iOS 9のコンテンツブロック機能を用いた広告ブロックツールが議論を呼んでいる。米App Storeで36時間も有料アプリのトップを独走していた広告ブロックアプリ「Peace」を、開発者のMarco Arment氏が「Just doesn’t feel good」と取り下げてしまった。「広告ブロッカーには見逃してはならないアスタリスクが付く:たくさんの人に大きな利益をもたらすが、人を傷つけもする。しかも、傷つけてはいけない人まで傷つける」と述べている。Arment氏がPeaceを取り下げたのは、同氏が開発者(Tumblr、Instapaper、Overcastなど)であると同時に、「Marco.org」という人気ブログを持つブロガーであるためだ。なぜ広告ブロッカー/トラッキング・ブロッカーが求められているかというと、利益を追求するばかりでユーザーをないがしろにしたアドネットワークや媒体(Publisher)が増える一方だからだ。アドネットワークに大きなスペースを与えているWebサイトは、頻繁に広告サーバにアクセスし、ページにたくさんの広告を載せ、ユーザーのブラウジングをトラッキングする。そんなサイトでWebの世界がどんどん荒れて、ユーザーのWeb体験が損なわれている。開発者として、Arment氏は広告ブロッカーがモバイルユーザーにとって有用で必要なツールだと信じている。しかし、広告やトラッキングをすべてブロックしてしまったら、広告ベースでコンテンツを無料提供できたWebのビジネスモデルが崩れてしまう。Webでコンテンツを無料提供してきた媒体、それに関わるデザイナーやライターなど多くの人が窮することになるだろう。ブロガー仲間からの批判に直面したArment氏は、ブロガーとしてPeaceの提供中止を決断した。その板挟みの心理が「Just doesn’t feel good」というコメントに表れている。○広告ではなく、The Deckをブロックしたのが問題「広告をブロックして快適なWebを取り戻すべき」という声に対して、媒体や広告主は「広告をブロックしたら、無料で成長してきたWebが細る」と反論する。広告は悪か、それとも必要悪か。相いれない対立に思える広告ブロッカー問題だが、Peaceの販売中止騒動はこの問題の核心を突いている。というのも、この騒動がJohn Gruber氏のPeaceに関する以下のツイートから始まったからだ。「Safariのコンテンツブロッカーがデフォルトで"The Deck"をブロックするとしたら、それは誤りだと思う。反論できるならやってみろ」Gruber氏は、自身も人気ブロガーである。その立場からPeaceが広告をブロックしていることを批判しているのではなく、Peaceが「The Deck」をブロックしていることを批判している。何が違うのかというと、The Deckはユーザーと広告主の双方の利益を重んじている「良いアドネットワーク」なのだ。あらゆる広告を配信するのではなく、広告を扱う分野を限定し、さらにThe Deckが実際に使用して認めた製品やサービスの広告のみを採用する。媒体も広告ターゲットの分野で効果が見込めるものに絞り込み、さらに広告が増えすぎないように広告スペースを制限している。The Deckの広告はコンテンツの邪魔をせず、読者が興味を持つ広告が表示され、デザインのバランスも優れている。動作は軽快で、ユーザーは快適にWebサイトを楽しめる。広告主や媒体にとってThe Deckはとても面倒なアドネットワークなのだが、結果的に広告主や媒体もユーザーとの太い結びつきという利益を得られる。広告まみれではなく、読者が快適に無料コンテンツを楽しめるように努める媒体もあり、そうした媒体が採用してるThe DeckをPeaceはブロックした。Gruber氏の痛烈な批判のポイントは、そこなのだ。だから、読者を大切にしてきたブロガーの1人(Marco.orgもThe Deckを使用している)として、Arment氏はPeaceを取り下げた。Peaceは広告ブロックにGhosteryのデータベースを用いていており、GhosteryがThe Deckを広告に分類していることに気づいていたArment氏はデフォルトでThe Deckがブロックされないように手を加えることも考えたという。しかし、最終的には公正を期して、そのままの状態で提供した。ユーザーはホワイトリスト機能を使って、例外をカスタマイズできるが、Peaceのホワイトリストはサイト単位でしか指定できず、アドネットワーク全体を例外にすることはできない。ちなみにGhosteryは、広告ブロックやトラッキングブロックをユーザーが柔軟にコントロールできるようにするサービスである。Ghosteryもまた、エンドユーザーの利益につながるサービス/ツールであるだけに、Peaceの販売中止騒動はなんとも皮肉な結果になってしまった。ユーザーのWeb体験を損なう広告やトラッキングのみをブロックし、ユーザーの体験を損なわずに情報やコンテンツへの自由なアクセスをサポートする広告はユーザーに届けられるのが望ましい。しかし、ただツールに任せるだけでは、実現までに時間がかかりそうだ。本を正せば「公正を期す」という理由で、Arment氏がThe Deckをブロックの例外にしなかったのが騒動の始まりである。だが、同氏がThe Deckだけ例外にしていたら「自分のブログが採用しているアドネットワークだけ優遇」と批判されていただろう。Arment氏がPeaceでThe Deckを例外にし、ほかにもどのようなアドネットワークをデフォルトのホワイトリストに追加するべきか……という風に議論が広がるのが望ましいと思うのだが、「Just doesn’t feel good」と疲れ果てて開発者がPeaceの開発から手を引いてしまうのが現状である。Webの長所を残しながら、快適なWeb体験を実現するのは容易なことではない。開発者やツールだけに任せるのではなく、まずは私たちネットユーザーが、ユーザーをないがしろにするアドネットワークや媒体に改善を求め、逆にユーザーのためのコンテンツ提供や環境作りに努めるアドネットワークや媒体をサポートする意識を持つようになるべきなのだ。
2015年09月24日KDDI研究所とクリエイターズマッチは9月14日、バナー広告から利用者が受ける印象を事前に推測するコンテンツ解析技術を開発した。同技術により、バナー広告の品質向上と広告制作作業の効率化を図ることができるとともに、利用者にとって魅力的で信頼感のあるバナー広告の配信が可能になる。今回、利用者から収集した膨大な量の広告に対する感想から独自の印象指標を抽出し、深層学習を利用することで、広告に特化した30種類の印象項目(「お得感がある」「信頼感がある」など)を高精度に推測することが実現された。化粧品広告を用いた一般被験者243名による実証実験では、利用者が受ける印象を約71.7%という高い精度で推測することに成功したという。今後は同技術を用いて、さまざまな業種のバナー広告から顧客が受ける印象を推測する汎用的なエンジンの開発を進めていき、開発した汎用エンジンは、クリエイターズマッチが提供する広告評価プラットフォームAdFlowや、KDDIの関連会社であるmedibaなどでの活用を予定している。
2015年09月14日インスタグラムは9月9日、広告メニューの世界展開を発表した。日本ではすでに広告の一部運用が始まっている。インスタグラムは、2015年5月より国内で広告を導入。当初は一部の大手企業などを中心として展開してきたが、今後は中小企業などの企業規模を問わず広告出稿を受け付ける。国内だけでなく、同日より30以上の国での提供を開始し、9月30日までには全世界での展開するとしている。今回のキャンペーンでは、親会社のFacebookが培ったノウハウを活かし、ファッション・スポーツ・車・食などの趣味嗜好によって、利用者にリーチできるようになる。また、インスタグラムから直接興味のあることについてより詳しく知ったり、商品を購入したりできる新しい広告形式で、さまざまなビジネス目的を達成できるようになった。今夏より実施した実証テストでは、一定の成果を得られ、特にEコマースや旅行、エンターテインメント、小売りなどの業界からの需要は顕著になったという。例えば「ギルト・グループ」では、新規の顧客獲得のためにインスタグラムの広告キャンペーンを実施し、アプリのインストール率を85%上昇させることに成功した。また、デザイナーズ家具を販売するオンラインショップ「Made.com」は、通常のベンチマークを10%超すオーダー金額を記録した。ゲーム開発会社の「Kabam」は、ゲームのプレイタイムがより長く、より多く課金する新規ユーザーの獲得に成功した。アウトドアブランドの「ザ・ノース・フェイス(The North Face)」は、スピーカーシリーズの認知向上に大きく貢献した。国内のキャンペーン実施に合わせ、日本で未導入となっていた広告形式を含め、さまざまな機能を追加する。「ダイレクトレスポンス型広告」は、商品やサービスのことをより詳しく知ったり、Webサイトからの登録や商品の購入、アプリのダウンロードなど直接的な行動を促せるようになる。「カルーセル広告」は、複数の写真広告をスライドショー式で展開し、スワイプしていくと2枚目以降の写真にリンクボタンが付く。これにより、ブランドのサイトへと誘導でき、ブランドの多角的な魅力やストーリーを伝えることができるようになるとしている。
2015年09月11日Facebookは9月7日、広告の効果測定プログラムのコンバージョンリフト機能を強化したと発表した。Facebookでは、広告主が広告効果を検証できるように今年1月、Facebook広告向けのコンバージョンリフトをリリースした。初期バージョンでは、Facebook広告の有効性を測ることを最大の目的とし、ターゲット層を実験群(テストグループ) と対照群(コントロールグループ)に無作為に分けたうえで、実験群にのみ広告を見せ、広告を見せたことによる影響を検証するという仕組みを採用した。今回の機能強化により、複数のFacebook広告の効果を比較できるようになった。同じ目的で実施した複数の広告キャンペーンを比較でき、Facebook広告の有効性だけでなく、どの広告手法が最も効果的だったかも正確に評価できるようになった。また、最も効率良く目的を達成できる広告ユニットの特定、ブランド広告とダイレクトレスポンス広告を組み合わせた場合と、それぞれを単独で展開した場合との効果比較、モバイル広告の価値判断、ライフスタイル提案型クリエイティブと商品説明型クリエイティブの効果比較などの機能も実装した。動画広告の利用によって追加コストは発生するものの、全体で見るとCPAが削減できていることも判明したとしている。
2015年09月08日台湾のユビタスは9月3日、ユーザーがWeb広告内でアプリやゲームをプレイできる体験型広告(プレイアブルアド)技術「C2P(Click to Play)」を日本国内で提供すると発表した。その第一弾として、D2C Rとの協業によるソリューションを同日より提供開始する。同技術は、企業が提供するアプリやゲームをクラウドサーバ上で仮想化し、双方向型の動画ストリーミングを通じて、ユーザーが持つiOS端末やAndroid端末、パソコンなどのブラウザ上に体験型広告として配信。ユーザーは、同Web広告をクリックするだけでアプリやゲームを即座に体験できる。また、一定時間の試遊後には、企業が指定するアプリストアや登録サイトに移動し、実際にインストールや購入することが可能だ。
2015年09月04日ビデオリサーチとビデオリサーチインタラクティブは9月3日、一般社団法人日本広告業協会と協力し2014年度より実施する「オンライン広告の効果測定調査」の一部を公開した。同調査は、オンライン広告の統一的な基準値作成と共通指標の整備を目的に行われているものだ。同社によると、広告主がオンライン広告を出稿する目的に関わらず、まずはユーザーに対して気付きを与えることが、商品認知や興味関心、購買行動等の起点となるが、こうした広告認知効果について把握できる客観的な基準値は整備されていないのが現状であったという。今回の取り組みにより、オンライン広告の認知曲線(基準となる広告投下量と広告認知率の関係式)と、広告認知後の心理変容効果や態度変容効果の平均値の取得を実現。今後、オンライン広告プランニングの際に、出稿によってどれくらいのユーザーに広告が認知され、心理変容や態度変容をもたらすことができるのかといった広告効果の標準的な目安を、事前に把握することができる。公開された一部の調査報告なお、今回公開された「オンライン広告の効果測定調査」の詳細は、こちらを参考にされたい。
2015年09月04日フォレスト出版はこのほど、書籍『空き家を買って、不動産投資で儲ける!』を発売した。著者は収益不動産経営コンサルタント・全国古家再生協議会顧問の三木章裕氏。価格は1,500円(税抜)。○少額で誰でも簡単に始められる不動産投資法を紹介今、空き家が社会問題になっている。行政では、廃屋化する空き家が危険建築物として倒壊する恐れや、犯罪の温床になるということで対策を進めているが、実際に深刻な問題に直面しているのは、空き家を所有している家主だ。再建築不可物件など様々な理由から空き家が増え続けているのが現状だが、実はこうした物件が今、不動産投資物件として生まれ変わっており、家主の中には「空き家不動産投資」で成功している人も出てきているという。同書は、少額で誰でも簡単に始められる、新しい不動産投資法を紹介。投資の方法から資産づくりの指南、不動産投資をするための心得まで、初めて投資をする人にも分かりやすく説明している。著者はもともと、大阪で不動産業を営んでいたが、バブル崩壊で借金返済に追われ、物件を購入していた立場から、物件を紹介する事業を開始。巨額の借金返済という厳しい経験を通じて、クライアントに寄り添った失敗しない資産づくりを指導しているという。著者の三木章裕氏は1962年大阪生まれ。甲南大学経営学部卒、大阪学院大学大学院商学研究科卒。現在、収益不動産経営コンサルタント・全国古家再生推進協議会顧問としてクライアントの資産づくりをサポートしている。
2015年09月03日2014年は、日本のインターネット広告費が初めて1兆円を超えた年となった。日本の総広告費と媒体別・業種別広告費を推定した「2014年 日本の広告費 (2015年2月電通発表)」によると、総広告費は6兆1522億円と前年比102.9%となり、3年連続で前年実績を上回る結果に。この数字を押し上げたのが、媒体別で最も高い成長率を示したインターネット広告だ。スマートフォンや動画、新たなアドテクノロジーを駆使した広告が伸び、前年比112.1%の1兆519億円を記録している。同じ年、モバイルを利用した広告コミュニケーション・マーケティング活動の普及を願い創設され、2002年から12回に渡って開催されてきた「モバイル広告大賞」が、「コードアワード」として生まれ変わった。広告コミュニケーション・マーケティングの領域では、モバイルに限らず、あらゆるデジタルツールや技術を活用した施策の立案が標準化してきている。それらの取り組みを包括した賞に刷新されたといえるだろう。同広告大賞を主催するD2C 代表取締役社長 宝珠山卓志氏に、モバイル広告大賞の創設からコードアワードへと刷新した狙い、広告賞から見えてくるトレンドを中心に話を伺った。○「日本はモバイルマーケティング先進国」として認知された宝珠山氏 : 今でこそモバイル広告という用語は普通に使われていますが、2000年当時の日本は「モバイル広告って何?」みたいな世界だったんです。ちなみに、世界を見渡しても、モバイル広告賞は存在していませんでした。そんな時代において、弊社は大きく2つの目的があり、モバイル広告大賞を創設しました。1つ目は、モバイル広告という産業の地位向上です。広告主も上長を一生懸命説得して、新しい形の広告を出稿しようと決めてくれたわけですし、広告代理店やプロダクションも、これまでにない新しい取り組みに挑戦してくれたわけですから、関わった人たちの名前が残るものを作りたかった。これが最初のきっかけですね。2つ目は、メディアに取り上げてもらいやすくすることです。「新しい広告(枠)ができました」とアピールしても、広告商品の売り込みにしか見えないので、ニュースになりにくいんですよね。一方で、広告大賞なら注目を集め、記事化されやすいのではないかと思いました。――― 前例のない広告大賞ということで、初回はご苦労されたのではないでしょうか。第1回は応募作品を集めるのが大変でしたね。営業マン全員で、関わりのある広告代理店に対し「応募していただけませんか」と地道にお願いしてまわりました。結果、無事に開催できた上にかなり好評だったんです。受賞作品のクライアントは自分たちのやってきたことが社内に認められ、広告代理店担当者は社内に対して良いPRになったみたいで。その後、モバイル広告大賞そのものも「世界のモバイルマーケティングにおける先端事例集」として、海外でも知名度を上げていきました。それに伴い、モバイル広告大賞を主催する日本はモバイルマーケティングの先進国で、その流れを中心的に率いているのがD2Cだとグローバルに伝わっていく、うれしい効果もありましたね。――― 受賞作品の傾向は、回を重ねる度にどう変遷していったのでしょう。モバイル広告大賞は2002年~2013年まで開催しました。この12年は新たなテクノロジーが次々と生まれる時代だったこともあり、それらを用いた作品が目立ちましたね。とくに通信速度が上がり始めてからは、できることが格段に広がりましたから。たとえば、バナー広告はモノクロからカラーになり、モバイル広告は単なる広告ではなくマーケティングツールとしても活用されるようになりました。作品の質も内容も大きく変わっていきましたね。とくに当時画期的だったのは、顧客接点の中心をモバイルに据えて、周辺に4マスメディアを置いて施策を行う会社が現れたこと。モバイルが普及してから、キャンペーンが劇的に進化していったんです。2003年には、モバイルのみのキャンペーンでもオープン懸賞になることが認められ、モバイルを絡めるキャンペーンが急増しました。商品購入時に付いている8桁のデジタルコードを入力して、ハズれると待ち受け画像や着メロをもらえる、といった企画が流行っていた頃ですね。○マルチデバイス時代のデジタルマーケティングを象徴する賞に2014年に「コードアワード」として刷新してからは、アイデア勝負の受賞作品が増えたと感じています。制作には一般のWeb制作会社ではなく、クリエイティブブティックが携わっているケースが多く、作品のクリエイティビティが年々高まっている印象です。モバイルの新技術は踊り場に来ていて、新しいものはなかなか出てきません。そんな制約のあるなかで、どうすれば面白い展開ができるか、別の視点から考える必要があります。昔は新技術を使えば勝てたのでしょうが、今はアイデアで勝負する時代になったのだといえるでしょう。――― 刷新するに至った背景についても教えていただけますか?世界的には今も、モバイルアドをはじめ「モバイル〇〇」と表現するのが一般的ですが、日本はモバイルという単語が先行した後に、スマホという別の単語が浸透しました。そのため、「モバイル=ガラケー」「スマホ=スマートフォン」といった、グローバルのそれとは異なる認知が広がったんですよね(笑)。クライアント側の意識もモバイルを用いた施策をするのが普通になりましたし、スマホやタブレット、PCなど、あらゆるデバイスを含めて、デジタルのキャンペーンやマーケティングが成り立っているわけです。ですので、モバイルという言葉でくくるのも今っぽくないですし、モバイル広告というと若干古くさい響きもありますよね。そこで、デジタル体験の創造性(Creativity Of Digital Experiences : CODE)の頭文字で、デジタルの世界を形成するソースコードにちなんで、賞の名称を「コードアワード」としました。――― 賞の構成ではどのようなことを意識しましたか?設定を細かく分けたことでしょうか。広告・マーケティング領域において、デジタルを用いたものが本流になっていますが、その中でも取り組みが実験的だったり、クリエイティブに特化していたり、効果が顕著に出ていたりと、エッジの立っている部分は作品によってさまざまですよね。デジタル施策を行うにしても、その中の何で勝負するかはクライアントによって違います。審査員の先生方もデジタルの状況を理解しているので、すべての作品を同じ土俵で論じるべきではない、と感じているようです。時代やトレンド、状況によって変わっていくかもしれませんが、今は「グランプリ」「キャンペーン」「イノベーション」「クラフト」「イフェクティブ」(グランプリ以外はベスト1作品、グッド2作品)と「パブリックベスト」の計6種類の賞を用意しています。コードアワード2015 受賞作品一部――― プロが選定・評価する賞が多いなか、一般人が参加できる賞(パブリックベスト)は珍しいですよね。他の賞はデジタルの技術を理解した有識者が選びますが、パブリックベストは視点が違います。ある意味で一般の方の視点による、万人受けする賞といえるでしょう。パブリックベストを作った理由は、デジタルマーケティングが企業と消費者との距離を近づけたと感じたからです。SNSが一般化した2008年以降、SNSを通じて情報が爆発的に拡散するようになりましたよね。○企業と消費者の「ほぼ対等な関係性」を施策に落とし込み、共感させる――― 確かに。面白いキャンペーンだと、消費者に支持されシェアされて、あっという間に伝播しますよね。消費者に嫌われた瞬間にキャンペーンは失敗に終わります。一方で、消費者は神様ではありませんから、媚びるのもダメ。企業と消費者の関係はほぼ対等で、消費者のほうが若干強いかな、くらいのパワーバランスを意識して、消費者と接することが大事です。さじ加減はすごく難しいですよね。また、SNSが登場したことで、消費者と企業の関係は変わってきました。マーケティングの概念自体が消費者への「売り込み」から、「共感」「エンゲージメント」へと移り変わっています。納得して満足してもらった後で、商品を買ってもらうといった形です。さらに、通信のリアルタイム化と高速化で、チャットなどもほぼ時差なくできるようになりましたよね。結果、マーケティングのあり方も、変わらざるを得なかったのかもしれません。コミュニケーションツールを用いたデジタルマーケティング施策を提案する広告代理店も増えたと思います。企業がコミュニケーションツールを使った取り組みを行うなら、専任者を何人もつけて本腰を入れなくてはダメで、中途半端に片手間でやるのが一番危険です。会社を代表して発信している、という意識を軽く考えてはいけません。――― 最後に。これからの広告代理店に求められる姿勢、意識すべき課題とは何でしょうか。メディアを売るのではなく、企業と消費者をつなぐという、根本的な発想に立ち返ってみることが大切です。企業と消費者がリアルタイムでコミュニケーションを図るのが当たり前になった時代に、自分たちがどうビジネスを作っていくか、時代の変化を読んでどう対策を変えていくのかが課題ですよね。そこにデジタルツールは必要不可欠。リアルとの橋渡しにデジタルを用いて、企業と消費者とのコミュニケーションや関係性を正しく理解できる人が、消費者に共感されるものを創っていけるのだと思います。
2015年09月03日トライステージは8月25日、機能性表示食品制度において、通販番組制作で培った広告表現とテレビ考査のノウハウを基に効果的な広告表現をアドバイスするサービス「KINO-ad(キノアド)」の提供を開始した。同社によると、機能性表示食品では、安全性と機能性の科学的根拠を行政に届け出ることにより、訴求表現の中で機能性を謳うことが可能となる。一方で、同制度に伴う行政の広告表示規制基準は明確に設けられておらず、また媒体の広告考査基準も現状では具体的に示されていないため、機能性表示食品の広告については、事例が蓄積されるまでの間は食品関連事業者・媒体共に、手探りの状態が続くという。これを受け同社は、広告考査の実績を基に機能性表示食品の広告コピー開発についての相談を受け付けるサービス「KINO-ad」の提供に至った。同社は創業以来、テレビ通販領域にてインフォマーシャルを中心とした広告制作を行ってきたほか、健康食品を主力商材とし、機能性表示食品を含めた健康食品についての広告考査対応実績を多数持つ。これを活かし、新サービスにおいては、機能性表示食品・その他健康食品の広告考査事例の紹介や、広告考査まで見据えた届出文言・広告コピーのアドバイスを行っていく。
2015年08月27日フェンディ(FENDI)が、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)が撮影を手掛けた2015-16秋冬広告キャンペーンビジュアルを公開した。芸術家のゾフィー・トイバー=アルプ(Sophie Taeuber-Arp)にオマージュを捧げた今回のキャンペーンビジュアルは、その名も「アーティー・パペッツ」。1918年にゾフィー・トイバー=アルプが制作した彫刻やあやつり人形を実物大の3Dで再現したもので、2月に開催されたファッションショーの会場デザインにもインスピレーションを与えている。作品の基となったのは、イ18世紀のタリア人劇作家のカルロ・ゴッツィ(Carlo Gozzi)原作の悲喜劇『鹿の王』。カール・ラガーフェルドは、今回のビジュアルについて「フェンディの2015-16秋冬広告キャンペーンの制作にあたって、誰よりも僕をインスパイアしてくれたのは、あの非凡な才能のスイス人アーティスト、ゾフィー・トイバー=アルプだったんだ。彼女の作品は、すごくモダンでしかもグラフィック。それはまるで、2015-16秋冬コレクションのフェンディと同じだね。最上のラグジュアリーである一方、とてもコンテンポラリーなんだ」とコメントを寄せている。モデルには、ケンダル・ジェンナー(Kendall Jenner)、リリー・ドナルドソン(Lily Donaldson)を起用。3Dで再現したゾフィー・トイバー=アルプの作品と絡み合いながら、誘惑するかのような力強いポーズが収められている。
2015年08月26日オムニバスは8月19日、広告主及び広告代理店向けに動画広告専門のプライベート・マーケットプレイス(PMP)サービスを開始した。同サービスは、優良なWebメディアを絞り込んだ上で動画広告を配信したいという広告主のニーズに応えるため、動画広告SSPにおいて動画広告枠のマネジメント支援をサポートしてきたTV局や新聞社など、約50のWebメディアの動画広告をネットワーク化することにより実現したもの。同サービスにより、広告主と広告代理店は、どの媒体・広告枠に対して動画広告を配信するかを選択でき、ブランドとして不適切なWebメディアへの広告配信を防止するほか、媒体・広告枠単位での効果測定が可能になるという。ネットワーク媒体の例としては、テレビ東京のテレ東プレイや新聞社の朝日新聞デジタル、MSN、東洋経済オンラインなどとなる。同社は今後、同サービスとDSPの接続を順次行っていき、ネットワーク媒体数の拡大を図っていく考えだ。
2015年08月20日Facebookは8月18日、今春リリースした「ダイナミックプロダクト広告」を、数週間かけて強化すると発表した。新たにクロスセルやアップセル、コンバージョン最適化、オーディエンスネットワーク対応といった機能を追加していく。ダイナミックプロダクト広告は、Webサイトやモバイルアプリで買い物をする人々に対し、有益で関連性の高い商品を宣伝するのに役立つ。小売業やEコマース向けの広告製品で、利用者が関心を持ってくれそうな商品をターゲットに応じて自動的に宣伝する。サービスリリース以来、あらゆる機器においてコンバージョンの増加や顧客獲得単価(CPA)の低減に貢献しているという。現在のダイナミックプロダクト広告では、商品を見た人やカートに入れた人に対して関連商品を表示できるが、今後は商品を購入した人に対しても関連商品を表示できるようになる。例えば、オンラインショップで自転車を購入した人に対し、ヘルメットやバスケットなど、自転車を購入した人が関心を持ちそうな商品を宣伝するといったことも可能になる。また、「関連商品」の定義もより柔軟になる。例えば、モバイル・ショッピング・アプリでカートにファッションシューズを入れた人に対して、ファッションシューズのカテゴリからはもちろん、ハンドバッグのカテゴリからも商品を紹介でき、商品カテゴリ自体も自由に定義できるため、思い通りに広告を運用できる。数週間のうちに、ダイナミックプロダクト広告はオーディエンスネットワークに対応し、Facebook外のWebサイトでも買い物客にリーチできるようになる。
2015年08月20日アドウェイズは8月6日、Twitterより「Twitter Official Partner」に認定されたと発表した。これにともない、Twitter提供の広告APIを利用した広告運用プラットフォーム「STROBELIGHTS 4T」の提供を開始する。「STROBELIGHTS 4T」は、世界対応のスマートフォンアプリ向け効果測定システムである「PartyTrack」の開発を手がけているBulbitが開発。広告運用の効率化・自動化を支援するもので、Twitter広告の運用に際して、大量のターゲティング設定を一括で行ったり、自動化ルールの作成によって、人力では困難な大量のクリエイティブ精査が可能になるという。アドウェイズは、以前よりTwitterのトラッキングパートナーに選ばれていたが、今回はAdsAPIのパートナーとして新たに選定された。
2015年08月07日博報堂DYメディアパートナーズは8月5日、Facebook Japanと共同で、広告効果を測定する調査「TVCM×Facebook 動画広告のクロスメディア広告効果調査」を実施したと発表した。調査は、TVCMとFacebook広告動画の両方を駆使したクロスメディア広告の効果を測定したもの。Facebook動画広告とは、ユーザーのニュースフィード上に掲載され、広告が表示されると、動画が自動で再生を開始する動画広告商品だ。調査対象のキャンペーンは、2015年3月の「TVCM×Facebook 動画広告 クロスメディアキャンペーン」を実施した自動車、清涼飲料、健康系飲料の3キャンペーン。調査対象者は、関東地区/男女20-69歳のインターネットユーザーで、各キャンペーン3万5000人以上、延べ約10万5000人。ビデオリサーチインタラクティブが実施した。調査結果によると、TVCMとFacebook動画広告を掛け合わせることで、「ターゲットリーチ率」「広告認知率」「ブランド評価」などにおいて単体で実施するよりも広告効果が高くなる傾向が見られ、特に若年層での向上効果が顕著であったという。また、重複接触により、最も高い広告認知率と最も高いブランド評価(商品認知、商品購入利用意向など)が得られた。博報堂DYメディアパートナーズは、今回の調査を受け、今後TVCMとFacebook動画広告によるクロスメディア広告出稿提案を推進するとともに、広告投資を効果的に活用するソリューション提供を目指すとしている。
2015年08月06日野村不動産アーバンネットは5日、不動産情報サイト「ノムコム」の会員を対象とした「住宅購入に関する意識調査(第9回)」の結果を発表した。それによると、不動産について「買い時だと思う」「どちらかと言えば買い時だと思う」との回答が46.2%となり、前回調査(2015年1月)と比べると7.3ポイント減少、3年半ぶりに50%を下回る結果となった。買い時だと思う理由については、「住宅ローンの金利が低水準」64.4%(前回比9ポイント減)、「今後、10%への消費税引き上げが予定されている」40.2%(前回比1.3ポイント減)に続き、「今後、不動産価格が上がると思われる」が39.6%となった。買い時だと思わない理由は、「不動産価格が高くなった」が最も多く64.9%と前回比で16.9ポイント増加した。○不動産の価格は「東京オリンピックまでは上がる」という意見も不動産の価格については、「上がると思う」が39.6%と前回調査と同結果となった。上がると思う理由については、「東京オリンピックまでは上がる」「景気が上向きになってきている」という意見に加え、「海外からの投資が増加しているため」という意見が目立った。一方、不動産の価格は「下がると思う」の回答は18.9%と前回調査から2.1ポイント上昇した。住宅ローン金利については、「ほとんど変わらないと思う(低金利が続く)」が最も多く42.1%(前回比6.8ポイント減)、「金利は上がっていくと思う」は40.2%(前回比9.4ポイント増)、という結果となった。2017年4月に予定されている10%への消費税の増税によって、住宅購入計画に影響を受けるかの質問には、65.2%が「影響を受ける」と回答し、そのうち43.0%が「消費税が上がる前に購入するようにしたい」と回答した。調査期間は7月10~16日、調査方法はインターネット、有効回答は1,363人。
2015年08月06日レクサスは5日、グローバルブランド広告キャンペーン「AMAZING IN MOTION」第4弾「SLIDE」で、2015年6月に発表したLEXUSホバーボードの全容を公開した。LEXUSホバーボードは、2つの低温保持装置の中で超電導体が液体窒素によりマイナス197度に冷却され、永久磁石のレールの上に置かれることで浮上する。レールの磁場がホバーボードの超電導体の中に「凍結」されることで、ボードとレールの間に一定の距離が保持されて浮くことができるのだ。この力は、ホバーボード上で人が立ったりジャンプしたりできるほど強いものだという。LEXUSホバーボードのプロジェクトは、磁気浮上技術を専門とするIFW Dresdenおよびevico GmbHからの科学者チームの協力のもとで18カ月前に開始。ホバーボードのテストライダーを務めたプロスケーターのロス・マクグラン氏により、ドイツ・ドレスデンで大がかりなテストが行われ、その後もプロジェクトチームはテストを重ねてホバーボードの限界に挑戦し続けた。6月の発表以来、LEXUSホバーボードのテストは、スケートの要素と技術を組み込んだ特設のホバーパークにて進められた。ホバーパークに敷設するため、最長200メートルに及ぶ磁気のレールがドレスデンの施設からバルセロナに運ばれ、従来のスケートボードでは実現し得ない、水面上を走行するというような技も実現している。数々の受賞歴を持つヘンリー=アレックス・ルビン監督によりその様子は撮影され、動画が公開された。LEXUSホバーボードの動画「SLIDE」には、2015年北米国際自動車ショーでワールドプレミアした高性能スポーツセダン「GS F」が登場。同動画は、レクサスの創造力と革新性を表現する「Amazing in Motion」キャンペーン第4弾の一環となっている。なお、LEXUSホバーボードはプロトタイプであり、販売の予定はない。
2015年08月05日アップルは、Apple Watchの新しいスポット広告(CM)を公開した。"Closer"と"Beijing"と題されており、日常生活での利用における、Apple Watchのパーソナルで多面的な能力を前面に打ち出している。"Closer"と題されたCMでは、Apple Watchというパーソナルなデバイスが我々にとって最も個人的な人間関係、すなわち親と子供の関係にどのようにフィットするか、あるいは役に立つかを表現している。子供の好きなアニメ番組で始まり、母親からの呼び出しに応え、ちょっとした問題をシンプルな絵文字を使って解決する様子を捉えている。アップルでは、Apple watchの大ファンだという保護者から、Apple Watchを使ってやれること・やれないことについてのヒアリングを行っているそうだ。このCMはまさにそういった生の声が反映された仕上がりになっている。もう一本の"Beijing"では、ベルリンから北京へ旅する2人の友人のストーリーが綴られている。手首につけたApple Watchから発信される情報を活用することで、新しい都市の探索を容易なものにしてくれるといった内容だ。現地通貨の換算から、現地のフードやレストラン情報の入手、歴史的・文化的な建造物を訪ねたり、地域社会との交流を試みたりと様々なシチュエーションでApple Watchは活躍してくれるというメッセージが込められている。
2015年08月04日ソネット・メディア・ネットワークスは7月29日、アドフラウド(不正広告)の取り組みについて、Momentumとの間で合意に達したことを発表した。今回の合意は、同社DSP「Logicad」に関するオンライン広告取引RTBにおいて、Momentumのアドフラウド対策を実現する広告配信ネットワーク接続用プラグイン「Black Heron」への接続を対象とした国内初の共同運用となる。アドフラウドとは、無効なインプレッションやクリックを稼ぎ、広告費用に対する成約数や広告効果などを水増しする不正広告のこと。コンピュータによる自動プログラム「bot (ボット)」が、悪質なプログラミングを組み込み、人間のようにブラウジングすることで、広告表示やクリックを不当に発生させることがその代表例として挙げられる。Momentumのアドフラウド対策ツール「Black Heron」は、不正なオンライン広告取引の監視・対策ツールとして2015年5月から提供を開始。約90種類以上の判断基準を組み合わせた独自のアルゴリズムによるフラウドスコアを活用することで、botやコンバージョンしないユーザー、媒体への出稿回避を実現できることが特徴だ。今回の同意により、広告出稿企業は、広告枠に対しRTBによる安全な広告配信を行えるようになり、さらなる広告効果の向上が期待できるという。なお、両者の接続は、2015年11月を予定する。
2015年07月30日京セラコミュニケーションシステム(KCCS)は7月30日、広告配信サービス「KANADE DSP」がジーニーの提供するSSP「Geniee SSP」をはじめとしたネイティブ広告枠に対応し、スマートフォン向けネイティブ広告の配信を開始したことを発表した。今回の対応により広告主は、広告掲載メディアのレイアウトやコンテンツに溶け込むようなデザインに最適化され、かつインプレッションに対する広告認知率の高いインフィード型のネイティブ広告をRTBで配信できるようになった。また、KANADE DSPが提供するユーザの性別や年齢などといったデモグラフィックやインタレストに合わせた広告配信、広告主サイトへの再訪を促すリターゲティングなど、同DSPの既存サービスメニューと組み合わせることで、広告主のブランド認知、効率的なサイトへの集客を支援するという。
2015年07月30日メッセージ性のあるユニークな広告が特徴のディーゼル(DIESEL)が、15-16AWシーズンのキャンペーンビジュアルを公開した。ディーゼルはこれまでも広告を通じて、時代や思潮に独自の解釈を投げかけてきた。修正された画像や大げさなコピー広告がまかり通る昨今に、15-16AWシーズンでは“Decoded by DIESEL”をテーマに、ありのままの事柄を率直に伝えるメッセージを展開する。デジタルカルチャーが浸透し、誰しもがあらゆる情報を直接読み取ることができる現代において、“ユーモア”は人々にシェアされて他者とつながる手段と捉え、未加工の写真に、「着る服を紹介しています」「軍事経験は不要です」「なんとか、かんとか」といったユーモアたっぷりの見出しを添えた気取らない表現で、消費者に敬意を表し、直接つながりたいという思いが込められている。スタイリングは同ブランドの新アーティスティック・ディレクターを務めるニコラ・フォルミケッティが、撮影はリチャード・バーブリッジが担当。クリエイティブエージェンシーはスプリング・スタジオズが担当した。
2015年07月30日マルニ(MARNI)が、15-16AWウィメンズコレクションの広告キャンペーンヴィジュアルを発表した。そのヴィジュアルは、意外なほどノンシャラン。秋冬の新作を纏ったトップモデルのマルテ・メイ・ヴァン・ハースターが、床に寝転んだり、引っ繰り返したテーブルにもたれかかったり。カメラに向かって完璧なポーズを決めてみせるのではなく、穏やかに自由気ままに振る舞う様は、今やモードの主流であるエフォートレスなムードを反映したかのよう。アートディレクションはエミリオ・プッチやヴェルサーチなども手掛けるGB65が担当。シュールレアリスティックなシチュエーションと惹き付けるカラフルな色彩の妙は今回のマルニのそれでも遺憾なく発揮されている。また、撮影を手掛けたのはイギリスの女流カメラマン、ジャッキー・ニッカーソン。90年代に『VOGUE』や『ELLE』などでファッションフォトグラファーとして活躍しながらも、最近はアフリカの人々や自然を撮った一連の作品でも知られている。ジャーナリストとしてもその手腕は高く評価され、ファッションとアートの垣根を超えて活躍を続けている。彼女は今回の撮影に際し、次のように語っている。「クリエイティブ・ディレクターのコンスエロ・カスティリオーニの実験的で時に反抗的、破壊的なデザインへのアプローチが大好きです。このヴィジュアルには、洗練されたエレガンスとケオティックな感覚が混在しています。私は作品を見た時真っ先に、そこに写っている人に目が行く写真が良いと考えています。服が人を所有しているのではなく、あくまでも人が服を着用しているのですから」。15-16AWからは毎シーズン広告キャンペーンを展開していくという。
2015年07月30日トッズ(TOD’S)がメンズとウィメンズの15-16AWの広告キャンペーンを公開した。トッズが提案するイタリアのライフスタイルと哲学が表現された今回のメンズ広告キャンペーンビジュアルでは、トータルルックをフィーチャー。アイコンシューズ「ゴンミーニ」や新作スニーカー、ローファーがフォーマルなルックやカジュアルな装いに合わせられている。また、ブランドのアクセサリーやレディ・トゥ・ウエアのコレクションが拡充していることも伺える内容となっている。一方のウィメンズの広告キャンペーンビジュアルでは、コレクションから新作をフィーチャー。サルトリアル感覚とスポーティーさ、メイド・イン・イタリーのラグジュアリーが、グラフィックや縫い込みのレザーを現代的にメランジュ(取り合わせ)することにより表現されたものとなっている。洗練されたスポーツスタイル、アクセサリーを飾る幾何学的なメタル使いに表れる反逆的なバイカー風ディテールなど、中心となるテーマは“コスモポリタンスキー”。グレース・ハーツェルをモデルに起用したこの広告は、ミラノにある個人宅で撮影された。ルックの主役はアクセサリーとなっており、バッグではアイコニックな「ケープ」や新作の「ウェーブ」、シューズでは「ゴンミーニ」の新たなブーティーが登場している。
2015年07月29日京セラコミュニケーションシステム(KCCS)は7月28日、同社の広告配信サービス「KANADE DSP」が、adjustが提供するスマートフォン向け広告の効果測定・アナリティクスツール「adjust」と、CyberZが提供するスマートフォン広告向けソリューションツール「F.O.X」との連携を同日から開始すると発表した。「KANADE DSP」は、広告主のキャンペーン戦略に応じた広告配信を可能とする広告配信サービスで、ユーザごとの興味・関心に合わせて広告をパーソナライズする「パーソナライズリターゲティング」、潜在顧客を抽出し自社サイトへの訪問を促す「オーディエンス拡張」、狙ったセグメントへのブランド認知を促進する「プロファイルターゲティング」などを行う。今回の連携により、KANADE DSPで広告主のアプリインストール訴求の広告配信を行った際に、KANADE DSPの管理画面上で広告クリック数やインストール数、インストールあたりのコストなどの基本的な効果測定が可能となる。また、KANADE DSPが提供するユーザの性別や年齢などのデモグラフィックやインタレストに合わせて広告を配信する既存配信メニューと組み合わせることで、広告主のターゲット層への効率的なアプリインストール訴求を支援するという。
2015年07月29日何度も同じ広告を目にして、記憶に残っている商品はありませんか?私は、ある生姜ドリンクの広告を何度も見かけて気になっていました。広告の健康食品ははたして本当に効果があるのか……疑問に思いますよね。そこで、思いきって気になっていた広告の商品を、実際に試してみました!よく見かけるあの広告、ほんとに効果あるの?雑誌などでよく健康食品の広告を見かけますよね。たくさん広告を打っているなら、何かしらの効果があるのか?と前々から気になっていた私。「お母さんにプレゼントして久しぶりに実家に帰ると、見違えるほどお母さんがキレイになっていた」という、長崎の無添加生姜ドリンクを1ヶ月試してみることにしました。噂の「生姜シロップ」を注文!そして・・・注文した生姜シロップは、紅茶にいれたり炭酸水で割って飲む希釈タイプです。頑張って1ヶ月間試してみました。記念すべきスタートは、サービスで同封されていた炭酸水で割って飲むことに。一般的なジンジャーエールより甘みが少なく、生姜の辛みがきいていて、おつまみで用意したポテトフライとよく合います!翌日以降は朝、白湯にこのジンジャーシロップを小さじ1~2ほど加えて、毎日飲むことにしました。「シロップ」とありますが、甘さより生姜の辛みを強く感じます。白湯や紅茶などに入れる場合は、はちみつなどの甘さを追加した方が飲みやすいと思いました。1か月間、飲み続けて、わかった。2週間ほど経ち、「そろそろ生理前で肌が荒れるな~」と思っていたところ、何の不調も起こらないことに気づきました。私は月に2度は、口のまわりや眉間に吹き出物が必ずできます。が、このシロップを飲んでいる間は、1度も肌荒れが起きなかったのです。肌を健やかに保つ作用があるのかもしれません。ただ、便秘が改善されたり、寝つきがよくなったり、痩せたり……というような効果は特にありませんでした。広告通り、私は「きれい」になれたのか?この生姜シロップを試していることを誰にも話さず、他人から「きれいになった!」など何かしらの声をかけてもらえるか期待していたのですが、誰にも何も指摘されませんでした……。でもこの1か月肌荒れを起こさなかったように、美肌効果は確かにあったと思います。「よく見かける広告商品」は気になりつつも、試さない人が多いかもしれません。広告の内容が本当かどうかは、分からないものです。「ものは試し!」と自ら挑戦することが「良いもの」に出会える可能性を広げるのかもしれません。
2015年07月27日パルコがフランスのクリエイティブユニット、エムエムパリス(M/M Paris)がクリエイションを手掛けた15AWシーズンの広告ビジュアルを公開した。6月にオランダ内陸部の砂丘地帯で撮影された同ビジュアル。14AW-15SSシーズンに続き、スタッフにはエムエムパリス、フォトグラファーのヴィヴィアン・サッセン(Viviane Sassen)を継続起用。モデルはアナ・クリーブランド(Anna Cleveland)が、スタイリストはベンジャミン・ブルーノ(Benjamin Bruno)が務めた。15AWシーズンでは、“1年間という時間の継続性を表し、四季の移り変わりを追う”という前シーズンのコンセプトを踏襲しながら、新たに「月」をテーマに設定。4つの季節のクイーンを演じるアナ・クリーブランドとカイト(凧)を絡ませることで、月のリズムと自然が創り出す時間の変化や四季の変遷を描いた。エムエムパリスは、ファッションやアート、音楽、デザインと多分野で活動するクリエイティブユニット。これまでに、カルバン・クライン(Calvin Klein)、ディオール オム(Dior Homme)、アー・ペー・セー(A.P.C.)などのビックメゾンとコラボレーションを行う他、13年にグラミー賞の最優秀レコーディング・パッケージ賞を受賞したビョークの 『Biophilia』をはじめ、ヴァネッサ・パラディ、カニエ・ウェスト、マドンナといった著名アーティストのアルバムアートワークやミュージックビデオも手掛けている。
2015年07月21日インターネットを見ていると、自分が今まで見たサイトなどから、興味のありそうな広告が表示されるのはみなさんご存じですよね。ダイエットに関するサイトを検索していたら、ダイエット用品の広告が表示されたり、転職サイトを見ていたら仕事を紹介する広告が表示されたり。便利だったり余計なお世話だったりするこの機能ですが、イギリスの新聞『The Guardian』で紹介されたある調査によって、恐るべき事実が報告されたのです。■女性には高収入の仕事の広告が表示されない!アメリカのカーネギーメロン大学で行われた調査によると、Googleでは女性の求職者に高収入の仕事の広告が表示されないことがわかりました。この調査では『AdFisher』というソフトを使い、架空の男女の求職者17,370人のプロフィールを作成しました。この架空の男女は求職サイトのみにアクセスしたことになっています。Googleはこの架空の男女に合計60万もの広告を表示しました。調査チームが分析すると、明らかに男性のほうが高収入の仕事の広告が表示される回数が多かったという結果が出ました。収入20万ドル(2,482万円)以上の仕事の広告は男性には1,852回表示されたのに対し、女性には318回しか表示されなかったのです。Googleの広告表示システムは複雑で、ちょっとしたことで影響が出てしまうため、架空の男女のアクセス履歴は全く同じになっており、違いは男女の性差だけにされていました。■広告表示システムは選り好みをしすぎているこの結果は必ずしもGoogleの広告表示システムのみによるものではなく、広告を表示する企業の側の希望も含まれています。Googleの代表者は「広告を出す企業から、どんな人に対して広告を表示するかの希望を聞いています」と語っています。「ユーザーがどんなものに興味があり、どの人にどの広告を出すかは社内でルールが決まっています」。こうした仕組みはユーザーにぴったりの広告を表示するのに役立てられるわけですが、悪影響を及ぼすこともあります。実際に、高収入の仕事の広告は女性にはほとんど表示されず、男性にのみ表示されました。たとえそれが企業の意向であったとしても、この広告表示システムによって、女性は高収入の仕事につけない可能性があるのです。こうしたプロフィールや閲覧履歴を利用して広告を表示するシステムには問題があるのではないかと調査の中では指摘されています。■表示された広告=自分の興味・関心じゃないGoogleアカウントでは、プロフィールのカスタマイズができます。ここで自分が興味のあることの入力や、一度表示された広告で興味のないものを再表示しないようにすることができます。この機能を活用すれば、状況を改善することができます。しかし、これですべての問題が解決するわけではありません。カスタマイズの興味の項目にはもちろん、薬物乱用などという項目はありません。しかし、薬物乱用に関するサイトを閲覧した結果、リハビリテーション施設の広告が表示されるようになったのです。サイトを閲覧する前と後ではプロフィールに一切違いは現れませんでした。複雑なシステムにより、思わぬ広告が表示されることはなかなか防げません。閲覧履歴から自分の興味が分析され、広告が表示される。こうした一見便利なシステムも、いろいろと問題がありそうです。主体的に検索をすることの大切さは、まだまだ揺らぐことはなさそうです。(文/和州太郎)【参考】※Women less likely to be shown ads for high-paid jobs on Google, study shows―the guardian
2015年07月20日不動産投資には「難しそう」というイメージがありますし、実際問題、興味があったとしてもなかなか一歩を踏み出せないもの。しかし、『不動産投資は地方に一棟買うことからはじめなさい!!』(竹居百合子著、総合法令出版)の著者は、そうは考えていないようです。■仕事の空き時間で不動産投資2006年から不動産投資をはじめ、今年で10年目になるという人物。現在の所有不動産はアパート・マンション8棟、戸数は100戸、家賃収入は6,800万円ほど。8月末には、総資産は6億4,500万円になる予定だというから驚き。しかも注目すべきは、著者が「特別な人」ではないという事実。2年前に独立するまでは23年間サラリーマン生活を送り、仕事の空き時間を利用して不動産投資をしてきたというのです。そんなことが本当に可能なのかと思いたくもなりますが、物件の選び方を間違えず、しっかり管理すれば、不動産投資は失敗する可能性がとても低いのだそうです。■成功するためのシンプルな法則ちなみに、不動産投資で成功するためのシンプルな法則は、次の3つ。(1)稼げる物件を探す(2)融資の審査をうまく通す(3)きちんと管理する本当にこれだけだけれど、この3つのことをするために、多くの人は時間を浪費しているのが実態。でも、「不動産投資は時間がなくてもできる」という認識を持つことが大切なのだそうです。■足りない時間をうまく使うコツとはいえ、「でも時間がない」という人は少なくないはず。そこで著者がオススメしているのは、お昼休みをうまく使うこと。意外にも思えますが、著者もお昼休み1時間のうち30分で不動産会社や管理会社、銀行と連絡をとってきたのだといいます。管理業はそれぞれのプロに任せ、大家である自分自身は、管理会社、修繕会社、清掃会社などをマネジメントするだけ。このやり方で、不動産投資をはじめて3年半で資産が億を超え、その後も徐々に増やすことができたのだとか。■不動産投資で最初にすべきことただし本書は、無責任に「いいこと」ばかりを並べ立てているわけではありません。つまり、たしかにお昼休みの30分を利用するだけで、一生困らないお金をつくれるけれど、「その前にすべき大切なこと」があるともはっきり述べているのです。それは、まとまった金額の頭金、つまり自己資金を用意すること。なぜなら銀行からは通常、物件価格の1~3割にあたる頭金を要求されるから。頭金ゼロ、全額融資の「フルローン」で買う人もいますが、初心者にとってこれは非常に危険な投資なのだそうです。だからこそ、安全に不動産投資をするなら、まずは自己資金を貯めることが大事だということ。たとえば3,000万円の物件を購入するなら、最低でも500万円くらいの頭金は必要だと考えるべきだといいます。*考え方が現実的で、説明も具体的なので、読んでみれば不動産投資が必ずしも手の届かないものではないことがわかるはず。将来のために、考えてみるのもいいかもしれません。(文/印南敦史)【参考】※竹居百合子(2015)『不動産投資は地方に一棟買うことからはじめなさい!!』総合法令出版
2015年07月20日デジタルインファクトは7月14日、翔泳社のMarkeZine編集部と共同で、デジタル広告業界関係者460名を対象に、現在デジタル広告業界において注目を集める「アドテクノロジー」「スマートフォン広告」「動画広告」「ネイティブ広告」に関してアンケートを実施し、その結果を発表した。これによると、アドテクノロジーの定義に含まれるサービスとして、最も認識されているものはDSP(71.7%)で、DMPやアドネットワーク、SSPがそれに続いた。「動画広告元年がいつか」という認識については分散傾向がみられ、2014年(29.8%)との回答が最も多く、次いで2013年、2011年以前という結果となった。また、2015年のスマートフォン広告市場の見通しとしては、「ターゲティング広告配信技術の進化(55.0%)」が最も多く、「広告主層の拡大」や「クロスチャネルトラッキングと最適化配信」も比較的多い結果に。ネイティブ広告に関する現状認識としては、「新しい部分と、従来からの手法である部分とがある(39.8%)」や「特に新しさを感じない、マーケティング業界のバズワードに過ぎない」という回答が多く、17.6%は「わからない」と回答した。なお、同調査は、広告主(n=141)、広告会社(n=115)、メディア(n=52)、マーケティングコンサルティング(n=84)などに勤務するMarkezine読者460名を対象に、2015年1月~2月に実施されたもの。調査結果の詳細は、2015年6月17日発刊の「デジタル広告市場の最新潮流と現状動向分析調査」にまとめられているという。
2015年07月15日ニールセンは7月14日、「ニールセン デジタル広告視聴率」を日本にて提供開始することを発表した。同サービスは、オンラインでのブランディング広告キャンペーンのリーチ(到達度)を計測するもの。効果計測方法には、従来の「クリック数」以外の手法を導入し、テレビ広告のGRP(Gross Rating Point : テレビコマーシャルの延べ視聴率)と同様の指標で「自社広告がターゲット層にいかに到達したか」という度合いを管理できる。既に米国や中国など計12カ国で提供されているが、日本でのサービス開始は、米Facebookとのパートナーシップによって実現したものだという。日本におけるFacebook登録者は2,300万人にのぼり、このユーザー・データベースをパネルと見立て、ニールセンの持つオンライン・パネルの情報と複合的に組み合わせることにより、日本のオンライン・ユーザーで広告に接触した人々の性別や年齢層が把握可能となった。なお、ニールセンの会長兼CEOの福徳俊弘氏は、「オンラインのブランディング・キャンペーン向けの計測指標の導入は、日本のデジタル広告の一層の発展を促すためにも必要なことです。フェイスブックと提携することで、これまでにない巨大なユーザーパネルを得ることができました。この指標は、今後大きな成長が期待される動画広告にとっても、重要なものとなるでしょう」と述べる。同社は今後、フィリピンやタイ、マレーシア、メキシコでも同サービスの提供を開始する予定だ。
2015年07月15日Facebookは7月3日、モバイル機器でのフォーム入力の手間を省力化する新たな広告プロダクト「リード獲得広告」のテストを開始すると発表した。新機能は米国などでは既に実施されているが、国内での提供時期は未定。リード獲得広告は、Facebook上に掲載された広告に興味を示したユーザーがモバイル機器から申し込みの際、メールアドレスなどの連絡先情報をフォームに自動入力できるというもの。メールアドレスは、事前に登録しておく必要がある。同社は、情報をひとつひとつ入力する手間など、フォーム入力時のストレスを大幅に減らせると想定している。今回のテストでは、ニュースレター購読、見積もり依頼、電話連絡依頼、資料請求などの入力に自動入力が適用される。テストを実施するにあたり、特にユーザーのプライバシーに配慮した。フォームの自動入力が適用された後でも、ユーザーが「送信」ボタンをタップしない限り情報が送信されない。また、広告主は原則プライバシーポリシーの範囲内でしか取得した情報を利用できない。さらに、広告主は取得した情報を第三者に再販することはできない。テストでは、一部の企業のフォーム入力に実施されている。今後はテスト結果を参考にしながら、一般への開放を検討する方針だ。
2015年07月06日