チケットぴあがお届けする新着記事一覧 (83/342)
日本オリンピック委員会(JOC)が、オリンピック・ムーブメントの推進を目的に1997年より毎年開催しているオリンピックコンサート。スポーツと文化の融合をかたちにした、オリンピック映像とフルオーケストラが競演するという唯一無二のコンサートだ。毎年、東京などで開催し好評を博してきたが、2020年は1月~4月にかけ「プレミアムサウンドシリーズ」として、東京、名古屋、広島、大阪、仙台、札幌の全国6都市、その各地を代表する計7つのコンサートホールでの開催が決定した。【チケット情報はこちら】いよいよ開催まで1年を切った東京2020大会。オリンピックはいつの時代も、アスリートはもちろん、世界中の人々の心を揺さぶり続けてきた。今回のコンサートは“輝く夢に向かって”をテーマに、オリンピックをめぐる数々のドラマを、映像とフルオーケストラの響きでお届けする。コンサートのナビゲーターは、自身も競泳選手として、過去2回のオリンピックへ出場したオリンピアンであり、現在は俳優として活躍する藤本隆宏。2012年から9年連続で、今回のシリーズでもナビゲーターをつとめる。公演にはオリンピックという夢に挑み続けたオリンピアンも参加予定。また、公演各地の合唱団が、このコンサートでは恒例となった「オリンピック讃歌」にこめられたオリンピック精神を高らかに歌い上げる。<公演プログラム>第一部・オリンピック東京大会ファンファーレ(今井光也)・オリンピック・マーチ(古関裕而)・歌劇「運命の力」序曲(ヴェルディ)・映画「E.T.」から”地上の冒険”(ジョン・ウィリアムズ)・歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲(グリンカ)第二部・喜歌劇「天国と地獄」序曲(オッフェンバック)※札幌以外の6公演・交響曲第2番第3楽章(ラフマニノフ)※札幌公演のみ・オリンピアン等によるトークコーナー~輝く夢に向かって※参加者は後日発表。・幻想序曲「ロメオとジュリエット」から(チャイコフスキー)・映画「ミッション」からメインテーマ(エンニオ・モリコーネ)・オリンピック讃歌(スピロ・サマラ)ほか公演は2020年1月11日(土)~4月4日(土)にかけて札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島の6都市・7会場で上演される。
2019年10月11日株式会社日本取引所グループ(JPX)によるクラシックコンサート「JPXコンサート2020」が2020年3月25日(水)に東京・オーチャードホールで開催される。【チケット情報はこちら】JPXは東京証券取引所、大阪取引所等を運営しており、このイベントは、取引所利用者への日頃の感謝の気持ちを示すとともに、取引所をより多くの人達にもっと身近に感じてもらいたいという思いから毎年開催。今回は初めてチャリティー形式として実施し、チケットの売上金は、社会貢献活動の支援として寄付される。演目は、第一部がブラームス作曲のヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77。第二部がドヴォルザーク作曲の交響曲第9番 ホ短調「新世界より」作品95。誰もが1度は耳にしたことのある作品で、クラシックに馴染みがなくとも楽しめる選曲となっている。指揮は、2011年から2019 年3月まで名古屋フィル正指揮者をつとめていた円光寺雅彦。東京フィル指揮者、仙台フィル常任指揮者、札幌交響楽団正指揮者を歴任し、国内のほとんどのオーケストラに客演している。海外での実績も多く、プラハ響定期演奏会、BBCウェールズ響、ベルゲン・フィル、フランス・ブルターニュ管弦楽団に客演。深い音楽性と的確な指揮で、多くの聴衆を魅了してきた。ソリストに迎えるのは、ヴァイオリニストの千住真理子。2歳半よりヴァイオリンをはじめ、12歳のときにNHK交響楽団との共演でデビュー。コンサートが開催される2020年は、デビュー45周年となる。2017年にはブラームス没後120年記念「ドラマティック・ブラームス」をリリースし、スーク室内オーケストラと全国ツアーを行って好評を博した。管弦楽を担当するのは、新日本フィルハーモニー交響楽団。『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』『崖の上のポニョ』などのスタジオジブリ作品でも管弦楽を担当した団体で、今回も壮大かつ繊細なサウンドを奏でる。春の夜、一流の演奏者によるすばらしい音楽に心ゆくまで酔いしれたい。取材・文:MUTA HARUKA
2019年10月10日創立40周年を記念する劇団スーパー・エキセントリック・シアター(SET)の第57回本公演、ミュージカル・アクション・コメディー『ピースフルタウンへようこそ』の開幕が迫る。初日を4日後に控えた稽古場を訪れると、座長・三宅裕司に小倉久寛をはじめとする劇団員が通し稽古に臨んでいた。【チケット情報はこちら】劇団の新たな門出として、三宅らが選んだテーマは“幸福度”。高級住宅街・青金台(あおがねだい)と、寂れた素裸無町(すらむちょう)の対照的な2エリアに暮らす住民たちの交流を通じて、本当の幸福や平和・あるべき人間の姿が語られる。青金台に引っ越してきた、小倉演じる志賀内吹京(しがない・ふきょう)一家は、故郷の素裸無町を再興しようと目論む。三宅扮する青金台の住人にして東京都巷(ちまた)区長・超富裕層(ことみ・ゆうぞう)らは彼らを快く迎え入れるものの、街に重大な秘密を隠していた──。タイトルの冠に“ミュージカル・アクション・コメディー”を標榜するように、劇中にはこの3要素がバランスよく散りばめられている。平和で治安がよく、オシャレな街としてセレブリティが多く住む青金台の日常は、住民による朗らかなミュージカルナンバーで展開。青金台・素裸無町・行政の三つ巴となる抗争シーンでは、バットや傘を振り回す激しいアクションが繰り広げられた。真摯なテーマを据えながらも、SETらしいギャグ満載のコメディーは健在。プレイングマネージャーとして演出席とステージ上を行き来する三宅と、彼の盟友といえる小倉が主にその側面を担う。三宅の挑発に乗って小倉がコミカルな一芸を見せると、脇で見学しているキャストやスタッフから大きな笑い声が上がるひと幕もあった。練りあげられた笑いながら、アドリブとも台本ともつかないこの絶妙な掛け合い、ぜひ劇場で楽しんでほしい。公演は10月11日(金)から27日(日)まで、東京・サンシャイン劇場にて。その後、11月8日(金)・9日(土)に愛知・穂の国とよはし芸術劇場PLAT、11月13日(水)・14日(木)に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールと巡演する。チケット発売中。なお東京公演のみ、サンシャインシティプリンスホテルの「カフェ&ダイニング シェフズパレット」で行われるハロウィーンスイーツフェアとコラボした“S席スイーツブッフェ付チケット”が販売中。取材・文:岡山朋代
2019年10月09日歌舞伎の演出家で振付師の藤間勘十郎が演出を手掛ける音楽劇『ハムレット』(作:ウィリアム・シェイクスピア)が10月22日(火・祝)に開幕する。主演・ハムレット役を務める韓国の人気ボーカルユニットCROSS GENE(クロスジン)のキム・ヨンソクに話を聞いた。【チケット情報はこちら】「シェイクスピア作品は初めてで、むちゃくちゃドキドキします!」と日本語で語ってくれたキム。本作への出演を「とても光栄です。『ハムレット』は俳優なら誰でもやりたい作品ですよね。僕は、シェイクスピア作品の中でも『ハムレット』が一番好き」と喜ぶ。本作で特に楽しみにしていることは「やっぱり音楽。『ハムレット』の重いストーリーも、音楽で届けることで、お客さんに届きやすくなるんじゃないかと思うので」。その音楽に演出を手掛ける藤間勘十郎ならではの発想で、生演奏の和楽器の鳴物を加えた上演になるという。「特に心配はしていないです。僕は音楽が大好きだし、自信もありますから。キム・ヨンソクならではの歌を届けられたらと思います」日本では数本の舞台に出演。「シェイクスピア作品はもともと台詞が多いですし、日本語の発音やイントネーションが難しいだろうなと思っています」と明かしながらも、それでも出演を決めた理由は「挑戦です」と笑顔。「僕は俳優として、韓国と日本を行ったり来たりできるようになりたいと思っています。そしていつかはブロードウェイにも出たいです」と言うキムだが、今年8月の日本での舞台(『マイ・バケットリストSeason5』)での経験は「正直言うと大変でした。台詞を覚えるのも一苦労ですし、発音を間違うと相手に届かない。すごく苦労しましたね。でも、公演が終わって、韓国に帰ったら、『もっと成長したい。もっと上手になりたい』と思ったんです。“もう嫌だ”とは全く思わなかった。だから次はもっとレベルアップした僕の姿を見せたいと思っています」。そういう志もあり、実はこのインタビューでも、通訳者は同席していたのだが、基本的にはキムが日本語で話してくれた。舞台で大切なのは「チームワーク」だそう。「皆さんとは初共演ですが仲良くなりたい。チームワークは客席に伝わりますから。ハムレットは寂しい人だし、辛い思いをする役で、僕は役を引きずりがちですが、稽古の休憩時間は『珈琲をどうぞ』と言って(笑)、仲を深めたいです」。がんばれるのは「お客様の反応がもらえるから」。「それが俳優としても歌手としても命です」と明かす彼が主演を務める音楽劇『ハムレット』は、10月22日(火・祝)から25日(金)まで東京・天空博劇場にて上演。
2019年10月09日戦後日本を代表する劇作家・小説家の井上ひさしが、『蟹工船』の作者・小林多喜二を描いた『組曲虐殺』。2010年にこの世を去った井上ひさしの最後の戯曲であり、存命中だった2009年の初演時に数々の演劇賞に輝いた本作が、2012年の再演を経て3度目の上演を迎えている。井上ひさしをよく知る栗山民也の演出と、初演時に役者として大きく脱皮した井上芳雄の主演、さらに著名なジャズピアニスト小曽根真の音楽担当は変わらず。そこへ上白石萌音や土屋佑壱が初参加、新たな装いで井上ひさしの“遺伝子”を伝える。9月上旬に訪れた稽古場の様子から、本作の魅力をお届けしよう。【チケット情報はこちら】物語は昭和初期、29歳で生涯を終えた多喜二の、最後の2年9か月を描く。子供の頃から貧しい人々を見てきた多喜二(井上)は、言葉の力で社会を変えようと、プロレタリア文学を書くようになる。『蟹工船』が検閲を受けるなど特高警察に目をつけられ、治安維持法違反の名目で逮捕・監視されるようになる多喜二。それでも以前と変わらぬ穏やかさをもって活動を続ける多喜二を心配し、姉のチマ(高畑)や恋人の瀧子(上白石)は、しばしば彼のもとを訪れる。多喜二の同志・ふじ子(神野)に瀧子がやきもきし、刑事の古橋(山本)と山本(土屋)も多喜二の人柄に魅せられていくなか、ついに“その日”がやってきて……。稽古場に入ると、そこには無造作な髪にカーキ色のシャツ、サンダルばきの井上の姿が。その表情と佇まいは見慣れたミュージカルスターではなく、多喜二に魅入られ没頭する、いち役者のそれだ。この日はまだ“本読み”だったが、その段階から小曽根がピアノで生演奏をつけていくのが本作のスタイル。“本読み”が始まると、小曽根は劇伴だけでなく、演者の声の強弱や音楽とのタイミングにも指摘を入れていく。栗山の演出も受け、井上はすぐに別の歌い方をやってみせる。隣で聞いていた上白石が、必死に井上に食らいついていく。井上の成熟と上白石のポテンシャル。すかさず高畑と神野らが陰影豊かな表情とセリフ回しで呼応すれば、小曽根のピアノもますます色を帯びてゆく。それはまさに、クリエイトの現場だけがもつ熱気だった。井上ひさしの作品らしく、軽妙な笑いと心が温まるシーンは本作でも健在。だが物語を貫いているのは、紛れもなく、不条理な力に対する抵抗だ。経済格差が進むなか、2008年に何度めかの『蟹工船』ブームがあったことは知られているが、井上芳雄は今回特に「今の時代のことを書いているのかと思えるくらい、内容がリンクしていて怖い」と感じたという。“本読み”の合間の会話では、栗山から「ワーキングプア率が上がるばかりの日本。この物語と今は変わらないんだよ」という言葉も聞かれた。そんな時代だからこそ「人間の大きさや、娯楽小説も読んだりするところが好き」と演じる井上が言う温かな多喜二の姿が、じわりと心にしみる。2019年の今、改めて味わいたい舞台だ。取材・文:佐藤さくら
2019年10月09日音楽監督の英国人指揮者ジョナサン・ノットが任期7シーズン目を迎える2020年度の東京交響楽団(東響)。すでに9月に発表されていた来季ラインナップについて、ノットも出席して記者会見を開いた(10月8日・ミューザ川崎)。【チケット情報はこちら】「これまでのシーズンを振り返り、そしてこれからの7年間を見据えて、私にとって大事なものをミックスして、ひとつに結晶させたようなプログラムを組んだ」(ノット)そのハイライトは2020年10月のワーグナー《トリスタンとイゾルデ》で決まりだろう。昨年まで3年連続で上演して好評を得たモーツァルトのダ・ポンテ三部作に続く、演奏会形式でのオペラ上演となる。東京定期(サントリーホール)と川崎定期(ミューザ川崎)で、第1幕と第2&3幕に分け、それぞれ中5日で上演する。じつはノットは息子さんに「トリスタン」と名付けたというほど、思い入れの強い作品なのだ。ノットは、この演奏会形式というスタイルが大好きなのだと語る。「オーケストラと歌手がステージ上でやり取りしてひとつの音楽を作り出せるのはとてもエキサイティング。ひとつだけ問題は音量。ピットよりも抑えて演奏しなければならないので、難しい技術が求められる。しかし東響は、深みのあるmfやmpで、見事に歌手と対峙することができる。そこから生まれる、音量ではないパワーをを楽しんでいただけると確信している」題名役のトリスタンにブライアン・レジスター(テノール)、イゾルデにリサ・リンドストローム(ソプラノ)という、ワーグナー歌手として注目を集めるふたりを招聘する。演出がカウンターテナーの彌勒忠史というのも注目ポイント。声楽ファンには、2020年4月のウォルトン《ベルシャザールの饗宴》も見逃せない。合唱はノットが「この合唱に自信がある」と信頼を寄せる東響コーラス。日英交流年(UK in JAPAN 2019?2020)のスペシャル・プログラムで、十八番の英国音楽に、いまや日本を代表する藤倉大を組み合わせた。藤倉は英国在住。ノットとも周知の友人だ。同じ4月には、継続中のベートーヴェン交響曲シリーズが完結する。交響曲第2番にストラヴィンスキー《カルタ遊び》と、酒井健治のヴァイオリン協奏曲(独奏=辻彩奈)を組み合わせたプログラムも、ノットの面目躍如。邦人作曲家でいえば、ノットが矢代秋雄のピアノ協奏曲(独奏=小菅優)を振るのは実にうれしい(2020年11月/ブルックナーの交響曲第6番と)。客演指揮者陣も多彩。イタリア若手三羽烏のひとりミケーレ・マリオッティや、昨年東響で日本デビューのマキシム・エメリャニチェフ、2度目の定期登場のリオネル・ブランギエ、そして今年9月のブザンソン国際指揮者コンクールの覇者・沖澤のどかなど、中堅から新人まで若い力の積極的な起用も、近年の東響の勢いを感じさせる。楽しみなラインナップの全貌は、ぜひ楽団のホームページでご確認を。取材・文:宮本明
2019年10月09日幼なじみの男女が半世紀にわたってやりとりした手紙の朗読劇『ラヴ・レターズ』。日本初演から30年目を迎える今年、黒柳徹子が初出演することになった。「黒柳徹子スペシャル」版として相手役を務めるのは、高橋克典、筒井道隆、吉川晃司の3人。初日を前にした10月7日、報道陣向けのフォトコールが行われ、黒柳と高橋、演出を務める藤田俊太郎が取材に応じた。【チケット情報はこちら】米国の作家A.R.ガーニーによる朗読劇で、ニューヨークで1989年に初演。日本では90年に初演され、故・青井陽治の翻訳・演出のもと、数々の俳優たちが舞台に立ってきた。2017年12月から、青井の遺志を受け継いだ藤田が演出を担当している。舞台上には、テーブルと二脚の椅子。並んで座った男優と女優が、手にした台本を読み上げる。極々シンプルな舞台だが、それゆえに役者の個性と能力がありありと発揮され、観客はどんどんと物語に入り込んでいく。この日のフォトコールでは、アンディ(高橋克典)とメリッサ(黒柳徹子)が大学生になり、初めてホテルに行って、結ばれるチャンスを迎えるも、なかなかうまくいかないという場面が公開された。短いシーンではあったが、黒柳も高橋もひとつひとつの手紙にしっかりと思いを込めて、言葉を紡いでいた。初日を前に心情を問われた黒柳は「ものすごくワクワクしています」。およそ50年にわたる手紙のやりとりを通じた朗読劇だが、「すごくロマンチックな内容で、いいなと思います。手紙をもらうのはすごく好き」とほほ笑む。「残念ながら、人とラヴレターのやりとりをしたいい思い出はあまりない」と話しながらも、若い頃にもらったラヴレターの冒頭に「蒸かしたてのサツマイモのような貴方へ」と書かれていたことを明かし、「今思うと結構いいなと思うのですが、当時はムッとして、返事はもちろん書きませんでした」などと、自身の思い出を語った。共演する高橋は「緊張していますが、(座ったままで演技をするという)制限や抑制のある中で表現していくことに、とてもやりがいを感じています」と気合十分。演出の藤田は「手紙を通して、魂が交流する瞬間をお客様に早くみていただきたい。ワクワクして、興奮した気持ちでいっぱいです」と話していた。東京公演は16日(水)まで、EXシアター六本木にて。大阪公演は10月18日(金)~20日(日)、森ノ宮ピロティホールにて。11日(金)と19日(土)の終演後には黒柳徹子のトークショーが予定されている。チケット発売中。取材・文・撮影:五月女菜穂
2019年10月09日藤原竜也、鈴木亮平らが小学生を演じる舞台『渦が森団地の眠れない子たち』が10月4日(金)~20日(日)に新国立劇場で上演されている。脚本は劇団モダンスイマーズの蓬莱竜太の書き下ろし。子どもの目線から「団地」という閉鎖的な世界と、そこで起こる様々なドラマを群像劇として描く“団地大河ドラマ”だ。【チケット情報はこちら】渦が森団地の外から引っ越してきた、小学生の田口圭一郎(鈴木亮平)。母からは「この団地に住む親戚とは関わるな」と言われていた。それでも偶然出会ったいとこの佐山鉄志(藤原竜也)と親友になり、いつも遊ぶようになる。しかし、ある事件があり……37歳の藤原と鈴木をはじめ、大人の俳優が小学生を演じることに、演劇の醍醐味がある。藤原の出演が決まった当初、蓬莱が「演劇で竜也君と遊べないかな」と考え、小学生という設定にしたそうだ。子どもはいつも全力だ。遊ぶ時も、泣く時も、嘘をつく時も100%。主演のふたりも会見で「子どもの時はこんなふうに声をあげて泣いてたな」など振り返る。舞台上での彼らは、身体も声もしっかり大人だけれど、小学生に見える。むしろ彼らが大人だから、子どもの世界と大人の観客を繋いでくれている。団地の「キング」である鉄志は傍若無人だ。親分のように仲間を守ろうとするかと思えば、暴力的にも振る舞う。しかしひとつの事件をきっかけに、圭一郎がキングの座を脅かす存在に。対立するのは、親友だからか、血縁だからか……周囲の子ども達も戸惑うなか、キング争いは過激さを増していく。蓬莱作品は勢いがあり笑いも多い。同時に、人間の弱さをえぐり出す。客席で大笑いした後、ふと「あれ、これ笑えることなのかな」と背筋が寒くもなる。鈴木が「子どもの世界も大変。パワーバランスがある」と言うように、子ども社会にもルールがある。その中に、子ども達の不安定さが見え隠れする。しかし同時に、“大人”を演じる奥貫薫と木場勝己にも、表に出さないフラストレーションがあることが描かれる。大人も、子どもも、鬱屈した思いを抱えているのだ。ステージ上、『渦が森団地』の中心にぐるぐると渦巻かれた舞台美術に、全員が飲み込まれそうに錯覚する。しかし、子どもの世界の外に大人の世界があるように、『団地』の外にはもっと広い街がある。どうしようもなく大きな世界に影響されながらも生きなければいけないのだと、キングを巡る攻防を通して子ども達が教えてくれる。取材・文・撮影:河野桃子
2019年10月09日サンミュージックに所属する若手男性俳優11人で構成されるユニット「SUNPLUS」の第1回舞台公演「SUMMER BAZAAR ~夏の終わり~」が10月18日(金)に開幕する。その稽古場に潜入した。【チケット情報はこちら】脚本を宮本武史、演出を赤澤ムックが手掛ける本作は、メンバーのために書き下ろされた会話劇。舞台は男子校の寮。夏休みが始まり生徒たちは実家に帰省するなか、居残った生徒数名が、寮の伝統行事「サマー・バザー」に駆り出される。そのなかで、登場人物それぞれが抱える不安や悩み、そして一歩を踏み出すまでの葛藤が描かれるストーリー。それぞれ演じるのは、井澤巧麻、佐伯亮、佐奈宏紀、谷水力、山形匠が高校2年生の役。平野宏周、丸山隼が教師の役。水田達貴が寮の管理人の孫の役。野口準が井澤の弟役、三井理陽が佐奈の親戚役、そして蒼木陣が谷水の兄役だ。取材日は、稽古が始まって一週間ほどたった頃。2015年に結成し、長らく活動してきたメンバーは、休憩時間の和やかな様子からもチームワークの良さが伝わってくる。稽古開始するまで、それぞれ台詞の読み合わせをしたり筋トレをしたりと楽しそうだったが、赤澤の呼びかけで芝居が始まると空気は変わった。若手俳優のユニットが演じる男子校の寮の話…というとまずは爽やかで楽しい青春ものをイメージしがちだが、本作はけっこうな重さを持つストーリー。生徒たちは家族との不和や、過去のトラウマ、DVなどさまざまなものを内に秘めたまま、寮で過ごしている。クラスも違い、そこまで仲がいいわけでもないという彼ら。しかし、個室のエアコンが壊れたことによって広い部屋で寝泊まりすることになって、物語は動き出す。ふとしたやり取りの中でも、抱えた事情が見える人、見えない人、ふと見え隠れする人など、それぞれの性格と背景を丁寧に表現していくキャスト達。そこに赤澤が「もうちょっと感情隠せる?」「その芝居だとこういう関係性が見えない」と調整を入れていく。まだ稽古は始まったばかりだが、辛いDVシーンなども遠慮なく芝居できているのだろう。生々しく、観ていて引き込まれた。このメンバーだからこそ深まっていくものが、これからたくさんあるのだろうと感じさせる稽古場だった。メンバーの中でも若い平野が先生役を務めたり、佐奈がやたらとモテる役だったり、どんな部分がどう生かされているかを想像するのも楽しそうだ。そんなSUNPLUS第1回公演「SUMMER BAZAAR~夏の終わり~」は10月18日(金)から27日(日)まで東京・新宿村LIVEにて上演。取材・文:中川實穗
2019年10月09日三田誠のミステリー小説が原作の『ロード・エルメロイII世の事件簿』が音楽劇として舞台化される。主人公ロード・エルメロイII世を演じる松下優也、その内弟子グレイを演じる青野紗穂、そして総合演出を手掛けるウォーリー木下に話を聞いた。魔術の世界を舞台に、ロード・エルメロイII世(松下)とグレイ(青野)が、幻想的で悲愴な事件に立ち向かう物語。ロード・エルメロイII世は「ビジュアルのイメージからはギャップのある、意外と人間味もあるキャラクターです」と松下。グレイは「師匠(ロード・エルメロイⅡ世)のことがすごく好きで、しかも気が利く子ですよね。私も最初は近寄りがたい印象を受けたのですが、今はふたりとも意外とおっちょこちょいで、親しみのあるキャラクターだと思っています」と青野。総合演出として作品に関わるウォーリー(演出を手掛けるのは元吉庸泰)は「今回は、魔術が出てくるファンタジー作品だからこそ引き受けたところがあります。僕は“演劇なら、なんでもできる”と思っているのですが、その“なんでもできる”を証明するために、こういう、演劇にするにはハードルが高い原作を具現化していけたらいいなと思っているので」と明かし、さらに内容についても「とても詩的な台詞が多い作品ですが、詩ってわからないけど面白かったりする。この作品も、声や音、言葉などいろんなものでイメージが膨らんでいくようなものにできたら面白いと思います。今はほとんどの演劇が現代口語ですが、この作品は全くそうじゃない。こんな台詞の演劇は久しぶりで、どうやって言葉の美しさや豊かなイメージを追求したような作品にできるか楽しみです。そこが“新しい舞台”のとっかかりになっていく」と語った。2.5次元作品には約3年半ぶりの出演となる松下と、初めての挑戦となる青野。青野は「未開の地だからこそ楽しみで仕方がないです」と笑顔をみせ、松下は「まだ『2.5次元』と言われる前からやらせてもらってきた世界。せっかく久しぶりに出演するので、“こういう2.5次元もあるんだ”と思ってもらえるような舞台にできたらいいなと思いますし、それが自分が出させてもらう意味かなと感じています」と意気込む。音楽劇「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -case.剥離城アドラ-」は、プレビュー公演を12月15日(日)に千葉・市川市文化会館 大ホールにて上演後、本公演を12月19日(木)から23日(月)に東京・なかのZERO 大ホール、さらに大阪、福岡を巡演し、2020年1月17日(金)から19日(日)まで東京・新宿文化センター 大ホールにて上演。10月14日(月)23:59までオフィシャル先行を受付中。また、チケットぴあでは10月19日(土)よりいち早プレリザーブ受付予定。取材・文:中川實穂
2019年10月08日京都コンサートホール 大ホールで10月20日(日)に開かれる文化の祭典『時の響2019』の公演に向け、京都市交響楽団常任指揮者の広上淳一、女優の栗山千明、作曲家の酒井健治が京都市内で開かれた会見に登壇し、抱負を語った。『時の響』は、同ホールのロビーで世界文化遺産のアーカイブの展示やワークショップが行われるほか、1階のエントランスでは飲食物も販売。ホール全体がパビリオンに変わる。舞台では第1部で日本とオーストリアの国交150周年を記念して、ロックバンド・くるりの岸田繁が選曲したウィーンにちなんだ楽曲や、岸田によるくるりのヒット曲などがオーケストラとともに演奏される。指揮・ナビゲーターを務める広上は「ホール一帯を散策しながらいろんな芸術や演者の気持ちの響きを味わっていただきたい。岸田さんは才能豊かな温かい音楽を作る方。彼が心の故郷と思っているのがウィーンで、現地でレコーディングしたときに思い付いた楽曲がくるりのヒット曲になっている。その作品を京都市交響楽団と演奏できるのは楽しみです」と話す。第2部では京都で生まれた歴史的エッセイ『徒然草』の243段の中から、哲学的要素が語られた部分を切り取り、栗山が着物姿で朗読するほか、岸田作・編曲の『京のわらべうた変奏曲』を栗山の朗読と交えて上演する。広上は「個人的に栗山さんの大ファンで、今日お会いできて思い残すことはありません(笑)。彼女の朗読とオーケストラの音がどう溶け合い、どう味わいが出るのか」と期待を寄せる。第1部でナビゲーターも務める栗山は「オーケストラとともに朗読するのと、生でライブのナビゲーターは初めてなので、正直不安ですが、来場者の方と一緒に楽しめるように挑みたいです」と応えた。また、この日世界初演されるヴィオラ協奏曲『ヒストリア』を作曲した酒井は「ヴィオラは、演劇でいうと渋いおじさん俳優が演じるオケの引き立て役。そんなヴィオラが一番前に立って演奏し、この楽器のいろんな表情が見られる作品です」と自信を見せた。会見後、ぴあの単独取材に応じた栗山は、「学生のときは『徒然草』は古文というだけで、気後れするような感覚だったんですが、今、改めて読み直すと、人の感情や思うことは時を超えても変わらないんだなと感じました。すごく共感するところがあり、時代を問わず人の心に響く作品です。難しいとは思いますが、オーケストラの音に助けていただいて、美しい日本語を気持ちよく朗読できればと思います。オーケストラはハードルが高いというイメージがあるかもしれませんが、ライブという感覚で音を楽しむことに変わりはない。気軽に来ていただきたいですね」と話した。公演は10月20日(日)、京都コンサートホール 大ホールにて。チケット発売中。取材・文:米満ゆうこ
2019年10月08日9月7日(土) 渋谷clubasiaにて、【ロックヒロインFESTIVAL #02】が開催された(通称:ロクヒロ)。「メンバーの中に1名でも女性がいること」を出演条件とし、今回は新進気鋭の8組が出演した。ラインナップを見た関係者が「よくここまで攻めた女性Voバンドを集めたものだ…」と漏らしたほどの面子だけあり、Sold outまであとわずかという満員ぶりであった。【チケット情報はこちら】トップバッターはAmiliyah。スクリーンを利用した映像と演奏がマッチし、モンスターと姫の世界観を壮大に表現、会場を魅了した。2番手はHALORING。今回のライブが解散ライブになるという彼らは、確かに爪痕を残すようなヒリヒリとした演奏と歌声を披露。公演後は物販のCDが完売したという。続いてDISACODE。女性ファンも多い彼らは、みんなで一緒に楽しめる振り付けなどをライブに取り入れながら、一気に会場をロックで陽気な雰囲気に染め上げた。4番手はSOUNDWITCH。ロクヒロのために大阪より遠征してくれた彼らは現メンバーとなり初の東京公演だという。EDMとハードコア音をMIXしたダンスサウンドで、会場が大きく揺れた。折り返し地点は主催バンドであるexist†trace。性別を超えたヒロインたちの世界観に会場は酔いしれ、キャッチーかつメッセージ性の強い歌詞に会場中が全身を揺らして応えた。6番手はLAPiS LiGHT。ヘヴィな演奏にハイトーンヴォーカル、更にヴァイオリンが加わった唯一無二のサウンドに、照明や衣装も揃えて世界観を演出。会場は妖艶な世界へと誘われた。トリ前はsylph emew。活動休止を経てパワーアップした彼らは、滋賀より遠征、かなり久しぶりの東京公演だという。キャッチーなエモチューンに艶やかなヴォーカルが重なり、会場が沸いた。大トリは主催バンドであるLAST MAY JAGUAR。エモーショナルなロックサウンドに突き抜けるハイトーンヴォーカルが合わさり、イベント終盤にもかかわらず会場中が拳を上げ、踊った。ラストMCでは「みんなの大事な場所を作って、守って、みんなと大好きな音楽を感じていく。それがLAST MAY JAGUARの役割だと思っています。これからもよろしく。」とイベントを続ける強い意志を語った。第三回目も同じ渋谷clubasiaにて12月21日(土)に開催されるという。年末の疲れを忘れさせてくれるアツいイベントになること間違いない。
2019年10月08日藤原竜也と鈴木亮平という“同級生コンビ”が舞台で共演するのは、本作『渦が森団地の眠れない子たち』が実に10年ぶり。さらに作・演出は、人間ドラマを真っ向から描く骨太な作風で、岸田國士戯曲賞を受賞するなど高い評価を得ている劇作家・演出家の蓬莱竜太。となれば、タイトルから想起するようなチャイルディッシュな内容で終わるはずもない。9月上旬、その気になる内容を確認すべく、稽古が始まったばかりのスタジオを訪れた。【チケット情報はこちら】稽古場に入ると、キャストたちが“本読み”(台本を見ながらセリフを読む)の真っ最中。しかし藤原や鈴木をはじめ全員が、まるで“立ち稽古”のように声を張り、表情豊かに会話するさまが圧巻だ。同じ団地に住む小学生という設定の佐山鉄志役・藤原と田口圭一郎役・鈴木にしても、ことさら“子供らしく”演じている様子はない。頭の回転が早く、圧倒的な力で周りの人間を掌握してゆく鉄志と、そんな鉄志たちを一歩引いて見ているかのような圭一郎。それはそのまま大人の縮図だが、時折見て取れる短絡的な行動は、彼らがまだ“子供”である証拠だ。ギャップは笑いを生みつつ、ゾッとするような怖さも含んでいて……。短い時間ながら、思わず引き込まれる稽古場見学となった。稽古後のインタビューには藤原と鈴木、蓬莱が参加。やはり気になるのは、蓬莱が“あて書き”として、藤原と鈴木を子供に設定した点だ。藤原と飲み仲間という蓬莱は「藤原さんが時々見せる子供っぽさが、僕は面白いなと感じていて。それと対比する意味でも、鈴木さんにはもともとの誠実性は保ちつつ、小さな罪を犯してしまうような役を演じてもらいたいなと。それでこういう設定になりました」と語る。藤原は「せっかく子供の頃の苦い思い出を掘り起こして蓬莱さんに2時間ほど語ったのに、全然採用してくれなかった……」と笑わせながらも、「“あて書き”というのは僕たちにとってぜいたくなこと。大きなチャンスでもあるので、蓬莱さんの期待に応えていきたい」と意気込む。鈴木もうなずきながら、「蓬莱さんの観察眼がすごいと思うのは、圭一郎が経験したことって、僕自身も確かに覚えがあるんですよ。子供の頃って苦しいこともいっぱいありましたよね。そんな生々しい気持ちと向き合って、きちんと演じなければと思っています」と話した。多くの舞台に出演してきた藤原だが、蓬莱自らの演出を受けるのは今回が初めて。「すごく新鮮だし、楽しいです。一緒にモノづくりをしていると、改めて演劇って大事だなと思うし、“ホームに戻ってきたな”という気持ち」と充実の表情だ。鈴木も「蓬莱さんは台本も演出もすごく繊細で緻密で、しかも面白い。蓬莱さんの色に染まれることが幸せだなと感じています」と語る。キャスト・スタッフともに盤石の布陣で贈る本作。その世界観が立ち現れる本番を、楽しみに待ちたい。公演は本日10月8日から20日(日)まで、東京・新国立劇場中劇場にて。その後、全国を巡演。取材・文:佐藤さくら
2019年10月08日池田純矢が作・演出を手掛ける「エン*ゲキ」シリーズ第4弾『絶唱サロメ』が10月5日に東京・紀伊國屋ホールで開幕。開幕前に囲み取材とフォトコール(マスコミ撮影用シーン公開)が行われ、囲み取材には主演の松岡充、豊原江理佳、納谷健、小浦一優(芋洗坂係長)、吉田仁美、池田純矢、鈴木勝吾、シルビア・グラブが出席した。エン*ゲキ#04「絶唱サロメ」チケット情報オスカー・ワイルド作の戯曲『サロメ』を原案に、池田が“LIVE ENTERTAINMENT”として生み出した本作。開幕を前に池田は「自分が書いて、自分が演出しているのですが、もう自分の手からは遠く離れていて、自分自身が毎日感動に打ち震えています。観たことない、こんなのが観たかった!という作品です」と感慨深く語る。主演を務める松岡も「僕は彼(池田)をクリエイターとして尊敬しているので、一緒に新しい楽しいことができるんじゃないかという期待でこの作品に参加しました。彼は『ちょっと怖い…』って思うくらい(笑)、僕のことをすごくわかっていて。僕以上に『松岡充ってこういうところが魅力なんだよ、それをお芝居に当てはめたらこう表現できるんだよ』を計算している。だからあまり目を合わさないようにしています(笑)。俳優人生15年目にして、まだ見ぬところにチャレンジしたいです」と強い意気込みを語った。豊原は「最初に台本をいただいたときから、特別で大好きな作品です」、納谷は「稽古段階から目指す場所に果てがなかった分、初日を迎える不安はありますが、やってきた稽古を信じてがんばりたいです!」、小浦は「僕が演じる首切りナーマンはとにかく(松岡演じる)ヨカナーンをいたぶりつくす役です。お客様を恐怖のどん底におとしいれたいと思います!」、吉田は「劇場におさまりきれない思いを届けられたらと思って、ワクワクで爆発しそうです!」、鈴木は「この役とこの世界のリアリティの中で、お客様に届けられる芝居をできたら」、シルビアは「この劇場のサイズに皆さんがおさまるかが心配ですが(笑)、ぜひぜひ楽しみにしていてください!」とそれぞれコメントした。フォトコールではいくつかのシーンを抜粋して公開。松岡演じる預言者・ヨナカーンがもたらす不思議な力“ヴォイス”を巡るストーリーの中で、松岡をはじめ、豊原や鈴木、そして小浦も歌唱を披露する。和田俊輔が手掛ける音楽、芝居、そして美しい衣裳やセットも含め、本作ならではの『サロメ』。ぜひ劇場で堪能してほしい。エン*ゲキ#04『絶唱サロメ』は、10月13日(日)まで東京・紀伊國屋ホール、10月26日(土)・27日(日)に大阪・サンケイホールブリーゼにて上演。チケットは発売中。取材・文:中川實穗
2019年10月07日草刈民代と高嶋政宏による二人芝居の舞台『プルガトリオーあなたと私のいる部屋ー』が10月4日(金)から東京芸術劇場・シアターウエストで開幕した。バレリーナとして一世を風靡し、女優としても活躍を見せる草刈が初めて企画した舞台。アーツ・カウンシル・ロンドンの総監督や、英国王立演劇アカデミーの校長を務めた経験を持つ英国の演出家ニコラス・バーターが演出、草刈の夫で、映画監督の周防正行が脚色を担当する。【チケット情報はこちら】原作は、戯曲『死と乙女』や『谷間の女たち』などで世界的に著名なチリの劇作家アリエル・ドーフマンによる二人芝居。ギリシャ悲劇『王女メディア』と、ジャン=ポール・サルトルの『出口なし』をモチーフに、人間の愛憎、容赦をテーマとした濃密な1組の男女の物語だ。病室のようにも、刑務所の面会所のようにも見える殺風景な部屋。男(高嶋)と女(草刈)はそれぞれ立場を入れ替えて尋問し合う。そして、会話を通じて、だんだんとふたりの衝撃的な過去が明らかになっていく…。観る側も演じる側も確かに集中力が必要な芝居だが、スピーディーかつスリリングな展開で、ストレートプレイならではの面白さを実感することができるだろう。初日を前にした心情を問われた草刈は「2年ほどかけて準備をしてきたので、やっと幕が上がるなという感じです」。自宅でも草刈は熱心に芝居のことを考えていたらしく、夫の周防は「2年間、しつこかったですね。家に帰るとすぐに“あそこのセリフだけど…”と話し始めて」と笑いつつ、「まさか映画『Shall we ダンス?』で一緒に仕事をしてから、20数年経って、こうして舞台を一緒に作っているとは思わなかったです」と感慨深げだった。本作の見どころについて、草刈は「男女の関係も、バトルの仕方も、全部が濃い。ラテン系の作家だからこそのパッションを感じます。それを日本人がやる面白さ、スピード感を見てほしい」と話し、「日本初演なので、馴染みのないものかもしれないですが、私も高嶋さんもあまり見せたことのない顔を皆さんにお見せできると思います。ぜひご覧になっていただきたい」と語る。また、高嶋は「日本初演ということで、皆さんに最初の証人になってもらいたいです。普段、お芝居を見ない人も、見にきてくれたらすごく嬉しいです」。上演時間は約1時間30分(予定)。公演は10月14日(月・祝)まで。チケット発売中。取材・文・撮影:五月女菜穂
2019年10月07日11月2日(土)大阪城音楽堂にて『FAMTIME!~FAM!FAN!FUN!~(以下、FAMTIME!)』が開催。イベント名には、ファミリーの略語のFAM、アーティストや音楽好きのFAN、そしてその両方が集まって楽しむFUN、という3つの意味が込められている。音楽を通して、大人だけでなく子どもとも“みんなで一緒に”楽しさを共有できる、いつまでも心に残る時間づくりをコンセプトとしており、当日はライブ以外にも多数コンテンツが展開される。「FAMTiME! ~FAM!FAN!FUN!~」チケット情報出演アーティストは、clammbon、PUFFY、tofubeats、Homecomings、neco眠るの5組。タイムテーブルも発表されている。現在チケットは発売中。
2019年10月07日日本初演50周年となるミュージカル『ラ・マンチャの男』の東京公演が10月4日、東京・帝国劇場で開幕した。初演からセルバンテス / ドン・キホーテ役として主演し続ける二代目松本白鸚は、本作品を自身のライフワークと位置づけている。初日前に取材に応じた白鸚は「僕が1番大事に思うのは今ですから。今の『ラ・マンチャの男』が1番愛おしいです」と語った。【チケット情報はこちら】スペインの小説『ドン・キホーテ』を原作とした『ラ・マンチャの男』がブロードウェイで初演されたのは1965年。日本初演は1969年4月から5月で、白鸚(当時は市川染五郎)は26歳という若さだった。70年には、日本人として初めてブロードウェイから招待を受け、名門マーチンベック劇場(現・アル・ハーシュフェルド劇場)にて10週間の主演を果たした。4年ぶりとなる2019年のツアーでは、すでに大阪、宮城、愛知での公演を終えた、帝国劇場で上演される10月19日(土)17時の部で、通算上演回数1300回を突破する予定となっている。舞台は、16世紀末のスペイン・セビリアの牢獄。教会を侮辱した罪で投獄されたセルバンテスは、牢名主に即興劇で申し開きをしようと思い立ち、他の囚人たちを巻き込んで『ドン・キホーテ』の劇を演じ始める…。原作者セルバンテス、彼の芝居の登場人物であるアロンソ・キハーナ、そして彼の狂気が生み出したドン・キホーテという3人の男の物語が重層的に展開。現実と狂気を行き来しながら、「あるがままの自分に折り合いをつけるのではなく、あるべき姿のために闘う」という生き様を貫く姿を描いている。東京公演初日のカーテンコール。観客の鳴り止まぬ拍手に応えようと、白鸚は胸に手を置いて、何度もお辞儀をしたり、観客に向かって手を振ったりしていた。「夢というのは、ただ夢みるだけのものでも、語るものでもなくて、夢を叶えようとする人の心意気だと思う」。そう語る白鸚自身が、きっと誰よりも「見果てぬ夢」を追い求めてきたし、今も追い求めている。その感動的な生き様をぜひ劇場で目撃してほしい。上演時間は約2時間5分(予定)。共演は、瀬奈じゅん、駒田一、松原凜子、宮川浩、上條恒彦ら。東京公演は10月27日(日)まで。チケット発売中。なお、チケットぴあでは東京公演のOVER50向けの企画チケットも発売している。取材・文:五月女菜穂
2019年10月07日10月4日、大阪・新歌舞伎座で日本初演のミュージカル『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』が幕を開けた。田代万里生と平方元基によるふたりだけのミュージカルで、人気短編小説家のトーマスと幼なじみで書店員のアルヴィンとの友情を描いた物語だ。本公演は、それぞれ役を入れ替えて上演する。初日は田代トーマスと平方アルヴィンで始まった。幼なじみアルヴィンの突然の死に際し、弔辞を読むために故郷に帰ってきたトーマス。しかし葬儀が始まるというのに手向けの言葉が全く思い浮かばない。「僕は彼の何を知っていたんだろう…」。トーマスの心にぽっかりと空いた穴に光がさすように、たくさんの本に囲まれた空間とともにアルヴィンが現れる。たくさんの本棚から思い出を取り出し、互いに読み上げる。心、家、街と、少しずつ焦点を変え、内と外を往来しながら彼らの分岐点へと近づいていく。冒頭、冷たい印象のあった大人のトーマス。だがどうだろう、アルヴィンと一緒にいる少年時代の彼はとても柔らかで、純真だ。アルヴィンは無邪気そのもの。風にも雪にも翼にもなれる衣裳も印象的だった。太陽と月のような関係性が、大人になるにつれ変わっていくふたり。田代と平方、それぞれが役を入れ替えた時、この太陽と月という印象すら変わるだろう。それを思うと、ふたりミュージカルというシンプルな構成ながら底知れぬ奥深さも感じられた。透明感のある田代と深みのある平方、双方の歌声も物語とリンクしていた。ふたりでひとつ、その印象はトーマスとアルヴィンそのものだ。情感豊かなソロはもちろん、デュエットでは磁石のようにぴったり重なり合ったかと思えば、ふたりとは思えないほど幾重にも層を描き、うっとりするほど美しいハーモニーを聴かせてくれた。音楽も照明も実にきれいで、特に小雪が舞う場面は、冬の匂いと寒さも感じられるほどだった。スペシャルカーテンコールでは「役を相互に演じるなんて僕たちも信じられませんが、これからたくさんのお客様がパワーを与えてくれると思います」と田代。平方も「毎日、稽古してきて、今日、やっと舞台からお客様の気を感じられてうれしかった」と笑顔を見せた。そして『雪の中の天使』をデュエット、本編とは異なるリラックスした表情で歌っていたのも印象的だった。上演中は出ずっぱり。語り、対話、歌唱と休む間もない。にもかかわらず、初日しかも日本初演の作品とは思えないほどの完成度で魅せた田代と平方。大阪公演を終えて、東京、水戸、名古屋をめぐる。回を重ねるごとにますます完成されていくことを思うと、大千穐楽にはどうなっているのか末恐ろしくもあった。完売していた東京公演も、一部追加席をチケットぴあにて発売中。取材・文:岩本和子撮影:西木義和
2019年10月04日「知念里奈 Premium Concert Vol.1」が、11月20日(水)・21日(木)・22日(金)の3日間、東京・キリスト品川教会グローリア・チャペルにて開催される。【チケット情報はこちら】2017年11月に開催したコンサート「知念里奈 20th Anniversary Memorial Concert」が好評を博し、このたび「知念里奈 Premium Concert Vol.1」の開催が決定。11月20日(水)のゲストにはMay J.、11月21日(木)には春野寿美礼と松下優也、11月22日(金)には濱田めぐみが出演。知念里奈と各ゲストとのデュエットも多数披露予定。高い歌唱力を誇るボーカリストたちだけで構成された極上のアコースティックライブ。チケットの一般発売に先駆けて、先行抽選プレリザーブを実施。受付は10月4日(金)午後6時から9日(水)午後11時59分まで。■知念里奈 Premium Concert Vol.1日程:11月20日(水)~11月22日(金)会場:キリスト品川教会グローリア・チャペル(東京都)出演:知念里奈11月20日(水)19:30 ゲスト:May J.11月21日(木)15:30/19:30 ゲスト:春野寿美礼、松下優也11月22日(金)14:00/18:00 ゲスト:濱田めぐみ料金:全席指定 9,000円(税込)※未就学児童入場不可
2019年10月04日今月10月12日(土)より6年ぶりの来日公演を行う、世界的ボーイズ・グループBackstreet Boys。初のスペシャルアイテムとして、日本を代表する伝統工芸である浮世絵の販売が決定した。2018年に25周年を迎え、全米チャート1位を獲得した最新アルバム『DNA』を引っ提げ、今月10月12日(土)より6年ぶりの来日公演を行う、Backstreet Boys。今回の浮世絵は、江戸時代の浮世絵師、歌川国貞(三代豊国)の代表作「御あつらへ三色弁慶」を参考に、ニック・カーター、 ケビン・リチャードソン、 ブライアン・リトレル、 A.J.、 ハウィーD、5人のメンバーが江戸時代の役者になりきり、まるで、その時代にタイムスリップしたような、モダンな作品に仕上がっている。全世界限定200枚となる非常に貴重なアイテムをお見逃しなく。■浮世絵木版画「Backstreet Boys 裏街路五人衆」[先行予約期間]Backstreet Boys Fan Club Japan プラチナコース会員先行予約:10月4日(金)18:00~10月17日(木)18:00Backstreet Boys Fan Club Japan ゴールドコース会員先行予約:10月7日(月)18:00~10月17日(木)18:00※一般販売は10月18日以降を予定[商品詳細]・「浮世絵木版画 Backstreet Boys 裏街路五人衆」メンバー直筆サイン入り:99,000円(税込)・「浮世絵木版画 Backstreet Boys 裏街路五人衆」サインなし:66,000円(税込)・浮世絵用額縁:20,000円(税込)※額縁はBackstreet Boysオリジナル商品ではございません※額には版画は付いておりません※フレーム:木製額寸:73×38cm
2019年10月04日映画『家族はつらいよ』の山田洋次監督と松竹新喜劇が初タッグ、脚本・演出助手に新喜劇で作・演出の経験があるわかぎゑふを迎え、大阪弁でおくる『大阪の 家族はつらいよ』の誕生だ。『家族はつらいよ』は、昨年1月に劇団新派により東京で舞台化、今年9月には大阪松竹座でも上演し、2か月後の11月に松竹新喜劇版が初お目見えする。大阪・谷町六丁目の平田家を舞台に、長男家族と次男と三世代暮らしの周造と富子夫婦に離婚騒動が持ち上がり…という物語のなか、現代の大阪の家族をユーモラスに描く。また、今回は2本立ての特別公演で、劇団の人気演目のひとつ『舞妓はんと若旦那』も上演。祇園の舞妓と薬問屋の跡取り息子の恋愛模様を描く物語を、劇団の若手3人が初役で挑む挑戦の舞台だ。『大阪の 家族はつらいよ』で、平田家の当主・周造を演じる松竹新喜劇劇団代表・渋谷天外と、次男・庄太役の藤山扇治郎の2人が、11月公演の意気込みを語った。「松竹新喜劇 錦秋特別公演」チケット情報「山田洋次監督に、うちの劇団を演出していただけると聞いて、夢のようです」と天外。映画『家族はつらいよ』に警官役で出演した扇治郎は、今回がわかぎとの初仕事だ。「こういう機会をいただけて、ほんとにありがたいです。でもセリフの量、多いですよね…」。大阪人はよくしゃべる。当然、セリフ量も会話のスピードも新派を超える。「映画がヒットし、新派でもやった。それを大阪の我々がどう料理するか。どうやって膨らまして、お客さんに感動していただけるか、それが私たちの使命。実演で人間のオーラを感じていただきたいですね」。そう意気込む天外だが、物語に自らが私生活で体験した出来事が重なり、身につまされるよう。「男の人が観たら、同じように身につまされて、気付かされるところが山ほどあると思います」。熟年離婚というテーマを入れ、家族の在り方を見せる芝居。扇治郎は「いい作品を残していけるような役者になりたい」と先を見据える。天外が「あと3回は再演したいなぁ。それに監督が続編書いてくれたらうれしいのに」と語れば、扇治郎も「『役者はつらいよ』とか『会社はつらいよ』とか」と重ね、「『私はつらいよ』もね(笑)」と会場の笑いを誘う天外。昔、天外も出演した、松竹新喜劇の名作『舞妓はんと若旦那』にも注目を。「植栗(芳樹)くんが、どれだけいいとこの若旦那の色気を出してくれるか、(成瀬)綾乃ちゃんはどこまで舞妓の可愛らしさを出してくれるか、(渋谷)天笑くんは若い大工のスッとした二枚目をどう演じ切ってくれるか。楽しみです。若手たちの芝居を観てやってください」。公演は11月13日(水)から24日(日)まで、大阪松竹座にて上演。チケット発売中。取材・文:高橋晴代
2019年10月04日今年上演されたミュージカル『ロミオ&ジュリエット』で、鮮烈な舞台デビューを飾った葵わかな。そんな彼女の2本目の舞台が早くも決定、来春開幕する『アナスタシア』で主人公のアーニャをWキャストで演じる。【チケット情報はこちら】連続テレビ小説『わろてんか』でヒロインを務めるなど、若手実力派として知られる葵。だが初めての舞台について、「自分の想像以上にまったくの別ジャンルでした」と、試行錯誤した日々を振り返る。「映像ではカメラがアップを撮ってくれますが、舞台では自分からアップにしないといけない。しかもミュージカルは歌もある分、とても難しくて…。でも映像と違って、感動を誘うような音楽の効果を、ミュージカルでは自分で奏でることが出来るんですよね。もちろんうまく操れるかどうか、という問題はありますけど(笑)。そういう違いを感じた挑戦でしたし、また絶対にやりたいと思ったんです」そんな彼女の次なる挑戦が、この『アナスタシア』。同名アニメ映画から着想を得て制作されたもので、帝政ロシア時代、ニコライ2世の末娘アナスタシアだけが生き延びたとされる「アナスタシア伝説」がもとになっている。「貧しいと思っていた少女が実は皇女で…、というシンデレラストーリーとしても楽しめると思いますし、また衣裳や舞台装置が本当に素晴らしいんですよね。目で楽しむ部分が多い舞台というか。最新のLEDスクリーンが舞台装置で使われている一方、衣裳は昔ながらの、とても重厚なものだったりして。エンターテインメントとしてとても完成された作品だと思います」葵が演じるのは、自らの失った過去を取り戻すため、新たなる一歩を踏み出していく少女アーニャ。「オーディションの時に、演出家の方が“とにかくアーニャは強い子だ”ってことをおっしゃっていたんです。私は普段役に対して“なんで?”ってことを重ねていくタイプなのですが、彼女についてもまずなんで強いのかを考えて、これを大事にしているからだってことがわかったら、その大事なものがアーニャの軸になるだろうなと。そこはぶれないように演じていけたらと思います」世界各国で評判を呼び、今回が日本初演となる本作。そこに葵はある目標を据える。「オリジナルはもちろんリスペクトしつつ、自分たち日本の役者がやる意味を出していけたらいいなと。そして日本の方が観ても親しみが持てるような、感情移入してもらえるようなヒロイン像を目指していきたいと思います」公演は3月1日(日)より東京・東急シアターオーブにて開幕。取材・文:野上瑠美子
2019年10月04日熊川哲也率いるKバレエカンパニー『マダム・バタフライ』が開幕。プッチーニのオペラに熊川独自の目線を加えて送る新作だ。初日のもようをレポートしよう。【チケット情報はこちら】舞台上には、月岡芳年や喜多川歌麿の美人画を思わせる洋装と和装の女性が二重写しになった、オリジナルの幕。実際、和洋の対比は、この作品の大きな特徴となっている。プロローグで、目隠しをした少女の傍らでひとりの武士が短刀で自害する。この少女こそ幼き日のバタフライ。蝶々夫人の父が帝から短刀を下賜されて切腹して娘に短刀を遺し、その短刀で蝶々夫人が自害するというオペラのエピソードを発展させた場面だ。続く1幕1場の舞台は、アメリカ海軍士官学校。卒業を控えた水兵の卵達が、若々しく喜びに満ちた踊りを見せる。教官のピンカートン(堀内將平)が颯爽と登場。敬礼も織り交ぜたダンスが小気味良い。やがて、ピンカートンの恋人のケイト(小林美奈)、さらに色とりどりのドレスに身を包んだ女性達も現れ、男女の踊りの輪が広がっていく。だがピンカートンには長崎行きの辞令が下る。1幕2場は、来日したピンカートンが仲間と遊郭を訪れる場面。小部屋に入った女性達が買い手を待っている。女性達をきびきびととりまとめるスズキ(荒井祐子)。やがて花魁道中が始まった。優美に扇をひらめかせる夜の蝶達の中心にいる花魁(中村祥子)は、憂いを帯びた圧倒的な美しさだ。と、そこにバタフライ(矢内千夏)が飛び出してくる。さくらさくらのメロディで天真爛漫に踊るバタフライに、すっかり魅了されるピンカートン。道化的な斡旋人ゴロー(石橋奨也)の仲立ちで二人の”結婚”が決まり、その場は祝祭モードに。ここまでが、オペラにはない、いわば熊川が創った前日譚だ。2幕以降はオペラをベースに、クライマックスまで、息を呑むような美しく哀しい人間ドラマが展開する。バタフライとピンカートンの結婚式。矢内のバタフライからは、これまで信じてきた宗教を変える戸惑いと、アメリカ人の妻としての誠を捧げようと心を決めるいじらしさが手に取るように伝わってくる。幼馴染のヤマドリ(小林雅也)も祝福するが、バタフライの叔父ボンゾウ(遅沢佑介)はピンカートンに刀を向ける。すると、バタフライがその前に立ちはだかり、さらにあの小刀がボンゾウを止めるのだった。その後のバタフライをいたわるピンカートンとの甘やかなパ・ド・ドゥは感動的。しかしそれは束の間の愛に過ぎず、ピンカートンは帰国。洋装もすっかりさまになったバタフライは、愛の結晶である一子を育てながらその帰りを待つが、彼女を待ち受けるのは悲しい運命だったーー。バタフライが凄絶な覚悟を決めるラストシーンでの、能さながらの舞は必見。なお、この日のレッドカーペットには、三田佳子、コシノ・ジュンコ、斉藤由貴、トリンドル玲奈、デヴィ・スカルノ、瀧川鯉斗も登場。『マダム・バタフライ』世界初演という特別な日を彩った。10月10日(木)~10月14日(月・祝)まで東京文化会館大ホールにて公演。チケット発売中。取材・文:高橋彩子
2019年10月04日村井良大、沙央くらまらが出演するミュージカル『ラヴズ・レイバーズ・ロスト -恋の骨折り損-』が現在、東京・シアタークリエで上演中だ。シェイクスピアの同名戯曲が原作だが、村井曰く「シェイクスピアっぽいところってどこなんだろうなって思う(笑)」ほど現代的にアレンジされた、スタイリッシュかつスピーディに展開するロックミュージカル。オシャレでハイソな美男美女が、恋に振り回され大騒ぎするさまをコミカルに描いている。チケット情報はこちら大学卒業後5年たち、その間放蕩三昧してきた国王と学友たちが「これから3年間は恋愛禁止、ひたすら勉学に身を捧げる」と誓うところから物語は始まる。しかしそこに隣国の王女とその友人たちがやってきて……。オシャレなリゾート風な住宅にバーカウンター、ドレスアップした登場人物たち。キャストはハンドマイク、時にはスタンドマイクを使い、バラエティ豊かな楽曲を熱唱していく。たしかに、シェイクスピアの戯曲に感じる“古典”っぽさは一切ない。最新鋭の“攻めた”ミュージカルだ。若手実力派俳優たちを軸にしたキャスト陣も、それぞれの役柄を楽しそうに演じている。村井良大、渡辺大輔、入野自由、三浦涼介ら男性陣はタキシード姿を粋に着こなす一方で、パジャマ姿などの可愛らしい姿も。沙央くらま、中別府葵、伊波杏樹、樋口日奈ら女性陣は華やかなパーティドレス姿で、目にも楽しい。大雑把に言うと“焼けぼっくいに火がついた”男女らの話だが、ここに大山真志、田村芽実が扮する別のカップルの恋の物語が絡み、見栄を張って素直になれないイケてる男女らが、自分の恋と向き合っていく。劇中、マシンガンが登場したりジープが登場したりパワフルでにぎやかな作品だが、恋に素直になれなかったり、恋しておバカになってしまう若者の姿は、シェイクスピアの時代も現代も変わらないなぁ……と、しみじみ思ってしまう。初日前日には、出演者による囲み取材も。「この舞台、ジープとかジャグジーとか、色々なものが出てきます。何が飛び出すかわからない。今までこういうミュージカルってみたことないなって自分でも思います」(村井)、「ひと場面ひと場面すべて濃厚で笑いがあり、ちょっとホロリとするような場面もたくさんあるので、たくさんの皆さまに楽しんでもらいたい」(沙央)、「稽古も毎日楽しかった」(三浦)、「たくさん面白い人がいっぱい出てきます」(渡辺)、「私たち自身、何回やっても面白くて楽しい」(樋口)と、口々にアピール。会見も笑顔がいっぱいで、キャスト陣のその姿からも、作品の楽しさが伝わってきた。公演は10月25日(金)まで、同劇場にて。チケットは発売中。
2019年10月03日12月14日(土)より東京・東急シアターオーブにて開催される「ブロードウェイクリスマス・ワンダーランド2019」。同公演に女優/フィギュアスケート選手の本田望結のゲスト出演が決定した。【チケット情報はこちら】2016年に日本初演を迎えた「ブロードウェイ クリスマス・ワンダーランド」は、NYで80年以上にわたり親しまれている「ラジオシティー・クリスマス・スペクタキュラ―」に続く“劇場で楽しむクリスマス”として、新たな渋谷の冬の風物詩、東急シアターオーブのスペシャルなクリスマスショー。今年で4年目を迎える。今回、ゲスト出演が決まった本田は、「ブロードウェイ クリスマス・ワンダーランド」を立ち上げ当初から応援サポーターとして盛り上げ、アメリカカンパニーと共にステージを創ってきた。アメリカ人のシンガーたちの生歌に合わせて、ゲストスケーターとしてスケーティングを披露し、観客の皆さんをクリスマスの世界に誘う。本田の出演は12月23日(月)・24日(火)・25日(水)の 14:00公演限定。子供から大人まで楽しめる遊園地のような夢のような空間を、クリスマスに体験できる。本田は、「『ブロードウェイ クリスマス・ワンダーランド』に出演させて頂くようになって、4年目になるのですが、私自身クリスマスを待ち遠しく思うようになりました。今、私の中でクリスマスと言ったら『ブロードウェイクリスマス・ワンダーランド』です。毎年、私が演じさせていただく曲が届くのが楽しみで、何度も曲を聴いてインスピレーションで自分で振り付けを考えています。衣装も、競技用のコスチュームを制作して頂いている衣装さんと相談しながら色やデザインを演目や照明に合うように作っているので、そこも是非楽しみにしていただけると嬉しいです。大人の方も子供の方も楽しんで頂ける『ブロードウェイ クリスマス・ワンダーランド』。皆さまとお会いできるのを楽しみにしています。メリークリスマス・ワンダーランド!」とコメントを寄せている。本日より、同公演に出演するシンガーキャストの写真付きチケットの最終先行販売開始。■「ブロードウェイクリスマス・ワンダーランド2019」日程:12月14日(土)~25日(土)応援サポーター/スケーターゲスト出演:本田望結/MIYU HONDAキャスト:アルフレッド・ジャクソン/Alfred Jackson(シンガー)、サム・ハーヴィー/ Sam Harvey(シンガー)、ジョナサン・ヘラー/Jonathan Heller(シンガー)、ショーンテ・マサール/Shaunte Massard (シンガー)、チャリティ・ファレル/ Charity Farrell(シンガー)、レイチェル・ピーターソン/Rachel Peterson(シンガー)、ジョデイン・ヒギンズ&ショーン・ライス(スケーター)
2019年10月03日演劇ユニットunratoによる舞台『冬の時代』が2020年3月20日(金)より東京・東京芸術劇場シアターウエストにて上演される事が決定した。『冬の時代』は木下順二による戯曲。大逆事件(1910年)以降約5年間は社会主義運動の「冬の時代」と呼ばれ、この時期、堺利彦は「売文社」をおこし、荒畑寒村と大杉栄は、雑誌「近代思想」を発行。言葉によって世の中を動かそうと尽力し、社会運動だけではなく文化運動にも力を注いだ。『冬の時代』には堺利彦や大杉栄、荒畑寒村、伊藤野枝など実在の人物が名前を変えて登場する。同作の劇団民藝での初演は1964年、東京オリンピックが行われた年。2度目の東京オリンピックを迎える2020年に、この物語が再度上演される。堺利彦がモデルの渋六には、新国立劇場『かもめ』(鈴木裕美演出)のトリゴーリン役も記憶に新しい須賀貴匡、大杉栄がモデルの瓢風には 『ハムレット』(森新太郎演出)などさまざまな舞台で活躍する宮崎秋人、渋六の妻には宝塚歌劇団の元雪組トップスターで近年は『Le Pere父』(ラディスラス・ショラー演出)などストレートプレイでも活躍する壮一帆など、個性豊かなキャストが出演する。■unrato#6『冬の時代』日程:2020年3月20日(金)~3月29日(日)会場:東京芸術劇場シアターウエスト(東京都)出演:須賀貴匡・宮崎秋人/壮一帆/青柳尊哉・池田努・若林時英・結城洋平・山下雷舞・溝口悟光・戸塚世那/小林春世・佐藤蛍/井上裕朗・羽子田洋子・青山達三
2019年10月03日女性芸人の中で唯一無二の光を放つ、友近&ゆりやんレトリィバァがタッグを組み、全国ツアーを開催する。タイトルは『ブルース・シスターズ ~変な先輩と変な後輩(ハート)~』。ツアーが発表になった当日、友近に話を聴くことができた。【チケット情報はこちら】ピン芸人同士、芸歴も違うふたりだが「最近ゆりやんと一緒にいる時間が多いんです。プライベートでお互いの家を行き来したり、『チルテレ』で一緒にコーナーを持ったり。新幹線移動はいつも隣りですしね」と、公私ともに息が合っているふたり。一緒に企画を練るのもとても自然だったと言う。「ゆりやんが私のライヴによく来てくれていたし、私がゆりやんのライヴにゲストで出たりして。“いつか一緒にガツンと演りたい”という話は前からしてたんですよねぇ…。それで今年のゆりやんのツアーが終わった6月くらい、“ホントに演ろう!”ということになりました」ここまで親密な先輩後輩。ゆりやんの魅力について聞くと、「彼女が出てきたとき“友近みたいなん出てきた”と、ずいぶん言われたんです(笑)。どちらも演りたいことをブレずにやり続けてる。でも彼女は私以上にその気持ちが強そうだと思いますね。伸び伸びと好きなことを演ってる。滑っても演り続けること(笑)。自分が面白いと思う先輩が笑ってくれること。これは本当に励みだと思うんですよね。もちろんお客様や喜んでくれる方がいるのが前提なので、そういう所が似てると思うし…、あとはチャレンジ精神。これはゆりやんの素晴らしい所ですね」この存在感たっぷりのふたりが演るのだから、とても濃い内容になることが予想されるが…。「まだハッキリと固めてはいませんが、アドリブコントというより、ちゃんとコントは考えて演る。ふたりのコントは絶対に演る。それぞれのネタも1本づつは演りたいし、ゲストの方を迎えてのコント。あとは一緒に出演してる『チルテレ』を観てるお客さまも来てくださると思うので、そのノリを活かしたトークコーナーも演りたいし、ふたりの特技を活かした何かでオープニングを飾りたいなって思ってます…。くらいはちょっと決めてます」と、もう充分過ぎる内容を構想中の模様。開けてみないとわからない玉手箱のような今回のツアー。「楽しいライヴにできればいいと思ってます。今回も真剣にふざけますので(笑)、みなさんも“このふたりの仲間になりたいわぁ~”、“ホント、こいつ等好きなことやりやがって…、腹立つわぁ~”という気持ちで(笑)、ぜひ観に来てください!」本公演は11月11日(月)東京・竹芝ニューピアホールを皮切りに大阪、名古屋、広島、そしてラストの12月9日(月)福岡・福岡国際会議場 メインホールまで全国をめぐる。チケットは最速先行プレリザーブを10月7日(月)まで受付中。一般発売は10月26日(土)。
2019年10月03日2012年にTVアニメ第1期がスタート。2014年にはTVアニメ第2期が放送され、2015年1月に劇場版を公開。今年1月からはスピンオフ劇場版三部作を公開し、さらに10月からはTVアニメ第3期の放送も始まるオリジナルアニメシリーズ『PSYCHO-PASS サイコパス』が、TVアニメ第1期の物語を軸に舞台化。主演を務める狡噛慎也役の久保田悠来に意気込みを聞いた。【チケット情報はこちら】『PSYCHO-PASS サイコパス』は、人間の心理状態を数値化するシビュラシステムにより監視・管理された近未来を舞台に、治安維持にあたる公安局刑事課の刑事たちが、犯罪を犯す前の“潜在犯”を抑圧するために奮闘し、「本当の正義とは何か?」を追求する物語。TVアニメ第1期の脚本は、TVアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』などで知られる虚淵 玄(ニトロプラス)が担当し、今回の舞台版でも監修を務める。久保田と虚淵は、久保田が出演し、虚淵が脚本を担当した『仮面ライダー鎧武/ガイム』からの仲。久保田も『鎧武』の出演が決まった際に『PSYCHO-PASS サイコパス』に触れたようで、「虚淵さんが作る世界観は魅力的ながらも、人間の本質を問うものだと感じます。近い未来がこうなってしまったら怖いなと思いながら見ていたのですが、月日が経つにつれ、その未来が現実に近づいているのかもしれないと思うと怖いですね」と、アニメで描かれる世界ながらも現実とリンクしても考えらえる物語について、言葉を選び語る。さらに付け加えるように「もしかして虚淵さんは未来から来たのでしょうか」と、独特な久保田“節”が効いた発言でクスリとさせる場面も。公安局刑事課には監視官と執行官が在籍し、狡噛ら執行官は、自らも潜在犯でありながら犯罪捜査への適性を認められた刑事。潜在犯との激しい攻防戦を繰り広げる場面や、公安局の刑事たちに携帯が許可されている潜在犯を裁く銃・ドミネーターを駆使してのパフォーマンスなど、人間ドラマだけでなくアクション面もこの舞台では注目どころ。久保田も「舞台でのアクションは見せ場のひとつとして欠かせない要素になると思います」と、今からやる気十分。「見る方が手に汗握るような臨場感を表現したいです」とアクション面への意気込みを語った。深いストーリー、迫力あるアクションと見せ場が詰まった本作をどう体現するのか。「楽しみなのは『PSYCHO-PASS サイコパス』の世界観に浸れること、これに尽きます」と語る久保田の雄姿は、劇場で確かめたい。舞台版『PSYCHO-PASS サイコパス Chapter1―犯罪係数―』は10月25日(金)から11月10日(日)まで、品川プリンスホテル ステラボールにて上演。
2019年10月02日舞台、劇メシ-BetsuBara-「ハイイロキツネは二度遠吠う」が11月15日(金)から23日(土)まで、神奈川・THE CAMP CAFE&GRILL、東京公演は、11月25日(月)から12月4日(水)まで、東京・CAFE PARKにて上演される事が決定した。【チケット情報はこちら】本公演は、劇場ではなく「レストラン」で、食事やお酒を一緒に楽しみながら観劇するという新感覚のライブエンターテインメント。レストラン会場内360度を使って芝居が行われるため、観客はドラマ世界に没入する事が出来る、今までにあまりない体験型演劇。2016年7月よりスタートした劇メシシリーズは、3年間でオリジナル作品を7作、東京、千葉、名古屋、福岡各地で合計120公演以上開催。今回は新たに新作「ハイイロキツネは二度遠吠う」を東京公演、神奈川公演とそれぞれ異なる演出家、出演者で上演する。出演者は、稲垣成弥、吉本考志、里於奈、太田裕二、林勇輝、飯田來麗ら、主に舞台で活躍中の今勢いのある人気若手俳優たち。チケットの一般発売に先駆けて、抽選先行を実施。受付は10月5日(土)午前10時から9日(水)午後6時まで。
2019年10月02日12月13日(金)から29日(日)に東京国際フォーラム・ホールCにて上演する、新演出版ミュージカル「サタデー・ナイト・フィーバー」(イギリスプロダクション) 来日公演の公式サポーターにDJ KOOとアン ミカが決定した。世界的ディスコブームを牽引した、ジョン・トラボルタ主演映画「サタデー・ナイト・フィーバー」が公開された頃(アメリカ1977年、日本1978年公開)ディスコDJとしてデビューし、ディスコ全盛時代の象徴とも言えるレジェンドで、現在も第一線で活躍中のDJ KOOと、舞台鑑賞が趣味で、好きな作品は何度も観るというトップモデルのアン ミカ が、ミュージカル『サタデー・ナイト・フィーバー』を全力で盛り上げる。今回の来日公演の見どころをDJ KOOは「フロアの上方でビージーズに負けないくらいの3人のシンガーがビージーズの数々のヒット曲を歌います。舞台の床は、映画公開後に世界中で流行ったカラフルに光るフロア。40年前のディスコの感覚を十分に味わえると思う。映画で散々見てきたシーンを、ライブで立体的に観られるのが楽しみですし、本物のダンサーが繰り広げるダンスシーン、高いジャンプや空中技も見どころ。舞台やコンサートはステージに立っている人が基本主役ですが、ディスコは踊っている人全てが主役。なので、カーテンコールでは、会場全体が一つになって皆で踊れたら素敵。You should be dancing!」と語った。アンミカは「注目しているのは、ジョン・トラボルタが演じたトニー役のリチャード・ウィンザー。マシュー・ボーンの『白鳥の湖』や『シザーハンズ』など多くの作品で主演し、世界的に活躍されているダンサーなので踊りが素晴らしいのはもちろんですが、俳優としての演技力も抜群ですし、野性味溢れる目と色気。トニー役にぴったり。何度も観ている映画ですが、今回は生ものですから、何度も観に行きたい。旦那様とも行きたいですし、女友達とお洒落してワイワイ楽しみたいと思います!」と期待を寄せる。1977年公開ジョン・トラボルタ主演の不朽の名作を2018年にビル・ケンライト演出、ビル・ディーマー振付で舞台化したミュージカル「サタデー・ナイト・フィーバー」。誰もが抱えた行き場のない青春のエネルギー、そして胸を熱くするディスコミュージック、エネルギッシュな振付で現代に訴えかける。チケットの一般発売は10月5日(土) 午前10時より開始。前日まで先行販売中。
2019年10月02日