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はじめに賃貸住宅の場合、建物については所有者である家主が火災保険を掛けますが、借家人が所有する家財に対しては借家人が火災保険を掛けることになります。家財に対する保険は、持ち家の場合と同じように、世帯主の年齢や家族構成などを参考に補償額を決めていきます。持ち家と賃貸住宅の火災保険の違いは、主に、失火に対する損害賠償責任に備えるかどうかになります。以下、失火による損害賠償責任の概略と賃貸住宅用火災保険の内容についてみていきます。失火に対する責任民法第709条(不法行為による損害賠償)に、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と定められています。したがって、火災を起こして他人に損害を与えた場合、本来であれば不法行為に基づく損害賠償責任を負うことになります。しかし、「失火ノ責任ニ関スル法律(失火責任法)」には、「民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス」と定められています。この法律により、失火によって他人の家が延焼した場合でも、失火者に「重大な過失」がなければ、損害賠償責任を負わせないことになっています。この「失火責任法」だけをみると、借家人が失火を起こした場合に、建物の損害に対する家主への賠償責任を免れられるようにみえます。しかし、民法第415条に「債務不履行による損害賠償」の規定があります。一般的に賃貸住宅の賃貸借契約書には、「賃借物件を原状回復して返還する義務(債務)」が定められています。これらにより借家人には、家主に対して借りている戸室(建物部分)の損害を賠償する責任が発生します。借家人賠償責任保険(補償特約)「借家人賠償責任保険(補償特約)」は、失火などの偶然な事故により借りている戸室が損壊し、家主に対して民法第415条による損害賠償責任が発生した場合に備える保険(特約)です。賃貸住宅用火災保険を契約すると自動的にセットされます。一方、損害賠償に関する示談交渉サービスは、保険会社により付いている場合と付いていない場合があります。示談交渉サービスが付いている方が、安心といえるでしょう。また、偶然な事故により損害を受け、応急修理(部屋を住める状態に復旧)するために掛かった修理費用を補償する特約を用意している保険会社もあります。個人賠償責任保険(補償特約)失火責任法は、失火によって他人の家が延焼した場合でも、失火者に重大な過失がなければ損害賠償責任を負わせない法律ですが、ガス爆発などにより他人の家を損壊させた場合の賠償責任については免除する規定にはなっていません。このような場合に備える保険として、「個人賠償責任保険(補償特約)」があります。個人賠償責任保険(補償特約)は、ガス爆発などのような事故以外に、水漏れによって階下の住人の家財などに損害を与えた場合など、日常生活におけるさまざまな賠償事故に備える保険(特約)です。ただし、借りている部屋に対する損害賠償責任は補償の対象外になりますので、やはり借家人賠償責任保険(補償特約)によって備える必要があります。賃貸住宅に住む場合には、借家人賠償責任保険(補償特約)と個人賠償責任保険(補償特約)の2つがあるのが安心といえます。まとめ賃貸住宅用の火災保険の大きな特徴は、家財のみを対象とした保険に借家人賠償責任保険(補償特約)が自動セットされている点になります。個人賠償責任保険(補償特約)については、自動車保険など他の保険で既に契約している場合もあります。他の保険の契約内容を確認し、重複して契約することのないようにしましょう。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年05月18日はじめに火災保険とは、火災や風水災などの自然災害および盗難などによる「建物」や「家財」に対する損害を補償する保険です。火災保険の種類は、住宅を対象としたベーシックな補償内容の「住宅火災保険」、より補償を充実させた「住宅総合保険」、事業者向けの「普通火災保険」「店舗総合保険」などに大別されます。以下、住宅総合保険を参考に、それぞれの補償についてみていきます。なお、保険会社によって商品名やプランはさまざまであり、「ベーシック」という名称でも、通常、住宅火災保険では、補償の対象ではない水災や盗難も補償の対象になっていることがあります。火災保険に加入する際には、補償される内容についてよく確認するようにしましょう。火災について火災には、自宅からの失火や隣家からの「もらい火」などがあります。隣家からのもらい火で自宅が焼失した場合、隣家の失火の原因が「重大な過失」でないと損害賠償請求はできません。そのためにも、火災保険で備えておく必要があります。賃貸住宅での火災の場合、借家人(賃貸住宅の入居者)には、家主への損害賠償責任が発生します。それに備えるためには、「借家人賠償責任補償」のある火災保険へ加入するか、「借家人賠償責任補償特約」を付帯した火災保険への加入が必要になります。また、ガス漏れなどによる破裂・爆発などの損害に対しても火災保険で備えることができます。自然災害について火災保険では、落雷、風災、雹(ひょう)災、雪災や、台風や集中豪雨による水災などの自然災害による損害に対しても備えることができます。風災、雹(ひょう)災、雪災では、損害額が一定額(20万円など)を超えないと補償されないプランや、自己負担額を差し引いた金額が補償されるプランもあります。自己負担額については保険会社によって異なります。また、水災では、保険金が支払われるには、「居住部分が床上浸水した場合」などといった条件があります。災害以外の事故や盗難災害以外の事故で火災保険の補償の対象となるものには、建物外部からの物体の衝突・落下・飛来などの事故による損害(自動車が自宅に飛び込むなど)、漏水など水漏れ事故による損害、騒擾(そうじょう)や集団行動などに伴う暴力・破壊行為による損害などがあります。その他、机を動かそうとしてテレビを壊してしまった、などの不測かつ突発的な事故による損害なども補償の対象になります。また、空き巣に家財を盗まれた場合や、侵入するために窓ガラスを割られた場合の損傷などについても補償されます。一般的に建物内の家財が補償の対象ですが、保険会社によっては、旅行や買い物などで一時的に持ち出した家財についても補償の対象にしているところもあります。火災保険でカバーされない損害火災保険でカバーされない損害の主なものとしては、契約者・被保険者などの故意もしくは重大な過失、法令違反で生じた損害。戦争、内乱、武装反乱その他これらに類似した暴動などで生じた損害。地震・噴火またはこれらによる津波による損害。などがあります。3.については地震保険を火災保険とセットで契約することで、一定の補償が受けられます。まとめ以上、住宅総合保険を参考に、主な補償内容についてみてきました。上述した補償以外にも、保険会社各社ではさまざまな特約を用意しています。ご自身のライフスタイルに応じて、必要な備えを検討してみましょう。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年05月13日質問:医療費が高額となる病気はどのようなものですか?また、国の高額療養費制度を利用したとして、入院給付金が日額どれくらいの医療保険に入れば安心ですか?健康保険適用外の治療リスクがある「がん」、入院の長期化やリハビリなどの治療期間の長期化が心配される「脳血管疾患」が要注意です。厚生労働省の「医療給付実態調査(平成25年度)」によると、年齢階級別の疾病別で、入院+食事・生活療養の1人当たりの医療費が一番かかる病気は「新生物」で、次に「循環器系の疾患」となっています。その中でも「がん」と「脳卒中」は、高額になる可能性があります。がんの治療費自己負担額「50万円程度」が37.5%、「100万~200万円程度」が47.5%アフラックの2010年「がんに関する意識調査」によると、実際にがんの治療を受けた方の自己負担額は、「50万円程度」が37.5%、「100万円程度」が31.5%、「200万円程度」が16.0%という割合でした。さらに、アフラックの2010年「がん保険受給者調査」によると、治療費以外の「ケア費用」(かつらや専用下着、弾性ストッキングなど)の購入費に10万円以上の費用をかけた方の割合が40%ほどになることからも、初期の入院、手術費用以外にも大きな自己負担がかかることが伺われます。また、がんに関しては、発症直後の入院・手術の医療費だけでなく、再発防止のための抗がん剤や放射線治療の費用が通院治療を中心にしながら発生します。治療効果の確認や治療終了後に再発していないか確認するための定期的な検査の費用もかかります。例えば、血液検査や細胞診、CTやエコーなどによる検査があり、これらの検査は定期的に数年にわたり継続することが一般的です。自己負担が高額になりやすい脳血管疾患、術後のリハビリ費用等が高額になることも厚生労働省の「平成26年(2014)患者調査」によると、脳卒中をはじめとした脳血管疾患の平均入院日数は、他の疾病より長く89.5日となっています。さらに特徴的なのが、術後のリハビリ期間が長期化することです。厚生労働省の資料によると、骨折などの患者のリハビリ入院期間が90日程度なのに対し、脳血管疾患の場合は、対象疾患や程度によって150日や180日程度となる場合があります。これに伴い、医療費負担も高額になります。年齢と所得にもよりますが、リハビリ入院が長引けば医療費も高額となる可能性があるため、高額療養費適用後の医療費と食事代だけで、健康保険の自己負担3割の一般的な所得の方で月約11万円、1割負担者でも月約7万円程度は必要になる可能性もあります。他にも、個室を選択したり、ねまきやタオルをレンタルしたり、オムツが必要だったりすると、その分費用もかかります。退院後も、介護ベッドや車いすなどのレンタル費用や、住宅のリフォーム費用などが発生する可能性もあります。介護ベッドや車いすのレンタルは公的介護保険が適用されれば1割負担にて利用できますが、適用されない場合、機能によっても金額はさまざまですが、ベッドの場合だと月5,000円~13,000円程度が費用としてかかってきます。また、住宅をバリアフリーにリフォームしようとすると、玄関、階段、トイレなどに手すり設置と拡幅工事などの費用がかかってきます。これらのリフォーム費用は、要介護状態区分(要介護度)にかかわらず、介護保険の給付対象ですが、その支給限度基準額は20万円となります。実際の支給額は住宅改修に要した費用の9割のため、リフォームに20万円かかった場合、18万円が介護保険から支給されます。しかし、リフォームが20万円以内で済むとは限らないでしょう。医療保険の入院給付金の理想は1日1万円、がんや脳血管疾患発症時の一時金も検討をこうした事例を踏まえると、入院給付金の日額は、1日1万円の設定が理想的となります。ただし、1日1万円のプランでも1回の入院期間が1カ月程度の場合、受け取れる給付金は30万円程度になりますので、退院後に発生する費用を考えると、入院給付金以外に一時金タイプの給付金を受け取れる特約を付加することも検討しておいたほうがよいでしょう。もちろん、すべての費用を医療保険だけで賄うわけではありません。アフラックの「がんに関する意識調査」でがんの治療費を何で賄ったかを調べたところ、「貯蓄」は43.9%で「保険」の48.6%と同じレベルとなっています。保険の検討だけではなく、家族構成やライフステージを踏まえ、トータル的な保障の組み立てを検討してください。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。医療保険・入院保険のよくあるご質問
2016年04月27日【ご相談】教育費や住居費、老後のことを考えたとき、今の収入で大丈夫か心配。28歳パート勤務の女性です。今27歳の夫が30歳~33歳頃に、3,500万円程度の住宅購入を考えています。このままの収入で、教育費や住宅ローン、さらに老後のことを考えると、お金が足りなくなるのではないかと不安になり、このままパートで働くよりも正社員で働いた方がいいのではないかと悩んでいます。このままだと、いつ頃、いくらくらい足りなくなるのかを教えてください。奈良県在住 大田 美樹さん (仮名)【回答】お子さまの出産・育児期間以外はパート勤めし、3,500万円の住宅を購入された場合、約20年後にお金が足りなくなる可能性があります。しかし、収入を増やしたり支出を減らしたりして、今よりも1カ月25,000円ほど収支増の家計に改善できれば、平均余命まで黒字がキープできそうです。働ける環境にあるときは、思い切って正社員になることを考えてみてもいいのではないでしょうか。(ファイナンシャルプランナー 中垣 香代子からのアドバイス)「人生の三大支出」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。これは、人が生活していく上で必要なお金の中でも大きな割合を占める、3種類の費用のことです。1つ目は住宅にかかわる費用、2つ目は子どもにかかわる費用、3つめは老後の生活にかかわる費用です。大田さまはパートで働き続けた場合に、これから先に控えている三大支出を乗り切ることができるのかがご心配なのですね。まだ20代という若さで先々のことを考えておられ、素晴らしいです。住宅購入やお子さまの誕生など、これからかなえたい夢がたくさんですね。思い描く生活が経済的に可能かどうかを知るためには、毎年の収支と貯蓄残高をシミュレーションすることが一番です。今回は以下の内容で今後の年間収支と貯蓄残高をシミュレーションしてみました。【収入】夫:59歳まで358万円、60歳退職・退職金1,500万円、60歳以降64歳まで300万円、65歳退職妻:第1子出産に伴いパート勤務退職、第1子小学校入学を機にパート再開96万円児童手当を見込む※厚生労働省ホームページ「児童手当について」をもとに試算【年金】夫:老齢基礎年金満額・老齢厚生年金受給妻:老齢基礎年金満額受給※老齢基礎年金満額を78万円として試算※老齢厚生年金を65歳~73歳は84万円、74歳~87万円として試算【お子さま】第1子:妻30歳時に誕生、第2子:妻33歳時に誕生私立幼稚園・公立小学校・公立中学校・公立高校・私立大学文系に進学と仮定※文部科学省ホームページ「平成26年度子供の学習費調査」「私立大学等の平成26年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」をもとに試算【住宅】夫32歳時に3,500万円の物件購入自己資金1,000万円(諸費用175万円込み)ローン(年間100万円):借入額2,675万円、返済期間35年、固定金利(1.6%)管理費・火災保険料・固定資産税合わせて年間45万円夫60歳時にリフォーム:300万円【保険】夫:29歳から55歳まで、万一のときに毎月10万円ずつ給付される収入保障保険に加入(年間保険料 約31,000円) 妻:妊娠前に夫と同様の保障内容の医療保険に加入(年間保険料 約32,000円、払込期間60歳まで)【食費、水道光熱費、通信費、医療費などの基本生活費】現在の支出金額をベースに、お子さまが誕生した年は月1万円増額お子さまの成長に伴う増加分として毎年1.0%ずつ増額60歳時は前年の80%で計上、以降同額【その他の年間支出】現在と同額の年間15万円を夫80歳まで計上シミュレーション結果住宅を購入すると、ローンの他に管理費・修繕積立・固定資産税・火災保険料などのランニングコストがかかります。現在に比べて住宅関連費が年間で50万円以上多くなります。住宅購入と奥さまの出産・子育て時期が重なり年間で見ると収支がマイナスになってしまいますが、その後奥さまのパート復帰により改善します。しかし、お子さまが大きくなるにつれ、教育費に加え、食費・日用品・光熱費などの生活費がジワジワと増加していくため、上のお子さまが中学校に上がる頃には再度年間の収支がマイナスになってしまい、大学に入学する頃には貯蓄が底をついてしまいます。だからといって、「住宅購入ができない」とか「子ども2人は無理」ということではありません。下のシミュレーションをごらんください。大田家の年間収支を年金開始時期まで30万円ほど改善することにより、住宅の購入資金や、お子さまの進学資金も準備でき、老後も平均余命まで黒字をキープすることができます。年間30万円というと1カ月25,000円です。収支を改善する方法は3つ。1つ目は、奥さまの収入を増やすこと。働ける環境にあるときは、思い切り収入を増やすことを考えてはいかがでしょうか。社会保険に加入する働き方をすることにより、健康保険からは出産手当金が、雇用保険からは育児休業給付金の支給があります。子育て期間中に無給になるのと社会保険から給付を受けられるのとでは、家計状況が大きく変わってきます。また、65歳以降には老齢厚生年金も受給できることになります。2つ目は、支出を減らすこと。支出を減らす順番としては、1度見直せば効果が継続する固定費が最初になります。電力自由化により電気事業者を自由に選べるようになりました。各社のプランを比較してみてはいかがでしょうか。携帯電話などの通信費もプランを見直したり、思い切って格安SIMに変更したりするのも良いですね。3つ目は、お金を殖やすこと。収入を増やしたり支出を減らしたりして赤字を回避できるようになったら、お金を運用して殖やすことも考えてみてください。将来のことをあまり心配し過ぎて、お金を使うことにマイナスの感情を持つよりも、「こうすれば大丈夫」という方法を知り、気持ちよく上手にお金を使ってくださいね。今回のシミュレーションは、多くの仮定の上で作成しています。大田さまの実情に合わせ数字を入れ替えてみてください。また、住宅購入やお子さま誕生など、人生の分岐点にファイナンシャルプランナーに詳しいライフプラン表を作成してもらうこともおすすめです。コラム執筆者プロフィール 中垣 香代子(なかがき かよこ)CFP(R)/2級ファイナンシャルプランニング技能士損害保険会社に約10年勤務後、子育てに専念。約20年間の専業主婦の後、ファイナンシャルプランナーとなる。「老後のお金サポーター」として、相談業務の他、40~50歳代女性にお金の知識をわかりやすく伝える活動をしている。また、自身の経験から、経済的理由で進学をあきらめるお子さんが一人でも減ることを願い、就学支援の情報発信にも力を入れている。老後のお金を一緒に考える事務所 所長。コラム監修者プロフィール 柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)CFP(R)/1級ファイナンシャルプランニング技能士関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。家計アイデア工房 代表※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年04月26日質問:「終身保険」に加入していれば、入院したときにも保障されますか?一般的に「終身保険」は、一生涯の死亡保障を特長とする生命保険ですので、主契約だけでは入院時の保障はありません。まず、「終身保険」=「終身型の医療保険」ではありませんので、ご注意ください。ご質問の「終身保険」は一生涯に渡り保障される生命保険であり、入院時の保障があるかどうかは、「医療特約」が付加されているかどうかによります。また、「終身型の医療保険」とは、病気やケガの入院・通院を一生涯保障する「医療保険」です。保険証券を確認される際、一番目立つところに記載されている名称は、「主契約」の保障だけを表現している場合がありますので、ご注意ください。「主契約」と「特約」保険商品により保障の内容はさまざまですが、共通するのは保障が「主契約」と「特約」の組み合わせで構成されていることです。ここでは、「終身保険」と「医療保険」についてみていきましょう。■主契約保険のなかでメインとなる保障で、「終身保険」や「医療保険」などがこれにあたります。主契約を解約すると契約全体が消滅します。■特約主契約のオプションとして任意で保障を追加する役割を果たしますが、保険会社があらかじめ主契約とセットにして販売する場合もあります。特約の保障期間は、必ずしも主契約と一致するとは限りませんのでご注意ください。終身保険の代表的な特約・「定期特約」あらかじめ定めた期間だけ死亡保障を付加するための特約です。・「医療特約」病気やケガで入院したときに給付金を受け取れる特約です。保険会社によっては、医療に関する特約が多く用意されている場合があります。医療保険の代表的な特約・「先進医療特約」所定の病気を原因として所定の先進医療による療養を受けた場合に保障されます。※先進医療とは、厚生労働大臣が認める医療技術で、医療技術ごとに適応症(対象となる疾患症状等)および実施する医療機関が限定されており、随時見直されています。・「がん特約」がんの治療を受けたときに給付が受けられる特約です。医療特約と両方に加入している場合には、医療特約の給付金に上乗せして給付を受けることができます。「入院給付金」として入院日数に応じてあらかじめ設定された条件で給付金が受け取れるタイプや、所定の条件を満たした場合に一時金が受け取れるタイプなどさまざまな種類があります。・「生活習慣病特約」三大疾病や七大疾病など、保険会社によってあらかじめ定められた病気が原因で所定の条件を満たした場合に給付金が支払われます。「がん特約」と同じように「入院給付金」のタイプや「一時金」のタイプなど保険会社によってさまざまな種類があります。・「女性疾病特約」治療を受けた原因が保険会社の定めた「女性特定疾病」であれば、給付金を受け取ることができます。対象となる「女性特有の疾病」の範囲は保険会社によって異なるため、注意が必要です。「主契約」「特約」ともに、ここで紹介したものはごく一部のものになります。医療保険で付加できる特約が、終身保険にも付加できる場合もありますので、詳しくは各保険会社のパンフレットや保険設計書、約款などで確認するようにしてください。現在、終身保険の加入を検討されている場合、終身保険に医療特約を付加するのか、それとも終身保険と医療保険の両方に加入するのかそれぞれの保障内容をよく確認して検討してください。保険商品にもよりますが、医療特約がないために付加できない場合や、付加できても保障の範囲によっては新たに診査や告知が必要になる場合があり、保険料はその時の年齢・料率によって計算されるため、もし、既に終身保険に加入されていて、医療特約を今から付加することが難しい場合は、「医療保険」に加入することを検討されてはいかがでしょうか。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年04月25日質問:「共済の医療共済」と「民間の医療保険」との違いを教えてください。「共済の医療共済」と「民間の医療保険」は、根拠法令や監督官庁、事業目的などが大きく違います。保障機能としてはどちらも変わらないため、自分の希望にあわせてプランを選択しましょう。「共済」と「民間の生命保険会社」の違い「共済」と「民間の生命保険会社」は、前提となる根拠法令や監督官庁の違いから下表のような違いがあります。また、共済は、原則として組合員やその家族が加入することができるのに対し、民間の生命保険は、原則として日本国内に居住していれば加入することが可能です。これらの違いを踏まえたうえで、「共済の医療共済」と「民間の医療保険」の特徴を見ていきたいと思います。「医療共済」の特徴■医療共済にも「定期タイプ」と「終身タイプ」がある・定期タイプ定期型の多くが、一定の年齢まで一律の掛金で、同じ保障内容で加入することができますが、高齢期(60歳や65歳)には保障が減少するプランもあります。多くの場合、60歳くらいまでは、新規加入で検討する場合に、加入年齢による掛金のアップを考えなくても済むといえます。しかし、共済によっては、特定の年齢から掛金はそのままで、高齢期用のプランに移行したり、保障内容が小さくなったりする場合があるので注意が必要です。・終身タイプ終身型の場合、民間の医療保険と同じように、加入時の年齢や性別により掛金が変わります。保障内容は、一部の特約を除き一生涯同一の保障内容となります。終身型を取り扱う共済は増えてきていますが、すべての共済が終身型の医療共済を扱っているわけではないため、各共済に確認するようにしてください。■年1回の「割戻金」がある多くの共済では、毎年の支給した共済金と必要経費の実績に応じ、剰余金が出た場合に「割戻金」が支給されます。もともと「共済」は非営利団体であるため、発生した剰余が還元される仕組みになっています。ただし、あくまでも「剰余」の還元ですから、必ず約束されているわけではなく、金額も毎年変動します。民間の医療保険の特徴■民間の医療保険の「定期タイプ」と「終身タイプ」民間の医療保険の多くは、タイプにかかわらず、加入時の年齢や性別により保険料が変わります。民間の医療保険の「定期タイプ」と「終身タイプ」の大きな違いは、保険期間が一生涯続くかどうかということです。定期型は、保険期間が一定期間または一定年齢までに定められており、満了時に自動更新するプランと、しないプランがあります。更新する際には、その時の年齢や保険料率で新たに保険料が計算されるため注意が必要です。万一経営破たんした場合の相違民間の生命保険会社が経営破たんした場合、「生命保険契約者保護機構」という公的な機構によって一定の契約者保護が図られます。一方、共済が経営破たんした場合には、公的な保護はありません。このように、「共済」も「民間の医療保険」にも、それぞれの特徴がありますので、ご自身の希望する保障や、保障を活用しようと思う年齢によってプランを選択することが大切だといえます。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年04月22日質問:家族で「がん」になった人はいないので「がん保険」に加入しなくても良いのでは?「がん」発症の要因の約70%は生活習慣に起因するものといわれています。ご家族で「がん」になった方がいらっしゃらなくても、一定の割合でリスクがあると考えるべきですので、がん保険への加入をおすすめします。遺伝的要素は50%程度さまざまな研究が進むなかで、がんを誘発する遺伝子の存在が明らかにされてきました。これがいわゆる「がん家系」という言葉を生み出した一因ではないかと思います。実際、「大腸がん」や「乳がん」の発症例のなかに、遺伝的要素が認められるものがあるようです。国立がん研究センターがん情報サービスのサイトに掲載されている「人のがんにかかわる要因」によると、ハーバード大学のがん予防センターの推計で、喫煙、食事、運動、飲酒という代表的な生活習慣要因が68%を占めるようです。また、全部のがんのうち「遺伝するがん」は5%以下といわれ、「大腸がん」「乳がん」「前立腺がん」など遺伝素因の強いこれらのがんでも、たとえ遺伝子が100%一致している人がいたとしても、同じがんになる確率は10%~20%にすぎないとまとめています(出典:国立がん研究センターがん情報サービス)。したがって、ご家族のなかに複数のがん経験者がいらっしゃる場合、ご本人もがん発症への注意が必要といえますが、ご家族のなかに発症者がいらっしゃらない場合でも、安心できるとはいえないでしょう。「喫煙」の有無や食生活など、生活習慣の要因が上位を占める「喫煙」と「がん」との因果関係が深いということが指摘されてからずいぶんたちました。若くして喫煙を始めた場合や喫煙年数が長く、喫煙本数が多いほど「がん」のリスクを高めるといわれています。日本においては「喫煙」に続く因子として「肝炎ウイルス(B型、C型)」や「ピロリ菌」、「ヒト・パピローマ・ウイルス」などの「感染性因子」、そして「飲酒」が続きます。他にも「塩分摂取」や「過体重・肥満(BMI25以上)」などが指摘されています(出典:国立がん研究センターによる「科学的根拠に基づく発がん性・がん予防効果の評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」ホームページ )。まだ十分な研究結果が揃っていないとはいえ、今現在「喫煙」や「飲酒」や「食生活」など、身近な生活習慣が遺伝的要素より高い確率で「がん」につながるため、日々の生活習慣を見直すことで「がん予防」が可能であるといえるでしょう。日本人の3人に1人が「がん」で死亡、2人に1人が「がん」を経験する時代。突然の告知に対応できますか?厚生労働省の資料によると、日本人の2人に1人は「がん」を経験するといわれています。早期発見や医療技術の進歩で「治せるがん」が増えているといわれますが、治すためには適切な治療が必要です。がんが発見されたら初期段階のうちに治療を開始することで、治癒の確率をあげるといわれていますが、がんの治療には多大な費用がかかる場合があります。そんなときに役立つのが「がん保険」ではないでしょうか。ご自身の生活習慣を振り返るとともに、がん保険などの保障内容が十分か、見直してみてはいかがでしょうか。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年04月05日質問:最近は短期入院が増えていると聞きましたが、医療保険への加入は本当に必要ですか?厚生労働省の調査によると、退院患者の平均入院日数は約1カ月ですので、医療保険への加入をおすすめします。「短期入院が多いから、医療保険には加入しなくても……」と考える場合、「短期入院=経済的負担も少ない」とお考えの方が多いのではないでしょうか。入院時の経済的負担は、必ずしも入院日数と比例するわけではありません。また多くの場合、入院は突発的に決まりますので、「緊急性」「突発性」も考慮して医療保険の必要性を検討する必要があります。減少する平均入院日数。ただし、年齢ごと、傷病ごとの違いに注意が必要厚生労働省の「平成26年(2014)患者調査」によると、退院患者の平均入院日数は31.9日ですが、年齢別にみると0歳~14歳は8.4日、15歳~34歳は12.0日、35歳~64歳は24.4日と若い年齢ほど平均以下になっています。一方で、65歳以上は41.7日、75歳以上で47.6日と平均以上の入院日数となっており、年齢とともに入院が長引く傾向があります。過去の患者調査から平均入院日数をみると、平成20年は35.6日、平成23年は32.8日と短期化していることは間違いないようですが、あくまでも平均となりますので、傷病によっては1カ月以上の入院の可能性も想定しておく必要があるといえます。高額療養費制度の注意点公的医療保障制度の中の「高額療養費制度」の適用を受ければ、1カ月の自己負担額が軽減されるため、医療保険に加入しなくてもよいという意見もあります。一般的な所得(年収770万円以下)の場合、1カ月程度の入院であれば、80,100円+αの自己負担で済むので、貯蓄で賄おうという考え方です。この考え方で注意が必要なのは以下の2点です。■自己負担額は所得によって大きく変わる平成27年1月以降、「高額療養費制度」の限度額の計算式が変更になり、例えば、年収770万円以上の方の場合、最低でも167,400円までは自己負担になります。入院といえば、予定外のものが多いと思いますが、月に約17万円の臨時出費は家計に及ぼす影響は大きいと思われます。また、年収770万円以下の方の場合でも、長期入院になった場合、月に約8万円の臨時出費は大きな負担といえます。■高額療養費制度の対象外となる費用がある「食費」や「居住費」、患者の希望によってサービスを受ける「差額ベッド代」、「先進医療にかかる費用」などは、高額療養費の支給の対象外となりますので、例えば、入院時に個室に入りたい場合や、先進医療を受けることになった場合は、自己負担額が高額になる可能性があります。今はゆとりがあっても、緊急のときにも同じゆとりがあるとは限りません。治療が長引くことや、その間の家族の生活のことを考えながら、医療保険について検討されてはいかがでしょうか。例えば、一般的な所得の方であれば、入院1日あたり10,000円の給付が受けられる医療保険のプランの場合、1週間程度の短期入院でも、7日間分の入院給付金で自己負担の医療費のほとんどを賄うことができます。しかし、1日5,000円の給付金のプランの場合、5,000円×7日=35,000円となるため、自己負担額の半分くらいの計算になるので注意が必要です。もし、日額5,000円の給付金のプランに加入されている場合は、短期入院の可能性も視野に入れてプランを再設計するか検討してみてはいかがでしょうか。なお、実際には、手術が伴う入院の場合には、上記の入院給付金以外に「手術給付金」も支給の対象になる場合があり、受け取れる給付金の総額も変わりますので、その点も考慮して検討されることをおすすめします。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年03月28日質問:女性の場合、一般的な医療保険ではなく「女性のための医療保険」に加入したほうがよいのでしょうか?「女性のための医療保険」にこだわる必要はありません。想定するリスクや「希望する保障内容」に応じて選択しましょう。インターネットで医療保険を検索していると、「女性保険」や「女性医療保険」などの名称で宣伝している医療保険をみかけます。女性ならではの保障を備えたプランではありますが、例えば、婦人科系の疾病にかかった場合に、「女性のための医療保険」でないと保障されないというわけではありません。「女性のための医療保険」は「一般の医療保険+女性特定疾病の特約」のことよく紹介されている「女性のための医療保険」のほとんどは、一般的な医療保険に本来は任意である女性特有の疾病を対象とした特約をあらかじめ付加したものです。よって「女性のための医療保険」に加入することは、一般的な医療保険に「女性特定疾病の特約」を付加することと同じことになります。女性特有の疾病に備えることに重点をおく場合、多くの保険会社では、医療保険に女性特定疾病の特約が用意されていますので、いろいろな保険会社のプランを比較して検討することをおすすめします。「女性特定疾病の特約」はあくまでも追加保障「女性特定疾病の特約」の給付対象となる疾病は、基本的に医療保険の主契約で定められた対象疾病に含まれていますので、特約を付加していなくても、基本保障によって給付金を受け取ることができます。女性特定疾病の特約は、基本保障で受け取れる給付金に上乗せして給付金を受け取るための保障です。時々、婦人科系の疾病で治療を受けた場合、女性特定疾病の特約を付加していないと給付金が受け取れないと思っている方がおられますが、付加していなくても給付金はゼロではありませんのでご安心ください。「女性特定疾病の特約」の詳細は保険会社によってさまざま一口に「女性特定疾病」といっても、実はその内容は保険会社によってさまざまです。上乗せ保障の対象となる女性特定疾病の範囲も保険会社ごとに異なり、大きく分けると次の3つのタイプになります。「婦人科系の病気」のみに限定した保険会社「すべてのがん+婦人科系の病気」と設定している保険会社「すべてのがん+婦人科系の病気+女性に多い病気」と幅広く設定している会社いずれも、他の保障も含めた総合判断でプランを選ぶ必要があるでしょう。他にがん保険に加入しているなら、女性特定疾病の特約の優先順位は低い「女性特定疾病の特約」の保障内容は「入院給付金」の上乗せ保障です。もし、基本保障のみで自己負担する医療費を賄えるなら、あえてこの特約を付加する必要性は低くなるでしょう。一般的に健康保険が適用される治療なら、高額療養費制度の適用で、1カ月あたりの自己負担額を補うにも、基本保障の給付金で十分なケースもあり得ます。ただし、「がん」の場合は、先進医療などの健康保険適用外の治療で治療費が高額になったり、通院中心の治療で、入院給付金の給付対象日数が短かったりした場合、「女性特定疾病の特約」の上乗せ保障は大きな支えになる場合があります。がん以外で、健康保険適用外の治療を受ける確率を考えると、がん保険に加入していれば女性特定疾病の特約の必要性は低いのではないでしょうか。がんが原因の「乳房再建術」が給付対象に!女性のがんの代表例ともいえる「乳がん」の治療後に「乳房再建術」を受けることがあります。「乳房切除術」は、がんの病巣部を取り除くためや再発防止のために乳房を切除してしまう治療方法で、一般的には健康保険の適用対象となります。一方、「乳房再建術」は、乳房切除後のメンタルケアや生活の質の向上のため、改めて「乳房」を再建する手術ですが、平成25年の6月までは、「美容整形」と同様、健康保険の適用されない手術でしたので、医療費の全額が自己負担となり、100万円近い出費になるケースもあったようです。平成25年7月以降は、「乳房再建術」のなかの特定の術式は健康保険適用になり、高額療養費制度により自己負担額も軽減されるようになりました。しかし、すべての術式が対象にされたわけではないため、引き続き高額負担のリスクは残されています。現在販売されている医療保険の「女性特定疾病の特約」や「手術の特約」の多くは、「健康保険が適用される手術」のみが対象ですが、がん保険の女性特定疾病の特約には、この「乳房再建術」も対象になると明記している場合がありますので、保険会社に確認してみてください。以上のことを踏まえて、女性だから「女性のための医療保険」に加入するという考え方ではなく、ご自分にとって必要性のあるプランや特約を選択するようにしましょう。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年03月28日質問:帝王切開などについては、医療保険の女性特定疾病の特約に加入していないと保障されないのでしょうか?「帝王切開」は、医療保険の女性特定疾病の特約を付加していなくても給付対象です。ただし、加入時の状況や健康状態の告知などにより、「部位不担保」や「特定疾病不担保」などの特別条件が適用されていないことが前提となります。医療保険の基本保障は、給付対象の条件として「治療を目的とした入院、手術」としています。普通分娩による出産は「治療」を必要としないため給付の対象外ですが、「帝王切開」は「入院給付金」および「手術給付金」の支払い対象になっています。よって、「女性特定疾病特約」を付加しなくても、基本保障から給付を受けることは可能です。基本保障でも給付対象となる「異常妊娠」や「異常分娩」医学が進歩した現代においても、妊娠・出産時の母体の健康リスクは一定の割合で心配されます。妊娠時の「切迫流産」や「切迫早産」、「悪阻」などによる入院・手術のリスクや、出産時には「帝王切開」以外にもさまざまなリスクが考えられます。大きくは「異常分娩」という表現であらわされますが、代表的な事例として、「吸引分娩」、「帝王切開」、「多胎分娩」などがあります。このような異常妊娠や異常分娩が原因で入院、手術を受けた場合、給付金の対象になります。基本保障からの給付が見込めるのに、女性特定疾病の特約を付加する理由では、なぜ、基本保障の他にわざわざ女性特定疾病の特約が存在し、付加する方がいらっしゃるのでしょうか。いくつかの理由が考えられますが、主なものは下記の点になるかと思います。■「帝王切開」を経験する方の割合が高いこと母子のリスクを軽減するため「帝王切開」を選択される割合が年々増え、厚生労働省の調査によると、今では新生児の5人に1人が帝王切開で生まれているそうです。■「出産」以外の疾病時のリスクへの対応女性に多い「乳がん」や、男性にはない「子宮がん」などのリスクへの対応もこの特約を検討される理由の一つになっています。「帝王切開」だけではなく、「乳がん」や「子宮がん」で入院、手術をされた場合には、基本保障から給付が受けられますが、別途「がん保険」に加入されていない場合には、医療費負担の軽減策として有効だといえます。■「入院」「手術」に付随する諸費用への備え医療費負担への備え以外にも、家庭の主婦の方が入院された場合の臨時出費を考え、女性特定疾病の特約を検討される場合もあります。家庭内で発生する臨時費用への備えや家族の付き添い費用の補填として、女性特定疾病の特約からの上乗せ給付金を考える場合もあります。妊娠と健康状態の告知一般的に医療保険に加入する際には、健康状態について正しく申告する「告知義務」があります。健康状態の告知は、現在妊娠しているかどうかにかかわらず、過去5年以内の健康状態について申告が必要です。そのなかには、過去5年以内の異常妊娠や異常分娩による、入院または手術の有無も含まれます。例えば、過去の出産が普通分娩だったとしても、妊娠中に切迫早産や悪阻などで入院したことがあった場合は告知の対象となるということです。これらの申告内容によっては、医療保険に加入できない場合や、「部位不担保」や「特定疾病不担保」などの特別条件が、一定期間もしくは全期間適用される場合がありますのでご注意ください。また、医療保険検討時にすでに妊娠している場合には、いくつかの注意が必要です。■妊娠後の経過が正常であること妊娠後の経過が順調で「帝王切開」の予定がない状態あれば、加入が可能なプランがあります。多くの場合、加入できる期間を設定していますので、各保険会社の加入基準をよく確認しましょう。■妊娠中は、多くの場合「部位不担保」や「特定疾病不担保」などの特別条件が適用される過去5年以内の入院歴や手術歴もなく、妊娠の経過が順調で医療保険に加入できる場合でも、今回の出産時の「異常分娩」は、給付対象にはならないことが多くあります。また、「部位不担保」や「特定疾病不担保」などの「特別条件」が出産後も一定期間適用される場合があります。既契約があるなら出産後に見直すか併用を妊娠判明後に医療保険に加入する場合、前述のように今回の出産時の「異常分娩」には対応できないことが多くあります。もし、現在加入中の医療保険があるのなら、出産後に見直しを検討するか、新しく加入する保険の「特別条件の適用期間」中は、現在の契約と新しい契約の両方を併用するようにおすすめします。保険会社によって、女性特定疾病の特約の保障内容や範囲、加入条件はさまざまですので、詳細については、各保険会社に問い合わせるか、複数の保険会社を扱う総合代理店に相談することをおすすめします。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年03月28日質問:保障内容の見直しを考えていますが、加入時に付加しなかった「特約」はあとから追加することはできますか?「特約」をあとから追加できるかどうかは、各保険会社や保障プランによってさまざまです。できるだけ申込時に「必要な保障」に加入するようにしましょう。現在では、医療保険も種類が豊富になり、加入される保障内容に悩むことも多いかと思います。特にオプションとして用意された「特約」には、「あったほうがいいのかなぁ」と迷うことや、申込時には不要と思っていても、後日「やっぱり入っておけばよかった」と思うこともあると思います。そんなときに利用するのが、「特約の中途付加」という方法です。対応の可否は各保険会社や加入されている保障プランによってさまざまですので、保険会社に問い合わせて確認してみてください。では、「特約の中途付加」ができなかった場合、現在の契約を解約し、新規に契約し直さないと保障を手厚くすることはできないのでしょうか。「主契約」と「特約」保険は、「主契約」と「特約」の組み合わせで構成されています。医療保険で主契約にあたるのは、多くの場合「入院保障」「手術保障」です。それ以外の「通院」「先進医療」「がん特約」などは特約になります。「主契約」をやめてしまうと保障全体は消滅しますが、特約だけをやめても「主契約」は継続可能です。これが「特約の中途解約」です。逆に、特約をあとから追加するのが「特約の中途付加」です。「特約」だけに頼らない!「特約の追加」ではなく「保障の追加」を考えましょう!もし追加したい「特約」が死亡時の保障なら、ほとんどの生命保険会社が「死亡」に対する保険を単体で販売しています。また、追加したい「保障」が「がんになった時の備え」なのであれば「がん保険」、「脳卒中になった時の備え」なら「三大疾病保障保険」、「要介護状態になった時の備え」なら「介護保険」が単体で販売されています。最近ではこうした「保障」が比較的自由に選択できるようになってきましたので、保障を見直される際には「特約」だけで判断するのではなく、「保障内容」を中心に検討されることをおすすめします。「保障」追加時の注意点「特約の中途付加」も含め、「保障」の追加を検討される際には、以下のような点に注意が必要です。■健康状態が良好でないと「保障の追加」はできません。保険に加入する際には健康状態の「告知」が必要です。健康状態が良好でないと「保障」の追加はできません。 ■年齢による保険料アップの可能性があります。現在の保険に加入されたときよりも年齢がアップしている場合は、同じ保険の「特約」でも、追加される保険料は年齢に応じた保険料にアップしてしまいます(加入済みの部分の保険料は、加入時の年齢で計算されます)。 ■単体のプランで「保障の追加」を検討する場合は、希望していない保障までセットされる可能性があります。「特約」と同じ保障内容の単体プランがあればよいのですが、必ずしも存在するとは限りません。単体プランの場合、特に希望していなかった保障までセットされたものになる可能性があり、「特約の中途付加」よりも保険料が割高になる場合があるので、見直しを検討する際は注意が必要です。まずは総合代理店で相談を!加入時にしっかりとプランを検討し、申し込むのが理想的ではありますが、なかなか難しい場合も多いと思います。現在加入中の保険があり、保障内容の見直しをお考えの際は、一度、総合代理店で相談されてみてはいかがでしょうか。その際は、保険証券を持参されることをおすすめします。複数の保険会社を取り扱っている総合代理店であれば、「特約の中途付加」がよいのか、新しい保険を検討したほうがよいのか、適切な診断をしてくれるはずです。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年03月23日【ご相談】娘の夢、高校留学をかなえさせたい!今の家計で実現できる?小学生の娘が、「高校生になったら留学をしたい」と言っています。1年程度の交換留学では、就職にプラスにならないのではと思い、3年間の卒業留学※を検討しています。なお、大学は帰国子女枠での国内大学進学を考えています。留学は大変お金がかかるので、娘の夢をかなえるためには貯蓄がゼロ近くになることも覚悟していますが、今の家計で実際のところ、留学へ行かせてあげることができるでしょうか。娘が中学生になった頃から、パートを増やす予定です。また、渡航先はカナダを希望しており、年200万円(公立高校学費+滞在費)の費用を見込んでいます。※留学先の学校を卒業することを目標とした留学東京都在住 林 葉子さん (仮名)【回答】現在の毎年100万円の貯蓄が可能な生活レベルを継続したうえで、中学は公立を選択し、ご相談者さまのパートを増やせば、高校の卒業留学もギリギリで可能です。ただし、老後資金が枯渇する可能性は高いため、家計収入をアップするなどの工夫が早急に必要です。(ファイナンシャルプランナー 鈴木 さや子からのアドバイス)お子さまが小学生の今から留学したいと思っておられるとのこと、とてもすてきですね。ぜひ本回答を参考に、夢に向かってお子さまと一緒に考えてくださいね。日本の私立高校に進学するよりも、はるかにお金がかかる留学は、資金が大きく減少した後のライフプランまで視野に入れて計画を立てましょう。お子さまの高校卒業後には、大学進学、そして目の前にはご夫妻の老後が迫ってきます。老後の生活費を賄うには、公的年金だけでは十分ではありません。また、住宅は一括で購入されローンはないとはいえ、住居費は改修や老後のためのリフォームなどで、今後も出費が続きます。もちろん医療費や介護にお金がかかる可能性もあります。老後にかかるお金を最低限残しておかないと、結果的にお子さまに頼るはめに陥るかもしれません。そんなことにならないかどうか、今後の貯蓄額の推移を予測してチェックしますね。現在の収支を見ると、毎月13.2万円の黒字となっており、これを毎月貯められれば1年間で158.4万円貯まることに。しかし、現在の貯蓄額は合計で100万円であり、実際は毎月の出費以外の突発的な家電や家具の購入、冠婚葬祭、旅行、または見えない費用といった臨時支出でほとんどなくなっている可能性も。臨時支出にいくらかかっているか洗い出して、その分を毎月の収入から取り分けして、別口座にとっておく方法がおすすめです。もし臨時支出が年間60万円かかるとしたら、毎月約5万円取り分けすると良いでしょう。今後の推移予想は、当面、年間100万円の貯蓄ができるものとして試算をしていますので、もし貯蓄ができていない場合には、早急に臨時支出を見直してください。表1は、お子さまが高校を卒業するまでの貯蓄額の推移です。公立中学に通えば、現在と比較して教育費が格段にあがることはないため、お子さまの中学入学時まで毎年100万円、ご相談者さまがパートを増やした後は約150万円の貯蓄を続けることも可能かと思います。その場合、6年後には約950万円貯まることになります。お子さまが中学を卒業するまでの年間支出金額332万円の内訳は、教育費などお子さまにかかる費用を64万円、それ以外の生活費を268万円と仮定。高校の教育費については3年間カナダの公立高校に通ったとしたうえで、渡航費や滞在中の生活費などを雑費として50万円を上乗せし、年額250万円かかると仮定。これにご夫婦の生活費をプラスして、支出金額を518万円としました。年間収入金額は、ご夫婦の収入より試算((32万円+4万円)×12カ月)したうえで、お子さまが中学入学後、ご相談者さまのパート収入が59歳まで年に100万円得られるもの(現在の収入より年間52万円増)と仮定しています。続いて、お子さまの大学入学・卒業後からご主人が82歳、ご相談者さまが72歳になるまでを見てみましょう。ここでも生活費を年間268万円としたうえで、お子さまが帰国後、大学(私立文系)に自宅から通うと仮定しました。一般的に、大学受験~大学初年度にかかる費用は、私立文系の場合150万~160万円といわれており、その他子どもの生活費(食費や通学費、課外活動費など)として年間60万円かかると仮定します。大学2年生以降は、学費は年間約90万円ですが、子どもの生活費を足すと年間約150万円かかります。また大学卒業後は、住居のリフォームや介護などにかかるお金を想定し、支出額を増やして試算しています(毎月の生活費18万円、年間臨時費用80万円と仮定)。このように、ご相談者さまがパートを59歳まで続けられ、現在の年100万円の貯蓄ができる生活レベルをずっと維持しても、ご主人の退職金がなく、公的年金も国民年金のみと仮定すると、ご主人が82歳、ご相談者さまが72歳の時(2053年)に家計が破綻する結果となりました。もっとゆとりある老後を暮らしたい、お子さまの結婚資金の援助をしたいなどの希望がある場合や、大きな病気をして収入が減ってしまう時期が生じた場合などは、より早いうちに資金が枯渇しかねません。対策は3つ。1つ目は、収入を増やすことです。ご相談者さまのパート収入を年200万円にする、またご主人にも、可能であれば収入が増えるよう工夫してもらうのが良いでしょう。そして2つ目は、支出を減らすことです。お子さまの夢である留学についても、その形態にこだわらず柔軟に検討しましょう。実際に高校に入学するのは7年後。就職事情や留学事情など、世の中の状況が変わっている可能性もあります。留学事情や費用を随時チェックして、その時の家計でできる範囲で、留学する年齢や、留学期間、場所などのプランを検討すると良いでしょう。大学生になれば、留学を対象にした返済不要の給付型奨学金制度も数多くあります。高校生が使えるものとして、代表的な給付型奨学金制度は、「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」。このプログラムは最長1年ですが、月額6万円~14万円の滞在費(現地活動費)に加え、往復渡航費の一部、授業料の一部も支援されます(2021年以降の実施については未定)。他にもさまざまな自治体や企業が、大学生や高校生の留学向け奨学金制度を運営しています。ぜひお子さまと一緒に調べてみてください。制度を利用するために必要な知識、英語力を知ることで、お子さまも夢に向かってなお一層勉強に弾みがつくことでしょう。3つ目はお金を運用することです。節税しながら老後資金を投資信託などで積立運用できる「個人型確定拠出年金」の活用がおすすめ。毎月5,000円から加入できるので、現在の家計から無理なく捻出できる金額で始めるのが良いですね。たとえば、毎月1万円をコツコツ増やすことができれば、2%運用でご主人が60歳になる15年後には209.7万円、ご相談者さまが60歳になる25年後には388.8万円となり、老後資金の足しになります。老後資金準備を早いうちに開始し、毎年の貯蓄目標として、お子さまの中学入学までは100万円以上、中学入学後は150万円以上を頑張って目指してください。パートを増やせれば、貯蓄パワーはぐんとアップします。楽しくお子さまの夢を応援できると良いですね。コラム執筆者プロフィール 鈴木 さや子(すずき さやこ)(株)ライフヴェーラ 代表取締役/mamaTanoマネーサロン 代表/CFP(R)/1級FP技能士/住宅ローンアドバイザー/キャリアコンサルタント(CDA)家族が笑顔になれるための生活に役立つお金の知識を、主に女性向けに、セミナーやコラム記事などを通じて情報発信。保険などの商品を一切販売しないファイナンシャルプランナーとして活躍中。専門は教育費・ライフプラン・保険・住宅ローン・マネー&キャリア教育。女性の心に寄り添う個人相談にも定評がある。企業講演の他、小・中学校や地域コミュニティなどでの講演やワークショップなど、保護者や親子向けイベントも行っている。コラム監修者プロフィール 柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)CFP(R)/1級ファイナンシャルプランニング技能士関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。家計アイデア工房 代表※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年03月15日質問:「健康保険」に加入していれば、「医療保険」には加入しなくても良いでしょうか?「健康保険」に加入していても、民間の「医療保険」への加入をおすすめします。公的医療保険制度の仕組みのひとつである「健康保険」と民間の「医療保険」とでは、それぞれの担う役割が大きく違いますので、「健康保険」に加入していても、民間の「医療保険」に加入されることをおすすめします。公的医療保険の役割日本では、「国民皆保険制度」によりすべての国民が公的医療保険に加入することになっています。公的医療保険制度は、国民がお互いに支え合うことによって、誰もが安心して医療を受けられる制度で、中小企業の会社員が加入する「協会けんぽ」や大企業の会社員が加入する「健康保険組合」、公務員や教職員が加入する「共済組合」などの被用者保険と、自営業者や農業者、専業主婦など被用者保険の対象外の方のための「国民健康保険」と、75歳以上の方が加入している「後期高齢者医療制度」の3つに大別することができます。公的医療保険制度は、国民生活上のリスクを広くカバーしてくれていますが、その中でも身近でもっとも大きな役割が、医療費の自己負担軽減です。治療を受けた際に窓口で支払う医療費は、この「公的医療保険制度」で定められた割合が請求されます。医療費の負担割合・義務教育就学前:2割負担※自治体によって補助制度があり、実際に窓口で支払う金額が異なる場合があります。・義務教育就学以降~69歳:3割負担・70歳~74歳:2割負担※現役並みの所得がある場合は3割負担となります。※平成26年4月2日以降に70歳になる方が対象。平成26年4月1日以前に70歳になっている方は1割負担のままです。・75歳以上:1割負担※現役並みの所得がある場合は3割負担となります。もし、「公的医療保険」に加入していない場合に病院にかかると、医療費の全額を支払う必要があり、その負担額は大きなものとなります。民間の医療保険の役割では、民間の医療保険の役割はどのようなものでしょうか。答えは「公的医療保険制度で補えない部分」に対する備え、すなわち「医療費の自己負担金」に対する備えです。高額所得者や預貯金の豊富な方など、医療費を自己負担しても、日々の生活への影響が少ない場合には、民間の医療保険に加入する必要性は低いかもしれません。しかし、多くの家庭では、預貯金の多くは教育費や住宅購入費用などの別の目的のために備えている場合が多いでしょう。「入院」や「手術」など医療費の負担が大きくなる場合のほとんどが、突発的に起こるものです。そんなとき、民間の医療保険に加入していれば、対応が可能になります。医療保険に加入する際には、公的医療保険制度の内容をふまえて検討を例えば、公的医療保険制度のひとつである「高額療養費制度」は、一カ月の医療費の自己負担額が一定額を超えた場合、その超えた分が還付されます。そのため、健康保険の適用のある治療であれば、大きな備えは必要がないかもしれません。しかし、高額療養費制度の対象にならない高度の医療技術を用いた療養(先進医療)を想定した場合、先進医療の技術料については、健康保険は適用されないため、自己負担が高額になる可能性があります。また、入院中の食事代や、自分から希望して個室に入院したときの差額ベッド代なども高額療養費制度の支給の対象になりません。民間の医療保険を検討する場合、あらゆるリスクに対応できるのが理想ですが、全てを医療保険でカバーしようとすると、その分保険料も高額になります。そこで、ご自身が加入されている公的医療保険の種類や保障内容を再度確認したうえで、不足する部分に優先順位をつけて、どのようなプランを選択し、どのような特約が必要なのか検討しましょう。このように、民間の医療保険への加入を検討する場合は、職業や家族構成など、さまざまな条件を考慮しながら検討をする必要があります。各ご家庭に則したプランを詳細に検討したい場合には、複数の保険会社の商品を取り扱っている総合代理店で相談してみることをおすすめします。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年03月07日質問:代理店を介して医療保険に加入するより、保険会社に直接申し込んだ方が、保険料が安くなるのでしょうか?また、申込方法が違うことで、どのような違いがありますか?一般的に医療保険は、加入する際に代理店を経由しても、保険会社に直接申し込んでも、同一の保障内容であれば保険料は同じです。最近では、申込方法も豊富になってきています。特徴をよく理解しておくことが大切になってきますので、「対面での申し込み」「通信販売での申し込み」「インターネットでの申し込み」に分けて説明しましょう。対面での申し込み生命保険会社や代理店の窓口を通して手続きする場合や、お客さまのご自宅や職場などに担当者(生命保険募集人)がお伺いして手続きを行う場合などがあります。近年では、店舗型の代理店窓口が増え、保険相談に行きやすくなっています。■事前予約などにより、面談日の調整が必要対面での相談、申込手続きをする際には、事前に保険会社や代理店の担当者と日時・場所などの調整が必要になります。飛び込みで対応してくれる店舗もありますが、確実ではありませんので、あらかじめ相談予約をされることをおすすめします。■要望に合わせたプランでの加入が可能対面型の場合、取り扱える保険種類が豊富で、お客さまのご要望に合わせたプランで検討することができます。また、総合代理店の場合、1社だけではなく複数の保険会社の商品を取り扱っているため、その場で数種類のプランと保障内容などを比較し、検討できます。■多くの場合、他の申込経路より早く保障を開始できる医療保険は、「申込日」「告知日」「初回保険料の支払日(保険会社が保険料を受領した日)」のいずれか遅い日から保障が開始されるため、最短だと、申し込んだ日を保障開始日(責任開始日)とすることができる場合があります。■原則として、保険会社や代理店の担当者と加入希望者全員の面談が必要対面での申し込みの場合には、契約者と保障の対象となる方(被保険者)全員が、保険会社や代理店の担当者と面談し、本人確認を行うことが必要になります。通信販売での申し込みチラシや新聞広告などを見て、所定のところに連絡すれば、パンフレットや申込書類が郵送され、申込書類に必要事項を記入して返送することで申し込むことができます。今では、インターネットでも、サイトを通じて簡単に資料請求ができるようになっています。■お客さまの都合のよいときに申し込みができる資料請求して、お手元に届けば、お客さまの都合のよいときに申込書類を記入し、郵便投函ができます。書類への記入は、契約する方の自筆である必要があります。契約者と被保険者が異なる場合、被保険者欄の記入箇所を契約者が代筆することはできませんので、ご注意ください。■保障内容はあらかじめ決められたプランからしか選べない宣伝媒体や申込書類に記載された保障プランの範囲からでしか、保障内容は選べない場合がほとんどです。そのため、他の保険会社のプランと比較検討したい場合は、お客さまご自身で、それぞれの資料を探して取り寄せる必要があります。インターネットでの申し込み(ネット完結型)近年、インターネットに特化した生命保険会社も登場しましたが、医療保険については、損害保険会社の自動車保険のような「インターネット割引」はありません。■お客さまの都合のよいときに申し込みができる医療保険のパンフレットなどは、ウェブサイトの画面から出力できる場合が多く、見たい資料をすぐに確認できます。保険料についても、必要事項を画面入力すればその場で見積りができ、そのまま申込手続きができる場合があります。ただし、制限として、契約者と被保険者が同一であることが条件となっています。■紙媒体の書類が不要な場合があるウェブサイト上の入力で、全ての手続きが完結できる場合があります。ただし、申し込み完了後に、改めて郵送で必要書類の提出が必要な場合もありますので、手続きする前によく確認することが必要です。■保障内容はあらかじめ決められたプランからしか選べないウェブサイト上に記載された保障プランの範囲からでしか、保障内容は選べない場合がほとんどです。対面で申し込みできる商品と同じでも、保障額の金額設定に制約がある場合があります。■保険料の支払い方法の選択肢が狭い場合があるインターネットでの申し込みでは、紙媒体の書類のやりとりをなくすために、保険料の支払方法をクレジットカード払いに限定している保険会社もあります。その場合、クレジットカードの名義は契約者本人のものに限定されます。加入後、保険料の支払方法の変更が可能な場合がありますので、変更を希望されるのであれば、あらかじめ保険会社に確認することをおすすめします。大きな違いとして、「通信販売での申し込み」や「インターネットでの申し込み」は、「対面での申し込み」と違って、申し込む保険や保障内容をご自身で検討し、契約することが必要です。このように、それぞれ特徴がありますので、保障内容も含めてよく検討してみてください。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年03月07日質問:「治療」のためではなく「予防」のための服薬でも、医療保険に加入する際に申告(告知)しなければならないのでしょうか?「予防」のための服薬でも「申告(告知)」する必要があります。ただし、「薬の服用」=「保険に加入できない」という訳ではありませんのでご安心ください。近年、若い人でも健康診断で再検査の指摘を受けている方が増えてきています。日常生活に支障はなくても、重篤な病気にならないように服薬をされている方もいらっしゃることでしょう。そのような中で、「病気」にならないために薬を飲んでいるから「治療」ではない、というお声を耳にすることがありますが、医療保険をはじめとした生命保険では、服用の目的が「予防」のためでも、告知対象になるケースが多いので、ありのままを申告する必要があります。保険に加入できるかどうかは、服用の原因や薬名、他の告知内容によって保険会社が総合的に判断します。「薬の服用」=「保険に加入できない」という訳ではありません。申告する際には、保険会社所定の「告知書」の質問項目に答え、該当すれば詳細を申告することになります。細かな質問項目は保険会社ごとに異なりますが、主に下記のような項目があります。主な告知項目■告知日から過去3カ月以内に受診(診察、検査、治療、投薬)した場合「予防」のための薬をもらっている方なら、月1回や2カ月に1回などのペースで、定期的に通院されているケースが多いのではないでしょうか。「ねんざ」や「ぎっくり腰」など軽微な(通院1回だけなど)ケガも対象になりますのでご注意ください。■告知日から過去5年以内に「7日以上の入院」や「手術」をした場合この場合、入院に関しては、7日以上の入院が対象になります。■告知日から過去5年以内に「7日間以上」の診察、検査、治療、投薬をうけた場合「予防」のための投薬を受けておられる場合、多くの方がこの項目に該当すると思われます。ここでは、「7日間以上」という基準に注意が必要です。「7日間以上」に該当するケースは下記のとおりです。・7日分以上の薬の処方があった場合 「予防」のための投薬の場合、一度の通院で1カ月分を処方されるというケースも珍しくありません。・「初診」から「完治」まで7日以上かかった場合たとえ通院回数が2回でも、初診日と完治日(最終通院日)の間隔が7日以上あった場合は該当することになります。また、治療終了後の経過を見るための「診察や検査のための通院」も、「完治日(最終通院日)」までの期間に含まれます。■告知日から過去2年以内の健康診断で「異常の指摘」を受けた場合「異常の指摘」とは、一般的には「要経過観察」「要再検査」「要精密検査」「要治療」のいずれかに該当した場合です。ただし、保険会社や加入しようとする医療保険の種類によっては、「要経過観察」の指摘は申告しなくてもよい場合がありますので、実際の告知書で確認するようにしてください。一方で、告知しなくてもよいケースが明示されている場合もあります。一般的には下記のようなケースは告知対象にならないとされています。ただし、全ての保険会社が下記のように定めているとは限らないため、申込時に確認するようにしてください。告知しなくてもよいケース■完治から5年以上経過しているもの「完治」には、「治療終了後の経過を見るための診察や検査」の終了も含まれています。たとえ経過を見るための診察や検査だけでも受診するよう医師から指示されている場合には、「完治」とみなされませんので、ご注意ください。■医師への受診がなく、医師から処方されていない市販薬の服用 (かぜ薬・胃腸薬・頭痛薬など)■疾病の治療などではなく、健康増進のための行為 (市販のビタミン剤、サプリメントの服用など)上記以外のケースは、保険会社によって基準がさまざまです。例えば、「風邪は完治していれば告知しなくてもよい」と明記している保険会社もありますが、明記していない場合もあります。明記されていない限りは、「完治した風邪」であっても告知書の質問項目に該当すれば申告が必要です。実際に告知する場合、下記の点に注意して申告することをおすすめします。告知する際のポイント■薬を服用することになった原因を明記する一般的に、医師が薬を処方する場合には、必ずカルテに原因となる「病名」(疑いも含む)が明記されます。不明な場合は病院に確認するようにしてください。■検査を受けている場合には、検査結果数値を具体的に記入する検査結果数値は、異常の指摘を受けた項目だけでなく、関連項目(※)をセットで記入するようにしましょう。一つの項目の数値が高くても他の項目が良好であれば、そのバランスをみて査定する場合があります。(※)肝機能の場合だと「γ-GTP]「ALT(GPT)」「AST(GOT)」「総ビリルビン値」など。■服用している「薬名」を具体的に記入する「薬名」を具体的に記入することで、保険会社が「薬名」からリスクの高低を判断しやすくなります。以上の点をふまえ、健康状態についてありのままを申告するようにしてください。内容によっては医療保険への加入を断られることもあります。その場合でも、健康状態の診査基準が緩やかな医療保険もありますので、あらかじめ複数の保険会社の商品を取り扱う総合代理店で、詳しく相談されることをおすすめします。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年03月07日質問:妻が加入している医療保険の保険料は、夫の会社で保険料控除の申告ができますか?「夫」が保険料を支払っていれば「YES」、「妻」が保険料を支払っていれば「NO」!年末調整の際に申告するのが、「生命保険料控除」です。これは、課税対象となる所得から、所定の額を控除してくれる制度です。生命保険料控除の場合、「誰が加入しているか」よりも「誰が保険料を支払っているか」が重要です。なぜなら、「保険料を負担している人」しか生命保険料控除の申告ができないからです。国税庁と生命保険会社の基準の違いに注意!一般的に生命保険会社では、「契約者」=「保険料負担者」が原則になっていますが、生命保険料控除を管轄している国税庁では、「口座名義人」=「保険料負担者」を最終的な基準にしているようです。よって、下記のように分類しながらみていきたいと思います。■「妻」が保険料を負担している場合○保険料引き落とし口座の名義が「妻」の場合「夫」の会社で、保険料控除の申告をすることはできません。この場合は、「夫」が申告するメリットはほとんどないと思われます。■「夫」が保険料を負担している場合○保険料引き落とし口座の名義が「夫」の場合「夫」の会社で、保険料控除の申告ができます。ただし、保険会社から送付される「控除証明」は、契約者名義で作成されます。契約者が「妻」で、保険料負担者が誰なのか明記されていない場合は、保険会社に連絡すれば、保険料引き落とし口座名義まで掲載した「控除証明」を再作成してくれる場合がありますので、ご契約中の保険会社に問い合わせてみてください。※保険料を誰が負担するか、保険金の受取人を誰にするかによって、将来受け取る保険金の課税関係が異なる(贈与税または一時所得として課税が生じる)ことに注意が必要です。また、保険料控除には、保険期間が5年未満の貯蓄型保険は申告対象とならないなどの細かな基準があります。生命保険料控除の制度を活用するには今回の質問のように、本人以外が加入している契約を申告することを考える前に、自分が加入している契約の控除枠を使い切っているかを再チェックされることをおすすめします。平成23年12月31日以前に契約した医療保険は、死亡保険と同じ「一般の生命保険料控除枠」で扱われます。平成24年1月1日の改正によって、同じくらいの保険料を支払っていても、上限額オーバーでカットされていたものが、医療保険の見直しを行うことで、「介護医療保険料控除枠」の適用となり、新たな控除枠が活用できる場合があります。当然、既契約の見直しによるデメリットもありえますので、保険料控除のみで判断するのではなく、保険代理店などで総合的に相談されることをおすすめします。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年03月04日質問:手術をしても手術給付金が受け取れない場合があるそうですが、どんな場合ですか?医療保険で手術給付金が受け取れない場合の理由として、一般的に下記のような事例が考えられます。ただし、給付金を受け取ることができるかできないかの判断は見極めにくいケースが多いため、実際にはその都度、対象となるかどうかを保険会社にお問い合わせされることをおすすめします。もともと「給付対象外」のケースその1:治療を目的としない場合美容整形や人間ドックなど、治療を目的としない手術や検査が目的のものは、給付対象になりません。最近増加している「レーシック手術」も、多くの保険会社で給付対象外となっていますが、契約の時期や保険会社によっては対象になる場合もありますので、保険会社に確認されることをおすすめします。その2:複数の手術を同時に受けた場合や複数の手術とみなされない場合複数の種類の手術を同時に受けた場合、いずれか一種類の手術しか給付対象になりません。一般的には、最も給付金額が高い手術を優先する傾向にあります。また、骨折の手術の場合、固定用のボルトを埋める際には給付を受けることができますが、ボルトを抜く際は給付を受けることができません。理由は、両方あわせてひとつの手術とみなされるためです。その3:「保険会社所定の手術」に該当しない場合最近の医療保険では、「健康保険が適用される手術」を支払基準にしたものが多くなってきています。この場合は、約1,000種類の手術が給付対象となります。それでも、給付対象とならない手術(例えば、扁桃腺の手術やデブリードマン(創傷処理)など)が定められていることがありますので、約款や重要事項説明書で確認するか、保険会社に確認するようにしてください。一方、以前の医療保険は、約款の中に「対象となる手術一覧表」が掲載されており、診断書に記載された「術式名」がこの一覧表にあれば給付対象となり、該当がなければ給付対象外となります。この場合、「88項目」に分類された、約500種類の手術のみ給付対象となります。本来は給付対象だが、給付を受けることができないケースその1:加入前の既往症が原因で「特別条件」が適用される場合医療保険の加入時に申告する健康状態によって、特別条件が適用された場合、給付対象とならないケースがあります。特別条件とは、特定の疾病または特定の部位が一定期間保障の対象から外れる、「特定部位不担保」や「特定疾病不担保」などです。これらの特別条件には、適用される期間(不担保期間)が定められている場合が多く、不担保期間が経過すれば、給付対象になるケースもありますので、その都度保険会社に確認することが大切です。その2:告知義務違反に該当した場合本来、医療保険の加入時に申告すべき健康状態について、重大な申告漏れ、申告間違いがあった場合には、「告知義務違反」が問われます。医療保険加入時には、健康状態について、お薬手帳や健康保険の利用履歴などで、可能な限りチェックしておくことをおすすめします。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年03月04日質問:結婚を機に保険を見直す予定ですが、現在妊娠中です。新たに医療保険に入れますか?ご結婚、ご懐妊、おめでとうございます!元気な赤ちゃんの誕生をお祈り申し上げます!!そして、ご安心ください!妊娠中でも加入できる医療保険はあります。ただし、いくつかの注意が必要です。「妊娠中でも入れます!」の宣伝には落とし穴が!「給付金が出ます!」とは言ってません!妊娠中でも経過が順調であれば(注1)、医療保険に加入することは可能です。一般的には、妊娠27週目までは、ほとんどの保険会社が受け付けてくれます。最近では、27週目を超えていても加入できる保険会社も増えてきました。(注1)「経過が順調」:一般的には、妊婦検診で異常がないことや、出産に向け「帝王切開」などの予定がない状態のこと。でも、ここで注意が必要です。あなたが医療保険に加入しようとした目的が「今回の出産に備えるため」であれば、話は別です。妊娠中でも医療保険に加入することはできますが、「特定疾病不担保」や「部位不担保」などの条件付きとなり、今回の出産で「帝王切開」や「切迫早産による入院」に該当した場合、ほとんどの保険会社は給付対象外となります。加入することはできますが、いざ給付請求しようとした時に、給付金が受け取れるとは限らないのです。申し込み手続き前に、よく確認しましょう。すでに医療保険に加入しているなら、出産後の検討がベスト。未加入なら、今すぐ加入しましょう!一部の保険会社では「経過が順調」かつ「27週目以内」であれば、今回の出産も保障対象となるプランが用意されていますが、保険料は少し割高になります。もし、すでに医療保険に加入されているのであれば、出産後の検討をおすすめします。そのメリットは、既契約なら今回の出産が支給対象になる可能性が高いこと。デメリットは、万一出産により、大きく健康状態を損ねた場合、見直しや追加加入が難しくなることが考えられます。一方、医療保険に未加入であれば、今回の出産への適用はあきらめてでも、今すぐの加入をおすすめします。なぜなら、無事、自然分娩で出産された場合でも、何割かの女性は体質が変わったりして、すぐには保険の検討ができなくなるケースがあるからです。「医療保険」への加入は、今回の出産への備えよりも、今後の長い人生への備えではないでしょうか。メリット・デメリットを踏まえ、よく検討してみてください。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年03月04日質問:夫婦それぞれが医療保険に加入するよりも、「夫婦型」や「家族型」の医療保険に加入する方が、保険料が安くなってお得なのでしょうか?「夫婦型(配偶者型)」「家族型」にはメリット・デメリットがあり、保険料だけでの判断が難しくなってきています。そのため、多くの場合、ご夫婦それぞれが医療保険に加入されることをおすすめしています。「夫婦型(配偶者型)」「家族型」のメリット「夫婦型(配偶者型)」「家族型」のメリットは、以下の2点が考えられます。■トータルの保険料が少なくなる場合があることご夫婦それぞれが別々に医療保険に加入するよりも、「夫婦型(配偶者型)」「家族型」で加入した方が、トータルの保険料が少なくなる場合があります。ただし、後述のデメリットもしっかりチェックしておく必要があります。■ご家庭内での管理がしやすいことご夫婦それぞれの保険証券を2枚管理するより、「夫婦型(配偶者型)」「家族型」で1枚の保険証券を管理する方が、少しでも管理の負担は少なくなります。「夫婦型(配偶者型)」「家族型」の場合、保険料の「払込免除特約(特則)」が付帯されている商品もあります。「払込免除特約(特則)」とは、ご主人が死亡された場合、残された奥さまは、保険料を支払わなくても医療保険を継続できる特約(特則)です。ただし、近年60歳くらいで保険料の支払いを済ませてしまうプランも増えてきていることから、「払込免除」のメリットは薄れてきています。「夫婦型(配偶者型)」「家族型」のデメリット「夫婦型(配偶者型)」「家族型」のデメリットは、以下の2点が考えられます。■「配偶者」や「家族」の保障内容に制限があること(「妻」は「夫」の保障の60%程度)多くの場合、「配偶者」向けのプランは、メインの被保険者の保障の60%程度までしか付保できないなどの制限が設けられています。実は、「夫婦型(配偶者型)」の保険料が安くなる理由の大半が、この保障制限によるものです。一方で、実際に支払う医療費は、配偶者だからといって割り引かれることはありませんので、「妻」の必要保障額も確保できているかのチェックは重要です。■保障の見直しなどの際に、制限を受ける場合があること例えば、ご主人の保障を解約した場合、奥さまの保障までなくなってしまうのが「夫婦型(配偶者型)」のデメリットです。ご夫婦共に健康であれば、新たな医療保険を自由に選べますが、奥さまの健康状態が思わしくない場合などでは、ご主人の保障を見直すことも難しくなってしまいます。また、メリットの箇所でも少し触れましたが、ご主人が亡くなられた場合に「払込免除特約(特則)」が付帯されている商品であれば契約を継続できますが、付帯されていない商品の場合、契約は消滅となります。離婚された場合も同様に、契約が消滅となりますので、注意が必要です。以前の医療保障は、「死亡保障」をメインに「医療保障」を特約でセットしたプランが大半でしたが、近年では「医療保険」の単品販売が増加し、保障プランの選択肢が豊富になってきました。これにより、ご夫婦それぞれが「個人型」に加入される傾向が強くなってきています。また、「個人型」の場合、同じ年齢で同じ水準の保障内容でも、男性ならA社、女性ならB社が最も保険料が少なくなるなど、保険会社ごとのチェックを細かく行うことで、トータルメリットを出しやすくなってきています。医療保険を検討される場合は、ご夫婦の必要保障や想定するリスクに応じて、ご夫婦それぞれが最適なプランを検討されることが効果的だといえます。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年03月04日質問:医療保険だけでも多くの商品があり、よくわかりません。どんな種類がありますか?本来、医療保険は、病気やケガで「入院」や「手術」などの治療を受けた際の経済的負担(病院に支払うお金や付き添い者の費用など)を軽減するための保険です。目的を絞った「がん保険」と守備範囲の広い「医療保険」~最近では「がん」だけではなく、「三大疾病」に範囲を広げたプランも登場~※「三大疾病」:一般的には「がん(悪性新生物)」「心筋梗塞」「脳卒中」をさします。保険会社によっては、「心疾患」「脳血管疾患」と範囲を広く設定している場合もあります。■がん保険「がん」による高額な治療費負担に備える保険です。一般的に、経済的なリスクが大きくなると予想されるのが「がん」の治療です。健康保険が適用されない特殊な治療を受けた場合、自己負担が高額になることが予想されます。保障対象となる病気は「がん」のみですが、『狭く手厚く』保障されるタイプです。■医療保険「病気やケガ」による治療費負担に幅広く備える保険です。誰しも一生の間に何度かは「入院」「手術」を経験する可能性があります。そうした幅広いリスクに対応する、『広く薄く』保障されるタイプです。最近は、この『広く薄く』をベースにオプションの特約をチョイスして、オリジナルの保障が作れるタイプが増えています。「実費払いタイプ」と「定額払いタイプ」~主流は「定額払いタイプ」~■実費払いタイプ主な取り扱いは、大手生命保険会社の「医療特約」や損害保険会社が販売している「がん」「医療」のプランに見受けられます。入院時の請求書に記載された実費を、給付金として受け取れるのが特徴です。ただし、「実費」といっても、病院に支払った費用の全額ではなく、「健康保険が適用される費用」に限定されるタイプもありますので、注意が必要です。■定額払いタイプ一般的な日額払いのタイプです。短期入院で終わった場合は、自己負担が残ることもありますが、長期の入院や手術が伴えば、付き添い者の費用や通院時の費用までまかなえるケースもあります。仕組みは「基本保障」と「オプション」■基本保障医療保険の最もベーシックなプランは、「入院給付金」「手術給付金」「先進医療」がセットされているプランと考えてよいでしょう。これらの保障は、時代が変わり医療技術が進歩したとしても、無駄になることはないでしょう。■オプション「特約」といわれる「任意」加入の保障です。基本保障にプラスすることで、保障内容を充実させることができます。「死亡・高度障害特約」や「通院特約」、「がん診断一時金」が代表的な保障です。追加すれば、その分保険料が高額になりますので、医療保険に加入する「目的」と「優先順位」を決め、必要なものだけを選択することをおすすめします。「終身型」と「更新型」■終身型今後、大幅な保険の見直しをしないなら、「終身型」を選びましょう。保障期間が一生涯のタイプです。保険料は加入時の年齢で確定し、変動しないことがメリットといえます。保険料の支払いが滞らなければ、保障は一生涯継続します(一部の特約を除く)。■更新型常に最新の保障内容を希望されるなら、「更新型」を選びましょう。終身型と同じ保障内容でも、お手頃な保険料で加入することができます。また、あらかじめ設定された期間を満了すると「更新」が必要となりますが、常に時代の流れに応じた最新の保障内容を確保することができます。ただし、更新時には保険料も再計算され、同じ保障内容のままなら値上がりするのが一般的です。更新時の保険料や高齢期の保険料をあらかじめチェックした上で、検討する必要があります。また、更新型で保険料が高額となったときに終身型に変更したい場合は、健康告知が必要になるので要注意です。いざという時に、たくさんの給付金が受け取れると助かりますが、その分保険料も高くなりますので、目的と優先順位を決めて保険商品を選ぶことをおすすめします。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年03月04日質問:健康診断で「要再検査」の指摘を受けましたが受診していません。再検査を受ける前に医療保険に入っておいたほうがよいのでしょうか?「再検査」を受診したうえで医療保険へ加入されることをおすすめします。再検査で、思わしくない結果となった場合に備え、再検査受診前に医療保険に加入しようとお考えになる方がいらっしゃるかと思います。しかし、一般的に医療保険の加入時は健康状態の告知をしなくてはならないため、再検査の指摘を受けた原因と今後の治療が必要かどうかを確定させてから、医療保険の加入手続きをなさってください。まず「告知事項に該当」するか再確認しましょう!医療保険に入る際、過去の傷病歴・現在の健康状態・職業など、告知書で事実をありのまま伝える必要があります。一般的に医療保険の加入時に告知が必要になるのは、健康診断の結果「異常の指摘」に該当した場合です。異常の指摘とは、「要経過観察」や「要再検査(要精密検査も含む)」、「要治療(治療をうけるように指摘されたこと)」をいいます。告知書は保険会社によって書き方が異なりますが、「過去2年以内に健康診断・人間ドックで異常の指摘を受けたことがありますか?」というような質問があります。この質問に対して、「要再検査」や「要治療」の指摘だった場合は、指摘内容や検査結果数値などを記入することになります。「要経過観察」の指摘だった場合でも、検査結果数値を申告する必要があり、数値によっては加入できない場合があります。ただし、告知の範囲や告知内容に関しては、保険会社や商品によって異なるため、よく確認することが必要です。再検査を受診することは、デメリットではありません再検査の結果「異常なし」だった場合、「再検査の結果が異常なしであれば告知は不要」と定めている保険会社もあります。しっかり再検査を受診し健康状態に問題ないことを確認できれば、医療保険の審査をするにあたって、それだけプラスの情報が増えることになります。再検査未受診だと加入できないことも…「要再検査」の指摘を受け未受診の場合は、その内容にもよりますが、原則、再検査後あらためて申込手続きを行っていただくことになります。告知した内容によっては、医療保険に加入できない場合がありますが、その場合でも、「特別条件付契約」で加入できる場合もあります。例えば、保険金や給付金の削減、保険料の割増、特定の状態を保障の対象外(部位不担保)といった条件ですが、この条件も告知内容によって異なります。他にも、告知項目を簡素化し引受基準を緩和している「引受基準緩和型医療保険」を選択するという方法もあります。まずは、健康管理の面からみても「再検査」を受診されることをおすすめします。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年03月04日【ご相談】あと10年で教育資金と老後資金を準備したい。貯蓄目標額はどう考えたらよい?41歳男性です。妻は39歳で自営業です。現在は、妻の収入が多く、私の収入からすればぜいたくな生活をしていると自覚しています。ただ、この状態が長く続く保証もないため、今後10年間で教育資金、老後資金を蓄えたいと考えています。10年後、妻の収入が月10万円程度に減少するとした場合、貯蓄目標額についてアドバイスいただきたいです。また、保険についても過剰に契約しすぎていないか、住宅ローンを全額繰り上げ返済した方がよいかについてもアドバイスをお願いいたします。福岡県在住 橋本忠寛さん (仮名)【回答】お子さまの進学プランにあわせて、まずは教育資金を確保。老後資金の準備と合わせて、家計の変化に対応できる予備資金も準備しておきましょう。(ファイナンシャルプランナー 小林 美智子からのアドバイス)自営業の奥さまの収入が家計の大きな支えとなっているだけに、将来が不安でもありますよね。家計の状況をしっかり把握されており、現状に安心することなく今の段階から将来に備えようとする姿勢は素晴らしいです。それでは、貯蓄目標額の決め方と、10年後に奥さまの収入が減少しても、蓄えた老後資金を取り崩さないための対策を考えてみましょう。■教育資金は進路によって大きく変わりますまずはじめに、お子さまの教育資金についてです。必要な教育費はどのような進学プランを選ぶかによって大きく変わります。表1によると、小学校から高校まですべて公立を選択した場合、かかる費用の目安は約461万円です。単純に12年間で割ると、年間約38万円、月当たり約3万2千円です。お住まいの地域や習い事などにかかる費用によっても変わってきますが、基本的には日々の家計費のなかで賄うようにしましょう。一方、大学進学のための費用は、入学手続き時や進級時にまとまった額の支払いが必要になります。これらの学納金については、家計費の中から捻出するのではなく、「大学進学資金」として別に確保しておきましょう。仮に、私立理系を選択したとすると、かかる費用は4年間で約522万円です。現在の貯蓄額1,000万円から、大学進学資金として約500万円をあらかじめ確保しておけば、教育資金の準備については、ひとまず安心といえるでしょう。学資保険代わりに加入されているという低解約返戻金型終身保険は、解約せずに据え置くことで、年々返戻率を上げられるというメリットがあります。払い込みが完了するのはお子さまが中学生になる頃。中学、高校から私立へ進学したり、大学で下宿生活になったりすると費用はふくらみます。費用が増えた場合に備えて解約せず、継続しておくとよいですね。■老後資金を具体的にイメージしてみましょう次に、老後資金の準備です。一般的に、老後の生活費を公的年金のみで賄うことは難しく、不足する金額は現役をリタイアするまでに準備しておく必要があります。ただ、老後資金は教育資金と違って必要な額がイメージしにくいもの。順序立てて考えるために次のような計算式で導いてみましょう。橋本さまの場合、繰り上げ受給をされなければ、老齢年金が支給されるのは65歳からです。60歳以降、再雇用制度などを利用して得られる収入がどのくらいになるか調べておきましょう。老齢年金については、「ねんきん定期便」でご自身の加入状況を確認しておきましょう。50歳以降はねんきん定期便で老齢年金の見込み額を知ることができます。老後は生活費のほかにも、海外旅行、子どもの結婚費用の援助、住宅のリフォームや住み替え、介護費用などもかかります。想定されるものは予算に組み込んでおきましょう。今回、ひとつの目安として、統計データを使って試算してみました。総務省「家計調査報告(家計収支編)平成26年(2014年)平均速報結果の概況」によれば、「世帯主60歳以上無職2人以上世帯」の実支出は277,860円、実収入は206,992円です。橋本さまの場合、老齢年金の支給は65歳からですが、簡易的に60~64歳までも上記と同じ収入が得られるものとして試算してみました。表3の試算では、必要な老後資金は約3,500万円となりました。退職金を1,500万円とし、これに準備済みの500万円(現在の貯蓄1,000万円-大学進学資金500万円)を加算すると、不足額は約1,500万円となります。これを今後10年間で準備すると考えると、必要な年間貯蓄額は約150万円です。橋本さまの家計は毎月約18万円の黒字、ここにご主人さまのボーナスを加えた年間の貯蓄可能額は約257万円ですから、10年間では約2,570万円になり、今回の試算では、老後資金の準備も万端のようです。10年間で貯められる約2,500万円のうち、老後資金の不足額約1,500万円を確保したあとの残りの約1,000万円は、10年後の家計の変化に対応するための予備資金です。10年後に奥さまの収入が月10万円にダウンし、支出が現在のままだと、毎年約84万円の貯蓄を取り崩すことになります(低解約返戻金型終身保険の払込期間が終了すること、児童手当の支給がなくなることを見込んだ試算)。予備資金として1,000万円を別にしておき、それを取り崩すことで、老後資金に手を付けずに定年を迎えられます。今回の試算はひとつの目安です。老後に必要なお金は、橋本さまご自身の老後の収入や支出がより具体的になったら、ぜひ試算をし直してみてください。それにより、老後資金として確保すべき貯蓄と予備資金として確保できる貯蓄の色分けができるでしょう。■保険の見直しと住宅ローンについて次に保険の見直しについてですが、ご主人さまの万一の保障については、遺族厚生年金の額にもよりますが、下げられる可能性がありそうです。「ねんきん定期便」などでこれまでの年金の加入記録や加入実績に応じた老齢厚生年金の額を確認することで、遺族厚生年金の額を計算することができます。必要なデータを用意し、ファイナンシャルプランナーなどに相談して、適正な必要保障額を計算してもらうとよいでしょう。また、住宅ローンについては、仮に完済まで金利が変わらなかったとすると、今後支払う利息は約20万円です。急激に金利が上昇しない限り、急いで繰り上げ返済する必要はないでしょう。■自営業のメリットを生かした老後資金作りも自営業などの国民年金第1号被保険者には、厚生年金などのいわゆる「2階建て部分」がないかわりに、付加年金、国民年金基金、小規模企業共済や個人型確定拠出年金など、税制上メリットのある老後資金の作り方があります。拠出した保険料や掛け金は全額所得から控除されるため、奥さま自身の所得税や住民税を減らす効果があります。老後に備えながら節税もできる、魅力的な資産運用です。資金の払出方法や時期、制度の組み合わせ方などの注意点もありますので、ご利用の際は、税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談してみてくださいね。コラム執筆者プロフィール 小林 美智子(こばやし みちこ)CFP(R)/1級ファイナンシャルプランニング技能士/住宅ローンアドバイザー住宅購入や子どもの教育費の準備など、計画的な家計管理の必要性を感じ、家計の見直しを進めていくうちにファイナンシャルプランナーとなる。自身のライフプランにおけるお金の問題を解決してきた経験と、主婦として家計を守ってきた経験から、「難しいことをわかりやすく」をモットーに、お金にまつわる様々な問題や不安を解決する方法を発信している。こころFP事務所 代表コラム監修者プロフィール 柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)CFP(R)/1級ファイナンシャルプランニング技能士関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。家計アイデア工房 代表※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年02月16日【ご相談】もうすぐ2人目が誕生!主人の給料だけでやっていけるか心配です31歳の兼業主婦です。もうすぐ2人目が生まれるので、産休・育休に入ります。今までは、主人の給料でやりくりをし、はみ出た支出、微々たる貯蓄を私のパート代で賄なっておりましたが、産休に入ると私の収入はなくなるため、やっていけるか心配です。静岡県在住 小山美紀さん (仮名)【回答】先取り貯蓄と正しい予算立てで、漠然とした不安を解消しましょう!(ファイナンシャルプランナー 橋本 絵美からのアドバイス)もうすぐ第2子ご出産とのこと、おめでとうございます!家族が増え、にぎやかで楽しくなりますね。さて、今回のご相談は、出産後、収入が減って家計が心配……ということですが、「収入が減ってしまうのに子どもが増え、お金がかかる……どうしよう!」と焦る気持ちもわかります。将来に対する漠然とした不安を解消するための【貯め方】と【使い方】をお伝えいたします。【貯め方】漠然とした不安を解消!何にいくら必要かを知り、先取り貯蓄を実行しよう!月の収支を見てみますと、ご主人のお給料のみでやりくりを頑張っておられるようです。それなのになぜか不安があるのは、先にお金を支出し、余ったら貯蓄ということをされているからではないでしょうか。できれば貯蓄もしたい……ではなく、先に必要額を先取り貯蓄し、残りでやりくりするという方法に切り替えましょう。現在の貯蓄も「何となく貯まったお金」ではないでしょうか。まずは、何のための貯蓄かを明確にしましょう。小山さまは既にマイホームをお持ちで、ローンを返済中ということですね。繰り上げ返済もしたいところではあるかと思いますが、現在の貯蓄は、何かまとまったお金が必要になったときのための「万一の貯蓄」としてそのまま蓄えておきましょう。生活費やカードの引き落とし用の口座とは別に、貯蓄専用の口座を準備し、このお金には万一のとき以外は手をつけないようにしましょう。そして、これから新たに準備が必要な費用は教育費です。高校までの教育費は毎月の収入で賄えるかもしれませんが、大学に関しては、国公立大学へ進学し、自宅から通学する場合でも、平均で入学費用として83.2万円、在学費用は年間107万円かかります(日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果」平成26年度より)。自宅外通学や私立大学に通うと、さらにかかることになります。そのため、なるべく早く積み立てを始めることが肝心です。月2万円を18年間積み立てると、利子が0%だとしても432万円貯まります。今のうちから、進学までに確実に用意でき、かつ積立額よりも増えていく学資保険などで積み立てていきましょう。何かあったときの蓄えと、教育費がしっかり確保できれば、漠然とした不安も解消できるのではないでしょうか。ここまでのポイント・生活費口座(給与が振り込まれる、生活費などが引き落とされる口座)と、万一の貯蓄口座(何かあったときに備える口座)を分けるため、万一の貯蓄の専用口座を準備する・教育費貯蓄(大学進学の費用に備える)として、学資保険など確実かつ利率のよいもので準備する【使い方】正しい予算立てで貯蓄をしながら豊かに暮らす次に考えることは、貯蓄分を確保した後の残りのお金の使い方です。正しく、無理のない予算立てをしましょう。現在の支出状況を見ますと、通信費が大きな割合を占めています。月2万円ということは、自宅のネット、固定電話とスマートフォン2台といったところでしょうか。スマートフォン2台を格安スマホ2台に乗り換えると、2台で「基本料金3,000円+通話料」に抑えることも可能です。PCやタブレットを利用する際には、スマートフォンのテザリング機能を利用することにして、自宅のネット、固定電話の解約も検討できないでしょうか。ただし、動画をよく見る場合は、通信量が多くなり、料金が上がってしまいます。今回の家計の見直しを機に、多少の不便はあるかもしれませんが、優先順位を考えて、通信費を減らすことを検討してみてはいかがでしょうか。反対に予算を上げた方がよい項目もあります。家族が増えるので、食費や水道光熱費が多少上がることが予想されます。また、お子さまが二人に増えることで、交際費なども増えることでしょう。奥さまのお小遣いも少しUPした方がよいかもしれません。小山さまの家計を以下の表のように見直ししてみますと、通信費が削減できれば、これらの予算がUPしても、教育費の積み立ても含めて、ご主人の収入内でやりくりすることが可能であることがわかります。ボーナスについても、まずは先取り貯蓄です。目安として4分の1を万一の貯蓄にまわし、残りを毎月の支出以外にかかる突発的な家電の買い替えや冠婚葬祭・旅行費用などにあてましょう。こうすることにより、奥さまのパート収入がなくなっても、年に44万円の貯蓄を生み出すことができます(「月額2万円×12カ月=24万円(教育費積み立て)」と「80万円(ボーナス)の1/4の20万円」の合計)。仮に、上のお子さまが18歳になるまでの13年間、このペースで貯蓄できたとしますと約572万円になり、国公立大学に通学された場合であれば、その学費は賄えそうですね。先取り貯蓄と正しい予算立てで、漠然とした不安を解消し、しっかり貯蓄をしながら家族4人のHAPPYな暮らしを実現してください。コラム執筆者プロフィール 橋本 絵美(はしもと えみ)2級ファイナンシャルプランニング技能士/お片付けプランナー子ども10人の幸せ大家族を目指す、現在4人の子どもを持つママ ファイナンシャルプランナー。「子ども=お金がかかる」という考え方ではなく、子どもは宝であり、ママたちが安心してもう一人子どもを生めるようにサポートしたいという思いから、ファイナンシャルプランナーとなる。お金とモノとの付き合い方を考え、お片付けプランナーとしても活動中。家族が笑顔になれる家計のやりくりとお片付けのアドバイスを行っている。明日から使える節約コラムやママ向けセミナーも好評。慶應義塾大学商学部卒業。ハピママlabo代表コラム監修者プロフィール 柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)CFP(R)/1級ファイナンシャルプランニング技能士関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。家計アイデア工房 代表※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年01月19日学資保険の満期金にかかる税金についてご存じでしょうか?結構まとまった金額を受け取るので心配になりますね。満期金を一括で受け取る場合一般に学資保険というと、子どもが15歳や18歳になった頃に満期を迎え、まとまったお金が一括で支払われるイメージをお持ちではないかと思います。具体的にいうと、0歳ぐらいの時に加入して、18歳の頃に満期を迎え、例えば300万円などのまとまった満期金を受け取る、というものです。こういった場合、受け取った300万円に税金はかかるのでしょうか?金額が大きいだけに、心配になりますね。子どもの教育費のために加入した保険の満期金なのに、やはり税金はかかってしまうのでしょうか?その答えは、かかる場合もある、ということになります。少し堅苦しい話になりますが、満期金を一括で受け取った場合、税法上「一時所得」となります。一時所得は、「(総収入金額)-(収入を得るために支出した金額)-(特別控除額50万円)」で算出します。そのため、学資保険の場合、「(満期金)-(支払保険料総額)-50万円」で、算出した額が一時所得となります。この式をみると、満期金から支払保険料総額を引いた差額が50万円を下回ると、マイナスになってしまうことがわかります。つまり、支払った保険料を50万円以上上回る満期金を受け取らない限り、課税されないということです。特別控除額50万円があるおかげですね。ところで、支払保険料総額を50万円以上上回る満期金を受け取るためには、仮に返戻率※を110%という、現在の学資保険としてはかなりの好条件で計算しても、支払保険料総額が500万円を超えるような高額な契約になります。このように、満期金を一括で受け取る学資保険の場合、現在の返戻率では、課税されるのはかなり高額な契約が対象になります。そして、仮に50万円を超えて一時所得が発生した場合でも、課税の対象になるのはその金額の1/2です 。例えば、10万円の一時所得を得た場合、10万円×1/2=5万円と、5万円が課税の対象となります。※払い込んだ保険料総額に対して、受け取れる満期金の割合のこと。年金のように毎年「お祝い金」を受け取る場合ここまでで、満期金を一括で受け取る学資保険の場合、かなり高額な契約でなければ課税されないことがわかりました。しかし、例えば大学入学から4年間にわたって、毎年、年金のように「お祝い金(以下、学資年金)」を受け取るタイプの学資保険の場合はどうでしょうか?実は、このタイプには注意が必要です。特に、契約者が自営業をされている場合は少額でも課税されてしまいます。その仕組みをみていきましょう。毎年年金のようには受け取る「学資年金」は税法上、先ほどの一時所得ではなく「雑所得」になります。雑所得には一時所得のような特別控除額50万円がありません。このことが、満期金に税金がかかるか、かからないかに大きく影響します。具体的に計算をしてみましょう。総支給見込額(受け取れる学資年金合計):400万円払込保険料総額:360万円学資年金年額:100万円(大学入学時から毎年100万円、4年間受け取るものとする)といった学資保険があったとして、雑所得の計算をしてみましょう。さて、一時所得と違い、雑所得には特別控除額50万円はありませんので、10万円がそのまま課税対象金額となります。ところが、契約者が会社員など給与所得者の場合、このケースでは課税されません。それは、給与所得者は、給与所得と退職所得以外の金額が20万円までは非課税となるためです(なお他に合算する雑所得がない場合)。しかし、自営業者にはこの非課税枠がありませんので、10万円全額に課税されることになります。いくら課税されるかは、契約者の収入によりますが、仮に10%とすると1万円になります。さらに、所得税の対象となるものには住民税もかかりますので、住民税10%を加えますと、納める金額は2万円です。これを毎年(住民税は1年遅れで)納めることになります。合計すると、2万円×4(年)=8万円このように、8万円になりました。400万円の学資年金のうちの8万円というと、一見、それほどの金額でもないようにも思えます。しかし、この学資保険に加入することで、実際に増えたお金は40万円であることを考えますと、税金の負担は決して軽いとはいえないのではないでしょうか。さらに、給与所得者には非課税枠20万円があるだけに、自営業をされている方は、なおさら納得できない気持ちになられるかもしれませんね。仮に今回のケースで、学資年金を一括で、大学1年生のときに受け取ったとした場合、税金がどうなるか考えてみましょう。前述した通り、この場合は一時所得となります。つまりはじめに出てきた式、「(総収入金額)-(収入を得るために支出した金額)-(特別控除額50万円)」この式があてはまります。今回のケースでは、400万円-360万円-50万円=-10万円と、-10万円になりますので課税はされないことになります。もちろん、自営業、会社員の区別はありません。少なくともこのプランでは、自営業者の方は、学資年金を毎年受け取るプランよりも、一括で受け取った方が税金面で有利になることがわかりました。(なお、学資金を大学1年生のときに一括で受け取る場合と、4年間に4回に分けて受け取る場合とで、返戻率が同じということは現実にはありません。)ここまでをまとめますと、(1)満期金を一括で受け取るタイプの学資保険は、満期金は「一時所得」とみなされる。一時所得には特別控除額50万円がある。したがって満期金から支払った保険料の総額を差し引いた金額が50万円以上にならなければ、課税されない。(2)毎年学資年金を受け取るタイプの学資保険の場合、学資年金は、「雑所得」となる。雑所得には特別控除額がなく、また、自営業の方は会社員のような20万円まで非課税になる制度もないため、必ず課税されてしまう。このようになります。では、自営業をされている方は、毎年学資年金が出るタイプの学資保険は絶対に避けるべきなのかというと、必ずしもそうとはいえません。というのも、毎年学資年金が出るタイプの学資保険は、満期金を一括で支払うタイプよりも保険会社が資金を長く運用できるため、その分返戻率がよくなっていると考えられるからです。自営業の方が、毎年学資年金が出るタイプの学資保険を検討する際には、返戻率の高さと、学資年金に雑所得が課税されることで目減りする金額を考慮し、総合的に判断することが大切といえます。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2015年12月01日個人年金保険の加入を検討する際に、「定額年金がいいのか?それとも変額年金がいいのか?」と悩まれる方もいらっしゃるかもしれませんね。それでは、「定額年金」、「変額年金」、それぞれの特徴を整理してみましょう。定額年金とは?一定期間、契約時の予定利率により積立運用を行い、契約時に定めた一定の年齢から年金を受け取る個人年金保険のことを、「定額年金」といいます。運用は、保険会社が一般勘定により行います。定額年金は、一般的に将来の年金原資が確定もしくは最低保証されているため安定的で、保険会社が破綻しない限り、元本割れの可能性は極めて少ないといえます。しかし、インフレリスクに弱いというデメリットがあります。図1 定額年金のイメージ 10年保証期間付終身年金と10年確定年金の例資料:(公財)生命保険文化センターホームページをもとに作成変額年金とは?一方、価格変動幅の大きい金融商品等で年金原資を運用して、運用効果を高めることを目的とする個人年金保険のことを「変額年金」といいます。複数種類の投資信託より契約者が選択し、保険会社が特別勘定にて管理し、運用を行います。変額年金は、将来受け取る年金金額が運用実績によって変動します。投資信託を通じて国内外の株式・債券等に投資され、運用実績に応じて、将来受け取る年金金額が大きくなる可能性もありますが、その逆の可能性、つまり、将来の年金受取総額が保険料の払込総額を下回る可能性もありますので、注意が必要です。なお、変額年金では、年金原資や年金受取総額に最低保証が定められている商品もあります。図2 変額のイメージ 10年保証期間付終身年金(保険料一時払い、年金額一定タイプの例)資料:(公財)生命保険文化センターホームページをもとに作成どちらがいいの?定額年金と、変額年金、いずれにもメリット、デメリットがあり、どちらが優れているということはできません。まずは、自分が思い描く老後のライフプランに対して必要な金額を具体的に考えてみましょう。そして、定額年金と変額年金の特徴や商品内容を理解し、自分にとって適しているのはどちらなのかを決めることが大切です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2015年11月18日個人年金保険の年金を受け取る際には税金がかかります。課税関係について整理しておきましょう。契約関係はどうなっていますか?まず、個人年金保険の契約者と年金受取人が誰であるかを確認しましょう。保険料の負担者と年金の受取人が同一人の場合には、公的年金等以外の雑所得として毎年所得税が課税されることになります。また、保険料の負担者と年金の受取人が異なる場合には、保険料負担者から年金の受取人に対して、年金を受け取る権利が贈与されたものとみなされることになりますので、年金の受け取りが開始された時点で贈与税が課税されます。そして、毎年支払いを受ける年金(公的年金等以外の年金)について、年金支給初年は全額非課税ですが、2年目以降は課税部分が階段状に増加していく方法により、所得税も課税されます。思わぬ落とし穴例えば、奥さま想いのご主人が、奥さまの老後の生活費に備えるために個人年金保険を契約し、ご主人自らが保険料を支払い、受取人を奥さまにしているというケースはどうでしょう?この場合、保険料の負担者と年金の受取人が異なるケースに該当するため、贈与税と所得税がかかってしまうことになります。返戻率などの条件をしっかり確認して、有利な条件で個人年金保険を契約しても、課税関係において所得税だけでなく、贈与税もかかることになってしまうと、せっかくの有利な条件で契約していたとしても、税負担が重くなってしまう可能性もあります。「そんなつもりじゃなかったのに……」ということにならないために、既に個人年金保険を契約されている方は、契約者と年金受取人が誰になっているかを今一度確認しておきましょう。また、現在検討中の方は、課税関係にも注意を払って、個人年金保険の検討を進めていくことをおすすめします。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2015年11月18日はじめにライフスタイルの変化や家計の見直しなどにより、加入していた生命保険を解約するケースがあります。解約は、「全部解約」「部分解約(一部解約)」の2つの方法があります。また、生命保険の種類によって解約時に受け取れる解約返戻金の金額も異なります。以下、解約の方法と解約返戻金についてみていきます。解約の方法「全部解約」は、解約しようと思っている生命保険を全てやめてしまう解約方法になり、解約された時点で契約は消滅し、以降の保障はなくなります。「部分解約(一部解約)」とは、保険契約自体を解約するのではなく、生命保険の一部分を解約することで、主契約や特約の保障額を減額する方法や、主契約はそのままで不要になった特約部分を解約する方法があります。ただし、特約の種類によっては、その特約を解約すると、別の特約も併せて解約になるものもありますので、注意が必要です。また、主契約部分の予定利率が高い商品は、全部解約をせず、主契約部分を部分解約(一部解約)するのも一案です。生命保険商品による解約返戻金の違い1.解約返戻金がない、またはあっても少額定期保険や医療保険等が該当します。「無解約返戻金」と記載のある商品は解約返戻金がありません。逆に健康祝い金や満期金が出る保険では、解約返戻金がある可能性があります。2.解約返戻金が払込保険料程度学資保険や個人年金保険等が該当します。解約した場合には、払込保険料程度の解約返戻金が支払われます。ただし、加入後短期間で解約した場合は、解約返戻金がまったくないか、少額になります。3.解約返戻金が払込保険料を上回る 終身保険等が該当します。契約から一定の期間を過ぎますと、解約返戻金が払込保険料を上回ります。貯蓄機能を重視して終身保険に加入された場合は、1年に1回保険会社から送られてくる加入中保険内容の案内等で、解約返戻金の金額を確認するようにしましょう。また、終身保険のなかには、保険料払込満了までの解約返戻金の水準を従来型より低く抑えた「低解約返戻金型終身保険」というタイプがあります。このタイプは、一般の終身保険に比べ保険料がお手頃になっています。貯蓄のために加入する場合は、保険料払込満了するまで元本割れの状態が続きますので、契約時に加入年齢や払込終了時期、解約時期が自分の目的に合っているか、確認が必要です。解約返戻金に掛かる税金解約返戻金は、一時所得として所得税の課税対象になります。課税の対象となる金額の計算式は、(解約返戻金-払込保険料合計額-50万円)×1/2 = 一時所得の課税対象金額になり、他の所得と合算されて税額が決まってきます。解約返戻金が「払込保険料+50万円」を下回る場合、税金はかかりません。なお、契約者と保険料の負担者が異なる場合は、贈与税の対象になりますので注意が必要です。まとめ主契約を全部解約すると、その時点で契約は消滅します。解約された契約は元に戻すことができません。後で、同程度の保障を付けたい場合、加入する時の年齢で保険料が計算されますので、一般的に保険料は解約前の契約より高くなります。また、その時の健康状態によっては、新たな生命保険への加入が難しくなる場合もあります。解約に関しては、今後のライフプラン、家族の状況等を考え、慎重に判断をしましょう。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2015年11月17日はじめに生命保険会社(以下、保険会社)は、長期にわたり加入者への保障業務を行うため、保険金や給付金等の支払余力について監督官庁(金融庁)がチェックしています。支払余力を見る指標として「ソルベンシー・マージン比率」があります。この比率が200%を下回った場合は、監督官庁によって経営健全化の確保を目的とした早期是正措置が取られます。ただし、ソルベンシー・マージン比率は、健全性を表す一つの指標に過ぎず、それ以外の原因(逆ザヤ・高リスク商品での運用等)で保険会社が破綻する場合もあります。以下、保険会社が破綻・倒産した場合に、保険契約がどうなるか等についてみていきます。保険契約はどうなるか結論から申し上げますと、保険会社が破綻しても保険契約は無くなりません。「生命保険契約者保護機構(以下、保護機構)」により一定の契約者保護が行われます。保険契約を継続する仕組みは、救済保険会社が現れた場合救済保険会社が現れなかった場合の2つの場合があります。1のケースでは、破綻した保険会社の保険契約は救済保険会社が引き継ぎます。2のケースでは、保護機構が設立する子会社(承継保険会社)、または保護機構自らが保険契約を引き継ぎます。一定の契約者保護とは保険会社が破綻しても契約は継続されますが、一般的に破綻前の保障が100%継続するわけではなく、以下の措置が行われます。1.責任準備金の削減破綻時点の責任準備金の90%までは原則補償され、残り10%は更生計画等で比率が決まります(高予定利率契約は除く)(保険金・年金等の90%が補償されるものではありません)。2.契約条件の変更予定利率の引き下げ等契約者への影響はどのような種類の保険契約をしていたかにより、契約者への影響度合いが変わります。一般的に定期保険や医療保険等のように「保障性の高い保険」の方が、終身保険や個人年金保険等のような「貯蓄性の高い保険」に比べ、保険金額の減少幅は小さくなります。また、高い予定利率(監督官庁が定める基準利率を超える利率)で契約した保険や、満期までの期間が長い保険等は保険金額の減少幅が大きくなります。その他に、保険会社破綻後に、保険契約の移転が完了するまでの期間は解約ができません。また、破綻後一定期間内に解約すると、契約条件変更後の解約返戻金等からさらに一定割合の削減が行われる場合もあります。以上、生命保険会社が破綻した場合、保険契約がどうなるかについてみてきました。保険を選ぶ時には商品の中身とともに、保険会社の財務状況等についても確認をしておきましょう。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2015年11月17日はじめに狩猟時代の後、農耕時代には、作物が生産できる「土地」があれば生活の保障になりました。しかし時代が進み、都市の発達とともに、事業や生活を守るために仲間同士の助け合いの制度が生まれました。それが、「生命保険」の始まりです。助け合いとしての生命保険最初の「仲間同士の助け合い組織」は、中世ヨーロッパの諸都市で発達した「ギルド」という同業組合であると考えられます。ギルドでは、組合員に一定の組合費を払ってもらい、積み立てをしました。積立金は、仲間の葬式代や遺族の生活保障、病気や事業の失敗の救済等のためにも使われました。ギルドが生命保険の始まりであるといわれることもあります。その後、17世紀終わり頃になって、イギリスのセントポール寺院で「香典前払い組合」が生まれました。この制度は、セントポール寺院の牧師全員で組合を作り、毎月一定の金額を払い込んでおいて、その資金で組合員(牧師)の死に備えるというものでした。また、1706年には、健康状態、年齢に関係なく一定の掛け金を集め、その年の死亡者に公平に分配する「アミカブル(親愛な)・ソサエティー」という組合が、やはりイギリスで生まれました。さて、香典前払い組合は、掛け金を払い込んだ年月に関係なく受け取る金額を同じにしたため、長く掛け金を払い続けなければならない若い牧師が、不公平感から次々と組合を抜け、老齢の牧師ばかりとなり、10年ぐらいでつぶれてしまいました。一方、アミカブル・ソサエティーは、年による死亡者数の違いにより、遺族がもらえる金額が異なるという不公平が分かり、ここでも若い人の加入が減り、老齢の方の加入が増える状況になりました。そこでその対策として、加入資格を、「健康で、12歳~45歳までの者」と改め、死ぬ率の高い老齢の方は入れないという制限が設けられました。ただし、この加入制限に科学的な根拠はありませんでした。大数の法則に基づく生命保険の誕生14~16世紀のルネッサンスの時代以後、ヨーロッパでは、科学の研究が盛んになり「大数の法則」も発見されました。大数の法則とは、数少ない経験では偶然に見えることでも、たくさんの例を集めて統計を取ると一定の法則がある、という自然法則です。ハレーすい星を発見したイギリスの天文学者ハレー(1656~1742)は、1693年の「ハレーの死亡表に関する論文」で大数の法則が人間の寿命にも当てはまることを発表しました。ハレーはこの論文のなかで、生命保険料や終身年金の掛け金は、加入年齢に応じて差がつけられるべきであるとも示唆していました。その後、ジェームス・ドドソン(1710~1757)という人物が、ハレーの死亡表に関する論文のなかの「ハレーの死亡表」の理論をもとに、年齢別の死亡率に応じた保険料を算出しました。1762年にドドソンの考え方に基づく生命保険会社として、「エクイタブル(公平な)・ソサエティー」という会社が設立されました。この最初の近代的生命保険会社は、それから200年以上もイギリスで営業を続けました。以上が、仲間同士の助け合いの制度の始まりから、公平で合理的な生命保険制度誕生までの歴史の概略です。(公財)生命保険文化センター発行「生命保険物語助け合いの歴史」を参考に執筆※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2015年11月17日【ご相談】小学校1年生の子どもがいます、中学受験など将来の教育費が心配です35歳女性です。32歳の夫と小学校1年生の息子がいます。以前は仕事をしておりましたが、現在は専業主婦です。転勤の可能性があるため賃貸住宅に住み、自動車は所有せずにカーシェアと公共交通機関で済ませるなど、日々の生活は節約して、年に一度家族旅行をしています。今のところやりくりには困っていませんが、将来を考えると子どもの教育費などが心配です。現在は公立に通っていますが、中学校は国立か私立を考え、4年生ぐらいから受験塾に通わせる予定です。このままの生活でよいのでしょうか。また、どのように備えればよいのでしょうか。大阪府在住 鈴木和子さん (仮名)【回答】今の家計状況なら、中学から私立でも大丈夫!しかし油断は禁物です。すぐにでも、教育費専用口座での管理を始めましょう(ファイナンシャルプランナー 中垣 香代子からのアドバイス)この春にお子さまが小学校に入学されたとのこと、おめでとうございます。お子さまが小学校に入学され、将来の教育費が気になり始めたのですね。今は困っていらっしゃらないけれど、家計のやりくりはこのままでいいのか、どのように教育費に備えたらいいのかとのご質問ですが、結論から申し上げます。今の家計状況を続けることができれば、中学から私立の進学コースでも大丈夫!しかし油断は禁物です。すぐにでも、教育費専用口座での管理を始めましょう。鈴木さまがご心配されている教育費ですが、準備を始める前に、今後の教育費がいくらくらいかかるのかを知る必要があります。文部科学省の調査によると、小学校から高校までの学校教育費と学校外活動費の合計は表1の通りです。通学期間合計欄のうち、鈴木さまにあてはまるところを赤文字で示しています。また、大学にかかる費用は表2のようになっています。鈴木さまのお子さまは、現在公立小学校に通われていらっしゃいますが、学校生活にかかる費用と習い事などにかかる費用は、月々の家計費の中で賄うことができています。次に、中学・高校ですが、私立もお考えとのことですから、中学からは私立の金額で考えることにしましょう。私立中学では、平均して1年間に130万円近い金額が必要となります。高校では「高等学校等就学支援金」制度(国公私立を問わず、年収910万円程度未満の世帯に、高校等の授業料の支援として「就学支援金」が支給される)があるため、中学よりは負担が軽くなります。それでも、私立高校では、平均して1年間に100万円近い金額が必要です。4月は他の月よりも引き落とし金額が多かったり、修学旅行の費用が引き落とされたりする月もあることでしょう。時には10万円以上の出費となることもあり、毎月の家計の中でやりくりするのは難しくなることも。私立に進学する前に、貯蓄にゆとりを持たせることがとても大事なことなのです。中学受験に備えて通う学習塾代も、塾によって差はありますが、大手塾では3年間で200万円を超えるところも少なくありません。また、大学受験に備えるための塾代や受験費用も100万円ほど考えておいた方がいいですね。ここで、教育費のご相談を受けた時にいつもお話ししている方法を、鈴木さまにも伝授します。それは、「教育費専用の口座を作ること」です。教育資金を光熱費・通信費の引き落としやカード決済口座と同じ口座に預けていると、教育資金が実際にどれくらい準備できているのかが分かりにくくなります。教育資金だけの専用口座で管理することにより、教育資金の準備状況を正しく把握することができます。次は、作った教育費専用口座には、いくらずつ積み立てていけばよいかです。鈴木さまの家計状況を見ますと、収入は手取り年収600万円、支出は年間約478万円+一時支出50万円で528万円。単純に考えると、年間で70万円ほど貯蓄できる計算になります。一時支出がなければ、1年間で120万円ほど貯蓄できる計算になりますが、実際には家電の買い換えや予定外の出費などがあるでしょうから、100万円ずつ貯蓄したとしましょう。さらに、中学3年まで支給される児童手当(月額1万円)も教育資金専用口座に入金すると、112万円になります。この積立スタイルで、鈴木さまが大学卒業までの教育費を賄うことができるのか、シミュレーションしてみました。1年間で100万円(中学3年までは112万円)を教育資金に積み立てて、そこから教育費を払っていけば、大学卒業までの教育費を賄うことができることがわかりました。ただし、上記の大学の費用は、私立大学の学校への納付金のみで算出しています。学校への納付金以外にも、大学生活に必要な費用は小さくありません。まだまだ先の話ではありますが、すべてを親御さんがご負担されるのか、お子さまがアルバイトや奨学金でいくらかご負担されるのか、大学進学前に話し合っておくことをおすすめします。鈴木さまは以前お仕事をされていたそうですが、今後のご予定はいかがですか?1カ月に5万円でも収入を得ることは、今後の生活の大きなゆとりとなります。「5万円くらい増えてもね……」と思われるかもしれませんが、1カ月に5万円ですと1年間で60万円、10年間で600万円になります。今からお子さまが高校を卒業されるまでの10年間で、600万円を増やすことができるのです。そうなれば将来、お子さまが留学などをしたいと思われた時の費用にもできますね。お子さまに使われない時は、退職後のお楽しみや生活費に充ててもいいですね。状況が許すならば、お仕事をされることを考えてもいいかもしれません。今後、お子さまの成長にともない、食費・通信費・お小遣い・旅行費用(子ども料金⇒大人料金)などが増えていくことと思いますが、現在のようにメリハリのある家計管理を続けて、ぜひ『年間100万円作戦』を成功させましょう。コラム執筆者プロフィール 中垣 香代子(なかがき かよこ)CFP(R)/2級ファイナンシャルプランニング技能士損害保険会社に約10年勤務後、子育てに専念。約20年間の専業主婦の後、ファイナンシャルプランナーとなる。「老後のお金サポーター」として、相談業務の他、40~50歳代女性にお金の知識をわかりやすく伝える活動をしている。また、自身の経験から、経済的理由で進学をあきらめるお子さんが一人でも減ることを願い、就学支援の情報発信にも力を入れている。老後のお金を一緒に考える事務所 所長。コラム監修者プロフィール 柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)CFP(R)/1級ファイナンシャルプランニング技能士関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。家計アイデア工房 代表※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2015年11月17日