自己肯定感、忍耐力、協調性、やり抜く力、自制心、共感力、リーダーシップ、誠実さ、創造性、コミュニケーション能力など、さまざまな「心の力」は、「心の知能指数」として「EQ」と呼ばれます。このEQの重要性を提唱するEQWELチャイルドアカデミーの主席研究員・浦谷裕樹先生には、過去2回のインタビューでEQが子どもにもたらす多くのメリットを語ってもらいました(インタビュー第1回、第2回参照)。今回は、子どものEQの伸ばし方を教えてもらいましょう。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/榎本壮三(インタビューカットのみ)親のかかわり方が子どものEQを左右するまず親御さんにお伝えしておきたいのは、子どものEQが高まるかどうかは親のかかわり方にかかっているということ。とくに幼児期までの子どもにとっては、親のかかわり方そのものが教育といえます。なぜなら、幼稚園でもある程度の学びはありますが、子どもが過ごす時間が絶対的に多い場所が親と接する家庭だからです。子どもがなにかの問題にぶつかったとき、真っ先に頼るのは親に他なりません。そこで親がどんな解決法、対処法を教え示すのか――。そういう実地の経験の一つひとつが、子どものEQを伸ばしていきます。見方を変えれば、子どもというのは親を見本にするということ。EQが親子間で遺伝するかどうかについては詳しい研究がまだなされていませんが、EQの傾向が親子間で似るということは明確です。親が「心の力」を示してくれなければ、子どもが「心の力」を学ぶ場を持てないからです。子どもがわがままをいって、感情を爆発させ泣き叫んでいたとしましょう。そのとき、親まで感情的になって怒ってしまえば、子どもが感情をコントロールできるようになるはずもありません。でも、親に共感力や自制心があれば、子どもに共感して寄り添い、「そういう気持ちもわかるよ」「でもこういうときはこうすればいいんじゃない?」と、対処法を教えられるのです。乳児期の母親の愛情がEQのベースをつくるそして、子どもへの親のかかわり方には、父親と母親それぞれに役割があるということも忘れてはなりません。母親は「第1の養育者」とも呼ばれます。子どもが小さいとき、とくに生まれてから1~2歳頃までのあいだに、いちばん子どもの近くにいる母親がどれだけ心穏やかに愛情をたっぷりと注ぐことができるか。それが、子どもの心の豊かさに大きなちがいを生みます。というのも、生まれてから1~2歳頃までの子どもは、「感受性期」という脳が情緒に関してもっとも学びやすい時期にあるからです。ここで、その後に伸びていくEQのベースがつくられるというわけです。そのベースとは、自己肯定感。母親に愛情を注がれることで、「自分はこの世に存在していていいんだ」と子どもは感じられる。自分の存在を肯定し、豊かな心を育んでいくようになるのです。逆に、この時期に親からほったらかしにされた、いわゆるネグレクトの状態に置かれた子どもは、情緒不安定だったり社会への適応性がなかったりといった好ましくない特徴を示すことがわかっています。子どものEQを伸ばすための父親の役割母親だけでなく、父親のかかわり方も子どもに大いに影響を与えます。それについては、国内外を問わず、いくつもの研究結果が示されています。たとえば、スウェーデンでの研究では、「父親との関係が良好な子どもは、学力が高く、良い友人関係を築け、問題行動や犯罪行為が少ない」という結果が出ています。また、カナダの研究では、「父親が子どもに多く関与すると、子どもの認知機能と学業成績が向上し、問題解決力、忍耐力、感情コントロール、責任感、社会的発達、人間関係力に好影響を与える」という結果が示されました。面白いのが、桜美林大学の山口創先生の研究です。先生の研究では、「『高い高い』『おんぶ』『肩ぐるま』を経験することで、子どもの空間認識能力、危機対処能力、身体能力への自信が高まる」ことがわかりました。注目は「空間認識能力」です。「肩ぐるま」などで普段とはちがう視点から周囲を見渡すことで空間認識能力が高まり、さらには物体に限らずものごとを多角的に見る力も高まったというのです。もちろん、「肩ぐるま」などは母親でもできるものです。でも、どちらかといえば父親がやることが多いものですよね。しかも、母親より力が強い父親がやれば、これらの遊びはよりダイナミックになり、もたらす効果も高まると考えられます。2種類の愛情を意識して使いわける父親と母親それぞれに役割があるということには、愛情にも2種類あるということが関係しています。簡単にいえば、「優しさ」と「厳しさ」です。母親の愛情というのは、子どものすべてを受け入れる、どんなときも子どもの味方になるといった「優しさ」、「応援する」というものです。一方、父親の愛情は、子どもが困難にぶつかったとき、失敗したときに、「もっとできるはずだぞ!」と挑戦へ導く「厳しさ」、「期待する」というもの。これらが愛情の両輪であり、どちらも子どもの成長にとって非常に大切なものです。もちろん、不幸にしてお父さんがいない、あるいはお母さんがいないという家庭もあるでしょう。でも、たとえひとり親であっても、ふたつの愛情をバランス良く使いわけることができれば、なんの問題ありません。あるいは、おじいちゃんやおばあちゃんが父親や母親の代わりになることもできるはずです。いずれにせよ、ふたつの愛情の存在、重要性を意識して子どもに接することが大切です。『子どもの未来が輝く「EQ力」』浦谷裕樹 著/プレジデント社(2018)■ EQWELチャイルドアカデミー・浦谷裕樹先生 インタビュー一覧第1回:幼児教育ブームのなかで今注目の「EQ、非認知能力」って何のこと?第2回:「頭の力」には「心の力」こそ必要。EQが高いと優秀な子に育つ納得の理由第3回:父親流の「厳しい愛情」が子どものEQを伸ばす。人間性と学力を高める親のかかわり方第4回:お説教は「○分以内」で。子どものEQを高める“叱り方の正解”とは(※近日公開)【プロフィール】浦谷裕樹(うらたに・ひろき)1972年7月31日生まれ、東京都出身。EQWELチャイルドアカデミー・新未来教育科学研究所主席研究員。工学博士、理学博士。京都大学理学部卒業、京都大学大学院理学研究科修士課程修了。高校時代に「人間の可能性はどこまで伸ばせるのか」との問いを抱き、学生時代より古今東西の能力アップ法を研究開始。現在は「楽しく、わかりやすく、ためになる」をモットーに全国で講演活動中。とくに参加型のトレーニングやワークを盛り込んだセミナーを得意とする。著書に『メンタルウェルネストレーニングのすすめ』(エコー出版)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年04月05日春は出会いと別れの季節。そんな季節に聞きたくなる恋愛ソングを紹介します。共感できる歌を探すきっかけにしてみてください。『春~spring~』-Hysteric Blue1999年に発売された『春〜spring〜』は、Hysteric Blue最大のヒット曲。「別れと出逢い、夢を追う気持ち」が軽快なテンポで歌われています。春といえば、大きく環境が変わる季節でもあります。そんな季節に誰しもが感じる不安とワクワクする高揚感を感じることができる楽曲です。グループは解散してしまいましたが、楽曲は今なお幅広い世代に支持されています。ボーカルTamaさんの、優しいのに不思議とパワフルに聞こえる独特の歌声も聞きどころです。『明日、春が来たら』松たか子『明日、春が来たら』は女優としても活躍している松たか子さんのデビュー曲です。発売された当時、松さんは既にトップ女優としての地位を確固たるものにしており、その歌手デビューということでも大きな話題になりました。「卒業」や「桜」といった春を連想させる言葉ではなく、「野球」を連想させるワードがちりばめられているのが、この曲最大の特徴と言えるでしょう。青春時代にしていた淡い恋、それを春が巡って来るたびに思い出す、大人の女性の姿を描いた名曲です。『春を待ちわびて』GReeeeNGReeeeNの『春を待ちわびて』は、2012年に発売されたシングル『ミセナイナミダハ、きっといつか』のカップリング曲です。ファンの間では「隠れた名曲」と言われている楽曲となっています。ずばり「卒業」を歌った歌で、卒業式の合唱曲としても人気なので、「自分も歌った」と懐かしく振り返る人も多いのではないでしょうか。「君」との青春時代を振り返りつつ、思い出を胸にそれぞれの未来へと踏み出す、春らしい曲になっています。この「君」は必ずしも恋の相手とは限らないので、恋愛ソングとしてだけではなく、青春ソングとしても聞くことができます。
2019年03月17日共感型フォトジェニック・アート展「マイナビ PRESENTS VINYL MUSEUM PRODUCED BY LIDDELL」が、表参道BANK GALLERYで開催される。会期は、2018年11月29日(木)から12月12日(水)まで。「ビニール・ミュージアム(VINYL MUSEUM)」は、鑑賞するだけでなく、”撮影者”となって参加できる新感覚の展覧会。ォトジェニックな写真が撮影できるさまざまなアートブースを舞台に、自分のアイデアを活かした投稿を創り上げることができる。2017年に銀座で開催され話題を呼んだイベントだ。今回のテーマは、”TRIP TO THE WONDER HOTEL”。クリスマスシーズンのホテルをイメージしたアート作品や空間演出で、非日常的な世界観を作り出した。【詳細】マイナビ PRESENTS VINYL MUSEUM PRODUCED BY LIDDELL会期:2018年11月29日(木)〜12月12日(水)会場:表参道 BANK GALLERY住所:東京都渋谷区神宮前6-14-5入場料:前売券 1,800円、当日券 2,300円時間:11:00〜21:20 (60分入替制・1回につき定員100名・1日8回転)■チケットに関する問い合わせ ローソンチケット(ローチケ) TEL:0570-000-777 受付時間:10:00~20:00
2018年11月10日みなさんは片思いの男性を振り向かせようと思った時、どんなテクニックを使っていますか?この記事でご紹介するのは、『共感』を使ったテクニック。『共感』は恋のきっかけを作るために最も効果的です。もし、まだこのテクニックを試したことがないのなら、是非今すぐに試してみてください。恋の始まりは共通点から恋が始まるのは、『共通点』からだと言われています。自分と似たような容姿のレベルだったり、自分と趣味が同じだったり、そういった共通点を見つけた時、人はその人のことを意識するようになります。なので、意中の男性をドキっとさせたいと思うなら、まずは『共通点』を見つける、もしくは作りましょう。男性をドキっとさせる方法一番簡単な方法は、男性に趣味や好きなアーティストに質問し、それを自分も勉強してみることです。世間話の中で、「○○さんは趣味とかあるんですか?」と聞いてみましょう。ここで一つポイントがあるのですが、こういった質問の時にはまず自分のことを話すとより相手が気持ち良く話しやすくなります。人によっては、いきなり質問されると、取り調べされているように感じて不快に思う人もいるからです。「私最近映画観るのにハマってて、この前の休みで4本も映画観ちゃったんです!○○さんは趣味とかあるんですか?」というように、まず自分の事を話してから相手に質問することで、相手に不快感を与えず自然に質問ができます。相手の趣味を聞き出す事ができ、もし自分も同じような趣味を持っていればそのまま『共通点がある』ということをアピールします。もしなければ、家に帰ってからその趣味について調べ、必要があれば自分でもやってみます。そして後日、「この前言ってた△△なんですけど、私もやってみました!最初ちょっと難しいですけど、ハマる気持ちが分かりました!」というような会話に持っていきます。スポーツ系であれば、「コツを教えてください」と話しを広げられますし、映画やアーティスト関連であれば、「おすすめ教えてください」と広げられます。自分と同じ趣味を持っている、またはそれに挑戦中だということだけで男性をドキっとさせられる可能性はかなり高いです。まだ試したことがないという人は、とっても簡単なテクニックなので、是非実践してみてください。
2018年09月05日こんにちは!ひめまるです。お気に入りの人っていません?後輩の可愛い男の子とか、飲み会で少しきになる彼とか、仕事のことしか話したことない上司とか。会話を楽しく続けたいけど、意識しちゃうと難しかったりして。仕事やお互い話す理由がある時は話せるけど、目的もない話ってなかなかしづらかったりしますよね。なにせ共通の話題を探すところからだもん。そんな時、SMタイプ別に会話を広げる方法をご紹介。S男って打たれ弱いんです。自分が攻めの方が楽なの。だから共感するのがおすすめ。「いつもはどんなお酒飲むの?」からの「ワインかビールかなー。」とくるじゃない?そしたら「あたしも!一緒だ!」と共感。あなたがもし「うわー、ワインとビールかー。あたし飲まないわー。」と思ったとしましょう。でも「あーあたしは日本酒一本だわー。」とかはやめてあげてください。バッサリするとS男はダメージを受けます。「ワインはまだわかってないんだー、お食事はイタリアンとか多いの?」って自分のわかる話題にまで繋いでください。相手の話題により深く興味を持ってみてください。教えてもらう形だと向こうも自分の好みの話をしていいんだーと安心して饒舌になります。故郷が同じとわかったりすると嬉しくなったりする心理です。逆にM男は意表を突いたものに惹かれる傾向にあります。「いつもはどんなお酒飲むの?」と聞かれたとして「最近はパクチー酒かな?」と答えたとしましょう。「なにそれ?臭いの?」と興味を持ったりします。相手が「オレはワインとビールかなー。」と答えてきたら「あたし無理ー!酔っちゃうもん。日本酒のほうが飲めるかも!」とバッサリでオッケー。笑自分から変化を作らない受け身なMは、外から刺激をもらって学ぶんです。自分の知らないものを取り込みたいのよね。受け身だから。見極め方としては、好き嫌いがはっきりしてたり、ノーマルっぽいものを好きなのはSだと思っていいでしょう。ハンバーグとかナポリタンとかラーメンとか子供が食べそうなのを食べる人はSに多いです。臭いものやクセのあるものを率先して食べたいのはM。笑ぜひ、お気に入りの彼の食の好みをチェックして、話題を広げてみてください。Written by ひめまる
2018年03月25日12月12日放送の「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送)に、ジャーナリストの伊藤詩織さん(28)が出演。自身のレイプ被害と性暴力問題を語る詩織さんに、アシスタントのはるな愛(45)が涙を流す場面があった。 元TBSワシントン支局長の山口敬之氏(51)から性的暴行を受けたとして、民事訴訟に踏み切った詩織さん。10月に刊行された手記『Black Box』(文藝春秋)のタイトルについては「捜査が始まった時から、検察に書類送検された後も、繰り返し聞かされた言葉」だといい、事件が密室で行われるというだけではなく捜査や検察審査会の決定も「ブラックボックスだった」と語った。 また詩織さんは日本における性暴力被害について「声を上げない被害者の問題ではなく、声を上げることを許していない、声を上げづらくしている社会の問題」と語り、性犯罪被害者を守る法律や、社会システム改善の必要性を訴えた。 はるなは終盤まで発言していなかったが、大竹に「どうした?」と聞かれると大号泣。「こうやって淡々と、ときには笑顔を作ってお話ししている姿を見ていると、こういうことを理解してくれない法律って何だろうと思うので……」と声を震わせながら語った。 Twitter上では《はるな愛さんの涙に胸が締め付けられる思いでした》《自分もちょっともらい泣きしてしまった》と反響の声が。《私も涙を流された、はるな愛さんと同じ心持ちです》というツイートもあった。 詩織さんの訴えにはるなと同様、多数のリスナーが共感したようだ。
2017年12月14日子どもへの性教育、「よし、始めよう!」と改めて考えると躊躇(ちゅうちょ)してしまうもの。特にきちんとした性教育を受けていない世代の私は、子どもの質問にどぎまぎしてしまうことも。性教育を“性の話”として、家庭で自然に話ができるようにするにはどうしたらよいのか、保健師の岩崎眞有美さんに話を聞きました。子どもに性の話をするのはいつから?タイミングは?「お風呂に入ったときや母親の月経時、また下の子の出産を機になど、日常生活で性に関する場面に遭遇したときがチャンスです」と岩崎さん。岩崎さんは去年の春に第3子となる女児を出産したばかり。当時、出産に立ち会うことができた5歳の次男。彼の記憶として、「出産=ただ母が辛そうだった…」と彼の頭に残ってしまうのは違うと思い、改めて子どもと一緒に産後の振り返りをしたそうです。「赤ちゃんはね、おまたのおしっこが出るところと、うんちの出るところの間にもうひとつ赤ちゃんが生まれる穴があってね、そこから生まれてきたんだよ」という母の言葉に、「じゃ、うんちと一緒に生まれてきたの?」と次男(笑)。彼は恥ずかしさも抵抗もなかったのだとか。ママの月経中、ナプキンの取り替え時やシーツが汚れてしまった場合など、子どもが生活の中で気付いたときには、これは病気でも怪我でもなく月経であることを伝えます。「お腹には赤ちゃんのもとが入っていて、赤ちゃんがいない場合は用意したふかふかのベッドが体から出ていくんだよ」と、子どもがイメージできる範囲でよいので話をします。岩崎さんは、「女の人は毎月の月経によってお腹が痛くなったりだるくなるの。だから優しくしてね」と子どもたちに伝えているので、たくさんお手伝いもしてくれるのだそう。子どもの「なぜ?」の問いかけに、まずは“共感”日常でふとした拍子に子どもが問いかけてくる「なぜ?」、これに正直に、わかり易く答えることが大切だと岩崎さんは言います。親が構えてしまうと、「この話はしちゃいけないものなんだ…」と、子どもながらに学んでしまうもの。そんなときにはまず、「話をしてくれてありがとう」「いいところに気づいたね」「不思議だよね」と、子どもの「なぜ?」に共感することから始めるとよいでしょう。これらの言葉により、子どもの突然の質問にドキッとした自分の心を落ち着かせる“間”にもなり、親もどぎまぎせずに済むかもしれません。おむつが外れた頃から、自分のおしりは自分で洗えるようにおむつが外れて、トイレでおしっこができるようになった頃から、自分でお尻をふくことを教えていきます。入浴中にも、性器は自分で洗えるように教えていき、家族や親戚でも触らせてはいけない大切な場所、プライベートゾーンであることを少しずつ伝えていきます。それが後に犯罪から身を守ることにもつながり、また自分自身を大切にすることにもつながってくるのです。男の子と女の子は体の構造が違いますが、違いを知る前にまずは自分の体を知ることから。性はプライベートなことなので、家庭の中では親子で個別に対応できるのが望ましく、できれば女の子はママが、男の子はパパが教えることができるといいそうです。伝える親、大人の性意識性を伝えていく親として、「親自身の“性の価値観”を見つめ直すこともやってほしい」と岩崎さん。性には生殖性、快楽性、連帯性と3つの意味があるそう。「性はいやらしいものと否定的にとらえてきたかも…」「自分は子作りばかり考え、生殖のことでしか考えられなかったかも…」「友だちに同性愛の友人がいて肯定的に性の多様性を認められている」など、まず自分の意識を自覚することが、子どもへ性の話しをする方法にも関わるくらい大切なのだそう。それと同時に夫婦で性について話すことができるとなおよいのだとか。「今後の夫婦間の性のあり方について語り合えると、予定外の妊娠は防げますし、より互いのことを尊重できるようになると思うのです」と岩崎さん。男の子の性のロールモデルは父親、女の子は母親。父親が母親を女性として尊敬し、いたわり大切にする態度が、互いの性を尊重し合うことにつながり、また子どもへ自然と伝わっていくのです。いざというときの相談相手、話ができる家庭を目指して最後に、成長していく子ども達への性教育、親として心得ておくべきことを聞いてみました。「思春期を過ぎても性の話ができるかどうかは、それ以前から家庭で性について話しているかどうか。困ったときには相談相手となるよう、子どもと話ができる環境を作っていくことが大切です」かといって、無理をするのもダメ。いいお母さんになろうとして「家できちんと性教育を!」と、必死になるのも分かります。しかし、「家でできる限界、また自分の性意識や価値観は超えられないことがあるのも確か。なかなかニュートラルに語れない場合もあるので、そんなときは地域の保健師さん、理解のある小児科医、学校の保健の先生など専門家に頼ることも必要です」子どもと性の話をすることは、自分自身の性=生を見直す機会、また夫婦関係を見直すよい機会にもなりそうです。<文:フリーランス記者林未香>
2017年10月26日こんにちは。子育て支援を専門にする臨床心理士の今井千鶴子です。子育て相談の中でたびたび話題となるトピックがあります。それは、“共感する心はどうやったら育つか?”というものです。そこで今回は、“共感性の育て方”について考えてみます。●共感とは何かはじめに少し専門的な話になりますが、実は、共感はさまざまな心理的な要素が集まっている心の働き だといわれています。それらの要素は、大きく分けると「認知的側面」と「感情的側面」です。ここでいう認知的側面とは、相手の立場に立ってモノを見たらどのように見えるかを分析・理解することを指します。そして感情的側面とは、他者が感じていることを自分自身の感覚のように感じることを指します。少し日常場面に置き換えて考えてみると、“注射を嫌がり泣き叫ぶ子ども”がいた場合、それを見て「怖い気持ちでいるんだろうな」というのが認知的側面であり、「自分自身も自然とつらい気持ちになる」というのが感情的側面だといえます。●共感の必要性これまでの研究から、共感の高い子どもほど他児への“援助行動”を行いやすいことがわかっています。また共感は、“道徳性”を高めたり、“攻撃性”をコントロールしたりすることも知られています。これらの知見が得られた理由としては、物事を相手の視点から捉えたり、他者の思いを自分のことのように感じたりする共感力があれば、相手を助けたいという気持ちになったり、自分がされて嫌なことを他者にしようとは思わなかったりするからだと考えられます。こうした背景からも、子どもの共感を育てることはとても重要視されています。ただし、共感の能力が強すぎると、人の感情や思いに振り回されてしまい 、自分らしく行動できないことも指摘されています。●共感力を育てるためにママができること共感に関する心の働きを可能にする土台には、“相手が見ているモノを相手の視点で見る”という物理的な視点から、“相手の気持ちに立って考える”という心理的な視点を自分に取り入れる“視点取得(してんしゅとく)”が重要になります。なぜなら、視点取得がうまく働かないと、自分の視点だけで考えてしまい、人が感じていることをうまく感じとれず、自己中心的な状態になってしまう恐れ があるからです。ですから、はじめはお子さんに「ママの目から見ると何が見えるかな?」という物理的な視点の移動(取得)を促し、その後は「ママは今、どんなことを考えているかわかるかな?」といった心理的な視点を取り入れていきましょう。特に、相手の立場からモノを見ることが少し苦手なお子さんには、相手の気持ちに立って考えることを促すことが大切です。たとえば、もし、お友達のおもちゃを奪い取ってしまったときには、まずは「ママが○○ちゃん(自分の子どもの名前)のおもちゃを急に取っちゃったら、どんな気持ちがする?」とその子の気持ちを確かめます。もし「嫌な気持ち」と返ってきたら、「お友達も同じ気持ちだったんじゃないかな?」とお友達の気持ちに気づける具体的な関わりをします。相手の立場からモノを見ることが苦手なお子さんにとっては、視点取得はたやすいことではありませんが、ひとつひとつの状況において丁寧かつ具体的にサポートしていくことで、“相手の立場に立って考える”という視点が少しずつ促されていくと思います。また、普段の遊びでも視点取得は鍛えられていきます。その代表的な遊びが“ごっこ遊び” です。ごっこ遊びでは、「ママはこう言うだろうな」「お姉ちゃんはこうするだろうな」など相手の視点に立つことが求められるからです。一方、ブルース・D・ペリーの『子どもの共感力を育てる』では、共感を育てる方法として“本の読み聞かせ”も有効だと言われています。ペリー(2012)は読み聞かせについて、『読者は登場人物の立場に身を置き、登場人物がうまくやればわがことのように喜び、その苦しみをわがことのように感じる』と述べています。これらのことは、私自身の子育て経験や子育て支援の現場からも感じます。多くの子どもは、楽しい物語のときは楽しそうに、悲しい物語のときには悲しそうに、登場人物の経験を自分と重ねあわせているように見えます。ペリー(2012)が言うように、“読書はまさに共感の練習”です。ただ一つママに知っておいてほしいことは、共感力が強いお子さんほど、登場人物の感情に巻き込まれてしまう傾向があるということです。ですから、悲しい物語などを題材に使うときは、お子さんの様子に十分配慮しながら 本を選んでいくことが大切です。また、就寝前は明るい気持ちでお子さんが眠れるように本を選んでいけたらいいですね。さらに、物語の主人公と現実世界の自分とは“別の人間”だということもしっかりと理解させるとよいでしょう。----------いかがでしたか?今回は“共感性の育て方”について考えてみました。お子さんの健やかな成長を心より応援しています!【参考文献】・『子どもの共感力を育てる』ブルース・D・ペリー、マイア・サラヴィッツ(著)●ライター/今井千鶴子(臨床心理士)●モデル/椎葉咲子(苺乃ちゃん、胡桃ちゃん)
2017年08月08日自己愛性パーソナリティ障害とは出典 : 自己愛性パーソナリティ障害とは、自分に対して誇大なイメージを抱き、注目や称賛を求める一方で、他者からのマイナスな評価に対して過敏に傷つきやすく、他者に対する共感性が薄いことを特徴とする障害です。◇自己愛って?自己愛とは自分を大切にできる能力のことをいいます。自己愛は少なからず誰にでもあるものです。自己愛は年齢を重ねるごとに成熟していくといわれています。この「自己愛の成熟」とは精神医学では自分を肯定して愛することができる状態といわれていて、さらに、成熟すると自分以外の他者にも愛情を注げるようになるといわれています。◇自己愛性パーソナリティ障害は自己愛が未成熟な状態自己愛性パーソナリティ障害の人は、自己愛が未成熟な状態にあると言えます。自己愛が未成熟な状態とは、ありのままの自分を受け入れ愛することができていない状態をいいます。その未成熟さの現れが「自己の誇大化」、「他者からの評価に対する過敏さ」、「共感性の薄さ」になります。例えば自分自身が掲げる理想の姿が高く、「自分は特別」「自分はできる人間だ」という思い込みが強い傾向があります。そのために誇大な言動が表出します。「自分はできる人間だ」と思い込んでいるために他者からの評価を受け入れることができず、怒り出したり、過敏に傷つき、引きこもりやうつ病になったりすることもあります。さらに共感性の薄さによって、相手の立場に立って物事を考えることができず、その場にふさわしくない言動をしていたり、自分の目的達成のために友人を利用したりするような対人関係がみられることをいいます。以上の傾向に柔軟性がなく、持続的で、社会生活が困難になるほどの苦痛を引き起こしている場合に自己愛の歪みや未成熟さがあり、自己愛性パーソナリティ障害と判断されます。参考:狩野力八郎/著『自己愛性パーソナリティ障害のことがよくわかる本』|(講談社,2007)自己愛性パーソナリティ障害の特徴と2つのタイプ出典 : 自己愛性パーソナリティ障害には大きく分けて3つの特徴と、表出する2つのタイプがあります。以下にそれぞれを紹介します。◇誇大な言動・自分は才能がある特別な人間だと思い込み、それに伴った言動が目立つ・有名人や権威のある人と知り合いであることを自慢する(知り合いである自分は特別という裏打ち)◇他者からの評価に過敏・恥をかいたり、屈辱感を抱いたりするとカッとなって激しく怒り出す・ときにはその憤り(いきどおり)を超えて、ひどく落ち込み、自殺を考えだすこともある◇他者への共感性の薄さ・病気で入院している人のところへお見舞いに行って、自分の健康自慢をするなど相手の状況を考えない言動をする・自らの成果や目標達成のために、友人を利用したり裏切ったりという行為をする・わがままかつ傲慢な性格のため、あまり自分の意見を言えない友達を従えてあたかも自分が一番偉いかのように振る舞う自己愛性パーソナリティ障害の人は「3つの自己」を持っているといわれています。・誇大化させて形成された尊大で傲慢な自己・自分は欠陥がある人間だというイメージを持った自己・奥底に隠れている本当の自己この「3つの自己」がどれか一方に偏っていると、「自分は特別な人間だ!」と思い込んだり、「自分は誰よりもダメな人間だ・・・」と思い込んだりしてしまいます。「3つの自己」の偏り具合によって表出する人物像が異なってきます。根本にある自己愛の未成熟さや原因は共通ですが、その表出の仕方によって、自己愛性パーソナリティ障害は次の2つのタイプに分類されます。誇大的・自己顕示的で他者の反応に鈍感な「無自覚型」と他者の反応に敏感で注目されるのを避ける「過敏型」です。◇周囲を気にしない「無自覚型」タイプこのタイプの人は、自分はできる・自分は特別だと思い込み、社交的に振る舞いつつも他人のことには興味はなく自分の利益だけを考えています。このタイプの人が他者と親しく付き合うのは、自分に何かしらの利益があるからだと考えているためですが、自分の意向に沿わないときや責められると激怒することがあります。このような言動は本来の弱い自分を守るための防衛本能だといわれています。その他にも次のような特徴がみられます。・わがまま・傲慢な態度をとる・自分に夢中で他人のことは全く考えない・注目の的でないと気に入らない・他者に対する言葉づかいは常に攻撃的・他者の反応を気にしない/怒りに表わすことで気にしないことにしている・他者の気持ちを傷つけても平気◇周囲を過剰に気にする「過敏型」タイプこのタイプは身の丈に合わない理想化した自分自身を掲げますが、現実の自分との間にあるギャップに悩みます。他者からの評価に過敏ですぐに傷つきますが、自分には本当は才能があるという思いを持ち続けています。それゆえに自分自身を責めて落ち込んでいくサイクルが続きます。他にも次のような特徴がみられます。・内気で恥ずかしがり屋・自分の意見や感情を出さない・傷つけられたと感じやすい・注目の的になるのを避ける・他者の反応に対して敏感に落ち込む・他者からの評価を気にするこの障害がある人が自分を誇大化する理由は、本当の自分に自信が持てないなどの理由があります。本当の意味で自分自身を受け入れることができていない状態なのです。参考:『コフートの自己心理学に基づく自己愛的脆弱性尺度の作成』|パーソナリティ研究 2005 第14巻 第1号80–91 上地雄一郎宮下一博参考:狩野力八郎/著『自己愛性パーソナリティ障害のことがよくわかる本』|(講談社,2007)参考:『パーソナリティ障害いかに接し、どう克服するか』|(岡田尊司,2004)自己愛性パーソナリティ障害の原因はなに?出典 : 自己愛性パーソナリティ障害の原因を「これだ」とはっきり断定することは難しいといわれていますが、現時点では2つの仮説が提唱されています。自己愛性パーソナリティ障害は、生まれながらに持っている気質的要因に環境的要因が影響し、パーソナリティ(人格)が形成されていくという精神分析学者のカーンバーグの説と、環境的要因が最も作用しパーソナリティが形成されているという国際精神分析学会のコフートの説があります。気質的要因とは、人にもともと備わっているものの見方、感情の動きのことを言います。気質は先天的な特性と、あるいは後天的な経験が組み合わさりながら成り立っていると考えられています。例えばある物事をどのくらい細かくみられるか、どのくらい面白がれるか・関心を持てるか、没入できるかなどは人それぞれで、その度合いも異なります。物事に細かい神経質な人もいますし、その反対に大ざっぱな人もいますよね。気質として自己愛が低い人がいることがあってもおかしくありません。その感覚は人それぞれですが、家族でその気質は似ることもあります。参考:『意志気質検査の要因分析的研究』|久芳忠俊 山口大学ここで述べる環境的要因とは親と子どもの関係性や家族環境のことを指しています。環境的要因に関してはコフートとカーンバーグの考え方をそれぞれ紹介します。◇コフートが考える環境的要因コフートは例えば、幼少期の子どもの「お母さん(お父さん)見て!」という承認欲求に対して、親が肯定的に応えて「共感」の態度をとることは、自己愛の形成に大きな影響を与えているといいます。幼い子どもはみな誇大な自己を持っていて、なんでもできる気になっています。そして親に褒められたいと思うようになり、顕示し承認されることで自己愛を育みます。そして成長に伴ってその理想像が変化し、親から褒められることがそれほど重要なことと思えなくなっていきます。それがまさに自己愛の成熟の過程の一部です。しかし親が子どもへの「共感」の態度を示さないと共感不全の状態に陥り、自己愛が育ちにくいといわれています。自己愛が未成熟のまま成長すると親だけではなく他人からの称賛や注目を集めて自己愛を満たそうとしますが、それで自己愛が成熟することはありません。コフートは必要な精神療法を用いて自己愛を成熟させる治療は可能だと考えています。◇カーンバーグが考える環境的要因カーンバーグは本人の気質的要因と家族がつくりだす環境的要因の2つが作用していると考えています。気質的要因はこれまで述べた通りです。環境的要因として過剰な期待をのせて、才能を褒め立てて「特別な子ども」と言い聞かせて育てたり、体の弱い子に対して過保護になったりすることが挙げられます。良かれと思っていても過度にそういった行動をすると自己愛が成熟せず、未成熟の状態が続いてしまいます。以上のことから先天的な気質要因と後天的な環境要因の影響が加わって、人格および自己愛が形成されていくといわれています。参考:『パーソナリティ障害いかに接し、どう克服するか』|(岡田尊司,2004)参考:狩野力八郎/著『自己愛性パーソナリティ障害のことがよくわかる本』|(講談社,2007)自己愛性パーソナリティ障害は見つかりにくい障害出典 : 自己愛性パーソナリティ障害は本人が気づきにくい障害です。もともとの気質や慣れてしまった環境の中で、自らの生きにくさに気づくことはほとんどありません。自己愛性パーソナリティ障害は、その障害によって引き起こされた二次障害が表出することによって後から発覚することがほとんどです。自己愛性パーソナリティ障害が引き起こす二次障害とは、例えば自傷行為、うつ、パニック障害、摂食障害、不眠症、心身症、不安障害などが含まれます。これらの症状が表出することで医療機関を受診し、原因を探っていくと自己愛性パーソナリティ障害があった、ということが多いようです。特に自己愛性パーソナリティ障害がもつ誇大性や他者からの評価へ過敏などの症状は、少なからず誰にでもありそうなことです。しかしその考え方が原因で二次障害や社会生活に困難が生じている場合は「障害」になります。それゆえに、これまでは「そういう性格の人」として周囲からも認識されていることから、家族や周りの人も気づきにくいのです。参考:狩野力八郎/著『自己愛性パーソナリティ障害のことがよくわかる本』|(講談社,2007)自己愛性パーソナリティ障害の診断基準出典 : 自己愛性パーソナリティ障害の診断基準について説明していきます。診断基準は医療機関によって異なりますが、主に世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)やアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)に基づいて臨床的に診断が下されます。ここでは『ICD-10』による診断基準を説明していきます。『ICD-10』では以下から5項目以上が認められれば自己愛性パーソナリティ障害である可能性が高いという基準になっています。次のうち,5項目以上が存在すること.(1)誇大な自尊心をもっていること(すなわり,業績や才能を実際よりも過大視し,相応の実績がないのに自分が優れていると認められているはずだと思う).(2)際限のない成功・能力・才気・美貌,あるいは理想の恋愛について,非現実的な考えにふけること.(3)自分は「特別」で比類がなく,他の特別な,あるいは地位の高い人々(または組織)だけが自分を理解でき,それらの人たちと付き合うべきだと信じている.(4)称賛を必要以上に要求する.(5)権利意識が強い.ありえないのに,自分に好都合な特別待遇を期待したり,または自分の要望がそのまま受け入れられることを期待する.(6)自分の目的を達成するために他人を利用する.(7)共感性の欠如.他人の感情や要求に気づいたり理解したりしようとしない.(8)よく他人をねたむ,あるいは他人が自分をねたんでいると確信する.(9)横柄で傲慢なふるまいや態度.『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版 p494)自己愛性パーソナリティ障害と境界性パーソナリティ障害は見分けるのが難しい出典 : 専門医でも見分けるのが難しいといわれている自己愛性パーソナリティ障害と境界性パーソナリティ障害について紹介していきます。境界性パーソナリティ障害とは対人関係、自己像などの広い範囲において、激しく考え方や感情が変化してしまう障害です。他人から見捨てられてしまうのでないかという不安と、自分が何者でどうふるまえばよいのか分からない自己イメージの不安定さが発症の背景にあるといわれています。「見捨てられる不安」とはどういうことかというと、自身が信頼をおいている相手には依存する症状がある一方で、常に根底では「自分が見捨てられてしまうのではないか」という不安を感じているということです。「自己イメージの不安定さ」とは、自己同一性(アイデンティティ)が確立していないことから、例えば一面的な評価を自分の全人格に対する評価として過剰に受け取ってしまいます。その度にひどく落ち込んでしまったり、同じ人からの評価にも関わらず、褒められたときはその人のことを好意的に思う一方で、問題などを軽く指摘されただけでその人に敵意を示し激しい怒りを感じたりします。境界性パーソナリティ障害は自己中心的で対人関係の問題から情緒不安定をまねくことなどから自己愛性パーソナリティ障害と共通点が多くあります。また原因も自己愛の未成熟が関わってくることから診療の現場では、この2つの障害の区別は難しいとされています。この2つの障害の違いは、境界性パーソナリティ障害は、自己否定を繰り返し考え続けることで情緒不安定を生みます。それに対して自己愛性パーソナリティ障害は、理想と現実のギャップを受け止められず、自己防衛のために誇大化した言動を繰り返し、自信があるようにうかがえるという点です。そもそもパーソナリティ障害はそれぞれ独立して存在するのではなく、重複している共通の症状があるため、複数のパーソナリティ障害が併存しやすくなっています。ですので境界性パーソナリティ障害に限らず、他のパーソナリティ障害が合併していることがあったり、判断が難しかったりする場合があります。参考:『パーソナリティ障害いかに接し、どう克服するか』|(岡田尊司,2004)自己愛性パーソナリティ障害は発達障害と合併している可能性もある出典 : 自己愛性パーソナリティ障害は、必要な親からの共感が得られなかったことが原因のひとつではないかという仮説があります。自閉症スペクトラム障害やADHDをはじめとする発達障害がある人は、その特性から、社会関係や対人コミュニケーションに困難さが生じる場合があるほか、親が育てづらさを感じて親子の関係がうまくいかなかったり、体の感覚が過敏で子どもがだっこを嫌がったりして、必要なコミュニケーションをとる機会を持ちにくかったりする場合があります。こうした、親子や対人関係上の困難さが積み重なることによって、子どもの自己愛が十分に成熟することができず、自己愛性パーソナリティ障害へと発展する可能性もあると考えられています。参考:狩野力八郎/著『自己愛性パーソナリティ障害のことがよくわかる本』|(講談社,2007)自己愛性パーソナリティ障害かも・・・相談先や医療機関、保険は効くの?出典 : パーソナリティ障害の診断は、専門医にも難しいものです。もしご自身やご家族に自己愛性パーソナリティ障害の疑いを感じた場合は、一人で悩む前にまずは専門機関に相談することをおすすめします。医療機関での受診先は精神科、神経科、心療内科などになります。「相談」のつもりであっても、形式は「受診」になるため、できるだけ本人を連れていくようにしましょう。「もしかして自己愛性パーソナリティ障害かも・・・?でも、医療機関を受けるほどのことでもないような気がする・・・」そのような場合は、各都道府県や政令指定都市に設置されている精神保健福祉センター、または各市区町村に設置されている保健所・保健センターの相談窓口へ相談してみてください。もちろん、本人だけではなく家族が電話などで相談することもできます。次のリンクは全国の精神保健福祉センターの一覧になりますので、参考にしてみてください。参考:全国の保健福祉センター一覧また、本人が会社勤めの場合や高校や大学に通っている場合、学校や企業専属のカウンセラーに相談することもおすすめです。企業や学校のカウンセラーは、その人が所属している組織の内情にも通じているため、より適切なアドバイスをもらうことができる可能性が高いです。また、連携している医療機関を紹介してもらえる場合もあります。自己愛性パーソナリティ障害で医療機関を受診する場合は保険診療となります。ですが自己愛性パーソナリティ障害と診断されて治療を開始することは少なく、二次障害として現れるうつ病や摂食障害などの治療から始めることが多いです。この場合でも保険診療となります。参考:狩野力八郎/著『自己愛性パーソナリティ障害のことがよくわかる本』|(講談社,2007)自己愛性パーソナリティ障害の治療法はある?出典 : 自己愛性パーソナリティ障害は、その人の気質・家族環境によって表出する症状なども変わってきます。そのため治療も人によって異なり、さまざまな方法を組み合わせて治療が進められます。医師や心理技術者が患者さんの心理面に様々な働きかけを行い、患者さんの認知や思考、行動パターンなどの偏りを改善して少しずつ社会に適応できるようにしていく治療法です。1週間に1~2回、30分から1時間程度、治療者が患者さんと面接する形で行うのが一般的です。内容に関しては個々の治療者の判断によるところが多く、統一のガイドラインはありません。この治療法においては、以下の3点を患者さんと周囲の人々が理解する必要があります。・効果が表れるのに時間がかかる治療法であり、一般的には数年かかる・誰にでも効果が期待できるものではない・治療者との信頼関係がなければ効果は得られない個人精神療法は、精神科医が行うもっとも基本的な治療法の一つではありますが、「絶対的な治療法」であるという過度の期待を持つと、すぐに効果が出ないと治療を投げ出してしまったり、治療者を疑ったりと逆に治療が困難になってしまうことがあります。その場しのぎではなく問題を根本から改善しようとするものであるため、時間はかかりますが、本人が治療の意思を持って、治療者と信頼関係をしっかり結んで治療を継続していくことが必要です。集団精神療法とは、同じパーソナリティ障害を持つ人が複数人集まり、グループで話し合いをしたり、共同で作業をしたりする活動を通して、社会にうまく適応できない原因を見つけて解決する方法です。他の患者さんとコミュニケーションをとりながら、自分と同じ障害を持っている人を見つめることで問題に気付き、それを自分にあてはめて考えることができるようになります。集団精神療法での仲間体験は、患者さん自身の自己肯定感を持たせることにつながり、他人とコミュニケーションの取り方を練習する機会にもなります。また患者さん本人だけでなく、家族にも治療を行う場合があります。パーソナリティ障害がある患者は、その家族にも認知や思考のパターンに偏りがあることが多いためです。この偏りのために、家族の努力が患者さんの症状を逆に悪化させていることもあります。具体的には、治療者が家族全員と面接を行ったり、患者さんの付き添いで来院した際に話を聞いたりします。患者さんに思いをうまく伝える言葉のかけ方や、患者さんの気持ちを安定させるための振舞い方など、適切な対応法を治療者から指導します。なお家族療法は、患者さんが未成年のときに行われることが多いです。患者さんがある程度の年齢に達している場合は、患者さん自身が家族から自立する方向で治療が行われる傾向にあります。薬物療法は、強い不安や緊張、抑うつなど、程度の強い精神症状を一時的に和らげる目的で使われます。しかし、あくまで対症療法にすぎず、障害を根本から治すことはできません。治療の中心は精神療法で、薬物療法はその潤滑油としての役割を果たします。使われることのある薬の種類と働きは以下の通りです。■抗精神病薬主にドパミン系の神経に作用し鎮静させます。自傷行為などの衝動性が強くみられる場合に使われることがあります。リスぺリドンなどリスペリドン■抗うつ薬気分の落ち込みが続くときなどに用いられます。主にセロトニンなどの神経伝達物質を調整するSSRIやSNRIなどを使用します。・SSRI:フルボキサミンマレイン酸塩(デプロメール)、パロキセチン塩酸塩水和物(パキシル)など・SNRI:ミルナシプラン塩酸デプロメールパキシルトレドミン■抗不安薬不安や焦り、イライラ感が強い場合に使われるが、依存や乱用、衝動的な行動を増すおそれなどがあるのでSSRIのパロキセチン塩酸塩水和物に切り替えていくこともあります。ベンゾジアゼピン系抗不安薬(レキソタン)参考:狩野力八郎/著『自己愛性パーソナリティ障害のことがよくわかる本』|(講談社,2007)自己愛性パーソナリティ障害克服のヒント出典 : 自己愛性パーソナリティ障害の克服に向けては本人だけでなく、家族の協力も必要になってきます。克服していくためには障害と向き合う本人の意欲と家族が何ができるかを考えて実践していくことが重要です。ここでは家族が本人に向けてできること、家族ができることのヒントを紹介していきたいと思います。■家族が本人に向けてできることまずは本人が自分の障害になっていることを突き詰めて考えていくよう促します。その時に自分に障害があることを家族や誰かのせいにする、医師が何とかしてくれるという考え方を捨てて、自分自身の問題だと自覚し、自分で向き合っていくというスタンスをつくっていきます。これはとても時間が必要ですので、何度も何度も繰り返しながら新しい考え方をつくっていくように心がけることが大切です。■家族自身ができることこれまでの育て方や障害になったのは自分のせいだ、と思い悩まずに、障害がある本人のために何ができるかということを考えていきましょう。家族の在り方を見直し、本人だけをみるのではなく家族全体の「関係性」に視点を変えていきます。どのような関係性が出来上がっているのか、それをどのように調整していったら良いのかなど、改善できそうな点を挙げて実践していくことをおすすめします。参考:狩野力八郎/著『自己愛性パーソナリティ障害のことがよくわかる本』|(講談社,2007)まとめ出典 : 自己愛性パーソナリティ障害の原因にはさまざまな説がありますが、どの説にもほぼ共通しているのは自己愛が形成されていく過程には親との関係性が大きな割合を占めているということです。共感が感じられなかったり、逆に過度な子どもへの干渉から自己愛の形成がスムーズに進まないことなどによって自己愛性パーソナリティ障害は発症するといわれています。「自己愛」は自己愛性パーソナリティ障害だけでなく、他のパーソナリティ障害の根本的な原因にもなりうるといわれています。人間がより幸福に生きていくためには心と体の健康を意識しなくてはなりません。幼少期に十分にコミュニケーションをとることやスキンシップをとることは、心の健康を育てていくことと繋がります。とはいえ、完璧な自己愛をもっていると言い切れる人は少ないとも言えるでしょう。どこかに何かしらの欠如があるからこそ、その人らしさが現れることもあります。自己愛性パーソナリティ障害に関しては、自己愛の未成熟さは治療によって成熟に向かうこともあるといわれています。治療はある意味でこれまでの生き方やその人らしい考え方の変化とも言えます。そのため、治療には長い時間がかかりますし、本人がより生きやすくなるためには家族の協力も必要になってきます。家族だけでは難しい場合は周囲の人と協力して環境を調整していく努力も重要です。今まで築いてきた本人や家族のスタイルを見直すことは容易なことではありません。しかしより良い環境へ変化させていくチャンスだと思って積極的に取り組んでいくことで、それぞれにとって生きにくさを解決するきっかけになることもあるのです。
2017年05月29日あなたの周りにそんなに可愛くないけれどなぜかモテる・・・という人はいませんか。その理由の一つに「共感力」が高いということが挙げられるんです。でも「共感力」ってどうやったら手に入るの?と疑問に思っている女性も多いはず。そこで今回は「共感力の高い女性がモテる理由」についてアンケートしてきました。■1.何でも話しやすい「共感してくれるということは、自分に興味を示してくれているということだと思うので、人には言えない将来の夢とかも話しやすい。」(19歳男性/専門学生)「自分の意見を前面に押し出すよりかは『うん、うん』と彼の意見に同調する方がモテに繋がると思う。」(20歳女性/大学生)基本的に話し上手よりも聞き上手な人の方がモテます。彼に正論をぶつけるよりも、「分かるよ」「そうだよね」と共感してあげることが大切です。話すのが苦手・・・という子も相槌を打つだけなので実践しやすいですよね。■2.一緒にいて安心する「自分を否定されないので一緒にいて居心地が良い。こういう子と結婚したら幸せになれるんだろうなと思ってしまいます。」(24歳男性/営業)「今の彼女はどんなに辛い時でも俺の気持ちに寄り添って味方になってくれた。前までは変な見栄やプライドがあったんですが、彼女のお陰で等身大の自分になれました。」(25歳男性/販売)自分を分かってくれる人がいるということは安心する要素になります。『私はあなたの味方なんだよ』という姿勢を前面に出していくのも、共感力の一つになるでしょう。■3.次も会いたいと思える「どんなにその場が盛り上がっても、また次に会いたいと思ってもらえないと意味がない。そのためには相手の気持ちに寄り添うことが必要だよね。」(21歳女性/アパレル)「話が合う子っていうか、俺の話にもニコニコ聞いてくれるような子とは次も会いたいなって思う。共感してくれたっていう良いイメージしかないからね。」(23歳男性/マスコミ)共感力が高い人は自然と好感度も上がっていきます。彼の心をがっちり掴んで次に繋げてしまいましょう。■4.彼女のためにも何かしてあげたくなる「自分ばかり話を聞いてもらっていると自然と相手にも何かしてあげなくちゃという気持ちが湧いてくる。」(21歳男性/大学生)「今度は自分があの子の力になりたいって思える。それってもうその子のことを好きになっているってことだと思うし、そんな感情が自分にあるのかと思うとちょっとビックリしてしまった。」(23歳男性/営業)普段お世話になっている子には今度自分が何かしてあげたいという気持ちが湧くようです。好きな人にこんなことを思われたら嬉しくてたまらないですよね。共感力の偉大さを感じさせられます。■おわりにいかがでしたか?確かに女性からしても共感力の高い男性とは「また次も会いたい」と思いますよね。あまりにも自分が聞いてばかりだと疲れてしまうので、バランス良く聞き役に徹してみてはいかがでしょうか。これを機に「共感力」を身に付けてモテモテ女子になってしまいましょう!(和/ライター)(前田希美/モデル)(柳内良仁/カメラマン)
2015年10月09日