ジョニー・デップが再びインデペンデント作品への回帰を果たした『グッバイ、リチャード!』。“余命180日”の崖っぷち男を演じた本作から本編映像が解禁。また、斎藤工、滝藤賢一から、その等身大の演技に絶賛を寄せるコメントが到着した。この度解禁となったのは、残された人生をありのまま生きると決めた大学教授のリチャードが、一風変わった授業を始める様子を切り取った本編映像。授業中に生徒からタバコをもらい口にするも、いままでタバコとは無縁の生活を送っていたリチャードは咳き込み「マズすぎる」とひと言。また、ゾーイ・ドゥイッチ演じる学生のクレアが妻の不倫相手である大学学長の姪だと判明すると「奴は大嫌いだ」と露骨に言い放つ。そしてリチャードは「この続きはバーでやらないか?」と学生たちに前代未聞の提案を持ちかける――。こうして始まった特別授業で、リチャードは彼らに何を教えていくのか。死を前に奔放になったリチャードを、ジョニーお得意のコミカルだが、どこか憂いを漂わせた演技で演じている。そんなジョニーの姿に、俳優・フィルムメーカーである斎藤工は「こんなジョニー・デップが観たかった」と絶賛。「演者と役柄が交点を持つ瞬間が幾度もあり 途中から何を観ているのか分からなくなった そのくらい今のジョニー・デップ そして今までのジョニー・デップの生きて来た時間がフィクションを超えて リチャード教授に落とし込まれていた気がしました つくづく映画を愛し映画に愛された男なのだと」と語り、合わせて「作品毎の七変化振りには 毎度心の二度見をさせられる 目の離せない新星」とクレア役のゾーイにもコメント。滝藤賢一は「生きているということは必ず死と隣り合わせであると突きつけられた。そんな当たり前のことを忘れてしまう。誰しもその時は間違いなくやってくる。果たして自分はジタバタせず受け入れられるのか...今の生き方でいいのか...この世に生まれてきた意味を考えずにはいられない。ジョニー・デップの芝居が響いた、このご時世だからこそ観るべき映画」と、コメントを寄せている。『グッバイ、リチャード!』は8月21日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:グッバイ、リチャード! 2020年8月21日 ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開©2018 RSG Financing and Distribution, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
2020年08月14日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】会社の働き方がテレワーク中心になり、定年退職を自宅で迎えそうです。私は今年の11月、60歳になり、37年間勤めた会社を定年退職します。勤めている会社は去年、定年退職した人に退職の挨拶をしてもらったり、感謝状を渡したりと、小さなセレモニーを開いていました。しかし、今回のコロナ禍を受けて働き方はテレワークにシフト。通勤手当もなくなるという本気ようで、会社にはほとんど誰も行かなくなりました。私は目立つことが好きではないので、セレモニーがなくなりそうなことに関してはホッとしています。一方で同僚に全く気づかれずに職場を離れる寂しさやお世話になった人に直接挨拶することができないもどかしさは感じていて、会社をやめた実感がわかず、気持ちの区切りをうまくつけられない気もしています。どうしようもないことだとはわかっているのですが、どうすればこのモヤモヤを解消して退職できるでしょうか。(59歳・女性・会社員)【回答】37年間にもわたるご勤務。まさに偉業。まずは、心からリスペクト申し上げます。きちんと最後の区切りをつけたいと思っていらしたのに、このコロナ禍で出勤すらままならなくなってしまわれたのですね。いかんともしがたい複雑なお気持ちでしょう。「どうすればこのモヤモヤを解消して退職できるでしょうか」。ごもっともです。浅知恵ですがご提案させてください。まずは、ご自分のお気持ちを整理してごらんになってはいかがでしょうか。「セレモニーがなくなりそうなことに関してはホッとしている」とおっしゃっておいでですが、果たして本当にそうですか。どうも行間から「私にもセレモニーをやるのが当然でしょう」「37年間も勤め上げての晴れ舞台だったはずなのに」「私も感謝状と花束が欲しい」「同僚や上司から労いの言葉があるべき」という無念がにじみ出ていらっしゃるようにお見受けするのですが、いかがでしょう。そういうお気持ちになるほうが、私にはかえって自然なような気さえします。万一にでも、そのお気持ちを大人の自粛で抑え込んでしまわれているようなことがあると、もっとモヤモヤ度が増すことになると思うのです。残念無念は口に出して大っぴらに認めてしまった方が、お気持ちはすっきりするかもしれません。同時に、37年間も続けてこられた生活スタイルが変わるのですから、ある種の喪失感や虚脱感のようなものが芽生えてもおかしくありません。「さて、これからどうしよう」という漠然とした不安は、例年通りにセレモニーが開催されて同僚やお世話になった方々に直接ご挨拶することができたとしても生じるもので、いま抱えていらっしゃるモヤモヤの原因はそこではないかもしれません。長い年月を費やしてきたものから離れるとき、そうそう簡単には気分転換できないのが、私たちのような気がします。「モヤモヤを解消してすっきり退職」は理想ですが、現実ではないということです。次の生活スタイルに慣れていくまでに、モヤモヤするリハビリ期間がきっと必要なのでしょう。そんな気がいたします。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年08月14日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】先月、大切な人を亡くしました。彼とは38年前からお付き合いをしていました。ただ、彼には奥さまもお子さまもいて……。何度も別れようとしたのですが、どうしても無理でした。そんななか8年前に奥さまがお亡くなりになって、その数カ月後に彼もがんであることが発覚しました。抗がん剤治療や手術で入退院を繰り返す日々。でも、合い間には旅行に行ったり、食事に行ったりすることもできて、幸せなときでもありました。それに彼はいつも自分より私を心配してくれて、何度も籍を入れようと話をしてくれましたし、お墓も奥さまとは別にすると言ってくれました(一方で、当然のことながらお子さまは私とは会えないと言っていて、籍を入れたら彼もお子さまに会えなくなるのではと思い、このままでいいと返事をしました。お墓も最終的に彼は奥さまと同じ場所で眠っています)。ただ、最期の日はあまりにも急に来てしまった……。どんどん衰弱していき、ほとんど話をすることもできずに逝ってしまいました。あんなにも時間があったのに自分の思いを素直に伝えられなかった。今はそんな後悔ばかりが募っています。どう生きたらいいかも分からず、苦しくて辛くて。どうにかなりそうで毎日が怖いです。(60歳・女性・無職)【回答】38年……。長い、長い時間でしたね。人生の半分以上を一緒に過ごされたのですから、それはそれは、いろんなことがおありだったことでしょう。先月に看取られたばかりで、まだまだ怒涛のような想いの中にいらっしゃることだろうと思います。「自分の思いを素直に伝えられなかった」と思い悩まれているとのこと。どんな思いをお伝えできなかったのでしょうか。お時間があればゆっくりお聴きしたいところです。苦しくて辛くてどうにかなりそうな毎日をお過ごしのあなたさまに、今はかける言葉も見つからず、ただただどんなにお辛いだろうと、思い巡らせるのが精一杯です。それでも、ひとつお耳に入れておくことができるとすれば、この世は諸行無常であるということでしょうか。この世の中のすべては、なにひとつとして同じかたちで続いていくものはないのだという理です。抵抗することのできない別れで、幸せな時間はかたちを変えてしまいましたでしょうが、今のあなたさまの苦しさ辛さも、いずれかたちを変えていきます。いついつまでも続くものではありません。ただ、渦中にいらっしゃれば、そんなふうに考える余裕なども持てずにいらっしゃることでしょう。そんなときは、もがくよりも膝を抱えて縮こまっているほうが得策なような気がいたします。嵐はいずれ過ぎてゆき、雨もきっと上がります。ところで、あなたさまの大切なお方ですが、私はお墓になんかいらっしゃらないと思いますよ。あんな狭いところにはおさまってはいらっしゃらず、世界中を自由に飛んで回っておられることでしょう。間違いなく、あなたさまのおそばにもいらっしゃっていて、「ほれ、しっかりせい」と見てくださっておいでだと思います。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年08月07日映画『喜劇 愛妻物語』が、2020年9月11日(金)に公開。濱田岳×水川あさみが、夫婦役として出演する。足立紳監督の(ほぼ)自伝的小説が映画化!映画『喜劇 愛妻物語』は、『百円の恋』で日本アカデミー賞最優秀脚本賞に輝いた足立紳が、自身の夫婦生活を赤裸々に綴った(ほぼ)実録小説を、自ら映画化させた半自伝的な作品。結婚10周年を迎えるも、年収50万円の売れない脚本家・豪太と、そんな情けない夫に絶望している酒好きの妻・チカを主人公にした、倦怠期真っ只中、セックスレス夫婦の痛快な愛憎劇が描かれる。<ストーリー>結婚して10年。いまだにうだつの上がらない脚本家の豪太と、トキメキを失って久しい妻のチカが、幼い娘と三人で旅に出た。四国を舞台にしたシナリオを書くための五日間の取材旅行。しかし豪太にはもうひとつの重大ミッションがあった。旅の間になんとしても、「セックスレスの妻とセックスする」という悲願を達成するのだ!登場人物/キャスト倦怠期真っ只中の夫婦役に抜擢されたのは、『グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~』『コンフィデンスマンJPプリンセス編』といった話題作の出演が後を絶えない濱田岳と、『滑走路』『ミッドナイトスワン』の出演を控える水川あさみのふたり。超ダメ男と超恐妻という凸凹コンビが織りなす、リアルな夫婦生活を捉えた掛け合いに注目だ。豪太(濱田岳)稼ぎがほぼゼロで家に居場所もないのに、隙あればセックスに持ち込もうとする奮闘するダメ夫。チカ(水川あさみ)夫に罵声を浴びせながら、家計や子育てを支える超恐妻。夫とのセックスを拒み続けている。また豪太とチカの娘アキには、音楽ユニット「Foorin」のメンバーでもある新津ちせが抜擢。さらにチカの親友・由美役に夏帆をはじめ、光石研、ふせえり、大久保佳代子らといった人気キャストが脇を固める。旅の道中もトラブルばかり!ふたりが迎えるラストとはー?!解禁された予告編には、豪太が車の免許を持っている妻・チカの機嫌を取り、娘のアキも連れて“うどん県”こと香川へシナリオハンティングへ向かう姿が映し出されている。しかし家族旅行気分もつかの間、旅の道中でもトラブルばかり起こす豪太にチカが大激怒。さらに事態を好転させようとするチカに対して、豪太は相変わらず頭中はセックスしかないダメっぷり…。果たして旅の終わりにシナリオは完成するのか?そして2人は仲良く結ばれるのか?はたまた綱渡りの夫婦関係は終わりを迎えてしまうのかー?!笑いあり、涙ありのラストは是非シアターで鑑賞してみてほしい。詳細映画『喜劇 愛妻物語』公開日:2020年9月11日(金)新宿ピカデリー他全国ロードショー脚本・監督:足立紳原作:足立紳「喜劇 愛妻物語」(幻冬舎文庫)キャスト:濱田岳、水川あさみ、新津ちせ、大久保佳代子、坂田聡、宇野祥平、黒田大輔、冨手麻妙、河合優実、夏帆、ふせえり、光石研製作:『喜劇 愛妻物語』製作委員会z
2020年08月06日自分には魅力がない、だからモテないんだ……と落ち込んだり、自棄になったりすることはありませんか?女性が思う愛されポイントと、男性がグッとくるポイントは違っているもの。そこで今回は、星座別に、あなたの愛されポイントを占ってみました。■ おひつじ座(3/21~4/19)……熱心で真剣なまなざし「これ!」と思うと真っすぐな、おひつじ座の女性。何かに取り組んでいるときの真剣なまなざしや、熱心に本を読んでいる姿に一途さを感じて、グッとくる男性が多いでしょう。ちょっと頑固になりすぎてしまうところもあるので、素直さを心がけるといいです。■ おうし座(4/20~5/20)……愛らしい笑顔服の肌ざわり、シャンプーや化粧品の香りなど、自分の感性を重視してこだわる、おうし座の女性。だからこそ、お気に入りに囲まれているときはテンションも上がり、ニコニコ笑顔に。そんな愛らしい笑顔に、男性はグッときています。お気に入りの小物を、持ち歩いてみてくださいね。■ ふたご座(5/21~6/21)……表情豊かに話す姿好奇心旺盛な、ふたご座の女性は、気になることを調べたり、実際に足を運んだりするのが好きだし得意。「ここに行ってきたの!」と表情豊かに話す姿はキラキラ輝いていて、男性はグッときてしまいます。でも、一方的に自分だけ話して、終わりにならないよう気をつけてください。■ かに座(6/22~7/22)……やさしさなんといっても、かに座のやさしさに男性はグッとくるでしょう。特に、どこかケガをしたときに絆創膏をスッと差し出したり、「ボタンが取れそうだよ」とソーイングセットを取り出したりしたら「いいなあ」と思うのです。ただ、お節介にならないように気をつけてください。■ しし座(7/23~8/22)……ちょっと勝気なところいい意味でプライドが高い、しし座の女性。男性に負けたくないと、つい頑張りすぎてしまうことも……。高いところにある物だって、せいいっぱい背伸びをして手を伸ばすでしょう。そういうちょっと勝気な姿に、男性はグッときてしまうのです。時には素直に甘えてみるのもOK!■ おとめ座(8/23~9/22)……恥ずかしそうに照れる姿生マジメな、おとめ座の女性は、なかなか隙を見せないところがあります。しかし、誰にでも気が抜けてしまうときがあるもの……。ちょっとした失敗や勘違いに恥ずかしそうにしたり、照れたりしている姿に、男性は「かわいいな」と感じてグッときてしまうのです。■ てんびん座(9/23~10/23)……友達思いなところバランス感覚が抜群な、てんびん座の女性。周囲の空気を読んで、ソツのない行動をするのが得意です。特に友達がケンカしたときには間に入って、仲直りを促すためにあれこれ奔走するでしょう。そんな友達思いなところに、男性はグッときているのです。■ さそり座(10/24~11/21)……我慢が表に出てしまったとき打ち解けてからも、なかなか自分のことを話さない、さそり座の女性は、愚痴や不満などを口にすることが滅多にありません。でも、時にはついポロリと出てしまうことも。それを見て、そんなに我慢していたのか、頑張っていたのか……と、男性はグッときてしまうのです。■ いて座(11/22~12/21)……心細そうにしている姿行動的で怖いもの知らずに見えている、いて座の女性。でも、実は案外慎重で、怖がりな性格。そんな、いて座女性の「大丈夫かな?」と心細そうにしている姿に、男性はグッときてしまいます。不安なときは素直に頼ったり、相談したりしてみるといいでしょう。■ やぎ座(12/22~1/19)……意外に親しみやすいところマジメで堅実な、やぎ座の女性は、男性に向ける視線も厳しめです。でも、ちょっとした軽い冗談に涙を流して笑うような、親しみやすい部分もあるでしょう。またお酒の席では、普段とは違った隙を見せてしまうことも。そんなやぎ座女性の意外な姿を見たとき、男性はグッとくるのです。■ みずがめ座(1/20~2/18)……無邪気に話を聞く姿好奇心旺盛で知識も豊富な、みずがめ座の女性は、男性のちょっとコアな話にもしっかりついていくところがあります。また、興味を持つと「もっと詳しく教えて!」と熱心に質問するでしょう。そんな、子どものような無邪気さで話を聞いてくれる姿に、男性はグッときてしまうのです。■ うお座(2/19~3/20)……意志を持って頑張る姿うお座の女性は甘え上手と言われていますが、実はかなり頑張り屋な一面があるでしょう。普段は甘えん坊で頼りなさそうなのに、「決めたから最後までやってみる」と強い意志を見せたとき、男性はグッときてしまうのです。目標を決めて頑張っている姿を見せましょう。■ さいごにそんなところで?と思うようなポイントに、男性はグッときてしまうことがわかりますよね。「自分にはそんな愛されポイントはない」と思わず、この占いを参考にして、愛されポイントを増やしてみてくださいね。(マーリン・瑠菜/占い師)(愛カツ編集部)presented by愛カツ ()
2020年08月01日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】私はさまざまな死別経験から、遺族ケアや生・死について深く学び関わることが自分の使命であると思っています。これまでもグリーフケアをはじめ、いろいろ学び、民間資格の取得にも挑戦しました。しかし正直にいうと、十分に理解できていないです。どうしたら、そうしたことをもっと学べるのか?どうしたらもっと関わることができるのか?いま何をすべきなのかわからなくなっています。何かアドバイスや情報をいただけないでしょうか。(34歳・女性・看護師)【回答】「死について深く学び関わることが自分の使命」。ご自分のミッションをはっきりと自覚なさっている。尊敬します。そして、ミッション達成に向けて努力もしていらっしゃる。ぶれていませんね。すごいです。そして今、「どうしたら、そうしたことをもっと学べるのか?どうしたらもっと関わることができるのか?いま何をすべきなのかわからなくなって」いらっしゃる。壁にぶち当たっていらっしゃるのですね。学ぶとき、最善にして最短の方法は「経験すること」だと私は思っています。実際に体験することで得る経験値はどんな専門書にも勝る、と。でも、なかには自分で経験してみることができないこともありますね。「死」もそのひとつです。本当は一度死んでみるのがいいのでしょうが、死んだら今の状態にはもどってこられないルールのようなので、せっかく死んでみても経験値として活用できません。「死」だけに限らず、宇宙のことも、人間の体のことも、病気のことも、実はわからないことだらけなのが現状ではないでしょうか。私たちはそれを、いかにもわかっているようなふり、もしくは勘違いをして過ごしているだけです。「わからない」ものを「わからない」と言うことは、どんなに難しいことなのでしょう。「わからない」ものを「わからないまま」に見ていることは、どんなに我慢のならないことなのでしょう。その点、あなたさまは「十分に理解できていない」と認めていらっしゃる。天晴です。「わかった」と勘違いをして上っ面なことをしてしまうよりも、ずっと肝のすわった態度です。死について深く学び関わるためには、「わからない」「わかるわけがない」という自分に対する戒めと、それでも「わかりたい」「1ミリでも近づきたい」という真摯な、もはや祈りといってもいいような渇望が原動力になるような気がしています。この道には、決して満足できるシチュエーションはありません。そのことを忘れずに在り続けることが、今すべきことなのだと思っています。同志よ、共に学ぶ仲間として、日々粛々とやってまいりましょう。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年07月31日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】交際していた彼の人生を狂わせてしまいました。彼とは8年間も付き合っていて、最初は11歳という年の差に迷っていたんですが、占いをしている母に「その人はソウルメイトだ」と強く勧められて交際を始めました。でも時間が経つにつれ、気持ちが冷めてしまって……。彼はプロポーズまでしてくれましたが、私は友人から紹介された別の男性を好きになったり、出会いの場に自ら足を運んだりと、遊びを繰り返して今では別の彼がいます。でもこんな状況に、自分のせいとは重々承知ですが、自分だけが幸せになってしまったという罪悪感から精神的に不安定になってしまい心の病気に。体にもいろいろな症状が出てきて、生きた心地がしません。母には、なぜ私の人生を変えるようなことを言ったのかとフラストレーションが溜まるばかりです。以前付き合っていた彼はいま46歳ーー。いくら男性でも、この年齢で普通の出会いはなかなか難しいと思います。私は人の役に立つことを沢山したいと思って生きてきたのに、ひとりの男性の人生を狂わせてしまいました。この先、この思いを抱えてどういう風に生きていけばいいのでしょうか。(35歳・女性・受付)【回答】なんて大変な人生でしょう。「人の役に立つことを沢山したい」という崇高な志を持っておられるあなたさまが、どうしてこんなお辛い運命を背負わされなければならないのか。この世は本当にままならないことばかりですね。でも、あなたさまも人生始めて35年。そろそろこの澱みから脱出しないといけません。私はあなたさまよりだいぶ長く生きているので、少し先輩風を吹かせて2つお伝えしようと思います。1つ目は自分の人生船の船長たる覚悟を持つこと。「お母さまに勧められてお付き合い」。私たちは独りで生きているわけではありませんから、周りの方からアドバイスをいただいたり、本などのメディアから情報を得ることもあるでしょう。でもそれは、どちらに進むかを決めるための材料にすぎません。最終的にはその材料をもとに、自分で自分の人生船をどちらに進めるかを決めるのです。ここを勘違いしてはいけませんよ。お母さまに対して「なぜ私の人生を変えるようなことを言ったのか」なんて、もう片腹痛い。あなたさまはどこまで自分の船の舵取りを人さまにあずけてしまうおつもりなのでしょうか。しかも、自分の船が迷走している責任までも人さまに押し付けるなんて。あなたさまの船の舵取りをしているのは、他ならぬあなたさまです。どんな結果になろうと、人生船の船長たる覚悟を持ってください。すべてはその覚悟からはじまります。2つ目は自分の頭のハエを追うことに専念すること。「プロポーズまでしてくれた彼氏に見切りをつけ、別の男性を好きになったり、出会いの場に行ったりと遊びを繰り返して今の彼氏と巡り合った」のですよね。生きていればきれいごとだけでは片付かないこともあるでしょう。若いときはなおさらです。でも、そうやって本当の愛を見つけていくのですよね。だからそのプロセスを批判するつもりはまったくありませんが、「自分だけが幸せになってしまったという罪悪感から……」というくだりには噴飯しました。まずそのかつての彼氏さんに失礼でしょう。46歳の彼が今もあなたさまを想い続けていらっしゃるとでも?あなたさまと別々の人生を歩みはじめて、案外せいせいされていらっしゃるかもしれませんよ。人の役に立つことをしたいのであれば、まずは自分の心と体を良好に保つこと。あなたさまが心と体を壊していては、今の彼氏さんだって楽しくないでしょう。いらんことを考えてヒロインになっていないで、とっとと自分の頭のハエを追い払ってくださいませ。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年07月24日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】3月末に母が他界しました。がんで腎臓と膵臓を摘出していたので苦しかったはずですが、本人の意志で最期も自宅で私と二人暮らしでした。日中は私が仕事で母は家で一人でしたが、それでもヘルパーの力は借りずに、ケンカしたり笑ったりしながら過ごす日々。母は何度も「自分の誕生日に旅立つわ」と言っていて、冗談だと思っていましたが、本当に旅立っていきました。でも、バタバタと家族葬の準備をしていたとき、母からの手紙が出てきて……。入院して手術になったときの不安な気持ち、日中に一人でいる寂しさ、遺品の処理を任せることへの謝罪、私のこれからの心配と応援などが書かれていたんです。最後には幸せだったとも書いてありましたが、母の気持ちを改めて知り、本当に母は幸せだったのか?母に何ができたのだろうか?と考えるようになり、喧嘩ばかりで優しくしてやれなかったと反省と後悔の念が押し寄せています。さらにコロナの影響で収入が下がるという別の不安もあって。他人に弱いところは見せるなと手紙には書いてあり、なんとか生きないと母にまた心配をかけると思いながらも泣いています。毎日、いろいろなことを思い出して、不安な気持ちと母への謝罪の気持ちでいっぱいです。(48歳・男性・自営業)【回答】お母さまを亡くされて、まだ間がないのですね。誕生日に逝くとおっしゃっていてその通りにされたとは、潔いというかお見事というか、とにかく天晴れなお姿でした。しかも、お手紙までしたためていらしたなんて。なかなかできることではありませんよ。よほど魂のレベルが高い方だったのでしょうね。「本当に母は幸せだったのか、母に何ができたのだろうか」と反省の日々を送られていらっしゃるとのことですが、まず、幸せだったかどうかを決めるのはお母さまご自身で、あなたさまではないということ。最後のお手紙のなかに「幸せだった」と書いてあったのでしょう?お母さまがそうおっしゃっているのに、「本当に幸せだったのか?」ってあなたが疑ってどうするんですか。それから、「母に何ができたのだろうか」ですけれど。私にも息子がいますのでね、思うところを申しますと、子どもが生まれてきてくれたときにはもう母はすべてをもらっているんですよ。完璧にfullなのです。その後の時間はたとえ喧嘩したって、いがみ合ったって、オマケみたいなもの。子どもという存在を得た完璧なfullは欠けることはありません。母親なんてそんなものですよ。だから、あなたが何もしてくれなかったとしても、それでどうこうなることはありませんね。人間はいつまでも生きているわけにはいかないものです。だから先に生まれた親の方が先に逝くようになっています。空の上から可愛いわが子を見下ろしたときに、毎日不安と謝罪の気持ちでいっぱいな様子を見たら、せっかく天国にいるのにのんびりもできやしない。いろいろなことを思い出してくれるなら「ありがとう」と「大好き」って気持ちでいてくれたら安心です。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年07月17日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】私の家には代々続く家業があり、両親が亡くなったあとは私が継いだのですが、最近は人手が足りず、継続するのにも苦労しています。一方で、恥ずかしい話ですが、家族には無職の弟がいて。仕事をやらせる意味でも家業を手伝わせようとしたのですが、「興味がない」と断られてしまいました。このままでは家業の先々についても不安ですし、無職の弟の将来のことも心配です。なんとか彼をやる気にさせる方法はないのでしょうか。(40代・男性・自営業)【回答】家業の先々に、弟さんの将来。ご心労が絶えないご様子に胸がつまります。無職の弟さんになんとかやる気を出させる方法はないものかとのことですが、根も葉もない言い方をお許しいただければ「ない」です。そもそもやる気というのは他人から言われて生じるものではなく、自分のなかから湧き出てくるものだからです。高野山での修行で護摩行をやっていたときの話です。護摩木を組み上げて火を焚くのですが、簡単なようでこれがなかなか難しい。途中、もっと燃えよと油をかけたり、風を送ったりするのですが、炎と呼吸が合わないと助けたつもりが逆に勢いを削いでくすぶらせてしまいます。やみくもに油をかけてやればいいというわけではないのですね。どちらの方向に燃え広がりたいのか、ちょろちょろ燃えていたいのか、大きく燃えて火柱を上げたいのか、火の意向と合わないとうまくいかないのです。これまでにも幾人か「仕事しない」「何事にも興味がない」という方のご相談をお受けしてまいりましたが、不思議なことに、みなさんご相談にお見えになるのはご本人ではなくご家族なのです。困ったり心配したりしているのは周りで、ご本人のまったくどこ吹く風なご様子を拝見すると、いつも、護摩の火のことを思い出します。息が合っていないなあ、って。さあ、いかがでしょう。これまでに、弟さんが何かをなさろうとしているときに「ほれっ」と油をかけたり、ゆっくり歩こうとされているときに後ろから「ぷうっ」と風を送ったりなさったことはありませんでしたか?火はタイミングの合わないことを何回かやられるとふてくされて消えてしまうのですが、はてさて、人はどうでしょうか。簡単なことではないと思いますが、いま一度あなたさまからは何もしないことになさってみてはいかがでしょう。無職でいらっしゃるのにお腹をすかせているようにはお見受けしないのですが、もちろん、上げ膳据え膳をなさる必要もありません。火の意に任せるのも胆力のいることです。でも、火が燃えようと思わなければ、周りがなにをやったって燃え上がりはしないのです。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年07月10日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】父親の死をどう乗り越えればいいのかわかりません。病気もせずに、毎日元気に自分で運転して、母と一緒にゲートボールを楽しんでいた90歳の父。昨年6月、急に体調を崩して二度も救急車で運ばれました。されど、原因ははっきりせず……。母親と一緒に看病をしながら、どうしたらいいかと悩み、原因を追究するために総合病院で半日かけて検査をしてもらいました。それでも診断は水分不足と過呼吸のみ。検査後に点滴だけしてもらい、自宅に帰ることになりました。でも家に入った途端に苦しみながら倒れて。必死に心臓マッサージをしましたが、そのまま亡くなってしまいました。半日もかけて検査を受けさせたこと、今でも後悔していて、苦しい思いをさせてしまった父親に謝りたいですし、最近は父親が倒れてから亡くなるまでの状況を思い出すことが多くて悲しいです。どうしたらよいのかまったくわからず、相談させていただきました。(55歳・女性・会社員)【回答】親を亡くすのは、本当に寂しいものです。それまでお元気でいらしたのに急であれば、なおのことお気持ちの整理がつかないでしょう。半日もかけて検査を受けさせてしまったと後悔されているのですね。検査が長く苦しかったから、お父さまが逝ってしまわれたように感じていらっしゃるのでしょうか。あの検査さえ受けさせていなければお父さまはまだご存命だったかもしれない、苦しい思いをさせたうえに逝かせてしまったと。私たちには、どんなことにも“理由”を探してしまう癖があります。走ったから転んだ、落としたから壊れた、出かけたから交通事故に遭った…という具合に。なかには、その因果関係を断つことができる場合もありそうですが、こと「死」についてはどうだろうと考えることがあります。というのは、たとえば「餅を食べたから詰まらせて死んでしまった」けれど、「餅さえ食べなければ生き続けていられる」のかということです。たぶん違うでしょう。いずれ、どんな理由にせよ必ず死んでゆくのが人間です。ということは、「死」の究極の理由は、「生きているから」。この因果関係は、私たち人間ごときにはどうにも断つことができません。お父さまは、今ごろどうされていらっしゃると思われますか?痛んだり壊れたりするこの肉体は、じつは足枷です。脱ぎ捨てて自由になったお父さまには、もう苦しみも悲しみもありません。あなたの周りにいることもできるし、行きたいと思うだけで天の川にだって行くことができます。この世しか知らない私たちは「苦しい思いをさせた」「謝りたい」と負の感情で亡き人を拘束しようとしますが、どっこい、もうそんな次元にはいらっしゃらないのです。お父さまのために何かしてさしあげたかったと思われる? いまからでもできますよ。それが回向(えこう)です。私たちがこちらの世の中で徳を積むと、その徳があちらにいらっしゃるお父さまの活力になります。徳というのは、ボランティアをするとか、ゴミを拾うとか、そういった良いことをして積むこともできますが、なによりも貯まるのは「笑顔」と「感謝」です。お父さまを思い出されるときには、どうぞ「笑顔」と「感謝」で徳を積んでください。それがお父さまにとってなによりの活力になりますから。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年07月03日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】結婚して2年目になります。30代半ばにさしかかり、そろそろ子どもを生むかどうか決断しなくてはと感じているのですが、強く「子どもがほしい」と思えません。一方で、「生まなかったら後悔するのではないか」という気持ちがよぎることもあって。どうしても決めきることができません。授かるには不妊治療しかないかという状況……。周りの結婚している友達は、疑問なく子どもを生んでいるか、不妊治療に励んでいる人しかいなくて、あまり悩みも打ち明けられずにいます。どうやったら決断できるでしょうか。(34歳・女性・会社員)【回答】30代半ば。子どもを生むか生まないか、悩ましいですね。出産にはどうしたって年齢的な縛りがありますから、ぎゅっと突き詰めて考えないといけないところがあります。あなたのご参考になるかどうかわかりませんが、看護師として見てきたケースをいくつかお話しさせてください。まったく子どもに興味がなく望まない妊娠だったAさんは、いよいよ出産となって入院してきたときにも表情が硬く、子育て大丈夫かしら? と心配しましたが、いざ産まれたらメロメロなママになりました。妊娠出産でホルモンバランスも変わりますから、「欲しくなかったけど、産んでみたらもうかわいくて!」というママはけっこういらっしゃいます。ずっと授からないようにしてきたBさんは、やっぱり子どもをつくろう、年齢的にもそろそろリミットだしと解禁したのですが、結局コウノトリはやってきませんでした。長年不妊治療をがんばってきたCさんは、もうこれ以上は無理と30代最後の年に泣く泣く不妊治療をやめましたが、その半年後、自然妊娠で子宝に恵まれました。こんなふうに、生命誕生のドラマはいつだって神秘的です。本来、たかだか人間ごときにどうにかできるものではないのだという気がしています。だから、ひとつだけ覚えておいていただけると嬉しいのは、「あなたの心をいつもやわらかくしておいてほしい」ということです。子どもなんていてもいなくてもどっちでもいいや、という柔軟さを持ち続けてほしいのです。私たちは「絶対」とか「必ず」とか「どうしても」という言葉を使いはじめると、袋小路に追い込まれ逃げ道をなくして苦しくなります。どんな結果になっても「それが私の人生」と受け入れるやわらかいアタマとココロさえあれば、穏やかに過ごせるはずです。「何があっても良しとする」。それはある意味、“覚悟”でもあります。覚悟ができたら、運を天に任せてごらんになってみては?【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年06月26日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】今年2月に理髪店を独立開業したのですが、いきなりコロナの影響でお店の経営が非常に厳しくなっています。しかも、付き合っている彼女が同時期に九州から上京してきて、同棲しながら東京で働きだしたのですが、こちらもコロナ禍で失業してしまいました。結婚も考えていたのですが、日々の生活を送るだけでも精いっぱいでそれどころではなくなり、彼女との関係も微妙な感じに……。九州に一度帰る話まで出てきています。いったい、私たちは、今後どうすればいいのでしょうか。(40代・男性・自営業)【回答】ああ、なんと申し上げればよいのか……。本当にこのたびの新型コロナウイルス感染拡大はいろいろなことを引き起こしています。倒産、離婚、虐待……。2020年がこんな年になるなんて、いったい誰が予測していたでしょう。お店の経営が非常に厳しくなっていらっしゃるとのこと。とても心配です。なんとか持ちこたえられそうですか?国は救済処置をはじめているようですが、利用できそうでしょうか?せっかく彼女さんが上京されて一緒に暮らしはじめた矢先だというのに、最悪ですね。貧すれば鈍するで、こんな最悪な状況下では彼女さんとの関係がギクシャクしてしまうのも無理ありません。どんな言葉もあなたさまの慰めにすらならないとわかっています。でも、あえてひとつ、申し上げさせていただこうと思います。人の人生のうちには、脱皮のように爆発的なエネルギーでもって殻を破り次元上昇する“機”が何度かあります。“機を待つ”。わたしたちは人生のたいていの時間をこの“機を待つ”ことに費やしているのです。凍てつく冬の間は膝を抱え、縮こまってやり過ごす。春に芽を出すためには、冷たい土のなかでじっと待つ冬が必要です。つまり、“機”を迎えて大きく跳ね上がるためには、低く沈み込む時間が必要なのです。私たちはいま、この状況をどうすることもできません。でも、これを次元上昇のための“機”ととらえるか、すべてがだめになった“災難”ととらえるかは、あなたの自由です。「冬来たりなば春遠からじ」。冬のあとには春がやってきます。必ず。誰にでも平等にーー。いまこんなに厳しい冬が来ているのですから、春はもうじきだと信じて、いま少しふんばってみませんか。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年06月19日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】緊急事態宣言が解除されてからの会社の指示に少しモヤモヤしています。宣言が出されてから私の会社は全面的に在宅勤務となったのですが、解除された途端に会議のために出社しろと上司から連絡が入りました。自粛が一部緩和されたとはいえ、まだまだ新型コロナウイルス感染の不安は残っていますし、満員電車の日々に舞い戻れば感染リスクも高まる気がします。なので、個人的にはなるべく外出を控えたいのですが、どうしても上司や同僚の目が気になってしまう……。どうすれば正解なのでしょうか。(35歳・女性・会社員)【回答】いや、おっしゃる通りです。いったいどうすればいいのか、“正解”がわかりません。たぶん正解を知っている人は、この世の中にひとりもいないのじゃないかしら。でも、みんながわからないのだとすれば、最終的な判断は自分でするしかないのだと思います。上司や同僚の目を気にして自らの命をかけて会社に行くか。自分の命を守るために会社を捨てるか。今回の新型コロナウイルスは、それぞれの個人に究極まで突き詰めた選択を問うていると感じます。ただ、もちろん事の大小はありますが、じつはこれまでだってそうだったのです。道を歩けば、交通事故に遭うかもしれないし、犯罪に巻き込まれるかもしれないし、上から物が落ちてくるかもしれない。いつだって命の危険は決してゼロではありません。でも、日々の生活のなかで私たちはそんなことなど考えもせずに「この命は必ず明日も続いていくものだ」と根拠なく信じ込んできたでしょう?その根拠なき確信が崩されただけ。私たちはもともと「明日をも知れない命」を抱えているのだということを見せつけられただけなのです。これが、今回の新型コロナウイルスがもたらした大きな事象です。さあ、どう生きていきましょう。一切の危険を排除しつつ衣食住が足るという方法はないものでしょうか。それを見つけられたら万事OKなのですが、なかなかそうはいきません。どこかで折り合いをつけて、妥協して、ときに諦めて、覚悟して、事に及ばなければならないようです。あなたの大事な命がかかっているのですよ。他人の目なんて気にしている場合ではありません。最終的な判断は、あなた自身が全責任を負ってする。そしてそれが、あなたの“正解”となるのです。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネージャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年06月12日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】親が過干渉で困っています。私はもう40歳目前ですが、いまだに実家暮らしを強いられ、出かけるときには誰に会うのか、どこに行くのかを詳細に親に伝えなくてはなりません。夜にたまに出かけるだけで「また飲みに出かけるのか」などと小言ばかりを言われます。耐えかねて年末年始はゆっくりひとり旅でもしようと計画していましたが、「正月に家にいないのはどういうことだ」と怒られ、結局叶いませんでした。交際相手のことにもすべて口を出してくるので、なかなか上手くいかず、このままではずっと結婚できないのではないかと焦っています。(39歳・女性・公務員)【回答】さて、親御さんが過干渉で困っていらっしゃるとのことですが、あらまあ、40歳も近いというのに、どうしてご実家をお出にならないのかしら。なにかどうしてもご実家にいなくてはならない深いご事情がおありでしたらごめんなさい。公務員でいらっしゃるなら収入もしっかりしていらっしゃるでしょうし、普通にひとり暮らしができるだろうに…と思ってしまったのです。詳細をお聞きしていないので適当なことを申しますけれどね、世の中に「強いられて」どうにもならないことというのは、そうそうあるものじゃありません。○○のせいであれができない、これもできないというのは、たいていの場合、じつは自分の心の奥底に「そうしたくない」という気持ちがあるものなのです。私なんぞは育ちが雑ですから、「正月に家にいないとはどういうことだ」なんていくら小言を言われても、「はあ、さようでございますか」ってな感じで出かけちゃいますからね。こんなことを言われると、「そんなことありません!なにもかも親のせいで…!」というお気持ちがムクムクされるでしょう。そのお気持ちもわかります。でも、40歳近いということでいらっしゃいますから、そろそろ自分に「軸」を持ちましょう。いまのあなたさまは「軸」を親御さんに渡してしまっているのです。親御さんに「軸」を渡して被害者でいることのほうがラクなのかもしれないですよ。厳しいことを言いますが、そのラクさを結局はあなたさまが選んでいるのです。「四十にして惑わず」ともいいますから、自信を持って自分の思うとおりにしてみましょう。簡単です。このままご実家にいるにしろ、出るにしろ、すべて「自分で選択したこと」という覚悟を持つこと。それだけです。誰かのせいじゃなくてね。自分のお尻は自分で拭く。自分に「軸」を持つことで、毎日は見違えるように楽しくなりますよ。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年06月05日女性の多くはもっと彼を惚れさせたいと思っているのではないでしょうか。でもそれってなかなか簡単なことではありませんよね。今回はキツイ一言によって彼を惚れさせる方法を紹介します。優しい言葉では彼は惚れない?彼にもっと自分のことを好きになってほしいと思って必死に優しい言葉をかけてきた人も多いのではないでしょうか。最初は彼は喜んでくれていても日が経つと元に戻ってしまったという経験がある方もいるでしょう。確かに優しい言葉は一時的には彼を惚れさせることができるかもしれません。しかし時間が経つとマンネリ化してしまう可能性があります。例えば、「大好き」「あなたには何でも話せちゃう」というような甘い言葉は彼をキュンとさせることができます。しかしずっと優しい言葉をかけるだけではいずれ飽きてしまいます。最初は優しい言葉をかけることは効果的ですが次第にキツイ言葉もかけることが大切です。キツイ言葉は彼を惚れさせる魔法の言葉普段優しい言葉をかけていた女性にとってキツイ言葉をかけるのに抵抗を感じる方も多いでしょう。彼が悲しんでしまうのではないか、キツイ一言のせいで自分のことを嫌いになってしまうのではないかと不安を感じる人もいるでしょうが、逆に彼の心に響くこともあります。例えば、仕事に責任感を持って取り組んでいたけどミスをしたから会社を辞めようとしている彼がいたとします。そんな彼に対して「仕事は続けるべき、ミスは次挽回すれば良いし落ち込んでる暇はない」と声をかけます。やや厳しい言い方のように見えますが彼はどう思うでしょうか。自分のことをちゃんとみてくれている、自分のことを応援してくれていると感じるでしょう。仕事から逃げようとしているのをとめるのは勇気がいりますし彼が反論してくる可能性だってあります。ですがこのキツイ一言によって気持ちの再確認ができるのです。自分のことをこんなにきちんとみてくれているのはあなただけ、と思うようになったらあなたは彼にとって特別な存在になったということです。そんな女性に惚れない男性はいないでしょうから、キツイ言葉をいうことができたら彼を惚れさせることができる確率が上がるのです。キツイ言葉で彼を惚れさせようキツイ言葉をかけるときに何より一番大切なのは、彼のことを思う気持ちです。自分の言いたいことをただ言うのではなく彼のためになると思って厳しいことでも勇気を出して言うということが大切です。キツイ言葉で彼を惚れさせましょう。
2020年05月30日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】実家の父は76歳なのですが、数年前に脳卒中を患い、歩行に不自由があります。最近は認知症かなと思うことも増えてきて、毎日椅子に座り、テレビを見ているだけの生活を送っています。昔は登山と読書が趣味だったのですが、もうひとりでは外に出られないので登山などはできず、目が悪くなったせいか、本も読まなくなってしまいました。2年ほど前までは母が車で外に連れ出したりしていましたが、お風呂に入るのも嫌がるのと、わがままな性格のために、母ももう一緒に外出するのが嫌になったようです。たまに帰省したときに、テレビと食べることだけにしか楽しみがない父の様子を見ると切なくなります。父になにか、ほかに楽しみがあればいいなと思うのですが……。(33歳・女性・会社員)【回答】あなたさまがどんなにお父さまのことを愛しておられ、大切に思っていらっしゃるかが伝わってきて、まず胸が熱くなりました。大好きだからこそ、今のお父さまを見ていられないのですよね。昔は登山と読書が趣味だったお父さまの楽しみが、今はテレビと食べることだけ。切ないですよね。お気持ちは痛いほどわかります。でも、その気持ちの根元にすこしでも「いきいきと趣味に没頭する父親を見て私が安心したい」というお気持ちがあるとしたら、そういうのを世間一般では「大きなお世話」というらしいのです。元気な私たちからすると一日中テレビばかりじゃ、さぞかしつまんないだろうと思ってしまいがちですが、それは自分の「ものさし」で物事を見てしまっているからです。脳卒中の後遺症を抱えるお父さまの「ものさし」で見なければ、本当のところはわかりません。とはいえ、お父様がどんな世界を見て、どんなふうに感じていらっしゃるのか、私たちにはわかるわけがありません。だから、インタビューしないとね。「お父さん、毎日どう?」「なにか困っていることはない?」「なにかやってみたいことはない?」「いま、どんな気分でいるの?」その答えのなかに、私たちにできるなにかがあるでしょう。往々にして、私たちは自分の「ものさし」で相手のあれこれを判断してしまいがち。最も賢い愛の伝え方は、自分の「ものさし」を捨てて、相手の「ものさし」を使ってゆっくり語り合うことなのです。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年05月29日みなさんは、家族や友人などにかけられた、忘れられない言葉はありますか。Twitterでは、漫画家の仲曽良ハミ(@nakasorahami)さんの投稿が話題となっています。今、自由に漫画を描いているのは母のおかげかもしれん…☺️ pic.twitter.com/e9edAyHA3H — 仲曽良ハミ@思い出漫画家 (@nakasorahami) May 27, 2020 空にはなかった雲を描いたことで、友達に「嘘だ」といわれてしまった仲曽良さん。しかし、母は「いいじゃない、どっしりしててこの雲なら乗れそう!」といってくれました。仲曽良さんをなぐさめるために発した言葉ではなく、母親の純粋な感想だったからこそ、なおさら嬉しかったでしょうね。投稿には、このようなコメントが寄せられています。・僕も、白い船を灰色で描き友達に馬鹿にされましたが、母は「いいわねぇ。一生懸命働いた船なのね」といってくれました。たったひと言で救われますね。・何度読んでもこの話好き。・私も、娘にとってこんな母親になりたいです。仲曽良さんの母親も、この何気ないひと言が仲曽良さんにとってかけがえのない言葉になるとは思ってもみなかったでしょう。コメントの中には「気付いてほしいときに、気付いてくれる母親の不思議な力はすごい」という声も。改めて考えてみると、母親というのはさまざまな形で心を支えてくれる、特別な存在ですね。[文・構成/grape編集部]
2020年05月29日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】先日、ステージ2の乳がんと宣告を受けました。医師からは治療すれば大丈夫だと言われましたが、切除しなくてはいけないことがショックで……。まさか自分がこんなことになるなんてと、ずっと落ち込んでいます。また、治療をしながら仕事を続けられるのかどうかもまだ分からず、独り身なのでもし続けられないなら自分の今後の生活がどうなってしまうのか、とても不安です。(43歳・女性・会社員)【回答】あなたさまのショックを思うと、言葉もありません。夜は眠れていますか。ごはんは食べられていますか。心配なこと、不安なことで頭がいっぱいでしょう。ひとつひとつじっくりお聞きしたいのですが、それはいつかお目にかかることができたときにということにして、ここでは、ひとつの方法をご紹介させてください。私は仕事柄、これまでに大勢のがん患者さんとお話をさせていただいてきました。もちろん、乳がんの方もいらっしゃいました。どなたももれなく、ご自分がそうとわかったときにはショックだったとおっしゃいます。ボディイメージの変化、仕事、家族、恋人、これからの人生設計、手術、検査、抗がん剤、お金…雑多な心配や不安がもう、どばどばっと。この混沌が、ショックに輪をかけて患者さんを苦しくするのです。心配や不安をすぐに解決する神業はありませんが、せめて混沌を整理してみませんか。方法は簡単です。紙とペンを用意してください。用意した紙の真ん中に1本線を引いて、左側の上の方に「GOOD」、右側の上の方に「BAD」と書きます。「GOOD」側には、がんになって良かったと思えたこと、得たもの、うれしかったことなどを書き出します。「BAD」の側には、がんになって悪かったこと、失ったもの、悲しかったことを書き出します。こうやってあなたの心と頭の中を“見える化”することで、混沌の波をすこしずつ鎮めようとしてみてください。「GOOD」の側に書くことなんてあるわけないじゃない!そうだよね。おっしゃるとおりです。みなさんそうでした。でも、三カ月後、半年後にこの作業をしてみてもらえませんか。なにか変化があるかもしれません。私なんぞが簡単に言うことではありませんが、『禍転じて福と成す』という言葉があります。目の前に起きている事象はひとつですが、それをどう捉えるか。捉え方は無限です。いつかあなたさまに起こったことが転じて福と捉えられる日がきますように。毎日心からお祈りいたします。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年05月22日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】私には40代前半の一人息子がいるのですが、息子の月収は低く、彼が結婚して一年後くらいに一軒家を新築するときはお金の援助をしました。その後も毎月仕送りをしています。しかし、息子の嫁はなかなか働いてくれず、何度かアドバイスはしたのですが、まったく仕事をする気がない様子。ついに私が今まで貯めてきたお金も底をついてきて困っているのですが、今後いったいどうしたらいいのでしょうか。(女性・68歳・専業主婦)【回答】まあ、あなたさま!動物は知能も仕組みも高度になればなるほど親離れが遅れる傾向にあるといいますが、現代社会はまさにその通りですね。親として、存分にすねをかじらせてやるというのも醍醐味のひとつでしょう。ただ、貯めたお金が底をついてしまうようでは、本当に困ります。あなたさまもこれから、いわゆる「老後」をお迎えになるわけで、そのための備えも必要でしょう。かわいい一人息子さんはあてにできませんからね。さて、拝読していて思いましたこと、ふたつほどお伝えさせてください。ひとつめ、矛先が違う気がいたします。「息子の嫁がなかなか働いてくれず、まったく仕事をする気がない様子」とのことですが、あなたさま、まさかお嫁さんにまで息子さんにすねを差し出せというのではないですよね。親としてあなたがものを言うべき相手は息子さんですよ。それを飛び越えてお嫁さんに矛先を向けてしまうのは、いかがなものでしょう。ふたつめ、困っていらっしゃるなら、困らないようにいたしましょう。つまり、出て行くお金を抑える=息子さんへの月々の仕送りをやめる、です。私は高野山で修行をしたのですが、運がよいとごくたまーにチョコレートの差し入れをいただいたりしたものです。手に入れたときは、それはそれは大事に少しずつかじりました。人は、なければないなりになんとかするものです。毎月決まって援助なさっているあなたさまの優しさが、いまの息子さん、お嫁さんをつくっているのです。変化というのは伝播します。あなたが変われば、息子さんが変わる。息子さんが変われば、お嫁さんが変わる。こんなふうにじわじわと伝わっていくものです。あなたが変わらずに息子さん、お嫁さんが変わるものですか。さあ、思い切って、手を引いてみてください。子離れするのも親の醍醐味です。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年05月15日足立紳監督が自身の赤裸々な夫婦生活を綴った同名小説を原作に、自らメガホンをとり映画化した『喜劇 愛妻物語』の公開日が決定。併せて、ティザービジュアルと特報映像が解禁となった。『百円の恋』で日本アカデミー賞最優秀脚本賞に輝いた足立紳監督が、自身の夫婦生活を赤裸々に綴った自伝的小説を自ら監督・脚本を務めて映画化した本作。2020年度第22回ウディネ・ファーイースト映画祭では、コンペティション部門に正式出品されることが決定している。今回、特報が2パターン公開された。特報Aは車中、特報Bは路上と2つの異なるシチュエーションで、それぞれ水川あさみ演じる妻・チカと濱田岳演じる夫・豪太による痛快な口喧嘩をほぼワンカットで見せる、斬新な映像に仕上がっている。特報Aでは、取材旅行に向かった目的を早々に失い文句を言う豪太に対して、「黙れ。はらわたが煮えくり返ってんだよ、私は」「ただ旅行したかっただけだろうが、お前」と、速射砲のように夫に毒舌を浴びせるチカの姿が。特報Bでも、「稼ぎもないくせに屁理屈ばっかこねて、食い意地だけ張りやがってこの雑魚が!」「もう一緒にいたくない、顔も見たくない、マジ死んでほしい」と、チカの毒舌は止まらない。そんな妻の罵詈雑言に対して、反論しながらも押され気味の豪太、そして両親の会話を全部聞いている新津さん演じる娘のアキの複雑そうな表情が垣間見える。特報と併せて解禁されたティザービジュアルには、チカと豪太の怒り、哀しみ、喜び、笑いと様々な表情が切り取られている。「結婚10年目。倦怠期。セックスレス。笑えて、呆れて、呆れて、泣ける。愛憎渦巻く夫婦道。」というコピーが添えられ、水川さんと浜田さんが演じる夫婦劇に期待が高まる1枚に仕上がっている。『喜劇 愛妻物語』は9月11日(金)より新宿ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:喜劇 愛妻物語 2020年9月11日より新宿ピカデリーほか全国にて公開©2019『喜劇 愛妻物語』製作委員会
2020年05月15日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】家族が新型コロナウイルスにかかると、お見舞いもできないし、死に目にも会えないと聞きます。火葬にも立ち会えません。こういう状況で、どのように感染してしまった家族に寄りそえばいいのでしょうか?また、どのように自らの心を整理すればよいのでしょうか?逆もまたしかりで、自分が患者になると、家族にも会えなくなります。もしかしたら、そのまま死んでしまうかもしれません。そういう状況で、どのように心の平安を保てばいいのでしょうか?(番外編・編集部から)【回答】おっしゃるとおりですね。私が勤務している緩和ケア病棟でもご家族の面会が制限されています。最後の時間を一緒に過ごせないというのは、本当になんと申し上げてよいか……。さて、あなたさまが今リアルにそういうご状況に面しておられるのか、もしそうなったらを想定してご心配なさっているのかによってお伝えすることが異なりますので、二通りにわけてお伝えいたします。いま、まさにそういうご状況でいらっしゃるとしたら、本当にお辛いことと思います。おかけする言葉が見つかりません。会うことすらできないのにどのように寄りそえばいいのか、胸が痛みます。私は、ご家族との面会ができなくなってしまったご本人さまとお話をさせていただいているので、そのご様子をご参考までに。みなさま病室でテレビをご覧になったり、スタッフから情報を聞いたりして世の中の状況をよく把握していらっしゃいます。そして、みなさんご自分のことより、ご家族のことを心配していらっしゃいます。見舞いに来る道中で感染したら大変だと。また、ご家族と直に会えないのならと携帯電話のビデオ通話でお話をされたり、手紙のやりとりをなさったりする方もいらっしゃいました。厳しい制限の下ではありますが、みなさま懸命に過ごしていらっしゃいます。そのお姿を拝見するにつけ、お見舞いに行くこと、死に目に会うこと、火葬場でたたずむこと、これらのことだけが「寄りそう」方法ではないと教えられる日々です。寄りそうとは、どういうことなのか。私たちは、あらためて真摯に考えるべきときを迎えたのかもしれません。また、ご自分が感染してしまった場合。ご家族にも会えない、そして、死んでしまうかもしれない。そうなれば当然、心は乱れます。平安を保ってなどいられないでしょう。現代医学は、精一杯奮闘してくれていますが、最期のジャッジがどうなるかは、もはや祈るしかないのが現実です。人間は無力ですね。本来、無力なのです。すべての人がその人の望みどおりに在ることができるように、心から祈るばかりです。さて、もしそうなったらどうしようという“たられば”でご心配されていらっしゃるのなら、即考えるのをやめましょう。いますぐに、です。そんなことを考える時間があったら、しっかり食べて、しっかり寝て、しっかり動いて、免疫力をあげていきましょう。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年05月08日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】非常事態宣言を受けて仕事が完全に在宅勤務となった夫がずっと家にいます。結婚してこのかた、平日も休日も、朝から晩まで家で一緒に過ごすということがなかったので、かなり疲弊しています。食事も朝昼晩と三食用意しなくてはならず、メニューを考えるのも億劫で……。いまこの状況なら、定年退職したあとはどうなってしまうのかと途方に暮れています。(女性・48歳・専業主婦)【回答】狭い犬小屋に多くの犬を閉じ込めておくと、次々と争いや病が生じるそうですよ。おっと、ワンちゃんの例えなんかで失礼。つまり、最初にお伝えしたいのは、平日も休日も朝から晩まで家で一緒に過ごすことになって、いまのような気分におなりになるのは、生物としてしごくあたりまえのことだということです。心の問題ではなく、物理的な環境の問題です。まずは、そこをしっかりとわかっておきましょう。べつに、お互いの愛が冷めたわけでもなんでもないってことをね。あとは、その物理的問題の解決策ですね。ふたつほどご提案させてください。ひとつめ。「定年退職したらどうなってしまうのか…」と途方に暮れていらっしゃるようですが、定年退職後までお二人ともお元気でずっと一緒にお過ごしだと保証書でも出ていますか?まだお若いから、定年はあと20年くらい先のお話かしら。いやいや、20年後は定年が80歳になっているかもしれませんよ。ね、いまと同じ世界が続いているかどうかですら、私たちにはわからないのです。自分勝手に作り上げた未来像に、勝手に途方に暮れるのは、なんだかいろんなものがもったいない気がします。ふたつめ。これはすぐにでも実行できますよ。食事も朝昼晩三食用意しなくてはならず、メニューを考えるのも億劫なら、一日やめてごらんになったら?「そんなことできるわけがないでしょう」って、怒られそうですけど、本当にできない?なぜ、できないのかしら?できないって思い込んでいるだけじゃない?お相手が0歳児だったらそりゃできませんけれど、旦那さまはおいくつかしら?あなたさまをがんじがらめにして追い詰めているのは、あなたさま自身かもしれないってことに気がついてください。でもすこし、安心もしています。非常事態宣言のなかで定年後の心配ができているのですもの。あなたさまのメンタルは、ある意味強靱です。非常事態宣言に負けてなんかいません。お互い、しっかりと乗り切りましょうね!【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年05月01日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】83歳の父親についての相談です。父親は非常にしっかりしていて肉体的にも健康です。ただ、いつガタっと来るかわからないので、子供一同、車の運転は止めてほしいと思っており、それとなく伝えています。でも、本人は車の運転が好きで、かつ現状では心配なこともなにもないので、その気がありません。住んでいるのは首都圏で、徒歩圏内には店もあり、ターミナル駅まではバスで5分。車がなくても困ることはありません。ちなみに75歳の母親と2人暮らしで、買い物はおもに父親が担当しています。車の運転をやめてもらう、良い方法はないものでしょうか?(49歳・女性・会社員)【回答】いやあ、これは頭の痛い問題ですね。ご本人がしっかりなさっていらっしゃるのであれば、なおさらでしょう。これまでの生活スタイルを変えるというのは、なにかアクシデントがない限り本当にむずかしいものです。でも、アクシデントがあってからでは遅いですものね。自損事故も困りますけれど、人様の命を奪うようなことになったらそれこそ取り返しがつきません。83歳というご年齢を考えると、私も親に免許返納を進言します。さて、どう事を進めるかですが、「それとなく伝えて」いらっしゃるというのが、滞る原因では?私たちの耳は「選択的透過性」という特徴を持っています。「すべてを聞く」わけではなく、「聞きたいものを聞く」のです。つまり、それとなく「そろそろ車の運転をやめたら」と伝えている言葉は、お父さまには完全にスルーされていますね。どこにもひっかかっていません。望んでいないことを聞いてもらうためには、事実を示し、はっきり明確に、根気よく何回も、伝える必要があります。研究をするとき「事実は3つ並べよ」と教わりましたから、高齢者の運転事故の記事などを3件用意し、はっきり明確に「警察に行って返納するといいよ。かわりの身分証明書はくれるんだよ」と伝え、顔を見るたびに言ってみましょう。途中、ちょっと怒るかもしれませんが、それにつられて怒っちゃだめですよ。あくまでも、冷静に。そして、なによりも、運転を続けたいと思っていらっしゃるお父さまのお気持ちに耳を傾けてください。その理由は、単なる「不便になるから」だけではないはずです。なにかを捨てるって、どんなことでもなかなかできないものでしょう? たかだかお菓子の箱だってとっておきたいじゃないですか。運転免許なんて大きなもの、いろんな思いがあって当然です。その思いを、たっぷり聞いてさしあげてください。そして、それを捨てたところで、お父さまのなにも欠けはしないと、お伝えください。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年04月24日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】1年前に主人を病気で亡くしました。本人の意思により無治療を貫き、自宅で看取りました。それはそれは壮絶な最期で、あまりにも悲しくて、1年経った今も遺影の写真や生前の写真を見ることができません。絶対に既読にならないメールを亡き主人に送り続け、泣き続け、何とか正気を保つような毎日。主人の最期を思い出しては、「ああすればよかった。こうすればよかった」と沢山の後悔に苛まれています。このような後悔と現実に、どう向き合っていったらよいのか教えてください(57歳・女性・美容師)【回答】すでに、とても上手に向き合っていらっしゃると思います。ご主人にメールを出し続けていらっしゃること。泣き続けていらっしゃること。こうしてご相談してくださっていること。すべて、うまく向き合っていらっしゃる証の行動だと思います。ご主人と過ごした年月を、そしてさらに濃密だった最期の時を消化(昇華)するには時間がかかります。たとえば、風邪をひいて3日寝込めば、体の完全回復にはひと月かかると言われているのですよ。体がそうなら、心だって同じこと。回復には時間がかかるのです。焦る必要はありません。大切なのは、「きちんと悲しみきる」ことと、「良い後悔をする」こと。「きちんと悲しみきる」というのは、「毎日泣いてばかりじゃだめだ」とか、「もっとしっかりしなくちゃ」などと悲しい気持ちを抑え込まずに、きちんと悲しみの穴の底まで沈みきるということです。底に足がつけば、底をけって浮上する力が生まれます。中途半端に上がろうともがくから、よけい苦しいのです。大人はどうもこのあたりが不得意のようです。真っ当にきちんと悲しみきりましょう。そして、「良い後悔をする」。私たちは、どうがんばったって後悔せずにはいられない生きものです。だからこそ、こうして発展してきたとも言えるでしょう。良い後悔というのは、時間軸を今にもどす思考回路がある後悔です。「ああすればよかった」「こうすればよかった」だけで終わってしまっては、時間軸が過去にいきっぱなし。「だからこうしよう」と、時間軸を今に戻して考えましょう。ご主人がまさに命がけであなたに伝えてくれたのはなんですか。悲しみだけではないはずです。たっぷり涙を流したら、心の耳を澄まして聴いてみてください。大切なご主人からの、大いなるメッセージを。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年04月17日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】子どもが同級生だった縁で、時々お茶を飲んだり、出かけたりする友人が2人います。そのうちの1人が買い物中によく、小銭を貸してくれと言ってくるのですが、貸しても返してくれません。一緒に買い物に行ってくれと頼まれて車に乗せてあげても、お礼の一言がないこともしばしばで……。最近は距離を置いていました。ところが、その友人が「筋ジストロフィー症」(身体の筋肉が壊れやすく、再生しにくい病気)になったらしいと、共通の知り合いから聞きました。昔からの友人であり、何か力になってあげたいと思う反面、本人から病気のことを告げられておらず、かつてのように足代わりにされても困ります(63歳・主婦・女性)【回答】「かつてのように足代わりにされても困る」とお思いになっていらっしゃるのなら、関わらずにいたほうがよいと思います。むしろ、なんで迷われるのかしら。ものすごくシンプルなことだと思いますよ。もし、あなたがご自分の思いとしてその方を助けてさしあげたいのであれば、感謝されなくても、足代わりにされても、そんなことは関係なく手をお貸しになるでしょう。でも、たとえば「手助けもしない人だと思われたくない」といった体裁を気にされてということであれば、当然、感謝されなければ割が合わないし、足代わりにされるのはご勘弁でしょうね。人は3秒もあれば損得を考えはじめるそうです。だから、熱いやかんにうっかり触って「あちっ!」と手を引っ込めるように、間髪入れずに動かないとできないことはたくさんあるのです。損得を考えるのがいけないと言っているわけではありません。損得を考えるくらいなら、手を出さないほうがいいと言っているのです。それが、お互いのためです。あなたの躊躇はご友人に伝わってしまいますし、迷いを抱えながらの行動はあなたの心に今よりもっと大きな荷物を増やします。それに、実際に手を出して動くことだけが、ご友人にしてさしあげられることではありません。体がすこしでも楽なように、心がすこしでも穏やかであるようにと、ご友人のために祈ることだってできるのです。「祈り」の遠隔的効果(病人の回復に対して効果的であること)は、もう米国の研究で明らかになっていますからね。しかも、他の人の幸せのために祈ると、あなたの体の中はオキシトシンというホルモンで満たされます。オキシトシンは“回復ホルモン”ですから、あなたの免疫力もあがるという一石二鳥です。ね。無理はやめましょう。あなたが穏やかで幸せでなければ、ご友人も含めてあなたの周りの人が幸せであるはずないのですから。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年04月10日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】今年80歳になる母の主治医から「お母さんには軽度の認知症の兆候があります」と聞かされて心配でたまりません。まだ介護いらずで、足腰が達者なのもよいのですが、散歩が大好きな母は一人で隣町まで買い物に出かけたりします。これがいつか、迷子になったり、事故にあったり、お金を取られたりといったトラブルを招くようになるのではと思うと、だんだん不安になってきて……。頭ごなしに「一人であまり遠くに出かけないで」とは言えないし、健康にとっても良いことだと思うのですが、“徘徊と捜索”で苦労した友人の話を聞くと、何かしら対策を考えなきゃと思っています。(55歳・女性・主婦)【回答】最初に共有しておきたいのは「“軽度認知症の兆候”って、80歳以上の8割以上がそうなのでは?」ということです。人間としてごくあたりまえのありようは、医学の世界だとこのような言葉になってしまう。まずは、あまり悲観的にならないようにいたしましょう。とはいえ、ご心配なのはごもっともです。でも、「頭ごなしに言えない」「何か対策を考えなければ」とおっしゃっていらっしゃるのには、ほっとしました。そのとおりだからです。お母さまにとって、買い物や散歩はお楽しみのひとつでしょう。もちろん足腰の鍛錬のためにも、続けていただきたい習慣です。でも、それを「安全に」続けていただくためには、やはり「対策」が必要です。軽度の認知症の場合、やっかいなのは周りから見て、その状況が把握できないということ。つまり「普通」に見えてしまうということです。かといって「軽度認知症」とハタを立てて歩いていただくわけにもいきません。そこで、最近は各自治体が工夫をしています。私の地元では「お守りキーホルダー」をお配りしていて、身につけていただくことで、いざというときにサポートできるようにした仕組みがあります。お母さまがお住まいの地域にも何かあると思いますので、まずはそういった仕組みの利用をおすすめします。同時に、お母さまが暮らす地域の地域包括ケアセンターにご相談しておくとよいと思います。介護福祉のサービスはこちらから動かないと始まらないものですから、早速に動きましょう。「こんなこと相談してもいいのかしら?」と躊躇されることもあるかもしれませんが、相談を受ける側は、むしろ早めに相談していただくことを望んでいるので、即行動でOKです。ご友人の苦労話をお聞きになったりすると、お気持ちが沈むこともあるでしょう。でもね、人間は順繰りなのですよ。小さい頃はなんやかんやと親の手を煩わせながら、育ててもらいましたものね。今度は、子が親に手をかける番なのです。そして、それはず〜っと続く時間ではありません。たとえ望んだとしても、いずれ終わりがくるのです。大変なご状況だと重々わかっていますが、あえて言いますね。どうぞ“今”を楽しんでください。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年04月03日普段、相手の言動に振り回されてばかりで、「私の扱い、軽すぎない!?」そう感じることはありませんか?相手に合わせてばかりの恋愛は、一見順調に見えても少しずつ無理が生じて心が疲れてしまいます。相手に振り回される関係はもうたくさん! 恋愛主導権を握って相手より優位な立場でお付き合いを進めましょう。恋の主導権を握る!彼の気持ちを引き寄せるLINEテクを教えます。自分のペースでLINEをする(1) 自分からLINEを終わらせる相手からLINEが来ると、嬉しくてやりとりを続けたくなってしまうものです。ベッドに入ってからも返信を気にしてソワソワしてスマホを眺めてしまいますよね。でも、だらだらとLINEを続けてしまうことで「この子とはいつでも連絡がつく」と思われてしまうことも。まずは、自分からLINEのやりとりを終わらせるようにしてみましょう。盛り上がっている所で返信が途切れると、相手は「なにか用事かな?」「誰かと一緒にいるのかな?」「もう寝ちゃったのかな」とあなたのことを気にするようになります。自分からLINEの会話を終わらせて、次の日改めて「昨日は寝オチしちゃった!」と再開すればあなた主導でLINEのやりとりをペーシングできます。(2) プチ沈黙で放置する毎日こまめにLINEが来ると、相手は「よっぽど暇なのかな〜」「そんなに俺のこと好きなのか」とあなたとの関係に安心しきって主導権を握られてしまいます。適度に追わせたいのなら時々連絡の取れない状態を作るのが効果的です。まずは3日程度、連絡をしないで様子を見てみましょう。何していたの?と言われたら作戦成功です。あなたの行動が気になっている証拠です。友達と旅行に行っていた、仕事が忙しくて等、忙しいアピールしておきましょう。毎日暇な女性よりも、他の人からも人気がある、仕事で頼られている女性の方が男性は魅力を感じます。(3) 気まぐれ既読スルー相手からのLINEには即返信せずに、既読してから返信まで、しばらく時間を空けてみましょう。焦らしの効果で、あなたのペースに引き込めます。相手はあなたからの返信が来ないのを気にして何度もスマホを覗くことでしょう。返信欲しさに「?」多めのLINEを送って来るなど、返事が欲しいアピールをしてくるかもしれませんね。注意点は、本当に重要な連絡ではない時に試してみることです。重要連絡の時は早めの返事が大切です。相手が確実に暇でLINEを送ってきているような場合に試してみましょう。彼にやきもちを妬かせるLINE(1) 楽しげな写真を送る飲み会などの写真を相手に送る時に、少しでも他の男性が写っていると、焼きもちを妬かせる効果があります。男性との2ショットだと露骨すぎる感じを受けるので、ポイントはみんなで写っている中にチラッと男性が写り込んでいる程度がオススメです。男性も一緒の飲み会だったのか…と認識させることで、何もなくても勝手に焼きもちを妬いてくれます。また、その場がとても楽しかった!とアピールすることで、彼と一緒にいない時でも十分に充実している様子を伝えておきましょう。「何か楽しいことでもあったのか…?」と想像して、焼きもちを妬き、あなたの存在が大きくなっていきます。(2) 突然の誘いに乗らない恋愛の主導権を握られて、相手に振り回されている場合、デートのお誘いは相手ペースになることがほとんどで、「今から会える?」「突然だけど今日遊ぼうよ」などと、当日の誘いも多いでしょう。少しだけでも会いたいと思ってくれるのは嬉しいところですが、それでは彼のペースにあなたの予定は狂ってしまいます。そんな時には、お誘いがあっても予定が既に入っているということをアピールしましょう。元々予定が入っている時はそちらを必ず優先するようにしましょう。何度か繰り返していると、相手は徐々にあなたのことを「いつも思い通りにはならないから早めに連絡しよう」「忙しくて人気がある子だ」と認識するようになり、あなたのことを追ってきます。(3) 男友達とのLINEを見せる男友達とのLINEのトークを見せられると、やましい内容じゃなくても気になってしまう男性が多いようです。焼きもちのような独占欲と、他の男性に惹かれてしまったらどうしよう…そんな焦りを感じさせる効果があります。ポイントは口説かれたアピールはしないことです。過度に束縛されたり、関係性にヒビが入ったりすることを避けるために、少し笑えるくらいの内容のLINEを見せるくらいが丁度良いでしょう。真面目で安定を望んでいる彼だと引いてしまう場合があるので、慎重な加減が必要なテクニックです。主導権を握られてばかりの恋愛で形勢逆転するには、相手のペースに流されずに自分の芯を持った行動をすることが大切で、LINEのやりとりも同じことが言えます。恋愛主導権は、どちらかが握り過ぎても上手くいきません。お互いがバランスを調整しながら無理のないリラックスした関係が築けると良いですね。あなたの恋愛が充実したものになりますように。是非、戦略に加えてみて下さいね。
2020年04月01日意外と知られていませんが、実は恋愛結婚は離婚しやすいと言われています。その理由は、いったい何なのでしょうか?恋愛している時は相手の良い面しか見ないから恋愛結婚が離婚しやすい最大の理由は、恋愛中は相手の良い所だけしか見ていないことが多いからです。恋は盲目という言葉がある通り、好きという感情が強すぎると人間は「この人が自分の運命の人」だと勝手に思い込んでしまいます。そして、相手のマイナスの面は全く見ないために、いざ結婚した時にうまくいかない傾向があります。たとえば、結婚後、性格が全く合っていなかったり、金銭感覚がずれていたりなどの問題点が生じやすくなります。すると、「なんでこの人と結婚してしまったのだろう」と後悔する羽目になります。恋愛中は相手に夢中になるあまり、本当に自分と合っているかどうか冷静な判断ができなくなってしまいます。したがって、失敗しないためには一歩引いて冷静に自分と合っているか考えてみることが大事です。大恋愛は冷めやすいから恋愛中というのは、誰でもとにかく好きな人と一緒にいたいという気持ちが高まりやすくなります。この人しか自分にはいないと感じ、相手にありったけの愛情を注ぐケースも少なくありません。とりわけ好きになった相手が自分と育った環境が全く違っていたり、自分にないものを相手が持っていたりすると、強く惹かれ合う傾向があります。しかし、このように激しく相手を求める感情というのは一過性のもので、長続きすることがありません。大恋愛を経て結婚に落ち着いた時に、急速に気持ちが冷めてしまいがちです。恋が冷めると一気に相手のネガティブな面が目に付くようになり、上手くいかなくなるケースが多いです。また、結婚生活もマンネリ化しやすく、離婚する可能性が高くなります。恋愛をしていないと気が済まない傾向が高い恋愛結婚をした人の中には、恋愛をしていないと気が済まないという人も少なからずいます。たとえば、相手を振り向かせるために高価なプレゼントを送ったり、相手が喜ぶような言葉を投げかけたりして恋愛そのものを楽しんでいる人のことです。恋愛は非日常のものですが、結婚生活は日常のものですよね。つまり、結婚というのは、恋愛というドキドキしている状態から覚めて平常心に戻ることになります。このようなタイプの人は恋愛体質なので、結婚後も平凡な生活に満足することがありません。結婚後も飽き足らずに、別の人と恋愛をはじめてしまうリスクがあります。したがって、幸せな結婚生活を維持することができず、離婚に至りやすいといえます。
2020年03月29日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】会社の人事異動により新しい取引先を担当することになりました。その取引先の責任者であるAさんは非常にくせのある性格で、私の会社だけでなく他の会社の担当者も人間関係で苦労していると聞いていました。実際、仕事を始めてみると、言いがかりのような難癖を毎回言われて精神的に参っています。さらに私の会社の前の担当者だったBさんはAさんと非常にうまく人間関係を築いていたため、毎回「Bさんの頃は良かった」「Bさんに比べてあなたは…」とAさんから責め立てられてしまいます。このままでは精神的に限界なのですが、一体どうすればいいでしょうか。(44歳・会社員・男性)【回答】本当は、「離れる」のが一番なのですけれどね。お仕事ですから、そうはいかないのですよね。お辛いお気持ち、お察しいたします。人間関係はいつの時代も、どこの場所でも、私たちの最大の問題です。まず、決定事項として申し上げられるのは「Aさんは変わらない」ってことでしょうか。だから、Bさんのように「Aさんとうまくやれる」ようになる、というのも期待薄です。Aさんという方は、他の会社の担当者さんからもぼやかれているくらいの強者ですもの。うまくやろうと力を使うより、どれだけこちらのダメージを少なく抑えて仕事をするか、ということに頭を使ったほうがよさそうです。私だったら、私だったらですよ、(1)Aさんと会う時間、話す時間を必要最低限に抑える(2)会社に直談判して担当を変えてもらう(3)職場を変える、の順番でやってみます。もしかして「そんなこと、簡単にできないよ!」って思われましたか。なら、できないのはどうしてでしょうか。まだ余力がある? それとも、逃げ出す気力もなくなってしまっている? 後者だったら危険信号が点滅しています。この際、何よりも大切なのは「自分」と心得てください。Aさんとの関係で心と体を壊しても、誰も責任なんて取ってくれません。自分のことは自分で守らないといけませんよ。今のご時世、ときどきね、いらっしゃるのです。頑張って付き合ってはいけない人が。原因は、あなたが「関係づくりが不得手」とか、「仕事ができない」とか、そういうことではないのですよ。そこの見極めがついたら、やっぱり可能な限り「離れて」ください。どうかうまくいきますように。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK総合『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS系『グッとラック!』(火曜)にコメンテーターとして出演する。4月1日よりニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務めることが決定。
2020年03月27日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】最近、大切な母を亡くしました。この2年間は寝たきりで…意思疎通もできない状態でした。そうなる前は多少の認知症があったものの、まだ会話はできていました。ある日、肺炎にかかり命の危険もあったので、何とか生き延びてもらいたいと胃ろうおよび器官切開を選択したんです。その結果が2年間の寝たきり状態で。生きる屍のようでした。母が亡くなった今、2年前の私の選択が果たして正しかったのか、繰り返し自問自答しています。このような状態になるなら、そのまま逝かせてあければよかったなと…。でも、あの時点でそういう選択ができたかどうか。私の判断は間違っていたのでしょうか?(57歳・主婦・女性)【回答】間違っていません。過ぎたことはすべてベストチョイスだったのです。私は看護師なのでいろいろ拝見してきましたけれど、つくづく「人の寿命は決まっている」と思うのです。現代医学の粋を尽くして治療をしても効なく逝ってしまった人もいれば、すべての治療をやめて「このまま逝きます」と言って何年も生きた人もいました。たぶん、私たちは生まれたときに、「〇年〇月〇日まで」と決められているのでしょうね。だからお母様は、胃ろうだとか気管切開だとかに関係なく、その日までこの世にいらっしゃるお約束だったのだと思います。それは、私たちたかだか人間ごときに、伸ばしたり縮めたりできるものではないのですよ。なにをどうしようと、その日と決まっていたことなのです。だから、あなたのせいではないし、間違っていたということもありません。ところでお母様、今ごろどうしていらっしゃるでしょうね。つかいきったからだをお脱ぎになって、さぞかし身軽になっていらっしゃることでしょう。「あ、今、近くにいるな」ってお感じになることなんてないですか。私の夫は9年前に逝きましたが、しばしば「ハエ」になって会いに来てくれるんですよ。「ハエ」ってところがあれですけれど、ま、そのへんはご愛敬で。あなたの周りにもいらしていませんか、お母様が。2年前の選択が正しかったかどうかなんて自問自答を繰り返すより、お顔を上げて周りを見ていただきたいわ。きっとお母様からのメッセージが届いているはずなんですけどねえ。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK総合『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS系『グッとラック!』(火曜)にコメンテーターとして出演する。4月1日よりニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務めることが決定。
2020年03月20日