日本マイクロソフトは品川本社オフィスにて、社員の家族を呼び、父親や母親の働く姿を見せる「品川オフィスファミリーデー」を開催。2011年から数えて5回目となり、1,382人(369家族)が訪れた。このような取り組みは既に珍しくなっているが、日本マイクロソフトがここ数年力を入れている「テレワークスタイル」を体現した姿も実際に垣間見られた。○お祭りのような参加型プログラムが盛りだくさん2015年8月17日開催の品川オフィスファミリーデーは、1階のイベントスペースで来場受付を行い、20階~22階、24階~29階で社員が働いている姿を目にしながら、19階のカフェテリア「One Microsoft Cafe」で食事したり、各フロアでイベントに参加したりする。最初に訪れたOne Microsoft Cafeでは、Microsoft Azureなどを駆使して栽培された富士通の「キレイヤサイ」試食会、性別や国籍などの垣根をなくすダイバーシティを推進する虹色フィンガープリントペインティング、一部で話題の「How Old Do I Look」を実際に試せるブースを設けていた。ランチスペースには、日本マイクロソフトの代表取締役社長である平野拓也氏も訪れ、社員の家族と楽しそうに会話していた。そのときの話を平野氏に聞くと、「(社員の)奥様などは緊張していたらしく挨拶程度だった。でも実際に顔を合わせて話をできるのは大きい」と述べていた。その平野氏が働く社長室は、実にシンプルなたたずまいである。社長就任から一カ月半しかたってないが、社長室に持って来たのは段ボール半分だけ。卓上に並んでいたのも、ノートPC、Surface Pro 3、電話機、大きめの液晶ディスプレイといった程度。プリンターの設置を断るほど、ペーパーレスを実践しているそうだ。続いて同じフロアにある新設の会長室も取材したが、平野氏の社長室と同じ様にシンプル。違いを挙げるなら、以前から使っている冷蔵庫とプリンターがある程度。ただ、代表執行役会長の樋口泰行氏はアイディアを壁に書き留める習慣があるため、一部の壁面を白紙で隠していた。Microsoftの動向という意味で非常に興味深いが、最後まで目にすることはできなかった(これはしかたない)。もともと「品川オフィスファミリーデー」は、樋口氏が社長の時代から、コーポレートオペレーションズ(旧社長室など各部署が統合)が中心となって始めたものだが、その様子は年々変わっているようだ。日本マイクロソフトは、数年前から社員の席などを決めないフリースタイルを導入しており、Skype for Buisinessで簡単なコミュニケーションや打ち合わせを済ませるといったように、社内での働き方が大きく変化したという。さらに「日本マイクロソフト社内で行っていたフリースタイルを社外に広げたのが、我々が推進するテレワークの形」とも。技術革新で働き方が変わり、それを誇りと思える文化が社内に芽生えてきた。そんな自分の姿を家族に見てもらえるは嬉しいという。話を戻して、品川オフィスファミリーデーの会場で人気を博していたのが、「マイクロソフトのIDカードを作ろう」だ。社員が使っているIDカードに、子どもの写真を印刷するというサービス。取材関係者が訪れたときは、何十人も列を作って撮影や印刷を待っていた。「楽しもう! Officeライフ」は、Microsoft Officeのテンプレートを使ってさまざまなグッズを実際に作れる体験プログラムを開催。数年前から日本マイクロソフトはOfficeテンプレートに力を入れているが、正直なところこれほど多様なグッズを作れるのかと、恥ずかしながら驚かされた。「天体観測ワークショップ」を題した体験プログラムは、Surface Pro 3と宇宙の美しい画像を閲覧できるプラネタリウムソフト「WorldWide Telescope」で構成している。「お絵かき水族館」は、チームラボと日本マイクロソフトが共同で開催した体験プログラム。お子さんが塗り絵した魚の画を立体スキャナーで読み取り、バーチャル水族館に映し出すというものだ。これらのアプリケーションはWindows 10上で動作している。実際に参加したお子さんに感想を聞いたところ「ワクワクした」と嬉しそうに語っていた。この他にも記者向けとして、社内に設置してあったSurface HUBを披露。ちょうどMicrosoftは2015年7月に予想以上の注文件数が集まった結果、出荷時期を2016年1月以降に延期すると発表したばかりだが、筆者も本体を目にするのはこれが初めてだった。普段はすれ違う人もまばらな社内の廊下だが、この日ばかりは家族連れがところ狭しとあふれんばかりの盛況ぶり。まるでお祭りのようだった。平野氏は自身のお子さんから仕事内容を問われ、口頭で説明すると「メールを打って人と話すのが仕事なの?」といわたと苦笑していた。職場でどのように働いているかを家族に見てもらう品川オフィスファミリーデー、日本マイクロソフトは来年以降も続ける予定とのことだ。阿久津良和(Cactus)
2015年08月18日プライスウォーターハウスクーパースは8月13日、日本マイクロソフトと、マイクロソフト製品を活用したコンサルティング事業における協業を開始したことを発表した。協業では、プライスウォーターハウスクーパースが提供する経営戦略の策定、業務改革などのコンサルティングサービスと、マイクロソフトが提供する企業活動の生産性向上に寄与する製品・サービスを組み合わせ、企業が抱える経営・業務課題の解決に向けて、構想策定から定着までを一貫して支援する。マイクロソフト製品を活用したサービスとして、「Dynamics AX 導入支援」「Dynamics CRM 導入支援」「ワークスタイル変革」「インフラストラクチャー領域に関する改善/導入支援」を提供する。「Dynamics AX 導入支援」では、ERPソリューション「Microsoft Dynamics AX」の柔軟性や拡張性、マイクロソフト製品との親和性などの特徴を生かし、経営課題への対応、IFRS対応、内部統制対応、業務効率化・高度化、グループ内の業務の標準化などのERP導入価値の最大化を支援する。「Dynamics CRM 導入支援」では、高い柔軟性・拡張性・マイクロソフト製品との親和性を備え、多言語・多通貨に対応した顧客管理プラットフォームである「Microsoft Dynamics CRM」を活用して、クライアントのビジネスを業務・IT両面から支援する。「ワークスタイル変革」では、マイクロソフトのクラウド型グループウェア「Office 365」、モバイルデバイス管理サービス「Microsoft Intune」などを組み合わせ、クライアントのワークスタイル変革を支援する。「インフラストラクチャー領域に関する改善/導入支援」では、マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」の安全な利用のためのコンサルティングサービスおよびディレクトリ・サービス・システム「Active Directory」を中心とした認証基盤の再構築サービスを提供する。また、マイクロソフトの運用管理ツール「Microsoft System Center」およびクラウド認証基盤、クラウド上のデータ保護、またモバイル環境の管理機能を包含している「Enterprise Mobility Suite(EMS)」などを活用したIT運用/セキュリティ管理関連コンサルティングサービスを提供する。
2015年08月14日日本マイクロソフトは8月11日(日本時間)、月例のセキュリティ更新プログラムを公開した。今回、14件のセキュリティ情報が新規で公開され、深刻度が「緊急」のものは4件、「重要」のものが10件となっている。深刻度が最も高い「緊急」のセキュリティ情報は「MS15-079」「MS15-080」「MS15-081」「MS15-090」で、いずれもリモートでコードを実行されるおそれがある。「MS15-079」はInternet Explorerの脆弱性に関するもので、Internet Explorer 6から11まで、すべてのバージョンに影響を及ぼし、13件の脆弱性が修正されている。「MS15-080」はMicrosoft Graphicsコンポーネントの脆弱性に関するもので、Microsoft Windows、Microsoft .NET Framework、Microsoft Office、Microsoft Lync、および Microsoft Silverlighが影響を受ける。「MS15-081」は、Microsoft Officeの脆弱性に関するもので、Microsoft Office 2007、Microsoft Office 2010、Microsoft Office 2013、Microsoft Office 2013 RT、Microsoft Office for Mac 2011、Microsoft Office for Mac 2016、Microsoft Office 互換機能パック、Microsoft Word Viewer、Microsoft SharePoint Server 2010 上の Word Automation Services、Microsoft SharePoint Server 2013 上の Word Automation Services、Microsoft Office Web Apps 2010、および Microsoft Office Web Apps Server 2013が影響を受ける。「MS15-091」はMicrosoft Edgeの脆弱性に関するもので、4件の脆弱性が修正されている。今回、対象となっている脆弱性について、悪用が公開されているもの、限定的な標的型攻撃を確認しているものもあるとして、できるだけ早く更新プログラムを適用するよう、同社は呼びかけている。
2015年08月13日米マイクロソフトは8月5日(現地時間)、Windows 10の更新プログラムをリリースした。この更新プログラムは、Windows Updateから利用可能で、自動更新をオンにしている場合、自動でインストールが行われる。同社によると、今回公開された更新プログラムの正式名称は「KB3081424」となり、セキュリティ関連以外の機能を強化するための変更が含まれているという。すでにWindows 10に関するアップデートがリリースされているが、「KB3081424」にはこれまでリリースされた修正も含まれている。これまで公開された更新プログラムをインストールしている場合は、新たな修正のみがインストールされる。同社は更新プログラムの対象ファイルを公開しているものの、具体的な修正内容は説明していない。
2015年08月06日日本マイクロソフトは8月6日、Officeファミリーの新製品として、プレゼンテーション・ツール「Sway」「Sway for Windows 10」の一般提供を無償で開始したと発表した。Swayはこれまで。Office 365の先行リリースプログラムに参加しているユーザーを対象に公開されていた。一般ユーザーも無償のMicrosoftアカウントでSwayを利用可能。Swayで作成したドキュメントは、スマートフォンから、タブレット、PC、大画面のSurface Hub で、さまざまなデバイスにおいて自動で最適化されて表示される。Swayのレイアウトはこれまで縦方向へのスクロールとスワイプ操作でコンテンツを連続的に表示する横方向への表示が行えた。プレビュー期間中に受けたリクエストを踏まえ、画面ごとにコンテンツのグループ (画像、テキスト、動画、ツイートなど) を表示する新しいレイアウトを [Navigation] ウィンドウに追加された。また、Swayで作成したドキュメント を会社内やチームだけでなく、幅広くかつ簡単に共有するための場所に対するリクエストにこたえるため、[Share] ボタンをタップまたはクリックするだけで、新たに開発されたDocs.com(英語)にSwayを直接公開することが可能になった。Docs.comは、Officeドキュメントを全世界で公開し、誰でも検索、閲覧、共有できるインターネット上のコンテンツ・ライブラリー。Docs.comでは、SwayをはじめとしたOfficeコンテンツをコレクションに分類でき、Word、Excel、PowerPoint、Office Mixなどのファイルをアップロードできる。Sway for Windows 10は、PCとタブレットを対象としており、Windows ストアからダウンロードして利用する。開発中の「Sway for Windows Phone」は今後数カ月以内にリリースされる予定。
2015年08月06日日本マイクロソフトは新しいWindowsをリリースする際、通例として発売イベントを開催してきた。しかし、Windows 10は「リリース」ではなく「無償アップグレード」という形態で姿を現したため、発売イベントは行われない。そこで2015年7月29日、Windows 10の提供開始を祝う「Windows 10 FAN CELEBRATION EVENT」を開催した。MicrosoftがWindows Insider Program参加者とともにWindows 10ローンチを祝うイベントの、国内版にあたる(日本を含む13カ国の都市で開催)。会場には、7月1日付けで日本マイクロソフト 代表執行役社長に就任した平野拓也氏も姿を現した。今回のWindows 10 FAN CELEBRATION EVENTは時差の関係から、東京は米シドニーに続く世界で2番目のイベント開催都市となった。ステージに登場した平野氏は、普段目にするスーツ姿ではなく、「0」と「1」を組み合わせて飾ったWindowsフラッグTシャツを着て、「顔と名前が合わない平野です」と来場者の緊張を解きつつ、「待ちに待ったWindows 10のローンチを今まで違う形で皆さまと祝いたい」と、イベントに参加したWindows Insider Program参加者たちにお礼を述べた。多くの来場者は、Windows 10へのアップグレードに能動的なユーザーのはずだが、平野氏は「Windows 10をダウンロードされていない方?」という問いかけで会場の笑いを誘う。「まさかダウンロードせずに会場でご飯を食べているとは思いませんが、帰ったらぜひダウンロードして、明日には友人・知人にすすめてください」と声高に語りかけた。そのほか、世界110の非営利団体に合計1,000万ドル(10ミリオンドル)を提供して、「世界をアップグレード」(Upgrade Your World)するキャンペーンの紹介や、7月29日から始まったテレビCMの紹介で挨拶をまとめた。イベント中の取材で平野氏に聞いたところでは、「MicrosoftはワールドワイドでWindows 10無償アップグレードの予約見込み数をカウントしているが、予想を大幅に超える予約数を数えた」という。社長就任直後の大イベントとなるWindows 10無償アップグレードを迎えて、「Windows 10は自社の旗艦ともいる存在だからこそ参加できてうれしい」とも。続くトークセッションでは、日本マイクロソフト Windows本部の溝口宗太郎氏を筆頭に、同社エバンジェリストである田中達彦氏と大西彰氏がステージへ。各自の得意分野から、Windows 10の機能をアピールした。来場者の反応がよかったのは、Microsoft Edgeのドルビーオーディオ対応。2015年5月にMicrosoftの公式ブログで明らかにされたものだが、Microsoft Edgeは、次世代サラウンド規格となるドルビーデジタルプラスをサポートする初のWebブラウザーだ。会場では実際にデモサイトにアクセスして7.1チャンネルのサウンドを披露し、来場者を沸かせていた。大西氏は「今までは頑張っても2チャンネル程度でしたが、本機能でマルチチャンネルを実現しています」と機能を紹介し、刷新したWebブラウザーの可能性をアピール。既にWindows 10にアップグレード済みのユーザーは、その威力を目と耳で確認してほしい。さらに大西氏は、Build 2015などで披露した「WITCH CHAPTER 0[cry]」のデモンストレーションを再現。目を引いたのは、NVIDIAのグラフィックスカード「GeForce GTX TITAN X」を4枚(!)装着したPCを操作して、リアルタイムレンダリングの視点を変更している点だ。筆者も何度か同じデモを目にしてきたが、手動によるリアルタイムの視点変更を見たのは初めてである。会場からは、どよめきと驚きの声が漏れていた。(C) 2015 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.一方の田中氏は、音声パーソナルアシスタントの「Cortana(コルタナ)」に関するデモンストレーションを披露。英語で「Sing a song」と声をかけると、フランスの民謡「フレール・ジャック」を歌い出した。残念ながら日本語版Cortanaは登場しなかったものの、司会者のネイティブな発音に小気味よく反応するCortanaの実演は、国内イベントでも初めてだろう。最後に平野氏が再び登場。Windows 10の提供を記念したカウントダウンならぬ「10カウントアップ」を、会場が一体となって行った。大きな声で「10」を数えると、ステージを飛び降りた平野氏は前方の来場者とハイタッチし、そのまま会場を後に。「Windows 10ファンとともに祝う」の名に恥じないイベントだった。先のWPC(Worldwide Partner Conference)2015で「選ばれ、愛されるWindowsへ」と述べたのはMicrosoft CEOのSatya Nadella氏だが、今回のイベントで平野氏をはじめとする各関係者の口々からは、エンドユーザーとの距離をさらに縮めて密接な関係を構築したいという発言を耳にしている。Windows 10とともに、Microsoftと日本マイクロソフトは本気で変わろうとしているようだ。○フォトギャラリー阿久津良和(Cactus)
2015年07月30日エヌ・ティ・ティピー・シーコミュニケーションズ(NTTPC)は7月29日、日本マイクロソフトとクラウドサービスの分野で連携を強化し、Office 365やMicrosoft Azureと組み合わせて一元提供する複数のサービスを順次受付・提供を開始すると発表した。Office 365向けソリューションサービスでは、Office 365のライセンス販売から導入支援、選べるセキュリティ強化サービスまでを、トータルに組み合わせて提供する。メール/デバイスのセキュリティを強化するサービス「Mail Luck! for Office 365」では、誤送信対策、添付ファイル暗号化など、セキュリティポリシーに応じて導入できる。さらに、スマートデバイスでは、紛失による情報漏えい対策などのセキュリティ強化が可能なほか、「配布グループ(メーリングリスト)」の利便性を向上する新機能を追加する。アクセス権に関するセキュリティを強化する「フェデレーションサービス」では、Office 365を含む各種クラウドサービスのシングルサインオン環境を実現し、利用者のアクセス制限と管理者のID管理負荷軽減を両立する。提供開始は8月31日の予定。一方、Azure向けサービスでは、セキュアな利用を実現する閉域ネットワークからAzure基盤までのトータルな運用保守サポート、通信事業者レベルによる複数クラウドの統合監視を提供する。小規模で安価なDR対策サービス「DR対応ストレージ」は、Azureと連係するアプライアンス「StorSimple」をマルチテナント型で提供し、データの暗号化・地理冗長によるデータ消失の防止をスモールスタートで開始できる。提供開始は8月31日の予定。運用保守サービス「マネージドクラウド」では、Azureを含む各種クラウドからダイレクト接続ネットワークまでを一元的に監視・保守をする一次運用保守サポートにより、煩雑になりがちな運用管理の効率化と運用負荷の軽減を実現する。提供開始は8月31日の予定。
2015年07月30日日本マイクロソフトは29日、Windows 10無償アップグレードの開始に合わせ、Windows 10のISOイメージファイルを提供開始した。32bit版、64bit版の2種類を用意する。Windows 10のISOイメージファイルは、メディア作成ツールをダウンロードしてインストールする。実際に作成ツールをダウンロードしexeファイルを起動すると、すぐにWindows 10のセットアップが開始する「このPCを今すぐアップグレードする」と、ISOイメージをUSBメモリやDVDドライブなどに作成できる「他のPC用にインストールメディアを作る」が選択できる。メディアを作成する場合は、4GB以上の空き領域があるUSBメモリもしくは光学メディアを用意する。また、Windowsを初めてインストールする場合は、Windows のプロダクトキー(xxxxx-xxxxx-xxxxx-xxxxx-xxxxx)が必要となる。
2015年07月29日日本マイクロソフトは7月28日、Windows 10無償アップグレードに関する情報を確認できるWebページ「Windows 10互換性情報&早わかり簡単操作ガイド」を公開した。PC本体や周辺機器など各種ベンダーへのリンク、Windows 10の操作方法を解説したPDFファイルのダウンロード、および関連リンクを用意している。なお、Windows 10無償アップグレードは2015年7月29日から始まる予定だ。このWebページを確認した時点では、PCベンダーへのリンクはNECや富士通など15社。ソフトウェアベンダーへのリンクはシマンテックやジャストシステムを始めとする17社。周辺機器ベンダーへのリンクはキヤノンやエレコムなど11社。合わせて43社へのリンクを用意している。今後その数は互換性情報が確認できしだい、追加する予定だという。「Windows 10早わかり操作ガイドダウンロード」は、Windows 7ユーザー向け、Windows 8.1ユーザー向けの2種類を用意し、どちらもPDFファイルのダウンロードが可能。いずれも65ページのボリュームで、各OSとWindows 10の機能を呼び出すポイントを比較しながら、分かりやすく読める。
2015年07月28日日本マイクロソフトは7月7日、総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省から発表された「テレワーク月間」(2015年11月設定)に賛同すると公表した。「テレワーク月間」は、対象期間となる11月を中心として、「テレワークを試みる/実践する」「テレワークを学ぶ/議論する」「テレワークを応援する/協力する」という、テレワークに関する活動を広く国民全体から募集し、専用サイトで紹介するというもの。テレワーク推進フォーラムは、情報通信技術を活用した、場所にとらわれない働き方である「テレワーク」を推進するため、11月を「テレワーク月間」に設定し、広く国民全体に活動への参加を呼びかけていく。また、テレワーク月間と共に、8月24日~28日の期間で従業員300名以下の中堅中小企業顧客を対象に開催する「テレワーク週間 2015」で、中堅中小企業のテレワークの実践に向けて、応援施策として「Office 365 テレワーク体験 無償セットアップ」を実施する。これは、中堅中小企業の先着500社に対し、Office 365を利用したテレワーク環境をマイクロソフトが無償でセットアップする。8月3日~8月28日と8月31日~11月30日の2つの期間で施策を行う予定。期間中の約1カ月間、オフィスと各拠点および社員の自宅をつないだセキュアな環境内で、在席状況確認、インスタント メッセージング、音声通話、オンライン会議などを利用できる。
2015年07月08日●ビル・ゲイツが創業時に考えたこと7月1日付けで日本マイクロソフトの社長に就任した平野拓也氏が、2日、都内で会見を行った。「徹底した変革の推進」を基本方針に掲げるとともに、「革新的で親しみやすく、安心でき、喜んで使っていただけるクラウドとデバイスを提供することを目指す」と語る。平野社長はまた、「ビル・ゲイツも、創業時にはこれと同じことを考えていたと思う。だが、スケールが大きくなったことで、壁が作られ、マイクロソフトを守ったり、Windowsワールドを守る形になってきた。しかし昨年、サティア・ナデラにCEOが交代してから、チャレンジャーの立場で、製品やサービスを提供するようになった。前社長の樋口が日本で確立した会社の信頼性や存在感、そして、顔が見えるマイクロソフトという立場をさらに推進し、革新的で新たな日本マイクロソフトを作ることがミッションである」と述べる。マイクロソフトはグローバルの方針として、「地球上のすべての個人と、すべての組織が、より多くのことを達成できるようにする」ことを目指しており、日本においても、この方針を推進することを示した。平野社長「私は10年前にマイクロソフトへ入社し、4年前に東欧を担当したが、そのときと比べても、IT環境は大きく変わっている。クラウドは4年前にはまだ試行錯誤の状況であり、10年前にはPCが中心に利用されており、スマホもなかった。日本の経済環境は、アベノミクスにより回復の道をたどり、ここにきて生産性というキーワードが重視されるようになってきた。社長就任までの間、多くの顧客、パートナーと話をする機会があったが、日本マイクロソフトに対して、変革への期待と関心をひしひしと感じた。どのように変革をしていくのかがテーマだと感じている。また、これまでの日本マイクロソフトに足りなかったものはなにもないとも感じている。物ごとを正しく行い、正しいものを正しく進めるという、過去のやり方を踏襲する。3月に社長就任の発表をしてから、この4カ月は大変忙しい日々を送った。パートナーや顧客を訪問し、社長の仕事を開始するのに向けた助走をしてきた。安定感を持った形で新たな経営体制へ変更したという点で評価をもらったが、その一方で、社長業の重さを感じた。そして、新たな視点と新たな気づきも持つことができた。インパクトをどこに求めるのかということを明確に考え、それをもとにプロセスにつなげていく。そうしたオペレーションが必要になる。日本が求める品質や安心、安全の実現、日本に最適化したライセンスの仕組みなど、日本にあった形で製品やサービスを、日本に持ってきたい。日本ならではの攻めの領域においても、米Microsoft本社の理解を深めるような努力をしたい」○日本マイクロソフト、2016年度の戦略7月1日からスタートした同社新年度の取り組みとしては、「PCを核とした考え方から、人を核とした考え方へ」、「販売重視から、利用価値重視へ」、「変革を進めるパートナーとの協力関係へ」、「Windowsにとどまらない、新しいエコシステムへ」、「過去にとらわれず、変革と挑戦を進める社内文化へ」の5つを変革のポイントに挙げる。一方、ワークスタイル変革のリーディングカンパニーを目指す「プロダクティビティとビジネスプロセス」、コネクテッドワールドのデファクトプラットフォームを実現する「インテリジェントクラウド」、革新的なパーソナルコンピューティング体験による「Windows 10+デバイス」という3つを重点分野に掲げた。平野社長「利用体験、利用価値、ユーセージをどう満足してもらうかが鍵になる。人は一日に4種類のデバイスを使用するというが、大きな画面から小さな画面までのWindowsデバイス活用のほか、Windowsプラットフォーム以外でも安心して利用してもらえる環境を提供する。(Windowsデバイスの普及については)タブレット需要は一巡したが、タブレットでできるところとできないところを、顧客が理解してきた。そのなかで、2in1デバイスであるSurface Pro 3は、コンシューマ向けでは、Surface Pro 2の25倍の出足、コマーシャル向けでは7倍の出足となり、すでに2500社が導入した。大きなデマンドがあると感じている。また、先ごろ発売したSurface 3は、キャリア連携を行った世界初のLTEモデル。想定を超える初動があった」7月29日から提供を開始するWindows 10についても触れた。平野社長「Windows 10は、製品をローンチするのではなく、継続的にアップデートし、『エクスペリエンス』(体験)を提供するもの。『製品』という言い方はちょっと違って、Windows as a Serviceを実現することになる。ユーザーには、そこから理解をしてもらうことが大切であると考えている。Windows 10が持つ価値をしっかりと訴求したい。革新的なパーソナルコンピューティングをぜひ体験してほしい。Windows 10は7月29日から提供を開始するが、今年の夏から年末にかけて順次、エキサイティングなWindows 10デバイスがOEMベンダーから登場することになる。さらに、ユニバーサルプラットフォームにより、Windowsだけでなく、iOSやAndroidのアプリも活用できるようになる。Windows 10の魅力を伝えられるように、情報提供を積極的に行っていきたい。また、Windows Phoneは、マウスコンピューター様などが国内市場に投入を開始し、これは私の立場としてもうれしいことである。今後の展開も楽しみにしている。ユニバーサルプラットフォームになったことで、これまであまり会話がなかったデバイスメーカーからも問い合わせがある。様々なデバイスにおいても楽しい展開ができる。顧客からの期待も強く感じている。マイクロソフトの製品は、米本社でプログラミングされ、デザインされているが、CortanaやSkypeトランスレーターなどの日本語対応では、密に連携している。できるだけ早い時期に日本に持ってきたいと考えている。マイクロソフトバンドや、ホロレンズも、米本社では発表しているが、これもできるだけ早く日本に持ってきたい」さらに、研究開発部門が入居する調布のオフィスを品川本社に統合することを公表。品川本社内にSurface Hubを25台設置するなど、継続的にオフィス環境の改革にも取り組むほか、「テレワークの実践を通じて、日本のテレワークの推進にも貢献していきたい」という。「8月24日から実施するテレワーク週間には、昨年の10倍規模となる300社の参加を目指したい。すでに200社以上が賛同している。日本において、テレワークをメインストリーム化していきたい。またこれをきっかけに、地方が持つ課題を学んで、地方創生にも取り組みたい」(平野氏)と語った。また、Office 365の販売拡大に加えて、Dynamics CRMの販売強化を進める方針を示す。平野社長「強い競合会社がいる領域だが、Office 365を組み合わせることで、他社にはない有効なソリューションを提供する。BYODが広がるなかで、コンシューマとコマーシャルのデュアルユーセージ・シナリオによって、価値を提案したい。現在、店頭で販売されているPCの92%にOffice Premiumが搭載されている。Windows 10の登場にあわせて、OneDriveやSkypeも普及させたい。Office Premiumのフリーミアムモデルにより、Windowsプラットフォーム以外にも、Officeを利用できる環境が整っている。この分野でもOfficeによって実現する生産性の高さを訴求していく」クラウドビジネスにおいては、次のようなビジョンを語った。平野社長「インテリジェントクラウドの実現に向けた取り組みを強化。マイクロソフトのデータセンターに対するサイバー攻撃は、ペンタゴン(米国防総省)に次ぐ多さとなっているが、これまでに事故を起こしていない。このノウハウを生かす。マイクロソフト サイバークライムセンター日本サテライトを核にして、価値を提案していく。Azureの技術を活用して、モバイル管理、ビッグデータ分析、マシンラーニングといったソリューションを提供。10以上の業種別シナリオを用意して具体的な提案をしていきたい。さらに、クラウドパートナー戦略にも力を注ぎ、2014年度には1500社であったクラウドパートナーを、2015年度には2500社に拡大。これを2016年度には、さらに3500社にまで拡大する。同時に、クラウドソリューションパートナーを対象にクラウドビジネスを活性化したいと考えており、パートナー各社が持つサービスやアプリケーションと、日本マイクロソフトのクラウドを組み合わせて提供するといった、新たなビジネスモデルを導入する。これにより、クラウドの導入余地が大きい中小企業での導入が促進されることになると期待している。ISVとの連携も強化する。ISVビジネス推進本部を20人体制で新設。クラウド対応パートナーのリクルートや共同マーケティング活動も行い、クラウド対応アプリを拡充する取り組みも加速する。ここでは、Office 365 APIの活用も加速することになる」Xboxに関しては、「日本において、Xboxの撤退はない。しっかりと進めていく。Windows 10によって、これまでとは違うシナリオが出てくることになり、ゲーマーも新たな体験ができるようになる。ワクワク感をどう提供できるのかが大切であり、これまで以上に、ゲームタイトルのラインアップを出す予定がある。ぜひ楽しんでもらいたい」(平野氏)と述べる。同社では、ゲームタイトルを充実させ、Xbox史上最高のラインアップをそろえることを明らかにしており、「マイクロソフトのゲーム事業はゲームコンソールだけでなく、Windows全体に拡大させる戦略をとっている。ゲーマーのための機能を、Windows 10に盛り込んでおり、OneMicrosoftで取り組む」(平野氏)とした。●Microsoft創業40周年、日本法人設立30周年の節目に○Microsoft創業40周年、日本法人設立30周年の節目に平野社長は、2015年6月末に終了した同社2015年度の取り組みにも言及。平野社長「一昨年は、Windows XPのサポート終了や消費増税前の駆け込み需要があった。だが、昨年は際立ったものがない中で力強い進展があったのは、クラウドビジネスの加速や、ワークスタイル変革、サイバーセキュリティ対策など。クラウドビジネスは、3倍近い売り上げを達成し、期初目標も達成した。Office 365などのクラウドプロダクトが浸透し、日本へのデータセンターの設置とともに、ここからOffice 365、Azure、Dynamicsという3つのクラウドサービスを提供した。ワークスタイルの変革においては、品川本社にはこれまでに60万人が来場し、オフィスそのものや、我々がテレワークを実践している様子を見ていただいた。さらに、マイクロソフト サイバークライムセンター日本サテライトを開設し、ここにも100社の企業、団体にきていただいた。脅威に対する情報提供や対策などに関して、30社以上から引き合いがきている」平野社長「インパクトをベースにして、どんなアウトプットを提供できるか。また、喜んでもらえるか、変革を感じてもらえるか、ということに力を注ぎたい。ビル・ゲイツがMicrosoftを創業してから40周年。そして、日本法人設立から30周年、日本マイクロソフトに社名変更して5周年という節目に当たる。変革を通じて、日本のお客様、社会に貢献したい」○代表執行役会長に就任した前社長の樋口氏は……一方、代表執行役会長に就任した前社長の樋口泰行氏は、会長の役割と重点活動分野として、「お客様との会社対会社の関係強化」、「新たな戦略的パートナーシップの構築」、「ナショナルアジェンダへの貢献」、「人材育成の強化」を挙げるとともに、「平野新社長による経営・事業展開を全面サポート」を掲げた。樋口会長は、「外資系の日本法人には会長職はあまりない。また、会長の役割について述べるという例はあまりない」と語りながら(報道陣から笑いが)、「透明性を高めるという点と、平野としっかりと連携するという点を説明したい」と切り出した。樋口会長「日本は、リレーションシップが大切な国である。お互いのWin-Winを考えないと一流の会社とはいえない。マイクロソフトの製品を使っていない会社はほとんどない。多くの会社とのリレーションシップが大切である。社長時代に内部の仕事とともに、外部とのリレーションを行うのが大変であった。会社と会社の関係を構築する役割を果たし、平野を補完したい。また、戦略的に重要なパートナーシップの構築、推進を担当したい。これまで手薄だった国が推進する優先順位が高い項目についても、関係する政府や中央官庁、自治体、業界団体と連携し、そうした場に顔を出すことが重要だと考えている。ナショナルアジェンダと結びついた形での取り組みが必要である。テレワーク、地方創生、そして2020年の取り組みもある。国が優先している取り組みに対して、貢献できる会社になっていく。人材育成においては、これまで私が3つの会社で務めてきた社長としての知見を伝授したい、さらに、ダイバーシティも強力に推進したい。いま、5人の女性役員がおり、全体の25%を占める。役員だけでなく、従業員レベルでもこの比率を高めたい。一方で、新社長の1年目はなかなか人事まで手を出せないが、それを防ぐために、3月からの4カ月間をかけて、平野に移行した。今回の人事は、平野が推進した人事である」○平野拓也氏プロフィール1970年北海道出身。95年に米ブリガムヤング大卒後、同年にKanematsu USAに入社。98年にArbor Softwareに入社。2001年には、ハイペリオンの社長に就任。2005年8月にマイクロソフト(現日本マイクロソフト)に入社し、ビジネス&マーケティング部門シニアディレクターに就任。2006年2月には、執行役エンタープライズサービス担当、2007年7月に執行役常務エンタープライズサービス担当、2007年10月に執行役常務エンタープライズビジネス担当兼エンタープライズサービス担当、2008年3月に執行役常務エンタープライズビジネス担当を経て、2011年7月には、Microsoft Central and Eastern Europe(CEE)のMulti-Countryのゼネラルマネージャーに就任した。このとき、東欧の新興国25カ国を統括。2014年7月、日本マイクロソフトに復帰。執行役専務マーケティング&オペレーションズ担当に就任。2015年3月2日付けで代表執行役副社長に就任、7月1日付けで代表執行役社長に就任した。
2015年07月02日2015年6月19日、日本マイクロソフトは、10.8型Windows 8.1タブレット「Surface 3」を発売した。日本マイクロソフト 代表執行役社長 樋口泰行氏は「売って売って売りまくる」とSurface 3のスタートダッシュに対する意気込みを語っている。○タブレットとPCの長所を併せ持つSurface 3「出しちゃいました」Surface 3は米国で2015年3月31日(現地時間)に発表し、同年5月5日に販売を開始したタブレット、もしくは2-in-1 PCである。追いかけるように日本国内でも、同年5月12日に発表、6月19日に発売することを明らかにしたのは記憶に新しい。そして発売日の当日、ビックカメラ有楽町店、ヨドバシカメラ マルチメディアAkibaにおいて、発売記念セレモニーを開催した。会場となったビックカメラ有楽町店では、ビックカメラ 代表取締役社長の宮嶋宏幸氏が「発表後に多くの予約を頂いて、本日の発売日を楽しみにしていた。有楽町店では、Windowsの世界をお客様に知ってもらうため、本日からフロアを刷新した」と挨拶し、Surface 3と同店舗に設置した"日本最大級のWindowsエリア"をアピールした。宮嶋氏は夏商戦に向けた起爆剤として、Surface 3に期待を寄せているという。日本マイクロソフトの樋口氏は、Windowsエリアを指して「東京で一番のショーケースといっても過言ではない」と評価しつつ、Surface 3や2015年7月29日にリリースするWindows 10の情報発信基地として「(Surface 3を)売って売って売りまくりたい」と挨拶した。また、「タブレットと同じ軽さと薄さ、PCの機能を兼ね備えたものが出ればいいな」というニーズが多かったことを述べながら、「出しちゃいました」と軽快にSurface 3の長所をアピールしていた。ビックカメラ有楽町店 店長の佐藤壮史氏も「WindowsエリアはSurfaceを中心に全15社、150アイテム(オーダーメードPCを含めると380アイテム)の展示販売で構成している。訪れたお客様に対して詳しい説明を行いつつ、催事スペースを活用して各メーカーのイベントを始めとする情報発信を行っていく予定」と、同エリアを紹介。さらにSurface 3が若者に焦点を当てたデバイスであることから、「女性ユーザーのニーズが高まるのでは」と期待を語った。興味深いのが、Windows 10発売後の展開である。日本マイクロソフト 執行役 コンシューマー&パートナーグループ ゼネラルマネージャーの高橋美波氏は、「他の店舗でも同様の"Windowsエリア"を展開したいと考えている。9月~10月ごろから、各PCメーカーからWindows 10搭載デバイスが登場する予定」と述べていた。このことから察するに、Windows 10は6月中にもRTM(製造工程版)に達し、7月中には各PCメーカーへのOEM版提供を開始する予定になりそうだ。○ヨドバシAkibaでは…場所は変わって秋葉原。ヨドバシカメラ マルチメディアAkibaでも発売セレモニーを開催した。ここでも登壇した樋口氏は、「張り切って(Surface 3ロゴの)Tシャツに着替えたが若干肌寒い」と。降りしきる雨の中でSurface 3をアピール。発言の多くはビックカメラ有楽町での内容と重複するため割愛するが、「Surface 3の背面にはMicrosoftのマークをプリントしている。既に見飽きた感はあるものの、我々はこのマークとともにマーケティングを展開していく」と述べていた。続いてスピーチしたのは、ソフトバンクモバイルのエリック・ガン氏。ソフトバンクモバイルと日本マイクロソフトはパートナーシップを結んでおり、Y!mobileのLTE回線およびSIMカードは、Surface 3との動作確認が行われている(Surface 3はSIMフリー端末なので、対応バンドが会えば他社製のSIMも使用可能。ただし動作検証は行われておらず、自己責任となる)。ガン氏は当日の天候を指して「雨は幸運を示す」と風水の意味を引用しつつ、Surface 3や自社のLTEサポートをアピール。ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba店長の御代川忍氏は「注文の数に驚かされている。Surface 3に触れて軽さや通信速度を実感して欲しい」と述べた。実際に店内へ入ると、正面入り口付近にSurfaceのロゴや映像CMを流した展示が目に入る。店舗に訪れた一般のお客も、興味深そうにSurface 3を触っていた。既報のとおり樋口氏は、2015年7月1日付けで日本マイクロソフト 代表執行役 会長に就任するため、コンシューマー向けイベントは本日が最後の登壇となる。2008年4月1日付けだった日本マイクロソフト 代表執行役社長への就任から数えて7年と3カ月を振り返り、「クラウドを前提にした製品開発が一般的になり、PCを取り巻く環境が大きく変化したのが印象深い」と述べていた。会長就任後は「社内の人材育成・活用といった非ビジネス系はもちろん、重要なプロジェクトやパートナーとの提携や関係性を補完したい。(2015年7月1日から代表取締役社長に就任する)平野(拓也氏)のスタートアップをサポートする」という。あと半月足らずで日本マイクロソフトは社長交代を迎え、その約1カ月後にはWindows 10がリリースされる。Surface 3の発売と相まって日本マイクロソフトは、今後も多くの注目を集めるだろう。阿久津良和(Cactus)
2015年06月19日日本マイクロソフトはセキュリティブログを更新し、頻発するサイバー攻撃に対し、企業や組織がどう対処すればよいか、ブログで解説している。6月は、深刻なセキュリティ侵害が立て続けに起こった。特に、日本年金機構のウイルスメールを発端とした個人情報流出事件は大きな話題となった。ブログの冒頭では、「サイバー攻撃を受けることは、もはや特別なことではありません」と、サイバー攻撃の被害にあうのは人ごとではないと考えを示している。マイクロソフトでは、サイバーセキュリティへの取り組みを強化している。その一環として、2月にサイバーセキュリティの情報発信/連携拠点として「サイバークライムセンターサテライトー 日本サテライト」を開設。日本サテライトでは現在、ボットに感染したPCの活動を観測している。収集したデータによると、日本国内におけるボットの感染数は相当数で、しかも長期間にわたって活動をしていることが明らかになった。感染したボットの多くは、端末にインストールしたウイルス対策ソフトで検知・駆除が可能なもの。それでもセキュリティ対策の不備などから、駆除を逃れてPCへ感染し続けているのが現状だ。一方で、特定の企業を狙ったボットによる攻撃は「成功する可能性はきわめて高い」という。また、発見までに長時間かかっており「どのネットワークでも、既に侵入を受けている可能性がある」と示した。○セキュリティ事件の当事者になった場合の対応セキュリティ事件が明らかになったときには、既に何らかの被害が出ていることが想定できるため、事件の当事者としての視点・責務をするべきと主張しており、次の4つのポイントを挙げている。その1つがネットワークを遮断する・しないの判断だという。ネットワークを遮断することで当然業務に支障が出る。遮断期間が長期ともなると、収益に影響を与えるばかりではなく、顧客へのサポートや、売上の計上、支払いなど、問題が広範囲に波及する。そこで、「誰が、どのような手順で、何を根拠に判断をし、実施するのか、影響を最小限にとどめるためには何をすればよいかなど」を明確にする必要があるという。そのほか、「遠隔地を含めて指示が実施されるまでの時間」「夜間や休日の対応」「報告の流れの確認」が重要なポイントだと主張している。○再発防止を防ぐために事件の当事者になった場合、再発防止策をする必要がある。「今、攻撃が明らかになったとしたら、どんな再発防止策を立案するか」という視点で考えると、現状の対策で欠けている事がらを明らかにし、これから実施する対策の優先順位が明確にすることが重要だという。具体的な対策は以下を挙げている。対応手順の確認インシデントが発生した際の手順を確認し、対応すべき人がこれを理解する。さらに、訓練やシミュレーションを受けられれば効果的だという。機密情報の保護状況の確認機密情報に対して、アクセス権や暗号による保護が適切に実施されていることを実査し、場合によっては、実査の前に「機密情報」の定義を確認する。機密情報の保護にドキュメントのパスワード機能を使っている場合は、他の技術への置き換えを検討する。ドキュメントのパスワードは、十分な機密保護とは考えにくいため、技術的な担保(保証)ができる手法を採用する。ホストレベルのセキュリティ対策の確認セキュリティ更新プログラム等アップデータの適用状況や、セキュリティソフトやアプリケーションの更新状況を確認する。単に指示するだけではなく、何らかの方法で実査を行うことが重要だという。アカウントの権限を確認し、場合によっては権限を見直す。特にAdministratorなどの高い権限を持つアカウントやグループには注意だという。企業によっては、役職に基づいて権限を付与する場合もあるが、実際にオペレーションを行わない人に高い権限を付与することは「百害あって一利なし」だと危険性を示した。ログの確認必要なログがきちんと取られていて、管理されていることを確認する。この作業は莫大な時間がかかる。すべてログ情報を収集し、そこから疑わしいログを調べる。時間と手間はかかるが、「なにがしかの疑わしい記録は、必ず残っています(侵入の痕跡とは限らない)」という。なお、megrepができる人以外は、何らかの機械的な処理を併用することを推奨している。企業経営・組織運営への影響の分析自社が保有する情報の、どの情報が、企業運営、組織運営への影響が大きいのかを分析する。IT部門だけでは判断できない場合は、経営部門や事業責任者と一緒に分析を行う。日常的に使っている情報やデータが思わぬ影響を与えることがあるため、あらゆる可能性を考慮する必要があるとしている。最後に、企業のセキュリティ担当者は、経営層や事業責任者と会話をする機会を持つことが重要だという。セキュリティの専門外の従業員と情報共有することが有益な結果へとつながるためだ。セキュリティ事件が頻発している今は、経営層に「うちの会社は大丈夫か?」と興味を持っている可能性も高い。「機会を積み重ねることが、組織に有効なセキュリティ対策を組み込む上で、欠かせないものになる」と締めくくった。
2015年06月16日○マイクロソフトのセキュリティ製品でAsk Toolbarがマルウェア判定されるようにマイクロソフトは6月9日の公式ブログにて、セキュリティ評価基準の変更を伝えた。ユーザーが予期せぬ動作を行うツールバーを利用したマルウェアからの対策を強化したため、Windows Defenderなどのスキャン結果において、一例として「Ask Toolbar」の関連ファイルがマルウェア「BrowserModifier:Win32/AskToolbarNotifier」として検出されるようになった。Ask Toolbarは独自の検索エンジンを使用した検索ツールバーで、検索プロバイダーの変更を行う。この動作がマイクロソフトの新しいセキュリティ評価基準に抵触するため、マルウェアとして判定されてしまう。マイクロソフトのブログでは、Ask Toolbarが単体でセキュリティ上の問題となる動作を行う報告はないとしているが、マルウェア検知ウィンドウが表示されることで、不安を感じるかもしれない。現在、Ask Toolbarをインストールしている環境において、Windows Defenderなどでフルスキャンを実行すると「潜在的な脅威」が発見される。今後もAsk Toolbarを使い続けるときは詳細を表示し、推奨される操作で「許可」を選択すればよい(Ask Toolbarのみが該当している場合)。逆にAsk Toolbarを今後使用しないなら、アンインストールするとよいだろう。Ask.comはAsk Toolbarの削除ツールを提供している。○Ask Toolbarを使わないユーザーはJAVAの設定も見直しをAsk Toolbarはオラクルが提供しているJAVAのインストーラーに同梱されているため、JAVAと同時にインストールするユーザーが多い。プログラム同梱の是非はともかく、JAVAを現在インストールしていて、アップデート時に再度Ask Toolbarのインストール可否画面を出したくない場合は、JAVAの設定を変更すればよい。Windows 7ユーザーは「スタートボタン」-「すべてのプログラム」-「JAVA」-「JAVAの構成」と順にクリックする。あるいは、「スタートボタン」-「コントロールパネル」-「プログラム」-「JAVA」と操作する。Windows 8.1ユーザーは、Windowsキー+Xキーで開くメニューから「コントロールパネル」をクリックし、コントロールパネルで「プログラム」-「JAVA」とクリック。これでJAVAコントロール・パネルが表示される。そして、Javaコントロール・パネルの「詳細タブ」をクリックし、設定画面の一番下に表示されている「Javaのインストールまたは更新時にスポンサのオファーを表示しない」にチェックを入れて、OKボタンを押す。これで次回以降、Javaのバージョンアップ時にスポンサであるAsk Toolbarをすすめる表示およびインストールは行われなくなる。
2015年06月12日米マイクロソフトは6月11日、Windows 10を搭載する企業向けの大型端末「Microsoft Surface Hub」の受注を7月1日より開始すると発表した。Microsoft Surface Hubは、液晶サイズが55インチと84インチの大型端末で、企業の会議室などに設置し、複数人での共同作業の利用に適している。設置は、テレビや液晶ディスプレイのように取り付けたスタンドに立てる方法と、スタンドを使わず壁に掛けるといった方法を用意する。次世代OSのWindows 10を搭載する。アプリを利用して、アイデアをメモするためのホワイトボード代わりにしたり、インターネット接続で外部とのビデオ会議、コンテンツの共有など多様な活用を想定している。具体的には、Skype for Business、Office、OneNoteなどのアプリを利用できる。また、Windows Update for Businessを搭載し、セキュリティの更新にも対応する。主なハードウェアの仕様は、100カ所のマルチタッチ、最大3つの同時ペン入力ができる光学式ディスプレイ、1080pの前面ビデオカメラ2機、ビデオ会議において背景ノイズをキャンセルするための4機構成によるマイクアレイ、内蔵Wi-Fi、Bluetooth 4.0、NFCを搭載する。Surface Hubと関連アクセサリーの受注は一部の国で7月1日より開始し、9月より販売を開始する。現時点で販売予定の国は、米国とカナダ、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、デンマーク、フランス、フィンランド、ドイツ、アイルランド、イタリア、日本、ルクセンブルグ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェイ、ポルトガル、カタール、シンガポール、スペイン、スウェーデン、スイス、アラブ首長国連邦、英国の24カ国。本体価格は、Surface Hub 55インチが6,999ドル、Surface Hub 84インチが19,999ドルを予定している。なお、日本国内における具体的な受注および発売時期、価格、販売方法などは、確定次第正式に発表するとしている。
2015年06月11日日本マイクロソフトは6月10日(日本時間)、月例のセキュリティ更新プログラムを公開した。今回、8件のセキュリティ情報が新規で公開され、深刻度が「緊急」のものは2件、「重要」が6件となっている。深刻度が最も高い「緊急」のセキュリティ情報は「MS15-056」「MS15-057」で、いずれも悪用されると、リモートでコードを実行されるおそれがある。「MS15-056」はInternet Explorer 6から11まで、すべてのバージョンに影響を及ぼし、14件の脆弱性が修正されている。「MS15-057」はWindows Media Player の脆弱性に関するもので、Microsoft Windows Server 2003、Windows Vista、Windows Server 2008、Windows 7、および Windows Server 2008 R2にインストールされたWindows Media Player 10~12が該当する。また、「MS15-062(Active Directory フェデレーション サービスの脆弱性により、特権が昇格される)」の更新プログラムをインストール際は、あらかじめADFSサービス (adfssrv) とIISを停止する必要があり、一度更新が完了すると再起動するという。セキュリティ更新プログラムの既知の問題、回避策や再起動の有無など、セキュリティ情報に関する情報が動画として公開されている。
2015年06月10日サイバーエージェントの連結子会社で、小学生向けプログラミング教育事業を行うCA Tech Kidsは6月10日、日本マイクロソフトの協力のもと、共同で小学校への出張プログラミング授業を行うと発表した。第1回目として、6月25日の14:30~16:30に神奈川県湯河原小学校にて出張プログラミング授業が実施される。CA Tech Kidsはこれまでに、全国9都府県の学校や公民館などでの出張プログラミング授業や、立命館小学校の5・6年生全児童を対象とした2年間計8時限にわたる継続的なプログラミング授業などを行ってきた。一方、マイクロソフトも、子どもたちがプログラミングスキルを身につけるための支援プログラム「Microsoft Imagine」を展開している。今回の出張授業の開催にあたっては、マイクロソフトからWindows タブレット端末が無償で貸し出されるという。
2015年06月10日日本マイクロソフトは6月4日、芝浦工業大学による「Microsoft Dynamics CRM」の導入事例を公開した。芝浦工業大学では、「10年後20年後も輝き続ける大学」を目指した「チャレンジ SIT90」作戦の一環として、学内の複数システムに散在していた各種データの集約が行っている。しかし、大学内にはさまざまなシステムが点在しており、データがシステムごとに分断されていることが課題となっていた。これまでは、必要な情報を入手するには各システムにログインして、手作業でデータをまとめていく必要があった。大学では、既存システムに影響を与えることなくデータを集約できること、エンド ユーザーによるカスタマイズが容易であることなどを含めてMicrosoft Dynamics CRMの導入を決めた。導入後は、10種類の部門システムからデータを抽出して集約を図った。収集対象のデータは、各学生の基礎情報、入試時の点数、成績情報、卒業後の就職先、課外活動、ボランティア、アルバイトなどが含まれる。データ数は1学生あたり数千カラムで、現時点で約1万名分。将来的にはは、卒業生の情報を網羅していくことも検討しており、実現すれば10万人規模のデータベースになると想定している。また、中退者を防ぐための対策にも役立てている。不本意入学で中退するケースを早い段階で抽出し、学習面やメンタル面のサポートを行うというプロジェクトを立ち上げた。学外への情報公開に関する業務も効率化された。以前は情報の取りまとめに約 2カ月かかったが、導入後は2週間にまで短縮した。次回からは、1日で完了できる見込となるという。現在このシステムを扱えるユーザーは、15部門約50名に制限しているが、今後は教職員全員に開放する予定だ。今後は、経営層の判断材料として活用してもらうことも視野に入れているほか、集約された情報の中から学生にとって有益な情報を抽出し、各学生へ提供することも検討するという。
2015年06月05日東芝とマイクロソフトは6月3日、IoTソリューションでの提携関係を構築することに合意したと発表した。今回の合意に基づき、東芝のIoT機器向けアプリケーションプロセッサ「ApP Lite」、ドライビングレコーダなどと、マイクロソフトのクラウドコンピューティングプラットフォーム「Azure」の機械学習サービスなどを連携させ、データを収集・分析してさまざまな課題を解決するIoTソリューションの開発を目指す。その第一歩として、東芝のセンシングデバイスで測定したデータを「Azure」で収集・測定する物流市場向けソリューションの提供を今年中に開始するとしている。
2015年06月03日東芝は6月3日、米マイクロソフトと、あらゆるモノをインターネットにつなぐIoT(Internet of Things)のソリューションにおける提携関係を構築することに合意し、昨日覚書を締結したと発表した。今回の合意に基づき、IoT機器向けアプリケーションプロセッサ「ApP Lite」、ドライビングレコーダなどのセンシングデバイスやクラウドストレージサービスなどの東芝製品/サービスと、「Azure」を構成するIaaS(Infrastructure as a Service)、「Azure」への専用線接続サービス「Azure ExpressRoute」やデータの分析・機械学習サービス「Azure Machine Learning」などのマイクロソフトのクラウドプラットフォーム・サービスを組み合わせることにより、新たな価値を付加したIoTソリューションを開発する。提携の第1弾として、物流市場向けに、東芝のセンシングデバイスで測定したデータを「Azure」で収集・分析するIoTソリューションの提供を今年中に開始する。今年中に、物流市場のほか、複数の事業領域において、IoTソリューションの提供が予定されている。
2015年06月03日日本マイクロソフトはWindows 10への無償アップグレードに関して、システム要件などの情報をWebサイトに公開した。個人向けのWindows 7/8.1を対象としたWindows 10への無償アップグレードは、7月29日から開始される。今回、Windows 10への無償アップグレードが提供されるのは個人向けのエディション。下表のように、Windows 7 Professional / Ultimate、Windows 8.1 Proからは「Windows 10 Pro」にアップグレードできる。一方、Windows 7 Home Basic / Home Premium、Windows 8.1(無印)などは「Windows 10 Home」へのアップグレードとなる。また、Windows 8.1 with Bingも「Windows 10 Home」へのアップグレード対象に含まれている。Windows 10へアップグレードする際のシステム要件は以下の通りプロセッサ:1GHz以上のプロセッサまたはSoCメモリ:32bit版は1GB、64bit版では2GBハードディスクの空き領域:32bit版OSでは16GB、64bit版OSでは20GBグラフィックカード:DirectX 9以上(WDDM 1.0ドライバ)ディスプレイ(画面解像度):1,024×600ドット。Windows Updateを使ってWindows 10へアップグレードする場合は、最新バージョンである「Windows 7 Service Pack1(SP1)」または「Windows 8.1 Update」が動作している必要がある。なお、Windows 7 Enterprise、Windows 8/8.1 Enterprise、Windows RT/RT 8.1 の各エディションは無償アップグレードの対象外。Windows 10 Mobileの提供日は未定で、Windows Phone 8.1 デバイスについては、Windows 10 にアップグレードできない場合があるとしている。
2015年06月02日「de:code 2015」は開発者向けイベントではあるが、今夏リリース予定のWindows 10が注目の話題であることに違いはない。そのため日本マイクロソフトは、Windows 10に関するブレイクアウトセッションを用意した。本稿ではその概要を大掴みにご紹介する。なお、登壇者やセッション名の公表、スライド撮影などは禁止だった点をご了承いただきたい。筆者が参加したセッションはWindows 10に関する多くの機能説明が行われたが、なかでも「サービスとしてのWindows」と「アップデートブランチ」について整理する。○これからも続くWindows Insider ProgramこれまでMicrosoftは公式ブログを通じ、Windows 10に関して70件以上のアナウンスを行ってきた。これはWindows 10が従来のバージョンアップと異なる存在であり、MicrosoftがクラウドOSとデバイスOS&ハードウェアという両軸を持った「One Core」を中心に定めているからだ。核となる"デジタルワーク&デジタルライフ"は、職場の一員も家に帰れば一個人であるように、プライベートとビジネスの垣根がなくなりつつあることを示している。Microsoft/日本マイクロソフトが目指すビジョンの入り口が、Windows 10であると同社は定めているようだ。このことを的確に表しているのが、「サービスとしてのWindows(Windows as a Service)」。少し歴史を振り返りつつ、このキーワードを見ていこう。これまでのWindows OSは、複数のクライアントOSに分かれていた。簡単にまとめると、Windows 2000とWindows 9xを統合したWindows XPから始まり、Windows 8の時点でWindows Phone 8とXbox Oneでカーネルを完全統合。Windows 8.1にてWindows Phone 8.1のアプリモデルを統合してきた。そしてWindows 10は、あらゆるデバイスで同一のコアカーネルやアプリケーションプラットフォーム(UWP: ユニバーサルWindowsプラットフォーム)が動作する、「One Windows」へと至る。注目すべきは、Windows VistaがWindows 7へバージョンアップしたような従来的スタイルを、完全に捨て去ることを決定している点だ。「サービスとしてのWindows」が意味するところは、数年内に登場するであろう新技術やセキュリティ脅威に対応するためである。以前のWindowsはカーネルレベルでの根本的な見直しが求められてきたため、OSのメージャーバージョンが繰り上がるまで、大幅な機能拡張が見送られてきた。Windows 10は、新技術やセキュリティ脅威に対応するため、機能改善や新機能をWindows Update経由で無償提供するスタイルに切り替わる。これが「サービスとしてのWindows」の正体だ。ただし、Microsoft関係者が壇上で「Windows 10は常に最新の状態を維持する」と語ってきたのは、OS XやiOS、Androidなど他のOSが無償提供スタイルに切り替わり、デバイス販売やライセンス提供で構築してきたビジネスモデルをMicrosoftも取り入れるという意味も持つ。2000年頃から開発者の間では、迅速かつ現場に適応したソフトウェア開発を行う手法「アジャイル開発」が重要視されるようになった。Microsoft/日本マイクロソフトはソフトウェアを核とした企業であるため、アジャイル開発にも積極的だ。その一例がWindows 10のプレビュー配布に用いた「Windows Insider Program」である。Windows 10 Insider Previewは、「高速リング」「低速リング」の2パターンによって、不安定さを厭わない能動的なテストユーザー(高速リング)、安定性を重視するテストユーザー(低速リング)と位置付け、Windows 10のプレビューテストを行ってきた。この"リング"という概念は今後も継続するという。Windows 10リリース以降もOSの開発が継続し、その成果はMicrosoft/日本マイクロソフトの社員(数万人)が検証を行う。Windows NT時代からいわれ続けてきた「ドッグフードを食らう」という手法だ。そして、Windows Insider Programの参加者である約100万人(2015年5月時点で約700万人)に配布し、バグの発見や新機能といったフィードバックを開発チームに渡す仕組みを残す。このスパンは約4カ月を予定し、一定のタイミングで、前述したWindows Update経由で更新プログラムの配布を行う。つまり、今夏リリースするWindows 10は終わりではなく、「継続の始まり」となるのだ。だが、Windows 10をビジネスシーンに使用するユーザーや組織にとって、このビジョンは必ずしも最適とはいえない。そのため多くの企業ユーザーは、4~8カ月後に更新プログラムなど適用する、「Windows Update for Business」を使用するスタイルとなるのだろう。さらに、銀行などミッションクリティカルな環境でWindows 10を使用するユーザーに対しては、別の仕組みを提供する。ここで新たなアップデートシステムを整理しよう。Windows 10のアップデートシステムは、コンシューマー向け「CB(Current Branch)」、ビジネスユーザー向け「CBB(Current Branch for Business)」となる。基幹システム向けには機能アップデートを行わず、セキュリティ更新とバグフィックスに限って、最長10年間の運用をサポートする「LTSB(Long Term Servicing Branch)」と、3つのブランチを用意する。読者諸氏の多くは、CBもしくはCBBを選択することとなるだろう。さらにアクティブなユーザーはWindows Insider Programに参加し、リリースの数カ月前から最新のWindows 10を利用可能になる仕組みだ。阿久津良和(Cactus)
2015年05月28日●Microsoft/日本マイクロソフトが目指す「3つの野心」「de:code」は、Microsoftが以前から開催してきた「TechED」と「build」を融合させた、日本マイクロソフト独自のイベントだ。開発者を対象としているが、MicrosoftのBuild 2015と同じく、次期製品に関する多くの情報を披露するため、注目イベントの1つに数えられる。また、Microsoft/日本マイクロソフトが持つ数多くの新技術を一挙に披露するため、読者諸氏にとって興味深い話題に事欠かないだろう。まずは2015年5月26日に行われた、140分にわたる基調講演(キーノート)の内容をご報告する。○Microsoft/日本マイクロソフトが目指す「3つの野心」とは最初に登壇したのは、日本マイクロソフト執行役 デベロッパー エバンジェリズム統括本部長の伊藤かつら氏。Microsoft/日本マイクロソフトの最新技術を内外にアピールする、エバンジェリストの大黒柱を勤める。伊藤氏は、Microsoftが今年創立40周年を迎えたその日、創業者の1人であるPaul Allen氏のツイートコメントと、同社最初の製品となる8080プロセッサ用BASICのソースコードをスライドに映し出し、わずか8週間で完成したといわれていると紹介した。次に40周年を迎える前日に、もう1人の創業者であるBill Gates氏が全社員に向けて送信したメールをスライドで紹介。そこには「ポール・アレンと私は『すべての机上と家庭内にコンピューターがある世界』をゴールと定めたが、当時は想像を超えた不可能なアイディアだといわれていた。コンピューターの進化と未来を想像することは素晴らしく、我々はMicrosoftが果たしている役割を誇りにしてよい」と書かれている。伊藤氏はGates氏の「大事なのは過去ではなく、我々が次に何をやるかだ」を用いて、自社の変革と"マイクロソフトの次"を感じてほしいと、導入スピーチをまとめた。次に登壇したのが、来期(2015年7月)から代表執行役 社長に就任する、日本マイクロソフトの現・代表執行役 副社長 平野拓也氏。昨年のde:codeは現・代表取締執行役 社長の樋口泰行氏によるユニークなスピーチが好評だったが、平野氏は文字どおり"マイクロソフトの次"を象徴する存在だ。平野氏が自身で述べたように、今回のde:codeは社長就任発表後初のメジャーイベントとなるため、次期新社長を開発者にアピールする狙いもあったのだろう。平野氏は「マイクロソフトはWindowsの世界に皆さんをお招きした後に、その周りに壁を建てて囲い込んでいたのかもしれない」と過去を振り返りつつ、「我々はPCや人を中心とした考え方に変化している」と、Microsoft CEOのSatya Nadellaのビジョンを紹介した。さらに過去のビジョンを捨てて、新たなメッセージを発信している点を強調。例えば、9インチ未満のWindowsタブレットに対するOSライセンスの無償提供、iOS/Android向けOfficeの提供、そしてLinuxへの歩み寄りは、Microsoft/日本マイクロソフトの変革を示した好例だ。平野氏によれば「Microsoft Azureの20%はオープンソース(Linux)が動いている」という。その上で競合企業ともパートナーシップを組みつつ、モビリティ&クラウド世界においてチャレンジャーからリーダーを目指すという、強い姿勢も打ち出した。平野氏は続けて「(我々は)3つの野心を持っている」と述べ、Microsoft/日本マイクロソフトの目指す将来を次のように定義した。1つめはPCやスマートフォン、タブレットに限らず、車などを含めた広義のスマートデバイスで、変わらぬシームレスな経験が重要になるという。その上で同社は、SurfaceやSurface HUB、HoloLensといったデバイスを世に送り出し、Windows 10というプラットフォームを重要視していると説明した。2つめはプロダクティビティー(生産性)とプロセス(手順)の再定義だ。一般的に、これらのキーワードはビジネスで用いることが多いものの、ビジネスとコンシューマーの垣根は既になくなり、場所やデバイスにとらわれないデュアルシナリオが必要になるという。3つめはインテリジェント(知性的な)クラウド。これまでのように、データセンターにすべてを集約させるのではなく、ハイパースケールもしくはトップグレードなセキュリティなど対応力を高め、モビリティ環境を包括的にサポートする考え方だという。平野氏は話をそのままMicrosoft Azureにつなげ、MicrosoftのMicrosoft Azure team in the Cloud & Enterprise group担当CVPのJason Zander氏に交代したが、本稿では割愛し、その次に登壇したDeveloper Experience & Evangelism group担当シニアディレクター Giorgio Sardo氏のスピーチを紹介しよう。●「ユニバーサルWindowsプラットフォーム」の姿○UWPが実現するOne Windowsの具体的な内容をアピールSardo氏の発言内容は、基本的に今年のBuild 2015やMicrosoft Igniteで披露した情報を改めてトレースしたものとなるので、キーポイントを大掴みに紹介する。Windows 10が生み出すチャンスとして、Sardo氏は4つの注目ポイントがあるした。1つめは巨大なターゲット市場。平野氏の説明と重複するが、Microsoftはさまざまなデバイスに対して1つの経験を提供すると述べ、この2~3年内に10億台のデバイスがターゲットになると語った。2つめはスマートエンゲージメント。日本語に置き換えると洗練した参加スタイルというべきだろうか。Sardo氏はロック画面におすすめのアプリケーションを提供する「App Spotlight」や、アクションセンターやトースト通知からメッセージアクションに対して直接返信できる"対話型の通知"、そしてパーソナルアシスタントして働くCortanaを紹介。音声検索時に該当する情報がローカルに存在しない場合は、Webへ情報を探しに行くという。3つめとして、デスクトップモードとタブレットモードをシームレスに切り替えるContinuum(コンティニューム)や、スマートフォンをPCとして利用するContinuum for Phonesも紹介。残念ながら実機を用いたデモンストレーションは行われなかったが、スマートフォンを簡易PCとしてWordやExcelを利用できるシナリオは実に興味深い。以前寄稿した記事でも述べたように、デバイス側の対応や国内の正式リリースが必要だが、日本マイクロソフトの社員にWindowsスマートフォンのLumia 830を配布したことを踏まえると、Continuum for Phonesを体験するのも遠くない話になりそうだ。4つめは「One WindowsのためのOne Store」。Sardo氏は「1つの方法でアプリケーションを開発し、配信できる」と、シームレスなシナリオを強調した。さらに統合した開発プラットフォームとして、Windows 10に搭載したアプリプラットフォーム「UWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)」を紹介。ここでスピーカーは日本マイクロソフトのテクニカルエバンジェリスト高橋忍氏に切り替わった。UWPアプリは、同じアプリケーションが異なるデバイスで正しく動作するものだが、高橋氏は「楽天トラベル」のUWPアプリ版をデモンストレーションとして披露。ディスプレイが小さなデバイスでは、そのサイズに応じた内容へフレキシブルに変化する仕組みを持ち、デスクトップやタブレット、スマートフォンといった異なるデバイスで同一の情報を提供することが可能だという。スピーカーがSardo氏に戻り、UWPの概要について説明された。UWPのデバイスが最適な情報を提示するUIを、「レスポンシブルデザイン」と呼ぶ。コントロールするツールを使えば、開発者は難しいレイアウトを意識せず、Microsoftがデバイスに応じた最適なUIを提供するため、UWPアプリに移行できるという。さらにUWPは、Windowsカーネルと各開発言語(ランタイム)の間に存在するため、開発はワンパッケージで進められる点も強調。大半はAPIとして提供し、2,500以上もの機能を利用できると語った。具体的なコード利用のデモンストレーションも行われたが、そこは割愛してエンドユーザーが気になるMicrosoft Edge(Internet Explorerに代わる新しいWebブラウザー)について紹介する。Microsoft Edgeが4,200以上もの相互運用性を改善し、Webスタンダードに準拠しながらも、ベンチマークなどの結果が好調といった点は、ご存じの方も多いだろう。注目すべきは「Hosted Web Apps」と呼ばれるWebサイトのアプリ化だ。HTMLやJavaScriptといったWebコンテンツをUWPアプリ化し、ストアに登録するというものだが、その一例としてWebブラウザー上で動作するフライトシミュレーターをアプリ化するデモンストレーションを披露。下図に示したように、画面右上にはXbox Liveのトースト通知が現れ、アプリケーション化していることが確認できる。さらに、アプリケーション側から利用時間の警告を発したい場合も、数行のコードで実現する様子も目の前で行われた。この様に、Sardo氏は具体的なデモンストレーションを交えてUWPの可能性や開発の容易性をアピールしていた。●スクウェア・エニックスの超美的なリアルタイムCGも披露○スクウェア・エニックスの超美的なリアルタイムCGも披露Sardo氏のスピーチはIoT関係など多岐にわたったが、最後にゲストとして登場したスクウェア・エニックス 第2ビジネス・ディビジョン ディビジョン・エグゼクティブの田畑端氏らによる発表に注目しよう。ここでの発表は2つ。1つめは「FINAL FANTASY AGITO」のWindows 10版リリース。具体的なリリース時期は不明だが、年内のローンチを予定しているという。もう1つがBuild 2015でも披露した「WITCH CHAPTER 0 [cry]」。会場では4K解像度の動画をフルHDで出力した映像が流された。筆者もBuild 2015のセッションやYouTubeで視聴したが、目の前のスライドで動画を視聴したのはこれが初めて。その迫力や映像の細やかさは筆舌しがたいクオリティの高さだ。田畑端氏らには話を伺ったので詳細は別記事として紹介したい。蛇足だが、Sardo氏が登壇する前には、日本マイクロソフトのテクニカルエバンジェリスト 高橋忍氏と安納順一氏が会場に現れ、Microsoft Power BIプレビューとマイクで収集した声の大きさをデシベルに変換して、一定値を越えたらSardo氏を招くという休憩を兼ねたミニイベントも披露。ちょうど基調講演時間が半分を過ぎたあたりで行ったため、来場者にリラックスしてもらいたいという開催陣の心遣いもあったのだろう。この他にもBuild 2015のキーノートで紹介した手書きの譜面をデジタライズして、演奏する「StaffPad」や、Microsoft AzureのDockerのデモンストレーションなど、数多くの情報が140分の間に詰め込まれていた。ここですべてを紹介するのは難しいため、興味があって状況が許すなら(de:code 2015の参加費は税込73,440円と高価だった)、ぜひ来年はご自身の目でご覧になってほしい。今回の基調講演を振り返ると、情報提供の多さはもちろんだが、日本マイクロソフトが開発者に歩み寄る姿勢が強く感じられたのが印象的だ。次期社長である平野氏が語っていたように、ITの変革とともMicrosoft/日本マイクロソフトは変革を受け入れ、社全体が変わりつつあるようにも思える。阿久津良和(Cactus)
2015年05月27日リクルート住まいカンパニー(SUUMO)と日本マイクロソフトは5月25日、Web上の地図技術を活用した新しい住宅・不動産情報検索サービスとして「Bing不動産」の提供を開始した。「Bing不動産」は、マイクロソフトがグローバルで展開している地図プラットフォーム「BingMaps」の技術と、SUUMOが保有する、住宅・不動産の購入・賃貸の物件情報を統合し、地図上により詳しく豊かな表現で物件情報を表現することで、ユーザーが視覚的・直感的に物件を検索できるサービス。「Bing不動産」の主な特徴としては、「地図を起点とする物件探しが可能」「多様な絞り込み/物件一覧・比較機能の提供」「オーバーレイ機能の提供」「検索連動」がある。「Bing不動産」は、物件探しに関わる多くの作業を単一のユーザーインタフェース上で完結することを基本的な設計思想とし、物件に関するさまざまな情報を地図上に提供する。例えば、物件所在地の周辺にあるさまざまな施設の場所(コンビニ、バス停、駅、郵便局など)が地図上に配置し、視覚的で直感的な情報が提供されるため、ユーザーは物件周辺の環境をより具体的なイメージを持って確認することができる。また、物件を探す際に有益な付加情報を、地図上にオーバーレイで重ねて表示することができ、サービス開始時点では、「用途地域」「地価公示価格」のオーバーレイ表示が利用可能。さらに、両社は地図を主体とした特徴を生かして、新たな物件探しの手法を提案していく予定で、第1弾として、物件検討の主要な意思決定者が複数いる場合に、さまざまな条件付けから両者の"落としどころ"となりそうな候補物件を提示する機能「パワーバランス検索」(仮称)を2015年後半に実装する予定。
2015年05月26日日本マイクロソフトは5月19日、Surfaceシリーズの新モデル「Surface 3」を6月19日より発売すると発表した。同モデルより初めて投入されるLTE版だが、個人向けではこのモデルのみでWi-Fi版が提供されない。販売店はワイモバイルと家電量販店のみとなる。おおまかなスペックなどは過去記事(「Windows PhoneからSurface 3まで - 日本にはない米国のMicrosoft Storeとは?」、「米MicrosoftがSurface 3を電撃発表 - 10.8インチ液晶で非Win RT、LTE対応も」)を参照いただきたい。今回の発表で特に驚きを与えたのが、個人向け販売がソフトバンクモバイル独占だったことだ。Wi-Fi版の用意がなく、LTE版オンリーで、基本的にはワイモバイル販売店での購入のみ。LTE版のみというと「回線契約が必須なのか?」と少々腰が引けてしまうが、その点は「一括支払いの場合には回線を契約する必要はない」と、エリック・ガン氏が説明する。ただ同時に「ワイモバイルで2年契約をしていただくと様々な特典がついてくる」とアピールも。なお、Surface 3はSIMフリーとして提供されるため、他キャリアSIMを挿すことでそのまま利用できる。ただ、対応周波数が900MHzと1.7GHz、2.1GHzに限られるため、注意が必要だ。個人向けこそワイモバイルの販売だが、法人向けでは日本マイクロソフトとソフトバンクモバイルが「戦略的パートナーシップ」(日本マイクロソフト 代表執行役 社長 樋口 泰行氏)をもって販売を行う。法人向けではWi-Fi版も提供される予定で、これまでSurfaceシリーズを取り扱ってきた全国の販売パートナーの700社以上から引き続き販売するとしている。ただ、日本マイクロソフトの関係者によると、法人向けのSurface 3の販売についても「LTEの割合がWi-Fiを超えるのではないか」という見通しがあるのだという。実際に、販売前から導入を決めた三井住友銀行もLTE版が600台、Wi-Fi版が400台という導入台数になっている。こうした背景には、日本のセルラー網品質の高さにある。ワイモバイルに限らずLTE網の整備が諸外国に比べ行き届いており、通信速度が出てエリアも広い。こうした状況からLTE対応スマートフォンの浸透率も高く、「ユーザーがセルラーのモバイル環境に馴れ親しんでいる」(関係者)ことから、世界ではじめてとなるLTE版Surface 3の販売が決まったのだという。また、タブレット端末では先行するAppleのiPadについても同様の傾向が見られる。iPad自体は、世界の販売台数が2013年度から2014年度に減少してしまったものの、法人需要の開拓にAppleがかじを切っているとされる。これは、IBMとの提携からもわかることで、コンシューマーに比べてワンテンポ遅れてモバイル活用が進んでいる法人市場の需要が次なる成長の鍵となるわけだ。となると、この市場で負けていられないのがマイクロソフト。ご存知の通り、サーバーOSからAzure、Office 365、Dynamics CRMなど、様々なエンタープライズ製品を取り揃える同社にとって、お膝元では負けていられない。総合的なSI力や販売パートナーは、一朝一夕では培えない様々なナレッジを蓄えているマイクロソフトが真価を発揮できる場所でもある。その一方で、マイクロソフトでもOfficeやExchangeなどのシステム更新時期からのクラウド移行といった提案力は持っているものの、モバイル活用を進めていくという文脈のもとでの導入実績は乏しい。そこで、モバイルシステムの本流である携帯キャリアと組むことで「モバイル側のシステム更新やワークスタイル改革を進める文脈の企業への提案力」(関係者)をSurfaceに加えたかったようだ。調査によっては、iPadのLTE版販売比率は75%に達するなど、もはやセルラー前提の顧客が増えていることから「今後、企業ではモバイルWi-Fiルーターを別に持つことなく全てが入ってるタブレットにシフトする」(関係者)としており、2 in 1 PCでもセルラーモデルが売れ筋になるのも時間の問題かもしれない。また、樋口氏が会見中に「コンシューマーフォーカス、ビジネスフォーカスという片方だけではダメ」と語ったように、ビジネスの時間とパーソナルの時間は切り分けが難しくなりつつある。「両方にアドレスできるマイクロソフト」(樋口氏)という強みが最大限活かせるLTE版Surface 3の成功次第では、タブレット端末市場の勢力図が大きく変わることだろう。
2015年05月21日三井住友銀行は19日、日本マイクロソフトおよびソフトバンクモバイルと連携し、中期経営計画にも掲げるダイバーシティのより一層の推進に向けて、マイクロソフト社製のタブレット「Surface 3(4G LTE)」および「Surface 3(Wi-Fi)」を合計約1,000 台採用し、ワークスタイル変革に着手すると発表した。三井住友銀行は、ダイバーシティ推進を重要な経営戦略の一つと位置付け、頭取を委員長とする「ダイバーシティ推進委員会」がイニシアティブを取って取組みを進めているという。2015年3月には、女性活躍推進に注力している企業として、三井住友フィナンシャルグループが経産省・東証の「平成26年度なでしこ銘柄」、三井住友銀行が経産省の「ダイバーシティ経営企業100選」に選定された。2015年度は、育児や介護など、様々な制約のある従業員を含む多様な人材が活躍できる環境の整備を実現するため、ワークスタイル改革にも着手するとしている。このたび、「Surface 3」を導入することで、一定の業務情報にリモートでセキュアにアクセス可能な環境を整備することが可能となり、ワーキングマザーなどの「時間的制約のある従業員」に対し、様々な働き方を提供することができるようになるという。三井住友銀行では、こうした「Surface 3」導入による効果を踏まえ、現在試行しているリモートアクセス・在宅勤務を拡大する予定で、従業員に多様な働き方を提供し、ダイバーシティを一層進め、競争力強化を図るとしている。日本マイクロソフトにおいても、2014年度「ダイバーシティ経営企業100選」に選定されるなど、女性を始めとする全社員のダイバーシティ推進に積極的に取り組んでおり、ワークスタイル変革が、全社の生産性を高めると考えているという。また、全社的に最先端のデバイスとサービスを活用することで、場所を選ばないフレキシブルな働き方を推進しており、自社で培ったノウハウを今回のSurface導入に活かすとしている。このたび採用された「Surface 3(4G LTE)」については、ソフトバンクモバイルより提供されている。三井住友銀行、日本マイクロソフト、ソフトバンクモバイルは、「Surface 3」の活用も含め、多様な従業員に多様な働き方を提供することなどを通じ、ダイバーシティ社会の実現に向けて、より一層貢献していくとしている。
2015年05月20日日本マイクロソフトは19日、10.8型Windows 8.1タブレット「Surface 3」を発表した。米国では3月31日に発表済みで、5月5日に出荷を開始。5月7日までに世界の26市場で発売とされていたものの、その中に日本は含まれていなかった。日本での販売については、日本マイクロソフトからのアナウンス待ちという状態が続いていたが、19日には「New Surface Press Conference」が開催され、正式に日本への投入が発表された。カンファレンスでは、2015年7月に日本マイクロソフトの会長就任が決まっている現社長の樋口泰行氏が登場し、軽快なスピーチを披露。Surface 3の詳細やカンファレンスの模様については、追ってお届けする。
2015年05月19日○マイクロソフトのデバイス元祖はマウス先日、日本マイクロソフトから今月末(2015年5月)発売予定のデザイナーマウス「Designer Bluetooth Mouse」が送られてきた。おかしいなぁと思いつつ開封したところ(編注:おかしいと思ったら聞いてくださいよ)、実はマイナビニュース編集部が間違えて送ってしまったとのこと。ではレビューしてという話になった…。日本で一般のPCにマウスを広めたのはマイクロソフトだ。話は30年ほど前になるが、高校生の時にとあるPC雑誌の編集部でアルバイトをしたことがある。当時その部署で仕事をしていた別の方は「PC-8801用のトラックボールのソフト」を作成していた。トラックボールというのは機密保持の一環で、実際に発売されたのはマウスだった。キーボード、マウス、WebカムといったPC周辺機器に関して、マイクロソフトは長い実績を持っているのだ。○ぜい肉をそぎ落としたスタイリッシュマウス今回のDesigner Bluetooth Mouseを一言で表すと「シンプル」に尽きる。マウスとしての機能は光学1,000dpiトラック+左右ボタン+ホイール(ホイールクリックあり・チルト機能なし)で、Windowsロゴのボタンはない。外見も艶消しブラックで、よくよく見るとMicrosoftロゴが塗装されているとわかる程度。裏も電源/ペアリング兼用のボタンと「Bluetrack TECHNOLOGY」のロゴが印字されているだけだ。Designer Bluetooth MouseとPCとの接続はBluetooth 4.0のみで、Bluetooth 3.0以前には対応していない。WindowsやMacだけでなくAndroidにも対応だが、Windowsの場合、公式ではWindows 8以降の対応となっている。良くも悪くもシンプルで、必要最低限のものを残してぜい肉をそぎ落としたというのがデザイナーの感性なのだろう。高さ方向も低く、26mmとかなり平べったい。親指と薬指でマウスの両サイドを持つというより、手のひらで押さえつけるようにするのがよいと感じた。電源は単4形乾電池×2本で、Bluetooth接続の割には公称半年という長めのバッテリライフを持つ。設定もシンプルだ。電源ボタンを3秒間押しっぱなしにすると、マウス底面にあるブルーのライト、およびスクロールホイール下の白いLEDがゆっくり点滅してペアリングモードになる。また、電源ボタンを短く押すと電源のON/OFFだ。白いLEDと言ってもかなり輝度を落としている。Bluetrack TECHNOLOGYを使っていることもあり、マウスそのものの追従性は悪くない。Bluetrack TECHNOLOGYは青色LEDを使ったトラッキングセンサー技術だ。通常のマウスだと、底面にスリップパッドが貼ってあるので少々凸凹したところで扱うと引っかかることがあるが、本マウスの場合は全体に滑る部分を設けているため引っかかり感が少ない。機能が足らないと思われるかもしれないが、実際に触った感じで言えば、薄さやフォルムから感じるスタイリッシュさに好感が持てる製品だ。特に軽量なところを生かして、移動時に利用するとよさそうだ。ただし、カバンの中で擦れて傷をつけては台無しだと思うので、何らかのポーチに入れて持ち運びたい。大きさ的にダブついてしまうが、デジタルカメラ用で売っている「ツヤぴかケース」を100均ショップで買ってくるのが手頃だと思う。
2015年05月19日日本マイクロソフトは15日、Bluetrackテクノロジを搭載し、Bluetoothに対応したワイヤレスマウス「Designer Bluetooth Mouse」を発表した。5月29日より発売し、価格は税別3,380円。Designer Bluetooth MouseのインタフェースはBluetooth 4.0で、接続側のデバイスも同じくBluetooth 4.0に対応している必要がある。読み取り方式には、青色LEDを用いたBluetoothテクノロジを採用した。これにより、従来の光学マウスやレーザー式マウスではトラッキングできなかった光沢のある表面や、絨毯の上など様々な素材の上でも使用可能。また、シンプルなデザインなので左右どちらの手でも使える。本体サイズは約W60×H26×D107mm、重量は約57g(電池含まず)。電源は単4形アルカリ乾電池×2(動作持続時間は約6カ月)。読み取り速度は2,400fps、解像度は1,000dpi、接続可能距離は10m。ボタン数は3個。対応OSはWindows 8 / RT 8 / 8.1 / RT 8.1、Mac OS 10.10以上、Android 4.4以上。
2015年05月15日日本マイクロソフトは5月13日(日本時間)、月例のセキュリティ更新プログラムを公開した。今回、13件のセキュリティ情報が新規で公開され、深刻度が「緊急」のものは3件、「重要」が10件となっている。深刻度「緊急」のセキュリティ情報は「MS15-043」~「MS15-045」で、いずれも悪用されると、リモートでコードを実行されるおそれがある。「MS15-043」はInternet Explorer 6から11まで、すべてのバージョンに影響を及ぼし、20件以上の脆弱性が修正されている。「MS15-044」はMicrosoft フォントの脆弱性に対応したもので、Microsoft Windows 上のMicrosoft .NET Framework 3.0 SP2、.NET Framework 3.5、.NET Framework 3.5.1、.NET Framework 4、.NET Framework 4.5、.NET Framework 4.5.1、および .NET Framework 4.5.2、Office 2007、Office 2010、Live Meeting 2007、Lync 2010、Lync 2013などが影響を受ける。「MS15-044」のLync 2013/Lync Basic 2013用のセキュリティ更新プログラム(3039779)を適用した後、LyncのアイコンがSkype for Businessに変わるなどの変更があるという。「MS15-045」はWindows Journalの脆弱性に対応するもので、 細工されたジャーナル ファイルをユーザーが開いた場合にリモートでコードが実行されるおそれがある。Windows Vista、Windows Server 2008 (Itanium を除く)、Windows 7、Windows Server 2008 R2 (Itanium を除く)、Windows 8、Windows Server 2012、Windows RT、 Windows 8.1、Windows Server 2012 R2、および Windows RT 8.1が影響を受ける。セキュリティ更新プログラムの既知の問題、回避策や再起動の有無など、セキュリティ情報に関する情報が動画として公開されている。
2015年05月13日