更新日:2021/05/25
払い済み保険とは?利率の計算方法は?生命保険・終身保険を払い済みにすると損?
- 払い済み保険とは何か?その仕組みや特徴
- 払い済み保険にできる保険とできない保険の種類
- 払い済み保険にすべきタイミング
- 払い済み保険にした場合のシミュレーション
- 払い済み保険のメリット・デメリット
内容をまとめると
- 払い済み保険は保険金額を減らして保険料支払いを止められる
- 解約返戻金がある貯蓄型保険だけ利用可能
- 掛け捨て型の保険は対象にならない
- 解約返戻金が増える時に活用するべき
- メリットは保険料の負担なしで保障が継続することで、デメリットは保険金が減額すること
- 払い済み保険についてさらに詳しく知りたい方は保険のプロに無料相談をするのがおすすめ
- 今ならスマホ一つで保険のプロに無料で相談をすることができるので、この機会に保険に関する悩みを解決しましょう!
目次を使って気になるところから読みましょう!
払い済み保険とは?仕組みを解説!既払い保険料とは?
払い済み保険とは加入している保険の保障額を減らす代わりに、保険料の支払いを終わらせる制度のことです。
なお、保険期間は変わらずに継続します。
この制度を利用できるのは、終身保険・個人年金保険・学資保険など解約返戻金のある貯蓄型保険に限られます。
その理由は、解約返戻金が変更時の一時払い保険料に充てられて、以降の支払いがストップする仕組みになっているためです。
経済的に保険料を支払いが難しくなった時、保険を解約するのではなく、払い済み保険へ変更すると、保障を継続しながら保険料負担をなくすことができます。
また、新規の契約ではないため、告知や診査なしで手続きできるのもメリットであり、見直しの際、選択肢の一つとして検討すると良いでしょう。
また、払い済み保険の説明で出てくる「既払い保険料(既払込保険料)」とは、保険を契約してから払い済みにするまでに支払った保険料の合計金額のことを指します。
払い済み保険にできる保険はどれ?
払い済み保険にできるのは解約返戻金がある貯蓄型保険が前提となりますが、どのような保険が対象になるのでしょうか。
ここでは、払い済み保険に変更できる3つの保険をご紹介します。
- 終身保険:一生涯の保障を得られる
- 個人年金保険:老後資金を貯蓄できる
- 養老保険:死亡・満期に同額の保険金が受取れる
以降の章で、それぞれの概要や運用方法について見ていきましょう。
①終身保険:解約返戻金が増え続ける
終身保険は生きている限り保障が続き、被保険者が亡くなった時に死亡保険金、途中で解約した時は解約返戻金が受取れます。
一生涯の死亡保障が付いているため、長生きリスクに対応でき、長期的な貯蓄も実現できます。
払い済み保険にすると、運用方法は以下のようになります。
死亡保険金
本来受け取れるはずだった額がその時点の解約返戻金に従って最計算され、減額します。
解約返戻金
減額せず、契約時点での予定利率で運用は続くので、少しずつ増えていきます。
②個人年金保険:老後資金を貯蓄することができる
個人年金保険は老後資金の貯蓄を目的とした私的年金であり、公的年金(国民年金・厚生年金など)で不足する部分を自分で用意できます。
払込期間中に保険料を納めることで、契約時に定めた時期から、年金または一時金として保険金を受け取れます。
中途解約すると、解約返戻金が戻ってきます。
払い済み保険にすると、運用方法は以下のようになります。
年金
本来受け取れるはずだった額がその時点の解約返戻金に従って最計算され、減額します。
解約返戻金
減額せず、契約時点での予定利率で運用は続くので、少しずつ増えていきます。
③養老保険:死亡保険金と満期保険金が同額
養老保険は被保険者が亡くなった時に死亡保険金、満期を迎えた時に同額の満期保険金が支払われ、中途解約をすると解約返戻金が戻ってきます。
保険期間は自由に設定できて保障を確保しながら計画的な貯蓄ができるため、子供の教育、リフォーム、老後生活などの資金を用意するのに適しています。
払い済み保険にすると、運用方法は以下のようになります。
死亡・満期保険金
本来受け取れるはずだった額がその時点の解約返戻金に従って最計算され、減額します。
解約返戻金
減額せず、契約時点での予定利率で運用は続くので、少しずつ増えていきます。
【利率の計算方法も解説】払い済み保険にすると損になる場合は?シミュレーションで解説
払い済み保険にすると、本来受け取れるはずだった保険金額がその時点の解約返戻金に従って最計算され、減額します。
解約返戻金は期間が経過するごとに増えていくため、加入まもない時期に払い済み保険にすると、損になります。
また、低解約返戻型は保険期間中の解約返戻金が少なく、保険料の支払いが終了した時点で大きく増えるものであり、返戻率(解約返戻金÷支払保険料総額)は70%程の低水準となっています。
その分、保険料は割安に設定されているのがメリットですが、払い済み保険には向いていないと言えます。
参考として、以下のシミュレーションで低解約返戻金型終身保険の解約返戻金と保険料累計額の推移を見てみましょう。
- 加入年齢:32歳男性
- 死亡保険金額:500万円
- 保険期間:終身
- 保険料払込期間:30年(62歳)
- 月額保険料:10,920円
経過年数(年齢) | 支払保険料累計[円] | 解約返戻金[円](返戻率) |
---|---|---|
10年(42歳) | 1,310,400 | 952,150(72.6%) |
20年(52歳) | 2,620,800 | 1,963,600(74.9%) |
30年(62歳) | 3,931,200 | 3,047,800(77.5%) |
40年(72歳) | 3,931,200 | 4,571,800(116.2%) |
払い済み保険にすべきなのはどんな時?運用益に応じて解約返戻金が増える
貯蓄型保険は保険料が高いため、支払いを続けるのが難しくなるかもしれません。
また、ライフステージと保障内容が合わなくなり、見直しが必要になることもあるでしょう。
その場合、解約してしまうと保障は終了し、時期によっては解約返戻金が支払保険料を下回り、損することがあります。
代わりに新たな保険に加入するにしても、手間がかかったり、年齢により保険料が高くなるケースも考えられます。
そのため、以降の保険料支払いがストップする払い済み保険に変更するのがおすすめです。
受取れる保険金額は減少しますが、保障は継続し、解約返戻金は少しずつ増えていくため、残しておく方が有利と言えます。
ここまで払い済み保険にできる保険と、どのような場合に払い済み保険にするかについて解説してきました。
しかし、実際に自分に置き換えたときにはまだ払い済み保険にするかどうか決めきれない方が多いと思います。
自分1人で決めるのが不安なときは保険のプロに無料相談することをおすすめします。
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【注意】解約返戻金がない場合は払い済み保険にできない
払い済み保険に変更できるのは、解約返戻金のある貯蓄型保険に限られます。
その理由は解約返戻金が変更後の一時払い保険料に充てられて、以降の支払いがストップする仕組みになっているからです。
対象となるのは、終身保険・個人年金保険・養老保険・学資保険などが挙げられます。
掛け捨て型の定期保険や医療保険などは、払い済み保険にはできません。
払い済み保険にするメリット・デメリットとは
払い済み保険保険に変更するメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリットは以下の3点が挙げられます。
- 保険料の支払いがなくなる
- 保険金は減額するが保障は継続する
- 解約返戻金が少しずつ増えていく
デメリットは以下の3点が挙げられます。
- 保険金額が減少する
- 払い済み保険料にした場合満期で受け取れるお金が0になる
- 主契約に付帯していた特約が消滅する
- 保障内容の復旧ができないケースがある
以降の章で1つずつ解説していきます。
メリット①保険料の負担がなくなる
払い済み保険は保険金額が少なくなる代わりに、保険料の支払いがストップし、保障は変わらず継続していきます。
保険料を積み立てていく貯蓄型保険は解約返戻金があるため、保険料は割高に設定されています。
経済的に保険料支払いが難しくなった場合、払い済み保険にすると、月々の支払いはなくなるため、家計への負担を抑えられるメリットがあります。
一方で、保障は継続するため、万が一の備えができて安心です。
保険料負担を抑つつ、保障を確保したい人にはおすすめです。
メリット②主契約の保障期間はそのままで、保険料を減額できる
払い済み保険に変更して以降の保険料支払いがストップしても、保険期間は契約前と変わらないため、保障も継続します。
保険金額は減少してもいいから、今まで積み立てた保険料を無駄にせず、万が一の保障も確保しておきたいという人に向いています。
解約返戻金は少しずつ増えていくので、最終的に受取れる金額は解約時より多くなることも期待できます。
なお、足りなくなった保障は保険料の安い掛け捨て型の定期保険や医療保険などで補うと良いでしょう。
メリット③解約返戻金が増える
払い済み保険に変更した場合、保険金額は減少しますが、解約返戻金は変更前の予定利率が適用されるので、少しずつ増えていきます。
予定利率とは保険会社が契約者に対して約束する運用利回りのことを言います。
貯蓄型保険は積み立てた保険料を時間をかけて増やしていくので、まとまった金額になるにはある程度の期間が必要です。
しかし、万が一の保障を確保しつつ、貯蓄を続けられるのはメリットであり、将来受取れる保険金は子供の大学費用や住宅購入、老後生活の資金などに活用できるでしょう。
デメリット①受け取れる保険金額が減額される
払い済み保険に変更すると、その時点の解約返戻金に従って保険金額が再計算され、減少してしまいます。
特に加入して間もない時期だと、解約返戻金が少なく、大幅な損をする可能性が高いので、注意しましょう。
そして、保険期間中に万が一のことが起こった場合、減額した保険金では不足する恐れがあるため、不足分をカバーできるよう、別の保険で備えておく必要があります。
例えば、保険料の安い掛け捨て型の定期保険や医療保険などは、安い保険料でスポット的な保障が手軽に得られるのでおすすめです。
デメリット②払い済み保険料にした場合満期で受け取れるお金が0になる
これまで説明してきた通り、払い済み保険は解約返戻金をこれからの保険料支払いに当てるという側面もあります。
そのため、当然保険を払い済みにした場合、解約返戻金を受け取ることはできません。
したがって、生命保険を老後の生活資金の貯蓄という目的でも加入していたという人は、払い済み保険は最後の手段だと思っていた方が良いでしょう。
デメリット③主契約に付帯していた特約が消滅する
払い済み保険に変更すると、主契約に付帯する特約は消滅してしまいます。
そのため、変更前に特約の有無を確認し、消滅したら困るものを別の保険で確保するなど準備しておきましょう。
なお、リビング・ニーズ特約(余命6か月以内と宣告された時、死亡保険金を先に受け取れる)だけは継続できるケースが多いため、この点も確認が必要です。
例えば、医療特約が消滅する場合、入院・手術・通院などの保障はなくなるため、代わりに医療保険やがん保険などに加入すると良いでしょう。
デメリット④払い済み保険にした後、保険契約を復活させることはできなくなる場合も
払い済み保険に変更した後、元の保障内容に戻すことを復旧といい、所定の手続きが必要になります。
ただし、保険会社が定める期間(3年以内など)を過ぎると、復旧ができなくなるので注意しましょう。
復旧の際は改めて医師の審査や健康状態の告知などを行わなければなりません。
また、復旧部分の積立金の不足額やストップ期間の保険料に利息をかけた金額の支払いが生じて、高額な費用がかかることもあります。
そのため、上記の注意点を把握した上で、払い済み保険にするかどうかを決めましょう。
払い済み保険以外にも保険料が支払えない時の対処方法はある
保険料の支払いが難しくなった時、払い済み保険に変更する方法やメリット・デメリットについて説明してきましたが、他にも対処方法はあります。
以下4つの方法についてご紹介し、内容を説明していきます。
- 延長保険に変更
- 一部解約をする
- 保険契約を解約する
- 契約者貸付制度を利用
これらを利用すると、保険料の負担をストップまたは軽減できたり、解約返戻金の一部を借入することなどが可能です。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
対処法①延長保険
延長保険は保険料の支払いをストップする代わりに、保険期間を短くする方法です。
保険金額は契約時のまま変わりません。
なお、主契約に付帯している特約は消滅します。
例えば、700万円の終身保険を延長保険に変更すると、以降の保険料支払いはなくなり、保険金額は700万円のままで保険期間は20年などと短くなります。
また、変更時点の解約返戻金は一時払い保険料に充てられ、差益がある場合は満期時に生存給付金として受け取れるメリットもあります。
対処法②一部解約をする
保険契約の一部解約とは、主契約や特約の保障額を少なくしたり、不要になった特約を解約する方法です。
例えば、1,000万円の終身保険に加入している場合、300万円分を解約して700万円の保障を継続することができます。
主契約の予定利率が高い場合は、全額を解約するよりも一部解約の方が有利で、保険料を安くできるメリットも受けられます。
特約の解約については、セットになっている契約の場合、1つだけを解約することができないケースがあるため、注意しましょう。
対処法③生命保険を解約する
保険を解約すると、その時点で保険料の支払いは終了し、契約は消滅して以降の保障はなくなります。
付帯している特約があれば、それも消滅します。
貯蓄型保険は支払ってきた保険料が積み立てられるため、解約時に解約返戻金を受取ることができます。
ただし、短期間で解約した場合はごくわずかな額しか受取れず、大幅な元本割れを起こす可能性が高いです。
解約返戻金は少しずつ増えていくため、ある程度の期間が過ぎてから解約するのが良いでしょう。
対処法④貸付制度を利用する
契約者貸付制度は解約返戻金の一部を保険会社から借り入れできる仕組みです。
ただし、加入後間もない時期は積立金が少ないため、利用できません。
保険を解約せずに保障を継続したまま借り入れができ、金利はカードローンやキャッシングよりも低く、返済時期に比較的融通がきくことなどの利点があります。
しかし、貸付金には利息が発生するため、長期間借りていると返済額が解約返戻金を超えてしまう可能性があります。
その場合、保険契約が失効する恐れがあるため、注意が必要です。
保険料の支払いが難しいときの対処方法
保険料の支払いが難しい場合の対処方法をご紹介しましたが、どのような時に、どのような人が利用するのがおすすめかについて見ていきましょう。
- 払い済み保険
- 延長保険
- 一部解約
- 全部解約
- 契約者貸付制度
4の保険契約自体を解約する際は、解約返戻金に税金がかかる可能性があります。
どのような税金が課せられるのかについても解説していきます。
払い済み保険がおすすめな場合
払い済み保険は保険金額を少なくし、保障を継続したい人におすすめです。
ある程度の貯蓄が用意でき、高額な死亡保障は必要なくなったが、解約返戻金を受取ると手を付けてしまいそうという人は、貯蓄として残しておくのが良いでしょう。
解約返戻金が少しずつ増えていくメリットも享受できます。
保障も変わらずに続くので、万が一の際の備えにもなります。
延長保険がおすすめな場合
延長保険は保険期間を短くして、保険金額を変わらず確保したい人におすすめです。
小さい子供がいる家庭は、教育費が今後も長くかかるため、死亡保険金を減らしたくないけれど、月々の保険料を抑えて、家計への負担を抑えたいというニーズがあるでしょう。
そのような場合は保険期間よりも保険金額を優先する延長保険が向いています。
短くなった保険期間をカバーするために、別の安価な定期保険に加入すると、万が一の際の保障もコスパ良く得られます。
一部解約がおすすめな場合
家族構成や収入額の変化により、加入している保険と必要な保障にズレが生じることがあります。
その場合、保険の見直しをして、保険金額を減らしたり、不要な特約を外すなどの一部解約を行うと、保険料が安くなります。
ただし、保険契約によっては主契約と特約がセットになっていて、特約だけを解除できないケースもあるので注意しましょう。
保険は一度加入したら終わりではなく、定期的な見直しが大切です。
その際に、不要な保障があれば一部解約するのがおすすめです。
解約がおすすめな場合:解約返戻金には税金がかかる場合もあるので注意
貯蓄型保険に加入して、ある程度の期間が過ぎると解約返戻金が増えていき、解約の際にまとまったお金を受取れます。
受取った解約返戻金は一時所得とみなされて、所得税が課せられます。
課税対象額の計算方法は以下の通りです(参考:国税局)。
(解約返戻金ー支払い保険料総額ー50万円)×1/2=一時所得の課税対象額
解約返戻金が支払った保険料よりも少ない、または50万円以下の場合は課税されません。
なお、保険料を負担した人と解約返戻金を受取った人が異なる場合は、贈与税がかかります。
金額によっては高い税率が課せられるため、対策を考える必要があります。
貸付制度を利用するのがおすすめな場合
貯蓄型保険に加入していると、解約返戻金の一部を保険会社から貸付が受けられる契約者貸付制度を利用できます。
保険契約は解約する必要がありません。
一時的にまとまったお金が必要になった場合、カードローンやキャッシングよりも低金利に借入ができ、返済時期に比較的融通がきくため、利便性があると言えます。
ただし、返済額が大きかったり、長期間借りていると、解約返戻金を超えてしまい、保険が失効する恐れがあるので、気を付けましょう。
ここまで読んで、「内容が多くて理解できない。」という意見を持った方も少なからずいらっしゃると思います。
そのような方は自分1人で理解しようとせずに、お金のプロに無料で相談をしてみましょう。専門的な内容はプロに任せることが最前な方法です。
今ならスマホ一つでお金のプロに無料で相談をすることができるので、この機会にお金に関する悩みを解決しましょう。
まとめ:払い済み保険のメリットやデメリット・払い済み保険がおすすめな人について
払い済み保険について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
今回の記事のポイントは、
- 特徴は保険金額を減らす代わりに保険料支払いをストップできること
- 利用できるのは解約返戻金がある貯蓄型保険のみ
- 掛け捨て型の定期保険や医療保険は対象外
- 活用すべき時期は保険加入後、解約返戻金が増えてから
- メリットは保険料の負担なしで保障が継続すること
- デメリットは保険金の減額や特約の消滅
- 延長保険、一部解約、貸付制度などもおすすめ
でした。
保険料の支払いが難しくなった場合、払い済み保険に変更すると、保険金は減額しますが、以降の保険料負担はなくなり、保障も継続するのでおすすめです。
ただし、保険加入後間もない時期は解約返戻金が少なく、損になるので、ある程度の金額になってから実行するのが良いでしょう。
また、延長保険や契約者貸付制度もあるので、目的に応じて検討してみてはいかがでしょうか。