メガソフトは27日、テキストエディタ「MIFES」の最新版となる「MIFES 10」(仮称)の公開テスト版(パブリックベータ版)を公開した。簡単なアンケートに答えることで、誰でも無償でダウンロードして試せる。ただしサポートや不具合補償は受けられないため、自己責任において試用していただきたい。最初のMIFESが発売されたのは1985年。それから脈々とバージョンアップを重ね、さまざまな分野のユーザーに愛用されている。各種プログラム言語のソースコード、HTMLなどのWebソース、テキスト原稿、CSVやXMLなどのデータファイル、 バイナリファイルなど、さまざまなファイルを編集できる高機能テキストエディタだ。次期バージョンでは構造解析エンジンを搭載し、ファイルの特性に合わせてブロックを自動認識する。プログラムソースではif、forなどの制御構造、HTMLやXMLではタグ、論文などの文書ファイルでは見出し文字による段落に対して、明示・選択・切り貼り編集が可能となった。加えて、全体構造の把握を手助けするアウトライン表示機能、誤入力・誤編集を軽減する入力支援機能の追加、そして検索機能やファイル比較も強化している。対応OSはWindows XP / Vista / 7 / 8 / 8.1、Windows Server 2012 / 2008 / 2003。詳細はメガソフトの製品情報ページを参照いただきたい。
2014年11月28日米Googleは19日(現地時間)、同社製ブラウザ「Google Chrome」の最新ベータ版に、新たなブックマーク機能を実装した。メニュー>ブックマーク>ブックマークマネージャで利用可能。同機能は、今後数週間かけてロールアウトされる。ベータ版では、同社が提供済みのChrome向け拡張機能「Bookmark Manager」と同等の機能を標準で搭載する。ブックマークの名前/URLに加えページが写真付きで並び、メモを付けて管理できる。写真はブックマークの作成時に選択可能。また、「東京」や「写真」のようにトピックにより自動でフォルダを提案する機能、ブックマークの共有機能、デバイスをまたいでブックマークを共有できる機能も追加される。ほか、検索時には、ブックマークページの内容も検索対象とすることで、検索性も改善されている。
2014年11月21日米Microsoftは14日(米国時間)、Webブラウザで動作する「Skype for Web」ベータ版を発表した。ブラウザ上でサインインすることで、Skypeのチャットや音声通話機能が利用できるようになる。Skype for Webは少数の既存・新規ユーザー向けにSkype.com上で今後数週間かけてロールアウト。全世界向けには数カ月かけてロールアウトしていく。このブラウザ版の提供により、従来のクライアント型より手軽にチャットやビデオ通話が行えるようになり、例えば出先のカフェやホテルなど、Skypeのクライアントをダウンロードできない場合でもSkypeでコミュニケーションをとることができる。リリース時点では、利用に小さなプラグインをインストール必要があるが、現在行っているReal-Time Communications (RTC)の実装作業が進めば、今後プラグイン不要でSkypeの機能が利用できるという。対応OSは、Windowsの場合Internet Explorer 10、Google Chrome最新版、Firefox最新版。Macの場合Safari 6以降。なお、ビデオチャット時に接続に時間がかかる場合があること、Macで使う場合にバッテリ消費が大きくなることなどの問題が確認されている。
2014年11月17日アイレップはこのたび、動画広告の効果検証を「ユーザーの検索行動」から計測するサービスのβ版を提供開始すると発表した。この動画広告効果分析サービスは、「サンプルユーザーへの動画配信」や「接触前後の検索キーワードの把握」「接触前後での検索キーワードの変化の分析」「レポーティング」などで構成。従来のアンケート調査ではなく、実際のユーザー検索行動の履歴に基づき、ユーザーの興味・関心が動画接触前後でどのように変化したかを検証・分析することで、動画広告の態度変容効果の検証を可能にしたという。同検証においては、第1弾として、大量の検索データをもとにユーザー分析が可能な「クロスリスティングDMP」を提供するクロスリスティングと、動画広告配信プラットフォーム「TubeMogul」を提供するTubeMogulの日本法人となるチューブモーグルと連携する。なお、同サービスの導入価格は、その都度見積りにより算出される。
2014年11月17日10月16日に「OS X Yosemite」の最終版の提供が始まった。Yosemiteの開発でAppleはパブリックベータ・プログラムを用意したが、パブリックベータ登録者に対して同社はOS X Yosemiteのベータアップデートの提供を継続することを伝えた。OS X Yosemiteのパブリックベータ・プログラム登録者がパブリックベータ版をインストールしたMacに対してAppleは引き続きベータアップデートを提供する。トラブルが起こる可能性のあるベータアップデートをインストールしたくない場合は、システム環境設定の「App Store」の「プレリリースのソフトウエア・アップデート・シードを受信」という欄で「変更」をクリックし、App Storeにプレリリース・アップデートを表示しないようにすると通常のOS X Yosemiteと同じバージョンでアップデートされるようになる。プレリリース・アップデートを表示しないようにした後に、プレリリース・アップデートを受け取るように設定し直すことはできない。
2014年10月21日●10月1日よりUNI-CUBβの本格商用サービスが開始日本科学未来館(未来館)では10月1日より、本田技研工業(ホンダ)製の座乗型パーソナルモビリティ「UNI-CUBβ」(画像1)の来館者向け有料レンタルサービスを開始した(画像2)。その模様をお伝えすると同時に、実際にUNI-CUBβに乗ってレンタルサービスによる未来館体験ツアーに参加してみたので、その模様をお届けする。また、UNI-CUBシリーズの生みの親のひとりである本田技術研究所 スマートモビリティ開発室の小橋慎一郎主任研究員にも話を伺うことができたので、それも併せてお届けしたい。さて、これまで何回かUNI-CUBシリーズに関する記事は弊誌でお伝えしており、UNI-CUBβについても既報の通りだ。一応、簡単におさらいしておくと、UNI-CUBβは、2009年発表の「U3-X」に始まるホンダの1輪車型パーソナルモビリティの最新機種で、2013年11月に発表された。もちろん、ASIMOなどのロボット開発で培われたバランス技術などが応用されている「ホンダ ロボティクス」に属する1台である。なお、UNI-CUBのことを初代、UNI-CUBβを2代目、とする見方もされてきたのだが、ホンダとしては、UNI-CUBをリプレースするのがUNI-CUBβではなく、同じUNI-CUBシリーズというモデルの中のタイプの異なる派生型というのが正しいそうだ。車に例えるなら、同じ車種のノーマルモデルとスポーティモデルというような違いといえばいいだろうか。ホンダ車でいえば、例えば「フリード」と「フリードスパイク」のような関係である。未来館でUNI-CUBからUNI-CUBβに置き換わったので、旧型モデルと新型モデルに見えてしまうのだが、UNI-CUBが旧型モデルというわけではないのである。パーソナルモビリティは大別して、座って乗る「座乗型」と、立って乗る「立乗型」(画像3・4)の2タイプに分かれ、座乗型にはさらに(筆者個人の考える分類だが)バックシート(背もたれ)があってボディが搭乗者の左右や上方を囲む比較的大きめの「コックピット型」(画像5)、さらにはボディ内に乗り込む形のパーソナルモビリティとしてはかなり大型になる「車両型」(画像6)、バイクのようなハンドルを前傾姿勢で握って操作する「バイク(ライディング)型」(画像7)、電動車いすを発展させたタイプの「車いす型」(画像8)などがあるが、U3-Xを含むUNI-CUBシリーズは他に類を見ないタイプで、腰掛けて座り、ハンドルやジョイスティックなどの手でつかむ操縦装置がない「腰掛け型」である点が大きな特徴だ。日本科学未来館では2012年5月の「UNI-CUB」(画像9・10)の発表会に始まり、翌6月からは館内での科学コミュニケーターが利用する形での共同実証実験がスタート。さらに、その共同実証実験の1つとして、抽選で選ばれた未来館友の会の会員が参加した館内ツアーイベントなども行われ(画像11)、その様子もレポートさせてもらった通り(この時に筆者もUNI-CUBに搭乗させてもらった)。こうして乗り心地や使い勝手などの情報が、小橋氏ら開発チームへのフィードバックされ続け、それを基にハードウェアを一新したのがUNI-CUBβだ(前述したように、UNI-CUBとUNI-CUBβは旧型モデルと新型モデルの関係ではなく、UNI-CUBがノーマルモデルなら、UNI-CUBβは低年齢対応モデルといった感じ)、未来館では2014年4月にUNI-CUBと交代し、現在も共同実証実験が続けられている。そしてUNI-CUBβの実験開始から半年が経ち、一般の来館者が利用しても問題ない安定感などを得られたこと、未来館側の準備が整ったことなどから、今回の商用サービスがスタートしたというわけだ。さて、これまでもUNI-CUBシリーズは未来館での館内ツアーや、東京モーターショーなどでの体験試乗など、一般向けの試乗が行われたりしてきたわけで、今さら商用サービスがスタートしたところで、それのどこにニュースバリューがあるのか? と疑問に思う方もいることだろう。しかし、少し考えてほしい。これまでは、搭乗条件を満たした人で、さらに運のいい人、例えば、未来館友の会の会員中で、さらにツアーに申し込んで当選した人という具合で、ごく一部の人しか試乗できなかったのである。東京モーターショーでの試乗も、希望者に対して用意されている台数が限られていたため、乗りたい人全員が乗れたわけではない。あくまでも、これまでは「運がよければ乗れる」だったのだ。それが今回は、ついにビジネスとして有料のレンタルサービスとしてスタートしたのである。つまり、定員に空きがありさえすれば、あとは料金の700円を払いさえすれば、身長・体重などの条件を満たした来館者なら誰でも乗れるのだ(体験ツアーは入館料の必要はない)。ホンダのパーソナルモビリティ事業、広く見れば同社のロボット事業としては初めての一般向けサービスであるし、屋内施設でのパーソナルモビリティのサービスという面で見ても、おそらくは日本初のサービスであり、これは実に大きなトピックなのである。もちろん、いくらパーソナルモビリティ後進国の日本とはいっても、一般道以外でなら一般向けのパーソナルモビリティのサービスがないわけではない(例えば、埼玉県の国営武蔵丘陵森林公園では8000円(+入園料400円)で、セグウェイによる約7kmの園内ツアーが実施されている)。しかし屋内施設では今のところ、セントレア空港でトヨタのi-REALシリーズを警備(i-REAL Kei:画像5)や案内(「i-REAL Ann」:画像12)に導入していた(現在はすでに終了)という具合に業務用途のみで、一般向けで利用されてはいない。パーソナルモビリティを普及させるためのビジネスモデルは現在のところ模索中で、道交法の縛りもあって日本ではなかなか難しいとされているが、そうした中で今回の未来館における一般向けの有料レンタルサービスは、今後を占う上で非常に重要なサービスなのである。●10月下旬からは常設展示を見て回るコースも予定今回の有料レンタルサービスの内容に話を移すと、特別なイベントがない限りは毎日行われる予定で、1回の体験時間が30分、1日の実施回数は9回。第1回は10時30分~11時で午前中は3回行われ、午後は13時30分~14時の第4回から再開し、最終回の16時~16時30分まで合計6回行われる。1回の参加人数は4人までなので、現時点では1日に36人が乗れるというわけだ。料金は前述したように700円で、体験ツアーのみの場合は入館料不要である。ちなみに有料レンタルサービスというと、借りたら一定時間は自由に乗っていられるようなイメージがあるかも知れないが、現在はそういう内容にはなっていない。画像2のようにインストラクターと4人の参加者の合計5台が1グループが1列になって移動するような、館内の常設展示エリア以外を移動するツアースタイルの「体験ツアー」になっている。ただし10月下旬からの予定で、未来館3階の「未来をつくる」と5階の「世界をさぐる」の常設展示を科学コミュニケーターの解説付きで1時間かけて見て回れる「常設展ツアー」が計画されているところだ(初日の時点では、体験ツアーのインストラクターはホンダのスタッフが努めていた)。コースとしては、おそらくエレベーターで5階に上がって展示を見た後(画像13)、未来館のシンボルである大型球体複合ディスプレイ「Geo-Cosmos」の周囲を回るオーバルブリッジを下って3階に移動して(画像14)、再び展示を見て回るという形になると思われる(画像15)。展示内容が一部変わっているので解説内容は変わってくるだろうが、コースとしては以前にUNI-CUBで行われた館内ツアーと基本的には同じ内容になることだろう。なお、料金は未定。常設展を見るので当然ながら入館料が含まれるはずで、参考までに体験ツアー+入館料を記載すると、大人の場合は700円+入館料620円で1320円、18歳以下の場合は700円+210円で910円となる。さらにまだ先の話だが、今後、体験ツアーの方も1日の回数を9回からさらに増やすことなども考えているという。現在は10台のUNI-CUBβが用意されており、1回のツアーで5台(インストラクター1台+参加者4台)が動いている間は、残りの5台は充電しつつ休ませている具合だ。もし体験ツアーの回数を増やすとしたら、1回のツアーが出発したら、すぐに次のツアーが操縦トレーニングを開始し、フル稼働にするものと思われる。ただし、常設展ツアーがスタートするとスケジュールが結構過密になることが予想され、10台が出払っている時間も出てくるはずなので、常設展ツアーが始まったら体験ツアーの回数を増やすのはしばらく先になるだろう(UNI-CUBβの台数も少なくとも15台にする必要があるのではないだろうか)。申し込み(予約)は、かつて1階のショップがあったスペース(コミュニケーションロビーの大型モニターの正面)、要はエスカレーター下のスペースに新設された「UNI-CUBステーション」で行う(画像16)。受付時間は開館時間の10時~12時、13時20分~15時50分となっており、ネットや電話予約などは行っておらず、直接申し込む必要がある。その日ごとの先着順なので、開館時間と同時にすぐに申し込んだ方が確実だ(画像17)。また搭乗できる条件としては、体格に関しては身長が145cm以上で体重が100kg以内。そのほか、補助なく階段を昇り降りできること、妊娠やケガをしていないこと、飲酒していないことも条件となる。体験ツアーの大まかな流れとしては、まずUNI-CUBステーション前でしばし操縦訓練を行った後、Geo-Cosmosを見上げられる、同じ1階にある入館料なしで入れるシンボルゾーンを訪ね、その後、エレベーターホールまで移動して7階に移動。未来館ホールや会議室へ移動するための通路の一部(おおよそ未来館ホールの横辺り)でしばし自由走行を体験し、再びエレベーターで1階に下りてUNI-CUBステーションに戻るという内容だ。人混みの中でも危険もなくスイスイと走って行ける様子を動画でご覧いただきたい(動画1)。続いては、各パートをもう少し詳しく、筆者の感想も交えながらお伝えしよう。まずは、UNI-CUBステーション前のスペースで操縦訓練を行うわけだが(画像18)、インストラクターの説明に従って前進後進に始まり(動画2)、左右への旋回(動画3)、8の字走行などを行っていく。ちなみに筆者の場合、前進後進は1度UNI-CUBに乗っているので余裕だったが、旋回するための感覚を忘れてしまっていて、ビギナー用の旋回テクニックである「曲がりたい方向の手を横に伸ばす」で最初は曲がっていた(動画で撮影しながらなので難しいところもあったのだが)。この手を伸ばすことに何の意味があるのかというと、UNI-CUBシリーズは重心を変えることで行きたい方向をコントロールするので、手を伸ばすことで重心位置が変わり、前進しながらであればそちら側に旋回していくというわけだ。その場で停止した状態で真横に重心をずらせば、UNI-CUBシリーズの車輪は「Honda Omni Traction Drive System(全方位車輪機構)」というオムニホイールの1種なので(画像19)、真横に平行移動することも可能である。この重心移動は、慣れてくると上体の動きやお尻(というか腰)の動かし具合で行えるようになってくるので、筆者もツアーの終わりの頃にはカーブする時は結構スムーズにライン取りできるようになっていた。筆者、自転車乗り(いわゆるチャリダー)なので、曲がり角でのきれいなライン取りとか、筆者の自宅界隈の下町らしいウネクネした複雑な生活路をどれだけスムーズに抜けられるかなどをいつも考えてしまう性分なので(苦笑)、UNI-CUBβに乗っている時も最後にはきれいなライン取りができるようになってとても気持ちよかった。また気持ちよかったといえば、自由走行。ここでは最高速を出しても大丈夫なので、かなり爽快感を味わえる。たかだか時速6kmといえど、屋内でも風を全身で感じられるし、視線の低さも相まって結構スピード感がある(動画4)。スラローム走行などもOKだ(動画5)。ちなみに、「人機一体」の達人クラスになってくると、1輪ドリフト(筆者命名「UNIドリ」)などもできてしまうわけだが(動画6)、その楽しさに気がついた同じグループの少年はさすがに限界を超えたらしくて、UNI-CUBβを転倒させてしまっていた。転んだ瞬間は見ていないのだが、後から聞いた話ではドリフトにトライしていての結果だったという。ちなみに、1年半前に乗ったUNI-CUBのバランスもかなり安定感が実現されていたが、UNI-CUBβはハードウェアが一新された関係で発表当初はUNI-CUBの最新版ほどの安定感がなかったという(ハードが違うのだから、同じソフトでは同じようにバランスを取ったりするのは難しいはず)。ただし、今はほぼ同等のレベルに達しているそうだ。そのため、よほどのことをしないと転倒しないのだが、倒れる時は倒れるということで、少々驚いた。なおUNI-CUBシリーズ自体は転倒したとしてても、構造上、搭乗者は自然と足を着いて立ってしまうので、本人まで一緒に転倒するようなことは相当根性を据えてわざとやらない限り普通は起こり得ない。ちなみに今回の転倒でも少年はまったくケガをしていないし、UNI-CUBβ本体も壊れなかった。筆者はUNIドリのことは頭になくて挑戦し忘れたのだが(たぶんできなかっただろうが)、挑戦したけどまったくできなくて悔しかったのが、その場旋回(信地旋回)。元・未来館の科学コミュニケーターで現在は同館の広報を努めるCさんによれば、科学コミュニケーター時代にUNI-CUBシリーズを1年間ほど乗っていたそうで、そのぐらい乗っているとまさに人機一体になれ、「UNI-CUBに乗っている」ということを意識せずに自分の身体の一部のように操縦でき、信地旋回も余裕だったという。ただし、乗り慣れた科学コミュニケーターでもできない人はできないそうなので、信地旋回はUNIドリと並んで最上級のテクニックのようだ。この信地旋回、エレベーターに前向きで乗った時などに役に立つので、UNI-CUBライダーとしては身につけておきたいテクニックである(筆者はエレベーター内で壁を使って180度反転をした)。またCさんによると、UNI-CUBβを上手に操るコツとしては、バイクのライダーならお馴染みのガソリンタンクをヒザで挟んでしっかりホールドして走ると一体感が生まれるというのと一緒で、両脚のヒザから下でUNI-CUBβの前部を挟み込んでホールドするといいらしい。が、筆者の場合、UNI-CUBに比べて小型化しているUNI-CUBβは足の長さがサイズ的に合っていないので、ホールドがどうもうまくできなかった。もうちょっと長く乗っていられれば、うまくホールドするコツもつかめるとは思うのだが。さらにコーナリングする際のコツとして、「曲がりたい方を見る」も重要だという。これまたバイクや自転車の話だが、見た方向に車体が進んでしまうといわれており、それを逆手にとって実践すればいいのである(これはUNI-CUBに乗った時にもいわれたのだが、忘れていた)。それから、UNI-CUBβに乗った感想としては伝えておきたいのが、ロボットなんだと改めて感じられたこと。UNI-CUBシリーズは基本1輪車であり、普通は走って遠心力を発生させない限りは倒れてしまうわけだが、その場に静止して自立していられるのは、倒れそうなバランスの変化を感じたらすぐさまその方向に動いてバランスを立て直しているからである。それは搭乗者が乗っていても常に行われており、そのためお尻の下で生き物が搭乗者とは別の意志を持って動いている感じがするのだ(画像20)。この小刻みな動きは、何か馬などの生き物にまたがっているような感覚で、UNI-CUBβが転ばないよう一生懸命支えてくれているように感じるのである(動画7)。この感覚を、冒頭で名を挙げた小橋氏に伝えると、元々U3-Xを含むUNI-CUBシリーズは馬を作りたくて開発を始めたということなので、その狙いが確実に実現に向かっている証拠といそうだ。この生き物的な、搭乗者の意志に関係なく動いている感覚は不思議な感じがしてなかなか興味深いので、実際にUNI-CUBβに乗った時は、意識してみてほしい。●小型化のメリットとデメリットとは?話は変わるが、UNI-CUBβは全長510mm×全幅315mm×全高620mm、UNI-CUBの520×345×745と比較すると小型化している(画像21・22)。これはUNI-CUBを用いた共同実証実験で、小学生だと乗れないのでもう少し小さくしてほしいという要望が出たことに対応した結果であることを小橋氏が説明してくれた。今回、身長145cm以上となったことで、小学生でもだいぶ乗れる人数が増えたはずだ。2013年度の平均身長で見ると9歳小学4年生は男女ともにが133.6cm、10歳5年生は男子が139cm、女子が140.1cm、11歳小学校6年生は男子がちょうど145cm、女子が148.7cmということなので、6年生になればクラスの半分ぐらいは乗れるということだろう。クラスの一番後ろにいるような成長の早い子は4年生ぐらいからも乗れるのではないだろうか。しかし、この小型化を実現して小学生でも乗れるようになったメリットがある反面、筆者のような大柄な人間(182cm)が乗ると、ちょっと自分の体格に合っていない背の低いイスに腰掛けているようで、機体のホールドの話でも触れたが、足を持て余してしまう感じだ(別に筆者は座高に比べて足が長いわけではないのだが、身長があるので絶対的な長さがある)。走行中はステップに足を載せられるのだが、決してきついほどではないのだが、UNI-CUBβがどうしても小ぶりなのでその結果ホールドがうまくできないとなってしまうようである。ちなみにUNI-CUBβのシート高は620mmで、UNI-CUBの745~825mmと比べると結構低くなっている。この点は小橋氏も痛し痒しというところのようで、UNI-CUBのアジャスター機能を復活させることも検討しているそうなのだが、そうした機構を組み込むと結局は機体が大きくなってしまう可能性があり、そうするとまた乗れる小学生が減ってしまうので、なかなか難しいようである。まぁ、大柄だから乗れないというわけではないので、ここは将来を担う子どもたちのために貴重な体験をしてもらうためにも、大柄な人はちょっとガマンしてあげよう。また、要望としてUNI-CUBβになって加えられた要素が本体に直接備えられたスタンド(画像23)。シート後方にあるレバーを操作すると(画像24)、ステップが動いてスタンドになる(動画8)。スタンドとステップは一体化しており、スタンドを出すとステップがボディに沿う形となり、スタンドを引っ込めるとステップが横に張り出すようになっている。レバーを引き上げるとスタンドが出て、下に倒すとステップになる形だ(動画8)。なぜスタンドが設けられたのかというと、UNI-CUBの場合は電源を落としても倒れないようにするには、外付けのスタンドにセットする必要があったからである。要は、UNI-CUBβは単体でも電源を落としても立たせておけるようになり、より実用性が上がったというわけだ。ともかく、こうしてホンダとしては初となる、また国内の屋外施設としてもおそらく初となるパーソナルモビリティの商用サービスがスタートしたわけで、ぜひ広まっていってほしいと思う。ただし、展示施設などでのツアーには今回のサービスによって利用できることが証明されたわけだが、利用者が一定時間内は自由に動き回れるという本当の意味でのレンタルサービスを実現するには、安全性の確保(搭乗者が危険走行をする可能性がある)やどれだけの台数を用意すればいいのか、また台数を増やした時の待機・保管スペースをどう確保するかといったさまざまな課題がある。ホンダとしては、UNI-CUBβのようなパーソナルモビリティをレンタルで自由に乗れるようにするには、警備員を増やして危険走行をしないように監視を徹底するというよりも、間違った乗り方をしてはいけないというリテラシーの方をしっかりと普及させて、大人が見ていない子どもたちだけの状態でも危険な乗り方はしないようにしたいという考えだそうだ。また、ショッピングモールや空港などで利用するには、一方向の移動のみに使う乗り捨てなども含めて、さらに運用面でのノウハウを蓄積する必要があるし、展示ツアーには腰掛け型のUNI-CUBβは乗ったままでも展示物に近寄れるメリットがあるが、ショッピングモールや空港などの人混みの中では、視線が低くなるせいで先を見通しにくいというデメリットもあるわけで、立乗型とどちらが適しているのかといったことも比較検討する必要があるかも知れない。などと普及には色々と課題や検討事項があるわけだが、今回の商用サービスはパーソナルモビリティの普及を占う上での重要な新サービスなのは間違いないだろう。UNI-CUBβのレンタルサービスが「珍しいものの体験したさ」で短期間で飽きられてしまうのか、それともASIMOのように、未来館で活躍するようになってとても時間が経つのにいまだに飽きられずに、毎回のデモの時には社会科見学の子どもたちから外国人観光客まで、平日でも大勢が足を止めて見ているような存在になれるか、見守っていきたいところである。ちなみに取材した10月1日は東京都民の日なので、ゴールデンウィークかお盆か(それも雨の日)というぐらい賑わっていたこともあったが、子どもたちの注目度は高いし(乗っている人の視線が大人でも低いので怖がる子は見かけず、興味を持つ子の方が多かった)、乗りたがっている高校生女子の仲良しグループなどもいた。UNI-CUBβに乗りたいから未来館に行くという、集客力のある未来館の体験型コンテンツに育ってほしいものだ。あと筆者が個人的にぜひとも未来館で実現してほしいこととして書いておきたいのが、同館が中立の立場であることを利用して、トヨタの立乗型パーソナルモビリティ「Winglet」もこの商用サービスで共同運用するか、もしくは共同実証実験としてラインナップに加えられないか、というところ。もちろん、ホンダとトヨタという、世界でも競い合う大自動車メーカー同士である以上、なかなか難しいところはあるのは十分承知である(Wingletは現在、つくばモビリティロボット特区での屋外における運用の実証実験に参加しているというのもある)。また、未来館のすぐ近所にあるトヨタの無料自動車展示・体験施設「MEGA WEB」において、Wingletは集客用の体験型コンテンツの1つとなっているので、未来館でも乗れるようになるというのはなかなか難しいとは思うのだが。しかし、パーソナルモビリティを普及させるという意味では、両者とも共通の目標として協力できると思うので、腰掛け座乗型と立乗型の向き不向きなどを検証するためにも、ぜひ共同で運用してもらいたいところである(実際、小橋氏もトヨタのパーソナルモビリティの開発スタッフとは面識があり、お互いに普及のために協力できることがあったらしましょうという話はしているそうである)。というわけで、これからのパーソナルモビリティの普及を占う重要な商用サービスについてと、UNI-CUBβの搭乗した感想のリポート、いかがだっただろうか。UNI-CUBβに搭乗してみたい人は、平日の午前中が狙い目だ。条件さえ満たせば誰でも乗れるので、ぜひ興味のある人は体験してもらって、あの爽快感や生物的な不思議な感覚などを味わってみてほしい。
2014年10月17日伊勢丹新宿店にショップを構える「バジーレヴェントット(BASILE 28 VENTOTTO)」「ベータ(β)」「アルチザン(ARTISAN)」、「ギャバジンK.T(Gabardine K.T)」の4ブランドは、青森の伝統技法「こぎん刺し」を現代のファッションに昇華させたアイテム各種を販売する。販売期間は10月15日から10月21日まで、販売場所は本館4階ステージ#4。この取り組みは、日本の伝統や文化にスポットを当てた「イセタン ジャパンセンセィズ(JAPAN SENSES)」とのプロモーションの一環。「こぎん刺し」は、その昔、青森県津軽地方で、綿の栽培が困難であったことと、「農業倹約分限令」によって農民の衣類に制約があったことにより、農民達が目の粗い麻布でできた着物(こぎん/小布)に麻糸を差し込み、布目を補強して保温性を高める工夫を凝らしたことによって生まれたものだ。やがて明治に入ると、刺繍糸に木綿糸を使用するようになったばかりか、女性達の美意識も高まり、様々な模様が誕生。更に昭和には、柳宗悦らによる民藝運動をきっかけに、色とりどりの糸や布がこぎん刺しに用いられるように、今なお人々を魅了するものへと発展を遂げたのだ。今回のプロモーションでは、胸元に銀糸でこぎんを刺したウール混ワンピース(アルチザン/7万2,000円)、アシンメトリーな布地の切り替えに箔プリーツを施したスカート(アルチザン/4万8,000円)、ダッフルにあえてこぎんを刺したコート(バジーレヴェントット/18万円)など、斬新なアイテムがそろう。中には、異素材ミックスのアイテムもあり、こぎん刺しの新たな魅力が垣間見えるラインアップとなっている。更に、本館4階の「ワイズ(Y’s)」でもこぎん刺しアイテムが披露される。黒の地にあえて白い糸を刺すことで、日本の伝統技法とワイズの感性を巧みに融合させたロングジャケット(16万円)などの粋なアイテムがそろう。ロングジャケットは、地素材が2重(ダブルガーゼ)になっているため、布目を数えながら、こぎんを刺すにはかなり高い技術が要求されるという。高度なテクニックを有した匠の技を、ぜひ店頭で間近にみてほしい。また、ワイズのこぎん刺しアイテムは、ロングジャケット以外のものも含めECでも販売される。
2014年10月06日