「無口系」「無感情系」のアニメヒロインの代表格、作品見ずとも彼女を知らぬ人はいない90年代に爆発的ブームを起こしたアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のヒロイン「綾波レイ」からモテ女子力を学ぼう! 庵野秀明監督の「新世紀エヴァンゲリオン」というこのアニメ作品。女子は敬遠した人も多いのではないだろうか。ロボット系(実は人造人間)で、当時にしては(いや今も見ても)衝撃のグロシーンやエッチなシーンが多い。登場人物にも問題が多く、ガンダムのアムロ以上に思春期ど真ん中で内向的な主人公。精神世界表現も多く複雑な設定に女子にはなかなか理解しずらい世界だったかもしれない。しかし、当時の男子にはそこがとてもウケ、熱狂ファンもいるほど。今でもオタク男子に根強い人気なのだ。 まず簡単にストーリーを説明しよう。時は近未来、地球規模の大災害後の東京。そこは「使徒」という謎の巨大生命体にたびたび襲撃される。その生命体を倒すための唯一の対抗手段である人造人間「エヴァンゲリオン」(例のロボットみたいなヤツ)を所有するNELV(ネルフ)なる組織に、主人公の14歳の少年「碇(イカリ)シンジ」が急遽呼び出される。そう、エヴァンゲリオンのパイロットに選ばれたからだ。父は組織の総司令官。生まれてからろくに口も聞いたこともない父親への反抗と自分を認めてもらいたい気持ち、使命感と自己否定、思春期独特の女の子への目覚めなど、まあ上げれば切りがない程の精神的葛藤がてんこもり。組織や学校での人々の出会い、次々襲ってくる「使徒」との戦いを経て主人公が大人になっていくというお話だ。 さて、そんな中、今回の「綾波レイ」はどんな役割をしていたのか。それは、シンジより前からエヴァンゲリオンを操縦するパイロットで彼と同じ学校の同級生。初登場シーンは担架で運ばれ全身負傷。包帯だらけでとっても痛々しい姿。とにかく彼女、シリーズ通して、ほとんどしゃべらない。しゃべっても必要最低限を抑揚なく話すだけなのだ。その上、無表情で感情表現に乏しく人形みたいな女の子なのだ。 そんな彼女がただ1人(最後は2人)、笑顔など感情表現を見せる人が。それが、シンジの父。ストーリーが進むにつれ、息子で主人公のシンジにも特別な表情を見せる。 そう、ここがポイント。世の男性綾波レイにキュンとくるのは「自分だけにする特別な表情」なのだ。綾波レイのように、無口で無表情なところを真似しても決してモテるわけではない。これはむしろマイナスなのだ。女子は表情豊な方がいい。確かに無口でミステリアス、自分の自由にできそうなところが好きと言う男性ファンも多いが、現実の女子たちの多くは話し好きが多い。そのため、持ち前のキャラの中で男性をドキッとさせるには、相手の為だけにすることが必要なのだ。例えば、いつもはすごくキャッキャ騒いでいるのに、彼だけの前は「少ししおらしいところを見せる」や、いつも強気なのに彼だけの前は「甘えん坊を見せる」という彼にしか見せないギャップが必要なのだ。男性が見ているのは自分に特別な姿を見せてくれるか。気になる人に対する態度を今考えてみてほしい。(くらたに ゆきこ)
2012年01月29日自分自身も気づいていない才能が、とあるきっかけで開花することがある。数々のファッション誌などで活躍するモデルの水原希子にとっては、女優デビューを飾った『ノルウェイの森』が、新しい自分との出会い、新たな才能の気づきの瞬間となった。だが、もともと彼女のライフプランに“女優”という選択肢が存在していたわけではなく、彼女が載っている雑誌を偶然目にした映画会社の人間が所属事務所にオーディションを持ちかけ、監督のトラン・アン・ユンのもとに導いた。そして、その偶然の出会いは19歳の少女に女優という未開拓地を与えた──。「撮影中は毎日がむしゃらで、ものすごく辛かったけれど、今は楽しかったと言えますね」と、無邪気に語る水原希子、現在20歳。女優としての一歩を踏み出したばかりの彼女の“今”をインタビューした。「大変な世界に飛び込んじゃったなと…」映画の原作は日本の国内小説累計発行部数歴代1位の記録を更新し続けている村上春樹の「ノルウェイの森」(講談社刊)。あまりにも有名な原作の映画化は役者にとっても大きなプレッシャーだ。しかし、演技未経験の水原さんが最初に抱いたのは「映画に出る」という漠然とした感覚だけだった。「もちろん、プレッシャーはありました。松山ケンイチさんや菊地凛子さんといった役者の中に加わるわけですし、大変な世界に飛び込んじゃったなと(苦笑)。いざ現場に入ってみると、人の目の前で演技をすることが怖くて、苦しくて、毎日逃げ出したいって思っていました。でも、私を選んだのはトラン監督。だから監督にも(水原希子を選んだ)責任があるんだ!って、そう自分に言い聞かせたりもしました(笑)」。そんな不安でいっぱいの彼女の心の支えとなったのは、キャストやスタッフの温かな愛。「松山さんは、私が何回ミスをしても大きな心で見守ってくれるし、トラン監督は細かい指示を出すけれど、それもまた愛で…。キャストにもスタッフにも恵まれているからこそ、100%自分の力を出し切らなきゃって思ったんです」。期待に応えたいという真面目な姿勢、新しい分野へのチャレンジ精神、水原さんのそんな人間性をトラン監督は会った瞬間に見抜き、彼女を緑役にキャスティングしたのだろう。明るく行動的な緑のキャラクターは、どこか水原さんと重なる。「緑は、光・太陽・ひまわりみたいな女の子。けれど、深い傷も負っていて、孤独でもある。その孤独感をワタナベくん(松山さん)にみせていくんです。緑以外のキャストがみんなネガティブなので、彼らのネガティブさに引っぱられないようにという意識は常に持っていました。直子(菊地さん)のことを想像しろと言われても絶対にできないけれど、緑の性格は想像しやすかったんですよね。それは自分が緑のような性格だったからで──本当は悲しいのに悲しいとは言わずに明るく振る舞う、自分はそういう性格だったんだと完成した映画を観たときに気づいたんです。自分自身も知らなかった性格をトラン監督はよく見抜いたなって驚きました」。そして、緑を演じたことで「(心が)解放された」と微笑み、過去の自分について懐かしそうに語り出す。「これまでは、さっき言ったように、悲しいことを感じないようにしたり、自分が傷ついていることに気づかないふりをしていたりしていたんです。でも、いまは悲しいときには泣いていいし、自分の意見を言ってもいいんだ、そう思えるようになりました」。緑というキャラクターについて深く尋ねるほど「緑は大人で完璧!緑のかわいさを真似したい!」と水原さんの声は弾み、いかに緑を気に入っているのかが伝わってくる。また、緑を演じたことで恋愛観も変わったのだと、流れはガールズトークに。「以前は自分が相手のことを愛しているだけでいい、相手のことを想像できるだけで幸せだと思っていたけれど、やっぱり反応がほしくて。そのために必要なのは──たとえば、好きって言ってよとか、カワイイわがままが言えることなのかなって。緑を見習って実践しましたよ。効果ですか?ありました(笑)。恋人に対しても友達に対しても自分の気持ちを伝えることは大切なことなんですよね」。躊躇しがちな話もストレートに語る、きっとこんなふうに自分のことを話せるようになったのも、『ノルウェイの森』との出会いのおかげなのかもしれない。女優の仕事はモデル業に活かされている本作はヴェネチア国際映画祭で約6分間のスタンディング・オベーションを受け、もちろん新人女優・水原希子への関心も高まっている。これからの20代をどんなふうに活動していきたいのかも気になるところだ。「私はこの『ノルウェイの森』の現場しか知らないので、正直、女優という仕事がどういうものなのかまだ分からないんです。実はモデルをやっていることが今回、役者として足を引っぱってしまって──希子の歩き方は格好良すぎるってトラン監督に言われたりもしたけれど、女優の仕事はモデルの仕事にプラスに。トラン監督から教わった繊細な目の動き、息遣い、呼吸の仕方…1ミリ単位での顔の動かし方(表情の作り方)は、モデルの仕事にすごく活かされている。だから、モデルと女優、お互い高め合えたらいいなといまは思っています」と話す水原さんの表情は確かに豊かだ。さらに自分への愛も生まれたと嬉しそう。「昔は仕事が忙しいと家に帰ってそのまま眠ったりしていたけれど、いまは自分の身体をもっと愛してあげようと思うようになりました。この身体があるからモデルができるわけで、モデルをしていたからこの場にもいられる。この身体に感謝しなくちゃいけないなって。毎日お風呂に入って、ボディクリームを塗って、今日もお疲れ様でしたって自分を愛してあげる。その後はヨガをしたり映画を観たり…。もちろんそれをやることで睡眠時間は多少減ってしまうけれど、翌朝目覚めたときのモチベーションが全然違うんですよね。昔から映画を観るのは好きなんです。1日1本ペース。最近は途中で寝ちゃうことも多いけど(笑)。ホラー以外はどんなジャンルも観ます。でも、オファーがきたらもちろん引き受けますよ!」。引き受けるというその一言に、女優として歩んでいく水原希子の決意が垣間見えた。『ノルウェイの森』という翼を得て映画界に飛び立ったミューズが、今後どんな活躍をみせてくれるのか期待は膨らむばかりだ。(photo:Toru Hiraiwa/text:Rie Shintani)特集『ノルウェイの森』■関連作品:ノルウェイの森 2010年12月11日より全国東宝系にて公開© 2010「ノルウェイの森」村上春樹/アスミック・エース、フジテレビジョン■関連記事:あなたが映画に期待するのは何?『ノルウェイの森』プレスシートを3名様にプレゼント妻夫木&松ケンの新旧“大河コンビ”共演『マイ・バック・ページ』ビジュアル解禁ブロガー、twitterユーザー限定『ノルウェイの森』特別試写会に40名様ご招待【シネマモード】唯一無二の村上ワールドを描く、『ノルウェイの森』松山ケンイチ『ノルウェイの森』撮影中に「凛子さんを思わずハグしました」
2010年12月08日