4月からの電力自由化で、ついに私たち一般の消費者が電力会社を選べる時代になりましたね。どのように選ぶかについてはさまざまですが、「できれば自然エネルギーで作られた電力を買いたい」という基準で選ぶ方もいるのでは? 今回の自由化で、自然エネルギーで発電された電力を購入するために、知っておきたいことをまとめてみました。100%自然エネルギーで作った電気だけを買うことはできない自然エネルギーとは、太陽光、風力、地熱、小水力、バイオマス発電などのことで、再生可能エネルギー(以下再エネ)とも呼ばれています。日本では、今のところ約12.6%がこうしたエネルギーによって発電されています。(2014年度 大規模水力発電含む)(注1)風力や太陽光は、天候次第で発電量が大きく変動するから不安定といわれますが、電気の質が変わったり、停電しやすくなったりといった心配はあるのでしょうか。電力会社は、需要と供給の電気の量をつねに一定にしなければいけません。風力や太陽光発電などの大きく変動する電力は、発電量の微調整が可能な火力発電と組み合わせるなど電力会社で調整がおこなわれます。万一、発電所などにトラブルがあった場合も、地域電力会社(東京電力など既存の電力会社)との間で契約しているため、停電の心配はありません。電気の質は原発でも太陽光でも、発電方法に関わらず同じです。2020年に発送電分離が始まるまでは、これまで通り、地域電力会社の送電線を使って送られてきます。電気は送電線で混ざってしまうため、実際には再エネ発電の電力だけが必ず家庭に届くというわけではありません。ですが、再エネ発電事業を行っていたり、再エネ発電の電気を積極的に購入したりしている会社から電力を購入することで、再エネの比率の高い電気を購入することができます。(注1)内訳 水力8.2% 太陽光2.2% バイオマス1.5% 風力0.5% 地熱0.2%出典:自然エネルギー白書2015 サマリー版 認定NPO法人環境エネルギー政策研究所自然エネルギーで調達した電気=「FIT電気」をチェック電力会社がどういった電力を供給するのかを調べるときは、「電源構成」を調べればわかります。電源構成をみると、「FIT電気」という見慣れない言葉があるかもしれません。この言葉、何のことだかわかりますか?FITは2012年7月にスタートした固定価格買取制度(Feed-In-Tariff)の略称です。「FIT電気」は、この制度によって交付金を受けた再エネ発電による電力のこと。「自然エネルギー」とか「クリーン電力」といった環境にやさしいイメージの言葉を使ってはいけないと決められています。なぜでしょうか。固定価格買取制度(FIT)では、再エネで発電した電力は、電力会社が一定期間、固定価格で買い取らなければなりません。私たちが月々電力会社に支払っている電気料金には、使用した電気料金のほかに「再エネ発電賦課(ふか)金」が課せられていますよね。(平成28年度は2.25円/kWhに決定)利用者全員から徴収した賦課金と、電力会社が発電をしないですんだとみなして算出される「回避可能費用」をもとに、その年の買取価格が決まるというしくみになっています。「国民全体から集めたお金で売買されるFIT電気を、それぞれの会社が環境によさそうな付加価値をつけて販売するべきではない」ということで、「FIT電気」もしくは「FIT(太陽光)」などの表示の仕方が義務化されました。交付金によってまかなわれている電力という意味の「FIT電気」に対して、「再生可能エネルギー」と書かれているものは、FIT制度を利用しないで調達した電力ということになっています。なお、東京新聞の調査によれば、首都圏でホームページなど消費者がみられる形で公表している電力会社は、3割にとどまっているとのこと。(2016年3月26日)今のところ、電源構成の開示は義務ではないため、載せていない電力会社のほうが多いのが現状です。契約を検討している電力会社が開示をしていなければ、問い合わせてみましょう。再生エネの電気代は高くつく?今後どうなっていくのかはわかりませんが、現時点ではこれまでの電気代と同じくらいか、少し安い価格設定が中心で、再エネだからといって特別高いわけではありません。現在の日本のエネルギー自給率はたったの6%。残りの94%は海外からの輸入に頼っているのが現状です。原子力や、CO2排出量の多い化石燃料に頼らず、自然エネルギーで電力を自給自足できるようになれば、社会のしくみも大きく変わっていく…そう考えて未来に投資するつもりで、自分に合った電力会社を探してみるのもひとつの手です。新電力会社で再生可能エネルギーを重視している会社家庭向け電力プランの申し込み受付を始めている、再生可能エネルギーの発電や買取に力を入れている新電力会社をいくつか紹介しましょう。(2016年3月時点の内容です)・ Looopでんき 再生エネ6% FIT電気20% その他74%2016年5月31日申し込み分まで基本料金0円・ みんな電力 ホームページ上での電源構成の公表は準備中FIT電気(太陽光)55% 非FIT電気(太陽光)15% 常時バックアップ30%(2016年2月実績概算)応援したい再生エネ発電所を選ぶと料金の一部が支援される・ ソフトバンクでんき(SBパワー) FITでんきプラン FIT電気57% リサイクル発電5% 卸電力取引所5% その他14%メガソーラー発電所あり・ 株式会社生活クラブエナジー 生活クラブ生協に加入する組合員世帯対象。2016年10月~本格運用開始風力発電所、メガソーラー発電所設置 バイオマス発電提携。再生エネ30~60%予定 ・ 生活協同組合コープさっぽろ(トドック電力) コープさっぽろに加入する組合員世帯対象。FIT電気60%の「FIT電気メニュー」あり。・ エコスタイルでんき ※現状非公開。ホームページ上での公開を検討中。再生可能エネルギーの生産比率は現状12.6%再生可能エネルギーは日本全体で12.6%しか作られていないので、供給量の多い会社ほどFIT電気の比率は低くならざるを得ません。また、現時点では再エネ100%の会社もありません。常時バックアップ用の電力が必要なためです。今後、バイオマスや地熱発電などでバックアップが可能になれば、100%再エネを供給する会社も出てくるかもしれません。ほかにも今後、家庭向けへの配電の準備を進めている電力会社はありますが、地域電力会社による接続保留の問題や、FIT制度の変更によって、苦戦を強いられているところも多いようです。再エネ発電に関心を持つ人が増え、再エネ発電の市場が活発になっていけば、今後もっと選択肢が増えていくことでしょう。
2016年04月01日間もなく始まる電力小売自由化。4月1日の解禁に向け、関係省庁や参入各社が広報活動を活発化させているが、ユーザーの動きはどうなっているのだろうか。マイナビニュースの読者300人に「電力小売自由化」について聞いた。○電力自由化、どれくらいの人が検討している?読者(n=300)に「電力会社の乗りかえを検討しているか」を尋ねたところ、「検討している」は31.6%、「検討していない」は68.3%となった。乗りかえを検討している人(n=95)のうち、「賃貸住まい」は24.3%、「持ち家住まい」は35.9%だった。○どの会社に乗りかえる?続いて「乗りかえを検討している」と回答した人(n=95)に、「具体的な乗りかえ先」について質問した。その結果、「具体的にどの電力会社にする決めている」と回答した人は55.7%、「検討しているが、どの電力会社に乗りかえるかは未定」と回答した人は44.2%だった。それぞれの回答について、まずは乗りかえ先が具体的に決まっている人(n=42人)の意見から紹介する。■エネルギー系・「大阪ガス。セット割引が安い」(建設・土木/事務・企画・経営関連/男性/57歳)・「東京ガス。ガス料金と合わせて払うと今よりもお得になる。Tポイントと交換できるから」(サービス/営業関連/男性/40歳)・「東京電力の価格と東京ガス等の新規価格を比較して、総合的に安ければ乗りかえたいと思っている」(その他/事務・企画・経営関連/男性/50歳)・「東燃ゼネラル石油。全体の料金が下がるから」(その他/その他・専業主婦等/女性/30歳)・「東邦ガス。床暖房割引があるから」(ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職/男性/26歳)・「ガス料金と合わせて払うと今よりも得。今まで競争のない環境下にいた電力会社に、民間会社であることの自覚を持たせたい」(その他/その他・専業主婦等/女性/61歳)■通信系・「SoftBank。Tポイントが貯めやすいから」(その他/その他・専業主婦等/男性/50歳)・「パソコンの電源をずっとオンにしているのでできるだけ安いところを探している。またauひかりを利用しているので、auと東電の比較をしているところです」(ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職/男性/58歳)・「家族全員がau回線を使用しているため、ユーザーとして、auでんきを検討している」(その他/その他・専業主婦等/女性/22歳)・「J:COM。J:COMファン」(建設・土木/IT関連技術職/男性/52歳)■その他・「HTBエナジー(H.I.S.系列)。関西電力よりも常に5%安い価格というのが分かりやすく、今より高くなることはないので安心できるから」(専門店(その他小売)/販売・サービス関連/男性/40歳)・「大和リビング。家賃支払いと一緒の引き落としになり、料金も現行よりも安くなるということで」(その他/その他・専業主婦等/女性/29歳)・「東急(東急パワーサプライ)。沿線に住んでいるから」(通信関連/IT関連技術職/男性/34歳)・「現時点での最有力は東京電力。いくつか試したシミュレートで一番安くできるかもしれないから」(サービス/販売・サービス関連/男性/46歳)○決まっていない人は何を重視する?「検討しているが乗りかえ先はまだ決めていない」という人(n=53)のコメントは以下のとおり。■乗りかえ先は未定だが安くなるから変更したい・「まだ決まっていないが、安い会社に変更をするつもり」(農林・水産/技能工・運輸・設備関連/男性/27歳)・「乗りかえ先は検討中。料金が安く信頼できる企業にしたいと考えている」(広告・出版・印刷/営業関連/男性/55歳)・「乗りかえ先は未定。年間数千円違う会社を探している」(百貨店/販売・サービス関連/女性/42歳)・「現在検討中だが、どこを選んでも現在より安くなると思うので」(その他/その他・専業主婦等/男性/40歳)■その他・「できるだけ公共料金を一本化したい」(その他/その他・専業主婦等/女性/69歳)・「原子力の比重が高い電力会社を止めたいが、乗りかえ先を迷っている」(日用品・雑貨/事務・企画・経営関連/男性/54歳)・「いくつかの選択肢として考えることで、電気料金の勉強にもなる」(ガラス・化学・石油/事務・企画・経営関連/男性/32歳)○総評「電力小売自由化で、8兆円を超える市場に200を超える会社が新規参入し、電力を消費者自身が選べる時代になる」と鈴木淳司経済産業副大臣がイベントで力説したように、電力小売自由化は国をあげて実施される60年ぶりの大改革だ。アンケートの結果、「電力会社の乗りかえはしない」という意見が多数派となったものの、約3人に1人が乗りかえを検討していることがわかった。また、持ち家住民の方が乗りかえに前向きな傾向にあるようだ。新しい電力会社について、乗りかえを検討している人の半数以上は既にどこの会社にするか目星をつけている。具体的には、東京ガスや大阪ガスなど都市ガスが提供するサービスへの乗りかえを検討している人が目立つ。安いだけでなく、公共料金をまとめて支払えるというところも選択の理由にあがった。他にはauやSoftBank、H.I.S.など、セットでお得になるプランを提供する企業も候補に入っている。一方、「乗りかえたいが電力会社はまだ決まっていない」という人は約4割。「今よりも料金が安くなること」を選定基準としている人が多いが、それ以外に重視する要素としては、「信頼性」「利便性」「発電方法」などが寄せられた。各社がポイント付与や独自のセット割り引きなど、魅力的なプランを発表していることもあり、選ぶのは一筋縄ではいかないだろう。ただし、乗りかえ先を焦って決めてしてしまうと、結果的に損をする可能性もある。節約アドバイザーの丸山晴美氏が指摘するように、「抱き合わせでの割引は本当にお得か」「2年縛りなど、解約時のルールはどうなっているか」といったポイントを事前にしっかりとチェックしおく必要がありそうだ。調査時期: 2016年2月29日~3月3日調査対象: マイナビニュース会員調査数: 男性191名 女性109名 合計300名調査方法: インターネットログイン式アンケート※画像は本文とは関係ありません。
2016年03月24日ゲインは3月16日、「電力自由化の動向調査」の結果を発表した。対象は全国4,700人。期間は2016年2月19日~22日。○電力自由化興味度、電気代「1万4,000円~2万円未満」の層が最多に「2016年の4月から始まる『電力自由化』について知っているか」を聞いたところ、全体では55.2%で「名前を知っている程度」が最も多かった。次いで「内容を知っている」(39.1%)、「知らない」(5.7%)となった。「電力自由化にどれくらい興味があるか」を聞いたところ、全体では52.3%が「興味がある」(「とても興味がある」+「やや興味がある」)、20.6%が「興味がない」(「あまり興味がない」+「まったく興味がない」)となった。電力エリア別にみると、「興味がある」の割合は56.7%で「東京電力エリア」が最も多くなった。次いで「関西電力エリア」(54.0%)、「北海道電力エリア」(53.9%)と続いた。都道府県別では、「興味がある」の割合は1位が「千葉県」(61.0%)だった。次いで2位は「京都府」(58.9%)、3位は「東京都」(58.1%)。以降4位は「神奈川県」「鹿児島県」(ともに57.0%)となった。一方、最下位は「富山県」(33.0%)だった。平常時における電気代の層別に聞いたところ、「興味がある」の割合は63.7%で「1万4,000円~2万円未満」の層が最も多くなった。次いで、「2万円以上」(57.9%)、「6,000円~8,000円未満」(57.4%)、「1万円~1万4,000円未満」(56.8%)が上位にあがった。一方「興味がない」では、23.8%で「2万円以上」が最も多くなった。次いで「4,000円未満」(22.1%)、「4,000~6,000円未満」(20.2%)となった。
2016年03月22日電力自由化で、毎月支払う電気代を安くおさえることが出来るようになっても、電力のムダ遣いをしていては意味がありませんよね。せっかくのこの機会に、家電の省エネ性能を見直してみましょう!そこで今回は、デザインと機能性の高い家電がそろう、二子玉川 蔦屋家電の住コンシェルジュ・久保雄一さんと、食コンシェルジュ・築野由佳さんにインタビュー!スタイリッシュな節電家電と、この春おすすめのミニ家電を紹介していただきました。■オーディオ×LED電球! 省スペースで省エネ久保さん:春の買いかえを機に見直してほしいものの一つが、照明です。LED電球は、省エネなだけではなく、寿命が長いので頻繁に交換しなくていい、熱を持ちにくいなど白熱球に比べてメリットが多いんです。おすすめしたいソニーの『LED電球スピーカー LSPX-100E26J』は、LED電球とBluetoothスピーカーが一体化したアイテム!いま使っている電球と同じように、照明機器に取りつけるだけで使うことができます。取りつけた機器のランプシェードの素材によって、音の響きが変わるのもおもしろいですよ。明るさは全光束360lmで調光も可能と、照明としてもしっかりと使える。それでいて、消費電力は約9W(LED約7W +スピーカー約2 W)なのも特徴です。■冷蔵庫は年間10,000円もムダにしているかも…!―家電の買いかえと言えば、冷蔵庫。なかなか壊れるものでもないので、タイミングが掴めません。築野さん:冷蔵庫の寿命は一般的に10年ですが、10年前と最新モデルの年間電気代を比べると、10,000円近く差が出ることも! 買いかえで、省エネが実感しやすい家電ですね。冷蔵庫は大きめのサイズを選ぶのがおすすめです。冷蔵室は食材をつめこまずに余裕を持たせると、冷気が効率よく循環し、ムダ無く庫内を冷やせて省エネになります。―容量が大きいと価格も高いのでは?確かに大容量モデルは価格が高いですが、最新の省エネ技術を搭載しているので、小容量よりも年間電気代が安くなる傾向です。おすすめは、4人家族なら日立アプライアンスの『R-X5200F』。517Lと大容量ながら、1年間の電気代がおおよそ4,320円(160kWh/年)と、かなり低いことがわかります。また、日立は食材の鮮度を保てる「真空チルドルーム」など、食材の廃棄ロスの軽減につながる独自機能にも注目です!■ドラム式洗濯機はヒートポンプ式。電気代3/4カット!―ドラム式洗濯機も気になっているのですが、省エネ性能はどうですか?久保さん:ドラム式洗濯機にはヒーター式と、ヒートポンプ式がありますが、後者のほうが省エネ。ヒートポンプ式は庫内の湿った空気を熱交換器(ヒートポンプ)で除湿し、再び庫内に送りその風で乾かす方式で、ヒーターを使わないぶん電気代が抑えられるんです。おすすめはパナソニックの『ドラム式洗濯乾燥機 NA-VX5E3L-W』。例えば、家族4人の1日の洗濯物量を6kgとして、これを洗濯から乾燥までさせても、電気代は約16.5円(610wh)。ヒーター式の4分の1の電気代で済みます。また、軽い汚れの化繊衣類(1kgまで)なら60分で洗濯・乾燥が完了するコースを搭載しているのもポイントです。子どもの体操服や給食着、スポーツウェアなど、急ぎで洗い、乾かしたい衣類があるときも安心ですよ。―こんなに電気代に差がでるなんて驚きです。いろいろなお話を聞いていると、家電を見るのが楽しくなってきました! 後編 は、春のおすすめミニ家電です。わずか0.2秒で立ち上がる、おしゃれなオーブントースターも登場!二子玉川 蔦屋家電「ライフスタイルを買う家電店」をテーマに、BOOK&Cafeの空間の中で、家電だけではなく、インテリアや書籍なども販売し、様々なライフスタイルを提案する。売り場は食、住、美といったジャンルに分かれており、各売り場には、それぞれのジャンルの専門知識が豊富な「コンシェルジュ」と呼ばれるスタッフが在籍。「私の生活に合うのはどの商品?」などの疑問に、親身にアドバイスをしてくれます。東京都世田谷区玉川1丁目14番1号二子玉川ライズ S.C. テラスマーケットTEL:03-5491-8550 後編へつづく
2016年03月18日クロス・マーケティングは3月15日、全国47都道府県に在住する18~69歳の男女を対象に実施した「電力小売りの全面自由化に関する調査」の結果を発表した。同調査は、全国の18歳以上69歳以下の男女で、学生を除く世帯主およびその配偶者を対象として2月17日・18日の両日にインターネットを通じて実施したもの。有効回答数は5,000人。まず、電力会社切り替えの検討意向では、「検討したい」と「やや検討したい」が計45.1%、「検討したくない」と「あまり検討したくない」が計14.9%と、検討意向がある回答者が多い結果となった。検討意向が無い人にその理由を尋ねると、「手続きが面倒だと思う」が41.6%で最多となった。つぎに、電力会社切り替え選択の重視点では、「料金の安さ」が75.8%であり、他の項目と比べて圧倒的に多い結果となった。以下、「料金メニューのわかりやすさ」(47.0%)、「簡便な手続きで契約できる」(32.2%)と続く。電力会社を切り替えようと思う減額割合では、全体としては「10%低下」が41.2%で最も多いが、切り替えの検討意向別でみると「検討したくない」または「わからない」とした回答者は「20%低下」で半数弱(44.3~47.6%)が切り替えるとしている。
2016年03月16日●4月1日から始まる電力自由化2016年4月から、電力の小売全面自由化がスタートする。「我が家はおトクになるのかしら?」と各社を比較してリサーチしている家庭も多いことだろう。東京電力や関西電力といった地域の電力会社、ガス会社、通信会社などが熾烈な価格競争を繰り広げているなか、ちょっぴり異色な会社が満を持して参入した。それがLooop(ループ)である。○エネルギーを選べるようにおさらいしておくと、電力の小売全面自由化とは、「どの会社からどの料金プランで電気を買うか」が家庭でも選べるようになるということ。すでに、2000年には大規模工場やデパート、オフィスビルなどの「特別高圧」、2004~2005年にかけては中小ビルなどの「高圧」が自由化されており、今回は家庭や商店向けの「低圧」が対象となる。8兆円を超える電気小売市場に200以上の企業が参入する。となると、価格競争が起こるのは必然であり、消費者にも恩恵がもたらされることだろう。今より安いプランを選べる、ガス料金や通信費とセットでおトクになる、使用料金に応じてポイントをもらえる、電気の使い方を診断してより良いプランを提案してもらえる……このようなメリットのほかに、太陽光や風力、水力、地熱、バイオマスなどの自然エネルギーを中心に発電している会社も選べるようになる。Looopはその自然エネルギーをさらに普及させるべく、4月から「Looopでんき」をスタート。特別高圧と高圧では、すでに2015年7月からサービスを提供しているが、今回低圧でもLooopでんきを開始して自然エネルギーの使用拡大を図る。Looopでんきは、供給電力の約1/4(※)を自然エネルギーでまかなっている。そう聞くと、さぞ電気料金がかかるんだろうなと思われるかもしれないが、Looopでんきは自然エネルギーの供給と低料金を両立しているのが特徴だ。※構成は再生可能エネルギー26%(うち、国の固定価格買取制度に基づいて調達したFIT電気が20%)、そのほか74%Looopでんきでは、一般家庭向けの「おうちプラン」、事務所や商店向けの「ビジネスプラン」を用意。いずれも、5月31日までに申し込めば基本料金が0円となる(ただし、期間を延長する可能性あり)。従量課金部分はおうちプランが26円/kWh、ビジネスプランが27円/kWh。ちなみに、東京電力の一般的な料金プランである「従量電灯B・C」の従量課金部分は、最初の120kWhまでが19円43銭/kWh、120kWh~300kWhまでが25円91銭/kWh、300kWh~が29円93銭/kWhとなる。従量課金部分のみを単純に比較すると高く感じるが、Looopでんきは基本料金が0円というのがポイント。火力発電所や原子力発電所などの大規模な施設を持たないため固定費が少ない、というのが理由だ。加えて、独自の需給管理システムで発電量と需要量をそれぞれ高精度で予測し、最適な調達量を計算できるため、コストが高くなりにくい。おうちプラン、ビジネスプランともに申し込み受付は3月11日から。この日付にはLooopの思いが込められている。●電気のない被災地へ赴く○Looopのルーツ前ページではLooopでんきについて紹介したが、そもそもLooopとは自然エネルギーを発電のスタンダードにするべく、さまざまな取り組みをしている会社だ。会社名のLooopは「循環(ループ)」型社会を目指していることを示し、3つ並んだ「o」は太陽光と風力、水力をメインに事業を行う姿勢を表しているという。創業は5年前の2011年。東日本大震災の被災地に太陽光パネルを設置するボランティア活動から生まれた。Looopの代表取締役社長 中村創一郎氏は、東日本大震災が起こったとき、中国・上海に住んでいたが、「被災地では電力が分断されていると知り、日本のために何かできないかと思いました」と当時を振り返る。「ソーラーパネルを製造している友人に相談したら、パネルさえ持って行ければ、電気を使えるようになると教えてもらいました」(中村氏)。こうして被災地入りしてソーラーパネルを設置し始めた。ボランティアにとどまらず、Looop(設立当時はソーラーバンク)という会社を立ち上げたのは2011年4月4日と、震災があってから1カ月も経っていない。かなりスピーディーな印象だ。甚大な被害をもたらした津波のような自然エネルギーを有効利用できないか? と考えたのが、ボランティアから起業しようと思ったキッカケ。そういう類の技術はこれからの日本に必要なものだと確信したという。以来、Looopは「自然エネルギーをあなたのそばに」という理念のもと、成長を続けている。中村氏は「自然エネルギーは不安定だし、これまでも限定的にしか使われていない。ただ、僕自身はその不安定なエネルギーをテクノロジーの力でコントロールすれば活用できると思っています。目指すのは自然とテクノロジーの融合です」と話す。●当たり前になれば安くなる○パッケージ化された"発電所"自社の太陽光発電所も設置するとともに、被災地支援でのノウハウを生かした「MY発電所キット」の販売を開始。MY発電所キットとは、ユーザーが自分で設置できる太陽光発電所だ。必要な部材はパッケージ化され、DIY感覚で組み立てられる。自身で設置するため、導入時のコストも抑えられるのが特徴だ。中村氏は「FIT制度(固定価格買取制度)がスタートしたことでニーズが拡大したのが成長のキッカケでした」と説明する。なお、MY発電所キットの販売実績は、2015年9月時点で1,391件。kW数に換算すると110,225.54kWに上る。会社の売上高は2014年度で109億円。現在は太陽光だけでなく、風力発電や地熱発電にも積極的に挑戦しているところだ。中村氏に今後の野望を尋ねてみると、「世界で一番安い自然エネルギーを作り続ける会社になりたいです」とシンプルな回答が返ってきた。「電気代が安くなる、もしくはフリーになることで人類の創造性がもっとブレイクして、今までできなかったようなことが実現可能になると思っています。寒冷地にドーム型の人工都市を建設したり、海の中に龍宮城を作ったり……あの天空の城ラピュタも作れるようになるかもしれない。人類が未来を開拓していく一助になれるような会社にしていきたいです」(中村氏)。その先がけとして、Looopはまず国内No.1を目指し、5年以内の海外展開もねらう。○2016年は「自然エネルギー普及元年」になれるか冒頭でも触れたとおり、4月1日の電力小売全面自由化に向けて各社の料金プランが出揃ってきた。大手の事業者が積極的に広告宣伝をしているので、「電力自由化」という言葉はだいぶ浸透してきたように思う。多様な選択肢から自然エネルギーを積極的に選ぶ層は一定数いるだろう。しかし、ほか多数の人にとって、自然エネルギーは「不安定」であり「コストが高い」もの。ここをどうやって切り崩していくかが自然エネルギー普及の試金石だ。特別高圧と高圧の顧客にLooopが評価されている点は「まず価格、次に安定」(中村氏)だそうだ。低圧への参入で同じ評価を得られれば、2016年は「自然エネルギー普及元年」になれるかもしれない。
2016年03月11日パイプドビッツは3月10日、「電力小売り自由化」に関する意識調査の結果を発表した。対象は全国20歳以上の男女2,212名。期間は2016年2月26日~3月1日。○購入先に「料金の安さ」を重視「電力小売り自由化について、どの程度知っているか」を聞くと、49.5%で「聞いたことがあり、なんとなく知っている」が最も多くなった。次いで「聞いたことはあるが、よく分からない」(21.5%)、「よく知っている」(21.2%)、「聞いたことがなく、分からない」(7.7%)と続いた。「電力小売り自由化を機に、電力会社の変更を検討しているか」を聞いたところ、「今のところ検討していない」(45.2%)が最多となった。以降「検討したいと考えている」(27.7%)、「検討するつもりはない」(16.5%)、「検討している」(10.6%)と続いた。「電力の購入先や料金プランの変更を検討するとしたら何を重視するか」を質問すると、最も多かったのは59.0%で「料金の安さ」となった。次いで「メニューや契約内容の分かりやすさ」(25.5%)、「契約期間や切り替えの縛りがないこと」(23.2%)が上位にあがった。以降「顧客対応などのサービス品質」(16.8%)、「ライフスタイルに合わせたメニューの豊富さ」(15.3%)と続いた。
2016年03月10日三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は3月7日、韓国電力とガスタービンの新たな燃焼・計測技術に関する共同研究契約を締結したと発表した。今後予想される低熱量ガスの導入に備えるのが狙い。韓国電力は韓国の公営電力会社。韓国国内で運用されているガスタービンの燃焼技術を研究・開発するため、2015年8月に実証規模のガスタービン燃焼試験設備を同社電力研究院内に設立し、燃焼調整技術や燃焼調整シミュレーターの開発を進めている。今回の共同研究ではこの設備を活用し、MHPS製燃焼器を用いて両社が共同で実証研究を行う。実施期間は3年間。両社は2014年11月に、年度ごとの技術交流会の実施や将来の共同研究の検討などを取り決めた覚書を締結し、これまで韓国科学技術院を加えた3者で技術交流会を開催するとともに、具体的な共同研究を検討してきた。今回の共同研究契約はこの覚書に基づいて結ばれたもの。
2016年03月08日経済産業省電力取引監視等委員会事務局は3月7日、「電力自由化キャラバン」PRイベントを東京都世田谷区の二子玉川ライズで開催した。経済産業省が主催する同イベントは、4月1日よりスタートする電力小売自由化の周知を目的としたもの。2月29日より全国のショッピングモールや商業施設などを巡回している。今回の二子玉川ライズ会場では、タレントの眞鍋かをりさんをゲストに、鈴木淳司経済産業副大臣による電力小売自由化の解説や「電力小売自由化クイズ」などが行われた。○60年ぶりの大改革で8兆円規模の市場が開かれるまずは、鈴木副大臣による主催者挨拶。副大臣は、間もなく始まる電力小売自由化について次のように語った。「東京電力を始めとする既存の電力会社は日本で10社あり、地域によって電力の購入元が決まっていた。しかし、60年ぶりの大改革で、8兆円を超える電力小売市場に200を超える会社が新規参入し、電力を消費者自身が選べる時代になる。それにより、価格競争が始まり、電力料金が安くなる、様々なメニューが提示されるといったことが予想される。電力小売自由化は安倍内閣にとっても大きなテーマだが、60年ぶりの大改革のため、一般の人にはわかりにくい点もまだまだ多いように思う。電力自由化キャラバンは、電力自由化を皆で考え、それぞれが自分にあった選択をできるような場所としたい」(鈴木副大臣)○眞鍋かをりさんの人生の選択とは?続いては昨年結婚したタレントの眞鍋かをりさんを招いてのトークセッションが行われた。眞鍋さんは「選択」について次のように振り返った。「人生は選択の連続で、時代や状況に応じて選択することが大切です。私は大学入学とともに芸能界に入ったのですが、4年間だけ芸能活動をしてその後は普通に就職しようと考えていたんです。でも、超就職氷河期の時代で、就職するのは大変だろうと思い、芸能界に残ることに。その選択が大きな転換点となりました。電力自由化もまた、時代の大きな転換点だと思います。せっかくターニングポイントが来たので、今の状況を見極めて、選択できたらいいと思います」(眞鍋さん)トークセッション後には、電力小売自由化のポイントをまとめたクイズが行われた。クイズでは、「4月までに乗り換えの手続きをしないと電気が止まる、ということはない」「新規参入企業は電気が不安定だったり停電しやすくなったりすることはない」というものや、「スマートメーターの費用は電力会社が負担する」といった問題が出題された。○「何を最重視するか」がポイントに間もなく始まる電力自由化。鈴木副大臣によると、サービスを選ぶポイントは「自分が何を重視するのか」「何を基準とするのか」を明確にすることだという。「これまでは大手電力会社の独占状態にあったが、電力自由化では消費者が主役。どれを選んでもいい仕組みになり、何をメインにするかで選択は変わる。自分は電力にどのようなものを求めているのか、料金やポイント、社会に対する役割を考えることが求められる」(鈴木副大臣)自分にあった選択をするためには、自分の生活スタイルや家族構成、求めるものを振り返ることが鍵になりそうだ。電力自由化キャラバンは3月31日まで、日本各地を巡回予定。詳細は経済産業省電力取引監視等委員会HPを参照してほしい。
2016年03月08日最近テレビCMなどで頻繁に耳にするようになってきた「電力自由化」。電力会社を自分で選べるようになるとはいえ、いったいなにを基準に選び、いつまでにどうすればいいのか分からない方も多いのでは。そこで『かんたん解説!! 1時間でわかる 電力自由化 入門』の著者で、エネルギービジネスに詳しい、RAUL株式会社代表・江田健二さんにお話をお伺いしました。■安定から競争へ。電気というサービスを高める「電力自由化」―電力自由化とは、どういうことなのでしょうか?電気を使おうと思ったら現在のわたしたちは暮らしている地域の電力会社と契約すればいいですよね。これを「地域独占」といいます。今まではこのように発電、送電、配電、売電までを、地域の電力会社が一括して担っていました。戦後、大きな目標として進められてきたのは「電力の安定供給」だったからです。その結果、日本の電力供給技術は世界的にも高い評価を受けるまでに成長しました。次は、競争し、サービスを高めていく段階なのです。2016年4月から始まる「電力自由化」は、地域独占ではなく電力事業が自由化され、消費者が選択できるというものです。たとえば東京にあるご家庭でも、関西の電力会社を選べるようになるのです。■電力自由化の魅力とリスク―生活者のわたしたちが、知っておかなければいけないことはなんでしょうか?電力自由化によって起こる利点と、懸念点を知っておくのがいいと思います。利点は、なんといっても自分に合った利用プランが生まれること。たとえば、「家を買うと10年分の電力がついてきます」というものも出てくるでしょう。他には、バラバラに住んでいる家族全員が、同じ電力会社に契約することで「家族割り」ができたり、サッカーや野球ファンが「電力を使うことでチームを応援する地産地消プラン」だったり、趣向やコミュニティ単位でアプローチするプランも出てくると思いますよ。電力自由化はイギリス、ドイツ、フランスなどのヨーロッパやアメリカではすでに導入されており、日本は先進国の中で導入に慎重な方だったといえます。いままで電力会社といえば、発電から売電まで同じ会社が行ってきましたが、これからの電力会社は、発電会社から電力を買って売電する会社のことを指すようになります。電力会社は自社発電に限らず、価格や地域、発電方法などにこだわって電力を買い付けます。つまり、ある一定の認可を受ければ誰でも電力会社になれるということ。安さだけで選んでしまっては、突然会社が倒産してしまう可能性もあるので注意したいところです。イギリスでは電力自由化に伴って、多くの電力事業を始める会社が生まれました。しかし、競争の結果ほとんどの会社が吸収合併され、現在6社くらいに集約されています。近い将来、電気だけでなくガスや携帯電話、インターネットなどたくさんのサービスが統合し、大きなエネルギーカンパニーが出てくる可能性もあるのではないかと考えています。では、どのように電力会社を選べばいいのでしょうか? 後編 では、選ぶ際の基準や、導入時期なども教えてもらいました。電力自由化に伴い予想される、とっても便利な近い将来のお話も! 後編へつづく RAUL株式会社 代表取締役社長 江田健二さんプロフィールアンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア株式会社)に入社。エネルギー/化学産業本部(リソースグループ)に所属し、電力会社のCRMプロジェクト、大手化学メーカーのSCMプロジェクト等に参画。アクセンチュアで経験したITコンサルティング、エネルギー業界の知識を活かし、2005年に RAUL株式会社 を設立。2016年1月25日に出版された、2016年4月からスタートする「電力自由化」(電力小売完全自由化)について、図解を交えて分りやすく解説した入門書『かんたん解説!! 1時間でわかる 電力自由化 入門』は、Amazonベストセラー1位(エネルギー一般関連書籍部門)に。一般社団法人 エネルギー情報センター 理事/一般社団法人 エコマート 運営委員
2016年03月07日「電力自由化」とは結局のところどういうことなのか、その魅力とリスクについて、エネルギービジネスに詳しい、RAUL株式会社代表・江田健二さんにお話をお伺った 前編 。後編では、気になる電力会社の選び方から、電力自由化になることで予想される、とっても便利な近い将来のお話まで伺いました!■契約の決め手は「実績」と「サポート力」―電力会社は、なにを基準に選べばいいのでしょうか。自分のライフプランやポリシーに合うものを探すのがいいと思います。インターネットで「電力」「比較」などで検索すると、各電力会社の比較サイトや口コミを確認することが出来るので、よくチェックしてみましょう。ほかのポイントでいえば、その会社の「実績」でしょうか。現在は電力自由化で新規参入の会社がたくさんあります。ですから、会社の信用度や過去の配電実績などはきちんとチェックしたいですね。また、カスタマーセンターや、お客様相談窓口がきちんとあるかも確認するといいでしょう。万が一のときに、電話で問い合わせできない、つながらないでは、一大事ですから。価格よりも、万が一の時の対応を見極めることをオススメします。また、携帯電話各社も電力自由化に参入するようなので、すでに「つきあいのある会社」で選ぶのもいいと思います。■世界中どこへ行っても、自分の部屋の環境に!?電力自由化は春に始まりますが、各社のプランが出そろうのはおそらく夏頃。それまでは様子見でいいと思います。また、自由化ですべてが切り替わるわけではなく、2~3年は現在の料金体系が維持されるでしょう。電気はこれから、どんどん自由になっていくと思います。銀行の窓口がATMからアプリになって、いまではスマートフォンから振り込みも完了できてしまうイメージですね。たとえば、友達の家に遊びに行って携帯電話の充電がなくなっても、壁の電気ソケットだけ借りれば電気代は自分で支払うことができたり、自宅で快適な温度・湿度を設定すると、世界中どこのホテルへ行っても自分の部屋ではその環境が自動的に整えられたり、といったことが出来るようになるでしょう。2020年には日本でもほとんどの家庭に「スマートメーター」が設置されます。これは、現在よりももっと詳細に電気使用量を把握できるというものです。「でんき家計簿」をご存じですか? 現在契約してる電気会社の「お客様番号」で、開設できる電気の使用量を確認できるサービスです。これによって、季節での使用量や似た家庭との電力の比較ができ、自分の「電気を使うクセ」が把握できると思います。また、スマートメーターの事前取り付けを行うと、時間ごとの電気の使用量も把握できます。―ありがとうございました!いままでなんとなく使ってきた電気。でもこの機会が、自分のライフサイクルや電気の作り方・使い方を意識するいいきっかけになりそう。まずは気になる電力会社を調査しつつ、近い将来のスマートライフに備えましょう!RAUL株式会社 代表取締役社長 江田健二さんプロフィールアンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア株式会社)に入社。エネルギー/化学産業本部(リソースグループ)に所属し、電力会社のCRMプロジェクト、大手化学メーカーのSCMプロジェクト等に参画。アクセンチュアで経験したITコンサルティング、エネルギー業界の知識を活かし、2005年に RAUL株式会社 を設立。2016年1月25日に出版された、2016年4月からスタートする「電力自由化」(電力小売完全自由化)について、図解を交えて分りやすく解説した入門書『かんたん解説!! 1時間でわかる 電力自由化 入門』は、Amazonベストセラー1位(エネルギー一般関連書籍部門)に。一般社団法人 エネルギー情報センター 理事/一般社団法人 エコマート 運営委員
2016年03月07日楽天は2月12日、アストモスエネルギーと共通ポイントサービス「楽天ポイントカード」において提携した。 LPガス業界における同ポイントカードの採用は今回が初となる。○LPガスの継続購入で「楽天スーパーポイント」が付与今回の提携により、来秋からアストモスエネルギーが取り扱うLPガスの継続購入において「楽天ポイントカード」が利用可能となる。アストモスエネルギーは、LPガスで国内最大のシェアを持つ総合エネルギーソリューションカンパニー。同社は「楽天ポイントカード」の導入によって、顧客の継続利用を推進するとのことだ。さらに電力小売自由化後、LPガス・電気とのセット購入で「楽天スーパーポイント」を付与する特典なども検討している。同サービスでは、毎月LPガス購入時に「楽天ポイントカード」を利用すると「楽天スーパーポイント」が付与される。対象商品はLPガス。サービス開始時期は2016年10月を予定している。
2016年02月16日電通が1月22日に発表した「エネルギー自由化に関する生活者意識調査」の結果によると、電力の小売自由化が4月1日から実施予定だが、一般利用者の認知度は6割強にとどまり、内容の理解度もあまり進んでいない。同調査は同社が、2015年11月6日~13日にかけて沖縄電力を除く9電力会社の管内において、世帯主または世帯主の配偶者であり自分または配偶者が電気料金を支払っている20~69歳の男女5,000人を対象に、インターネットを通じて実施したもの。電力小売自由化の認知度を見ると、「内容まで知っている」が8.9%、「内容は分からないが、自由化されることは確かに知っている」が53.3%であり、認知度は計62.2%となった。2014年12月に実施した第1回調査と比べて15.3ポイント増加しており、電力の購入先が選べるようになることが広く浸透してきていることが伺えるという。一方、内容の認知度は第1回調査から2.4ポイント増にとどまり、参入企業や自由化のメリットなどの内容についての理解はあまり進んでいないと同社は見る。電力の購入先を変更したいかどうか尋ねたところ、「すぐにでも変更したい」が3.9%、「変更する方向で検討したい」が17.1%であり、これに「検討するが、変更するかどうかはわからない」(59.0%)という検討意向までを含めると、変更を考えている回答者は80.0%に上る。電力自由化への関心は着実に高まってきているものの、具体的な検討については購入先や商品内容などが明らかになってからと考える人が多い。事前申込をするかどうか尋ねると、「必ず事前申込」が2%、「事前申込する方向で検討」が9%で計11%となり、変更意向全体(21%)の約半数に上る。また、現在の電気料金から月額500円の値下げで変更を検討する人は変更意向全体の29%であり、月額1,000円の値下げになる場合は56%となった。なお、事前申込で変更したいという回答者(全体の11%)には、未就学児や小学生の子どもがいる4人家族が多い。事前申込で購入先企業に求めるイメージでは「安心できる」「チャレンジ精神」「個性的・ユニーク」が、電力購入先企業に対して重視することでは「電力供給が安定している」「再生可能エネルギー」などを挙げる回答者が多かった。既存の電力会社と新規の電力会社とでイメージを比較すると、既存電力会社は「信頼できる」(37%)、「安心できる」(29%)、「技術力がある」(28%)、「誠実・まじめな」(14%)、「品質の良い」(9%)、「規模が大きい」(22%)といった要素で新電力会社を上回る。新規電力会社は「将来性がある」(15%)、「成長力がある」(13%)、「好感が持てる」(10%)の各点で電力会社を上回った。同じく、それぞれの長所を尋ねたところ、既存電力会社は「安定供給」(35%)、「日常の点検やメンテナンス」(23%)、「災害時の迅速な対応」(18%)といった点で新電力会社を大きく上回っている。新電力会社は「月々の電気料金が安い」(15%)が既存電力会社を大きく上回った。エネルギーに関して今後起こってほしいことを尋ねると、「各家庭の電気料金が下がる」(88%)、「長期契約によって割引となる料金メニューが普及する」(45%)、「各家庭の省エネ化が進む」(45%)が多い。今後起こると思うことでは、「各家庭の電気料金が下がる」(55%)、「長期契約によって割引となる料金メニューが普及する」(27%)、「価格比較サイトでの電力比較が普及する」(25%)という回答が多い。「各家庭の電気料金が下がる」と「長期契約によって割引となる料金メニューが普及する」の2つは、「今後起こってほしいこと」と「今後起こると思うこと」の両方で上位にあり、生活者の電気料金に対する関心の高さが伺えると同社は見る。ガスの小売自由化について「内容まで知っている」「内容は分からないが、自由化されることは確かに知っている」と答えた人は合わせて28.7%、「内容まで知っている」人は3.6%に過ぎない。電力小売自由化の現在の認知度(62.2%)や、2014年12月時点での認知度(46.9%)に比べても低く、電力と比べて認知はまだ進んでいない状況だ。ガスの変更意向は「すぐにでも変更したい」「変更する方向で検討したい」を合わせて15.0%であり、自由化1年前である2014年12月における電力変更意向(16.9%)と比べてやや低いという結果になった。
2016年01月25日2016年4月からはじまる電力自由化にともない、新たに電気事業に参入する各社のCMをよく目にするようになりました。この1月から、すでに切りかえの申しこみを受けつけている新電力会社もあるようです。電気代が安くなるなら新電力会社にかえてもよさそうだけど、まだわからないことだらけ。そこで、切りかえを検討する際に、気になってしまいがちな疑問を調べてみました。■電力自由化って何? 私たちの暮らしはどう変わる?資源エネルギー庁では今回の「電力の小売前面自由化」について以下のようにあります。2016年(平成28年)4月1日以降は、電気の小売業への参入が全面自由化されることにより、家庭や商店も含む全ての消費者が、電力会社や料金メニューを自由に選択できるようになります。 つまり、ライフスタイルや価値観に合わせ、電気の売り手やサービスを自由に選べるようになるのです。出典: 資源エネルギー庁ウェブサイト これまでは特定の電力会社からしか買えなかった電気ですが、さまざまな企業が参入すれば、より多くの料金やプラン、エネルギーなどから選択できる利点がありそうです。2016年1月現在、関東圏で予約受付を開始している主な企業はこちらです。東京ガスの電気東急パワーサプライENEOSでんきJ:COM電力イーレックス・スパーク・マーケティングソフトバンクでんき(1月28日より受付開始)このほかにも、KDDI(au)、NTTドコモなども参入予定とのことです。切りかえに工事は必要? アパートやマンションでも大丈夫?どの電力会社を選んでも、基本的に工事は不要です。ただし、現在の電気メーターが「スマートメーター」でない場合は、交換が必要になるそうです。原則として交換の費用はかからず、工事への立ちあいや、その間の停電もないことがほとんどのようです(場合によっては工事費用、立ちあい、停電が発生することも)。私たちがすることは切りかえの手続きだけ。費用や時間の拘束といった負担は、かからないと考えてよさそうです。アパートやマンションなどの集合住宅の場合も、ご自身がいま電力会社と契約しているなら問題なく切りかえられます。集合住宅が一括で契約している場合は、管理会社などにお問いあわせを。気になる電力供給の部分ですが、各社のウェブサイトを見るかぎり、これまでどおりの安定した供給をうたっているところがほとんどです。対企業への電力供給の実績や、自社発電所の有無なども確認しておくと、より安心です。電気自体の価格をこれまでより安く提供する企業や、電気以外のインフラや通信費とのセットで割引する企業、ポイントで還元する企業など、料金やプランはそれぞれです。これから詳しい料金プランやサービスを発表する企業もありますので、切りかえを検討している人は、各社を比較しながら、自分のライフスタイルに合った電気会社を選べるとよいですね。
2016年01月23日博報堂とNTTデータは1月18日、事業会社向けの電力小売の全面自由化に向けたマーケティング・システム・ソリューション業務での協業に正式合意したと発表した。2016年4月に予定されている電力小売の全面自由化により、各家庭で電力会社や電力サービスを選択できるようになる。これに伴い、電力利用に関するマーケティング、その情報をマーケティングに活用する新たなサービスや商品が生まれていくと想定されている。博報堂は、2014年にエネルギーマーケティング推進室を設置し、生活者の電力需要調査や電力マーケティングコンサルティング事業を行っている。一方、NTTデータは電力事業に必要となる需給管理・CISなどの業務・機能をクラウドサービスで提供するアプリケーションプラットフォーム「ECONO-CREA(エコノクレア)」を開発しており、コンサルティング、BPOサービスと併せて2015年からサービス展開している。これまでも両社は、事業者向け業務支援サービスを共同で行っており、協業することで電力小売の全面自由化に伴う事業会社向けサービスの提供に注力する。NTTデータが有するECONO-CREA、各種ビッグデータ基盤および分析ノウハウと、博報堂が有する膨大な生活者データ(ビッグデータ)およびプランニング・ノウハウを掛け合わせることで、電力事業をシステムからマーケティング戦略、プロモーション戦略、事業戦略、IT戦略立案までトータルでサポートしていく。また、生活者の嗜好/行動特性を把握、マーケティングソリューションの提供につなげる。小売電気事業者に加え、電力小売の全面自由化に伴う新規参入会社へのソリューション提供、電力×異業種での新サービス創出なども連携し、推進していく。
2016年01月18日博報堂エネルギーマーケティング推進室はこのほど、第6回「電力小売自由化生活者調査」結果を発表した。それによると、2016年4月の電力自由化後に「電力会社を変えてみたい」と答えた人は7割に上った。○電力会社の変更時期、47.1%が「最初に変えた人の様子を見て変える」電力小売自由化後に電力会社を変更したいかどうか尋ねたところ、「電気代が今と一緒でも変えてみたい」は3.8%、「電気代が安くなるのであれば変えてみたい」は66.5%で、計70.3%が「変えてみたい」と回答した。電力会社の変更時期については、「最初に変えた人の様子を見て変える」が47.1%で最も多く、次いで「多くの人が変えるようになってきてから変える」が35.4%、「自由化後すぐに変える」が17.5%となった。男女別にみると、「自由化後すぐに変える」と答えた割合は男性では22.3%となった一方、女性は12.0%にとどまった。博報堂は「男性の方が電力小売自由化への認知・理解が高いことから、より早い時期での変更を考えているのではないか」と分析している。電力会社選択時に重要視することは、「料金の安さ」が圧倒的に多く83.3%。以下、「料金メニューや契約手続きのわかりやすさ」が45.7%、「安心安全なイメージの企業であること」が45.0%と続いた。電力自由化で選択可能になるメニューの中で最も人気が高かったのは、「長期契約割引」で63.3%。次いで「ポイントサービスとの提携」が55.0%、「電気とガスや水道のセット販売による割引」が53.0%となった。調査時期は2015年11月、有効回答は20~60代の個人1,000人。
2016年01月16日●ポイント付与とセット料金で迎え撃つJ:COMが電気サービスの料金プランを発表した翌日、1月7日に東京電力が自由化以降の新料金プランについてリリースした。こちらの戦略も、東京ガスやジュピターテレコムと基本的には同じで“電力以外のサービス”とのセット割引を目玉としている。加えてポイント付与にも注力しているのが特徴といえる。ポイント付与は東京ガスのサービスでも適用されるが、東京電力のほうがポイント利用に積極的な印象を受ける。まず、月々の支払い1,000円につき5ポイントが加算される(税などをのぞく)。たまったポイントは「T-POINT」や「PONTA」に変換できるうえ、以降の電気料金にも適用できるようになる(電気料金などへの適用は2017年春をめどに実施予定)。また、Webから申し込んだ場合、500ポイントが付与されるので、新しくリリースされた「スタンダードプラン」に加入した場合、月々の支払いで生じたポイントを足すと年間約1,000円お得になるという計算だ(40A、月平均使用量400kWhを想定)。また、月401kWh以上の電気使用量がある家庭に向けた「プレミアムプラン」では、3月31日までに2年契約をすると12,000ポイント付与もしくは10,000円のギフト券がもらえるキャンペーンも実施する。ただ、こうしたポイント付与は新たに発表されたプランに加入した場合のみ。従来のプランをそのまま継続する場合は適用されない。○リテールの販売店を提携で手に入れるセット割引については、多様な企業との提携で実現させている。例を挙げるとニチガスやレモンガス、川島プロパン、TOKAIグループ、USENなどだ。なかでも注目したいのがソフトバンクとの提携だろう。というのも、自由化当初は中部電力管内、関西電力管内で東京電力は営業するが、ゆくゆくは全国展開を視野に入れている。全国に顧客基盤を持つソフトバンクとの提携は、将来を見据えた戦略といえる。また、ソフトバンクショップの存在も大きく、顧客にダイレクトにリーチできるチャネルを手に入れたことになる。一方のソフトバンクにしても、人口の多い首都圏の大多数を顧客にしている東京電力との提携にメリットを見いだしているはずだ。さらに、ソフトバンクは以前から「FIT」(“再生可能エネルギーの”固定価格買取制度)に取り組んでいるが、再生可能エネルギーだけではどうしても電力供給量が少なく、大きな事業には発展しにくい。東京電力と組むことで、潤沢な電力仕入れ先を確保したことになる。ソフトバンク 代表取締役社長の宮内謙氏は、1月12日に行われた「ソフトバンクでんき」の発表会で「(再生可能エネルギーの)FITの展開は進めるが、(原発事故を起こした)東電と組むのに矛盾はない」と話したことをみても、東京電力との提携に価値を感じているはずだ。●都市ガス自由化で反転攻勢さて、数多くの電力小売事業者が首都圏の電力需要を取り込もうとしている。そうした事業者に市場を蚕食されるのは、ある程度予想できる。また、東京電力は原発事故を起こしたため、それを嫌忌しているユーザーが離れていくことも考えられるだろう。ただ、東京電力にも大きな突破口が2点ある。ひとつは、前述したように首都圏だけでなく、全国をターゲットにできること。そうしてもうひとつが2017年に実施される都市ガス小売自由化だ。特に後者は東京電力にとって大きな転機といえる。というのも、東京電力は都市ガスの原料となる液化天然ガス(LNG)の輸入量が日本でトップだからだ。正確には東京電力と中部電力の合弁企業「JERA」が輸入しているが、その量は年間約4,000万トンで世界最大規模。実に日本の総輸入量の半分にあたる。となればスケールメリットを生かして調達価格を抑えることができ、国内での都市ガス事業を有利に展開できる。東京電力 常務執行役 カスタマーサービス・カンパニー プレジデントの小早川智明氏は「電力自由化により激しい競争になることは覚悟しているが、来年の都市ガス自由化を含め、われわれにとって好機。電力供給会社から総合エネルギー企業へ進化したい。そして福島復興の責任を果たしたい」とした。そもそも、これほどLNGの輸入量が増したきっかけは2011年の大震災だ。原子力による電力調達が行えなくなった東京電力は、LNGによる火力発電に切り換えてきた。そして少しでも調達価格を抑え、収益を上げることで福島復興の責任を果たしたいという考えが根本にある。電力・都市ガスの小売自由化を転機に総合エネルギー企業となり、ぜひとも責任を果たしていただきたい。○全面自由化前夜……夜明けを待つ電力会社の動静●電力小売自由化目前! 過熱する首都圏の需要争奪戦の現状【後編】●電力小売自由化目前! 過熱する首都圏の需要争奪戦の現状【前編】●東京電力が高効率LNG火力発電への切り換えを急ぐ理由●“守り”ではなく“攻め”へ! 電力小売自由化に向けた東京電力の戦略
2016年01月15日●残された“低圧”領域もいよいよ自由化2016年4月に開始される“電力小売自由化”に向け、市場へ参入表明している各企業の動きが慌ただしくなってきた。今回自由化されるのは、一般家庭や小規模事業者、商店といった“低圧”に分類される部分。ちなみにオフィスビルや百貨店、大規模工場などの大口需要家向けの“特別高圧”、中規模ビルやマンション、スーパー、一般的な工場などに向けた“高圧”はすでに自由化されている。つまり、4月に自由化されるのは残された最後の領域で、今回の施策が電力“全面”自由化と呼ばれるのはそうした意味合いからだ。低圧とはいってもこの市場の価値は大きい。経済産業省によると、一般家庭と小規模店舗で約8,400万件にのぼり、金額ベースでは約7.5兆円に達する巨大市場。2015年12月28日現在、119社にものぼる小売電気事業者が名乗りをあげているのもうなずける。とくに参入事業者がねらいを定めているのが、もっとも電力需要が大きく、これまで東京電力が寡占してきた首都圏の市場だろう。そんななか、以前から市場参入を表明していた東京ガスが、2015年12月24日に電力料金プランをリリースした。東京ガスはその名のとおり東京とその周辺県で自社導管し営業しているガス事業者。その東京ガスが電力事業に乗り出すということは、提供してきたエネルギーは異なるが広域で営業区域が重なる東京電力と、真っ向から勝負することになる。また年が明けた1月6日、ケーブルテレビを主事業にしているジュピターテレコムが「J:COM電力」の先行申し込み受付をスタートさせた。J:COMは日本全国で約500万世帯の契約者を抱えるケーブルテレビ最大手サービス。ただ、日本全国で営業しているとはいっても、約315万世帯が関東圏の契約者。こちらも電力市場に乗り出すとなると、6割以上の契約者が占める首都圏を最初の足がかりにするのは間違いない。“東京電力包囲網”ともいえる一角に連なる両社だが、その戦略はわかりやすい。東京ガスは「ガス+電力」、ジュピターテレコムは「J:COMサービス(CATV・インターネット・固定電話)+電力」(※)といったように、ともにこれまで手がけていた主事業と新たに提供する電力を“セット販売”することで割引し、東京電力に対し価格競争力を生み出すのがねらいだ。ちなみに、東京ガスは年間約4,000~5,000円(40A、年間使用量4,700kWhを想定)、J:COMは6,804円(関東地域、40A、年間5,820kWhを想定)が東京電力のプランに比べお得になるとアナウンスしている。※ CATV・インターネット・固定電話のいずれかのうち、2種以上のサービスを受けている契約者が「J:COM電力」を利用した場合、割引価格が受けられる。●契約者にダイレクトにリーチできる強みを生かせるかただし、これらの試算は電力自由化前の東京電力と比べたもの。両社とも、発表の時点では東京電力の自由化以降の価格を知らず、本当に価格競争力があるかどうか確信は持てていない。また、このセット販売の施策がどこまで“首都圏電力のガリバー”である東京電力に通用するのか“手探り”といった印象だ。事実、ジュピターテレコム 執行役員 ケーブルTV事業部門 副部門長 堀田和志氏は、「中期的にエリア内加入率の20%にあたる、100万世帯を獲得したい」とするが、実際どのくらいの年数で達成できるのかは明言を避けた。また、4月の電力自由化開始までに「価格の見直しも考えられる」(堀田氏)と、逡巡している様子もうかがえる。「中期的」と断言していることを捉えれば“3~5年で100万世帯”と考えているといえそうだ。ただ、J:COMの場合、強みがある。それは、訪問販売スタッフやサービスエンジニアリング、ジェイコムショップ、専門チャンネル用番組表冊子の送付、J:COMポータルサイトなど、契約者にダイレクトにアプローチできる“接点”が整っていること。実際、今回の電力サービス開始にあたり「ヒューマンリソースの強化や営業所の拡充といった施策は考えていない」(ケーブルTV 事業部門 ケーブルTV事業統括本部長 高橋邦昌氏)という。これらの接点を効果的に活用して電気サービスを訴求すれば、数年で100万世帯は難しい数字ではないといえる。むしろ、東京ガスのほうが消費者とのダイレクトな接点探しで苦労しそうだ。自由化までまだ数カ月残しているのに、年末から大規模にテレビCMを打っているのは、その表れといえなくもない。一方、こうした事業者を迎え撃つ東京電力の戦略はどうか。後編にてお伝えしたい。○全面自由化前夜……夜明けを待つ電力会社の動静●電力小売自由化目前! 過熱する首都圏の需要争奪戦の現状【後編】●電力小売自由化目前! 過熱する首都圏の需要争奪戦の現状【前編】●東京電力が高効率LNG火力発電への切り換えを急ぐ理由●“守り”ではなく“攻め”へ! 電力小売自由化に向けた東京電力の戦略
2016年01月14日日本航空(JAL)は8日、新電力の洸陽電機と提携し、電力購入でマイルが貯まる同社初のサービスを開始すると発表した。○電力会社との提携は初4月の電力小売り完全自由化を巡っては、KDDI、JXホールディングス、東京ガスなどが参入を表明。顧客の取り込みのため、独自の割引プランやポイント付与サービスを実施するとしている。このたび航空大手のJALと業務提携を発表したのは、兵庫県神戸市に本社を置き「enesys」のブランド名でサービスを提供する洸陽電機。4月より、洸陽電機が自社で提供する電力サービス利用者を対象にJALマイレージを積算する。JALマイレージバンクは、2012年10月時点の会員数が2,500万人を超す国内最大級のマイレージサービス。ビックカメラ、NTTドコモ、東京海上日動火災保険など様々な企業と提携しているが、電力会社との提携は全国初となる。洸陽電機の担当者によると、現時点では電気購入の契約特典及び毎月の使用電力量に応じたJALマイレージ積算サービスを検討しているという。マイルの積算率や詳細条件については後日発表予定。
2016年01月13日東京ガスは12月24日、2016年4 月の低圧電力の販売開始を控え、総合エネルギーに関するサービスプラン「ずっともプラン」を発表した。同プランは、ガスに加え、電気やインターネット・サービスを組み合わせることが可能。料金メニューは、「ずっとも電気1」(東京電力の従量電灯Bに類似)、「ずっとも電気2」(東京電力の従量電灯Cに類似)、「ずっとも電気3」(東京電力の低圧電力に類似)の3種類が用意されている。同社のガスと電気を契約した場合に利用可能な「ガス・電気セット割」も提供され、電気料金の基本料金が月額250円割引になる。同社によると、東京ガスのガスを契約していて、電気の年間使用量が4700kWhの顧客が東京ガスの電気契約を申し込んだ場合、年間約4~5000円得するという。さらに、同社のガスと電気を契約したうえで、同社が提携しているプロバイダーが提供する光回線サービスとインターネット接続サービス(プロバイダサービス)を一括で提供するインターネットサービスの料金を割引するサービスもある。インターネットサービス提供にあたり、ビッグローブ、NTTコミュニケーションズ、楽天、クックパッドなどと業務提携を締結した。そのほか、「生活まわり駆けつけサービス」やポイントサービス「パッチョポイント」も提供される。
2015年12月25日SAPジャパンは12月15日、電力・ガス事業者のデジタル化を支援する組織として、新たに「ユーティリティ・デジタルトランスフォーメーション・オフィス」を同社の公益事業統括本部内に、同日付けで設立した。バイスプレジデント公共・公益・通信統括本部統括本部長の佐藤知成氏は、新組織を立ち上げた理由について、「当社は"デジタルトランスフォーメーション"という戦略を掲げているが、これを推進するにあたり、25のインダストリーに分けている。エネルギーが供給されて初めて、他の事業も成立する。したがって、それらの中でも、ユーティリティー事業はすべての事業につながる重要な事業だとして、ドイツの本社で最初にデジタルトランスフォーメーションを行う事業と決定した」と説明した。同社は昨年10月に公益事業本部を設立し、2016年予定の電力小売全面自由化や2017年予定の都市ガス小売自由化などを見据えた変革を支援してきたが、今回の新組織設立はこの取り組みをさらに発展・強化するものとなる。現在、新組織には5名在籍しており、1年以内に20名まで拡充する計画で、公益事業統括本部としては、60名体制でスタートしたところ、100名まで拡充する構えだ。「ユーティリティ・デジタルトランスフォーメーション・オフィス」の具体的な事業内容については、ユーティリティデジタルトランスフォーメーションオフィスシニアディレクターの田積まどか氏が説明を行った。田積氏は、「電力・ガス事業においては、2016年の電力小売自由化、2017年のガス小売自由化、2020年の電力発送電分離、2022年のガス導管分離といった改革が計画されているが、その先にはデジタルエネルギーネットワークへの移行が控えている。デジタルエネルギーネットワークでは、すべての参加者はデジタルで連携し、IoT(Internet of Things)を活用するわれわれは、顧客のデジタルエネルギーネットワークへの移行をサポートしたい」と、新組織の目標を語った。同社は、公益事業のデジタル化を実現するためのフレームワークとして「SAP Utilities Digital Transformation」を提供する。このフレームワークは、同社の次世代ビジネススイート「SAP S/4HANA」をコアとして、サプライヤー、顧客、従業員、設備のデジタルトランスフォーメーションを実現していく。新組織はこのフレームワークをもとに、IoT技術で集めたビッグデータを活用することで設備や装置の予知保全やピーク需要予測の精度向上を実現したり、また、デジタル化によりビジネスプロセスやビジネスモデルを再構築したりといった形で、ビジネスの変革を支援する。田積氏によると、これまで手組みのシステムを中心に利用してきた国内の電力会社だが、新料金のメニュー作成に手組みのシステムでは半年ほどかかっているなど、市場の変改についていってないことを実感しており、ビジネスにスピード感が必要であると考えているという。
2015年12月16日東京大学(東大)は12月7日、アルマ望遠鏡のデータベースを用いて、非常に希薄な分子ガスの存在を示す「分子吸収線系」を新たに発見し、銀河系の星間ガスの化学組成やおかれている環境を明らかにしたと発表した。同成果は、同大学大学院理学系研究科附属天文学教育研究センター 修士課程1年 安藤亮 氏、河野孝太郎 教授、国立天文台チリ観測所 永井洋 特任准教授らの研究グループによるもので、12月7日付けの日本科学誌「日本天文学会欧文研究報告(Publication of the Astronomical Society of Japan)」オンライン版に掲載された。宇宙空間に存在する星間ガスの中には、非常に希薄なためそれ自身が発する光を直接観測するのは困難なものがある。こうした希薄な分子ガスの性質を探るうえでは、遠方の明るい電波源を背景光として、手前側の分子ガスによる吸収線を影絵のように捉える「分子吸収線系」という手法が有効であることが知られている。同研究グループは、チリ共和国のアンデス山中に建設された巨大電波望遠鏡「アルマ望遠鏡」での観測時において目標天体の“位置合わせ”に用いられる基準光源のデータを調査することで、新たな分子吸収線系の発見を試みた。今回、アルマ望遠鏡が観測した基準光源36天体のデータを調査した結果、3つの新たな分子吸収線系の発見に成功し、計4天体の方向で多様な分子の吸収線を検出。さらに2天体の方向では、非常に珍しいというホルミルラジカル(HCO)を検出し、従来知られていた中で最も希薄な星間分子ガスを捉えたとともに、その希薄なガスが大質量星などからの紫外線にさらされた環境にあることを明らかにした。アルマ望遠鏡のデータベースには、1000天体以上におよぶ基準光源のデータが収められており、全世界に公開されている。この中には新たな分子吸収線系が隠されている可能性があり、今後これらのデータの調査が進むことで、新たな分子吸収線系が発見され、それ自身光らない希薄な星間ガスに関する知見がさらに広がることが期待される。
2015年12月07日東陽テクニカは11月20日、ガスタービンの振動監視用に用いられるPCB Piezotronicsの超高温対応加速度計「357D92」の販売を11月24日より開始すると発表した。同製品は、超高温下での振動測定に特化した加速度計で、最高649℃までの高温下での異常振動を計測することが可能。また、ケーブル一体型で45gの軽量性を実現。各種仕様は、感度が0.23pC m/s2、周波数範囲が2.5kHz(±5%)、測定範囲が±9800m/s2、温度範囲が-55℃~+649℃としている。なお価格は2016年3月末までのキャンペーンとして61万1000円(税別)としている。
2015年11月20日島津製作所は11月12日、シングル四重極型ガスクロマトグラフ質量分析計(GCMS)のハイエンドモデル「GCMS-QP2020」を発売したと発表した。同製品は、排気効率を高めた差動排気型の新型ターボ分子ポンプを採用した真空排気系により、さまざまな分析条件で最高クラスの感度を提供することが可能。また、ヘリウムガスに加えて水素や窒素キャリアガスでも運用でき、オペレーションコストの低減も可能なほか、搭載される「GCMS Insightソフトウェアパッケージ」が、400成分以上の化学物質の高感度一斉分析と、得られたデータに対する解析の効率化を実現。これにより、従来は感度を維持するために3回に分けていた分析を1回で済ませることが可能となり、分析効率を向上させることが可能になるという。さらにデータ解析ソフトウエア「LabSolutions Insight」を活用することで、得られたデータの解析効率を最大10倍向上させることが可能。これらにより、多成分分析を効率化することができるようになるとしている。なお、同製品の価格は1390万円(税別。本体、PCワークステーション込み)からとなっている。
2015年11月12日グリーン・シップは11月10日、平成28年4月に全面自由化される電力小売の主戦場である東京と大阪居住の一般世帯に対し、11月8日、変更する意思、変更先予定、選定重視項目等についてアンケートを実施し、その結果を発表した。調査方法は、アウトバウンドIVR調査(ロボットコール調査)で、サンプル数は東京23区(566件)、大阪市(517件)。それによると、東京、大阪共に4月以降に電力会社の変更を予定している世帯は「できるだけ早く、いずれは変更」「変更する予定ない」「わからない」が1/3ずつ。現時点で3割が変更すると回答したという。月額電気代が2万以上の世帯は、東京では「変更予定」が50.1%と高いが、大阪の場合は「変更予定」20.8%、「わからない」54.2%と慎重派が多いという。変更先としては、東京は「東京ガス」(16.6%)、大阪は「大阪ガス」(19.7%)と、ガス会社が高いが、変更先は「まだ決めていない」は東京が47.9%、大阪が46.2%と未定の人も多い。選定で重視する項目については、東京が「料金の安さ」35%、「サービス品質高く保守充実」15.0%、「再生可能エネルギー多く利用」14.5%で、大阪は「料金の安さ」が34.8%、「サービス品質高く保守充実」10.8%、「生活パターンにあったサービス料金」9.3%、「再生可能エネルギー多く利用」8.1%と続いている。
2015年11月11日●料金戦略は限界の水準2016年4月からの電力小売全面自由化がスタートする。これまで、一般家庭などでは、自分が住む地域の電力会社から電力を購入する仕組みとなっていたが、電力小売全面自由化によって、あらゆる電力小売会社のなかから、自分にあった会社を選んで、自由に契約できるようになる。対象となる口座数は7,000万契約以上。7兆5,000億円規模の市場が自由化され、地域ごとに分割した全国10の電力会社によって独占されていた市場に風穴があくことになる。「新電力」と呼ばれる電力小売事業を行う「特定規模電気事業者」への参入予定企業は、今年9月時点で760社を超えており、8月3日からは小売電気事業者の登録手続きが開始されている。電力小売会社同士による競争原理が働き、料金面やサービス面でのメリットを享受できるとの期待も高まっている。○セットメニューにしか活路がみえない事情こうしたなか、注目を集めているのが、国内全体の35%を占め、最大市場を主戦場とする東京電力の取り組みだ。関東エリアにおけるシェア100%の東京電力は、まさに「守り」の立場。福島第一原発による爪痕の影響が、東京電力離れを加速するとの見方も出ている。新規参入組の提案として前面に出てくるのは、やはり料金戦略だろう。身軽な企業体質を生かしたり、セットメニューによるお得感を出したりすることで、東京電力からの顧客を奪おうとしている。電力小売全面自由化で先行している海外市場では、住宅保険などの金融サービス、自動車保険や修理などと連携した自動車関連サービス、携帯電話などの通信関連サービス、配管清掃をはじめとする住宅関連サービスなどとセットにする例が出ており、その競争は熾烈化。スポーツ観戦への招待や、有名人のサインをプレゼントするといったメニューまで用意されるというエスカレートぶりとなっている。英国では、さまざまなメニューが乱立したことで料金体系が複雑化。電気小売事業者に対して、提示できる料金メニューの数が制限される事態にまで発展しているほどだ。日本でも同様に、まずはセットメニューによる提案が各社の料金戦略を左右することになりそうだ。実は、料金戦略は、セットメニューに頼らざるを得ない理由がある。東京電力によると、電気に関わるコストの約70%が発電によるものであり、送電部分に関わるコストが約25%を占めるという。つまり、価格差の余力となるのは残り数%の部分になるのだ。「『kWhあたりいくら』といった競争は、原価構造、コスト構造の観点からは、すでに厳しい状況にあるといわざるをえない」(東京電力)とする。料金単体での競争は限界があり、そのため、各社はセットメニュー競争に走らざるをえないというわけだ。●複数企業との連携でサービス提供だが、この点でも東京電力はすでに手を打ち始めている。リクルートおよびロイヤリティマーケティングと業務提携し、ウェブサービスやポイントサービスと連動させる方向を模索。また、ソフトバンクとの提携では、電力と通信、インターネットサービスを組み合わせた共同商品販売および新サービスの開発に着手していることを明らかにしている。さらに、カルチュア・コンビニエンス・クラブとは、ポイントサービスに関しての業務提携も発表。複数の企業との提携によって、セットメニューを用意する考えだ。実は海外では、セットメニューを強化するために、電力会社が自動車関連サービス企業、通信関連サービス企業を買収するといった異業種買収の動きも出始めているという。電力小売全面自由化の動きが、異業種を巻き込んだ再編劇へとつながっているわけで、今後、日本でも同様の動きがみられるかが注目されよう。○“攻め”のよりどころとなる3つの要素東京電力の戦いどころは、セットメニューだけではない。むしろ、それは各社横並びの状況になり“守る”という点では力不足だ。だが、東京電力に一方的に“守る”戦略で終わるつもりはないようだ。というのも、東京電力には“攻め”の要素がないわけではないからだ。そうした観点でみると、東京電力には3つのビジネスチャンスがあるといっていい。1つは、これまでの電力事業ノウハウを生かした省エネ化の提案だ。東京電力の執行役員 カスタマーサービス・カンパニー バイスブレジデントの佐藤梨江子氏は「電力小売全面自由化後には、まずは料金面に注目が集まることは確か」としながらも、「だが早晩、中身の議論になってくるはずだ」と予測する。「電気は、色も形も味もない。また、電気を使うことそのものに喜びや価値はない。本質的には、電気を使うことで電気製品が稼働し、それによって喜びを感じたり、生活を豊かにすることが目的となる。そこにフォーカスする必要がある。そうした点からも、料金だけが取りざたされる状況には忸怩たるものがある」と語る。東京電力 カスタマーサービス・カンパニー 経営企画室の眞田秀雄室長も、「使う電気量全体を引き下げることで、トータルとして料金が安くなるという提案こそが、利用者にとっても社会全体にとっても意義がある。単なる料金引き下げやセットメニューの提案ではなく、エネルギーコスト全体を引き下げる提案で差別化したい」と語る。ここで東京電力の切り札となるのがスマートメーターだ。東京電力ではスマートメーターの設置を加速しており、これを活用することでIoTと連動。細かいエネルギー制御により、省エネ提案などの差別化へとつなげる考えだ。「従来は電気メーターのところにまで電気を届けて終わりだったが、今後は電気をどう使うのかといったところにまで踏み込んで利便性や安心・安全を届け、付加価値提案を行える『みらい型インフラ企業』を目指す」(東京電力の眞田室長)とする。東京電力では、2014年4月からスマートメーターの設置を開始。2015年9月末時点で、285万台のスマートメーターを設置しているという。2016年からは年間570万台規模で設置を加速する計画だ。また、スマートメーカーで計測した30分ごとの電気の使用量を、同社が提供する「でんき家計簿」で見える化するなどのサービスも開始する予定。これにより、料金プランの最適化提案も行うことができるようになるという。●新規参入事業者として関東以外へ2つめは、東京電力のサービスエリア以外への進出だ。東京電力は、関東エリアでは100%の市場占有率を持つが、それ以外の地域のシェアは0%となる。まさにホワイトスペースともいえる市場が広く存在するのだ。関東エリアでは、東京電力の打ち出す施策によっては、独禁法などの制限を受ける可能性があるが、それ以外のエリアでは、新規参入事業者の立場と同じ。東京電力でも、「関東エリア以外では、自由な手の打ち方ができると考えている。関東エリアとは営業手法やプロモーション手法も変わってくるだろう。関東エリアとは違った料金設定も想定される」(東京電力の眞田室長)とする。ここでは先に触れた提携戦略も重要な意味を持つ。東京電力が提携を発表しているロイヤリティマーケティングは、全国に約6950万の顧客を持ち、同様にソフトバンクは約3700万、カルチュア・コンビニエンス・クラブは約5300万の顧客を持つ。重複する顧客もあるが、この提携によって、全国の幅広い顧客にアプローチできる環境が整うというわけだ。そして、3つめが、2016年の電力小売全面自由化に続く、2017年のガス小売全面自由化をきっかけにした取り組みである。すでに自由化されている年間10万立方メートル以上の大口需要家市場においては、東京電力はすでに4位に入る取引規模を持つ。さらに輸入LNGは、都市ガスの原料として利用されているが、発電用燃料としても活用されているため、電力会社はすでにその調達ルートを確保しているともいえる。すでに輸入調達量では、東京電力が国内トップとなっている。こうした優位性を生かしながら、電気とガスとを組み合わせたエネルギーのトータル活用提案が行えるというわけだ。ガスの小売全面自由化は、東京電力にとっては、重要な“攻め”の切り札になるといえよう。こうしてみると、東京電力にとって新規参入事業者から“守る”だけでなく“攻め”の領域も少なくない。東京電力は攻守両面から、電力小売全面自由化の市場で戦うことになる。そのバランスが、独り立ちすることになる同社の電力小売事業の成否を左右することになりそうだ。○全面自由化前夜……夜明けを待つ電力会社の動静●電力小売自由化目前! 過熱する首都圏の需要争奪戦の現状【後編】●電力小売自由化目前! 過熱する首都圏の需要争奪戦の現状【前編】●東京電力が高効率LNG火力発電への切り換えを急ぐ理由●“守り”ではなく“攻め”へ! 電力小売自由化に向けた東京電力の戦略
2015年11月09日東京ガスは15日、2016年4月の電力小売全面自由化に合わせて電力事業に本格的に参入するため、経済産業大臣に小売電気事業登録申請書を提出した。東京ガスグループは、首都圏を中心に都市ガス事業を中心に1,100万件超の顧客にエネルギーを提供している。また、これまでコージェネレーションやエネファーム(家庭用燃料電池)などの分散型電源を活用したガスと電気の最適システムを顧客に提案してきた。2000年から開始した電力事業においては、新電力として首都圏で最大規模の発電所を所有し、安定供給に努め、大口の顧客にはエネットを通じて電力販売を実施してきた。都市ガス事業や電力事業を通じてこれまでに築いてきた顧客とのつながりや発電所などの資産、需給管理の運用ノウハウなどを活用して、今後も電源の拡充や大口の顧客への電力販売の拡大を進めることに加えて、電力の全面自由化を契機に家庭や業務用の顧客に対する電力小売事業に参入し、「安定供給の確保」 「低廉な電気料金の実現」「顧客の選択肢の拡大」に貢献する。2016年4月から家庭や業務用の顧客に対する低圧電力の販売を開始する。販売エリアは、主に東京ガスの供給エリアを中心とした関東圏で販売。東京ガスライフバル・エネスタ・エネフィットなど東京ガスグループによる販売とともに、住宅・建築・設備や通信・情報サービスの業界の事業者、卸先の都市ガス事業者、LPG事業者など、様々な業界とのパートナーシップを通じた販売に関しても協議を進めていく。託送料金認可を踏まえ、家庭や業務用の顧客からの契約申込みを2016年1月より受け付ける。電気料金低減に対するニーズを踏まえ、低廉な料金体系を構築。ガスと電気のセットメニューを軸に、通信、各種サービスなどを加えたセットメニューの提供を検討するとともに、請求の一本化などにより、顧客の利便性向上に努める。さらには、住宅・建築・設備などの業界とともに、顧客にお得なメニュー・サービスを検討していく。料金体系については、託送料金認可などを踏まえ、決定・公表する予定。"お得な商品・サービス"として、エネルギー(電気・ガス)と光回線をセットにしたサービスを、インターネット接続事業者と連携し、顧客に提供する(2016年4月開始予定)。また、東京ガスの各種サービスを使用した場合にポイントが貯まり、くらしに役立つ特典と交換が可能な独自のポイントサービスを導入する(2016年4月開始予定、当面はmyTokyoGas会員を対象)。他社ポイントとの交換も検討する。さらに、現在提供しているくらしに関わる安心サービス「マイツーホー(※)」などに加え、住宅における水まわり、鍵、ガラスのトラブル時に、24時間365日の受付で出張・一次復旧を行う生活まわり駆けつけサービスを提供する(2016年4月開始予定)。※ 通信機能付きガスメーターと東京ガスの24時間監視センター「ステーション24」を通信回線で結び、 外出先からでもガスの消し忘れを確認、遮断できるなど、顧客の安心を遠隔で操作するサービス外出先から子供の帰宅確認ができる見守りサービスなどもオプションとして順次追加していく予定。
2015年10月16日楽天と丸紅は8月31日、低圧需要家向けの電力小売事業における業務提携契約を締結したと発表した。2016年4月に予定されている電力小売市場の全面自由化を受けて、楽天市場の出店事業者や楽天トラベルに加盟する宿泊施設など低圧電力を使用している需要家に向けて、電力供給や決済サービスなど新サービスの開発を進めていく予定だ。丸紅は、全世界23カ国で安定的な電力事業を運営しているといい、総計10GW(ギガワット)超の持分発電容量を保有しているとのこと。国内においては新電力会社として、長野・山梨・福島などにおける水力発電事業や福島県における洋上風力発電実証事業などの再生可能エネルギー電源の開発推進に加え、火力発電所の保有や新規開発を進めるなど、積極的に自社電源の確保および電力小売事業の拡大に注力しているという。両社は2014年10月にエネルギー需要開発の協業を開始して以来、楽天のプラットフォームを活用した電力受給取引拡大や簡易HEMSの共同開発などに取り組んできた。今後は、低圧電力を使用している楽天市場の出店事業者や楽天トラベルに加盟する宿泊施設などに対して、丸紅が持つ再生可能エネルギー電源などからの電力供給と、「楽天スーパーポイント」やポイントを活用した決済サービス、および簡易HEMSを利用し、新たなサービス開発を進めていくという。
2015年09月01日セグメントは8月17日、2016年4月に開始される電力小売り全面自由化(電力自由化)に先立ち、電気事業者向けに「電力系メディア構築」「電力系文章コンテンツ」「マーケティングオートメーション」「成果報酬型集客ソリューション」を提供する電力マーケティング支援サービス「エナジーワークス」を開始した。電力系文章コンテンツ作成では、エネルギーに精通したライターネットワークを利用し、電気需要家が求める情報を時事・季節別ニュースなどで提供。インフォグラフィックを用いたコンテンツなどにも対応する。「Automation Be」という名称となるマーケティングオートメーションサービスでは、家族構成や地域、予約申込、既顧客などの各種属性情報と、Webサイトの閲覧履歴やメールマガジンへのリアクションなどの行動情報に応じたコミュニケーションにより、早期の顧客化やリピート化を実現する。成果報酬型集客ソリューションは、約600社の提携メディア(月間10億imp)との既存ネットワークを活用した戦略構築や、電力に特化した個別メディアとの連携による成果報酬型アフィリエイトにより、電力自由化が本格化する前に上位掲載を確立するという。これらは、ソリューションごとにスタンダードやアドバンスといった料金プランを設けており、価格が異なる。同社は今後、2016年3月までに同サービスを30社へ導入することを目指す考えだ。
2015年08月19日成り行きで引き受けた「大人の自由研究」。ラズパイでつくる『スズメ激写装置』、一見順調そうに見えるが……さて。今回は、使い勝手を大きく変える「Wi-Fi化」を進める。○まずはWi-Fiの設定をうだるような暑さの昼下がり、編集部I氏から電話がかかってきた。そこまでダメ人間ではないので、ビールは注いでいない。I氏:「またチマチマと環境設定ですか!?」海上:「ハードウェアを絞り込んでいるからラクですよ」 ※:第2回を参照I氏:「コマンドはほどほどに。一般読者には難しすぎるから」海上:「PCからSSHで遠隔操作すれば、コマンド入力もコピペ対応できますよ」I氏:「とはいえ、viやemacsといったエディタでの作業は必要でしょ」海上:「扱いやすいテキストエディタ『nano』がありますから」I氏:「そうなの?」海上:「……座布団全部、って感じですかね」気を取り直して、Wi-Fiの環境設定に進もう。前回、SSHを使い有線LAN経由でリモートログインするところまで説明したが、そのままでは長いEthernetケーブルを引き回さねばならず、ベランダとはいえ屋外利用には不向き。Wi-Fi化すれば自宅のルータ/アクセスポイントだけでなく、スマートフォンをルータ代わりにできるので(テザリングを応用)、屋外へも持ち出せる。なお、第2回で紹介したUSB Wi-Fiアダプタは2.4GHz通信のみ対応するため、電波法に抵触する心配はない。Wi-Fiの設定だが、SSHでリモートログイン後、まずは「ifconfig」コマンドを実行しよう。第2回で紹介したUSB Wi-Fiアダプタであれば、システムの起動とともにモジュール(ドライバ)が読み込まれ、自動的に「wlan0」というネットワークデバイス名で認識されているはず。この確認ができれば、最初の関門はクリアだ。ネットワークデバイスとして認識されていれば、以下のコマンドラインをPCのテキストエディタへコピー&ペーストし、「○○」部分を接続するWi-Fiアクセスポイント名に、「△△△」部分を接続用パスワードにそれぞれ置き換え、さらにそれを端末画面(SSHクライアント)へコピー&ペーストしよう。もちろん直接入力してもいいが、コマンド入力に不慣れな場合は無理をしないほうがいい。これで、Wi-Fiアクセスポイントの設定は完了だ。wpa_passphrase "○○" "△△△" | sudo tee -a /etc/wpa_supplicant/wpa_supplicant.conf続いてはIPアドレスの設定を。現在、家庭で利用されているルータ(兼Wi-Fiアクセスポイント)の多くにはDHCPサーバが用意されており、アクセスポイントに接続したクライアントに対しIPアドレスを貸し与える機能がある。IPアドレスは固定でも構わないのだが、『スズメ激写装置』は接続のつど変わる可能性がある変動型のほうが好都合なのだ。その理由は、冒頭にも挙げた「テザリング」。iOSにしてもAndroid OSにしても、テザリング子機(本稿の場合『スズメ激写装置』)に対しIPアドレスを割り振ってくれるため、変動型のほうが運用はラクなのだ。それに、利用するLinuxディストリビューション「Raspbian」は、AvahiというBonjour互換のIPアドレス自動設定機能がデフォルトで稼働しているため、変動型でも不便はない。というわけで、いよいよ「nano」を使いネットワークの設定ファイルを編集する。ファイルは「/etc/network/interfaces」、これを引数として与え実行すればいい(変更には管理者権限が必要なのでsudoを使う)。初期設定でいろいろ定義されているが、それをすべてクリアしたうえでリスト1の内容をコピー&ペーストしよう。有線LANポートはケーブルを接続しないかぎり使わず、ふだんはUSB WI-Fiアダプタで通信するための設定だ。Control-Xとタイプすると、画面下に「Save modified buffer」と確認のメッセージが表示されるので「y」をタイプし、続いて現れる「File Name to Write: /etc/network/interfaces」ではそのままreturnキーを押せばいい。これで、IPアドレスの設定は完了だ。$ sudo nano /etc/network/interfacesリスト1:/etc/network/interfacesauto loiface lo inet loopbackallow-hotplug eth0iface eth0 inet dhcpallow-hotplug wlan0iface wlan0 inet dhcpwpa-conf /etc/wpa_supplicant/wpa_supplicant.confiface default inet dhcp○ついでにテザリングの設定もこれでWi-Fiの設定はひとまず完了。動作確認のためにも、いちどシステムを停止させ、Ethernetケーブルを抜いたうえで(USB Wi-Fiアダプタだけで)起動するかテストしてみよう。システム停止のコマンドは以下のとおり、Raspberry Pi前面の緑色LEDが10回点滅したことを確認のうえ、電源(USB micro-B)ケーブルを引き抜くこと。$ sudo halt次回Raspberry Piの電源をオンにすると(スイッチがないのでケーブルを接続するのだが)、DHCPサーバから貸し出されたIPアドレスがUSB Wi-Fiアダプタに割り当てられ、そのIPアドレス経由でリモートログインできるようになる。ただし、前述したとおり接続のつど変更されることがあるため、OS Xの場合は以下のとおりBonjour名を指定したほうがいい。Bonjour名はiOSのSSHクライアントアプリ「Serverauditor」でも利用できるので、念のため。$ ssh pi@raspberrypi.local最後に、テザリングの設定を。以下のとおり管理者権限でnanoを起動し、リスト2の内容を追加しよう。ssid行にはスマートフォンの名称を、psk行にはテザリングで使うパスワードを入力すればいい。/etc/network/interfacesのときと同じ要領で上書き保存すれば設定完了、次回システムを起動したときには手もとのスマートフォンがWi-Fiアクセスポイント代わりとなる。なお、テザリングを使う場合、Raspberry Piの電源を入れる前にスマートフォン側で受け入れ体制を準備しておくこと。たとえばiPhoneの場合、『設定』の「インターネット共有」画面にあるスイッチを有効にしたうえで、その画面を表示したまま待機していれば確実だ。$ sudo nano /etc/wpa_supplicant/wpa_supplicant.confリスト2:/etc/wpa_supplicant/wpa_supplicant.confに追加network={ssid="Shinobu6" ←スマートフォンの名称psk="suzumechan" ←テザリングのパスワードkey_mgmt=WPA-PSK ←暗号化方式}I氏:「なんだかんだ、ここまで順調じゃないですか」海上:「もうWi-Fiで遠隔操作できるし、スマホがあれば外へ持ち出せるし」I氏:「残る課題はカメラのセットアップと動体検知ですかね」海上:「ですね」I氏:「スズメが飛んでこなかったときのオチも考えといてくださいよ」海上:「(泣)」I氏:「これがほんとのスズメの涙とか、そういうオチはいりませんから」海上:「……(バレたか)」
2015年08月11日