意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「マイナンバーカード」です。普及率の伸び悩みは、利便性の実感がないから。マイナンバー制度が始まって、今年で3年目になります。ところが、マイナンバーカードの普及がなかなか進まず、政府は頭を抱えています。交付開始前に政府が掲げた目標交付枚数は2019年3月末で8700万枚。実際には、昨年8月末の時点で1230万枚、人口比でいうと普及率は9.6%にすぎず伸び悩んでいるのです。住民票や基礎年金、健康保険被保険者証などにはそれぞれに番号があり、個人の特定に労力を費やしていました。マイナンバー制度はそれらを一本化して、「社会保障、税、災害対策」の分野で活用するために始められましたが、いまはまだ過渡期にあり、マイナンバーカードでできることといえば、コンビニで住民票の写しや印鑑登録証明書が取れるくらいです。法務省は、今後マイナンバーを使い、婚姻届やパスポートの発給申請、老齢年金請求に必要な戸籍証明書が不要になる、戸籍法改正案を来年の通常国会で提出する方針を発表しました。地震災害が発生したときには罹災証明書が発行されるのですが、世帯ごとに1通のみ。2世帯以上で住んでいた大家族が、被災して一つの家に住めなくなったとき、子供や孫の世帯は罹災証明書を受け取れないという問題が熊本地震で起こりました。これも、マイナンバーカードで個人を特定して証明書を出すという案が検討されています。マイナンバーカードには、生体認証にも使えるICチップが入っています。この認証機能が活用できれば、健康保険証や銀行のキャッシュカード、転売不可のチケットなどに有効活用される可能性を秘めています。ただ、これからの時代に「カード」という形態がふさわしいのか。総務省は、マイナンバーカードを持ち歩かなくても、スマートフォンにカード情報を取り込み、本人確認ができるような実証実験も進めているそうです。しかし、これには対応する端末を開発しなければならないため、企業側の努力も必要になります。いまは、住所や名前に加えて、マイナンバーの記入を要請されますが、今後、マイナンバーカードひとつで全てこと足りるくらいになったら、便利さを実感できるのかもしれませんね。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年1月24日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2018年01月22日心と身体をリフレッシュ伊勢夫婦岩の清き渚「禊浜」(みそぎはま)で、ヨガが体験できるイベント「夫婦岩YOGA」が開催されています。「夫婦岩YOGA」は、聖なる夫婦岩で心と身体をリフレッシュできるイベントです。開始概要について開催日は、1月27日(土)、2月24日(土)、3月31日(土)、時間は8時~9時(受付開始:9時30分)が、予定されています。これ以降も月1回開催を予定しており、決定次第、HP等で案内があります。参加費は、夫婦岩YOGA体験のみは、大人・中学生1,200円、夫婦岩YOGA体験と水族館入場料金のセットは、大人が2,200円、 中学生は1,700円となります。ヨガ未経験者でも安心「夫婦岩YOGA」では、経験豊富なインストラクターの指導で行うのでヨガ未経験の人も参加することができます。ヨガ体験は、五感を解放するストレッチの後に、伊勢シーパラダイス「海底ごろりんホール」で本格ヨガ体験を行います。夫婦岩でしか体験できないヨガプログラムを楽しんでみてはいかがでしょうか。(画像はプレスリリースより)【参考】※株式会社伊勢夫婦岩パラダイスプレスリリース(@Pressより)
2018年01月11日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「2017年3大トピックス」についてです。今年もさまざまな出来事がありましたが、まず僕が注目したのは、AI本格化時代の到来です。AIは、金融業界でいち早く取り入れられ、ゴールドマン・サックスのニューヨーク本社の現物株式取引では、600人いたトレーダーがいまや2人。あとはAIに取引は任されています。日本でも、みずほ、三菱東京UFJ、三井住友のメガバンク3行で3万2000人超分の業務削減を発表。リアル店舗は縮小し、AIの担う業務が増えていきます。メディアでも、映像の粗編集やラジオパーソナリティのアシスタント業務、専門用語の文章チェック作業などはAIができるようになりました。そんななか、今秋Google、Amazon、LINEがAIスピーカー(スマートスピーカー)を発売。AIスピーカーに話しかければ、調べものも家電操作も、雑談の相手までしてくれる。AIの波はついに家庭にまで押し寄せてきたんですね。2つ目は仮想通貨。第4次産業革命といわれる、金融とITの融合、フィンテックが大きく前進したのを実感した一年でした。象徴的なのがビットコインです。中国は「貨幣として認めない」と宣言し、ゴールドマン・サックスは「リスクが多大なので社員に取引を禁じる」と発表。ビットコインを使ったVALUも盛り上がりました。4月には、情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する、通称「仮想通貨法」が施行されました。三菱東京UFJは独自の仮想通貨「MUFGコイン」を発行。今後、お金革命が本格化しそうです。3つ目は、訪日外国人旅行者の増大。観光庁は欧米豪に照準をあて、訪日プロモーションを強化しました。LCC整備を受け入れ、専用ターミナルを作り、Airbnbのサービスも広げた。それらが功を奏し、2016年の訪日客数は2400万人になり、増え続けています。政府は2020年に4000万人の観光客誘致という目標を掲げました。富裕層向けの旅行誌『コンデナスト・トラベラー』の読者投票で、「世界で最も魅力的な都市」に東京が2年連続1位に選出。異文化が入り、日本の様相も変わっていきそうです。堀潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年1月3・10日号より。写真・中島慶子題字&イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子
2017年12月31日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「NPO」です。社会問題の数だけ必要とされるのが非営利団体・組織。NPOとは、Nonprofit Organizationの略で非営利団体のこと。よく混同されるNGOはNon‐Governmental Organizationで、非政府組織。どちらも社会的問題に対応した事業を行い、営利目的ではない民間団体という意味では同じです。日本では、一般的には、街づくりや子育て、教育など国内の課題に対して活動を行っている団体をNPO、人道支援や紛争解決など、国際的な取り込みをしている組織をNGOと呼び分けています。日本でNPOの活動が注目されるようになったのは、阪神淡路大震災がきっかけといわれています。ボランティア組織だけでは支援が足りず、たくさんのNPOが立ち上げられました。NPOは非営利団体と訳されますが、利益を生んではいけないわけではありません。NPO職員にも給与は必要ですし、事業も継続させなければいけません。株式会社のように、利益を再分配したり、それを元に資金運用などをしてはいけないということなんです。平成10年には特定非営利活動促進法が施行され、特定非営利活動を行う団体を法人化できるようになりました。「特定非営利活動」とは、保健医療、福祉、社会教育、人権擁護など、国が定める20の分野に該当する活動を、社会全体の利益増進のために行うこと。欧米に比べ、社会的信頼の低い日本のNPO。法人化することで信頼が高まり、社会貢献活動がしやすくなります。子どもの貧困、虐待や自殺対策、高齢者の移動支援、環境問題…。お金よりやりがいを重視して、NPOを立ち上げ、それらの社会的課題を事業により解決しようとする若い世代も増えています。ある官僚は、いま日本が直面している社会問題のリストを公開しました。国や自治体でも補助金を出して、すでに問題解決に取り組んでいるNPOに手を挙げてもらい、代わりに活動してほしいと考えているのです。すばらしい活動をしているNPOはたくさんありますが、世に知られていません。NPOと一般市民をつなぎたくて、僕は「GARDEN」という場(会社)を作りました。NPOの活動は今後もっと必要になってくると思います。堀潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年にニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。※『anan』2017年12月27日号より。写真・中島慶子題字&イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年12月20日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「投票率」です。有権者の約半分の意見しか反映されてない!?10月の衆議院議員選挙の自民党の圧勝は、投票率の低さにも大きく起因しています。日本の投票率は現在50%台。先日の衆院選は、台風という悪天候も影響しましたが、戦後2番目に低い53.68%でした。約30年前、昭和の時代の投票率は70%前後でした。ところが、平成2年を境に急降下します。リクルート事件や東京佐川急便事件など、政治家の汚職事件が相次いで起こり、国民の政治不信が募ったからです。2009年に民主党政権が誕生したときには一瞬盛り上がり、69.28%に上がりました。しかし、民主党政権は実行力が伴わず、マニフェストはただの理想にすぎないことを思い知らされます。国民の政治離れは進み、投票率は再び下降しました。政治腐敗は中選挙区制にあると、1994年に小選挙区比例代表並立制が導入されました。選挙自体は簡単にはなったのですが、与党の自民党と野党第1党の社会党が絶妙なバランスでいた「55年体制」が崩壊し、小政党が乱立。国民は、どの政党を選べばよいのかが、わからなくなってしまいました。大学生などに、投票に行かない理由を聞いてみると、政治に関心がないわけではなく、将来を託せる政治家がいない、自分の一票がダメな政治家の後押しをしてしまうのが怖いと言います。問題はあるものの、トランプ大統領ともいい関係を築き、経済面でもそれなりの成果を出しているという点で、やはり自民党に、と今回の圧勝につながりました。世論調査では、「自民党は支持するが、安倍さんは支持しない」という回答も多く上がっています。選挙のたびに投票率の低さが話題になりますが、その前に、票を入れたくなるように政治家ももうちょっと公約を実現させてください、という気持ちにもなりますよね。また、選挙はゴールではありません。当選後、その政治家が国会でどんな発言をしているか。公約を法案にまで進められたか。それらをチェックするのも国民の務めです。前にも言いましたが、他人が決めたルールで生きてよいなら、選挙に行かなくても構いません。でも、自分の望む未来があるのなら、それを作るために投票するべきだと僕は思います。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2017年12月13日号より。写真・中島慶子題字&イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年12月07日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「『保守』と『リベラル』」です。政策で見ると両者は矛盾だらけ。二分はできない。衆議院選挙は自由民主党の圧勝に終わりました。選挙のニュースなどでもよく使われた「保守」と「リベラル」ですが、実は「保守」の対義語は「リベラル」ではなく「革新」なんです。そもそも保守派とは、受け継がれてきた慣習や伝統、地域のルール、家族を重んじ、慎重に歩みを進める姿勢を指します。対して、革新派は、古いものを打破して新しいものを作り上げていく姿勢。1970年代の学生運動のころは、まさに革命を求める人たちが革新派と呼ばれてきました。時代とともに、いつの間にか「革新」は「リベラル」と言い換えられるようになりましたが、「リベラル」は、個人の自由を尊重するという主義ですから、意味合いが少し違うんですね。政党でいうと、自由民主党が保守の政党とされています。伝統を守り、昔ながらの家父長制度、家族観を大事に守ります。農家や企業を守り、地域地盤を固めることに腐心します。それに対して、家族や企業、地域を優先するのではなく、あくまで個人の幸福追求を基本にして成り立つ社会を目指すのが「リベラル」。共産党や社民党、立憲民主党はリベラルといわれていますが、ひとつひとつの政策を比べてみるとまた、矛盾が生じてしまうんです。たとえば原発。原子力発電というエネルギー自体は、石油をベースにするエネルギーからすれば革新的なものです。自民党は賛成しており、その他の政党は反対しています。TPPを自民党は推進していますが、TPPを進めれば、海外の安いものがたくさん日本に入ってきて、従来の日本の農林水産業は脅かされる恐れもある。地域産業を尊重する自民党のスタンスとは真逆になりますよね。つまり、「保守」や「リベラル」は、政党をわかりやすく色分けするためにメディアが使っている言葉。実際には明確に分けることはできません。自民党員に聞くと「党内には保守の人もリベラルの人もいる」と話しています。わかりにくいと思われるかもしれませんが、最も大事なのは政党ではなく政策。自分が賛同できる政策をうたっているのは誰なのか、有権者はそれを見極める必要があるんですね。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2017年11月15日号より。写真・中島慶子題字&イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年11月10日映画・ドラマ・CMと幅広く活躍し、2017年上半期大ブレイクを果たした吉岡里帆が、映画ナレーションに初挑戦した『劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩きコトラ家族と世界のいいコたち』。10月21日(土)からの劇場公開を控え、愛猫家とも知られる吉岡さんと世界的動物写真家・岩合光昭の2ショット写真と共に、本編ナレーションや作品へ込めた想いを綴った2人の最新コメントが到着した。ファンの間でも人気の、津軽のリンゴ農家で暮らす“コトラ家族”の現在を追う、岩合さんによる追撮も終了した本作。このたび、まさに「ネコも歩けば、地球が幸せ?」の作品キャッチにふさわしい、優しい笑みを浮かべた2人の2ショット写真が到着。また、「ネコを愛する、すべてのヒトたちへ」向け、「ネコ愛」あふれる言霊を珠玉の映像に丹念に吹き込んだ2人からも温かいコメントが届いている。本編ナレーション撮りを終え、岩合さんは「吉岡里帆さんがとても落ちついてナレーションに臨んでいたのが印象的でした。そして、吉岡さんの声を聞いて感じたのは、とにかく“ネコに合っているなぁ”ということです」とコメント、「そんな吉岡さんの声も聴きながら、僕もより自然体でナレーションに臨むことができました」とふり返っている。また、久々に訪れた津軽のリンゴ農園では「今回も、何も包み込まないありのままのリッキーやハナの姿を撮影することができました。母ネコになったハナの子育てに、逞しく成長したリッキーの表情に、母コトラの姿を感じます。追撮前、(何が起きているか判らないので)彼らに会いに行って良いのか?という想いもありました…」と言う。「でも、やはり、会いに行って良かった。(オオトラからコトラへ)コトラからリッキー、ハナたち、そしてまたその子たちへ、そんな命の引き継ぎがずっと続いているあのリンゴ農園は、いまの時代、本当に貴重な場所です。“命の大切さ”をこの作品を通じて皆さんに感じていただけたら嬉しいです」と万感の思いを明かす。また、吉岡さんはまず「撮影現場での話を聞きながらナレーションのまだ入っていない素の映像を拝見しました。岩合光昭さんが長い時間をかけて丁寧に丁寧に猫と向かい合ってこられたんだと、ひしひしと伝わってきました。この愛らしい猫ちゃんたちの邪魔にならないよう、より魅力が伝わるよう音入れしたいと心から思いました」と、岩合さんたちの「ネコ愛」に心打たれた様子。そして「本番当日は、コトラの赤ちゃんたちに寄り添いたく思い、優しく繊細な空気感で挑みました」という吉岡さん。「できるだけ柔らかく家族の在り方やニュアンスが伝わるようにスタッフさんと話し合いながらアフレコしました。岩合さんの撮った猫ちゃんたちはスクリーンの中でちゃんと生きています。必ずその姿に心動かされると思います」と、思いを込めている。『劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き コトラ家族と世界のいいコたち』は10月21日(土)より全国のユナイテッド・シネマほかにて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年10月06日*画像はイメージです:皆さんは病院を探したいと思ったとき、どのようにして探しますか?きっと、スマホやパソコンでネット検索をするという人が多いのではないでしょうか。その中で、病院のウェブサイトを閲覧される人もいらっしゃると思います。しかし、そんな病院のウェブサイトの内容が今後はガラリと変わるかもしれません。 ■これまで、病院のウェブサイトは法律の規制の対象外だった病院の広告は、医療法という法律とその関連法令によって、その内容に規制がかけられています。具体的には、虚偽広告の禁止、比較広告の禁止、誇大広告の禁止、広告可能な事項の限定などです。しかし、これまで病院の“ウェブサイト”は、このような規制の対象外とされてきました。それは、規制の対象となる広告は、以下の3つの要件を満たすものに限られていたからです。(1)患者の受診を誘引する意図があること(誘因性)(2)病院名が特定可能であること(特定性)(3)一般人が認知できる状態にあること(認知性)このうち、(3)の認知性とは、特に病院に興味がない人の目にも広告が飛び込んでくる状態のことを指します。そうすると、ウェブサイトは自分で検索して見つけ出さないとその人の目には飛び込んできませんから、広告に当たらないとされていたのです。 ■医療法の改正によりウェブサイトも規制の対象にしかし、インターネットの普及とともに、特に美容医療関係について、病院のウェブサイトに関する消費者トラブルが増加してきました。その結果、病院のウェブサイトについても、国から「医療機関ホームページガイドライン」が公表され、その記載について指針が示されましたが、法的拘束力はありませんでした。その結果、今年の国会で、医療法の改正が行われ、遅くとも来年の6月には、病院のウェブサイトも広告規制の対象に含まれることになりました。一方で、上記のように、広告規制の内容として広告可能な事項が限定されているのですが、これをそのままウェブサイトに当てはめると、有益な情報まで記載できなくなってしまうとの懸念があります。そこで、ウェブサイトについては、今後の議論で、広告可能な事項が広げられることになっています。その結果によって、今後病院のウェブサイトの内容がどの程度変わるかが決まることになるでしょう。 ■病院がウェブサイトを作成する際の注意点医療法が病院の広告を規制しているのは、(1)医療は人の命にも関わるものであるため、不当な広告によって不適切な医療を受けたりすると、大きな被害が発生する可能性があること、(2)医療は専門的な分野であり、人々が病院の広告から何が良い治療かを取捨選択することは難しいことが理由です。そのため、今後は病院のウェブサイトに対する行政からの指導も厳しくなってくるでしょう。これから病院のウェブサイトを作成する際には、きちんと医療法による広告規制に違反しない内容を記載していく必要があります。 *著者:弁護士 成 眞海(丸の内ソレイユ法律事務所の弁護士。取り扱い分野は、離婚から企業法務まで幅広く対応。)【画像】イメージです*saki / PIXTA(ピクスタ)医療法改正により病院のウェブサイトにどんな影響が?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。医療法改正により病院のウェブサイトにどんな影響が?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2017年09月18日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「自殺予防週間」です。日本は自殺大国。9 月はとくに注意月間なんです。9月10日は世界自殺予防デー。それにちなんで、日本では9月10日~16日を自殺予防週間に定めています。期や年度の替わる3月と9月は、自殺する人が多いのですが、18歳以下に限ると9月1日が突出して自殺者が多いんです。1972年~2013年に自殺した18歳以下の子どもの数は1万8048人。平均すると1日約50人ですが、9月1日に自殺した数は131人で平均の2.6倍にものぼります。また、9月2日は4番目、8月31日は5番目に多く、夏休み明けのプレッシャーが精神を不安定にさせるようです。いじめ問題もありますが、学校に行かせようとする親の期待に応えられないことから、自分を責め、存在意義を見失い、自殺に至るケースも少なくありません。自殺者数が把握できる世界90か国で、人口10万人あたりの自殺者数を比べてみると、日本はワースト6位。女性に限ればワースト3位に入っています。それほど、日本は自殺大国なんですね。厚生労働省の自殺対策白書によれば、平成10年以降、14年間連続で3万人を超えていた自殺者の数が、平成24年には2万人台にとどまり、日本全体で見れば、減少方向にはあります。しかし、問題は10代後半~30代の若年層の自殺者が増えていること。平成27年の15歳~39歳の死因のトップは「自殺」だったんですね。自殺の原因はいくつもの要因が複雑に絡んでおり、特定はできませんが、遺書などから推測すると、「うつ病などを含む健康不安」「経済、生活面の不安」「家庭問題」「勤務問題」などが上位に挙がっています。政府はこの現状を重く受け止め、平成18年に「自殺対策基本法」を制定し、国を挙げて自殺防止に取り組もうとしています。NPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」では、借金やいじめ、人間関係など、トラブル別の電話相談窓口を紹介しています。いつなんどき、あなたやお友達が崖っぷちに追い込まれるかわかりません。ぜひ元気なうちにウェブサイトを覗いてみてください。学校でも会社でも、命を落としてまで、通わなければいけない場所はどこにもありません。無理をせずに逃げてほしいと思います。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2017年9月13日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年09月08日世界中のネコたちをネコ目線で撮り続ける、動物写真家・岩合光昭の人気番組がスクリーンに登場する『劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き コトラ家族と世界のいいコたち』。このほど、映画・ドラマ・CMとオールジャンルに活躍し、2017年上半期大ブレイクを果たした若手女優・吉岡里帆の優しい声の語りが入った本予告編が完成した。「ナショナルジオグラフィック誌」の表紙を2度も飾るなど、世界的動物写真家として知られる岩合さんが世界中のネコをネコの目線で撮影し、岩合さん自ら語りかける様子と共に紹介するNHK BSプレミアムの人気番組「岩合光昭の世界ネコ歩き」。本作は、その初の劇場版となり、番組ファンのあいだで人気の「津軽の四季」より、“コトラとその家族”の現在の姿を新たに撮影、さらに岩合さんお気に入りの世界6か国のネコたちの生きる姿を選りすぐりの未公開シーンと共に再編集してお届けする。先日は、愛猫家としても知られる最旬女優・吉岡さんの本編ナレーション決定が発表され、話題を呼んだばかり。そして、岩合さんが“コトラ家族”と再会を果たした津軽での追撮も無事に終了し、ついに本予告編が完成した。40年以上、ライフワークとして身近なネコを撮り続けている岩合さんによる、“ネコ目線"で撮影された世のネコ好きを魅了し続けて止まない映像は今回も健在。また、ナレーション担当決定の際、「私自身こよなく猫を愛している1人です」と本作への想いを寄せた吉岡さんの優しく、温かなナレーションによる珠玉のコラボレーションは、究極の癒しと微笑みをもたらす映像にぴったり。予告編の中でも、「岩合光昭さんにしか撮ることのできない ネコたちのありのままの愛らしさに幸せが込み上げました」と語っており、本編への期待をさらに高めている。『劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き コトラ家族と世界のいいコたち』は10月21日(土)より全国のユナイテッド・シネマほかにて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年07月28日岩合光昭のねこの写真展が、2017年7月中旬から8月末にかけて全国16会場で開催される。記事では、展覧会情報をまとめて紹介。「ねこの京都」や「岩合光昭の世界ネコ歩き」、「ふるさとのねこ」など様々な写真展が全国の会場で開催され、岩合光昭本人のギャラリートーク、サイン会も各会場で行われる。併設の物販コーナーでは、持ち運びに便利なエコバッグなどの新作グッズも販売予定だ。また、2017年10月21日(土)にはドキュメンタリー映画『劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き コトラ家族と世界のいいコたち』の公開も決定している。映画に向けて盛り上がる夏の展示会も、要チェックだ。各地の開催概要■北海道岩合光昭写真展「ねこの京都」会期:8月2日(水)~14日(月)トーク&サイン会:8月4日(金)、 5日(土)■茨城県写真展「岩合光昭の世界ネコ歩き」会期:8月10日(木)~14日(月)トーク&サイン会:8月11日(金)■埼玉県岩合光昭写真展「ふるさとのねこ」会期:8月9日(水)~20日(日)トーク&サイン会:8月12日(土)■東京都岩合光昭ミニ写真展「ねこ歩き日本編」会期:8月9日(水)~14日(月)■千葉県岩合光昭ミニ写真展「ねこのとけい」会期:8月30日(水)~9月4日(月)■神奈川県岩合光昭写真展「ねこの京都」会期:8月9日(水)~21日(月)トーク&サイン会:8月13日(日)、 14日(月)岩合光昭ミニ写真展「ねこのとけい」会期:8月4日(金)~14日(月)会場詳細:西武小田原店■岐阜県写真展「岩合光昭の世界ネコ歩き」会期:8月11日(金・祝)~30日(水)トーク&サイン会:8月20日(日)■愛知県岩合光昭写真展「ねこ」会期:8月2日(水)~21日(月)トーク&サイン会:8月6日(日)■滋賀県岩合光昭写真展「ねこ」会期:8月17日(木)~31日(木)トーク&サイン会:8月19日(土)■大阪府岩合光昭写真展「ねこ歩き」会期:8月2日(水)~15日(火)■徳島県写真展「岩合光昭の世界ネコ歩き」会期:8月11日(金)~21日(月)トーク&サイン会:8月18日(金)■愛媛県岩合光昭写真展「ふるさとのねこ」会期:8月8日(火)~23日(水)トーク&サイン会:8月17日(木)■福岡県岩合光昭写真展「ネコライオン」会期:8月8日(火)~21日(月)トーク&サイン会:8月15日(火)、 16日(水)■鹿児島県写真展「岩合光昭の世界ネコ歩き」&岩合光昭写真展「どうぶつ家族」会期:7月15日(土)~8月20日(日)トーク&サイン会:7月15日(土)■沖縄県岩合光昭写真展「ねこ」会期:7月15日(土)~9月3日(日)トーク&サイン会:7月22日(土)
2017年07月17日『劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き コトラ家族と世界のいいコたち』の公開が決定。NHK BSプレミアムの人気番組がドキュメンタリー映画となって、2017年10月21日(土)に全国ユナイテッド・シネマ・グループにて上映される。ネコを撮り続ける写真家、岩合光昭岩合光昭は、19歳で出会ったガラパゴス諸島の大自然に感銘を受け、動物写真家としての道を歩み始めた。以来、地球上のあらゆる地域で動物たちに出会い、貴重な瞬間を写真におさめてきた。その中でも、私たちの身近に暮らすネコを映し出す写真は特別。表情豊かなネコの姿は、幅広い層から絶大な人気を集め、人々の心をとらえてやまない。ネコの写真は、全国津々浦々で紹介されている。これまでもネコの人間との暮らしとライオンの野生を比較する斬新な視点で撮影された写真展「ネコライオン」の開催やフォトエッセイ「世界のねこみち」の発売などで人気を博した。また、2017年7月~9月にも、東京・大阪・京都など全国16箇所にて写真展を開催する。NHK BSプレミアムの人気番組「岩合光昭の世界ネコ歩き」を映画館で元来、「岩合光昭の世界ネコ歩き」は、動物写真家・岩合光昭が世界30ヵ国以上の国々を訪れ、猫の目線で世界の街角のネコを撮影・紹介する人気ドキュメンタリー番組だ。「ネコは人間とともに世界に広まった。だからその土地のネコはその土地の人間に似る!」との岩合の考えから始まったこの番組は、2012年の放映開始以後人気を守り続けている。その劇場版となる本作では、番組ファンのあいだで人気の「津軽の四季」より「コトラとその家族」を中心に、世界6ヶ国のネコたちの生きる姿を再編集。テレビでは放送されなかった、選りすぐりの未公開シーンとともに、この夏に撮影予定の“コトラの子どもたち”の今の姿が紹介される。青森県・津軽の大地で、太陽を浴び真っ赤に育ったリンゴのように愛くるしく、そして力強く生きるネコたちの姿を大スクリーンで楽しめそうだ。メイキングの様子を公開津軽追撮のメイキング写真では、岩合と無邪気なコトラたちの様子が見て取れる。カメラを構える岩合に寄り添っていく子猫の姿には思わず笑顔がこぼれてしまう。追撮を終えた岩合は、「成長したリッキーやハナと過ごせるなんて、本当に嬉しい時間でした。そしてそれ以上に、彼らの懸命な生き方にあらためて感動しました。逞しいボスネコとなったリッキー、ハナの子育ては母親のコトラを彷彿させます。子ネコたちもかわいい盛り、ぜひ大きなスクリーンでお楽しみください。」と語っている。ナレーションを務める女優・吉岡里帆また本編ナレーションキャストは、女優の吉岡里帆に決定。TBS「日曜劇場『ごめん、愛してる』」でドラマ初主演、2017年4月公開の映画『名探偵コナン から紅の恋歌』では声優に初挑戦と、幅広い活躍をみせ、今注目される女優の一人である吉岡里帆は、映画のナレーションを担当するのは本作が初となる。岩合光昭とともに、ほっこり心温まるネコの世界をナビゲートする。【詳細】劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き コトラ家族と世界のいいコたち公開日:2017年10月21日(土)※劇場前売り券(ねこ型しおり風、1,400円)が全国公開劇場窓口にて発売中。 ※一部劇場では前売券取扱無し。出演:岩合光昭語り:吉岡里帆音楽:高野正樹製作・配給・宣伝:ユナイテッド・シネマ©Mitsuaki Iwago
2017年04月30日日本が誇る世界的動物写真家、岩合光昭が世界の街のネコたちをカメラに収める、NHK BSプレミアムの人気番組「岩合光昭の世界ネコ歩き」が、初の劇場版としてスクリーンに登場することが決定。ティザーポスタービジュアルと、未公開の初出し映像も収録されたティザー予告編映像が解禁された。「ナショナルジオグラフィック」誌の表紙も飾った世界的動物写真家、岩合氏がネコの目線で世界中のネコを撮影し、「いいコだね」と岩合氏自らがネコに語りかける様子と共に紹介する人気ドキュメンタリー番組「岩合光昭の世界ネコ歩き」。「ネコは人間とともに世界に広まった。だからその土地のネコはその土地の人間に似る!」と考える岩合氏が、世界30か国以上の国々を訪れ、そこで生活するネコの目線を通じて街を写し出す。2012年、NHK BSプレミアム特集で放送され大反響を呼び、2013年よりレギュラー番組となり現在も放送中だ。待望の劇場版では、番組ファンの間で人気の「津軽の四季」よりリンゴ農家で暮らす“コトラとその家族”を中心に、岩合氏お気に入りの世界6か国のネコたちの生きる姿を再編集。TVでは放送されなかった、選りすぐりの未公開シーンとともに、この夏に撮影予定の“コトラの子どもたち”の現在の姿も紹介。青森県・津軽の大地で、太陽を浴び真っ赤に育ったリンゴのように愛くるしく、そして力強く生きるネコたちの姿を岩合氏がカメラに収めていく。届いたティザー予告映像では、コトラの家族たちをはじめ、世界のネコたちをカメラが優しく覗き込む様子をとらえている。“猫ブームの原点にして頂点”ともいうべき、“究極の癒しと微笑み”で人々を魅了してやまないネコたちと岩合氏を、楽しみにしていて。『劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き コトラ家族と世界のいいコたち』は秋、ユナイテッド・シネマほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年04月30日女優の堀北真希さん(28)が2月末で事務所を退社し、芸能界を引退することを発表しました。堀北さんといえば、夫である山本耕史さん(40)との「交際0日婚」が世間を騒がせたことで有名。結婚後も妊娠出産を極秘に行うなど、徹底してプライベートを明かさない姿が何かと話題にあがっていました。 そこへきて今回の突然の芸能界引退。理由は「愛する家族を守るため」というもの。なんとなく予想していた幕引きに、世間も応援ムードが多いようです。 最近ではめずらしい子育てによる人気女優の引退。残念ではありますが、彼女の引退に際し、賞賛と同時に「ママタレとして活動するよりずっと潔い」という、ママタレ批判が混じっていたことも気になります。 近年、女優もタレントも子どもを産むと“ママ”という立場をキャラクターの1つにしたママタレに転向しがちです。良いか悪いかは別として、気づけばママタレ枠は飽和気味。 それでも、子どもを持ったらママ目線を売りにする人が増え続けるのはどうしてなのか。やっていることは普通なのに“ママキャラ”希望者が後をたたない現状はなぜ生まれるのか考えます。 ■嫌がられても“ママタレ”が増える理由 振り返ると、「ママタレ」というキャラクターはいつから当たり前の存在になったのでしょう。その昔はアグネス・チャンさん(61)あたりが有名だったのかもしれませんが、今や芸能界の子持ち女性をみると、あの人もあの人もママをアピールポイントの1つにしているような……。 タレントさんであればブログで食事や子供の成長記録を公開し、女優さんであればママ役を積極的に演じ「自分も母になって演じることで、いろいろ考えさせられます」なんてコメントを発するのが定番です。 飽和状態といわれているのに、それでも女性たちがママタレ枠を目指す。その理由の1つとして、ママキャラという生き方は「特別じゃないのに特別感を見る人に与えることができる」のだと思います。 具体例を出しますと「芸能人ママが作る我が家の食卓」という情報には、特別な準備は不要でもハタから見ると「芸能人の手料理を覗き見れた」というレア感が生まれるものです。同じように「うちの子育てルール」なども“芸能人”というちょっとしたラベルがつくだけで、ただ子育てをしているだけでもレア感のある情報になりやすいもの。 日常に“芸能人ママの~”という主語をつけるだけで、今すぐ共感とレア感を生むコンテンツになるのがママタレなのです。そんな楽なら、誰しもがママタレに移行したくなるのもうなずけます。 ■なぜ引退する女性は聖女扱いなのか 忙しいママにはもってこいの、美味しい要素満点のママキャラ(笑)。飽和するからこそ一部の人から叩かれるのだと思いますが、こと芸能人の場合、堀北さんのように子育て引退(休業)する女性に対して異常なまでの称賛が集まるのも気になります。 堀北さんに対しても「でしゃばるママタレよりずっと好感が持てる」なんて上から目線っぽいコメントも集まっております。専業主婦願望の強い一般人女性に対してはおおむね冷たい目線が集まるのに、芸能人が家庭を優先して引退するとホメるのはなぜなのか……と心底疑問が残ります。 女性には今の時代、国レベルで「生め!働け!輝け!」という追い風っぽいプレッシャーがかっているわけですが、そんな追い風の裏側には「でも男以上にでしゃばるのはナシね」くらいに思っている人が多いのかな、なんて思います。 その証拠が、芸能人という“ある意味でしゃばるのが仕事”の女性たちに対するママタレ批判、そして子育て引退称賛の空気なのかもしれません。 堀北さんの引退はとても残念ですが、彼女の引退が称賛される様子には若干男の幻想すらも感じた今回の話。 とりあえず堀北さんのニュースから「清楚で多くを語らない女の評価の高さ」を痛感したわけですが、結局いつもどおり長ったらしく、ネチネチと多くを語ってしまった女の私なのでした。
2017年03月03日堀北真希(28)が28日をもって所属事務所との契約を終了し芸能界を引退した。 堀北は事務所を通じて《これまでやってまいりましたお仕事から離れることを決意致しました》とコメントを発表。15年8月に山本耕史(40)と結婚して1児のママとなったが、契約が切れるタイミングで家庭に入ることを決断した。事務所も引退理由について「家庭に専念して暮らしていきたいという、本人の思いを尊重した」と説明しているという。 そうした家庭への強い憧れの陰には彼女の育った環境が影響しているようだ。堀北の実家は、東京郊外にあった。アパートの住人は当時についてこう明かしている。「堀北家は美人三姉妹として評判でした。真希ちゃんは長女で責任感が強く、いつも妹たちの面倒を見ていました。6畳が3部屋の2DKに家族5人暮らし。仲の良いご家族で、ケンカなどの怒鳴り声は一度も聞こえてきませんでした。真希ちゃんが女優になって引っ越した後も、ご両親は6年前までここに住んでいましたよ」たとえ狭い家でも、親子5人が仲よく肩を寄せ合う――。そんな家族のぬくもりに包まれて成長した堀北は「いつか自分の家族みたいな明るく温かい家庭を作りたい!」という願いを秘めていたのだろう。 前出のコメントに続いて、堀北はこう思いを綴っている。 《現在私は母になり、愛する家族と幸せな日々を送っています。このあたたかで、かけがえのない幸せを全力で守っていきたいと思います》
2017年03月01日女優の堀北真希が、2月末日をもって芸能界を引退することを発表。公式サイトでは直筆のコメントを載せ、現在幸せな家庭生活を送っていると心中を告白した。堀北さんは、2003年ごろから女優として活動をスタート。「ケータイ刑事 銭形舞」「電車男」などのドラマ出演を経て、2005年放送のドラマ「野ブタ。をプロデュース」で「KAT-TUN」亀梨和也&山下智久とヒロイン役で共演し大ブレイク。同年の映画『ALWAYS 三丁目の夕日』での演技が高く評価され、第29回日本アカデミー賞新人俳優賞。その後も数々の映画・ドラマで活躍し、2012年NHK連続テレビ小説「梅ちゃん先生」のヒロイン役で幅広い世代からの人気を集めた。最近では、「ヒガンバナ~警視庁捜査七課~」での主人公役が記憶に新しい。女優として確固たる人気を誇るなか、2015年に俳優・山本耕史と結婚。翌2016年には第一子を妊娠・出産を報告した。今回、公式サイトにて「この度、これまでやってまいりましたお仕事から離れることを決意致しました」と芸能界引退を発表。理由については「現在私は母になり、愛する家族と幸せな日々を送っています。このあたたかで、かけがえのない幸せを全力で守っていきたいと思っています」と説明した。「夫とも話し合い、私の気持ちを尊重してくれました。これからも2人で力を合わせ、愛情いっぱいの家庭を築いていきたいと思います」と抱負を述べ、「いつも応援してくださったファンの皆様、お世話になりました関係者の皆様、素晴らしい14年間を本当にありがとうございました」と締めくくった。所属事務所「SWEET POWER」からは、この度の引退について「長い間応援して下さった皆様には、突然のご報告となってしまい大変申し訳ございません。デビュー以来14年、皆様のお陰でたくさんの仕事に恵まれ、感謝の気持ちでいっぱいです」「今後、家庭に専念し暮らしていきたいという本人の思いを尊重して、彼女の人生を温かく応援して頂けますと幸いです」と堀北さんを慮るコメントを寄せた。(text:cinemacafe.net)
2017年03月01日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「経済波及効果」です。***「広島東洋カープ優勝による経済波及効果が331億円」だとか、映画『君の名は。』のヒットで聖地に多くの人が訪れ「モデルとなった飛騨市への経済波及効果が100億円を超える予想」など、経済波及効果という言葉をよく耳にしますね。これは、何かものごとが起きることにより商品が売れ、生産者や直接の関係者の所得が増える。周辺の関連業界への好影響、さらにその人たちの消費が伸びることで、無関係の産業でも利益を生む、二次的波及までを含めた予測を指します。総務省のホームページには、経済波及効果を算出する「産業連関表」が掲載されています。この産業連関表は1936年、アメリカの経済学者のレオンチェフ博士が最初に発表。第二次世界大戦後のアメリカの経済を予測し、高い精度を示したことから、活用されるようになりました。日本の産業連関表は1951年に、当時の通商産業省によって作成されました。経済波及効果があったと報じられれば、人々の投資意欲や消費意欲を高めますよね。そうやって景気を良い方に向かわせるのはよいことなのですが、国が経済波及効果という言葉を持ち出したときには、少し懐疑的になったほうがよいかもしれません。なぜなら、推し進めたい政策を通すための説得材料として、都合のいい情報だけを流している場合もあるからです。日本銀行の算出によると、2020年までの東京五輪開催の経済効果は、訪日観光者数が約3300万人に達し、1人当たりの消費額も増加、建設投資総額は10兆円に。実質GDP成長率も'18年まで毎年0.2~0.3ポイント押し上げると予想されています。しかし、あくまで試算ですから、そこまで楽観視してよいかはわかりません。TPPに関しても、政府は日本が参加すれば、貿易が盛んになり生産性が上がり、賃金も雇用も増え、貯蓄や投資にお金が回り…と、良い循環が生まれると言っています。しかし、良い面だけでなく、農林水産省のホームページでは、農林水産物の生産減少額が1300億~2100億円と予想されています。このマイナスの経済効果の報道は、あまり聞こえてこないんですね。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年11月9日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年11月06日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「アフリカ開発会議」です。***8月に第6回アフリカ開発会議(TICAD)がケニアで開かれました。アフリカの開発支援のために、日本が世界に呼びかけて1993年に始まった会議で、5年に一度開催され、今年初めてアフリカで行われました。アフリカは人類発祥の地といわれ、ナイル文明など、豊かな文化や歴史があります。ところが19世紀に欧州諸国が肥沃な土地を奪い合うようになり、アフリカを勝手に分割統治、植民地にしてしまいました。その後、アフリカ諸国は独立しはじめますが、欧州各国によって決められた国境は、先住民族の文化や生活を無視した線引き。その問題は現在の内戦や民族紛争にもつながっています。また、アフリカはほかにも、食糧不足や干ばつ、感染症、教育を受けられない子どもたちなど、多くの問題を抱えていますね。近年のボコ・ハラムやアルカイダなど、テロ組織の暗躍も、根底にあるのは貧困や教育問題。経済を好転させることで解消される問題は多い。今年のTICADではテロとの戦いと国際協調が訴えられ、安倍総理は日本から3兆円の支援をすることを約束しました。これに対して、中国は「国連の常任理事国入りをしたい日本が、アフリカ諸国を味方につけようとTICADを政治利用している」と批判しました。近年、中国は、アフリカに携帯電話を普及させ、携帯電話による送金システムを輸出するなど、ものすごい勢いでアフリカに進出してきているんですね。水道も電気も通ってない地域で、携帯電話だけは使われているという異様な光景も。ほかにも道路や港を作る支援をし、代わりにレア・メタルの採掘権を得ようとしています。発展途上のアフリカには、たくさんのビジネスチャンスが眠っています。日本も開発支援だけでなく、民間企業がもっとアフリカと密接につながるといいのですが、距離的な問題もあり少々及び腰です。それでも、日本で消費されるバニラビーンズやカカオ豆、蚊取り線香に使われる除虫菊はアフリカ産がほとんどなんですよ。今後、アフリカと日本は、ますます結びつきが深くなっていくことでしょう。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年11月2日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年10月30日最近なかなか寝付けない…もしかしたら私は不眠症かも?と悩まれている皆様、病院を訪れることも苦しみから解放されるための一つの選択肢かもしれません。病院の受診を考えられている方に、不眠症の治療について簡単にご説明します。不眠症の治療法には、睡眠衛生指導や認知行動療法による非薬物療法と、睡眠薬を主体にした薬物療法があり、両者をうまく組み合わせることで、効果的な治療が可能になります。不眠のネガティブスパイラル慢性的な不眠に悩む患者さんは、「ぐっすり眠れない」ことが、疲労や体調不良の根源と考えるようになり始めます。眠ることばかり意識した結果、焦り、不安、緊張が徐々に強くなり、ますます眠れずに不眠恐怖症に陥る悪循環がみられがちです。このように不眠のネガティブスパイラルに陥った状態では、不眠に対する過度のとらわれから、不安・緊張感の増強、誤った回避行動による悪循環を繰り返すことになります。認知行動療法で、ネガティブスパイラルから抜け出すこういった不眠の患者さんの誤った認知と行動を修正していくのが、認知行動療法(Cognitive behavioral therapy; CBT)です。刺激制御療法、睡眠制限療法、筋弛緩療法、自律訓練法、バイオフィードバック法などを組み合わせたcombined CBT(c-CBT)が、欧米では積極的に取り入れられ、日本でも注目されています。不眠症に用いられる代表的な認知行動療法<刺激制御療法>「寝室=眠れない」という条件反射を起こす刺激を取り去り、本来の「寝室=眠れる」という条件付けを強化する方法です。・眠くなってからのみ寝床に入ること・寝床は睡眠と性生活のみに使用すること(読書、テレビ、パソコン、食事などは禁止)・寝床に入っても20分以上眠れなければ、すぐに寝床から出て、別の部屋で過ごし、再度眠気が生じてからで寝床に行くこと。眠れなければこれを繰り返す。・いかに眠れていなくても、毎朝決まった時間に起床すること。<睡眠制御療法>不眠の患者さんは、少しでも長く寝床で過ごす傾向があり、就床時間が長ければ長いほど、不眠体験も増えてしまう悪循環を断ち切る方法です。・2週間の平均睡眠時間+15分だけ寝床にいるようにする(最短は5時間まで短縮)。・起床時刻は平日も休日も一定とし、上記で算出した睡眠時間に合わせて就寝時刻を設定。・日中昼寝の禁止。・寝床にいる時間の9割以上眠れた日が5日間続いたら、就寝時刻を15分早めて、これを繰り返し、必要な睡眠時間まで徐々に延長していく。<筋弛緩療法>不眠の患者さんでは、就寝前の不安、緊張から全身の筋緊張が高まった状態にあります。前腕や上腕など末梢の特定の筋肉を収縮させて筋緊張と弛緩の感覚を覚えていき、徐々に全身の筋肉を弛緩させてリラックスした状態に導く方法が用いられます。<自律訓練法>横になってリラックスし眠りに落ちていく際に、だんだん手足が温かく重みを感じるようになり、呼吸はゆったりしていきます。このイメージを利用して、楽な姿勢をとり、「右腕が重くなる」「左腕が温かくなる」と段階的に自己暗示をかけながら、リラックスした状態を作り出す方法です。<バイオフィードバック法>筋電図など装置を利用して音を出し、筋緊張や弛緩の変化を確認しながら、コントロールしていく方法です。“簡単かつ効果大”な認知行動療法忙しい日々の診療では、時間や装置が必要なCBTは、どうしても敬遠されがちです。本格的なc-CBTは専門家にお任せするとして、時間制限療法、刺激制御療法、睡眠衛生指導を主軸とした簡易な認知行動療法をマスターして、薬剤処方と組み合わせて行えば効果大です。・睡眠時間は6時間の設定からスタート。起床時刻を決め、そこから逆算して就寝時刻を決定。・上記の時間帯以外、寝床にはいないこと。・光は就寝前は×、起床後は○。・就寝4時間前よりカフェイン、アルコールは禁止。就寝前に重い食事やたばこも禁止。・夕食前後の軽い運動とその後ぬるめのお湯に入浴する。・日中はなるべく活動的に過ごし、昼夜のメリハリをつけること。昼寝は禁止。睡眠薬治療のターゲット不眠症の患者さんでは入眠までの時間を要し(入眠潜時の延長)、中途覚醒数・時間の増加、早朝覚醒により総睡眠時間が短縮しています。また、深いノンレム睡眠(徐波睡眠)の出現量は低下し、睡眠は浅く分断化した結果、通常は約90分周期で現われるレム睡眠の出現量も減少します。このように、不眠症の患者さんでは、睡眠の長さと深さとリズムが損なわれた結果、翌日の不調感やパフォーマンスの低下を来たした状態にあります。睡眠薬治療のターゲットは、ずばり、夜間睡眠の長さと深さとリズムを取り戻し、翌日、頭はすっきりし、活き活きと過ごせる日中のパフォーマンスを回復することにあります。[参考]厚⽣労働科学研究・障害者対策総合研究事業「睡眠薬の適正使⽤及び減量・中⽌のための診療ガイドラインに関する研究班」および⽇本睡眠学会・睡眠薬使⽤ガイドライン作成ワーキンググループ 編 『睡眠薬の適正な使⽤と休薬のための診療ガイドライン』 by Vic
2016年10月20日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「消費者物価指数」です***「消費者物価指数(CPI)」とは、全国の消費者が購入する商品やサービスの価格の変動を時系列で測るもので、5年に一度、基準年を定めて、それと比較して算出します。毎月、総務省統計局が発表しており、景気が良いかどうかの判断基準になるので、「経済の体温計」ともいわれています。消費者物価指数を見て、政府は経済政策や年金の改定などを行うのです。日本経済の最大課題は、デフレからの脱却ですよね。デフレとは、物の値段(物価)が下がると、企業の収益も下がることになるので、企業は賃金を上げられない。なので、懐の冷えた消費者は物を買うのを控えるという状態。物が売れないので企業はさらに商品を安くする…という連鎖が起きます。これがデフレスパイラルです。改善策として、政府は金融緩和を行います。日本銀行が市場にお金を多く流して、相対的に円の価値が下がる状態に誘導するのです。市場に円があふれれば、自然と円安になります。希少価値のものは値段が高くなるけれど、世の中にたくさんあるものは安くなる、というのと同じ原理ですね。日本の主要産業は輸出産業なので、円安になれば企業は儲かります。トヨタなどの輸出企業は利益を増やし、「景気は良くなった」「アベノミクスは成功した」ともいわれますが、多くの一般市民にはあまり良くなった実感がありません。そこで実態を知るのに有効なのが「消費者物価指数」です。消費者物価指数が下がっているということは、市民が前よりも物を買わなくなった(買えなくなった)ということ。2015年の基準年に対して、今年は総合的に消費者物価指数が毎月下がり続けています。これは、一部の企業が好調でも利益が社員に還元されていない(賃金が上がっていない)ということ。非正規雇用者にはもっと回ってきていませんね。政府はこの状態を認識しており、企業に対して賃金を上げるように働きかけ、消費税増税も先送りにしました。消費者物価指数が上がれば、本当に景気が良くなっているという証拠です。毎月ニュースで発表される消費者物価指数を見ながら、自分の体感景気とぜひ比べてみてください。◇ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年10月19日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年10月18日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「ドーピング」です。***リオ五輪の開催前、ロシアの国家ぐるみのドーピング隠蔽行為が発覚し、問題になりました。世界にドーピングの衝撃が走ったのは、1988年のソウルオリンピック。100m走で、ベン・ジョンソンがカール・ルイスに勝ち、人類初9・8秒台を切るタイムを叩き出しました。ところが、ドーピング検査で陽性になり、ジョンソン選手の金メダルは剥奪されてしまいました。ほかにも陽性の選手が後を絶たず、これをきっかけに1991年にジョンソンの祖国、カナダでアンチ・ドーピングの機関が誕生。1999年には世界アンチ・ドーピング機構(WADA)が設立されたのです。ドーピングは必ずしも、選手が故意にしているとは限りません。たまたま飲んだ薬の中に禁止成分が入っていて、引っかかるケースも。テニスのマリア・シャラポワ選手が2年間の出場停止処分になりましたが「禁止薬物とは知らなかった」と提訴しています。禁止成分は随時更新されますから、ドーピングを避けるには、選手だけでなく、チームやコーチ、医師や薬剤師も正しい知識が必要。WADAやJADA(日本アンチ・ドーピング機構)はそれぞれの立場での注意を促しています。ドーピングは、製薬会社のビジネスとも密接な関わりがあると指摘する声もあります。合法的に運動能力が上がる薬となれば、ビッグビジネスになりますよね。最近はWADAと大手製薬会社が情報を共有してドーピングを未然に防ごうとしていますが、これも諸刃の剣。規制をすり抜ける新薬が開発され、後にその成分が規制されるというイタチごっこにもなってしまいます。今回のリオ五輪で、IOC(国際オリンピック委員会)が、ロシアの参加を全面禁止にしなかったことに対して、処分が甘いという意見もありました。しかし、五輪は平和の祭典。開催期間は休戦し、人種や国境を超えて皆が参加すること、五輪を続けることに意義があります。大国ロシアが抜けてしまったら、その秩序が崩れてしまう可能性も。そもそも、スポーツとは何を競い合うものなのか?原点に立ち戻り、清い戦いを見せてほしいですね。フェアな戦いこそが感動を与えてくれます。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年9月21日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年09月21日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「東京都知事」です。***新しい東京都知事が、初の女性知事・小池百合子さんに決まりましたね。東京がどれほどの大都市なのか、数字の面から見てみましょう。2016年度の東京都の年間予算は、13兆6560億円。日本の国家予算総額が96兆7218億円ですから、比較しても相当な額というのがわかります。また、この東京の予算額は、スウェーデンの国家予算に匹敵する(!)規模です。GDP(国内総生産)では、東京都は2015年度見込みで92兆9000億円=約1兆1326億ドルです。世界のGDP順位を見ると、1位はアメリカ約18兆ドル。2位中国、3位日本が4兆ドル台。数字上では東京は12位に匹敵し、スペインやメキシコのGDPより勝っているのです。都市別に見ると、2014年の1位は東京。2位NY、3位ロサンゼルスと続きます。東京は経済的には、国レベルといってもいい大きさなんですね。日本の総理大臣は議会が選びますが、都知事は直接民主制によって、私たちが直接選べます。つまり、東京都知事は東京という一つの国の大統領のようなもの。また、東京には、日本の全人口の約1割が集中。大企業の本社や外国企業の5割は東京にあり、日本の税収のうちの約4割は東京から集められています。これだけの人とお金が動いている少なくないんです。たとえば、石原慎太郎さんが都知事だったとき、東京の空気の浄化のために、ディーゼル車の走行を規制しました。これにより、自動車メーカーは、世界一基準の厳しい排気ガス規制に対応できるクリーンな自動車を開発。日本の技術力を上げるきっかけになりました。石原都知事はほかにも、日本史を都立高校の必須科目にしたり、横田基地の返還要請をし、航空管制の一部を返してもらうなど独自の政策を実行していきました。近年は任期が短くて、実績を残す機会は減っていますが、都知事は日本全体にも少なからぬ影響を与える存在ということに変わりはありません。予算が膨らむ東京五輪問題や土壌汚染を抱える築地市場移転問題など、小池流改革手腕でバッサリ切り込んでいってほしいなと期待しています。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年9月7日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年09月06日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「イギリスのEU離脱」です。***6月にイギリスは、EU離脱の是非を問う国民投票を行い、離脱派が勝利。残留派のリーダーだったキャメロン首相は辞任し、テリーザ・メイが首相になりました。投票結果は残留派48%、離脱派52%の僅差。EU離脱の選択は、世界に衝撃を与えましたが、実はイギリス国内でも「まさか本当に離脱になるとは!」と驚きの結果だったのです。離脱に傾いた大きな理由は、難民問題。離脱派の元ロンドン市長ボリス・ジョンソンは、「難民が流れ込んだせいで国内の失業率が上がり、テロの脅威にさらされている。EUを離脱し、イギリスは主権を取り戻すべきだ」と主張しました。EU(欧州連合)とは一つの大きな国のようなものです。第一次、第二次世界大戦で大きな犠牲を払ったヨーロッパは、資源争いによる敵対をやめ、まとまる必要に迫られました。EUを立ち上げ、資源を分かち合い、関税を取り払って、人・もの・お金が自由に行き来できるようにしました。ヨーロッパ全体で協力し合うことで、安全保障と大きな経済成長を得たのです。しかし、EU加盟の恩恵は国ごとに差があります。イギリスやフランスは借金の多い国々を助ける役回りになり、経済的負担は少なくありません。また、EU内には法律があるので、国内で勝手に物事を決められない不自由さも出てきました。ジョンソンが「主権を取り戻す」と言ったのはそういう理由です。ジョンソンは有力な次期首相候補でしたが、離脱が決まると立候補を取り下げてしまいました。他にも、国民投票後に現場を退いた離脱派の政治家もいました。つまり、覇権争いのために、離脱の主張をしていた議員が少なからずいたということ。それだけ、国民の不満は募っており、支持を得るには格好のテーマだったのです。首相のなり手はなかなか見つからず、残留派だったメイが名乗りをあげます。メイ首相は22人の閣僚のうち7人に、ジョンソンを含む離脱派の閣僚を据えました。離脱のニュースの後、ポンドは下落、円高ドル高の流れに。世界経済にも影響を及ぼしています。イギリスがEUを離れ、どんな政策で問題解決していくのか世界が注目しています。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年8月31日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年08月30日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「核なき社会」です。***みなさんは、8月6日、9日が何の日かわかりますか?71年前のこの日、世界で初めて、原子爆弾が投下されました。8月6日は広島に、9日は長崎に。一瞬にして街は焼け焦げ、その年の12月までに広島では約14万人、長崎では約7万人の方が亡くなりました。数年後に白血病やガンを発症したり、子供に原爆症が出るケースもあり、総被害は数知れません。日本は原爆の恐ろしさを知る、唯一の被爆国なんです。現在、核保有国はアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国、インド、パキスタン、北朝鮮、イスラエルの9か国。これほど恐ろしい兵器を、なぜ皆持ちたがるのか?悲しいことですが、核を保有することで、敵対する国同士の抑止力になっている、というのも現実なんです。とはいえ、核兵器がこのまま増え続けたら、地球規模の危機に晒されます。2009年、オバマ大統領はプラハで、核保有国として初めて「核なき社会を目指そう」と国際社会に訴えかけました。その後、アメリカ・ロシア間では核軍縮の合意が取れ、処分後もテロリストに核兵器が渡らないよう、注意を払っています。一昨年、国連総会で「核兵器使用禁止条約」がオーストリアから提案されました。化学兵器や生物兵器は国際条約で、使用したら戦争犯罪として裁かれることになっています。それに核兵器も加えようという提案。賛成125か国、反対50か国、棄権7か国で可決されましたが、実は日本はこのとき棄権しました。日本は自国では核兵器を持ちませんが、同盟を結ぶアメリカに、中国や北朝鮮の脅威から守ってもらっている立場。その手前、賛成することができなかったと言われています。今年5月、アメリカの現職の大統領としては初めて、オバマ大統領が被爆地の広島を訪れ、平和を訴えましたね。これが実現したのも、毎年、原爆記念日に世界に向けて平和のメッセージを発信し、核保有国の首脳に手紙を送り続けた広島市の不断の努力の賜物です。原爆の惨劇を伝えられるのは、世界で日本だけです。戦争体験者が次々いなくなる今後、二度と悲劇が起こらないよう、8月6日、9日のことを私たちは忘れてはいけないと思います。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年8月10日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年08月05日岩合光昭のねこの写真展が、2017年も、ゴールデンウィークから6月上旬にかけて全国14会場で開催される。記事では、展覧会情報をまとめて紹介。阪急うめだ本店では“ねこと岩合さん"グッズ、そして日本橋三越本店、JR京都伊勢丹 美術館「えき」KYOTOでは“ねこの京都"グッズなどの新アイテムが登場予定。岩合光昭本人のギャラリートーク、サイン会、営業日時情報は各会場まで事前に問い合わせてみて。各店の開催概要■北海道<札幌芸術の森野外美術館> 岩合光昭写真展「THE CATS ねこ科 ねこは野生動物だ。」会期:4月29日(土・祝)~7月23日(日)トーク&サイン会:5月21日(日)、7月17日(月・祝)午前11時~ / 午後2時~会場詳細:札幌芸術の森■福島県<とうほう・みんなの文化センター 3階展示室> 写真展「岩合光昭の世界ネコ歩き」会期 : 開催中〜5月7日(日)会場詳細:とうほう・みんなの文化センター<うすい百貨店10階 催事場> 岩合光昭写真展「ねこ歩き」会期:4月26日(水)~5月8日(月)トーク&サイン会日時:5月6日(土)午前11時〜 / 午後2時〜会場詳細:うすい百貨店■群馬県<高崎タカシマヤ6階 催場> 写真展「岩合光昭の世界ネコ歩き」会期:4月26日(水)~5月8日(月)トーク&サイン会日時:5月8日(月)午前11時~ / 午前2時~会場詳細:高崎タカシマヤ■埼玉県<そごう大宮店7階 催事場> 写真展「岩合光昭の世界ネコ歩き」会期:4月28日(金)~5月7日(日)トーク&サイン会日時:5月1日(月)午後2時30分~会場詳細:そごう大宮店■東京都<日本橋三越本店 本館・新館7階ギャラリー> 岩合光昭写真展「ねこの京都」会期:5月3日(水・祝)~5月15日(月)・ギャラリートーク5月10日(水)~14日(日) 各日 午後1時~ / 午後3時30分~(各回約30分)本館屋上ステージ[入場無料] ※雨天中止・サイン会5月10日(水)~14日(日) 各日 午後2時~ / 午後4時30分~本館7階「ねこの京都」展物販コーナー会場詳細:日本橋三越本店■千葉県<そごう千葉店6階 催事場> 岩合光昭写真展「ねこ&ねこのとけい」会期:4月28日(金)~5月7日(日)トーク&サイン会日時:5月7日(日)午後1時~ / 午後3時~会場詳細:そごう千葉店<西武船橋店7階 催事場> 岩合光昭写真展「ふるさとのねこ」会期:5月18日(木)~5月24日(水)トーク&サイン会日時:5月18日(木)午前11時~ / 午後2時~会場詳細:西武船橋店■山梨県<岡島百貨店> 岩合光昭写真展「ねこ歩き 日本編」会期:5月26日(金)~6月13日(火)予定会場詳細:岡島百貨店■京都府<ジェイアール京都伊勢丹7階隣接 美術館「えき」KYOTO> 岩合光昭写真展「ねこの京都」会期:5月18日(木)~6月4日(日)サイン会:5月19日(金)、20日(土)各日 午後1時半~ / 午後3時~会場詳細:美術館「えき」KYOTO■大阪府<阪急うめだ本店9階 阪急うめだギャラリー> 岩合光昭写真展「ふるさとのねこ」会期:4月26日(水)~5月8日(月)トーク&サイン会日時:5月3日(水・祝)午前11時~ / 午後2時~会場詳細:阪急うめだ本店■和歌山県<近鉄百貨店和歌山店5階 催事場> 写真展「岩合光昭の世界ネコ歩き」会期:5月3日(水・祝)~5月9日(火)ギャラリートーク・サイン会日時:5月5日(金・祝)午前11時~ / 午後2時~会場詳細:近鉄百貨店 和歌山店■広島県<福屋広島駅前店8階 催場> 岩合光昭写真展「ふるさとのねこ」会期:4月27日(木)~5月9日(火)トーク&サイン会日時:5月4日(木・祝)午前11時~ / 午後2時~会場詳細:福屋広島駅前店■高知県<高知大丸本館5階 特設会場> 岩合光昭写真展「ねこ歩き」会期:4月20日(木)~5月7日(日)トーク&サイン会日時:5月2日(火)午前11時~ / 午後2時~会場詳細:高知大丸※都合により予告なく変更、取り止めになる場合あり。
2016年07月25日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「ふるさと納税」です。***ふるさと納税とは、好きな自治体に寄付をする制度です。寄付をすると、その額から2000円を引いた額が、所得税と住民税から控除されます。日本は東京が中心となり、大都市ばかりに人もお金も集まってしまっています。地方にお金が回るようにと、ふるさと納税制度は2008年に公布されました。寄付した人には地方の特産品などのお礼の品が送られます。理念は素晴らしいのですが、年々、自治体ごとの寄付金獲得競争が加速、返礼品がエスカレートして豪華になってきてしまいました。自治体の方でも返礼品が重荷になったり、返礼で受け取った金券を転売する寄付者が出てくるなど、本末転倒な事例も。公布から8年たち、そろそろ制度の見直しが必要なのかもしれません。また、ふるさと納税を使って、高額所得者が高額の寄付をし、寄付額がほとんど還付される、節税対策に使われていることを問題視する人もいます。いわば、日本のタックスヘイブンです。ただ、都市と地方の格差は広がる一方。地方は財源を得るのが本当に大変です。ですから、たとえタックスヘイブンになったとしても、地方にお金が回るのは良いことなんじゃないかと思います。最近では被災地にふるさと納税する人も増えていますね。熊本への寄付金も増えて、復興に役立っています。問題は、寄付をする側の姿勢ですね。ただの節税対策や、返礼品目当てのショッピングモールになってしまうのは残念。集まった寄付金の使い道は各自治体で公開していますので、寄付をしたら、ぜひチェックしてください。また、一度その土地に足を運んで、実際に見てきてほしいですね。都市部はどうしても消費が中心。地方が生産を支えています。農業、林業、水産業の「生産者を守る」という意識で地方を応援していきたいですね。実際に生産の現場の大変さを知ると、無駄な消費をしなくなります。日本はレストランでもコンビニでもたくさん食品を捨てていて、食品ロスが多いんです。過剰な消費から生まれる社会問題は少なくありません。生産と消費、都市と地方のいいバランスを目指していきたいですね。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年7月20日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年07月17日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「参議院選挙」です。***皆さんは「三権分立」を覚えていますか?法律は立法権を持つ国会で作られ、法律に基づいて政治を行う内閣は行政権を、法律に基づいて裁判する司法権は裁判所にあります。これらは暴走しないように互いに監視し合う、ということになっていますが、実際は行政府と立法府が一本化しているよう。内閣が望む法案が、成熟した討議のなされないまま、数の論理で決まることが多い印象があります。国会答弁の数は与党が1割、野党が9割と割合が決まっていますから、これには反論する野党側の責任も少なくありません。大統領と上院下院が対等に、緊張感を持って存在し、常に意見を戦い合わせているアメリカとは大きく違いますね。日本の場合、総理大臣や各大臣は、立法府(国会)で議席を多く取った党内から選ばれます。また、「党議拘束」といって、党員は政党の方針に従わねばならないという規則があります。自分が所属する政党と違う意見に票を入れると、体制に逆らったと罰せられたり、党の公認を得られなくなったり、除名処分になることも。そのため、全体が数の多い与党の意見に流れることが構造的に起きてしまうんですね。国会には衆議院と参議院があって、衆議院で可決された法案を、参議院で再討議します。参議院は衆議院のように途中で解散することなく、任期は6年。半期ごとに半分の議員が選挙で選ばれます。衆議院とは別の角度からじっくり法案に取り組むことが求められています。しかし、党議拘束は参議院にもかかりますから、残念ながら、衆議院との役割の違いがあまり見えてきません。選挙前には国民が喜ぶような聞こえの良い法案が掲げられたり、結局、「選挙に勝つための政治になっていないか?」という疑問も拭えず、国民の政治離れが進んでしまいました。7月10日は参議院議員通常選挙の投票日です。代表演説やマニフェストをチェックして、ぜひ政策の中身で政治家を選んでください。日本は、お上の決定に民が従う歴史が長かったものですから、政治を政治家にまかせる慣習が染みついています。でも今、当事者意識を持って、政治家に働きかける積極性が求められているんです。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年7月13日号より。
2016年07月11日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「待機児童」です。***条件を満たし、入所申請をしているにもかかわらず、保育所に入れない「待機児童」の数は2015年4月の段階で約4万5000人。キャンセル待ちの多さに諦めて、最初から申請していない家庭もあるので、潜在的な待機児童数を含めるとその数はもっと多くなるでしょう。待機児童問題は、保育所の数を増やすだけでは解決にはなりません。というのも、保育士さんの数が足りないんですね。保育士の資格を持ちながら現場を離れた「潜在保育士」の数は全国で約80万人。離職した大きな理由は、賃金の低さと言われています。保育士の賃金は、35歳平均で月額21.9万円。全産業の平均は33.3万円ですから、かなり下回っています。安倍総理は4月に一億総活躍社会の一環として、保育士の賃金を2%、月額約6000円アップを宣言。潜在保育士をなんとか呼び戻そうと対策を立てています。保育所が足りないのは、近隣の反対により建てられないというケースもあります。「子供の声がうるさい」といったクレームも聞きますが、それだけではなく、道が狭くて、子供の送り迎えの車や自転車が来ると住民の移動ができないという切実な理由も。街づくりやインフラ面から抜本的に変えなければいけません。また、保育所開設の規制緩和も必要でしょうね。企業内に保育施設がもっと開設できれば助かりますよね。待機児童問題は、すぐには解決しないでしょう。これから就職や転職を考えている方は、育児休業のあるなしだけでなく、バリエーションをチェックしてみてください。1年フルに休めなくても、時短で働ける時期を長く取れる方がありがたい場合もあります。今から約100年前に母性保護論争が起きました。女性解放運動家の平塚らいてうは「子供を産み育てることは国のためでもあるから、国が保護するべき」と主張。対して歌人の与謝野晶子は「女性は男性にも国にもよりかかるべきじゃない。自立して稼ぎなさい」と意見しました。子育てのお金は、国か個人、どちらが出すべきなのか。子供は誰のものなのか?100年前の論争の答えはまだ出ていないんです。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年6月22日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年06月19日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する、雑誌『anan』で連載中の「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「タックスヘイブン」についてです。***タックスヘイブンとは日本語で「租税回避地」。税金を免除、またはとても低い税率にして、海外資本を獲得している国や地域のことを指します。ヨーロッパの小国、モナコ公国やサンマリノ共和国、カリブ海の英領ヴァージン諸島やケイマン諸島などが有名です。それらの国や地域が税率を下げるのは、もともと産業や鉱物資源がなく、税金をとる先がないからなんですね。海外企業を誘致できれば、雇用が生まれ、富裕層が集まれば消費が活発になり、その地域の利益につながります。企業にとってみれば、世界に展開するのに、本拠地をタックスヘイブンに登記し、収益を集約できれば、国によって税率が異なることを気にせず、円滑に取引が進められます。必ずしも誰しもが税金逃れのために使っているわけではないんです。ただ、麻薬や人身売買、テロ、政治家の汚職などのマネーロンダリング(資金洗浄。口座を転々とさせて、資金の出所を不明確にする)の温床になりやすいのも事実。北朝鮮やロシアなど、欧米諸国から経済制裁を受けている国のお金のやり取りに使われているともいわれています。4月に「パナマ文書」がニュースになりました。パナマの法律事務所から、タックスヘイブンを利用する企業の、過去40年分の膨大なデータが流出。それによると、約21万の企業の関係者リストのなかに、プーチンや習近平、アイスランドの首相など、国の要人も含まれていました。文書はドイツの新聞社と国際調査報道ジャーナリスト連合に送られ、現在詳しく調べている最中ですが、リストのデータベースは誰でも見られるよう5月にネット上で公開されました。タックスヘイブンに集められた企業の税逃れ額は、約500兆円あるとか。それらが国税として支払われれば、社会保障に使えますよね。日本では早い時期からタックスヘイブン対策税制を設け、法人税率20%以下の国に登記している会社は、国税庁に届け出ることになっており、国内の子会社から、相応の税がとられています。世界の格差問題につながるテーマ。今後、各国がどう対策をとるのか、要注目です。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年6月15日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年06月14日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する、雑誌『anan』で連載中の「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「一億総活躍社会」についてです。***去年の10月に第3次安倍改造内閣が発足したときに内閣は「一億総活躍社会」というプランを掲げました。安倍政権の経済目標の一番大きい規模のものって、何だかわかりますか?それは2020年までに日本のGDPを600兆円に引き上げるというものです。現在、日本のGDPは500兆円前後。‘80年代の後半に400兆円の大台を突破し、約15年かけてやっと500兆円になりました。バブル期を含んだ成長ですから、今から4年で約100兆円を上げるというのは、簡単ではない数字なんですね。GDPを上げるには方法は2つ。移民に積極的に働いてもらうか、国内に眠っている労働力を掘り起こすか。安倍さんは保守派ですから、移民の受け入れにはあまり積極的ではありません。そこで、女性やお年寄り、障害のある方、難病の方などでも、働ける人を総動員して、国の経済成長を促したいと考えているんです。バブル崩壊後、リーマンショックの起きた2008年頃までは、働きたくても働き口がない、という状況でした。けれども今、日本は人手不足です。サービス産業、製造業、介護や医療の現場で働き手を求めています。「一億総活躍社会」は言い換えてみれば「一億総労働社会」。少子高齢化で、働く年代の人口が減っているのに歯止めをかけたいんですね。今後は定年も延び、年金の受給開始年齢も引き上げられるでしょう。ただ、見方を変えれば悪いことばかりではありません。家庭、地域、職場で個性を生かした多様な働き方を社会全体で支援する。男性女性、障害のあるなし、年齢に関係なく、皆がいきいきと働ける社会を目指すということ。これから日本の労働環境が大きく変わるのかもしれませんね。政府は緊急政策として、「希望出生率を1.8」「介護離職ゼロ」を掲げ、保育や介護のサービスの拡大を目指しています。今、日本では、働いても生活が楽にならないという貧困の問題がありますね。一億総動員はするものの、市場原理にのまれて、ただ安い賃金で働かされ、ちっとも暮らしが豊かにならない、というふうにならないことを祈りたいですね。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年5月18日より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年05月15日