『男はつらいよ寅次郎忘れな草4Kデジタル修復版』 『男はつらいよ寅次郎相合い傘 4Kデジタル修復版』 『男はつらいよ寅次郎ハイビスカスの花 4Kデジタル修復版』 “マドンナ”リリーが登場する3作品を3夜連続で無料放送します!©1973/2019 松竹株式会社BS松竹東急(BS260ch・全国無料放送)では、2024年1月1日(月)・2日(火)・3(水)のお正月3が日の夜7時に、『男はつらいよ』シリーズから、『男はつらいよ寅次郎忘れな草』 (1973年・第11作)、『男はつらいよ寅次郎相合い傘』(1975年・第15作)、『男はつらいよ寅次郎ハイビスカスの花』(1980年・第25作)の4Kデジタル修復版を3夜連続で全国無料放送いたします!『男はつらいよ』は松竹映画を代表するシリーズであり、山田洋次原作・脚本・監督(一部作品除く)、渥美清主演のもと、1969年公開の第1作を皮切りに95年までの26年間に48作が公開。渥美清没後の97年には第49作『男はつらいよ寅次郎ハイビスカスの花特別篇』、2019年には第50作『男はつらいよお帰り寅さん』が公開されました。83年には“一人の俳優が演じたもっとも長い映画シリーズ”としてギネスブックに認定されました。誰もが笑い、元気になれる日本人の心の原風景を描き続けた本シリーズは、主人公の名前から作品自体が「寅さん」の愛称で呼ばれることも多く、現在でも幅広い世代にわたり多くの人々の心を引きつけています。今回、放送の3作のマドンナであるリリーを演じるのは、映画『鹿鳴館』で第10回日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞するなど、数多くの作品で功績を残した浅丘ルリ子。浅丘が演じるリリーは、かつてレコードを出したこともある旅回りの歌手で、街から街へ、キャバレーからキャバレーへと、日本全国を旅して暮らす女性です。北海道・網走で運命的に出会った寅さんとリリーは意気投合し、以降、シリーズを通して長い愛の物語を紡ぎだしていくことになります。寅さんと似た境遇で生きる情熱的なリリーと、売り言葉に買い言葉の寅さんの喧嘩は、お互いの愛情の発露のようでもあり、そんな二人の掛け合いも大きな見どころです。3作を通してぜひご注目ください。浅丘ルリ子/リリー役コメント撮影/田中隆信お正月3が日にリリーが登場する3作が放送されると聞き、とても嬉しいです。これまで長いことお仕事をしてきた中でも、『男はつらいよ』に出演させていただいたこと以上に幸せなことはありません。リリーという女性は私自身に大変似ているということもあり、今回の3作は思い入れの強い作品です。メイク、服装なども私自身ととても近く、初めて台本を読んだ時から、スムーズに役に入れました。今でも常にリリーが心の中にいますし、当時も自分らしく、ありのまま自由に楽しくやらせていただき、私自身の話し方で発したセリフもありました。こんなに心の中から気持ちよく芝居ができた映画はそうそう無いです。私の宝物の作品です。リリーはハッキリとものを言えるキャラクターで、私達がどこかで思っていてもなかなか言えないようなことを代弁してくれるので、セリフにもぜひご注目いただけたら有り難いなと思います。この3作がお正月にお家で観られるなんて、滅多に無い機会です。お正月の3日間、お茶の間でゆっくりご覧ください。私も観ます!作品解説『男はつらいよ 寅次郎忘れな草 4Kデジタル修復版』1月1日(月)夜7時監督:山田洋次出演:渥美清、倍賞千恵子、浅丘ルリ子、前田吟、三崎千恵子、松村達雄ほか©1973/2019 松竹株式会社<あらすじ>満男のためにピアノが欲しいという、さくらの願いを叶えるべく、寅さんが奔走して手にいれてきたのは玩具のピアノだった。それが発端で大騒動となり、北海道へ旅立った寅さんは、網走で旅回りの歌手・リリーと出会う。浮草稼業のリリーは、寅さんと意気投合。その後、寅さんは地道に生きようと、酪農家で働くが三日と持たずに柴又へ帰ってくる。そこへリリーが寅さんを訪ねて来て、再会を喜び合うが、何やら訳あり風の二人に周囲の目は…。北海道の網走で運命的に出会った二人は、その後、シリーズを通して何度も旅先でさまざまなドラマを展開していくことになる。『男はつらいよ寅次郎相合い傘 4Kデジタル修復版』1月2日(火)夜7時監督:山田洋次出演:渥美清、倍賞千恵子、浅丘ルリ子、船越英二、前田吟、三崎千恵子、下條正巳ほか©1975/2019 松竹株式会社<あらすじ>青森で知り合った中年男・兵藤謙次郎と旅を続ける寅さんは、函館のラーメン屋台でリリーと再会する。初夏の北海道で、気ままな道中を楽しむ三人。そんな中、兵藤は小樽で初恋の相手である信子に一目逢おうとするが、それがきっかけとなり寅さんとリリーは大げんかに。そのままリリーと別れた寅さんだったが、リリーのことが気がかりな日々を送る。そんなある日、リリーが柴又にやってきて…。寅さんとリリーが再会。結婚に失敗したリリーは、再び歌手となり旅暮らしに。寅さんと冴えない中年男・兵藤、そしてリリーが揃って旅をする場面は幸福な空気に満ちる。兵藤が持って来たメロンをめぐっての一悶着は「メロン騒動」と名高い。また、リリーと喧嘩した寅さんが、雨の降る柴又駅へリリーを迎えに行く“相合い傘”のシーンは、シリーズ屈指の名場面。『男はつらいよ寅次郎ハイビスカスの花 4Kデジタル修復版』1月3日(水)夜7時監督:山田洋次出演:渥美清、倍賞千恵子、浅丘ルリ子、江藤潤、前田吟、三崎千恵子、下條正巳ほか©1980/2019 松竹株式会社<あらすじ>懐かしのリリーから寅さんへ手紙が届く。彼女は沖縄で仕事中に倒れて、入院しているという。“寅さんに一目逢いたい”というリリーの願いを叶えるべく、寅さんは那覇へ向かう。寅さんの懸命の看病の甲斐あって、リリーは退院。二人は小さな家を間借りして同棲を始める。そんなある日、気を許し合った関係がゆえに、二人は大げんかをしてしまう…。お互いの心を通わせて来た二人の愛は果たして成就するのか。灼熱の沖縄を舞台に大人のロマンスが展開。下宿先の息子・国頭高志とリリーの関係に、焼き餅を焼く寅さん。「あんたと私が夫婦だったら」というリリーの女性としての想い。そんな二人に気をもむとらやの人々。爽快なラストシーンも含めて、最高傑作と名高いリリー登場3作目。『ジョニ男のぶらぶら昭和。新春スペシャル』に浅丘ルリ子がゲスト出演!!『男はつらいよ』シリーズ3作品の放送と連動して、1月1日(月・祝)の『男はつらいよ 寅次郎忘れな草 4Kデジタル修復版』の放送直後の夜9時からは『ジョニ男のぶらぶら昭和。新春スペシャル』にて“柴又”を巡ります。『男はつらいよ』ゆかりの地を巡りながら、そこに残された昭和の香りを探し出します。そして、『男はつらいよ』撮影時に、たびたび休憩や衣装替えの際に利用した柴又の高木屋老舗では、リリー役の浅丘ルリ子がゲスト出演!知られざる貴重なエピソードの数々をご披露いただきました。『男はつらいよ』の映画放送と一緒に、『ジョニ男のぶらぶら昭和。新春スペシャル』もぜひお楽しみください!【放送日時】1月1日(月)夜9時【番 組 名】『ジョニ男のぶらぶら昭和。新春スペシャル』【番組公式X】 @BS260_johnnio©BS松竹東急番組概要【放送日時】1月1日(月)夜7時『男はつらいよ 寅次郎忘れな草 4Kデジタル修復版』1月2日(火)夜7時『男はつらいよ寅次郎相合い傘 4Kデジタル修復版』1月3日(水)夜7時『男はつらいよ寅次郎ハイビスカスの花 4Kデジタル修復版』【放送局】BS松竹東急(BS260ch・全国無料放送)【番組「お知らせ」ページ】 【局公式X】@BS260_official 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年12月08日2023年8月11日(金・祝)より、渋谷区神宮前のワタリウム美術館では、『トルコ共和国建国100周年記念 山田寅次郎展 茶人、トルコと日本をつなぐ』が開催される。トルコ共和国建国100周年を記念して、親日国として知られるトルコと日本との友情の原点に焦点を当てる展覧会だ。山田寅次郎(1866-1957)とは、125年前にトルコに渡り、日土友好に尽力した人物である。1890年(明治23年)オスマン帝国最初の親善訪日使節団を乗せた軍艦エルトゥールル号が、台風により、現在の和歌山県串本町樫野埼沖で座礁した。世に言う「エルトゥールル号遭難事件」だが、この時亡くなった約500人の遺族のために、一民間人ながら現在の金額で1億円といわれる資金を集めたのが、山田寅次郎である。26歳の時、オスマン帝国にたどり着き、義損金を渡した寅次郎は、当時の皇帝(スルタン)、アブデュルハミト二世に気に入られ、皇帝のアートディレクターとして、日本美術の輸入などに携わることになる。以来寅次郎は、実質的な民間大使のような仕事をしながら約10年間トルコで過ごし、日露戦争時には、日本政府の依頼でボスポラス海峡近くからロシアのバルチック艦隊の動静にも目を配った。帰国後は、製紙会社を設立するなど事業家として活躍、その後は茶道家元となり、91歳でこの世を去った。同展では、寅次郎のオスマン帝国見聞録『土耳古畫觀(とるこがかん)』の挿絵をデジタル映像(アニメーション)で紹介するなど、当時のトルコの様子や、皇帝との関係とともに、寅次郎の生涯を紐解いていく。さらに、山田寅次郎について深く知るトークプログラムや、トルコならではの工芸や食、音楽に触れるトルコ体験プログラムなど関連イベントも数多く用意されている。興味のある方は美術館ホームぺージで確認を。<開催情報>『トルコ共和国建国100周年記念 山田寅次郎展 茶人、トルコと日本をつなぐ』会期:2023年8月11日(金・祝)~11月19日(日)会場:ワタリウム美術館時間:11:00~19:00休館日:月曜(9月18日、10月9日は開館)料金:大人1,400円、大人ペア2,400円、大学(25歳以下)・70歳以上1,200円、中小700円※ひとり 200 円を義捐金としてトルコ地震の被害地へ寄付公式サイト:
2023年08月01日アマビエを「イメージの力」と置き換えて、コロナ禍を生きるアーティストたちが創造する「コロナ時代のアマビエ・プロジェクト」。2020年11月から会田誠、鴻池朋子、川島秀明、荒神明香、大岩オスカール、大小島真木の順にリレー形式で展示が行われてきた。角川武蔵野ミュージアム4階エディットアンドアートギャラリーでは、その集大成として、展覧会『コロナ禍とアマビエ6人の現代アーティストが「今」を考える』が開催中だ。大きな本の中を歩くような空間構成で、各作家たちがこの約1年で考えたことを含む言葉とともに作品が展示されている。荒神明香《reflectwo》2006/2021内覧会には大小島真木と川島秀明が登場した。2階フロアには、大小島が自らの手で描き、昨年発表した巨大インスタレーション《綻びの螺旋》を引き続き展示。『ヒューマン』という言葉がラテン語のフムス(腐植土)を語源とすることから、人間も土に還るというイメージを持って描いている。今回は新作として、AIを用いたアニメーションの自動生成によるキメラたちの群像を発表。「動植物を食べ、排泄する〈私〉は、どこからどこまでが〈私〉となのか。〈私〉というものは存在せず、〈私〉以外の他種との関係性の中で常に変わっていく生存の現象である。関係には良い絡まりあいも悪い絡まりあいもあって、その良し悪しは見方によっても変わる」ということを表現している。大小島真木《Re-forming〈I〉》2021一方、比叡山延暦寺で仏道修行した経験を持つ川島秀明は、昨年、絵画《SHI》(下の写真中央)を発表。今回は四季を表す新作4点と旧作も併せて展示されている。当初からコロナ禍における世間の反応に違和を感じており、父の死などについて綴りながら「死別は関係の断絶ではなく変化だ」という諸行無常の教えを示している。川島秀明《SHI》(2021)など展示風景また、会田誠は、昨年発表した《疫病退散アマビエの図》ほか、コロナ禍の今だからこそ見え方が変わる《一人で酒を飲め》などの旧作を展示。毒気のあるユーモアが効いている。架空の首相が鎖国などの荒唐無稽な提案をする映像《国際会議で演説をする日本の総理大臣と名乗る男のビデオ》は水際対策に重なる。会田誠《一人で酒を飲め》(左)2013、《灰色の山》(右)2009-2011大岩オスカールの旧作では、ARアプリを用いて絵画の中に入るような体験ができる。2階には昨年発表した大型壁画《太陽と10匹の妖怪》も展示されている。大岩オスカール《path to the light》2018鴻池朋子の《武蔵野皮トンビ》は、設置に至る写真とプロジェクトに関わったスタッフの言葉も掲示。作品をあえて外にさらし、変化する過程を展示した鴻池と、限界を決めずに挑戦した人々の力こそが「アマビエ」=救済になったとも言える。6作家のイメージを未来につなげたい。鴻池朋子《武蔵野皮トンビ》《武蔵野皮トンビ制作インスタレーション》2020-2021取材・文:白坂由里【開催情報】『コロナ禍とアマビエ6人の現代美術家が「今」を考える』2022年1月22日(土)~ 5月8日(日)、角川武蔵野ミュージアム 4階 エディットアンドアートギャラリーにて開催
2022年02月10日会田誠の個展「GROUND NO PLAN」が、東京・表参道の特設会場「青山クリスタルビル」で開催される。会期は2018年2月10日(土)から2月24日(土)まで。今回の個展「GROUND NO PLAN」は、大林財団が新設した助成プログラム「都市のヴィジョンーObayashi Foundation Research Program」によるもの。都市における様々な問題を追及した上で、住んでみたい都市や新しい都市のあり方を、建築系の都市計画とは異なる視点から、アーティストに提言してもらうことを目的としている。その第1回目の助成対象者として選定されたのが会田誠だ。会田誠は、現代の日本社会を鮮烈に批評し続けるアーティスト。取り扱うテーマは美少女から政治までと幅広く、都市計画に関する作品も『新宿御苑大改造計画』や『「人」プロジェクト』などを手掛けてきた。今回の個展では、自身が考える未来の「都市」や「国土」を、ドローイングや完成予想図、建築模型などで表現。その他にもテキストやインスタレーションなどの新作を通して、"理想の都市のあり方"を提案していく。【詳細】会田誠展「GROUND NO PLAN」会期:2018年2月10日(土)~2月24日(土) ※会期中無休開館時間:10:30~18:30(金曜日は19:30まで)※入場は閉館の30分前入場料:無料会場:青山クリスタルビル(東京都港区北青山3-5-12 青山クリスタルビルB1F/B2F)【問い合わせ先】公益財団法人大林財団TEL:03-3546-7581
2018年02月04日会田誠展「はかないことを夢もうではないか、そうして、事物のうつくしい愚かしさについて思いめぐらそうではないか。」が、東京・ミヅマアートギャラリーで開催。会期は2016年7月6日(水)から8月20日(土)まで。50歳という節目の年を迎えた会田誠が、一度も試みたことのない新しい方法・形式・素材に挑戦。本展において、“これまでの会田誠”という作家イメージを根底から覆す。また、新作のイメージを公開することは禁じ、ヴィジュアルに関してはオープン初日まで完全秘密。展示内容は「なんなら今までの僕のファンが総取っ替えになっても構わない」と、会田が言い切るほど予測不可能だ。そんな中でも、彼が目指すものは絵画における「純粋な美」。本展のタイトルは岡倉天心の『茶の本』(浅野晃訳)の第1章 末尾の言葉から採用した。こんな荒んだ時代だからこそ落ち着いて「純粋な美」について再考したい、という思いが込められている。出品点数は、ギャラリーにおける個展としては過去最多となる30点以上になる見通しであり、現代美術コレクターにはきっと満足のいく内容になるだろう。会田は本展開催に向けて「こんな絵画展らしい絵画展をやるのは、これが人生で最初で最後だろう」「ゲルハルト・リヒター、ジェフ・クーンズ、ダミアン・ハーストといった国際的アーティストと、自分との関係を深く考えた末の結論だ」と語る。【開催概要】会田誠展「はかないことを夢もうではないか、そうして、事物のうつくしい愚かしさについて思いめぐらそうではないか。」会期:2016年7月6日(水)~8月20日(土)開館時間:11:00~19:00休廊日:日・月・祝日※夏季休廊:8月9日(火)~13日(土)会場:ミヅマアートギャラリー住所:東京都新宿区市谷田町3-13神楽ビル2FTEL:03-3268-2500
2016年06月03日東京都・清澄白河の東京都現代美術館は、夏休みのこどもたちのための展覧会「ここはだれの場所?」を開催する。会期は7月18日~10月12日(月曜休館、ただし7月20日・9月21日・10月12日は開館、7月21日・9月24日は休館)。開館時間は10:00~18:00(7~9月の金曜日は21:00まで)。観覧料は一般1,000円、大学・専門学校生・65歳以上800円、中高生600円、小学生以下無料(保護者の同伴が必要)。同展は、4組の作家たちが美術館の展示室のなかに作った、「ここではない」場所への入口を糸口に、こどもたちと地球環境や教育、自由についてなど、これからを生きるために考えるべき問題を浮かび上がらせる展覧会。参加する作家はデザイナーとして知られるヨーガン・レール、造形作家で批評家の岡﨑乾二郎(「はじまるよ、びじゅつかん」企画)、アーティスト一家の会田家、フィリピン出身でオーストラリア在住のアルフレド&イザベル・アキリザンの4組。ヨーガン・レールは、「地球はだれのもの?」と問いかけるテーマの展示を行う。移住先の石垣島の海岸が数年の間に、流れ着くゴミによって無残に荒らされてしまったことに心を痛めた同氏は、それらを使って美しいものを作り出すことで、地球環境に対する人々の意識を喚起しようとした。2014年に急逝した彼が作り上げたのは、こどもたちの未来を憂いた彼のラスト・メッセージでもある。岡﨑乾二郎は、「美術館はだれのもの?」と問いかけるテーマで、「こどもにしか入ることのできない美術館」を企画。同美術館が収蔵する美術の名品について、自分の思いを話しかけてくる謎の監視員とともに、元来自由の象徴である「美術館のはじまり」を体験できるとのこと。アーティストの両親(岡田裕子、会田誠)、中学二年生の息子(会田寅次郎)の三人からなる会田家は、「社会はだれのもの?」と問いかけるテーマの展示を行う。プログラミングが得意な寅次郎は、学校の外で、大人たちと一緒に世界やビッグデータを相手にプロジェクトを展開している。3人はそれぞれのやり方で、学校や社会など外の世界に対するストレスや批評精神をもとに、「それとはちがう場所」をユーモラスに作り上げる。アルフレド&イザベル・アキリザンは、「私の場所はだれのもの?」と問いかけるテーマで、世界各国のコミュニティと交流した過程を作品として、家や国といった、当たり前のように自分のまわりに引いてきた境界線について考えさせる展示を行うということだ。また、会期中、トークやワークショップなどが予定されている。詳しくは同館のWebサイトで案内される。
2015年06月18日――今後“メディア”を取り巻く環境には、どのような変化が起きると考えていますか。ツイッターやフェイスブック、またはスマートフォンが登場する以前は、それらがこれだけ社会一般に普及するということは、皆さん一様に想像できなかったことと思いますし、それは僕も同じです。けれど日常的にプロフェッショナルとしてかかわっている専門家というのが必ずいて、そういう人たちは普通の人達よりもいくらか早く先が見えているんですね。なので、ココイクでは分野の専門家を講師に招きます。教育の専門家というよりは、それぞれのジャンルの専門家から指導を受ける形です。――メディアは場所に捕らわれることなく、世界と繋がれるという魅力もありますね。そうなんです。YCAMでも離島へワークショップをしに行ったりしていましたが、プログラミングとかスライドショーとかを作る環境としては東京の子と全く変わらない環境がありますから。一方で、その題材は漁師さんや里山の自然をテーマとしていたりして、当然大都会とは異なります。同じアニメーション作りのプラットフォームを用いて、それらの作品交換を通じて都会と地方が交流できると面白いと思っています。――ココイクでは「創造力」がコンセプトになっています。メディアを通じて身に付く創造力とは。ココイクでは創造力に関して明確に定義しています。いわゆるアートとかデザインを小綺麗にセンスよくまとめる能力のことではなく、全然違う確度で定義します。たとえば、思いも寄らないトラブルが起きた時には、未曾有の状況の中で思考回路が停止してしまい何も出来ない人と、現状をよく観察してこの次に何をすべきなのが考えられ一歩踏み出していける人と、2パターンの人達が出てきます。次の一歩を踏み出していける人の方が打開力がありますし、そういう能力を「創造性」と定義したい。社会の変化が早く先が見えない状況があるからこそ、どんな状況に対しても一歩踏み出せる頭の柔軟さや勇気、深く考えられる思考力というのが求められます。そのためには、メディアの使い方をHow toとして学ぶのではなく、様々なジャンルの専門家の多様な「創造性」に直接触れることが重要だと考えています。――一方、思考回路が停止してしまうのはなぜなのでしょう。やっぱり立ち止まってしまうのは、失敗を酷く叱責された経験がトラウマになっていることが多いと思うんです。失敗を恐れずトライアルしてみる、表現してみるということを、安心して出来る体験が繰り返されていくと、気軽に挑戦できるようになりますよね。特に子供のうちは安心して失敗できる環境が必要だと思います。ココイクはそういう場でありたいと思っています。――安心して失敗できる環境が必要なのですね。そもそも“安心して失敗できる環境”を教育と言ってもいいんじゃないかと思うんです。例えば、インターネット上に書き込みをする時も、実名が出てしまう取り返しのつかない形でやるのは怖いですよね。ある意味守られた環境の中で試してみて、こういう書き方だと人を傷つけてしまうとか、傷つけられたときにはこう考えたほうがいいとか、安全な環境の中でやってみてコツを掴んでいくのが教育なのかなと。「安心して失敗できる場」というのを用意しておくのが大事なことです。――来春からのココイクには親のための授業も用意されていますね。こと“メディア”については変化のスピードも速く“あいうえお”を教えるのとは全く次元が異なりますね。その通りですね。インターネット関連のプロフェッショナルでも、自分の子どもがどうやってネットと触れるべきか、まだまだ議論は尽きません。それでも「とにかく危ない」と素人が叫ぶよりは、建設的な議論が重ねられるのではないでしょうか。「触れさせる/触れさせない」という二者択一ではなく、子どもの成長段階にあわせた付き合い方を、家族も一緒に探っていく必要があります。事実、就職活動になって初めてパソコンでネットに接続する、という大学生も出てきはじめています。その時に急にネットの中に放り出されて事故に巻き込まれても、それまで素朴に「禁止」していた人がその責任を取ってくれることはありません。子どもに親が全て教えてあげるという関係よりも、子どもと共に親が学んでいける場になると良いのかも知れませんね。それは結果的に、子どもが歩みながら育つ環境としても有効だと思うわけです。1/2に戻る。
2014年12月03日新年まで、あと1ヶ月を切った。ファッションの世界に留まらず、多様な角度から、少し先の未来を読み解くヒントとなる言葉を各人に聞こうと思う。最初に登場するのは、ミュージアムエデュケーター・会田大也。会田は03年から14年まで「メディアアートをコンテンツとして扱う山口情報芸術センター(以下、YCAM)で経験を積んだ人物。現在は、東京大学のGCL育成プログラム特任助教として大学院生の教育にある他、15年4月に開校する三越伊勢丹のメディアに特化した学びプロジェクト「ココイク(cocoiku)」を監修する。“メディア社会”と言われて久しい今日において、情報に溢れた「メディア社会」を生きるとはどういうことか。今後、求められる力について訊いた。――「メディア」という言葉の概念をどのようにとらえていますか。メディア(media)はメディウム(medium)の複数形で、真ん中、ミドル、ということを表します。何かと何かを繋ぐものはすべてメディアといっていいと思っています。具体的にこれまでは電話なら電話線、想いを伝えるなら手紙であるとか、「モノ」が繋いでいて、90年代頃まではこれだという名指しができるものでした。それが電子テクノロジーの発達によって形のない「電子メディア」が登場したことで、現在は実に様々なメディアが出てきている状況だといえますね。環境のような、ありふれたものの一つになりつつあると思います。――世間では、ツイッターやフェイスブックなどのSNSも「メディア」と認識され、身近な表現手段である一方、オンラインで世界中にプライベートが流出するリスクもあるという考えが定着しつつあります。これは僕がよくする例え話ですが、森に住む人は森のことを、海に住む人は海のことを知っています。こっちに行けば川が流れていて、この実は食べてはいけないということを知っていて、波や天候から明日嵐が来るということが分かる。快適に暮らすためには、住まう地域や環境に合わせた知恵というのが必要です。現在の日本はどういう社会かというと、メディアに取り囲まれた社会です。そういう意味でメディアのことについてよく知っている必要がある。海に住む人が海洋学を知っているとか森に住む人が地学をしっているとかそういうアカデミックな学問としての知恵ではなく、日常的な知恵として使いこなす術としてメディアを知っておくべきだと思います。――実際に生活の中で、どう使いこなしていくかという部分が重要であるということですね。そうです。現代のメディアは、「文房具」としての役割を果たすものだと思います。それを駆使して様々なことを学んだり考えたり表現したりしていくことが重要です。――来春から未就学児童にメディアについて教育する場「ココイク」を監修されるとのことですが、その意図は。メディアってこういうところが楽しいよね、こういうところは怖いよね、ということを知恵として知っておくのは大切なことなので、それを身につけられる教室にしたいと考えています。学校でも家庭でもない、それ以外の場所を作るイメージです。――子供にとって「学校」や「家庭」以外の場所の必要性とは?子どもが増えていく時代においては、効率的な知識の伝達は急務であったので、知のコピー&ペーストという教育システムを用いるのは必然でした。しかし、少子化や国際的、文化的多様性といった社会状況の中での教育となると、これまでとは多少やり方を変えてみてもよいのかな、と考えています。それが「学校」や「家庭」以外の教育の場の必要性につながると考えています。――学校以外の場で、学校では習えないことを教える場所が必要であると。もちろんこれだけ電子メディアが普及しているので、いま現在は学校で「メディア」について学ぶ機会は設けられています。ただ、その内容は、ブラインドタッチが出来るようになりなさい、インターネットは危ないですというようなものが多いのです。それはメディアの文房具としての使い方としてはあまり正しくないと思うのです。メディアも日々状況が変わっていくものだし、SNSが出る前と出た後のメディア環境は全然違いますから。そういった内容に対して、学校型の教育システムはあまりフィットしない。本当に実質的なことを習うとするなら相当の時間を要しますし、学校で習うのは難しくなる。家庭でもお父さんお母さんが教えるのは難しい。それならメディアに詳しい人が、教える場が必要だと考えています。2/2に続く。
2014年12月03日