昨年10月に開催された第27回東京国際映画祭<ワールド・フォカス部門>に出品され、正式公開が切望されていた台湾の青春映画『共犯』。このたび、本作でヒロイン役のシャー・ウェイチャオを演じたヤオ・アイニンの緊急来日が決定した。3人の男子高校生が、偶然同じ高校の女生徒の死に遭遇し、彼女の死の真相を探ろうとする本作。謎の死を遂げた美少女シャー・ウェイチャオを演じたのが、モデル出身で、本作が映画デビュー作となる新人女優、ヤオ・アイニン。アイニンがまだモデルになる前、素人だった頃の彼女を発見し、撮影していたのが、なんと日本人の写真家・川島小鳥。佐渡島に住む3歳の女の子を被写体にした写真集「未来ちゃん」で講談社出版文化賞写真賞を受賞した川島さんは、最新刊「明星」では舞台を台湾に選び、「写真界の芥川賞」とも言われる木村伊兵衛写真賞を受賞した。その「明星」で被写体として数多く写っているのが、モデル活動を始める前のアイニン。『共犯』での陰りを帯びた雰囲気とは正反対に、こちらも思わず微笑んでしまうようなキュートな表情を見せつけている。川島さんの出会いを機にファッション・ブランド「ネ・ネット(Ne-net)」のムック本カバーガールに抜擢されたり、台湾のカルピスCMに出演するなど着実に活躍の場を大きく広げているアイニン。さらに「明星」にも掲載されている写真が、銀杏BOYZの最新アルバム「光の中に立っていてね」のジャケット写真に使用されるなど、日本でもその活躍を目にすることができる。本作の監督はチャン・ロンジーは「シャー役のキャスティングがいちばん苦労した。物語は彼女を中心に展開していく。しゃべらずとも、表情と佇まいだけで全てを語れる存在感を放っていなければならない。半年間オーディションを繰り返しても見つからなかった。どうしようかと頭を抱えていたときに、モデル活動を始めたばかりのヤオ・アイニンに出会った。一目見た瞬間、彼女しかいないと思ったよ」と、彼女の圧倒的な存在感が起用の理由であると語っている。そんなアイニンの緊急来日がこのたび決定!公開を直前に控えた7月23日(木)に開催される映画解説者・中井圭氏主催イベント「映活」第三弾のトークショーに写真家・川島さん、映画評論化・松崎健夫氏と共にゲストとして登場予定だ。片や新進気鋭の台湾の映画監督、片や日本の同じく新進気鋭の写真家という、これからのアジアカルチャーを担っていくふたりの才能に見初められたヤオ・アイニン。今後スターダムに登っていくであろう彼女の初々しい演技は要注目だ。映画『共犯』は7月25日(土)より新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2015年07月08日先日開催された第27回東京国際映画祭のオープニング作品として世界最速上映され、話題をさらったディズニーアニメの最新作『ベイマックス』。ディズニーのアニメ作品といえば、『シュガー・ラッシュ』のときの『紙ひこうき』、『モンスターズ・ユニバーシティ』の『ブルー・アンブレラ』など、同時上映される短編アニメーションもクオリティの高さから注目を集めているが、このほど、12月20日公開の『ベイマックス』と同時上映される『愛犬とごちそう』の特別映像が解禁となった。短編アニメーション『愛犬とごちそう』は、あるひとりの男性が飼う愛犬ウィンストンの視点から描いた、愛と食がテーマの物語。ある日、彼からポテトフライをもらったことがきっかけで、彼の家で暮らし始め、親友となり、いつもお裾分けしてもらうジャンク・フードが大好きになったウィンストン。でも、彼が恋に落ちてからというもの、楽しかった食事の時間は一変してしまうのだ。解禁された映像では、幸せそうな表情を浮かべながらジャンク・フードを貪る、なんとも愛らしいウィンストンの食事シーンがお披露目。その可愛すぎる姿には誰もが頬をゆるめずにはいられない。だが、映像の後半では、男性の異変を察知したウィンストンが凛々しい表情でひとり街へ駆け出すシーンもあり、何か“事件”を予感させている。メガホンをとったのは、本作が初監督作品となったパトリック・オズボーン。『ボルト』『塔の上のラプンツェル』『シュガー・ラッシュ』など長編アニメーションや、短編『紙ひこうき』にもアニメーターとして関わった後、『ベイマックス』でもアニメーション・チーフを務めたスゴ腕のアニメーターだ。実はオズボーンが監督を務めることになったのは、ディズニー・スタジオで働く、アーティストから経理に至るまで全社員へ通達された「短編アニメーションのアイデアを求む!」という告知がキッカケ。多くの社員がここぞとばかりに名乗りを上げる中、彼は『愛犬とごちそう』の企画を提出。最終候補まで残った彼は、あのジョン・ラセターへのプレゼンを行った結果、見事採用され、実力で自身のストーリーテリングの能力とアイデアをスタジオに認めさせることになった。「ビッグチャンスに興奮しましたが、同時にディズニーの名作短編アニメーションとその輝ける歴史に、ものすごいプレッシャーを感じましたよ」とオズボーン監督は語る。自身も愛犬家で3匹の犬と育った彼は、愛犬の表情や仕草はもちろん、彼はウィンストンの足と体の動きには強いこだわりを持って描いたという。時には本物の犬をスタジオに連れてきて、他のアニメーターと共にその動きを細かくスケッチしたそうで、「最近(のディズニー・アニメーション作品)は人間が主人公の作品が続いていたので、スタッフの半数近くが四足歩行の動物をアニメートしたことがなかったんです。特に足の動きが非常に複雑なので、ビデオに撮り、何度も何度も繰り返して見て研究しました」とふり返る。第85回アカデミー賞では『紙ひこうき』が見事「短編アニメーション賞」を受賞しているが、オズボーン監督は「そんな期待は一切していません。僕はたくさんの人々に楽しんで観てもらえれば十分満足ですよ。それが、何よりの“ご褒美”です」と謙虚に語り、「もし一生短編だけ撮って暮らしていけるなら迷わずその道を選びます(笑)」と、すっかり短編監督にはまってしまった様子だ。同じく愛犬家でもあるジョン・ラセターからは「素晴らしいよ!おめでとう!」と太鼓判を押されたという本作にも、期待が高まるところだ。『ベイマックス』と同時上映短編アニメーション『愛犬とごちそう』は12月20日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2014年11月28日圧倒的な存在感を見せ、今年の東京国際映画祭で「観客賞」とともに「最優秀女優賞」を受賞した宮沢りえが、『桐島、部活やめるってよ』の鬼才・吉田大八監督とタッグを組んだ映画『紙の月』。先日の初日舞台挨拶でも、吉田監督からの突然の感謝の手紙には思わず涙を見せていた宮沢さんだが、このほど、本作のクライマックスとなる宮沢さんの“疾走”シーンの裏側をとらえたメイキング映像がシネマカフェに到着。吉田監督の指示のもと、宮沢さんが“本気”の走りを見せていることが分かった。本作は、バブル崩壊直後の1994年、銀行のシステムがオンライン化がされる以前に、銀行の契約社員として働く平凡な主婦・梅澤梨花(宮沢りえ)が年下の大学生(池松壮亮)と出会い、次第に巨額の横領に手を染めていく様を描いた物語。直木賞作家・角田光代のベストセラー同名小説が原作となる。吉田監督はこの原作小説を読んだ際、「イメージとして浮かんだのが、走っているヒロイン。自分を抑えて生きてきた女性が、破滅へと暴走する姿を“爽やかに”描きたくなった」という。「とにかく梨花が走るシーンに向かってどんどん圧力を上げていくために、映画オリジナルの構成ができ上がった」と、このクライマックスにかけた思いをふり返って語る。今回の映像に収められているのは、まさにその映画の終盤、宮沢さん演じる梨花の横領がついに銀行にバレ、それでも逃げようとする彼女を追っていくシーン。吉田監督の指示を受け、夕陽が射すタイミングを狙って、いろいろな場所を何度も、何度も全力疾走で駆け抜ける宮沢さん。肉離れを起こし倒れても「私、大丈夫。もう1回やろう。ほら、まだ夕陽があるうちに、早く!」と、心配顔のスタッフを逆にふり切るように、笑顔で立ち上がったという宮沢さんの、意外に速い本気走りと“女優魂”を目にすることができる。走るシーンが印象的な映画といえば、タイトルそのままの『ラン・ローラ・ラン』、花嫁を奪って逃走するダスティン・ホフマンの『卒業』、トム・ハンクスの本気走りが見られる『フォレスト・ガンプ』、アニメ『時をかける少女』の駆け下りる坂道、最近では『超高速!参勤交代』など、いくつか思い浮かぶ映画があるはず。本作でも、宮沢さん演じる梨花がまるで世界の彼方へ向かおうとするかのような疾走は、吉田監督が目指したヒロインそのままに眩しく、爽快感すら感じさせる印象深いものとなっている。『紙の月』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:紙の月 2014年11月15日より全国にて公開(C) 2014「紙の月」製作委員会
2014年11月18日「タサキ(TASAKI)」は、2014年10月23日(木)から31日(金)まで開催された第27回東京国際映画祭(Tokyo International Film Festival、略称TIFF)にスポンサーとして協賛し、そのクロージングセレモニーが10月31日(金)に華やかに開催された。(c)2014東京国際映画祭同映画祭期間中には、日本を代表する女優陣が「タサキ(TASAK)」Iのジュエリーをまとい、様々なイベントに登場。第27回東京国際映画祭のオープニングセレモニーで、同映画祭のフェスティバル・ミューズを務めた女優の中谷美紀やフェスティバル・ナビゲーターを務めた女優の岡本あずさをはじめ、国内から唯一のコンペティション作品として出品され観客賞を受賞した映画「紙の月」に主演され、自身も最優秀女優賞に輝いた宮沢りえ、同映画祭で自身が監督した映画が上映された監督兼女優の杉野希妃など、東京国際映画祭を彩ったさまざまなセレブリティがそれぞれの美しさで東京国際映画祭を華やかに彩った。 中谷美紀は、TASAKIクリエイティブ・ディレクター タクーン・パニクガルによるデザインの『テイク フライト』バングルを着用。18Kホワイトゴールドとグレーダイヤモンドで羽のモチーフを軽やかに描き出した、モダニティと洗練されたエレガンスを感じさせるジュエリーに、スタッドタイプのDカラー、トリプルエクセレントカットの最高のクオリティを誇る大粒ダイヤモンドのイヤリングをコーディネート。その洗練された美しさでオープニングセレモニーのレッドカーペットでひときわ輝きを放っていた。宮沢りえは、TASAKIクリエイティブ・ディレクター タクーン・パニクガルによるデザインの『アイシクルズ』のイヤーカフを着用。18Kホワイトゴールドにあこや真珠、ダイヤモンドで氷柱を表現した最新作を身にまとい、艶やかでスタイリッシュな装いで、観客賞を受賞した主演作品「紙の月」のワールド・プレミアに臨む。岡本あずさは、リボンをモチーフにしたTASAKIクリエイティブ・ディレクター タクーン・パニクガルによるデザインの「バウンド」ティアラをメインに、バラをモチーフにした「リボンローズ」イヤリングやTASAKIのアイコンシリーズ「デインジャー」のリングをコーディネート。軽やかでフレッシュな魅力でレッドカーペットに登場。杉野希妃は、18Kホワイトゴールドとシャンパンガーネットを素材に使用したシャンデリアタイプの「デコドレープ」のイヤリングとペンダントを着用。動きにあわせて揺れるデザインのジュエリーを煌びやかに着こなしていた。「タサキ(TASAKI)」は今後も、レッドカーペットにふさわしいモダンかつエレガントなハイジュエリーを発表していく。(c)TASAKI画像左:宮沢りえ着用『アイシクルズ イヤーカフ【18KWG、あこや真珠、ダイヤモンド】』1,650,000円(税抜)画像中上段:岡本あずさ着用『バウンド ティアラ【SIL、ダイヤモンド】』940,000円(税抜)画像中下段:中谷美紀着用『テイク フライト バングル【18KWG、グレーダイヤモンド】』6,600,000円(税抜)画像右:杉野希妃着用:『デコ ドレープ イヤリング【18KWG、シャンパンガーネット】』1,400,000円、『デコ ドレープ ペンダント【18KWG、シャンパンガーネット】』1,200,000円(全て税抜)元の記事を読む
2014年11月12日10月に開催された「第27回東京国際映画祭」コンペティション部門でWOWOW賞と最優秀芸術貢献賞のダブル受賞を果たしたロシア映画『草原の実験』が、11月22日(土)に開催するWOWOWの放送イベント「TOUCH!WOWOW2014」の中で一度限りのプレミア放送をすることが決定した。大草原に立つ小屋で父親と暮らす少女・ジーマ。平和な日々を突然襲う暗い影と彼女の運命を描いたこの作品はカザフスタンでロケを行い、登場人物のセリフが一切なく、観客にストーリーの解釈を委ねた野心作。WOWOW賞の選考委員は「セリフを排した本作品の映像・音の持つ力は、言語・国境を越える強さを感じます。この作品をここ 東京から世界に発信することが、監督、俳優、作品関係者それぞれの可能性をさらに広げるきっかけになることを願い、WOWOW賞選考委員満場一致で決定しました。この新しい挑戦に敬意を表します」選出理由を述べている。透明感あふれる魅力を持った主演女優のエレーナ・アン、風や水などの自然が奏でるシンフォニーも見どころだ。監督・脚本はアレクサンドル・コット。第27回東京国際映画祭<WOWOW賞>受賞作『草原の実験』はWOWOWシネマにて11月22日(11:45~)放送。
2014年11月09日東京国際映画祭にて世界最速上映が実施されたディズニーアニメの最新作『ベイマックス』。上映に合わせジョン・ラセターを始め、ドン・ホール、クリス・ウィリアムズ両監督らが来日を果たしたが、全米公開を3日後に控えた11月4日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスにて凱旋L.A.プレミアが盛大に行われた。本作は、天才科学者の少年・ヒロが、事故で亡くした兄・タダシの遺したケア・ロボット“ベイマックス”とともに、深い悲しみを乗り越え、失ってしまったかけがえのない絆を取り戻す勇気を描いた感動アドベンチャーだ。当日会場には、映画の舞台となる日本とサンフランシスコを融合して作られた架空都市“サンフランソウキョウ”の一部が再現され、日本のテイストを盛り込みゴールデンゲートブリッジを模した橋の装飾を始めとする日本を感じる演出が施されていたほか、レッドカーペットの枠には屋台も設置!東京国際映画祭で初お披露目となったベイマックスも会場に登場し、ひときわ観衆の注目を集めていた。凱旋プレミアに参加したウィリアムズ監督は、「待ちきれないですね!何年もこの作品に費やし、遂にこの日が実現しました。この作品を観客に捧げ、分かち合うことになるので、もう落ち着いて眠れないですよ」と興奮気味。ホール監督も「本当にワクワクしています。観客のみなさんに映画を受け入れてもらい、大いに笑い、スリル感を味わってほしいです。そして何よりも大切なことですが、心から感動していただければと思います」と笑顔で語った。2014年のアカデミー賞での『アナと雪の女王』の受賞に続く作品ということで、日本のファンの間でも連覇に期待がかかっていることを伝えると、ウィリアムズ監督は「それがみなさんの望みであれば、私達もそう願います!」と意欲を見せ、ホール監督も「是非日本のみなさんに(賞を)お届けできればいいですね」と期待感を募らせていた。イベントではオリジナルシャツで登場するラセター氏は、この日、日本の羽織風の紺色の服と、日本のディズニーからプレゼントされたというお気に入りのベイマックス柄のアロハ姿で登場。東京国際映画祭でのワールドプレミア上映に参加して「東京は映画にとって非常に重要であり、インスピレーションを得た都市でもあります。それは場所としてだけでなく、人々やテクノロジーも含まれます。世界の都市としてユニークな点は伝統と新しいテクノロジーが共存している点です」と日本を称賛した。ディズニーファンの間で話題になることといえば、恒例ともなっている隠れキャラクター!本作にも出演があるのかについて質問されると、プロデューサーのロイ・コンリは「至るところで見つかりますよ!たくさんの隠れミッキーやイースターエッグと呼ばれる隠れキャラがいます」と断言。さらに『アナと雪の女王』のキャラクターについても「もちろん、いくつかいますよ」とマル秘情報を明かした。『ベイマックス』は12月20日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2014年11月06日●『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』の原画に感動した庵野秀明監督庵野秀明監督は10月26日、「第27回東京国際映画祭」でアニメ・特撮評論家の氷川竜介氏と対談を行い、自らのアニメーターとしてのキャリアを語った。日本を代表するクリエイターである庵野監督がどんな道を歩んで現在に至ったのか、またアニメーション表現にどんなこだわりを持っているのか、対談を振り返り紐解いていこう。庵野監督は冒頭、アニメーターとしての自分自身について「人間を描くなら僕よりうまい人はいっぱいいる」と述べた。庵野監督が関わった作品として知られている『風の谷のナウシカ』では、人間を描いたものの宮崎駿監督にすべて描き直されてしまったのだという。「ヘタだなって言いながら、宮さん(宮崎監督)が一から全部描き直したんです。だからクロトワはうまいんです(笑)。僕が描いていたのは、後ろの煙やクロトワが巨神兵の中でドクンドクンなっているところです」庵野監督がプロになったきっかけは、自身が師と仰ぐアニメーター、板野一郎氏との出会いだった。大学時代、岡田斗司夫氏に誘われて東京へ上京した際、紹介されたのが板野氏だったのだ。そこで板野氏が描いた『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』の原画を見た庵野監督は「本当にすごくて、こんな原画が世の中にはあるんだ」と感動したという。「それまでは自分がプロで通用するなんて思ってなかったし、まだ学生だしって思っていたけど、板野さんの原画を見てから、この人のところで仕事をしてみたいと思ったんです。プロになりたいというのではなく、板野さんの仕事を見てみたいと」その後、庵野監督は板野氏の間近でアニメの仕事をこなしながら、経験を積んでいく。当初はキーフレームの意味も知らず、タイムシートも見たことがないという状態だったが、板野氏からはいきなり『超時空要塞マクロス』の原画の修正を任せられた。当時を振り返って「いきなりの作監デビューですよ(笑)」と庵野監督は笑う。「『マクロス』のTVスペシャルを見て、自分が描いたものが出てくるのはやはりうれしかったですね。22話と25話のときは東京に出てきて、冬にスタジオまで行って板野さんと二人でずっと寝泊まりしていました。そこの仮眠室に暖房がなかったので、毛布をす巻きにして寝るしかなくて、冷凍仮眠室って呼んでいましたよ(笑)」当時は「ド新人だった」という庵野監督だが、コンテ通りに作業するのではなく、カットを変更して描いていた。「自分が絵を描く以上は面白いアニメにしたかった。あの頃のアニメ業界は自分さえ目立てばいいという人ばかりで、僕のその仲間でした(笑)。25話の頃にはすっかり仕事にも慣れていて、日曜が放送日なのに最後の原画を上げたのが木曜。間に合うものだなと(笑)」庵野監督が手がけた最後のカットは、バルキリーがガウォークに変形するシーンだった。ここで描いた爆発シーンが各所に評価され、仕事が来るようになったという。1983年に再び開催された日本SF大会(通称DAICON4)への参加を経て、庵野監督は『風の谷のナウシカ』にスタッフとして参加することになる。「アニメージュにスタッフ募集と書いてあったから、追い返されることはないだろうと思っていたら、即答で来いと言われて僕自身がびっくりしました。かばん一つで上京したら、宮崎監督が『いつから来れるんだ』と。今と変わらず、回転椅子にあぐらをかいた状態でしたね。『ナウシカ』の制作はかなり追い詰められていたようです」●納得のいく爆発表現は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の丸い爆発庵野監督といえば巨神兵を描いたことで有名だが、もともとは別のスタッフが予定されていた。本来なら、参加したばかりの新人に任せられるパートではなかったというが、「『ナウシカ』は宮さんが普段使っている人がほとんどいなくて、メインは鈴木さんが集めたスタッフ。本当に外人部隊でした」という状態だったこともあり、庵野監督が原画を担当することになった。「どうも煙を描いたら気に入られたみたいです。そのシーンが終わったら、次は巨神兵と王蟲が戦うところをやってほしいと言われました。宮さんが最初に描いていたコンテが実によかったんですよ。巨神兵は溶けてなくて、王蟲の群れの中に入って、ちぎっては投げちぎっては投げしているんです。だけど最後は王蟲の数に潰されてしまう。これはかっこいいけど大変だな、自分に描けるかなと思っていたところ、(納期までの)時間がなくなったんですね。それで宮さんが上げてきたのが、巨神兵が溶けている絵で、一発撃って自滅してしまうんです。映画の尺もないからと説得されて、渋々納得しました」宮崎駿監督から学んだものは大きいと庵野監督は言う。「『ナウシカ』のときに初めて地面があるレイアウトを描いたんです。『マクロス』でやっていたのは宇宙空間で地面がなく、空間の中を自由に動くカットしかやってなかったんですね。『ナウシカ』で砂丘に三角形の塔が建っているシーンを描いたんですが、僕が最初に描いたのはひどくて、そこに空間がないんです。それで宮さんが僕を呼んで、どう直せばいいかを教わりました。宮さんのレイアウトだと、ただの線一本なんだけど、ちゃんと砂丘の膨らみがあるんですよね」『風の谷のナウシカ』で経験を積んだ庵野監督はその後、『王立宇宙軍 オネアミスの翼』に参加する。この作品で庵野監督が「スペシャルエフェクトアーティスト」という肩書でクレジットされていることがしばしば話題になるが、本人にとっては「世間への嫌がらせだった」のだという。「アーティストで名づけたらアーティストだろうという軽い気持ちでつけたんです。エフェクトにしても、当時流行していたSFXという言い方が嫌で、エフェクトにしてやれと。自分が嫌なものを肩書にしたんです。こんなに後々まで残るとは思いませんでした(笑)」氷川氏によると、『王立宇宙軍 オネアミスの翼』は作品内にリアリズムを取り入れたことでも評価されているという。庵野監督自身も「作品世界が漫画的描写を受け付けないので爆発をリアルに見えるよう描いた」と述べており、「アニメーターの技術としては、今でも『王立宇宙軍 オネアミスの翼』が最高峰」だと断言する。アニメーターとして、特に爆発の表現にはこだわってきた庵野監督だが、『王立宇宙軍 オネアミスの翼』以降の作品で納得のいく爆発表現は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』で「丸い爆発が次々に出るところ」くらいなのだとか。「あれは久々によく描けたカットだなと。それ以外は全然ダメ」その後もさまざまな作品でアニメーターや監督として活躍してきた庵野監督だが、あらためて自身の道を振り返り、「いいタイミングで監督になった」と言う。「自分がやっていた仕事は、アニメーターとしては若いときしかできないことだったので、あのままアニメーターを続けていても早々に田舎に帰ることになっていたと思います。僕としては途中で監督になってよかったです」新たに「日本アニメ(ーター)見本市」をスタートさせるなど、意欲的に人材育成を行っている庵野監督だが、今後アニメーターを目指す人に対しては次のようにアドバイスしている。「アニメーターはまず絵描きじゃないといけないし、同時にカメラマンじゃないといけないし、役者じゃないといけない。実写だったらバラバラでやるところを、一人でやれる面白い職業です。その面白さがわかれば、アニメーターになっても続くはず。後は観察することが大事。宮さんのすごいところは、一度見ただけで物の構造を把握する観察力ですから。アニメーションは記号に落とす作業があるので、記号化するときに何を捨てるのか、自分で考えてイメージを組み直さないといけません。実写でできないこと、アニメならではのものがあります」日本のアニメ業界は今後どうなっていくのか。庵野監督の新たな挑戦「日本アニメ(ーター)見本市」に注目だ。
2014年11月05日文豪ドストエフスキーの小説を原作とし、『ソーシャル・ネットワーク』のジェシー・アイゼンバーグが一人二役の難役に挑んだ『嗤う分身』。第26回東京国際映画祭で大きな話題をさらった本作が、ついに11月8日(土)より全国で公開される。このたびシネマカフェでは、本作でヒロインを演じたミア・ワシコウスカのインタビュー映像を独占入手!本作での共演をきっかけに交際を始めたジェシーの魅力を堂々と語る、ミアの貴重な姿をお届けする。内気で存在感の薄いサイモン(ジェシー・アイゼンバーグ)は、会社の上司や同僚にもバカにされるサエない存在。コピー係のハナ(ミア・ワシコウスカ)に恋をしているが、話しかけることもできない。そんなある日、サイモンとまったく同じ容姿を持つ新人ジェームズ(ジェシーの二役)が入社してくる。容姿は同じだが、性格は正反対の2人。しかもジェームズは、女性にモテモテの男だった。サイモンは次第にジェームズのペースに翻弄され、やがて思いもよらぬ事態へと飲み込まれていく――。ドストエフスキーの隠れた名作を、見事に映画化した本作。メガホンを握ったのは、新世代の鬼才として注目される英国出身のリチャード・アイオアディだ。主演は、本作で自身初の一人二役という難役に挑んだジェシー・アイゼンバーグ。そして、同じ容姿の2人の男の間で揺れ動くヒロインを、『アリス・イン・ワンダーランド』の若き実力派ミア・ワシコウスカが好演。孤独を抱え、どこか掴みどころのない可憐な存在感で、物語に華を添えた。また、製作総指揮にはイギリスの名優マイケル・ケインが名を連ねているだけでなく、劇中歌に日本の60年代昭和歌謡(坂本九、「ジャッキー吉川&ブルーコメッツ」)が挿入されるなど、意外なコラボも実現。レトロで奇妙なディストピア世界を舞台に、もう一人の“自分”の出現によってすべてを狂わされていく男の顛末を、ダークユーモアとロマンスたっぷりに描いている。このたび公開されたミアのインタビューでは、容姿は同じでも性格が真逆な2人の男を相手に演技したことを始め、本作への出演のきっかけが『スプリング・ブレイカーズ』の監督ハーモニー・コリンだったことを明かし、また、本作をきっかけに交際を始めたジェシーのことを「俳優として大好きだった」と共演前から気になる存在だったことを笑顔で語るなど、非常に貴重な映像となっている。今後も、デヴィッド・クローネンバーグ監督の最新作『マップ・トゥ・ザ・スターズ』や『アリス・イン・ワンダーランド』続編など、個性的な役柄が続くミア。さらなる活躍が期待される彼女の素顔を、こちらからご覧あれ。『嗤う分身』は11月8日(土)よりシネマライズほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:嗤う分身 2014年11月8日よりシネマライズほか全国にて公開(C) Channel Four Television Corporation, The British Film Institute, Alcove Double Limited 2013
2014年11月04日10月23日から31日まで開催された第27回東京国際映画祭では、日本の女優陣が「タサキ(TASAKI)」のジュエリーをまとって様々なイベントに出席し、映画祭を華やかに彩った。同映画祭のフェスティバルミューズを務めた中谷美紀は、18Kホワイトゴールドとグレーダイヤモンドで描き出した羽のモチーフの「テイク フライト」バングルに、スタッドタイプのDカラー、大粒ダイヤモンドのイヤリングをコーディネート。宮沢りえは、18Kホワイトゴールドにあこや真珠、ダイヤモンドで氷柱を表現した最新作「アイシ クルズ」のイヤーカフを着用し、国内から唯一のコンペティション作品として出品された映画『紙の月』のワールドプレミアに出席した。フェスティバルナビゲーターを務めた岡本あずさは、リボンをモチーフにした「バウンド」ティアラをメインに、バラをモチーフにした「リボンローズ」イヤリングやTASAKI のアイコンシリーズ「デインジャー」のリングをコーディネート。自身が監督した映画が上映された監督兼女優の杉野希妃は、18Kホワイトゴールドとシャンパンガーネットを素材に使用したシャンデリアタイプの「デコドレープ」のイヤリングとペンダントを着こなした。
2014年11月01日第27回東京国際映画祭は10月31日にメイン会場であるTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われたクロージングセレモニーで各賞を発表し、閉幕した。コンペティション部門では米仏合作『神様なんかくそくらえ』が最高賞にあたる東京グランプリと最優秀監督賞の2冠を達成。また、日本から唯一コンペに臨んだ吉田大八監督『紙の月』は最優秀女優賞(宮沢りえ)と観客賞をダブル受賞した。ディズニー大ヒット作『GOG』監督が、第27回東京国際映画祭のコンペ審査委員長に就任!受賞者会見に臨んだ吉田監督は「女優宮沢りえの映画、と言うと語弊があるが、僕自身がそれくらい女優賞を欲しかった。彼女にとって大きな喜びだったはずだし、監督としても重みを感じている」と喜びのコメント。また、観客賞受賞については「決してわかりやすい映画ではないし、シンプルに共感できる内容ではないだけに、観終わったお客さんが気に入ってくれたのは、ものすごく励みになりました」と語った。コンペティション部門の審査員長を務めた映画監督のジェームズ・ガンは、「コンペティション部門全体を通して、何かに追い詰められ『愛したい』『愛されたい』という気持ちが根底に流れていた」と総括。その上でニューヨークをさまよう薬物中毒者を描いた『神様なんかくそくらえ』を「最もインスピレーションを刺激された作品。映像、語り口、演技のバランスが一番良かった。もちろん、審査員の間では意見が割れることもあったが、議論を重ねることで、最終的には満場一致だった」と評した。第27回東京国際映画祭の主な受賞結果は、以下の通り。東京グランプリ:『神様なんかくそくらえ』最優秀監督賞:ジョシュア&ベニー・サフディ監督(『神様なんかくそくらえ』)審査員特別賞:『ザ・レッスン授業の代償』最優秀女優賞:宮沢りえ(『紙の月』)最優秀男優賞:ロベルト・ビェンツキェビチ(『マイティ・エンジェル』)最優秀芸術貢献賞:『草原の実験』WOWOW賞:『草原の実験』観客賞:『紙の月』取材・文:内田 涼
2014年11月01日第27回東京国際映画祭のクロージングセレモニーが31日、東京・六本木のTOHO シネマズ 六本木ヒルズで行われ、新設された"SAMURAI(サムライ)賞"の第1回受賞者となった北野武監督とティム・バートン監督が表彰された。トロフィーを受け取った北野監督は、「第1回東京国際映画祭に出たような気がするんですが、始めの頃は情けない映画祭で、緑のカーペットというわけのわからない、人をバッタ扱いにしていたオープニングだった」と一言目から北野節が炸裂。さらに、「SAMURAI賞という、賞金も何もつかない(賞)。HOYAのガラスの余ったもので作ったトロフィー」と毒舌を吐いた。また、「俺1人は嫌だと言ったらティム・バートンさんを連れてくるってことで、その人と2人なら恥ずかしくないということで来ました」とコメント。そして、「最近、お笑いとかテレビとか映画でも、内心ムズムズすることがあって、脱皮するというか、昆虫のように、セミが急にトンボとか違うものになって飛んでいくような気が、内心していて」と明かし、「そのきっかけになれたら、この賞に本当に感謝します」と語った。北野監督に続いてあいさつしたティム・バートン監督は、「この賞を、偉大な北野武監督と一緒に受賞するというのは、非常に名誉なことです」と北野監督に対する尊敬の気持ちを表し、「日本は大好きな国なんです。日本という国は、私の大好きな怪獣を生んだ国です。本当に光栄です」と日本への思いも語った。
2014年11月01日第27回東京国際映画祭が31日に閉幕し、東京・六本木のTOHO シネマズ 六本木ヒルズで行われたクロージングセレモニーで、コンペティション部門をはじめとする各賞が発表された。最高賞である東京グランプリは『神様なんかくそくらえ』に決まり、宮沢りえ主演『紙の月』は、観客賞と最優秀女優賞を獲得した。セレモニーではまず、フェスティバル・ミューズの中谷美紀があいさつ。「豊かな9日間でした。映画漬けの日々を送ることができて、なんて幸せな日々だったんだろうと思っています」と振り返った。続いて、新設された"SAMURAI(サムライ)賞"受賞者の北野武監督とティム・バートン監督が登場し、トロフィーが贈呈された。コンペティション部門では、最高賞の東京グランプリにアメリカ・フランス合作の『神様なんかくそくらえ』が決定。本作は、少女の青年に対する絶望的な愛の物語を軸に、ジャンキーとして生きる若者たちを徹底したリアリズムで描いた作品で、主演女優アリエル・ホームズの実体験を描いた。サフディ兄弟は、最優秀監督賞も受賞。「2つも受賞してうれしく思います」と喜びを語った。日本代表作品の宮沢りえ主演『紙の月』も、観客賞と主演女優賞の2冠を達成。吉田大八監督は「『紙の月』を好きだとおっしゃってくださった方が一番多いという重みを感じます」と語り、宮沢は「おみくじで大吉をひいた時に、『ヤッター!』と思う気持ちの中に自分を引き締めなければという気持ちが湧くのと似ています」と喜びを伝えた。すべての賞を発表した後、コンペティション国際審査委員長のジェームズ・ガン監督が「審査員一同、世界を巡らせてもらえた日々でした」と9日間を振り返り、「今年の作品に流れるテーマは、愛する、そして、愛されるという必要性」だとコメント。「映画作りの楽しさの中で、表現力の相違点と類似点を体験できるのが、東京国際映画祭の魅力だと思います」と語った。第27回東京国際映画祭 受賞作品・受賞者【コンペティション部門】東京グランプリ:『神様なんかくそくらえ』審査員特別賞:『ザ・レッスン/授業の代償』最優秀監督賞:ジョシュア・サフディ、ベニー・サフディ(『神様なんかくそくらえ』)最優秀女優賞:宮沢りえ(『紙の月』)最優秀男優賞:ロベルト・ヴィエンツキェヴィチ(『マイティ・エンジェル』)最優秀芸術貢献賞:『草原の実験』観客賞:『紙の月』WOWOW賞:『草原の実験』【アジアの未来】作品賞:『ゼロ地帯の子どもたち』国際交流基金特別賞:『遺されたフィルム』【日本映画スプラッシュ】作品賞:『百円の恋』スペシャル・メンション:『滝を見にいく』【SAMURAI(サムライ)賞】北野武、ティム・バートン
2014年11月01日第27回東京国際映画祭が10月31日(金)に閉幕。クロージングセレモニー後には各賞受賞者および審査員による会見が行われた。米仏合作の『神様なんてくそくらえ』が「東京グランプリ」と「監督賞」の2冠に輝いたが、コンペティション部門審査委員長の映画監督のジェームズ・ガンは、審査の過程について「シンプルに、一番インスピレーションを与えてくれた作品を選びました。満場一致ではありませんでしたが議論をした上で、最後はみんなの意見が一致に近いところまで辿り着いたと思います」とふり返る。今年はお笑い芸人で映画監督として『漫才ギャング』『ドロップ』というヒット作を送り出した品川ヒロシが審査員に名を連ねたが、9日間の映画祭の日々をふり返り「好きな映画に対して意見が出来たと思います」と充実の表情。「(審査員による決定が)多数決ではなく話し合いでできているのが面白いと思いました。もっと仲が悪い審査員なら、映画になりますね(笑)」とも。『神様なんてくそくらえ』チームはジョシュア・サフディ&ベニー・サフディの両監督、ヒロインのアリエル・ホームズ、相手役を務めたケイレブ・ランドリー・ジョーンズの4人が揃って出席。ヘロイン中毒の若者たちの姿を生々しく描いた本作だが、映画で描かれている物語の一端は、アリエル自身の少し前までの実生活であるという。アリエルは受賞の喜びを口にし、作品について「私自身を取り巻いていた現実、実体験がきちんと映画で描かれていると思います」と語る。さらに「この受賞がどんな意味を持つかはいまの私には分かりませんが、いま私が願うのは、映画を観た人が世の中にいろんな生き方、人生があるということを分かってくれること。そして、どんな命にも重みがあるということです。ニューヨークでホームレスだった少女がいま、ここでこうしているというのはクレイジーなすごいこと。やはり、人それぞれいろんな人生があるのだと思います。誰しもが“声”を持っているので、その声に耳を傾けていただければ幸いです」と呼びかけた。監督のジョシュアは、1年半前の彼女との出会いを「ラッキーだった」と述懐。すでに彼女はロスでの女優としての次の仕事も決まっているそうで、「これからも女優として頑張ってほしい」とエールを送る。そして「ここで描かれていることは決して悲劇ではありません。なぜならエンディングがなく、いまもなお続いているからです」と言葉に力を込めた。なお、「最優秀女優賞」を受賞した宮沢りえは、スケジュールの都合で会見を欠席。『紙の月』の「観客賞受賞」で出席した吉田大八監督は改めて感謝の弁を口にする。「女優賞受賞」の際の宮沢さんの様子について、「驚いていたと思います。普段、彼女はとてもスピーチが上手いのですが、緊張していることが分かりましたし、ものすごく大きな喜びだったのは間違いないと思います」と語る。宮沢さんは壇上で「(トロフィーを)半分に出来るなら監督に演出賞をあげたい」と感謝の思いを語ったが、これを受け吉田監督は「もし自分が監督賞をいただけたなら、同じことを言おうと思ったんですが、機会がなくて残念です」と笑っていた。本作について「分かりやすい映画と思っていないし、シンプルに『大好き』と言える映画ではないと思う」と語るなど、観客の投票による「観客賞」受賞はを予想外の結果と受け止めているよう。「励みになった」と語ると共に「俳優の演技には自信があるので、そこが評価されたのだと思います」と改めて俳優陣への称賛を口にした。(text:cinemacafe.net)
2014年11月01日宮沢りえが第27回東京国際映画祭において『紙の月』での演技で「最優秀女優賞」を受賞。本作は「観客賞」にも輝いた。なお最高賞「東京グランプリ」は米仏合作の『神様なんてくそくらえ』が獲得。こちらも「監督賞」との2冠となった。宮沢さんは艶やかな着物姿で来場。すでに『紙の月』が映画祭に訪れた観客の投票による「観客賞」を受賞したことは授賞式前に発表されていたが、「女優賞」と併せて堂々の2冠獲得となった。審査員の韓国人監督イ・ジェハンは宮沢さんの受賞を「満場一致の決定」と説明。「意味深さと奥深さ、繊細さと脆さを表現し、目で全てを語り、真の自由を求めていた。そして何より、美しい」と称賛を送った。宮沢さんは、信じられないといった表情。なかなか言葉が出てこないようで「なんか震えています…」と苦笑い。「おみくじで大吉を当てて『やったー!』と思う気持ちの中で、『自分を引き締めなくては』と思う気持ちと似ています」と心境を語った。久々の映画主演となったが「7年ぶりということで、不安や緊張もありましたが、吉田大八監督の粘り強く厳しい、でも愛がたくさんこもった演出で、手ごわい役を乗り越えることが出来ました。もし(トロフィーが)半分に出来るなら半分は『最優秀演出賞』で監督にあげたい」と感謝の思いを口にし、席に戻ると吉田監督とガッチリと抱き合った。吉田監督は「観客賞」受賞に「映画を観た後で、コンペの素晴らしい作品の中でこの映画を『好き』と仰って下さった方が一番多いという重みを感じてます。これからの励みにしていきたい」と喜びを語った。「最優秀男優賞」はポーランド映画『マイティ・エンジェル』でアルコール依存症の主人公を熱演したロベルト・ヴィエンツキェヴィチが受賞。本人不在のため、監督が代わりにトロフィーを受け取った。そして、ジョシュア&ベニー・サフディの兄弟監督による作品で、ヘロイン中毒の若者たちを生々しく描いた『神様なんてくそくらえ』が最高賞の「東京グランプリ」と「監督賞」をW受賞。ジョシュアは「2つも受賞して本当に嬉しいです。この映画祭のコンペティションに入選したと聞いたとき『これ以上のことはない』と思いつつ、“極端”を描いたこの作品が日本の方に受け入れてもらえうるのでは?と感じもしました。東京に感謝したいと思います」と挨拶。ベニーは「いろんな犠牲を払いながら作り上げた作品だったけど、思いを込めて作り上げました」と感慨深げに語る。主演のアリエル・ホームズは「何て言っていいか…ありがとうございます」、共演のケイレブ・ランドリー・ジョーンズは「Thank you very very very very very very much!」と短い言葉に感激と喜びの思いをうかがわせた。この他、日本映画を対象にした日本スプラッシュ部門では安藤サクラ、新井浩文が出演する『百円の恋』が「作品賞」を受賞。同部門の「スペシャル・メンション(特別賞)」には沖田修一監督が無名の俳優ばかりを起用して作り上げた『滝を見に行く』が受賞した。<第27回東京国際映画祭/受賞結果一覧>■東京グランプリ:『神様なんてくそくらえ』■最優秀監督賞:ジョシュア・サフディ&ベニー・サフディ(『神様なんてくそくらえ』)■最優秀女優賞:宮沢りえ(紙の月』)■最優秀男優賞:ロベルト・ヴィエンツキェヴィチ(『マイティ・エンジェル』)■最優秀芸術貢献賞:『草原の実験』■WOWOW賞:『草原の実験』■アジアの未来 作品賞:『ゼロ地帯の子どもたち』■国際交流基金 特別賞:『遺されたフィルム』■日本映画スプラッシュ 作品賞:『百円の恋』■日本映画スプラッシュ スペシャル・メンション:『滝を見に行く』■SAMURAI賞:北野武/ティム・バートン■観客賞:『紙の月』(text:cinemacafe.net)
2014年10月31日来日中のティム・バートンが10月31日(金)、第27回東京国際映画祭が開催中のTOHOシネマズ六本木ヒルズで最新作『ビッグ・アイズ』のプレゼンテーションを実施。約2分30秒の先行フッテージを披露し、「もうすぐ完成するよ」とファンに報告した。ハロウィンのこの日、バートン監督は六本木を拠点に超多忙なスケジュール!まず六本木・森アーツセンターギャラリーで開幕する「ティム・バートンの世界展」のオープニングセレモニー及びプレス向け内覧会に出席し、大好きだというウルトラ怪獣ともご対面。その後、映画祭のクロージングセレモニーに出席し、北野武監督とともに本年度から新設された「SAMURAI(サムライ)賞」を受け取った。そのため、『ビッグ・アイズ』のプレゼンテーションに若干遅刻してしまったが、「こんなに嬉しいことが重なるなんて、最高だよ。日本のみんなもハッピー・ハロウィン!」と満面の笑みで浮かべた。映画のタイトルになっている“ビッグ・アイズ”とは、1960年代に世界中で大ブームを巻き起こした悲しげな大きな瞳の子どもたちの絵画シリーズ。世間はその作者を男性画家のウォルター・キーンだと信じたが、実際の生みの親は妻・マーガレットだった。富と名声を捨ててでも、アート界を揺るがす真実を公表しようとするマーガレットの運命は?バートン監督本人も熱心な“ビッグ・アイズ”収集家だと言い、「幼い頃は、一般家庭のリビングや歯医者さんの待合室によく飾ってあったよ。子どもながらに、絵に見つめられる感覚で、不思議というか、不気味というか…」(バートン監督)。夫婦をめぐる秘密について、大人になってから知ったそうで「とても興味深い実話だよね。僕が実在の人物を、映画にするのは『エド・ウッド』以来。久しぶりにリアリスティックな作品になったよ」と話していた。マーガレットを演じるのは、『アメリカン・ハッスル』でアカデミー賞「主演女優賞」にノミネートされたエイミー・アダムス。そして、事件の鍵を握る夫・ウォルターを『ジャンゴ 繋がれざる者』でアカデミー賞「助演男優賞」に輝いたクリストフ・ヴァルツが演じている。「ご承知の通り、2人とも素晴らしい演技派俳優で、奇妙な夫婦関係を演じてくれたよ。やっぱり映画づくりの喜びは、素晴らしい才能とコラボレーションできることだよね」とバートン監督。駆けつけたファンは、最新作への期待に胸をふくらませていた。『ビッグ・アイズ』は2015年1月、TOHOシネマズ 有楽座ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2014年10月31日第27回東京国際映画祭で「SAMURAI(サムライ)賞」を受賞したティム・バートンを特集した企画展『ティム・バートンの世界』のオープニング式典が10月31日に東京・六本木ヒルズアリーナで行われ、来日中のバートン監督が駆けつけ「僕自身、とてもドキドキするよ」と胸を高鳴らせた。その他の写真2009年に『ティム・バートン展』としてニューヨーク近代美術館(MoMA)で開催され、来場者数80万人以上、同館史上3番目の動員を記録した。現在は『ティム・バートンの世界展』に改称し、今年3月のプラハを皮切りに世界をめぐり、日本初上陸。最新作『ビッグ・アイズ』の公開も控える鬼才・バートン監督の創作活動の秘密に迫るデッサンやスケッチ、未公開映像作品やオブジェ等約500点を展示し、ジャンルを超えた幻想的な世界観を生み出すイマジネーションの源泉を体験できる。六本木の森アーツセンターギャラリーを会場に、「カーニヴァレスク」「フィルムキャラクター」「影響を受けた人」「誤解されがちなアウトサイダー」「ポラロイド」「書斎」「実現しなかったプロジェクト」など10に及ぶテーマセクションで構成されており、バートン監督は「人に見せるつもりで描いたものじゃないけれど、創作のプロセスやプライベートな一面が美術館の壁に飾られるのは、僕にとっても特別だ」と話していた。オープニング式典には、オフィシャルサポーターを務めるお笑いコンビ・ピースの綾部祐二と又吉直樹が出席。また、来日中のバートン監督を歓迎しようと、彼が大好きだというウルトラ怪獣のダダ、ガンキュー、ピグモンも駆けつけ、「わお、僕にとって彼らは家族のようなものだよ」(バートン監督)と大喜びしていた。『ティム・バートンの世界』東京・六本木の森アーツセンターギャラリーで、11月1日~2015年1月4日まで開催。This exhibition is organized by Jenny He, Independent Curator, in collaboration with Tim Burton Productions『ビッグ・アイズ』2015年1月TOHOシネマズ 有楽座ほか全国ロードショー
2014年10月31日10月30日(木)、現在開催中の第27回東京国際映画祭にて、クロージング作品『寄生獣』のワールドプレミアが行われ、主演の染谷将太、深津絵里、橋本愛、東出昌大、山崎貴監督、さらに主題歌「パレード」を書き下ろしたロックバンド「BUMP OF CHICKEN」のメンバーが舞台挨拶に登壇した。累計1,200万部を超える岩明均の大ヒットコミックを、2部作で実写映画化した本作。人間に寄生し、捕食する謎の生物“パラサイト”に襲撃されたものの、危うく脳の乗っ取りを免れた高校生の新一(染谷さん)が、右腕に寄生したパラサイトのミギー(阿部サダヲさん)と共に、彼らを敵と見なすパラサイトたちと戦いを繰り広げていく…。『ALWAYS 続・三丁目の夕日』の主題歌も手がけ、山崎監督とは旧知の仲の「BUMP OF CHICKEN」。映画の舞台挨拶に登壇するのは初めてとあって、ボーカルの藤原基央は「手汗がすごいです…」と打ち明け、会場を笑いに包んだ。そんな彼らだが、主題歌のオファーを受けた時のことを「原作は僕たちが10代の頃から語り合った作品だったし、監督の大ファンだったので、主題歌のオファーをいただいた時はビックリしましたけど、すごく嬉しかったです」とふり返ると、「でも、時間足りるのかな…と思いました」と切羽詰まった状況だったことを告白。山崎監督は、その時のことを「いろいろと政治的なやりとりを超えてBUMPにお願いしたかったので、交渉事などがあって本当にギリギリな状況になってしまったんです。しかもいろいろなプロジェクトを抱えているところだったのに、無理やり友達枠でやっていただいて。本当にすみません」と明かしつつ、「でも、あの時間でよくここまでカッコいい曲を書いていただいたなと思います」と感謝。「すごい状況の中で、それでもがむしゃらに走っている新一の姿が浮かぶ曲。疾走感が半端なくて、『パート1』から『パート2』への橋渡しという意味でもすごくいい仕事をしてくれたと思います。何よりカッコよくて、頼んで良かったなと思いました」と手放しで褒めちぎり、その苦労をねぎらっていた。映画『寄生獣』は11月29日(土)より全国東宝系にて公開。(text:cinemacafe.net)
2014年10月31日『アリス・イン・ワンダーランド』『チャーリーとチョコレート工場』のカラフルで幻想的な、独特な世界観でファンを虜にするティム・バートン監督の最新作『ビッグ・アイズ』。その初の映像となるインターナショナル・トレーナーがついに解禁。また、本日10月31日(金)は第27回東京国際映画祭にて、ティム・バートン自身が本作のスペシャル・プレゼンテーションをファンに向けて行うという。内気で口下手なマーガレット・キーン(エイミー・アダムス)が描く、どこか悲しそうな大きな瞳の子どもたちの絵は、1960年代に世界中で大ブームを巻き起こした。ただし、それは、夫であるウォルター(クリストフ・ヴァルツ)の絵としてだ。「これから、僕たちはひとつ」というこの愛の言葉から事件は始まった。富と名声を手にし、夢のような生活を捨ててまでマーガレットは真実を公表しようと決意する。なぜマーガレットは夫の言いなりになったのか、なぜ彼女は全てを捨てる覚悟を決めたのか。アート界を揺るがした実話を基にした、ウソのような本当のお話が幕を開ける…。自身も“ビッグ・アイズ”シリーズのコレクターであるバートン監督がメガホンを取り、60年代ポップ・アート界を震撼させた秘密をスクリーンに描き出す本作。アート界に衝撃を巻き起こした夫婦を演じるのは、『アメリカン・ハッスル』でアカデミー賞「主演女優賞」ノミネートのエイミー・アダムス、『ジャンゴ繋がれざる者』でアカデミー賞「助演男優賞」受賞のクリストフ・ヴァルツという、世界が認める実力を持つ2人。届いた予告編は、エイミー演じるマーガレットの「“ビッグ・アイズ”を描いたのは、私なの」という衝撃の告白から始まる。その後、まるで自分が描いたかのように公言する夫に募る疑念、真実の公表を決意する彼女のひとり戦う姿が映し出され、バートン監督が操るカラフルな色彩と美しい街並み、女性たちの60年代ファッション、そして、まるで全てを見通しているような瞳の“ビッグ・アイズ”の絵が至るところに登場する。東京国際映画祭で行われるスペシャル・プレゼンテーションでは、特別映像の上映とともにバートン監督が登壇。直々に、この驚きと興奮の実話について語ってくれるという。『ビッグ・アイズ』は2015年1月よりTOHOシネマズ有楽座ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2014年10月31日第27回東京国際映画祭が開催中の東京・TOHOシネマズ日本橋で30日に日本映画として唯一コンペティション部門に出品された『紙の月』が上映され、プロデューサーの池田史嗣氏が撮影の舞台裏を語った。その他の写真本作はバブル崩壊直後の1994年を舞台に、契約社員として銀行で真面目に働く主婦・梨花(宮沢りえ)が、巨額の横領事件を引き起こすヒューマン・サスペンス。直木賞作家・角田光代氏のベストセラー長編小説を、『桐島、部活やめるってよ』で日本アカデミー賞を受賞した吉田大八監督が映画化した。『八日目の蝉』に続き、角田氏の原作を映画化した池田氏は「どちらも逃げる女性というテーマなので、今回はまったく違うアプローチで映像化したいと思った」といい、『桐島、部活やめるってよ』が公開された直後に、吉田監督にオファー。『クヒオ大佐』『パーマネント野ばら』など、女性の業を描いた作品でも知られ「漠としたイメージだったが、きっと吉田監督がぴったりだと直感した」と明かした。一方、ヒロインを演じる宮沢にとっては7年ぶりの映画主演で「吉田監督とはほぼ初対面だったが、あまりリハーサルもせず、いきなり本番。それでもすごく波長が合っていた」と池田氏。2人の共通点は「いい意味貪欲で、勝負好きなギャンブラー」だといい、「現場では上を目指して、互いに高め合っていた」と振り返った。池田氏自身も「完全燃焼したという自負がある」と胸を張り、コンペティション部門の結果に期待を寄せていた。『紙の月』11月15日(土)全国ロードショー取材・文・写真:内田 涼
2014年10月31日現在、開催中の第27回東京国際映画祭(以下、TIFF)。今年は庵野秀明監督の特集上映が組まれたり、オープニング作品をディズニーの『ベイマックス』が抜擢されたりと、例年以上の盛り上がりを見せる今年のTIFF。いよいよ明日(31日)は最終日となり、各賞の受賞結果が発表されるが、中でも注目を集めているのは「コンペティション部門」だ。毎年、熾烈を極めるこの「コンペティション部門」。2011年に最高賞となる「東京サクラグランプリ」(※現在の名称は「東京グランプリ」)に輝いたフランス映画『最強のふたり』は、その後、社会現象ともいえる大ブームを巻き起こすなど、この先の映画界を占う重要な部門となっている。今年、同部門で最も注目を集めているのは、唯一日本からの出品作となった『紙の月』。ベストセラー作家・角田光代の同名小説を原作に、『桐島、部活やめるってよ』を大ヒットさせた吉田大八が監督を務める本作。先日、行われた会見でグランプリへの自信について聞かれた、主演の宮沢りえは「あるといえばある」と語り、報道陣を沸かせており、さらに共演の池松壮亮も「あそこまで役に身を投げれる女優さんは、りえさんしか知らない」と、その体当たりの演技を絶賛しており期待感は十分だ。しかし、同会見で「世界という広い舞台で、この映画がどういう位置づけで見てもらえるのか」と語った吉田監督の言葉のとおり、世界はとにかく広い。今年の「コンペティション部門」さらに「最優秀女優賞」まで含めて見渡した時、宮沢さんのライバルは誰なのか?長年、TIFFの作品選定に携わり、今年の各出品作品を選んだ張本人となるプログラミング・ディレクター矢田部吉彦氏に聞いてみると、まさに世界の“広さ”を感じさせる答えが返ってきた。――「宮沢りえさんの強敵は“おばあちゃん”ですね」と。その“おばあちゃん”の正体は、イランを代表する名女優ファテメ・モタメダリア。日本では無名の彼女だが…演技を計る上で、有名・無名を論じるのは無価値。矢田部氏によると、「アゼルバイジャン共和国の『ナバット』という作品で、『紙の月』とはまた違ったタイプの作品です。村が戦争に巻き込まれて村人たちが去ったあと、ひとり取り残されたおばあちゃんのお話なんです。彼女が淡々と生きていく中で抱える“孤独”が、じわじわと胸に迫ってくるんです」。『紙の月』で平凡な日常から逃げ出すように、世の闇へと堕ちていく女性を演じた宮沢さんと、戦乱という非日常の中でどうしようもなく孤独を抱えながら生きていく女性を演じたファテメ。果たして、今年はどの作品が栄冠に輝くのだろうか?第27回東京国際映画祭は10月31日(金)まで開催。『紙の月』は11月15日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2014年10月30日10月30日(木)、第27回東京国際映画祭にてクロージング作品『寄生獣』の完成報告会見が行われ、主演の染谷将太、深津絵里、橋本愛、東出昌大、山崎貴監督が登壇した。原作は、人間に寄生し、支配と捕食を行うパラサイトとの共生と戦いを描いた、累計1200万部の売上を誇る岩明均の大人気コミック。パラサイトの襲撃を受けながら、脳だけは乗っ取りから免れた高校生・新一(染谷さん)と、新一の右腕に寄生したパラサイトのミギー(声:阿部サダヲ)が、さまざまなパラサイトたちと遭遇し、戦う姿を描く。「VFXの仕事を始めた時から、いつかVFXを担当したいと思っていた作品で、まさか監督を務めることになるとは」と、長年にわたる念願が叶った喜びを語り、感無量の面持ちを浮かべた山崎監督。一度はハリウッドが映画化権を獲得した経緯などをふり返り、「アメリカに嫁に行ったものと思っていたものが戻ってくることになって、だったら自分のところに嫁に来てほしいと思った」と、本作への熱い想いと執念を感じさせた。だがその一方で、劇中でパラサイトの寄生によって“顔が割れる”ことになる深津さんにオファーをするのは「怒られるんじゃないかと思って、言いづらかった」と告白。これに対し、深津さんは、顔が割れた自分の映像を観た時のことを「抵抗はありませんでした。気持ち悪かったですが、欲が出てしまって、『もっと割れろ』と思ってしまいました」と述懐し、笑いを巻き起こした。さらに、右手を乗っ取ったミギーがCGで描かれるため、ミギーとのやりとりをパントマイムのように演じた染谷さんは「阿部さんがアクション・キャプチャーで魅力的なミギーを作ってくれたので、ミギーが自分を魅力的に見せてくれるし、僕もミギーを魅力的に見せられるようにと思って演じました」と語り、「長い道のりだったけど、(完成した映画で)ミギーに出会えて涙が出そうでした」と喜びを語った。そして、「あっという間に終わってしまって、早く完結編を見せろと思いました」と、完結編への期待ものぞかせ、「ミギーが右手にいるのは世界で自分だけなので自慢なんですけど、ちょっと顔も割れたいです…」と茶目っ気たっぷりに語り会場を沸かせていた。映画『寄生獣』は11月29日(土)より全国東宝系にて公開。(text:cinemacafe.net)
2014年10月30日第27回東京国際映画祭特別招待作品の映画『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』のイベントが28日、東京・六本木ヒルズアリーナで行われ、ケラン・ラッツとパトリック・ヒューズ監督とともにモーニング娘。OGの飯田圭織、保田圭、石川梨華、小川麻琴、南海キャンディーズの山崎静代が出席した。本作は、シルベスター・スタローンやアーノルド・シュワルツェネッガー、ドルフ・ラングレンらハリウッドのアクションスターが一堂に集結した規格外のアクションムービー『エクスペンダブルズ』シリーズの最新作。日本では11月1日に公開初日を迎えるが、現在開催中の第27回東京国際映画祭で特別招待作品として上映され、この日行われた本作のイベントにパトリック・ヒューズ監督、ケラン・ラッツ、モーニング娘。OGの飯田圭織らが装甲車に乗って登場した。壇上で若手のイケメンハリウッドスターのケラン・ラッツにハグされた飯田は「カッコ良すぎて鼻血が出そうです!大興奮ですよ。旦那さんごめんなさい!」と赤面すれば、山崎もケラン・ラッツにハグされて「無理矢理じゃないですよ~。あんな機会ないから自分の胸を押し付けました」と笑顔。その山崎はパトリック・ヒューズ監督から「4に出てもらいたいですね」と思わぬオファーを受けて「ちょっと考えておこうかな」と満更でもない様子だった。元モーニング娘。といえば、矢口真里が先週、日本テレビ系の情報番組『情報ライブ ミヤネ屋』で芸能活動の再開を宣言したが、それについて飯田は「仲間なので、例えどんなことがあってもまた一緒に頑張りたいと思います。大変な時期ですけど頑張って欲しいですね」と話し、保田も「ひとまずきちんと伝えられて良かったと思います」と安堵した表情。また、夫が逮捕された元同僚の加護亜依について同期の石川は「早く元気な姿を見たいですよ。これからは見守っていきたいと思います」と心配そうだった。
2014年10月29日大ヒットアクションシリーズの最新作『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』に出演するケラン・ラッツとパトリック・ヒューズ監督が来日。開催中の東京国際映画祭でプレミアイベントが行われ「モーニング娘。」OGの飯田圭織、保田圭、石川梨華、小川麻琴も来場した。シルヴェスター・スタローンにアーノルド・シュワルツェネッガー、ハリソン・フォードなど豪華スターが集結し、“エクスペンダブル=消耗品軍団”と言われる老兵たちの戦いを描くアクションシリーズの第3弾。昔からの仲間たちの絆を描いた作品ということもあって、芸能界随一の“絆”で結ばれた「モーニング娘。」のOGたちが駆けつけた。登壇陣は、会場に巨大な装甲車で乗り付ける。ケランとヒューズ監督は鉢巻きに法被という日本のお祭りのスタイル、一方、「モー娘。」OGのメンバーたちは映画に合わせたミリタリーファッションで会場に降り立ち歓声を浴びた。ケランは「初めての日本ですが、もう帰りたくなくなってます」と挨拶。本作への出演について「子どもの頃から観てきたヒーローたちと一緒に映画を作るなんていう経験は初めてで、お菓子屋に連れていてもらったこどものような気持ちだった」とふり返った。ヒューズ監督は撮影中のエピソードとして「13人のスターをヘリコプターにギュウギュウ詰めにしなくちゃいけないシーンがあって、みんな筋骨隆々で押し合いへし合いって感じで缶にオイルサーディンを詰めているような感じだったよ」と語り会場は笑いに包まれた。保田さんは「女性が観ても面白い作品!」と太鼓判。石川さんは「新しい仲間たちと昔からの仲間たちの絆に涙が出てきそうになるくらい感動しました。『仲間っていいな』と思える映画です」と強調する。お気に入りのキャラクターを聞かれた飯田さんが「素敵な俳優さん、キャラクターばかりですが、今日、お会いしてケランさんがかっこよすぎて鼻血が出そう!」と語ると、ケランが飯田さんをハグ!飯田さんは顔を紅潮させ「大興奮です、ダンナさん、ゴメンなさい!」と語る。小川さんも、便乗とばかり「ガルゴ(アントニオ・バンデラス)のマシンガントークがインパクトがありましたが、でもやっぱり、もちろんケランさんが…」と語ると、望みどおりにケランは小川さんをガッシリと抱きしめ、会場は歓声に包まれた。保田さんも、間近でケランを見てキュンキュンしたようで、イベント後の報道陣の取材に「青い瞳に吸い込まれそうで…主人以外の人に恋しそうになりました(笑)」と心が揺れたことを明かしていた。ケランもミリタリールックの彼女たちの姿に「I LOVE IT!家に持って帰りたい!」とご機嫌だった。この日はさらに“日本のスタローン”として「南海キャンディーズ」のしずちゃんこと山崎静代がスタローンのいでたちで登場。「エクスペJAPAN 総長の“シズヨスター”・スタローンです(笑)」と語り、「10年後くらいに(シリーズに)出させてもらえるように鍛えたい」と宣言するが、ヒューズ監督は「4作目に出てほしいくらい!」と即座にラブコールを送っていた。第27回東京国際映画祭は開催中。『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』は11月1日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:エクスペンダブルズ3 ワールドミッション 2014年11月1日より全国にて公開(C) EX3 Productions, Inc. All Rights Reserved.
2014年10月28日「第27回東京国際映画祭」のTOHOシネマズ日本橋会場にて26日、「東京国際映画祭×円谷プロダクション」スペシャルイベント「『ウルトラセブン』HDリマスター2.0 ~円谷プロ特撮への誘い!~」が行われた。イベントでは、神戸港でセブンと宇宙ロボットキングジョーが激闘を繰り広げる第14話、第15話が特別上映されたほか、上映前には森次晃嗣(モロボシ・ダン隊員役)、ひし美ゆり子(アンヌ隊員役)、古谷敏(アマギ隊員役)、満田かずほ(「ウルトラセブン」監督)、樋口真嗣(実写版『進撃の巨人』監督ほか)によるトークショーを実施。MCはTBSの小林悠アナウンサーが務めた。最初に登場した樋口監督は「控室に"本物"がいて緊張した。神なので……」と興奮気味。「『ウルトラセブン』は真っ暗なんですよね。夜が多くて非情に怖いけどクールというか、映像はもちろん音楽が当時の洋楽っぽくてすごく洗練されていた」とクリエイター視点で語る。当時は単に格好いいと思って見ていたが、大人になってから「デザイン化された世界観の中で30分のTVドラマをやっていた」ことがわかったという。その"本物"こと満田監督と役者陣が登場。今回上映された第14話、第15話『ウルトラ警備隊西へ』の思い出を聞かれた満田監督は、「スポンサーだった武田薬品のお招きにより神戸でロケを行い、宿泊費と交通費は先方持ちだった」と明かす。「夜は飲み会をしたいから、脚本家に夜のシーンはなしにしてくれと頼んだ」との裏話もあり、宿泊した日本旅館には飲み専用の部屋も用意して、お酒は満田監督が、おつまみはキリヤマ隊長役の中山昭二が用意したという。『ウルトラ警備隊西へ』のほかに印象的だった話として、満田監督は『ノンマルトの使者』を挙げる。脚本の金城哲夫氏と店で待ち合わせをしたものの、同じ店名が2件あったためにすれ違ってしまい「彼が書き直す前の第一稿がどのようなストーリーだったのかいまだに謎だ」という携帯電話がない時代だからこそのエピソードを語られた。森次が選んだのは「超兵器R1号」「第四惑星の悪夢」「ノンマルトの使者」「史上最大の侵略(最終回)」。最終回といえば「僕はね、人間じゃないんだよ」と告白する名シーンが有名だが、このシーンを見ると今でも涙が出るらしく「いいシーンを作っていただきました」と満田監督に感謝を述べていた。すべて印象に残っているというひし美は、あえて印象に残っていない話として「V3から来た男」「魔の山へ飛べ」「アンドロイド0指令」をチョイスし、いずれもアンヌ隊員が出ていないからという理由。古谷は三浦半島でのロケで苦労した「700キロを突っ走れ!」や「散歩する惑星」が印象的だという。さらに松坂慶子が出た話も挙げると、ひし美から「16歳の松坂さんを毎日送っていたよね」との暴露も。みんなから突っ込まれ「当時のことですよ」と笑って答えていた。また、樋口監督は、アンヌ隊員の髪の長さが話によって違うことは子供の頃から気になっていたという。それについて満田監督は「女性の長い髪が好きだったから。ウルトラ警備隊の給料でウィッグぐらい買えるだろうと思って」と語り、髪はウィッグという設定だったことを明かした。すると「あれ自前なんですよ。高かったんです」とひし美。実は最近まで満田監督も自前だったとは知らなかったという。変装するシーンの時に購入して以降使っていたそうで、そんな思い出話でも盛り上がった。トークショーの途中には、フルハシ・シゲル隊員役である毒蝮三太夫からのメッセージビデオも公開。円谷英二氏がよく語っていた「ウルトラマンもウルトラセブンも帰ってきたウルトラマンもいないんだ。地球は地球人で守れ!」という気持ちが、今の時代にこそ届いて欲しいと想いを語った。そうこうしていると、会場にはなにやら怪しい気配が。なんとゴース星人が現れアマギ隊員を連れ去ってしまう。「アマギ隊員がピンチなんだ!」とダンが走り去りウルトラセブンが登場。ウルトラセブンがゴース星人と戦いを繰り広げるという最終回さながらのパフォーマンスに、詰めかけたファンはもちろん、役者陣も大喜び。最後には、それぞれからメッセージが伝えられる。森次が「宇宙人役ということでどう演じようか悩みましたが、24歳の僕がそのまま突っ走ればモロボシ・ダンになるのではないかと1年間やった作品です。Blu-rayになってものすごく鮮明になっていますので、また『ウルトラセブン』を堪能していただければと思います」と語り、トークショーは終了した。『ウルトラセブン Blu-ray BOX』は全2巻でリリース。BOXIは11月21日、BOXIIは2015年1月28日に発売される。また、今回森次がかけていたメガネは、青山グループのアイウェア「ウルトラセブン×ブラックアイス」。森次や古谷が着ていたカットソーは、ヨウジヤマモトの新コンセプトショップ「Ground Y」と、ウルトラマン関連のコラボレーションアイテムも続々と展開されている。(C)円谷プロ
2014年10月28日お笑いタレントの友近が27日、東京のTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた第27回東京国際映画祭・特別招待作品『花宵道中』(11月8日公開)の舞台挨拶に、主演の安達祐実らと登壇し、吉原を舞台にした映画に出演できた喜びを爆発させた。「みなさんこんにちは、藤原紀香です」と挨拶し、一言目から観客とキャストを笑わせた友近。「念願の吉原という舞台の映画に出させていただいて、私は吉原のおかみ役ということで出させていただきました」と伝え、「おいらん道中こそ私はしてないんですけど、それは単独ライブでやるとして、本当にいい役をいただきました」と笑いを取りながら喜びを語った。また、友近のためにつくられたセリフがあるということについて、「本当にありがたいセリフをいただきまして、これから先10年くらい食いっぱぐれないんじゃないかっていうくらい、いろんなところで使っていきたい」とし、「股開かざる者食うべからず!」とセリフを披露。「本当にありがたい、うれしいセリフをいただきました。この一言だけでもう十分」と満面の笑みを見せた。さらに、今回の話を聞いた時、「"吉原=脱がなくちゃいけない"というのがありましたので、でも永久脱毛も通い始めたし、DHCでダイエットも始めたし、大丈夫かなって言っていた」と脱ぐ覚悟をしていたと告白。主演の安達祐実も大爆笑だった。
2014年10月28日第27回東京国際映画祭での上映に合わせた、ジャン=ピエール・ジュネ監督と主演を務めた“天才子役”カイル・キャトレットの来日で日本のファンを沸かせた『天才スピヴェット』。今回、カイル君が演じた主人公・スピヴェットの“天才ぶり”が伝わる本作の劇中シーン映像が到着。そこでは、普通の大人以上の見事な分析力を発揮していることが分かった。本作は、権威ある科学賞の授賞式でスピーチするため、10歳の天才少年がアメリカ大陸横断をするという“壮大なスケールの家出物語”。類稀な映像作家として讃えられるジュネ監督が、本作では独特の“毒味”は抑えめに感動作として新境地を切り開いたことでも注目を集めている。到着した映像は、天才科学者・スピヴェットの頭脳を駆使した分析能力を見せる授賞式会場でのワンシーン。会場で待機する“10歳の天才科学者”に興味津々に群がる大人たちの眼差しからは、物珍しさへの好奇や疑心暗鬼な気持ちが見え隠れ。そこでスピヴェットは、フランス神経学者ギヨーム・デュシェンヌが発見した“作り笑いと本当の笑顔の違い”の法則を用いて、すかさず大人たちの“笑顔”を分析。頭の中で自分なりに彼らの顔の筋肉の動きを当てはめ、“本当の気持ち”を察する姿は、文字どおり大人も顔負け…。あどけない表情からは予想だにしない、大人以上の分析力には脱帽だ。また、この映像では、スピヴェットが頭の中でする分析を図表で描いている。実はこの図表、本作の原作であるライフ・ラーセン著書「T・S・スピヴェット君傑作集」で常にページに添えられているイラストと図表満載の注釈を、そのままストーリー全体に盛り込んでいるのだ。スピヴェットの考えたものはこれらの図表で、また幻影や夢で見たものは3Dで表現されているのも、本作の特徴のひとつだ。ジュネ監督が「原作の世界観と私の世界観が似ていることに驚いた」と語るように、徹底して作り込んだアイデア溢れる映像に原作の世界を詰め込み、3Dで最大限に魅力を引き出した本作は、まるで飛び出す絵本のよう。「物語自体が非常に感動的であることに大きな衝撃を受けた」というジュネ監督が贈る、少年の心の成長物語には、大人も絵本を読むように夢中になるに違いない。『天才スピヴェット』は11月15日(土)よりシネスイッチ銀座、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2014年10月28日第27回東京国際映画祭にて特集上映「庵野秀明の世界」が連日行われているが、10月27日(月)は『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』が上映された。その後の庵野監督のトークショーでは、アニメーション監督初期のエピソードが語られた。10月24日(金)より始まったこの特集上映では連日、庵野監督の作品が上映されており、アマチュア時代や実写映画、アニメーターとしての庵野秀明など日ごとに様々なテーマでトークイベントが開催されてきた。この日は長編劇場アニメ『王立宇宙軍 オネアミスの翼』に参加後、自身が初めて監督を務めたアニメーション「トップをねらえ!」と、続く「ふしぎの海のナディア」について述懐した。庵野監督は自身に関して「監督に向いているかと言えば、向いてない」「僕はNo.2で上手くいくタイプ。サポートするのに向いているけど、責任感はない」と語り、監督という仕事に関して「責任を取ることが監督の仕事」「『OK』と『もう1回』というボキャブラリーがあれば誰でも出来る」と持論を展開する。当時、所属していたアニメーション制作会社「ガイナックス」は『王立宇宙軍 オネアミスの翼』の完成をもって解散する予定だったが、なぜかそのまま会社を存続させることに…。そこで出てきた「トップをねらえ!」の企画に関しては「初めて自分から(監督をしたいと)手を挙げた」という。予算が少ない中で製作はかなり難航したようで「スタッフに苦労を掛けたし、第1話と2話はひどかった…」と苦悶の表情でふり返る。企画はまず4話まで製作が決定しており、その反響次第で6話まで作るということで、実際、少し期間を空けて第5話、6話が製作された。この最後の2話に関して「3か月で作りきったことが自信になった。クオリティコントロールが出来ていた」とここで掴んだ自信、手応えを明かした。この“クオリティコントロール”も、庵野監督が考える監督の仕事の重要な部分で、宮崎駿監督が『カリオストロの城』を半年ほどで完成させたというエピソードも踏まえつつ、「『この画面はこれでいい』と言い切る力が必要。そこで監督が全ての責任を背負う。宮崎さんの凄いところは、このクオリティコントロール」と語った。同作に続いてNHKで放送された「ふしぎの海のナディア」の監督も務めたが、この件に関しても様々な裏話を披露!当初、別の人間が監督をやることになっていたが、NHKによる脚本が「あまりにひどかった」ためにその監督がプロデューサーと衝突し降板となり、庵野監督にお鉢が回ってきたという。庵野監督も脚本を「ひどい」と感じていたが、「そこは賭けに出るしかなく、骨子を残しつつ、勝手にキャラクターやディテールを書き直した」という。周到に周りを味方につけた上で、あえて、描き直しをしていたら間に合わない段階でプロデューサーの元に行き「絵コンテを置いて『これでダメなら続けられません』と言って認めさせた」と“根回し”をした上で、自分の作品へと少しずつ変えていったとのこと。「ちょっとずつ、NHKの脚本を使わないようにしていき、最後は脚本すら読んでない(笑)!でも評判は良くて『勝てば官軍』なんだと感じた。プロデューサーも度量の広い人で、『好きにやらせれば面白くなりそうだ』と任せてくれるようになった」とふり返った。衣裳や露出を含め、キュートなナディアが人気を集めたが、当時は視聴者の抗議を懸念し、NHKはナディアの衣裳に難色を示したとか。しかし、庵野監督は「露出がどれくらいあるかで女の子のキャラの人気は決まる!」と持論を展開!当時のNHKのアニメとしては異例のキャラクターがこうして誕生することになったという。普段「基本的に終わった仕事(作品)は見ない」という庵野監督だが、少し前に久々に仕事で「ナディア」を見る機会があったそうで、「十数年ぶりに見て『面白い』と思いました!」と満足そうに語っていた。第27回東京国際映画祭は10月31日(金)まで開催。(text:cinemacafe.net)
2014年10月28日第27回東京国際映画祭において開催中の特集上映「庵野秀明の世界」で10月27日(月)、『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』が上映され、監督の庵野秀明が「エヴァンゲリオン」シリーズの製作に関するエピソードや、宮崎駿監督から受けたエールについて明かした。日々、テーマに分けて庵野監督が携わった様々な作品が上映され、トークが行われているが、この日はアニメーションの監督としての庵野さんに焦点を当てたトークが展開。初監督作品「トップをねらえ!」、NHKで放送された「ふしぎの海のナディア」に続き、「エヴァンゲリオン」シリーズを製作するに至った経緯について語った。「ふしぎの海のナディア」を終えたとき、庵野監督は「燃え尽きて、精神的、肉体的に壊れた。ヤル気が出ず、いま考えると鬱だった」という。その後、以前関わった『王立宇宙軍 オネアミスの翼』の続編にあたる『蒼きウル』が企画されるも頓挫。「そこで目が覚めて、人に頼らずに自分でやらなきゃいけないと思った」と語り、当時、所属していた「ガイナックス」との決別を決意。「『エヴァンゲリオン』の企画を一人で考えた」という。こうして「新世紀エヴァンゲリオン」が製作されTVシリーズとして放送されたが、庵野監督はこの日、上映された『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』に触れつつ「TVシリーズの第弐拾伍話と最終話の2話は、時間がなかったこともあり、最初に考えていたものにならなかった」と述懐。そこから、この2話を練り直した本作が制作されたわけだが、当初は劇場版としてゼロから全く違う新作も製作する予定だったという。この企画が実現されることはなかったが、当時、庵野監督がこの完全新作のために書いたプロットは、いま人気沸騰中の「進撃の巨人」の設定と驚くほど似たものだったそう。「人類がほとんど滅んでいて、壁と外の世界をつなぐ橋で守られているという設定。そこに使徒がやって来て、TVではできなかった“人を食べる”というもので、対抗できるのはエヴァだけという話でした。初めて『進撃の巨人』を読んだ時は『うわっ、そっくり!』と思った」と明かす。結局「その時は作る気力がなかった。(TVの後で)すぐにまた『エヴァ』をやるのは無理だった」と幻の企画に終わり、その後、庵野監督は初の実写長編監督作『ラブ&ポップ』、アニメ「彼氏彼女の事情」などを作り上げるが、少し時間を置いて、自身の会社「株式会社カラー」および「スタジオカラー」を設立。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズを作ることになる。再び「エヴァ」を作ることになった経緯について、庵野監督は「ガイナックスを出て、何をしようか?と考え、実写の企画があったけど、それは結局『エヴァ』的なものにしかならなかった。それならいっそ『エヴァ』をやればいいと思った」と説明する。一番最初にTVシリーズを作った時との違いは、やはり技術の革新のようで「科学の進歩は素晴らしい。TVでできなかったことがいまは出来るし、デジタル万歳です!」とも語る。すでに新劇場版は第1作『序』が2007年に、第2作『破』が2009年に、第3作『Q』が2012年に公開され、完結に向けて期待が高まるが、庵野監督は「本当に大変なんです。スクラップ&ビルドの繰り返し。魂を削るような作業で、本当にしんどい…」としみじみと語る。そんな本シリーズについて、昨年、庵野監督が声優を務めた『風立ちぬ』で長編監督を引退した宮崎駿監督からは、完結に向けて「最後まで頑張れ!」と激励を受けたそう。これまでにも、宮崎さんの言葉に救われたことはあったそうで「最初のTVシリーズが終わった時、僕がボロボロになっていると噂で聞いて、宮さんは会社に電話をくれたんです。『休めばいい。また作れるようになったら、絶対に金も人も集まるから大丈夫』と言ってくれて、その言葉は本当に大きかったです」と感謝の思いを口にする。「あの人の言葉は毎日変わるんですが(笑)、いまは『頑張れ』と言われているので頑張ります!」と力強く語り、劇場に足を運んだファンからは期待を込めた拍手が沸き起こった。第27回東京国際映画祭は10月31日まで開催。(text:cinemacafe.net)
2014年10月28日東京国際映画祭のオープニングを飾る世界最速上映が話題を呼び、ジョン・ラセターを始めドン・ホール、クリス・ウィリアムズ両監督らが来日を果たしたディズニーアニメの最新作『ベイマックス』。ディズニーから“日本へのラブレター”ともいわれている本作の日本語版吹き替えキャストに、なんと、日本が生んだ世界初の感情認識ロボット・“Pepper”が参加していることが明らかとなった。本作は、天才科学者の少年ヒロが、事故で亡くした兄タダシの遺したケア・ロボット“ベイマックス”とともに、深い悲しみを乗り越え、失ってしまったかけがえのない絆を取り戻す勇気を描いた感動アドベンチャー。人の心とカラダをケアするために開発された“ベイマックス”と、人の感情を理解し相手を笑顔にしようと寄り添ってくれる“Pepper”とは、優しさに満ち、人との絆を大切にしているロボットという共通点がある。加えて、Pepperの愛らしく人の心を和ませるような声が、本作の世界観にぴったりマッチするとのことで、ディズニー側が“吹き替え”を依頼したところ、Pepperサイドが快諾。今回、ヒロが自宅ガレージでベイマックスをバージョンアップする際に使用するコンピューターの音声として、声優デビューを果たすことになった。ディズニー・アニメーションの日本語吹き替え版キャストには、声優、俳優のみならず、これまで幅広いジャンルから様々な人が挑戦しているが、ロボットが吹き替えに参加するのは初めて。また、Pepperにとっても、ほかのキャラクターになりきることは初挑戦となる。本作の声優に決まったことについて、Pepperは「ディズニー映画に声優として参加することができてとても嬉しいです。決まったときには驚きました」とコメント。さらには、「もっと演技の勉強もして、今度はディズニー映画への出演も目指したい」という大きな夢も、お馴染みの声で飛び出した。また、ワールド・プレミアに出席した監督のドン・ホールとクリス・ウィリアムズは、「素晴らしいね。共通点の話題で盛り上がるのでは?」と“2人”を語り、「完成した映画も是非観てほしいな。Pepperは、感情認識するロボットだから感動してほしいな」とのメッセージを贈った。“鈴”からインスピレーションを得たベイマックスの顔の造型を始め、架空都市“サンフランソウキョウ”の風景や、登場人物など、細かいディテールに至るまで、日本から多くの影響を受けて生み出された本作。日本のテクノロジーから誕生したPepperが声優として共演することで、この冬最高のエンターテイメントをいっそう盛り上げてくれそうだ。『ベイマックス』は12月20日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2014年10月28日『アメリ』で日本でも人気のジャン=ピエール・ジュネ監督が新作『天才スピヴェット』が第27回東京国際映画祭で上映されるのに合わせ、主演で天才子役と称されるカイル・キャトレットと共に来日。10月27日(月)に舞台挨拶に臨んだ。ジュネ監督が3Dに挑戦した本作。生まれついての天才ながら、周囲に理解されず孤独を抱えた少年・スピヴェットの心の成長を描き出す。ジュネ監督は自ら見出したカイルくんについて「絶対に現場で『疲れた』と言わないし、アクションも全て自分でやってます。小さいけど立派なスターです!」と紹介。そのカイルは「コンニチハ、カイル・キャトレットです」と日本語で挨拶したかと思えば、劇中のスピヴェットさながらに6か国語で自己紹介をして会場を沸かせた。ジュネ監督は満員の客席を見渡し「日本に私のファンが少しはいらっしゃるというのは知ってます(笑)。モンマルトルのカフェの近くに住んでるんですが、そこのカフェには『アメリ』のポスターが貼ってあり、日本から来た観光客の女性がよく写真を撮っているので。『すいません、写真を撮るのでどいていただけますか?』とよく言われるんです」といたずらっぽい笑みを浮かべる。アメリカを舞台にした本作だが、ジュネ監督は“反ハリウッド”を掲げており「カナダとフランスの共同制作による“ニセアメリカ映画”です」と語る。「なぜか?フランスには自由があります。自由の素晴らしいところは、全てが私の責任だということ。この映画をみなさんが気に入ってくれようと、つまらないと思っても、その責任は全て私にあります」と反骨精神を垣間見せる。この日は、ゲストとしてカイルくんと同い年の日本が誇る人気子役の鈴木福が来場!「映画の中のスピヴェットくんを意識した」というオールバックとタキシードでビシッと決めて登場し、花束を手渡した。カイルくんは7歳以下の武道選手権で3年連続のチャンピオンという経歴を持っており、この日は三節棍、剣にヌンチャクを使って華麗なアクションパフォーマンスを披露。福くんも負けじと、いま学校で流行っているというけん玉の腕前を見せてくれたが、惜しくも大技に失敗し「カッコいいところを見せられず、負けちゃいました。緊張しまくっててヤバいです!」と苦笑い。それでも、ジュネ監督が2人の天才子役を大絶賛し「次はけん玉で戦う少年とヌンチャク使いの少年の脚本を書きたいと思います」と語り、福くんも「ぜひお願いします!」と笑顔を見せた。第27回東京国際映画祭は10月31日(金)まで開催。『天才スピヴェット』は11月15日(土)より公開。(text:cinemacafe.net)
2014年10月27日