奈良原一高の個展「Fashion」が、東京・六本木のamanaTIGP(アマナティーアイジーピー)にて、2023年2月10日(金)から3月11日(土)まで開催される。奈良原一高による“ファッション写真”奈良原一高は、日本を代表する写真家の一人。代表作『ヨーロッパ・静止した時間』などを手がけた奈良原は、これを発表した時期、生きた人間が衣服を身に纏って表現する「生きている造型」としての“ファッション写真”に興味を抱き、雑誌を主な媒体として数々のファッション写真を精力的に発表してきた。たとえば、1959年に雑誌『装苑』の編集者とアトリエを訪れて以降長きにわたり交友関係を築いた森英恵と数多のコラボレーションを実施。富士紡績のカレンダーのほか、1969年には田中一光、成島東一郎と共同で監督を務めたプロモーション・フィルム「ザ・ワールド・オブ・ハナヱ・モリ」を制作し、写真だけでなく映像でもファッションとの協働を行った。ファッション雑誌などの表紙を飾った作品18点を展示展覧会「Fashion」では、『婦人画報』や『ハイファッション』 といった ファッション雑誌のほか、『日本カメラ』など写真専門誌の表紙や誌面を飾った作品18点を展示する。モデルはパリ・コレクションに参加したことでも知られる松本弘子らが務め、その多くが奈良原と親交の深かった森英恵や伊東孝がデザインした衣服を着用するなど、“ファッション”に着目することで、ファッション写真に新鮮な眼差しを向ける奈良原独自の探求心を垣間見ることができる。奈良原の芸術活動に新たな角度から光を当てた展覧会となっている。また、2004年に東京都写真美術館にて開催された回顧展「時空の鏡:シンクロニシティ」以後、奈良原によるファッション写真のヴィンテージプリントが展示されるのは実に19年ぶり。貴重なヴィンテージプリント作品やアートとしてのファッション写真を目にすることができる。【詳細】奈良原一高「Fashion」会期:2023年2月10日(金)~3月11日(土)会場:amanaTIGP(アマナティーアイジーピー)住所:東京都港区六本木5-17-1 AXISビル 2F営業時間:12:00〜19:00定休日:日月祝入場料:無料■同時開催・「境界をみつめて 奈良原一高写真展」会期:2月4日(土)~3月26日(日)会場:呉市立美術館住所:呉市幸町入船山公園内・「特集:新収蔵 奈良原一高の写真」会期:2月11日(土・祝)~5月7日(日)会場:和歌山県立近代美術館住所:和歌山県和歌山市吹上1-4-14【問い合わせ先】amanaTIGPTEL:03-5575-5004
2023年02月12日奈良原一高 追悼展「消滅した時間」が、六本木のタカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムにて、2020年2月29日(土)から4月4日(土)まで開催される。日本を代表する写真家の1人・奈良原一高。1956年に「人間の土地」で鮮烈なデビューを果たしたのち、豊かな詩情を湛える独自の表現で、日本の写真史に新たな息吹を吹き込んだ。自分たちの存在を超える“消滅した時間”を写真のなかに見出す奈良原は、晩年には“宇宙との対話”とも言える作品世界を生みだしたものの、2020年1月に逝去した。そうした奈良原の追悼展である「消滅した時間」では、時空を越えた独自の視座を確立する契機の1つとなった、1970年代のアメリカ滞在中に撮影された作品群「消滅した時間」を展示。ニューメキシコやユタ、ニューヨークなどを収めた作品約10点を目にすることができる。【展覧会概要】奈良原一高 追悼展「消滅した時間」会期:2020年2月29日(土)〜4月4日(土)時間:12:00〜19:00会場:タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム住所:東京都港区六本木5-17-1 AXISビル 2FTEL:03-5575-5004定休日:日・月曜日、祝日
2020年02月17日写真家、奈良原一高が1960年代に発表したシリーズ「スペイン偉大なる午後」に注目した『奈良原一高のスペイン約束の旅』が、世田谷美術館にて2020年1月26日(日)まで開催されている。1931年生まれの奈良原一高は、1950年代後半に、極限状況で生きる人間の姿を見つめる「人間の土地」「王国」などのシリーズによって、戦後日本の新しい写真表現を切り開いた写真家だ。同展では、そんな奈良原が1960年代に発表したシリーズ「スペイン偉大なる午後」に注目。これまでほとんど取り上げられることのなかった同シリーズを、奈良原一高アーカイブズ所蔵のニュープリントにより120点のモノクローム作品として紹介する。これらの作品は、1962年から65年にかけてヨーロッパに向かった奈良原が、3度にわたり訪れ、5ヶ月あまりを過ごしたスペインで撮影されたもの。長い内戦が終わり、観光客の誘致によって徐々に変わりゆくであろう、スペインの人々の暮らしや文化をダイナミックに捉えている。展覧会は「祭り」「町から村へ」「闘牛」の3章で構成。伝統的な祭りのダンスに興じる若者や、中世の面影を残す地方の村々、鮮やかに舞う闘牛士など、当時のスペインの魅力を写し留めた作品が並ぶ。奈良原自ら「約束の旅」と名付けた道のりの痕跡として残された作品の数々から、彼が見つめたスペインの熱気を体感することができるはずだ。【開催情報】『奈良原一高のスペイン約束の旅』2020年1月26日(日)まで世田谷美術館にて開催【関連リンク】世田谷美術館()奈良原一高《偉大なる午後マラガ》〈スペイン偉大なる午後〉より1963-64年(c)Ikko Narahara奈良原一高《偉大なる午後パンプローナ》〈スペイン偉大なる午後〉より1963-64年(c)Ikko Narahara奈良原一高《フィエスタパンプローナ》〈スペイン偉大なる午後〉より1963-64年(c)Ikko Narahara奈良原一高《フィエスタパンプローナ》〈スペイン偉大なる午後〉より1963-64年(c)Ikko Narahara奈良原一高《バヤ・コン・ディオスコルドバ》〈スペイン偉大なる午後〉より1963-64年(c)Ikko Narahara奈良原一高《バヤ・コン・ディオス》〈スペイン偉大なる午後〉より1963-65年(c)Ikko Narahara奈良原一高《バヤ・コン・ディオス》〈スペイン偉大なる午後〉より1963-64年(c)Ikko Narahara奈良原一高《偉大なる午後》〈スペイン偉大なる午後〉より1963年(c)Ikko Narahara
2019年11月28日東京都写真美術館が11月22日から17年1月29日まで、“東京”をテーマに収蔵品で構成するコレクション展「TOPコレクション 東京・TOKYO」を開催する。毎年違ったテーマを立ててコレクションを開催している東京都写真美術館。リニューアルオープン後初めてのコレクション展は、誰もがその言葉から様々なイメージを思い浮かべることができる都市“東京”をテーマに開催する。人それぞれのイメージがあり、一つのイメージには集約できない不思議な街であり、多くの写真家たちのインスピレーションの源にもなってきた東京。同展では、「東京を表現、記録した国内外の写真作品を収集する」という、同館の収集方針の一つのもとに集められた作品の中から、戦後から現代の作品を中心に紹介する。展示は、様々な視点で切り取った作品から浮かび上がる東京の姿を紹介する「街角で」、華やかさの裏側のディープでよりリアルな現実を捉えた「裏路地で」、皇居をはじめとする東京の庭園や公園などを写した「東京エアポケット」、人のいない東京や他人の家の中などを見ることができる「見えないものを覗き見る」、行政上の区分とは異なる境界線を捉えた東京に焦点を当てた「境界線の拡大、郊外、サバービア」、どこの街にもあるようなふとした東京の風景たちの「どこでもない風景」、撮影に人工的な仕掛けを加えるなど東京と戯れて撮影したような写真を捉える「多層的都市・東京と戯れる」にそれぞれ分けて構成される。出品作家は、石元泰博、 林忠彦、山内道雄、荒木経惟、森山大道、朝海陽子、伊奈英次、宮本隆司、小林のりお、ホンマタカシ、花代、奈良原一高、畠山直哉、林ナツミ、本城直季など。関連イベントとして、出品作品に写っているものについて参加者全員で対話しながら鑑賞した後に簡単な暗室での制作を行う「対話による鑑賞プログラム」や、担当学芸員によるギャラリートークが予定されている。また、将来性のある作家を発掘し、新しい創作活動の場となるよう毎年異なるテーマを決めて開催している「東京・TOKYO 日本の新進作家vol.13」展も同時開催される。【展覧会情報】「総合開館20周年記念 TOPコレクション 東京・TOKYO」会場:東京都写真美術館3階展示室住所:東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内会期: 11月22日~17年1月29日時間:10:00~18:00(木・金曜日は20:00まで)※ただし17年1月2日(月・振休)、 3日(火)は11:00~18:00 入館は閉館30分前まで休館日:月曜日、12月29日~17年1月1日
2016年11月16日東京都・渋谷区のディーゼルアートギャラリーは、2012年に逝去した写真家・深瀬昌久の写真展「救いようのないエゴイスト」を開催する。会期は8月14日まで。入場料は無料。本展は、日本の写真界に影響を及ぼした写真家・深瀬昌久の7年ぶりとなる写真展で、代表作はもちろん、数十年の沈黙を続けてきた貴重な未発表作品までも公開する。1974年、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で開催された写真展「New Japanese Photography」では、土門拳や東松照明、奈良原一高、森山大道らと並んで世界に紹介された深瀬昌久。彼の写真は、妻や家族、あるいはカラス、猫など、常に身近なモチーフにレンズを向けながらも、「自分とは何者か?」という問いを追い求めるものだったといい、元妻・洋子も1973年発刊のカメラ誌に寄稿した原稿の中で「彼の写した私は、まごうことない彼自身でしかなかった」と語ったという。本展タイトルは、この原稿の題名『救いようのないエゴイスト』から付けられたとのこと。会期中は、展示作品に加え、今回が半世紀ぶりの公開となるという1963年の作品『屠』をまとめた写真集(3,780円)などを部数限定で販売するほか、展示作品からピックアップしたポストカードも4種用意される(各216円)。なお、本展キュレーターは、深瀬が遺した写真作品の普及管理活動にも携わるアートプロデューサー、トモ・コスガが務める。
2015年06月02日写真家の奈良原一高による写真展が、東京国立近代美術館にて開催される。期間は11月18日から3月1日まで。奈良原は戦後を代表する写真家の1人で、58年に開催した個展「王国」で日本写真批評家協会新人賞を受賞。その後、一時はヨーロッパに渡り、滞在中に撮影した作品をまとめた「ヨーロッパ・静止した時間」で数々の写真賞を受賞している。本展では58年に発表されたシリーズ「王国」から、プリント全87点が展示される。これは、北海道の修道院、及び和歌山の女性刑務所を被写体としたもの。極限状態を生きる人間をテーマとしており、タイトルはアルベール・カミュの中編小説『追放と王国』から取られている。小説の中で綴られた「その中央にヨナは実に細かい文字で、やっと判読出来る一語を書き残していた。が、その言葉は、Solitaire(孤独)と読んだらいいのか、Solidaire(連帯)と読んだらいいのか、分からなかった」という一節は、作品発表時に引用されている。今回の展示では78年に発刊された写真集『王国 ―沈黙の園・壁の中―』の構成を忠実に再現。シリーズ全体像の紹介は東京では56年ぶりとなり、奈良原の傑作をまじかに見る数少ない機会となりそうだ。【イベント情報】奈良原一高 王国会場:東京国立近代美術館ギャラリー4住所:東京都千代田区北の丸公園3-1会期:11月18日から3月1日時間:10:00から17:00(金曜日は20:00まで)休館日:月曜日(11月24日と1月12日は開館)、11月25日、12月28日から1月1日、1月13日入場料:一般430円大学生130円(高校生以下と65歳以上は無料)
2014年11月07日先鋭的なビジュアル表現かつ根源的なテーマで発信する『マザー(MOTHER)』マガジン。ロンドンを拠点にする写真家、ケイト・フレンド(Kate Friend)により2012年に創刊されたインディペンデント・ファッションカルチャーマガジンだ。パリのセレクトショップ「コレット」をはじめ、東京の「代官山 蔦屋書店」などで取り扱いがある。特徴的なのは、日本のアートやカルチャーをメインコンテンツとして扱っていること。高木由利子や花代といった日本人写真家による撮り下ろしストーリーの他、大御所の奈良原一高、中平卓馬から新進の山内悠までの日本の前衛的な写真表現、丹下健三や安藤忠雄の建築などをフィーチャーし、一貫した美意識と日本文化への関心の高さがうかがえる。その3号目にあたる「EROS/THANATOS(生と死)」が5月28日にリリースされ、編集長のケイトが来日。製作の背景と日本文化を取り上げる理由について聞いた。――まず、最新号の内容について教えてください。毎号テーマを決め、それに沿った編集内容にしています。今回は、EROS/THANATOSという、相反するようでいて、実は近しいようにも思える生と死への衝動について特集しました。私自身関心があって、最近の多くの決断の背後にある意識です。例えば、猛スピードで車を運転している時、傍目には死に向かっているようですが、意識は覚醒し、生の充足と静けさを感じている。そうした本能に敏感で自覚的な人達を取材しました。写真家・中平卓馬の70年代の作品、モデルの福島リラを花代が撮影したファッションフォトストーリー、カリフォルニアで「チャボエンジニアリング」というカリスマ的カスタムバイクブランドを主催する木村信也、ダムタイプのアートパフォーマンス、「アンダーカバー(UNDERCOVER)」デザイナー・高橋盾のインタビューなどで構成されています。――創刊号が“GENESIS(創世記、起源)”、2号目が“TRANSCENDENCE(超越)”ですが、毎号のテーマはどのように決めているのでしょうか。特集を考える時に、私が何を感じているか、ですね。それぞれのテーマは社会や経済の情勢、私自身の内面を反映したものになっています。気をつけているのは、抽象的なテーマを選ぶこと、明確なイメージが思い浮かぶものは避けること。「パンク」や「ロマンティック」など使い古されたコンセプトは選びません。その方が、参加するクリエーターも自由な表現ができるから。――雑誌を創刊した理由を教えてください。既存メディアがコマーシャルになりすぎ、自分が仕事をしたいと思う媒体がないことが原因です。私はコマーシャルでありながらも、クリエーティブで実験的なプラットフォームをつくりたいと思いました。ロンドンでは、インディペンデントメディアの動きが盛んになっています。写真家のニック・ナイトによるファッションを表現するインターネットプラットフォームSHOW studioもその一つです。でも、私は雑誌という紙媒体にこだわりました。『MOTHER』はわずか1,000部しか刷りません。印刷や紙の質など、ものとしてのクオリティーにこだわりを持ち、美しいオブジェとしてデザインしています。紙という素材が珍しくなるほど、印刷物は、魅力的で、退廃的な存在になると思うのです。――あまりアドページを入れてませんが、広告に対して積極的ではないのでしょうか。いいえ、むしろ広告媒体にもなりうるプラットフォームだと考えています。ファッションブランドはコマーシャルになりすぎない、新しい広告手法を探しているように思います。『MOTHER』はブランド広告ではなく、編集ページをファッションブランドがスポンサードするアドバトリアルの方法を模索しているのです。2/2に続く。
2014年07月11日