考え方が共通項になっていると感じます。幼少期からこの考え方を身につけることは、子どもにとって大きな価値となります。子どものGrowth Mindsetの獲得にいかに寄り添えるか。それがスポーツ・勉強問わず、すべての教育サービスに重要なことだと思います。今木:なるほど。RISUのタブレット教材でも、子どもひとりひとりに、大学生のチューターによるフォロー動画を送っています。子どもの能力を開発するうえで、周囲の見守りはとても重要なのだと改めて感じました。私が行なっているすべての教育サービスの根幹にあるのは、「子どもの才能を育て、開花させる」という理念です。子どもはそれぞれ伸びしろをもっています。私は、RISUでの算数教育を通じて、子どもひとりひとりの伸びしろを育てるきっかけを提供することができれば、と考えています。橋本さんのお話には、学習データに基づいたエビデンス・ベースドな教材づくりや、周囲の見守りが支える子どもの能力開発など、そうした私自身の教育理念に通ずる点も多かったように感じます。Edtechの明るい未来を予感させる、実りある対談でした。橋本さん、今日はありがとうございました。【プロフィール】橋本恭伸(はしもと・やすのぶ)マイクロソフトにグローバル新卒採用第一期生(MACH05)の一員として入社。The University of Sheffield MBAを経て楽天株式会社へ。PT. Rakuten Indonesia, PT. Rakuten Belanja OnlineのDirectorを歴任し、Rakuten Indonesia Country Headとして海外でのビジネスを現地の最前線で率いる。人々の可能性を最大限引き出す力になることを自身のテーマに掲げ、株式会社Digikaで世界最速の「暗算力」の短期効率的習得を通じて世界中の子供たちの夢の実現をサポート。『新! 暗算学習法そろたっち』の詳細はコチラ。『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』今木智隆 著/文響社(2019)■ 算数塾「RISU」代表・今木智隆先生 インタビュー記事一覧第1回:子どもを「算数嫌い」にしない大原則。幼児期からできる“算数好きの基礎”の築き方第2回:子どもが勉強で成果を出せないのは、親の「勘違い」が原因かもしれない第3回:10億件のデータを調べてわかった、小学生が「ずば抜けて苦手」な算数の単元と例題第4回:「算数の文章題が苦手」な子どもが、ひねった応用問題でも解けるようになる教育法
2020年10月30日学生時代から現在に至るまで、人間関係でいっさい悩んだことがないという人はいないでしょう。ほとんどの人は、いくつかの失敗や後悔を繰り返しながら、良好な人間関係の築き方を学んできたはずです。一方、幼稚園児や小学校低学年くらいの幼い子どもの場合、友だちとの付き合い方をきちんと理解して実践するのは難しいですよね。親としては、わが子が友達関係で悩まないように手を差し伸べてあげたくなるでしょう。今回は、小さな子どもの「友だち力」の伸ばし方について考えていきます。「友だち力」があれば学校生活は問題ない!?幼稚園入園、小学校入学、そして毎年のクラス替えと、小さな子どもは新しい環境に飛び込む機会が多いもの。自分を取り巻く環境やそれまでの人間関係ががらりと変わるとき、仲がいい友だちと離れ離れになることを不安がって落ち込む子もいれば、新しい出会いを楽しみに胸を躍らせる子もいます。親としては、「いいお友だちができるかな」「まわりの子たちとうまくやっていけるかな」「トラブルを起こしたり、トラブルに巻き込まれたりせず、楽しく過ごせるかな」など、友だち関係の心配は尽きませんよね。教育評論家の親野智可等さんは、「友だちとの関係をうまく調節する力」を「友だち力」と呼んでいます。クラスの中心にいるようなリーダータイプというよりも、どんな子ともうまく付き合っていけて、友だち関係のトラブルを起こすようなことがない子をイメージするといいでしょう。ただしそれは、決して “まわりに合わせるだけのおとなしい子” というわけではありません。自分の素直な気持ちを友だちに伝えることができ、友だちの意見もしっかりと聞くことができる、「人間関係のバランス感覚が優れた子」こそが、友だち力のある子なのです。友だち力のある子は「ひとりでも平気」みなさんは、自分の子どもを見て「友だち力がある」と思いますか?「仲がいい友だちとはうまくやっているけど、自分から声をかけるのが苦手」「自分の話ばかりして、共感力が足りないみたい」「いつもお友だちのいいなりになってしまう」ほとんどの子が、大なり小なり友だちとの付き合い方について問題を抱えており、「なんの心配もない!」と言いきれるほうが珍しいのではないでしょうか。しかしなかには、日々起こる小さなトラブルを未然に防ぐなど、子どもどうしのいざこざを解決する能力が高い子どももいます。そんな「友だち力」が高い子どもには、ある共通点があるそう。それは、「 “友だちと仲よくできる力” と “ひとりでいる力” 、両方のバランスがうまくとれる」こと。親野さんは「ひとりでいる力がなければ、いつも友だちに頼ってばかりになってしまう」と指摘し、「自分の好きなことや熱中できることがある子は、友だちに頼りすぎることはなく、バランスのよい関係性を築いていける」と述べています。反対に、熱中できることがなく、ひとりでいることに強い不安を感じてしまう子は、友だち関係のトラブルに巻き込まれやすくなります。たとえば、クラスで特定の子をからかったりいじめたりするような雰囲気になったとき、流されてその輪に加わってしまうのは「ひとりでいる力」が弱い子だといえるでしょう。自分の意思よりも、「友だちと一緒にいるほうが安心」と群れることを選んでしまう子は、一見すると友だちとうまく付き合っているように見えるかもしれません。しかしそれは、ただ「ひとりでいるのが怖い」「ひとりぼっちに見られるのがいや」という理由から、本意ではない行動をとっている可能性もあるのです。親子の信頼関係があれば友だち力はぐんぐん伸びる!子どもが最初に築く人間関係は「親子関係」です。親から強い言葉で叱られることが多い子は、友だちに対して威圧的な態度をとることが多いなど、親子関係がそのまま友だち関係に反映される傾向があります。まわりの親子関係をよく観察してみると、子どもがどのように友だちと接しているかがなんとなく伝わってくるでしょう。友だち力の高い子をもつ親は、「子どもとの距離感」を大切にする傾向があります。親子といえども他人どうし。年齢を重ねるごとに少しずつ子どもの手を離し、近すぎず遠すぎない距離で黙って見守ってあげることができれば、子どもの友だち力は育まれます。一方で、友だち力が低い子、友だちに依存しやすい子は、親が過保護だったり過干渉だったりする傾向があるでしょう。親が自分の子どもを「ひとりの人間」として認めてあげられないので、子どもの自己肯定感が低下し、友だちに依存せざるを得なくなってしまうのです。親がわが子を心配し、近い距離感であれこれ世話を焼いてしまうと、子どもは「自分は信頼されていない」とみるみるうちに自信を失ってしまいます。わが子の友だち力を伸ばすためにも、まずは子どもを信じることから始めましょう。わが子の友だち力は親の○○力によって育つ最後に、親野さんのアドバイスをもとに「わが子の友だち力を育てるためにできること」をご紹介します。先ほども述べたように、友だち力は親子の信頼関係をベースにして育まれます。親野さんによると、「そのためには子どもへの共感的な気持ちが必要不可欠」なのだそう。どのような関係でも、相手を信頼できなければ心を開くことは難しいですよね。しかし、人に対する信頼が土台にあれば、心を開いて接することができ、良好な関係を築くことができます。もしみなさんが、お子さんに対して次のような対応をしていたら、共感的な気持ちが欠けているので注意が必要です。・子どもの要求をわがままと決めつける・子どもが失敗したとき、「あなたの頑張りが足りないからだ」と責める・友だちとけんかした子どもに、「あなたにもよくないところがあったんじゃない?」と言うこのように、親が子どもの気持ちに寄り添わずにいることで、子どもが「どうせ親に話してもわかってくれない」「一方的に責められるだけで味方してくれない」と感じてしまうのも無理はないでしょう。親子関係において信頼感が欠けてしまうと、今度は友だち関係にも悪影響を及ぼします。相手に不信感がある状態だと、友達がひそひそ話をしていると「自分の悪口を言っているんじゃないか」と被害妄想を抱いたり、少しでも仲よくなった相手に過度に執着したりと、相手との距離感を間違えてしまいがちに。甘やかさずに厳しく接することが正しいと思う親御さんも多いかもしれません。しかし、まずは親子の信頼関係をしっかりと築くことが大切です。そのためにも、子どもの話に共感し、受け入れてあげることを心がけましょう。***小学校入学のタイミングで、親が何よりも心配するのは「子どもの友だち関係」なのではないでしょうか。わが子の友だち力を鍛えるには、まずは親子の信頼関係を築くこと。お子さんの話に耳を傾け、しっかりと共感してあげることから始めましょう。(参考)日経DUAL|“友達力”をつけるためには「一人でいる力」も必要親力講座|友達力をつけるために、やってはいけないこと、やるべきこと東洋経済オンライン|友だちが作れない子には「秘密特訓」が有効だSTUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|将来成功するのは「なぜか人に好かれる子」。渋野日向子選手の自己肯定感は高い?
2020年10月26日思い込みや経験則を離れ、データに基づいた科学的な知見を重視する「エビデンス・ベースド」の考え方。前回連載、『10億件の学習データから判明。算数の苦手は「位」「単位」「図形」の3つに分類できる!』では、そんなエビデンス・ベースドの具体例として、RISU算数のデータから見えてきた算数のニガテにまつわる事実をご紹介しました。実際の学習データという「エビデンス」を通して、算数教育の現状が見えたのではないでしょうか。新型コロナウイルスの影響で、分散登校やオンライン授業を行なう学校が増えた昨今、子どもの自宅学習について悩む保護者の声をよく聞くようになりました。そこで今回は、エビデンス・ベースドに基づいた「効果的な自宅学習の方法」についてお話ししたいと思います。データで判明!効率的・効果的な自宅学習あなたのお子さんは、自宅で集中して勉強できていますか?テレビやゲームなど、勉強以外の誘惑が多い自宅での勉強は、子どもにとって難しいもの。しかし、学校で習った内容をしっかり定着させるためには、自宅での復習は欠かせません。自宅でどれだけ集中して効率よく勉強できるか。それが、学校の成績や、ひいては受験の結果をも左右すると言っても過言ではないのです。効率的・効果的な自宅学習のカギを握るのが、「時間」「体調」「目標」の3つの要素。それぞれについて、データとともに詳しく見ていきましょう。■「短時間×複数回」の学習で効率アップ!はじめに、自宅学習の「時間」についてお話しします。私が運営しているRISU算数は、子どもの学習を常に記録しています。学習内容の理解度はもちろん、学習習慣についても細かくデータをとることで、子どもひとりひとりに合ったきめ細やかな指導を可能にしているのです。このデータから、学習習慣に関するおもしろい傾向が明らかになりました。同じ期間に同じだけ学習している子どもでも、学力の向上にバラツキがあったのです。なぜ、このようなことが起こるのでしょうか。その答えは、「勉強時間の長さと回数」の違いにありました。1回に長時間学習する「長時間型」と、短い時間に何度も学習する「短時間型」の子どもの平均学習スピードを比べたところ、短時間型の子どもは、長時間型の子どもの1.1倍のスピードで学習を進められていることが分かりました。このデータは、「勉強は、ただ長い時間やればよいのではない」ということを私たちに教えてくれます。長時間だらだらと勉強するより、短時間の勉強をコツコツ積み重ねたほうが、効果が出やすいのです。子どもの集中力が続かない……とお悩みの方は、「今日は20分だけ勉強しようか」や、「この問題だけ頑張って解こうか」などと声かけをしてみるとよいかもしれません。■朝の10分=夜の20分!?朝学習の効果「体調」も、自宅学習の効率を左右する重要な要素です。そして、体調を整えるためには、生活リズムを整えることが大切。夜更かし続きで寝不足のまま勉強をしても、なかなか集中できませんよね。しかし、RISU会員の学習データによると、コロナ以降、学習時間が後ろ倒しになっているご家庭が多いようです。夜に勉強する「夜型」の子どもが増えているのです。じつは、夜に勉強するより、朝に勉強するほうが学習効率がよいことがデータからわかっています。具体的には、朝型の子どもの学習スピードと継続率を100%としたとき、夜型の子どもの学習スピードは73%、継続率は48%という結果が出ているのです。朝の10分は夜の20分にも相当します。子どもの生活リズムを整え、「朝に勉強する」という習慣を身につけさせてあげることが、自宅学習の効率アップの近道だと言えるでしょう。また、このような子どもの学習管理を行なうにあたっては、保護者の方自身の生活リズムの管理も欠かせません。リモートワークを導入する企業も増え、運動不足や夜更かしなど、大人でも生活リズムが乱れている人が多いようです。大人が率先して規則正しい生活を送ることで、子どもに健康的な生活リズムを身につけさせ、効率のよい自宅学習をサポートできるでしょう。■目標をもって勉強すると学習効率が上がる!もうひとつ、自宅学習を行なううえで重要なのが「目標」をもつこと。明確な目的意識がないまま、ただやみくもに量をこなすのは、効率的な勉強法とは言えません。それに、やるべき内容が決まっていない状態で机に向かうと、「今日は何をしようか」と考えるところから始めなくてはいけませんよね。何をするか考えているうちに時間だけが過ぎ、やる気がなくなってしまった。そんな経験はありませんか?目標があれば、それを達成するためにやるべきことが自然と見えてきて、毎日の学習計画も立てやすくなります。計画を立ててから机に向かうことで、何をするか考えていたぶんの時間を勉強に回すことができ、学習効率が上がるのです。まずは、お子さまと一緒に「目標」を考え、学習計画を立ててみてください。自宅は算数の学びにあふれている!前述した「時間」「体調」「目標」の3つを意識するほかに、自宅だからこそできることもたくさんあります。ここでは肩の力を抜いて、自宅にあるもので気軽にできる算数学習をご紹介したいと思います。たとえば、時計。当然、ほとんどのおうちに時計はあると思いますし、子どもも日常的に時計を読んでいるでしょう。普段の生活に大きく関わるこの単元は、ドリルを使って学習するより、自宅の時計を使って、実体験として学んだほうが身につきやすいと私は考えます。しかも、「時計の読み方」は、多くの子どもがつまずきやすい単元のひとつ。つまり、日常生活のなかで苦手な分野を得意にできるかもしれないのです。「おやつは3時からなんだけど、あと何分で3時になるかな?」こんな質問を子どもにしてみるのはどうでしょう。おやつの時間は、子どもにとって楽しみな時間。そんな楽しい時間に、子ども自身の生活とリンクさせて時計の読み方を学習してもらうのです。ほかにも、ホールケーキを等分するときに「角度」について考えたり、料理の調味料の配合で「比」について考えたりすることもできます。「このケーキを3人で分けるときって、1人分の角度は何度になるかな?」(角度)「30度ずつ、このケーキを分けたら、何人分のケーキができるかな?」(角度)「さとう、みりん、しょうゆを2:1:2で混ぜるとき、さとうが10グラムだったら他の調味料の量はどうなるかな?」(比)「レモンジュースとお酢を4:1で混ぜたソースを100グラム作りたいんだけど、それぞれ何グラムずつ入れればいいかな?」(比)そう、自宅は算数学習のきっかけにあふれているのです。このように、生活のなかで具体的に理解することで、抽象的でわかりにくかった数の世界が身近になり、算数という科目がもっと好きになるかもしれません。特別な教材がなくても簡単にできる算数の自宅学習、ぜひ取り入れてみてください。次回は、iPadを使った新しい暗算学習法「そろタッチ」を開発された株式会社Digikaの社長、橋本恭伸さんとの対談を掲載する予定です。お楽しみに。『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』今木智隆 著/文響社(2019)■ 算数塾「RISU」代表・今木智隆先生 インタビュー記事一覧第1回:子どもを「算数嫌い」にしない大原則。幼児期からできる“算数好きの基礎”の築き方第2回:子どもが勉強で成果を出せないのは、親の「勘違い」が原因かもしれない第3回:10億件のデータを調べてわかった、小学生が「ずば抜けて苦手」な算数の単元と例題第4回:「算数の文章題が苦手」な子どもが、ひねった応用問題でも解けるようになる教育法
2020年10月16日ビジネスシーンではよく耳にする「ロジカルシンキング」。いわゆる「論理的思考」のことですが、この力が必要とされるのは、なにも働く大人だけではありません。むしろ子どもたちこそ、早い段階で身につけることができれば、近い将来必ず役に立つはずです。今回は、すぐに実践できる「論理力の鍛え方」について解説していきます。これからの時代に必要不可欠な「論理力」論理的思考力とは、簡単に言うと「筋道を立てて考えたり、説明したりできる力」です。会話をしていると、「話がまとまっていないから内容が理解できない」と感じたことや、逆に「難しい内容をわかりやすく説明してくれて助かった」などと感じた経験があるでしょう。このように、論理力は社会で求められる能力であり、身につけておくと人生において大きなメリットをもたらします。特にこれからの時代は、いまよりもっと論理力を問われる機会が増えてきます。2020年度から大学入試センター試験が「大学入学共通テスト」に変わることで、詰め込んだ知識よりも思考力・判断力・表現力が評価されるようになります。すでに新しい学習指導要領にも「主体的・対話的で深い学び」を重視することが明記され、授業では生徒たちが互いに課題を考えて発表し合ったり、活発な議論を交わしたりと、自分の考えを論理的に伝える必要性が増しているのです。また、受験や就職などの面接においても、自分の考えをよりわかりやすく論理立てて伝えることができれば武器になるでしょう。論理的思考力が身についていると、ビジネス面でも大きな強みになります。どんな仕事でも求められるのは、「問題解決能力」と「コミュニケーション能力」ですが、まさにこれらは論理的思考力を土台とすることで向上していくのです。問題解決能力を向上させるには、失敗の原因はなにか、現状改善のためにはどうすればいいか、などを論理的思考をもと追究する必要があります。また、一貫性のある論理的な主張ができれば、伝えたいことがより相手に伝わりやすくなり、説得力も高まるでしょう。その結果、スムーズなコミュニケーションを促すことができるのです。あとひとつ、今後社会人が絶対に身につけておかなければならないスキルとして「情報の取捨選択能力」があります。あらゆる情報があふれる現代社会では、根拠のない噂話やフェイクニュースに惑わされないためにも、物事の真偽を見抜く目を養わなければなりません。玉石混交の情報のなかから、信頼できるものを選び抜き、その情報に基づいて筋道を立てて思考するスキルは、まさしく「論理的思考力」であると言えるでしょう。子どもたちが将来困らないために、いまのうちから「論理的思考力」を身につけておきたいと思いませんか?論理的な会話で親子げんかが減る!?論理力を鍛えるために、特別な努力は必要ありません。「『論理力』はそんなに難しいスキルではない」と話すのは、『論理力は小学6年間の国語で強くなる』(かんき出版)の著者・小川大介さんです。小川さんによると、私たちは小学校6年間の国語で、「論理力を鍛えるために必要な3つの力」である「把握する力」「思考する力」「伝達する力」を学んでいるのだそう。物事を論理的に考えるためには、あらゆる面からの「情報」を集めることが重要です。それは自分の論理を明確にするための根拠となります。ほかに「客観的視点」も、論理的思考には欠かせません。「自分にとっては○○だけど、相手にとっては△△かもしれない」「○○だけど、別の角度から見たら△△ということもある。もしかしたら、●●ということもあるかも」小川さんは、このような論理的な思考を育むためには、学校の勉強よりも家庭での日常会話で鍛えるほうがずっと簡単だと話します。たとえば、母親が子どもに「ちゃんと掃除しなさい」とだけ伝えたとします。しばらくして見てみると、 “ちゃんと” 掃除したようには見えない……。そこでカッとなって「どうしてちゃんと掃除しないの!」と怒る母親に対して、子どもは「 “ちゃんと” 掃除したよ!」と反発する。この行き違いは、親子であっても “ちゃんと” の認識がずれていることから起こります。人は誰でも主観で物事を判断し、自分の考えや思い込みを相手に押しつけがちです。その結果、けんかや対人トラブルが発生するのです。日頃の親子のなにげない会話でも、論理的に話すことを心がければ、ぶつかり合うこともグンと減るはず。そして、そのような会話を繰り返すことで、自然と論理的思考力は身についていきます。子どもの論理力を鍛える会話術子どもの論理力を鍛えるには、次の方法がおすすめです。子どもへの質問は「5W1H」をひとつずつかつて開成中学・高校の校長を務めた柳沢幸雄先生によると、「言語能力を伸ばすために親ができるのは、子どもの話をきちんと聞くこと」だそう。「子どもがしゃべる時間を2、親がしゃべる時間を1」として、子どもにたくさん話をさせるといいそうです。そして、子どもの話が一段落したら、質問を “ひとつだけ” します。その際は「5W1H」の疑問詞を使いましょう。たとえば、次のような聞き方をすると子どもは答えやすくなります。子「今日は楽しかった!」親「なにがあったの?」子「いっぱい遊んだの」親「誰と?」子「お友だちの◯◯ちゃんと」親「どんなことをして遊んだの?」そして、このことを繰り返すうちに、子どもは自然に「5W1H」についてきちんと整理したうえで話をすることができるようになっていきます。この力は、論理的表現力そのものであり、読解力にもつながるものです。文章を読んで内容を理解することは、その文章のなかに「5W1H」の要素がどのように詰まっているかを理解することに他なりません。(引用元:STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|生きる力をつくる「10歳までの幅広い経験」。子どもに勉強は教えるな!?)日常会話に取り入れたいマジックワード教育評論家の石田勝紀さんは、親子の日常会話のなかに次の言葉を積極的に取り入れることをすすめています。これらの言葉を会話のなかに入れると、考える力と構成力が身につくそう。「要するにどういうこと?」子どもは、見たまま・経験したままを話す傾向があります。そのため話がまとまっておらず、相手が理解できないことも。「要するに?」とたずねて簡単に内容をまとめる練習を繰り返せば、国語の要約問題でも役立ちます。「たとえばどういうこと?」子どもの話は漠然としていてわかりにくいと感じますよね。相手にわかりやすく伝えるために、抽象的な内容を具体的に説明できるよう練習しましょう。「ほかにはどんなことがあるの?」「◯◯が△△した」のように単純な話し方ばかりだと、論理的思考力は身につきません。「ほかには?」と問いかけることで、話題を水平展開させて、語彙を増やしたり発想力を高めたりすることが期待できるでしょう。***「論理的思考力」「ロジカルシンキング」と聞くと、難しいことのように感じますが、親子の日常会話でも簡単に鍛えることができます。お子さんとの会話をもっと充実させるためにも、論理力を育む会話術を参考にしてみてくださいね。(参考)STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|「論理的思考」は家庭で身につけられる!これからの時代に必須の能力を手軽に伸ばす方法伸芽’Sクラブ|頭がいい子どもは論理的思考力が高い!?子どものうちから鍛えるロジカルシンキングMY FUTURE CAMPUS|論理的思考自分の思考を整理し、筋道立てて表現する力日経DUAL|読書好きなのに国語で高得点を取れない子の弱点東洋経済オンライン|効果的!子の論理力を育てる「5つの言葉」STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|生きる力をつくる「10歳までの幅広い経験」。子どもに勉強は教えるな!?
2020年10月12日「3年生くらいまでは勉強面で心配することなんてなかったのに……」「高学年になった途端に授業についていけなくなったみたい……」このように、それまで優秀だと思っていたわが子が、学年が上がるにつれて成績が落ち込んでしまうケースはよくあるといいます。今回は、高学年で成績が伸びなくなる原因と改善策について解説していきましょう。優秀だった子が高学年で急に伸び悩むのはなぜ?小学校4年生くらいまでは成績が優秀で、家庭学習もしっかりできていたのに、高学年になって急に伸び悩んだり、勉強面での悩みが出てきたりするケースがよく見られます。『5歳から始める最高の中学受験』(青春出版社)の著者で教育専門家の小川大介さんも、長年の経験から「さまざまな家庭の教育相談を受けてきたが、『高学年になってから成績が伸びなくなった』という相談が非常に多い」と述べています。当然ですが、高学年になると学習内容自体が難しくなり、抽象的な概念を理解して読み解かなければならない問題も増えてくるでしょう。3年生くらいまでは「なんとなく」で解けていた問題が、4年生以降ではしっかりと理解できていなければ正解できないような学習内容へとシフトしていきます。だからといって、全員が伸び悩むわけではありません。むしろ、それまでは特に勉強面で目立っていなかったのに、学年が上がるにつれて、めきめき成績アップするような子もいます。「高学年から伸び悩む子」と「高学年から伸びる子」、その違いについてひもといていきましょう。高学年で成績が伸びなくなる子の共通点高学年で成績が伸びなくなる子には、いくつかの共通点があります。それには、親の関わり方が少なからず影響しているようです。■習い事でスケジュールがぎっしり!前出の小川さんは、「小さい頃からたくさんの習い事をさせている家庭では、小学4年生ごろから成績が伸び悩むケースが多い」と指摘します。月曜は学習塾、火曜は水泳教室、水曜はサッカー、木曜は……と休みなく習い事をさせていませんか?小川さんによると、「こういう子はみんな、低学年まではいい成績を取り続ける」のだそう。しかし4、5年生あたりから、一生懸命勉強しているのになぜか成績が伸びにくくなるといいます。■好奇心を育む経験が不足している小川さんは、高学年で伸び悩む子と学年が上がるにつれてぐんぐん伸びる子との違いについて、「小さいときにどれだけ夢中になれる体験をしてきたかどうか」であると述べています。学びの根っこにあるのは “好奇心” 。楽しくて夢中になれるものに対する「もっと知りたい」と学習意欲をかき立てられるような経験が、その後の勉強への向き合い方に深く通じるのです。■親に言われるから勉強していただけ学習習慣を身につけるには、自らの意志で勉強しているのだという意識が不可欠です。千葉大学教育学部附属小学校の松尾英明先生は、「誰かに命令されて嫌々やるのは習慣ではない」と話します。それまで親の言うことに従順だった子どもが、高学年になり自我を主張し始めると、「親に言われたから勉強するなんていや」と反抗するようになるケースも。■なんのために勉強するのかを理解していない上で述べたように、「親に命令されたから勉強する」という意識を持ち続けると、高学年になって物事を深く考えるようになり「そもそも、なんで勉強しなきゃいけないの?」「なんの役に立つの?」「これって意味あるの?」と自問自答するように。勉強の目的が「よい成績をとるため」でストップしていると、その先の未来を思い描けなくなります。その結果、勉強する意欲がみるみる低下していくのです。「高学年にぐんぐん伸びる子」になるために学年が上がるにつれてぐんぐん伸びる子は、幼いうちから “伸びる素地” を育んでいます。それは、親のちょっとした声かけや接し方、休日の過ごし方といった日常生活で育めるものばかり。ぜひ参考にしてみてください。■夢中で遊ばせる!小川さんは「子どもは楽しくて夢中になれるものに対しては、学びのセンサーが全開になる」と話します。好奇心が刺激されたものに興味をもち、それを知りたいと行動に移すことで、身をもって勉強への取り組み方を学べます。その際に親が心がけるのは、「夢中になっている子を否定したり邪魔したりせずに温かく見守る」こと。小川さんによると、「親の愛情を感じながら好きなことをして遊ぶというのは、なによりの安心感と幸福感をもたらす」そうです。さらに、幼少期に「たっぷり遊んだ」「納得がいくまでやり遂げた」という経験をした子は、ここぞというときにものすごい集中力を発揮するといいます。■振り返りの時間を大切に習い事でスケジュールを埋め尽くしてしまう弊害として、「振り返りの時間がなくなる」ことが挙げられます。なにかを学んだら、それを振り返り、反復することで吸収できます。つまり、習い事でもなんでも「やりっぱなし」は意味がないのです。毎日のように習い事に通い、家でのんびりする時間がなくなってしまうと、大事な振り返りの時間が失われてしまうでしょう。時間の使い方にもっと余裕をもたせれば、学んだことをより効率的に吸収できるというメリットもあります。■積極的にお手伝いをさせよう!高学年でも伸び続ける子にするために、小川さんは「日常のあらゆるシーンを学びの場にする」ことをすすめています。その代表的なものが “お手伝い” です。料理、洗濯、掃除、買い物……お手伝いには学べることがたくさんあるそう。特に買い物は計算力を高め、料理は段取り力を高めるので、ぜひ積極的に手伝わせましょう。小川さんは「勉強ができる子はたいてい段取り上手」と断言しています。高学年で重要となる “勉強のスケジュール管理” ができるようになるには、家事を手伝いながら段取り習慣を身につけるのがおすすめ。親子の絆も深まります。■勉強したくなる環境をつくる前出の松尾先生は、「『勉強しなさい』と親はひとことも言っていないのに、きちんと勉強する子は一定数いる」と述べており、その親の共通点として、「子どもが勉強するようにうまくリードしていること」を挙げています。具体的には、博物館や科学館に連れて行ったり、普段の親子の会話のなかに、うまく勉強の要素を取り入れたりしているそう。たとえば、子どもが学校で習ってきたことをクイズにするといいでしょう。「難しいけどできるかな?」と子どもの興味ややる気をくすぐり、日常会話のなかに自然に学びの要素を取り入れることで、日々の暮らしと勉強がより密接につながります。***高学年からも積極的に勉強に取り組めるように、幼いうちから「知らないことを知るのは楽しい!」という経験をたくさんさせましょう。どんな小さな子にも、知識欲や学習意欲は備わっています。親のちょっとした声かけや接し方で、子どもの「学びたい気持ち」はぐんぐん育まれますよ。(参考)プレジデントオンライン|「教育熱心な親の子」が4年生で潰れる根本原因東洋経済オンライン|中学受験「高学年で伸び悩む子」の典型パターンプレジデントオンライン|自ら机に向かう子の親が欠かさない習慣STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|「勉強しなさい」といい続けたら将来どうなる!?子どもの才能を摘まないためにーー
2020年10月09日ちょっとしたことですぐに機嫌が悪くなり、怒ったりすねたりするお子さんの対応にお悩みではないですか?もしかしたら、親の何気ない言動や対応の仕方が、お子さんの “困った行動” を引き起こしているかもしれません。今回は、アドラー心理学に基づいた「子どもの問題行動(不適切な行動)」について解説していきましょう。子どもの “困った行動” を解明するアドラー心理学たとえば次のようなケース、子育てをしていたらよくありますよね。下の子のお世話で忙しいときにかぎって、上の子が「見て見て!」「聞いて聞いて!」と話しかけてくる。大した内容ではなさそうなので、軽く聞き流していたらプイッとすねてしまったーー。バタバタしているときに「あれやって」「これやって」と甘えてくるわが子に、「自分でできるでしょ!」「いいかげんにして!」と叱ったら怒って大泣きしてしまったーー。こういった反抗的な態度や行動は、その瞬間の親御さんの言葉に反応しただけだと思っていませんか?しかし多くの場合、「親が叱ったから子どもの機嫌が悪くなった」という単純な話ではなく、叱らなくなったからといってすぐに解決する問題でもないのです。では、なぜ子どもたちは、ちょっとしたことですねたりいじけたりしてしまうのでしょう。そのヒントは、あの有名なアドラー心理学によって解き明かされています。アドラーによると、子どもの問題行動(不適切な行動)は、徐々に段階を踏んでエスカレートしていくそうです。子どもの問題行動がエスカレートする理由みなさんが問題だと感じる子どもの困った行動は、アドラー心理学では「不適切な行動」と表現しています。金沢学院大学人間健康学部スポーツ健康学科の高賢一教授は、「適切な行為をしていても認められない子どもは、なんとか別の方法で注目を集めるような行動を始める。それが、問題行動に代表される不適切な行動である」と説明しています。たとえば、お手伝いをしたり勉強を頑張ったりしても親があまりほめてくれず、不満を抱いている子がいるとします。おそらく親は、「うちの子は手がかからなくて助かるわ」と、わが子がいい子でいることを “当たり前” だと感じているのでしょう。しかし、しだいに子どもは「認められたい」「無視されるくらいなら注意されても叱られてもいい」と思うようになり、問題行動=不適切な行動をとるケースも少なくないというのです。アドラーの不適切な行動5段階■第1段階称賛の欲求まわりの人に称賛されるためによい行ないをする段階。ほめられるための行動なので、思うようにほめてもらえないなど気持ちが満たされずにいると、次の<第2段階>へと進む。■第2段階注目・関心を引くほめられなくてもいい、むしろ叱られてもいいから、自分に注目してほしいと強く願うようになる。親の気を引こうと、突然すねてみせたり、いじけてみせたりするのはこの段階。注目を集めることが目的なので、叱っても叱ってもやめない。■第3段階権力闘争をしかける反抗的な態度や行動によって、力を見せつけて特権的な地位を得ようとする段階。<第2段階>において親が無視したり、頭ごなしに叱りつけたりすることによって、子どもの不適切な行動はよりエスカレートし、権力を握ろうとしてくる。■第4段階復讐をする<第3段階>で権力を手に入れられないとわかると、次は復讐の段階に入る。学生であれば、親への復讐として非行に走ったり不登校になったりするケースも。相手の気を引きたいがための行動が攻撃性を帯びてしまうことで、復讐に発展する。相手から憎まれてでも注目を得ようとするのが特徴的。■第5段階失望させる第1段階~第4段階までの行動で相手が適切な援助を行なわないと、無気力になり自分からも逃げようとする。「すべてがダメならもう何もしない」と極端な思考に陥ってしまい、相手から無能だと思われるための証明をする。このように、子どもの不適切な行動は、第1段階から順番にエスカレートしていきます。段階が上がれば上がるほど修復が困難になるので、「いま子どもはどの段階にいるのか」をしっかりと見極めて対応するように心がけましょう。子どもの困った行動への対処法アドラーの「不適切な行動の5段階」の仕組みが理解できれば、いままで悩んでいた子どもの問題を解決するヒントが見えてくるのではないでしょうか。アドラー心理学では、人間の行動の一番の目的は “所属” だと考えます。つまり、いまいる集団に受け入れられたいと願い、その一員であることを求め、そのために行動するのが人間本来の姿であるということ。小さな子どもにとっては、まさに「家族」こそが自分が所属する唯一の集団であり、親から認められることで「自分は家族のなかで、なくてはならない存在だ」と実感できるのです。「不適切な行動をする子どもへの一番の対処法は、共感すること」。そう話すのは、日本アドラー心理学会/日本個人心理学会正会員の熊野英一さんです。親がしっかり子どもの話を聞いて共感してくれたら、「お父さん・お母さんは、自分のことを本当にわかろうとしてくれているんだ」と子どもは感じ、家庭のなかで居場所が確立していると安心するでしょう。ただし、ひとつ注意すべきなのは「共感=同意」だと勘違いしないこと。共感と同意はまったくの別物であり、子どもの発言すべてに同意することで親が子どもの言いなりになってしまう恐れがあるのです。また、不適切な行動をする子どもに対しては、「あなた」が主語になる「ユーメッセージ」を使って話しかけないことを心がけてください。「どうしてあなたはいつも片づけをしないの!」「なぜあなたはお友だちと仲良くできないの?」では、子どもは一方的に責められていると感じてしまいます。効果的なのは「わたし」が主語になる「アイメッセージ」。「お片づけをしてくれると、お母さんは嬉しいな」というように、 “自分は” こう思う、 “自分は” こうしてくれると嬉しいと伝えることで相手の心を動かします。子どもの不適切な行動は、「認められたい」という思いが根源になっています。まずはお子さんの気持ちに共感し、行動自体を責めるのではなく「こうしてくれると嬉しいな」とメッセージを伝えることで、エスカレートする前に不適切な行動を止められるでしょう。***子どもがすねたり機嫌が悪くなったりするのは、親に叱られた瞬間にスイッチが入るのではなく、その前の段階で「認めてもらえない」「自分に注目してくれない」と不満を感じているからです。日頃から子どもの様子をよく観察することが大事ですね。(参考)金沢星稜大学|アドラー心理学を活かした学校教育相談に関する考察HugKum|どんなときに子どもは困った行動をするの?【アドラー式子育て術「パセージ」に学ぶ対処法】弁護士法人山崎和代法律事務所|不適切な行動の5段階STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|「○○ファースト」がポイント!アドラー心理学で親子間のコミュニケーションがうまくいく
2020年10月05日前回の『生徒への質問までマニュアル化された教育法「ディレクト・インストラクション」の驚くべき効果』では、「エビデンス・ベースド」の考え方を紹介し、データに基づいた科学的な教育マニュアルであれば子どもの成績は上がるということをお伝えしました。なんとなくの思い込みや経験だけでなく、科学的なデータをもとにして教育への提案を行なうこと。それこそが、エビデンス・ベースドに基づいた教育観です。私が運営しているRISUのタブレット教材である「RISU算数」も、この考え方をもとに設計されています。今回は、エビデンス・ベースドの具体例をみなさんにご紹介することにしましょう。算数や勉強に関する驚きのデータで、エビデンス・ベースドの底力がわかるはずです。10億件の学習データから見えてきたことこれからお伝えするデータは、RISU算数を学習した子どもたちの、10億件を超える学習データを分析して導き出されたもの。「ある段階までは算数でいい成績をとっていたのに、あるとき突然、成績が悪くなった子」のデータ分析なども正確に行ない、「なぜ算数でつまずいてしまうのか」ということを定量的に突き詰めました。なぜ、子どもは算数でつまずいてしまうのか――。これを解く鍵は、「ある段階で突然成績が悪くなってしまう子」の成績データにありました。データを見るとそういう子は、何学年も前に学習していたところにつまずきのタネがあったという場合がほとんど。算数のつまずきは、本人さえ気づかないはるか昔に原因があったのです。この事実は、算数の特徴をよく考えれば簡単に理解できるものでした。算数がほかの教科と大きく異なるのは、「さまざまな単元の習得を積み上げなければ、次の単元に進めない」ということです。極端な話かもしれませんが、たし算やひき算が理解できていない子どもに、四則演算をさせようとしてもできないわけです。あるいは、かけ算が理解できていない子どもに、かけ算を用いる円周率の計算はできませんよね。算数はさまざまな単元を少しずつ積み上げて、より難しい範囲に進んでいく、いわば「RPGゲーム」のようなもの。子どもが、ある単元を理解できないときは、その単元を解くために必要な単元の理解ができていない、あるいは忘れてしまった場合がほとんどなのです。学校の算数と算数学習の「悲しい関係」この背景には、学校の算数の授業では普通のことである「とびとびの授業」もあると考えられます。最も顕著なのは、「図形」の範囲。例えば、立体図形を初めて学校で習うのは「箱の形」という単元で、これは2年生に学習します。でも、その後の授業に立体が登場するのは、なんと4年生! 2年もの歳月が経ったあとに、内容がつながっている単元を習うわけです。4年生で再度図形の学習をする前に、しっかりと学校で2年生の復習をしてくれればいいのですが、残念ながら忙しい学校カリキュラムでは、そううまくいきません。また、自宅学習で2年前の復習をしている子も珍しい。したがって多くの子が、2年前の授業の内容を忘れたまま、4年生でもう一度、図形の範囲に入るのです。これでは、4年生の内容がわからなくなるのも当然ですよね。このように、算数の苦手の原因が昔の学習にあることは考えてみれば当然です。 しかし、データ分析をすることで、あらためてはっと気づかされたのでした。算数の “苦手” は、たった3種類に分類できるさて、ここからが今日のメインテーマです。算数がRPGゲームのような積み上げ型の教科であることはよくわかっていただけたと思います。これは別の言い方をすれば、「算数は単元ごとのつながりが重要な教科」だということ。単元ごとのつながりを意識することが、算数を効率よく勉強するための近道なのです。そして、そのつながりが「たった3つ」に分類できることを、RISUは発見しました。10億件の学習データを分析した結果、そのつながりの姿がはっきりと見えたのです。その3種類とは、「位」「単位」「図形」の3つ。拍子抜けした人もいるでしょう。そうなのです。この3つ、算数を学習するにあたってはあまりに基本的な単元すぎて、多くの方がそこまで重要だと思わない単元。しかし、この3つの単元がメインストーリーとなって、算数というRPGは構成されています。つまり、3つの基本さえしっかり押さえておけば、算数でつまずくこともないですし、もしつまずいてしまっても、その3つをよく復習することでつまずきの原因を知ることができるのです。そして、算数の苦手もこの3種類に分類できる! 「その3つなら、正しく理解できて当然だろう」と思う大人は多いでしょう。しかし、データはそうは言いません。実際の教育現場や家庭学習の様子をのぞいてみると、この3分類が原因となって算数が苦手になるお子さんが非常に多いのです。ここがエビデンス・ベースドの強み。学習についての先入観を取り払ってくれるのです。具体的なデータとして、以下のランキングを見てください。多くの子どもがつまずきやすい単元や問題例を調べてみたところ、次のような順位が得られたのです。【子どもがつまずきやすい単元・範囲ランキング】ワースト12~3桁の位の理解:「位」ワースト2図形の組み立て・立体の基礎:「図形」ワースト3単位、メモリの読み方:「単位」ワースト4文章題ワースト5円と半径・直径の理解:「図形」子どもがつまずきやすい単元・問題例のワースト5位のうち、ワースト4位の「文章題」を除けば、すべて先ほど書いた「位」「単位」「図形」に関係するのがおわかりいただけるはずです。だんだんと、エビデンス・ベースドの考え方の特長が理解いただけているのではないでしょうか。詳しく知りたい方は、こどもまなび☆ラボのインタビュー記事をチェックしてみてくださいね。「ワースト2:図形の組み立て・立体の基礎」と「ワースト5:円と半径・直径の理解」については、『10億件のデータを調べてわかった、小学生が「ずば抜けて苦手」な算数の単元と例題』で実際の問題を使って説明しています。また「ワースト4:文章題」については『「算数の文章題が苦手」な子どもが、ひねった応用問題でも解けるようになる教育法』をご覧ください。拙著では、このワースト5位の範囲のそれぞれについて、かなり詳しく苦手の克服法を記載していますので、そちらもぜひ。もし、お子さんが算数のどこかの範囲でつまずいていたら、この3つのどこかにその原因が求められるはずです。逆に、算数の復習をするときは、この3つの範囲を重点的に見直せば効率よく復習ができるとも言えますよね。エビデンス・ベースドの考え方を用いれば、効果的・効率的に学習が進められるのです。次回も、エビデンス・ベースドに基づいた効果的な学習法について見ていきたいと思います。『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』今木智隆 著/文響社(2019)■ 算数塾「RISU」代表・今木智隆先生 インタビュー記事一覧第1回:子どもを「算数嫌い」にしない大原則。幼児期からできる“算数好きの基礎”の築き方第2回:子どもが勉強で成果を出せないのは、親の「勘違い」が原因かもしれない第3回:10億件のデータを調べてわかった、小学生が「ずば抜けて苦手」な算数の単元と例題第4回:「算数の文章題が苦手」な子どもが、ひねった応用問題でも解けるようになる教育法
2020年10月02日毎日一緒にいると永遠のように感じる「子どもと過ごす時間」。しかし実際には、長い人生のなかで子どもと一緒に過ごせる時間はとても短く、多くの親たちが「子どもが小さいうちにもっといっぱい遊んであげればよかった」「もっといろいろな場所に連れて行ってあげればよかった」と後悔するといいます。今回は、「子どもと一緒に過ごせる時間」について考えていきましょう。わが子と一緒に過ごせる時間は驚くほど短い!子育てをしていると、「子どもはかわいいけど、一緒にいると疲れるときもある」「たまには、ひとりの時間が欲しい……」と考えることもありますよね。親子で過ごす時間はかけがえのない思い出になるとわかってはいても、同じように過ごす日々があと何年も残されていると思うと、 “いま、この瞬間” の大切さにはなかなか気づけないものです。「まだまだたくさんある」と思い込んでいる “子どもと一緒に過ごす時間” ですが、具体的にはあとどれくらい残されているのか、真剣に考えたことはありますか?生まれたばかりの赤ちゃんが大学進学のタイミングで実家を出て行くと仮定すると、約18年間、親子は一緒に過ごすことになるでしょう。しかし実際には、小学校、中学校、高校と成長するほどに家にいる時間は減り、休日も親と過ごすよりは友だちと遊びに出かける頻度が増えてきます。そう考えると、実質的に親子で一緒にいられる時間は、もっとずっと短いはず……。調べると、衝撃的な数字が出てきました。母親:約7年6ヶ月父親:約3年4ヶ月これは以前、バラエティー番組『チコちゃんに叱られる』(NHK総合テレビジョン)で紹介された「わが子と生涯で一緒に過ごす時間」です。みなさんの想像をはるかに超える短さなのではないでしょうか。父親にいたっては、母親の約半分という結果に。この数字について、さらに詳しく説明していきましょう。親子が一緒に過ごせる時間、小学校卒業時にはすでに半分経過「わが子と生涯で一緒に過ごす時間」について、番組では関西大学社会学部教授の保田時男先生が詳しく解説しています。先ほどお伝えしたように、母親が生涯わが子と一緒に過ごせる時間は約7年6ヶ月(約65,700時間)、父親は約3年4ヶ月(約29,200時間)。具体的には、どの時期に、どれくらいの時間を一緒に過ごすことができるのかも導き出しています。まず、わが子と一緒に過ごせる時間の全体を100%とします。子どもの成長に沿って見ていくと、幼稚園入園時には18%が過ぎ、幼稚園卒園時には32%、小学校卒業時は55%……と経過し、高校卒業で親元を離れるころには、なんと73%も過ぎ去ってしまうそう。小学校を卒業する時点で、一生のうちに子どもと一緒に過ごせる時間の半分以上も過ぎているなんて、と驚きを隠せません。この結果を目の当たりにすると、いま一緒にいるわが子との時間は、決して永遠ではないことがわかるのではないでしょうか。だからといって、無理にいろいろな場所へ連れて行ったり、特別な経験をさせてあげなきゃ、と考えたりする必要はありません。また、共働きで忙しく、なかなか時間がつくれなくても問題はないので安心してください。青山渋谷メディカルクリニック名誉院長の鍋田恭孝先生は、「一緒にいる時間が少なくなくても、子どもに『申し訳ない』という気持ちをもつ必要はない」と述べています。共働き家庭が増えているいま、子どもと接する時間が十分に持てていないのではないかと不安になり、子どもに対して「申し訳ない」という気持ちをもっている親が増えています。でも、たとえひとり親の家庭であっても、子どもとしっかり接する時間を1日に3時間も持てれば、母親が専業主婦だという家庭と比較してもなんら変わらず子どもはしっかり育っていくという研究報告もあります。(引用元:STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|子どもを見えなくさせる「期待と不安」というフィルター。親子は一心同体?)たとえば朝、少し早めに起きればバタバタせずに余裕をもって親子のコミュニケーションを図ることができます。ゆっくり朝食を食べながら学校の話やお友だちの話を聞くことも、親子のかけがえのない時間です。また夕食後も、家族がそれぞれの部屋にこもるのではなく、たまには一緒にテレビを観たりゲームをしたりすると、会話も弾んで楽しく過ごすことができるでしょう。「『申し訳ない』という気持ちをもって子に接するのではなく、限られた3時間を『大切な宝物』だと考えて、楽しい時間にしてあげてください」という鍋田先生のアドバイスを忘れないようにしたいですね。一緒に過ごす貴重な時間には積極的なスキンシップを「子どもと一緒に過ごす」と言っても、ただ同じ場所に “いるだけ” では、親の愛情が子どもに伝わりにくいこともあります。日本人は愛情をストレートに表現するのが苦手であると言われますが、親子間では積極的に愛情表現をしていきたいものです。親からの愛情をたっぷりと受け止めている子は、社会性や自立心が育まれます。「子どもにベタベタしすぎると、わがままになって親離れしなくなるのでは?」と心配する声も聞かれますが、実際には、親からの愛情を確信している子どもは、自己肯定感が高まり、何事にも自信をもって取り組むことができるようになるのです。また、親子のスキンシップから「オキシトシン」というホルモンが分泌されることにより、心が満たされて自尊心や人への信頼感が増す効果も期待できます。子どもを抱きしめることは、子どもの心の成長にも確実によい影響を及ぼすというわけです。でも慣れていないと、言葉で愛情を伝えたりハグしたりするのは気恥ずかしいものです。桜美林大学リベラルアーツ学群教授の山口創先生によると、「子どもとの遊びのなかに取り入れると楽しく触れ合うことができる」とのこと。こちょこちょくすぐり合う、「ずいずいずっころばし」のような手遊び歌で楽しむ、など自然にスキンシップできる遊びはたくさんあります。みなさんがやりやすい方法で、お子さまとの触れ合いの時間を楽しんでみましょう。では、自分の親と過ごせる残り時間は?番組では、「親と一緒に過ごせる残り時間」についても言及していました。つまり、自分の親と顔を合わせて過ごせる時間があとどれくらい残っているか、ということ。保田先生は、次のように解説しています。親と離れて暮らしている人の場合、1年のうちお盆に3日、お正月に3日など、親と会う平均日数を6日と設定します。しかし、実家に帰っても、丸一日一緒に過ごすケースはあまりありません。総務省統計局の社会生活基本調査によると、実家の親と顔を合わせるのは1日平均4時間程度とのこと。6日間×4時間=24時間。つまり、1年間で親と過ごす時間は24時間、1日分です。家族間の親密度や住んでいる場所の距離にもよりますが、大人になり日々の生活や仕事に追われていると、つい自分の親と過ごす時間を後回しにしてしまいがちです。しかし、自分の子どもと過ごす時間同様、自分の親と一緒に過ごす時間も無限にあるわけではありません。むしろ、親と過ごす時間のほうが、残りわずかでもあるのです。あとになって後悔しないように、会えるときには会って、会えないときには声だけでも聞かせてあげたいですね。きっと、私たちがわが子に対して抱いている愛情と同じくらい、親も私たちのことを思ってくれているはずです。***「自分と子ども」「自分と親」、どちらも一緒に過ごせる時間には限りがあります。「いつでも言えるし、まだいいや」と後回しにせずに愛情を伝えていきたいですね。(参考)あんふぁんWeb|「一生のうちに子どもと過ごせる時間」は?衝撃的な数字に驚きと決意!税理士法人 金森事務所|「あなたは自分の親や子どもと、あとどれくらい一緒に過ごせると思いますか?」STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|子どもを見えなくさせる「期待と不安」というフィルター。親子は一心同体?STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|「大好きだよ!」で子どもは育つ。“愛されている自覚”が自己肯定感を高め、勉強姿勢までも変えるSTUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|「ハグ」で学力が上がります。幸せホルモン「オキシトシン」の効果がスゴかったPHPのびのび子育て 2020年8月特別増刊号,PHP研究所.
2020年09月29日言われたことはきちんとやるのに、自分で考えて行動するのは苦手――。近年、このようなタイプの子が増えてきているといいます。その原因はどこにあるのでしょうか?今回は、これからの社会で最も重視される「考える力」の伸ばし方について解説していきます。マニュアル通りにしか動けない日本の若者たちみなさんはこれまで、お子さんの学習方法や勉強への取り組み方について「本当にこのままでいいのかな?」と疑問を抱いたことはありますか?もしみなさんが、「わが子が将来苦労しないように」とよい成績をとらせることを目標にしているのなら、少し立ち止まってみる必要がありそうです。精神科医の泉谷閑示先生は、「現代の若者の多くは、マニュアルはパーフェクトに覚えられるのに、マニュアルに書かれていないことはできない。いわゆる『自分で考える力』のない若者が増加している」と警鐘を鳴らしています。また同様に、「日本の学生は、言われたことをするのはうまいけれど自分で考えるのは苦手」と話すのは、子どもの考える力教育推進委員会代表を務める狩野みきさんです。20年以上にわたって大学などで考える力・伝える力を教えてきた狩野さんは、「長年日本では、子どもたちは “正しい” 答えを受け入れるだけで、それを疑う機会すらほとんど与えられていない」と指摘します。記憶力や計算力が高ければ、たしかにテストでは高得点を取ることは可能です。しかし、社会に出てから本当に役に立つのは、むしろマニュアルでは対処できない問題を解決する能力。そのためにも、「自分で考える力」を身につけることは必須なのです。「自分で考える力」が育たない要因は、日本の学校教育の在り方や現代の社会の仕組みなどが考えられます。詳しく見ていきましょう。「考える力」が弱い原因は教育にあり!?現代の若者の思考力が低下している要因として、泉谷先生は「記憶力やパターン思考に長けた者が高得点を得るような試験制度の存在」を挙げています。「自分で考える」ことのできるような自然な在り方の人間が、現代の社会において不当に低く評価されてしまったり、従順でないために厄介な人間と見なされて排除されてしまったりする風潮があることは、私たちの社会の大きな問題です。オリジナリティの点でどうしても日本が精彩を欠いてしまうのも、このような風潮によるところが大きいのではないかと思われてならないのです。(引用元:ダイヤモンドオンライン|マニュアルがないと何もできないーー「自分で考える」力のない人々)つまり、これまで長いあいだ私たちは「頭がいい」=「記憶力がいい」「パターン化された思考ができる」ことだと刷り込まれているため、「考える力」の重要性を軽視してきたわけです。「考える力」が育まれないまま成長すると、どのような大人になるのでしょうか。筑波大学附属小学校前副校長の田中博史先生は、「子どもたちは小さくても『自分で考えたい』生き物である」ことを前提としたうえで、「自分で考える前に先に決められてしまう生活を繰り返していると、自分で決めないですぐにほかの誰かを頼るようになる」と話します。考えることができないから、アイデアが浮かばず、決断することもできないーー。これでは「その人らしい」人生を歩むことは難しいでしょう。わが子には自分の力で人生を切り開いてほしいと願うのなら、たくさんの習い事をさせるよりも「考える力」が身につく訓練をしてあげるべきです。子どもが考えることをやめてしまう親のNG行為子どもの「考える力」を奪ってしまう親のNG行為として、次のような言動には注意しましょう。■正解を与える悩んでいるわが子を見ると、つい手を差し伸べたくなるもの。そこですんなりと答えを教えてしまうと、子どもは「わからない」と言えば大人が正解を教えてくれると思うようになり、考えることをやめてしまいます。■イライラして急かすなかなか答えにたどり着けない子どもに対して、「まだできないの?」と急かすのはやめましょう。急かされた子どもは焦ってしまい、じっくり考えられなくなります。狩野さんは、「イライラしそうになったら、『いまは、この子の考える力の熟成期間』と思うようにするといい」とアドバイスしています。■子どもの「どうして?」攻撃から逃げる知的好奇心が旺盛な子ほど、親に何度も「どうして?」とたずねてきます。きちんと向き合いたくても、頻繁に聞かれるとつい「いま忙しいの!」「あとでね」と適当に流してしまうことも。前出の田中先生は、「必ずしも大人がすべて説明しなければならないわけではない」と述べています。それよりも、「一緒に考えようか」と向き合うことが大事です。また、「そんなこと、お母さんも考えたことなかったよ!すごいね!」とほめてあげることで、子どもは自分の「考える力」に自信をもつようになります。子どもの「考える力」を伸ばすために親ができること子どもの「考える力」を伸ばすためには、どのようなことを心がければいいのでしょうか。いくつか提案するのでぜひ参考にしてください。■「なぜ?」とたずねて論理的思考を探求させる「なぜそう思ったの?」「どうしてこれを選んだの?」と聞くことで、考えるきっかけが生まれます。教育評論家の石田勝紀さんによると、「人間は『なぜそうなの?』『なぜだと思う?』『どうしてこうなんだろうね?』と問われると考えるようになる」のだそう。たとえば、「今日着ている服はどこで買ったの?」と聞かれれば「○○にある△△というお店です」と、ただ事実だけを述べればいいので “考える” 必要はありません。しかし、「どうしてこの服を選んだの?」と聞かれると、「どうしてだったかな?」と考え始めるでしょう。これが “考える” ということです。普段からこのように「なぜ?」「どうして?」と問いかけるようにすると、子どもの考える力はぐんぐん伸びていきます。■親が手本となって「考える姿」を見せる前出の狩野みきさんは、「わが子に『考える人』になってほしいのであれば、親が考えるという行為を “当たり前の習慣” として見せあげるべき」と話します。つまり、親がお手本となって「考える姿」を見せてあげるのです。狩野さんによると、「考えるという行為はクセのようなもの」であり、「普段から考えるクセをつけておくからこそ、いざという難関にぶつかったときにじっくりと考えて納得のいく答えが出せる」のだそう。子どもは親の普段の言動を見て、自然と「習慣」を身につけていきます。子どもが考える力を習得するためには、お母さん・お父さんが普段から「なんでかな?」とつぶやき、考えることが習慣化しているのが理想的なのです。■ドリルを活用して考える力を養う「自分で考える力」をつけさせたいけど、「考え方」を学ぶのになにかいい方法はないかな?とお悩みなら、『ハーバード・スタンフォード流 子どもの「自分で考える力」を引き出す練習帳』(PHP研究所)がおすすめです。この本は、小学生対象の「考える力+伝える力」クラスで狩野さんが長年やってきたことを【クイズ+解説】という形で一冊にまとめたもの。質問内容はとってもユニークなものばかりです。「ある朝、目が覚めたら、お母さんと体が入れかわっちゃった!何をする?」「子どもが学校でぜったいにやらないことを5つ、あげてみて」など、想像力を働かせて自由な発想で思考力を鍛える質問はもちろん、『3びきの子ブタ』を読んで、「オオカミはこのあとどうなった?」「本当にオオカミは悪いのかな?」と、違う視点で物語を読み解く方法も学べます。小学4年生がひとりでも解くことができるようにとつくられたこの練習帳。楽しみながら読み進めることができるので、読み終わる頃には「自分で考える力」がしっかりと身についているはずです。ふりがなは振ってありますが、まだひとりで読み進めることが難しいようであれば、親子で一緒に考えてみても◎。『ハーバード・スタンフォード流 子どもの「自分で考える力」を引き出す練習帳』狩野みき 著/PHP研究所(2020)***インターネットが発達した便利な世の中では、疑問は簡単に解決してしまいます。そのため、深く考えて試行錯誤する習慣がなかなか身につかないのかもしれません。しかし、普段の親子の会話から子どもの「考える力」を鍛えることは十分可能です。みなさんもぜひ試してみてください。(参考)ダイヤモンドオンライン|マニュアルがないと何もできないーー「自分で考える」力のない人々YouTube|狩野みき自分で考えようマネー現代|わが子の「考える力」を奪う親たち、その意外過ぎる共通点THINK-AID|「考える子ども」を育てるために、親ができること東洋経済オンライン|「考える力がない子」を変える3つの問いかけSTUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|“考える力”を伸ばす、子どもの「どうして?」と親の「どうして?」狩野みき(2020),『ハーバード・スタンフォード流 子どもの「自分で考える力」を引き出す練習帳』, PHP研究所.
2020年09月26日子どもの “赤ちゃん返り” に悩まされている親御さんはいませんか? 「どうして下の子に優しくできないの?」「お兄ちゃん・お姉ちゃんになったのにいつまでも甘えないでほしい」と、ため息が出てしまいますよね。しかし、赤ちゃん返りは “弟・妹へのやきもち” といった単純な話ではないようです。じつは、子どもの成長になくてはならない重要な過程であり、親子の信頼関係を深める大事なコミュニケーションでもあるのです。親を困らせる「赤ちゃん返り」あれこれ「食事も着替えも自分でできるようになったのに、『ママやって』と甘えることが増えた」「トイレトレーニングはとっくに終わったのに、下の子が生まれたらまたおもらしをするようになった」2人目を出産したあと、上の子が赤ちゃん返りをして大変だったという話はよく耳にします。みなさんのなかにも、「経験したことがある」「まさにいま困っている!」という人は多いのではないでしょうか。赤ちゃん返りの様子は上に挙げたものが代表的ですが、ほかにも見逃せない “小さな変化” がたくさんあるようです。・怒りっぽくなった・すぐに機嫌が悪くなり、物に当たるようになった・おもちゃを取り上げるなど、下の子に意地悪をするようになった・親の言うことを素直に聞かず、反抗するようになった・赤ちゃんのお世話をしようとすると引き止めるなど、母親を独占したがるようになった・赤ちゃんのようにおっぱいをほしがる・好き嫌いなくなんでも食べていたのに、急に好き嫌いするようになった・寝つきが悪く、寝かしつけに時間がかかるようになった・夜泣きやおねしょをするようになった・「聞いて聞いて」と大人同士の会話をさえぎるポイントは、 “それまではちゃんとできていたこと” を急にしなくなったり「できない」と言ったり、親を困らせるようなことをするという点です。これをただの「下の子に対する嫉妬」ととらえていいのでしょうか?ひとりっ子でも起こる!赤ちゃん返りの原因一般的に「赤ちゃん返り」と呼ばれる子どもの困った言動を、専門的な言葉では「退行」「幼児退行」と言います。日本女子大学人間社会学部心理学科教授の塩崎尚美先生によると、「退行」はだいたい4〜5歳くらい前の発達段階に戻ると考えられているため、幼児期に起こる退行を「赤ちゃん返り」と呼ぶようになったそう。母親が下の子を妊娠・出産するときに起きやすい「赤ちゃん返り」ですが、ひとりっ子でも起こることがあるとのこと。小児科専門医の梁尚弘先生は、「母親が入院したり、引っ越したり、幼稚園に入ったりするなど、環境に大きな変化があったときにも起こる」と述べています。下の子の誕生も母子分離も、小さい子どもにとっては大きな環境の変化であり、強いストレスを感じる出来事であることは間違いありません。梁先生は、赤ちゃん返りを「これまで受けていた両親の愛情がなくなってしまうかもしれないという不安感や、環境の変化をうまく受け入れられない気持ちを、子どもなりにせいいっぱい表した行動」としています。また、教育研究家の征矢里沙さんは、赤ちゃん返りを「いまの自分に必要なもの(愛情・関心)を求めるための大切な行動」であり、「成長の証・健全な発達過程」として認めるべき、と指摘しています。同様に、「赤ちゃん返りは、子どもの『健全なSOS』」と断言するのは、医師・臨床心理士の田中茂樹先生です。わがままを言って困らせるわが子を心配して、あえて厳しく接する親御さんもいるようですが、それではますます子どもの不安は募っていくでしょう。田中先生は「赤ちゃん返りというかたちでしか愛情を求められない子には、優しく接して」と話します。赤ちゃんは、自分ひとりでは何もできない存在です。赤ちゃん返りをする子どもの心理として、「◯◯ができるからすごい」のではなく、ただそこにいるだけで愛される存在として、自分の価値を確認したいという気持ちがあるのです。赤ちゃん返りによるわがままや甘えを受け入れてもらった子どもは、「そのままのあなたでいい」という確信を得られます。それにより自己肯定感が高まり、しだいに言動も落ち着いてくるそうです。赤ちゃん返り、4つの対処法子どもが赤ちゃん返りをしてしまったときの対処法を紹介しましょう。産後、家事や育児に追われて疲れているお母さんは、上の子が赤ちゃん返りをするとイライラして「いいかげんにして!」「もうお兄ちゃん・お姉ちゃんになったんだからしっかりしなさい!」などと言ってしまいがちですが、これでは逆効果です。子育てに関する多くの本を執筆している立石美津子さんは、「叱られた上の子は、親に好かれようといい子にするどころか、逆の行動をとるように。親に注意されている=自分に関心を向けてもらっているため、わざと赤ちゃんのお世話を中断させるなどして困らせる」と話します。親の関心を “自分にだけ” 向けたいと願う子どもには、次のような対応を心がけましょう。■上の子だけに関わる時間をつくる赤ちゃんが寝ているあいだに、 “上の子だけ” に絵本の読み聞かせをしてあげたり、 “上の子だけ” と一緒に遊んだりと、親を独り占めできる時間をつくってあげましょう。立石さんによると「1日10分でもOK」だそう。ただし、赤ちゃんを抱っこしながらではなく、上の子だけときちんと向き合うことを忘れずに。■簡単なお手伝いを頼んでみる「赤ちゃんがお昼寝したからブランケットを取ってきてくれない?」「新しいおむつを持ってきてくれるかな?」など、ちょっとした赤ちゃんの世話を頼みましょう。前出の梁先生は、「それにより『赤ちゃんは自分のライバルではないんだ』という気持ちを育むことができます」と述べています。ポイントは決して強制しないこと。手伝ってくれたらたっぷりほめてあげてください。■「頑張っているね」の声かけを前出の征矢さんによると「赤ちゃん返りは、これまでその子なりにいろんなことを頑張ってきた反動でもある」とのこと。幼稚園や小学校ではしっかりやっていて、家では安心してわがままにしているケースもあります。そこで「いつも頑張っているね」と声をかけてあげることで、子どもは「いまの自分を認められた」と感じ、気持ちも安定してきます。■できるだけ要求に応えてあげるスキンシップを求めてくるなど、情緒的な要求にはできる限り応えてあげましょう。また、本当は自分でできるのに「着替えを手伝ってほしい」といった要望にも応えてあげて。征矢さんは、「能力的にはできるけど、いまは精神的にできない、ということは一時的に助けてあげたほうがいい」とアドバイスしています。赤ちゃん返りは、決して「お母さん・お父さんを困らせよう」とわざとしているわけではありません。小さな子どもでは抱えきれない不安な気持ちが表面化した結果が「赤ちゃん返り」であり、子ども自身もコントロールできないのです。イライラすることもあるかもしれませんが、親子の信頼関係を深めるためにも正しい対応を心がけましょう。***どうしても避けて通るわけにはいかない「赤ちゃん返り」ですが、お子さんが健全に成長している証なので安心してください。この時期にわが子としっかり向き合うことで、将来の親子関係は格段に良好になるでしょう。(参考)TOKYO GAS ウチコト|【教育研究家に聞く】「赤ちゃん返り」は大切!? 上手に対応する9つの方法Milly|【専門家監修】赤ちゃん返りとは?その症状や原因、対策が知りたい!マイナビウーマン 子育て|【医師監修】子どもの赤ちゃん返りってどうすればいいの?ダイヤモンドオンライン|妹や弟ができて「赤ちゃん返り」する上の子は親を信頼しているハピママ|2人目育児にありがち! 上の子の“赤ちゃん返り”を防ぐ言葉がけ
2020年09月23日「国語が得意な子」と聞くと、みなさんは「きっと読書が好きなのね」と考えるでしょう。たしかに、読書量と国語力はある程度比例します。しかし、なかには “読書が好きなのに国語が苦手な子” もいるのです。今回は、「読書好き」なのに「国語が苦手」な原因と解決策について解説していきます。意外と多い!? 「読書好きなのに国語が苦手な子」大前提として、たくさんの本を読むことで、語彙が増えたり読解力が鍛えられたり感受性が豊かになったりと、数えきれないほどのメリットがあります。その延長線上で、「国語が得意になる」と考える人がいても不思議ではありません。しかし、ただの趣味や娯楽として読書を楽しんでいるだけでは、国語のテスト問題をスムーズに解くコツはつかめません。小・中学生向けの教材研究や学習指導を行なう平山入試研究所の小泉浩明所長は、「国語のテスト問題はあくまでも論理的に考える必要があるので、読書好きな子どもでもテストの点数が悪いことがある」と指摘します。小泉所長によると、「文章を自由に解釈してよい読書と違って、テスト問題では自分勝手な解釈はできない。登場人物の心情をたずねる問題でも、文脈や心情表現を根拠に考えることを求められる」のだそう。さらには、テストでは文章を読みながら「問われているのはこのことかな?」と内容を推測しながら進めていく必要があります。問いや問題文のなかに根拠を見つけ出し、正解までの道筋をたどることができる能力こそが、国語のテスト問題の理解度につながるのです。「読書が好き」なのに「国語が苦手」な原因は?読書が好きで普段からよく本を読んでいるにもかかわらず、「国語が苦手」なのはなぜでしょう。いくつかの原因が考えられます。■原因1:ナナメ読みする癖がついている「読書が好きな子のなかには、ストーリーを追うことが楽しくて “ナナメ読み” をしている子も多い。そういう読み方では、国語の成績は上がらない」と話すのは、中学受験専門塾「アテナ進学ゼミ」の設立者・宮本毅さん。それには “親のほめ方” も大きく影響しているそう。読書をしている子どもが「もう読み終わったよ!」と報告してきたら、どのような言葉をかけますか?おそらく、ほとんどの親は「もう読んだの?すごいね!」とほめてしまうのではないでしょうか。宮本さんは「このほめ方こそが、子どもの国語力を低下させている」と指摘します。ほめられると子どもは嬉しくなり、「もっと早く読んでお母さんを喜ばせよう!」と早読みするようになります。その結果、文字を一字一句きちんと読み込まずに、どんどんナナメ読みへと走るようになるのです。国語のテストでは精読する力が求められるため、ナナメ読みの癖は弊害にしかなりません。■原因2:読むジャンルが偏っている教育評論家の石田勝紀さんは、「これまで3,500人以上の小中高生を直接指導してきたなかで、『読書好きでも国語ができる子とできない子の違い』について、ある特徴が見られる」と話します。それは、好んで読んでいるジャンルが「小説・物語系」か「説明文・論説系」か、という違いです。石田さんによると、読書好きで国語が苦手という子は、小説や物語ばかりを好んで読む傾向があり、読書好きかつ国語が得意という子は説明文・論説系を読んでいるそう。物語系と論説系では、文章構造が根本的に異なります。つまり、読んでいるときの “思考のプロセス” がまるで違うのです。物語・小説系の基本的な文章構造は、時系列に沿っていることが多く、登場人物たちになんらかの出来事が起こり、心情が変化する様子を描写しています。一方で、説明文・論説系は基本的に「序文・本論・結論」という構造で成り立っており、論理的展開が明確です。論理的思考力が備わっていないと、国語のテスト問題を読み解くのは困難でしょう。■原因3:論理力が身につかない読み方をしている国語のテストでは、論理的思考に基づいた読解力が必要不可欠です。先ほど述べたように、物語の世界に浸って情緒を育んだり、ストーリーを追いながら感情の起伏を楽しんだりする読書と、論理力を駆使しながら読み解く読書は別物であると考えていいでしょう。『論理力は小学6年間の国語で強くなる』(かんき出版)の著者・小川大介さんは、「国語のテスト問題では、素材文(問題を解くために与えられた文章)を読んでいない人でも『ああ、なるほどね』と理解・納得できる答えを求めている」と話します。【問題例】「気がすすまないがしぶしぶ一緒に行った」とありますが、それはどういうことですか? 【考え方】「登場人物に起こった出来事」+「それまでの事情に基づくその人物の受け止め方」+「その結果生まれる感情」をうまく取り入れながら、素材文を読んでいない人にも理解してもらえるような答えを考える。 【解答例】たけしは母親とけんかをしたばかりなので顔も見たくなかったが、祖父のお願いを断ることができずに仕方がなく母親とともに出かけた。 小川さんは、「国語における物語文の読解は、客観的理解を軸に置きながら、答えを見つけていくもの」だと述べています。論理力がある子というのは、文章を読んでいる自分以外に「世の中の一般の人の物事のとらえ方や知識」も意識できるのだそう。一方で、読書が好きで表現力も豊かなのに、テストで高得点がとれない子は、自分だけの世界に陥っている傾向が強いといいます。つまり、設問に答えているつもりでも、実際は自分の感じたことをただ述べているだけに過ぎないのです。親子の会話が国語力アップにつながる最後に、「読書が好きだけど国語が苦手な子」が「読書が好きで国語が得意」になるためにはどうしたらいいか、いくつかご提案します。■早読み禁止!1冊をじっくり読み込む訓練を前出の宮本さんは、ナナメ読みの癖がついてしまったのなら、精読力をつける工夫をすべきだと述べています。先ほど述べたように、「早く読めたこと」ばかりを評価してほめてしまうと、子どもは「お母さんにほめられるために、適当でいいからパパッとやっちゃおう」と勘違いするそう。宮本さんは、「10冊の本をナナメ読みするくらいなら、1冊の本をじっくり何度も読み込んだほうがいい」とアドバイスしています。■読書の前に “親子の会話” で語彙を増やす国語が得意な子の共通点のひとつとして、宮本さんは「親子でよく会話をしている」ことを挙げています。もちろん読書は語彙を増やすには最適な手段ですが、言葉の意味が曖昧なままたくさんの本を読ませても結局理解できないでしょう。親はたくさんの本を与えるよりも、たくさんの言葉を投げかけてあげるべきなのです。その際に気をつけるのは、「子ども扱いせずに、大人と同じように難しい言葉を交えながら会話する」こと。それにより、子どもはたくさんの言葉を吸収することができます。■読後は論理的思考力を鍛えるアウトプットを親子で本の感想を語り合う機会をつくるのもおすすめです。ただ「おもしろかった」だけではなく、どんな場面のどんなところに心が動かされたのか、深い部分まで詳しく語り合いましょう。また、「主人公は○○したけど、僕だったら△△すると思う」など、自分に置き換えてみるのも、物語への深い理解と考察につながります。***「読書が好きなら、当然国語も得意なのでは?」と思われがちですが、実際には「読書好き」イコール「国語が得意」とはならないようです。国語を得意にするためには、家庭でのちょっとした努力と、本への向き合い方を少し見直す必要があるでしょう。(参考)ベネッセ 教育情報サイト|読書好きなのに国語テストが苦手なのはなせ?専門家が解説ベネッセ 教育情報サイト|読書好きなのに問題文だと思考停止の小4男子に、受験の専門家がアドバイス中学受験ナビ|今一度立ち止まって中学受験を考える|読書が好きなのに、国語の成績が伸びないのはなぜ?東洋経済オンライン|読書好きな人がなぜか「国語が苦手」な真の理由日経DUAL|読書好きなのに国語で高得点を取れない子の弱点
2020年09月20日「頭がいい子と性格がいい子、どっちがいい?」子どもの頃、テストの成績がよくなかったとき、筆者が母親によく言っていたそうです(笑)。子どもながらに「 “性格がいい” ほうがいいに違いない」と、確信していたのでしょう。「勉強ができるだけでは生きていけない」というのは、いまや常識。今回は、人生をよりよく生きるための人間力の指標として注目され、認知されてきたSQ(社会的指数)について、ご説明します。生き方の知能指数と呼ばれる「SQ」頭がよい=IQ(知能指数)をご存じの方は多いでしょう。では、SQ(社会的指数)とは何を指すのでしょうか。その前に、IQ、そして感じる知性とも言われるEQを考えてみます。IQ(Intelligence Quotient):知能指数「考える知性」であり、いわゆる頭のよさ。IQが高いほど知能が高く、低いほど知能が低いとされている。EQ(Emotional Intelligence Quotinet):感情指数「感じる知性」「心の知能指数」と言われている。自分の感情を認識してコントロールできる能力。上記が、以前から注目を集めていたふたつの能力指数です。次に、「社会的指数」と呼ばれるSQ(Social Intelligence Quontient)について。EQの進化形として登場した概念がSQです。EQ理論を日本に広めたとされる、アメリカの心理学者ダニエル・ゴールマンは、同調性・自己表現力・影響力・関心(気配り)などの社会的適応能力を測るものとして、これを発表しました。SQは「生き方の知能指数」です。人は他人とのコミュニケーションなしには生きられません。「楽しいね」「困ったね」というさまざまな感情を、友だちと分かち合い、友だちの考え方や行動に心から同感できれば、人間関係はよりよいものとなるでしょう。また、自分の主張を相手が不快に感じないように伝えられる能力も、社会生活に欠かせない力のはず。もし、相手の気持ちを考えずに自分の意見だけを主張していたら……?友だちはきっと離れていってしまうでしょうね。まわりの人たちとうまく関わることができるかどうかは、SQの高低によるのです。SQが高い子、10個の特徴米国CTI認定プロフェッショナルコーチであり、子育て支援活動を行なうUmehana Relations代表の松原美里氏によると、SQは「人と上手に関わりながら社会で生きていくための大切な筋肉」なのだそう。つまり、この能力が高ければ、学校でも社会でも、子どもたちは先の人生をうまく乗り越えていける可能性が高いということ。わが子はどのくらいSQ能力が身についているのか、気になりますよね。松原氏が提唱している「SQが高い子」の10個の特徴をチェックしてみましょう。愛嬌があり、笑顔で会話ができる素直で一生懸命に物事に取り組める正義感が強く、善悪の区別がしっかりと身についている家族を大切にする人の嫌がることをしない、人の気持ちに立って物事を考えられるほめ言葉は気持ちよく受け取りつつも、適度に謙虚で調子にのらない努力することができる、物事を達成する喜びを知っている夢をもっている、未来に向かって前向きである自分の気持ちを表現するのが上手ひとりで抱え込まず、上手に人を頼ることができる松原氏によると、「SQの高い子どもというのは『お互いを尊重できる子』と言い換えることができる」そう。まずは、お子さんが「人を思いやる行動をしているか」を確認してみてください。子どもは親の鏡。子どものミラーニューロンを刺激せよでは、わが子のSQを高めるために、親はどう子どもに関わっていくべきなのでしょう。株式会社MELコンサルティング代表取締役社長の渡辺晴樹氏は、「SQの概念の新しさは、脳科学の裏づけに基づく点にある」とし、「ミラーニューロン」などの脳内細胞がSQに深く関係していると言っています。ミラーニューロンは “ものまね細胞” とも言われ、相手のしぐさからその感情を察知したり共感したりする脳内細胞のこと。たとえば、チームのなかにミラーニューロンの働きが活発なリーダーがいれば、そのチーム全体の共感力が上がり、明るい雰囲気になるのだそう。たしかに学校でも、まわりと上手に関わり合える子や友だちに対して気配りができる子がひとりいるだけで、クラスの雰囲気がぱっと明るくなりますよね。そしてこれは親子・家族間でも同じ。親のミラーニューロンの働きが活発であれば、子どものミラーニューロンも刺激されて活性化するのです。ダニエル・ゴールマン氏は、「親は子どもが最初に関わる『他者』」だと話しています。相手の感情を察知したり共感したりする、子どものミラーニューロンが活発になるかどうかは、親の行動次第ですよ。SQを育むためにできること4つ「子どもは親の鏡」ということを肝に命じて、松原氏が提唱する4つの行動を意識的に実践してみましょう。1. アイコンタクトをたくさんとるアイコンタクトは、言葉がまだ話せない小さい子にとって大切なコミュニケーションツールです。親が子どもと視線を合わせて笑うと、子どもも親を見て同じように笑います。これが、ミラーニューロンによる「共感」の芽生え。ここから、SQが高い子への道が開くのです。2. 表情豊かに接する親が素直な感情を表し、表情豊かに子どもに接することで、子どもは自分の言動が人に与える影響や善悪を自然と学び、社会性を身につけます。自分が「悲しい」「嬉しい」という表情をすると、相手はどんな反応をするのか、子どもは少しずつ覚えていくのです。3. スキンシップや声かけで愛を伝え、絶対的安心感を人と心を通わせられる人間性を身につけるためには、小さい頃のスキンシップがとても大切です。特に、不安なことや環境の変化があったとき、子どもは急に親に甘えてくることがあります。そんなときは、ハグや「大好きだよ」の声かけで、親の絶対的な愛を伝えましょう。「愛されている」という安心感は自己肯定感につながり、共感力へと発展します。4. テレビやインターネットはほどほどにSQを高めるには、リアルな交流に勝るものはありません。リアルな体験を通して身についた人間性のベースがあって初めて、バーチャルでの感動があるのです。アメリカ・ワシントン大学の研究では、2歳以下の子どもに教育番組を視聴させても効果がないことがわかりました。効果がないどころか、言語習得が遅れるという報告も。知育番組に頼りすぎず、リアルなコミュニケーション体験の機会をできるだけ増やしてあげましょう。SQの能力発達には、家族構成も影響するそうです。祖父母と同居、または兄弟姉妹が多いと、人との交流が増えるため、SQは高くなる傾向にあります。ひとりっ子のお子さんの場合は、親との会話を増やす、友だちと遊ぶ時間を増やすなど、特に気をつけてあげる必要がありそうですね。***SQのパイオニアであるダニエル・ゴールマン氏は「暖かな社会の結びつきは人々を幸福にするはずだ」と言っています。子どもたちには家庭でも社会でも、できるだけたくさんの人との交流を通して、SQを育んでほしいですね。(参考)ダニエル・ゴールマン 著, 土屋京子 訳(2007),『SQ生きかたの知能指数』, 日本経済新聞出版社.All About|子供の性格=SQ(社会的指数)の高い子を育てるにはAll About|社会的指数を表すSQとは?子育てにおける7つのポイント株式会社エム・イー・エル|EQの概念をさらに押し広げたSQ「社会性の知能指数」SWISS JAPAN SUPPORT|東洋経済“我が子をKY人間にする親の3タイプ”の記事(2月16日付)。幻冬舎GOLD ONLINE|子どもの可能性は無限大!幼児教育のプロが教える「育脳」の進め方
2020年09月17日「ちょっとしたことですぐに泣いてしまう」「ほかの子に比べて傷つきやすく、落ち込むことが多い」と、子どもの繊細さにお悩みではありませんか?もしかしたら、お子さんは「HSC(人一倍敏感な子)」かもしれません。簡単なチェックリストを用意したので、対処法も含めてぜひ参考にしてください。HSCの子どもは毎日しんどい?最近よく耳にする「繊細さん」、いわゆる「HSP(Highly Sensitive Person)」とは、感受性がきわめて強く敏感な気質をもった人のこと。HSPの人は、学校生活や社会生活で苦労することが多く、生きづらさを感じる人も少なくないそうです。そして子どもたちのなかにも、人一倍繊細な子(Highly Sensitive Child=HSC)は存在します。しかもその割合は5人に1人と非常に多く、「もしかしてうちの子はHSCかも……」と心配する親御さんもたくさんいるようです。この概念を見いだしたのは、アメリカの心理学者エレイン・アーロン博士。HSCは生まれついた気質であり、決して性格の問題ではないこと、脳の神経システムに違いがあるということなどもわかっており、やみくもに「気にしすぎじゃない?」「気のせいだよ」と励ますことは逆効果になってしまうことも。特にまだ小さい子どもの場合、敏感に反応する五感の不快さをうまく言葉で表現できないことが多いので、大人よりも何倍も「しんどい」と感じているはずです。お子さんはHSC? この質問で診断以下は、アーロン博士らが開発したチェックリストをもとに幼児用に作成された質問項目です。質問を読んでYesと答えた数をカウントしましょう。子ども向けに編集部がアレンジしているので、気軽にお試しくださいね。【すぐにビクッとする?】:突然声をかけられたり、人がふいに現れたりするとすぐに驚く【サプライズをしてあげてもあまり喜ぶことがない?】:喜ぶと思ってサプライズを仕掛けても反応が薄い【相手の気持ちをよく察する?】:親のちょっとした表情の変化を見て「悲しいの?」と心配する【年齢よりも大人っぽい言葉づかいをすることがある?】:教えたわけではないのに、大人びた言葉づかいをして周囲を驚かせる【においに敏感?】:いつもとは違うにおいがしたら、誰よりも敏感に察知する【ユーモアのセンスがある?】:ぼそっと発したひとことでまわりを笑わせる【優れた直感力をもっている?】:「○○な気がする」と言ったことはだいたい当たっている【興奮した日はなかなか寝つけない?】:遊園地や動物園に行った日や、入園式・入学式など多くの刺激を感じた日は寝つきが悪い【大きな変化に対応するのが苦手?】:引越しや転校など、周囲の環境ががらりと変わるような変化に慣れるのに時間がかかる【着ているものが濡れたり汚れたりすると着替えたがる?】:水遊びは好きだけど服が濡れるのはいや、砂遊びは好きだけど服が汚れるのはいや、など気にしやすい【四六時中質問をしてくる?】:ちょっとでも疑問に感じたことは質問しないと気がすまない【完璧主義のように見える?】:「もうそれくらいにしておけば?」と言っても、納得できるまでやろうとする【他人の痛みや苦しみによく気がつく?】:テレビを見たり本を読んだりしていても、登場人物が悲しんでいたら自分のことのように感じて泣いてしまう【静かでおとなしい遊びが好き?】:外で大勢の友だちと鬼ごっこするよりも、積み木遊びやおままごとで遊ぶのが好き【ハッとするような深い質問をしてくることがある?】:「死んだらどうなっちゃうの?」など深い質問をしてくる【痛みに敏感?】:ちょっと大げさなくらい痛がる傾向がある【騒がしい場所が苦手?】:人混みなどうるさくて雑然とした場所にいると機嫌が悪くなる【ほかの人が気づかないような微妙なことによく気づく?】:人の外見がちょっとだけ変わったり、いつも置いてある場所になかったりと、人が気づかない微妙な変化を見逃さない【安全かどうか確かめてから行動を起こす?】:高いところに登る前に友だちが登る様子をよく観察して、安全だとわかってから登る【自分の知らない人がいると実力を発揮できない?】:発表会などで知らない人がいると不安になり、いい結果が出せなくなる【子どものわりに物事を深く感じとっている?】:ほかの子どもが軽く聞き流すようなことをいつまでも覚えている【服のタグやチクチクする肌触りなどを嫌がる?】:肌触りの悪い生地の洋服を着せるとすぐに脱ぎたがる【叱るよりも優しく間違いを正したほうが理解してくれる?】:叱るといつまでも引きずり、優しく諭すとすぐにわかってくれる質問は以上です。いくつの項目に当てはまりましたか?Yesの数が13、もしくはそれ以上だった場合、子どもはHSCである可能性が高いといわれています。もしくは、当てはまる項目が1つか2つくらいだとしても、「非常に強く当てはまる」と感じた場合、HSCの可能性は高まります。ただし、これは厳密な診断ではないので、あくまでも参考程度にとどめておきましょう。大事なのは、親御さんから見て子どもがどのような気質を備えているか、困りごとにはどのように対処すべきかを知ることです。わが子がHSCだったら? その対処法と心構え最後に、「うちの子、もしかしたらHSCかも」と気づいた親御さんに向けて、基本の対処法を紹介します。■「いつでも味方だよ」と安心感を与える声かけを敏感すぎる子は常に不安を抱えています。日常の何気ないシーンでも、「いつも見守っているよ」「どんなときでもあなたの味方だからね」というメッセージを伝え続けて。たとえお母さんやお父さんがそばにいなくても、「いつも見守ってくれてる」という安心感が不安をかき消してくれるはずです。■ありのままのお子さんを認めてあげて子育てカウンセラーで心療内科医の明橋大二先生は、HSCの子をもつ親御さんに向けて、「お子さんが『おかしい』と思っていることを『そうだね』と認めることや、その感性のすばらしさをぜひ本人に伝えて」とアドバイスしています。HSCの子は、親が気づかないあいだに自己肯定感が低下する傾向があるそう。ありのままの自分を認められたら、自己肯定感がはぐんぐん伸びていきます。■親が肩の力を抜いて接することが大事親が強迫観念から「ちゃんとしつけなきゃ」と思えば思うほど、できないことを叱りがちになります。これでは自己肯定感がどんどん低下して悪循環に陥ってしまうでしょう。明橋先生によれば、「HSCの子はそこまでしつけする必要はない」「生活習慣でいえば、睡眠だけしっかりしていればOK」「勉強したり生活習慣を身につけたりということは、自己肯定感の上に積み上がっていく」ときっぱり述べています。HSCの子は、一見普通のように見えても、内側では不安や恐怖、不快感を人一倍感じています。親だからこそ「この子は大丈夫かしら?」と心配になるかもしれませんが、優しく見守って温かく包んであげることで、自己肯定感の土台が築かれ、自分の「敏感さ」とも上手に付き合っていけるようになるはずです。***HSCの子どもをもつ親御さんのなかには、「私の育て方が悪いのかも……」と自分を責めてしまう人もたくさんいます。しかし、HSCはもって生まれた気質です。まわりの人たちから余計なことを言われても、毅然とした態度でわが子とだけ向き合うことを心がけましょう。(参考)STUDY HACKER|HSP気質とは?特徴と付き合い方まとめ日本教育心理学会第59回総会発表論文集(2017年)|幼児用 High Sensitive Child Scale 日本語版作成の試みThe Highly Sensitive Person|Is Your Child Highly Sensitive?MAZECOZE 研究所|ひといちばい敏感な特性をもつ子供「HSC」を伸び伸び育むためにできること。子育てカウンセラー・診療内科の明橋大二先生にききました!
2020年09月14日こんにちは、RISU Japanの今木智隆です。前回記事『10億件の学習データからわかったこと。「無学年制」という新しい学習のカタチとは?』では、この連載が目指している方向性を、私自身の教育観などとも絡めてお話ししました。今回はその続きです。200年続く「集団授業」に意味はあるのか前回の連載では、近代教育が誕生から200年変わらず集団授業のスタイルをとり続けていることに言及しました。本来、子どもの個性は千差万別。そんな個性豊かな子どもたちを一斉授業のかたちで教えることは、はたして現代社会で本当に意味をもつのでしょうか?――じつは、「画一的であること」は悪い面ばかりでもないのです。今回は、「画一的であること」のプラスの側面を紹介しつつ、私が教育において最も重要だと思っている「エビデンスベースド」(evidence based)の考え方に触れようと思います。のちほど詳しく紹介しますが、私の著書である『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』は、この「エビデンスベースド」に基づいて、教育への提言をしています。先走って結論を簡単に述べるなら、私は「エビデンスベースドによる画一的な教育」は肯定したいと考えています。授業はすべてマニュアル化!それってあり?まずは、アメリカで行なわれている、ある教育法の紹介から始めましょう。ある教育法とは、「ディレクト・インストラクション」(Direct Instruction)(※以下、DI)。これは、ジークフリード・ジグ・エンゲルマンによって発明された手法で、最大の特徴は、授業がすべてマニュアル化されていることです。教師が生徒に投げかける質問(=発問)すらマニュアル化されています。授業の進行は「脚本」のように決められており、教師はその脚本を進める役者とでもいったところでしょうか。そこには、教師のオリジナリティが入り込む余地はありません。この教育法は、衝撃的にすら思えるかもしれません。日本で授業といえば、教師それぞれのオリジナリティが求められるものだという認識がありますから、そう感じるのは当然でしょう。私も当初は、この教育法に関して懐疑的でした。しかし、驚くべきはそのマニュアル化された授業の効果。その有効性は、79,000人の低所得者コミュニティの児童を、20年間追跡することで裏づけられています。この調査では、DIのような教育法から、子どもが自主的に学ぶようにつくられた授業モデルなど、17種類の授業パターンを比較しました。すると、ほかの授業モデルに比べて、DIで学習した子どもの学力が圧倒的に上回る結果となりました。しかもそれは、基本的な読み書きにとどまらず、思考力や高度な数学的能力にまで及んでいたのです。驚きますよね。僕も、最初にこの結果を見たときは驚きました。この調査からわかったことは以下です。・優れた内容のマニュアルのもと、教師がそのマニュアル通りに教えることで、子どもの成績は圧倒的に伸びる。・読み書きなどの基本的なリテラシーだけでなく、「思考力」や「類推能力」(ある事柄から物事を推測する力)に関しても、マニュアル通りに教えたほうが、成績がよくなる。教師のオリジナリティあふれる授業こそ優れた教育だと思う人からすると、信じがたい結果かもしれませんが、これがデータから得られる「画一的であること」のプラスの側面なのです。先生個人の経験則とデータに基づいた知見をもちろん、この結果を受けて「なんでもかんでも画一的にすればいい」と思うのは早計です。そもそも子どもは千差万別。全員が同じような授業でいいはずがありません。重要なのは、このDI教育マニュアルがたいへん優れているということなのです。DIの教育法では、「少人数」で「学力が同程度」の生徒たちに授業を行ないます。それぞれの発達に合わせた教育マニュアルがあるわけですね。そして、そのマニュアルをつくるときに重要なのが「エビデンスベースド」という考え方です。これは文字通り、そのマニュアルが「エビデンス(=証拠)」に基づいているということ。さまざまな実験で統計的に得られた結果をしっかりと受け止め、それに基づいて生徒たちの学習カリキュラムを形成するわけです。最近ではこの考え方もだんだんと教育界に浸透してはきましたが、ひと昔前であれば、先生個人の経験が学習カリキュラムに影響を及ぼすことが多く、統計学的に実際の効果があるのか保証されてはいませんでした。もちろん、先生の経験をすべて否定するわけではありませんし、それぞれの先生の経験も貴重なデータのひとつです。ただし、「個々人の経験則ではなく、横断的なデータに基づいた知見を入れて教育をとらえ直そう」というのがエビデンスベースドの基本的な考え方。つまり、「エビデンスベースド」に基づいた科学的な「画一性」であれば、子どもの成績を上げるのに有効なのです。算数の苦手はたった3種類に分類できる!RISU Japanで提供している「RISU算数タブレット」は、明確に「エビデンスベースド」に基づいた算数教材です。会員の方がタブレット上で問題を解いた時間や頻度、点数などを見て、そこからデータを収集し、その大量のデータを教材作成に生かしています。『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』も、このデータから得られた話がメインです。エビデンスベースドの具体的な利点として、RISUタブレットからわかってきた、算数の驚くべき特徴についてお話ししましょう。タブレット学習をしている子どもたちの成績を解析したところ、子どもが算数でつまずくときに問題となる単元、つまり「苦手の原因」はたったの3種類に分類できることがわかりました。エビデンスに基づくなら、この3種類を重点的に学習させれば子どもの苦手の大部分はカバーできるのです。いずれ詳しくお話しすることになると思いますが、このきわめてシンプルな事実も、じつは算数という科目の特徴をよく考えればわかることなのです。しかし、データとして解析するまで、はっきりとは私もわかっていませんでした。データの力、恐るべしです。「画一性」を有効活用するエビデンスベースドに基づいた画一性の利点がおわかりいただけたでしょうか?もちろん、どんなにすばらしいカリキュラムを組んでも、個人でつまずいてしまう部分はどうしてもあります。RISU算数タブレットでは、そうした個人に説明が必要な部分は、大学生チューターなどがサポートに入るなどして、「画一的に行なう部分」と「個人に合わせる部分」を使い分けています。「エビデンス」に基づくなら、「画一性=悪いこと」と簡単に決めつけることはできないわけです。どうでしょうか。エビデンスに基づいて教育を展開する意義がおわかりいただけたでしょうか?この連載では「エビデンスベースド」の考え方から見えてきた算数や勉強にまつわる、さまざまな「事実」をレポートしていきたいと思います。次回は、今回後半に少しだけ紹介した「算数の苦手は3種類に分類できる」ということから始めていきたいと思います。『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』今木智隆 著/文響社(2019)■ 算数塾「RISU」代表・今木智隆先生 インタビュー記事一覧第1回:子どもを「算数嫌い」にしない大原則。幼児期からできる“算数好きの基礎”の築き方第2回:子どもが勉強で成果を出せないのは、親の「勘違い」が原因かもしれない第3回:10億件のデータを調べてわかった、小学生が「ずば抜けて苦手」な算数の単元と例題第4回:「算数の文章題が苦手」な子どもが、ひねった応用問題でも解けるようになる教育法
2020年09月11日みなさんのなかには、子どもを「甘やかす」ことに抵抗を覚える人も多いはず。たしかに、「甘やかしてばかりいると子どもはわがままになる」と誰もが言うように、過度な甘やかしは子どものためにもよくありません。では、「甘えさせ」はどうでしょう。親にたっぷり甘えた子ほど、成長後によりよい人生を歩むケースが多いことはご存じですか?今回は、「甘やかしと甘えさせの違い」や「正しい甘えさせ方」について考えていきます。親にたっぷり甘えた子ほど、しっかり自立する親に甘えたくない子どもはいません。自分のすべてを受け入れてくれる親だからこそ、子どもは甘え、優しくしてもらいたくなるのです。そして、親に甘えることは、子どもの心の成長に大きな影響を及ぼします。親にたっぷり甘えることができた子は、自立した人間に育ちます。児童精神科医の故・佐々木正美先生は、「幼少期にたっぷり甘えさせてあげた子どもほど、早く自立して、大きくなっても親に心配をかけない人間に育つ」と述べていました。佐々木先生によると、「子どもというのは、本来自立したいもの」であり、「自立をするために、甘えとわがままを繰り返す」のだそう。発達心理学・幼児教育の専門家である東京学芸大学の岩立京子先生も、「子どもが十分に甘えられる関係をつくることで、子どもは母親以外の人とも信頼関係を築けるようになる」と述べており、それが自立へとつながるのです。一方で、ずっと甘えられ続けると、「いつまでも甘えて親離れできなくなるのでは?」という不安もよぎります。しかし、ここで子どもを突き放してしまうと逆効果になってしまうので要注意。家庭教育の専門家である田宮由美さんによると、「『いつまでも甘えてちゃダメ!』と突き放すと、子どもは『いったんお母さんから離れると、二度と受け入れてもらえない』と感じて、いつまでも自立しようとしなくなる」そう。子どもの心は、「安心」と「不安」、「依存」と「自立」を行ったり来たりしながら、少しずつ成長します。すぐに結果を求めたり、「もう○歳なんだから」と決めつけたりせずに、子どもが甘えてきたときはしっかり甘えさせてあげましょう。ちゃんと親に甘えられた子は自己肯定感を手に入れるカリスマ保育士としてメディアなどでも活躍中のてぃ先生は、子どもの「甘え行動」について、「『基地』の安全を確かめる行動」だとコメントしています。お母さんやお父さんの存在は、子どもにとって「基地」であり、基地が安全だからこそ、外に出たときにいろいろなことにチャレンジできるというわけです。なにかに失敗したり、つらいことがあって落ち込んだりしたとき、基地で母親や父親にたっぷり甘えることができれば、安心感を得られます。それにより、弱った心が満たされ、元気になってまた挑戦できるようになるのです。もしそこで、「子どものため」と思って「甘えないの!」と突き放したり、「○◯くんは頑張ってるじゃない。あなたも頑張りなさい」と十分に甘えさせないまま背中を押したりすれば、子どもは「基地は安全ではない」と認識します。すると外に出ていく勇気が出なくなり、基地の安全を確かめるために延々と甘え行動を繰り返すように……。子どもを信じて励ますことと、甘えたい気持ちを無視して背中を押すことは違います。てぃ先生は、「子どもが甘えてきたときには十分に甘えさせればいい。ただそれだけのことです」と述べています。さらに、普段から「大好きだよ」「いつも応援しているよ」といった言葉をかけてあげていると、子どもの自己肯定感も上がり、親に甘えやすくなります。必要以上に甘やかすのではなく、子どもが自分から甘えてきたときには否定したり突き放したりせずに、子どもの気持ちに寄り添ってあげることが大切なのですね。子どもの願いを叶えることが「甘えさせ」子どもが親に「甘える」ことは、子どもの心の成長によい影響を与えるばかりでなく、子ども自身の将来にプラスに働くことがわかりました。しかし、実際には「“甘えさせる” ことと “甘やかす” ことの線引きが難しい」「本当はたっぷり甘やかしたいけど、どうやったらいいかわからない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。まず、「甘やかし」と「甘えさせ」の違いについてまとめます。■甘やかし・お菓子やおもちゃなど、「モノ」を欲しがるままに与える・子どもが自分でできることを、親の都合でやってしまう・「心配だから」「できないだろうから」と先回りしてやってしまう■甘えさせ・かまってほしがったり、スキンシップを求めてきたりする気持ちを満たす・いままでできていたことをやってもらいたがるなど、子どもから「やって」と言われたら突き放さずにやってあげる・子どもを信じて、助けを求めてきたら一緒に解決策を考えるこのように、「甘やかし」は “大人の都合” によって引き起こされることが多い一方で、「甘えさせ」は “子ども発信” であるという違いがあります。子どもが求めてもいないのに甘やかすのは、単なる「甘やかし」です。●子どもをたっぷり「甘えさせる」には?幼児教室コペル代表の大坪信之さんは、「『安心』を与えることが『甘えさせる』ということ」だと述べています。ですので、「抱っこして〜」と寄ってきたらちゃんと抱き上げて、「ねえ、お母さん(お父さん)聞いて」と話しかけてきたら、別のことをしていても手を止めて、「なあに?」と子どものほうを向いて話を聞いてあげましょう。しかし、忙しいときに限って子どもは甘えてくるもの。そこで「忙しいからあとでね」「(ほかのことをしながら)はいはい」と適当な対応をしていると、子どもは敏感に気づきます。どんなに忙しくても、1分だけでもしっかりと話を聞いてあげましょう。「子どもの気持ちを理解し、スキンシップを図るなど心理的な要求を受け入れてあげて」と話すのは、保育士として長年保育業務に携わる市川由美子先生です。たとえば、下の子が生まれてかまってもらえない寂しさから、面倒な要求をしてくるなどわがままが増えるケースもあるでしょう。そのような行為は、自分のわがままをどこまで受け入れてくれるのか、愛情を確認しているからであり、決して親を困らせようとしているのではありません。市川先生は、「子どもの気持ちを理解し、叱らずに、抱っこしたりひざの上で一緒に遊んだりして、スキンシップをとりながら子どもとの時間をつくってあげて」と述べています。また、前出の佐々木先生は、甘えさせるのが苦手な親御さんに対して、「食事で子どもの願いを叶えてあげるとよい」とアドバイスしています。たとえば、朝ごはんで食べる卵は目玉焼きがいいかゆで卵がいいか、子どもの要望を聞いてつくってあげるといいそう。佐々木先生いわく、「毎日の食事というのは、生きていくうえで欠かせない重要な要素。そういう大事な場で、自分の願いが受け入れられることが、子どもの自信につながる」のだそうです。***幼少期に親やまわりの大人に十分甘えてきた子は、思いやりのある人間に育ちます。反対に、そのような経験が乏しいと、人に要求ばかりする人間になる傾向が強くなります。甘えることによって子どもは親の愛情を実感し、周囲の人にも愛情をもって接することができるようになるのですね。(参考)HugKum|【今も心に響く佐々木正美さんの教え】子どもが自立するには「甘え子育て」が必要ですベネッセ教育情報サイト|自立する子に育てる!幼児の甘えさせ方【前編】甘えとわがままの違いとはAll About|子供を自立させる甘えと、ダメにする甘やかしの違いSTUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|子どもが甘えん坊すぎて困るなら、親はシンプルにコレをすればいい【てぃ先生インタビューpart2】幻冬舎ゴールドオンライン|子どもを「甘えさせること」と「甘やかすこと」の違いとは?ベネッセ教育情報サイト|甘えてくる子どもの心理とは?思い切り甘えさせてあげよう!
2020年09月08日新型コロナウィルスの世界的な流行を受け、世の中のしくみが一変した2020年。子どもたちにとっても、休校期間中の学習の遅れを取り戻すために夏休みが短縮されるなど、明らかに負担が増している様子が見受けられます。大人もみな不安を抱えている状況のなか、どうしても余裕を失いがちになりますが、元気に振る舞っている子どもたちもじつは大きなストレスを抱えていることを忘れないでくださいね。例年の半分にまで短縮された2020年の夏休みご存じのとおり、2020年の夏休みは全国的に短縮傾向にありました。新型コロナウィルス感染拡大を防ぐため、多くの小・中学校では3月上旬から5月末までおよそ3ヶ月にも及ぶ休校措置をとりました。その結果、学習の遅れを取り戻すため、夏休みを短縮せざるを得なかったのです。どのくらい夏休みが短くなったのかは各自治体によってさまざまですが、平均で2週間〜3週間程度に短縮されたようです。ただし、各都道府県の感染状況によって臨機応変に対応しなければならなかったため、子どもたちはもちろん、保護者も先生たちも不確定なスケジュールをもとに不安を抱えながら過ごしていたのではないでしょうか。通常であれば、7月20日頃から8月末までおよそ40日間、6週間はたっぷりとあった夏休み。おじいちゃん・おばあちゃんの家に遊びに行ったり、旅行に出かけたり、キャンプ、夏祭り、海、プール、と楽しいことが盛りだくさんだったはずなのに……。悔しくて悲しい気持ちでいるのはみんな同じだと我慢すればするほど、子どもたちは「自分だけが大変なわけじゃないんだ」「わがままを言ってお母さんやお父さんを困らせないようにしなきゃ」と自分の気持ちに蓋をして、この状況を受け入れているようでした。無事に新学期を迎えたいまも、先の見えない不安のなかで過ごさなければいけない子どもたち。もちろん大人も不安でいっぱいですが、まずは傷ついた子どもたちの心のケアを優先すべきなのではないでしょうか。子どもたちのストレスは限界に達している!?国立成育医療研究センターによるアンケート調査の結果、コロナ禍における生活のなかで、4人中3人の子どもがストレス反応を見せていることがわかったそうです。7歳〜17歳の子ども2,591人の回答結果によると、「すぐにイライラする」「コロナのことを考えると嫌な気持ちになる」などのストレス反応を示していた子が全体の75%を占め、「最近、集中できない」「寝つけなかったり、夜中に何度も目が覚めたりする」との回答も多かったそう。教育評論家の親野智可等さんは、「子どもの現状に対する大人たちの無理解」に苦言を呈しています。新型コロナウィルスの流行以降、子どもたちがどのような状況に置かれてきたか、思い出してみましょう。自粛期間中、友だちと遊ぶことはおろか外出もままならず、3月の思い出づくりや4月の新学期のわくわく感も失われ、学年によっては卒業式も入学式も中途半端なまま終わってしまったかもしれません。学習面でも、大量のプリントだけを渡された子、初めてオンライン授業に挑戦した子、なかなか自主的に取り組めなかった子など、学校の方針や家庭の事情によって大きく差が開いてしまったことも事実です。このような状況に置かれて、ストレスをまったく感じないほうが珍しいのではないでしょうか。さらには、学校が再開されても休み時間が短くなったり、土曜日に授業をする学校もあったりと、自粛中に続いて自粛が開けても子どもたちは緊張状態を強いられていました。そのうえ夏休み短縮ともなれば、ストレスが限界に達してもおかしくありません。非認知能力を伸ばすための夏休みは短縮すべきではない!みなさんは「授業時間が減って学力が落ちているぶん、授業時間を確保して学力をつけることが子どものため」と思い込んでいませんか?親野先生は、「日本の教育は、点数化できる認知能力のみを大切にする傾向が強く、狭い範囲で考えすぎている」と警鐘を鳴らしています。そのうえで、次のように考えることをすすめています。しかし、将来大きく伸びるためには狭い学力だけでなく、もっと広い意味での学力が必要です。例えば、自分がやりたいことを自分で見つけてどんどんやっていく自己実現力、「自分はやれる」という自己肯定感、他者の気持ちへの共感力など、点数化できない非認知能力が高いことが大事なのです。(引用元:オトナンサー|「授業は子どものため」は大人の思い込み夏休みを絶対短縮すべきでない理由)非認知能力を伸ばすには、自由な時間に思いきり遊んだり、やりたいことに熱中したり、ときにはぼーっとして過ごしたりすることが何よりも重要。だからこそ、自由な時間をたっぷりと確保できる夏休みは、子どもの能力を引き出すよい機会になるのです。「子どもの学習ペースが半年や1年ほど遅れても、そんなに大きな差にはならない」と話すのは、学習に困難を抱えた子をサポートしてきた公認心理師の緒方広海さんです。心に負荷がかかりすぎると、自分の意思に反して勉強が手につかなくなる子もいます。ストレスを抱えたまま無理に勉強させるよりも、本人の好きなことや得意なことを楽しみながらやらせましょう。子どもはストレスを抱えながらも “いま” を生きている大人でも適応するのが困難なこの状況において、子どもたちも変化し続ける日常に一生懸命合わせようとしています。だからこそ、無理をしていつの間にか心の不調を抱えてしまうことも少なくないのです。精神科医の井上祐紀さんは、「新学期が始まってから体調不良があれば遠慮なく休んでほしい」と強く発信しています。さらに、「周囲からの期待に100%応えることで健康を害するかもしれない」ということをもっと周知すべきとも述べています。私たち大人がまずすべきことは、子どもたちが「休みたい」という意思表示がしやすくなるような環境をつくること。「休むことは悪いことではないんだよ」と、休むことへの罪悪感を抱かないような言葉がけをしましょう。最後に、発達心理学者の浜田寿美男先生の言葉をご紹介します。「今の子育て感、教育観では『子どもは大人になるための準備の時代』であるかのように思われていますが、そもそも人生に準備の時代というものがあるでしょうか。子どもは『子どものいま』という本番を生きています」(引用元:YAHOO!ニュース|コロナ禍でいつもと違う「夏休み明け」75%の子どもにストレス反応【#コロナとどう暮らす】)私たち大人は、わが子の将来ばかりを考えてしまいがちです。しかし、“いま”を大切にしてあげないことには、未来の幸せを手に入れることは難しいでしょう。重要なのは、“いま” 子どもが幸せに過ごしているか、充実した毎日を送っているか、つらい思いをしていないか、ということ。過密スケジュールに合わせることが難しいなら、少しくらい休んでも大丈夫です。勉強の遅れを気にするよりも、子どもの心の安定を優先してあげましょう。***これまでの当たり前の日常が一変してしまったことで、子どもたちも想像以上のストレスにさらされ続けています。しかし、子どもたちは日々成長しています。大事な一瞬を見逃さないように、いままで以上に子どもの気持ちに寄り添い、親子で過ごす時間を充実させていきたいですね。(参考)コエテコ|2020年の夏休みはどうなる?お盆休みはある?小学校・中学校具体例まとめHugKum|2020年の夏休みはいつからいつまで?コロナ禍でどうなる?夏のコロナ対策、勉強のコロナ対策まとめYAHOO!ニュース|コロナ禍でいつもと違う「夏休み明け」75%の子どもにストレス反応【#コロナとどう暮らす】国立研究開発法人 国立成育医療研究センター|「コロナ×こどもアンケート」第1回調査報告書オトナンサー|「授業は子どものため」は大人の思い込み夏休みを絶対短縮すべきでない理由withnews|子どもの「有休」奪った自覚ありますか?精神科医が恐れる異常
2020年09月05日「都道府県名がなかなか覚えられない」と悩む子は少なくないはず。すぐに記憶できて忘れにくい都道府県の覚え方があったら、知りたいですよね。2020年度より実施されている新学習要領には、「第3学年及び第4学年の県の様子に関する学習において47都道府県の名称と位置を指導すること」とあります。都道府県名だけでなく、都道府県の位置まで覚えなければならないのです。小学校中学年にはなかなか根気のいる学習になるかもしれません。でも大丈夫。覚え方を工夫すれば、簡単に47都道府県を覚えられますよ。都道府県の覚え方にコツはある?都道府県の覚え方のコツは、「脳が覚えやすい方法で記憶すること」です。では、脳が覚えやすい方法とはどんな覚え方なのでしょう。日本記憶力選手権大会で6度の優勝経験がある池田義博氏は、「記憶が苦手だという人は、そう思いこんでいるだけ。脳にまかせておけば、きちんと記憶してくれる」と言っています。覚えるべき情報を、脳が理解しやすいかたちに加工することで、脳がしっかり覚えてくれるのだそう。まずは、脳が理解しやすい記憶の仕方を知ることがとても大切です。脳科学者の篠原菊紀氏は、著書『子供が勉強にハマる脳の作り方』のなかで、「脳が理解しやすい覚え方」はタイプによって異なると説明しています。【聴覚派】耳から入ってくる情報が理解しやすい→歌を聴いて覚える、語呂合わせで覚える【視覚派】目からの情報が理解しやすい→アプリで覚える、本を読んで覚える【身体感覚派】身体感覚と理解が結びつきやすい→ゲームで覚える、歌を歌って覚えるみなさんのお子さまはどのタイプでしょうか。これから紹介する都道府県の覚え方をいくつか試してみて、ぴったりの覚え方を見つけてみてくださいね。篠原氏によると、脳は「感動なしの記憶」が苦手なのだそう。だから、何かを覚えるときはワクワクするような「快」の気持ちで覚えることが重要です。「おもしろい!」など、覚えたいことに感動することで、記憶効率が高まっていきますよ。次項からは、子どもたちが「おもしろい!」「楽しい!」と思えるような、47都道府県の覚え方を紹介しましょう。都道府県 覚え方1:歌で覚える最初に紹介する覚え方は、歌を聴いたり歌ったりして都道府県を覚える方法です。名古屋大学教授の清河幸子氏らの研究発表(2014年)によると、「メロディつきの情報」は、ただ「見るだけ・読み上げただけの情報」よりも記憶しやすいのだそう。また、ウォータールー大学教授のコリン・マクラウド氏は、「覚えたい内容を声に出すことで、その内容が忘れにくくなる」と言っています。たとえば、「私はドアの鍵をかけた」と声に出すことで、戸締まりしたことを忘れにくくなるのだそうです。ということは、都道府県名が入った歌を何度も歌えば、効率よく都道府県が覚えられると言えるでしょう。都道府県が簡単に覚えられる曲を紹介しますね。◆名産品や観光名所も覚えられる曲4人組ガールズユニット・ももいろクローバーZが歌う『ももクロの令和ニッポン万歳!』は、都道府県名だけでなく、名産品や観光名所、イベントなど、その土地の特徴まで覚えられる歌です。また、「北海道地方・東北地方・関東地方・中部地方・近畿地方・中国地方・四国地方・九州地方」の地方区分も歌詞に入っています。「茶畑と両親に育てられました 静岡県」「どんどんどんどんどんうどん 香川県」「渦潮みれなかった 徳島」など、歌詞がユニークなので、つい何度も聴いてしまいそうです。◆県庁所在地も覚えられる曲シンガーソングライターとして活躍する森高千里さんが1992年にリリースした『ロックンロール県庁所在地』は、47都道府県すべての県庁所在地が歌詞に入っている曲です。県名と県庁所在地が異なる場合のみ、「福島 山形 宮城は仙台」のように「県名+県庁所在地」となっています。都道府県名も県庁所在地もどちらも覚えられるお得な曲です。ちなみに、1992年の発表当時は「浦和」だった埼玉の県庁所在地は、2001年に歌詞が「さいたま」と変更されています。◆都道府県の位置が覚えられる替え歌兵庫県川西市が運営する「川西市公式チャンネル」で公開された『小学4~6年生【社会】都道府県の歌』は、童謡『雪やこんこ』や『むすんでひらいて』などの替え歌です。都道府県を覚えるための替え歌は、数多く存在しますが、ほとんどの替え歌は短いメロディーを何度も繰り返したり、1曲のなかに47都道府県名が入っていたりするもの。もしかしたら、1番と2番の歌詞を歌い間違えてしまうかもしれません。しかし、この『小学4~6年生【社会】都道府県の歌』は、地方ごとに違うメロディーになっているので、歌詞を間違うことは少ないはずですよ。【北海道地方・東北地方】『雪やこんこ』北海道の下にあるのは東北地方でございます青森、岩手、秋田県宮城、山形、福島県【関東地方】『かたつむり』関東地方は都会だよ茨城、栃木、群馬、千葉、埼玉、東京、神奈川県【中部地方】『アルプス一万尺』中部地方は、新潟、富山、石川、福井、岐阜、山梨、静岡、愛知県【近畿地方】『ゆかいな牧場』近畿地方は2府5県滋賀県京都府兵庫県三重奈良大阪和歌山県【中国地方・四国地方】『むすんでひらいて』中国地方、鳥取、島根、岡山、広島、山口県四国地方、香川、愛媛、徳島、高知【九州地方】『春が来た』九州地方、大分、福岡、佐賀、長崎、宮崎、熊本、鹿児島県、沖縄県1都、1道、2府、43県(引用元:YouTube|小学4~6年生【社会】都道府県の歌)実際に歌ってみるとわかるのですが、この替え歌メドレーは歌いやすくて覚えやすい。それもそのはず、この曲の作成者は、子どもの頃、47都道府県を覚えるのにかなり苦労したそうなのです。だからこそ、覚えやすい替え歌ができあがったのでしょう。『小学4~6年生【社会】都道府県の歌』作成者からのメッセージをお伝えしますね。<こどもまなび☆ラボ読者のみなさまへ>私は小学生の頃、都道府県名を機械的に覚えようとしましたが、東北地方しか覚えられませんでした。子どもたちにはもっと楽しく、確実に覚えさせてあげたいなと思い、替え歌に目をつけました。都道府県の歌はいろいろ出回っていますが、同じメロディーを何度も繰り返しながら歌うものが多いです。しかし、それだと一番の歌詞と二番の歌詞を間違えて歌ってしまうことがあります。そこで、地方別に違う曲で歌っている都道府県の歌はないものかと探してみましたが、ありませんでした。ないなら自分でつくってしまおうと思い、この替え歌をつくりました。ちなみに、出てくる都道府県の順番は、東から西へ、北から南へと規則正しい順番になっています。せっかく歌を覚えても地図上の位置がわからないというのではかわいそうなので、順番にもこだわりました。この歌で都道府県を覚えた児童のなかには、都道府県のテスト中に「先生、歌ってもいい?」と鼻歌を歌いながら解く子もいました。子どもになじみのある童謡をメドレー形式にしたので、楽しく歌って覚えてくれたらいいなと思っています。地図帳とにらめっこをしていても、47つもある都道府県名を覚えるのはなかなか難しい……。でも、「歌」を取り入れた覚え方であれば、かなり効率的に都道府県を覚えられるのではないでしょうか。都道府県 覚え方2:語呂合わせで覚える次は、都道府県を語呂合わせで記憶する覚え方です。『記憶のふしぎがわかる心理学』『記憶力の正体』などの著書をもつ教育心理学者・高橋雅延氏は、「暗記のコツは『覚えるのではなく理解すること』、つまり意味のないものに意味をつける “語呂合わせ” 」だと言っています。子どもの頃、「白紙(894)に戻そう遣唐使」など、歴史年号を語呂合わせで覚えた親御さんも少なくないのではないでしょうか。語呂合わせを使うと暗記がラクになるのは、「記憶の精緻化(せいちか)リハーサル」が行なわれるからです。精緻化リハーサルとは、「覚えたい情報」と「別の情報」とを関連づけて覚えやすくすること。たとえば、「遣唐使、894年」を覚えたい情報とするならば、「白紙(894)に戻そう」という別の情報を関連づけるのです。記憶に「別の情報」という “何らかの手がかり” を残すことで、もし忘れてしまったとしても、記憶の糸をたぐり寄せて思い出すことができます。また、語呂合わせは自作がおすすめです。脳に関する著書が多い、脳研究者・池谷裕二氏によると、記憶には「知識記憶(頭で覚えた情報などの記憶)」と「経験記憶(過去の体験などに関連した記憶)」があり、「知識記憶」のほうは、きっかけがないとうまく思い出せないのだそう。しかし、「経験記憶」は自分自身が経験していることなので、記憶を簡単に引っ張り出すことができるのです。自作の語呂合わせは、「自分でつくった」という経験がそのまま「経験記憶」に結びつくので、記憶しやすく忘れにくい。たとえば、以下のようなイメージでつくってみましょう。「中国にある、取り残された島は広い。しかし山はない」(中国地方)中国→中国地方とりのこされた→鳥取県島→島根県広い→広島県山→山口県「エイ姫様は、高そうな香りがするなあ。姫様がいるなんて、四国はお得だね!」(四国地方)エイ姫様→愛媛高そう→高知香り→香川得→徳島親子で一緒に「語呂合わせ」をつくってみてはいかがでしょう。都道府県の覚え方としても、もちろん効果的ですが、親子コミュニケーション術としても効果がありそうです。都道府県 覚え方3:アプリで覚えるゲーム感覚で、楽しく都道府県を覚えたいというお子さまには、アプリを利用した覚え方もいいでしょう。レベル別に3つのアプリをご紹介します。【レベル1:初めて都道府県を学ぶ子】「はじめての地図タッチ-47都道府県を覚えよう!」(iOS)は、初めて「地図」や「都道府県」を学ぶお子さまにぴったりな知育アプリです。都道府県をタッチすると、「千葉」「大分」など、アプリの音声が読み上げてくれます。都道府県名は、すべてひらがな表示なので、漢字が読めないお子さまでも遊ぶことができますよ。【レベル2:都道府県名を完璧に覚えたい子】「すいすい都道府県クイズ – 都道府県名パズル」(iOS/Android)は、都道府県の位置をパズル形式で学ぶアプリ。地方別に出題されるので、都道府県を少しずつ覚えることができるでしょう。また、県ごとに「過去5回分」の正誤記録が表示されます。覚えにくい都道府県が把握できるので、回数を重ねるごとに正解数が増えていくはずです。【レベル3:日本の地理をとことん極めたい子】「【令和】全市区町村パズルまぷすた!」(iOS/Android)も、都道府県パズルができる教育アプリ。しかし、このアプリで学べるのは「都道府県」だけではないのです。「県庁所在地」のほかに、「山脈、山地、高地」や「河川」まで学べます。「もっと学びたい!」というお子さまは、日本全国にある1,724(2020年8月時点)の市区町村がピースになったパズルに挑戦してみてください。アプリを利用した覚え方なら、楽しく遊んでいるうちに、47都道府県を覚えてしまうかもしれませんね。都道府県 覚え方4:ボードゲームで覚える次に紹介するのは、ボードゲームを使った都道府県の覚え方です。「教育へのボードゲームの応用」を研究している、名古屋大学教授の有田隆也氏によると、ボードゲームには「考える喜びを知り、思考の基盤のトレーニングになる」という教育効果があるそうです。また、世界で活躍するポジティブ心理学エキスパートであるキャロライン・アダムス・ミラー氏も、ボードゲームの教育効果を認めているひとり。著書『実践版GRIT やり抜く力を手に入れる』では、ボードゲームで以下の力が鍛えられるとしています。高い集中力想像する力忍耐力注意力計画性都道府県名を覚えるだけでなく、集中力や忍耐力といったさまざまな力が育まれるのであれば、親として嬉しいかぎり。さっそく3つのボードゲームを紹介しますね。【『ドラえもん』のすごろくボードゲーム】日本の地名や名物が楽しく覚えられる、『ドラえもん』のすごろくボードゲームです。北海道からスタートして、ゴールの沖縄を目指しましょう。すごろくゲーム上では、飛行機や船、新幹線での移動もあるので、空港名なども頭に入ります。ひみつ道具やお金を上手にやりくりしながら日本全国を旅行しましょう。【旅行気分で日本と世界の地理を学べるボードゲーム】日本全国や世界の国々を旅行しながら、世界遺産や特産品、各地の見所など、地理の基礎知識を身につけることができるボードゲームです。付録の「日本学習地図」「世界学習地図」は、ポスターとして壁に貼って使えます。【各都道府県No.1のゆるキャラで日本を学ぶボードゲーム】「ゆるキャラグランプリ」で選ばれた各都道府県No.1のゆるキャラが勢ぞろい。47のゆるキャラを通して、愉快に日本地図を学べます。また「名産品カード」もあるので、各地の名産品にも詳しくなれますよ。「お父さんとお母さんに勝つには、どう進めればいいのか」と考えたり、「お兄ちゃんに負けた!」と悔しい気持ちになったり――紹介した3つのボードゲームには、地理の勉強以上の学びがありそうですね。「もう1回やろう!」と何度も繰り返すうちに、都道府県がすっかり頭に入ってしまいそうな覚え方です。都道府県 覚え方5:本で覚える本から学ぶ、都道府県の覚え方もおすすめです。小さなお子さまであれば、まずは読みやすい絵本から取り入れてみるのはいかがでしょう。【“にっぽんを知る” 図鑑絵本で楽しく学ぶ】3~6歳の「なぜなぜ期」に湧き出る好奇心をぐんぐん伸ばす図鑑です。地図・行事・文化など、日本に関する「なんで?」をわかりやすく解説しています。監修は、初等社会科授業研究会常任理事であり、筑波大学附属小学校教諭の由井薗健氏。【日本地図デビューに最適な絵本】子どもが大好きな「めくるしかけ」がたくさん詰まった地図絵本です。日本全国の特産品やお祭り、建物などの情報は、すべてひらがなで書かれているので、漢字を習っていないお子さまでも読みやすいでしょう。遊びながら日本の地理が学べる一冊。【1日10分!絵本で47都道府県を覚えよう】「えびのかたちは あおもりけん」「うさぎのかたちはかながわけん」など、47都道府県を “形” で楽しく覚える地図絵本です。なんと、「うちの3歳の子が本当に47都道府県を覚えました」という声も。日本地図の入り口として最適です。【情報量が多いので「調べ学習」にぴったり】魔法学校の生徒3人が、卒業レポートのために日本をリサーチ。「人口」や「農業生産量」、「1日の降水量の最多記録」など、情報量がかなり多いので、学校の調べ学習にも使えます。ご当地グルメや名産品にもページが多く割かれていて、読んでいるだけで旅行気分を味わえるでしょう。【鉄道好きの子どもにおすすめな1冊】都道府県ごとにJR線・私鉄を全線収録した、鉄道好きの子どもにはたまらない一冊。「路線から知る地域・産業・文化・歴史」がテーマなので、各路線ごとにさまざまな切り口のコラムが書かれています。漢字にはすべてフリガナがふってあり、小学生でもひとりで読むことができますよ。路線と都道府県は関連性が高いので、覚え方としてかなり効率的なはずです。都道府県 覚え方6:情報量を減らして覚える最後に、30校以上の教育現場で指導を続ける教育者・須貝誠氏がおすすめする、「あっという間に都道府県が頭に入る覚え方」を紹介します。須貝氏は、「位置」や「特産物」など、一度に多くの情報を関連づけるような都道府県の覚え方では、肝心の都道府県名を覚えるまでに時間がかかってしまうと言います。まずは、「都道府県名」を正しく覚えることが大切で、関連づけるのはそのあとでよいのだそう。それでは、須貝氏がおすすめする都道府県の覚え方を説明しましょう。【1】都道府県名を漢字で書けるようにする。【2】簡単な図に都道府県名を書き、「山口県」「広島県」……と、図に書いてある県名を声に出す。【3】「県」の文字を消す。今度は、「山口」「広島」という文字だけを見て、「山口県」「広島県」と県名を声に出す。【4】後ろの文字から一文字ずつ消していき、そのたびに「山口県」「広島県」……と声に出す。【5】何も書いていない状態の図を見ながら、「山口県」「広島県」……と声に出す。最終的には、何も書いていない図を見て「山口県」「広島県」と言えるようにする。持ち運びができる、小さいホワイトボードなどであれば、書いたり消したりが簡単にできていいですね。都道府県の覚え方をいくつか紹介しましたが、一文字ずつ消して覚える方法は、かなり効率的と言えるでしょう。***6つの都道府県の覚え方を紹介しました。脳科学者の篠原氏は、「もっと知りたい」「おもしろい」という “快” の気持ちで記憶することが大切だと言っていましたよね。お子さまが楽しいと思えるような、都道府県の覚え方が見つかりますように。(参考)篠原菊紀(2010),『子供が勉強にハマる脳の作り方』, フォレスト出版.池谷裕二(2011),『受験脳の作り方―脳科学で考える効率的学習法』, 新潮社.キャロライン・アダムス・ミラー著, 宇野カオリ監, 藤原弘美訳(2018),『実践版GRIT やり抜く力を手に入れる』, すばる舎.STUDY HACKER|“記憶が苦手” はただの思い込み。記憶力日本一の男は無理せず「脳にまかせている」CBC|Canadian researchers say you can improve memory with this one weird trickJ-STAGE|替え歌記憶法は有効か?(2)―メロディが記憶に及ぼす影響の検討―J-STAGE|メロディが記憶に及ぼす影響聖心女子大学|聖心女子大学の奥行きを知るnote|【教える技術】#06 記憶するには精緻化、体制化、二重符号化J-STAGE|ドイツボードゲームの教育利用の試み―考える喜びを知り生きる力に結びつける―
2020年09月03日新型コロナウィルス流行にともなう休校措置の影響から、2020年の夏休みは全国的に短縮傾向にありました。それにより、ほとんどの学校では夏休みの宿題も比較的少なめに設定されたため、ほっとしたご家庭も多かったのではないでしょうか。子どもたちだけでなく、私たち保護者も毎年頭を悩ませる夏休みの宿題――。今年も「大変そうなわが子のために」と手伝ってしまいませんでしたか?約6割の保護者が「子どもの夏休みの宿題を手伝う」では実際に、夏休みの宿題を手伝う親はどれくらいいるのでしょうか。グループコミュニケーション支援サービス「らくらく連絡網」を運営する(株)イオレが2018年に実施した調査によると、小学生の子どもの夏休みの宿題を手伝う親は58.4%にものぼったそう。さらに、実際には手伝わないまでも、全体の73.6%が子どもと夏休みの宿題の進め方について「相談する」と回答しています。入学したての1年生であれば、保護者のサポートが必要でしょう。しかし多くの保護者は、その次の年も、そのまた次の年も、ズルズルと一緒に夏休みの宿題に取り組んでいるようなのです。この調査では、入学から3年連続で宿題を手伝うと、4・5年生になっても引き続き手伝ってしまうケースが多いことが明らかになっています。保護者が子どもの夏休みの宿題を手伝う理由は次のようなもの。「子どもの苦手な内容があるから」34.8%「手伝わないと間に合わないかもしれないから」30.6%「難易度や危険度が高く、子どもだけでは取り組めない部分があるから」28.7%一方で、「夏休みの宿題を手伝わない」と答えた41.6%の保護者に「手伝わない理由」を尋ねたところ、次のような回答が得られました。「自分の力で乗り越えてほしいから」54.7%「子どもの宿題を手伝うと、子どものためにならないから」44.8%これらのことから、子どもの夏休みの宿題を手伝う目的は「困難の手助け」であり、手伝わない理由は「困難の克服」であることがわかります。お子さんの将来を考えると、どちらがよいかは明白ですね。宿題を手伝う親が子どもの「考える力」を奪っている本当は自分の力で最初から最後までやり遂げてほしいのに、つい口や手を出してしまう夏休みの宿題。しかし、親が子どもの宿題を手伝うことは、私たちが思っている以上に深刻な弊害をもたすようです。臨床心理士の西脇喜恵子さんは、次のように述べています。夏休みの宿題で困らないようにと、「親が先回りしてすべて手当てしてしまうこと」が、子ども自身が自分で考えたり感じたりする力を弱め、ちょっと先の将来、もっと困ったことにつながっていくかもしれない。そんな発想をちょっと頭の片隅に置いてもらえるといいなと思います。(引用元:現代ビジネス|「夏休みの宿題を全部やってあげる親」が子どもの思考を止めていた)西脇さんによると、最近「悩めない若者」が増えているそう。たとえば、「自分の頭で考えろと言われても、何を考えればいいのかわからない」「友だちにいやなことをされたら、どうしたらいいのかわからない」というように、深く考えて自らの力で答えを導き出そうと努力する若者が極端に減っているのです。「『わからない』と相談に来る学生の多くは、小さいころから親の意のままに生きている印象がある」と西脇さんは指摘します。教育熱心で積極的に情報収集する親のなかには、子どもの習い事や塾、進学先までも決めてしまうケースが少なくないそう。しかしそれでは、子どもは自分の将来について悩むことも迷うこともないまま社会に出ていかなければなりません。神戸大学と同志社大学の研究チームによる発表では、「自己決定により進路を決定した者は、自らの判断で努力することで目的を達成する可能性が高くなり、また成果に対しても責任と誇りを持ちやすくなることから、達成感や自尊心により幸福感が高まることにつながる」ことがわかっています。つまり、誰かに決められた進路ではなく、自分の進路を自分で決める『自己決定力』こそが、人生においてより大きな幸福度につながっているのです。また、「自分で決めた」という経験を重ねた結果、「自分はできる」という自信に結びつき、自己肯定感も高まります。「たかが夏休みの宿題。子どもが困らないように手伝ってあげるのは親心」だと考える親御さんも多いはず。しかし、これらの小さな手助けが積み重なった結果、自分のことを自分で決められない人間へと成長してしまうかもしれないのです。お子さんの将来のためにも、先回りして助けたい気持ちをぐっとこらえて、「自分の力でどこまでできるかな?」と信じて見守ってあげましょう。立派な作品を作る必要はないそうは言っても、急に子どもの宿題に無関心になることは難しいですよね。 “夏休みの宿題” と保護者の適切な距離感について、専門家の意見をふまえて考えていきましょう。西脇さんは、「子どもから『協力してほしい』と言われたら、アイデアを出したり少しだけ手伝ったりすると、家族のコミュニケーションにもなる」と、適度に関わっていくことをすすめています。あくまでも「親がすべて主導する」のではなく、ヒントを探しに図書館へ連れていくなど、「きっかけづくり」程度にとどめましょう。千葉大学教育学部附属小学校の松尾英明先生は、教師としての立場から、夏休みの宿題との付き合い方についてアドバイスしています。松尾先生によると、夏休みの宿題においてもっとも大切なことは、「最低限必要な課題をすべて提出すること」だそう。松尾先生は「多くの保護者は、きちんとした作品やすばらしい作品を提出しなければならない、と勘違いしている」と指摘します。しかし重要なのは、ほめられるような作品を仕上げることではありません。夏休みの宿題の狙いの中心は、「望ましい生活習慣の形成」。つまり、ダラダラせずに規則正しく過ごしてもらうために、それなりに負荷のある宿題を出しているというわけです。松尾先生によると、ズルをして一気に仕上げることができないように、「植物の観察日記」や「毎日のひとこと日記」などが用意されているそう。怠けることができないように、計画的かつ継続的にこつこつ取り組む課題こそが、学校側が生徒にやってほしい「夏休みの宿題」なのです。それにプラスして、「夏休みならではの活動」をしてほしいという学校側の狙いから、工作や自由研究などが出されます。ですから、「見栄えのするもの」「立派なもの」「高く評価されるもの」を子どもにつくらせたり調べさせたりするのは、親自身の「わが子を評価してほしい」という願望がもたらす思い込みによるものだと言えるでしょう。大事なのは、子どもが「自分の力でやりきった!」という達成感がもてるようなサポートをしてあげること。松尾先生は、「子ども自身に『ズルしちゃったなぁ』というマイナスの自覚が出る要因は、極力減らすようにして」とアドバイスしています。遠くの場所や子どもだけでは危険な場所へ連れて行ったり、注意が必要な道具を使ったりするときは、大人の助けも必要です。手を貸してあげるべきところと、子どもの自主性に任せるところをしっかりと見極めることを心がけましょう。***「今年もまた手伝っちゃった……」と後悔している親御さんも少なくないと思いますが、来年からはお子さんの力を信じて見守ってあげましょう。「お母さん・お父さんから信用されている」という自覚が芽生えた子どもは自己肯定感が高まり、ぐんぐん力を伸ばしていきますよ。(参考)リセマム|夏休みの宿題、6割の親が手伝う…その後の自主性に影響株式会社イオレ|『夏休みの宿題に関するアンケート調査』現代ビジネス|「夏休みの宿題を全部やってあげる親」が子どもの思考を止めていた国立大学法人 神戸大学|所得や学歴より「自己決定」が幸福度を上げる2万人を調査プレジデント・オンライン|夏休み宿題代行いらず!子どもが先生に褒められる「親の手伝い方」【自由研究・ドリル編】
2020年08月31日ここ数年で、世のなかが一変するような大事件や、平凡な日常生活を送ることが困難になるような出来事がいくつも起きています。いまはなんと言っても、新型コロナウィルスによる影響が大きく響いていますよね。このような時代だからこそ、未来を生きる子どもたちには強くたくましく育ってほしいと願うばかりです。今回は、「メンタルが強い子に育てるためにすべきこと」について考えていきましょう。強いメンタルは楽しい人生を送る武器になる「メンタルが弱い人」と聞いて思い浮かぶのは、次のような特徴があるのではないでしょうか。プレッシャーに弱い、傷つきやすい、すぐに落ち込む、自信がなくてまわりに流されやすい――。反対に、プレッシャーに強く、落ち込んでもすぐに立ち直ることができ、しなやかな精神力を兼ね備えている人は、「メンタルが強い人」に分類されます。“メンタルを鍛える” と聞くと、スポーツ選手のように勝負の世界に生きている人が、大事な局面で最大限に実力を発揮するためのものだと思われがちです。しかし、普段の日常生活でも、メンタルの強さが求められる場面はたくさんあります。それは小さな子どもでも同じです。たとえば、お友だちに話しかけたものの返事がなかったとします。ある子どもは、「きっと僕のことが嫌いなんだ。だから無視したんだ」と思い込んで泣いてしまうかもしれません。一方で、「声が小さかったから聞こえなかったのかな?」「ほかの子と遊ぶのに夢中になっているから聞こえなかったのかな?」と思い、“次はこうしよう” と気持ちを切り替えられる子もいます。些細なことですが、前者よりも後者のほうが「メンタルが強い」ですよね。受験や就職といった人生を決める大勝負はもちろん、社会に出てからの長い人生のなかでは、強い精神力で乗り越えなければならない場面は数えきれないほど出てくるでしょう。もし自分の子どもが、入社直後に「先輩に注意された」「営業先の人に冷たくされた」という理由だけで、会社を辞めてしまったら?落ち込んでも自分の力で立ち直ることができる強い心を育むために、私たち親がいまできることはなんなのでしょうか。メンタルが弱い子とメンタルが強い子の違いメンタルが弱い子とメンタルが強い子、具体的にはどのような特徴が見られるのでしょうか。■メンタルが弱い子・自信がなく、何かに挑戦する前から諦める・少しでも壁にぶつかったら諦める・傷つくのを恐れるあまり、交友関係が広がらない・「自分はダメな人間だ」と思うことが多く、楽しいことよりもつらいことばかりを考える■メンタルが強い子・自分に自信があるので、「まずは試してみよう」と挑戦する・多少の困難でも諦めず、最後までやり抜こうと努力する・どんな相手とでもコミュニケーションがとれるので、よい交友関係が築ける・「自分ならできる」と自信にあふれ、毎日が刺激的で楽しく過ごすことができるメンタルの弱さの根底には、低い自己肯定感があります。自己肯定感や「自分ならできる」という自己効力感は、新しいことや困難なことに挑戦する力を与え、落ち込んだ気持ちを立て直す力にもなります。メンタルを強くするためには、まずは「自己肯定感を高める」ことを心がけるべきなのかもしれません。ただし、ひとつ気をつけなければならないのは、メンタルが弱い・強いというのは、生まれつきの気質も大きく関係しているということ。特に、「HSC(Highly Sensitive Child)」=「人一倍敏感な子」と呼ばれる子は5人に1人はいると言われ、ほかの子どもたちに比べて繊細で傷つきやすい傾向が強いのです。当然、メンタルは弱いよりは強いほうがいいでしょう。しかし、引っ込み思案で繊細な子どもに対して、無理に「もっと自信をもちなさい」「どんどん新しいことにチャレンジしなさい」と無理強いするのはよくありません。大事なのは、わが子の特性を理解したうえで、「しなやかで折れない心」を育ててあげることです。メンタルが強い子の親がしないこと3つ幼児臨床心理学を専門としている臨床心理学者の深谷和子先生は、「子ども自身に困難を切り抜けてもらうためにも、困難な状態にあっても『折れない心』を持ち、しなやかに立ち直ることのできる子どもを育てることが、これからの日本の教育の大きな課題」と述べています。その「折れない心」を育てるには、どうしたらいいのでしょうか。■子どもの感情を抑えようとしない心理療法士で『メンタルが強い子どもに育てる13の習慣』(講談社+α新書)著者であるエイミー・モーリン氏は、子どものメンタルを鍛えるためには、親は次の点に注意しながら育てていくべきとアドバイスしています。まず、「子どもの感情を抑えようとしない」こと。たとえば、子どもが怖がっていたり怯えていたりすると、親は良かれと思って「おおげさね」「たいしたことじゃないから大丈夫だよ」と安心させようとしますよね。しかし、これでは子どもは「自分は怖いと感じた。その気持ちは間違っているの?」と思い、これから先も感情を抑え込むようになりかねません。この場合、まずは「怖いと感じているんだね」と子どもの素直な感情を受け止めてあげましょう。励ますのはそのあと、「でも○◯ちゃんならきっと乗り越えられるよ」「◯○くんが強いこと、お母さんはちゃんと知っているよ」といったひとことを添えて、子どもの背中を押してあげます。■過保護にならない「過保護であること」は、子どもメンタルを強くするにはマイナスでしかありません。毎日「宿題やったの?」「忘れ物ない?」としつこく聞いていませんか?「子どもが失敗しないように」と先回りして世話を焼く親心は理解できますが、メンタルが強い子の親は、ある程度は子どもの行動を放任し、自然の成り行きに任せる傾向があります。それはたとえ間違った結果になっても、子どもが自分で気づき、考え、乗り越えるために努力できると信じているからです。■親の意見を押しつけない精神科の医師である中嶋泰憲先生は、「得意分野をつくる」ことも子どものメンタルを強くする方法だと述べています。たとえば、本当はバスケットボールが好きで上手なのに、親の希望で苦手なピアノを習わせている場合、ピアノのレッスンを続ければ続けるほど劣等感を抱くようになります。この劣等感が、子どもから自信を奪うのです。得意な分野をぐんぐん伸ばしていける環境を用意してあげて、あとは見守ってあげるだけで、子どもは自分で自信を手に入れます。それはいずれ自己肯定感へとつながり、強いメンタルの素地となるのです。***レジリエンス(折れない心)という言葉が注目を集めるように、近頃では子どもの精神力を強くするために頑張っている親御さんが増えてきています。しかし本当は、親が何かを “してあげる” ことではなく、“あえてしない” ことが重要なのかもしれませんね。(参考)伸芽’S クラブ|メンタルが強い子に育てたい!子どもの精神力を鍛える方法とは?STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|5人に1人は「人一倍敏感」である。“すぐに傷つく心のメカニズム”と声かけのコツZ会さぽナビ|特集 折れない心を育てるBUSINESS INSIDER|メンタルの強い子どもに育てたいなら、今すぐ止めるべき7つの子育て習慣All About|メンタルを強くする方法精神医学から考える育て方【メンタルヘルス】
2020年08月30日疲れていたり、心が落ち着かなかったりするときに、光に照らされてキラキラ輝く木々の緑や、カラフルに咲く花々を見ると、癒やされて心が穏やかになること、ありますよね。意識していなくても、私たちは植物のいい影響をたくさん受けています。この植物の癒やし効果は、子どもたちにとっても影響が大きいのです。今回は、農林水産省が推奨する「花育」についてご紹介します。花を見るだけで「集中力」が向上する?人類は進化の過程でほぼすべての期間を自然環境のなかで過ごしてきたため、自然に順応するようにできているそうです。だから、自然のなかに身を置くとリラックスできるのですね。また、千葉大学環境健康フィールド科学センターが行なった、生花を用いた実験でも、人は生花を見るだけで副交感神経が活性化し、リラックス効果を得られることが証明されています。JFPC(財団法人日本花普及センター)の調査によると、花には以下の3つの生理・心理的効用があると認められています。色・形による効用:鎮静作用/高揚作用/心身の疲労回復/集中力向上など香りによる効用:鎮静作用/高揚作用/心身の疲労回復/集中力向上/免疫機能向上など触れ合いによる効用:精神的・身体的発達/社会的・感情的成長/創造力向上/コミュニケーション能力向上など※園芸やフラワーアレンジメントなどの共同作業を通しての効果ほかにも、環境改善効果(温度・湿度の緩和、空気清浄など)もあるそうです。これらの効果を知れば知るほど、花や緑のメリットを取り入れたくなりますね。子どもたちの “感じる心” を育む「花育」人への生理・心理的効用が大きいとされている花や緑ですが、子どもたちへの「教育」という側面で見ても、かなりの効果があります。みなさん、「花育」をご存じでしょうか。花育(はないく)とは、「花を教材に生命や個性について、子供などに考えてもらう活動」を指し、「食育(しょくいく)」「木育(もくいく)」に続く、教育的な要素を盛り込んでいる。農林水産省の定義によると「花卉(かき)の多様な機能に着目し、教育、地域活動に取り入れること」とある。(引用元:Wikipedia|花育※太字は筆者が施した)国も推奨する「花育」は、子どもたちの「感じる心」を育むものです。具体的な効果を見ていきましょう。花育効果1:感謝する心と優しい気持ちが芽生え、命の大切さを知るまず、花や緑が “モノ” ではなく “いきもの” であると気づきます。そして触れ合うことで、「愛おしい」「かわいい」、枯れてしまうと「悲しい」「でも咲いてくれてありがとう」など、さまざまな感情が生まれます。花や緑を通して、命の尊さを理解し、慈しみの気持ちが育まれるのです。花育効果2:好奇心と創造力が育まれる植物について調べたり、育てるための方法を学んだりすることで、子どもの興味や好奇心は刺激されます。摘んだ花でブーケをつくったり、好きな花から連想した物語をつくったり。花を使った「おままごと」などもいいですね。自然から得た創造力は個性を伸ばすための大切な要素となるでしょう。花育効果3:思いやりの心が育ち、コミュニケーション能力が向上する共同作業として学校や家庭で花を育てたり、大好きな人にブーケをプレゼントしたり――花や緑を交流に利用することで、子どものコミュニケーション能力が向上します。共同作業を通して、人とのつながりを広げるチャンスにもなります。また、人に優しくする気持ちや、相手を思いやる心も育まれるでしょう。花育効果4:日本の四季を感じることができる日本は四季がある国です。四季折々、きれいな花が咲き、人々はそれを愛でるために名所と呼ばれる場所に足を運びますよね。その “日本人ならではの感性” は、花で育むことが可能です。梅雨時期にはあじさい、夏にひまわりなど、季節の花々を見たり、家に飾ったりすることで、日本の自然を体感し、繊細な感性が自然と育まれていきますよ。子どもたちの「感じる心」を豊かにするために、花や緑はとても効果のある素材と言えるでしょう。家庭でできる「花育」活動大人にも子どもにも効果があるのですから、「花育」活動をしないなんてもったいないですよね。さあ、家庭で「花育」を実践してみましょう。海外のガーデニング情報と花育のパイオニアからヒントを得た、ご家庭でもできる「花育」活動をご紹介します。【おすすめ花育活動1】:子ども専用花壇をつくり、責任をもって花を育てる!世界で “ガーデン好き” と言われているのは、日本とイギリス。筆者が以前見たテレビ番組では、自宅のガーデン内に「子ども専用花壇」をつくって、管理をすべて子どもに任せているイギリス人家庭が紹介されていました。大人はいっさい手を出しません。レンガなどを使って花壇をつくり、好きな植物を好きなレイアウトで植え、世話をし、枯れてしまっても処理をするのは子ども自身。 “命のサイクル” を学べるとして、イギリスでは子どものガーデニングが人気なのだそうです。扱いやすいプランターなら、日本でも気軽に始められそうですね。もちろん、花材も子どもに選んでもらいましょう。収穫して食べられるプチトマトやハーブ、目に楽しいカラフルなお花がおすすめですよ。【おすすめ花育活動2】:とにかく自由に!花育フラワーアレンジメント「花育」のパイオニアである高杉揚子さん(Flower HyggE代表)が行なっていた子ども向けワークショップを参考に、家庭で「花育フラワーアレンジメント」にトライしてみてはいかがでしょうか。(1)花材を用意する使う花は、お店で子どもと一緒に、または、親が選んだ何種類かのなかから、子ども自身に選んでもらいましょう。自然な姿を知るために、とげ抜きなどの下処理はしないでおきます。(2)花材について学ぶどんな花なのか、産地や扱い方などを調べましょう。「花ノート」をつくってもいいですね。(3)花器に活ける花瓶でなく、アレンジした卵パックやペットボトルなどを使っても◎。個性が出て、アート作品のようになりますよ。吸水スポンジに花を挿すアレンジもおすすめです。あとは自由に、選んで、切ったり挿したりと、アレンジメントを楽しむだけ。親はいっさい手出し口出しをしないようにしましょう。それが一番のポイントかもしれません。このフラワーアレンジメントの最終的な目的は、「生命の大切さを学ぶこと」。品川区の取り組みである環境学習講座「花育!自然に親しむ心と感性を育てよう」のなかで、高杉さんは「花育はただのフラワーアレンジメントではない」とし、以下のように語っています。花は、五感でいう、視覚・嗅覚・触覚を使うことができます。花に触れる・体験することで、子ども達は大自然や芸術からの感動・感激を満たすことができるのではないでしょうか。「花育」を通して、子ども達に命の大切さ・喜びなど、豊かな心を育てることが大切だと私たちは考えます。(引用元:品川区環境情報活動センター|花育!)また、ルールを設けず、自由に活けることで個性を養うという効果も期待できますよ。遊び感覚で気楽に楽しめ、花を飾ればお部屋が華やかになり、子どもも大人も家族みんながハッピーになる「花育」。すばらしい情操教育ですね。***日本では、お誕生日などのお祝いごとなど、特別なシチュエーションで花を贈る習慣は根づいていますが、いつもの生活で部屋にお花を飾る人はまだまだ少ないようです。ぜひ「子どもと一緒に学び、楽しむため」という新しい視点で、「花育」を実践してみてくださいね。(参考)みずほ銀行|花きの視覚刺激がもたらす生理的リラックス効果一般財団法人日本花普及センター|「花と緑の効用ミニブック」と「花と緑の効用・機能のデータ集」との関連Wikipedia|花育全国花育活動推進協議会|花育の効果お茶の水女子大学|お茶の水女子大学子ども発達教育研究センター『幼児教育ハンドブック』5-7 環境教育の指導:自然との共生を学ぶための活動農林水産省|特集1 花のある暮らし(7)東洋経済オンライン|“花育”が人気、子どもの個性がスクスク育つ?Flower HyggE品川区環境情報活動センター|花育!
2020年08月24日親子関係が子どもの学力に及ぼす影響は、私たちが想像しているよりもはるかに大きいらしい――。なんとなくそう感じている保護者の方も多いのではないでしょうか。家庭内の雰囲気や親子の関係性は、子どもの人格形成だけではなく、学力への影響も少なくないのです。今回は、「親子の絆と学力の関係性」について考えていきます。親子のコミュニケーションと学力の深い関係最近は、親も子どもも仕事や家事、学校や習い事などで忙しく過ごし、また専用のスマートフォンやタブレットを持つようになったことからも、家族間のコミュニケーション不足が問題となっています。たとえば夫婦のやりとりも、LINEで「いまから帰る」「了解」のみ、またはスタンプひとつで完了、ということも少なくないのではないでしょうか。教育社会学者の舞田敏彦氏は、家族における「関係の貧困」こそが、子どもの学力低下につながっていると指摘します。たとえば、「算数の計算問題はできるのに文章題はできない」「(LINEでの細切れの単語の会話に慣れてしまって)長い文章の構築ができない」など、読解力の乏しさや文章力の未熟さが見られるなら、親子のコミュニケーションについて考え直す必要があるようです。国立青少年教育振興機構の調査結果をもとに、舞田氏が独自で割り出したデータによると、「家族とよく話をするグループほど、勉強が得意という子が多い」という結果に。家族と話をする頻度が最も高い群では、52.3%が「勉強が得意」と答えた一方で、会話頻度が最低の群では28.4%と約半数でした。特にほかの教科に比べて、「国語が得意」と答えた比率は、家族関係が良好なほど明らかに高くなったそうです。同様の結果が導き出された調査はほかにも。ベネッセ教育総合研究所のアンケート調査によると、学力の上位層ほど保護者との会話が多く、「1日の出来事を話す」「学校での勉強について話をする」ことがわかりました。逆に、学力の下位層ほど「宿題をやるように(親から)注意される」と答える比率が高くなり、親子の会話というよりも、親から一方的に注意されたり叱られたりする傾向が強まるようです。これらの結果からも、子どもが落ち着いて勉強に取り組める環境は、良好な親子関係のもとでつくられるということがわかるでしょう。家族関係の問題が子どもに及ぼす影響家族といえどもそれぞれ別の人間なので、当然ぶつかり合うことやわかり合えないこともあります。すぐに関係を修復できずに殺伐とした雰囲気が続き、家庭内が不穏な空気に包まれてしまうことで、子どもにはどのような影響を与えてしまうのでしょうか。国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所で知的・発達障害研究部部長を務める岡田俊氏は、「普段から夫婦間で本音を出していないと、(子どもの進学など)大事な局面になるとお互いが譲れなくなり、対立してしまうことも。子どもの目の前で夫婦がぶつかり合うと、子どもにストレスを与えてしまう」と指摘します。日頃から夫婦間の意思疎通が不十分であることから、「ちょっとした夫婦げんかでも壊滅的な結果をもたらすかもしれない……」とお互いに思い込み、衝突を避けてやり過ごす夫婦は意外と多いものです。しかし、普段から本音を隠していることでお互いの気持ちがわからなくなり、きちんと向き合わなければならなくなった段階で夫婦のスタンスの相違が露呈してしまい、本当に取り返しのつかないことになるケースも。このような夫婦のほころびを目の当たりにすると、子どもは「自分のせいでお母さんとお父さんの仲が悪くなったのかも」と不安になり、当然勉強も手につかなくなるでしょう。ただし、共働きゆえに家族が一緒に過ごす時間が少ないのは、子どもの学力が低下する直接的な原因にはなりません。ペンシルバニア大学ウォートン・スクールの組織心理学者であるスチュワート D.フリードマン氏の研究では、「親が仕事や子育てに費やす時間の長さは、子どものメンタルヘルスに影響していない」ことや、「必ずしも長い時間を一緒に過ごす必要はなく、本当に大切なのは質の高い時間」であることがわかりました。具体的には、親が仕事に費やす時間が長くても短くても、何よりも家庭を第一に優先すべきだと考えている場合、子どもの感情面の健康状態はより良好であると判明し、また親が仕事に対してポジティブな気持ちで取り組んでいることも、子どもの心の成長にプラスにはたらくことがわかったのです。問題は、一緒に過ごす時間の長さではありません。イライラして感情的になって子どもに八つ当たりをしたり、子どもに過剰な期待をして無理難題を押しつけたりなどのマルトリートメント(不適切な養育)が問題なのです。子どもを対等な存在として尊重できているか、と改めて考えてみましょう。東北大学加齢医学研究所教授の瀧靖之氏は、「あまりにも強く叱りすぎるなど、不適切な言葉がけを繰り返すことは、子どもの脳に悪影響を与える」と述べています。さらに、小児神経科医の友田明美氏によると、「日常的に “不適切な養育” を受けてきた人の脳を調べると、傷がついて変形していることがわかった」そうです。夫婦のやりとりや子どもへの接し方は、家庭内の問題のためあまり表面化されません。しかし、確実に子どもの心や脳に影響を及ぼしているのです。親自身がストレスをためないことが第一家族間でのいざこざが子どものストレスにならないように、親はどのようなことに注意するべきなのでしょうか。前出の岡田氏は、「親自身がストレスをためないことが大事」だと言います。日々の生活に追われて自分を後回しにしたり、子どものことばかり考えてひとりで悩みを抱えたりすることで、いつの間にか精神的に不安定になっていませんか?「自分のため」に楽しんだり休んだりすることも、家庭内の安定のためには必要です。また、日頃から夫婦間で本音を出し合うように心がけましょう。正直な気持ちを伝えることに慣れてしまえば、何か問題が起こったときにも関係がこじれることなく改善に向かうはずです。家族のコミュニケーションがしっかりとれていて、家庭が安心できる場所だと感じている子どもは、落ち着いて勉強に取り組むことができます。教育ジャーナリストの中曽根陽子さんによると、「親のほうから一方的に勉強や成績、進路などの話をするのではなく、子どもからも働きかけができる親子関係であることが、子どもの学力向上に有利に働く」のだそう。前出の舞田氏も、「親子のコミュニケーションが少ないと、子どもは自分の世界にこもってしまい、未知のものに触れて何かを読み解くことも減ってしまう」と指摘しています。読解力も文章力も、そして想像力も対人コミュニケーションから得られることが多いので、ぜひ家庭での会話量を増やしていきましょう。***日々のなにげない会話は、家庭の風通しをよくし、親子の絆を深めます。さらには、子どもの学習への意欲にもつながることがわかれば、親子のコミュニケーションがいかに大事なのか理解できるのではないでしょうか。(参考)日経DUAL|親子関係の貧困化は学力に関わる 朝食は簡素でOKベネッセ教育総合研究所|学力が高い子どもは、保護者との会話が多い傾向がある。日経DUAL|夫婦関係や親のメンタル不調が子どものストレス源にDIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|親のキャリアは子どもの成長にどんな影響を与えるかSTUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|脳が変形するって本当!?子どもの脳を傷つける“親のNG行為”PHPのびのび子育て 2019年10月号,PHP研究所.プレジデントオンライン|5歳児の脳を損傷させた「DV夫婦」ビジネスジャーナル|「子どもの学力は親の学歴&年収で決まる」の“まやかし”…非認知能力と学力に相関関係
2020年08月22日はじめまして。RISU Japanの今木智隆です。このたび、STUDY HACKERこどもまなび☆ラボにて、連載『学びノべーション』を始めることになりました。この連載を通して、「いま本当に必要な教育」をお伝えしていきます。成績を超えた人材育成へ――エリートコースはもう古いまずは自己紹介をさせてください。私は、タブレット型学習サービスを提供するRISU Japan株式会社(以下、RISU)を運営しています。タブレット型学習サービス以外にも対面塾であるRISU塾を運営しており、対面・オンラインの枠にとらわれない、広い意味での「理数系教育」を扱っています。このように書くと、「算数や数学の成績が優秀な子どもを育てること」が目的の会社だと思われがちです。もちろん、学校の成績がよいことは算数の理解が深まっている証ではありますが、私の理念は少し違います。私が目指すのは、「成績より先の人材育成」です。現代では、勉強していい学校に入り、いい会社に入り、いい年収を稼ぐことがかつてほど魅力ではなくなっています。生活必需品の値段が劇的に下がり、欲しいものがそれほど苦労せずに手に入るようになったからです。また、人生における選択肢の幅も広がったため、かつてはたくさんの人が憧れていた「エリートコース」の魅力が相対的に低下してしまったのでしょう。「ただ試験のためだけに算数を勉強する」ということは、もはや現代社会においてあまり意味がなくなっているのです。だからこそ、子どもたちには、目先の問題が解けるだけでなく、問題を解くことを通して、「学ぶことそのものの楽しさ」を知ってほしい。私はそう願っています。「才能あふれる社会」を創り出す教育RISUのスローガンは「才能あふれる社会を創り出す」ですが、このスローガンには私の願いが込められています。それぞれの子どもが学ぶ楽しさを知り、自分を高めていくことで、その子にしかない才能が開花するのです。「才能あふれる社会」についてもう少しだけお話しさせてください。そのビジョンが、この連載ではとても重要になるからです。ここで、少し視野を広げて、「教育」の歴史を考えてみましょう。近代教育が誕生したのは200年前、産業革命と同じ時期です。そこで目指された教育は、工場で大量に均質な商品がつくられるように、学校という工場で大量の生徒をつくり続けるものでした。それは、現在も続く「教室での集団授業」という学びの形に強く現れていますよね。恐ろしいのは、この200年前のモデルがいまもって教育のスタンダードであり続けているということ。これは昨今、教育界を騒がせている新型コロナウイルスによる感染拡大に対する学校の対応からもおわかりいただけるでしょう。今回、日本で初めてオンライン教育の本格的な導入が模索されましたが、その議論がなかなか進まないのは、この集団授業のモデルが現場に強く作用しているからです。考えてみてください。集団授業のモデルは現代において、いまなお有効な方法でしょうか?言うまでもなく、産業革命の時代と現代では、社会の構造も、それを支える産業の構造も大きく変化しました。それにともなって、大人のライフスタイルも、子どものライフスタイルも大きな変化を遂げています。なかでもインターネットの普及による情報化社会の進展は、教育を考えるうえで外せないテーマです。そもそも、オンライン教育の議論も情報社会でなければできないわけですから――。このように変化している現代社会において、200年前の教育を子どもたちに提供し続けることは、正しいとは言えないはずです。多様化した社会に必要なのは、「その子だけの才能」なのだから。子どもひとりひとりの才能をもっと伸ばしてあげられるような教育が必要になってきているのです。「無学年制」という新しい学習のカタチそんな現代社会を生きる子どもたちにマッチした教育法・教材はないものか。そのようにしてつくったのが、RISUタブレットです。2015年にスタートした「RISU算数」は、個別フォロー・無学年制によるタブレット学習サービスです。生徒の学習状況が逐一記録され、それに基づいて子どもへの学習アドバイスがメールで送られます。タブレット学習の利点を活かし、集団学習では不十分な生徒への個別フォローを行なっているわけですね。また、学年の枠を飛び越えてどんどん進む子もいますから、無学年制を採用しました。これによって、意欲ある子どもの先取り学習が可能になっているわけです。子どもひとりひとりに合った学びをそれぞれのペースに合わせて提供しているため、効率的な成績アップだけでなく、学ぶ楽しさまで感じられるのです。つまりRISUの教材は、集団授業を軸とした近代教育に対するアンチテーゼなのです。集団で画一的な教育を行なうのではなく、それぞれの子どもがそれぞれのペースで、それぞれに必要な学力を身につけ、よりよい未来をつかむ。それこそが、RISU Japanが描く「才能あふれる社会」です。私は、子どもたちが自分自身の本来の才能に気づき、それを伸ばしていける教育についてずっと模索してきました。逆に言えば、私の目からは、いまの教育はそうした、子どもの未来にとって重要なことが置き去りになっているように見えるのです。学ぶことの楽しさに気づき、自分自身の才能を伸ばしていける子どもを育てる教育はいま、どこにあるのか。この連載では、そうした問題意識をみなさんと共有していければいいと思っています。「子どもの才能を伸ばす教育」を探しに行こう「算数に特化した無学年制のタブレット教材」という、これまでになかったサービスを提供するなかで、蓄積したデータから、これからの「学び」にイノベーションを起こせるような学習法や教育法にあらためて気がつきました。そして去年、それらのデータや学習法についてをまとめた書籍『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方(文響社)』を出版しました。人生で初めて執筆した本で、構想から出版に至るまで約2年……。執筆が終わったときには「もう本は書かないぞ!」と強く思いました(笑)。書籍では、RISUタブレットから得られた10億件を超えるデータや、海外の研究機関や文部科学省が出している統計をもとに、「算数や勉強について私たちが知らない残念な真実」などについて詳細に説明しています。たとえば、以下のような残念な真実です。9割の子どもが間違える問題はたった「3つ」に分類できる算数でつまずく子どもが、必ずといっていいほど間違えてしまう問題があります。「位」「単位」「図形」です。これらの問題は、恐ろしいことに、ただ「この問題ができない」だけでなく、「その単元そのものを理解できない」につながってしまいます。今後の算数の理解度や成績をも左右する間違いは、早めにクリアしておきたいものです。 宿題をさせると、子どもの学力は下がる!?じつは、いくつかの統計によって「宿題をしても学力は上がらない」という結果が出ています。それどころか、「宿題は学力にマイナスの影響を及ぼす」という衝撃のデータもあるのです。だから、「宿題やりなさーい!」と親が叫ぶ必要はありません。(※子どもが勉強嫌いにならない「宿題のやらせ方」も紹介していますのでご安心を) 本連載では、上記のような「RISU算数」から得られた知見はもちろんのこと、私が世界から集めた多くの事例をできるだけわかりやすく、かつ実用的にお伝えできればと思っています。さあ、真に子どもたちの豊かな才能を伸ばす教育を探す旅に出かけましょう。『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』今木智隆 著/文響社(2019)■ 算数塾「RISU」代表・今木智隆先生 インタビュー記事一覧第1回:子どもを「算数嫌い」にしない大原則。幼児期からできる“算数好きの基礎”の築き方第2回:子どもが勉強で成果を出せないのは、親の「勘違い」が原因かもしれない第3回:10億件のデータを調べてわかった、小学生が「ずば抜けて苦手」な算数の単元と例題第4回:「算数の文章題が苦手」な子どもが、ひねった応用問題でも解けるようになる教育法
2020年08月20日