2000年生まれのポップマエストロ、Mega Shinnosukeが2024年4月6日(土)、渋谷のライブハウスWWW Xで、2MAN TOUR『hello...』を行った。東京での対バンは、先輩ロックバンドTENDOUJIが先攻で登場。オルタナティブにロッキンなライブで、60分たっぷり高い熱量で盛り上げていく。後攻は主催のMega Shinnosuke。転換中フロアには、ポップミュージックの既成概念を飛び越えたハイパーポップが流れ、今か今かと期待感で高まるフロア。突如鳴り響いたノイジーなセッション、逆光の照明のなか「調子どうよ!楽しもうな!!」と、Mega Shinnosukeが颯爽と登場。キャップにピンクのフーディーが目を惹くポップなファッション。エフェクトがかったヴォイスで「hello shoegaze...」からスタート。5ピース、オルタナロックな生バンドによる爆音サウンドで、いきなりボルテージ最高潮にぶちあげていく。「いけんの渋谷?」と煽り、いきおいそのままに、ヘヴィなロックチューン「Thinking Boyz!!!」へ。「ぶちあがっていこうぜ!」と、ステージにTENDOUJIメンバー、サッカーのユニフォームを着たアサノケンジがサッカーボール柄のビーチボール片手にあらわれ、イントロとともにMega Shinnosukeがフロアへボールを蹴り上げ、ポップパンクな「Sports」へ。ここで、この日最初のMCタイム、「渋谷のみなさんこんばんは!Mega Shinnosukeです。2MANツアー3本目。東京渋谷、楽しみにしていました。TENDOUJIパイセンに出ていただいて。ポップでパンクで最高で。僕は17歳から音楽はじめて、福岡にいたんですよ。その頃から(TENDOUJIは)活動されていて。共演できて嬉しいです!」ツーマンに登場した対バン相手に感謝をするMega Shinnosuke。さらにMCは、心情を吐き出すトークへと突き進む。「俺は、ポップもやるしラップもやるんだけど、心はロックでいたいというか。東京でこんなに集まってくれて最高なんだけど。次にやる曲が、全然セトリの順番を考えていなかったね(苦笑)。今日みたいな日は大好きなんだけど、日常は人混みが嫌いで。なんていうかな、この街に生きていると“東京やんけ”って日があるよね?で、作ったロックナンバーがあって。普段、ナードな俺の心はこう言っちゃってます!」と、前振りをしながら「東京キライ☆」と、タイトルをつぶやいた。ハードにロッキンな爆裂チューン。「ほんとは愛してるぜ、東京!」と、タイトルとは裏腹にスタンディングいっぱいのオーディエンスへ向かってフォローを忘れないMega Shinnosuke。メロウなポップロック「運命的」では、イントロから沸き立つオーディエンス。キラキラなシーケンスに手を振り応えるフロア。壮観な景色だ。続いて、ウルトラポップなハイパーロック「SONiC」へ。令和ポップを代表するポジティブナンバーで盛り上げていく。再びMCでは、「最高だぜ東京!なんで『東京キライ☆』なんて曲を作ったんだろうと思いました(苦笑)。2023年は、行けって感じで、取り戻してきて。ちょっとずつ気持ちがポップになってきていて。まじ楽しいっす。みんなほんとありがとう。東京マジ、嫌いじゃないぜ!で、まだまだいけんのって話なんだけど。東京、そんなもんじゃないっしょ?新しいEP、めっちゃよかったでしょ?俺のポップが戻ってきたし。進化している感じもあるし。東京なんで、友だちきてるし。盛り上がっていこうぜ!」そして、東京公演限定のゲスト、lil soft tennisを迎え入れ「panorama 360°feat. lil soft tennis」をプレイ。さらに、「もうひとり呼んでるからさ。みんな歌える?みんな歌ってね!」と、“人類は消滅します!!!!!”というイントロダクションからオーディエンス盛り上がり、「iPhone feat.Skaai」へ突入。同郷、福岡繋がりでもあるSkaaiがステージにあらわれ、煌びやかなビートと呼応するこの日最高潮の盛り上がりへ。まさにメガなポップスター、Mega Shinnosuke爆誕の夜である。lil soft tennisSkaai「まだまだやれますか?東京?みんなで踊ろう!好きに踊ってくれ!」と、ダンサブルなポップソング「桃源郷とタクシー」を披露。思えば、世のシティ・ポップブームを先取りしたナンバーだ。青い髪のギタリスト、Kohei Shimizuによるギターソロが炸裂する。「まだまだやれますよね東京?」という掛け声から「アイシテル人生 feat.初音ミク」へ。ミクの歌声にハモりながら、フロアを煽りまくるMega Shinnosuke。ラップパートでさらに熱量あげまくり、フロア全員がジャンプで応えていく。「また会おうぜ!最後ぶっとばすぜ、みんなここに全部置いてけ!」と、初めて作った楽曲であるファンクチューン「O.W.A.」で本編ラスト。コール&レスポンス繰り返し、熱量高く盛り上げていく。「まだまだいけるよな東京!」。まさにMega Shinnosuke、ライブ史上一番の盛り上がりだったんじゃないだろうか。凄まじい熱さだった。そして、オーディエンス全開の笑顔のまま鳴り止まないアンコールへ。ステージに再び現れたMega Shinnosuke。「アンコールありがとう。いやあ、音楽楽しいっすね。みんな来てくれてありがとう。楽しすぎてヘラヘラしちゃうヤバい(笑)。TENDOUJI、lil soft tennis、Skaaiに拍手を!!あ、言わなきゃいけないことがあった。ちょっと発表!Mega Shinnosuke、今年の冬にワンマンツアーやります。東京は12月8日(日)にZepp Shinjukuやります。それまでにアンセム作るんで、今書いてるんでよろしく!他の会場は札幌、名古屋、地元福岡、Zepp Shinjukuなんで。まじ最強のワンマンにするんでよろしくお願いします。あらためて、今日渋谷に来てくれたみなさん、ありがとう。最後に、とっておきのロックンロールを1曲!!」ラストは、パンキッシュかつピュアポップにアッパーなギターロック「明日もこの世は回るから」で大団円へ。「ありがとうまた会おう!」。ステージから去るMega Shinnosuke。2024年という時代をあらわしたメガポップ炸裂、東京ポップシーン最前線を垣間見た最強の夜だった。Text:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)Photo:renzo<公演情報>Mega Shinnosuke 2MAN TOUR『hello...』4月6日(土) 東京・WWW XMega Shinnosuke セットリストM1. hello shoegaze...M2. Thinking Boyz!!!M3. SportsM4. 東京キライ☆M5. 運命的M6. SONiCM7. panorama360°feat. lil soft tennisM8. iPhone feat. SkaaiM9. 桃源郷とタクシーM10. アイシテル人生feat. 初音ミクM11. O.W.A.En1. 明日もこの世は回るから<ツアー情報>Mega Shinnosuke ONEMAN TOUR(タイトル未定)11月2日(土) 北海道・札幌SPiCE11月9日(土) 愛知・名古屋CLUB QUATTRO11月16日(土) 福岡・福岡BEAT STATION11月24日(日) 大阪・BIGCAT12月8日(日) 東京・Zepp Shinjuku(TOKYO)オフィシャルサイト:
2024年04月10日ゆずが4月6日(土)・7日(日) の2日間、神奈川・横浜に開業する「横浜BUNTAI」のこけら落とし公演『YUZU LIVE 2024 AGAIN AGAIN in 横浜 BUNTAI』を開催した。昨年秋に世界最大級の音楽アリーナ「Kアリーナ横浜」こけら落としをアンコール公演を含め全5公演、延べ10万人を動員するという前代未聞のスケールで開催したゆずが、デビュー時からの“聖地”とされてきた横浜文化体育館の敷地に新設された同会場で、これまでの歴史を紐解くかのようなメモリアルライブを刻んだ。初日、4月6日(土) 公演の模様をレポートする。1962年に完成し、以降国際的なスポーツ大会や国内外のミュージシャンが活用してきた“文体”こと横浜文化体育館が、老朽化のため閉館したのは2020年10月。クロージングイベントを務めたのは、これまで4度にわたり同所でコンサートを行ってきたゆずだった。当初は有観客でのクロージングライブを予定していたが、新型コロナウイルスの影響でその計画が白紙に。代わりにゆずは、配信ライブを5週にわたって様々な場所から届けるオンラインツアー『YUZU ONLINE TOUR 2020 AGAIN』を敢行。初日公演(9/27)となるDAY1「出発点」、最終日(10/25)のDAY5「未来図」を横浜文化体育館で実施した。無観客ライブで会館の歴史を締めた4年後、“AGAIN AGAIN”という、オンラインツアーのコンセプトを踏襲したタイトルを冠して、新たな会場「横浜BUNTAI」の門出を祝うこととなった。ステージ後方にある400型×3面(26.4×4.9m)の大型LEDにオンラインツアーのハイライト映像が映し出された後、「アゲイン2」の叙情的なアレンジのバンド演奏に合わせて、北川悠仁、岩沢厚治それぞれが上手、下手のステージ袖から登場。センターに立ち幕開けした楽曲は「大バカ者」。初めてゆずが横浜文化体育館でライブを行った1998年公演の1曲目として演奏されて以降、同会場ならではの曲目として歌い繋いできた楽曲を、本公演では『夏の野球場ツアー2000 満員音(楽)礼 〜熱闘!Bomb 踊り〜』以来、24年振りとなるバンド演奏でパフォーマンス。続けて「センチメンタル」を披露し、北川が「2020年、最後に横浜文化体育館で行ったライブのタイトルは“未来図”でした。あのとき思い描いていた“未来図”に、こうして今立っています」と今日に至るまでのストーリーを話し「横浜BUNTAIこけら落としをさせてもらいます!」と挨拶。北川と岩沢の息のあったかけ声でスタートした「始発列車」を皮切りに、オンラインツアーのセットリストに組まれていた「からっぽ」「心のままに」「傍観者」を続けて披露。ゆずの初期楽曲ナンバーながら、磯貝サイモン(Key / Bandmaster)、真壁陽平(G)、須藤優(B)、河村吉宏(Ds)らバンドメンバーによるアグレッシブかつ緻密なサウンドと、デビュー27年目を迎えたゆずのふたりの円熟された歌声によって、どの楽曲も新たな息吹を生み出していた。過去5度(1998年 / 2012年 / 2017年 / 2018年 / 2020年)にわたりこの場所でライブを行ってきた、ゆずと横浜文化体育館のヒストリーを紹介した後、「またここで色んな伝説をつくっていきたい」(北川)と「贈る詩」を届けると、北川と岩沢はステージサイドへそれぞれ移動。続けて弾き語りで披露した「連呼」では、初の横浜文化体育館公演の演出をオマージュし、横⻑の会場客席を⻘ / 緑に色分けし、交互に歌い合う演出で観客と合唱。過去と現在がリンクした空間で、ゆずが歩みを止めずに27年音楽を届け続けてきた軌跡と希望を感じさせた。「今日来られなかった人にも、BUNTAIを突き破って届くように」と、会場に集まった5000人の観客と共に「栄光の架橋」の大合唱を経て、「横浜に来てくれたみんなに、そして横浜BUNTAIに」(北川)と、2009年にリリースされた横浜開港150周年イメージソング「みらい」を唯一無二のハーモニーで歌い上げ、前半を締め括った。幕間映像では、ゆずのマスコットキャラクター・ゆず太郎が、本公演で横浜市とコラボレーションするにあたって横浜市役所に出向き、現横浜市⻑・山中竹春に直談判するというVTRが上映。VTR中で日本三大同芸のひとつ、野毛大道芸が紹介されると、大道芸人3組によるパフォーマンスタイムへ。4人組のパフォーマンスカンパニー・to R mansion、国内外で活躍するジャグラーコンビ・桔梗ブラザーズ、スティルトのウォーキングアクト・ガンジスインダスドーダスが、「イロトリドリ」「虹」「巨女」のバンド演奏によるインストとともに登場し、華やかなパフォーマンスを披露した。衣装チェンジを行い再びステージに登場したゆずは、野毛大道芸、そして25名のAGAG(アゲアゲ)ダンサーズとともにダンスチューン「LOVE & PEACH」を披露。ライブ参加グッズのフラッグが会場中にたなびいた「Frontier」を届けると、北川はこの会場から程近い伊勢佐木町で、1996年より路上ライブを行っていたことを話し、当時数少ない持ち曲で演奏していたミディアムバラード「春風」を披露。終始ソリッドなバンド演奏を鳴らす“AGAGバンド”の紹介を挟み、近年のライブ定番曲「公私混同」から不動のライブ曲「夏色」へ。2番からは北川が客席を縦横無尽に動き回り、この日一番の盛り上がりを見せた。北川は「2020年、俺たちはここで、オンラインでライブをやりました。本当はみんなと共に横浜文化体育館をクローズさせたかったけど、悔しかったね。本当に」と、コロナ禍に阻まれてきた数年を振り返りながら「だけどこうやって、こけら落としという形で、またここに帰って来れたこと、本当に嬉しく思っています。ありがとう」と感謝。「音楽やエンターテインメントは、どんな気持ちのときも、曇り空の時も、晴らしてくれる、笑顔になれる、元気になれるパワーがあるんじゃないかなと信じてきた4年間でした。これからも色んなことがあると思うけど、一緒に笑顔で、頑張っていこう」とメッセージ。本編を締め括ったのは、オンラインツアーDAY1でもフィナーレを飾った楽曲「ユーモラス」。どんな困難や壁もユーモアとアイデアで乗り越えていくという、ゆずだからこそ届けられるエールソング。オンラインツアー時にはアバターコミュニケーションアプリ「ピグパーティ」とのコラボや現代美術家・村上隆のお花アートを用いたAR演出で披露されていたが、この日はステージ上にAGAGダンサーが並び、観客と共に肩を揺らしながら合唱。LEDビジョンにはこれまでの文体ライブ映像が映し出され、終盤にはオンラインツアーの「ユーモラス」歌唱ライブ映像が流れ、実際のパフォーマンスとリンク。無観客では果たすことができなかった“未来図”の景色に、ゆず、観客がひとつとなって音楽に身を委ねた。アンコールではライブのタイトルにもなったアップテンポナンバー「アゲイン2」で締めくくり。「本当にやれて嬉しかった!本当にありがとう!」(北川)と、約束の地での再会に何度も感謝し、生まれ変わった「横浜BUNTAI」に新たな歴史を刻んだ。なお、4月7日(日) の2日目公演ではサプライズとして5月15日(水) に新曲「Chururi」配信リリース、今夏に2年ぶりとなるニューアルバムの発売、そして年跨ぎで12カ所30公演を敢行する大規模アリーナツアーの開催が発表。この先もゆずは、決して歩みを止めず音楽を届け続けていく。撮影:中島たくみ / Masanori Naruse<公演情報>『YUZU LIVE 2024 AGAIN AGAIN in 横浜 BUNTAI』4月6日(土)・7日(日) 神奈川・横浜BUNTAI【セットリスト】01. 大バカ者02. センチメンタル03. 始発列車04. からっぽ05. 心のままに06. 傍観者07. 贈る詩08. 連呼09. 栄光の架橋10. みらい11. LOVE & PEACH12. Frontier13. 春風14. 公私混同15. 夏色16. ユーモラスEN. アゲイン2セットリストプレイリスト:
2024年04月08日4月2日(火)、歌舞伎座4月公演「四月大歌舞伎」が開幕した。豪華顔合わせにも注目の昼夜二部制でおくる本公演より、オフィシャルレポートが到着した。昼の部の幕開きは、『双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)』より「引窓(ひきまど)」の名場面。歌舞伎三大名作『菅原伝授手習鑑』『義経千本桜』『仮名手本忠臣蔵』を手掛けた竹田出雲・三好松洛・並木千柳の合作による義太夫狂言の名作で、「引窓」の場面の舞台は中秋の名月を翌日に控えた、京都郊外。南与兵衛(中村梅玉)の家では、亡き父の後妻であるお幸(中村東蔵)と女房お早(中村扇雀)が、放生会(ほうじょうえ/捕らえられた生き物を解き放つ行事)の支度をしている。そこへ相撲取りの濡髪長五郎(尾上松緑)がやってくる。長五郎は訳あって人を殺めてしまい、この世の名残に母であるお幸に会いに来た。久しぶりに実子である長五郎に会ったお幸の無邪気な喜び、そして死ぬ覚悟を打ち明けられない長五郎の苦しみの対照が胸に響く。郷代官に任ぜられ、長五郎を捕らえる命を受けた与兵衛が手水鉢に写るその姿を見て気色ばむところから舞台は一気に緊迫、やがてお幸の気持ちを察して与兵衛は長五郎を見逃すために奔走する。昼の部『双蝶々曲輪日記 引窓』左より)南与兵衛後に南方十次兵衛:中村梅玉、濡髪長五郎:尾上松緑©松竹昼の部『双蝶々曲輪日記 引窓』左より)女房お早:中村扇雀、濡髪長五郎:尾上松緑、母お幸:中村東蔵©松竹昼の部『双蝶々曲輪日記 引窓』左より)濡髪長五郎:尾上松緑、南与兵衛後に南方十次兵衛:中村梅玉©松竹南与兵衛後に南方十次兵衛という役が大好きだという梅玉は「今回は12年ぶりですし、親しいあらし君(松緑)が濡髪役。活きの良い後輩に負けないよう勤めたい」と公演に向けて語る。梅玉は義理の母を思う与兵衛の優しさを丁寧に演じ観客の心を掴み、実子と継子の間に入って苦悩するお幸、夫を愛しながら母の心情を思うお早、そして与兵衛の情けを感じ縄に付こうとする長五郎というそれぞれの想いが繊細に描かれた胸に沁みる一幕となった。続いては、舞踊『七福神(しちふくじん)』。室町時代末期ごろから始まったとされる七福神信仰を素材として作られた数多の作品から、平成30年に歌舞伎座で新たな台本と音楽、振付で上演された本作。この度は、中村歌昇、坂東新悟、中村隼人、中村鷹之資、中村虎之介、尾上右近、中村萬太郎という花形七人がいずれも初役で七福神勤める話題の舞台だ。富士山を背景に、宝船が七福神を乗せてやってくると、天下泰平を喜び、いつまでも平安な世が続くようにと願いながら、神々が酒を楽しんだり、恋の手習いの艶っぽい踊りを見せたりと、賑やかで愛嬌溢れる空気に包まれた。春の陽気に相応しく、花形たちが心躍る舞踊を魅せた。昼の部『七福神』左より)福禄寿:中村虎之介、大黒天:尾上右近、毘沙門:中村隼人、弁財天:坂東新悟、恵比寿:中村歌昇、布袋:中村鷹之資、寿老人:中村萬太郎©松竹昼の部『七福神』左より)大黒天:尾上右近、福禄寿:中村虎之介、布袋:中村鷹之資、毘沙門:中村隼人、恵比寿:中村歌昇、弁財天:坂東新悟、寿老人:中村萬太郎©松竹昼の部『七福神』手前左より)布袋:中村鷹之資、大黒天:尾上右近中左より)福禄寿:中村虎之介、恵比寿:中村歌昇、寿老人:中村萬太郎奥左より)毘沙門:中村隼人、弁財天:坂東新悟©松竹そして、上方狂言の人気作『夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)』。片岡愛之助が団七九郎兵衛と徳兵衛女房お辰を、尾上菊之助が一寸徳兵衛を勤める。ふたりの競演は昨年6月博多座から引き続き、今年2月に芸術選奨文部科学大臣賞を受賞した愛之助の受賞理由に『夏祭浪花鑑』の演技も挙げられた。公演に向けた取材会では、団七について「俠気(おとこぎ)に溢れ、一本気な上方の兄ちゃんですね」と話し、「今回も徳兵衛は、博多座でもご一緒させていただいた菊之助さん」と愛之助は喜び、菊之助も「こんなにも早く歌舞伎座で、またご一緒できてとても嬉しいです。徳兵衛は、俠気を見せる団七に惚れて、義兄弟の契りを結ぶ男なので、かっこいい愛之助さんの団七に食らいついて行きます」と話している。息の合ったふたりの競演に期待が膨らむ。昼の部『夏祭浪花鑑』左より)団七九郎兵衛:片岡愛之助、一寸徳兵衛:尾上菊之助©松竹罪人となっていた団七(片岡愛之助)の出牢の日。団七の女房のお梶(中村米吉)と伜の市松(中村秀乃介)は釣船三婦(中村歌六)と住吉社へやって来る。髪や髭が伸び放題の団七が、身なりを整えて浴衣姿で現れると、その爽やかな佇まいが場内を魅了する。団七は、大恩人の息子である玉島磯之丞(中村種之助)とその恋人琴浦(中村莟玉)の危難を救うため、一寸徳兵衛(尾上菊之助)とその女房お辰(片岡愛之助/二役)、釣船三婦らと奔走。立札を用いた団七と徳兵衛の息の合った立廻り、勢いある団七の花道の引っ込み、愛之助が一本気な団七と気風がよく筋の通ったお辰の二役を勤めるなど、みどころ満載。団七が泥にまみれながらの舅義平次(嵐橘三郎)殺しの場は、歌舞伎ならではの様式美で客席を魅了し、息を呑む展開が続くと幕切れには「大当り!」の大向うが掛かる盛り上がりとなった。昼の部『夏祭浪花鑑』左より)団七九郎兵衛:片岡愛之助、伜市松:中村秀乃介、団七女房お梶:中村米吉、一寸徳兵衛:尾上菊之助©松竹昼の部『夏祭浪花鑑』左より)団七九郎兵衛:片岡愛之助、おつぎ:中村歌女之丞、釣船三婦:中村歌六、一寸徳兵衛:尾上菊之助©松竹昼の部『夏祭浪花鑑』より団七九郎兵衛:片岡愛之助©松竹仁左衛門・玉三郎の競演に沸いた夜の部人間国宝・片岡仁左衛門と坂東玉三郎の競演が話題の夜の部。幕開きは、四世鶴屋南北の『於染久松色読販(おせめひさまつうきなのよみうり)』より、土手のお六と鬼門の喜兵衛に焦点を当てた人気作。惚れた男のために悪事を働く“悪婆”と呼ばれる役柄の土手のお六を玉三郎、色気ある悪に満ちた喜兵衛を仁左衛門。昭和46(1971)年に初めてふたりで勤めて以来、上演を重ねてきた当り役で、「玉三郎さんとのコンビがこのときからスタートしたようなもので、思い出深いお芝居です」と仁左衛門は話し、「玉三郎さんのお六との呼吸は、自然に合います。強請りの場では、ちょっと間の抜けているところも見せます。そこが南北さんの芝居作りの巧さでしょう」と語る。夜の部『於染久松色読販』左より)鬼門の喜兵衛:片岡仁左衛門、土手のお六:坂東玉三郎©松竹凄味を見せながらも、ふたりの息の合った強請りの場は観客の心を引き込み、山家屋清兵衛(中村錦之助)に見破られ目論見が外れる件はユーモアある幕切れとなり、観客からは笑いと共に大きな拍手が起こった。夜の部『於染久松色読販』前列左より)鬼門の喜兵衛:片岡仁左衛門、土手のお六:坂東玉三郎後列左より)油屋太郎七:坂東彦三郎、山家屋清兵衛:中村錦之助©松竹続いては、仁左衛門・玉三郎が魅せる舞踊『神田祭(かんだまつり)』。江戸の二大祭のひとつ「神田祭」を題材として、粋でいなせな鳶頭を仁左衛門、艶やかな芸者を玉三郎が勤め、華やかな江戸風情が場内を包んだ。賑やかな祭囃子で幕が開くと、そこは祭り気分に浮き立つ江戸の町。仁左衛門演じるほろ酔い気分の鳶頭が登場し、江戸前のすっきりとした踊りを見せて祭りを盛り上げる。続いて、玉三郎演じる芸者が自らの思いの丈をくどきで表現する場面、そしてふたりが揃って踊る場面では、その美しさに客席も華やぐ。鳶頭が大勢を相手にした立廻りでは、割れんばかりの拍手が送られた。夜の部『神田祭』鳶頭:片岡仁左衛門©松竹夜の部『神田祭』左より)芸者:坂東玉三郎、鳶頭:片岡仁左衛門©松竹夜の部の打ち出しは、舞踊『四季(しき)』。明治・大正時代に活躍した女流歌人の九條武子による本作は、日本の四季折々の風情を美しく描き出し、「春 紙雛」「夏 魂まつり」「秋 砧」「冬 木枯」を通した上演、また歌舞伎座での上演は実に43年ぶりとなる。夜の部『四季<春紙雛>』前列左より)五人囃子:上村吉太朗、尾上菊史郎、中村萬太郎、中村種之助、尾上菊市郎後列左より)女雛:尾上菊之助、男雛:片岡愛之助©松竹夜の部『四季<夏魂まつり>』左より)仲居:中村梅花、若衆:中村橋之助、舞妓:中村児太郎、亭主:中村芝翫、太鼓持:中村歌之助©松竹夜の部『四季<秋砧>』より若き妻:片岡孝太郎©松竹夜の部『四季<冬木枯>』左より)木の葉:中村玉太郎、中村鷹之資、中村莟玉、尾上眞秀、尾上左近、みみずく:尾上松緑、坂東亀蔵、木の葉:坂東亀三郎、大谷廣松、市川男寅、中村福之助©松竹「春 紙雛」では桃の節句に飾られた尾上菊之助の女雛、片岡愛之助の男雛の紙雛の仲睦まじい恋模様が描かれ、「夏 魂まつり」は夏の風物詩である大文字の送り火を舞台に、中村芝翫の若旦那を中心に芝翫の長男・中村橋之助が若衆、三男・中村歌之助が太鼓持、甥・中村児太郎が舞妓を勤めるなど成駒屋一門が情緒豊かに舞う。「秋 砧」は筝の音に乗せて、夫を想う片岡孝太郎勤める若妻の心をしっとりと描き出し、「冬 木枯」では尾上松緑と坂東亀蔵のみみずくが見つめる先で、木枯らしに吹かれ舞う木の葉の動きを群舞で鮮やかに表現。木の葉女を勤める尾上左近を中心に木の葉男の坂東亀三郎・尾上眞秀が軽やかに踊る姿、とんぼやアクロバティックな動きが盛り込まれた振付に拍手が起きた。情緒豊かな日本の四季の変化を描く優美な舞踊に、酔いしれるひとときとなった。見どころ満載の歌舞伎座4月公演「四月大歌舞伎」は4月26日(金)まで、東京・歌舞伎座で上演中。<公演情報>歌舞伎座「四月大歌舞伎」【昼の部】11:00~一、双蝶々曲輪日記二、七福神三、夏祭浪花鑑【夜の部】16:30~一、於染久松色読販二、神田祭三、四季2024年4月2日(火)~26日(金)※休演10日(水)、18日(木)会場:東京・歌舞伎座チケット情報:()公式サイト:(無断転載禁止)
2024年04月08日澤田空海理(読み:さわだそうり)が主催するツーマンライブ『手 vol.1』が4月5日、渋谷PLEASURE PLEASUREで開催された。ライブタイトルにvol.1とあるように、このツーマンライブは今後シリーズ化する予定。記念すべき初回にあたるこの日は、澤田が敬愛するシンガーソングライター・古川本舗をゲストに招いた。まずは、アコースティックギターを携えた古川本舗が登場。夕焼け色の照明に包まれた古川の爪弾くアルペジオから、1曲目の「ordinaries」が始まった。吸った息をただ吐いただけのように自然な、しかし外の世界には安易に染まらないこの歌声の凛とした存在感は何だろうか。「夜」の空気をまとった古川の歌に、客席にいる一人ひとりが声を上げず、音も立てずに聴き入っている。観客にとっては、歌と自分が一対一になれるような贅沢な時間であり、自分が過去に置いてきたものに想いを巡らせられる貴重な時間だ。古川本舗対バンに呼ばれる機会はあまりないという古川。「今日はわたくし前座です。こういうことを言うと、やつはすごく嫌がるんだけど(笑)」という発言から読み取れたのは、澤田との飾らない関係性だ。MCでは、澤田のことを「アーティストとしてまっすぐで、すごくいいやつ」と称しつつ、「今日呼んでもらって、気恥ずかしいながらも嬉しいです。改めて澤田くん、ありがとう。そして来てくださった皆様もありがとうございます」と語った。古川はその後、4月24日に配信リリースする新曲「三分半 feat. mm.」や未配信曲も披露。ライブ終盤では「緊張しつつも楽しかった」と振り返り、「今年は社会性を身につけたい」「人と一緒にどんどんライブをしていきたい」と展望を述べたあと、澤田や観客へ再び感謝を伝えた。そして「ベイクドパンケイクス」で鮮烈な印象を残して終了。澤田空海理のステージは、SE代わりの朗読音声からスタート。しばらくして登場した澤田は、ステージセットのベンチに腰掛け、アコースティックギターを鳴らしながら「可笑しい」を歌い始めた。澤田の楽曲には主人公の心の声や実際に発した声、思考の足跡や感情の移り変わりが詞になっているものが多い。そしてライブだと、呟くように歌ったり、声を思いきり張ったりといったボーカルの振れ幅によって、それが表現される。観客は、曲の主人公の心情に自分を重ねながら、あるいは重ならない分の距離を内省の種に変えながら、音楽に浸っていたことだろう。澤田空海理「またねがあれば」「薄荷飴」と春の曲を続けて披露したあとのMCでは、古川や来場者、この日のライブをともに作ったスタッフに向けて、「本当にありがとうございます。夢が一個叶ったような気がしています」と伝えた。自分が一番楽しむつもりでいるからMCでは好きなことを喋ろうと、事前に内容を考えてこなかったとのこと。観客へ語りかける時の声色がやわらかかったこと、また、古川について語るときの声色が明るかったことが印象的だった。その後は、ライブの前々日に配信リリースした新曲「作曲」をピアノアレンジで披露。澤田空海理「作曲」MVさらに、古川本舗の楽曲「スカート」「東京日和」を前者はギター、後者はキーボードの弾き語りでカバーするなど、この日ならではの特別な場面が続いた。ライブの終わりが近づく中、「僕はみんなに悲しんで帰ってほしいんです。思い出すこといろいろとあるだろうし。そういうトリガーになりたいと思います」と観客に伝えた澤田。ラスト2曲、「振り返って」「遺書」で拍手もせずに聴き入っていた観客の姿を見るに、この日披露された楽曲の一つひとつは聴く人の心に強く残ったはずだ。深い余韻とともに、ライブは幕を閉じたのだった。Text:蜂須賀ちなみPhoto:星野健太<公演情報>澤田空海理 ツーマンライブ『手 vol.1』4月5日(金) 東京・渋谷PLEASURE PLEASURE出演:澤田空海理 / 古川本舗セットリスト■古川本舗1. ordinaries2. ナイトクルージン3. ライフタイムサウンドトラック4. HOME5. 知らない6. World borderline7. クロエ8. 三分半9. ベイクドパンケイクス■澤田空海理1. 可笑しい2. またねがあれば3. 薄荷飴4. 作曲5. 已己巳己6. 望春7. スカート(カバー / オリジナル:古川本舗)8. 東京日和(カバー / オリジナル:古川本舗)9. 振り返って10. 遺書<リリース情報>澤田空海理 配信シングル『作曲』配信中澤田空海理『作曲』ジャケット【収録曲】1. 作曲2. 作曲(instrumental)配信リンク:公式サイト:
2024年04月08日杉本恭一は日本のミクスチャーロックの創始であるLÄ-PPISCH(レピッシュ)のリーダーかつギタリストとして1984年にそのキャリアをスタートさせ、1987年にメジャーデビューし、日本にミクスチャー旋風を巻き起こした。その活動と並行する形で1996年に初のソロアルバム『ピクチャーミュージック』を発表、そして8年後の2004年、セカンドアルバム『PENNY ARCADE』の発表を機に本格的なソロ活動をスタートし、現在までに10枚もの単独アルバムをリリースしている。そして元々ジャンルに捕らわれないアプローチを持っていたため、彼の作る音楽は極めて多岐にわたる。アグレッシヴで攻撃的なサウンド、ユーモラスでコミカルなサウンド、抒情的かつロマンティックなサウンドなど、変幻自在。だが、そこには常に1本の芯が存在する。それは「嘘偽りのない杉本恭一の分身」が常に存在するということ。どの曲も、まさに杉本恭一なのだ。では杉本恭一とは一体どんな男なのか?まず、豪快でパワフル、それが極まって時々破壊神的な怪獣感を発揮するので往々にして怖がられたりもするが、同時に彼は周りの人間を笑わせることがとても好きで、周りが笑うと自分も大笑いして喜ぶ。彼の一番大きな魅力は、人を惹きつけてやまない、この破天荒な愉しさ。次に、たとえ自分が困ったことになりそうな時でも人を助けようとし始める義理人情の異様なまでの厚さ。私自身も含め、彼に感謝している人間はとても多いと思う。しかもそれでいてたまに彼はポロリと気弱な部分を見せやがる。これでもう男も女もイチコロだ!って、私は何を書いてたんでしたっけ?とにかく彼の楽曲にはこうした彼の人間性がそのまま現れていると思っていただきたい。その上で、元グラフィックデザイナーであり、現在もイラストレーターとして誰にも真似できない独自の世界観を発揮することでも知られる彼の、絵や色彩に対するこだわりも楽曲に反映されている。彼の性格・人生・キャリアの全てがこれまでの楽曲に詰め込まれているのだ。つまり杉本恭一の楽曲はそのまま杉本恭一であると。どんなにかけ離れたジャンルの音楽を鳴らしても違和感がまるでないのは、これが理由であると私は強く思っている。その杉本恭一の還暦を記念した『KYO1KYO60』が、2024年3月20日渋谷PLEASURE PLEASUREで行われた。奇妙な音階が心地よい“時間”のSEと共にさながらタイムトンネルのような映像が流れ(レピッシュ初期の杉本の衣装である赤いスーツを着た御父上の還暦時写真も挿入!)、登場するのは、杉本恭一(Vo&G)とthree days agoの奥村大(G&Cho)、有江嘉典(B&Cho)、中畑大樹(Ds&Cho)。お馴染みのメンバーだ。そして1曲目はファーストアルバムから「MaMa」、伸びやかで美しいメロディーを持つお誕生日に相応しい誕生のナンバーだ。そこから「Marking Point」「電撃」「Red monkey」と超絶アッパーなパワーナンバーが炸裂する。まさに杉本恭一である。ちなみに還暦のお衣装は、赤というか臙脂色のユニオンジャック柄が入った小粋なスーツにぴしっとネクタイ。ネクタイ姿で登場したのは人生初だとMCで披露し、満員の観客の笑いを誘うなどして「ズル休み」「moon」と、情景が目の前に浮かんでくるような染みわたるナンバーが響く。硬軟、動静の引き出しの多さがまた痛快だ。そんな中、11曲目「Panmanブギ」で最初のゲストにして華恭でコンビを組む盟友・水戸華之介が登場し、〇なせ〇かし巨匠からのクレームを心配しつつ笑いながら聴きつつ、軽快なおしゃべりというか漫才?を挟んで「ゆらぎ」「無敵のボヘミアン」と、のべ3曲を披露。ここからまたチームthree days agoに戻って「rain song」「監獄オーケストラ」を豪快かつアグレッシブに掻き鳴らしたと思ったら「ブラブラ」「月食」「APPLE」と、様々な景色と色彩が奔流するかのようなめくるめく杉本ワールドを披露。水戸華之介余りにも時間があっという間に過ぎてゆくため、杉本が「終わりたくない」的なことを言い出してハッとなる。気が付いたらもう、私が勝手に杉本の最高傑作と思っている、恐らく世界唯一であろう湯河原の温泉のカランが小さいことを歌った大名(迷)曲「ダミーリリック」、19曲目だ。そして20曲目「天国ロックショー」でヨーイチの名を叫び、本編が終了。これだけ焚きつけておいて観客が許すわけがないので、もちろんアンコールである。そして驚いたのが、いやLÄ-PPISCHのMAGUMI(Vo&Tp)とtatsu(B)が登場すること自体に驚きは全くなかったのだが、問題はその役割分担だ。なんとメインボーカルは全て杉本恭一が担当し、MAGUMIはTp演奏をメインに歌はコーラスにまわっての「KARAKURI」「爆裂レインコート」「ガーリックマン」「イージンサン」を披露である。こんなの始めて見た。ほぼ40年見てきて始めて見た。まだまだやっていないことがあったのだということに大きな驚きと感動とヤラレタ感を覚えつつ。オーラスのダブルアンコールは「ラオラウ」そしてファーストアルバムから連綿と続く大人気曲にして暴虐の限りを尽くす沸騰曲「TACO」。正直に申しましょう、60歳のライブじゃないぜ。MAGUMItatsu人を愉しませたい男・杉本恭一の今日60歳の宴は、まさに笑顔と熱気に溢れた特別な一日となった。そしてこれからも、いつまでも、70でも80でも、私たちを笑顔にさせ続け欲しいと強要したい。あと奥村氏も言っていたが、足を高く上げ続けて欲しい。頼みます。Text=中込智子Photo=@h_omi<公演情報>『KYO1 KYO60』3月20日(水・祝) 東京・渋谷PLEASURE PLEASURE【セットリスト】OPENING SE〜時間〜01. MaMa02. Marking Point03. 電撃04. Red monkey05. 穴場のオマケ06. キャロラインベッキー07. ズル休み08. moon09. ハミング10. ピース11. Panman ブギ12. ゆらぎ13. 無敵のボヘミアン14. rain song15. 監獄オーケストラ16. ブラブラ17. 月食18. APPLE19. ダミーリリック20. 天国ロックショー■アンコール21. KARAKURI22. 爆裂レインコート23. ガーリックマン24. イージンサン■モアアンコール25. ラオラウ26. TACO<ライブ情報>『華恭〜カラカラ何かが鳴った』出演:華恭(水戸華之介(Vo)、杉本恭一(G & Vo)4月27日(土) 東京・南青山MANDALA5月10日(金) 宮城・仙台LIVE HOUSE enn 3rd5月11日(土) 青森・Quarter~Special 3days~5月17日(金) 大阪・POTATO-KID5月18日(土) 大阪・POTATO-KID5月19日(日) 大阪・POTATO-KID『LÄ-PPISCH Live Tour 2024 ~Great Escape~』6月14日(金) 大阪・味園ユニバース6月16日(日) 愛知・ElectricLadyLand7月21日(日) 東京・Zepp Shinjukuチケット情報()オフィシャルホームページ:
2024年04月06日昨年11月の長野を皮切りに、全9カ所・15公演を周ってきたSaucy Dogの全国アリーナツアー『It Re:ARENA TOUR』。そのファイナルが、3月31日(日)、Kアリーナ横浜で行われた。ライブ中にせとゆいか(Ds/Cho)の口からも語られたように、全国アリーナツアーを開催するというのは石原慎也(Vo/Gt)が以前から言葉にしてきた目標であり、Saucy Dogチームにとっての念願だった。その目指し続けた場所で、彼らが見せたのは、力強くスケールアップした演奏と求心力、そして、そうやって大きくなるにもかかわらず変わらずにオーディエンスに寄り添い、すぐ近くでおしゃべりをするように音楽を届ける姿だった。せとゆいか(Ds/Cho)リスナーの毎日のそばにそっといるようなサウシーの音楽のありかたを象徴するオープニングムービーからつながるようにして、ステージから聞こえてきた1曲目は「魔法にかけられて」。ムービーによって歌詞の物語がさらに印象的になり、楽曲がよりドラマティックに伝わってくる、美しい幕開けだ。続く「マザーロード」は夕日のようなオレンジの光とともに届けられる。演出が、曲順が、まるでひとつながりのドラマのように大勢のオーディエンスの感情を盛り上げていくのがわかる。そしてそのドラマに、石原、秋澤和貴(Ba)、せとの3人の強固なアンサンブルが説得力を与えていく。秋澤和貴(Ba)「あぁ、もう。」や「優しさに溢れた世界で」、「雀ノ欠伸」と、今のサウシーのライブに欠かせない楽曲を次々と届けてハンズクラップやシンガロングで会場をひとつにすると、満面の笑みを浮かべた石原が「今日という日をめちゃめちゃ楽しみにしてきました!」と挨拶。オーディエンスの大歓声に「みんな、声が涸れちゃうよ?」と応えたせとは、冒頭に書いたとおり、初めてワンマンツアーを周った頃から、石原がアリーナツアーを目標に掲げていたことを語る。「そのときは『何言ってんねん』って思ってたんですけど、慎ちゃんはそれをずっと言ってて。気づいたらそれがバンドの夢になっていたんです」。石原が掲げていた「全国アリーナ2デイズ、即完」というところには今回はあと一歩届かなかった、と付け加えながらも、「夢に近づいてきてるんやな」と感慨深げな表情を見せた。ここで、石原が「新しいワクワクを来てくれているみんなにも味わってほしい」と、このツアーでは初めてサポートギターを入れてライブを行っていることを伝える。そうしてそのギタリスト・作田泰地を迎え入れ、「ちょっと季節外れだけど」と披露されたのは「サマーデイドリーム」だった。季節外れどころか、この日の関東地方は夏を先取りしたかのような暑さだったのでむしろぴったりだ。それにしてもこの曲のスケールの大きさには驚いた。鉄板のトライアングルにギターが1本加わるだけで、こんなにも豊かに変わるのか。といっても、アレンジやグルーヴが大幅に変化しているわけではない。全体的に厚みと密度が増したようなサウンドだ。この後もところどころで作田のギターがバンドを支えていくのだが、どの曲もアリーナにふさわしいパワーを発揮していた。「サマーデイドリーム」に続いては、「誰がなんと言おうと、俺らにとって、あなたと出会わせてくれた大切な歌」という石原の言葉とともに「シンデレラボーイ」へ。イントロのギターが鳴り始めた瞬間に静かな拍手がアリーナ一面に広がった。そこから「いつか」、そして「魔法が解けたら」へと、楽曲がひとつの恋の終わりを描いたひと続きの物語のようにして奏でられていく。もちろんそれぞれの曲は作られた時期も背景も主人公の性別も違うのだが、それが映像演出も含めてこうしてつながっていくところに、石原慎也というソングライターの幹みたいな部分が透けて見えるようだ。物語の最後を飾る「魔法が解けたら」では再び作田のギターが3人のサウンドに厚みを足して力強く「次」へと向かっていく主人公の姿を浮かび上がらせてみせた。そんなセクションの後は恒例のアコースティックコーナー。せとがキーボードを弾きつつ歌う「へっぽこまん」、そしてせとが「今いちばん大事にしている曲」だという最新作『バットリアリー』のボーナストラック「星になっても」。すっかり定番となったこのコーナーだが、アリーナでもその「近さ」はまったく変わらない。3人の関係性、ファンとの向き合い方、いろいろな意味でとてもサウシーらしい空気が生まれる瞬間だ。そのアコースティックコーナーを石原が歌う「届かない」で終えると、ライブはクライマックスへと突き進んでいった。石原慎也(Vo/Gt)あなたの心の中にちょっとでも長く、Saucy Dogという存在がい続けられればステージをスモークが覆う幻想的なムードの中披露された「リスポーン」をエモーショナルに届けると、石原が「横浜!」と叫んで「現在を生きるのだ。」で一気に風景を押し広げる。そしてここでもシンガロングを巻き起こすと、立て続けに「夢みるスーパーマン」を投下する。「現在を生きるのだ。」もそうだが、この「夢みるスーパーマン」も聴く人に直接的にメッセージを届け鼓舞する楽曲。ライブの空気を作っていった序盤、楽曲の世界観を丁寧に表現した中盤を経て、この終盤ではよりダイレクトでタフなオーディエンスとのコミュニケーションが生み出されていった。秋澤のベースソロから突入した「雷に打たれて」を経て、「ゴーストバスター」と「バンドワゴンに乗って」を畳み掛けると、早くも本編最後の曲。会場のオーディエンスと会話をしつつ、スタッフも含めここにいる全員に感謝を伝えると、石原はこう言葉を継いだ。「あなたと直接手をつなぐことはできないけど、あなたの心の中にちょっとでも長く、Saucy Dogという存在がい続けられれば、一緒に生きられるんじゃないかなって思います」。そうして石原自身の、そしてその歌を受け取るすべての人の心を深く抉るような楽曲「怪物たちよ」が熱く、強く届けられた。その後のアンコールでは2月28日に映画『52ヘルツのクジラたち』の主題歌としてリリースされた新曲「この長い旅の中で」を披露すると、ファイナルということで秋澤からも「15本、長いようで短かった気がします」と一言。さらにそこでは、今回サポートギターを務めた作田がじつは彼と石原の専門学校時代からの友人で、秋澤は彼と一緒にバンドを組んでいたこともあるというバックグラウンドも明かされた。そしてせとが「また一緒に遊びましょう、そんだけ」と告げて「そんだけ」を届けると、最後は1stミニアルバム『カントリーロード』からの「グッバイ」。初期曲ということで「知ってる人はあまりおらんかもしれんけど」と石原は言っていたが、もちろんそんなことはなく、突き抜けるようなバンドサウンドに会場中から手が上がり、歌声が生まれる。最高の一体感とともに、記念すべき初の全国アリーナツアーは幕を下ろしたのだった。Text:小川智宏Photo:山川哲矢公式サイト:
2024年04月03日メジャーデビュー10周年のGLIM SPANKY。昨年11月に発売した7th Album『The Goldmine』を引っ提げて開催した、全国ツアー『The Goldmine Tour 2024』東京・日比谷公園大音楽堂公演のオフィシャルライブレポートが到着した。亀本寛貴(G)がMCでも話していたように、GLIM SPANKYは今年の6月でメジャーデビューから10周年を迎える。その間に7枚のアルバムをリリース。EPとシングルを含めると毎年複数の作品を発表し続けながら、パンデミックによる制限のあった時期を除けば、精力的にツアー/ライブもこなしてきた。荒々しくハードなガレージ/ブルースロックを掻き鳴らしていた初期を起点に、そこから膨らむアイデアを、バンドのスケールアップとともに音にしていく。小さなライブハウスで数人しかお客がいなかった時期を経て、ワンマンツアーを回れるようになり、これまでは憧れだった海外のバンドとも同じステージを踏んだ。『FUJI ROCK FESTIVAL』のGREEN STAGEの舞台にも立ち、日本武道館でもワンマンライブを開催した。最後の新木場STUDIO COAST、あの時の野音、東京キネマ倶楽部、振り返るとさまざまな景色が思い浮かぶ。そんな、“これぞロック”なヒストリーを、ジャンルやプロモーションの型が多様化する時代の流れにも目を配る柔軟性とともに積み重ね、新たなロックの生きる場所を開拓してきた稀有なバンド。それがGLIM SPANKYだ。そしてその鍵は、松尾レミ(Vo / G)がこの10年間のMCやインタビューなどでも一貫して観客のことを“仲間”と呼ぶアティチュードの中にある。今回の『GLIM SPANKY The Goldmine Tour 2024』セミファイナルは、そのことを確信させてくれる希望に満ちたステージだった。最新アルバム/ツアータイトル曲「The Goldmine」で幕開け。その言葉通り、GLIM SPANKYの開拓精神を示すような力強いナンバーだ。重心の低いビート、亀本のアンセミックなギターリフに、松尾のストイックな歌詞とパワーのみなぎる声が響くと、場内には大きな歓声が沸き、無数の拳が付き上がる。そんな新曲からスピードギアを上げ、デビューの頃からずっとライブでのハイライトを演出し続けている「褒めろよ」へ。あいにくの雨を熱して飛ばすような流れによって巻き起こる、叫びとダンスの波は圧倒的だった。続いて「みんなで揺れて踊って最高のパーティーにしよう」と松尾が言い放ち「Odd Dancer」を披露。松尾は自分たちのワンマンライブのことを、“パーティー”と呼ぶ。“パーティー”には“行動を共にする仲間”という意がある。また、主体はオーディエンスにあるということや、クラウドの織り成す景色こそすべてであるということを表すために使用されることもしばしば。力強くも柔軟で、時に幻想的なサウンドスケープやグルーヴに乗って、思い思いに揺れる観客。同じ音と向き合うからこそ浮かび上がる各々の個性はまさに、“パーティー”を象徴する場面だった。松尾が、ステージの背景に吊るされた大きな三角の布を指して「自分たちの育った長野県の村を囲む山脈もイメージしている」と話し、「光の車輪」へ。前3曲のアッパーなノリからシームレスに優しい田園フォークの世界へと誘う、絶妙な力加減と緩急が光るビートが心地良い。次の曲も長野の緑が浮かぶような「話をしよう」。その演奏が始まると場内のあちこちから「お~っ」という声が。それもそのはず。なぜなら2016年にデジタルシングルとしてリリースされ、そのグッドメロディが人気を博すも、ライブではあまり耳にすることのなかった曲だからだ。松尾曰くファンからのメッセージがきっかけで、今回のセットリストに組み込んだそう。そんな2曲によって浮かぶ田舎の風景からロックの深い森へと手招きするように、『The Goldmine』収録の「真夏の幽霊(Interlude)」が始まる。松尾と亀本による二本のアコースティックギターが演出するサイケな音色や揺らぎは、雨という悪条件をスペシャル感に変える魔法のよう。アルバムと同じ流れで続く「Summer Letter」の、本来は晴れ晴れとしたサイケデリックロックと、野音の濡れた木々との相性が実に趣深い。そこからこちらも『The Goldmine』に入っている「Glitter Illusion」へ。横乗りでじわじわとムードを高めながらロックならではのダイナミックな魅力が重なってくる演奏に、再び場内の温度が高まってくる。そしてロックのど真ん中を射抜く初期のキラーチューン「NEXT ONE」で爆発。ニューアルバムで獲得した曲やアレンジのバリエーションが、グラデーションを楽しみながら多様な世界観を往来できる、ライブでの新たな魅力に寄与していることを強く感じた場面だった。お馴染みのサポートドラム、かどしゅんたろうが紹介されると、見事な高速連打ソロを披露。続いてこの10年間、GLIM SPANKYのライブを休むことなく支えてきたベーシスト、栗原大の名前が呼ばれたのだが、その瞬間聞こえてきたのはベースではなくフロアタムとシンバルの音。まさかのかどとの打楽器セッションに沸きに沸く会場。そして「怒りをくれよ」が始まる。フェスやイベント含め、もっとも数多く演奏されてきたもっとも人気の高い曲が新しい演出によりフレッシュに躍動する。さらに眼光の鋭い高速ブルース「不幸アレ」で畳みかけ。フィジカルな盛り上がりという意味では、この日の最高を叩き出した。終盤はGLIM SPANKYの持つ珠玉のロックバラードのうちのひとつ「美しい棘」からスタートする。ライブでの合唱を意識したという強いコーラスが響く「Innocent Eyes」で高まる一体感。松尾と亀本が街を歩いていたところ、偶然路上アーティストの歌う姿を目にしたという「大人になったら」(ライブ後のオフィシャルXアカウントで、そのときの動画が紹介され話題に)、同タイトル映画の主題歌「リアル鬼ごっこ」と、初期のシングルで本編を締めた。アンコールの1曲目は、ファーストアルバム『SUNRISE JOURNEY』から、ストレートな70’sロック節と歌詞、さすがのメロディセンスに痺れる「サンライズジャーニー」。その盛り上がりを見ていると、先述した「話をしよう」と近いニュアンスで、ライブでやり続けてほしいというメッセージが、もっとも多い曲のひとつなのではないかと思った。亀本のエクストリームなギターソロがばっちりキマり、歓喜の声が溢れたところで始まったスリリングなロックナンバー「愚か者たち」が会場を刺し、ラストは「ワイルド・サイドを行け」を演奏する。〈仲間とこじ開ける未来は絶景さ〉その歌詞は、GLIM SPANKYのこれまでを回収し、これからを誓うよう。それはきっと、何があろうとも手放さないオールタイムポリシーで、私たち一人ひとりがムーブメントの一部なのだ。今日が最高だった充実感とともに持って帰る、未来への期待や希望。それこそがロックなのではないかと思った。アルバムを出し、ツアーを終えてひと段落と見せかけて、GLIM SPANKYの2024年はまだまだこれからとのこと。また近々、彼らの音の鳴る場で会いましょう。文=TAISHI IWAMI撮影:上飯坂一<公演情報>『The Goldmine Tour 2024』3月24日(日) 東京・日比谷公園大音楽堂【セットリスト】01. The Goldmine02. 褒めろよ03. Odd Dancer04. 光の車輪05. 話をしよう06. 真昼の幽霊(Interlude)07. Summer Letter08. ラストシーン09. 愛の元へ10. Glitter Illusion11. NEXT ONE12. 怒りをくれよ13. 不幸アレ14. 美しい棘15. Innocent Eyes16. 大人になったら17. リアル鬼ごっこ■encore01. サンライズジャーニー02. 愚か者たち03. ワイルド・サイドを行けGLIM SPANKY オフィシャルサイト:
2024年04月01日『HY SKY Fes 2024 & 前夜祭』が、2024年3月22日(金) より3日間にわたり、沖縄県総合運動公園多目的広場で開催された。今年で5回目を迎えたSKY Fesの特徴は、世界一クリーンなFesをめざし、アートとクリーン活動を絡めたさまざまな取組みにある。HYが自ら手がけた廃材アートの装飾だけでなく、楽器作りワークショップでも廃材を使用するなど、ゴミをリユースする取組みを積極的に行っている。会場内で出るゴミへのいくつかのアクションも、注目してほしいポイントだ。SKY Fesでは、各自ゴミの持ち帰りを呼びかけているため、全来場者にゴミ袋を配布している。そのゴミ袋には、前回の名嘉俊(ドラムス)に代わり、今回は沖縄の“新星”イラストレーターとして活動するMs.Little Chico(ミス・リトル・チコ)のイラストが施されている。ただゴミ袋を渡されるより気分が上がるし、なによりかわいい。そのゴミ袋にゴミを入れて持ち帰るのも、また楽しい思い出のひとつとなるだろう。今年も3日間とおして天気に恵まれ、会場の沖縄県総合運動公園多目的広場には全国から2万5000人が来場した。去年の「マスクをしていれば声出しOK」から、今年はマスクも外してOKに!久しぶりの観客の笑顔に、アーティストも観客も一体になって盛り上がった。前夜祭本公演の前日である2024年3月22日(金) 18時より、キャンプサイト脇に設けられたグリーンステージで、前夜祭が開催された。ゲストに沖縄生まれのシンガーソングライター由薫を迎え、約800人に特別なライブを届けた。グリーンステージは、50センチメートルほどの高さの舞台で、前列の観客との距離はわずか1メートルほど。この距離感の近さが、前夜祭の魅力のひとつである。ステージ前はランタンで幻想的にライトアップされ、HYそれぞれが抱くSKY Fesへの想いに耳を傾けた。パネルディスカッションでは、うるま市の市役員を迎え、うるま市の魅力や特産品を紹介。ゲストの由薫も参加し、うるま市の観光大使であるHYとのクロストークで、会場を沸かせた。ネスレ日本株式会社・沖縄エスファウ株式会社・株式会社又吉コーヒー園とのパネルディスカッションでは、沖縄で育てるコーヒーについての説明が繰り広げられた。そして、沖縄でのコーヒープロジェクトをベースに作られた、HYの新曲「明日種〜アシタネ〜」を紹介。中山コーヒー園・又吉コーヒー園で撮影されたMVをみんなで観て、多幸感あふれる曲に会場から拍手が湧き上がった。日が沈みはじめた19時前、ランプの灯りに包まれるなか、いよいよ前夜祭のライブステージがスタート。まずは由薫によるLiveステージ。1曲目は、ドラマの主題歌にもなった「Crystals」を披露。アコースティックギターの音色と、由薫の透きとおった歌声、そして彼女が持つ世界観に、一気に引き込まれた。沖縄でのLiveは今回がはじめてであり、沖縄を想い曲作りをしていることも多いと語り、この舞台に立てる喜びを伝えてくれた。由薫2曲目には雰囲気を変えて、アップテンポな楽曲「Rouge」。力強いギターと声で歌い上げ、3曲目「No Stars」につなげた。沖縄で見る星が大好きで、沖縄のビーチで作ったと、4曲目に「星月夜」を披露。ステージ裏に月がのぼり、雲ひとつない夜空と由薫が放つ音色で、とても美しい世界が広がった。そして最後の曲「sugar」を歌い上げると、大きな拍手と指笛が鳴り響いた。沖縄をルーツにもつ若き歌姫に、すっかり心をつかまれた約20分だった。HYによるアコースティックライブでは、「俺たちもこの時間を楽しみたいと思います」と最初の曲「モノクロ」を披露。手拍子と掛け声のかけ合いで、1曲目から会場は大盛り上がりをみせた。「皆さんに笑ってほしい」と、2曲目に「君のうた」を。「皆さんとの心の距離を近づけたいので」と、歌の途中で観客とのリズム遊びをはさみ、会場をひとつにした。HYメンバー紹介に拍手と指笛が鳴り響くなか、SKY Fesへのそれぞれのメッセージを伝えた。特に仲宗根泉(キーボード・ボーカル)のトークは、前夜祭ならではの魅力がある。そして「みんなの歌です。第二の故郷は沖縄なんだと思いながら聞いてもらえたらうれしい」と3曲目「HAISAI」へつなげた。4曲目は、朝ドラの主題歌にもなった曲「いちばん近くに」を披露。新里英之(ボーカル・ギター)と仲宗根の、せつない歌声が会場中に響きわたり、ふたりの心のこもった一言ひとことが、心のなかに溶け込む時間となった。最後は新曲「明日種〜アシタネ〜」を初披露。サビのダンスをみんなで踊り、スペシャルな時間を終えた。大きな舞台とは違う、目の前でのパフォーマンスに酔いしれ、これからはじまる2日間への期待を最高潮にして、前夜祭を終演した。DAY110時の開場と同時に、うるま市の具志川青年会によるエイサーで来場者をお出迎え。全国から集まった来場者を楽しませた。装飾を前に記念写真を撮ったり、フードエリアで食事やドリンクを買ったり、子どもと会場をまわったりと、早速楽しむ多くの人たち。今年は来場者のスタートが早いように感じた。それだけ、SKY Fesが浸透し、春の恒例フェスとなりつつあるのだろう。メインステージの出演アーティストはHY含め8組。11時15分、オープニングアクトから、『HY SKY Fes 2024』がスタートした。オープニングアクトは、TikTokや路上ライブでZ世代に絶大な人気を誇る、シンガーソングライター冨岡愛。1曲目「I need your love」、2曲目「ぷれぜんと」を続けて歌いあげた。沖縄で歌うのがはじめてで、とても楽しみにしていた。最後まで楽しんでくださいと、3曲目にヒット曲「グッバイバイ」を披露。歓声と拍手が湧くなか、「またお会いできるようにがんばります」とパフォーマンスを終えた。冨岡愛12時ちょうど、歓声と手拍子でHYを迎える観客たち。新里の「みんな元気〜?5回目のSKY Fesへようこそ!HYです!楽しむ準備はいいですか?」の呼びかけで、ウェルカムLiveがスタート。1曲目「AM11:00」のタイトルコールに大歓声があがった。スタンディングエリアには多くの人が詰めかけ、HYのLiveを楽しんだ。「この日のためにテーマソングを作ってきました。今日はその初披露の日です」とのメッセージとともに、SKY FesにかけるHYの想いを伝え、「SKY」を初披露。会場をしっかり温めたウェルカムLiveとなった。HY1組目のアーティストはマッキーこと、槇原敬之。マッキーのことが大好きな仲宗根がまずは登壇し、槇原への想いを語った。自身がアーティストをめざすきっかけとなったのが、槇原の曲だったこと、自分たちの作ったフェスに、憧れの人が出演してくれることへの喜びを、力説した。仲宗根の呼び込みから、槇原のLiveがスタート。1曲目より名曲「もう恋なんてしない」を披露し、一瞬で会場を沸かせた。以前HYのLiveにはじめていき、完全にファンになってしまったと、今日参加できたことへの喜びを伝えた。槇原敬之2曲目「SPY」のタイトルコールでは歓声が湧き上がり、多くの人が、青春時代に想いを馳せたことだろう。続けて「遠く遠く」「僕が一番欲しかったもの」を披露。観客との掛け合いも楽しみ、会場のボルテージを一気に上げた。さらに「どんなときも。」で盛り上げる槇原。新曲「うるさくて愛おしいこの世界に」をやさしく歌いあげ、槇原の心に染みる歌声が会場に響き渡った。そして最後の曲は「世界に一つだけの花」。みんなで一緒に歌い楽しみ、槇原の唯一無二のLiveを終えた。数々の名曲を惜しげもなく歌い続ける槇原は、始終とても楽しそうだった。デビュー34年目の圧倒的なパフォーマンスに、感動を覚えた40分となった。2組目のアーティストは水曜日のカンパネラ。独特な歌詞と曲調、そして個性的なビジュアルで、Z世代のアイコン的存在となった詩羽が登場。ステージ全体を使いながら「ティンカーベル」を歌い、観客を喜ばせた。水曜日のカンパネラ続けて「バッキンガム」を披露。久しぶりの沖縄でのLiveで、3月の暑さに驚いていた詩羽。2曲目「ディアブロ」では「いい湯だね」の掛け合いを楽しみ、「赤ずきん」では、オオカミとともに可愛らしいパフォーマンスで魅せた。そして「聖徳太子」「マーメイド」を続けて披露。詩羽のキュートなビジュアルと特徴的な歌詞、そして彼女の歌声と音楽は、一人でのパフォーマンスに思わせない、圧倒的な存在感だった。ラスト3曲「たまものまえ」「エジソン」「招き猫」を元気に歌いあげ、盛り上げ上手な詩羽にすっかり引き込まれた。3組目にスガ シカオ with FUYUをむかえ、「はじめて参加します。SKY Fes、いいね」とパフォーマンスをスタート。「フォノスコープ」「19才」を続けて歌い、ファンを喜ばせた。スガのギターさばきと、FUYUのドラムテクニックで会場を一気に魅了し、名曲「Progress」を披露すると、各所から歓声と指笛が鳴り響いた。スガ シカオ with FUYU「マッキーの『世界に一つだけの花』は、俺に対しての挑戦状かなー」と、4曲目「夜空ノムコウ」につなげた。ギターソロでスガが歌う「夜空ノムコウ」は、とてもしっとりと色気のあるものだった。そして「黄金の月」「覚醒」「ハチミツ」と、ラストまでの3曲を一気に歌いあげた。最後の曲「ストーリー」では、スガの透明感のある歌声と、高いテクニックのギター音、FUYUのドラムのビートで作り上げられた世界観が、夕刻に近づく時間帯とマッチして、抜群の雰囲気となった。4組目のアーティストDISH//のリハがはじまると、今日一番の観客がスタンディングエリアに詰めかけた。Live前の特別なステージを楽しんだのは、ファンだけではないだろう。改めてメンバーが登壇し、「沈丁花」をファンとともに歌いあげた。DISH//2曲目「Dreamer Drivers」では、北村匠海(Vo/G)が終盤で激しく踊り、続けてアップテンポな曲「勝手にMY SOUL」で会場を沸かせた。沖縄でのLiveは、約5年ぶりだそう。小学生のころにストリートで踊っていた時代に、ゆかりがあったというHYの歌。「自分たちの青春をかたどってくれた方々に、ホームに呼んでいただき光栄です。敬意をこめて、自己紹介をかねて」と、DISH//の代表曲「猫」を披露。少しかげっていた太陽があらわれ、北村を照らす幻想的な瞬間があらわれた。続けて「揺れてゆく」で観客を盛り上げ、「ここから上げてっていいですか?」とアップテンポな曲「No.1」へとつなげた。6曲目「JUMPer」では観客と元気に飛び跳ね、最後は「HAPPY」で締め、とてもエネルギッシュなステージを魅せてくれた。真っ赤にライトアップされたステージに、真っ赤な衣装のダンサーを引き連れて登場した加藤ミリヤ。圧倒的な存在感で、会場が一瞬にして湧きあがった。ヒット曲「Respect Me」を歌うと、会場内から大きな声援と指笛が鳴り響いた。SKY Fesでは子連れ客を多く見かけ、過去に楽曲を聞いていた人たちが、いまこうして親になっていることを、ミリヤ自身の状況と重ね合わせて感じたようだった。加藤ミリヤ当時の懐かしい気持ちを思い出しながら、聞いてもらえるようにと選んだ「今夜はブギーバック」「夜空」「このままずっと朝まで」「Love Forever」「SAYONARAベイベー」を、メドレーにして届けた。思い出深い名曲に、観客のテンションはMAXに。続けて新曲「No No No」を歌い、MCへ。SKY Fesと仲宗根への感謝を伝え、仲宗根と一緒に過去に作った楽曲「YOU... feat. 仲宗根泉」を披露。ステージが紫にライトアップされ幻想的な雰囲気のなか、魂がこもったふたりの歌声は、圧巻そのものだった。ラスト2曲「DEVIL KISS」「KILL MY LOVE」を、ダンスパフォーマンスとともに歌いあげ、歌姫の存在感をしっかり残した40分だった。DAY1のトリを飾るのは、沖縄出身のアーティストMONGOL800。今日イチの盛り上がりを見せたモンパチのパフォーマンスは、「あなたに」からスタート!「あーなーたーに、あいたくて」の大合唱を起こし、会場のボルテージは最高潮に。2曲目「PARTY」では、パーティダンサー・粒マスタード安次嶺(あしみね)を舞台に呼び込み、曲に合わせて踊りまくる彼の姿に、おおいに楽しんだ観客。MONGOL800次の曲「OKINAWA CALLING」でも、踊りくるう粒さんのダンスに、すっかり心をつかまれてしまった人も多くいただろう。「RUM RUM RUM」では、子どもたちも一緒に踊り、まさにみんなで楽しむ時間となった。5曲目は、想いを込めて「pray」を披露。最後は「小さな恋のうた」で、みんな一緒に大合唱を楽しんだ。アンコールには「琉球愛歌」で応えたモンパチ。エイサーの演舞とともに、沖縄ならではのパフォーマンスを届けてくれた。続けて「シャボン玉」「DON’T WORRY BE HAPPY」で、SKY Fesならではのスペシャルな時間を作ってくれたモンパチ。楽しませ上手な彼らならではの、子どもから大人まで、たくさんの笑い声と掛け声であふれるLiveとなった。今日帰る人も、そのままキャンプ泊する人も、明日も来る人も、余力を残さず最後まで存分に楽しみ、クタクタになったDAY1だった。DAY2最高気温26度と、3月とは思えない暑さのなか、来場者たちが会場へと足を急がせた。頭にSKY Fesのタオルをのせ、暑さ対策をしっかりととる来場者たち。メインステージの出演アーティストは、HY含め8組。太陽がギラギラと照りつけるなか、オープニングアクトから「HY SKY Fes 2024」最終日がスタートした。オープニングアクトは、2024年2月にデビューしたばかりの、奇才のバンドグループと期待が高い名無し之太郎。美しいピアノの音色が響くなか、林(Vo)の新人とは思えない堂々としたMCで、パフォーマンスをスタートさせた。「ドライブ」「融界」「我儘」の3曲を続けて披露。おしゃれなサウンドに、会場が確かにあたたまるのを感じた。しっかりと挨拶をする彼らの姿に、好青年の印象をもった人も多いだろう。これからの活躍が楽しみだ。名無し之太郎1組目のアーティストは、川崎鷹也。呼び込みからすでに大盛り上がりの会場。1曲目「カレンダー」での圧倒的な歌唱力に、一瞬にして惹き込まれた。続けて「愛の歌」「君の為のキミノウタ」では、やさしい音色で会場を包んだ。川崎鷹也「夢のような舞台に立てたことを誇りに思います」と伝え、代表曲である「魔法の絨毯」を披露。「28歳の若造が、きっと俺なんかより頑張っているあなたに、あえてがんばれというひとことをささげたいと思います。昨日よりも今日、今日よりも明日、1回でも多くあなたが笑えるように。明日からの未来が少しだけ豊かになるような。そんな想いを込めて」とのメッセージを添えて、5曲目「またね、ヒーロー」を届けた。最後の曲「ほろ酔いラブソング」では、手拍子とコール&レスを楽しんでほしいと、会場を最高に盛り上げLiveを終えた。深々と頭を下げ、持ってきたピックをすべて場内に投げるなど、始終観客を楽しませた川崎。彼のやさしさとメッセージあふれるステージとなった。「肝高の阿麻和利」は、HYの地元でもある、沖縄県うるま市の中高校生が出演する現代版組踊。「肝高の阿麻和利」とは、沖縄に古くから伝わる伝統芸能「組踊」をベースに、現代音楽とダンスを取り入れて、勝連城10代目城主「阿麻和利」の半生を描く、いわば「沖縄版ミュージカル」だ。肝高の阿麻和利本編2時間の演舞をショートバージョンにして、沖縄の伝統芸能を届けた。沖縄ならではのパフォーマンスに、特に県外からの来場者が喜んでくれたのは、彼らにもしっかりと伝わっただろう。子どもたちにとって、ビッグアーティストと同じ舞台に立つ経験は、唯一無二のものとなったに違いない。3組目はロックバンドMONKEY MAJIKによるパフォーマンス。1曲目「虹色の魚」でスタートしたMONKEY MAJIKのステージは、2曲目「Around The World」であっという間に会場をロックフェスの世界観へといざなった。MONKEY MAJIK続いて名曲「Change」では、自然と手拍子がうまれ、多くの観客が彼らのLiveを心から楽しみにしていたのが伝わった。そして「fly」「ただ、ありがとう」「Livin’ in the sun」の3曲を披露し、7年ぶりの沖縄でのLiveに、喜びを伝えた。そしてラストまで2曲「Together」「Safari」を歌うと、スタンディングエリアはほぼ満員状態に。ヒット曲「空はまるで」をラストに、パフォーマンスを終えたMONKEY MAJIK。多くの人が彼らの世界観を楽しみ、余韻が残るLiveとなった。スタンディングエリアを満員状態にしたまま、ラッパー/シンガーちゃんみなのLiveがスタート。今日一番の歓声が湧き上がるなか、「美人」「Picky」と、クールなパフォーマンスで魅せるちゃんみなに、会場のボルテージが爆発した。ちゃんみな「ハレンチ」ではセクシーなダンスパフォーマンスでファンを喜ばせ、4曲目「B級」を歌い終えると、MCではパフォーマンスとは違った可愛らしい顔をみせた。「涼しくしてくれる曲たちを歌ってみようかなと思います」と「サンフラワー」「Call」を続けて披露。「このSKY Fesは子どもに夢だったり、勇気を与える素敵なフェスティバルだって聞きました。みんな音楽って楽しいってこと、一緒に楽しもう!」と「Never Grow Up」へとつなげた。8曲目「You Just Walked In My Life」をポップに歌いあげ、沖縄でパフォーマンスができることにワクワクしながらふだん歌わない曲を選んだと、SKY Fesのセットリストは特別なものであることを伝えた。そして最後まで3曲「CHOCOLATE」「ボイスメモNo.5」「Angel」を力強く届けた。「沖縄楽しかったです!私のことみんなの涙だと思ってほしい。あなたが泣いてる限り、ずっと歌って踊るから、私に任せてください!」と、心強いメッセージを残し、エネルギッシュなステージとなった。氣志團によるパフォーマンスは、ドラムソロからスタートした。それぞれのイメージカラーの特攻服で登場したメンバーに、観客は大盛り上がり。「俺達には土曜日しかない」「氣志團がやって来たオラ!オラ!オラ!」「恋人」「ジゴロ13」「喧嘩上等」を続けて披露し、しっかりと会場をあたためた。MCでは、弟家族が沖縄に住んでいて、だから第2の故郷のように感じると伝えた綾小路翔。5曲目「強い気持ち・強い愛」では5人のハーモニーからイントロをスタートさせ、美しい音色で観客を魅了した。氣志團そしてみんなのお待ちかね「One Night Carnival」!続くMCではメンバーとOne Night Carnivalにまつわるコントを見せ、観客を大いに楽しませた。One Night Carnivalは2001年の曲であり、いつまでも歌っていることを反省しましたと、新曲「One Night Carnival 2024 ~PM11:00~」をタイトルコール。「One Night Carnival」とHYの「AM11:00」のマッシュアップ版を歌い、会場は大爆笑。エンターテインメントに溢れた楽しいパフォーマンスを終えた。この瞬間を待ち望んだ観客の、大きな拍手に迎えられ、沖縄県出身のラッパーAwichが登場。圧倒的な存在感で「THE UNION」「Guerrilla」「ALI BABA」の3曲を歌いあげた。「恥を捨てて一緒に楽しみましょう。そして隣にいる人が恥を捨てて楽しんでいたら、その人を祝福してあげてください。やさしい目で見守ってあげてください。そしてそのエネルギーを自分にも伝染させてください。それが私なりの美学です」Awichの魂がこもる言葉に続けて、「Bad Bitch美学」「洗脳」「WHORU?」「GILA GILA」「Remember」をメドレーで届けた。Awich彼女のパフォーマンスは、スタンディングエリアで思い切り楽しんだ方がよい。見ていて羨ましくなるほど、楽しそうな人で溢れた。そして、大切な琉球の言葉を継承し、自分なりの言葉で作ったという「琉球愛歌Remix」を、やさしい音色で聴かせてくれた。最後3曲は、SKY Fesならではの特別な演出を用意。沖縄で活動するラッパー柊人を呼び込み、「柊人-好きなこと」を披露。「RASEN in OKINAWA」では途中でCHICO が登場し、存在感のあるステージをみせてくれた。そのまま「CHICO CARLITO -Let Go feat.柊人」を圧巻のパフォーマンスで歌い、多くの観客がこの瞬間に、ここにいれたことに酔いしれたことだろう。柊人とCHICOを舞台に残したまま、SugLawd FamiliarのVanity.K、OHZKEYを呼び込み、フルメンバーで最後の曲「LONGINESS REMIX」に入ったときには、観客のボルテージが最高潮となったのはいうまでもない。この40分は、AwichからSKY Fesに参加した全員への、スペシャルなGIFTとなった。『HY SKY Fes 2024』の大トリを務めるのは、もちろんHY!観客たちが手拍子で迎えるなか、カチャーシーでメンバーが登場。3日間の大トリを思い切り楽しむ準備を万端にして、最後のLiveをスタートした。HY1曲目はキッズダンサーとともに踊りながら、新曲「明日種~アシタネ~」を披露。そして名曲「AM11:00」、楽曲の世界観に着想を得て制作される4月期放送の月9ドラマ「366日」の主題歌「366日(Official Duet ver.)」と続いた。仲宗根と新里の、オフィシャルデュエットバージョンで魅せた「366日」は、多くの人の心に響いたことだろう。「沖縄のやさしい風に包まれましょう」と4曲目「3月の陽炎」をしっとりと歌いあげ、琉球國祭り太鼓とともに「時をこえ」を届けた。沖縄民謡のように歌いあげる仲宗根の美しい声に、さっきまで盛り上がっていた観客も静かに聴き入っていた。雰囲気を一変させ、アップテンポな曲「隆福丸」へ。大人も子どもも、手拍子と大合唱とジャンプで大盛り上がりをみせた。大きな声で叫ばれたアンコールには、子どもの可愛らしい声もたくさん聞こえ、「ホワイトビーチ」で応えたHY。「これまで何百回も歌ってきたけど、最高の1回に皆さんでしませんか」との新里のメッセージに、観客もしっかりと応えた数分間だった。そして最後にAwichをサプライズで呼び込み、「ホワイトビーチ」をコラボする、最高の瞬間を迎えた。「2024年があなたにとって最高の飛躍の年になるように」とのメッセージを添えて、HYとAwichと、そして大人も子どももみんなで思い切り楽しみ、全員がひとつとなって、「HY SKY Fes 2024」は幕を閉じた。HY with AwichHYメンバーが地元沖縄で「地球と子どもたちと未来のために」できることはないかと考え、生み出されたSKY Fes。子どもたちの大きな夢やチャンス、家族みんなでつながっていく大切な時間になればというHYの思いのとおり、多くの人にとって大切な場面となったことだろう。そしてSKY Fesの魅力は、なんといってもHY自身にある。彼らの感謝を忘れない気持ちややさしさ・あたたかさが、SKY Fesに参加するたびに伝わり、すっかり好きになった人も多いはず。「いーずーは、みんなのお母さん」と、各アーティストから慕われるHY。その魅力にまだ気がついていない人は、ぜひ参加してほしい。HYを好きになり、あたたかい気持ちになれるはず。『HY SKY Fes 2025 & 前夜祭』は、2015年3月14日(金)・15日(土)・16日(日) に開催予定。次回がまた楽しみだ。なおこの3日間の模様は、2024年5月3日(金・祝) 19時から23時30分、CSチャンネルフジテレビNEXTにて独占放送されることが決定している。Text:五十嵐梨花Photo:G-KEN / 根原奉也 / 仲本潤<公演情報>『HY SKY Fes 2024 & 前夜祭』3月22日(金) ~24日(日) 沖縄・沖縄県総合運動公園多目的広場セットリスト3月22日(金)■由薫M1. CrystalsM2. RougeM3. No StarsM4. 星月夜M5. sugar■HYM1. モノクロM2. 君のうたM3. HAISAIM4. いちばん近くにM5. 明日種〜アシタネ〜3月23日(土)■冨岡愛M1. I need your loveM2. ぷれぜんとM3. グッバイバイ■HYM1. AM11:00M2. SKY■槇原敬之M1. もう恋なんてしないM2. SPYM3. 遠く遠くM4. 僕が一番欲しかったものM5. どんなときも。M6. うるさくて愛おしいこの世界にM7. 世界に一つだけの花■水曜日のカンパネラM1. ティンカーベルM2. バッキンガムM3. ディアブロM4. 赤ずきんM5. 聖徳太子M6. マーメイドM7. たまものまえM8. エジソンM9. 招き猫■スガ シカオ with FUYUM1. フォノスコープM2. 19才M3. ProgressM4. 夜空ノムコウM5. 黄金の月M6. 覚醒M7. ハチミツM8. ストーリー■DISH//M1. 沈丁花M2. Dreamer DriversM3. 勝手にMY SOULM4. 猫M5. 揺れてゆくM6. No.1M7. JUMPerM8. HAPPY■加藤ミリヤM1. Respect MeM2. メドレー(今夜はブギーバック・夜空・このままずっと朝まで・Love Forever・SAYONARAベイベー)M3. No No NoM4. YOU... feat. 仲宗根泉M5. DEVIL KISSM6. KILL MY LOVE■MONGOL800M1. あなたにM2. PARTYM3. OKINAWA CALLINGM4. RUM RUM RUMM5. prayM6. 小さな恋のうたM7. 琉球愛歌M8. シャボン玉M9. DON’T WORRY BE HAPPY3月24日(日)■名無し之太郎M1. ドライブM2. 融界M3. 我儘■川崎鷹也M1. カレンダーM2. 愛の歌M3. 君の為のキミノウタM4. 魔法の絨毯M5. またね、ヒーローM6. ほろ酔いラブソング■肝高の阿麻和利M1. ダイナミック琉球 short ver.M2. 伝令M3. 安波節M4. 伊計離島M5. 棒術M6. あまわり誕生〜歓喜M7. 肝高の詩■MONKEY MAJIKM1. 虹色の魚M2. Around The WorldM3. ChangeM4. flyM5. ただ、ありがとうM6. Livin’ in the sunM7. TogetherM8. SafariM9. 空はまるで■ちゃんみなM1. 美人M2. PickyM3. ハレンチM4. B級M5. サンフラワーM6. CallM7. Never Grow UpM8. You Just Walked In My LifeM9. CHOCOLATEM10. ボイスメモNo.5M11. Angel■氣志團M1. 俺達には土曜日しかないM2. 氣志團がやって来た オラ!オラ!オラ!M3. 恋人〜ジゴロ13M4. 喧嘩上等M5. 強い気持ち・強い愛M6. One Night CarnivalM7. One Night Carnival 2024〜PM11:00〜M8. One Night Jamboree■AwichM1. THE UNIONM2. GuerrillaM3. ALI BABAM4. Bad Bitch美学M5. 洗脳M6. WHORU?M7. GILA GILAM8. RememberM9. 琉球愛歌RemixM10. 柊人-好きなことM11. RASEN in OKINAWA(Awich & CHICO CARLITO Ver.)M12. CHICO CARLITO -Let Go feat.柊人M13. LONGINESS REMIX■HYM1. 明日種~アシタネ~M2. AM11:00M3. 366日(Official Duet ver.)M4. 3月の陽炎M5. 時をこえM6. 隆福丸M7. ホワイトビーチ(with Awich)<リリース情報>HY「366日(Official Duet ver.)」配信中※フジテレビ系月9ドラマ『366日』主題歌配信リンク:<番組情報>『HY SKY Fes 2024』5月3日(金・祝) 19:00~23:30 フジテレビNEXT ライブ・プレミアムで放送※DAY1、DAY2ライブの模様を中心にSDGsをコンセプトにしたフェスの舞台裏を追加番組公式サイト:<ライブ情報>HY 25th Anniversary TOUR9月22日(日) 沖縄・那覇文化芸術劇場 なはーと 大劇場9月28日(土) 東京・ひの煉瓦ホール(日野市民会館)9月29日(日) 東京・かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール10月12日(土) 愛知・名古屋市公会堂 大ホール10月13日(日) 静岡・焼津市大井川文化会館 ミュージコ10月26日(土) 千葉・印西市文化ホール10月27日(日) 埼玉・狭山市市民会館11月9日(土) 兵庫・神戸文化ホール 大ホール11月10日(日) 奈良・なら100年会館 大ホール11月23日(土) 新潟・上越文化会館 大ホール11月24日(日) 福井・敦賀市民文化センター 大ホール12月7日(土) 宮城・仙台電力ホール12月8日(日) 岩手・花巻市文化会館 大ホール12月14日(土) 熊本・熊本城ホール メインホール12月15日(日) 福岡・福岡サンパレス ホテル&ホール2025年1月18日(土) 香川・サンポートホール高松 大ホール2025年1月19日(日) 高知・高知市文化プラザかるぽーと 大ホール2025年1月25日(土) 山口・渡辺翁記念会館2025年1月26日(日) 島根・島根県芸術文化センター グラントワand more公式サイト:
2024年03月26日3月24日、森 大翔の2nd Tour『Mountain & Forest “愛来”』のツアーファイナル公演が、渋谷CLUB QUATTROにて開催された。昨年6月のeggman、11月のWWW、そして、今回のQUATTRO。今の森は、ひとつずつワンマンライブの経験を重ねながら、着実に動員を増やし、ライブ会場のスケールアップを進めている過程にある。まだ20歳ということもあってか、彼の変化と成長のスピードにはライブを観るたびに本当に驚かされるが、彼は今回も、前回からさらに大きく進化した姿を堂々と見せつけてくれた。順を追って振り返っていきたい。ソールドアウトとなった今回のQUATTRO公演。開演前、並々ならぬ熱気に満ちたフロアから、森の名を呼ぶコールと手拍子が自然と巻き起こった。そして、開演時間を少し過ぎた頃、会場が暗転し一際大きな歓声が上がる。オープニングを飾ったのは、インストナンバー「Mountain and Forest Theme」だ。森は、台に立ったり、ステージのフチに立ちギリギリまで観客と距離を縮めたりしながら、ライブ冒頭とは思えない凄まじい熱量のギタープレイを届けていく。歌詞のないインストナンバーではあるが、その雄弁なギターの調べを通して、彼の胸の内のエモーションが豊かな輪郭をもって浮き彫りになり、手に取るように伝わってくるような感覚を抱いた。続けて、「さぁ、始めようぜ、渋谷!」という力強い呼びかけと共に、「剣とパレット」へ。サビでは、空高く突き抜けていくような勇壮な歌に呼応するように、フロアから一気に観客の手が上がる。今回がツアーファイナルということもあり、バンドメンバーとのコンビネーションもばっちりで、いきなりクライマックスのような熱狂が会場全体を満たしていく。「ラララさよなら永遠に」では、ギターリフに合わせて、バンドメンバーと共に左右にステップを踏む一幕も。その姿から、このライブを誰よりも自分自身が楽しもうとする森の気概が伝わってきた。また、両手を大きく左右に広げながら渾身の歌声を高らかに響かせていく姿も印象的で、これは今回のライブ全編に通じることでもあるのだが、彼の楽曲が誇る壮大なスケールと伸びやかな歌声は、会場の規模が大きくなればなるほどその真価を発揮するように感じた。特に、「すれ違ってしまった人達へ」の終盤の壮大な展開は圧巻で、その圧巻のスケール感のあまり、ここがライブハウスの中であることを思わず忘れてしまいそうになったほどだ。ここで森は、開演前にフロアから巻き起こったコールについて触れた上で、「僕の心も1週間前からあんな感じだった」と胸の内の高揚と歓びを伝えた。そして、「みんな、森 大翔のブルースは聴きたいか!」というお決まりの呼びかけから「オテテツナイデ」へ。グッと重心を下げたヘビーなバンドアンサンブルの中、森が奏でるブルージーなギターが豊かな響きをもって轟く。間奏では、メンバー紹介を兼ねたソロ回しが展開され、最後は森がとびっきり鮮烈なプレイを炸裂させる。続けて、サポートギタリストのGenTiによる深いサスティンが効いたドリーミーなプレイに導かれる形で「台風の目」へ。原曲は大胆にストリングスをフィーチャーした曲だが、今回のライブでは激烈なバンドサウンドを全面的に打ち出した痛快なアレンジだ。何度も繰り返されるバンドのキメの狭間に轟く森の超絶ギタープレイは本当に圧巻で、また、ラストのシャウトにも似た渾身の歌声の並々ならぬ気迫に思わず息を呑んだ。アコースティックギターに持ち替え披露した「歌になりたい」では、最後の《この歌が届くといいな》という森の歌を受けて、フロアから温かな拍手が巻き起こった。ワンマンライブの会場としては今回が最大規模であるが、一人ひとりの観客との親密な距離感、お互いのコミュニケーションの精度は不変である。そう、強く感じた一幕だった。繊細な心の機微を的確に描きながら、同時に、昂るエモーションをダイナミックに爆発させていく「雪の銀河」も素晴らしい名演だった。中盤のMCパートで、森は、「みんな、自分にありがとうって言えてるかい?」と問いかけた。そして、「毎日闘うあなたのために新曲を持ってきました!」と告げ、フロアから大きな歓声と拍手が起きる。誰しも日々の中で、挫折することや失敗すること、壁にぶつかることがある。その上で、森は、「そんな時こそ、自分にありがとうと言う心のしなやかさが必要なんじゃないか」「僕は、自分の、みんなの、ポジティブ・ネガティブ全てに覆い被さるような音楽をやりたいです」と真摯に語り、新曲「I thank myself」を披露した。重厚なギターリフが轟くハードロックテイストの1曲で、豪快でありながら、同時に誰一人置き去りにしない温かな包容力を感じさせる楽曲だった。続けて披露された未発表曲「大都会とアゲハ」は、ロックをベースとしつつ、ソウルフルでブルージーなテイストを織り交ぜた森流ミクスチャーロックの最新型と呼ぶべき1曲で、このふたつの新曲を通して、絶え間なく変化・進化を重ね続ける森の堂々たる現在地を確かに感じ取ることができた。いよいよライブは終盤戦へ。ここで今回のツアータイトル『愛来』(「自分が好きなものを外に向かって発信することで、愛が返って来る」という意味の言葉)のもとになった楽曲「アイライ」が披露される。カラフルなライティングによってステージが彩られる中、力強い4つ打ちのビートに合わせて森を含めたフロントの3人が左右にステップを踏み、ミラーボールが回転し煌びやかな光を放ち始める。この曲は、まさに森流のフロアアンセムで、ポップなダンスフィールが会場全体に広がる中、一人ひとりの観客が自由に踊ったり、手を上げたり、手拍子をしたりする光景がとても美しかった。続く、爆裂ロックンロールチューン「最初で最後の素敵な恋だから」では、高速ビートに乗せて観客が何度もジャンプを繰り返し、さらなる高揚感と一体感が会場全体に広がっていく。そして、「熱いね〜」「“ありがとう”に収まりきらないんです、気持ちが」と胸の内の心境をありのまま伝えた後、本編最後の1曲「たいしたもんだよ」へ。今やライブ定番のロックアンセムと化したこの曲を高らかに歌い届ける堂々たる勇姿が眩しく、また、ギターソロを弾き倒す時のキラキラとした笑顔と深い充実感に満ちた表情が忘れられない。熱烈なアンコールを受け、深いディストーションの効いたギターを掻き鳴らしながらステージに再び現れた森は、そのまま渾身のギターソロを放ち始める。ヘビーメタルやブルースをはじめとした自身のルーツを色濃く投影した多彩な超絶プレイが次々と展開されていき、改めて、ギター1本で観る者を惹き込み、圧倒していく彼のギターヒーローとしての勇姿に痺れた。森は、今回のツアーについて、「みんなに進化した姿を見せたい」という想いを持って臨んだこと、毎日が闘いの日々だったことを振り返った。そして、今回のツアーにおける各ライブの経験を通して、「俺には、みんながいるって思いました」と胸の内の想いを力強く伝えた。また、今回のツアータイトル『愛来』は自分にとって新しいキーワードとなると告げた上で、「これからもみんなと交換して、エネルギー、ドラマを生んでいけたら」と語り、ラストナンバー「いつか僕らは 〜I Left My Heart in Rausu〜」へ。森は、終盤の《"今"がこんなにも愛おしくなる》という歌詞を歌う時に自らが立つステージを力強く指差していて、その些細な仕草から、彼にとってライブの場がいかにかけがえのないものであるかが確かに伝わってきた。次のライブは、森の21歳の誕生日である6月9日に開催される渋谷WWW X公演『A day of YAMATO 69/24』だ。ギタリストとして、ソングライターとして、そしてシンガーとして、凄まじいスピードで進化し続ける彼の歩みから、引き続き目が離せない。Text:松本侃士Photo:関口佳代<ライブ情報>森 大翔LIVE『A day of YAMATO 69/24』6月9日(日) 東京・WWW X開場16:00 / 開演17:00■オフィシャル先行受付:4月2日(火) 23:59まで()公式サイト:
2024年03月25日3月17日、DKZのジョンヒョン・ミンギュの2名からなるユニットNINE to SIX(読み方:ナイントゥシックス)がユニットとしては初の来日公演となるショーケースライブ『2024 NINE to SIX GOOD TO YOU ‘SHOWCASE TOUR in TOKYO』を開催しました。NINE to SIX_1NINE to SIX_2ジョンヒョンとミンギュは、ビビッドなピンクとグリーンのパンツに黒のジャケットをあわせた華やかな衣装で登場し、1stシングルアルバムである「GOOD TO YOU」のタイトル曲「Don’t Call Me」を披露。ファンからのコールと大きな歓声を聞いて、メンバー2人もパフォーマンス中に時に笑顔を見せながら、あっという間に会場に一体感が生まれました。トークコーナーでは1stシングルアルバムのコンセプトに合わせて、会社員は避けて通れない「入社テスト」、MZ世代が切望する「定時退勤」をコンセプトにしたクイズに流暢な日本語で質問に答えていく姿を見せました。「日本語は日本のドラマを見て学んでいる」というメンバー達は、次々と正解を導き出し全問正解!ファンたちへの沢山のプレゼントを獲得しました。続いて披露した「Nod」のクールな姿から一転、マリンスタイル風なトレーナーとハーフパンツをあわせた衣装に着替えた後、星野源の「恋」のカバーパフォーマンスをサプライズ披露。楽曲の途中では、可愛らしい天使の羽根を背負って、見事な恋ダンスを踊ってみせ会場の温度は最高潮に。「曲の歌詞でNINE to SIXらしさを表現でき、とても幸福感を感じられる曲」と語りました。メンバー2人の掛け合いの振り付けが楽しい「Digital Love」の後、ステージ終盤の挨拶では、会場を訪れたファンに対して感謝の気持ちを語るとともに「次はDKZのメンバー全員で日本に来ます!」と宣言。歓喜の声が湧き上がった。NINE to SIX_3NINE to SIX_4アンコールではDKZの楽曲である「Universe」とともに舞台に再登場。続いて最後に披露した「Complete Me」では、沢山のファンと目を合わせながら心を込めて歌う二人が印象的でした。最後までファンと一緒に舞台を楽しみ、感謝を伝え合う温かい雰囲気でショーケースを締め括りました。NINE to SIX_5◆公演概要タイトル:『2024 NINE to SIX GOOD TO YOU ‘SHOWCASE TOUR in TOKYO』日時 :2024年3月17日(日)1部 OPEN13:00/START14:00 2部 OPEN18:00/START19:00会場 :BASE GRANBELL(ベースグランベル)出演 :NINE to SIXMC :NICE73オフィシャルスチールコピーライト(C)Lapis Lazuli co.,Ltd.■DKZ 公式X ■DKZ 公式YouTube 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年03月25日ロッド・スチュワートの約15年ぶりとなる来日公演が2024年3月20日、東京の有明アリーナにて開催された。この3日前にはシンガポール公演、5月にはヨーロッパツアーも予定されており、今年もサー・ロッドは絶好調!と思いきや、このアジア&ヨーロッパのツアー・タイトルは【One Last Time】(最後にもう一度)と銘打たれており、これが最後の来日公演になるのでは、といわれている。毎年恒例となっていたラスヴェガスでのレジデンシー公演【The Hits】も、14年目となる今夏でファイナルを迎えることが発表されており、さすがのスーパースターもキャリアを折り畳む時期が来たのか、と寂しい思い。数年前には大病も経験しているし、果たして本当に元気な姿を見られるのだろうか。奇しくも東京公演当日は、開演が近づくにつれ空が荒れ模様に。水も滴るいい男?それとも最後の来日を悲しむ涙雨か。約15年ぶりの来日公演とあって、有明アリーナは開演前から熱気に包まれる。メインアリーナに大きなステージが組まれ、後方の巨大スクリーンには3月にリリースしたばかりのニューアルバム『スウィング・フィーヴァー』(ジュールズ・ホランドとの共作)のジャケットが、その両サイドにはロッドがブレンドしたウイスキー『ウルフィーズ』の瓶がデカデカと映し出され、スティーヴィー・ワンダーやダイアー・ストレイツといったアップテンポなBGMに会場のテンションも自然と高まっていく。定刻を少し過ぎた頃、まずはステージにドラマーとキーボーディストが登場。ロッドの愛するスコットランドのサッカークラブ、セルティックFCのチャント(応援歌)でもあるデペッシュ・モード「Just Can’t Get Enough」にあわせて手拍子を煽り、会場がひとつになったところで、突然大音量で「Scotland the Brave」がカットイン。これはロッドのルーツであるスコットランドの非公式国歌で、フィドルやバグパイプの響きに否応なしに感情が高ぶる。13人のバンドメンバーが揃ったところで、フェードインするように「Infatuation」イントロがスタート、会場のボルテージは最高潮に。笑ってしまうくらい完璧な演出と共に、いよいよサー・ロッドが登場!開演前の心配はどこへやら、ゼブラ柄のジャケットにマレットヘアーをばっちりキメたハイテンションなロッドの姿に、まずは一安心。2曲目はフェイセズ時代の名曲で、ソロアルバムでも取り上げている「Ooh La La」。直前のシンガポール公演ではセットリストから外れていたので嬉しい驚き。スクリーンには若き日のフェイセズのメンバー達が映し出され、思わず涙。かつてはロニー・レーンの高額な医療費をロン・ウッドとともに密かに払い続けていたというし、フェイセズとの変わらぬ絆を感じる感動のシーンだった。思えば、オープニングナンバーの「Infatuation」の録音には昨年亡くなったジェフ・ベックが参加していたし、「I’d Rather Go Blind」の前には2022年に亡くなったフリートウッド・マックのクリスティン・マクヴィー(マクヴィーはチキン・シャック時代に同曲をカヴァー)を、ライヴ終盤の「It Takes Two」ではデュエットパートナーだったティナ・ターナーをスクリーンに投影するなど、この世を去った仲間たちへの愛に満ちたセットリストだったように思う。御年79歳ながら、ロッドのセクシーなハスキーボイスとステージパフォーマンスは健在。マイクスタンドを蹴り上げたかと思えば、アイズレー・ブラザーズのカヴァー「This Old Heart of Mine」ではステージドリンクを飲みながらヒップダンスを披露。「Forever Young」ではついにジャケットを脱ぎ捨て、会場はヒートアップ。お待ちかねの「Maggie May」では、ギタリストがイントロを失敗してロッドにツッコミを入れられるという一幕も。バンドメンバーたちとの良い関係が垣間見える貴重なシーンだった。そう、このバンドがとにかく素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。ドラム、ベース、ギター2本、サックス、キーボード、パーカッション、ハープ兼パーカッション、コーラス隊3名、フィドル兼バンジョー、フィドル兼マンドリンの大所帯。ハープとフィドルがいることからも分かるように、ルーツであるスコットランド民謡のフレーバーを感じるサウンド。前回の来日公演では休憩時間が挟まれたというが、今回はぶっ続けの120分。「I’m So Excited」や「Lady Marmalade」など、彼らにステージを任せてロッドが袖に下がり衣装替えを行うシーンも何度か見られたが、演奏力の高さで会場のテンションを保ち続けた。ソロの度にバンドメンバーを称えるロッドの姿が印象的だった。程よい休憩が挟まれたこともあってか、ロッドもライヴ終盤まで元気そのもの。「You’re in My Heart (The Final Acclaim)」では「君たちにも関係の深い曲なんだよ!」と紹介があり、スクリーンにはセルティックFCのエース、古橋亨梧選手のゴールシーンが映し出される(同曲の歌詞にセルティックが登場するため)。お馴染みのサッカーボールのパフォーマンスこそなかったものの、「It Takes Two」ではドラムとキーボードが設置された台に登って熱唱、「Some Guys Have All the Luck」では華麗なサイドステップを見せ、ラストは7分を超えるロングバージョンの「Do Ya Think I’m Sexy?」を観客全員で大合唱。アンコールの「Sailing」では、ロッドとコーラス隊がキャプテンハットを身に着け再登場、スクリーンには大海原を行く船が投影され、ロッドがこれまで歩んできた長く深いキャリアを思わせる。これで感動の締めくくりかと思いきや、間髪入れずにチャック・ベリーの「Sweet Little Rock’n’ Roller」。アップテンポなロックンロールナンバーで、ロックスターらしくラストを飾った。セットリストの半分がカヴァー曲だったが、それを感じさせないのはロックからソウル、リズム&ブルースまで歌いこなす歌手としての力強さゆえだろう。中でも「I’d Rather Go Blind」の歌唱は圧巻の一言。90年代までのロッドにはどうしてもトレンドセッターのイメージが付きまとうけど、【ザ・グレイト・アメリカン・ソングブック】シリーズ以降は「歌いたい曲を歌う」ことで、シンガーとしての地位を確固たるものにした。選曲に、歌唱に、バンドの演奏に、そんなロッドの魅力が詰まっていた120分間。何より、80歳を目前にして、数万人の観客を楽しませ続ける生粋のエンターテイナーぶりには脱帽。ライヴ中、時折スクリーンに映されていた「Are you Enjoying yourselves? We are!」(楽しんでるかい?俺達は楽しんでるぜ!)のメッセージを胸に刻んで、なるべく人生を楽しんで生きていきたいと思う。サー・ロッド、最後に素晴らしいライヴをありがとう。でも心のどこかで、また会えるんじゃないかと信じています。どうか末永くお元気で!文=谷口雄撮影=古溪一道<公演情報>ロッド・スチュワート『One Last Time』3月20日(水) 東京・有明アリーナ【セットリスト】01. Infatuation02. Ooh La La03. This Old Heart of Mine04. It’s a Heartache05. Forever Young06. Have You Ever Seen the Rain07. Baby Jane08. First Cut Is the Deepest09. Maggie May10. Passion11. I’d Rather Go Blind12. Young Turks13. Downtown Train14. I’m So Excited15. I Don’t Want to Talk About It16. You’re in My Heart17. Have I Told You Lately18. Lady Marmalade19. It Takes Two20. Some Guys Have All the Luck21. Do Ya Think I’m Sexy22. Sailing23. Sweet Little Rock’n Roller<リリース情報>『Swing Fever / スウィング・フィーヴァー』発売&配信中『Swing Fever』ジャケット【トラックリスト】01. Lullaby Of Broadway02. Oh Marie03. Sentimental Journey04. Pennies From Heaven05. Night Train06. Love Is The Sweetest Thing07. Them There Eyes08. Good Rockin’ Tonight09. Ain’t Misbehavin’10. Frankie And Johnny11. Walkin’ My Baby Back Home12. Almost Like Being In Love13. Tennessee Waltz購入リンク:オフィシャルサイト:
2024年03月25日超満員、札幌ドームの広々とした会場。今か今かと沸き立つ開演前から興奮状態のオーディエンスたち。ステージにはメタリックに輝く山のごとく散乱したアーティスティックに非対称のLEDモニター。両端には超巨大なLEDスクリーンが設置。客電が落ち、まずスクリーンに浮かび上がったのは注意書きとしてのWARNINGインフォメーションだった。“われわれはぶっ飛んだ演奏をします!”という開会宣言。冒頭、オープニング映像から、一気に「SPECIALZ」がスタート。TVアニメ『呪術廻戦』「渋谷事変」オープニングテーマとしても知られる世界的なヒットチューンだ。非日常のロック空間へと温度が急激に変化していく会場。勢いそのままに「一途」でギアをフルスロットルへ。デジタルロックにニューアレンジが施された「千両役者」、炎がステージに無数に瞬き、重厚なビートが繰り出されていく。さらに、怒涛の凄まじい展開が爆裂する「STARDOM」へと駆け抜けていく。映像転換後、柔らかな雰囲気の「MIRROR」から、ヒット曲「CHAMELEON」を披露。鬼才常田大希によるボコーダーによるラップが、妖しくも神々しい絶妙なる雰囲気を醸し出す。ボーカリスト井口理のハイトーンなエンジェルボイスと溶け合うドープな世界観だ。それにしてもKing Gnuはドームという巨大なライブ空間が似合う。そして、ビートはそのままにアブストラクトな「DARE??」から「Vivid Red」へとつないでいく。ここで誰もが知る国民的ヒットチューン「白日」で繰り広げられていくのは、淡いモノクロームなシルエットの世界観。常田によるギターソロのフレーズが今日は特にエモーショナルだ。井口が優しい表情でオーディエンスへ向けて「King Gnu、5大ドームツアー、ファイナルへようこそ!!楽しんでる?配信も合わせて計12万人ぐらいの人が観ているんじゃないですか?今日は、祭りといこうか。この後もよろしくお願いします!」と、意気揚々に語り出した。井口理ストリングスのメロディーそのままに「硝子窓」へと移行。メロウなるままにとつとつと歌い上げる井口。ボコーダーを通した常田のコーラスが耳に深く残る。ここで、最初期のナンバー「泡」を披露。アブストラクトなサウンドがドープに響き渡り、レーザーが深海を漂うように淡く揺れていく。常田による歌声によって引っ張られ、メロウにたゆたう「2 Μ Ο Я Ο」。“この時がずっと続きますように”、と歌い上げていく井口と常田。まさにそう思う瞬間だ。後半だんだんと、ドラマー勢喜遊によるビートが高まり、そのまま「Vinyl」へ突入。クリエイティブ集団PERIMETRON製作によるミュージックビデオのインパクトが強い、King Gnu飛躍のきっかけとなった2017年のナンバーだ。新井和輝によるベースが踊るようにブンブン唸っている様が気持ち良い。さらに常田のギターソロが吠えまくる。途中、一拍置いて、井口によるキーボードフレーズをきっかけに、大きな盛り上がりへと突入していく様は鳥肌ものだった。勢喜遊火花がステージより上がりまくり、常田による低音ヴォイスからはじまった「W●KAHOLIC」。続いて、「):阿修羅:(」によるアッパービートで盛り上がっていく展開へ。この日最高潮ダンサブルチューンの登場だ。ベーシスト新井が、ビートに溶け合い笑顔で揺蕩うようにキーボードを奏でる様が微笑ましい。“この人生たった一度きり”歌い出しの、常田によるフレーズが胸に響く。幾千ものレーザーと炎が飛び交う会場。中盤、常田によるギターソロ以降の、生演奏でのエモーショナルな展開がスペシャルな時間だった。煌びやかな「δ」を経て、メロウかつポップな展開で繰り広げられていくシアトリカルな「逆夢」へ。ここでも常田のギターが吠える。そして、井口の歌声に優しく添い遂げる常田のコーラス。ラスト、会場中に井口の「センキュー!」の声が響き渡った。泣きメロチューン「IKAROS」では、放射される照明の美しさと呼応するかのような、まるで天界からの視点のように魂が蕩けていく極上の展開へ。ここで、“WAKE UP”のサンプリング・ボイスがリフレインし、常田が拡声器を片手に会場中を煽りまくる「Slumberland」。勢いそのままに、井口の「まだまだ行こうぜ!」というメッセージとともにポップロック「Sorrows」へと傾れ込んでいく。新井が、ステージ前方で座りながら弾きまくる姿が印象的だった。途中、常田が「札幌!!」とシャウトし、大いに盛り上がる会場。ここで、トドメを刺すがごとくハイテンション・ナンバー「Flash!!!」をドロップ。照明も音圧もこれまで耳にしたことがないほどの最高潮の盛り上がりへ。幾多の壁を突き破り乗り越え、どこまでも大きくなっていくKing Gnu。それにしても、会場にはいったい幾つのレーザーを用意してあるのだろう?これまで体験したことのない、とんでもない光景だ。ここでMC、「いい感じだよね?」と井口が言えば、阿吽の呼吸で「いい感じです」と答える元同居人の新井。井口が、「札幌久しぶりだよね?たぶん2,3年ぶり。これはいい千秋楽の予感がしてきたぞ〜。えっとですね。もう後半なんです。もうね、せっかくなんで今日は最終日なんで。この後、アジアツアーもやりますけど、来れないでしょ?」会場に沸き起こる笑い。「今日はみなさん、ほんとにラッキーだからね。楽しもうよ。なかなかアルバム出さないバンドだから。今日は特別に全部出し切って帰りましょう。よかったら歌ってくださいね!!」と、軽快にはじまったポップチューン「BOY」。会場の巨大LEDスクリーンには「BOY」を演奏する、扮装もそっくりなKing Gnuキッズの演奏がシンクロする。優しく高揚していくキャッチーなサウンドによって至福な空気感が会場中に拡散されていく。中盤、常田によるポジティビティーに富んだギターソロも素晴らしかった。終盤、キッズ井口(!?)が、左手を掲げラストを迎えていく。好感度大、ナイスな映像とのシンクロ演出だった。「大合唱しよう!」と井口による声かけではじまった「雨燦々」。さらに拡がっていく絵も言われぬ高揚感。中盤、ドラムとベースを赤裸々に魅せていくロッキンな展開がたまらない。会場中のオーディエンスが手を左右に振る姿。新井和輝続いて、神々しいストリングスによって「仝」が響き渡る会場。ステージに聳える山のようなミラーの瞬きとともに「三文小説」がはじまった。サビパートで、天井から真っ直ぐ光のタワーのようにライトが降り注いだシーンは、まさに鳥肌ものだった。そして、赤い照明が放射され、常田によるピアノフレーズが響き渡る。神々しい井口によるハイトーンのボーカリゼーションの美しさに立ち尽くすオーディエンスたち。気がつけば、ステージの左右に設置された巨大LEDにはスタッフクレジットが流れていた……。そう、あっという間のライブ本編だった。いや、濃密すぎて時間の感覚が狂ってしまったのかもしれない。濃厚だけど、本当にあっという間な感覚だったのだ。ステージに目を向けると、手を振りながら去っていくメンバー。まさしく大団円。LEDスクリーンにはツアータイトルのロゴが映し出されていた。鳴り止まない拍手と歓声。誰ともなく、客席ではスマホライトが瞬く間にたくさん照らされ、会場中に数万のあかりが灯されていく美しきワンシーン。メンバーが再びステージにあらわれた。井口が、「アンコールありがとう!ずっと舞台袖で聴こえていたよ。5大ドーム、たぶん!?完走できるよね。力貸してくれますよね?あれだよ、俺たちが5大ドームするってソニーの人たちも誰も信じてなかったからね。たぶん、信じてくれたのはみんなだけだったよ。一緒に歌いましょう!」とメッセージ。常田がギターをつま弾きながら、アカペラ風に歌いはじめる井口。数万人のドーム会場だが、一対一の距離感という気持ちの近さを築き上げた信頼できる関係性、その群れは大きくなり、手拍子でビートを刻みはじめたオーディエンスたち。みんなの心はひとつ。そして、メンバーは青いライティングがクールなKing Gnu初のCDシングルとなった「Prayer X」をプレイしていく。続いて、勢喜による「ワン・ツー、ワン・ツー・スリー・フォー!」の大声カウントからはじまったパンキッシュなロックチューン「Teenager Forever」。ステージ上で微笑み合うメンバーの笑顔が嬉しい瞬間だ。「最後に1曲、“この時代に飛び乗っていこうぜ!”ってことで。最後に1曲楽しもうぜ!」と、解き放たれたラストナンバーは重厚なビートでロックする「飛行艇」。でかい会場に似合う楽曲をと、生み出されたライブチューンだ。ステージではこれでもかと炎が噴射されていく。この瞬間がずっと続いてほしい、誰もが心の奥底から願ったことだろう。しかしながら、エンディングを迎えていくステージ。タオル片手に常田が「ありがとー!」と挨拶。ステージ前方に4人が並んで頭を深々と下げ手を取り合いながらライブは終了。常田のギターがステージに残され、フィードバックノイズが余韻としてサスティーン……。会場中に響き渡っていた。常田大希国内公演をすべて完走した、バンド史上最速での実現となった5大ドームツアー。誰も見たたことがない凄まじい景色をKing Gnuは魅せてくれた。そして、King Gnuは4月6日よりアジア諸国4都市7公演を巡る未知の体験となる初のアジアツアーへと踏み込んでいく。そう、ヌーの巨大な群れはついに日本を飛び出していく。新たなシンパを広げ続け、セレモニーという名の宴はまだまだ終わらないのだ。Text:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)Photo:Tomoyuki Kawakami<公演情報>King Gnu Dome Tour『THE GREATEST UNKNOWN』3月23日(土) 札幌・札幌ドームセットリストM1. SPECIALZM2. 一途M3. 千両役者M4. STARDOMM5. MIRRORM6. CHAMELEONM7. DARE??M8. Vivid RedM9. 白日M10. 硝子窓M11. 泡M12. 2 Μ Ο Я ΟM13. VinylM14. W●RKAHOLICM15. ):阿修羅:(M16. δM17. 逆夢M18. IKAROSM19. SlumberlandM20. SorrowsM21. Flash!!!M22. BOYM23. SUNNY SIDE UPM24. 雨燦々M25. 仝M26. 三文小説M27. ЯOЯЯIMEN1. It’s a small worldEN2. Prayer XEN3. Teenager ForeverEN4. 飛行艇公式サイト:
2024年03月25日3月20日に1stアルバム『Parade』をリリースしたBMSG所属の8人組ダンス&ボーカルグループ・MAZZELが、3月21日、西武新宿PePe広場前にて、発売記念イベントを開催した。当選した1,000人のファンの前に、メンバーがサプライズ登場!新曲「ICE feat. REIKO」のミュージックビデオ先行上映と、メンバーによる『Parade』制作秘話のスペシャルトークを繰り広げた。19時になると、新曲「ICE feat. REIKO」のミュージックビデオが新宿ユニカビジョンにて放映スタート。「ICE feat. REIKO」はBMSG所属のソロアーティスト・REIKOが参加した、MAZZELにとって初めてゲストボーカルを迎えた楽曲。MAZZELがプレデビュー時からタッグを組んでいる韓国の映像プロダクションチーム・MOSWANTDが監督を務めたミュージックビデオは、これまでの映像と一味違うシックで艶やかなテイストに仕上がっている。MAZZEL初の「椅子を使ったダンス」は、Oguri(s**t kingz)がコレオグラフを手がけた。ミュージックビデオの放映が終わり、MCの「なんとこの会場にメンバーの皆さんが来てくれています!」という言葉で大歓声が上がる中、8人がステージに登場。それぞれがアルバム『Parade』収録曲にまつわる秘話を披露した。まずは表題曲「Parade」についてTAKUTOは「主にダンスの部分をよく考えて挑みました」とコメント。SEITOのブレイクダンスがユニカビジョンで流れると、「まさかこんなところで僕のブレイキンが流れちゃうとは」とはにかむSEITO。ラップが得意なRYUKIは「社長(SKY-HI)からラップを音符で捉えることを教えてもらって、ラップも歌だと意識するようになった」、ダンサー出身のRANは「歌もダンスも、音楽を通して身体で表現するという共通点がある。音楽に言葉を乗せて自分を表現する楽しさに気づいた」と、アルバム制作過程での意識変化を語る。KAIRYUは「ICE feat. REIKO」を特にお気に入りの1曲として挙げて、なんとその場でサビをアカペラで歌唱。作詞に携わったEIKIは「Love Letter」について「かっこつけないことや、飾らないことを意識しました」と語り、NAOYAとHAYATOは「Parade」のミュージックビデオ撮影時に考案した衣装や小物のこだわりについて話すなど、メンバーそれぞれの魅力と多面性が見えるトークを繰り広げた。続いては、HAYATOが作った「Parade」の手振りダンスを会場に集まった人たちへレクチャー。そして1,000人のファンとともにダンス動画を撮影した。最後はRYUKIがファンへ感謝を伝えたうえで、「今歩いてる方も、悔しいことや苦しいことがあったときは僕たちの音楽を聴いたら絶対に幸せになれるので、MAZZELに注目してください!」と新宿の通行人にもメッセージを送り、イベントを締めくくった。なお、本イベントで先行公開された「ICE feat. REIKO」のミュージックビデオは、現在MAZZELのYouTubeチャンネルにて公開中だ。Text:矢島由佳子■Oguri(s**t kingz/「ICE feat. REIKO」MVのコレオ担当)コメント「冷たいけど熱い」そんな氷の持つ2面性を意識して、クールでセクシーなパフォーマンスと、内側にある燃えるような情熱を混在させるように意識しました。MAZZELという氷をREIKOが溶かして行き、様々に形を変えながら最後はひとつになる。そんな振り付けになっています。MAZZEL「ICE feat. REIKO」MV★MAZZELが表紙&裏表紙をジャックした『ぴあMUSIC COMPLEX (PMC) Vol.31』発売中!詳細は こちら()<リリース情報>MAZZEL 1st Album『Parade』発売中MAZZEL『Parade』通常盤ジャケット【CD収録内容】01. Parade02. Carnival03. K&K04. Waterfall05. CAME TO DANCE06. LIGHTNING07. Fire08. Ain’t no fun09. Fantasy10. 1st Date11. Holiday12. ICE feat. REIKO13. Love Letter14. Vivid15. MISSION (Re-recorded)購入リンク:<ツアー情報>MAZZEL 1st One Man Tour 2024 “Join us in the PARADE”6月1日(土) 福岡・福岡市民会館OPEN18:00 / START19:006月5日(水) 北海道・Zepp SapporoOPEN17:30 / START18:306月8日(土) 香川・高松 festhalleOPEN17:30 / START18:306月15日(土) 宮城・仙台 GIGSOPEN17:30 / START18:306月18日(火) 愛知・愛知県芸術劇場大ホールOPEN17:30 / START18:306月22日(土) 大阪・大阪国際会議場 メインホールOPEN17:30 / START18:306月23日(日) 大阪・大阪国際会議場 メインホールOPEN16:00 / START17:006月28日(金) 新潟・新潟LOTSOPEN17:30 / START18:307月4日(木) 東京・東京ガーデンシアターOPEN17:00 / START18:30公式サイト:
2024年03月22日3月8日(金) に東京キネマ倶楽部で、a flood of circleと金属バットによるツーマンライブ『KINZOKU Bat NIGHT at 東京キネマ倶楽部』が開催された。これまでにも2021年に京都は磔磔、2022年に大阪はなんばHatchでも開催されてきたが、今回はニッポン放送プロデュースで遂に東京でも初開催された。開演時間になり、舞台下手にある階段と繋がった金のカーテンからfloodのメンバー4人が現れて、ゆっくりと階段を降りて登場する。何気ない場面だが、それだけで絵になってしまう。お茶割りを持つ佐々木亮介は少し呑み、いつもの「おはようございます。a flood of circleです」という枕から、もちろん1曲目はイベントタイトル由来でもある「KINZOKU Bat」からスタート。緩やかに入りながらも、「ぶちのめしてくれ~!!」という佐々木のシャウトはインパクトしかない。a flood of circle続く「ミッドナイト・クローラー」で一気にボルテージが上がり、拳を突き上げる観客たち。「ハイテンションソング」は、その名の通り、ハイテンションにならざるをえないソング!予想以上に序盤からぶちあげていく。「KINZOKU Bat NIGHT、謎のイベント。別に意味は無いイベント」佐々木は、そう吐き捨てるが、金属バットが東京では単独公演をやる気がない事、東京のイカれたラジオ局に誘われた事など、節を付けながら丁寧に明かす。そこから金属バットがMVに出演した事が話題にもなった「如何様師のバラード」では、佐々木が観客フロアに降りて、ただただ突き進みながら歌っていく。観客たちが佐々木のマイクケーブルを必死に両手で持ち上げながら見守る姿は、全員でライブを支えている様にも見えて胸が熱くなる。歌い終わり、「紹介します!金属バット!」と佐々木は言って下手袖にはける。floodのメンバーがはけ終わらぬタイミングくらいで、舞台下手にある階段と繋がった金のカーテンから金属バットふたりが現れて、ゆっくりと階段を降りて登場。小林圭輔は「落ち着きましょ!」、友保隼平は「ちょっとやりにくいな!」と恥ずかしそうに苦笑いを浮かべる。生配信されているから、パッと思った事を言えないと言いつつも、まぁまぁギリギリの言葉で攻めてくるのも堪らない。金属バット「如何様師のバラード」MVでの演技が棒だった事などに触れて、怖い話の漫才へ。廃病院・廃工場・メガドライブなどのキラーワードと共に、ケミカルホラー・納税ホラー・サバイバルホラーなど繰り広げられるが、2022年のHatchをデジャブさせる小林のネタ飛ばしもあり、より盛り上がる。これぞ生の舞台。漫才の終盤になって気付いたが、友保がジャケットの下に、「如何様師のバラード」MVをアメコミ化したイベントTシャツを着ていた。さり気ないコーディネートが何ともニクい……。先程と同じくふたりは下手袖にはけて、floodの4人が舞台下手のカーテンからゆっくりと登場。「やりにくいな」とつぶやきお茶割りをあおる佐々木。「ロックとお笑いの融合なんて1mmも考えていない。どうでもよくて。(金属バットを)好きなだけで。早めに唾をつけていたら色んなバンドと浮気していて。こっちが一途なだけで。a flood of circleを捨てる様な事があれば、みなさん言って下さい、“くたばれ!”と!」で、鳴らされたのが「くたばれマイダーリン」。激しくて……、格好良くて……。これを融合と言わずして、何と言うと想うし、言うまでも無く巷に溢れたロックとお笑いの融合なんていう言葉で収まりきらないのもわかっているし、兎にも角にもa flood of circleと金属バットという存在それぞれが威風堂々と聳え立っている。「お笑いのファンじゃない、金属バットのファン。『~NIGHT』みたいなビッチみたいなとこは無い」そう断言した佐々木。金属バットが好きだから連絡しただけであり、このイベントを定期的に考えてもいないという。今回もラジオ局の担当者による諦めない熱望で開催されたとも話す。照れ隠しなのか、金属バットは営業のひとつにしか考えてないはずと言っていたが、そんな訳がない事もわかりきっている。だって、3度も既に開催されているのだから。何が最高かって、熱い話をした後に、当たり前ではあるが熱いライブをぶちかましてくれる事。それも新曲が一番格好良いという事を「冬の終わり、マウンテンデュー、一瞬について」で証明してくれる。「もう1回紹介します!金属バット!」と佐々木は言って、下手袖にはけて、金属バットの2人が舞台下手にある階段と繋がった金のカーテンから現れて、ゆっくりと階段を降りて登場。このシチュエーションは何度観ても痺れる。「愛重かったなぁ(笑)。一個の営業として来てないねんけどな。愛足りへんかったかなぁ」と友保が言えば、小林は「“あなたが一番です”と言うわと」と返し、友保は「“言わせんな馬鹿!”と言うわ」と締める。2021年の磔磔から観ているが、明らかに2組の関係性が強固になっている。そこから大雨の日の田んぼの話から海に流されて人魚に助けられた漫才へ。魚たちとの海のゲーム・南港ニュートラム・ATCといったキラーワードから、「最後のネタになります」と次のネタへいこうとする。観客から「え~!?」と声があがるも、畳みかけるかの様に、大阪交通安全カルタという超キラーワードが炸裂するネタへ。何度も書いている素敵なシチュエーションを経て、floodこの日3度目のライブ。金属バットのネタが次の新たな段階へといっていると話して、新曲「キャンドルソング」へ。とにかく金属バットの漫才からライブへいく流れが無駄一切無く削ぎ落されて、その上で研ぎ澄まされている。「好きなものを集めているんですよ。金属バットとか、奈良美智さんとか」何も難しい言葉はいらない、結局やりたい事をやり貫いているだけ。我がままだと佐々木は言ったが、その我がままは何も間違えてないし、立派な生き様である。「8月12日日比谷野外音楽堂に全てを賭けますから来てください」そして、「俺の夢を叶えるやつは俺しかいない俺は行くいつもの道をRock ‘n’ Roll」と歌い出して、「月夜の道を俺が行く」へ。凄いスピードで駆け抜けていくロックンロール……。ラストナンバーは「本気で生きているのなら」……、これ以上、何を言う事があるだろうが……。無論、アンコールの拍手は鳴りやまない。そして、再登場したのは、まさかの金属バット!友保はお茶割りをぐいっと呑み、アンプの上へ置く。小林も「俺らでいいんか?!」と困惑している。CMをネタにした短めの漫才をコンパクトながらも、とてつもないインパクトを与えて披露していく。金属バットが袖にはけて、floodが再登場して、佐々木は今日万が一アンコールがあったら、半分は金属バットだと考えていたので、短いネタがあるかを確認していたという。「“じゃあ、また、いつかやります”とか、そういう事は言わないです。あるかわからないし。ただ、まぁ、俺がフラれなければ!死ななければ、みんなが」そう言って歌われた「ゴールド・ディガーズ」は決意表明の様だった。アンコールラストナンバーは、オープニングナンバーと同じく「KINZOKU Bat」。同じ曲なのに、最初と最後に聴くと、聴こえ方が違う。熱情の込め具合は同じだが、飛び散り方が違うというか……。「ハートがばらばらに散らばってもやるしかないんだからぶちのめしていけぶちのめしていけ」この歌詞が頭にこびりついて離れない。やるかやられるかという凄みありすぎる対バンを魅せつけられた……。「金属バットに東京で単独公演をやれって、みんなで言ってもいいんじゃない?」最後まで佐々木はクールで、そう言い残して去っていった。観た人間全て余韻が冷めない夜……。取材・文:鈴木淳史Photo:Viola Kam (V’z Twinkle)<配信情報>『KINZOKU Bat NIGHT at 東京キネマ俱楽部』アーカイブ期間:3月24日(日) 23:59まで販売期間:3月24日(日) 21:00まで()
2024年03月19日2022年に本格始動した、チケットぴあが若手バンドを応援するライブハウス企画『Grasshopper supported by チケットぴあ』。早くもvol.22となった2024年3月3日(日)の渋谷Spotify O-nestには、滋賀からからあげ弁当、福岡からジ・エンプティ、そして静岡からAtomic Skipperが集まり、全力で生きる人を勇気づける一日を作った。からあげ弁当まずは滋賀から、一度聞いたら名前を忘れない3ピースロックバンド・からあげ弁当が映画『トイストーリー』でお馴染みの「君はともだち」に合わせて登場した。昨年8月に関西で開催された『Grasshopper WEST vol.1』にも出演した時は、思うようなライブができなかったという彼ら。今回は地域を超えてのリベンジマッチだ。2022年は10本のライブをこなしたと思ったら2023年は36本と活動ペースを上げ、活動開始3年目となる今年は既に大型フェス『VIVA LA ROCK 2024』への出演も決まっている。期待の新人を応援するイベントのトップバッターにぴったりだ。ライブアンセム「チキン野郎」から始まり、続けて昨年リリースした1stフルアルバム『I am hungry』から「バカ野郎」と続く。助走はなく、最初から全速力の演奏に引き込まれる。続いて焼きそば(Vo / Gt)のしっとりとしたアカペラで始まったのは「ベルロード」。疾走感の中にも繊細さが垣間見えるこーたろーのドラムフレーズに反応するファンも見えた。楽曲を聴き込んでいるに違いない。このバンドは既に誰かの一番になっているんだ。バラード「ミサンガ」に続いてフロアを揺らしたのは、からあげ弁当始まりの曲「街を走る」。サビで「行けるか!」と焼きそばが煽ると、フロア後方まで手が上がる。そして即興で披露された春貴の唸るベースとドラムのセッションに釘付けになっていると、いつの間にか焼きそばがTシャツを脱いでいた!腹筋の上にデカデカと書いてるのは「魂」の文字。この日一日にかける本気が伝わった。そのまま「乾杯しよう」で盛り上げる。「ガーっと人生がよくなるような曲やないかもしれんけど、お尻をグッと持ち上げるような音楽はできる力があると思ってます。今日は3バンド、楽しんで帰ってください!」MCに続いて披露された「again」の「憧ればかりの僕ももう / 誰かの夢になる」という歌詞は、からあげ弁当が地元・滋賀を飛び越え、これから多くの人に勇気を与える覚悟の表明のように聞こえた。5月26日にも同じSpotify O-nestで自主企画があることを伝えた後で「僕は忘れないよ / 君と歌った日々を / だから約束しよういつかね / またこの場所で」と、歌の中で約束するところが彼ら流だ。そして「時間が余ったから、チキン野郎ー!」とラフに二度目の楽曲を挟んでから、2月にリリースしたばかりの新曲「そんな日々を生きていく」を届ける。最後にこの日3回目の「チキン野郎」を披露して、颯爽と去っていった。転換中は、チケットぴあの若手社員が選んだBGMが流れる。パーカーズの「中華で満腹」ではフェスのように盛り上がる女子2人組もいたり、フロアは楽しい空気に包まれている。ジ・エンプティさて、次に登場したのは、04 Limited SazabysやWiennersも所属するNo Big Deal Records所属・福岡県久留米市発の4ピースバンド・ジ・エンプティ。SNSで前日に入場規制となった『見放題東京2024』の映像が話題になっていたこともあり、期待は十分だ。1曲目は「Sunday morning」でしっとりと始まったと思ったら、アウトロでスピードを上げてライブアンセム「テイクミーアウト」に雪崩れ込む。「Atomic Skipperがやりそうなこと、全部やって帰ります!(Vo.ハルモトヒナ)」と敵対心むき出しにステージ前の柵によじ登るが、待て、相手を知らないと真似はできない。ツアーでも共演歴がある彼らの、不器用な愛の裏返しだ。「からあげ弁当と今日、初対面やけん。ちょっとでも彼らの情報を入れたくて、お昼にからあげ弁当を食べました。そんなんじゃ全然分からんかったけど、ライブ見て、優しいなぁ、どっかでまたすぐ対バンしそうな気がした。大トリ、Atomic Skipper。まじでやりそうなこと全部やろうな。よっしゃ拳上げろ!」この日にかけた想いの強さを確認するように伝えたら、ショートパンクチューン「神様からの贈物」。そして大切な友達の歌だという「あいつの唄」と続く。夢を追い続ける決心をした自分たちの立場も相まってか、メンバー全員の目に光が射しているように見えた。MCではこの日渋谷で見たカップルについてシンノスケ(Gt)とケンノスケ(Ba)の漫才のようなやり取りをタイキ(Ds)が見守る場面もあったが、ヒナが仕切り直す。「Spotify O-nest、初めて出演します。呼んでくれてありがとう!今日は東京遠征最終日なので、爆発だけしに来ました!」歌始まりのライブアレンジで始まった「おやすみレイディ」は、THE BLUE HEARTS「キスしてほしい(トゥー・トゥー・トゥー)」を彷彿とさせるロックナンバー。たった30秒ほどで会場の温度を一気に上げたと思ったら、青春が終わる切なさが詰まった「さよなら涙」へ。ギターを持たず、歌に全てを込めるヒナの生き様が歌に表れているようでグッとくる。ベースソロが弾丸のような「バチコイ」で会場の盛り上がりは最高潮に。そのまま2nd single『青春』に収録された「ラブソング」では大合唱が起こる。「道玄坂に負けないくらい全員でキラキラして帰ろうぜー!歌いたいやつ、歌ってくれ!知らないやつは俺に続いて、拳を上げろ!」そう、何度でも拳を上げさせるのだ。ここまで来たら、初見もファンも関係ない。拳を上げる人、心の拳を握っている人。会場の熱量が一つになった時だけに見える景色だ。そのままアカペラで「今宵はベイビー」を歌うと、そのまっすぐで正直な声に会場の全員が集中する。そして最後は初めて4人で作った歌「空っぽの唄」だった。初期衝動というありきたりな表現をするにはあまりに硬い決意が鳴っていた。the pillowsの「この世の果てまで」に引けを取らないスケール感は、大物だ。「福岡県久留米、from west point!ジ・エンプティでした。ありがとう!」Atomic Skipperそしてトリは静岡から昨年メジャーデビューを果たした、若手ロックシーンの憧れの対象・Atomic Skipperが登場!1曲目「ロックバンドなら」では、ギター・ドラム・ベース、全てがガッチリと集約したパワーで観客を跳ねさせ、実力を見せつける。中野未悠(Vo)の声は会場にいる全員の不安を一挙に吹き飛ばしてくれるようだ。続いて披露されたのは、1stミニアルバム『思春を越えて』(2020年)から「星降る夜」だった。この選曲がされたとびきりの理由は、ラストサビ中に中野から伝えられた。本イベント『Grasshopper』は、チケットぴあの5年目以下の若手が有志で集まって、若手アーティストを応援するために企画している。そのメンバーの中でも、Atomic Skipperを誘った「佐藤さん」が、学生時代にYouTubeで彼らに出会ったのがこの曲だというのだ。中野が佐藤さんと肩を組みサビの一節を歌うと、演者、裏方、観客の全員の温度が一度上がる。そのままポップパンクチューン「間に合ってます」、そして逸る会場の手拍子に応えるように「幸福論」まで一気に駆け抜ける。先ほどのジ・エンプティの宣戦布告に応えるように、中野が柵に登って「アトスキっぽいことやってみました!でも予想を越えるからー!」と堂々の余裕を見せ、会場を沸かせた。フロアは飛び跳ねる観客で、冬とは思えない熱気だ。「Grasshopper(グラスホッパー)って、意味を調べたら、バッタだった(笑)。バッタ?って思ったけど、ちゃんと調べたら、イキのいい新人って意味らしいよ!もうバンドを始めて10年目だから新人かは分かりませんけど、元気にわがままにやって帰ります!!(中野)」ありのままを肯定してくれる「動物的生活」、そして誰もが口ずさめる「1998」、優しく頑張る人を励ます最新シングル「SONIC」と続く。この曲はキャリアを積んだバンドから、この日対バンした若手2バンド、そしてイベントを企画した若手社員に向けてのエールにも聞こえた。「みんながこれから若者じゃなくなった時、譲れないものが増えて、ライブハウスを離れることがあるかもしれない。そういう時が来てもいいと思う。それって超素敵なものだと思うからさ。でも、自分がこんなに好きなものを貫いていたんだ、っていう夜があれば、何十年先になったって輝き続けるんだろうなって、思うわけよ。私はそんな夜を、ずっと探してます」その気持ちを表明するかのように歌われた「ウォールフラワー」は、じっと聴き入る人が目立った。そして「メイビー」を大合唱して本編は終了。中野以外のメンバーはマイクを通して話こそしないものの、音で10年目の本気が届いた。憧れないはずがない。やまない拍手に応え、アンコールで披露した「雑記」では松本和希(Ds / Cho)が上裸でプチダイブをしてメンバーに笑われる、お茶目な一面も見えた。この日初めてみたバンドに心掴まれた人が多かったのは、終演後の物販が長蛇の列だったことに表れていた。それは音楽に勇気をもらった主催の愛がバンドに伝わり、バンドの心が動き、それが観客に伝わったからだ。帰りがけ、フロアでは「佐藤さん」が来場者に「ありがとうございました」と声をかけながら、最後の一人まで見送っていた。初めてSpotify O-nestに出演したバンドが、初めましてのお客さんの心を動かす、出会いの場だった『Grasshopper』。それぞれのバンドのライブだけではなく、このイベントにまた遊びに行きたい。そう思う日だった。文:柴田真希写真:稲垣ルリコ<次回の公演情報>『Grasshopper vol.20~Re-jump~』4月22日(月) 下北沢DaisyBar出演:まなつ/CULTURES!!!/極東飯店詳細: イベント公式サイト:
2024年03月16日チケットぴあが若手バンドを応援するライブハウス企画『Grasshopper supported by チケットぴあ』。第2弾となるWEST vol.2は、2月26日(月) Yogibo HOLY MOUNTAINにて開催された。ヒグレノソラニThe Beatlesの名曲である「I Want To Hold Your Hand」が鳴り響くと、メンバーの姿が現れた。アップテンポなビートとメロディアスなギターが美しい「として!」が演奏されると、このイベントの始まりにふさわしいと感じさせる新鮮さと高揚感を搔き立てた。続いてフロアからの熱い手拍子で迎えられた「Voyage」はストレートなロックサウンドが文句なしにかっこいいキラーチューンだ。休む間もなく「ぼくらは勇者!!」に繋がると、さらに客席からは拳が突き上がった。“トップバッターからたくさん集まって、俺らのことを見てくれて嬉しい!”と笑顔を滲ませるせと(Vo/Gt)がアコースティックギターに持ち替えると、温かみのあるバラード曲「僕の唄」へ。背中を押してくれるような、優しい歌詞と空気感に客席は酔いしれていく。“今日出会ってくれた貴方が生まれてきてくれたことに感謝して。この曲を届けたいと思います” という語りかけから始まった「ハッピーハッピーバースデー」では、メンバーの楽しそうな演奏に会場は多幸感に包まれた。せとが“2月生まれの方に大きな手拍子を!”と呼びかけると、客席の手拍子と演奏が一体化したような化学反応が起きた。“今日このライブがあったから、いい日になったと思ってもらえたら嬉しい!”という言葉から始まった「ユートピア」。王道なギターロックでクライマックスを迎えると、 “辛くなっても、またいつでも帰ってきてください!”と最後に締めくくった。ドミノンストップ彼らのトレードマークとも呼べるスタイリッシュなスーツスタイルで登場。赤と黄色の照明に照らされて「Something in my mind」が始まると、煌めくギターのアルペジオに客席は肩を揺らした。続いて「ライフハズノーボーダーライン」では王道なロックに熱いギターソロのパフォーマンスが魅力的だ。“他のバンド達に負けないようなドミノンストップのステージにしていきたいと思います!” と、なす(Vo/Gt) が宣言すると、リズム感がクセになる「BaG」へ。なすとKentaro(Gt)がギターを銃のように構えて撃つお茶目なシーンも見られた。UKロックを彷彿とさせるサウンド感が面白い「レディオスター」では、サビの白とオレンジの照明が回る様子も相まって心地良い空間を生み出していた。そこから一転してアップテンポなナンバー「ジャック」の演奏が始まると、重めのギターサウンドにギラギラとした赤い照明がよく馴染み、ヒートアップしてきた客席は拳を上げて力強く振り出して応えていた。“ノレる曲を持ってきたので、一緒に楽しんでもらえますか?”と、なすが呼びかけをきっかけに、手拍子が鳴り響く中始まった「トリリンガール」。カラフルな照明と加速していく盛り上がりに、しばし陶酔感を味わう内容となった。ニアフレンズ魂の叫びのような、ストレートで伸びのある歌声が響く「あたりまえ」で幕を開けると、続けて「未だ見ぬ明日へ」で更にアップテンポでパンキッシュ感が増していく。何よりもこのバンドの王道なサウンド感と明るい歌詞は、その場にいる人を包み元気を与えてくれる力を秘めていると思わせてくれる。ステージ上が青い照明に切り替わり、しっとりとしたバラード曲「ムーンライト」が始まる。池田(Vo/Gt)の芯が強く、やさしいボーカルにはその場にいる誰もが心地良く感じただろう。「愛すべき」では、ベースの低音ラインと力強いボーカルに泥臭さがあり、サビではオーディエンスの拳が一気に突き挙がる盛り上がりを見せた。“気持ちよすぎて鼻血出てます!”と客席に向けてしばし笑いを取ると、“こういう日に絶対出会いってあるんで。最高だと思ってくれたら、拳をぶち上げちゃってください!”と笑顔で呼びかけた。アップテンポなイントロが映える「ワールドエンド」は、疾走感のあるサウンドと素直な歌詞に誰もが夢中になる楽曲だ。締めくくりとして赤と白の照明に照らされながら演奏された「ボーイズノーアンビシャス」では、力強い歌声に応えるように、客席からも拳が突き上がる。熱気に包まれる中、彼らはステージを後にした。ワンダフル放送局スポットライトに照らされたwan(Vo/Gt)の弾き語りで早速会場中を独自の世界へ引き込んでいき、爽やかな青と黄色の照明が輝く「メロディー!」に繋がる流れに。続いて、お洒落なカッティングフレーズが印象的な「ZIGOKU!」では、オーディエンスが一体となって手拍子で応じていく。“せっかくなんで、曲でも作ろうかな?”と今回の会場であるYogibo HOLY MOUNTAINにちなんだ即興演奏を披露。アドリブセンスの高さに圧倒されるのはもちろんのこと、今日だけの特別感を味わう素晴らしい瞬間だ。“たくさんの人に来てもらえて、本当に嬉しいです。踊っていきましょう!”と明るさ全開で始まった「DANCE!!!」では、カラフルで耳に残るフレーズとミラーボールの演出が幸福感を増幅させ、踊りだす人々が輝いていた。さらに、煌びやかでまさに青春を感じさせる「青春みたいだ」では、会場中が一体感に包まれていく。休む間もなく新曲「光の速さで」を披露。鋭いサウンドに楽曲が進むにつれてスピード感も速くなっていく。楽曲の終わりに“光の速さで、またすぐに会いに行きます!”と呼びかけると、カラフルな照明がきらめく「会いにゆくのだ」へ繋がる。アップテンポなサビ始まりに客席の熱気は最高潮を迎えた。拍手が鳴り止まない中始まったアンコールでは、3月30日に開催する自主企画のサーキットフェス「3・30ササレの日」の発表も。幻想的なエフェクトに、透き通ったボーカルが染み渡るバラード曲「今日も今日とて」でイベントの集大成を飾り、拍手喝采の中幕を閉じた。Text by 川越光希Photo by 桃子<次回の公演情報>『Grasshopper vol.20~Re-jump~』4月22日(月) 下北沢DaisyBar出演:まなつ/CULTURES!!!/極東飯店詳細: イベント公式サイト:
2024年03月12日音楽シーンに革命的進化を生み出した3人組ユニットTM NETWORKが、2024年4月21日にデビュー40周年を迎える。40周年プロジェクトを祝福すべく、第2シーズンの全国ホールツアー千秋楽となった3月8日(金)、『TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days ~STAND 3 FINAL~』公演を、メンバーゆかりの地であるTACHIKAWA STAGE GARDENで行った。ファンネームである“FANKS(TMファンの意)”を冠した本ツアー。開演前、会場にはオペラ「トゥーランドット」が厳かに流れていた。3大テノールによる「誰も寝てはならぬ」を紐解くと、数字の“3”が浮かび上がる。本ツアーのタイトルは“STAND 3 FINAL”である。オープニングは、まるでSF映画の謎解きのような意味深な映像からスタート。古文書のようなエンサイクロペディアが開かれ、原典アップデートが示唆され、TM NETWORKの文字が紡がれていく。ステージは暗転、円盤が浮遊し9つの光のタワーがあらわれた。メンバーである宇都宮隆、小室哲哉、木根尚登の3人だけでステージに登場し、客席のバングルライトが一斉にシンクロしていく。宇都宮は、登場シーンから式典のごとく紳士的な挨拶を交わした。本公演へ向けた気持ちの入り方があらわれていたのかもしれない。ギタリストの木根が、グランドピアノを弾いている姿も新鮮だ。1曲目は、意外にもTMN期ラストシングル「Nights of The Knife」からはじまった。1994年、突然のTMN終了には膝から崩れ落ちるほどの悲しみを誘った本曲も、今なら40周年のドアを開けるはじまりを告げる曲として受け止められる。ギターサウンドを、小室がシンセサイザーで表現していたことも聴き逃せない。この選曲は、本ツアーが1994年終了時を分岐点とする、新たなパラレルワールド説も予感させた。Photo:Kayo Sekiguchi続けて、アッパーなシーケンスに導かれ、映画『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』挿入歌「DEVOTION」をドロップ。“No No No, No No No”という熱いコーラス。“献身”というキーワード。冴羽リョウなど、登場キャラクターの心情を絶妙に表現したナンバーだ。さらに、TM NETWORK結成前の1983年にタイムトラベルしたかのごとく、木根作曲によるTM版グラムロック「DIVING」をロッキンにプレイ。歌詞で七色を歌った本作は、もしかしたら1984年のデビューアルバム『RAINBOW RAINBOW』へと繋がりがあったのかもしれない。Photo:Mirai Yamashitaラスト、まるで洋楽アーティストのような佇まいを感じたセッションシーンからノンストップで、紛争や震災が終わらない2024年の今こそメッセージが伝わるナンバー「君がいてよかった」へと続く。EDMライクなアッパーチューンへとリプロダクションされたダンサブルなポップソング。宇都宮による歌声は、当時とキーが変わることなく、まったくブレずにピュアで美しいボーカリゼーションを堪能させてくれる。Photo:Hajime Kamiiisakaここで、ボーカリスト宇都宮がはけて、木根と小室によるデュオパートへ。ツアーのために小室が書き下ろしたナンバー「Good morning Mr.Roadie」を優しいメロディーによって奏でていく。本作の歌詞は、ツアースタッフ(ローディー)など仲間たちへ向けた手紙のようなナンバーだ。どこかしらジャクソン・ブラウンを彷彿とさせ、人と人とのつながりで紡がれたあたたかな熱量を感じた。途中、歌詞と連動して集合写真が映し出されるなど思わずヒューマニティーな感情を揺さぶられた。40周年という時が、この曲を生み出したのかもしれない。胸が熱くなる。宇都宮が、木根と小室へ拍手をしながらステージにあらわれた。続いて、20周年時に生み出された「GREEN DAYS」を、素の表情が映し出されたポートレートのようなピュアな心情で歌っていく。再生の歌であり、生成AIによる映像とのシンクロ具合にも目を奪われた。そして、実在するバーを舞台とした「N43」では、TM NETWORKがブレイク以前、いち早く北海道で注目を集めた際の思い出と重なり合う、木根詞曲によるほっこりするポップソングが鳴り響いた。シーンは変わって、ステージに降り注ぐのは金色の夢?七色の夢?グランドピアノを弾く木根によるリズミカルなビートが高揚し、TM NETWORK初期のライブ人気曲「You Can Dance」のシーケンスが解き放たれた。1994年以来となる、驚きの選曲にFANKS、歓喜の渦。いや、TM NETWORKに捨て曲など一切なく。実はどの曲も、時代を揺さぶるナンバーとなる可能性を持つことを証明していく。イントロのフレーズがインスパイアされたこともあり、木根は敬愛するエルトン・ジョンのごとくハットをかぶり、カラフルなサングラスへと着替えた。気がつけば宇都宮もサングラス姿だ。小室はショルダーキーボード=Mind Controlへ持ち替え、まるでギターのように鍵盤を弾き倒す。ハイテンション、ロックンロールなダンスチューンに遊び心を織り交ぜていく。アウトロでは、まばゆい光に照らされながら、3人がピアノを囲むトライアングル・ポジションが尊い。Photo:Kayo SekiguchiあやしげなSEに導かれ、「Past1984」が映像とともに流れはじめた。意味深な“1984001”そして“14930”という数秘。緊迫した空気感。浮かび上がる正方形に瞬く額縁のように謎めいたワームホール!?が印象的だ。聞き覚えのあるピアノリフ。さらに、TM NETWORK最重要曲「ELECTRIC PROPHET」のシーケンスが聴こえてきた。22世紀から時空を超えて会いに来てくれたTM NETWORKというSFめいた物語は、本曲からはじまったのだ。光のタワーと思われた照明は、実はプログラミングで自在に稼働するUFOのようなLED付きミラーdot mirrorだった。地上からSharpyによるライトをビームの如く直に照らすことで反射する光を演出していく。アクロバティックな構造だ。その効果はまるで、映画『未知との遭遇』の宇宙船のシーンのようにも見えた。打ち込みと生演奏と映像を融合する、TM NETWORKが発明したサウンドマジックはシアトリカルに繰り広げられていく。名曲は続く。せつないメロディーが心を打つ知る人ぞ知る「Human System」。街を行き交う交差点や道路に重ね合わされながら、モンタージュ写真のようにフェイス映像をカットアップしていく。宇都宮の歌声と木根によるアコースティック・ギター、モーグによる小室のシンセサウンドが重なり合うあたたかく優しげな高揚感。Photo:Mirai Yamashitaさらにレア曲として、今の時代にも通じるメッセージ性や世界観を感じさせる壮大な「Come Back to Asia」をドラマティックに聴かせてくれたことも驚きだった。作品が生み出された昭和時代とは大きく変化したアジアの存在感。アジアが持つ意味。そして、歌詞から伝わってくるレクイエムなメッセージ性。せつなさを噛み締めながら浸りたいナンバーだ。ピアノによるTK-soloパートは、会場それぞれ小室によるインスピレーションによって演奏曲は入れ替わっていく。この日は、反戦歌をイメージした「All-Right All-Night (No Tears No Blood)」を、絶妙なピアノ構成によるアレンジでプレイ。さらに映画『ぼくらの七日間戦争』のサントラ『SEVEN DAYS WAR』から「WINNERS」の一節をつま弾き、記憶の扉を開けていく。Photo:Mirai Yamashita木根曲の「GIRL FRIEND」へとシナプスを紡ぎ、ヒット曲「SEVEN DAYS WAR」を奏でながら小室は一拍間を置き、0.5秒ぐらいの瞬間にオーディエンスへコーラスを促した。まるでニュータイプのように意思は通じ合い、一気に歌声が轟く会場。鳥肌もののモーメントだ。感動はまだ止まらない。『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』のハイライトシーンで流れた挿入歌「Angie」を、即興アレンジを交えながらピアノメドレーのシメとしてしっとりと響かせてくれた。まるで数百年前からこの世に存在していたかのような魔法めいたメロディーの力。音楽家とは数秘を操る科学者であり魔術師だ。心がほろほろと溶けていく瞬間だった。ラストスパートはTMのシングルで最もセールス枚数が多い90年代のヒット曲「Love Train」。赤い照明とグラフィカルな映像美、EDMライクなパーカッシブなアレンジがクールだ。途中、当時のミュージックビデオとシンクロさせる驚き。あれから33年。正方形の額縁のような枠=ワームホールらしきどこでもドアから映し出された懐かしさを超えていくフレッシュな感情に名前をつけて欲しい……、と思った。そして、途中inter Missionでは、世界中が抱える闇の問題。紛争のシーンが映し出され、浮かび上がったのが“We pray For the peaceful days Ahead”のメッセージ。ここで通常ならおそらく「Get Wild」へ繋がるはずのTKエレクトロ・タイム。だがしかし、サンプリングされた異なるリフレインがビートに呼応する。まさかの「Nervous」でフロアを盛り上げていく驚きの展開へ。本作は、初期TM NETWORKのライブで人気だったダンサブルなポップチューンである。オーディエンス大熱狂。本能を掻き立てるエネルギッシュなパワーを持つナンバーだ。宇都宮による、当時を思わせるダンスも健在。モニターには、赤く光る正方形の石碑が輝き出し、ピラミッドのような四角錐状なモノリスへとチェンジしていく姿も意味深だった。TM NETWORKによるパワーが充電されたことのメタファーなのだろうか?さらに、1985年にリリースした3rdシングル「ACCIDENT」を最新アレンジメントでリプロダクション。アグレッシブにパーカッシブなイントロダクション。脳天突き刺す力強くリフレインするメロディー。小室曰く、当時“自分のノウハウをすべて詰め込んで、これなら売れるだろうというつもりで作った”という秘宝のナンバー。湧き起こる大歓声。あの頃のリベンジの如く、最新2024年バージョンとして不死鳥のように蘇らせた。ダンスビートと絡み合う甘いメロディーは感情のときめきを全方位で解放する。まさに、今こそあらためてシングル化して欲しいポップソングだ。それにしても、TM NETWORKのライブは音がいい。歌声も音の粒も、ライティングと溶け合いすべてがダイレクトに身体へ染み込んでいく。サウンドの波を泳いでいるかのような感覚だ。Photo:Mirai Yamashitaラストチューン、とどめは、現在に通じるTM NETWORKの“オトナ”のスタイルを確立した大名曲「I am」の登場だ。イントロダクションを引っ張る映像には、コンサート会場から外へ出て談笑しながら闊歩する3人の姿。その先には、トレーラーに囲まれた正方形に瞬くワームホールらしき予言のゲートが再び鎮座していた。浮かび上がった“TM NETWORK is still searching for FINAL Imperial command.”の文字。ヒューマン宣言ともとれる、後期TM NETWORKを代表するポップミュージック「I am」の存在。本ツアーでは、楽曲タイトルをスクリーンに多様なフォントで表示していたが、それは「I am」へと結実したことで文脈を紡ぎ意味を成したように思えた。3人が声を揃えて歌うシーンに鳥肌が立ったのだ。まさに大団円のステージである。想いに応えるオーディエンスのパワー、その熱量も凄まじい。TM NETWORKによる完成されたシアトリカルなロックショーにアンコールはない。一切のMCも存在しなかった。インスト含め全18曲を通じて時空を超えていく音楽の旅、TM NETWORKによる珠玉の名曲を通じて、感動とメッセージを詰め込んだ圧巻のライブエンタテインメント。ラストは、3人が手を振り別れを告げ、インストゥルメンタル「intelligence Days」が流れ、エンドクレジットが映し出された。最後は、突然の爆発音とともに、次回会場の方位を指し示す赤い光線が放たれた。Photo:Kayo Sekiguchi音楽シーン最先端の表現を、アイディアを大切に具現化していくTM NETWORKの凄み。40周年をセレブレイトするツアーは、会場規模を広げ、4月20日からはアリーナ公演『TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days ~YONMARU~』へと続いていく。昭和~平成~令和という時空を飛び交う貴重なるステージ。そこに懐古主義は一切ない。TM NETWORKとは純然たるライブバンドなのだ。今回のツアーでは、実はTM NETWORKお約束のヒット曲であるアニメ『シティーハンター』エンディングテーマ「Get Wild」も、映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』主題歌「BEYOND THE TIME (メビウスの宇宙を越えて)」などをやらないコンサートとなった。しかしながらチケットは全公演ソールドアウト。コアファンの間ですら、争奪戦となった。結果、TM NETWORKらしい最上級のショーとなったのが『TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days ~STAND 3 FINAL~』だったのである。ヒット曲に頼らずとも、TM的世界観を打ち出せることの喜び。そんな3人の表現者が解き放ったクリエイティビティの真髄を堪能したステージだった。そして、TM NETWORKは40周年イヤーの集大成となる、大規模なアリーナツアー『TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days ~YONMARU~』へと突入していく。4月20日から5月19日まで行われるTM NETWORK、40年間の歴史の集大成。セットリストはもちろんターンオーバー、いわゆる一新される。おそらくヒット曲中心となり“あの曲”も“この曲”も聴けることだろう。しかしながら、ただのベストヒッツではないはず。リーダーの小室曰く“君を驚かせたい!”というメッセージも気になるところだ。さらに、バンドメンバーも参加することだろう。日本が誇るポップミュージックの歴史をアップデートする、TM NETWORKスペシャルなアリーナ公演を目撃せよ!!Text:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)※冴羽リョウのリョウは、けものへんに「僚」のつくりが正式表記。<公演情報>TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days ~STAND 3 FINAL~3月8日(金) 東京・TACHIKAWA STAGE GARDENセットリスト・WORDS・Nights of The Knife・DEVOTION・DIVING・君がいてよかった・Good morning Mr.Roadie・GREEN DAYS・N43・You can Dance・Past 1984・ELECTRIC PROPHET・Human System・Come Back to Asia・TK solo・Love Train・inter Mission → Nervous・ACCIDENT・I am・intelligence Days<ツアー情報>TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days 〜YONMARU〜Day35 4月20日(土) 東京・東京ガーデンシアター開場17:00 / 開演18:00Day36 4月21日(日) 東京・東京ガーデンシアター開場16:00 / 開演17:00Day37 4月26日(金) 大阪・大阪城ホール開場18:00 / 開演19:00Day38 4月27日(土) 大阪・大阪城ホール開場16:00 / 開演17:00Day39 5月18日(土) 神奈川・Kアリーナ横浜開場16:30 / 開演18:00Day40 5月19日(日) 神奈川・Kアリーナ横浜開場15:30 / 開演17:00チケット情報:()オフィシャルサイト:
2024年03月12日2024年2月19日(月)、下北沢Flowers Loftにて、チケットぴあが若手バンドを応援するライブハウス企画『Grasshopper』のvol.21が開催された。今回はMOCKEN、UtaKata、そしてオープニングアクトに前髪ぱっつん少年の3組が出演。それぞれのオルタナティブがぶつかり合うパワフルな一夜となった。前髪ぱっつん少年オープニングアクトを務めたのは前髪ぱっつん少年。彗星の如く現れた秘密結社4人組。暗闇に浮かび上がる3つの少年のイラストが独特な世界観を醸しだす。静けさの中メンバーが入場し放たれた一音目からその"ただものではない感"に一瞬にして目を奪われた。Vo.オーシャンズ・ネの突き抜ける凛とした歌声を底で支えるリズム隊、圧倒的な存在感を放つBa.ずまの歪んだサウンド。目まぐるしく繰り広げられる演奏は「ライブ」というより「ショー」という言葉が似合うほどに心を支配された。クラシックの音色から激しい轟音と共に始まった2曲目は『犯行声明IV分前』。激しく赤い照明の中アップテンポなビートに揺れる会場、ライブハウスのフロアを怪しげな舞踏会へと変えていく、顔を隠していても滲み出るこの圧倒的"主役"感。後半戦はポップな電子音でクラップを煽り、遊び心を感じるサウンドと展開で会場を盛り上げていく。最後は『シイクレットアンヴレラガアル』。ツインボーカルの耳心地の良いユニゾンと、テクニカルなサウンドを真っ向から浴びてフィニッシュ。彼らの魅力に圧倒されたあっという間の25分間だった。MOCKEN2番手は、埼玉・越谷からロックバンドMOCKEN。1曲目は『海の向こうには』でスタート。朝の静かな海のように穏やかな音を刻む、そして徐々に徐々に上がっていき、心地よくサビで爆音が響き渡る。気づけばMOCKENの描く物語の1ページに巻き込まれていた。「時に、あの頃の夏みたいな、映画みたいな小説みたいな短編映画を紡ぎたくて、ライブの中では人間として伝えたくてバンドやってます」その言葉に、確信を持ったまっすぐな拳たちが会場を埋め尽くした。この瞬間の選択に間違いはないと。間髪入れずに続く『妄想彼女』。MCの言葉通り、情景がリアルに浮かぶ、ドラマを歌う。青春の1ページを切り取ったような甘酸っぱくも熱い気持ちになった。後半戦は「STAND BY ME」から『Over fall』でスタート。「会いたい人がいるんです」とオレンジのライトに照らされ、色褪せない恋を歌う。続く代表曲『彗星』では、Gt.横山のオルタナティブ満載のリフと、壮大なロックサウンドが骨の髄まで響き渡り、ただただ痺れるような感覚に陥った。Vo.Gt.永野が語るMOCKENとしての想い、彼らの音楽を聴く人への想いはステージには収まりきらないくらい大きかった。その想いを音に込めて、真っ直ぐに放ち続けた40分間。彼らの音楽を聴く時その胸に込み上げてくる何かは、その想いなのだろうか。溢さないようにきちんと受け止めた。UtaKataトリを務めるのは本日唯一の3ピースバンド、UtaKata。「僕らの友達、かっこいいでしょ。僕たちは僕達の音楽をやりにきました」の一言でMOCKENを迎え撃つ。1曲目は『燦々』で幕を開け、澄んだ空のような澄み切ったロックサウンドがFlowers Loftに響き、UtaKataの世界に引き込まれていく。間髪入れずに続く『起死回声』ではGt.安田が圧倒的なギタープレイを見せつけ、会場の熱量が急上昇。そのまま迎える代表曲『宣戦前夜』でボルテージは最高潮。サビ前の「いけますかっ」で観客が楽しそうに拳を挙げる姿に、笑顔が伝染していった。中盤戦はしっとりと歌い上げる『空夏、藍に暮る』。サビの転調でUtaKata特有のサウンドが炸裂。続く『HPz』では青い照明の下、前半で熱を帯びた会場をクールダウンするかのようにエモーショナルなサウンドを繰り広げ、Vo.こーだいのロングトーンで会場中を魅了した。後半戦は、空気は一変し轟音と共に会場中のジャンプを煽り『今ハ今ハ』『妄想症』を連続して披露。赤い照明の下、白いフロアがUtaKataの持つダークでテクニカルな魅力に色付けられていく。「どうでもいいや全部」。ヘイトや鬱憤を音に乗せ、叫び、キャッチーなサウンドに昇華した彼らの音楽は唯一無二のかっこよさを誇っていた。「やってる音楽も土俵も違うけど、心からリスペクトしてます。あいつにカッコ悪いとこ見せらんねえよな!」MOCKENへの熱い想いを乗せて歌うラストスパート。一見クールに見えるUtaKataだが、ライブは感情的で包み隠さずに全てを曝け出す、等身大の彼らの姿が何よりも輝いて見えた。アンコールでは再び『宣戦前夜』と思いきや、ゲストボーカルにMOCKENからVo.永野が参戦し、『閃光前夜(宣戦前夜速いver.)』で会場の熱量は最高潮。そのまま続けてMOCKENメンバーを迎え、2組全員で『まほろば』を演奏。愛に溢れるコラボレーションで今日1番のピースフルな盛り上がりを作り出した。形は違えど熱い想いを持った3組が交わった今日のステージ。そんな"交差点"をまたどこかで目撃したい。Text by mnktronPhoto by Ryohey Nakayama<次回の公演情報>『Grasshopper vol.20~Re-jump~』4月22日(月) 下北沢DaisyBar出演:まなつ/CULTURES!!!/極東飯店詳細: イベント公式サイト:
2024年03月07日2024年3月2日(土)、神奈川県民ホールにて『TRUE 10th Anniversary Live Sound! vol.8 ~ANISON COLLECTION~』が開催された。2023年6月の『vol.7~アンサンブル~』以来となる『TRUE Live Sound!』シリーズ。今回は、2024年2月にアーティストデビュー10周年を迎えたTRUEによる、自身初の“全曲アニソン縛り”ライブだ。アニソンシンガー・TRUEだからこその構成となっており、唐沢美帆名義で作詞提供した楽曲のセルフカバーや新曲を含む全25曲が披露され、10周年イヤーの幕開けにふさわしいライブとなった。バンドメンバーによるオープニングナンバーで、本人登場前から大盛り上がりの神奈川県民ホール。バンドサウンドと拍手が止んで静寂と暗闇に包まれたその瞬間、ステージ上段に、凛と佇むTRUEのシルエットが浮かび上がる。まさにディーバ降臨と言えようその姿に見惚れるも束の間、アカペラで「UNISONIA」を歌い出し、己の歌声だけでホールの空気を掌握するTRUE。冒頭のフレーズを力強く響かせたあと、バンド演奏が加わると階段を駆け下りて、途中客席にマイクを向けながら一気にヒートアップさせた。「UNISONIA」「飛竜の騎士」「Divine Spell」からなる三種の神器の一つを1曲目から解放。バンドメンバーも、Gt.清水"カルロス"宥人、Ba.二村学、Key.森谷優里、Ds.直井弦太に加えVn.小林修子、Sax.真野崚磨、Tp.具志堅創、Tb.半田信英、Mp.大場映岳と豪華メンバーが集結し、そんな構成から並々ならぬ気合を感じるが、彼女の足元にもその気合は表れている。普段のレコーディング時は裸足で歌っているといい、昨年のバースデーライブでは、テンションが上がりすぎて途中でヒールを脱ぎ捨てていたTRUEだが、今回は最初から裸足なのだ。2曲目には、ステージにしゃがんで歌ったり、羽のようにしなやかに舞ったりと、歌に伴う身体表現も存分に魅せながら「TWIN BIRD」を披露した。「今日は思う存分、楽しんでね!」と声を上げるとそのままお立ち台に向かって飛び出し、自由に、そして元気に動き回りながら「BUTTERFLY EFFECTOR」でとことん騒ぎ、MCへ。「今日は10年分の感謝と愛を皆さんにお伝えしようと思います。どの曲も、懐かしみながら、慈しみながら大切に歌うので、最後まで楽しんでください。」そう一礼し始まった「ailes」は、ピアノ、サックス、バイオリンとともにスタート。それぞれの音色がTRUEの歌声と美しく共鳴し、温かな彩りをもたらした。そして、何かにとらわれたようにべったり座り込んだり脱力した姿と、立ち上がり、解放感たっぷりに歌う姿のコントラストが鮮やかな「Story of Lucifer」から、「黎明」へと続ける。切実に訴えかけるような、あるいは怯えたような……。ここまでのTRUEとは全く違う表情や、檻のように彼女に迫っていくレーザーの光が印象的だった。ここからは唐沢美帆として作詞した楽曲のセルフカバーコーナー。タオルを振り回しながら「ケサランパサラン/every♥ing!」をキュートに歌い、「スタートライン!/せな・りえ from AIKATSU☆STARS!」で明るくエールを届ける。スタンドマイクを使った少し大人な表現の「眠れる本能/YURiKA」は、落ち着いた照明の中にその色っぽさが際立つ。バンドメンバー紹介を交えた「閃光のPRISONER/南里侑香」は、「暗闇を撃て」という歌詞に合わせてゆっくり指で撃ち抜いたあとのニヤリ顔がたまらない。続くMCでは、「この10年間を振り返ったときに、TRUEとして歩んできた10年の軌跡、そして、唐沢美帆としてたくさんのアーティストさんと出会って共に歩んできた10年の軌跡は、どちらもなくてはならなかったもの。だから今日は、いつも以上にセルフカバーをたくさん歌わせていただこうと思っています。」と語ったあと、「みんなの聴きたい曲は聴けたんか?」とゆったり微笑みかけ、思い思いにその満足度合いを表現するファンに「え、ほとんどの人はもう聴けたの!?」と驚きを見せる。「まだ」というファンにも、「たぶんあとから歌うから大丈夫」と伝えると、今回のセットリストのこだわりを教えてくれる。一番のこだわりは「黎明(れいめい)」から、TVアニメ『レーカン!』EDテーマ「ケサランパサラン」への流れだそうで、「みんなを“ズコーッ!”ってさせたくて!」と声がワントーンアップ。リハーサル時に「レイメイからレーカンって!」と気づいてすっきりしたと言い、客席からは大きな笑いと拍手が上がった。ひと笑い取ったところで、次は自身の楽曲のアコースティックコーナー。そう聞いて自発的に着席するファンと、それを「素晴らしいです、さすがです。ありがとうございます」と褒めてくれるTRUE。とにかく温かい現場だ。「“おかえり”とか“ただいま”って、私たちが日常で使っている言葉。ありふれた毎日の中にこそ幸せってあるんだなって、改めて皆さんに感じていただきたいなと思います。あったかくて優しい時間になりますように」Key.森谷と目を合わせると、エレクトリックピアノのメロウな音色がじんわりと広がり、先ほどの言葉の通り「フロム」を優しく歌い上げた。続く「アンサンブル」は、アコースティックバージョンでもしっかりと返ってくる「La la la……」のシンガロングにその喜びからか一瞬のけぞりつつも、幸せそうな表情を見せていた。ありったけの感謝と愛を込めた「Sincerely」じっくりとその景色・音を噛み締めてから、「ここからは、『マクロスΔ』の世界です」と一言。再びセルフカバーだ。客席からは、「愛する人のために、愛する星のために、命をかけて戦ったフレイアのために歌います。」と言うTRUEの声をかき消すほどの歓声が上がり、『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』より3曲を続けて披露。神聖で荘厳な雰囲気の中、まずは「りんごのうた/フレイアΔ鈴木みのり」「ALIVE ~祈りの唄~/ワルキューレ」。祈りを捧げるような澄んだ歌声と、かすかに聞こえる息遣いの一つ一つまでが心に沁み入る。そして「ワルキューレはあきらめない/ワルキューレ」の始まりの4カウントで、ここまで着席していたファンは総立ち。TRUEもそれに応えるように、パワフルに聴かせた。七変化する曲調が楽しい「Another colony(Band Inst Ver.)」がバンドメンバーのみで演奏されたのち、強烈なバックライトの中、衣装チェンジしたTRUEがステージ上段にせり上がりで登場。4月24日(水) に発売の両A面シングル『ReCoda / ブルーデイズ』より、TVアニメ『転生貴族、鑑定スキルで成り上がる』OP主題歌である「ブルーデイズ」をフルサイズで初披露。疾走感たっぷりに歌い上げた。作品の主人公、アルス・ローベントは「人のいいところを見つける天才」ということで、「私も相手のいいところや素敵なところを見つける人でありたい、アルスに出会ってそんなふうに思ったんです。」「大人になると自分と向き合わなきゃいけない時間ってたくさんあるでしょ?私もそうなんだけど、そんなときに、自分自身のいいところとか素敵なところをもっと私自身が見つけてあげたいなって」とTRUE。自分自身と向き合わなければいけない瞬間にはぜひ『鑑定スキル』や「ブルーデイズ」をそばに置いておいてほしいそうで、「4月放送開始なんですけど……めちゃめちゃ面白いの!実は担当させていただけるって決まる前に、身近なスタッフさんから“すごい面白い作品なんだよ”って聞いていて。今回お話をいただいたときに初めて読んだんだけど、あまりに面白すぎて、寝ないで一気見したんだけど、もうね、ほんとにめちゃくちゃ面白い!」と作品愛を早口で喋り倒した。最終パートを前に「今来たばっかり!」と口々にするファンには「好き、それ」とにんまり。そのあとTRUEライブではおなじみのVn.小林に「中野サンプラザで演奏を見たときに、バイオリンは剣にも盾にもなるんだ、と。剣を振り上げているようなエモーショナルな演奏をありがとうございます。暴力的なバイオリン、期待しておりますのでよろしくお願いしま~す!」と声をかけ、まずは落ち着いたトーンで「さあ、ここからは情緒が壊れるお時間となります」と一言。「皆さん本当にお行儀がよくてマナーを心得ているんですが、最後のブロックでめちゃめちゃ壊れるんですよね(笑)。今日も思うがままに壊れていただけたらと思います。みんな最後まで盛り上がってくれますか!天井突き刺さってくれますか!情緒ぶっ壊れる覚悟、できてますか!一緒に新たな物語作りましょう、『Storyteller』!」元気いっぱいのタイトルコールの直後、TRUE期待通りの空気を切り裂くような鋭いバイオリンをきっかけに、恒例の“情緒が壊れるお時間”が始まった。「人の力以上に凄いものなんてない」というフレーズでバンドメンバーに目を向け、割れんばかりの歓声、クラップ、ラストサビ最後の歌詞「さぁ!」の後には「さいっこう!」と叫び、全身で音を奏で浴びる彼女の姿はとにかく輝いている。そこから一瞬にしてダークで異様な空気感に包まれ、重く響くイントロと大歓声。次は「飛竜の騎士」だ。今回、1曲目から三種の神器が解放されていたが、残り2曲はここで登場。「Divine Spell」もあわせて披露され、会場は大きく揺れた。くらくらするほどの音圧と圧倒的パフォーマンスに情緒をかき乱されながら、体力をすべて使い切る勢いで「サウンドスケープ」まで一緒になって盛り上がった。「良いことも、悪いことも、嬉しいことも、悲しいことも、ほんっとにこの10年でたくさんあって。でも、その一つ一つをちゃんと全部受け入れて、そして、止まることなく、逃げることなく、離すことなく、全部を音楽に変えてきた……そんな10年間でした。改めて、私の言葉に耳を傾けてくれて、私の歌に心を預けてくれて、本当にありがとうございます」目をうるませながらそう伝え、最後に、ありったけの感謝と愛を込めて「Sincerely」を届ける。大切に大切に紡がれていく言葉たちを、ファンもペンライトを置いて静かに聴き入った。マイクを通さずに「ありがとうございました。」と小さく口を動かすTRUE。長いお辞儀のあと、大きな拍手に包まれながら静かにステージを去ったが、「お鶴」コールに応え再登場し、「10年分のありがとう、受け取ってねー!」とアンコールをスタートさせた。銀テープが降り注ぐ中、まずは1曲、客席のあちこちに手を振りながら「Happy encount」を一緒に歌い、お知らせコーナーへ。新情報もあり、「これまで『UNISONIA』『飛竜の騎士』『Divine Spell』を一緒に作ってくださったArte Refactさんと、なんと四種目の神器を作っています!」と、10周年テーマソングを制作中であることを告知。さらに、2018年以来6年ぶりのツアー『TRUE 10th Anniversary Live Tour Sound! vol.9~TRUE×FALSE~』を発表。Billboard Liveで行う正統派なライブと、ライブハウスで行う異端なライブ。それらを同じセットリスト・違うアレンジで披露するコンセプチュアルなツアーということで、7月・10月両公演のチケットのファンクラブ先行を2024年3月9日(土) 23時59分まで受け付けている。ホールやライブハウスでのライブのほか、アコースティックライブ、小編成のストリングスライブ、大編成のオーケストラコンサートなど、様々な表現を経験しているTRUEだからこそのステージが期待できそうだ。また、今回のライブ入場時に配布されたステッカーは今後のライブでも配布予定で、それらをシール帳に集めると何やらいいことが……?「この曲を掲げてみんなと一緒に歩んでいきたいと思います。」との宣言からTVアニメ『響け!ユーフォニアム3』のOP主題歌「ReCoda」を歌ったあと、ラストは「みんなで一緒に音楽しようぜー!!」と「DREAM SOLISTER」でアンコールを締めくくる。「やめない勇気こそ強さ。私は絶対に諦めないでずっとここにいるから、何度でも続いていく道の先で再会しましょう!」というメッセージを交えつつ、ファンとの大合唱でライブをハッピーな大団円へと導いた。Text:友安美琴Photo:江藤はんな<公演情報>『TRUE 10th Anniversary Live Sound! vol.8 ~ANISON COLLECTION~』3月2日(土) 神奈川・神奈川県民ホール 大ホールセットリストM1. UNISONIA(TVアニメ『バディ・コンプレックス』OPテーマ)M2. TWIN BIRD(TVアニメ『バディ・コンプレックス完結編―あの空に還る未来で―』挿入歌)M3. BUTTERFLY EFFECTOR(TVアニメ『ひなろじ~from Luck & Logic~』OP主題歌)M4. ailes(TVアニメ『純潔のマリア』ED主題歌)M5. Story of Lucifer(TVアニメ『コメット・ルシファー』 イメージソング)M6. 黎明(TVアニメ『転生したらスライムだった件 第2期』前奏曲)M7-a. ケサランパサラン/every♥ing!(セルフカバー)(TVアニメ『レーカン!』エンディングテーマ)M7-b. スタートライン!/せな・りえ from AIKATSU☆STARS!(セルフカバー)(TVアニメ『アイカツスターズ!』オープニングテーマ)M8-a. 眠れる本能/YURiKA(セルフカバー)(TVアニメ『BEASTARS』エンディングテーマ)M8-b. 閃光のPRISONER/南里侑香(セルフカバー)(TVアニメ『魔法戦争』オープニングテーマ)M9. フロム(TVアニメ『終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?』エンディングテーマ)M10. アンサンブル(『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』主題歌)M11-a. りんごのうた/フレイアΔ鈴木みのり(セルフカバー)(『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』挿入歌)M11-b. ALIVE ~祈りの唄~/ワルキューレ(セルフカバー)(『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』挿入歌)M11-c. ワルキューレはあきらめない/ワルキューレ(セルフカバー)(『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』挿入歌)M12. Another colony(Band Inst ver.)(TVアニメ『転生したらスライムだった件』エンディング主題歌)M13. ブルーデイズ(新曲)(TVアニメ『転生貴族、鑑定スキルで成り上がる』OP主題歌)M14. Storyteller(TVアニメ『転生したらスライムだった件 第2期』オープニング主題歌)M15. 飛竜の騎士(TVアニメ『最弱無敗の神装機竜』OP主題歌)M16. Divine Spell(TVアニメ『レガリア The Three Sacred Stars』OP主題歌)M17. サウンドスケープ(TVアニメ『響け!ユーフォニアム2』OP主題歌)M18. Sincerely(TVアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』OP主題歌)アンコールEN1. Happy encount(TVアニメ『リアデイルの大地にて』OPテーマ)EN2. ReCoda(新曲)(TVアニメ『響け!ユーフォニアム3』OP主題歌)EN3. DREAM SOLISTER(TVアニメ『響け!ユーフォニアム』OP主題歌)<ツアー情報>TRUE 10th Anniversary Live Tour Sound! vol.9 〜TRUE × FALSE"TRUE side"7月9日(火) 神奈川・Billboard Live YOKOHAMA1stステージ 開場17:00 / 開演18:002ndステージ 開場20:00 / 開演21:00"FALSE side"7月10日(水) 神奈川・F.A.D YOKOHAMA開場18:30 / 開演19:00"FALSE side"10月11日(金) 大阪・OSAKA MUSE開場18:30 / 開演19:00"TRUE side"10月12日(土) 大阪・Billboard Live OSAKA1stステージ 開場15:00 / 開演16:002ndステージ 開場18:00 / 開演19:00公式サイト:
2024年03月05日「365日じゃ足りないくらいあなたに会いたい……」HYが2008年に発表した「366日」は、少しずつ心がすれ違う中で、別れを迎えてしまった今も、あなたがまた私を好きになる、という儚い想いを抱いて、今日も会いたい…と願う愛の歌。仲宗根泉(Vo / Key)が叶わぬ恋を歌ったこの切ないラブソングは、発売から16年を経った今も、ライブ会場の女性たちが涙する失恋ソングのスタンダードとして日本の音楽シーンに刻まれる曲だ。今年は4年に一度、1年が“366日”になる「うるう年」。この2月29日にHYの「366日(Official Duet ver.)」がデジタルリリースされた。メンバーの新里英之(Vo / G)のボーカルを新たに加えたデュエットバージョンとなり、「366日」をモチーフに、“一生、忘れられない恋”を描いたオリジナルラブストーリーとして4月から放送されるフジテレビ系月9ドラマ『366日』(広瀬アリス主演・眞栄田郷敦共演)の主題歌にも決定した。この「うるう年」の特別な夜に、『HY 366DAYS Premium Live』と銘打ったライブが、ビルボードライブ東京で開催された。「366日」のピアノのインストに導かれるようにメンバーがステージに登場し、「1日多くみなさんと過ごせる日に、HYから愛を込めて歌を届けます」という新里の言葉から、ライブは始まった。始まりの曲は、「初雪」。初雪で白一色に覆われた街を見ながら、ここで生きた証を残せるかな……と、故郷を離れ、この街で新しい道を見つけようとする主人公を描いた曲だ。それは、この曲を収めたアルバム『TRUNK』を発表した2004年、レコーディングのために長期間、故郷沖縄を離れて東京でホテル暮らしをしながら未来を思い描いていたメンバーの当時の心境が見え隠れする歌のようにも思えた。25周年を迎える今だからこそ、当時の想いを優しく抱きしめるように歌う新里のボーカルに、時の流れとアーティストとしての成長を感じた。「さよならまたね」と「あの日のまま」という緩急のある曲に続いて、リリース当時のメンバーの年齢29歳と国道を重ねて、HYが進む未来をタイトルに込めた2012年のアルバム『Route29』から「至近距離恋愛」が歌われる。些細なことで離れていく心の距離。あなたがいること、2人でいれることがいつの間にか当たり前になっていた、という誰にも経験のある想いを歌った曲だ。今度会ったら、言えなかった思いや言葉をちゃんと伝えよう、という歌詞に頷ける方も多いのではないだろうか。「ここが2024年の初のワンマンライブです。おしゃれな場所で、僕らも大人になったね」と新里が言った後、許田(B)のエコーが効いた乾杯の音頭で、会場が一気に和んでいく。そして、「I LOVE YOU」へ。「I LOVE YOU」の言葉を君に伝えたい、いつもその想いを大切にしよう、と歌われる、まっすぐな言葉をストレートなサウンドにのせたHYらしいラブソングだ。曲の終わりは、新里と仲宗根がステージの中央で見つめ合い、互いの手を重ねてエンディング。「リハーサルにはなかった……」と、新里は照れていた。続く「花束」では、ステージを下りて、新里が客席をまわるサプライズも。歌い終えた後で、仲宗根は、「うるう年の今日、誕生日の人はいますか?」と会場に呼びかけると、なんとひとりの女性が手をあげる。そして、会場の全員で「ハッピー・バースデー」の歌をプレゼント。彼女にとって、一生の思い出に残る誕生日になったことだろう。そして、新里が作詞、作曲した「僕がキミを」が歌われる。この曲が収録されたアルバム『TRUNK』については、「初雪」でも触れたが、新里もMCでこう話していた。「あのアルバムの時はとっても辛かった。遊び心で作った前作が(チャートの)1位になったことで、次の『TRUNK』は、潰れそうになりながら、それを乗り越えてできた。あの経験があったからこそ、今のHYがあると思う」。当時の苦しかった想いが歌詞にも込められている、という「僕がキミを」。キミの心に手を差し伸べて、夢見たものを2人で取り戻しに行こうよ、と歌うこのポジティブな曲は、そういった背景がある。新里の歌声が、そっと寄り添うようにあたたかく会場を包み込んでいた。結成25周年イヤーに入ったHY。その間に生み出された曲たちは、どれも大切な宝物のような曲ばかりだが、ライブで披露できる曲は限られてしまう。でも、この夜は、これまであまりライブではやってこなかった曲を、大切に届けていたのが印象に残った。そして、ライブでは定番の「AM11:00」へと続いていく。ライブを通して、“シンカー”(沖縄方言で“仲間”の意味)と絆を深めてきたHYにとって、毎回、この曲を一緒に歌う時に会場がひとつになる、あの景色がここでも感じられた。いつでも、どんな会場でも瞬時に会場全体を一体化させるエネルギーを持った曲だ。客席の人たちが掲げる手が、前後左右に気持ちよさそうに大きく揺れていた。本編のラストは、昨年11月に配信リリースされた「LOVE」。この曲は、沖縄の子供達の未来を支援するためのプロジェクト「ハイ祭〜子どもの居場所フェス〜」のテーマソングとして、子供達と一緒に曲作りをした曲。新里は、「僕たちは愛から生まれてきました。そんな皆さんに、特別な愛を届けたいと思います」と言って歌い始めた。途中には、ウチナーグチ(沖縄方言)で、いつの時も手を取り合って“ゆいまーる”(沖縄方言で“助け合い”の意味)の心で……と告げる口語(くどぅち)も入る沖縄らしい曲。この曲を歌い終えて、メンバーはステージを去った。客席からのアンコールの歌声を受け取って再びステージに上がったHY。アンコールでは、この日から配信された「366日(Official Duet ver.)」が初披露された。冒頭にも書いたが、フジテレビ系月9ドラマ『366日』の主題歌となる曲だ。新里と仲宗根という互いに個性と存在感のあるボーカルと、そのふたりの歌声が重なった瞬間に生まれる音世界がHYの魅力のひとつだが、このデュエットバージョンでは、「366日」の主人公の男女の揺れる心の状態を、ふたりのツインボーカルとハーモニーによって、さらに世界観を広げていた。終演後、ステージ横のスクリーンに、HY25周年のメンバーのメッセージと共に、今後の予定が発表された。今年9月から来年にかけて、全国ツアー『HY 25th Anniversary TOUR』のスケジュールが映し出された瞬間、大きな歓声が湧き上がった。4年に一度、366日になる特別な日に行われた『HY 366DAYS Premium Live』。いつものHYとは少し雰囲気の違う大人の空気感の中でのライブだった。それは、HYにとっても、“シンカー”にとっても、あたたかい歓声とたくさんの笑顔に溢れた、いつまでも記憶に残るプレミアムな一夜になったに違いない。文:伊藤博伸<公演情報>『HY 366DAYS Premium Live』2月29日(木) 東京・ビルボードライブ東京(1日2回公演)1stステージ:開場 16:30 / 開演 17:302ndステージ:開場 19:30 / 開演 20:30【セットリスト】01. 初雪02. さよならまたね03. あの日のまま04. 至近距離恋愛05. I LOVE YOU06. 花束07. 僕がキミを08. AM11:0009. 風になって花になって10. LOVEEN. 366日(Official Duet ver.)<配信情報>「366日(Official Duet ver.)」※フジテレビ系月9ドラマ『366日』主題歌配信リンク:<ライブ情報>『HY 25th Anniversary TOUR』9月22日(日) 沖縄・那覇文化芸術劇場 なはーと 大劇場9月28日(土) 東京・ひの煉瓦ホール(日野市民会館)9月29日(日) 東京・かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール10月12日(土) 愛知・名古屋市公会堂 大ホール10月13日(日) 静岡・焼津市大井川文化会館 ミュージコ10月26日(土) 千葉・印西市文化ホール10月27日(日) 埼玉・狭山市市民会館11月9日(土) 兵庫・神戸文化ホール 大ホール11月10日(日) 奈良・なら100年会館 大ホール11月23日(土) 新潟・上越文化会館 大ホール11月24日(日) 福井・敦賀市民文化センター 大ホール12月7日(土) 宮城・仙台電力ホール12月8日(日) 岩手・花巻市文化会館 大ホール12月14日(土) 熊本・熊本城ホール メインホール12月15日(日) 福岡・福岡サンパレス ホテル&ホール1月18日(土) 香川・サンポートホール高松 大ホール1月19日(日) 高知・高知市文化プラザかるぽーと 大ホール1月25日(土) 山口・渡辺翁記念会館1月26日(日) 島根・島根県芸術文化センター グラントワand more<フェス情報>『HY SKY Fes 2024』3月22日(金) 前夜祭3月23日(土) DAY13月24日(日) DAY2場所:沖縄県総合運動公園 多目的広場
2024年03月01日04 Limited Sazabysが、対バンツアー『MYSTERY TOUR 2024』の最終公演を2月15日(木) に愛知・Zepp Nagoyaで開催。そのオフィシャルレポートが到着した。幕が下りるその瞬間まで何が起きるか分からない。よく映画のCMで「この物語の結末は映画館でしか分からない」みたいな煽り文句を見るけれど、結末も何も、ライブ当日まで、いや当日どころかライブが始まるその瞬間まで、ゲストが一切明かされない対バンツアー、それが04 Limited Sazabysの発明、『MYSTERY TOUR』だ。2020年の初開催では新型コロナウイルスの影響でツアー途中での開催中止という苦渋の決断となった『MYSTERY TOUR』だが、あれから前に前に進む為に、当時の悔しさの糸口を何度も探して、諦めることを諦めてここまできたから、4年という月日を経て『MYSTERY TOUR』が帰ってきたのだ。今回の『MYSTERY TOUR 2024』は2024年1月12日の神奈川は川崎CLUB CITTAを皮切りに全11公演、会場に集まったファンだけでなく、毎回対バン相手がSNSのトレンドにあがるなど、音楽で、ライブハウスで、エンターテイメントしまくってきたフォーリミ。様々な予想がSNSで飛び交う中、coldrain、マカロニえんぴつ、四星球、Saucy Dog、SHANK、My Hair is Bad、マキシマム ザ ホルモン、KEYTALK、東京スカパラダイスオーケストラ、岡崎体育というフォーリミだからこそ実現したゲストが各地のファンを熱狂させた。そして2024年2月15日。ツアーファイナルはフォーリミの地元である愛知県、Zepp Nagoya。開演前、フロアからは『MYSTERY TOUR』最後のゲストの予想を話し合う声が会場のいたるところから聞こえてくる。フォーリミの地元ということもあり、彼らの仲間や後輩のバンドマンも沢山遊びに来ていて、彼らもまた、この後誰が登場するかで盛り上がっている姿を見かけた。もうこの時点で超エンターテイメントだし、もう誰が来たって正解だ。かく言う自分も絞りに絞って3アーティスト予想をしながら開演を待つ。普段のライブハウスでのドキドキに、特別なワクワクをプラスした気分。期待と緊張がマックスに上り詰めたその時、会場に鳴り響いたのはライブハウスで何度も何度も何度も何度も聴いてきた、そしてその直後には必ず物凄い熱狂が待っている唯一無二のSE「Molih ta, majcho i molih」だった。「BRAHMAN!!」と声が出た。そして自分でもびっくりしたけれど出したことのない声で叫んでいた。人は本当に驚いたとき声なんか出ないと思っていたけれど、考える暇もなく叫んでいた。いや、でも待て。ちょっと待て。まだ段ボールの可能性もある。福岡公演で10-FEETのSEで四星球が登場したことが現場だけでなくSNSでも大きな話題となっていただけに、まだ信じられない。最後まで信じられない。でも、だけど、目の前の信じられない光景に今度は言葉を失う。そこにいたのは紛れもなくBRAHMANで、この数年間を象徴するような、そしてBRAHMANというバンドの持つ静と動が共存した「Slow Dance」を歌詞の映し出される紗幕の中で歌う姿がそこにはあったのだ。Photo:Tsukasa Miyoshi(Showcase)「望まれてる、望まれてねえ、関係ねえよ。呼ばれたらどこでも、地獄でも、全力で、BRAHMAN始めます!」と哮るTOSHI-LOWの咆哮。紗幕が落ち、「賽の河原」「SEE OFF」「BEYOND THE MOUNTAIN」と繰り広げられる怒涛のBRAHMANのライブに息を飲むフロア。中でも印象的だったのは活動初期から歌い続けている「THE SAME」で繰り返される「行動」という言葉の響き方、届き方だ。Photo:Tsukasa Miyoshi(Showcase)知るために、知るための行動。それはBRAHMANというバンドを体現する言葉でもあり、その在り方、生き方をフォーリミのファンに「BRAHMANのライブ」を経験させることで体験させたことであって、きっと何かの、そして大きなきっかけになったと思う。行動こそ真実だと歌い続けるBRAHMANの真髄を、きっとフォーリミは自分たちの大切なファンに体験させたかったのだと思う。この日、TOSHI-LOWはフォーリミに対して「ライブハウスを愛しているバンドだし、いいバンドだなと思っている」「悔しさをバネにできる強いバンドだと思った。心の通じるバンドだと思っている」と語っていた。後半は「逆光」「LOSE ALL」「CAUSATION」「PLACEBO」と、ワンマンライブでも中々聴けないレアなセットリストを披露。フォーリミからのリクエスト曲を盛り込みメンバーを歓喜させたBRAHMAN。若い世代に対して、先に生まれたものとして、先にきっと向き合うこととなる別れを「PLACEBO」で投げかける姿も脳裏に焼き付いている。Photo:Tsukasa Miyoshi(Showcase)「いいバンドのファンは優しいね。今日はありがとう」と誰よりも優しい表情で語りかけ「いつだって最高なのは今夜!」と披露した「今夜」は、まさにフォーリミと作り上げたこの日のことを歌っているかのようだった。『MYSTERY TOUR 2024』で全国各地に沢山の驚きと楽しみをデリバリーしてきた04 Limited Sazabys。その表情には絶対的なスーパースター感、圧倒的なヒーロー感が宿っていて、それでいてバンドを始めたばかりの頃と何も変わっていないキッズ精神を持ち合わせているのがこの4人の最大の魅力だと思っていて、今回のツアーのゲストを決めるのも、今回のツアー自体も、BRAHMANを観終わったばかりの今も、誰よりもフォーリミ自身が楽しんでいるからこそ、ゲストも、関係者も、僕らも、みんながみんな楽しくて仕方ない。Photo:ヤオタケシ心配ばかりだったあの頃を抜けて、ありふれて溢れた安心を取り戻したライブハウスで思いっきり遊ぶ。この日、フォーリミは「fiction」からライブをスタートさせたけど、言ってしまえば『MYSTERY TOUR』はフィクションみたいなノンフィクションの連続のツアーで、そうやってフォーリミはいつだってライブハウスでどうやってみんなを喜ばせるかってことに大袈裟でもなんでもなく命を懸けているんだと思う。Photo:ヤオタケシ「fade」「knife」「Alien」と畳みかける武装モードのフォーリミ。あの頃、挑戦だったZepp Nagoyaがいつしか彼らのホームと呼べる場になって、そこで沢山のフォーリミのライブを観てきたけれど、BRAHMANを名古屋にシークレットで呼んで、全部巻き込んで自分たちの世界を作り上げるフォーリミに溜まらなく頼もしさを感じた。その上で興奮を隠しきれない4人の姿にもつい嬉しくなってしまう。「Kitchen」や「Galapagos II」の遊び心も、何かが変わりだした頃の「Now here, No where」も、それを確信した「climb」も、フォーリミがどうやってここまできたかを物語っているよう。個人的な捉え方だけれど、『Marking all!!!』期の楽曲が小学校の同級生なら「Any」は中学に入学した頃に最初に出来た友だちだと思っていて、そんな「Any」も満員のZepp Nagoyaで歌われて嬉しそう。昨年15周年を迎え、16年目に突入したフォーリミにはこうやってどんどん楽曲とも長い付き合いになっていて、その楽曲にそれぞれファンの数だけ思い出が宿っていると思うと音楽って凄い。奇危機怪界なバンドシーン、『MYSTERY TOUR 2024』を振り返っても本当に多種多様なバンドが並んでいて、GENが言っていた通りまさに「俺たちの友だち自慢」だけれど、そんな友だちに、バンドマンたちにGENは「俺たちのお客さんを自慢したかった」とも語っていた。例えば今日、BRAHMANがフォーリミのファンの前でライブをして、TOSHI-LOWは「いいバンドのファンは優しい」と言っていた。そしてこの日集まったフォーリミのファンでBRAHMANのライブを初めて観た人もきっといると思う。友だちの友だちは友だちだっていう噂はきっと本当で、フォーリミは自分たちの周りを繋いで点だったものを線にして、それが縁になって、いつか大きな円になる。YON FESなんてまさにそう。そうやってフォーリミは人と人を繋いできたんだと思う。「Harvest」で彼らは自分たちのファンを全員幸せにする宣言をしたと思っている。そのひとつが沢山の出会いを作り上げた『MYSTERY TOUR』だと思う。フォーリミがずっと歌い続けている「先に進む」ということ。その為には旅の仲間が欠かせなく、そうやって道連れた仲間たちと物語を進めていく。Photo:ヤオタケシ「Feel」を聴きながら『MYSTERY TOUR 2024』に出演したバンドたちの顔が浮かぶ。戦士も魔法使いも僧侶も遊び人もみんな居て思わず笑ってしまう。これからもフォーリミには沢山の友だちを自慢して欲しいし、その友だちにフォーリミのファンを誇って欲しい。「monolith」がまるでドラゴンクエストで仲間が増えたときのような祝福のメロディに聴こえた。アンコールで演奏したのは「Buster call」「Squall」「Remember」そして「758」。ライブを始めるとき、彼らがいつも、いつまでも、「名古屋の04 Limited Sazabysです」と言うその意味や経緯が詰め込まれたような4曲を、BRAHMANに名古屋のライブハウスで見せることが出来たことも物凄く感慨深いものがある。こうやってここまできたし、そうやってこれからもやっていく。面白いことを考えてみんなを楽しくさせる。Photo:ヤオタケシPhoto:ヤオタケシ名古屋の04 Limited Sazabysが作り上げたワクワクドキドキ『MYSTERY TOUR 2024』で生まれた数々の伝説がまたライブハウスを、ライブシーンを先に進める。Text:柴山順次(2YOU MAGAZINE)<公演情報>04 Limited Sazabys『MYSTERY TOUR 2024』2月15日(木) 愛知・Zepp Nagoyaセットリスト■04 Limited Sazabys01. fiction02. fade03. knife04. Alien05. Kitchen06. Galapagos II07. Now here, No where08. climb09. Any10. Grasshopper11. kiki12. 夕凪13. milk14. Honey15. Harvest16. Feel17. monolithアンコール18. Buster call19. Squall20. Remember21. 758■BRAHMAN01. Slow Dance02. 賽の河原03. SEE OFF04. BEYOND THE MOUNTAIN05. SHADOW PLAY06. THE SAME07. 逆光08. LOSE ALL09. CAUSATION10. PLACEBO11. 今夜『MYSTERY TOUR 2024』特設サイト
2024年02月22日役替わり朗読劇『5years after』ver.10が、2024年2月20日(火) に東京・赤坂レッドシアターで開幕。そのオフィシャルレポートが到着した。2月20日の昼公演では、20歳の水川啓人を室龍太、25歳を久保田秀敏、30歳を谷佳樹が演じた。大学生の水川啓人がミュージシャンを目指すことから始まり、とある出会いがきっかけで、違う人生で成功を収め、またあるきっかけで人生が大きく動いていく。ジェットコースターのような物語が三章構成で描かれる。この朗読劇のルールは、「台本から目を離さない」「椅子から立たない」こと。身体表現を極力排除し、声だけで様々な人物を表現する。作中では、それぞれが演じる5年ごとの啓人に加え、両親や大学の友人など、個性的なキャラクターが次々に登場。「オタクっぽい社長」や「年下の可愛い系彼女」、「年上のクール系彼女」といったト書きをもとにそれぞれが自由な解釈で演じる。60分の公演で60役が登場するため啓人以外の登場時間はそう多くないが、強烈な印象を残すキャラクターも多かった。「椅子から立たない」というルールはあるが、それぞれが足の組み方や座り方を変えたり椅子の背もたれに足を乗せたり、物語やキャラクターを想像させるための工夫を凝らす。だが、「役者同士で目を合わせない・台本から目を離さない」という制限があるため、キャスト同士はお互いが何をしているかわからない。観客が3名の声でシーンを想像するのと同じように、キャスト同士もそれぞれの声を聴いて想像しながら芝居を合わせていく様子が面白い。テンポのいい会話劇に客席が沸いたり、谷の振り切った芝居に室が笑いを堪えていたり、久保田や室が「椅子から立たない」というルールギリギリのラインを攻めたり。コミカルさ満点だが、両親とのシーンなどではグッと心を掴む。思い切り笑い、本作のテーマであり作中でも度々出てくる「enjoy your life!」について考えさせられる朗読劇だった。そして、本編の後は30分間の“反省会”が行われた。本作のプロデューサーである難波利幸がMCを務め、まずは役の振り返りからスタートする。開始早々ボケを連発する室と久保田、自身もボケつつツッコミを入れる谷、3人のボケをスルーして進める難波のコンビネーションに、客席からは大きな笑い声が。この日は1回目の公演らしく稽古場や舞台裏、3人の関係性が伝わるトークも。室と久保田のボケを谷が全て拾い、関西人の室が「(谷のツッコミが)早いわ~、これだから関西人嫌やねん!」といじる仲の良いやり取りに笑い声はどんどん大きくなっていく。本来は10分程度で終わる予定だったというコーナーだが、トークが盛り上がりすぎてこの時点で20分程に。来場者へのプレゼントコーナーを挟み、エピソードトークに進む。12公演で幼い頃から順に話していくそうで、この回は幼少期から小学生の思い出をそれぞれが語った。室は「小さい頃は全く喋りませんでした。でも今も人見知りです。稽古1日目とかそうだったじゃないですか」と語るが、久保田は「えっ?」と困惑気味。どんどん脱線していく話に谷が「皆さん本番の話覚えてます?(記憶から)消えましたよね」と客席に尋ねる一場面も。「最近一番好きな食べ物はなんですか」という質問に悩む室に客席から「可愛い」という声が上がると谷が「可愛いの?」と不思議そうにしたり、久保田の「フルーツで言うと実家で作っているあまおうを食べました」という答えにふたりが「マジ!?すごい!」と食いついたり。作品についての理解を深められ、キャスト陣の人となりや生い立ちにも触れられるトークだった。本作は公演ごとにキャストが演じるキャラクターの組み合わせが変わり、その日の公演に合わせて反省会の内容も変化する。次はどんな本編と反省会になるかワクワクし、「また見たい!」と感じさせられた。文・撮影:吉田沙奈(写真は全て反省会より)また、次回公演「役替わり朗読劇『5years after』ver.11+反省会『3actors talk』」が、2024年5月21日(火) から26日(日) に赤坂レッドシアターで上演されることが決定した。<公演情報>役替わり朗読劇『5years after』ver.10作・演出:堤泰之音楽:細川圭一【出演】室龍太久保田秀敏谷佳樹日程:2024年2月20日(火)~25日(日)会場:東京・赤坂レッドシアター公式サイト:役替わり朗読劇『5years after』ver.11作・演出:堤泰之音楽:細川圭一【出演】■前半チーム(5月21日(火)~23日(木))松本幸大三好大貴森山栄治■後半チーム(5月24日(金)~26日(日))今江大地佐伯亮南圭介日程:2024年5月21日(火)~26日(日)会場:東京・赤坂レッドシアター
2024年02月21日Omoinotakeが、ストリートライブ『#NoBuskNoLife 2024 Valentine Special』を2月14日(水) に東京・渋谷MODIで開催。そのオフィシャルレポートが到着した。2月14日、バレンタインデーの渋谷。紙袋を持った人たちが行き交う。そんな街中に、突如、生演奏が鳴り響いた。渋谷のストリートから駆け上がってきたOmoinotakeが、久しぶりに渋谷の路上に立つことがSNSで発表されたのは前日13日のこと。開催日時は14日の18時半、場所は「渋谷某所」。「とりあえずその時間に渋谷にいたらOmoinotakeのライブが見られるかも」と、ファンの期待を掻き立てる。当日、渋谷MODIのスクリーンにOmoinotakeの映像が映し出された。そして18時半、スクリーンの真下にある渋谷MODIの広場からOmoinotakeの音楽が渋谷を染めた。Omoinotakeは、現在放送中のTBS系 火曜ドラマ『Eye Love You』の主題歌を担当しているピアノ・トリオバンド。主題歌の「幾億光年」は、Spotify急上昇チャート1位、Apple Music、LINE MUSIC、Spotifyにおける国内ストリーミングチャートTOP10入り、iTunesダウンロードランキングJ-POPジャンルにて1位を獲得するなど、各ストリーミングチャートにランクインしている。そんな注目を浴びるタイミングで、このサプライズ企画が実施された。「渋谷のみなさん、こんばんは!Omoinotakeです!」という挨拶から、最初に演奏したのは「幸せ」。誰かに想われること、誰かを想うこと――そんな「愛」や、タイトル通り「幸せ」について歌った、人の心の尊さを音楽に変え続けてきたOmoinotakeを象徴する1曲。ライブは渋谷MODIのスクリーンでも放映され、交差点で信号を待つ人たちは揃えて顔を上げている。次に奏でられたのは、愛や恋の甘さと苦さを歌う「Bitter Sweet」。《チョコレート》など、バレンタインにぴったりなワードが街中に放り投げられる。そして、「ハッピーバレンタイン!」と藤井怜央(Vo,Key)が挨拶を挟んで、離れてしまった人を想う「惑星」。今日この街には、甘い香りに包まれている人もいれば、苦い想いを胸の内に隠し過ごしている人もいるだろう。そのどちらも取り残すなく、一人ひとりの今日の物語とOmoinotakeの音楽を交差させていく。そして、「初めてお客さんの前でこの曲を演奏させていただきたいと思います」という言葉から、「幾億光年」をライブ初披露。レオのハイトーンヴォイスと深い愛を綴った言葉が渋谷の街を射抜いていく。「ありがとう!」という言葉で「幾億光年」を締めくくると、この日一番大きい拍手が湧き起こった。最後は、未来への愛を祈る「心音」で終了。愛や人間の多面性を掬い上げるOmoinotakeなりのラブソングを全5曲鳴らし、バレンタインの渋谷を彩った。Omoinotakeにとって渋谷は、2017年頃からストリートライブを重ねてきた場。ライブ中に「またやりたいな、ストリートライブ」と藤井が漏らしていたが、ミュージシャンにとって過酷な場であるはずのストリートがOmoinotakeにとっては愛着のある場にもなっている。なぜなら、ストリートは彼らにとってはたくさんの「愛」をもらった場でもあるから。さらにいえば、ストリートで「人を振り向かすことのできる音楽とは何か」を模索し続けたからこそ、多くの人の心を掴む楽曲を生み出す術を知り、今がある。本企画はYouTubeでもライブ配信されていたが、Omoinotakeはコロナ禍に「無観客オンラインストリートライブツアー」をテーマに『#NoBuskNoLife』と題し、銭湯、海辺、ビルの屋上など様々な場所からライブ配信を実施。画面越しに、直接会えない人たちと音楽でつながってきた。そんなOmoinotakeが、渋谷や配信ライブを通じてリスナーからもらった「愛」を贈り返すようなバレンタインプレゼント――それが、2月14日に行われたサプライズ企画『#NoBuskNoLife 2024 Valentine Special』だった。Text:矢島由佳子Photo:Daikichi Motouchi<リリース情報>Omoinotake ニューシングル『幾億光年』2月28日(水) リリースOmoinotake『幾億光年』ジャケット●初回生産限定盤(CD+Blu-ray):2,530円(税込)※三方背スリーブケース仕様●通常盤(CD):1,100円(税込)【CD収録内容】※初回生産限定盤 / 通常盤1. 幾億光年(TBS系 火曜ドラマ『Eye Love You』主題歌)2. アクトレス3. 幾億光年(Instrumental)4. アクトレス(Instrumental)【Blu-ray収録内容】※初回生産限定盤のみ■Omoinotake ONE MAN TOUR 2023 “Ammolite” 2023.10.6 @Zepp DiverCity (TOKYO)1. Blessing2. Ammonite3. 夏の魔法のせいじゃない4. 渦幕5. トートロジー6. 幸せ7. オーダーメイド配信リンク:予約リンク:<ライブ情報>Omoinotake『春の大三角ツアー 2024』3月2日(土) 愛知・名古屋CLUB QUATTRO開場17:00 / 開演18:003月3日(日) 大阪・梅田CLUB QUATTRO開場16:00 / 開演17:003月14日(木) 東京・渋谷CLUB QUATTRO開場18:00 / 開演19:00Omoinotake『SPECIAL LIVE 2024 "エアレンデル"』4月28日(日) 大阪・大阪城音楽堂開場16:00 / 開演17:00チケット情報()オフィシャルサイト:
2024年02月19日音楽専門誌『ミュージック・マガジン』が選ぶ、2023年の「日本のロック部門」1位に選ばれた君島大空。そして、「J-POP/歌謡曲部門」1位のQUBITが初共演するイベント、『[1×1]〜MUSIC MAGAZINE BEST ALBUM 2023』が開催された。場所は新宿の真ん中にオープンしたZepp Shinjukuで、豪華な顔ぶれに惹かれてフロアは満員。そこにオープニングアクトで登場したのは、『ミュージック・マガジン』の「J-POP/歌謡曲部門」2位に選ばれたシンガー、Hana Hopeだ。ノースリーブのドレスを着てフェミニンな装いで登場したHana Hopeは、彼女のアルバムにも収録されているYMO「CUE」のカヴァーを披露。エレクトロニックなバンド・サウンドに伸びやかな歌声が映える。Hana Hopeこの日、彼女は新曲「leave me blind」を含む5曲を披露。観客に声をかけながらライヴを引っ張り、ラスト・ナンバー「Your Song」では観客が彼女の歌に合わせて手を振る。歌が風のように会場を駆け抜けていく爽やかなステージだった。続いて登場したのがQUBIT。メンバーは、Daoko(ヴォーカル)、永井聖一(ギター)、鈴木正人(ベース)、網守将平(キーボード)、大井一彌(ドラム)の5人で、この日は全員が白いシャツで統一。ステージのスクリーンにオープニング映像と音楽が流れるなか、永井のギターのカッティングを合図に「Big Mouth」へ。大井の前のめりのドラムに導かれて曲はめまぐるしく展開。Daokoは2本のマイクを使い分けて歌い上げる。Daoko(QUBIT)そこからスキャットが印象的な「G.A.D.」へ。この曲もジェットコースターで迷路を突っ走るような緩急に富んだ曲で、間奏部で網守が弾く華麗なピアノ・ソロも絶品だ。網守将平(QUBIT)鈴木正人(QUBIT)ライヴが始まってから息つく暇もなくバンドは超絶技巧のアンサブルを聞かせるが、そんななかで異彩を放ったのが「Distance Dance」だ。アイドル・ポップのように始まりながら、突然、曲は重低音が響き渡るベース・ミュージックになる。Daokoはロリータ・ヴォイスと低声を使い分けてシアトリカルでゴシックな世界を生み出した。そこから、昨年12月に開催した初ライヴで披露した新曲「Netizen Baleriac」へ。ギターが曲を引っ張るダンサブルな曲でバンドが一丸となって強烈なグルーヴを生み出していく。そこにはサイケデリックな陶酔感もあって、その熱い演奏に観客は沸いた。永井聖一(QUBIT)大井一彌(QUBIT)ライヴの後半はQUBIT版シティ・ポップとも言える「Neon Diver」。アニメのミュージック・ビデオとの共演も楽しい「Mr.Sonic」、Daokoのラップが炸裂する「Beautiful Days」とポップなナンバーを繋ぎ、最後は2月21日にリリースされる新曲「コンタクト」を披露。親しみやすいメロディーを持ったこの曲は「NHKみんなのうた」でOn Airされ、QUBITの新たな一面を見せてくれた。去年の初ライヴでは難易度が高い曲を初めて人前でやることもあって、演奏に緊張感を感じさせたQUBIT。しかし、この日の演奏はバンドとしての一体感や力強さが増し、それぞれの曲のアレンジは細かく手が加えられてさらに進化。バンドはひとまわり逞しくなっていた。そして、最後に登場したのは君島大空。この日は、西田修大(ギター)、新井和輝(ベース)、石若駿(ドラム)を引き連れた「合奏」形態だった。メンバーは横一列に並び、君島は右端に立つ。そして、ピンスポットが当たって君島はジミヘンばりにギターをかき鳴らす。そこに切り込んでくる、石若の抜けがいいドラム。ライヴは「都合」で幕を開けた。そこからファンキーなギターが弾ける「散瞳」へ。メンバー4人の演奏がぶつかって火花をちらす。君島大空合奏形態続く「回転扉の内側は春?」で君島はギターからキーボードにチェンジ。甘いメロディーを変拍子のドラムがバラバラに切断していく。この最初の3曲で君島はZeppを自分の色に染め上げた。合奏はジャズのように各パートが絡んで緊張感に貫かれたアンサンブルを生み出しているが、その根底に流れているのはロックのエモーショナルな高揚感だ。そして、演奏がどれだけ激しくても君島は囁くように歌い、そこに不思議な色気が漂っている。攻撃的な曲を3曲続けた後に演奏した「19℃」は、そんな君島のメロウさが伝わる曲で、観客は甘い歌声に静かに耳を傾けた。そして、イントロで雷や雨の音を流して「春の嵐の音が聞こえてきた」と君島が呟いて曲が始まる「嵐」では、ヴォイスチェンジャーを使用してモダンなポップ・センスを垣間見せたりと、どの曲も個性的だ。君島大空そして、ライヴ終盤は一段とロック度がアップ。ブルースの匂いが漂う「遠視のコントラスト」では2本のギターが絡むなか石若のドラム・ソロが轟き渡る。続く「No heavenly」はグランジ・ロックを彷彿させる歪んだギター・サウンドで観客を圧倒し、そこからヘヴィでグラマラスな「crazy」へと流れこんでステージは幕を閉じた。しかし、拍手は鳴り止まず、「QUBITがアンコールをしていいって言ってくれたんで」と言って出てきた君島は「沈む体に空が溢れて」を演奏。眩いばかりのギター・ノイズが渦巻くシューゲイザー・サウンドが会場を満たした。QUBITと君島大空はどちらも多彩な音楽性とオルタナティヴな実験精神、そして、優れた演奏技術を持っている点は共通しているが、音楽から伝わる感触は違う。QUBITは様々な音楽性を記号のように組み合わせてエディット。情報に溢れる都市を音楽で表現したようなモダンで過激なポップ・センスを、テクニカルな演奏でクールに支えている。一方、君島の音楽は、モダンな感覚を吸収しながらも生々しくて艶やか。そこには常にプレイヤーの体温が感じられる。どちらも1位にふさわしい実力とオリジナリティを持っていて、それぞれファースト・アルバムが1位に選ばれたというのもすごい。オープニングアクトを務めたHana Hopeも含めて、日本のポップ・ミュージックの可能性を感じさせる刺激的なイベントだった。Text:村尾泰郎
2024年02月14日2024年1月29日(月)、下北沢CLUB Que。2022年4月に産声を上げ、幾多の若手アーティストをフックアップしてきたぴあ主催イベント『Grasshopper』の記念すべき第20回公演が開催された。当日に極東飯店が体調不良により出演キャンセルとなってしまい、急遽CULTURES!!!とまなつの長尺ツーマンへと形を変えた本公演。初対面だからこそ互いに全力をぶつけ合い、そして認め合う両バンドの心意気が、観客の拳を自然に上げさせた。対バンの醍醐味をこれでもかと詰め込んだような、ハートフルでドラマチックな一夜の様子をお届けする。CULTURES!!!急遽ツーマンとなった今回のライブの先攻はCULTURES!!!。佐藤駆(Vo/Gt)の「どうぞよろしく!」という一言からCULTURES!!!らしい爽やかさと疾走感が心地よい「ランナーズハイ」で観客を巻き込んでいく。シンガロングが印象的な「Goodbye my Drive」に続いて始まったのは「DIVE」。佐藤の「飛び込んできてくれてありがとう!」という言葉通り、CULTURES!!!を初めて見る人も多かったが、それでも多くの人が手を挙げ体を揺らしていた。続く「2017」では梅本聖(Gt/Cho)と横山公紀(Ba/Cho)が前に出てイントロから力強く音を鳴らす。サビではテンポを落として佐藤の声がまっすぐに観客に届いた。出演が叶わなかった極東飯店に触れ、「CULTURES!!!を初めて見る人もいると思うけど、後悔させません」と語ると、そのまま田櫓聡汰(Ds/Cho)が奏でるキャッチーなリズムがクラップを誘う「SPRINT!!!」へ。転がるような勢いそのままに始まった「Blue」では、梅本のソロの後ろで佐藤、横山、田櫓がアグレッシブに動く。続いて、先ほどまでとは変わって、一歩一歩確実に歩んでいくようなテンポの「Journey」から、佐藤の弾き語りで始まる「hikariare.」へ。曲の終盤でテンポが上がり、観客の手が挙がる。「バンドを長く続けるほど、年を重ねるほど、惨めになると思っていたけど、そうじゃなかったんですよね。信念を持ってちゃんと続けていれば大丈夫です」「俺の歌は、俺やあんたがどん底にいるときに救ってくれると、俺がまず信じています」というMCから勢いよく「Pray for me」へ。「騙されたと思って信じてCLUB Queに来てくれてありがとう!」と歌詞を変え、ギターを掲げる佐藤の姿に心が熱くなる。「ラスト1曲!」「歌え!!」と始まったのは「ぼくらの戦争」。「エレキギターに任しとけ!」と佐藤が叫ぶと梅本がギターをかき鳴らす。「俺らに任してくれ!」の言葉に、CULTURES!!!がいれば、今後何があってもやっていけそうだ、と強く思う。急遽追加された高速の「ランナーズハイ」で、会場の熱気は最高潮へ。「これがCULTURES!!!だ!また会いましょう!」と、最後まで風のように駆け抜けた。まなつ2番手に登場したのは、町田出身3ピースバンド・まなつ。「やろうぜ!下北!!」といって登場し「旗揚げ」から勢いよくスタート。1曲目から観客は体を揺らし、アリー(Gt/Cho)のギターソロに拳を上げる。そのまま、ほたて(Ds/Cho)の陽気なドラムで「レボデス」に突入。フロアへ身を乗り出し、観客を煽り最高の盛り上がりに。最新曲「アイライブユー」は真っ直ぐなラブソングをいたやボーイ(Ba/Vo)のハスキーな歌声で観客へ届ける。「ロマンチックな曲を」との紹介から始まった「あたたかくなった頃には」。表現が甘くて切ないが、そんな中にもまなつらしさを存分に感じる楽曲だ。続けて、シンバルのカウントから華麗なスタートを切ったのは「ドロップ」。勢いのあるサビが始まると観客は跳ねながら拳をステージに向ける。3人で目配せをして始まる「光芒」。一言一言に気持ちを乗せるような歌い方が印象的だ。「懐かしい風のように」では「みんないつもありがとう」と観客へ伝え、マイクを握りしめて歌う様子に胸が熱くなった。MCでいたやボーイが「ただバンドを続けるのではなく、信念を持って、みんなの背中を押し続けたい」と熱く語る。今回対バンが叶わなかった極東飯店への想いも語り、さらにこのスリーマンを見たい気持ちが強まった。弾き語り風に始まり、サビで一気に転調する「赤く染まる日々」、いたやボーイが「あんたのことはあんたが救ってやる人生であれ!」と叫び「ヒーロー」をプレイ。勢い余ってベースのストラップが取れるハプニングに、CULTURES!!!佐藤がフォローに入る場面もあり、会場中が笑顔に。「今のじゃ格好つかないから」と急遽追加で「レボデス」を演奏した。終演後のアンコールに応え、再び登場し「夢でみたような」を披露。「極東飯店とのリベンジも必ずここ下北沢で!」と宣言し、まなつらしくド派手に締めくくってくれた。互いが最大瞬間風速を毎秒更新していくような化学反応的ギグとなったGrasshopper vol.20。このイベントで生まれた3バンドのつながりがこれから何かを巻き起こしていく予感がしたのは、きっと私だけではない。それぞれのバンドの活動の先で、いつかこのスリーマンが再び実現することをだれもが願ってやまない、そんな一夜となった。Photo by 清水舞★まなつ、CULTURES!!!、極東飯店によるリベンジ公演の開催が決定!『Grasshopper vol.20~Re-jump~』() と題し、4月22日(月)下北沢DaisyBarにて開催イベント公式サイト:
2024年02月13日本日アニメ『豚のレバーは加熱しろ』のBlu-ray&DVDリリースを記念した、メインキャスト出演によるバレンタインイベントが行われました。『豚のレバーは加熱しろ』について『豚のレバーは加熱しろ』は、逆井卓馬による日本のライトノベル作品。イラストは遠坂あさぎが担当。第26回電撃小説大賞《金賞》を受賞し、累計発行部数25万部を記録する。2020年3月より電撃文庫より刊行中。TVアニメは2023年10月よりTOKYO MX、BS11ほか各局で放送され、2024年2月5日(月)に最終話となる12話も放送・配信されました。メインキャスト松岡禎丞・楠木ともり出演!アニメの振り返りからラジオ名物コーナーまで!本日、アニメ『豚のレバーは加熱しろ』のBlu-ray&DVDリリースを記念し[『豚のレバーは加熱しろ バレンタインイベント』が開催されました。イベントにはメインキャストである豚役の松岡禎丞さん、ジェス役の楠木ともりさんの2名が出演。作品の世界観を表すため、会場一面には床一面に敷かれた芝生が準備されました。またバレンタインデー直前ということもあり、イベントに参加した約200人のファンには、豚の記念チョコレートが入場時に配布されました。冒頭大きな拍手と共に出演者のお二人が登場。芝生環境もあり、今日の歓声は豚の鳴き声にする提案アナウンスがされ、2人と来場者の皆さんとの、豚の鳴き声である「ンゴッ」のコールアンドレスポンスからイベントがスタートしました。まずは先日2月5日(土)に最終話の放送を迎えたアニメについて、2人からは全12話を終えた感想が寄せられました。そして、アニメ放送時期に配信されていた、物語の振り返り配信番組である『豚のレバーを振り返れ!』も今回のイベントで観客を前に実施されます。改めて、松岡さん・楠木さんがアニメ全12話から印象に残ったシーンをピックアップし、ファンと一緒にアニメを振り返りました。第1話:豚がジェスと一緒に歩きながら心の声が漏れてしまっているシーン松岡さんからは第1話より、豚がジェスと一緒に歩きながら心の声が漏れてしまっているシーンが披露され、実は豚の演技は当初クールなキャラクターづくりだった等、アフレコ時の裏話も明かされました。楠木さんからは、第10話より、暗闇での豚とジェスの会話のシーンがピックアップ。スクリーンに映る数々の厳選された場面に、会場でも絶えず歓声が起きていました。最後に披露されたシーンは、2人とも選んだ第3話のラストシーン。豚とジェスの会話からエンディングテーマに移る名シーンに会場からも、多くの方が反応していました。続く「豚の欲望」コーナーは、放送期間中2人がパーソナリティを務めた「豚のラジオは加熱しろ」より、ファンからの「自分の表に出せない欲望」に、楠木さんが素直な感想を述べていく番組内でもお馴染みの企画です。事前に寄せられたメールの中で「推しについて語りたい欲望」では楠木さんの「面白いことは積極的にまわりに薦めたほうがいい」という意見に、会場のファンも多くの方が賛同していました。SNSで一般募集を行った「豚のカメラ」コーナーを経て、イベントはいよいよ今回のメインイベントとなるクイズコーナー「クイズブタオネア」の時間へ。ラジオ番組内でのコーナー「豚の気持ちを理解しろ」にて、松岡さんの豚の鳴き声の台詞の、日本語の意味を当てる、という深層心理を探るコーナーで、レギュラー放送内では、常に連戦連勝をしてきた楠木さん。賞品をかけて本日最後の戦いに臨みます。松岡さんの見事な豚の鳴き声に苦戦をしながらも、会場からのオーディエンス等のフォローもあり、見事に全問正解を達成。見事豚のお菓子、4ケースを獲得することができ、会場は大きな拍手に包まれました。最速公開!遠坂あさぎ先生描き下ろしイラスト一気解禁!そして、お知らせのコーナーでは、新規イラストが数々公開となりました。まずは、3月8日発売となる『豚のレバーは加熱しろ(n回目)』と『遠坂あさぎ画集Lumiere)』に収録予定のイラストが会場で初解禁に。『豚のレバーは加熱しろ(n回目)』の口絵イラストは、ジェスとセレスのドレス姿。更に、『遠坂あさぎ画集Lumiere』からは、画集に合わせて掲載される逆井卓馬先生書き下ろし小説『水着を見なきゃ帰れない』に連動した水着描き下ろしイラストも公開になりました。そして、Blu-ray&DVDアニメ『豚のレバーは加熱しろ』からは、全巻購入特典となる描き下ろし全巻収納BOXのイラストが公開になりました。最後には、2月28日発売のBlu-ray&DVD3巻のアニメ・イラストのジャケットが公開になりました。全巻収納BOX(表)全巻収納BOX(裏)「豚のレバーは加熱しろ 3」ジャケットイラストイベントのエンディングのコーナーでは、松岡さんからは「これからも『豚のレバーは加熱しろ』の応援をよろしくお願いします」、楠木さんからは「今日も皆さんと一緒に振り返りながら、1クール作品を楽しむことができて嬉しかった」と、作品やイベントを振り返ってのコメントが寄せられ、バレンタインイベントは終了となりました。今後も続いていく『豚のレバーは加熱しろ』の、原作やアニメなど各展開に、ぜひご期待ください。イベント情報アニメ『豚のレバーは加熱しろ』Blu-ray&DVDリリース記念バレンタインイベント●日時:2024年2月10日(土)13:30開場/14:30開演●出演者:松岡禎丞(豚役)・楠木ともり(ジェス役)作品情報◆スタッフ原作:逆井卓馬(電撃文庫/KADOKAWA刊)原作イラスト:遠坂あさぎシリーズ構成:赤尾でこキャラクターデザイン:渡辺 奏サブキャラクターデザイン:倉橋N濘プロップデザイン:ヒラタリョウ美術設定・美術監督:中村嘉博(デザインオフィスメカマン)色彩設計:吉里修耶CGディレクター・2D:濱村敏郎(ワイヤード)撮影監督:杉山大樹(project No.9)編集:丹 彩子(グラフィニカ)音響監督:立石弥生音楽:末廣健一郎・MAYUKOアニメーション制作:project No.9監督:高橋雅之◆キャスト豚:松岡禎丞ジェス:楠木ともりノット:伊東健人セレス:富田美憂ブレース:能登麻美子◆主題歌オープニングテーマ:ASCA「私が笑う理由は」(SACRA MUSIC)エンディングテーマ:Myuk「ひとりじゃないよ」(Sony Music Labels Inc.)◆WEB公式サイト: 公式SNS: ©2023 逆井卓馬/KADOKAWA・アニプレックス・BS11 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2024年02月10日フレデリックは1月21日に『FREDERHYTHM TOUR 2023-2024 “WELL 噛 ONE”』ファイナル公演を札幌・Zepp Sapporoで開催した。昨年夏にフロントマン・三原健司(Vo./Gt)(以下健司)がポリープ摘出手術を受けてから挑んだ初のツアー。「噛めば噛むほど味がする音楽」「一人ひとりへ」という意味を込めたツアータイトルを冠した昨年からの旅路は、最終地点となった極寒の札幌をどのように彩ったのか。原点を見据えながら新たなページへ進む彼らの姿と共に、ある地点においてフレデリックというバンドが日本の音楽シーンの頂点に立っていると「思わされた」夜をレポートする。雪が深々と降る札幌の光景とは180度異なり、開演前からどこからどう見ても超満員に熱気が蠢くフロア。待ち構えるオーディエンスは、緞帳の閉まった会場に鳴り響いた「ペパーミントガム」のアンビエントなアレンジで別世界に誘われた。高橋武(Ds.)の深いスネアが息を吞む会場に鳴り幕が開くと、白い衣装に身を包んだ健司が登場。会場を貫く彼の絶唱が響き渡ると、ビートがスローダウンし轟音が鳴る。歓声が上がると共に、赤頭隆児(Gt.)のカッティングが鳴って飛び込んだのは「熱帯夜」だ。瞬間点火したフロアを大量のレーザーが切り裂き、会場はたちまちレッドゾーンへ突入。三原健司(Vo./Gt)ここから「フレデリズムツアーファイナルはじめます、どうぞ宜しく」と「オワラセナイト」を放って最初のブロックは終了となるのだが、この時点で明白だったのは、彼らが人力で織りなすダンスビートの強度。当然初期の頃に比べるとシンセサイザーなどのバンドサウンド以外もプラスしたライヴ編成にはなっているのだが、兎に角にもバンドそのもののグルーヴが凄まじい。そして、そのグルーヴは高速のダンスミュージック以外でも存分に発揮されることを目撃することになる。明白なシーンとなったのが、彼らがシーンへ登場するきっかけとなった楽曲「SPAM生活」。三原康司(Ba.)(以下康司)のサイケデリックなベース、<死んだサカナのような眼をした/サカナのような生き方はしない>というリフレインフレーズが脳内をグルグルとかき回す、デビュー当時にして既にフレデリックとしての個性が確立している楽曲なのだが、彼らは今のモードで同楽曲を自由に泳ぎ回っていた。三原康司(Ba.)特にBメロの展開においてBPM(簡単に言えば楽曲の速度)を可変させながら緩急をつけたアレンジを施し、オーディエンスを異世界へ誘っていたのだが、彼ら自身がその遊び心をステージ上で一番楽しんでいるように見えたし、健司の歌声に康司のコーラスが加わった時の音圧の強みも、初期から持ち合わせていたものだったことを再認識できるステージング。原点ともいえる楽曲で見せた彼らの姿は、高速のダンスビート以外でも会場を飲み込むグルーヴを持つ証明のような時間であり、この日のセットリストを通してみると、最終的に非常に「辻褄」が合うシーンとなっていて、その部分は後述したい。赤頭隆児(Gt.)ピークの連続となるように作られたセットリストもステージ演出も非常に完成度が高く、前述したレーザーの演出はもちろんのこと、ステージ背面に並べられたロゴの設置物を使用しての音ハメしながらの照明演出や映像演出は、五感に対してのアプローチとしての効きが明白だった。「ラベンダ」では、メロウな音像の中に仕込まれた細やかなキメに対して照明演出が楽曲全体のダイナミズムを強めていたし、「オドループ」や「スパークルダンサー」など、いわゆるフレデリックの必殺技としてのダンスロックの際には、会場のテンションを全開に引っ張る存在してステージを彩っていた。つまり端的に言えば、演奏面でも演出面でも非常に丁寧に作り込まれたツアーだったのだが、この日はファイナルということもあり、そのグルーヴは最高潮に達していた。そして何よりも、健司のヴォーカルのキレが際立つ。ステージ上で「歌が楽しい」「調子がいいんですよ」と彼は何度も口にしていたが、ポリープ切除後、歌うことに対してストレスがない状態であることが起因してか、今まで以上に健司の歌を通して彼らの音楽に「ノレる」のだ。高橋武(Ds.)そもそも、今の日本のロックシーンに、日本語をここまで細かなキメと共にリズミカルに飛ばすバンドは数少ない。しかも、それがバンドセットを通したメンバー自らの演奏と歌声で強固に実現しているという点では、フレデリックというバンドは今ひとつの頂きに立っていると言えるだろう。そう実感できたのは、間違いなく健司の歌声が最高潮のモードとなったことで、バンド全体のグルーヴがバチっとハマっているから。今、彼らのバンドとしてライヴで生み出すダンスミュージックは必ず目撃した方がいい。ただし上記の点は、いわば彼らの進化の過程として予測可能な範囲。その地点を超えて、今彼らは明らかに新たなモードに立っていると言える。それは、「ペパーミントガム」と終演直後の22日にリリースされた最新曲「PEEK A BOO」に観て取れた。本ツアーの象徴的な楽曲となっていた前者は、一般的なリスナーがフレデリックに抱くイメージとは異なるミドルナンバーだったかもしれない。しかし、昭和歌謡曲のニュアンスやシティポップ的な要素は、フレデリックの初期の頃を垣間見てみれば強く発露していたもので、今絶好調の健司の歌声を最大限に生かした楽曲として、最大の効力を発揮していた。そしてリリースされたばかりの「PEEK A BOO」は、原点から今を辿ったからこそ生まれたであろう、ある種カオティックかつラディカルなものとなっている。この日彼らが「SPAM生活」をBPMを可変させてアレンジしていたように、「PEEK A BOO」でも同じ手法が使われながら、サビに入ればリスナー待望の音ハメ全開のダンスロックが待っている。だからこそ、最初期の楽曲である「SPAM生活」がこのツアーで披露されたことが腑に落ちたし、過去から今を辿るセットリストを披露したことで、フレデリックが持っている多くのモードの融合をみることができたツアー(と最新曲)は、まさに「噛めば噛むほど味がする音楽」を目指したツアー名に違わないものとなっていたと言えるだろう。6月から全国6都市を回るファンクラブワンマンツアー『Home Party Tour 2024』、対バンツアー『UMIMOYASU 2024』の開催発表をした彼ら。絶好調のバンドの運気そのままに、間違いなくバンドにとって素晴らしいページが刻まれる確信があるのだが、その理由は本ツアー名に「ONE」と入れた意味ーー健司が何度もステージから話していた「これからも一対一でやりましょう」という言葉に漲っていただろう。どんな状況となろうとも、オーディエンスに対して真っ直ぐな眼差しを持ち続ける彼らは大丈夫。完全復活を超えたフレデリック、今彼らは強い。Text:黒澤圭介Photo:西槇太一<公演情報>フレデリック『FREDERHYTHM TOUR 2023-2024 “WELL 噛 ONE”』1月21日(日) Zepp Sapproセットリスト1. 熱帯夜2. オワラセナイト3. かなしいうれしい4. 他所のピラニア5. SPAM生活6. ラベンダ7. midnight creative drive8. 虜9. オドループ10. スキライイズム11. 銀河の果てまで連れ去って!12. スパークルダンサー13. KITAKU BEATS14. ジャンキー15. ペパーミントガムEN16. PEEK A BOO17. オンリーワンダーセットリストプレイリスト:<リリース情報>フレデリック「PEEK A BOO」配信中フレデリック「PEEK A BOO」ジャケット配信リンク:フレデリック「PEEK A BOO」MV<ツアー情報>フレデリック『Home Party Tour 2024』※ファンクラブ「フレハウス+」限定6月8日(土) 仙台 MACANA6月15日(土) 広島 SECOND CRUTCH6月21日(金) 福岡 BEAT STATION6月29日(土) 金沢 vanvanV47月6日(土) 札幌 cube garden7月13日(土) 高松 DIMEフレデリック『UMIMOYASU 2024』※対バン有り6月9日(日) 仙台 RENSA6月16日(日) 広島 CLUB QUATTRO6月22日(土) 福岡 スカラエスパシオ6月30日(日) 金沢 EIGHT HALL7月7日(日) 札幌 ペニーレーン247月14日(日) 高松 festhalle■フレハウス+最速抽選先行受付:1月28日(日) 23:59まで関連リンクオフィシャルサイト::::::オフィシャルファンクラブ「フレハウス+」:
2024年01月23日2023年12月18日(月)、下北沢Daisy Barにて、年内ラストのGrasshopper vol.19が行われた。amanojac、1-SHINE、エゾシカグルメクラブの3組のバンドが集結した。三者三様の音楽を奏でる3バンドが起こす化学反応に目が離せない夜となった。amanojacバスドラムに合わせて手拍子が起こった。ギター、ベース、ドラムそれぞれの見せ場が曲頭から炸裂する『生活』。各々の個性が溢れるツインボーカルの掛け合いとリズムの変化やギターリフなど、工夫が凝らされた1曲だ。『皐月』はアップテンポで駆け抜けるような音楽が、ネガティブな感情を拭い去るようだった。そのままドラムが繋ぐ『カゲロウ』では、ギターの柔らかい音が金物のザワザワしたノイズや重苦しいベースの歪みに対して優しく浮き上がる。桐山郁弥(Ba/Vo)の力強い声が核となって、聞く人の心に訴えかける歌となった。前半戦が「剛」のセトリだとすると、中盤戦は「柔」といえる、『youth』から始まった。オオタケショウ(Gt/Vo)の歌声は会場を優しく包み込み、桐山のコーラスも雰囲気を変える。続く『夢で逢わせて』もバラードでバンドの持ち味である歌を聴かせる。綺麗なハーモニーで穏やかな気持ちにさせてくれた。広がりを持つ轟音が響き渡る会場で、頷きながら聞く観客の姿があった。9月のサーキット企画『Jump Higher』に出演したamanojacが、今回ついにGrasshopperに出演することになった。彼らは名古屋の新栄を背負って歌いにきたという。最後の1曲は『海が見えなくても』。想いにあふれたどこまでも真摯なライブに手が上がった。彼らはこの日一番のエモーショナルな音楽を聴かせてくれた。1-SHINE登場した瞬間から歓声、悲鳴、叫びが飛び交う。1曲目『BAD BOY』で会場を一気に1-SHINEのテリトリーにした。ロックバンドという冠をつけながら、その中身はロックだけではなくHIPHOPやミクスチャー系の雰囲気も入り混じる。ど真ん中ギターロックバンドとは一線を画す、音楽の表現、音楽の楽しみ方に興奮が掻き立てられた。『Say It To My Face』でも常に歓声は止まらない。メロディとラップ、日本語詞と英語詞が入り混じるスタイルはGrasshopper企画に強烈な新鮮さをもたらしていた。少しクールダウンして、『A Thousand Tears』。歌詞の一言一言のリズム感、繰り返される演奏のシンプルさに、自然と体が音楽にノり出す。続く『One Last Girl』『Alive』で、ツインボーカルのステージング、観客への煽りで会場のボルテージは上がっていく。イントロの一音目で次に演奏される曲を察知した観客は大歓声を上げる。『Crush on You』だ。ステージで楽しそうにジャンプするメンバーに釣られて、フロアの観客も飛び跳ねた。興奮を煽る解放的な音楽に会場は大きく盛り上がり、至る所から「最高!」という声が漏れ出していた。終盤戦は『TOKYO』から始まる。イントロから手拍子が起こりボルテージはさらに上がる。溢れ出す感情を惜しみなく表現するための時間が音楽の中に設けられ、人々のジャンプはどんどんと高くなっていく。最後の曲は、ざわつくギターのノイズとラップ、ロックとHIPHOPが気持ちよく融合した『2020』。そこには彼らの世界観が広がっていた。1-SHINEの音楽は観客の心を解放し、それぞれの楽しみ方を許容してくれた。エゾシカグルメクラブ夜の街に密かに流れるシティポップのような『エスパー』から、エゾシカグルメクラブのライブはスタートする。朦朧としたシンセサイザーの音がバンドの裏で流れ、メロウな音楽を編み出していた。続く『最強のおふたり』では、柔らかい雰囲気はそのままに、明るく跳ねるようなリズムでハッピーな気分を催す。サポートメンバーの結婚に際して制作したウエディング・ソングだという。池沢英(Vo/Gt/Key)の楽しそうな歌声が幸せな空気を作り出していた。『スカート』は滑らかに流れていく音楽が、タイトルにもある「スカート」を靡かせる柔らかい風を連想させる。気持ちの良い音楽が観客の心を安らげた。エゾシカグルメクラブの作るサウンドが会場に徐々に広がり会場全体を包んでいく。聴く人を誘惑しようとするその音に感覚を持っていかれそうになりながら『紫煙』を聴く。軽やかなベースのスラップ音が輪郭を持って、グルーブ感を作り上げた。観客の体は揺れ始め、手も上がっていた。歓声を浴びたステージが次に見せるのは『おいッ!』。サビのキャッチーな言葉に釣られて口ずさむ。勢いで飛び出したアップテンポなこの曲で、のびのびとしたギターソロが炸裂する。ドラムもパワー溢れるプレイを見せた。最後を飾るのは『赤い』。明るいながらもどこかエモーショナルなメロディとコードに胸がぐっとあたたかくなった。アンコールには『昨日の月にさまよえば』を。観客の姿勢が前のめりになり、エゾシカグルメクラブの音楽に心を動かされているのが伺えた。こだわりの詰まった彼らのバンドサウンドに聴き惚れた一夜だった。Text by らいれいな★ 『Grasshopper vol.20』() は1月29日(月) 下北沢CLUB Queにて開催!イベント公式サイト
2024年01月15日結成23年目のBase Ball Bearにとって2024年最初のワンマンライブとなる『新春ベースボールちゃん祭り 2024』が、1月7日に東京・EX THEATER ROPPONGIにて開催された。ワンマンライブ、といってもこれが通常のそれでないことは、開演前のステージからも明らかだった。上手には通常のライブセットが、下手にはラジオブースを模したセットが設置されている。開演時間を迎え、日本の正月における代名詞的なBGMである筝と尺八の二重奏による「春の海」が流れるなか、小出祐介(Vo,G)、堀之内大介(Ds,Cho)、関根史織(Ba,Cho)の3人に加え、袴姿の遠山大輔(グランジ)がステージに登場。Base Ball Bearと“遠山校長”といえば、かつてTOKYO FMのラジオ番組『SCHOOL OF LOCK!』を共にしていた以来の仲であることは、ファンもよく知るところだ。4人はまずブースセットに着座すると、まさにラジオでフリートークを繰り広げるような様相で話し始める。今年は辰年なので龍にちなんだ衣装をスタイリストに用意してもらったというBase Ball Bearの3人。堀之内は『龍が如く』シリーズにおける春日一番。『キル・ビル』のユマ・サーマンよろしく黄色のジャンプスーツに身を包んだ関根と、『七人のおたく』の内村光良を意識したカンフー風のセットアップを着用した小出は、“龍”というテーマが分岐してこうなったらしい。この日のライブは遠山を交えたトークコーナーと、3人のメンバーがそれぞれ個人的に今演奏したい曲をセットリストに組んだライブコーナーが交互に行われるという趣向。普段からMCもライブの重要な要素を担っているバンドゆえに早速進行が押し気味になっていくなか、遠山に「そろそろやろう!」と促され、満を持してライブコーナーへ。セクション1は関根プロデュースの3曲が披露された。「1曲目レアな曲で、エリート(コアファン)が喜ぶと思う。2曲目は1曲目を踏まえて、みんな、『うんうん』と喜んでくれるはず。3曲目はマネージャーにこれにすると言ったときに『お見事!』と言われた曲です(笑)」2010年9月リリースの3.5枚目のアルバム『DETECTIVE BOYS』から1曲目の「BOYFRIEN℃」が始まると、イントロからオーディエンスが歓声を上げる。間違いなくリリース当時とは比較にならないほどレベルアップしている盤石の演奏力、そのスリーピースバンドとしての背骨の太さを提示するようなアンサンブルが響く。そこから2006年4月リリースのメジャーデビューミニアルバムの表題曲である「GIRL FRIEND」と、2005年3月リリースのインディーズアルバム『HIGH COLOR TIMES』収録の「彼氏彼女の関係」を繋げ、バンドの原点を現在進行系のタフなグルーヴで息吹かせるような演奏を聴かせてくれた。関根史織(Ba,Cho)3曲を鳴らし終えると、メンバーは遠山が待っているトークブースに戻り、トークを再開。次のセクション2は小出プロデュースによるもので、「コンセプトは普段のライブでやったらエリートたちも気絶(反応が悪い)するはず。初めてライブに来た方には申し訳ないんですけど、ここは間違いなく気絶します(笑)」と、どこか不敵かつやや自嘲気味に笑わせた。しかし、「beautiful wall(DUB)」、「FICTION ONCE MORE」、「Tabibito In The Dark」の3曲を編んだこの小出セクションが実に素晴らしかった。テーマはBase Ball Bear流のダブであり、その先に生まれるカタルシス、とでも言おうか。「beautiful wall(DUB)」では関根のチャップマンスティックを大いに活かし、小出のボーカルアプローチも含めて深く、深く、潜り込んでいくダブ由来のサウンドを形成。「FICTION ONCE MORE」では音像がよりサイケデリックになり、リズムセクションもまたオーセンティックなループミュージックとしてのダブの快楽性を際立たせてみせる。ディープなサウンドスケープの果てにBase Ball Bearの王道に還っていくような「Tabibito In The Dark」の説得力は格別だった。小出祐介(Vo,G)トークブースに戻ってきたメンバーに向かって遠山は「音が充満している2曲があって、その先に旅人が見えた!」と感嘆した。このセクション2もまた2024年のBase Ball Bearだからこそ体現できたものである。遠山大輔とのコラボ歌唱が実現堀之内プロデュースのセクション3は「新年だから景気よくいきたいということと、昨年のニコ生で募った視聴者からのリクエストを採用した曲、そして、個人的に今やりたい曲」をピックアップ。まさに今日この日のライブにうってつけの楽曲であり関根がメインボーカルを務める「A HAPPY NEW YEAR」、加速度的にアンサンブルをドライブさせながらドラマティックな緩急もつけていく「yellow」、メジャーデビュー前とメジャーデビュー後の2パターンの音源が存在する「CRAZY FOR YOUの季節」を並べた。堀之内のオーディエンスに対するサービス精神とバンド愛が凝縮された3曲だったと思う。堀之内大介(Ds,Cho)トークブースに戻ったメンバーは、ここでオーディエンスに吉報を届ける。2月28日に6曲入りのミニアルバム『天使だったじゃないか』のリリースと、3月から6月にかけて本作を携えた全17本の全国ツアーの開催が決定。そして、ラストのセクション4では、『天使だったじゃないか』から「夕日、刺さる部屋」が初披露された。小出はトークの中で新作について「自分たちが原点の部分で影響を受けていた80年代から90年代のギターポップと向き合って作ってみた。サウンドの質感がこれまでの作品とかなり違う」と語っていたが、その言葉通り「夕日、刺さる部屋」は懐かしくもフレッシュなブリットポップの匂いと、二度と戻らない誰かのあの日、あるいは誰かの今日、という青春の輝きと陰影を濃密に閉じ込めたような楽曲だった。続いて、恐縮しきりの遠山を小出がステージへいざなう。遠山がボーカルをとるこの日だけの「どうしよう」が実現。初々しさの塊のような遠山の歌唱と、いつにも増して丁寧で優しいBase Ball Bearのアンサンブルの交わりがなんとも微笑ましかった。ラスト、「祭りのあと」を大きなスケール感と貫禄に満ちたプレイで響かせ、トークブースの締めでは来年も『新春ベースボールちゃん祭り』を開催することを約束。こうしてこの日のライブは幕を閉じた──と思いきや、オーディエンスのアンコールに背中を押されステージに戻ってきた3人は、予定になかった「ポラリス」でそれに応えた。そう、Base Ball Bearという三角形は23年目も自分たちだからこそ創造し響かせられる楽曲を追求していく。どこまでもそういうロックバンドとして生きていく。Text:三宅正一Photo:Takahiro Higuchi<リリース情報>Base Ball Bear ミニアルバム『天使だったじゃないか』2月28日(水) リリースBase Ball Bear『天使だったじゃないか』ジャケット●VICTOR ONLINE STORE限定盤(CD+Blu-ray):6,900円(税込)●通常盤(CD):2,500円(税込)【CD収録内容】1. ランドリー2. _FREE_3. Thousand Chords Wonders4. Late show5. 夕日、刺さる部屋6. Power (Pop) of Love【Blu-ray収録内容】■日比谷ノンフィクションⅩ at 日比谷野外大音楽堂 (2023.07.22)・海になりたい part.3・逆バタフライ・エフェクト・プールサイダー・short hair・SYUUU・愛してる・神々LOOKS YOU・Flame・深朝・星がほしい・Endless Etude・試される・真夏の条件・海になりたい part.2・祭りのあと・BREEEEZE GIRL・senkou_hanabi・HIGH COLOR TIMES<ツアー情報>Base Ball Bear『天使だったじゃないか 』TOUR3月6日(水) 千葉・千葉LOOK3月9日(土) 福岡・福岡DRUM Be-13月10日(日) 熊本・熊本B.9V23月22日(金) 長野・ライブハウスJ3月23日(土) 石川・金沢AZ3月25日(月) 京都・磔磔3月30日(土)神奈川・横浜BAY HALL4月12日(金) 宮城・仙台darwin4月13日(土) 岩手・盛岡CLUB CANGE WAVE4月20日(土) 岡山・IMAGE4月21日(日) 広島・Reed4月26日(金) 大阪・BIGCAT4月27日(土) 愛知・BOTTOM LINE5月10日(金) 北海道・札幌 BESSIE HALL5月11日(土) 北海道・帯広 REST5月17日(金) 香川・高松DIME6月2日(日) 東京・Zepp Shinjuku (TOKYO)<イベント情報>『ROCK or LIVE!-ロックお笑い部-Vol.3』1月27日(土) 大阪・GORILLA HALL OSAKAOPEN16:30 / START17:30出演:Base Ball Bear / ダウ90000チケット情報:()関連リンクオフィシャルサイト:::
2024年01月10日佐々木亮介(a flood of circle)がリスペクトするアーティストを招き、浅草フランス座演芸場東洋館という印象的な会場で弾き語りを行う興行「雷よ静かに轟け」の第四夜。今夜のゲストは古市コータロー(The Collectors)。自身のバンド、The Collectorsのギタリストとして以外にも様々な活動を行ってる古市。2022年の春には5枚目のソロアルバムもリリースし、ツアーや様々なライブも行っているロック界の巨人である。そんな古市がまず壇上に登場。万雷の拍手で迎えられ、「会場のつくりなのか、拍手がすごく響きます。今日は寒い中、どうもありがとう。わたくし、古市と申します」と、前口上。そこから少し、年が明けるということの話題など、The Collectors加藤ひさしとの人気ポッドキャスト番組『池袋交差点24時』で聴けるようなローテンションで軽妙なトークをしつつ、「さて行きましょう!宜しくお願いします!」とライブは始まった。山口冨士夫のカバー曲「錆びた扉」からスタートし、自身のソロアルバムの曲「それだけ」へと続く。ソロでは、筒美京平や三木たかしらの作曲家や松本隆らの作詞家といった昭和歌謡の巨匠たちが作るようなテイストを、ストレートロック多めで調理してるような楽曲も多い古市。佐々木亮介が「コータローさんは色気の塊」と言うように、楽曲にも歌詞にも色気が溢れている。そんな楽曲群を弾き語りで次々に披露。途中、中島みゆきのカバー「狼になりたい」を挟みながら、力強く「I’m a Dreamer」を披露した後、古市はこう言った。「この曲は意外と歳食ってから作った曲なんだけど。でも、歳とってI’m a Dreamerって言い切りたいなと思ったんだよね。なので皆さんも夢を諦めないでください。夢なんて若い頃は陳腐な夢が多いけど、もっと身近な夢ってあるよね。それでいいと思うんだ。うまく言えないけど。これ亮介がうまく言ってくれるよ」と。また、途中挟むMCでは、小さい頃浅草に住んでた話、記憶力の話、物価の話、アルバイトの話など、この演芸場でマイク1本で勝負してる芸人さんたちにも負けないトークも展開。また、佐々木亮介に対しては、可愛い可愛い後輩で、歳も随分下だけど、俺らがやってきたような事を受け継いでくれるスピリットがあるんじゃないかなと思ってて、彼のことは大切に思ってると評した。そして最後は王道ロックなギターリフも印象的な「Mountain Top」を披露。終始大人の色気と余裕が溢れるようなステージを見せ、佐々木亮介にバトンタッチした。会場BGMがフェードアウトし、続いて拍手に迎えられ登場したのは今夜のホストである佐々木亮介。左手の緑茶ハイを一口煽ってからギターを抱え、おもむろに歌い始めたのは「月面のプール」。ロバート・ジョンソンの伝説を思わせる歌い出し「十字路で出会った悪魔がこの先の宿命(さだめ)をあざ笑っても」「進むしかないんだそれに抗ってるんだ君はどう思ってる?」の歌詞は、圧倒的な先輩である古市を相手に勝負を挑む、この夜への決意表明のようだ。青い照明に染められながら1曲目を歌い上げ、「佐々木亮介です、よろしくどうぞ」とようやく挨拶をすると、張り詰めるようだった会場の空気は一転、拍手に包まれる。その拍手を巻き込みながらすぐにギターをかき鳴らし、「浅草フランス座演芸場東洋館Blues」へ。イベントのホストでありながら「挑戦者のターンが始まる」と自らを鼓舞し、観客の手拍子とともにギターソロを披露して会場を盛り上げた。続けて、今夜のライブを「これは俺の賭け」と例え、3曲目「賭け(Bet! Bet! Bet!)」へ。ダメージスキニーから覗いた膝が今にも立ち上がって踊り出しそうに激しくステップを踏む。バンドではあまり演奏されないレアな曲を聴くことができるのも、ファンにとってはこのイベントならではの嬉しいポイントだ。MCでは、本番前に古市とウエノコウジと共に浅草の街へ飲みに繰り出し、ウエノに奢ってもらったことを語り「今日は完成形の僕ですので」と茶目っけたっぷりに笑う場面も。客席に「12月生まれの人いる?」と問いかけると、なんとライブ当日(12月22日)が誕生日の観客が答えるという偶然に驚きつつ、「じゃあ12月23日生まれの人の曲やります」と歌い出したのは「オーロラソング」。さらに観客にスレイベルを手渡し、一緒に演奏した「Christmas Time」、そして 「(このイベントには)勝てないなって人を呼んでる」「勝てない場合どうするかっていうと、ぶつかってみるっていうことですよね。……生身で」の言葉とともにプラグレスのガットギターに持ち替えて「スノードームの夜」と、続けて冬の曲を演奏した。緑茶ハイを飲みながら舞台の縁に腰掛け、ガットギターのまま続いて歌ったのは「くたばれマイダーリン」。スピーカーを通さないギターと肉声がふくよかに会場へ響きわたる。舞台と客席の境で投げ出した脚を揺らす佐々木は、歌詞も相まって、小さな部屋で独り歌っているかのようだ。かと思えば、元のギターに持ち直し、今度は自身がLiSAへ提供した楽曲「シャンプーソング」のセルフカバーを披露。自身のライブでは初演奏という意外な選曲にファンを驚かせた。続いて、真っ直ぐに立ち上がると、「自分がバンド始めた時は、The Collectorsのコータローさんと対バンする日が来るとは思ってませんでした。ウエノさんに酒奢ってもらうと思ってませんでした」と零し、「GOOD LUCK MY FRIEND」を演奏。「俺の友達バンド教えてくれた」と歌う、もう会うことのできない友人についての曲を通して、かつてリスナーとして憧れていた先輩と今夜同じステージに立っていることへの改めての覚悟を見せた。ラストスパートとばかりに間髪入れず演奏したのは、「月夜の道を俺が行く」。バンドでの定番曲としての表情とはまた異なり、まるでたった今思いついたことを捲し立てるかのような緩急の激しいアレンジは弾き語りならでは。鋭く息を吸って「死んでたまるか」と今夜で一番大きく叫ぶ姿は、格好つけも取り繕いもしていない、まさに「生身」の佐々木亮介だ。この日は佐々木が学生の頃住んでいた町を通って会場へ来たことを明かし、「自分がやってきたことでしか勝負できないなって思って……自分と」と言い、最後に「白状」を演奏。「もう疲れたんだ」「消えてしまいたい」と衝撃的な吐露から始まるものの、最後には「くたばるとこまで行こうぜ」と、この道を進んでいく覚悟を強く示す一曲だ。「勝てないなって人を呼んでる」の言葉通り、圧倒的な大先輩の古市を相手にした勝負であると同時に、これは佐々木にとって佐々木自身との勝負の場でもあるのだ。バンドとしては間もなく結成18周年を迎えるキャリアでありながら、いつでも勝負を仕掛け続けてきた佐々木の弛まぬ貪欲さがこのイベントの根幹にある。「白状」を演奏し終え、拍手に包まれた佐々木は古市を再びステージに招き、セッションへ。揃いのギターストラップに腕を通し、軽口を叩き合う二人の様子から、互いへの愛とリスペクトが伝わってくる。「俺、いつかきっとこうなれるんでしょうか」「亮介なら超えますよ、僕を。軽々と!」の掛け合いから、二人で古市の楽曲「いつかきっと」をセッション。演奏を終えた二人は、拍手喝采の中、舞台上で握手とハグを交わした。さらにこれで終わりかと思いきや、 「アンコールです!」と佐々木を指差してから退場するという古市の粋な計らいで、佐々木は最後に「Honey Moon Song」を演奏。ボリュームたっぷりの濃厚な一夜となった。佐々木亮介が素晴らしいミュージシャンを招き、愛とリスペクト、そして佐々木のストイックな貪欲さで以て一夜限りの勝負が繰り広げられる本イベント。次回は3月29日(金)開催とのことで、いったいどんな対決となるのか目が離せない。Text:迫田太郎/藤木桃Photo:新保勇樹<公演情報>佐々木亮介弾き語り興行“雷よ静かに轟け”第四夜2023年12月22日(金) 浅草フランス座演芸場東洋館セットリスト■古市コータロー01 錆びた扉(山口冨士夫カバー)02 それだけ03 Fall in Love Again04 そんなに悲しくなんてないのさ05 Heart breaker06 狼になりたい(中島みゆきカバー)07 I’m a Dreamer08 サワーの泡09 Mountain Top■佐々木亮介01 月面のプール(a flood of circle)02 浅草フランス座演芸場東洋館 Blues03 賭け(Bet! Bet! Bet!)(a flood of circle)04 オーロラソング(a flood of circle)05 Christmas Time(a flood of circle)06 スノードームの夜(a flood of circle)07 くたばれマイダーリン(a flood of circle)08 シャンプーソング(LiSA)09 GOOD LUCK MY FRIEND(a flood of circle)10 月夜の道を俺が行く(a flood of circle)11 白状(a flood of circle)■Sessionいつかきっと(古市コータロー)■EncoreHoney Moon Song(a flood of circle)<ライブ情報>『佐々木亮介弾き語り興行 “雷よ静かに轟け”』第五夜2024年3月29日(金) 浅草フランス座演芸場東洋館開場 19:00 / 開演 19:30チケット情報:()オフィシャルサイト:
2024年01月10日