トム ブラウン(THOM BROWNE) 2020年秋冬コレクションが、2020年3月1日(日)にフランス・パリで発表された。ブランド初となる男女合同ショーの開催となる。動物たちが導くファンタジー演劇的な演出で毎度観客を楽しませてくれるトム ブラウンのショー。今季会場に現れたのは、銀世界が広がる幻想的な雪景色。真っ白なパウダーで実際に埋め尽くされたランウェイには、その中央に大きな扉がそびえたっている。そしてショーの始まりの合図と共に現れたのは、様々な動物のお面を被ったモデル達。中でも“リーダー格”のキリンが不思議な舞を繰り広げながら、ランウェイの中心へと躍り出ると、大げさなパフォーマンスと共に、扉のドアのぶをがちゃっとひねる。“さあ、ここからがファンタジーの世界の始まりです”といわんばかりにー。ジェンダーの垣根を超えた演出こうして開け放たれた扉から現れたのは、1組のカップル。しかし口から上は黒のお面で隠されているため、性別はあいまいだ。そして視線を主役のワードローブへと目を落とすと、あれ…?なんと2人は全く同じジャケットスタイルを貫いている。男性モデルが女性ウェアを纏って登場した2018年春夏コレクションを彷彿させる、ジェンダーの垣根を超えた演出だが、今回はその“中性化”がさらに曖昧。1つのルックには両方の要素が複雑に交じり合っているからだ。男女の要素がミックス例えばテーラリングの美しさが際立つクラシカルなジャケット×パンツのスタイルには、上からスカートをレイヤード。またスーツを着ているように見えるトロンプイユの“ワンピース”を差し込んでいたり、ネクタイの代わりにリボンスカーフを巻いていたり。中には、片方にパンツ、もう片方にスカートといった、今季を象徴するような“中性”を示唆する大胆なルックも登場。シンボルとなるジャケットも、かっちりとしたショルダーラインをもつもの、滑らかなウエストのものなど、どちらかに偏ることはない。楽し気なデザインシルエット、ウェア、アクセサリー…。従来2つに分かれてしまっている要素が混ざりあうことで、私たちの目には“どちらがどちらか”というジェンダーの境界線が引くことが難しくなる。こうして困惑する観客もお構いなしに、カップルの纏うジャケットは、実に楽し気なデザイン。先に登場した動物たちを集めたような“アニマル”柄をはじめ、トラッドなチェック柄もアレンジ。フェミニンなフリル付きや、ワイルドなミリタリー風、そしてアイコニックなトリコロールカラーも楽し気に差し込まれていた。動物ばかりの3Dバッグ毎度注目を集めるバッグには、トム・ブラウンの愛犬であるアイコニックなダックスフンド“ヘクター”だけでなく、ブタ、ゾウ、ダチョウ、ライオン、馬、ねずみ…など、“ノアの箱舟”の動物たちをかき集めたような、豊富なバリエーションがラインナップ。いずれも全て、ジェンダーレスで楽しめるブラックで統一されている。ファンタジーの世界は終わるのか?ラストに再び登場したカップルモデルは、それぞれ手を繋いだピースフルなムード。周りでその姿を見守っていた動物たちも心なしか嬉しそうだ。モデルが会場を後にすると、“例の”キリンが再びランウェイの中央へと踊りたち、ドアノブをがちゃりと締めて深々とお辞儀をする。しかしこの物語は決して終わりではない。この会場でみた“ファンタジーの世界”の続きは、私たちの未来にゆだねられているのだから。
2020年03月05日イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE) 2020年秋冬コレクションが、2020年3月1日(日)にフランス・パリで発表された。新デザイナー近藤悟史によるセカンドシーズンのショーとなる。キャンバスから現れたモデル達会場に設置された真っ白な巨大キャンバスに、ライブアートを行う演出から始まった今季のショー。真っ黒なペンでシンプルな洋服のイラストを絵描きだしたかと思えば、突然その縁取りにそってキャンバスからくり抜きはじめた。その代わりに現れたのは、先程まで描かれていたイラストと瓜二つとなるワードローブ。ひと繋ぎのニットウェアに、線を引っ張るだけで、ポケットがあるように見せたり、2ピース以上を着ているようにみせかけたユニークな洋服は、アイテムごとの境界線をなくすことを試みた、デザイナーの遊び心を感じられる。“一枚の布”へのアプローチこうしたブランドの根幹となる“一枚の布”へアプローチは、あらゆる手法で行われ、またダウン、ポリエステル、ウール…といった様々な生地ごとに、異なる表情を見せてくれるのも面白い。浮遊するドレス例えば通常の2倍以上の丈で仕立てた軽やかなシャツドレスは、本来裾に当たる部分に“ふたつめ”のアームの通し穴を作り、2重に生地を纏っているかのようにみせた。重ねることで生まれた布と布の空間には、モデルが両手を広げるたびに空気を含んでふわりと浮かび、優雅な表情を描き出す。伸縮性に富んだプリーツ四角形の布を三角形状に折ったシンプルなドレスには、イッセイ ミヤケらしい細やかなプリーツを施して。まるで“和紙”のような透け感を持つ繊細な表情を持っているが、ダイナミックなダンスを繰り広げるモデル達のパフォーマンから、同時に伸縮性にも富んだ機能的なウェアであることもうかがえる。ダイナミックなグラフィックもダイナミックなグラフィック模様のアウターは、ショルダーラインもしっかりと幅をとり、よりパワフルな表情へと導く。同柄の2ピース以上の組み合わせが主流で、計算されたアシンメトリーなシルエットが、躍動感も生み出している。ポジティブなメッセージをのせてラストに登場したのは、なんと5アイテム以上のニットウェアを1つに繋げたカラフルでユニークなピース。アームからアームへ、もしくは胴体同士の結合を通して繋がるそれらは、モデル達全員が手をつなぐことで、最終的に1つのピースのように見せる演出が行われた。“未来への希望を描きたかった”と語る近藤悟史の言葉通り、その姿は、過去・未来・現在を繋ぐポジティブなメッセージのよう。普段はランウェイをすまして闊歩するモデル達も、今日ばかりは満面の笑みで会場をあとにした。
2020年03月04日バルマン(BALMAIN)2020年秋冬コレクションが、フランス・パリで発表された。異国の地を舞台にエキゾチックなムードからスタートした今季のメンズコレクション同様、ウィメンズショーもどこか異国の地を連想させるルックから始まりを告げた。サンドカラーに染まるジャケットと合わせられたのは、ゆったりとしたサルエルパンツのような表情仕上げたクロップド丈のパンツ。また旅人のようにして重ねられたケープマントは、美しいアシンメトリーなシルエットを描き、ラグジュアリーなムードをプラスしている。ボリューミーなショルダーまた一連のジャケットスタイルは、ツンと上を向くパワーショルダーで自信にあふれる女性像を演出。逆三角形を際立てるウエストマークには、ベルトの代わりに、大切なものを持ち運べるベルトポーチをあしらい、シティライクな着こなしに引き寄せているのも印象的だ。スカーフ柄を主役に中盤に差し掛かると、シルクスカーフをもとにしたような、あでやかなシルクプリントのシャツやパンツが登場。ジャケットやロングコートに差し込んで、優美なニュアンスをプラスする。ニットウェアもまたこのスカーフ柄をもとにしたニットセーターも散見された。温もり溢れる秋冬の定番ウェアは、ビーズを飾ったり、キラキラと輝く銀糸を織り交ぜたりした、バルマンならではの華美な装飾で、煌びやかな一着へと昇華している。ドレッシーなジャケットとの融合ショーの終盤にさしかかると、ピークドラペルや煌めくボタンの装飾で、ドレッシーな表情へと導いたジャケットスタイルが登場。しかし今季はこれまでのショーの流れを引き継ぎ、サルエルパンツのようにして仕上げたリラクシングなシルエットのボトムスで抜け感を演出。そこにヒップの下までくるほどのロングレザーブーツを差し込むことで、バランスを計算した都会的な着こなしを創り上げていた。
2020年03月04日ウジョー(UJOH)が、2020-21年秋冬コレクションショーをパリで行った。今シーズン、発表の場をパリに移し初めてのショーとなる。
2020年03月04日コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月29日(土)フランス・パリで発表された。超ボリューミーなドレスが登場それぞれの物語を持っているかのように、モデルごとに異なるショーミュージックを起用した今季のランウェイ。「ネオ フューチャー」をテーマに、ブランドの新しい未来像を目指したというピースは、オブジェクトのような超ボリューミーなフォルムで構成されているのが特徴だ。サイドに突き出していたり、岩のようにゴツゴツしていたり、“クッション”のような装飾で更なるボリュームを追加してみたり…。これまで見た事のないドレスの数々に、近未来の世界へと迷い込んでしまったような感覚に陥る。ビッグパーツを組み合わせ実はこういった一連のピースは自然を着想源に制作したという。自然界の中に、火・水・土・木…といったエレメントが存在するように、1つのピースには、あらゆる素材とフォルムを交えながら、1つの形の形成をしているのではないだろうか。ディテールも拡張して拡大されたディテールも今季を語る上で大切な要素のひとつ。巨大な胸元と膝丈まで垂れさがるビッグアームには、たっぷりの布地を使用したギャザーをあしらい、本来とは異なる重厚感溢れる表情を生み出している。漆黒の美しさを讃えて1つのピースに2色以上の色彩で溢れるコレクションの中、ブランドのシンボルコード=ブラックのドレスに至っては、異なる素材の質感を引き立てる単色でスタイリングされた。モデルのヘッドピースには、今季の特徴でもある3Dのベールをオン。ドレス構成のアプローチとしては他と共通項があるものの、半透明の黒の世界を通すことで、どこか妖艶な雰囲気が漂っているのが印象的だった。新作シューズもなおコレクションの中では、新作のフットウェアが続々と登場。ナイキ(NIKE)エアフォース1とダブルネームを刻んだハイカットスニーカーにも視線が注がれた。
2020年03月04日ノワール ケイ ニノミヤ(noir kei ninomiya) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月29日(土)にフランス・パリ市内で発表された。パンク&ロックな要素と融合バラをモチーフにしたようなボリューミーなドレスから始まった今季。例年のようにレースやフリル、フェイクレザーといった立体的な装飾を施しながらも、パンク&ロックテイストのカラーやディテールを組み合わせて、パワフルな表情に仕上げているのが印象的だ。安全ピン付きのシューズ一連のドレスに組み合わせられたのは、複数の安全ピンでデコレーションしたレザーシューズ。そして毎度ショーで目を惹くヘッドピースは、逆立てたヘアスタイルのように、四方八方へと流れている。鋭利なデコレーションまさにそんなヘッドピースと連動するような、エッジを効かせたブラックドレスも登場。鋭利にカッティングされた1つ1つの装飾はクリアな素材と組み合わせることで、危な気な光沢を放つ。またその裾にはフリルを差し込み、逆説的にフェミニンなムードをプラスしているのも面白い。メタル素材で仕立てるドレステーラリングの美しさが際立つブラックのピースには、硬質なメタリックな装飾が加えられながらも、どこかフェミニンなムードを演出する。モデルが身動きをとれないほど複数のワイヤーで囲ったピースは、全体を俯瞰すると、ふんわりと袖が膨らむドレスのよう。また安全ピンのように細長いメタルパーツを繋ぎ合わせたピースは、ひとつひとつは無機質な表情であるが、イブニングドレスのような優雅なシルエットを生み出している。パンキッシュなチェック柄もショーの終盤に差し掛かると、パンキッシュな真っ赤なチェック柄を取り入れたピースが登場。フロントを大きくくり抜いたドレスには、表情の異なるチェック柄スカートをレイヤード。アームとボディそれぞれに2つのチェック柄を取り入れたピースも存在する。“貴族風”のドレスルックもそれに続くように現れたのは、まるで舞踏会に登場するような“貴族風”のドレス郡。しかしこれらのピースは、本来の姿に“反抗”するような前衛的なアプローチのもと作られている。クリノリンに直接編み込みドレスの構造を明らかにしたり、綿のようなものを重ねて優雅なヘッドドレスに見立てたり。漆黒に溶け込む正体は?そしてショーのラストに現れたのは、超ボリューミーなブラックピース。これまでとは繋がりのないようにも思えるその姿は、不気味なほど装飾でモデルを埋め尽くしていて、かろうじて顔や手の平を覗かせている。漆黒に包まれた会場に溶け込むようにして消えたその正体は、今季のコレクションに潜む反骨精神のようにも感じられた。
2020年03月03日ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月29日(金)にフランス・パリ市内で発表された。漆黒に染まったコレクションヨウジヤマモトのコード=黒一色に包まれた今季。ロングレングスを主流とするコレクションは、とにかくその“黒の布地”という舞台で繰り広げられる、様々なアプローチを伺うことができる。黒のレースアップで引き立てる女性美序盤に登場したテーラードのロングジャケットスタイルには、ビスチェのようなレースアップのディテールを1つのキーワードとして捉えた。ジャケットのサイドやフロント、そして差込んだドレスなど、あらゆるところに現れたそのディテールは、もとよりセンシュアルな機能を持つことはもちろん、生地を縛ることで生まれるドレープや、崩れることのない美しいシルエットも相まって、黒から生まれる女性の美しさを静かに讃えている。チェック柄をモチーフに続いて行われたのは、黒を通して“柄”を生み出すという手法。格子柄のストールを差し込んだスタイリングが登場したかと思えば、その“チェック柄”を2Dや3Dといった観点から生地の上で表現。ツイード風のどこかおぼげなチェックや、“くりぬく”というカッティングによって生まれた網目模様のチェック、そしてチェック=図形としてとられたかのような、四角形の集合からなる立体的なモチーフ…。再び2Dに戻ると、今度は真っ白なスプレーで描いたようなストリートライクなチェックへと進化。さらにそのモチーフを拡大させたジャケットは、まるでクロス(十字架)が浮かび上がるような神聖な表情へと導いている。黒が秘めるパワー終盤にかけては、黒の世界へレッドやブルー、パープルといった差し色を投じた。波打つドレスのフリルに色をのせて躍動感をプラスしたり、グラフィカルなモチーフをボディに描いてみたり。黒に浮かび上がるそれらの色は、日常がフェイクと思えるほど、鮮やかな色彩を放つ。再び黒一色の世界へと戻ると、色が無くともそこには無限の美しさが広がっていることに気付かされる。エレガントなドレスルックには、黒のチュールを“纏う”だけで、妖艶なムードをプラスしている。ラストを飾るポップなカラーショーのラストに現れたのは、今季のコレクションとは繋がりを全く持たない鮮やかなピース。ブルーのドレスに真っ赤なカーディガン、そして首元には不思議な装飾を巻き付けている。ヨウジ ヤマモトならではの構築的なシルエットはそのままにもかかわらず、何故か“違和感”を覚えてしまうルックだ。会場を後にした後、“あれが黒だったなら…”と想像してしまった観客は、おそらく一人だけではないはずだ。
2020年03月03日クリスチャン ワイナンツ(christian wijnants) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月28日(金)フランス・パリで発表された。温もり溢れるニットを主役にその上質な素材と色使いで人気を誇るニットウェアを中心に展開された今季。ワントーンを基調としながらも、編み模様の切り替えや、肩から胸元にかけてアシンメトリーに重ねた共布によって、モダンな雰囲気を演出しているのが特徴だ。帯を連想させるデザインも中でも印象的だったのは、日本の伝統衣装・着物の“帯”を連想させるデザイン。ゆったりとドレープを描くエレガントなニットドレスには、ウエストから背後へとその独特なモチーフが流れていく。帯がほどけてしまったかのようなその姿に、私たち日本人は一種のセンシュアリティを感じるかもしれない。ジグザグ模様が“飛び出す”ニットウェアブランドの得意とするグラフィック柄も、ニットのセットアップで提案。キャンバスに見立てたアイボリーのセーター×スカートには、立体的なジグザグ模様があしらわれている。そしてそのラインの延長先上には、フリンジ状のストラップをオン。まるでジグザグ模様が、裾から“飛び出してしまった”かのようなユニークな表情が面白い。ストラップを使用したアプローチもこうしたグラフィックへのアプローチは、布地やニットの上だけでなく、複数のストラップを重ね合わせたドレスからも見て取れた。網目状のドレスに繋がれたそれらのストラップは、モデルが歩く度にユラユラと揺れ、一瞬一瞬に異なるグラフィカルな模様をみることができるのだ。カラーパレットパレットは、ブラック、ホワイト、ペールピンク、淡いブルーといった落ち着いた色彩に、ネオンオレンジ、ミントグリーン、鮮やかなブルーをアクセントに投じて。コレクションの中では、こうしたプレーンカラーのピースみならず、グラフィカル模様のピースも、同柄でスタイリングされていた。
2020年03月03日ロエベ(LOEWE) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月28日(金)フランス・パリで発表された。テーマは「ファッションと遊ぶことを愉しむ」。生地が生み出す不思議なボリュームジョナサン・アンダーソンによるエッジィなアイディアをきかせたデザインは、今季も健在だった。コレクションでは、ボリューミーなシルエットを生み出すアプローチをあらゆる角度から模索。ジャケットやドレス、ブラウスといったオーセンティックなアイテムが、斬新なディテールの採用によって、あらゆる方向に膨らみを持たせているのが印象的だ。自然と浮遊するドレス例えば、裾に向けてバルーンのようなふくらみを持つエレガントなドレス。前から見るとさほど違和感はないのだが、モデルが後ろを振り返ったときにそのシルエットの種明かしが明らかに。バックから布地を絞るようにして吊り上げられたそのスカートは、自ずと裾が持ち上がり、まるで無重力の中で浮遊しているかのよう。モデルが歩くたびに、ふわりふわりと揺れる独特なボリューム感を生みだしている。サイドからのアプローチまた前シーズンに続き、クリノリン風のパーツをスカートの下に組み込むことで、サイドへのボリュームを待たせるピースも散見された。こうしたサイドへと目を向けたアプローチの中でも、ひと際目をひいたのは、煌めく装飾付のベルスリーブのニットと組み合わせたワイドパンツ。そのゆったりとしたレングスよりも先に目が行くのは、サイドへと大胆に拡張させた履き口だ。たっぷりととった布地を従来のウエストの位置でつまみだすことで、羽根のようにパタパタと揺れ動くユニークな表情を作り上げた。クラフトマンシップを感じさせるピースロエベならではの上質なレザーを取り入れたアイテムにも注目したい。中盤に現れた淡い水色ジャンプスーツは、サイドのラインやスポーティーな縦襟にレザーを採用することで、ラグジュアリーなストリートウェアへと昇華。また日本人の陶芸家・桑田卓郎(※)とのコレボレーションピースとなる、フロントを丸っとくり抜いた特徴的なドレスには、スタッズをあしらったレザーのパネルを配置。それはまるで洋服の真髄には、常にクラフトマンシップが存在していることを意図しているかのようだ。※ロエベ ファンデーション クラフト プライズ2018の特別賞受賞者。新作アクセサリーなおランウェイには、レザーを使用したアクセサリーも続々と登場。リボンをアクセントにしたコンパクトなショルダーバッグや、スエードやカーフを使用した新作「ハンモックバッグ」をはじめ、煌くジュエリーを飾ったヒールシューズなどが展開された。
2020年03月03日CELINE(セリーヌ)が、パリで2月28日、パリのアンヴァリッドを会場に、2020年ウィンターコレクションショーを開催した。今シーズン、フランスを代表する彫刻家で現代美術家のセザール・バルダッチーニ(Cesar Baldaccini)とコラボレーション。彼の代表作であるジュエリー「compression Cesar bijou」シリーズをレプリカとして制作したネックレスがお披露目された。このネックレスは、2色展開で、特別ボックスとシリアルナンバリング入りで世界200個限定(予定)で販売を予定。価格、展開時期は未定とのこと。
2020年03月02日トム ブラウン(Thom Browne)が、パリで2020-21年秋冬コレクションを発表した。トム ブラウンは、初のメンズ・ウィメンズ合同でのコーエドショーを実施。33組のカップルが同じワードローブを纏い登場した。
2020年03月02日オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月27日(木)フランス・パリで発表された。“SLIGHTLY OFF”をキーワードに車がアスファルトの地面へとのめりこんでしまったかのような、ユニークな演出が施された今季のショー会場。そんなオブジェクトの周りを巡るようにして登場してきたモデル達は、今季ブランドが掲げたキーワード“SLIGHTLY OFF”=何かが違う、という言葉通り、従来のワードローブに遊び心溢れるアレンジを加えているのが特徴だ。ディテールに一捻り例えば“くり抜く”という手法。ラグジュアリーなゴールドのチェーンを腰元にまいたオールインワンや、ブラトップと合わせたスカートは、片側だけに楕円型のカッティングを施し、モデルの肌を露わにする。またジャケットやロングコートといったアウターには、複数のスリットを配したり、片側だけの裾を伸ばしたアシンメトリーなシルエットを加えることで、こうした不均一な表情を演出。ウエストにはベルトの代わりに、ギャザーをたっぷりよせたガーリーなストラップの装飾をあしらっているのも今季の特徴だ。格子柄をアレンジしたユニークなジャケット本来のクラシカルなコードに、ユニークなアレンジを加えるアプローチも見て取れた。格子柄のセットアップは、途中からパターンの配置を微妙にずらすことで、ジオメトリックな表情を描きだす。足元はラフなフラットサンダルで抜け感をプラスすることで、シティライクなストリートのムードへと引き寄せている。ドレスとの融合もショーの終盤にかけて続々と登場したのは、ドレスとストリートという、相反する要素のドッキング。一方にはクリノリン入りのロマンティックなチュールドレスを、そしてもう一方にはカモ柄のカーゴパンツをあわせてみたり。もしくは艶やかなミニ丈のネイビードレスに、ネオンカラーのロングレギンスを差し込んでみたり…といった具合で、本来出会うこのない組み合わせがランウェイの上で融合され、観客の視線を惹きつけていく。ボリューミーな純白ドレスもショーのラストに登場したのは、女性が憧れる純白のウエディングドレス!…と思いきや、これもブルーのアノラックパーカーを組み合わせたユニークな着こなしだ。また、まじまじと見ていると、ウエスト部分の切り替えが見当たらず、ドレスのスカートをくりぬいたような構造であることにも気付かされる。そしてこの不思議な構造のドレスを纏ったモデルのジジ・ハディッドは、そんなチュールをラフに手繰り寄せながら闊歩するという、“どこかおかしな”ラストで幕を閉じた。
2020年03月02日リック・オウエンス(Rick Owens) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月27日(木)フランス・パリで発表された。アシンメトリーなニットウェアをベースに今季はローズリー・ゴルドベルクによるパフォーマンスアート組織「Performa」を着想源にしたメンズコレクションと連動し、柔らかなニットのボディスーツをベースにしたウィメンズコレクションを展開。メンズ同様に、不均一にボディラインをみせるニットルックは、ショーが進むごとに様々なアレンジを見せてくれる。例えば透明なPVC素材のアウターを重ねたり、あらわとなった肌を隠すように、ニーハイブーツを組み合わせてみたり。またこうしたレイヤードアイテムもどこか不自然で、膝を超えるほどのスリーブや、トレーンを引くような超ロング丈のパンツなど、いくら重ねても私たちの思い浮かべる“完璧”な衣服が完成する気配はない。パワーショルダーをシンボルにツンと上を向くイカリ肩をもつアウターも象徴的な存在。構築的な表情をもつレザージャケットやテーラードジャケットは、対局な存在となる柔らかなニットウェアを包み込み、パワフルな存在を主張する。さらに進化して…ショーが進むにつれて、そのショルダーを極端に拡大させたルックも登場。隆々と盛り上がったアグレッシブなショルダーは、カンサイヤマモト(Kansai Yamamoto)から着想したという、マニッシュなグラフィカルラインを乗せることでより力強い表情へと進化。これまでのスタイルが“控えめ”に感じられてしまうほどだ。リック・オウエンススは、この独特のスタイルを、フランスの建築家ル・コルビュジエによるモデュロール と表現している。予想を裏切るワードローブこうした“サプライズ”を詰め込んだ一連のワードローブの中でも、ひと際目を惹いたのが、ショーの終盤に靄の中から現れたダウンケープの漆黒アウターだろう。後ろから見るとスクエア型のマントのようなフォルムを持つこのアウターは、モデルが腕を広げると、凧のように広がる仕掛け。まるで今にも飛び立ちそうなその様は、既存の固定観念を打ち破るメゾンの飛躍を予感させてくれた。
2020年03月02日レオナール(LEONARD) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月27日(木)フランス・パリで発表された。東洋の美を追求ブランドらしい鮮やかな色彩と、美しい花々で彩られた今季のコレクションは、エレガントなドレススタイルはもちろん、オリエンタルなムードを強く反映させたワードローブが登場。艶やかなシルクスクリーンを贅沢に用いながら、伝統的な東洋の要素をドレッシーに解釈したレディ トゥ ウェアが展開される。日本へのオマージュを捧げてまず目を惹いたのは日本の伝統的衣装=着物へのオマージュを捧げたアウター。打掛のような艶やかな表情を持つロング丈のダウンコートをはじめ、着物そのもののディテールやシルエットをリアルに踏襲したキモノローブも登場。ロングスリーブのダウンジャケットをインサートすることで、中に重ねた着物の袖丈が覗いているかのようなフレッシュな着こなしを提案している。“サムライルック”を現代に再解釈オリエンタルなオレンジ色のグラフィックが目を惹くノーカラーのアウターは、小袖の上に重ねるサムライの“羽織”を連想させるデザイン。かつての日本男児の正装は、細やかなプリーツをあしらった同柄のスカートに、ポインテッド トゥのパンプスを合わせることで、フェミニンなムードへと引き寄せている。チャイナドレスを起源に東洋の要素は、国境を越えて中国を起源に持つものも。チャイナドレス特有の斜めの前合わせや、大胆なスリットを配したオリエンタル柄のドレスは、キルティング仕立ての半袖ジャケットをレイヤードすることで、モダンな印象へとアップデートさせた。花々のグラフィックアイコニックな蘭の花をはじめ、儚げなアサガオ、みずみずしい紫陽花と、あらゆる花々で満ち溢れたグラフィックの着こなしも印象的。異なる花同士をドッキングさせた柄×柄のスタイリングや、エッジィなレオパード柄と組み合わせるフレッシュな着こなしも見て取れた。中でも印象的だったのは、欄や紫陽花の咲くシックな絵柄のボディスーツに、PVCのフード付きプルオーバーを組み合わせたルック。PVCの半透明の水色を通すことで、従来よりもみずみずしさを増した花々が映し出される、ブランドならではのエレガントな表情を生み出していた。
2020年03月02日アン ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月27日(木)フランス・パリで発表された。メタリックな装飾を味方にこれまでもマニッシュな要素をウィメンズウェアに落とし込むアプローチを行ってきたアン ドゥムルメステール。今季はこれまでも行ってきた紳士服のコード=テーラリングを用いながら、“メタリックな装飾”を新たなアクセサリーとしてプラスして、斬新なウィメンズルックを作り上げていく。女性の魅力を逆説的に引き立てる本来ドレスの構築的なシルエットを生み出す“クリノリン”を連想させるそのメタルパーツは、形を変えながらあらゆるルックに登場。パワーショルダーのように両肩にあしらわれたり、冠のようにして頭にかぶったり、まるで女性のシルエットを強調するかのように胸元につけてみたり…。「形どる」という本来隠された機能を、外側から行うアプローチは非常に斬新で、その無機質な表情も相まって、前衛的なウィメンズスタイルを作り上げている。“貴族ルック”を現代に再解釈ベースとなる再構築されたウェアは、貴族たちのまとうドレッシーなピースを意識しているのだろうか。ドレス用のランジェリー=コルセットを連想させるデザインのトップスをはじめ、ドレスのようにトレーンを引くほど拡張されたジレが登場。またアシンメトリーに仕上げたドレスには、超極小のクリノリンをインサートして、わざとらしくその内部構造を露出。ロングジャケット×ロングレングスというマニッシュなスタイルは、リボンの代わりに例のメタルパーツを腰元に配している。カラーパレットブランドお馴染みの漆黒から始まったコレクションだったが、中盤から終盤にかけては、レッド、イエロー、ライムグリーンといった、ドレスカラーを彷彿させる華やかな色彩が登場。それらはメタリック、マット、シアーといった様々な生地で仕立てられ、時にはマニッシュなテーラリングとドッキングさせたドレスも登場した。
2020年03月02日コシェ(KOCHÉ) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月25日(火)、フランス・パリにて発表された。ドレッシーな日常着「着られるクチュール=COUTURE TO WEAR」をコンセプトに、ストリートやカジュアルをミックスしたオリジナリティ溢れるスタイリングを提案するコシェ。今季は、ドレッシーなムードを強めているのが特徴で、たっぷりのギャザーをあしらったゴージャスなデニムスカートや、ドレス生地のような艶めく花模様のテキスタイルで仕上げたセットアップなど、日常のワードローブを“とっておきなもの”へと変えるアプローチが行われている。レースで優雅な表情に中でも印象的だったのは、レースを使用したスタイリング。クチュール的表現を代表するこのモチーフは、ダンガリーカラーでデニムに見立てたロングレギンスや、アクティブな色彩が目を惹くスポーティウェアに登場。これらの服が持つ本来のカラーコードを踏襲することで、日常に馴染むスタイリングを完成させながらも、相反する要素をドッキングさせた唯一無二のワードローブへと昇華している。アシンメトリーなシルエットオリジナリティをもたらす要素には、アシンメトリーなシルエットも深く関わっている。ドレスやスカートの裾はバイアスカットを施したり、フレアを幾重にも重ねたりすることで、優雅な動きを生み出し、よりエレガントな表情に。また片側だけの裾をフリンジ状に伸ばしたトップスは、パッチワーク風のテキスタイルも相まって、アーティスティックなムードが漂っている。日常を優雅に着飾るショーの終盤に現れたのは、観客の視線を惹きつける煌びやかな装飾が施されたワードローブ。しかしこれも良く見ると、ロングTシャツ×デニムジーンズというリアルクローズがベースとなっているのだ。そして手元、首元には、“本物”のドレスを纏っているかのように、パールやゴールドのアクセサリーを大げさにレイヤード。何気ない日常を優雅なものへと変えてくれるワードローブは、忙しない現代人に必要な一着なのかもしれない。
2020年03月01日ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月26日(水)フランス・パリにて発表された。英国のナイトガールを着想源に今季ドリス ヴァン・ノッテンが思い描いたのは、イギリスロンドンの クラブで、それぞれの夜を楽しむパーティーガールたち。セルジュ・ルタンス(SERGE LUTENS)のメイクアップの魔法にかけられ、官能的な美しさを纏った彼女たちの叙情的な夜を表現していく。クラブに溢れる様々なナイトルックを表現始まりの合図と共にランウェイに登場したのは、ヘアスタイルをピンクやブルー、グリーンなどフレッシュに染め上げたパーティーガールたち。英国を象徴するパンキッシュなムードを香らせながらも、ロカビリースタイルや、バイカースタイル、30年代のハリウッドを意識した華やかなドレスルックなど、思い思いのクラブスタイルを楽しんでいるのが印象的だ。ドレスに咲き誇る花々きらびやかな夜の世界へと観客を誘うように、彼女たちの纏うワードローブは、華美な装飾や鮮やかな色彩を取り入れているのも今季の特徴。メゾンを象徴するフラワーモチーフもその一つで、サイケデリックなカラーのハワイアンプリントや、光沢感のあるアヤメモチーフ、オーガンザに浮かび上がるポエティックな花模様などが、ドレスの上へと現れる。テイストの融合もまたこうしてテキスタイルの上へと咲き誇った花々は、各々のパーティーガールたちが持つテイストとミックス。中でも鮮やかな花々を描いたタートルネックには、バイカージャケットに、パイソン柄のエッジィなパンツ、パンキッシュなチェック柄シャツを組み合わせて、あらゆる要素と融合。上質なテキスタイルの表情も相まって、特別な夜へと繰り出すパーティーガルのとっておきなナイトルックを完成させている。眩いほどのきらめきをのせて終盤にかけては、プリント模様を抑えるかわりに、ラグジュアリーな光沢を放つメタリック素材や、スポットライトの下で眩いほどのきらめきを放つ総スパンコールのドレスが登場。そして首元や胸元、ヘッドウェアには、彼女たちの美をより一層引き立てるフラワーモチーフのアクセサリーがあしらわれていた。
2020年03月01日ウジョー(Ujoh) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月26日(水)フランス・パリにて発表された。パリで初開催今季パリで初のショー開催を行ったウジョー。デザイナーが慣れ親しんだその土地で、メイドインジャパンのテーラードを主流にした、女性のためのワードローブが披露された。マニッシュなボーダー柄ジャケットを再解釈今季の主役となるマニッシュなストライプ柄のテーラードジャケットは、解体と再構築を繰り返し新たなピースへと生まれ変わる。本来はフロントにないはずの側面を、正面からぐるりと巻きつけてみたり、スリーブを取り外した後、膝下まで伸びるロング丈へと拡張してみたり。スタイリングに遊び心をまた左右非対称なデザインも印象的で、左サイドのみを極端にカッティングしたジャケットや、取り外し可能なリングによって丈を調整できるジオメトリック柄のジャケットが登場。こうしたジャケットには、ワンピースやアシンメトリーの丈のシャツがインサートされたほか、プリーツ入りのボトムス、もしくはパンツ×スカートのレイヤードなど、新たなジャケットスタイルを提案している異なるピースのドッキングもまた異なるピースをドッキングさせたユニークなジャケットも登場。一方は平面的なキルティング模様、もう一方は毛足の長い装飾をあしらったピースは、その相対的な表情の違いが楽しめるだけでなく、“構造”にも一捻り。本来腕を通すはずのアームがフェイクで、その下にモデルの腕が現れるという、見れば見るほど驚きに詰まった一着となっている。テーラードを引き立てるメタリックカラーカラーは、ネイビーやグレー、ホワイト、ブラックといったベーシックカラーを基調に。ショーの終盤に差し込まれたメタリックカラーは、煌く光沢で観客の視線を惹きつけると共に、テーラードの端正なカッティングやシルエットをより一層引き立て、エレガントな表情へと昇華させていた。
2020年03月01日サンローラン(Saint Laurent) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月25日(火)、フランス・パリにて発表された。ロングランウェイから始まる物語今季も、エッフェル塔を正面に臨むパヴァルソヴィ広場を会場に選んだサンローラン。ショーの為だけに用意された特別な屋内空間には、観客席から首を伸ばさなければみることができないほどの、ロングランウェイが出現した。そしてそんなランウェイの背景に映し出されたのは、スポットライトの中で浮かびあがる「YSL」ロゴ。ブランドのシンボルを堂々と携えたその会場には、始まりの合図と共にモデル達が次々と姿を現した。ジャケット×パンツで香らせる女性らしさ今季はジャケット×パンツをキースタイルに設定。言葉通りだとマニッシュな印象をもたらす着こなしだが、アンソニー ヴァカレロの魔法によって、もとよりフェミニンなアイテム以上に、センシュアルなムードの漂う女性像を描き出していく。例えばエレガントなピークドラペルに、ツンと肩が上を向いた逆三角形のフォルムが印象的のダブルジャケットは、素肌の上から大胆に羽織ることで、力強さを秘めたセクシーな表情に。組み合わせたスリムなロングボトムスは、艶めかしい光沢感のある素材も相まって、ボディコンシャスなデザインに自然と目が惹きつけられてしまう。また口元には真っ赤なリップを、足元にはピンヒールを合わせて、大人の女性の色気を随所から引き立たてている。スカーフで華やぎをプラスさらに今季は、首元にキュッと結んだスカーフもキーモチーフとなった。前述のジャケット×パンツのスタイリングをはじめ、タイ付きのブラウスを主役にしたルックも複数登場。“隠す”という逆説的なアプローチをとりながらも、大ぶりなスカーフによる装飾によって、コレクション全体にフェミニンな華やかさを投じている。ランウェイに現れたカラフルな色彩パレットは、メゾンコードであるブラックのほかに、カラフルな色彩が使用されていることも大きな特徴といえるだろう。コレクションには、かつてムッシュ イヴ・サンローランが生み出したセンセーショナルなカラー“フューシャピンク”をはじめ、鮮やかなパープル、ブルー、レッド、グリーンなどが複数回登場。ビビッドカラー同士のアイテムには、本来主役級の“ブラック”をベルトやブーツのアクセントとして差し込み、バランスのとれたスタイリングを創り上げている。ラストは漆黒のドレスでそんな斬新なカラーアイテムが披露された後、ショーのラストを飾るのはやはり漆黒のドレスだ。胸下でギュッと布を絞った斬新なデザインは、黒一色でありながらも観客たちの目を惹きつけるメゾンならではの一着。ショーの終わりを告げる暗転の合図と共に、暗闇へと変わる会場の奥へと、溶け込むようにして姿を消していった。
2020年02月29日マメ(Mame Kurogouchi)の2020秋冬コレクションが、パリ・ファッション・ウィーク初日の2020年2月24日(月)に発表された。「包む」への再訪先シーズンのテーマ「包む」をより進化させた今季は、対象物を守る“籠(カゴ)”を起点にインスピレーションを広げた。デザイナー黒河内真衣子の頭に浮びあがったものは、日本のアート・ディレクター 岡秀行による手編みのカゴやそれらが作り出す自然な格子柄。また大自然溢れるアイルランドの旅を通して、地球という惑星も“人間を守る籠”であることを悟った黒河内は、そんな温かな自然のエッセンスもコレクションに落とし込んでいく。格子柄がキーモチーフに今季のキーモチーフとなる格子柄は、ブランドを象徴するジャカード織で表現。トップス×ボトムスをモノトーンのスタイリングで纏めながらも、光沢のあるフィルム素材を織り込んだことによって、格子柄の生み出す立体的な表情をより引き立たているのが印象的だ。こだわりのディテール洋服を飾るディテールにも今季のスパイスを加えて。ドレスの上には、アイスランドの自然を彷彿させるフローラルモチーフが刺繍されたほか、洋服のスリーブの裾やラッフルには、手編みの籠を連想させるリネンのコードで、丁寧な刺繍が施されている。またそのオリジナリティ溢れるディテールによって、マニッシュなムードのアイテムも女性らしい一着へと昇華している点も押さえておきたい。ブラックのパンツに組みあわせたハードなレザージャケットは、裾やポケットに、有機的な刺繍を加えることで、力強くも柔らかなムードを描きだしている。レイヤードスタイルランウェイには、レイヤードスタイルによる着こなしも散見された。コード刺繍で仕立てたエレガントなカーディガンは、キラキラと朝露のような光沢を放つフード付きアウターに重ねることで、ドレッシーな表情を演出。ルースに編まれたニットベストは、ニットトップスと組み合わせることで、秋冬らしい温もりをプラスしている。小物アイテムも充実色味を抑えた今季は、ブラック、エクリュ、そして大地との繋がりから着想を得た温かみのあるアースカラーを中心に。小物アイテムには、ウェアと同様のコード刺繍が施されたポーチやブランド初となるバッグパックが披露されたほか、シーズンカラーのブラウンに染まったアイコニックなPVCバッグが登場。さらに足元には、先シーズンに続くトッズとのコラボレーションで誕生した、ハンドステッチの刺繍によるレザーサンダルが合わせられた。
2020年02月28日メゾン マルジェラ(Maison Margiela)が、パリで2020-21年秋冬「デフィレ」Co-edコレクションを発表した。
2020年02月28日アンリアレイジ(ANREALAGE) 2020年秋冬コレクションが2020年2月25日(火)、フランス・パリにて発表された。「ブロック」をテーマに今季のシーズンテーマは「ブロック」。“服”をテーマに、ディテールのデフォルメやアングルの変容など、あらゆるアプローチで洋服を捉えてきたアンリアレイジが、今季はワードローブを“作って、こわす”新たな試みに挑戦。一般的なワードローブのパーツを積み木の形に変換して、組み換え可能なモジュール構造の洋服を提案する。異なるパーツが交じり合う先に例えば、ショーの始まりと共に姿を表したトレンチコートやMA-1ブルゾン、ジャケットの3つのピースを例に取ろう。今季のコレクション全てに共通することだが、これらのアイテムは円柱、半円柱、直方体、三角柱といった幾何学的なパーツで形成されたもの。そしてそれらのパーツの一つ一つは、ラインドホックで結合されているため、MA-1ブルゾンの身頃に、トレンチコートの肩、ブレザーのスリーブ、そして袖先にはMA-1ブルゾンのリブ…といった具合に、他のピースとドッキングさせた自由な着こなしを楽しむことができるのだ。可能性に満ち溢れたディテールまたこれらのパーツはディテールの役割をこえた組み換えができるのもポイント。袖口ひとつをとっても、アームにも襟にも、裾にも、スカートの一部にも変化。さらに積み木のような3Dの奥行きをもつパーツ同士の融合によって、従来のピースとは大きくかけ離れたボリューミーなシルエットを描き出しているのも特徴だ。結合から生まれる統一感素材、柄、パーツと全てが自由なスピリットでミックスされることで、そのユニークな表情はより一層加速。これはトップス×ボトムスに分かれた2つのピースなのか?それともアイテムを組み合わせることで生まれたひと繋ぎのピースなのか?ショーが進むごとに、ピースごとの複雑さは増していき、客席からだけではその“正解”さえも分からなくなってくるほど、1つのスタイリングとして馴染んでいることにも気付かされる。ピュアな発想力を起点に作ってはこわし、こわしては作る。子供の頃に誰もが親しんだ積み木遊びのアイディアが、デザイナーのヒントとなり、近未来的な新たなクリエイションを生み出した。心躍るファッションの創作に必要なのは、一歩先に進んだ発想なのではなく、童心に戻るようなピュアなアイディアからなのかもしれない。
2020年02月28日黒河内真衣子によるマメ(Mame Kurogouchi)が、パリで2020-21年秋冬コレクションを発表した。先シーズンから続く“包む”というテーマを深化させたアイテムを展開。
2020年02月26日ピエール・エルメ・パリ(PIERRE HERMÉ PARIS)の2020年ホワイトデーコレクションが、2020年3月1日(日)から3月14日(土)までピエール・エルメ・パリ 青山、他直営ブティックにて発売される。ハート型や新作含む華やかなマカロンの詰め合わせピエール・エルメ・パリを象徴するマカロンは、ローズ色の「オーロラ」や、アプリコット色の「アラベスク」などカラフルで華やかなフレーバーを、3個から15個の詰め合わせ4種類で用意。ボックスの中には、ホワイトデー限定となるピンクのハート形マカロン「クール アンフィニマン ローズ」や、爽やかなハーブ「ヴァーベナ」と、イチゴやレモンをバランスよく組み合わせた新作「ジャルダン プランタン」などを詰め合わせる。マカロンとリンクするイラスト入り限定ボックスにそれぞれのアソートは、香港を拠点に活躍するフランス人アーティスト、メラキリアが手掛ける限定パッケージで用意。フルーティなイチゴと瑞々しいヴァーベナのモチーフをあしらうなど、中に入るマカロンとリンクする、色鮮やかで優しいタッチのイラストがデザインされている。とろけるマスカルポーネクリームの新作など、3つのハート型ケーキハートを模った限定ケーキは、全部で3種類。新作となる「クール エレナ」は、フルーツコンフィ入りのふんわりリコッタチーズと、まろやかでとろりとしたピスタチオ風味のマスカルポーネクリームがメインのケーキ。食感のアクセントに、サクサクのサブレや、かりかりとしたカラメリゼしたピスタチオをトッピングした。「タルト クール ローズ エ ジャスマン」は、バラとジャスミンの香水から着想。ローズ風味のマスカルポーネクリームと、ジャスミン風味のガナッシュが食べ進めるうちに合わさり、香りを彷彿とさせる華やかな味わいが楽しめる。ギフトにぴったりな焼き菓子の詰め合わせもその他、マドレーヌやフィナンシェなどを詰め合わせた「フール モワルゥ」や、イチゴのジュレが入ったバニラ風味のパウンドケーキ「ケーク ヴァニーユ エ フレーズ」など、手土産などにぴったりなメニューも用意する。【詳細】ピエール・エルメ・パリ 2020年ホワイトデーコレクション発売日:2020年3月1日(日)〜2020年3月14日(土)販売場所:ピエール・エルメ・パリ 青山、他直営ブティック価格例:・マカロン3個詰合わせ 1,620円(税込)、6個詰合わせ 2,808円(税込)、10個詰合わせ 3,996円(税込)、15個詰合わせ 5,940円(税込)・タルト クール ローズ エ ジャスマン 3,456円(税込)・クール エレナ(新作) 3,456円(税込)・クール フレジエ 3,456円(税込)・フール モワルゥ 4種10個詰合わせ 3,240円(税込) / 5種18個詰合わせ 5,400円(税込)・ケーク ヴァニーユ エ フレーズ 2,592円(税込)・ケーク アンフィニマン ヴァニーユ 2,160円(税込)※ケーキは直営ブティック限定。【問い合わせ先】ピエール・エルメ・パリ 青山TEL:03-5485-7766
2020年02月09日メゾン キツネ(MAISON KITSUNÉ)の2020年秋冬コレクションが、パリ・メンズファッションウィークにプレゼンテーション形式で発表された。ジェンダーレスなコレクションクリエイティブディレクターのユニ・アンによる3シーズン目となる今季は、メンズがウィメンズへ、ウィメンズがメンズへ、それぞれが行き来するようなジェンダーレスなコレクション。性差を意識させない自由な発想でクリエイトしている。自由で開放的な70年代のムードインスピレーション源の一つは70年代カルチャーだ。70年代を彷彿とさせる裾の広がったベルボトムが多用され、光沢あるパープル、くすんだレッド、ムラ染めのブラウン、澄んだライトブルーなど、さまざまなカラーのスラックスが提案されている。70年代に生まれたヒッピーカルチャーの影響からか、タイダイ染めのピースも展開。ヒッピーのアイコンであるタイダイTシャツは、ゆったりとしたスラックスへと生まれ変わり、落ち着きのあるカラートーンでモダナイズされている。印象的に差し込まれたバタフライサングラスも、どこか懐かしいムードだ。リズミカルな色柄自由で開放感のある70年代からの影響からか、グラフィカルなデザインを繰り返し提案。ブランドロゴ入りリボンを並べたような模様や、キツネマークが間から顔を出すチェック柄。リズム感のあるユニークなパターンを色あせたベルベットやウールなどに大胆にあしらった。タイトフィットなトップスも、2色のテキスタイルをうねるように組み合わせ、裾をアシンメトリーにカッティングしてグラフィカルに仕上げている。モダナイズされたヴィンテージデザインまた、新しいスタイルとしてヴィンテージを再構築したスタイルを提案。テーラードジャケットの胸元には大きなポケットをあしらったり、ステンカラージャケットのボディを2重にしたり、レザージャケットをポンチョのように開いたプロポーションへと変化させたりしている。
2020年01月25日ベルルッティ(Berluti)の2020-21年秋冬メンズコレクションが、フランス・パリで2020年1月17日(金)に発表された。花々のように美しいカラーパレット会場はオペラ・ガルニエ。会場に足を踏み入れると、階段状になったエントランスには、色鮮やかな生花が飾られていて、フレッシュな花の香りが迎えてくれた。今シーズンはエントランスの花々をそのままカラーパレットに落とし込んだような、カラフルなコレクションである。ブルーやピンク、パープルの鮮烈なカラーがテキスタイルの上にのり優雅に花を咲かせる。ネオンカラーも仲間に引き入れ、自由な発想で組み合わせて色遊びを楽しんでいる。カラフルハイネットニットをポイントにスタイルはハイネックトップスがポイントのようだ。ダブルブレストのスーツもシャツもクルーネックニットも、どれもカラフルなタートルネックを差し込んで、ポップに着こなしている。上に重ねたアウターは、パンチのあるボリュームシルエットが多く、マルチカラーのファーコートやロング丈のダウンジャケット、グレンチェックのフーディコートなどが選ばれている。レザー仕立てのグラデカラースーツベルルッティなられではのレザー使いは必見。まるでウールやコットンのようにレザーを扱い、端正なシルエットのスーツを仕立てている。黒から赤、または青へと移り変わるくグラデーションカラーは美しく、レザー特有の艶めきも、おしゃれ好きな紳士の感性をくすぐっていく。
2020年01月25日アンブッシュ(AMBUSH)の2020-21年秋冬コレクションが、フランス・パリで発表された。テーマは「カントリーサイド」。カントリーサイドの自然やナチュラルな要素は、アンブッシュ人気のアクセサリーで表現されている。今季は、グリーンやブルーなど色とりどりの天然石を、職人の手により削り出したストーンチェーンを取り入れたチェーンネックレスやブレスレット、他にも天然石をあしらったアンブッシュロゴ入りピアスなどを展開。また、カントリーサイドで育ったキノコやストロベリーもモチーフに落とし込み、メタルのネックレスなどを提案した。日本の職人もアイディアソースに装いにもカントリーサイドのテーマは共通している。職人たちが身につけているユニフォームをアイデアソースとして取り込み、ワイドシルエットのパンツをデザイン。ウエストから足首にかけてぷっくりと膨らんだフォルムは、職人たちの作業着をも想起させる。和のエッセンスは、他にも散見。カーキ&オレンジのMA-1風なカラーリングのジャケットも、重ね襟になっていて、まるで胴着のようなスタイルだ。足元には厚底のシューズをコーディネート。ホワイトとベージュのスクエア型テキスタイルを交互に組み合わせた開襟シャツも和柄のような落ち着きを放ち、センタープレスパンツ、下駄のようなサンダルを合わせ、和を思わせるコーディネートに。ヴィンテージ感漂うディテールジャパニーズテイストと並んでフォーカスされたのは、ヴィンテージアイテムでみられるディテール。裾口からのびた糸やほつれが見られる裾などは、過去の洋服からヒントを得たディテールで、ストライプ模様をパッチワークしたコートも、ヴィンテージのような表情を持っている。コンバースコラボシューズコラボレーションはコンバース(CONVERSE)とともに。目の覚めるような青色のペンキやインクに浸したような全面ブルーのハイカットスニーカーや、柔らかな装飾をあしらったスニーカーが登場している。
2020年01月23日ヴェトモン(VETEMENTS)が1月17日、パリメンズファッションウィークにて、2020-21年秋冬コレクションを発表した。デザイナーのデムナ・ヴァザリア (Demna Gvasalia)が退任してから初のショーとなる。
2020年01月22日サカイ(sacai)の2020年ウィメンズプレフォールコレクションが、メンズコレクションとともに2020年1月18日(土)フランス・パリで発表された。パンツスーツに始まるコレクション先陣を切ったのは、ダブルブレストとベストのコンビ。パンツスーツに始まるコレクションと今季を称したデザイナー阿部千登勢の言葉からもわかるように印象的なピースだ。女性モデルの華奢な身体になじむ仕立ててありながらも、深みのあるカーキのボディやブラックのラペルが力強く主張し、頭にのせたSロゴのベースボールキャップが、マスキュリンな印象を強める。ジャケット下でひらりと舞うプリーツが違和感を与えるほど。続くのもテーラードやミリタリーウェアをハイブリッドに組み合わせたデザインで、厚底のロングブーツ、ゴツめなネックレスと相まって、パワフルな印象を受ける。サカイ流のハイブリッドなクリエーションで仕上げたドレスはアンバランスで、ミリタリーとレオパード柄の力強い世界に軽やかなプリーツを溶け込ませたり、デニムから突然プリーツスカートをのぞかせたりしている。メンズコレクションで見られた2つのアウターを一つにまとめるアプローチはウィメンズでも展開。ライダースとダウンコート、デニムジャケットとミリタリコートなどを重ね着しているかのようにナチュラルにドッキングしている。ナイキ他コラボピース続出ナイキ(NIKE)とのコラボレーションスニーカーはウィメンズも用意。また、再コラボレーションとなるタトゥーアーティストのドクター・ウーとのタッグによりバンダナ柄のドレスを展開。ライトブルーの爽やかなテキスタイルに小さな三日月のモチーフをちりばめたロマンティックなデザインは、プリーツの軽やかさが加わることで、より美しく映る。新作バッグをチェック新作のバッグは、ナイロンベルトつきのパフィーなトートや、異なる大きさ、カラーのポーチが一つになったハイブリッドなミニバッグ、ボックス型のクロスボディバッグなどが提案されている。
2020年01月21日メゾン ミハラヤスヒロ(Maison MIHARA YASUHIRO)の2020-21年秋冬コレクションが、2020年1月17日(金)フランス・パリで発表された。ショーの始まりは、ペインターたちの登場から。スクエア型の会場中央には、等間隔でキャンバスが並んでおり、一人ひとりと美術学生たちが着席する。モデルたちがキャットウォークを始めると、美術学生たちは筆を取り、キャンバスに絵を描き始めた。洋服を描くもの、観客とモデルを一緒に写生するもの、洋服の一部分をデフォルメして色付けするもの。ペインターたちの作品は、どれ一つとして同じものがなく、オリジナリティに長けている。2つのピースが溶け合い1つのウェアへコレクションピースもアート作品と連動するように、一つとして同じものがなく個性的だ。2つの洋服を前後で溶け合うようにドッキングさせて、一つの洋服を完成させるというアプローチが繰り返しされる。前からみるとカジュアルなチェック柄シャツなのに、後ろからみるとミリタリージャケットだったり、カーゴパンツにみえていたものが、バックスタイルへ回るとデニムパンツへと様変わりしてりする。左右不均衡な再構築ウェア再構築のアイデアも豊富に盛り込んだ。左足はベロアパンツなのに、一方反対はデニムパンツという左右で別々のアイテムになっているパンツやオーバーオールをはじめ、ハットの上にキャップをのせたようなユニークなアクセサリーも登場している。アイテム一つひとつは、ヴィンテージショップにありそうな褪せた感じが好みのようだ。ブラックのブルゾンは全体的に穴があいていて、内側からオレンジのインナーがみえている。ベロアパンツも長く履きつぶしたかのように、ヒップラインから太ももにかけては穴が。レザージャケットは、時間をかけて肌になじませたようなソフトな風合いがある。ブランドが得意とするシューズ。今季は、リメイク風のスニーカーが多く登場した。ラバーソールの上からさらにガム加工を加えたような“ぼてっと”重量感のあるソールが印象的だ。また、クロコ調のレザーシューズに、機能的ソールを組み合わせて、スニーカーのように軽やかさをもたせたものもラインナップしている。
2020年01月21日