2014年に注目されたマーケティング手法の1つとして、「コンテンツマーケティング」がある。ユーザーが必要とする情報をコンテンツとして適切に提供することにより、アクションにつながる活動を引き起こすことが目的だ。その多くは、記事や動画としてブログやオウンドメディアといったチャネルを通じて提供される。しかし、楽天の楽天マーケティングジャパン事業 RMJマーケティング部にて部長を務める向谷和男氏は、ペイドメディアを活用することも可能だと説明する。そのワケを聞いた。まず、皆さんと考えたいことは、ペイドメディアでコンテンツマーケティングを行う意義です。弊社は、「メディアのロイヤリティにより浸透度を高めることができること」と、「特定の情報を収集するために訪れているユーザーに訴求できること」だと考えています。○メディアのロイヤリティがユーザーを"なんとなく"動かすさて、メディアのロイヤリティとは何でしょうか?雑誌を見てレストランをチェックしたり、テレビで紹介された食品を見て通販で購入するなど、メディアから発信される情報に刺激され、実際に店舗へ行ったり購入した経験――皆さんもあるかと思います。例えば、レストランのシェフ自身が「当店の料理は美味しい!」と言うより、自分がよく購入する雑誌に「このレストランの料理が美味しい」と記載されていた方が、"なんとなく"行きたくなることもあると思います。つまり、ユーザーの情報に対する「期待値」がメディアのロイヤリティであり、これがユーザーの「情報を受け取る姿勢 : 浸透度」を決めていると言えます。では、メディアのロイヤリティがユーザーに与えている影響を見てみましょう。弊社が運営するペイドメディアの1つで、あるデータがあります。このメディアでは、この広告主の情報を含めた約4分の番組型動画(コンテンツ)と、一般的な動画広告を同じ枠にて配信するという実験を行いました。すると、集客効率が約15倍になったほか、15秒程度の動画広告と約4分の動画コンテンツの完全視聴率はほぼ同じ水準という結果に。通常、視聴時間の長い動画の完全視聴率は下がると言われているにも関わらず、メディアが発信する「コンテンツ」の方が多くの人に見てもらえたという結果となりました。私たちは、これがユーザーの期待値(目的意識)が起こす差異だと考えています。○購入意欲が高まっているタイミングは、いつか?もう1つ、情報の浸透力を高めるために、ユーザーの「モード : その時の気分や気持ち」についても考えておく必要があります。例えば「ごま油」を訴求したい場合、一人の主婦が晩御飯のおかずを考えているときと、ゆっくりとお風呂に浸かっているときでは、情報の浸透率が変わってきます。コンテンツマーケティングにおいて、この「モード」考えることが、非常に重要な要素になってきます。現在(2015年4月)、多くの広告では「属性」を中心としたセグメントを利用し、クリエイティブや広告内容の出し分けを行っています。さらに、最近では、データを活用して「どんな人か」を特定する広告も増えてきています。しかし、検索履歴などの需要特定を除くと、多くの場合、ユーザー側の「その時の気分や気持ち」はなかなか特定できません。では、特化型のペイドメディアではどうでしょうか。例えば、レシピ情報のサイトでは一般的に、17時頃をピークとしてアクセス数が伸びると言われています。今晩のおかずを考えている「オンモード」なユーザーが集まってきているということが推測できます。こういったオンモードなユーザーに対し、「スープの素」や「ごま油」などの関連商材をコンテンツとして提供すれば、「モード」と「コンテンツ」のマッチングが行われ、浸透率を高めることが可能だと考えられます。ちなみに、コーポレートサイトやオウンドメディアなど自社サイトに訪問するユーザーは、既にオンモードなユーザーでは?と思う方が多いのではないでしょうか。私も、その通りだと思います。しかし、どれだけその商品が好きでも、何度も何度もメーカーサイトを訪れたりすることは少ないでしょう。広告主側も、タイミングのよい接触機会を何度も作っていくことは難しいのではないでしょうか。そこで、情報の設置場所にユーザーを呼ぶのではなく、ユーザーが集まる場所(領域特化されたメディア)にコンテンツを設置していくことで、ユーザーの生活上での「オンモード」を捉えることができ、この問題を解決することができるのです。後半では、ペイドメディアでコンテンツマーケティングを効果的に行うポイントを考えてみたいと思います。○執筆者紹介楽天マーケティングジャパン事業 向谷和男1995年より在阪の広告会社にてインターネット広告事業に従事。その後入社したLycos Japanの楽天によるM&Aを経て、2003年より楽天株式会社に入社する。求人情報サービス事業責任者や楽天WOMAN編集部部長を勤めたのち、楽天グループのサービス・プラットフォームなどを活用した企画立案プロジェクトを統括。現在は、楽天マーケティングジャパン事業のマーケティング関連事業の推進と新たなスキーム・サービス開発を支援する。
2015年04月15日電通と爽快ドラッグは4月6日、爽快ドラッグが運営するEコマースサイトを活用したテストマーケティングにおいて協業することを発表した。両社は今後、同サイトにて商品販売を行う企業向けに、統合的なサービス提案とデータ活用、実店舗と連動したオムニチャネル施策などの検証を提供していく。なお、電通によると、協業の背景として「広告コミュニケーションと売り場における販促活動をより効果的に連動させたい企業ニーズの高まり」があるという。また、サイトのリッチコンテンツ化により消費者は、Eコマースサイトを「買い場」としてだけでなく、「情報収集の場」として活用する(Eコマースサイトがメディア化する)傾向が見て取れると説明する。
2015年04月06日パイオニアとブイキューブの合弁会社として設立され、企業や教育機関向けにWeb/ビデオ会議システムや電子黒板システムを展開するパイオニアVC。同社は昨年9月、ビジュアルコラボレーションシステム「xSync Prime」の提供基盤として、IBMのクラウドサービス「SoftLayer」を採用。サービス品質を向上させるとともに、国際間通信に対応した新サービス「xSync Prime Collaboration」としてリニューアルした。パイオニアとブイキューブの合弁会社として設立され、企業や教育機関向けにWeb/ビデオ会議システムや電子黒板システムを展開するパイオニアVC。同社は昨年9月、ビジュアルコラボレーションシステム「xSync Prime」の提供基盤として、IBMのクラウドサービス「SoftLayer」を採用。サービス品質を向上させるとともに、国際間通信に対応した新サービス「xSync Prime Collaboration」としてリニューアルした。IBMがSoftLayerの東京データセンターを設立し、パブリッククラウドの国内展開を本格化させたのは2014年12月のことだが、パイオニアVCはそれに先んじてSoftLayerの採用を決め、新サービス構築の基盤として整備した。○ビジュアルコラボレーションに最適なクラウド基盤競争が激化するパブリッククラウド市場の中でSoftLayerを選択した理由について、VC事業開発部長の佐藤匡弘氏は以下のように話す。「いくつかのクラウドサービスを評価してみて、最終的にビジュアルコラボレーションに最も適したサービスとして選定しました。決め手になったのは、各国間を結ぶデータセンター間の転送速度が圧倒的に速かったこと、専用線を使ったプライベートクラウドとの安全な接続が安定して実現できたことです」xSync Primeは映像、音声、アプリケーションの画面を共有してビジュアルなコラボレーションを実現するシステムだ。製造業で使われる設計図や地図といった緻密なデータを共有することを目的に開発されたこともあり、高画質な画面上で遅延のないスムーズなコラボレーションができることが特徴だ。映像や音声の品質が高いうえ、文字や図面などの情報も効率的に伝えられるため、文教分野や金融業界など、さまざまな業界におけるコラボレーションシステムとして利用されている。「お客さまが機密情報を扱うことが多いシステムですから、品質の高さとセキュリティは必須条件でした。また、製造業を中心に海外拠点とのやりとりが増えているため、安定したネットワーク速度が維持できることもポイントでした」(佐藤氏)パイオニアの"音へのこだわり"を受け継ぐ製品そもそも、xSync Primeというシステムはパイオニアソリューションズが開発した「サイバーカンファレンスシステム・プライム」がベースになっている。これは2008年に発売された自動車メーカーの設計エンジニアリングに対応したシステムで、セキュリティと品質が確保されたオンプレミス環境で提供されていた。佐藤氏は、サイバーカンファレンスシステム・プライムについて、「バイオニアが培ってきた、通信カラオケやタッチパネル型プラズマディスプレイの技術を生かした製品です。"音質へのこだわり"はとても大きく、人の声がまったく途切れずに聞くことができるという点で、一般的なWeb会議システムとは別次元の製品との評価をいただいてきました」と説明する。2012年には、富士キメラ総研の調査で「国内Web会議オンプレ型」でシェアNo.1を獲得している。2010年に、サイバーカンファレンスシステム・プライムのクラウドサービスとして、「xSync Prime」の提供が開始された。遠隔地の拠点をつなぐ会議においても、まったく音が途切れないサービスとして定評があった。「コンシューマ向けのWeb会議システムなどを利用するとわかりますが、音声が少しでも途切れると、会議に集中できなくなってしまいます。xSync Primeではそうしたことは一切ありません。また、特に評価いただくのは、多人数でのディスカッションでのシーンです。声の通り方でどこに座っている誰が話したかまでがはっきりわかるので会議がやりやすいそうです」ディスカッション中に人を特定できるのは、音域を広くとっているからだという。また、英語や日本語、中国語など、言語によって聞き取りやすい音域は異なるが、多言語での会話も問題できるようきめ細かな調整を施しているとのことだ。○SoftLayerの高速かつ高品質ネットワーク回線が好評価2014年にブイキューブと資本業務提携しパイオニアVCとなってからは、こうした技術の伝統を引き継いだうえで、より品質の高い製品に仕上げていく必要があった。課題になったのは、製造業を中心に進展してきた海外拠点との安全でスムーズなビジュアルコラボレーションを実現することだった。そんななかで、SoftLayerの持つ高速で品質のいいネットワーク回線と専用線によるセキュリティが評価されたのだ。「音声に注目した場合、コンピューティングやストレージよりも、ネットワークが重要です。その点ではSoftLayer一択と言ってもよい状況でした」と佐藤氏は振り返る。新会社の発足に合わせて評価に入り、2カ月ほどですんなりと結論が出た。パフォーマンステストの結果がよく、オンプレミスで提供してきたシステムを簡単に移行できたという。顧客に提供するようになってからも、データセンター間の転送速度が速いこともあり、国をまたぐビデオ会議でも音の途切れや遅延はまったく気にならないレベルで提供できている。電話よりも音質がいいという声も多い。佐藤氏は、顧客の声として、こんなエピソードを明かす。「ある外資系企業のCEOが来日したとき、都内の外出先で突然、海外本社とのスマートフォンを使ったビデオ会議がはじまったそうです。時間がなかったため会議を行いながら、車と電車を使って、お台場のホテルまで移動することにしたそうです。その間、会議が続いていましたが、一度も音が途切れることはなく、評価してくださいました」○新基盤を使って新しいサービスの提供も視野にまた、以前にも増して、国内ユーザーから評価されるシーンが増えたという。特にセキュリティ面を評価する声が多い。設計図などの機密情報を扱う製造業では、パブリッククラウドのセキュリティに対する懸念は強い。中でも、インターネット回線を使って、マルチテナント環境で提供するといった仕組みでは、いくら安全性が高いとアピールされても、機密情報を扱うシステムの適用対象になることはまずない。その点で、SoftLayerは専用線や専有領域の提供、物理環境(ベアメタル)環境など、企業ニーズにあったリソースを提供できることが、顧客に対する説得力を持った提案につながった。「ある自動車メーカーでは、海外拠点のある地域ごとに近いデータセンターを選び、そこにxSync Primeサーバを配置してリアルタイム性の高いビデオ会議の環境を構築しています。仮想サーバの配置や管理は当社で行っていますが、顧客のニーズに合わせて、配置を簡単に変えられるため、サービス品質の向上につながっています」(佐藤氏)今後は、xSync Primeに他のサービスを組み合わせて提供していくことも検討している。xSync Primeは、コラボレーションを実現するためのモジュールが組み込まれており、他社製のサービスや製品と連携することができる。そうした機能を活用することで、顧客の新しいニーズに応えていく構えだ。
2015年04月02日この連載は、2015年4月からWebマーケティング業界に足を踏み入れる新入社員や、新たにWeb担当者に着任した新人マーケターを対象に「覚えておきたい基礎知識」をご紹介するものです。前回は、Webマーケティング業界にて日常的に利用されるマーケティング用語10個を解説。後半となる今回も、残りの10個を出現頻度の高い順に見ていきましょう。※「【前編】これだけは覚えたい!Webマーケティング基礎用語20選」は、こちらをご覧ください。○11. LPOLanding Page Optimization : ランディングページ最適化出現頻度 : 60%【解説】広告をクリックすると最初に表示されるLP(ランディングページ)のデザインや文言を工夫し、CVR(コンバージョン率)を高めること。○12. ROASReturn On Advertising Spend : 広告の費用対効果出現頻度 : 60%【解説】広告掲載料1円あたりの売上額。この数値が高いほど、費用対効果が高く効率的に広告運用できていると言える。【使用例】10万円の広告費用を投資し、100万円の売り上げがあった場合、ROASは1000%(100万円 ÷ 10万円 × 100)となる。○13. SEMSearch Engine Marketing : 検索エンジンマーケティング出現頻度 : 60%【解説】検索エンジンから自社Webサイトへの訪問者を増やすマーケティング手法。一般的には、SEO(検索エンジン最適化)とリスティング広告(検索結果の画面で一番上に出てくる広告のこと)の2つが主な手法とされている。○14. CPMCost Per Mille : インプレッション単価出現頻度 : 50%【解説】Webサイトへの広告掲載回数1000回(1000インプレッション)あたりの広告費。この料金単位で課金される制度を「CPM制」とよび、売上やサイト訪問者数増加よりも、ブランド認知度向上を目的とする場合に適した課金制度だ。○15. KPIKey Performance Indicator : 重要業績評価指標出現頻度 : 50%【解説】目標達成プロセスの実施状況を計測するために、実行の度合い(パフォーマンス)を定量的に示す指標。「何を持って進捗とするのか」を定義するために設定される尺度となる。【使用例】Webサイトの目的を「資料請求数の確保」とし、目標値を「新規顧客による月間40件の資料請求数を同サイトから得る」とした場合、KPIは「検索エンジン経由のアクセスのセッション数(訪問回数)」と設定できる。○16. PPC広告Pay Per Click : クリック課金型インターネット広告出現頻度 : 50%【解説】掲載には費用がかからず、広告が実際にクリックされた回数分だけ費用が発生するという課金形態の広告。リスティング広告やCPC広告を指す場合もある。広告に興味を示したユーザー分だけ費用が発生するため、よりクリック率の高い広告が選別される仕組みだ。○17. ROIReturn On Investment : 投資対効果 / 投資収益率出現頻度 : 50%【解説】投資した資本(費用)がどれだけの利益を生んでいるかを測る指標。「純利益÷投資額」で算出する。○18. ASPAffiliate Service Provider : アフィリエイト事業者 / Application Service Provider : アプリケーション事業者出現頻度 : 30%【解説】前者は、PC・モバイル問わず、アフィリエイト広告(成果報酬型広告)を仲介するサービスの総称。後者は、さまざまなアプリケーションをネット経由で提供するサービスを指す。○19. AIDMAAttention, Interest, Desire, Memory, Action(アイドマ)出現頻度 : 20%【解説】米学者ローランド・ホール氏が提唱した「消費者の購買決定プロセスを説明するモデル」の1つ。○20. AISASAttention, Interest, Search, Action, Share(アイサス)出現頻度 : 20%【解説】電通が提唱した「インターネット普及後の消費者による購買行動を説明するモデル」で、AIDMAからDesire(欲求)とMemory(記憶)がなくなり、代わりにSearch(検索)とShare(情報共有)が追加された。本稿にて紹介した略語は、Webマーケティングに携わるのであれば最低限知っておいて損はない用語群となります。しかし、大切なことは、略語や用語を覚えることではなく、Webマーケティングを活用して成果を上げていくことです。次回は、Web広告の種類とその概要についてまとめます。○執筆者紹介ソウルドアウト 葛谷篤志2009年オプトに入社し、2010年からソウルドアウト設立に参画。入社3年目から新潟営業所の立ち上げを経験したほか、Web事業のスタートアップや通販(美容品・アパレル)企業のWebマーケティング支援に携わり、顧客売上を2年で5倍にさせる等の実績を持つ。現在(2015年3月)は、Webマーケティング本部 パブリックリレーション部にて部長を務める。
2015年04月02日この連載は、2015年4月からWebマーケティング業界に足を踏み入れる新入社員や、新たにWeb担当者に着任した新人マーケターを対象に「覚えておきたい基礎知識」をご紹介するものです。Webマーケティング業界では、アルファベットの略語が日常的に飛び交っています。加えて、成長スピードが早く、目まぐるしく周辺環境が変化していく業界でもあります。そこで今回は、まず初めに押さえるべき20の略語を整理・解説しました。出現頻度の高い順に解説していますので、上から順にチェックしていけば、最小の労力で理解することができるでしょう。なお、出現頻度はWebマーケティング用語を解説する10のサイトを調査・分析し、客観的なスコアリングによって作成したものです。○1. CPACost Per Action : 何らかの成果(Action) 1件あたりの支払額出現頻度 : 100%【解説】会員登録や資料請求、商品の購入といったユーザーのAction1件につき支払った広告費用のことで、顧客取得単価ともいう。また、「Action(行動)」ではなく「Acquisition(獲得)」を用いる場合、新規顧客の獲得1件あたりの費用を意味する。【使用例】月間50万円の広告費をかけてバナー広告を掲載し、同広告から100件の商品購入を獲得した場合、CPAは5000円(50万円 ÷ 100件)となる。この数値が小さいほど「費用対効果の高い広告」だと考えることができる。○2. CPCCost Per Click : クリック一回あたりの料金、クリック単価出現頻度 : 90%【解説】Webサイトやメールに掲載したテキスト広告やバナー広告などが、1回クリックされるにあたり発生した費用。【使用例】広告費として30万円を支払い、Webサイトにバナー広告を一カ月間出稿し、5万クリックを獲得した場合、CPCは6円(30万円 ÷ 5万クリック)となる。○3. CTRClick Through Rate : クリックされた割合、クリック率出現頻度 : 90%【解説】広告がクリックされた割合(確率)を示す。この値が高いほど、ユーザーは広告に反応しているという意味となり、同広告は「反応率が高い」と判断できる。【使用例】メールにてテキスト広告を30万人に配信し、6000クリックを獲得した場合、CTRは2%(6000クリック ÷ 配信数30万 × 100)となる。○4. CVConversion (変換・転換・交換)出現頻度 : 90%【解説】企業がユーザーに起こしてほしいActionとして掲げる「最終的な成果」を意味する。特にWeb広告の分野においては、会員登録や資料請求、商品購入など「単なる訪問者から、会員や(見込)顧客への転換」という意味合いで使われる。○5. impimpression : 広告露出・掲載・表示回数出現頻度 : 90%【解説】Webサイトに広告が掲載された回数。ユーザーがとあるWebサイトに訪れ、広告が1回表示されることを「1インプレッション」とする。○6. PVPage View : アクセス数出現頻度 : 90%【解説】あるWebサイトが閲覧された回数を示す。同一ユーザーがサイト内のページを複数閲覧すると、PV数はその分だけ増える。○7. UUUnique User : 閲覧者数出現頻度 : 90%【解説】あるWebサイトを訪れたユーザーの数を表す。同じユーザーが同じページを何度も閲覧した場合でも、1UUとしてカウントされる。【注意】UU数の測定方法は、利用するアクセス解析ツールによって異なるが、基本的に「IPアドレス」や「ホスト名」「Cookie」といった情報を基に集計する。正確なUU数を測れない場合として、ユーザーがCookieの受け入れを拒否している状況や、デバイスやブラウザを複数使用するといった環境が考えられる。○8. CVRConversion Rate : コンバージョン(成果)率出現頻度 : 80%【解説】PV数やUU数のうちコンバージョンに至った割合を示す指標。「Webサイトに訪問したユーザーが実際にActionを取る割合」を意味する。【使用例】とあるバナー広告の300クリックうち、10件がコンバージョンに至った場合、CVRは10%(30CV ÷ 300クリック ×100)となる。○9. LPLanding Page : ランディングページ出現頻度 : 70%【解説】広告をクリックすると最初に表示されるページ、すなわち、Web広告の遷移先となるWebサイト(ページ)を示す。○10. SEOSearch Engine Optimization : 検索エンジン最適化出現頻度 : 70%【解説】GoogleやYahoo!が提供する検索エンジンの検索結果ページにて、上位に自らのWebサイトが表示されるように工夫すること、またはそのための技術やサービスを指す。例えば、ターゲットとするキーワードの選択やページ内でのキーワードの使用などを最適化することで上位表示を目指すが、サーチエンジンのランク付けアルゴリズム(計算方法)は年々変化するため、実際は「SEOに王道無し」と言われることもある。残り10用語は、4月2日に公開します。第3回からは、Web広告の種類や出稿方法、効果測定に用いる分析ツールなどを紹介していく予定です。○執筆者紹介ソウルドアウト 葛谷篤志2009年オプトに入社し、2010年からソウルドアウト設立に参画。入社3年目から新潟営業所の立ち上げを経験したほか、Web事業のスタートアップや通販(美容品・アパレル)企業のWebマーケティング支援に携わり、顧客売上を2年で5倍にさせる等の実績を持つ。現在(2015年3月)は、Webマーケティング本部 パブリックリレーション部にて部長を務める。
2015年03月31日BtoB企業向けにマーケティングを支援するシンフォニーマーケティングは3月30日、東京商工リサーチが提供する企業・事業所データベースをマーケティングに活用する新サービスの提供開始を発表した。同サービスでは、シンフォニーマーケティングが提供するBtoB企業に特化した顧客データの管理ツール「DBFocus」上で、各企業が保有する顧客データに対し、東京商工リサーチが提供する信用性の高い企業や事業所の属性情報を付与する。東京商工リサーチは国内トップとなる434万件以上の国内データと、世界最大規模を誇る2億4,000万件を超える世界200ヵ国超の企業・事業所データの情報を保有している。今回の新サービスにより、DBFocusユーザー企業は、マーケティング活動を行う過程でアプローチするべきターゲット顧客を明確にし、スコアリングの精度を高めて、さらに効率的な営業活動を速やかに実現できるようになる。シンフォニーマーケティングでは、既存顧客およびマーケティングオートメーションの導入検討中の企業を中心にサービスを提供していくという。また両社は今後、企業情報活用のセミナーの開催なども予定している。
2015年03月31日アドビ システムズは、トランスコスモスとデジタルマーケティング分野における提携を強化し、オンラインビジネス最適化のための統合されたオープンなプラットフォームである「Adobe Marketing Cloud」の中核となる6つのソリューションと、同社のオンサイト・ニアショア・オフショアの制作・運用体制を組み合わせたサービスを提供することを発表した。Adobe Marketing Cloudは、「Adobe Analytics」、「Adobe Target」、「Adobe Social」、「Adobe Experience Manager」、「Adobe Media Manager」、「Adobe Campaign」という6つのアプリケーションから構成されるマーケティング戦略ソリューション。顧客とのインタラクションの改善や自動化ができるため、マーケティングROI(投資対効果)を最大化し、利益率を高めることを可能にするものだ。今回の提携強化により、トランスコスモスはアドビのサポートを受け、すでに150人のオペレーターが「Adobe Marketing Cloud」の基本操作および運用トレーニングを開始しているという。また、既存のWebインテグレーションビジネスの中で、「Adobe Experience Manager」によるデジタルコンテンツ制作サービスを提供可能な体制を構築しているという。これによりアドビ システムズは、国内の企業および日本からグローバル展開する企業に対し、マーケティングコンテンツの制作から最適化まで包括的なデジタルマーケティングを導入しやすい環境を提供できるとしている。なお、トランスコスモスが提供するオペレーションサービスは、Adobe MarketingCloudで収集したデータと同社のノウハウを組み合わせ、効率的なテスト設計と効果的な施策プランニングを実施する「施策プランニング」、広告、メールマガジン、Webなどの分析を、シナリオ同士のA/Bテストまで包括して実施する事により、最適なシナリオを設計する「シナリオ設計」、Adobe Audience Managerを用いて、Web、メール、CRM、コールセンターなどのデータ活用を図り最適なデータ抽出と管理を実施する「データ活用」、トランスコスモスの運用ナレッジとAdobe Experience Managerの融合により、プロセス管理と徹底した品質管理による安定したサイト運用を実現する「制作オペレーション」、Adobe Audience Managerに蓄積されたデータと行動履歴に基づき、最適な広告配信セグメントを活用した広告運用を実施する「広告運用」、トランスコスモスの分析ナレッジとAdobe MarketingCloudとの融合により効率的なテストシナリオの作成から効果検証までをワンストップで対応する「効果検証」、広告運用やサイト分析、ソーシャル運用など各分野の専任担当者が、各種マーケティング施策の結果を中心に改善提案までを網羅したレポートを提供する「レポート」となる。
2015年03月30日アドビシステムズとトランスコスモスは3月30日、デジタルマーケティング分野での提携を強化すると発表した。トランスコスモスはアドビのプレミアパートナーとして、オンラインビジネス最適化のためのプラットフォーム「Adobe Marketing Cloud」の中核となる6つのソリューションの提供を開始するとともに、企業のデジタルマーケティングに必要なサービスを日本国内およびグローバルに提供する。今回の提携強化にあたり、トランスコスモスはアドビのサポートを受け、すでに150人のオペレーターがAdobe Marketing Cloud の基本操作・運用トレーニングを開始している。また、既存のWebインテグレーションビジネスのなかで、アドビのカスタマーエクスペリエンス管理ソリューション「Adobe Experience Manager」によるデジタルコンテンツ制作サービスも提供可能な体制を構築しているとのこと。両社は、アナリティクス、カスタマーエクスペリエンス、モバイル、DMP、パーソナライゼーション、ソーシャルメディアなど、マーケターの関心が高いトピックに対して、アドビのマーケティングソリューションとトランスコスモスの制作・運用体制を組み合わせ、企業のマーケティング戦略を加速させるための支援を強化していくという。
2015年03月30日SAS Institute Japanは3月26日、企業がオムニチャネル・マーケティングを実践するための新コンセプト「Customer Decision Hub」、それを実現する顧客分析・統合マーケティング製品「SAS Customer Intelligence」の最新版を提供開始したと発表した。執行役員 マーケティング本部 兼 ビジネス推進本部 本部長 北川裕康氏は、同社が3000人以上のマーケティング・エグゼクティブと働くことで、マーケティング部門に期待される3つの役割を見出したと語った。3つの役割とは「あらゆるデバイスおよびマーケティング・チャネルにおける一貫した顧客エクスピリエンスの提供」「マーケティング・プログラムのROIの提示」「顧客や見込み顧客の全デジタルチャネルを通した行動を理解し、顧客レベルでのインサイト・インテリジェントを引き出すこと」だ。これらを実現するコンセプトが、企業がオムニチャネル・マーケティングを実践するための新コンセプト「Customer Decision Hub」となる。「Customer Decision Hub」および「SAS Customer Intelligence 6.4」については、Customer Intelligenceグループ ソリューションコンサルティング第一本部 部長の小笠原英彦氏が説明を行った。小笠原氏は、「従来のオムニチャネルは""O2Oの延長や"ネット情報の有人チャンネルの連携"にとどまっているが、真のオムニチャネルは顧客に応じてすべてのあらゆるタッチポイントを駆使するものとなる。これを実現するには、GUIでチャネル横断のビジネスシナリオを作成して、リアルタイムでのチャネル連携基盤を構築する必要がある」と述べた。同社は、真のオムニチャネル・マーケティングを実現するプラットフォームに必要な機能要件「カスタマー・シングルビュー」「高度な分析機能」「シナリオ設計・管理/コンタクト管理」「チャネル間を連携するリアルタイム基盤」「最適化エンジン」を、「Customer Decision Hub」としてまとめている。小笠原氏は、「Customer Decision Hub」の特徴として、「インバウンドとアウトバウンドを組み合わせたマーケティング・シナリオを実現」「インバウンドをもとにNext BestOfferを特定するリアルタイム・アナリティクス」を挙げた。「Customer Decision Hub」を具現化するのが「SAS Customer Intelligence 6.4」となる。バージョンアップにあたって、WebベースのGUIで全製品が統合された。同製品は、「SAS Marketing Automation」「SAS Real-Time Decision Manager」「SAS Marketing Optimization」から構成される。「SAS Marketing Automation」は、マーケティングのPDCAサイクルを実装する統合マーケティング基盤の基本コンポーネントで、顧客の理解からキャンペーン管理・運営まで、アウトバウンドに関する処理をサポートする。「SAS Real-Time Decision Manager」は、顧客チャネルにおける最適な提案をリアルタイムに分析・決定を行い、インバウンドに関する処理をサポートする。「SAS Marketing Optimization」は企業側の活動をサポートするコンポーネントで、マーケティング・キャンペーンの実施規模と対象の数理的な最適化が行える。小笠原氏は、「SAS Customer Intelligence 6.4」の最大の特徴は、「データ蓄積」「マイニング」「レポート/BI」「データ収集・統合」「アウトバウンドキャンペーン管理」「リアルタイムシナリオ管理」といった、マーケティングのPDCAサイクルに必要なすべての機能をシングルプラットフォームで実現できることと語った。データもメタデータとして一元管理されている。他社製品の場合、各機能に最適な製品を組み合わせることになるため、機能間を連携させなくてはならなくなるという。グローバルで同製品を導入している企業は、銀行や証券会社が多く、これに流通や小売りが続くという。
2015年03月26日日本IBMは3月25日、オートバックスセブンが、個々の顧客に適したマーケティングを迅速かつ効果的に進めるため、IBM製品群を採用した新しいマーケティング基盤を構築したと発表した。オートバックスセブンは、複数の部署で顧客の購買データを収集・利用してきたが、2013年から、各種購買データの一層の活用とオムニチャネルでのキャンペーンを迅速に展開するため、組織を再編成し、データ分析の一元化に取り組み、2014年1月に新たなマーケティング基盤を導入した。新たなマーケティング基盤により、購買データなどのビックデータ分析、個人の行動や嗜好にあわせてパーソナライズしたキャンペーンの設計、的確なタイミングと場所での配信、そしてキャンペーン成果の評価に至る、一連のPDCAサイクルを社内で迅速に推進することが可能。日本IBMの製品としては、膨大な顧客データを蓄積する「PureData System for Analytics」、高度な分析により的確なセグメンテーションを可能にする「IBM SPSS Modeler」「IBM SPSS Statistics」を採用し、さらに、個々の顧客にパーソナライズ化した情報を提供する基盤として、「IBM Campaign」と「IBM Mobile Push Notification」が採用された。新基盤によって高度で高速なデータ分析が可能となり、セグメンテーションの精度を向上させ、顧客に身近なスマートフォンに的確な情報提供することにより、あるキャンペーンでは、開封率が25%、コンバージョン率が55%向上したという。
2015年03月26日米Facebookは3月24日(現地時間)、Facebookマーケティングで結果を出すためのノウハウを学べる教育プログラム「Blueprint」をリリースした。同プログラムは、広告代理店、Facebookパートナー企業、およびマーケティング担当者を対象に、オンライン講座や対面指導、認定制度の組み合わせにより、キャンペーンの最適化から、Facebook上の動画活用法、効果的な広告効果測定まで、Facebookマーケティングに役立つトレーニングを多面的に提供するもの。プログラムの中心となるeラーニングセンターでは、「ダイレクトレスポンスマーケティング」などのカテゴリや「デジタルメディアバイイング」などの役割別学習トラックのなかから、35以上のオンライン学習コースを受講できる。ほかの教育プログラムとの連携も可能で、進捗や成績のレポート機能も備わっている。Facebookのアカウントを持っていれば、デスクトップ、モバイルのどちらからでも受講することができる。現時点では英語版のみの提供となっているが、対応言語は順次追加される予定だという。日本語版は、年内の提供開始が予定されている。
2015年03月25日IDC Japan(IDC)は3月25日、国内データ活用型マーケティング関連ソフトウェア市場を調査し、2014年における同市場の推定規模と2015~2019年の市場予測を発表した。これによると、2014年の国内市場規模は806億3,800万円であったと推定するほか、2019年には1,300億円超に拡大する予測だという。○国内市場の成長、その鍵とは同調査では「デジタルマーケティングソフトウェア」を、例えば、営業部門が顧客にアプローチを行う際に使用するツールから、ECサイトの運営に携わるソリューションまで広い概念で捉えたものだとする。この理由を、IDC Japan ソフトウェア&セキュリティグループにてグループマネージャーを務める眞鍋敬氏は、「消費者と企業の購買行動に変化が起こったためだ」と説明する。「消費者は、商品購入前に、そのスペックや口コミなどの情報収集・価格比較等をインターネットにて行うほか、企業とさまざまなチャネルで接点を持つようになりました。これにより企業は、消費者ごとにパーソナライズされたコミュニケーションの実現やその効率化を求め、結果として、データドリブンなマーケティングが可能なソフトウェアやオートメーションツールの需要が増したと考えられます」(眞鍋氏)一方で、同社が実施した「Marketing Automation Software 市場比較」では、2014年における世界市場規模が65億ドル(約7,800億円)で、そのうち米国市場が62%、EMEA(Europe the Middle East and Africa)市場が31.9%を占め、日本は1.8%にとどまるという。「これは、日本が他国と比べ、マーケティングソフトウェアの導入が遅れているということ。しかし、ニーズがないわけではなく、既に導入事例としても、旅行業界や金融業界などがあります。今後、国内市場を成長に導くためには、マーケティングソフトウェアの利用を促進する製品形態とアプローチ法が重要でしょう」(眞鍋氏)従って、ベンダーには、ユーザー企業の規模や産業分野の特性を意識した製品形態・サービス訴求の実現が必要となるほか、商品ブランドや事業ごとの販促部門へアプローチするだけでなく、全社的なマーケティング部門やIT・IS部門への売り込みやコネクションの構築が重要になってくるという。これらを実現することで、同国内市場は今後、年間平均成長率(CAGR : Compound Annual Growth Rate)10%で推移し、2019年には1,300億9,100万円にまで成長する見込みだ。なお、同調査は、データ活用型マーケティングに必要なテクノロジーとして、「顧客インタラクション管理」と「コンテンツ管理」「コラボレーション/リソース管理」「データ管理/分析」という4つのIT技術領域にて分類・分析した「IDCデータ活用型マーケティングテクノロジーマップ」と、同社が保有する国内ソフトウェア市場実績・予測などのリソースを用いて分析したもの。加えて2014年6月、企業のマーケティング関連業務従事者を対象に、「マーケティングITに関する企業ユーザー調査」を実施し、国内企業583社から有効回答を収集。これらの結果も同レポートへ反映した。眞鍋氏によると、このように広い概念での「デジタルマーケティングソフトウェア」に関する市場規模を調査したレポートは、おそらく、国内外問わず類を見ないという。
2015年03月25日京セラコミュニケーションシステム(KCCS)は3月24日、デジタルマーケティングブランド「KANADE」の新たなサービスとして、データマネジメントプラットフォーム「Rocket Fuel Origin DMP」のβサービスの提供開始を発表した。同プラットフォームは、マーケティング活動のハブとして、企業が保有するさまざまなデータに加え、Webメディアなどの第三者から提供されるデータ(3rd Party Data)を統合し、潜在顧客から既存顧客まで属性に応じたセグメントデータを生成して、トリプルメディアやマルチデバイスを通じたキャンペーンを実行。顧客の属性に合った効果的なメッセージをリアルタイムで配信することができる。さらに、実行したキャンペーンの評価を行うことで、データに基づくPDCAサイクルを実現し、企業のマーケティング戦略の最適化を支援するという。
2015年03月25日本連載では、企業のマーケティング担当者向けに、RTBをはじめとしたアドテクノロジーについて、分かりやすく解説していきます。アナリティクスやマーケティング・サイエンス、最適化(オペレーションズリサーチ)視点を意識しつつ、DSPの選定や活用が可能となることを狙いとします。前回は、オークション(入札)の仕組みを整理しました。本稿では、DSPにおいて実際にどのように動いているのかを図で追ってみましょう。○DSPにおける入札取引の流れ1. ユーザーAが広告枠を持つ媒体を訪問2. SSPからのDSPへ問い合わせ(リクエスト)3. それに対し、DSP3社が独自の評価によってそれぞれ入札額を応札(Bid)4. DSP1が最高入札額(100円)なので勝者となる5. 広告が表示される6. DSP1がSSPに支払う金額は2番目に高い入札額となる80円これが、「DSPの封印型セカンドプラス・オークション」の流れです。SSPによるリクエストを起点に、勝利したDSPの広告が表示されるまでの時間は、0.1秒未満となります。加えてDSPでは、数千のサイトから届くリクエストと数千のキャンペーンによる「膨大な組み合わせ」に並行して対応しています。例えば弊社のDSP「Logicad」の場合、2015年3月時点で月間900億リクエスト(日本全ドメインの約30%相当にリーチ)を超えており、膨大なオークションがリアルタイムに進行していることが分かります。なお最近では、DSP/SSPによるRTBも含め、機械的に行う取引を「プログラマティック・バイイング/セリング」と呼ぶ傾向があり、データに基づく自動的な広告枠買い付けの波は今後も大きく成長していくでしょう。○入札戦略の基本DSPは、SSPからのリクエストに対し、キャンペーンごとに適切な入札額を算出します。この「算出のためのロジック」が各社のノウハウであり特徴と言えますが、基本的な考えを整理してみます。さて、セカンドプライスオークションは、「他者の入札は気にせず、自分の評価で参加する」という原則がありましたね。では、キャンペーンにおける自分の評価は、どのように決めるのでしょうか。多くのDSPは、キャンペーンの目標となるCPCやCPAを設定すると、CTRやCVRの期待値(予測値)を基に入札額を算出します。つまり、予測値の立て方によって、入札戦略が左右されるということです。なお、CPMは、最適な入札額を広告表示1000回あたりの単価に換算したものです。実際のコストは1インプレッションごとのセカンドプライスの合計金額ですが、現時点の単価を把握し、どのように推移するかを確認するための商習慣上の指標となります。※本稿で記載のあるマーケティング用語の解説1. キャンペーンDSPの設定において提供する商品やサービスをカテゴリーで分類した広告配信のグループ目標金額や配信量をコントロールする単位として使用する2. CPC (Cost Per Click)1クリックあたりの広告コスト(コスト÷クリック数)3. CPA (Cost Per Action)1コンバージョンを獲得するのにかかった広告コスト(コスト÷コンバージョン数)4. CTR (Click Through Rate)広告が表示された際のクリックされる割合(クリック数÷インプレッション数)5. CVR (Conversion Rate)どのくらいコンバージョンしているかという割合(コンバージョン数÷クリック数)6. CPM (Cost Per Mill)1000回表示あたりの広告コスト例 : 目標CPCによる入札額の算出目標CPC=100円予測CTR=0.1%の場合入札額CPM=100円 ⇒ 1000回表示分の金額入札額CPMの計算式 : 目標CPC(100円)×予測CTR(0.001)×表示(1000回)=入札額(100円)しかし同方法は、インプレッション単位で最適な入札額を決めオークションに参加するため、効率は保証されますが、広告表示の絶対量を必ずしも保障できる仕組みとは言えません。条件を満たした入札は行うことができますが、配信量は入札結果によって変動してしまうということです。○最適化(入札額の調整)DSPの取引は一般的に、1000回表示あたりの広告コスト(CPM)で行われます。そのため、予測精度が悪いと期待値が低い広告を割高で購入したり、期待値を低く予測すると、広告の表示機会を失ってしまいます。一方で、キャンペーンを細分化し、それぞれを予測することで、入札のROI管理を実現しています。この優れた予測機能によって、キャンペーン内の限られた予算で最大の効果を出すための運用が可能となります。少し分かりづらいので、先ほどの例で解説します。キャンペーン全体の目標CPCは100円、予測CTRは0.1%です。仮に、条件Aの予測CTRが0.2%、条件Bの予測CTRが0.05%だったとします。その場合、それぞれの入札額は200円、50円となります。CTRが2倍であれば入札額も2倍、逆に1/2であれば1/2で入札することで、目標CPCは維持できます。予測精度が信頼できれば、条件A・Bどちらで入札しても構わないというのが最適化の基本的な考えです。これまでの運用では、予算が許す限り、期待CTRが高いところに露出する傾向がありました。DSPでは、期待CTRが低くても落札の確率が高く、配信量が十分と判断すればバランスのとれた配信が行えます。キャンペーンごとの入札額調整は自動的に行ってくれるので、運用の手間をあまり考える必要はありません。例 : 入札戦略の最適化目標CPC=100円基準 : 予測CTR=0.10%入札額(CPM)=100円条件A : 予測CTR=0.20% 入札額(CPM)=200円条件B : 予測CTR=0.05% 入札額(CPM)= 50円○自動型やハイブリット型など多くのDSPは、膨大で煩雑な作業をアルゴリズムによって「自動化」することで、入札業務や運用効率を大幅に軽減しています。加えて、より洗練された自動化を目指すソリューションや、運用者(マーケティング担当者)に向けて積極的に情報を提供する「ハイブリット型」など、各DSPの特徴が出始めています。実際の運用では、すべてのキャンペーンが計画通りに進捗するとは限りません。多くの予算を確保し、短期間で統計的判断ができるほどの充分なデータを取得できるケースばかりではないからです。少しでも早く効果を上げるためには、運用担当者のキメ細かい微調整(PDCA)が欠かせません。この担当者の初動の設定や配信設定の絞り込みなどの調整によって、パフォーマンスが大きく変わってきます。「アルゴリズム」か「人」かに関わらず、さまざまなデータを組み合わせることで、予測精度を安定的に向上させ、他社と異なる入札額を算出し、運用計画に合わせて配信の調整をしていくことが結果につながります。広告主が、主体的に「誰に配信するか」を選択できるようになった今、出発点となるセグメントとターゲティングはますます重要となってくるのです。次回は、「枠」から「人」へと象徴的に言われている「ターゲティング」について見ていきましょう。○執筆者紹介ソネット・メディア・ネットワークス 商品企画部2000年3月に設立。ソニーグループの一員として、インターネットサービスプロバイダー(ISP)を運営するソネットの連結子会社としてインターネットマーケティング事業を展開する。国内最古のアドネットワーク事業者として10年以上の実績があるほか、RTBの市場拡大に先駆け、DSP「Logicad(ロジカド)」を自社開発。2014年10月には、インターネット広告に関する技術の精度向上を目的とした研究開発を行うラボを新たに設立するなど、独自のポジションを築く。
2015年03月20日本連載では、企業のマーケティング担当者向けに、RTBをはじめとしたアドテクノロジーについて、分かりやすく解説していきます。アナリティクスやマーケティング・サイエンス、最適化(オペレーションズリサーチ)視点を意識しつつ、DSPの選定や活用が可能となることを狙いとします。前回までは、アドテクノロジーの歴史を振り返り、DSP/SSP(RTB)の概要に触れました。いよいよ今回から、オークション分野をマーケティング視点で見ていきます。○これからのマーケティング担当者に必要とされるスキルとはインターネット広告を取り巻く環境の進化は、これまでのマーケティング・アプローチを変化させつつあります。特にここ1~2年においては、ビッグデータ技術が飛躍的に伸び、データの保管コストが大幅に下がったことで、一部の企業にしかできなかったマーケティング・サイエンスや、最適化(オペレーションズリサーチ)などが容易に行える環境となりました。ビッグデータによってさらなる成長を遂げたアドテクノロジーもまた、使い方次第ではマーケティング活動を大幅に変革させることが可能な技術です。まずは、アドテクノロジーの仕組みを理解し、膨大なデータを基に、マーケティング視点で「分析」や「仮説」「意思決定」「評価」を行っていくための基本を押さえていきましょう。というのも、今後もさまざまなテクノロジーが開発・導入されていくことが予想されますが、基本的な仕組みを理解しておくと、目的に応じて必要なテクノロジーを使い分けていくことができるためです。マーケターは今後、目的達成に必要なテクノロジーを選択し、高速PDCAを回すことで施策の最適化を図っていくスキルが必要となると考えています。本稿では、RTBの根幹を担うオークション分野の仕組みについて整理してみましょう。○オークションの種類 - DSPは封印型セカンドプライス公開型オークション - 競り上げと競り下げ「オークション」は、マーケットデザインという新しい経済学のなかで、研究事例としてよく取り上げられます。マーケットデザインとは、モノを適切に配分するための社会的な仕組みを考案したもので、オークション以外にもマッチング理論やゲーム理論なども扱います。オークションと聞くと多くの人は、有名な絵画などの芸術作品が値上げ形式で入札され、最高額にて落札されるといったイメージを思い浮かべるのではないでしょうか。このように、競争相手の入札額がオープンで最も高い値を付けた人物が落札できる仕組みを、公開型(open bid auction)の「競り上げ方式(イングリッシュ・オークション)」といいます。一方、同じ公開型であっても、ある一定額から入札が開始され、買い手の希望する価格まで下がっていく仕組みを「競り下げ方式(ダッチ・オークション)」とし、代表的なものとしては、花卉(かき)市場で採用されているそうです。封印型オークション - 第一価格と第二価格また、競争相手の入札額がクローズド(非公開)にて行われる「封印型(sealed bid auction)」においても、2つの種類があります。勝者(最高額入札者)の支払う金額が最も高い入札額であることを意味する「第一価格」によるものと、支払う金額が二番目に高い入札額であるという「第二価格」となる方法です。第一価格(ファースト・プライス・オークション)では、参加者の意思決定が複雑になると言われています。一般的に、第一価格の場合、買い手は勝者を目指すとともに、限度額を超えない範囲で、競争相手よりわずかだけ高い入札額を検討しなければなりません。しかしながら、相手の入札額がわからないため不確定要素が高く、オークションが荒れやすくなると考えられてます。一方、第二価格(セカンドプライス・オークション)は、相手を意識せずに自身の評価で決める、すなわち最適な選択が可能というゲーム理論「支配戦略」にも従うため、「競争相手を気にせず、自らの評価を正直に入札すれば、気に病む必要はない」という点で優れた仕組みだと考えられています。そしてこの仕組みが、多くのDSPやリスティング広告(検索連動型広告)などで採用されているのです。なお、SSP(売り手)には、確率的に計算した結果(分布)に基づき、第二価格オークションの最低落札金額を設定したり、特定の買い手と固定で落札額を決めたりし、期待収益を最大化するという機能があります。DSP・SSPともに、新たな仕組みや方式を常に試行しているのです。さて、セカンドプライス・オークションを採用するDSPでは、自身の評価で入札すれば良いとの話でしたが、この評価とはどのような考え方で決めるとよいのでしょうか。次回は、オークションにおける「適切な金額」を決める仕組みについて考えていきましょう。○執筆者紹介ソネット・メディア・ネットワークス 商品企画部2000年3月に設立。ソニーグループの一員として、インターネットサービスプロバイダー(ISP)を運営するソネットの連結子会社としてインターネットマーケティング事業を展開する。国内最古のアドネットワーク事業者として10年以上の実績があるほか、RTBの市場拡大に先駆け、DSP「Logicad(ロジカド)」を自社開発。2014年10月には、インターネット広告に関する技術の精度向上を目的とした研究開発を行うラボを新たに設立するなど、独自のポジションを築く。
2015年03月04日オンキヨーとパイオニアは3月2日、2014年11月に発表していたAV事業の統合が完了したと発表した。パイオニアのホームAV事業と電話機事業、ヘッドホン関連事業をオンキヨーに譲渡することで完了。なお、オンキヨーとパイオニアの両ブランドは維持される。このたびの統合に伴い、パイオニアのホームエレクトロニクス製品の開発・製造・販売を手がけていたパイオニアホームエレクトロニクス(PHE)は、「オンキヨー&パイオニア株式会社」に社名を変更した。オンキヨー&パイオニアではパイオニアのホームエレクトロニクス製品とオンキヨーのAV製品を取り扱う。パイオニアの電話機事業とヘッドホン関連事業は、オンキヨーエンターテイメントテクノロジー(OET)に移管され、OETは「オンキヨー&パイオニアイノベーションズ株式会社」に社名を改める。オンキヨー&パイオニアイノベーションズはハイレゾ音源配信サービス「e-onkyo music」も運営する。国内販売はオンキヨーマーケティングジャパンが再編された「オンキヨー&パイオニアマーケティングジャパン株式会社」へ、設計はデジタル・アコースティックが再編された「オンキヨー&パイオニアテクノロジー株式会社」へ業務移管される。また、パイオニアは同日、DJ機器事業を手がけるPioneer DJの譲渡が完了したことも発表した。Pioneer DJの持株会社であるPDJホールディングスの発行済株式を、コールバーグ・クラビス・ロバーツ・アンド・カンパニー・エルピー(KKR)が85.05%、パイオニアが14.95%保有することになる。Pioneer DJは独立会社として、今後もDJ機器の開発・販売を行う。
2015年03月03日AMoAdはこのたび、カヤックのチャット&ゲームコミュニティ「Lobi」を運営するLobi事業部とネイティブ広告マーケティングにおける事業提携をし、ネイティブ広告の提供を2015年3月上旬より開始すると発表した。これにより、同社が提供する「AMoAdネイティブ広告」は、カヤックが運営する「Lobi」にて、ゲームユーザーを対象に関心の高い表示方法や広告クリエイティブを、コンテンツ性の高い広告として配信するネイティブ広告の提供を開始する。
2015年03月03日SIMフリースマートフォン「freetel」を販売するプラスワン・マーケティングは27日、今夏までにWindows Phone OS搭載したfreetelブランドのスマートフォンを日本国内で発売すると発表した。3月2日からスペインのバルセロナで開催される携帯電話関連の見本市「Mobile World Congress 2015」で展示する。同社が販売するのは、5インチ HDマルチタッチスクリーンのWindows Phone 8.1搭載スマートフォン。CPUはクアッドコア 64bit、RAMは1GB、ROMは8GB。カメラはメインが8MP、サブが2MP、バッテリは2500mAhになるという。Windows Phoneは長らく、新端末が国内で販売されてこなかったが、その状況が変わりそうだ。マウスコンピュータが23日にLTE対応のSIMフリーデバイスの開発に着手していると発表、同社に続く形で、プラスワン・マーケティングが取扱いを表明することとなった。
2015年02月27日パイオニアは26日、スロットローディングタイプのポータブルBDドライブ「BDR-XS06JM」を発表した。3月上旬より発売し、価格はオープン。スロットローディング方式のポータブルBDドライブ。不要な電力を自動的にカットする「インテリジェントエコモード」を搭載し、消費電力を従来モデルより削減。ディスク表面の汚れや傷でデータを読み取れないときに再度読み取りを行う「PureRead2+(原音再生)」に対応するほか、映像再生時は低回転で、データのコピー時は高回転で動作する「アドバンス静音ファームウェア」も搭載する。バンドルソフトとして、Mac用アプリ「Toast 12 HD/BDプラグイン」を同梱。BD / DVDビデオの作成や映像の編集が行える。また、専用BDドライブユーティリティをダウンロードすることで、独自機能の「PureRead」や「アドバンスド静音モード」などの設定も可能となる。主なメディアの最大書き込み速度は、4層と3層のBD-Rが4倍速、1層と2層のBD-RおよびBD-R LtHが6倍速、3層 / 2層 / 1層のBD-REが2倍速、1層のDVD-R / +R、および+RWが8倍速、2層のDVD-R / +RおよびDVD-RWが6倍速、DVD-RAMが5倍速。インタフェースはUSB 3.0。電源はUSBバスパワー。本体サイズはW135×D135×H18mm、重量は280g。対応OSはMac OS X 10。6~10.10。
2015年02月26日ロックオンは2月25日、インターネット広告効果測定システム「アドエビス」で、コンテンツマーケティング計測に特化した新プランの提供を開始した。同プランは、過去にロックオンで行った、GIZMODEとライフハッカーにおけるコンテンツのアトリビューション効果の分析実績や、All Aboutのタイアップ広告を利用したエンゲージメント分析手法など、豊富なノウハウをより多くのユーザーに提供できるよう設計されたもの。コンテンツマーケティングは、クリック・自然検索に加えて、ビューまで一貫して計測する必要があるため、同プランでは、ADエビスやSEOエビス、ViewThruエビスをパックにしたほか、専用の分析テンプレートもセットで利用することが可能だ。利用料金は月額4万円(税別)~で、アドエビス新規申し込みから6カ月間適用されたのち、7カ月目より通常料金での提供となる。
2015年02月26日ソウルドアウトは2月24日、マーケティング担当者350名を対象にマーケティングに関するアンケートを実施し、その結果を発表した。これにより、大企業と中小企業の違いが明らかとなった。○中小企業はリソース不足、大企業は効果測定が課題調査によると、現状のマーケティング・販促施策における課題は、中小企業では「(施策に)時間を割くことが出来ない(31.9%)」との意見が最も多く、大企業では「実施している施策の効果検証が出来ていない(31.6%)」との回答が多くあがった。同結果に対し同社は、中小企業では他業務と兼任する担当者も多く、十分な人員と時間を使えないことから成果をあげられず、予算が削られるという悪循環に陥っているのではと分析する。○コンバージョン率向上か、エンゲージメント構築か2014年に実施した施策のうち、最も効果があったと感じた施策としては、中小企業・大企業ともに「SEO」が最も多い結果に。2015年に実施予定の施策では、中小企業が継続して「SEO(24.1%)」を選択する傾向が見られる一方、大企業は「動画制作・動画広告(19.1%)」をあげる声が多い。また、中小企業はSEOのほか、リスティング広告やアフィリエイト広告など「即時的な売上拡大」を図る施策が上位に。大企業は、ソーシャルメディアの活用やWebメディアへの出稿など、「中長期的な視点で、認知の拡大や話題化といったことを目的」に置いていることが想定されるという。なお、調査は1月23日~25日の間、インターネットリサーチを活用し、全国の20~59歳の男女マーケティング・販促業務担当者350名を対象に実施したものとなる。
2015年02月25日サイバーエージェントは2月20日、写真を利用したSNS「Instagram(インスタグラム)」を活用したマーケティング商品を開発、販売を開始したと発表した。Instagramは全世界の利用者が3億人を越え、1日7000万件超の写真や動画が投稿されている。第一弾の取り組みとして、サントリースピリッツの新製品「澄みわたる柚子酒」でプロモーションを1月28日~2月24日に実施。「澄みわたる柚子酒」アンバサダーなどに選ばれたInstagramersJapanユーザーが、製品の写った作品に特定のハッシュタグを付け、instagramに投稿を行い、後日、サントリーが選定する優秀作品10名をサイト上で発表する。同社は今回、Instagramの愛用者が集う日本最大級のユーザーグループ「InstagramersJapan」と協業し、Instagramを活用した企業のマーケティング活動を支援していく。広告主の商材やサービスなどを「InstagramersJapan」のユーザーグループに提供することで、彼らの作風に合わせて商材やサービスを表現してもらう。今後も、ハッシュタグを活用した写真投稿・動画投稿キャンペーンの展開や作品を集約した企画などを展開していく。
2015年02月23日シャノンは2月17日、マーケティング・販促担当者を対象に、国内BtoBマーケティングの意識・課題や現状についてのアンケート調査を実施し、その結果と分析内容を発表した。BtoBマーケターが抱える課題とは国内BtoBマーケティングに取り組む担当者が抱える課題として、2014年の調査で初めて、「コンテンツ企画・制作が難しい」という声が上位に入る結果に。このことから同社は、作業の効率化や見込み客の管理・育成の環境整備が進んだ企業が増え始めたのではと推測する。2015年、実施したい施策とは2013年と比較し、オウンドメディアへの取り組み強化をあげる担当者が増加。一方で、ソーシャルメディアを用いた施策への意欲が大きく低下したことが明らかとなった。これに対し同社は、ソーシャルメディアを継続して効果的に活用するためには、戦略的なコンテンツ展開が必要だということが改めて認識されたのではと分析する。予算や人員、評価方法とはマーケティング業務に携わる担当者数として、「2~5名」という回答が最も多く(34%)集まったほか、「特にいない(兼任)」と回答した割合も多い(30%)。予算としては、「特に決まっていない(21%)」と「500万円未満(20%)」との声があがった。また、活動評価に対する意識については、未だに4割にのぼる企業がKPI設定をしていない現状が明らかとなった。なお、同調査は、2014年11月19日~12月26日の間にインターネット上のアンケートにて実施され、回答者数は346となる。
2015年02月18日本連載では、企業のマーケティング担当者向けに、RTBをはじめとしたアドテクノロジーについて、分かりやすく解説していきます。アナリティクスやマーケティング・サイエンス、最適化(オペレーションズリサーチ)視点を意識しつつ、DSPの選定や活用が可能となることを狙いとします。前回は、インターネット広告の歴史とアドネットワークの登場までを振り返りました。今回は、アドエクスチェンジからDSP/SSP(RTB)までを一気に見ていきましょう。○オープン市場へのきっかけ(アドエクスチェンジ)「アドエクスチェンジ」は、アドネットワークの需給調整を行う取引所として登場したとお話しましたね。アドエクスチェンジの出現により、アドネットワーク事業者は、想定より広告受注数が少なく余った広告枠を、アドエクスチェンジを通じて転売することが可能となりました。逆に、想定より受注数が多い場合には、アドエクスチェンジを通じて補完することができ、在庫リスクの分散も実現しました。しかし、次第にアドエクスチェンジを通じて、広告主が直接広告枠を買い付けたり、媒体社が直接販売したりするケースが出てきます。これにより、これまでの「アドネットワーク事業者がそれぞれ優先的に媒体社(広告枠)を持つ」という強みが薄まっていきます。一方で、広告主は複数のアドネットワークに容易につながることができ、膨大な広告枠に配信できる機会が増えました。その結果、配信先や在庫量に縛られず、膨大な広告枠から費用対効果の高い配信機会をいかに見つけ出すかという「最適化技術」が重要になってきます。すなわち、アドエクスチェンジをきっかけに、広告主と媒体社がオープンに取引可能となった現在のRTB(*1)の登場につながっている、と言えます。○インターネット広告の大変革 =RTB市場の発展RTBは、欧米にて2009年頃から、日本では2011年頃から一気に普及した最新テクノロジーです。これまでのインターネット広告は、1カ月単位で広告枠を売買することが主流でしたが、このテクノロジーにより、広告主と媒体社は「インプレッション(クリック)」ごとに「オークション形式」で、「オープンな取引」を行うことが可能となりました。DSP/SSP(*2/3)とは、RTBの仕組みを利用して広告を配信するためのプラットフォームです。広告主は、DSPを通じて「必要なとき」に「適切な金額」で「希望の配信量」を買い付ける(オークションする)ことができます。また、媒体社はSSPを通じて、オークションで最も高値を付けた広告を配信するため、インプレッション単位で収益性の高い配信が可能となり、広告収益の最大化が期待できます。(*1)RTB(Real Time Bidding)広告枠を1インプレッション毎にリアルタイムなオークション形式で入札できる(*2)DSP(Demand Side Platform)広告主(広告出稿者)が利用する広告配信の最適化プラットフォーム(*3)SSP(Supply Side Platform)媒体社(広告枠)が利用する広告配信の最適化プラットフォーム広告主は、独自の予測に基づいた判断により、広告を表示(購入)することが可能となります。このように、1インプレッション単位で「評価」と「購入」が連動することで、ターゲティング機能が大きく進歩しました。DSP配信の特徴として「枠から人へ」と表現される所以です。こうして、WebサイトのPVから予測される広告在庫の管理や、CPC・期待効果・時間帯・カテゴリなどの配信ルールに従った自動最適化、膨大な配信データの分析、分析結果に基づいたターゲティングなど、アドテクノロジーの基盤が大きく成長しました。次回は、RTBの根幹を担うオークション分野を復習しながら「入札」機能の特徴についてふれていきます。○執筆者紹介ソネット・メディア・ネットワークス 商品企画部2000年3月に設立。ソニーグループの一員として、インターネットサービスプロバイダー(ISP)を運営するソネットの連結子会社としてインターネットマーケティング事業を展開する。国内最古のアドネットワーク事業者として10年以上の実績があるほか、RTBの市場拡大に先駆け、DSP「Logicad(ロジカド)」を自社開発。2014年10月には、インターネット広告に関する技術の精度向上を目的とした研究開発を行うラボを新たに設立するなど、独自のポジションを築く。
2015年02月18日ブイキューブとパイオニアVCは2月16日、ドローン(小型無人飛行機)を活用した新たなコミュニケーションスタイルの実現を目指した実証実験をパートナー企業とともに開始すると発表した。ブイキューブは、ドローンの商用利用に必要な技術を開発するRapyuta Roboticsに出資し、鉄鋼所など高所や煙突があるプラントや設備の保守点検、橋やトンネルなど社会インフラの点検、市区町村における災害対策分野において、年内のサービス提供開始を目指し、共同でのサービス開発に取り組んでいる。ブイキューブは開発中のサービスを利用した実証実験を進めていくため、災害対策分野において国土交通省などをはじめとした官公庁での実績をもつパイオニアVCと連携した。今回、「鉄鋼所やプラントの設備保守点検における活用」「橋やトンネルなど社会インフラ点検における活用」「市区町村の緊急災害対策における活用」を実証実験する。実験を行うにあたり、国内に研究・活動拠点を有する法人、市区町村を対象に、パートナーを募集する。応募は、ブイキューブのWebサイトで行える。
2015年02月16日日本IBMは2月12日、企業のデジタル・マーケティングを支援するビジネス・パートナー向けに「IBM Silverpopソリューション・プロバイダー契約プログラム」を提供開始した。これは同社の「IBM SaaSソリューション・プロバイダー契約プログラム」の新たなラインアップであり、同社がクラウドで提供するマーケティング・オートメーション・ソリューションである「IBM Silverpop」とビジネス・パートナーのノウハウとを組み合わせ、企業に対するマーケティング支援を推進するもの。マーケティング・ソリューション群であるSilverpopの迅速な提供を支援するため、Silverpopを扱うビジネス・パートナー向けの新プログラムを開発したという。同プログラムでは、ビジネス・パートナーが1次代理店としてSilverpop製品のライセンス、サポートおよびコンサルティングの再販が可能になる。これによりビジネス・パートナーは、IBM製品を基盤として開発したソリューションの提案からデジタル・マーケティングに関するコンサルティング・サービス、運用までを担い、Silverpopの迅速な提供が可能になるとしている。今回の再販プログラムの提供開始にあたり、電通ワンダーマン、ディレクタス、JSOL、ラック、日本情報通信、シンフォニーマーケティング、ウェブスマイルの各社が先行して参加し、SaaSソリューションと各社によるプロフェッショナル・サービスの提供を始めるという。
2015年02月13日皆さんが勤務する企業を見渡した時、マーケティングが「広告に代表される顧客とのコミュニケーションに関する方法論」と狭く理解されていることはないだろうか。また、既存顧客との信頼関係を構築・維持するため、いわゆる「どろどろ」とした営業活動が重視され、マーケティングのような理論的な顧客獲得アプローチは二の次だったりしないだろうか。さらに、製品が売れるかどうかは技術力が左右するという考え方が前提で、販売やマーケティング部門の存在感が小さいといったことはないだろうか。こうしたことが起きているならば、マーケティングの重要性が正しく理解されていない可能性がある。また、消費者取引中心の企業で長年蓄積されてきたマーケティングの理論アプローチを、企業や組織において部品、原材料、機械・設備などの生産財を提供する組織に当てはめようとすることのひずみが誤解を生んだとも考えられる。現在、中長期的な有望分野として、マーケティング分野へのIT投資の積極化が期待されているが、最初の出発点としてB2C(消費財)マーケティングとB2B(生産財)マーケティングの相違を理解することが重要だと言える。両者の相違を理解することが、マーケティングITを必要とする顧客への正しいアプローチにつながることになるだろう。本稿では、B2BマーケティングとB2Cマーケティングのあり方を整理してみたい。下図に示したように、企業や組織を対象にビジネスを行うB2B企業の顧客は、最終消費者ではなく、企業内のステークホルダー集団である。そのため、顧客の購買決定プロセスと顧客との関係に相違が現れる。○複雑な購買決定プロセス不特定多数の消費者を相手にビジネスを行うB2C企業と比べ、B2B企業の顧客の数と単位が異なる。顧客の数が少ないと一見、管理が容易になるように思われるが、実際は顧客がステークホルダー集団で構成されているゆえの複雑なマネジメントが必要となる。それは、購買の最終決定が、開発部門、生産部門、購買部門などの各担当者や管理者の合議で形成されるためである。そして、必要な財の必要性、購入時期、購入方法、購入先を明確な基準を設定したうえで、購入を判断する。B2Bビジネスにおいて、広告に接することで購買意欲がかき立てられたことをきっかけに製品・サービスの購入に結び付くことはまれなのである。○長期にわたる顧客との関係B2Cビジネスの場合、特定のブランドへのロイヤルティにより、同じ製品・企業が選択されることから、ブランド価値を高めることが顧客との長期的な関係を維持するうえで重要である。これに対し、B2B企業の顧客の場合、カスタマイズや供給量といった個別の要求にこたえることができることを理由に、過去に取引経験のある企業と取引を長期間にわたって継続することがよくある。また、継続的な取引を行うと、顧客企業に関する知識が蓄積しやすくなる。逆に言うと、B2B企業の場合、顧客と直接の接点になる営業部門が顧客情報を独占することなく、研究開発部門をはじめとする社内各部門と共有することが、首尾一貫した体制で顧客に価値ある商品を提供し続けることにつながるのだ。○マーケティングITの活用におけるポイントマーケティング業務を支援するためのソフトウェアが市場形成期に入りつつある昨今、国内では「マーケティング専門組織がない」「リーダーシップを取るCMO(Chief Marketing Officer)がいない」といった点が問題視されている。営業とマーケティングの組織分化が進んでいない傾向はB2B企業で顕著である。これは、B2B企業が国内の既存顧客を中心にビジネスを展開してきた歴史が長く、体系化されたアプローチで新規顧客を獲得してこなかったためだ。このことは不特定多数の消費者を対象にビジネスを展開してきたB2C企業と異なり、社内にマーケティングに関するノウハウが十分に蓄積されていないことを意味する。また、製品・サービスの機能や特徴に照らした顧客セグメンテーションを明確にし、見込み顧客となりうる層を抽出するターゲティングが属人的なスキルに依存している可能性も高い。この顧客セグメンテーションとターゲティングは、見込み顧客の獲得とは独立したプロセスであり、顧客を分類して把握する「属性」という非常に重要なインプットに影響する。この定義が甘いと、属性分析がうまくいかず、見込み顧客に対する効果的な施策を展開することは困難である。言い換えると、企業の損益計算書に明示される販売管理費を正しく使えないことにつながる。マーケティングITベンダーおよびその導入を支援するベンダーには、成熟していないマーケティング支援という市場を育てていくため、ユーザー企業と協調して「マーケティングITの顧客を深く理解する」プロセスに取り組む姿勢が求められる。
2015年02月13日マイナビは2月24日(火)、パレスサイドビル 東コア2F マイナビルームS(東京都千代田区)において、マイナビニュース「マーケティングセミナー」を開催する。参加費は無料。同セミナーの基調講演には、「24時間 PARCO」「オムニチャネル」をキーワードにお客様の購買行動の変化や多様化する販売チャネルへの対応に積極的に取り組んできた商業施設パルコの、WEBコミュニケーション部 唐笠亮氏と、「eコマース革命」以降、EC分野での領域を急速に拡大しつつある「Yahoo!ショッピング」から、営業本部の本部長を務める畑中基氏を招聘。EC市場の未来や、実践的なオムニチャネル戦略について、語られる予定だ。今回のセミナーは、現場のキーマンに向けて実践的な内容を盛り込んだ形で、オムニチャネル戦略はどう実践されるのか、ECビジネスの未来はどうなるのかが示され、地に足のついたマーケティングを実践しようとしているあらゆる企業のマーケターやシステム担当者、また経営層に必聴のセミナーとなっている。基調講演には、「店頭の力を活かすオムニチャネル"店頭キュレーションEC~カエルパルコ"」と題して、株式会社パルコ WEBコミュニケーション部 課長 唐笠亮氏が決定。「24時間 PARCO」「オムニチャネル」をキーワードに掲げ、ユーザの購買行動の変化や、多様化する販売チャネルへの対応に積極的に取り組んできたパルコが提唱する、ショッピングセンターの新しいECのカタチとしての、ショップスタッフの接客力・発信力を活かした店頭キュレーションEC『カエルパルコ』について解説される。もう一人のキーノートには、「ECの今後と"Yahoo!ショッピング"の戦略」と題して、ヤフー株式会社ショッピングカンパニー 営業本部 本部長 畑中基氏を招聘。「Yahoo!ショッピング」営業本部の本部長を務める畑中基氏がEC市場の未来を予測し、それに対して「Yahoo!ショッピング」はどう対応していくのかが語られる。市場規模の予測を筆頭に、注文の自動化やパーソナライズの進化といった話から、物流・決済の未来までECにまつわるさまざまな事象の予測を行い、5年後の未来が示される予定だ。また、「次世代全社マーケティングの実践を支える、組織を超えたIT活用の勘所とは?」と題して、TIS株式会社 産業事業本部 東日本産業事業部 ストラテジックソリューション営業部 シニアエキスパートである秋野隆氏により、マーケティング部門やシステム部門に向け、SIerの立場から次世代の全社マーケティング基盤を実現するための勘どころについて、"今"何に取り組まなければならないかを、事例を交えながら紹介される。同セミナーの詳細は以下の通りとなっている。タイトル:ECビジネスの最新事例から学ぶ!デジタルマーケティング戦略セミナー開催日程:2015年2月24日(火)14:00(開場 13:30)~16:40定員:100名申し込み締切日:2015年2月23日(月) 18:00参加費:無料開催会場:パレスサイドビル 東コア2F マイナビルームS〒100-0003 東京都千代田区一ツ橋1-1-1主催:株式会社マイナビ マイナビニュースセミナー運営事務局協賛:TIS株式会社
2015年02月12日マーケティング・オートメーション(以下、MA)は、企業のマーケティング活動を自動化するためのソフトウェアであり、今、最も注目されているビジネス・アプリケーション分野の1つである。前編では、MAの中核機能が、有望な見込み顧客を営業部門に引き渡すまでのリード・マネジメントであると述べた。後編では、MAプラットフォームが、リード獲得から顧客獲得に至るまでのリード・マネジメント・プロセスをどのように支援するかについて説明する。○部門によって異なる「リード」の意味一般に、リード(Lead)は、日本語では見込み顧客と訳されるが、英語では見込み顧客は顧客(Customer)とは区別して扱われる。これは、部門によって見込み顧客に関する認識が異なるためと見られる。例えば、営業部門にとっての見込み顧客は受注につながる確度の高い顧客であるが、マーケティング部門にとってのそれはセミナーや展示会で接点のある顧客のことであったりする。また、B2B向けのビジネスを営んでいる企業の場合、購買プロセスが長く、商材によっては受注獲得までに1年以上を費やす場合もある。意思決定のステークホルダーは利用部門だけでなく、複数の部門に散在するし、定期人事異動で重要な意思決定者が異動したりすることもある。そのため、コンタクトが可能なリードは個人であるが、受注確度が高まるにつれて接点を持つ個人が増えていく。そして、受注獲得の時点で初めて、個人ではなく法人単位で顧客を認識するといった特徴がある。つまり、マーケティング活動のリードと営業活動のリードは異なるわけであり、それゆえにセールス・リードのマネジメントを行うSFA(Sales Force Automation)とマーケティング・リードのマネジメントを行うMAは別々のものとなる。○リード獲得から顧客獲得に至るまでのビジネスプロセスとは?MAにおけるリード・マネジメントのビジネスプロセスは、以下の図に示すように3つに大別される。そして、リードは最後の顧客の獲得に至るまでの選別の過程で徐々に絞り込まれていくことから、入り口が広くて出口が狭いじょうご(ファネル)にたとえられることもある。リードの獲得(Lead Generation):見込み顧客になりそうな個人のリストを作成するまでのプロセスリードの育成(Lead Nurturing):見込み顧客に対して段階的に購入意欲を高めてもらうためのプロセスリードの選別(Lead Qualification):リードの中から購入の可能性が高いものを選別するためのプロセスマーケティング担当者は、オフラインのセミナーや展示会のほか、メール、ブログ、SEOなどのオンラインのツールも含め、さまざまなチャネルを駆使してリードを獲得する。育成のプロセスとは、自社が提供する商材についての知識を深めてもらう活動である。リードが必要としている情報を提供することはもちろん、リードが抱えている潜在的なニーズを見極めることを活動の主眼としている。最後の選別のプロセスは、何らかの評価基準を用いて各リードが顧客獲得に至るかを評価するプロセスである。MAプラットフォームはリード選別を支援するため、スコアリング機能を提供している。また図では、リード育成にはマーケティング・リードとセールス・リードの2種類に加え、マーケティング活動の営業活動をつなぐアウトプットとしてのリードがあることも示している。MQL(Marketing Qualified Lead):マーケティング活動で顧客獲得に至る確度が高いと判断したリードSAL(Sales Approved Lead):マーケティング担当者と営業担当者の双方が顧客獲得の確度が高いと判断したリードSQL(Sales Qualified Lead):営業活動で顧客獲得の確度が高いと判断したリード○マーケティング・オートメーションが必要になる理由MAが対象としているリード・マネジメントは、SFAが対象とするリード・マネジメントよりも上流のプロセスであることは、上記の図で示したとおりである。SQLはいわゆる顧客からの引き合いに相当するリードであり、MQLと比べて短期間に顧客獲得に至る。マーケティングが弱い企業は、おそらくMQLを育成するノウハウが組織に蓄積されていないか、営業担当者個人がMQLも抱えておりSQLの処理を優先していたりするのではないだろうか。このような状況を踏まえると、リード育成のプロセスはマーケティングと営業で分離することが望ましい。さらに、このプロセスをうまく運用するには、マーケティングと営業の相互協力が不可欠である。なぜなら、スコアリングに用いる判断ルールは、営業が持つ顧客を分析したデータとマーケティングが持つリードを分析したデータ両方を基にメンテナンスする必要があるからだ。このメンテナンスは、マーケティングと営業双方の活動の学習と経験を通じたものであり、スコアリングの精度を高めることに貢献する。また、近年、ソーシャルやモバイルといった技術の大変革により、リード獲得のためのオンラインチャネルが多様化する傾向にある。営業としては、マーケティングから得られる確度の高いリードは多ければ多いほどうれしい。つまり、新しいファネルの入り口は広くなる傾向にあり、マーケティング担当者のスキル次第でファネルの出口も広くできる可能性が高い。マーケティングから営業までの連続する活動のマネジメントをうまく行うには、ITがないと不可能である。このようなIT環境の変化をうまく活用するためにも、SFAとの連携を視野に入れたMAに特化したソフトウェアが必要となるのだ。
2015年02月12日マーケティング・オートメーション(以降、MA)は、企業のマーケティング活動を自動化するためのソフトウェアであり、今、最も注目されているビジネス・アプリケーション分野の1つである。本稿では、MAを効率よくかつ効果的に導入するコツを考えてみたい。初めに、MAの基本情報として、「定義」「ルーツ」「自動化の対象」について整理しておこう。○マーケティング・オートメーションの定義とルーツ英語版のWikipediaでMAの定義を調べてみると、「マーケティングに携わる組織が、メール、ソーシャルメディア、Webサイトといった多様なチャネルを通して、より効率的にマーケティングを行い、繰り返し作業を自動化するためソフトウェアプラットフォームと技術の総称」とある。MAは目新しいソフトウェア分野ではない。ユーザー企業の中には、MAをメール・マーケティングやWebマーケティングの概念を拡張して取り入れたソフトウェア製品としてとらえる傾向もあるかもしれない。確かに、MAに分類される製品の中には、マーケティング担当者が設定した対象者グループに対して、メールを一斉配信するツールを前身とするものや、キャンペーン管理から機能拡張した製品群もある。しかし、この認識は誤りである。なぜなら、先に紹介した定義で見たとおり、モバイル・デバイスやソーシャル・メディアといった新しい技術の台頭により、さらに多様化した顧客との接点をより効率的に活用するため、統合的なマーケティングプラットフォームの必要性が高まっているためである。そして、現在注目されている製品群がこれまでの技術とは異なり、あらゆる顧客とのコンタクトポイントを網羅することを前提とした製品設計である点に、ユーザー企業は留意するべきである。○自動化の対象オートメーション(自動化)というとピンとこない読者もいると思うが、マーケティングに限らず、ITがサポートするビジネス・プロセスの自動化は、作業進捗のスピードを上げること、もしくは判断のスピードを上げることに大別される。その意味するところは、ビジネスプロセス全体における担当者の介在をできるだけ排除することではなく、マーケティング活動において頻繁に発生する作業や、担当者が俗人的にExcelでやっているリスト作成のような手作業を減らすことにある。また、オートメーションは業務効率化と密接に関わっているが、焦点となるビジネス・プロセスはリード(Lead:見込み顧客)の獲得と育成であり、マネジメントの質を高めることを支援するソフトウェア分野でもある。さらに、このプロセスの前後に連なるマーケティング・インテリジェンスやバックエンド・プロセスとの連携も忘れてはならない。これらは顧客を正しく理解するうえで不可欠なことだからである。ここでのマーケティング・インテリジェンスとは、さまざまな顧客接点を通して入ってきたリードを分析して適切なセグメンテーションを行うこと、マーケティングキャンペーンの実施評価や購買行動を分析することなど、PDCAサイクルをうまく回すための活動を想定している。そして、新しい顧客からの受注獲得、受発注管理、出荷管理、支払い請求管理といったバックエンドのビジネス・プロセスと分断なく連携することで、「顧客当たりの生涯購入金額の最大化」という売上への明確な貢献を可視化することができる。では、MAが必要とされる背景にはどのようなものがあるのだろうか?○MAが必要とされる背景リーマンショックに端を発した経済環境の悪化により、多くの企業が国内の既存顧客との長期的関係を維持していくだけではビジネスが成り立たなくなっている。このような日本企業にとって、海外市場までを視野に入れた新規顧客の開拓が急務である。また、企業はITに対し、これまでの企業向けITが得意としてきた業務効率の向上やコスト削減に向けた施策ではなく、より売上に貢献することを求めている。MAは、こうした新しい市場に進出しようとする企業の課題に直結した解決方法を提示する。○SFAとの関係売上に貢献するソフトウェアと言えばSFA(Sales Force Automation)がある。SFAは既存顧客との関係性を維持するための顧客データマネジメントのプラットフォームであるのに対し、MAは有望なリードを対象とするビジネスプロセスの効率化に焦点を当てるものである。SFAから見たMAは受注確度の高いリードに関するデータを引き渡すものであるため、SFAとMAは補完関係にあることになる。両者が交差する部分がある理由は、マーケティングから営業にリードを引き渡す際に、双方の合意が必要となるためである。すでにSFAを導入している企業にとって、MAは販売の前のプロセスを強化するものであると同時に、導入顧客ベースを強固なものにする点で貢献できるだろう。○MAのターゲット筆者はMAの導入が進んでいくのはリードの育成に時間のかかるB2B企業が中心になると考えている。また、B2C企業の中でも購入に至るまでのプロセスに時間のかかる企業も導入効果が得られるだろう。ただし、「マーケティング情報システム」を構築する場合、B2B企業とB2C企業ではデータやビジネスプロセスのマネジメント方法も異なる。これは、B2B企業とB2C企業では見込み顧客に対するアプローチが異なるためであり、ソフトウェアベンダーも共通機能とそれぞれに対応した機能の両方を提供しなくてはならない。後編では、MAが、リード獲得から顧客獲得に至るまでのリード・マネジメント・プロセスをどのように支援するかについて説明する。
2015年02月09日