本連載はこれまで、マーケティング担当者による最適なDSPの選定や活用を実現するため、アドテクノロジーの歴史からDMPまで、アドテクノロジーの概要を紹介してきました。各章でお話した通り、ビッグデータの活用を起点とした急速な発展は、Web広告の配信にとどまらず、マーケティング領域全般に拡がっています。最終回では、アドテクノロジーからマーケティングテクノロジーへと進化しつつある業界のトレンドをいくつかピックアップし、今後マーケターに必要となるスキルをデータ活用という観点で考えてみましょう。○2015年 マーケティング業界のトレンドとは1. マーケティング・オートメーションマーケティングオートメーション(MA)は、見込ユーザーの顧客化プロセスを管理するソリューションを指すことが多く、主にBtoBマーケティングを支援する目的で採用される傾向があります。前回の連載でお話したDMPとも一部シンクロする機能があり、この用語を厳密に定義することは難しいと言えるでしょう。その意味では、アドテク(ネット広告)やSFA(Sales Force Automation : 営業支援システム)、CRM(Customer Relationship Management : 顧客管理システム)などが提供する機能も同様で、今後、さらに重複度合いが増すことが予想されることから、競争は激しくなっていくのではないでしょうか。さて、MAはBtoBの場合、イベントやセミナー、Web広告、アウトバウンドコールなどで取得した多数のリードから、有望な見込み顧客として営業部門に情報を渡すまでのプロセスを自動化することを目指します。この仕組みの活用により、マーケティング部門は、獲得したリードの育成を管理し有望な見込み客を増やすことができるほか、営業部門は、有望な見込み客情報をもとに提案活動を行い、商談の確度を高めていくことが可能です。一方、BtoCの場合では、顧客との定期的で適切なコミュニケーションを実現・管理するために採用されることが多く、特に、顧客の利用状態に応じた個別アプローチを行うために必要とされるようです。というのも、顧客によって、ニーズのある商品やサービス、レコメンドのタイミング、インセンティブ内容などが異なり、広告主は、これらを管理するツールがない場合、月一回など一定のタイミングでまとめてアクションするしかなくなってしまうためです。このように、テクノロジーの進化は、広告入札の自動化だけでなく、キャンペーンのシナリオ設計や運用管理、セグメントに応じたクリエイティブ・訴求内容の変更、イベントに応じたパーソナライズ配信など、マーケティング活動全般の自動化に影響を及ぼしつつあるのです。2. オンライン・オフラインの融合前回、DMPはCRMなどオフラインのデータを取り込めることが大きな特徴だと話しました。つまり、DMPでは、オフラインの顧客データを取り込むことにより、オンラインの行動履歴と組み合わせ、顧客をより理解することが可能となっているということです。また、スマートフォンの普及に伴い、実店舗のプロモーションも大きく進化しています。顧客に無料のアプリを配布し、各フロアに「ビーコン(位置情報を示す信号を無線で発信するもの)」を設置することで、商品棚の案内やレコメンドなど、さまざまな施策を顧客・デバイスごとに出し分けできるソリューションも提供されています。加えて、顧客の協力によりセンサーデータを取得すれば、店舗内での移動(動線)などの見える化も可能で、言語では分析しにくい店舗の安全性や商品陳列の改善などにも活用することができます。このように、小売業が積極的にデジタルツールを活用することで、成果を上げている事例も耳にします。なお、メーカ側では最近、自社製品のみを紹介するカタログページではなく、顧客の悩みや興味、不明点などに合わせたコンテンツの配信を行う「コンテンツマーケティング」への取り組みも増えつつあるようです。製品を出荷し納品したら終わりではなく、その後のエンドユーザーの利用状態に合わせたサポートを提供する企業も目立ってきています。3. 人工知能 (AI)の浸透昨今、将棋やクイズ番組での対戦など、AIは注目を集めているだけでなく、その道のプロフェッショナルを一部凌駕するほどになっています。「今後10~30年くらいの間には、かなりの職種が人工知能にとって変わられる」と考える人たちも増えているようです。アドテクノロジーも、AI技術の一部を活用していると言えます。例えばDSPでは、優秀なアルゴリズムが備わっていることで、リアルタイムビッティング(RTB)の運用を実現しています。取引が増えるほど、取得できるデータの量も増加するため、同データを活用したアルゴリズムの精度向上はますます促進されます。しかし、AIの活用には、準備期間として半年から1年ほどを要し、基本知識や業務設計などの学習と検証を行うケースもあり、導入にはそれなりにデータ整備や工数が必要となるようです。なお、最近ではAIによる解析のオープン化も目立っており、AIが「どのデータから、どのような判断で、そのスコアを付けたか」を見える化し、利用者に根拠や判断材料を提示するものも出ているといいます。○では、今後のマーケターに必要なスキルはなんだ?このように、デジタル時代の広告技術やマーケティング手法は日々発展しておりますが、マーケティングの目指すところに変わりはありません。すなわち、マーケティング担当者は、そのアイディア次第で、施策の効果や結果を大きく変えることができる立場にいるということではないでしょうか。そして、その施策を成功へと導く鍵は、「顧客の理解」にあると私たちは考えます。マーケティングにおいて顧客を理解するために、データ活用は必須となり、データを活用するリテラシーは、専門家に任せるものではなく、マーケティングや営業、顧客サービスに関わる全員が一丸となって携わり、施策での成果を出せるような仕組みを作っていくことが重要だと考えます。これまでの連載記事にて紹介したように、ツールやテクノロジーはどんどん進化していますが、それらを使いこなしきっている人はまだまだ少ないです。それはなぜでしょうか。誤解を恐れずに言うと、統計や数理、データ分析が得意な人たちからは、施策につながるアイディアはなかなか出てこない。同時に、現場や施策検討者だからこそ思い付くアイディアというものもあるでしょう。たしかに、分析部門の役割でないと言えばそれまでですが、施策検討者が採用しなければ、せっかく分析した内容は活かされません。このような状況では、事前に活用できるデータが増えても効果的なマーケティングができないのではと思います。ABテストをしても、そこからの知見もそこそこに新たなテストへと移り、次のAかBどちらかを選択していく――オペレーションが効率化(自動化)されても、分類したセグメントやクリエイティブの根拠や狙い、比較対象が曖昧なままだと、効果が分からないままとなってしまいます。これは、非常にもったいないことです。このようになってしまう要因としては、やはり、データ分析や解析を難しいものと考え、「データ分析は、自分たちにはハードルが高いので専門家にやってもらうもの」と捉える傾向がまだまだあるようです。ですが、高度な能力を持つ分析者をたくさん集めるより、数名の分析者と各部門(営業・サービス企画・カスタマーリレーションなど)の現場経験者によってチームを組むほうが、組織として成果を上げているケースも増えてきています。さて、話しをまとめましょう。私たちは、今マーケターに求められているスキルを、"マーケティングの対象となる生活者の意識や行動の断片的なデータから、彼らのインサイトを想像し、同時に複数のストーリー(シナリオ)を仮説として立てること" だと考えています。データから素早くいくつかの可能性を見つけ出し、さまざまなテストを行いながら広告効果を磨き上げていきましょう。そして、これからのマーケティングでは、分断されがちな「データ活用」と「運用の自動化」をつなぎ合わせ、連続的にユーザーとのコミュニケーションを観察し、常に新たなシナリオを試行していくことが不可欠になっていきます。その連鎖のなかで、マーケティングテクノロジーはマーケティング活動を強力にサポートする武器となるのです。さて、8回にわたり掲載してきた本連載ですが、いかがでしたでしょうか。読者の皆さまは、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。皆さんのマーケティング活動の一助になれば幸いです。【連載】「今さら聞けない ! 」マーケティング担当者のためのアドテクノロジー第1話 : アドテクノロジーの歴史 - アドネットワークの誕生まで第2話 : アドテクノロジーの歴史 - アドテクノロジーの更なる進歩第3話 : DSPの基本機能「入札(オークション)」を見てみよう!第4話 : DSPの「入札戦略」とは第5話 : 「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」をおさらい!第6話 : DSPのターゲティング手法とは第7話 : DMPは魔法の箱ではない○執筆者紹介ソネット・メディア・ネットワークス 商品企画部2000年3月に設立。ソニーグループの一員として、インターネットサービスプロバイダー(ISP)を運営するソネットの連結子会社としてインターネットマーケティング事業を展開する。国内最古のアドネットワーク事業者として10年以上の実績があるほか、RTBの市場拡大に先駆け、DSP「Logicad(ロジカド)」を自社開発。2014年10月には、インターネット広告に関する技術の精度向上を目的とした研究開発を行うラボを新たに設立するなど、独自のポジションを築く。
2015年05月28日アドイノベーションは5月26日、スマートフォンアプリ分析に特化した多言語対応ASPサービス「AdStore App Tracking」の提供を開始した。同サービスは、同社が2010年から提供する独自の広告解析ツール「AdStore Tracking」における経験と運用を基に開発した分析ツール。レポート画面では、「アプリ内イベント」や「ユーザー分析」「ROAS」などに関する分析結果をリアルタイムに表示。WebブラウザのCookieを利用したCookie計測や、スマートフォンの端末識別子を利用した端末識別子計測、海外で幅広く利用されているFingerPrint計測に対応し、海外メディアの広告効果測定も可能だ。また、日本語・英語・ロシア語など多言語に対応しており、日本をはじめ海外のアプリ開発者も使用することができる。価格は、アプリからのリクエスト数に応じて月額利用料金を決定する仕組みで、従量課金制を採用。利用開始後30日間は無料期間を設けているほか、広告効果測定を実施しない限り費用が発生することはない。同社は今後、アプリ開発者と広告代理店が一つの案件を管理する際に便利なアカウント権限切り分け機能や、特定のユーザー層の行動を詳しく知るためのコホート分析機能などを、順次開発・リリースしていく予定だという。
2015年05月27日日本でもスマートフォンや携帯電話のSIMロック解除が義務化され、2015年5月1日より原則として通信事業者はSIMロック解除に応じなくてはならなくなった。これまではドコモが販売するスマートフォン全機種を手数料を取りロック解除していたが、その動きがauやソフトバンクにも広がる格好だ。だが蓋を開けてみれば各事業者のロック解除は「購入後180日以降」と、現在即時解除に応じるドコモですらサービス内容は後退している。SIMロック解除が実施されると、例えばドコモで買ったスマートフォンをソフトバンクで使うことが可能になる。また海外へ旅行へ行った際も現地のプリペイドSIMを入れて使うことができるなど、様々なメリットがある。とはいえ普段日本でスマートフォンを使っている多くの消費者には、そのメリットはあまり感じられないものだろう。だが日本のSIMロック解除は日本国内だけの話題にはなっていないのだ。日本を囲むアジア周辺国が日本のSIMロック解除の動向に注目しているのだ。なぜならSIMロックを解除した日本のスマートフォンは、海外で現地のSIMを入れて使うことができる。しかも最近はXperiaやGalaxyなど、日本と海外でほぼ同じ製品が販売されているため、日本の製品を海外へ持って行っても海外の消費者は違和感なく受け入れ購入するのである。SIMロック解除された携帯電話はもう10年以上前から日本と韓国を除く世界中で販売されている。この両国は通信方式が独自だったりSIMなし端末が販売されていたため、世界のいわば「裏の世界」とは繋がっていなかったのだ。だがアジアやヨーロッパでは輸入品を扱う携帯電話店が多数存在し、他国販売のSIMロック解除端末を買って使う消費者も多い。もちろん自国で販売される正規販売端末は価格が割高だが、正規のサポートが受けられ修理対応も万全だ。これに対して輸入品だと自国の言語が入っていなかったり、故障しても修理が受けられない。そのためきちんとしたものを買いたい人は正規品、安ければいいと考える人は輸入品、のように消費者側も販売されている製品を理解して購入している。では現状はどうなのだろうか? SIMロック解除可能なドコモのスマートフォンはすでにアジア各国で売られており、日本限定モデルが高値で取引されるなど人気製品になることもある。またXperiaの新機種は日本での販売が早いこともあり、現地での正規販売に先駆けて輸入品が入ってくることもあるのだ。では輸入販売店の仕入れルートはどうなっているのかというと、日本側に輸出を取り扱う業者がいてそこから各国に流通しているケースが多い。その日本の業者の仕入れルートは秋葉原などの買い取り店からの仕入れがメジャーだが、代理店から入手しているという話もある。だがいずれにせよ、日本のスマートフォンのSIMロック解除の義務付けは、今後日本で販売されるスマートフォンのほとんどを海外でそのまま利用できるものにしてしまうのだ。日本で商品価値のなくなったスマートフォンでも、海外へ持っていけば現地で再販できる可能性も生まれるのである。ではなぜ日本が注目されているのだろうか。たとえば香港やシンガポールでは事業者が販売するスマートフォンにSIMロックはない。しかも無料販売もされている。ところがこれらの国では事業者が販売端末の転売被害にあわないような対策を打っているのだ。香港では端末無料購入の際は2年契約が必要で、違約金は端末の定価プラス契約残期間の全基本料金が必要だ。1ヶ月後に解約した場合でも、23か月分の基本料金と端末の定価が請求される。また最近ではスマートフォンは無料だが、最初に定価を払い基本料金の割引で返金する方法もとられている。一方日本では、時たま「一括無料」のような激安販売が行われることもある。しかも違約金は一定額なことが多い。そのため違約金を払っても定価の半額以下で新品スマートフォンを買えるケースもある。それをSIMロック解除し、海外では現地定価の7-8割程度で販売しても十分ペイできるわけだ。さてこのような仕入れ側の事情はさておいても、日本の端末は年々注目度が高まっている。なぜなら最近は日本でしか販売されないスマートフォンが増えているからだ。例えばauが販売するLGのisaiは香港の若い女性に人気だ。また日本ならではのキャラクターとコラボしたスマートフォンも高値で売られることがある。日本のスマートフォンのSIMロック解除が可能になることで、日本販売端末が海外へ流れる動きは今後加速するだろう。そうなれば日本の通信事業者は今の無料販売などを見直し、消費者にとっては今までよりも不利益を感じる状況になってしまうかもしれない。とはいえ今の状況が実は歪みのあるものであることを考えると、まっとうな販売方法へ是正してくれるものになる、と考えるべきかもしれない。一方で日本限定販売のスマートフォンが海外に流出することはメリットも生み出しそうだ。例えば富士通のドコモ向け2015年夏モデル「Arrows NX(F-04G)」は世界初の虹彩認証機能を搭載、この機能を欲しがる海外ユーザーも多いはずだ。SIMロック解除は日本メーカー製品の非正規な海外流出を生み出すが、口コミで人気が広がれば日本メーカーの海外への正規進出を促すものになるかもしれない。
2015年05月25日米Microsoftは5月21日(現地時間)、「Outlook.com」のアップグレードを発表した。Clutter、アドイン機能、コラボレーション方法の強化、カレンダーのアップデートなどが含まれる。21日からプレビューとして小規模グループへのロールアウトを開始し、数週間中にオプトインプログラムに拡大する。同社はOutlook.comをOffice 365ベースのインフラに移行させようとしており、今回のアップグレードはその第一歩になる。新版では、カラーの変更に加えて、新たに13種類のテーマを選べるようになった。Clutterはメッセージの自動分類機能である。広告メールなど重要ではないメッセージを別のフォルダに移し、重要なメールに集中できるように受信トレイを整理する。重要ではないメールが受信トレイに残っていた場合は、ユーザーがClutterフォルダにドロップするとClutterが学習し、使うほどに分類精度が高まる。よりリッチかつ柔軟にメッセージを扱えるようになった。メッセージにリンクを貼り付けると、Outlook.comが自動生成したプレビューが表示される(リンクプレビュー)。また、画像をコピー&ペーストして、メッセージ本文の好きな位置に直接貼り付けられる(インライン画像)。メッセージは新しいウインドウとしてポップアウトさせることができ、過去のメッセージを見ながら新規メッセージを作成するというようなマルチタスクが可能。添付ファイルもメッセージと並べて表示でき、たとえばメッセージに返信しながら、同時にメッセージに添付されたWord/PowerPoint/Excelファイルを開き、内容を編集することも可能だ。開発者カンファレンスBuild 2015(4月29日-5月1日)で発表したアドインをサポートし、Bing Maps、My Templates、Suggested Meetingsといったアドインが実装される。さらにUber、Boomerang、PayPalといったサードパーティのアドインが登場する予定だ。Skype統合が向上し、メールとSkypeの間でよりシームレスにコミュニケーションを切り替えられる。またOneDriveを用いたファイル共有が改善され、メッセージにファイルを添付し、ワンクリックでOneDriveの共有リンクに変換できる。Calendarはナビゲーションが見直された。必要に応じて左右のパネルを出し入れしながら、スケジュールやイベント、共有カレンダーなどを管理できる。左上に検索ボックスが設けられ、名前、ロケーション、説明など豊富な検索オプションですばやくイベントやスケジュールを探し出せる。
2015年05月22日マイクロアドは5月21日、スマートフォンアプリデベロッパー向け成果報酬付きアンケート配信管理SDK「Msight」の提供を開始した。Msightは、専用SDKを組み込むだけで、スマホアプリユーザーへの本格的なアンケートの配信とその管理が行えるサービスで、アンケートに回答すると、回答者にアプリ内ポイントなどの成果報酬を付与できるほか、スマホ画面向けに最適化されたUI、通信環境に左右されないオフライン対応など、モバイル環境での快適なアンケート回答ができる。このようなアンケートによって、データトラッキングだけでは得ることのできない消費者の属性や嗜好、意識に関する情報などのインサイトをオプトインで取得することが可能となる。また、ポイント付きアンケートにすることでユーザーへの付加価値を高め、アプリ訪問頻度の増加などをサポートするほか、ユーザーのアンケート回答による成果報酬でアプリの収益拡大を支援するとしている。同社は、Android端末対応など配信可能な対応アプリを順次拡大し、年内にリーチ可能数100万人の獲得を目指すという。
2015年05月22日●SIMロック解除によるメリットとデメリットとは5月よりキャリアによるSIMロック解除が原則義務化された。これに伴って、NTTドコモとKDDI、ソフトバンクの大手キャリアはSIMロック解除に関するルールをそれぞれ公表しており、SIMロック解除ににわかに注目が集まっている。とはいえ、「そもそもSIMロックって何?」「SIMロック解除によって何が変わるの?」などと疑問に思っている人も多いだろう。本稿では、SIMロック解除についてあらためて解説するとともに、そのメリットとデメリットを紹介していく。また、キャリア以外の選択肢として最近人気となっているMVNOサービスとあわせ、SIMロック解除の義務化によって、今後スマートフォン市場で何が起こるのかを考察してみたい。○そもそも"SIMロック"って何?まずは、そもそも"SIMロック"とは何かについて解説していこう。NTTドコモやKDDI、ソフトバンクといった主要キャリアが販売するスマートフォンや携帯電話では、SIMロックという制限がかけられている。スマートフォンなどでは、SIMカードと呼ばれる小型のICカードを装着することでデータ通信や通話を行えるが、一般的にキャリアが販売する端末の場合、そのキャリアのSIMカードしか利用できず、他社のSIMカードは利用不可となる。これがSIMロックだ。たとえば、ドコモのSIMカードをKDDIやソフトバンクのスマートフォンに装着しても認識されず、データ通信や通話はできない。そのため、MNP(携帯電話番号ポータビリティ)などで他のキャリアに乗り換えた場合、SIMロックがかかっている限り、以前のキャリアで使っていたスマートフォンは利用できず、移行先のキャリアで新たに端末を購入する必要が生じる。実際には、MNPのキャンペーンによって端末代金や月額料金が割引されることも多いが、SIMロックは"2年縛り"などの契約期間の制限とあわせて、キャリア間の柔軟な乗り換えを阻害する要因になっていたと言えるだろう。○SIMロック解除によるメリットSIMロック解除とは、このSIMロックをユーザーが自身の希望に応じて解除できるというものだ。これまでもNTTドコモが同社のAndroidスマートフォンでSIMロック解除に応じていたほか、ソフトバンクでもごく一部のAndroidスマートフォンでSIMロック解除が可能であった。しかし、総務省が昨年12月に発表し、5月より適用されたSIMロック解除に関する新ガイドラインでは、キャリアが販売するすべての端末で原則としてSIMロック解除に応じるように改められた。また、SIMロック解除の手続きについては、ユーザーがインターネットや電話を使って簡単に解除手続きができるようにし、なおかつ無料で解除が行えるものとした。4月22日にNTTドコモとKDDI、ソフトバンクがそれぞれ公表したSIMロック解除に関するルールは、同ガイドラインに沿ったものとなっており、5月1日以降に発売される機種について、購入日から180日経過後にSIMロック解除の手続きを受付けるとしている。また、3社ともWebサイトから申し込むことで無料でSIMロック解除が可能となっている。このように各キャリアでSIMロック解除が可能になるメリットとしては、まず以前のキャリアで使っていたスマートフォンなどを、乗り換え先のキャリアでそのまま利用できることが挙げられる。現在利用中のキャリアのサービスや料金に不満がある場合に、端末を変えることなく、キャリアのみ乗り換えることが可能になるわけだ。ただし、後述するように端末がサポートする通信方式や周波数帯によっては、乗り換え先のキャリアで利用できない可能性があることに注意が必要だ。また、SIMロック解除のもう一つのメリットは、スマートフォンの海外利用が可能になることだ。SIMロックを解除した端末であれば、海外旅行先などで現地の安価なSIMカードを購入し、端末に装着して使うことができる。割高なローミングサービスを利用したり、海外用の端末をレンタルしたりする必要がないため、旅行や出張で海外によく出かける人にとっては、大きなメリットと言えるだろう。○SIMロック解除によるデメリット一方、SIMロック解除が原則義務化されることにはデメリットもある。もっとも懸念されているのは、端末代金が高騰することだ。たとえばiPhoneなどが実質0円から購入可能となっているように、キャリアは端末代金の一部を肩代わりして、ユーザーの端末購入のハードルを下げる代わりに、月々の料金から回収するというビジネスモデルを採用している。このビジネスモデルは長期利用を前提としており、キャリアにとっては、端末代金を肩代わりしたユーザーが、早期に他キャリアへ移行してしまっては端末代金を回収できず損失となる。SIMロック解除によってビジネスモデルが成り立たなくなるのであれば、キャリアによる端末代金の肩代わりがなくなり、ユーザーの端末代金の負担額が増加する可能性があるわけだ。また、SIMロックを解除した端末だからと言って、必ずしも他のキャリアで利用できるわけではなく、それによるトラブルや混乱が起きることも懸念される。各キャリアのネットワークの通信方式や周波数帯は同一ではなく、端末がサポートする周波数帯も各キャリアごとに異なるため、SIMロックを解除して他キャリアに乗り換えても、移行先のキャリアで使えない可能性がある。そのため、SIMロック解除がスタートしても、解除した端末を用いた他キャリアへの乗り換えが増えるかと言えば、実際にはそうはならないかもしれない。●SIMロック解除でMVNOへの移行が加速する?○SIMロック解除でMVNOへの移行が加速する?それでは、いわゆる"格安SIM"と呼ばれるMVNOサービスへの移行についてはどうだろうか。キャリアよりも低料金で利用できるMVNOサービスだが、その大半はドコモのXi・FOMA網に対応した通信サービスとなっている。実は、ドコモのXi・FOMA網に対応したMVNOのSIMカードの場合、ドコモ端末であれば、SIMロックを解除することなく利用することが可能だ。そのため、ドコモのスマートフォンを利用しているユーザーにとっては、SIMロック解除義務化の前後で変わりなく、様々なMVNOサービスから好みのものを選んで、低料金のMVNOサービスへ移行することができる。一方、KDDIやソフトバンクのユーザーの場合、SIMロック解除によって、自身の端末でドコモのXi・FOMA網に対応したMVNOサービスへの移行が可能になるため、低料金でスマートフォンを利用する選択肢がかなり広がると言える。ただし、前述したような通信方式や周波数帯の問題は残るため、端末がサポートする周波数帯などをよく確認する必要があるだろう。これらのことから、SIMロック解除でMVNOサービスへの移行がしやすくなるのは、直接的にはKDDIとソフトバンクのごく一部のユーザーに限られそうだ。しかし、SIMロック解除によって、キャリアのスマートフォンの端末代金が高騰すれば、高額な端末代金を嫌うユーザーのMVNOサービスへの移行を後押しする要因になるかもしれない。MVNO各社では、格安SIMとSIMフリースマートフォンをセットで提供するスマホセットプランを提供しており、安価で魅力的なSIMフリースマートフォンも続々と登場している。SIMフリースマートフォンとは、最初からSIMロックがかかっていないスマートフォンのことで、海外でも利用できるのはもちろん、他のMVNOサービスやキャリアに乗り換えても使い続けることが可能だ。たとえば、U-NEXTのMVNOサービス「U-mobile」では、5機種のSIMフリースマートフォンとのセットプランを提供している。ASUS製の5インチAndroidスマートフォン「ZenFone 5」の場合、高速データ通信が使い放題となる「LTE使い放題2プラン」(1年契約)とのセットプランでは、端末代金の分割支払金を含む24カ月の月額料金は3,830円(以下、金額は税抜)。25カ月以降は、音声SIMカード単体の月額料金2,730円で利用することが可能だ。なお、端末は一括購入も可能で、価格は26,400円となる。キャリアの新料金プランでは、通信容量が月間2GBの最低料金のプランでも、月額6,500円となるため、U-mobileがいかにリーズナブルか分かるだろう。ZenFone 5をはじめとする人気のSIMフリースマートフォンでは、キャリアが販売するハイスペック端末と比較しても、通常利用する上では性能差はさほど感じられない。「@docomo.ne.jp」などのキャリアメールは使えないものの、LINEやTwitter、FacebookなどのSNSはもちろん快適に利用できる。また、U-mobileでは5月16日よりZenFone 5の次世代機にあたる「ZenFone 2」の取り扱いを開始しており、こちらについては4GBメモリ+eMMC 32GBを搭載と、非常に高い性能とコストパフォーマンスを有している。SIMロック解除でキャリアのスマートフォンが高騰すれば、これらのSIMフリースマートフォンがますます注目を集めることになりそうだ。***キャリアによるSIMロック解除の義務化のメリットやデメリットについて見てきた。ハイスペックな端末を実質0円などで提供し、長期契約による月々の料金で回収するというキャリアのビジネスモデルはSIMロック解除によって崩れつつあり、スマートフォン市場は転換点に差し掛かっていると言える。主要キャリアが昨年、相次いで提供した新料金プランは各社横並びとなり、キャリア間の競争は停滞している。しかし、SIMロック解除がスタートしても、キャリアがユーザーにとって魅力的な料金プランを用意できないようであれば、U-mobileをはじめとするMVNOサービスが最良の選択肢となるかもしれない。
2015年05月21日マイクロアドプラスはこのたび、大手メディアに高精度な広告配信を行うサービス「MicroAdPlus Premium Exchange」の提供を開始した。同サービスは、大手メディアを指定して、ダイレクトな広告配信が行えるもの。配信システムには、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)やCCCマーケティングが保有する実店舗の購買から推計したデータと、マイクロアドが保有するWeb行動履歴のデータを掛け合わせたターゲティング技術を利用する。これにより同社は、マネジメントする大手メディアやマイクロアド関連会社のエンハンスが提供する「Publisher Trading Desk」を通じて、大手メディアの広告枠ごとの指定や優先的な在庫確保など、プライベート取引に必要なソリューションの提供を実現したい考えだ。なお、CCCとマイクロアドは、2014年12月3日に業務提携をしており、今回のサービス開発はこの業務提携の一環となる。
2015年05月15日サンコーは13日、指紋で解錠する南京錠「指でロック!指紋認証南京錠」と、ワイヤーロック「指でロック!指紋認証ワイヤーロック」を発売した。直販サイト「サンコーレアモノショップ」での価格は、南京錠が税込14,800円、ワイヤーロックが税込15,800円。両製品とも指紋センサーを搭載。センサー上で指をスライドさせると、登録済みの指紋を認証し、ロックを解除する。指紋は10パターンまで登録可能。本体の登録情報のセットアップとリセットを行うUSBキーを付属する。電源は単4形乾電池×2。○「指でロック!指紋認証南京錠」南京錠の本体サイズはW64×D29×H130mmで、シャックルの直径は8mm。重量は471g。USBキーのほか、ミニドライバーを同梱する。○「指でロック!指紋認証ワイヤーロック」ワイヤーロックの本体サイズはW64×D29×H309mmで、重量は約491g。ワイヤーは直径7.5mmで、全長が510mm。
2015年05月14日本連載は、RTBをはじめとしたアドテクノロジーについて分かりやすく解説し、マーケティング担当者による最適なDSPの選定や活用を実現することを狙いとします。前回は、DSPにおけるターゲティング手法を紹介しました。そして、このターゲティングにおいて重要な視点の1つとして「自社が保有するデータの積極的な活用」をあげ、これを可能にするためのソリューションとして注目を集めたものが「DMP(データマネジメントプラットフォーム)」だと説明しました。今回は、ユーザーデータの集約・管理を可能とする「DMP」に関して解説したいと思います。○DMPは魔法の箱ではないさて、テクノロジーが発展した現代において、企業のマーケティング担当者のミッションとは何でしょうか。STP戦略(Segmentation-Targeting-Positioning)に従い、見込客・既存客といったユーザーごとの状態を把握し、適切なメッセージを適切なタイミングで発信することや、ROIの高い施策や新たなチャレンジ施策の実施において、PDCAをまわしながら常に効果を上げていくことだ、と私たちは考えます。そして、DSPとDMPの連携は、広告運用の効率性向上だけでなく、ユーザー分析や仮説検証によるマーケティング効果の向上や、他施策との連動による相乗効果などを期待した地道なチャレンジの継続を実現するプラットフォームとなり得るのではないでしょうか。一方で、DMPを設置すれば、準備完了! 万事快調! とはいきません。データの取り扱いをはじめ、各部署への連携と責任範囲の決定、経営プロセスへの組み込みなど、真面目にやればやるほど検討すべき事案が増えるケースもあります。既に導入した企業の担当者からは、「最初はものすごく大変だった」という声をよく伺います。したがって、安易に導入しても大きな効果は期待できないでしょう。それなりの覚悟をもって取り組む必要があります。○DMPとは? - 3つの基本機能DMPとは、さまざまなデータを「集約・統合」し「分析・分類」するほか、それらをWeb広告の配信やその他チャネルでのターゲティング情報として「入力・活用」するための管理ツールです。1. データの集約・統合DMPにて格納できるデータとして、自社Webサイトに設置したタグを基に収集するファーストパーティデータがあります。これは、訪問者のアトリビューションや滞在時間、閲覧ページ、Web上で購入した商品・サービスの特徴といったユーザーの特性を把握するためのオンラインデータとなります。また、第三者が提供するサードパーティデータも、DMPに格納できるデータの1つです。日本でもようやく、このデータを扱う企業や広告媒体社が増えており、広告主企業は、これらをファーストパーティデータと組み合わせて活用することでターゲティングの精度を高めることができると期待しています。アドテクノロジー領域はこれまで、オンラインデータとオフラインデータとの統合(組み合わせ)が難しいとされており、独自体系で発展してきました。しかし、DMPとの連携により、第三者が提供するオンラインデータだけでなく、自社内のCRM情報(例えば、購入金額や回数、メールの効果などのオフラインデータ)を同時に活用することが可能となります。すなわち、DMPの「データ集約・統合」機能により、「自社Webサイトの行動履歴」と「自社CRMデータ」「第三者データ」を組み合わせることで、配信対象の細かいセグメントとターゲティングを実現します。2. 分析・分類マーケティング担当者が効果の高い施策を実行するために、ユーザーインサイト(定性情報)を理解することは必須となるでしょう。昨今、注目されている行動観察やカスタマージャーニーというマーケティング手法も、顧客の行動プロセスやその背景を理解する、という顧客インサイトを発見するための一手法です。DMPは、上記の通り、さまざまなデータを集約・統合できることから、ユーザーインサイトの強化も期待されていますが、そのためには集約・統合したデータを分析・分類する必要がでてきます。例えば、同じプロモーションでサイトに訪れたユーザーであっても、訪問時の行動に大きな違いがある場合はセグメントを分けるなど、細かな分析・分類を行います。これにより、ユーザーインサイトの理解に繋がるほか、ターゲティングの精度向上も実現します。3. 入力・活用DMPにおいて作成したセグメントは、DSPと連携することで広告配信に活用できます。従来のターゲティング手法は、各DSPでターゲティングルールを設定し、個別に運用を最適化する必要がありました。しかし、DMPと連携することにより、企業側でセグメントを作成・管理することができるため、例えば、同一のセグメントがDSPごとにどのように反応するか、というテスト運用が可能となります。また、DSPに限らず、自社サイトでのLPO(Landing Page Optimization) や商品情報のレコメンデーション、メール配信における訴求内容の変更・配信時期の判断情報としても活用できるのです。○DMP導入に向けて最後に、DMPの導入に向けてのポイントを確認しましょう。これまで、DMPを導入しデータを本格的にマーケティングへ活用することは難しいと考えられていました。しかし現在は、クラウドやビックデータの活発化などで、DMPの構築も小規模でスタートすることが可能です。導入初期は、膨大なデータに圧倒され、あれもこれもと手を出してしまいがちです。高度な分析や複雑な解析を行う前に、シンプルな仮説とセグメントからテストを行い、少しずつ精緻なターゲティングを構築していきましょう。担当する商品やサービスの「ユーザー理解」から「複数のシナリオ作成」「具体的なアクションと検証」を継続的に実行することが重要です。また、DMPの導入は、ユーザー理解だけでなく、自社サービスが選ばれる理由やどのようにコミュニケーションをするべきかを改めて考える機会にもなります。「ツールが勝手に解決してくれる」と考え、安易に導入するのではなく、データドリブンなアクションを継続的に実施する意思を持って取り組んでほしいと思います。なお、DSPを採用する際は、できるだけ多くのベンダーの話を聞き、各社の特性を見極めながら、自社に合うかどうかを判断しましょう。DSPの連動を重視したものや、EC向けレコメンド機能を中心としたものなど、ベンダーによって特性が大きく異なります。さて、次回は連載の最終回です。これまで、アドテクノロジーの歴史や最適化、データ活用の急速な発展などを見てきました。テクノロジーの進歩はWeb広告の配信にとどまらず、マーケティング領域全般に拡がっています。最終回では、今後マーケターに必要となるスキルを、データ活用という視点で考えてみたいと思います。○執筆者紹介ソネット・メディア・ネットワークス 商品企画部2000年3月に設立。ソニーグループの一員として、インターネットサービスプロバイダー(ISP)を運営するソネットの連結子会社としてインターネットマーケティング事業を展開する。国内最古のアドネットワーク事業者として10年以上の実績があるほか、RTBの市場拡大に先駆け、DSP「Logicad(ロジカド)」を自社開発。2014年10月には、インターネット広告に関する技術の精度向上を目的とした研究開発を行うラボを新たに設立するなど、独自のポジションを築く。
2015年05月13日東芝は5月8日、BtoB企業としてのブランディングを目的とし、新たに米シェアスルーが提供するインフィード型ネイティブアドの活用を開始したと発表した。これにより同社は、シェアスルーの広告主側プラットフォームとなるアドマネージャー(Sharethrough Ad Manger : SAM)を利用し、自社のコンテンツをネイティブアドに設定。シェアスルーのエクスチェンジ(Sharethrough Ad Exchange : STX)からCPMやCPE(コストパーエンゲージメント)により、RTBにて広告在庫を買い付け、コンテンツが自動最適化配信されるよう運用する。また、アドマネージャーでは、配信する広告枠とデバイスごとのインタフェースの体裁に合わせた広告クリエイティブが自動的に作成され、最適化することが可能だ。同社によると、導入に至った理由として、既存のコンテンツをデバイスを問わずネイティブアドとして配信できることや、Forbesのようなプレミアム媒体をはじめ、欧米中心としたビジネス・ニュース・テック系の媒体に掲載できることをあげる。なお、これらネイティブアドは、5月5日より配信を開始され、モバイルのエンゲージメントが極めて高く推移していることから、同社は「BtoBブランディングにおいてもモバイルシフトが起きていることが分かる」と説明する。
2015年05月11日NTTドコモは22日、SIMロック解除の手続き方法を変更し、インターネットからの申し込みであれば無料でSIMロック解除を行うと発表した。対象となる機種は5月1日以降に発売される機種。なお、機種購入日から6カ月間は解除できない。SIMロック解除の手続き方法の変更は、2014年12月に総務省が発表した「SIMロック解除に関するガイドライン」が5月1日より適用されることに伴ったもの。同ガイドラインでは、事業者は原則として自らが販売した全ての端末について、SIMロック解除に応じることとしており、また無料で解除することも明記されている。ドコモでは、5月1日以降に発売される機種において、PCの「My docomo」上でSIMロック解除を無料で受付ける。ドコモショップ店頭、電話でも解除を受付けるが、事務手数料として税別3,000円が別途必要となる。4月30日までに発売される機種については、従来通りドコモショップ店頭のみで受付け、事務手数料が3,000円かかる。また、これまでは端末購入後すぐに、SIMロック解除の手続きをすることができたが、5月1日以降に発売される機種については、購入日から6カ月間の解除制限期間が設けられている。なお、「ドコモケータイ」「Xiデータ通信専用端末」などの一部機種は、ドコモショップ店頭のみでの受付となる。これらの機種については、事務手数料が無料となっている。(記事提供: AndroWire編集部)
2015年04月22日マイクロアドとベクトルの合弁会社となるニューステクノロジーは4月22日、スマートフォンに特化した動画アドネットワークサービス「TRAILERS(トレーラーズ)」の提供を開始した。同サービスは、月間500億インプレッションをベースに、動画再生課金型の「インビュー再生プラン」や、動画を直接ディスプレイ枠に表示させる「動画拡散プラン」などのメニューを用意する。また、マイクロアドが提供するDSP「MicroAd BLADE」との連携を行うことで、オーディエンス・リターゲティング広告機能も実装。クライアントのニーズに合わせ、キャンペーンサイトへの誘導から、動画コンテンツの視聴回数増加まで幅広い対応が可能だ。同社は今後、「TRAILERS」における配信面の強化や多彩な配信プランメニューを用意し、2015年8月までに300社の導入を目指す。
2015年04月22日マーケティング担当者向けに、アドテクノロジーの基礎知識を学ぶ本連載。前回は、マーケティングの基礎戦略となるセグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングをおさらいしました。ターゲティングはアドテクノロジーにおける要の機能の1つです。このターゲティング手法の進化がきめ細かい広告配信を実現し、ディスプレイ広告の成長に大きく寄与してきました。(2015年4月)現在のディスプレイ広告では、そのほとんどが、何らかのターゲティングを用いてキャンペーン設定が行われていると言えます。ところが、DSPにおけるターゲティング手法は、各社によって手法が少し異なります。今回は次の視点で代表的な方法を紹介します。・ 広告主サイト訪問者を中心としたアプローチ・ Web閲覧行動を中心としたアプローチ・ハイブリット型○【1】広告主サイト訪問者を中心としたアプローチこのアプローチを行う上で用いられる代表的な手法は、リターゲティング(※注)です。これは、ひとことで言うと「自社サイトに訪問したユーザーをターゲティングする手法」となります。一度訪問したユーザーがサイトを離脱したのち、企業は、購入を保留した商品の再検討や関連商品の訴求、サイトへの再訪問など、ユーザーの状態を推定しアクションを促します。主に、複数商品やリピートする商品など、既存顧客へのアプローチとして利用されることが多い傾向にあります。同手法はこの数年、最も予算が拡大していると言えるでしょう。その理由は、Webサイト上でユーザーのアクションが完結する「ダイレクトレスポンス型」の領域で積極的に利用されたほか、その成果が測りやすく、DSPのターゲティング手法として定着したためです。また、昨今注目されている手法として、「ダイナミックリターゲティング」があります。これは、サイトに訪問したものの購入に至らなかったユーザーに対し、バナー内に複数の商品クリエイティブを生成し、「動的に変化させながら表示する」手法です。ECサイトであれば、訪問したユーザーごとに、閲覧したページの商品やサービスを解析し、最適な採用素材(この場合は、購入する可能性が高い商品)を選択後、バナーを自動で生成します。もちろん、バナー内の掲載商品やサービスは複数の組み合せも可能です。出稿には、広告主からの自社商品マスタ (商品リストや画像など)が必要となります。広告配信事業者は、どのユーザーにどのような商品を表示すると最適かを分析します。これは、各社によって独自のアルゴリズムが用意されており、単純な閲覧履歴だけでなく、蓄積された商品情報の解析や学習結果から、閲覧していないアイテムを抽出することもできます。同手法は主に、商品点数が多いECサイトや旅行業界、不動産業界などで活用が進んでおり、今後も更に市場は伸びていくでしょう。※注 : 「リターゲティング / Retargeting」は、マイクロアドの登録商標です。○【2】Web閲覧行動を中心としたアプローチ代表的な手法は、行動ターゲティングです。ユーザーを、インターネット上での行動をもとに何らかのカテゴリに分類し、このカテゴリを組み合わせて指定することでターゲティング対象を絞り込む仕組みとなります。従って、行動ターゲティングは、「ユーザーの興味・関心の特性に対するターゲティングする手法」と表すことができます。例えば、サイトの訪問数そのものが少ない場合や、再訪問の頻度・回数が少ない場合、新しい商品のため認知が低い場合などに「見込客(潜在的顧客)へのアプローチ」として利用されることが多く、うまく活用することで、見込客の誘導を促すことが可能です。○【3】ハイブリット型ハイブリット型とは、行動ターゲティングなどの外部データと、自社サイトのコンバージョンデータなどを積極的に融合してターゲティングする手法です。主に、「Look-alike」や「リターゲティング拡張」といった手法が挙げられます。「Look-alike」は、コンバージョンしたユーザーが、どのオーディエンスカテゴリに所属していたかを知ることで配信対象を指定します。弊社のDSP「Logicad」の場合、広告主サイト訪問者やコンバージョンしたユーザーのオーディエンスカテゴリとDSP全体のカテゴリを比較することで、ターゲットユーザーと関連の強いカテゴリを選択することができます。一方「リターゲティング拡張」は、コンバージョンなどを行ったユーザーに似ている対象者を、保有している膨大なインターネットユーザーの行動データなどから類似する行動・嗜好の特性を照らし合わせることで抽出します。従って、「Look-alike」にように明示的にカテゴリを指定しません。これらは各社によって異なりますが、類似度や配信規模などで配信を指定します。以上が、DSPにおける代表的なターゲティング手法の紹介となります。最後に、これらのターゲティングで考慮したい3つの視点を考えてみます。1つ目は、中間ゴールを設定すること。最終ゴールとなるコンバージョン(CV)ユーザーだけでなく、CVに至る複数の過程を考えてみましょう。過程(中間)を分析対象とすることで、CV数が少ない時点でも新たなデータの取得や学習速度を高めことができます。2つ目は、他の施策との関係性を考慮すること。データに対する判断では、「何を前提としているか」を忘れてはいけません。施策の影響を受けたユーザーかそうでないかによって、結果は同じでも判断は異なります。他の施策の影響を見ずにミスリードされないよう注意しましょう。3つ目は、自社サイトのWeb解析で得られたユーザーセグメント情報を積極的に活用すること。各セグメントの分類条件をDSP配信設定や解析・学習に反映し連動することで、予測精度が向上します。これに伴い、注目を集めたソリューションが、ターゲティングユーザーの集約・管理を可能とする「DMP(データマネジメントプラットフォーム)」です。次回は、このDMPについて解説します。○執筆者紹介ソネット・メディア・ネットワークス 商品企画部2000年3月に設立。ソニーグループの一員として、インターネットサービスプロバイダー(ISP)を運営するソネットの連結子会社としてインターネットマーケティング事業を展開する。国内最古のアドネットワーク事業者として10年以上の実績があるほか、RTBの市場拡大に先駆け、DSP「Logicad(ロジカド)」を自社開発。2014年10月には、インターネット広告に関する技術の精度向上を目的とした研究開発を行うラボを新たに設立するなど、独自のポジションを築く。
2015年04月22日マイクロアドの関連会社であるマイクロアド・インバウンド・マーケティング(MAIM)は4月8日、韓国最大級のインターネット企業「ダウムカカオ」が提供するSNS「カカオストーリー」を通じて、2015年4月より、日韓を繋ぐインバウンドソリューションサービスの提供を開始すると発表した。カカオストーリーは、現在グローバル累積加入者6,700万人、累積ストーリー47億件に至る韓国最大規模のSNS。情報通信政策研究院の調査によると、同SNSの2013年6月時点でのアクティブユーザーのシェアは41.1%で、韓国内1位。今回、MAIMが提供するインバウンドソリューションにより、カカオストーリーのユーザーに対して、最適かつ効果的な広告配信が可能になるという。
2015年04月09日ロックをテーマにしたアメリカンレストラン「ハードロックカフェ」は5月31日まで、春の特別メニュー「SPRING SPECIAL MENU」を販売している。○春にふさわしいメニュー2品と、おすすめのドリンクを販売「SPRING SPECIAL MENU」は、「レモンクリームチキンパスタ」「ドーナツ ロリポップ フォンデュ」の2品を用意。また、おすすめの「SPRING SPECIAL DRINK」として、バーボン・ジムビームをベースに季節のフルーツをふんだんに使用した2種類のフルーツパンチと、ノンアルコールのフルーツパンチを期間限定で販売する。「レモンクリームチキンパスタ」は、帯状パスタのフェットチーネを、レモンクリームソース、ローストしたアスパラガス、ほうれん草、赤ピーマンと一緒に和え、グリルしたチキンをトッピングした。レモンのさわやかな風味が春らしさをイメージさせるパスタだという。価格は1,980円(税・サービス料別)。「ドーナツ ロリポップ フォンデュ」は、クリーミーなニューヨークチーズケーキを詰めたボール状のドーナツをパウダーシュガーで仕上げ、自家製ピーナッツプリッツェルを添えた。温かいチョコレートソースやキャラメルソースにディップするデザート。価格は900円(税・サービス料別)。「SPRING SPECIAL DRINK」は、「パーム スプリングス パンチ」と「ストロベリー フルーツ パンチ(ノンアルコール)」を用意。フレッシュフルーツをリッチに使ったアメリカで人気のフルーツパンチ「パーム スプリングス パンチ」は、パイナップルとラズベリーの2つのフレーバーで登場する。価格は940円(税・サービス料別)。「ストロベリー フルーツ パンチ(ノンアルコール)」は、春の季節にふさわしい、すっきり甘いノンアルコールドリンク。フレッシュストロベリー、ストロベリーピューレ、パッションフルーツシロップ、レモンジュース、アップルジュースをミックスし、ソーダアップでツートンカラーで仕上げた。パイントグラス付きで、1,510円(税・サービス料別)。なお「SPRING SPECIAL DRINK」は、店舗により価格が異なることがある。
2015年04月05日Lookoutは3月23日、Google Playに登録されている13件のアプリにアドウェアが混入されていたことを明かした。内訳は「HideIcon」が1件、「NotFunny」が12件。すべて同社の研究グループが2015年の2月に発見した。Lookoutはアドウェアの存在をGoogleに伝えており、すでにストアから削除されている。どちらのアドウェアも、アプリをインストールすると活動を始め、利用者が嫌がるような広告をスマートフォン上にプッシュ表示し、ユーザーの端末の使用を阻害する。HideIconは名前の通り、インスト―ル後にアプリのアイコンを画面上から隠す性質もを持つ。そのため、一度インストールしてしまうと、利用者には見つけられず削除が困難となる。一方のNotFunnyは、「ドロッパー」と「ペイロード」の2つから構成されている。ドロッパーが埋め込まれたアプリをインストールすると、ドロッパーがペイロードをダウンロードするように促す。ペイロードをインストールすると、Facebookアイコンにを似せたアイコンが画面上に表示される。個人情報の要求、課金、メッセージ、位置情報などの取得を許可するように要求される。該当アプリがすべて削除された後、2件のアプリがアドウェアを抜かれた状態で再アップロードされている、このことから、提供元はアドウェアが持つ攻撃性を知らずにアプリに追加したか、Googleの規則を理解していなかったと分析している。
2015年03月24日本連載では、企業のマーケティング担当者向けに、RTBをはじめとしたアドテクノロジーについて、分かりやすく解説していきます。アナリティクスやマーケティング・サイエンス、最適化(オペレーションズリサーチ)視点を意識しつつ、DSPの選定や活用が可能となることを狙いとします。前回は、オークション(入札)の仕組みを整理しました。本稿では、DSPにおいて実際にどのように動いているのかを図で追ってみましょう。○DSPにおける入札取引の流れ1. ユーザーAが広告枠を持つ媒体を訪問2. SSPからのDSPへ問い合わせ(リクエスト)3. それに対し、DSP3社が独自の評価によってそれぞれ入札額を応札(Bid)4. DSP1が最高入札額(100円)なので勝者となる5. 広告が表示される6. DSP1がSSPに支払う金額は2番目に高い入札額となる80円これが、「DSPの封印型セカンドプラス・オークション」の流れです。SSPによるリクエストを起点に、勝利したDSPの広告が表示されるまでの時間は、0.1秒未満となります。加えてDSPでは、数千のサイトから届くリクエストと数千のキャンペーンによる「膨大な組み合わせ」に並行して対応しています。例えば弊社のDSP「Logicad」の場合、2015年3月時点で月間900億リクエスト(日本全ドメインの約30%相当にリーチ)を超えており、膨大なオークションがリアルタイムに進行していることが分かります。なお最近では、DSP/SSPによるRTBも含め、機械的に行う取引を「プログラマティック・バイイング/セリング」と呼ぶ傾向があり、データに基づく自動的な広告枠買い付けの波は今後も大きく成長していくでしょう。○入札戦略の基本DSPは、SSPからのリクエストに対し、キャンペーンごとに適切な入札額を算出します。この「算出のためのロジック」が各社のノウハウであり特徴と言えますが、基本的な考えを整理してみます。さて、セカンドプライスオークションは、「他者の入札は気にせず、自分の評価で参加する」という原則がありましたね。では、キャンペーンにおける自分の評価は、どのように決めるのでしょうか。多くのDSPは、キャンペーンの目標となるCPCやCPAを設定すると、CTRやCVRの期待値(予測値)を基に入札額を算出します。つまり、予測値の立て方によって、入札戦略が左右されるということです。なお、CPMは、最適な入札額を広告表示1000回あたりの単価に換算したものです。実際のコストは1インプレッションごとのセカンドプライスの合計金額ですが、現時点の単価を把握し、どのように推移するかを確認するための商習慣上の指標となります。※本稿で記載のあるマーケティング用語の解説1. キャンペーンDSPの設定において提供する商品やサービスをカテゴリーで分類した広告配信のグループ目標金額や配信量をコントロールする単位として使用する2. CPC (Cost Per Click)1クリックあたりの広告コスト(コスト÷クリック数)3. CPA (Cost Per Action)1コンバージョンを獲得するのにかかった広告コスト(コスト÷コンバージョン数)4. CTR (Click Through Rate)広告が表示された際のクリックされる割合(クリック数÷インプレッション数)5. CVR (Conversion Rate)どのくらいコンバージョンしているかという割合(コンバージョン数÷クリック数)6. CPM (Cost Per Mill)1000回表示あたりの広告コスト例 : 目標CPCによる入札額の算出目標CPC=100円予測CTR=0.1%の場合入札額CPM=100円 ⇒ 1000回表示分の金額入札額CPMの計算式 : 目標CPC(100円)×予測CTR(0.001)×表示(1000回)=入札額(100円)しかし同方法は、インプレッション単位で最適な入札額を決めオークションに参加するため、効率は保証されますが、広告表示の絶対量を必ずしも保障できる仕組みとは言えません。条件を満たした入札は行うことができますが、配信量は入札結果によって変動してしまうということです。○最適化(入札額の調整)DSPの取引は一般的に、1000回表示あたりの広告コスト(CPM)で行われます。そのため、予測精度が悪いと期待値が低い広告を割高で購入したり、期待値を低く予測すると、広告の表示機会を失ってしまいます。一方で、キャンペーンを細分化し、それぞれを予測することで、入札のROI管理を実現しています。この優れた予測機能によって、キャンペーン内の限られた予算で最大の効果を出すための運用が可能となります。少し分かりづらいので、先ほどの例で解説します。キャンペーン全体の目標CPCは100円、予測CTRは0.1%です。仮に、条件Aの予測CTRが0.2%、条件Bの予測CTRが0.05%だったとします。その場合、それぞれの入札額は200円、50円となります。CTRが2倍であれば入札額も2倍、逆に1/2であれば1/2で入札することで、目標CPCは維持できます。予測精度が信頼できれば、条件A・Bどちらで入札しても構わないというのが最適化の基本的な考えです。これまでの運用では、予算が許す限り、期待CTRが高いところに露出する傾向がありました。DSPでは、期待CTRが低くても落札の確率が高く、配信量が十分と判断すればバランスのとれた配信が行えます。キャンペーンごとの入札額調整は自動的に行ってくれるので、運用の手間をあまり考える必要はありません。例 : 入札戦略の最適化目標CPC=100円基準 : 予測CTR=0.10%入札額(CPM)=100円条件A : 予測CTR=0.20% 入札額(CPM)=200円条件B : 予測CTR=0.05% 入札額(CPM)= 50円○自動型やハイブリット型など多くのDSPは、膨大で煩雑な作業をアルゴリズムによって「自動化」することで、入札業務や運用効率を大幅に軽減しています。加えて、より洗練された自動化を目指すソリューションや、運用者(マーケティング担当者)に向けて積極的に情報を提供する「ハイブリット型」など、各DSPの特徴が出始めています。実際の運用では、すべてのキャンペーンが計画通りに進捗するとは限りません。多くの予算を確保し、短期間で統計的判断ができるほどの充分なデータを取得できるケースばかりではないからです。少しでも早く効果を上げるためには、運用担当者のキメ細かい微調整(PDCA)が欠かせません。この担当者の初動の設定や配信設定の絞り込みなどの調整によって、パフォーマンスが大きく変わってきます。「アルゴリズム」か「人」かに関わらず、さまざまなデータを組み合わせることで、予測精度を安定的に向上させ、他社と異なる入札額を算出し、運用計画に合わせて配信の調整をしていくことが結果につながります。広告主が、主体的に「誰に配信するか」を選択できるようになった今、出発点となるセグメントとターゲティングはますます重要となってくるのです。次回は、「枠」から「人」へと象徴的に言われている「ターゲティング」について見ていきましょう。○執筆者紹介ソネット・メディア・ネットワークス 商品企画部2000年3月に設立。ソニーグループの一員として、インターネットサービスプロバイダー(ISP)を運営するソネットの連結子会社としてインターネットマーケティング事業を展開する。国内最古のアドネットワーク事業者として10年以上の実績があるほか、RTBの市場拡大に先駆け、DSP「Logicad(ロジカド)」を自社開発。2014年10月には、インターネット広告に関する技術の精度向上を目的とした研究開発を行うラボを新たに設立するなど、独自のポジションを築く。
2015年03月20日D2CとFringe81は3月17日、スマートフォンアプリを中心とした新しいアドネットワークの運営・構築における包括的業務提携を結び、共同運営することに、2月27日に合意したと発表した。両社は、D2Cの持つモバイルマーケティング分野の高い知見や販売力と、Fringe81の持つ事業開発力および技術力を組み合わせることで、早期に大規模アドネットワークの構築が可能と判断して今回の業務提携を結んだ。新しいアドネットワークには、多様なデータのリアルタイム処理技術や、配信最適化技術などの最新のテクノロジーと、誰もが簡単に運用可能なUIを実装する。両社は今後、「リッチメディア広告」「大規模で多様なデータを利用したバナー広告およびインフィード広告」「スマートフォン向けアトリビューション分析システムおよびサービス」などの商品やソリューションの提供を予定している。
2015年03月18日本連載では、企業のマーケティング担当者向けに、RTBをはじめとしたアドテクノロジーについて、分かりやすく解説していきます。アナリティクスやマーケティング・サイエンス、最適化(オペレーションズリサーチ)視点を意識しつつ、DSPの選定や活用が可能となることを狙いとします。前回までは、アドテクノロジーの歴史を振り返り、DSP/SSP(RTB)の概要に触れました。いよいよ今回から、オークション分野をマーケティング視点で見ていきます。○これからのマーケティング担当者に必要とされるスキルとはインターネット広告を取り巻く環境の進化は、これまでのマーケティング・アプローチを変化させつつあります。特にここ1~2年においては、ビッグデータ技術が飛躍的に伸び、データの保管コストが大幅に下がったことで、一部の企業にしかできなかったマーケティング・サイエンスや、最適化(オペレーションズリサーチ)などが容易に行える環境となりました。ビッグデータによってさらなる成長を遂げたアドテクノロジーもまた、使い方次第ではマーケティング活動を大幅に変革させることが可能な技術です。まずは、アドテクノロジーの仕組みを理解し、膨大なデータを基に、マーケティング視点で「分析」や「仮説」「意思決定」「評価」を行っていくための基本を押さえていきましょう。というのも、今後もさまざまなテクノロジーが開発・導入されていくことが予想されますが、基本的な仕組みを理解しておくと、目的に応じて必要なテクノロジーを使い分けていくことができるためです。マーケターは今後、目的達成に必要なテクノロジーを選択し、高速PDCAを回すことで施策の最適化を図っていくスキルが必要となると考えています。本稿では、RTBの根幹を担うオークション分野の仕組みについて整理してみましょう。○オークションの種類 - DSPは封印型セカンドプライス公開型オークション - 競り上げと競り下げ「オークション」は、マーケットデザインという新しい経済学のなかで、研究事例としてよく取り上げられます。マーケットデザインとは、モノを適切に配分するための社会的な仕組みを考案したもので、オークション以外にもマッチング理論やゲーム理論なども扱います。オークションと聞くと多くの人は、有名な絵画などの芸術作品が値上げ形式で入札され、最高額にて落札されるといったイメージを思い浮かべるのではないでしょうか。このように、競争相手の入札額がオープンで最も高い値を付けた人物が落札できる仕組みを、公開型(open bid auction)の「競り上げ方式(イングリッシュ・オークション)」といいます。一方、同じ公開型であっても、ある一定額から入札が開始され、買い手の希望する価格まで下がっていく仕組みを「競り下げ方式(ダッチ・オークション)」とし、代表的なものとしては、花卉(かき)市場で採用されているそうです。封印型オークション - 第一価格と第二価格また、競争相手の入札額がクローズド(非公開)にて行われる「封印型(sealed bid auction)」においても、2つの種類があります。勝者(最高額入札者)の支払う金額が最も高い入札額であることを意味する「第一価格」によるものと、支払う金額が二番目に高い入札額であるという「第二価格」となる方法です。第一価格(ファースト・プライス・オークション)では、参加者の意思決定が複雑になると言われています。一般的に、第一価格の場合、買い手は勝者を目指すとともに、限度額を超えない範囲で、競争相手よりわずかだけ高い入札額を検討しなければなりません。しかしながら、相手の入札額がわからないため不確定要素が高く、オークションが荒れやすくなると考えられてます。一方、第二価格(セカンドプライス・オークション)は、相手を意識せずに自身の評価で決める、すなわち最適な選択が可能というゲーム理論「支配戦略」にも従うため、「競争相手を気にせず、自らの評価を正直に入札すれば、気に病む必要はない」という点で優れた仕組みだと考えられています。そしてこの仕組みが、多くのDSPやリスティング広告(検索連動型広告)などで採用されているのです。なお、SSP(売り手)には、確率的に計算した結果(分布)に基づき、第二価格オークションの最低落札金額を設定したり、特定の買い手と固定で落札額を決めたりし、期待収益を最大化するという機能があります。DSP・SSPともに、新たな仕組みや方式を常に試行しているのです。さて、セカンドプライス・オークションを採用するDSPでは、自身の評価で入札すれば良いとの話でしたが、この評価とはどのような考え方で決めるとよいのでしょうか。次回は、オークションにおける「適切な金額」を決める仕組みについて考えていきましょう。○執筆者紹介ソネット・メディア・ネットワークス 商品企画部2000年3月に設立。ソニーグループの一員として、インターネットサービスプロバイダー(ISP)を運営するソネットの連結子会社としてインターネットマーケティング事業を展開する。国内最古のアドネットワーク事業者として10年以上の実績があるほか、RTBの市場拡大に先駆け、DSP「Logicad(ロジカド)」を自社開発。2014年10月には、インターネット広告に関する技術の精度向上を目的とした研究開発を行うラボを新たに設立するなど、独自のポジションを築く。
2015年03月04日最新技術を用いたユニークな採用活動を行っている企業「アドキャスト」。同社では今年の採用活動においてARアプリ「ARcube」を利用している。具体的には、同社の企業ロゴにARアプリ「ARcube」をかざすことで、同社の社員たちの登場する約1分半の動画を見ることができる。さらに、その動画を見終わると同社の社長へ直接電話がかけられる仕組みになっている。なぜ、このようなユニークな採用活動を始めたのか。同社の管理部 人事総務課課長 野出卓也氏と、同ARアプリを開発したプラージュ 代表取締役 磯浩一郎氏に話を聞いた。――まず、採用活動にARアプリを活用しようと考えたキッカケを教えて下さい。野出:今の学生のスマホ使用率が9割程度と非常に高いということがあります。そうした中で、スマホアプリを使って会社を知ってもらいたいという想いがあったというのが第一にあります。そして、その中でもARというのは新しくて楽しめるものなので、発信力があると思いました。ARアプリの導入は、採用に結びつけるというより、まずは会社を知ってほしいというのがそもそものきっかけでした。――"会社の認知拡大×ARアプリ"。アプリ上で提供するコンテンツはどのように決めたのでしょうか。野出:従来のように、採用サイトやホームページを見るだけでなく、“動き”を取り入れたいと考えていました。さらに会社の中身を知ってもらいたいと考えたときに、"会社の中身=人"だったんです。なので、どういう人たちが働いているんだというのを動画を通して発信できればと思ったんです。――実際にアプリを開発した磯さんに聞きたいのですが、会社や人材紹介にARアプリを使うと聞いたとき、どう思われましたか?磯:第一印象として、ものすごくおもしろいなと思いました。これまでARアプリは、販促目的やエンタテイメント系の用途に活用されることが非常に多く、こういったカタチの取り組みは初めてだったので。――ARcubeの特徴を改めて教えて下さい。磯:そうですね。このアプリの特徴のひとつとして、どんなものでも“マーカー”にできるということが挙げられます。QRコードなどはいらず、印刷したものにマーカーを付けられるというのが特徴ですね。マーカーの入ったロゴをつくるのも簡単で、今回のアドキャストさんの場合も、もともとのロゴにマーカーを付けています。――ARアプリに対応したロゴが印刷された資料は、いつ頃からどういったところで配る予定なのでしょうか?野出:3月から弊社のセミナーに来てもらった学生さんたちだったり、合同企業説明会に来場されて、弊社に興味を持った人に配布を考えております。――ちなみに、ARの読み取りは名刺のロゴからでもできるんでしょうか?野出:もちろん、名刺からでも可能です。今回の試みは、採用活動に限ったことだけでなく、お客様や、取引先に対しても、弊社にどういう社員がいるのか知っていただける良い機会だと思っています。採用活動という点でのメリットは、自分からアクションを起こす人かどうかを見分けられるという点ですね。なんとなく会社概要や採用情報を見たり聞いたりするだけでなく、アプリをインストールして、なおかつかざして見なければならない。こういった一種のハードルがあることで、より意識が高い人に集まってもらえるのではないかと考えています。――ARcubeが採用活動に使われるというのは今回が初めてということでしたが、どういったところに注力したのでしょうか。磯:機能的には従来どおりでした。このARcubeには、3Dグラフィックが表示された後に動画が流れて、最後に電話にリンクするという機能があるのですが、採用活動にこれを取り入れて、かざしてすぐに社長に電話がかけられるというのは画期的だと思っています。野出:情熱のある学生さんだったらすぐに電話して社長に会いに行こうよって(笑)。結局、最近の傾向として、受け身の学生さんが多いので、自分から行動するんだったら「一緒に働こうよ!」「じゃあ社長に会おうよ!」と。そんな情熱のある学生さんと弊社としても出会いたいなと思っているんです。――学生さんに対して"新しいことにチャレンジする会社"というイメージを与えることができますね。こういったユニークなチャレンジをすることで、競合他社との差別化にもつながりますか?野出:そうですね。差別化をポイントに考えています。やはり、新しいことはどんどん取り入れていかなければいけないですし、我々も人気業界ですから、常に一歩先を行くスタンスで考えています。――業界的にもネットをうまく活用したり、新しい技術を取り入れることがトレンドになっているのでしょうか?野出:そうですね。最近はそういった傾向でもありますが、まだまだアナログなことも多いですよ。ですから、会社の理念にも"業界変革"というのがあり、今回のARcubeとのコラボレーションもその一環なんです。こういった新しいことを取り入れていきたいと思っています。――今回のコラボレーションによって、ARcubeの使い方や活用方法に新たな広がりが生まれたのではないでしょうか。磯:そうですね。今回実装した機能のほかにも不動産業界で活用したら面白いのではなかと思う機能として、マーカーを読んだときに、室内が360度見えるようする機能などもあります。また、これはこの業界に限ったことではないのですが、スタンプラリーのようなことをこのアプリを活用して行うこともできます。ほか、管理画面も用意していますので、動画の再生回数や再生された場所の位置情報や時間、端末の種類なども把握することができるようになっています。――ところで、このアプリから社長と直接電話できるということでしたが、本当なのでしょうか。野出:本当ですよ。社長が出ます。ただ、かけてくる方が増え過ぎたら考えますが(笑)。――今回の試みは今年が完全に初めてということですが、評判がよければ来年もと考えてはいらっしゃいますか?野出:もちろんです。もうちょっとバージョンを上げてぜひ。他の企業も後を追ってくると思いますので、それよりも上のものを目指したいです。――次の構想としてARでやってみたいことはありますか?野出:3D映像をもうちょっと長くしたり、音が出たり、しゃべり出すような機能を取り入れたいですね。社長の3Dキャラクターをつくって、それがしゃべり出す機能をつけて、バーチャル上で会話できるようになったら面白いですよね。――最後に、今後の会社の方向性について一言お願いします。野出:人を軸として、テーマは“新しいこともどんどん取り入れて楽しくやっていきましょう。”ということですね。それが我々のカルチャーでもありますので、そういったものを積極的に打ち出していきたいと考えています。磯:ARcubeについては、今、解析の機能に力を入れています。どれぐらいコンバージョンがあるのかなど、そういった点についても管理画面でクライアントさん側で測れるようにバージョンを上げていきたいと思っています。――ありがとうございました。
2015年03月02日本連載では、企業のマーケティング担当者向けに、RTBをはじめとしたアドテクノロジーについて、分かりやすく解説していきます。アナリティクスやマーケティング・サイエンス、最適化(オペレーションズリサーチ)視点を意識しつつ、DSPの選定や活用が可能となることを狙いとします。前回は、インターネット広告の歴史とアドネットワークの登場までを振り返りました。今回は、アドエクスチェンジからDSP/SSP(RTB)までを一気に見ていきましょう。○オープン市場へのきっかけ(アドエクスチェンジ)「アドエクスチェンジ」は、アドネットワークの需給調整を行う取引所として登場したとお話しましたね。アドエクスチェンジの出現により、アドネットワーク事業者は、想定より広告受注数が少なく余った広告枠を、アドエクスチェンジを通じて転売することが可能となりました。逆に、想定より受注数が多い場合には、アドエクスチェンジを通じて補完することができ、在庫リスクの分散も実現しました。しかし、次第にアドエクスチェンジを通じて、広告主が直接広告枠を買い付けたり、媒体社が直接販売したりするケースが出てきます。これにより、これまでの「アドネットワーク事業者がそれぞれ優先的に媒体社(広告枠)を持つ」という強みが薄まっていきます。一方で、広告主は複数のアドネットワークに容易につながることができ、膨大な広告枠に配信できる機会が増えました。その結果、配信先や在庫量に縛られず、膨大な広告枠から費用対効果の高い配信機会をいかに見つけ出すかという「最適化技術」が重要になってきます。すなわち、アドエクスチェンジをきっかけに、広告主と媒体社がオープンに取引可能となった現在のRTB(*1)の登場につながっている、と言えます。○インターネット広告の大変革 =RTB市場の発展RTBは、欧米にて2009年頃から、日本では2011年頃から一気に普及した最新テクノロジーです。これまでのインターネット広告は、1カ月単位で広告枠を売買することが主流でしたが、このテクノロジーにより、広告主と媒体社は「インプレッション(クリック)」ごとに「オークション形式」で、「オープンな取引」を行うことが可能となりました。DSP/SSP(*2/3)とは、RTBの仕組みを利用して広告を配信するためのプラットフォームです。広告主は、DSPを通じて「必要なとき」に「適切な金額」で「希望の配信量」を買い付ける(オークションする)ことができます。また、媒体社はSSPを通じて、オークションで最も高値を付けた広告を配信するため、インプレッション単位で収益性の高い配信が可能となり、広告収益の最大化が期待できます。(*1)RTB(Real Time Bidding)広告枠を1インプレッション毎にリアルタイムなオークション形式で入札できる(*2)DSP(Demand Side Platform)広告主(広告出稿者)が利用する広告配信の最適化プラットフォーム(*3)SSP(Supply Side Platform)媒体社(広告枠)が利用する広告配信の最適化プラットフォーム広告主は、独自の予測に基づいた判断により、広告を表示(購入)することが可能となります。このように、1インプレッション単位で「評価」と「購入」が連動することで、ターゲティング機能が大きく進歩しました。DSP配信の特徴として「枠から人へ」と表現される所以です。こうして、WebサイトのPVから予測される広告在庫の管理や、CPC・期待効果・時間帯・カテゴリなどの配信ルールに従った自動最適化、膨大な配信データの分析、分析結果に基づいたターゲティングなど、アドテクノロジーの基盤が大きく成長しました。次回は、RTBの根幹を担うオークション分野を復習しながら「入札」機能の特徴についてふれていきます。○執筆者紹介ソネット・メディア・ネットワークス 商品企画部2000年3月に設立。ソニーグループの一員として、インターネットサービスプロバイダー(ISP)を運営するソネットの連結子会社としてインターネットマーケティング事業を展開する。国内最古のアドネットワーク事業者として10年以上の実績があるほか、RTBの市場拡大に先駆け、DSP「Logicad(ロジカド)」を自社開発。2014年10月には、インターネット広告に関する技術の精度向上を目的とした研究開発を行うラボを新たに設立するなど、独自のポジションを築く。
2015年02月18日オスカー女優メリル・ストリープが主演を務めて初のロックスター役に挑む『リッキー&ザ・フラッシュ(原題)』が年内に日本公開されることが決定し、エレキギターを手に熱唱するストリープの姿をとらえた場面写真が公開になった。本作は、かつて、家族を捨てて“ロックスターになる”という夢を追った主婦リッキーが、ロックスターになった後に、娘との再会を経て、再び家族とよりを戻そうとする姿を描いた作品。本作は『JUNO/ジュノ』『ヤング≒アダルト』の脚本を手がけたディアブロ・コーディが脚本を、『羊たちの沈黙』『フィラデルフェイア』のアカデミー賞監督ジョナサン・デミが監督を務め、ストリープが主演するもの。彼女は映画のためにエレキギターを猛特訓したそうで、劇中の演奏シーンはすべて俳優たちが演奏している。『リッキー&ザ・フラッシュ(原題)』2015年公開
2015年02月06日トゥギャッターとキャッチボールは2月5日、共同で「TGマーケティング」を設立し、「Togetterスポンサードまとめ」を始めとした、タイアップ・ネイティブアドの販売を開始したと発表した。Togetterは、ツイートやさまざまな情報を組み合わせてコンテンツを保存できるキュレーションサービス。ツイッター関連サービスでは国内トップクラスの実績を誇り、多くのユーザにより日々様々なコンテンツが投稿、シェアされている。今回発表された「Togetterスポンサードまとめ」は、Togetterが公式にまとめるタイアップメニューで、Twitterの投稿を元に、ユーザーの生の反応を集約して可視化し、マーケティングに利用するもの。バズ専門キュレーターがまとめを制作・拡散し、動画などのTwitter以外の情報も掲載が可能となっており、Twitterに投稿されたポジティブな反応をまとめて企業のファン化を促進したり、イベント開催時に実況などをいち早くまとめてコンテンツ化するといった活用方法を想定している。新会社は、両社のサービス特性やユーザー属性を活かし、「Togetterスポンサードまとめ」を始めとした、タイアップ・ネイティブアドを企画・販売し、初年度に50件の受注を目指す。
2015年02月06日本連載では、企業のマーケティング担当者向けに、RTBをはじめとしたアドテクノロジーについて、わかりやすく解説していきます。アナリティクスやマーケティング・サイエンス、最適化(オペレーションズリサーチ)視点を意識しつつ、DSPの選定や活用が可能となることを狙いとします。まずは、今回と次回の2回に分けて、アドテクノロジーの歴史を簡単に振り返ります。○インターネット広告は、どう生まれ、変化していったのか昨今のインターネット広告は、広告費全体に大きなシェアを占めています。電通が発表した「2013年日本の広告費」によると、インターネット広告費は媒体構成比の15.7%となります。なぜ、このようにインターネット広告市場が拡大しているのか、疑問に思う人も多いのではないでしょうか。拡大の背景には、インターネットユーザーの利用変遷と、アドテクノロジーの進化が密接に関係しています。以前のインターネット広告といえば、「純広告」と呼ばれるWebサイト内の特定位置に設けられた広告枠に、一定期間分の広告費を支払い掲載する手法が主流でした。純広告は、まず、1カ月当たりの掲載費はいくらかという期間保証型の課金形態から始まります。その後、ブロードバンドや定額制料金などによりインターネットサービスが爆発的に普及すると、インターネット・メディア(メディア)も相次いで立ち上がり、純広告の課金形態も期間保証型だけでなく、インプレッション課金(CPM)やクリック課金(CPC)などが浸透していきました。そして、インターネット広告市場を大きく伸長させる要因の一つとなった「検索連動型広告」が台頭します。ユーザーの検索結果画面に対し関連性の高い広告を表示するこの手法は、ユーザーの入力した検索内容と、広告の関連性を品質スコア化しマッチングさせる技術や、CPC課金をオークション形式で複数者が同時に入札できる技術、これら要素の総合評価で表示順位を決める技術などを採用。検索結果の品質を維持しつつ効率的な広告手法として確立されていきました。一方、Webサイト内の広告枠に画像を表示する「ディスプレイ広告」は、インターネットの普及によりメディア事業へ進出する企業の増加や、ユーザー自身がコンテンツを生成する、いわばソーシャルメディアの先駆けとなるCGM(Consumer Generated Media)サービスの台頭などに影響を受け、変化していきます。そして、これらのメディアでは、「ユーザーは無料で利用でき広告主は掲載費を払う」という広告モデルを前提としていたため、多くの訪問ユーザーを持つ一部のメディアを除き、多くの小規模メディアでは、営業リソースが少なく充分なマネタイズが難しくなっていました。このような状況の中で、小規模メディアの広告枠をパッケージ化し広告配信を管理・販売するサービスとなる「アドネットワーク」が登場しました。○アドネットワークとアドエクスチェンジ「アドネットワーク」とは、ひとつの事業者が複数のWebサイトやページを広告配信対象としてネットワーク化し、広告の受注を一括して請け負うサービスです。メディアは、提供可能な広告枠にjavaScriptを埋め込んでおくだけで、アドネットワーク事業者から決められた条件にてさまざまな広告主のバナー広告が配信されます。また、「ターゲティング機能」を持ったアドネットワークが登場し、メディア価値だけでない視点での配信も可能となりました。こうして、アドネットワークは小規模メディアのマネタイズをサポートすると同時に、効率的に広告枠を買い付けたい広告主の調整役を担っていきました。しかし、複数のアドネットワーク事業者が存在することで、例えば、「アドネットワークa」では広告枠が余っているが、「アドネットワークb」では広告枠が足りていないという需給のバランスが崩れるといった課題も発生してきます。そこで登場したのが、アドネットワークの需給の調整を行う取引所としての「アドエクスチェンジ」です。第2回は、このアドエクスチェンジのほか、RTB(リアル・タイム・ビッティング)市場の発展についてふれていきます。○執筆者紹介ソネット・メディア・ネットワークス 商品企画部2000年3月に設立。ソニーグループの一員として、インターネットサービスプロバイダー(ISP)を運営するソネットの連結子会社としてインターネットマーケティング事業を展開する。国内最古のアドネットワーク事業者として10年以上の実績があるほか、RTBの市場拡大に先駆け、DSP「Logicad(ロジカド)」を自社開発。2014年10月には、インターネット広告に関する技術の精度向上を目的とした研究開発を行うラボを新たに設立するなど、独自のポジションを築く。
2015年02月03日スマートフォンのSIMロックを解除するために必要な「SIMロック解除コード」がヤフオクなどで販売されている。キャリアにSIMロック解除を申し込むと税別3,000円の手数料がかかるが、ヤフオクでは498円や、980円など安価な値段設定となっている。こうした、非公式的な「SIMロック解除コード」の利用について、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの各社広報に話を聞いた。そもそも、SIMロック解除コードとは、端末のSIMロック解除する際に発行されるPINコード。解除コード入力画面から入力することで、現在契約しているキャリア以外のSIMカードが使用可能となる。ヤフオクで販売されている「SIMロック解除コード」の説明文を見ると、「機種名と15桁のIMEI番号(製造番号)を教えていただければ発行します」とある。このように非公式的に販売されているSIMロック解除コードについて、2011年4月以降に発売された機種(一部除く)においてSIMロック解除サービスを行っているドコモに問い合せると、「どのような形で販売されているものなのか、実態がわからないため回答は難しい」との回答だった。「301F」、「201HW」、「009Z」、「008Z」の4機種において、SIMロック解除サービスを行っているソフトバンクでも、「事実が把握できていないため、正式な回答は少し待っていただきたい。社内で確認させていただく」とのことだった。SIMロック解除サービスを行っていないKDDI(au)では、「海外ツールのようなものを使用して解除コードを発行している可能性がある。ただし具体的な方法などについてわからないため、コメントできない」との回答だった。実際に、SIMロック解除コードを非公式に購入したユーザーが、「成功した。運用できている」とするブログも散見されるが、ドコモとKDDIは共通して「推奨はしない。自己責任で行って欲しい」とコメントした。また、非正規でSIMロックを解除し、端末に何らかしらの不具合が出た際は各キャリアとも、「改造扱いになり、端末の保証サービスから外れる。キャリアとして端末の不具合に対応できなくなる」という。そうしたリスクを踏まえると、あくまで公式のサービスを利用してSIMロック解除をしたほうが無難と言える。なお以下で、ドコモとソフトバンクのSIMロック解除サービスの詳細を記載するので、SIMロック解除を検討しているユーザーは参考にしてほしい。SIMロック解除について:ドコモの場合ドコモショップの店頭にて手続きが可能。契約者本人であることを氏名/生年月日などから確認する。また、来店者の本人確認書類等が必要となる場合がある。対応端末は、2011年4月以降に発売された機種(一部除く)。対応機種一覧はコチラ。解除に必要な手数料として税別3,000円がかかる。SIMロック解除について:ソフトバンクの場合ソフトバンクショップおよび一部ソフトバンク取店にて申込みが可能。契約者本人であることを氏名/生年月日などから確認する。また、来店者の本人確認書類等が必要となる場合がある。対応端末は、「ARROWS A 301F」(富士通製)、「STREAM 201HW」(ファーウェイ製)、「STAR 7 009Z」(ZTE製)、「シンプルスマートフォン 008Z」(ZTE製)の4機種。解除に必要な手数料として税別3,000円がかかる。なお、両社とも、一度SIMロックを解除した端末に、再びSIMロック機能を設定することはできない。(記事提供: AndroWire編集部)
2015年01月14日マイクロアドの連結子会社となるMicroAd Singapore Pte.Ltd.は1月8日、ベトナムやインドネシア、フィリピン、タイなど東南アジアを中心にアドネットワークを提供するAmbient Digital Group(Ambient Digital)への出資を発表した。マイクロアドとAmbient Digitalは、2012年11月に合弁会社「MicroAd Vietnam」を設立。マイクロアドが提供するディスプレイ広告の統合管理プラットフォーム「MicroAd BLADE」と、Ambient Digitalが提供するアドネットワークとの接続を行い、ベトナムのディスプレイ広告市場でマーケットシェアを伸ばしてきた。その後、2013年にシンガポール、2014年にフィリピンにて合弁会社を設立し、東南アジアのディスプレイ広告市場の拡大に努めている。Ambient Digitalは、シンガポールを本社とし、毎月7000万人の東南アジアに属するインターネットユーザーにリーチし、20億以上のPVを保有するアドネットワーク企業。マイクロアドは、東南アジアのビジネス展開におけるスピードを重視し同社に出資を実施したという。これにより、MicroAd BLADEの東南アジアでのマーケットシェア拡大を目指す。
2015年01月09日デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムの連結子会社であるトーチライトと、DACの持分法適用関連会社であるアドイノベーションは12月24日、Adstore Trackingデータを活用したFacebookモバイル広告のターゲティング最適化での連携を開始した。AdStore Trackingは、様々なスマートフォン広告の広告効果測定・解析が行えるアドイノベーションのASPサービスで、広告効果測定ツールとして、多数のスマートフォンアプリに導入されている。一つのSDKでリスティング広告におけるコンバージョン数測定、純広告におけるCPAの算出など、さまざまな指標で総合的にプロモーションを管理・分析できるほか、出稿媒体の一元管理も可能となる。スマートフォンアプリを運営するデベロッパーは、AdStore Trackingを利用してユーザーのログイン頻度や課金状況などのデータを正確に把握し、分析データとFacebook広告のカスタムオーディエンス機能を利用して、よりターゲティング精度の高いオーディエンスを作成することで、コンバージョンへの導線の設置が容易になる。広告配信例として、「自社アプリの利用頻度が低下しているユーザーに対して、Facebook広告でアプリ内のキャンペーン告知を行い、リエンゲージメントを促す」「新規アプリのリリース時に、自社アプリの既存ユーザーなどの、すでにアプリ利用が活発な類似オーディエンスに対して、新規アプリのインストールを促すFacebook広告を配信することで、CPI(コスト・パー・インストール)を抑える」といった使い方が考えられる。3社は、今後もFacebook広告運用事業の強化を図り、企業のソーシャルメディアマーケティングを支援していく。
2014年12月25日マイクロアドは12月19日、2015年1月に、日系企業を対象としたインバウンドマーケティング戦略の企画立案と運用を支援する専門会社「マイクロアド・インバウンド・マーケティング」を設立すると発表した。新会社は、これまでマイクロアドが培ってきた各国でのソリューションの知見を活かし、日系企業の抱える「訪日観光客の取り込み」に対する課題解決を目的に、現地メディアと提携して訪日観光客向け広告サービスの開発・販売とメディア運営サービスを提供する。同社の事業内容は、インバウンドマーケティング事業として「訪日観光客に対する最適なメディアプランニングとコミュニケーション設計」や「訪日観光客向けのメディアおよび広告サービスの開発」を実施するほか、海外向け広告代理事業として「APACを中心とした各国に対するメディアプランニングとコミュニケーション設計」や「各現地消費者に適応したキャンペーン設計の立案から運営」「ホームページやキャンペーンサイト等の制作業務および翻訳業務」を行う。同社は、各現地法人と連携しつつ、インバウンド市場の更なる活性化に貢献し、2015年12月までに売上高10億円の実現を目指す。
2014年12月22日マイクロアドは12月5日、9月に日本国内にて提供開始したSSP「MicroAd COMPASS(マイクロアド コンパス)」を、ベトナム・台湾・インドネシア・韓国に向けて提供開始すると発表した。その後、APAC全域へ拡大していく狙いだ。同サービスは、スマートフォンメディアの広告収益拡大に最適化した次世代のサプライサイドプラットフォーム(SSP)。アドネットワーク広告や各DSPより提供されるRTB広告、メディア運営者が独自に販売・運営する純広告などを一元的に管理し、リアルタイムで広告収益の最大化を実現するフルフラットオークション機能を搭載する。フルフラットオークション機能とは、アドネットワーク企業より提供されるネットワーク広告やDSP事業社から提供されるRTB広告、メディア運営者が独自で販売・管理している純広告を、1インプレッションごとにオークションを実施し、最も収益が高くなる広告をリアルタイムで自動抽出し配信するもの。また、ネットワーク広告やRTB広告のほか、純広告を管理する機能も豊富に用意し、広告配信期間や1日あたりの配信量上限調整、インベントリロスを最小に抑えるための広告在庫予測機能を用意し、純広告の設定の手間を低減すると共に、自社広告と外部広告を一元的に管理する。同社は、2015年12月までにポータル・ビジネス・女性系メディアなど特化系メディアのトップ200媒体社の導入を目指すほか、APAC諸国でのSSPの普及に努め、各国の広告主に指示されているリッチアドやプレロールなどのローカライズを行う考えだ。
2014年12月05日マイクロアドと、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の100%子会社となるCCCマーケティングは12月3日、業務提携に合意し、2015年1月よりマイクロアドが提供するDSP「MicroAd BLADE」において、CCCとCCCマーケティングが保有する実店舗の購買者カテゴリデータを用いた広告配信サービスの提供を開始する。同連携により、CCCとCCCマーケティングが保有する「実店舗の購買から推計した志向性データ」や「ライフスタイルデータ」などを「MicroAd BLADE」にて活用が可能となり、従来のWeb行動データだけでは実現できないカテゴリを生成し広告を配信できる。また、オフラインのデータとオンラインのデータを掛け合わせた配信や、広告主や代理店の要望に基づいた新カテゴリの生成にも取り組む。マイクロアドは今後、両社の協力体制のもと、競争力のある新サービスの開発と既存サービスの更なる向上を追求し、2017年度までに売上高30億円を目指す考えだ。なお、同社はこれまで、国内インターネットユーザーの85%以上にあたる約6500万人に関する1日100億件を超えるユーザー行動データを駆使し、広告配信の最適化を追求。10カ国に展開する18の拠点において「MicroAd BLADE」の販売活動を行い、国内外合わせて約9000社以上の広告主に導入実績をもつ。一方、CCCとCCCマーケティングは、日本の総人口の4割にあたる5111万人(名寄せ後の利用会員数)が利用し、29万店舗以上で利用可能な共通ポイントサービス「Tポイント」のデータを活用したデータベース・マーケティングを展開する。
2014年12月04日