チケットぴあがお届けする新着記事一覧 (16/342)
4月8日(土)に初日を迎える、明治座創業百五十周年記念『壽祝桜四月大歌舞伎』。昼の部(11:00開演)は、『義経千本桜 鳥居前』と『大杯觴酒戦強者(おおさかづきしゅせんのつわもの)』、『お祭り』で、華やかな春のにぎわいにピッタリのラインナップ。一方の夜の部(16:00開演)は、『絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ)』を通し狂言で上演する豪華版だ。今回、昼の『大杯』で内藤紀伊守を、夜の『合法衢』では左枝大学之助と太平次(2役)を、どちらも初役で勤める松本幸四郎に話を聞いた。昼の部『大杯觴酒戦強者』(河竹黙阿弥作)では、幸四郎演じる内藤紀伊守が、花見の席で酒好きの足軽・原才助(中村芝翫)に、酒豪の井伊掃部頭直孝(中村梅玉)との飲み比べを命じる。酔った才助の話から、その正体は武田の旧臣・馬場三郎兵衛と知れるが、そのとき紀伊守は……。先に行われた制作発表会で、「いつもの“黙阿弥の世話物”とはまた違い、役者のニンで見せるところが面白い」(梅玉)と語られていた本作。幸四郎も、「おおらかなお芝居で、物語とは別に、(役者の)芸の見せ合いで展開するところがあります。紀伊守として、いかに凛として存在できるかを大切にしたいですね」と話す。また夜の部『絵本合法衢』は、四世・鶴屋南北による仇討狂言の傑作。五代目松本幸四郎での初演で、八代目と九代目も演じており、当代(十代目)の幸四郎にとっては縁の深い演目だ。演じる左枝大学之助は、大名多賀家の一門だが本家乗っ取りをたくらみ、重宝・霊亀の香炉を盗む悪人。諫める重臣・高橋瀬左衛門をもだまし討ちにし、配下の太平次と共に次々と人を殺め、冷酷無比に悪事を重ねてゆく。「こんなに大きな作品の初役ということで、また新たな挑戦。緊張する気持ちはありますが、それをエネルギーに変えて取り組んでいければ」と幸四郎。続けて、「父と祖父が演じた際の台本に書き込みが残っているので、それを参考にしつつ、別の演出も考え中です。たとえば、太平次が殺される場面。これは入れようと思っていて、祖父もやっているのですが、見せ方が自分とは少し違うかなと思うので、どんな演出にするか練っているところです」と語る。本作の魅力を、「左枝大学之助と太平次は徹底的に悪人なのですが、そんな彼らを中心に展開する、いわば南北の得意技を使ったお芝居だということ」と幸四郎は言う。「南北の描く“悪”、その魅力をとことん味わうのも歌舞伎の面白さだと思うので、お客様にはぜひ楽しんでいただければ」と意気込んだ。さて、このところ殺人者・悪人役が続く幸四郎。あえての選択かと問うと、「今年はこの後、『鬼平犯科帳』の撮影に入って(2024年に劇場公開とドラマ配信予定)、火付盗賊改方長官になりますからね」とニヤリ。「今はこの人間くさくて泥くさい、生活感がにじむ悪人たちの世界にどっぷり浸って、役の振り幅を楽しみたいと思っています」と笑顔を見せた。取材・文/藤野さくら
2023年03月24日梅田スカイビルタワーウエスト27階にある「絹谷幸二 天空美術館」が小中学生を対象に募集した「第2回 絹谷幸二 天空美術館 キッズ絵画コンクール」の受賞作品が決定し、『優秀作品展』として3月18日(土)より同美術館にて一般公開されている。「絹谷幸二 天空美術館」チケット情報「私の夢、大好きな時」というテーマで募集された今回のコンクールには、全国から1796点の応募があり、その中から厳正な審査を経て、絹谷幸二キッズ賞 グランプリ1点、部門(小学校低学年・小学校高学年・中学校)優秀賞3点、館長賞1点、佳作賞43点、入選67点、団体賞11団体が選ばれた。3月19日(日)に行われた表彰式には受賞者の中から28人が出席。関係者や家族が見守る中、グランプリ作品に選ばれた浅井 峻世さん(小学校6年生)をはじめ、部門優秀賞、佳作賞受賞の一人ひとりが壇上で審査委員長 絹谷幸二氏より各賞の表彰状と賞品が、また館長賞に選ばれた多田 紫都歌さん(中学校2年生)には「絹谷幸二 天空美術館」館長 兼 積水ハウス代表取締役副会長執行役員の堀内容介氏より表彰状と賞品が授与された。審査委員長 兼 「絹谷幸二 天空美術館」名誉館長の絹谷幸二氏は受賞者へ向けて「外で暮らす動物は、身を守るために動いているものに反応します。ところが人間は動いているものでも絵に描いて止めることができる。その止まっているものをじっと見ることができる。単に目で見ているのではなく、実は目のうしろ側にあるやわらかい脳みそがそれを見ているのです。だから脳が発達する。絵画というのは科学の始まりなのです。物をじっと見るということは、ものごとに対する知的好奇心を育むことにもなります。みなさん、これからも楽しみながら絵をいっぱい描いてください」とメッセージ、表彰式を締めくくった。「絹谷幸二 天空美術館」内の特別会場では『優秀作品展』として今回受賞の115点が展示されている(入選作品は天空カフェ内ワークショップスペースにて)。子どもたちの無限の想像力と発想の柔軟さを、原画ならではの迫力で間近に感じることができ、そのレベルの高さに圧倒されるはず。次世代を担う子どもたちの新しい感性や世界にふれてみては。5月31日(水)まで開催。また『優秀作品展』開催中には、世界を舞台に活躍する文化勲章受章画家で同館名誉会長・絹谷幸二氏のメッセージを発信する特別展『不ニ法門』も同時開催中。時代やものごとを双眼的にとらえた新作をはじめ、今回のテーマに沿ったエネルギッシュな絵画や立体作品などを通して、不二法門のメッセージを感じることができる。この機会に絹谷ワールドを心ゆくまで堪能してみてはいかが。特別展『不二法門』は7月2日(日)まで開催。取材・文:滝野利喜雄
2023年03月24日2023年の春も、鶴瓶噺の季節がやってくる。「日常で起こる本当の出来事が一番おもしろい」と語る男が、日々残しているメモからチョイスしていたのは285個の鶴瓶噺の素。2022年のエピソードからの厳選した数である。あらゆる出来事があっという間に過去になるスピード狂の時代に、笑福亭鶴瓶は焦らずゆったりと今日も自然体だ。2022年を振り返って、真っ先に思い浮かんだというキーワードも“らしい”ものだった。「2022年は……友達が増えました。『A-Studio+』とか『鶴瓶の家族に乾杯』といったテレビの仕事は、たくさんの人と出会うでしょ。すると、友達が増えていく。2022年はドラマや映画もあったから、そっちでもそうなんです。『しずかちゃんとパパ』というドラマでは、耳が聞こえない父親役で全編手話だったんですね。その現場では手話を教えてくれた人たちと仲よくなれてうれしかったんですけど、とにかく厳しかったんです、うちのマネージャーが。同時進行で映画の現場も入っていてヘトヘトなのに『手話、練習しましょう!』と。『いいけど、俺、死ぬよ』と小声で言いましたからね(笑)。じゃあ、映画の現場はどうだったかといえば、マイナス14℃で。極寒のなか、コートもなんもなしにタキシード1枚で逃げ惑うという役でした。自分でもよう生きてるなぁと思います(笑)」2022年を振り返って「友達が増えた」と真っ先に口にできる人生。そもそも、70歳をすぎて友達が増える人がいったいどれほどいるのか。漢字なら唯一無二、英語ではワン&オンリー。そんな芸人の冠番組ならぬ冠芸である鶴瓶噺に、弱点などあるのだろうか。「昔、落語のことを聞かれて『笑福亭鶴瓶<落語』と答えたことがあるんです。やっぱり、長い歴史と深い伝統がある落語という存在はとてつもなく大きい。でも、こっちは『笑福亭鶴瓶=鶴瓶噺』で完全にいっしょ。鶴瓶噺と僕はイコールなんです。だからこその強みもあるとは思うんですけど、落語と違って型がないでしょ?型のない芸って、続けないとダメなんです。仮に、型のない芸を無手勝流と呼ぶのならずっとやり続けているからこそ無手勝流であって、やめた途端に無手勝流とすら呼ばれなくなると思うんです。鶴瓶噺だって、今年が最後となったらその瞬間は笑ってもらえるかもですけど、すぐに色褪せてしまうはずですから」鶴瓶噺は、点ではなく線でこそ楽しみが増すのか。30年後の100歳での鶴瓶噺を想像しながらの2023年版は、必見にして必聴の予感がする。取材・文:唐澤和也
2023年03月24日韓国で大人気を博したオリジナルミュージカルで、孤独な老女と彼女の元に突然やってきた人間そっくりのケアロボットの交流を描く「サンキュー・ベリー・ストロベリー」が4月5日に開幕する。老女・エンマをWキャストで演じるのは土居裕子と高橋由美子。歌あり、ハートフルなドラマありの本作の魅力について語ってもらった。「孤独な老女とロボットの青年の話と聞いて『やります!』と言いました」と明かすのは土居。「人間はやっぱり最後はみんな一人。私自身、そろそろ“終活ノート”を書き始めようかな? と考えたり、引っ越しのタイミングでアルバムを処分してすっきりシンプルに…という時期だったので、すごくタイムリーなテーマだなと思いました。(ケアロボットが)ぜひほしいなって(笑)」。高橋は“老女”役のオファーに当初「私でいいんですか?」と驚いたというが「オリジナル版の映像を見て、そこまで“おばあさん”に寄せたつくりにしなくてもいい作品なんだなと。とはいえ、私にとっては新しい扉、予想もしていなかった扉を叩くことになるなと思いました」と明かす。青年ロボットとの交流の中で、少しずつ変わっていくエンマという女性について、土居は「心の中に哀しみが渦巻いて、澱(おり)のようになっている女性。心の中の負の要素ってこれだけ人間性を変えてしまうものなんだなと思いつつ、私は人の根幹にあるものは“善”であると信じているので、見ている人に光を届けることができたら。子どもって『しばらく見ないうちにこんなに大きく』って思うけど、老人って逆にあっという間に年老いていくんです。でも、心の成長度は衰えないと思うので、エンマも心が成長していくおばあちゃんでありたいですね」と語る。一方、高橋は「序盤から『これは誰?』とか、いろんな伏線が散りばめられていて、それが時間を追うごとにつながっていくんです。エンマが抱えていた孤独がほぐれて、少しずつ温かくなっていくのと同時に、いろんな謎も解けていき、倍の感動が流れてきます。すごく気持ちよいですよ」と物語の魅力についても強調する。真弓孟之(AmBitious/関西ジャニーズJr.)が演じるロボットについて、2人とも「絶対にかわいいと思う(笑)!」と断言!「お客さんに『あのロボットほしい!』って思ってもらえる作品にしたいと思います!」(高橋)、「4人しか出演しないので濃厚なドラマを楽しんでいただきたいと思います」と意気込みを語ってくれた。取材・文:黒豆直樹
2023年03月24日キューブの若手俳優のサポーターズクラブ「C.I.A.(Cube Infinity Artists)」によるファンイベント『春のI(ラブ)争奪最終決戦』が2023年4月9日(日)、品川インターシティホール(東京都港区)で開催される。「メンバーの何人かが今年いっぱいでC.I.A.を卒業するので、特にこの1年は今いるメンバーと、そしてファンの皆さまと一緒に、とにかく楽しんでいきたいですね」と話すのは、自身もC.I.A.を卒業する川原一馬。「卒業をしても個人個人の活動は続いていくわけですが、グループという大人数でしかできないことに挑戦したいと思っています」とも話す。同じく卒業を予定している永田崇人は「あんまりしんみりしてないです」と笑う。「C.I.A.を卒業しても僕は仕事はするし、仲間たちともこれからも仲良くするだろうから」と言いつつも、「今までC.I.A.でいろいろ勉強させてもらったので、何か恩返しができたらいいなと思いますし、応援してくれたファンに楽しんでもらえるようにしたい」と語った。卒業するメンバーに対して、阿久津仁愛は「卒業を発表された方々は、C.I.A.のイベントを作って、盛り上げてくれた方々。僕らはこれからやっていけるのかなという不安もあるんですけど、最後の最後まで背中を追って、頼るというよりも学んでいきたいです」と話し、林勇輝は「僕は事務所に入って、初めて人前に出たのがC.I.A.のイベントでした。先輩方からはここでは語り尽くせないぐらいのことを学んだし、お世話になりました。正直、卒業は寂しいんですけど......だからこそ今年はC.I.A.の活動をもっと大事にしたいです」。今回の春イベントでは、ステージ上でのフォトタイムや出演者による「お見送り会」のほか、新曲が披露される予定だ。新曲の印象について阿久津は「1人1人の歌声の個性が出るし、元気がもらえる曲になりそうだなと感じました。振付も入って、格好いい曲になりそうです」と話し、林は「バンドの曲のようで個人的にも好きな曲調です。ファンの皆さんの前で披露するのが楽しみですね」という。改めてファンはどんな存在か尋ねると、川原は「本当にいてくれないと、僕たちは何もできない。これからも末長く応援していただけるために 頑張っていきたいなと思ってます」と答え、永田は「本当に感謝しかないです。ファンに支えられて、お芝居などいろいろなことをやらせてもらっているんだなと改めて思います」。1部は13時15分開場、14時開演で、2部は16時45分開場、17時30分開演。チケットは全席指定5,000円(税込)。取材・文:五月女菜穂
2023年03月24日シャンソン歌手の佐々木秀実による『佐々木秀実 デビュー20周年コンサート2023~歌は我が命~』が2023年4月15日(土)に東京・I’M A SHOW(アイマショウ)で、22日(土)に大阪・心斎橋PARCO14F SPACE14で開催される。阿久悠氏に見出され、2002年にオリジナル楽曲「懺悔」でCDデビューした佐々木秀実。本来ならば昨年2022年が20周年だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響があり、今年に記念コンサートを開催することに。佐々木は「東京オリンピック・パラリンピックも1年延期したからと思ってね。本当の20周年にできなかったから寂しい気持ちもなくはないけれど、こうしてコンサートを開催することができて本当に嬉しい」と思いを語る。予定曲目は「聞かせてよ愛の言葉を」「ヨイトマケの唄」「愛の讃歌」、そして2017年以来の新曲「愛の詩/カフェオーレ」など。今回のコンサートについて、佐々木は「自分が歌ってきた中で出会った方々、佐々木秀実をずっと近くで見てくださった方々がたくさんいます。その方々からいただいたメッセージとともに、20年を振り返る内容にしたい」と構想を話す。佐々木は急性咽頭腫瘍のため入院していた13歳のときに、母親からエディット・ピアフの自叙伝とベスト盤をプレゼントされ、シャンソンと出会ったという。「(ピアフの歌は)魂が叫ぶような、命丸ごと歌い上げるような歌声だった。(手術の影響で)もし声がなくなって歌えなくなったとしても、こういう歌に出会えたことが嬉しかったし、もし喉が治ったら、私はこういう歌を歌いたいと思った。あの出来事は一生忘れません」と語る。佐々木はシャンソンに出会うまでを「第1章」、そして出会ってから今までを「第2章」と位置付ける。「私はプラス思考なんでしょうね。過去を振り返ることをあまりしてこなかったんですが......もしかしたらこのコロナ禍の3年間が一番つらかったし、切なかったかもしれないと思うんです」。生で歌声を観客に届けたり、同じ空間を共有したりする場が制限された日々もまもなく終わろうとしている今、「ここから第3章が始まる気がして。ワクワクしていますし、頑張らないといけないなと思っています」。取材・文:五月女菜穂
2023年03月23日〈ありがとう〉と〈ようこそ〉を、心から!―首都圏で活躍する13のプロ・オーケストラから、この日のためにメンバーが集まって開かれる、幸せな音いっぱいの祝祭イベント《オーケストラの日》が帰ってきます。コロナ禍でやむなく中止が続いていたこの《オーケストラの日》、毎年3月31日(「ミミにいちばん」という語呂合わせでこの日になりました)を中心に開催される人気イベントです。日本オーケストラ連盟に加盟する全国のプロ・オーケストラが、初めてのかたにも親しみやすいコンサートをあれこれ展開、東京では、首都圏の全楽団からメンバーが集まった特別編成のオーケストラ〈オーケストラの日 祝祭管弦楽団〉が、この日だけのコンサートを開くほか、さまざまなイベントも併せて開催されます。この祝祭イベントが今春、4年ぶりにようやく開催できる!―コロナ禍でコンサートも軒並み中止になった日々から思えば、暗闇を抜けるような思いです。世界中の文化活動が大きな打撃をうけるなか、オーケストラも例外なく危機に立たされました。経済的な危機はもちろん、〈切磋琢磨しながら演奏し続けること〉でしか維持できない、独特のオーケストラ・サウンドを失う危機、もありました。さらに、コンサート中止の日々は、響きわたる音楽を同じ空間で味わう〈生演奏〉の喜びこそが、オーケストラの生命線でもある‥‥ということを、あらためて痛感させられたのです。誰もが本当に大変だったこの時期―それでも〈オーケストラ〉という文化を絶えさせないために、多くのかたが様々なかたちで、支援の手を差し伸べてくださったというそのお気持ちへ、〈素晴らしい音楽〉で、お返しのはじまりを少しだけでもまずお届けできる‥‥4年ぶりの開催には、なにより演奏家&スタッフたちの、常ならぬ強い思いがこめられています。しかし、〈感謝〉だけではありません。終わらぬコロナ禍のあいだ、世界は戦争の悲惨にも引き裂かれ続けています。オーケストラは〈平和〉への強い思いを―もちろん〈音楽〉を通して、しっかりとお伝えしていくでしょう。今回、〈オーケストラの日 祝祭管弦楽団〉は、指揮に迎えたキンボー・イシイと共に、ドヴォルザークの心おどる楽しい序曲《謝肉祭》や、鳥の歌も愛に包まれて響くワーグナーの《ジークフリート牧歌》、ベートーヴェンのおなじみ《田園》交響曲から後半と、大作曲家たちが音楽に託した、美しい自然への喜びと讃歌を響かせます。そして、チャイコフスキーの交響曲第5番から終楽章、厳しい運命にあらがう力と、突き抜けた先にあらわれる喜びの輝きとを、壮大なオーケストラ・サウンドで響かせる傑作を演奏します。開演前には、隣の小ホールで入場無料の弦楽四重奏ミニ・コンサート(0歳から入場可)や弦楽器体験コーナーなどお子さん向けの企画もあるので、ご家族連れでお気軽に、という明るいイベント。〈ありがとう〉と〈ようこそ〉を、これからも長く発信してゆく最初の一歩に、お立ち会いを。山野雄大(音楽評論家)
2023年03月23日19世紀はじめ、ドイツで発見されたおよそ16歳のカスパー・ハウザー。ほぼ言葉が話せず、地下牢で生きていたと思われる実在の少年を描いた舞台『カスパー』が、3月19日(日)に東京芸術劇場シアターイーストにて開幕した。カスパーを演じるのは、映画やドラマで活躍し、今回が初舞台となる寛一郎。幕開け、誰かに無理やり操られるようにカスパーが立ったり倒れたりを繰り返す。そのカスパーの第一声、不明瞭な発音で叫ばれる「ぼくはそういうまえにほかのだれかだったことが あるようなひとになりたい」が響いたとたん、この作品を信頼しよう、と強い説得力を感じた。寛一郎は、芯のある独特な存在感でカスパーを演じる。16年ほど知らなかった言葉を理解していくなかでの、自由と苦しさが描かれていく。いわゆる物語のように客観的に起きた出来事を描いていくのではなく、観客はカスパーがおかれた状況や変化を共に体感していく。まだ言葉が理解できないカスパーに、プロンプター(首藤康之、下総源太朗、萩原亮介)がさまざまな「言葉」を浴びせていく。その威圧的な様子は、教育というよりも調教だ。また、カスパーたち(王下貴司、高桑晶子、小田直哉、坂詰健太、荒井啓汰)が、カスパーの身体を動かしていく様子もまた、本人の意志とは無関係にコントロールされているようだ。新しいコミュニケーションを獲得していくようにも見えるけれど、がんじがらめな抑圧を感じ、苦しい。それら身体表現によってカスパーの内面を描く演出を手掛けるのは、ウィル・タケット。長年、英国ロイヤル・バレエで活動し、最近では舞台『ピサロ』(2021年/渡辺謙、宮沢氷魚ら出演)でも、身体的な演出でダイナミックに表現した。脚本は、世界的にヒットした映画『ベルリン・天使の詩』の脚本家であり、2019年ノーベル文学賞受賞作家のペーター・ハントケの初期の戯曲だ。池田信雄の新訳により、今、あらためて「言葉」について向き合う。誰もが、子どものうちに言葉を覚え、ルールを覚え、社会に出るための教育(調教)を受けてきた。それに順応できず、息の詰まる思いを抱える大人もいる。また、生き抜く武器として「言葉」を手に入れても、ある部分では折り合いがつかない辛さは多くの人が経験あるはず。人間社会に馴染むための苦しみを、強烈に追体験する舞台だった。東京公演は3月31日(金)まで。取材・文=河野桃子
2023年03月22日オールナイトニッポン55周年記念公演 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』より『たぶんこれ銀河鉄道の夜』が東京・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAで上演中だ。<オールナイトニッポン55周年記念公演 宮沢賢治「銀河鉄道の夜」より『たぶんこれ銀河鉄道の夜』> 公演情報はこちら主人公のナオ(久保田紗友)はとある地方に住む美容師アシスタント。美容師のナツキ(藤谷理子)の指導は厳しく、なかなか仕事がうまくいかないことに悩んでいた。おまけに、カットの練習会でライブへも行けない......。「銀河ステーション、銀河ステーション」。気がつくと、ナオは列車の中にいた。ナオの親友のレナ(田村真佑)やナツキのほか、YouTuberのざきしょー(鈴木仁)、アルバイトのシゲフミ(戸塚純貴)、スタートアップの社長の側近のコスガ(石田剛太)、田舎住まいの教師のヤザワ(岩崎う大)らも列車に乗っていた。そしてみんなが口にする。『たぶんこれ銀河鉄道の夜』とーー。脚本・演出を手がけるのは、ヨーロッパ企画の上田誠。宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を音楽劇にしようということから本作の構想が生まれたといい、「ローファイ・ヒップホップっぽいトラックに乗せて、プロジェクションマッピングのような映像とともに『銀河鉄道の夜』を現在に接続するようなつもりで作ったんですけど、気がつけばデスゲームの要素もかなり入っていて、ちょっと信じられない気持ち」と笑う。そして「約90年前に書かれていますが、今も時代を超えて走っているすごい作品。どんなアレンジにも揺るがないような重力を持った作品ですが、僕らもその重力に引っ張られすぎずに、なるべく自由に、楽しく、大胆に取り組みました」と話した。ナオ役の久保田紗友は「宮沢賢治先生の『銀河鉄道の夜』がここまで具現化されている舞台はそうそうない。この機会に楽しい銀河の旅をぜひ一緒に過ごしていただけたらなと思います。たくさんの方に観ていただきたいです」とコメント。レナ役の田村真佑(乃木坂46)も「原作は難しくて、読んだことがないという方がいるかもしれないですが、この舞台はすごくポップに描かれていて、分かりやすくて、くすっと笑ってしまうような内容になっていると思いますし、たくさんの方に愛していただける舞台になっています。たくさんの方に観に来ていただきたいなと思います」と語った。上演時間は約2時間5分(途中休憩なし)。基本的にバラエティ番組を見ているかのようなコメディ要素満載の舞台だが、今のご時世を映し出す、なかなかシニカルな内容に。原作を知らなくても十分楽しめるが、原作の知識があった方が細かいところまでより楽しめる。東京公演は4月2日(日)まで。そのほか、愛知、高知、大阪公演が予定されている。ぜひお見逃しなく!取材・文・撮影:五月女菜穂
2023年03月22日韓国で大ヒットしたミュージカル『フランケンシュタイン』『ベン・ハー』の作曲家:BRANDON LEE、指揮:イ・ソンジュンが贈るシンフォニーコンサート。韓国ではわずか5分でチケットが売り切れたミュージカルシンフォニーコンサートが東京・大阪で上演決定。6月17日(土)東京・文京シビックホール、6月19日(月)大阪・フェスティバルホールにて開催される。韓国ミュージカル界トップ俳優のユ・ジュンサン(大阪公演のみ)、パク・ミンソン、ミン・ウヒョク(東京公演のみ)が来日!日本ミュージカル界からは『フランケンシュタイン』のアンリ/怪物役を熱演した加藤和樹が出演する。そしてミュージカル『フランケンシュタイン』『ベン・ハー』の作曲家:BRENDON LEEでもある指揮者:イ・ソンジュンが、日本公演オーケストラの指揮を執る。東京公演の演奏は東京フィルハーモニー交響楽団に決定!豪華なコラボが実現する。日本では実現していない韓国・日本ミュージカル界トップ俳優によるこのコンサートは見逃せない。チケットは4月22日(土)10:00より一般発売開始。■BRANDON LEE ミュージカルシンフォニーコンサートフランケンシュタイン&ベン・ハー【東京公演】日時:6月17日(土) 18:00開演 (予定)会場:文京シビックホール料金:S席16,000円、A席10,000円、VIP席22,000円一般発売:2023年4月22日(土) 10:00~【大阪公演】日時:6月19日(月) 18:00開演 (予定)会場:フェスティバルホール料金:S席16,000円、A席10,000円、VIP席22,000円、 BOX席25,000円一般発売:2023年4月22日(土) 10:00~作曲:BRANDON LEE指揮:イ・ソンジュン出演:《韓国キャスト》ユ・ジュンサン(大阪公演のみ)/パク・ミンソン/ミン・ウヒョク(東京公演のみ)《日本キャスト》加藤和樹演奏:東京フィルハーモニー交響楽団(東京公演)主催:株式会社キョードーマネージメントシステムズ企画制作:株式会社VOICE問い合わせ(東京)0570-00-3337(平日12:00~15:00)(大阪)0570-200-888(11:00~18:00、日祝休)
2023年03月20日2011年に韓国で製作され大ヒットした映画『SUNNY』が、バブル経済絶頂期の1980年代と現代の日本を舞台にしたミュージカルとして舞台化される。そんなミュージカル『SUNNY』に出演することが決まった、日向坂46の元メンバー・渡邉美穂に話を聞いた。2022年に日向坂46を卒業し、アイドルから俳優へと一歩を踏み出した渡邉。演技の世界に興味を持ったのは映画『ヒミズ』における二階堂ふみの演技に憧れたからだといい、今年に入ってからは音楽劇『逃げろ!〜モーツァルトの台本作者ロレンツォ・ダ・ポンテ〜』に出演している。本作への出演にあたっては「舞台の経験はあるものの、ミュージカルは完全に初挑戦。どうなるのか楽しみです。一方で他の共演者はミュージカルに慣れていらっしゃる方々ばかり。ついていけるように、必死に頑張りたいと思います」。稽古場では特に花總まりや瀬奈じゅんといった共演する“大先輩”の姿を間近で見たいといい、「見て学べるものは盗めるだけ盗んで、実際に困ったときはいろいろとアドバイスをいただけるように頑張りたい。間違いなく自分にとっていい経験になると思うので」と貪欲な姿勢を見せる。今回の舞台では、バブル経済絶頂期の1980年代と現代とがシンクロしながら展開する。奈美という女子高生を演じる渡邉は「女子高生たちが青春している感じが楽しく描かれていていいなと思いました。それに同じ時間を共にした仲間たちが、時を経て全く違う道に進むのがすごくリアル......。笑えて、感動できて、泣けて、ほっこりする作品です」と脚本の印象を語る。ちなみに2000年生まれの渡邉は、80年代を実際に体験していない世代だが「女子高生たちも自由奔放に生きているイメージがあって、80年代には憧れがあります。それから音楽もいいですよね。特に小沢健二さんの音楽を聞くようになりました」。そもそも「SUNNY」というのは、登場人物たちの仲良しグループの名称なのだが、渡邉自身、高校3年生のときに同じクラスだった仲良し6人組がいるという。「友達はそんなに多い方ではないのですが、高校時代はその6人でずっと一緒にいましたし、いまだに定期的に会っています。何でも話せる仲で、本当に居心地がいい」。その仲間との絆が本作での役作りにも活かせるのではと尋ねると「間違いないですね」と笑顔だった。観客へのメッセージを尋ねると「観る方によっては『懐かしいな』という気持ちになる方もいるでしょうし、私と同じように『こういう時代があったんだな』と新鮮に捉える方もいると思います。でもきっと観ていて楽しい気持ちになるはず。友情や、人との繋がりの大切さを改めて感じることができる内容だと思いますし、『明日からまた頑張ろう!』と前向きになれるようなものにできたら」と語っていた。取材・文:五月女菜穂
2023年03月20日シンガーソング・ライターで映画音楽作曲家の世武裕子(せぶひろこ)が、4月26日(水)に“日本語を大切に歌う”ピアノ弾き語りアルバム『あなたの生きている世界1&2』をリリースする。リリースに伴い、東名阪のピアノ弾き語りライブを発表、オフィシャル先行がスタートした。世武裕子 チケット情報ピアニストとして圧倒的な表現力を持ち、Mr.childrenや森山直太朗のツアーサポートに参加するなど、多くのミュージシャンから信頼を得ると同時に、映画音楽作曲家として鈴木亮平主演・宮沢氷魚共演でも話題の映画『エゴイスト』(松永大司監督)の音楽をはじめ、数々の映画やドラマの劇伴、テーマソングを手掛け、日本の映画界に欠かせない存在となっている彼女。ニューアルバムには、2022年デジタルリリースされた『あなたの生きている世界1』と翌2023年デジタルリリースされた『あなたの生きている世界2』が収められ、アルバム作品としては2018年以来、実に5年ぶりのCDリリースとなる。“日本語を大切に歌う”ことをテーマに世武がセレクトしたセルフカバーを含む全11曲を収録。公私ともにメンバーと交流のあるサカナクションの『グッドバイ』や、自身も在住経験のある富士吉田市出身アーティスト・志村正彦(フジファブリック)作詞作曲の『若者のすべて』、森山直太朗『人間の森』、チームを愛するあまり広島に移住までしてしまった「広島東洋カープ」の応援歌『それ行けカープ』、人気アニメの楽曲『プラチナ』のほか、歌詞とアレンジが新たに生まれ変わった、10年前発表の自身の楽曲『みらいのこども2023』などが収録されている。またリリースライブは東名阪の3公演。いずれも「生ピアノ」での弾き語りを聴くことができる会場だ。多くのミュージシャンや映画関係者をピアノと歌で惹きつける「圧倒的な表現力」を生で感じることができるこの機会、ぜひ、会場で体験してほしい。チケットは3月26日(日)23:59までオフィシャル先行を受付中。『あなたの生きている世界』リリースツアー【愛知公演】▼6月7日(水) TOKUZO【大阪公演】▼7月11日(火) 心斎橋JANUS【東京公演】▼7月20日(木) めぐろパーシモンホール 小ホール
2023年03月17日5月27日(土)に下北沢12会場にて昼夜通しで開催されるイベント『THISTIME RECORDS 20th Anniversary “New Buddy!”』。『New Buddy!』は東京のインディペンデントレーベルTHISTIME RECORDSが、設立20周年を記念して東京(5月27日)と大阪(7月23日)で開催するサーキット型フェスだ。『THISTIME RECORDS 20th Anniversary “New Buddy!”』チケット情報今回、東京編の出演者第一弾がレーベル所属のアーティストを中心に発表された。第一弾アーティストのラインアップは、cinema staff、ナードマグネット、Lucie,Too、The Whoops、SonoSheet、CALENDARS、totos、ズカイ、SACOYANS、さとりモンスター、ねおち、泣き虫☔の全12組。3月19日(日)23:59まで、オフィシャルHPにて限定の主催者先行早割チケット第一弾(通し券/特典オリジナルグッズ付)受付を実施中。開催と同時に発売開始したチケットは、1000円以上のディスカウントで、すでに規定販売枚数間近。今後続々と発表されるだろうアーティストに期待して、早めにゲットしておこう。イベントは一部会場を除いて、深夜公演も開催。マスク着脱の緩和や、声出し公演の増加などにともない、昼夜通して音楽を十分に楽しめるイベントになりそうだ。大阪編の詳細もTHISTIME RECORDSからの続報を待とう。
2023年03月17日4月29日(土・祝)に京都府・舞鶴市で開催される音楽と食とアートのイべント『MAIZURU PLAYBACK FES.2023』の追加出演アーティストが発表された。『MAIZURU PLAYBACK FES.2023』チケット情報今回新たに発表されたのは、ALI、Suspended 4th、NakamuraEmi、MOROHA、ラッキーセベンの5組。すでに発表されているUVERworld、Creepy Nuts、C&K、清水翔太、優里、WANIMAとあわせて11組の全出演アーティストが出揃った。本フェスのテーマは"PLAYBACK=もう一度再生、再会する"。実行委員会は京都府・舞鶴市の音楽を愛する有志で構成されており、素晴らしいアーティストと共に音楽の力で海の京都・舞鶴を活気づけたいという思いが、立ち上げの原動力となったという。舞鶴を『またはじまる場所』にし、音楽を通じて『本当はできる』というパワーを生み出していく。チケットは、3月19日(日)23:59までオフィシャル2次抽選先行を受付中。
2023年03月17日マリー・キュリーという、放射性元素の研究で大きな功績を残した科学者の姿を描いたミュージカル。アカデミックな内容がかかわるだけに、とっつきにくそうなイメージがないとは言えない。だが実際に公演(ゲネプロ)を通して感じたのは、知的探求心に富んだマリーのまっすぐな生きざま。彼女の研究への情熱が、夫・ピエールへの愛と信頼が、そして友・アンヌとの交流や研究をとりまくさまざまな物事への思いが、ドラマティックなメロディーで紡がれていく。キャストも各々の役割をきっちりと見せている。ゲネプロ前の囲み取材でマリー役・愛希れいかは「ミュージカルだけれどもとても演劇的な作品」、演出・鈴木裕美は「一人ずつの人間が浮き上がってくるように」と語っていた。それが見事に表現され、見ごたえがある。本作は「Fact(歴史的事実)×Fiction(虚構)=ファクション・ミュージカル」と銘打たれている。Factがマリーの研究に没頭する姿やピエールとのパートナーシップ、そして彼女が発見したラジウムを巡る葛藤であるならば、Fictionの多くはルーベンとアンヌについての造形だろうか。ルーベンはマリーの研究の後援者でラジウム工場のオーナーだが、時には狂言回しであり、メフィストフェレス的な、いわばマリーの“影”だ。演じる屋良朝幸も「遠い世界へ」など自身の振付によるダンスナンバーを含め、多面的な存在感を放つ。一方アンヌはマリーの親友として彼女に寄り添い、“光”の部分を担っているかのよう。パリに向かう列車での出会いでマリーの志を示す「すべてのものの地図」、追い詰められた状況下で心を通わせる「あなたは私の星」と、印象的なデュエットも多い。清水くるみの明るさと健気さ、時には凛々しさもある佇まいが魅力的だ。ピエール役の上山竜治も好演。自身もこれまで演じてきたなかで「一番優しい役どころ」だと語る、懐の深い夫で研究者としてもかけがえのないパートナーだ。マリーとピエールの「予測不能で未知なるもの」は、清水が「稽古場でも泣いちゃうぐらい好き」と語ったのも納得がいく、素敵なナンバー。そして何より、愛希の輝きが素晴らしい。安定した歌唱はもちろん、時には悩み苦しみながらもひたむきに生きるマリーとして、観る者を惹きつける。まさに“はまり役”で、ぜひ公演を重ねてマリーをさらに深化させていってほしいと願わずにはいられない。取材・文:金井まゆみ
2023年03月17日19世紀初頭、生後間もなく16年間、地下の牢獄に閉じ込められていた孤児、カスパー・ハウザー。世間から隔離され、育てられた少年は突然、文明社会の中に投げ込まれ、社会に適応するよう言葉と音を拷問のように浴びせられる。そして数年後に謎の死を遂げる。「カスパー」チケット情報実在したこの人物を、1968年にノーベル文学賞受賞作家のペーター・ハントケが戯曲化。寺山修司が『ゴドーを待ちながら』と並んで、「20世紀に書かれた最も重要な作品」と評したことでも知られている。この春、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の公暁役で注目を集めた寛一郎を主演に迎え、上演される。本作への意気込みなどを聞いた。脚本を読み、一冊の本を読んだ感覚だった。「読み物としてすごく興味深かった。掘れば掘れほど深く考えることができる題材で。自分と言葉、自分と世界が全てニアリーイコールだと。それは自分が今、一番知りたいことでもありました。この作品は根幹的なことを描いているので、カスパーという概念が存在するんじゃないのかなという解釈のもと、稽古をやってます。(今は稽古開始から)2週間経ってやっと全体像が見えてきた段階でして、非常に共鳴できる部分があると感じています。僕にもあった気持ちをカスパーが代弁してくれるところもあるので、そこを自分と照らし合わせながら、一つひとつ自分自身を反芻していくという意味も込めて演じられればと思ってます」。舞台出演は、本作が最初で最後と決めている。これまで舞台にはさほど興味もなかったが、『カスパー』が舞台でしかできない作品だと気づき、自分にとって舞台出演の価値を見出せたという。「僕にとっての“舞台”は『カスパー』。だから、『カスパー』が終われば、僕の舞台も終わります。本当に、最初で最後の作品が、これでよかったと思える舞台です。今後、役者をやっていく上で何がどう変わるのか、今は具体的に提示できないんですけど、でも確実に影響を及ぼしてくれる作品です」。祖父は三國連太郎、父は佐藤浩市。寛一郎の舞台出演について佐藤の反応を尋ねると、こう続けた。「“お前、舞台やんのか”(の一言)で終わりました(笑)。三國は1回、親父は1回も舞台をやっていないので、客観的な印象としてあんま舞台をやらない家系みたいなのもありますし、僕ら家族もそう思ってました。そういった中でやるので、びっくりが大きいですよね。家庭の中では、ざわっとしました(笑)」。公演は、3月19日(日)から31日(金)まで東京芸術劇場シアターイースト、4月9日(日)大阪・松下IMPホールにて。チケットは発売中。取材・文:岩本
2023年03月17日2023年の東京・歌舞伎座は、年頭から引き続き「歌舞伎座新開場十周年」と銘打ち、幅広い演目で客席をにぎわせている。上演中の「三月大歌舞伎」は、第一部(11時開演)がシェイクスピアの戯曲「リチャード三世」に着想を得て、1974年に宇野信夫が書き下ろした『花の御所始末』。第二部(14時40分開演)は、単独での上演が珍しい『仮名手本忠臣蔵 十段目』と、楽しい舞踊劇『身替座禅』。第三部(17時45分開演)は、大正から昭和期の歌人・吉井勇作の『髑髏尼』と、上方和事の代表作『廓文章 吉田屋』。古典から話題作、異色作まで楽しめるラインナップだ。ここで注目したいのは、第一部の『花の御所始末』。約半世紀前に六代目市川染五郎(現・松本白鸚)で初演された本作に、松本幸四郎が挑んでいる。舞台は美しい花木が植えられていることから、「花の御所」と呼ばれる足利幕府の室町御所。足利義満(河原崎権十郎)の次男・足利義教(幸四郎)は、将軍の座を手に入れようと、畠山満家(中村芝翫)と共に父を殺害する。その罪を兄の義嗣(坂東亀蔵)にかぶせて亡き者にし、将軍となった義教。その独裁ぶりは次第に狂気を帯び、浅からぬ縁の満家まで手にかけてしまう。数年が経ち、父や兄の亡霊に毎夜苦しめられる義教は……。幸四郎は、暴君と怖れられた義教を大胆かつ繊細に表現。前半は、邪魔者を次々と殺め、ベッタリと付いた返り血も鮮やかに欲望のまま突き進む“悪の華”を舞台に立ち昇らせる。将軍の座についてからの後半は、義教の恐怖政治に不満を訴える大名や農民へ冷ややかな態度を保ちながらも、どこか惑うような、虚ろな表情で心情を垣間見せる。最期は炎に包まれ、ドラマチックな幕切れ。義満役・権十郎の器の大きさ、義教の妹で運命に翻弄される入江役・中村雀右衛門の芯の強さと儚さ。満家役・芝翫のしたたかな色気と、その息子で謀略に巻き込まれる左馬之助役・市川染五郎の清廉さも印象に残った。そのほか第二部は、『~十段目』のひそかに赤穂浪士に協力する廻船問屋の天川屋義平役に、芝翫。“男の中の男一匹”、“天川屋義平は男でござる”の名ゼリフを聞ける貴重な機会だ。さらに尾上松緑の大名・右京と中村鴈治郎の奥方玉の井で、チャーミングすぎるふたりのやりとりが文句なしに面白い『身替座禅』。夜の第三部は、大正から昭和期の歌人・吉井勇の原作で、こちらも61年ぶりの上演となる『髑髏尼』のタイトルロールに、坂東玉三郎。相手役の中村福之助と共に、吉井の耽美的な世界観を繰り広げる。そして玉三郎と片岡愛之助で上方和事の華やかさを存分に堪能できる『~吉田屋』と、まさに多彩な演目ぞろい。どれも見逃せないこと請け合いだ。取材・文/藤野さくら
2023年03月16日2人のゲスト声優に質問をぶつけ、ゲスト自身が気づいていなかった深層心理を探るイベント「ある日のアルフレッド研究所」の第2弾が、5月13日(土)に板橋区立文化会館 小ホールにて開催。配信も実施されることが決まった。本イベントは、心理学をテーマに、アルフレッド研究所の研究員である寺島惇太がホストとなり、プロフェッショナル心理カウンセラー・浮世満理子とともに、ゲスト声優二人のパーソナリティを分析していくという試み。昨年開催された「ある日のアルフレッド研究所 File.1」では、人気声優の林勇と寺島拓篤をゲストに迎え、子どもの頃の思い出や、仕事のときのルーティンなど、ゲストの日常に迫る質問からエチュードやイラストを披露してもらう質問などを実施。その回答から、第1部では「お子さま度」第2部では「お金での失敗リスク」というテーマを基に深層心理を分析。二人の意外な一面が明らかとなり、本人とともに会場のファンも驚きの表情を見せていた。5月13日(土)の「ある日のアルフレッド研究所 File.2」のゲストは、映画『THE FIRST SLAM DUNK』宮城リョータ役やTVアニメ『ブルーロック』のEDも話題の仲村宗悟と、TVアニメ『東京リベンジャーズ』松野千冬役など活躍が目覚ましい狩野翔。前回は天の声として出演した寺島惇太も、今回は舞台上で直接、ゲストたちとトークを繰り広げ、ちょっと風変わりな心理テストバラエティショーを盛り上げる。本イベントは13:30開演と17:00開演の2部制での開催となり、配信の実施も決定。配信チケットはBlu-rayが後日配送となるセットチケットもご用意。Blu-rayには第1部・第2部の両公演に加え、ゲスト二人が「箱庭セラピー」を体験する「特典映像」も収録予定となっている。会場チケットは、先行抽選受付中。配信チケットの販売は3月16日(木)18:00より開始。開催日時:2023年5月13日(土)【第1部】13:30開演【第2部】17:00開演会場:板橋区立文化会館小ホール出演:狩野 翔、仲村宗悟、寺島惇太(MC)、浮世満理子(プロフェッショナル心理カウンセラー)
2023年03月16日Keishi Tanakaの5th Album『Chase After』に収録されている、村松拓 (Nothing’s Carved In Stone / ABSTRACT MASH) が作詞作曲をした楽曲『青のサーカス』のMusic Videoが、オフィシャルYouTubeチャンネルで公開されている。Keishi Tanaka チケット情報映像にはKeishi Tanakaと村松拓の2人が出演しており、ドライブや焚き火のシーンをはじめ、普段から仲の良い自然体の2人が垣間見れる作品となっている。映像ディレクターは、the band apartの作品なども手掛けるChiaki Machidaが担当した。また、3月25日(土)大阪・服部緑地野外音楽堂で行われる野外イベント『NEW KICKS GREENSPIA 2023』ではお互いバンドセットでは初共演。村松拓はなんとこの日がバンド編成での初ライブとなる。さらに、3月29日(水)東京・duo MUSIC EXCHANGEではKeishi Tanakaの7人バンド編成ワンマンライブ「Chase After Release Tour」に、スペシャルゲストとして村松拓が出演するので、是非会場で目撃しよう!チケットは発売中。
2023年03月16日昨年9月に湊町リバープレイスにて開催されたクラフトビールイベント『ビア・ブラボー!』が、第3回として今年の春も開催される。今回は4月28日(金)から30日(日)までの3日間、なんばパークスカーニバルモールにて。北は北海道から、南は九州・宮崎のブルワリーまで、このイベントでしか味わえない数多くの人気ブルワリー&サイダリーが出店される。『ビア・ブラボー!~Craft Beer Carnival~ 2023 Spring』チケット情報入場料無料!クラフトビール好きはもちろん、初めてクラフトビールを飲む人も楽しむことができるラインナップと空間をお届け。地元・大阪はもちろん、関西、日本中のブルワリーの中から、職人たちがとにかく“こだわった”選ばれしクラフトビールと、大阪の旨いもんを楽しんで。『ビア・ブラボー!~Craft Beer Carnival~ 2023 Spring』【日時】4月28日(金) OPEN 17:00/CLOSE 20:00(チケット販売19:30まで)4月29日(土) OPEN 11:00/CLOSE 20:00(チケット販売19:30まで)4月30日(日) OPEN 11:00/CLOSE 20:00(チケット販売19:30まで)【会場】なんばパークスカーニバルモール 特設会場※なんばパークスとなんばCITY南館の間(〒556-0011大阪市浪速区難波中2-10-70)【出店ブルワリー&サイダリー】伊勢角屋麦酒(三重)/うしとらブルワリー(栃木)/CRAFT BEER BASE(大阪)/T.Y.HARBOR Brewery(東京)/奈良醸造(奈良)/Nomcraft Brewing(和歌山)/反射炉ビヤ(静岡)/BLACK TIDE BREWING(宮城)/Brasserie Knot(北海道)/南信州ビール(長野)/箕面ビール(大阪)/宮崎ひでじビール(宮崎)/もりやま園(青森)/Y.MARKET BREWING(愛知)【フード】Coming Soon…!【チケット】ビール券3枚セット…1800円ビール券5枚セット…3000円ビール券10枚セット…5400円※1枚分お得!ビール券5枚セット(★オフィシャルグラス付)…前売限定3700円※グラス100円OFF!ビール券10枚セット(★オフィシャルグラス付)…前売限定6100円※1枚分お得+グラス100円OFF!お試しビールセット…1500円※通常より少し小さなカップで全てのビールから3種類を自由に選べます!★イベントロゴ付きオフィシャルグラスは当日会場にて800円で販売します!前売り券はチケットぴあで3/25(土)10:00より販売開始!
2023年03月16日熱海五郎一座『幕末ドラゴン〜クセ強オンナと時をかけない男たち〜』の製作発表記者会見が都内で行われ、構成・演出を手がける三宅裕司をはじめ、キャストの渡辺正行、ラサール石井、小倉久寛、春風亭昇太、東貴博、深沢邦之、ゲスト出演の檀れい、玉井詩織(ももいろクローバーZ)が登壇した。三宅が座長を務める熱海五郎一座は、東京の笑いである“軽演劇”を上演すべく2006年に旗揚げされた。アドリブや一発ギャグといった瞬間芸でなく、練り上げられた台本と設定の中で生まれる笑いを追求しながら2014年に東京・新橋演舞場へ進出。その第9弾となる今回は、幕末にタイムスリップした高齢者ばかりのミュージカル劇団員(三宅・渡辺・ラサール・小倉・昇太)による“爆笑サバイバル東京喜劇”が繰り広げられる。坂本龍馬(東・深沢によるWキャスト)の暗殺を阻止したことで歴史が変わってしまうピンチに陥った劇団員一行は、現代に戻ろうと奮闘するが──。ゲストの檀は龍馬の妻・お龍、玉井は芝居嫌いな劇団主宰者の娘に扮する。檀と玉井のキャスティングは、いずれもバラエティ番組で共演した三宅のスカウトがきっかけ。NHK BSプレミアム『コントの劇場』(2013年)における檀のコメディエンヌぶりを、三宅は「笑いに真剣に取り組んでくださった姿が印象的でした」と振り返る。コントはこの番組以来と話す檀は、脱線に次ぐ脱線で報道陣の笑いを誘う一座メンバーを前に「皆さんのパワーがすごいので笑いをこらえてしっかりお芝居できるのか」と不安を口にしながらも、「お客様に喜んでお帰りいただきたい」と意気込む。玉井とは、三宅がももいろクローバーZの帯番組『ももクロちゃんと!』(2022年)にゲスト出演したときから「しおりん」と愛称で呼ぶ関係に。喜劇の台本を書き下ろした際に玉井が見せた反応から「ボケとツッコミ、両方できる器用な一面があると知って」と抜群のコメディセンスがあることを明かす。これを受け、玉井も「熱海五郎一座の公演を何度か拝見して一員になりたいと感じていました」とオファーの喜びを語り、「皆さんからたくさん勉強させてもらいます」と述べていた。記者から「華のある女性ゲストを、趣味の城めぐりにお連れするならどちらへ?」と問われた昇太は、劇中に登場する新撰組の拠点・京都を持ち出し「二条城かな」と即答。「御殿が現存する貴重なお城で、たたずまいがゴージャス。檀さんと玉井さんにぴったりですよね」と鼻の下を伸ばす。続いて「こういう蘊蓄がスッと出てくるんです」と調子づくと、三宅から「他人から褒められるまで待てないの?」とつっこまれていた。公演は5月31日(水)〜6月25日(日)、東京・新橋演舞場にて。ぴあでは現在プリセール中。3月26日(日)10時からの一般発売では、食事付き桟敷席の「ぴあシート」を含め、座席指定できるチケットを販売する。取材・文:岡山朋代
2023年03月16日『滝沢歌舞伎ZERO FINAL』の製作発表記者会見が2月8日(水)に東京・帝国ホテルで行われ、主演と演出を手がけるSnow Manの9人が勢揃いした。2006年に『滝沢演舞城』として誕生し、主演の滝沢秀明が演出に専念した19年に『滝沢歌舞伎ZERO』の名でSnow Manに受け継がれた本作。映画化された『滝沢歌舞伎ZERO 2020 The Movie』が大ヒットし、21年・22年の公演を経て、今回でシリーズのファイナルを迎える“和のスーパーエンターテインメント”だ。「滝沢歌舞伎は、僕がジャニーズ事務所に入所した年に始まった作品。自分たちの主演で幕を下ろし、卒業式を行えるのが本当にありがたい」と会見の口火を切ったのは、リーダーの岩本照。“初演出”の重責も後輩に対する振付の延長線上にあると考えており「出演していたからこそ魅了できる演目を」と意気込み、シリーズの名物と言える「腹筋太鼓」は「やります」と言及した。深澤辰哉は「滝沢歌舞伎があったからこそ、精神的に鍛えられた」とこれまでの道のりを懐かしみ、滝沢に泣くほど怒られた日々を振り返って耳を真っ赤にする。パリコレに出演し、モデルとしても活躍中のラウールは「新橋演舞場にはキレイな花道があるのでランウェイしちゃいます!」と笑顔。渡辺翔太は「ファイナルに引っ張られすぎず、誰も置いていかない作品づくりをしたい」と述べたあと、ムービーカメラに向かって「タッキー(滝沢)見てる? がんばります!」とアピールした。続く向井康二も「初心を思い出させてくれる舞台。お母さん見てる?」とタイの母親に呼びかける。阿部亮平は「Snow Manの歴史を語るうえで欠かせない作品。使命をしっかり果たせたら」、目黒蓮は「青春の時間が詰まった作品。ファイナルでも、ご覧になった皆さんの心の中に生き続けるのだと思います」、佐久間大介も「ステージに立つ心構えを学んだ」とそれぞれコメント。宮舘涼太は「桜って美しいですよね……」と切り出して会見場の空気を一変し、「桜は散るのではなく“舞う”というモットーでやってきました。今後はSnow Manとしてもっと枝を伸ばし大きな花を咲かせたい」と述べ、1月に出演し市川團十郎のもとで切磋琢磨した『初春歌舞伎公演 SANEMORI』仕込みの見得を切って報道陣を湧かせた。集大成となる本作には、ジャニーズJr.からSpeciaL(林蓮音、松尾龍、和田優希、中村浩大)と、少年忍者(ヴァサイェガ渉、内村颯太、豊田陸人、長瀬結星)が出演することも発表された。公演は東京・新橋演舞場にて。一部公演回は全国の映画館でライブビューイングが上映される。なお新橋演舞場では、ジャニーズJr.の井上瑞稀(HiHi Jets)が主演を務め、本高克樹(7 MEN 侍)が共演するミュージカル『ルーザーヴィル』が3月22日(水)まで上演中。活躍する先輩・Snow Manの背中を目指して奮闘する姿もチェックしてみては。取材・文:岡山朋代
2023年03月15日4月12日(水)まで、IHIステージアラウンド東京で絶賛上演中の『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』。ゲームの歌舞伎化は史上初、さらに『新作歌舞伎 風の谷のナウシカ』を成功に導いた尾上菊之助が企画と演出を担うとあって、熱い注目を集める話題作だ。出演は、菊之助をはじめ中村獅童、尾上松也、中村錦之助、坂東彌十郎、中村歌六、そして2022年の“ナウシカ”でタイトルロールを演じた中村米吉など豪華な顔ぶれ。主人公の父ジェクトを演じる彌十郎に意気込みを聞いた。物語は、少年ティーダ(菊之助)が召喚士の少女ユウナ(米吉)に出会い、仲間たちと共に巨大な魔物「シン」に立ち向かうさまが描かれる。「ジェクトはティーダの父親で、かつて“ブリッツボール”の花形選手だった男。身体能力は高いのに息子への愛情表現が下手で、ティーダから反感も買っている。不器用なヤツだなぁと思うんですが、それが彼という人物像のキーになっているとも感じるので、そこは意識して役づくりをしています」と彌十郎。さらに「劇中、ティーダたちはずっとジェクトの話をしていますし、ティーダとジェクトの親子関係は物語の中で特に重要な部分。主人公の父親であるという“大きさ”も忘れずに演じたいですね」と話す。そんなジェクト役へのオファーは、菊之助からの1本の電話から始まったとか。「『新しいことをやろうと思っているんですが、ご協力願えますか』と。僕はゲームのことはよく分かっていなかったのですが、菊之助さんがおっしゃるのなら、もう喜んで。即答で『やらせていただきます』とお返事しました」と彌十郎は語る。「スーパー歌舞伎」や「平成中村座」など、歌舞伎界の新しい潮目に多く立ち会ってきた彌十郎ならではの即断力だ。「たまたま自分のいた環境がそうだっただけなんですが……」と断りつつ、「ただ、若い頃から先輩達が新しく挑戦する姿を間近で見てきたので、新しいものに対して否定はせず、肯定から入るようにはしているかな。それにやっぱり自分が楽しまないと、お客様にも楽しんでもらえないので、出ると決めたからにはとことんやる。そうすれば、自然とお客様にも納得いただける舞台になると思っているんです」と笑顔を見せた。本作の稽古場でも、役者同士の活発なディスカッションが楽しいと言う彌十郎。「『ファイナルファンタジーX』について、周りの人に教えてもらったり、動画で観たりして研究しました。それで分かったのは、世界観が細かいところまで本当に魅力的で、それがたくさんの人に長く愛されている理由だということ。だから私のようにゲームを知らない方でも、普通にお芝居を観る感覚でいらしていただいて大丈夫です。逆にゲームから興味を持ったという方には、ぜひ“歌舞伎”への先入観をなくしていただいて。『ファイナルファンタジーX』の1つの新しい形として、この舞台を楽しんでいただければ嬉しいですね」取材・文/藤野さくら
2023年03月15日5月3日(水・祝)・4日(木・祝)の2日間、大阪・泉大津フェニックスで行われる『OTODAMA’23~音泉魂~』の入浴順(出演順)および出演ステージが発表された。『OTODAMA’23~音泉魂~』 チケット情報今年は、“DAIYOKUJOH”と“ROTEN”そして“GENSEN TENTO”の3ステージ制。1日目はフィッシュマンズ、2日目はUAがそれぞれトリを飾る。またフィッシュマンズのメンバーが発表され、茂木欣一(ds&vo)、柏原譲(b)、HAKASE-SUN(key)、木暮晋也(g)、関口 ”dARTs" 道生(g)、原田郁子(vo)が出演。加えてUA、ハナレグミ、チバユウスケ(The Birthday)をゲストボーカルに迎える。リーダーの茂木欣一によるメッセージがイベント公式サイトに掲載されているのでぜひチェックを。入浴券(入場券)、各種バス券、駐車券は発売中。
2023年03月15日cinema staffが、デビュー15周年を記念したツアーを開催することが発表された。cinema staff チケット情報本ツアーは、「We are Phenomenal(俺たちはスーパーだ)」と題し、7月から11月にかけて全国15か所を回る。チケットは、4月2日(日)23:59までオフィシャル先行(抽選)を受付中。オフィシャル先行購入特典として、各会場名のCREW PASSをプレゼント。お得なこの機会にぜひ!「cinema staff debut 15th Anniversary Japan Tour 2023 “We are Phenomenal”」【神奈川公演】▼7月2日(日) CLUB CITTA’【北海道公演】▼7月8日(土) mole【京都公演】▼7月15日(土) 磔磔【香川公演】▼7月17日(月・祝) DIME【宮城公演】▼7月22日(土) 仙台MACANA【茨城公演】▼8月6日(日) 水戸ライトハウス【愛知公演】▼8月11日(金・祝) 名古屋クラブクアトロ【広島公演】▼8月13日(日) 広島・4.14【福岡公演】▼8月19日(土) INSA【沖縄公演】▼8月26日(土) output【岐阜公演】▼9月2日(土) EVENT HALL club-G【埼玉公演】▼9月10日(日) HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3【石川公演】▼9月16日(土) 金沢vanvanV4【大阪公演】▼9月18日(月・祝) BIGCAT【東京公演】▼11月5日(日) Zepp Shinjuku(TOKYO)
2023年03月15日現在、イギリスの名門オーケストラのひとつロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者を務め、5月に同フィルとともに来日公演を行う指揮者ヴァシリー・ペトレンコ。ロシア人の父、ウクライナ人の母のもとに生まれた彼は、昨年のロシアのウクライナ侵攻直後、この侵攻を今世紀最大の道徳的失敗と人道的災害のひとつだとして非難し、芸術監督を務めていたロシア国立交響楽団の芸術監督の地位を辞任しました。そんな彼が今回の来日公演プログラムのひとつとして選んだのは演奏時間が1時間を超えるショスタコーヴィチの大曲、交響曲第8番。この作品に対する想いと今この作品を演奏することの意義をペトレンコは次のように語っています。「ショスタコーヴィチの交響曲第8番は第二次世界大戦中の1943年に作曲されました。それはちょうどスターリングラードの戦いでソ連軍がドイツ軍を破り、勝利ムードにあったときでした。しかし、人道主義的な作曲家であったショスタコーヴィチは、その勝利の影で失われた一人ひとりの命に心を寄せていました。したがってこの曲は戦時下の民衆の苦難や戦いを表しているのだと思います。最後は、それまでの楽章の暴力的な音楽を経て、静かで穏やかに締めくくられますが、そこにはわずかな希望の兆しがあります。その意味でもとても今の時代にふさわしい曲だと思います。(Webマガジン「ONTOMO」より)」ショスタコーヴィチの感動的な代表曲にもかかわらず、100人に近い演奏者を要する大曲である故になかなか生演奏を聴く機会が少ないこの名作を、現代最高のショスタコーヴィチ指揮者とも賞賛されるヴァシリー・ペトレンコの指揮で生体験できる貴重なコンサートが東京と大阪で実現します。今、実際に起こっている様々な悲劇的な出来事に想いを寄せながら、今聴くべき作品、ショスタコーヴィチの交響曲第8番の生演奏をぜひ体感してください。2023年5月21日(日) 大阪・フェスティバルホール、5月23日(火) 群馬・高崎芸術劇場 大劇場、5月26日(金) 東京・サントリーホールほかで公演を行う。
2023年03月15日ROTH BART BARONの“夏の熊フェス”第4弾!『BEAR NIGHT 4』が7月16日(日)に日比谷野外大音楽堂にて開催される。ROTH BART BARON チケット情報第1回は2016年、OAUからMartin Johnson(vln)をバンドゲストに迎え恵比寿 LIQUIDROOMにて開催。第2回は2021年、アイナ・ジ・エンドや原田郁子 (clammbon)らをゲストに新木場 Studio Coastにて開催。第3回となった昨年は中村佳穂や角舘健悟(Yogee New Waves)をゲストに日比谷野音にて開催されバンドコミュニティ“PALACE”による会場装飾&FUN-ZINEがなんと無料で配布された。『BEAR NIGHT』ならではのスペシャル企画、僕らが今、やりたいことをやりたいようにやりたいだけ詰め込んだロットの単独公演フェスティバル。今年の熊フェスはいかに!?また、昨年11月9日にリリースされたアルバム『HOWL』を引っ提げた全国ツアーが、全国12公演を経ていよいよ東京昭和女子大学 人見記念講堂にてファイナル公演を迎えた。このツアーファイナル公演の有料配信が決定。春フェスは『VIVA LA ROCK』や『FUJI&SUN』、『GREENROOM FESTIVAL 23』、夏には『FUJI ROCK FESTIVAL 23』にも出演が決定している。『BEAR NIGHT 4』のチケットは、3月21日(火・祝)23:59までオフィシャル1次先行を受付中。
2023年03月14日1873年に明治座の前身である芝居小屋が創建されてから150年。これを記念して、明治座創業百五十周年記念『壽祝桜四月大歌舞伎』が上演される。2月27日(月)に行われた合同取材会には、出演の中村梅玉、中村又五郎、中村芝翫、片岡孝太郎、松本幸四郎、片岡愛之助が登壇。招待されたファン30名も参加し、和やかなムードで行われた。まずは、『大杯觴酒戦強者(おおさかづきしゅせんのつわもの)』で酒豪の井伊直孝、『お祭り』では鳶頭梅吉を勤める梅玉。「『大杯~』は河竹黙阿弥が当時明治座の座元だった初代市川左團次さんのために書いたもの。“黙阿弥の世話物”とはまた違う感じが面白く、役者のニンで見せる演目です。『お祭り』では、お祝い気分を振りにも込めてお見せできれば」と語る。『絵本合法衢』で高橋弥十郎を勤める又五郎は、「幸四郎さんの演じる左枝大学之助/太平次(2役)は本当に悪い人。でも私はいい人(の役)です」と真顔で話し出し、ファンと取材陣から思わず笑いが。内容については「勧善懲悪ではありますが、“悪”だけでなく“善”の人間の性(さが)も描かれているのが魅力」と話した。孝太郎も「私は太平次の彼女になりそこねて殺されるお松と、いい人側の弥十郎妻皐月、両極端の役を」と茶目っ気たっぷりに挨拶。「初体験のお役で、玉三郎さんにもお稽古をつけていただきました。この作品は父(片岡仁左衛門)が何度かやっていますが、今回は幸四郎さん版ということで楽しみです」と微笑んだ。芝翫は、『大杯~』で原才助、『絵本~』で高橋瀬左衛門。「『大杯~』は24年ぶりの上演。色々と画期的なことをなさった初代左團次さんへの作品なので、リアルさもあれば世話物、義太夫も入って、歌舞伎の醍醐味が凝縮されています」と紹介。また「『絵本~』の幸四郎さんは悪い人役ということで、これは気持ちよく(終演後の食事も)誘ってもらえるのでは」と隣の幸四郎をチラリ。幸四郎は苦笑しつつ「どうも、悪い人です」と挨拶、会場中に笑いが起きる。その後は表情を引き締め「左枝大学之助/太平次は、祖父と父も勤めたお役。当時の台本の書き込みを見ながら作り上げたい」と意気込んだ。『大杯~』では内藤紀伊守で「歌舞伎の多彩なジャンルが詰まった4月興行。ぜひ色とりどりの舞台を楽しんでください」とアピールした。最後に愛之助が「名作『義経千本桜 鳥居前』の佐藤忠信実は源九郎狐を、初役ですので芝翫さんに教わって勤めさせていただきます」と挨拶。「今回は明治座百五十周年ということで、立ち回りもいつもとは変わったものにしたいと思っています」と笑顔で語った。取材会では明治座での思い出も語られ、梅玉が「あれは初舞台の頃だから…60年以上前?」と明治座との長いお付き合いに改めて驚くひと幕も。芝翫の「舞台と客席が一体となった、春らしい心晴れるような興行にしたい」との言葉に、ますます期待が膨らむ取材会となった。取材・文/藤野さくら
2023年03月13日3年半前に多くの反響を得た、日米クリエイターによるオリジナルミュージカル『FACTORY GIRLS ~私が描く物語~』が2023年6月に再演される。19世紀半ばのアメリカで、女性の権利を求めて戦った実在の女性サラとハリエットをモデルに、工場(ファクトリー)で働く女性たちの姿を描く今作は、性別にかかわらず多くの人の心を動かした。2019年読売演劇大賞優秀作品賞受賞作である。サラ役の柚希礼音は「女性だけに突き刺さる作品かなと思いきや、男性の方々にもとても刺さったと聞いて、ものすごく嬉しかった。中学校や高校の友達など同世代の人もこの作品が好きだと再演を喜んでくれ、3年半経っても待ち望んでくださる方がこんなにいるんだとウキウキしています」と声を弾ませる。初演の稽古時より「素晴らしい作品になるんじゃないかと手応えを感じていた」という柚希。恋愛ものが多い日本のミュージカルの中で、女性の労働と自立がメインとなる作品がどこまで受け入れるだろうという不安はすぐに無くなった。「皆が白熱してきて、稽古場の熱気がすごかった。宝塚の稽古場のようでした。こんなに自主稽古をするのかというほど、皆で何度も何度も稽古をして意見を出し合って、とても団結していました。再演ではまた新たなメンバーが加わるので、どうなるのか楽しみです」。サラは「たくさん、みんなに支えられて、立ち上がっていく。とても人間的で大好きなキャラクターだった」と柚希の思い入れは強い。脚本・歌詞・演出の板垣恭一からは「あなたは周りに汗をかかせて真ん中にいるリーダーじゃなくて、自分の心と体も汗だくになって表現するリーダーだから、それに感動した」と公演期間中に言われ、とても喜んだという。本作は、楽曲の力強さも大きな魅力だ。柚希は「譜面はすごく難しい。どうなってるの?このリズムとなってしまうほど。でもそのリズムをしっかり取ることによって表現されるものがある。初演時は振り付け、衣裳、歌、全てを必死にやりましたが、今思えば「あの工場のダンスはもうちょっとこうに踊れたんじゃないか」とか「登場のシーンはもっとこうできたんじゃないか」と客観的に見ることができているので、3年半の間に変化した自分でまた新たに臨めるのが楽しみです。あの時とは時代も変わったので、多くの方により届くようにまた0から作り上げていきたい。そして、初演よりも断然良くなっていることを目指したい」と再演に挑む。文・取材河野桃子
2023年03月13日伊藤今人が代表を務める、大人気ダンスエンターテインメント集団「梅棒」。その新作公演にして、梅棒史上最大規模による公演、梅棒 16th showdown『曇天ガエシ』が、3月10日、東京・なかのZERO大ホールで開幕した。梅棒 16th showdown『曇天ガエシ』の公演情報はこちら物語の舞台は、“オウゴン”の採掘で発展した国・ジパングリ。だが現王の急逝後、自らの子を王にしたい側室によってクーデーターが勃発。正室の子で跡継ぎのメツは、王宮を追われ行方知らずとなっていた。それから15年。人々のさまざまな思惑が交錯し、またもジパングリに不穏な風が吹き始める……。パワフルでハイクオリティなダンスとJ-POPを融合させることで、ダンスという枠組みを大きく飛び越え、どんな世界観や物語をも舞台上に創出してきた梅棒。そんな彼らにとってもこの『曇天ガエシ』は、これまでで最も多層的なストーリー、キャラクターを有する一作となった。これまでであればどこか力技で突き進んでいたような部分も、それぞれの心情をしっかりと観る者に伝え、繊細な人間ドラマへと昇華させていく。そこに彼らが積み上げてきた経験値と成長、さらに自信を感じた。ストーリーの中心となるメツを演じるのは、本公演への参加は『ピカイチ!』『超ピカイチ!』以来の参加となる、「w-inds.」の千葉涼平。その小柄な体からは想像出来ないほど迫力のあるブレイクダンスを見せたかと思えば、憂いを帯びた表情がメツの切ない胸の内を語る。作品に芯を与える存在の彼が、梅棒メンバーから全幅の信頼を寄せられているのも納得だ。一方、梅棒初参加となるのは鳥越裕貴。2.5次元から小劇場までお手のものの鳥越だが、梅棒の舞台でもそのダンスセンス、演技力は健在。さらに彼の愛らしい人間性が、作品自体にも温かみを加えていた。加入から3年ですっかり梅棒の中心的メンバーとなったのは、多和田任益。長身を生かしたダイナミックな動きと、指先にまで神経を行き届かせる繊細さ。表情、そして体全体を使い、この複雑な役どころを体現してみせた。また元「東京ゲゲゲイ」のMIKUに、“バブリーダンス”の生みの親であるakaneや、宝塚歌劇団出身の音くり寿。“鉄棒エアダンス”を開拓した上西隆史に、ポールダンサーとしても第一線で活躍するIGなど、誰ひとりとしてキャストの個性が被らないのも梅棒の魅力。しかもそれだけの個性が集いながらも、悪目立ちすることなく、最高の化学変化となっているのは、4回のカーテンコールとスタンディングオベーションが物語っていた。取材・文:野上瑠美子
2023年03月13日