Vol.9 、 vol.10 と債券についてお話ししました。株式などに比べると、債券の収益性は高くないので、お金を増やしていくためには、債券だけ持っていたのでは、十分な成果があげられないかもしれません。資産を増やしていくためには、株式など収益性の高い資産に投資をすることが必要です。でも、株式だけに投資をすると値動きが大きくなってしまうので、安定した資産運用をするのは難しくなります。なるべく安定した資産運用していくためには、株式や債券に「分散投資」をする必要があります。卵は1つのカゴに盛るな基本的に、株式と債券の値動きはこのようになります。投資には、「卵は1つのカゴに盛るな(※)」という有名なことわざがありますが、値動きが反対のものを組み合わせると、リスク(振れ幅)を小さくすることができるのです。(※)卵を1つのカゴに盛ると、そのカゴを落とした時、全部の卵が割れてしまうかもしれないが、複数のカゴに分けて卵を盛っておけば、そのリスクが防げるということから転じて、投資の際も複数の商品に投資を行い、リスクを分散させたほうがよいということ。分散投資先にはどんなものがある?分散して投資をする先の資産クラスは、伝統的に、(1)国内株式 (2)外国株式 (3)国内債券 (4)外国債券 に分けられます。各資産クラスのリスクとリターンの関係は、次のようなイメージになります。債券のブレ幅(リスク) < 株式のブレ幅(リスク)国内資産のブレ幅(リスク) < 海外資産のブレ幅(リスク)資産クラスの組み合わせは?では、安定資産である債券とリスク性資産である株式などをどのように組み合わせればよいのでしょうか。たとえば、20~30代の若い人は、もし、リーマンショックのような損失が生じることがあったとしても、その損失をリカバリーできる時間がこの先、まだ十分あります。ですから、リスク性資産の比率をより高くして運用してもよいと考えられます。もちろん、年齢だけではなく、家族構成、働き方、ほかの資産をどのくらい持っているか、また、自分がどのくらいの損失にたえられるかなど、合わせて考える必要がありますが。そして、一般的には、年齢が上がるにつれ、安定資産の比率を高めていくべきと考えます。運用できる時間が限られているためです。さて、資産運用をしようと思った時、まずは銀行や証券会社に相談に行こうと思う人がいます。でも、それは正しい行動ではありません。商品を選ぶよりも先に、資産配分を決めることです。国内の株式、外国の株式、国内外の債券など、資産ごとにどう資金を配分するか、何をどのくらいずつ保有するかを決めます。これをアセット・アロケーションといいます。これまでの研究結果では、この配分こそが長期的にはパフォーマンスにもっとも影響するといわれています。自分は、株式をどのくらい、債券をどのくらいもつか、その比率を決めることが大切なのです。次回は、分散についてさらにお話しします。(岩城みずほ)
2015年12月07日イオン銀行はこのたび、インターネットを活用した投資信託に関するサービスとして、投資信託と定期預金を組み合わせた商品「しっかり運用セットNEO(WEB版)」および、インターネットサイト内で顧客の投資スタイルに沿った投資信託の商品構成(ポートフォリオ)を提案するサービス「らくらく分散投資ナビ」の取扱いを開始した。○最大年7%という定期預金金利のメリットを享受できるイオン銀行は、インストアブランチ(イオンショッピングセンター内に設置する有人店舗)において、イオンのショッピングセンターへ来店する顧客の幅広い資産運用ニーズに応え、資産の形成を手伝うため、原則、365日年中無休、毎日10時から19時まで、専門スタッフが資産運用に関するさまざまな相談を受けている。資産運用の相談においては、投資信託と定期預金を組み合わせることで資産の分散化を図りながら、組み合わせの割合により最も高い金利で年7%という定期預金金利のメリットを享受できる「しっかり運用セットNEO」が好評だという。イオン銀行によると「『しっかり運用セットNEO』については、これまでインストアブランチに限定して取扱いをしていたが、家の近くにインストアブランチがない顧客や、忙しく時間に余裕のない顧客はインストアブランチに行くことができないため、インターネットで取扱いを開始してほしいという要望があり、この声に応えるため、『しっかり運用セットNEO』のインターネットでの取扱いを開始することにした。投資信託は、インストアブランチでは初心者の方でもわかりやすいような厳選した25銘柄が対象で、WEBでは160超の銘柄が対象」としている。また、どのような投資信託の銘柄に投資してよいのかわからないがインストアブランチに相談に行くことが難しい顧客から、自分に合った銘柄を教えてほしいといの声があり、これに応えるため、顧客に合った投資信託の商品構成(ポートフォリオ)を提案する「らくらく分散投資ナビ」導入することにしたとしている。○しっかり運用セットNEO(WEB版)の特徴投資信託と定期預金をセットで申し込むと、組み合わせの割合により、定期預金(3か月もの)の金利を最大年7%に定期預金とセットする投資信託商品は160銘柄超の投資信託より選択可能(インストアブランチでは25銘柄より選定)金利の適用期間は2016年3月31日まで(継続する場合がある)。○らくらく分散投資ナビの特徴イオン銀行インターネットサイト内で、顧客の投資スタイルや考えを入力すると、同行が取り扱う投資信託240銘柄から、顧客に合った投資信託ポートフォリオを自動的に提案所要時間は5分程度
2015年12月04日サラリーマン投資家が2015年冬のボーナスで最も金額が大きい使い途では、投資用ローンの繰り上げ返済が最多だった。日本財託が11月26日に発表した「2015年冬のボーナスに関する調査結果」による。同調査は、投資用中古ワンルームを所有して不動産投資を実践している同社のオーナー85人(男性65人、女性20人、平均年齢51歳)に対して、11月3日に実施したアンケートに基づく。冬のボーナスで最も金額が大きい用途を尋ねると、「投資用ローンの繰り上げ返済」が34.5%で最多だった。「投資用物件購入の資金」(10.9%)と合わせると、半数近くが投資関係の用途を挙げている。なお、「自宅のローン返済」は1.8%に過ぎなかった。一般サラリーマンのボーナスの用途では貯金や生活費の補填が上位に挙がるといい、サラリーマン投資家は「自宅よりも、家賃収入を生んでくれる投資用マンションにお金を使う」という意識が高いと同社は見る。自宅の住宅ローンを完済しても収入は生まれないが、投資用ローンを完済すれば家賃収入を丸ごと使うことができると同社は指摘する。その上で、毎月の家賃収入は自宅の住宅ローンの繰り上げに回すことができるし、新たな物件の購入資金としての利用も可能という。また、自宅の住宅ローンは住宅ローン控除が受けられるため、10年間は借りていた方がよいと考える人も多いようだと同社は推測している。
2015年11月27日アクセンチュアは11月25日、アジア・パシフィック地域の金融テクノロジー(Fintech)投資に関する調査レポートを公開した。同社はFintech企業を「P2Pプラットフォーム、デジタル通貨取引などのオルタナティブ金融サービスプロバイダーというだけでなく、リテール・商業・投資銀行、保険会社、資産管理会社、決済サービスプロバイダーに向けた技術を提供する企業」と定義している。今回の調査内容は、ベンチャー企業の財務データ・分析を国際的に行う「CB Insights」が提供するFintech投資における2015年1月~9月までのデータを分析したもの。そのほか、2010年~2014年までのベンチャーキャピタルおよび未公開企業、企業および企業のベンチャーキャピタル部門、ヘッジファンド、アクセラレーター、政府系ファンドなどによる国際的な財務活動のデータも含まれる。調査によると、アジア・パシフィック地域での2015年1月~9月までの投資件数は全122件に達し、2014年より5件増加した。投資金額も中国で相次いだ国内大型案件により大幅に増加した。投資の総額は約35億ドルに達し、2014年の約8.8億ドルから急伸した。分野別では、決済業務(40%)が最も高い比率を占め、次に融資業務(24%)と続いた。これまで銀行が独占していた領域での投資が大半を占めた結果となった。これは、Alibaba Group Holdingsと関連会社Ant Financial Services Groupによるインドのモバイル決済プラットフォームであるPaytmへの出資や、P2P(Peer to Peer)およびB to Cのオルタナティブファイナンス・投資プラットフォームを開発するPing An Insurance Group傘下のベンチャー企業Lufaxによる資金調達の成功が要因だとしている。国内では、国内とアジア向けにP2P決済プラットフォームを構築するエクスチェンジコーポレーション(ExCo)による資金調達など、決済サービス分野でのFintech投資が確認された。投資の総額は約4400万ドルに達し、2014年度の5500万ドルに迫る勢いとなっている。同社は、今後のFintech投資における注目分野としてブロックチェーンを挙げる。ブロックチェーンは、分散型記帳によって仮想通貨や暗号化された金融資産取引を支える技術で、スタートアップや銀行、投資家が注目する分野になると予想している。銀行やクレジットカード会社、クリアリングハウスが協力することで安全かつ迅速な清算処理が実現でき、カウンターパーティリスクの削減や取引所要期間短縮によって資本を最適化できるという。また、金融機関のクラウド活用も注目の領域だという。クラウド導入の機運が高まるにつれて、銀行はパブリッククラウドに格納可能なデータとプライベートクラウドに格納すべきデータの選別を進めている。銀行は機密性の高い顧客データをプライベートクラウドに格納することで規制当局の要件を満たすと同時に、パブリッククラウドが実現する効率性、柔軟性、オンデマンド機能、コスト削減などのメリットを享受することが可能となる。この状況はFintech領域のスタートアップ企業にとって、クラウド関連の新しいサービスを提供する好機となっていると指摘している。さらに近年、大きく報道されている大規模な情報漏えいの影響もあり、来年はサイバーセキュリティに対する投資が大幅に増加すると予測している。
2015年11月26日皆さん、一度は「個人向け国債」という名前を耳にしたことがあるのではないでしょうか。国債とは、国が発行する債券のこと。今回は、その国債についてのお話です。債券について詳しくは、 前回のコラム をご覧ください。国債の種類国債には、「個人向け国債」と、個人でも法人でも買える「新型窓口販売方式国債(新窓販国債)」があります。「個人向け国債」は、「変動10」「固定5」「固定3」の3種類。「新窓販国債」は、「10年固定」「5年固定」「2年固定」の3種類です。個人向け国債の特徴「個人向け国債」の特徴は次のようになります。(参考) 個人向け国債トップページ : 財務省 新窓販国債の特徴「新窓販国債」の特徴は次のようになります。(参考) 個人向け国債トップページ : 財務省 発行月は、いずれも毎月、年12回です。証券会社、銀行等の金融機関や郵便局で購入することができます。「変動10年」以外のものは、購入時の金利が、満期時まで変わりません。「変動10」は、満期までの10年の間、金利は、半年ごとに見直されます。金利決定日の10年物国債の利回りの66%が、その後半年間の金利になります。どのタイプの国債を選べば得をするの?さて今後、世の中の金利が上昇するとしたら、あなたなら、どのタイプの国債を持っていると得だと思いますか?たとえば、あなたは今、1%の金利がつく「固定5」の個人向け国債を持っています。翌年、長期金利(10年物国債の金利)が上昇し、世の中のほかの金融商品の金利が上がったとします。仮に、定期預金の年利が2%になったとしましょう。「固定5」は5年で満期になりますから、満期までは残り4年。その間、1%の金利を受け取ると、1%×4年間=4%です。定期預金だと、2%×5年間=10%になりますね。この場合、あなたは10%−4%=6%、差し引き6%の金利を得るチャンスを失ってしまうことになります。では、あなたが「変動10」を持っていたらどうでしょう。半年ごとに見直される金利は、長期金利の66%なので(基準金利×0.66)、仮に、長期金利を2%とすれば、2%×0.66=1.32%です。3%になれば、3%×0.66=1.98%…という風に見直されます。金利がこれから上昇していくという時期は、「変動10」のほうがよさそうですね。しかし、現在、金利は非常に低い状況です。「個人向けの国債」の金利も、以下のように低くなっています。募集期間は平成27年11月9日~30日/発行日:平成27年12月15日(参考) 個人向け国債トップページ : 財務省(H27.11.6時点) 途中で換金するとなると、ペナリティとして、直前2回分の(各税引前利子相当額×0.79685)が差し引かれます。もしも、インフレで高金利となったら、「変動10」の場合だと、2回分の金利も大きくなります。国債を買う時は、途中換金しないで、期間中持つことを前提に買うほうがいいかもしれません。しかし、逆に、今後金利が下がるという局面であれば、金利の固定されている商品は得だと言えます。ちなみに、借金の場合は、これが逆になります。今、非常に金利の低い状況で、今後金利が上がるという時期に、固定金利でローンを組むと得ですよね。これから、金利はゆるやかに上昇するだろうと見られています。今、変動金利タイプで住宅ローンを組んでいる人は、早めに固定金利に変えておいたほうがよいでしょう。さて、株式と債券について理解していただけましたか? これから、資産運用をしていく時、株式や債券のなどの資産(アセット)に資金をどう配分していくかを決めなければなりません。資産ごとの配分を決めることを「アセット・アロケーション」といいます。次回は、アセットクラスの配分をどう考えるかについて、お話しします。(岩城みずほ)
2015年11月16日楽天は12日、FinTechのスタートアップ企業に投資する「Rakuten FinTech Fund(ラクテン フィンテック ファンド)」の運用を開始したと発表した。運用資産額は1億米ドル(約120億円)。○まず北米と欧州の企業に投資同ファンドは、適切な戦略を立て魅力的な投資対効果でビジネスを展開する可能性がある初期段階から中期段階のFinTechのスタートップ企業に対して、世界規模で投資を行うもの。また、楽天がこれまで実施してきたFinTechへの投資の成功事例(Currency Cloud、WePay、Bitnetなど)に基づき発展させたもので、北米と欧州を中心とするスタートアップ企業や成長著しい企業に投資を行う。なお、同ファンドは起業家と楽天グループのFinTech事業楽天カードや楽天銀行、楽天証券などとの橋渡しをする役割も担っているという。楽天広報は「フィンテックの成長が著しい中、昨年から機会を探り、今年に入ってからBitnetなどへの投資を進めてきた。このような経緯から今回タイミングを見て(『Rakuten FinTech Fund』を)設立した」と話している。運用は、マネージング・パートナーであるオスカー・ミエル氏がファンド・アドバイザーとして実施する。まずはFinTechの中心都市であるロンドン、サンフランシスコ、ニューヨーク、およびベルリンの企業に対して投資し、将来的には他の地域にも拡大する予定としている。
2015年11月13日前回 のコラムでは、資産クラス(資産の種類や分類のこと)のうち、定期預金と株式についてお話ししてくれた、ファイナンシャルプランナーの岩城みずほさん。今回は、「債券」について説明してくれます。突然ですが、あなたは、ベビー服を作る会社を創業することになりました。事業を営むのには、いろいろと必要なものがあります。設備、デザイナーや営業などの人的資産、原材料の仕入れなどなど。それらを準備するには資金が必要ですね。あなたは、そのお金をどうしますか?資金を調達するための方法は3つあります。(1)銀行から借りる(2)債券を発行する(3)株式を買ってもらう です。今回はこの中の「債券」についてお話しします。債券ってなに?債券というのは、借用証書のようなものです。あなたの会社の債券を買ってもいいと思う投資家が、社債を購入してくれます。あなたの会社は、投資家にお金を借りることになるわけです。お金を借りているのですから、あなたは、借りている期間中、あらかじめ決められた金利を支払わなければなりません。そして、約束の期日(満期日とか返還日といいます)がきたら、借りたお金を返済します。たとえば、投資家が10万円を貸して、毎年1%の金利を10年間受け取り、10年目に、元本の10万円を返してもらうというのは、こういうイメージになります。債券の特徴は、もらえる額が決まっているところ債券を発行するのは、企業だけではありません。国や地方公共団体も資金の調達を行うために発行しています。どこが発行した債券でも、投資家は保有している期間中、決まった時期に利金の支払い受けることができます。満期まで持てば額面金額(発行価格)は戻ってきますが、満期前でも、他の投資家に、市場で転売して現金化することができます。私たちが購入できる身近な債券は国が発行している「個人向け国債」です。債券で気をつけるべきは、金利の変動債券にも、株式と同じように価格の変動するリスクや、信用リスクがありますが、もうひとつ、債券価格は世の中の金利の動きに最も影響をうけるというリスクもあります。たとえば、あなたが1%の金利のつく債券を持っているとしましょう。世の中の金利が上がり、2%の金利のつく債券が売り出されたらどうでしょう?あなたの持っている債券は魅力がなくなってしまうので、市場で売ろうと思っても、値段を下げなければ買ってくれません。逆に、世の中の金利が1%よりも下がると、あなたの持っている債券は魅力的に見えます。欲しい人が増えるので、価格は上がります。満期前に売却する場合、世の中の金利が上がれば、債券の価格は下がり、金利が下がれば、価格は上がります。金利と価格はシーソーのような関係なのです。償還までの期間が長いほど、金利が変動する可能性が高いので、債券の値動きも大きくなります。株式と債券の関係は?さて、数年後、あなたの会社は、ベビー服がよく売れて、昨年よりも大きな収益を上げました。売上から、従業員の給料などの事業にかかるコスト、約束した金利や税金を支払っても十分なもうけがでました。利益の中から株主に、去年よりも配当金を支払い、株主の方にとても喜んでもらえました。しかし、もし仮に、強力なライバル会社の出現で、今年の売上が大幅に落ちてしまったとしたら?それでも、あなたは、銀行や社債を買ってくれた投資家に決まった金利を支払わなければなりません。株主の方には、「ごめんなさい、今年は配当を出せません」と、お詫びします。投資家からすれば債券は、会社が儲かろうが赤字になろうが、定められた金利を受け取り、デフォルトしない限り、満期日が来れば、元金は返済されます。一方、株式は、会社の業績によって、配当金がたくさんもらえたりもらえなかったり、株価が上がったり下がったりと、リターンの変動が大きいのです。債券のリスク < 株式のリスクということです。株式と債券の値動きの関係は次のようになります。次回は、個人向け国債についてお話しします。(岩城みずほ)
2015年11月02日世界最大の政府系投資ファンド・アブダビ投資庁の元日本株式運用部長で、当時、中東でただ一人、日本人でオイルマネーを運用した投資のプロ・林則行氏。林氏は著書、『金(ゴールド)はこれから2倍になる』(宝島社、本体1,560円+税)で、金への投資を勧めているが、それは「儲ける」ためではなく、「庶民の財産を守る」という視点から書かれている。今回は林氏に、「今、なぜ金なのか?」という点を中心にお話をお伺いした内容を紹介したい。○「通貨の発行しすぎ」が長期的に金価格の上昇に――「なぜ今『金(ゴールド)』なのか?」という点をお聞きしたいと思います。ズバリ、庶民の私たちが金を買った方がいい理由はなんでしょうか。貨幣の価値が今後下がっていくるからです。貨幣の水増しということが古代から行われてきているわけです。各国の為政者は、分かっていながら歴史上何度も繰り返しやってきているんです。日本の例で言えば、最初の貨幣、和銅開珎を出してから50年後にはそれとそっくりの通貨を10倍の価値にして出しています。つまり、和銅開珎の価値を10分の1に落としたということです。江戸時代には小判の金含有量が6分の1に減っています。日本をはじめ各国が行っている金融緩和もそうした流れの一貫ですから、皆さん、なんとなくやばいな、と感じていると思います。――通貨の供給量を無理やり増やして株価が上がっても、株を持っている人は得しているんだろうけど、そうでない人は得していない。そして不況になると株価は暴落して、金利が上昇し、通貨の価値も下がる。通貨の価値が下がると、損をするのは資産を預金などの現金でしか持っていない庶民ということになりますね。私がこの本を書いたのは、そうした預金しかしたことのないような人に向けて、損をしてほしくないとの思いがあったからです。金に投資してもうけてほしいというよりも、つらい目に遭うのを避けて欲しい、という気持ちから書いたのです。金は大きく上がるでしょうから、もちろん大儲けもできます。○金の生産コストが上昇、新興国の金需要も拡大――中国株の下落の影響などもあって、最近は株価が下落していますね。株価暴落という事態が、近づいているように思えるのですが。今の相場を見ると、まだ序の口ですね。本当の暴落は今すぐというわけでもないです。ただ、準備はしておく必要があります。――なるほど。その準備のために、預金しかしたことのない人でもできるのが、金であると林さんはおっしゃっていますね。そうです。2014年末の金価格を記すと、1オンス1,206ドル、1グラム4,649円です。金の値上がり幅は経済情勢によっても異なってくるのですが、最低でも現在価格から60%上の史上最高値(1,895ドル)を超え、信用不安が広がる時代が来れば1万ドルにもなるでしょう。生産コストの点からも金価格の上昇は必須です。生産コストは金利や税金を含めると現在約1,500ドルくらいで、今日現在の取引価格より300ドル以上も割安です。コスト割れで生産を続ける生産者はいませんから、新規の鉱山開発は中止・延期され、2016年以降生産が減少に向かいます。これに加え、金の需要意欲は旺盛です。特に新興国からの需要には根強いものがあります。自国の通貨を信用していないからです。新興国の中央銀行は米ドルすら磐石だと思っていないので、来る下落に備えて金の保有を進めています。○NYダウの暴落が起これば、それが世界株式暴落の引き金に――新興国の金需要も要因となるわけですね。中国人やインド人が金が好きだといった話は聞いたことがありますが、金の生産コストが上昇していることなどは、初めて知りました。金を掘るのにお金が今までよりかかるとなれば、金の価格は上昇しますね。この本には金が上昇する要因と同時に、金が上昇するタイミングの見極め方も書かれていますね。NY株式市場では銀行株が先行指標になっています。シティバンクなどの銀行株はまだ大きく下げていないので、NY市場が大幅安を迎える展開は先になるでしょう。株式市場は暴騰と暴落を繰り返すのが習性で、それを避けることができません。暴騰は2009年から始まりました。もう6年になります。次は暴落を迎える番です。――林さんのお話を伺っていると、金価格が既にじわじわと上がっていてもおかしくないと思えてしまうのですが、米ドルベースでの金価格は今年に入ってから下げ基調ですね。どうしてでしょうか。金の生産の増加量(前年比)がまだまだ3%と高いからです。ここ100年の年平均の伸び率は1.6%なので3%は高めの数字です。鉱山会社はコスト割れの状態からは新規の生産はストップする見込みですが、これまでに開発した鉱山からはまだ金が出てくる状況にあります。そのため、金鉱山会社では価格の下げを予想し、これに対処するために売りヘッジを行っています。売りポジションが過去最高レベルになっているということは目先はまだ下がる傾向が続くということです。なお、この売りのポジションは金価格と綺麗に連動していますから、これを見れば今後の金価格が予想できます。――シティバンクの株価のほかにも、鉱山会社の売りポジションなど、注意しておきたいデータと、そのデータの入手先にも言及されていますね。実はそんなに難しくないんですよ。情報は公開されているし、その情報の見方は書きました。○「時間分散」が失敗しない金の買い方――ただ、やっぱり買いのタイミングを見極めるのはやはり素人には難しい気もするのですが。そういう方には「時間分散」が失敗しない買い方です。何回かに分けて買うだけで、市場価格に近づきます。2000年の初めから2014年の終わりまで毎日金を買うと(取引回数3,908回)、平均コストは824ドルになります。これに対して3か月に1回買うと(取引回数60回)、826ドルです。――なるほど。ところで、純金積立、地金、ETFなど金にはいろいろな投資方法がありますが、どれが最もいい方法なんでしょうか。実は私は、純金積立を毎月やっているのですが。純金積立は少しコストはかかりますが、一番簡単で楽な方法ですよね。また、純金積立でも、「スポット購入」という方法で、タイミングを見て買いたい量の金を買うこともできます。要は少しずつ買っていけばいいんですよ。――私のやり方で間違っていないんですね、安心しました(笑)。個人的にも、今の日本の状況を見ると、やはり金を買っておいたほうがいいという気がするのは確かです。NY株の暴落が起きたら、手遅れになります。ただ、それまでにはまだ時間がありそうだから、金を買っておいたほうがいいと思うのです。若干の知識を持っている自分としては、やはり庶民の財布を守るということが自分の使命だと思っています。石田さんが言われた、「なぜ今『金』なのか」という問いの答えはそこにあるのです。――分かりました。本日はお忙しい中、本当にありがとうございました。いかがだっただろうか。林氏の語り口は率直で、知識人としての使命感を持って本の執筆や講演を行っていることに感動したインタビューだった。皆さんもぜひ、林氏の著書を手にとって読んでいただきたいと思った次第である。
2015年10月21日「 どうして資産運用が必要なの? 」の続きです。「投資にはリスクがある」とよく耳にしますよね。その「リスク」という言葉に、あなたはどんな印象を持ちますか?先日、イギリス人の友人と話をした時のことです。彼は、投資を「リスク」「ギャンブル」という言葉で説明しました。インベスト=リスク=ギャンブルと理解しているのですね。昨年、日本でもスタートしたNISA(少額投資非課税制度)のお手本にしたのは英国のISA(Individual Savings Account 個人貯蓄口座)です。ISAの保有率は、国民の4割にのぼり、認知度はかなり高いと聞いていたので、イギリス人の彼でもそうなんだ、と私は少し驚きました。 以前のコラム でも書きましたが、「投資は怖い」というイメージを持っている人は、リスク=危険と思っているからなのですね。リスクは「危険」ではないたしかに、日常生活の中で「リスク」という言葉は「危険」と同意語で使われます。たとえば、よく使われる例ですが、「100回乗って100回事故を起こすタクシーと、100回乗ったら1回だけ事故を起こすタクシーなら、どちらのほうが、リスクが高いと思いますか?」という質問。さて、皆さんはどちらだと思いますか?恐らく、多くの人は、「100回乗って100回事故を起こすタクシーのほうがリスクが高い」と考えるでしょう。しかし、投資の世界で言う「リスク」は、「結果が不確実であること」を意味します。ですから、100回乗って100回事故を起こすタクシーは、100%確実に事故を起こすので、リスクはゼロ。100回乗ったら1回だけ事故を起こすタクシーは、いつその1回にあうかわからないので、不確実性が大きい、つまりリスクが高いということなのです。リスクとは振れ幅の大きさのこと、具体的には、投資の結果、得られる収益(リターン)のばらつきを指します。皆さんもニュースで、「今日の日経株価は、前日より145円12銭高い、1万8,171円60銭でした」というのを聞いたことがあるでしょう。株の値段は取り引き時間中、常に動いているんですね。上がったり下がったりしています。投資をすれば、期待以上に収益(リターン)を得ることもあれば、予想に反して損をする可能性もあります。明日の株価がどうなるのかは誰にもわかりません。リスクゼロの商品とリスクのある商品金融商品には、定期預金のように、「約束した期間保有すれば、利息のつくもの」があります。これらを「元本確保型の商品」といいます。リスクゼロの商品です。たとえば、商品Aが1年間で5%の利子のつく定期預金だとすると、100万円の元本は、1年後には105万円になります。リターンは5%です。 一方、Bという商品は、元本の100万円が、1年後に125万円になるかもしれないし、85万円になるかもしれません。元本を割る可能性があるというわけですね。この時、125万と85万円の平均は105万円と考えて、リターンは、Aと同じ5%になります。どちらもリターンは同じなのですが、Bの方は、リスクのある、つまり元本確保型ではない商品です。同じリターンなら、もちろんAのほうがいいですよね。しかし、残念ながら、今の定期預金の金利は、5%もありません。高いものでも0.1%くらいです。大変金利が低いので、100万円を200万円にするのに、約720年かかります。お金を増やすスピードを速くするためには、ある程度リスクをとる必要があります。一般的に、リターンが大きい商品は、大きなリスクがあります。お金を2倍近く増やすこともできるかもしれないけれど、半額になることもあるということです。リスクのある商品には、株式などがあります。株式は、長い期間持っていると、株式市場の平均的なリターンを結果的に得る確率は高まります。しかし、10年後に資産が2倍になっても、その翌年に半分になることもあります。もちろん、さらに上がる可能性もあります。将来どうなるかはわからないのです。ですから、資産運用をスタートするには、まず、自分がどのくらいリスクをとれるのかを考えなければなりません。リスクとリターンの話は、次回に続きます。(岩城みずほ)
2015年10月05日『投資バカの思考法』(藤野英人著、SBクリエイティブ)は、25年もの経験を持つファンドマネージャーである著者が、投資のプロとしての経験と知見、メソッドを凝縮させた書籍。ここで著者は、未来が予測できない時代だからこそ動いていくことが大切だと主張し、その手段として投資を勧めています。ていねいに世の中を観察し、客観的に物事を判断して、リスクを恐れず決断していけば、短期的には多少の負けがあったとしても、長期的には「勝ち続けることは不可能ではない」という考え方。とはいっても、投資を始めるのはなかなか難しそうです。しかし著者によれば、投資のハードルは下がっているのだとか。初めての投資の不安を解消するために、「投資を『ギャンブル』にしない資産運用5つのコツ」を見てみましょう。■初めての投資で知っておくべきことは?著者は、初心者の投資で大切なポイントは次の5つだと言っています。[1]すぐにはじめる[2]「手に汗をかかない額」を投資する(小さく)[3]情報をしっかり集める[4]一気に投じない(ゆっくり)[5]最低3年間は実践する(長く)各項目について、以下でご説明しましょう。■初心者の投資で大切な5つのポイント[1]すぐにはじめる本を読んで理論武装するよりも、とにかく、すぐにはじめた方が「株とはなにか」を理解しやすいのだとか。株式市場や経済の成り立ちについて「頭ではなく、肌で」感じることが大切だということ。そして投資をはじめたあとで入門書を通読し、全体像をつかむといいそうです。[2]「手に汗をかかない額」からはじめる1,000万円を投資してもドキドキしない人もいれば、10万円の投資で緊張する人も。「いくら投資しなければいけない」という絶対的な金額はないので、自分の保有金額や金銭感覚によって投資額を決めることが大切。[3]情報をしっかり集めるよい会社かどうかを見極めるためには、会社の情報を集めることが重要。そして投資先が決まったら、会社のウェブサイトをチェックし、次のことを確認すべきだといいます。・会社の理念に共感できるか(自分と相性がよさそうか)・「売上」や「営業利益」「当期純利益」などの数字が伸びているか・ウェブサイトに、社長や役員の顔写真があるか特に重要なのは「顔写真」。なぜなら自ら顔を出すことは、経営責任から逃げないという責任の表れだから。[4]一気に投じないたとえば10万円の株式を買うときは、一気にではなく、3ヶ月に分けて買うなどして、時間分散をすべき。たとえば毎月コツコツ一定の金額を投資していくと、相場の変動をある程度抑えていくことができるそうです。[5]最低3年間は実践する景気の1サイクルは「3~5年くらい」なので、その時間は投資を実践したいところ。また長期的に投資をした方が経験を蓄積できるので、リターンをあげる確率が高まるといいます。できれば、5年間続けるのが理想。相場循環は5~6年程度の動きをしているので、3年で手放すと「相場のピークの手前で買い、ボトムで売る」ことになりかねないからだそうです。*たしかにこうして確認すれば、投資は思うほど難しくはなさそうです。小さく、ゆっくり、そして長く。将来のため、本書を参考にしながら具体的に考えてみてはいかがでしょうか?(文/印南敦史)【参考】※藤野英人(2015)『投資バカの思考法』SBクリエイティブ
2015年09月26日楽天証券はこのたび、10月8日から米ドル建て債券の取扱いを開始すると発表した。これにより、同社で取扱う外貨建て債券の取扱通貨は13通貨になる。また、10月8日から12月18日の期間、米ドル建て債券の取扱いを記念し、購入時の為替スプレッドを0円にするキャンペーンと、購入金額に応じて楽天証券ポイントを最大50万ポイントプレゼントする2大キャンペーンを実施する。○トヨタモータークレジット、ザ コカ・コーラカンパニーなどの既発債のほか新発債も取扱う米ドル建て債券の取扱いを開始するあたり、トヨタモータークレジット、ザ コカ・コーラカンパニー、ウォルト・ディズニー、米国トレジャリーなどの既発債の他、新発債も取扱う予定だという。また、これまでより外貨建て債券のラインアップが増え、顧客の多様化するニーズに応え、幅広い投資機会を提供することが可能となるとしている。○10月8日以降に取り扱う外貨建て債券の取扱通貨アメリカドル/ユーロ/イギリスポンド/オーストラリアドル/カナダドル/ニュージーランドドル/中国人民元/ロシアルーブル/メキシコペソ/インドルピー/南アフリカランド/トルコリラ/ブラジルレアル楽天証券は引き続き、顧客のニーズに即したサービスや商品を提供することで、さらなる顧客基盤の拡大を図っていくとしている。○キャンペーンの概要期間:10月8日(木)約定分~12月18日(金)約定分キャンペーン内容(1):対象は円貨から米ドル建て債券を買い付けた顧客(法人も含む)、特典は米ドル建て債券購入時の為替スプレッドを無料にするキャンペーン内容(2):対象は米ドル建て債券を買い付けた顧客(法人は含まない)、特典は買付額面1,000ドルにつき、楽天スーパーポイントへ交換可能な楽天証券ポイントを100ポイント、最大で50万ポイントをプレゼント、ポイント付与時期は2016年1月末予定楽天証券ポイントは、楽天スーパーポイントへ1:1の割合で交換できる。交換する際は、あらかじめ楽天市場会員への登録が必要。
2015年09月24日三井住友信託銀行はこのたび、日興アセットマネジメントが運用する投資信託「日本郵政株式/グループ株式ファンド」の取扱いを10月5日から、三井住友信託銀行の全店舗並びにインターネットバンキング・テレフォンバンキングで開始すると発表した。○日本郵政など3銘柄への分散や定期積立による投資タイミングの分散を可能にする三井住友信託銀行と同社グループの日興アセットマネジメントとが協働し、11月4日に上場予定の日本郵政グループ3社(日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険)に少額(1万円)から分散投資できる投資信託を開発したという。日本郵政など3社は、経営基盤の安定に加え、ゆうちょ・かんぽ・郵便局の一体運営により、国民生活に密着した商品・サービスを展開するグループ企業群としての成長も期待され、個人投資家の関心が高まっているという。「日本郵政株式/グループ株式ファンド」は、上場時の株式売出しに応募し、新規公開株式への投資ニーズに応えるとともに、少額からの投資で、日本郵政など3銘柄への分散や定期積立による投資タイミングの分散を可能にすることで、幅広い顧客に投資機会を提供することを目指すとしている。三井住友信託銀行では、今後も商品開発や商品性改良に努め、顧客の期待に添えるよう努めていくとしている。○「日本郵政株式/グループ株式ファンド」の概要ファンドの特色(1)日本郵政グループ3社(日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険)を投資対象とする。当該3社の他にグループ会社の株式が新規上場された場合には、新たに投資を行うことがある(2)当該3社の上場にあたって、新規公開株式の取得を目指す(3)原則として、ゆうちょ銀行およびかんぽ生命保険への投資割合は、それぞれファンドの純資産総額の35%を超えないものとする募集開始日:10月5日(月)設定日:10月15日(木)委託会社:日興アセットマネジメント販売会社:三井住友信託銀行10月16日(金)から11月2日(月)までの間は、ファンド休業日とし購入および解約の申込はできない。
2015年09月24日アクスビーはこのほど、海外投資や金融ファイナンス分野の英語に特化した新しい英語教育サービス「ファイナンスグロービッシュ」を開始した。○非ネイティブのための簡易英語=グロービッシュを活用日本では、低金利が続く中、海外での投資や運用を検討したいという人が増加している。しかし、その情報の多くは英語のため、なかなかスタートできない、あるいは仲介・専門会社に委託するといったケースが多いほか、海外金融機関では、現地の担当者と英会話ができないと口座開設さえ行えないという状況になっているという。アクスビーは、このような海外投資スタート時における日本人の英語の問題を解決するために、「非ネイティブのための簡易英語=グロービッシュ」を活用した海外投資のための新しい英語教育サービス「ファイナンスグロービッシュ」を提供することを決定。これにより、海外投資のための英語を実践的かつ効率的に学べるとしている。特徴は、(1)HSBC香港など海外銀行の口座開設における英語の質問に回答することができる会話術、(2)中学英語でフィナンシャルタイムズなどの海外金融メディアの70%ができるリーディング法、(3)世界の経済金融情報を理解するための基本共通英語300語の3つとなる。今後は、海外投資の専門家とも協力し、ユーザーの満足度を向上させる様々なサービスを提供していくとしている。
2015年08月25日○債券に投資するって、どういうこと?私たち日本の個人投資家にとって、債券投資の代表格は「個人向け国債」。個人向け国債の人気のピークだった2005、2006年には、2年連続で1年間の発行額が7兆円を超える規模にありました。なぜ、個人向け国債をはじめとした債券は、身近な投資対象なのでしょうか? その理由は、株式などとの仕組みの違いにあります。株式投資といえば、日々の値動きにハラハラし、しかも最終的にいくらになるか分からないという不安がつきまといます。一方、債券は国や企業などが投資家からお金を借りる手段です。それら借り手(債券の発行体)が、「○円借りました、その代わりに×%の利息をつけます」と約束した借用証書のようなもの。一般的な円建ての債券の場合は、償還日に元本が返ってくることが約束され、発行体が破綻するなど借金を返せないという事態にならない限り、満期まで保有した場合には損失は出ません。このように、債券は国や企業などの発行体が、破綻するなど資金を支払えなくなる事態にならない限り原則、満期時に元本の返済を約束してくれる点で、株式投資に比べてよりリスクが小さい投資対象といえます。○ところで、債券価格ってどう動く?債券価格はどう動くのでしょうか?判断材料として特に大切なのは、「利回り」です。たとえばある国が5年前に、利率5%で国債を発行していたとします。そして今、景気悪化などで政策金利が引き下げられ、新規発行の国債の条件も利率1%などとなっているとしたら、5年前に発行された国債の価値はどうなっているでしょうか。もし100万円を投資したとすれば、利率が年1%の新しい国債なら、利息は毎年1万円(税引前)が受け取れます。一方、5年前に発行された年5%のものなら、5万円(税引前)の利息が受け取れます。そうすると、5年前に発行した国債の値段は上がりそうですね。この例に見られるように、その国の金利全般が低下すると、過去に発行された債券価格は上がり、逆に上昇すると債券価格は下落します。発行体の信用力の変化など、債券価格に影響を及ぼす要素は他にもありますが、まずこのことを基本として押さえておきましょう。○債券価格はどんなときに上がるの?今、債券市場はどのような環境なのでしょうか?リーマン・ショック以降、米国をはじめとした主要先進国では、政策的に「利下げ」をしてきました。各国の政策金利の水準は、その国の債券利回りにも影響を及ぼすため、その結果として、多くの国の利回りが低下し、債券価格の上昇につながりました。債券の利回りと価格の関係債券は世の中の金利が低下すると、価格が上昇する特徴を持つことから、世の中の金利が低下傾向のときは、債券が優位な環境となります。足元、米国では、低金利に導いてきた金融政策から一転、景気の回復を背景に利上げへの準備を始めています。そうなると、金利は上昇し債券価格の下落につながるため、債券にとっては厳しい環境も想定されます。しかしながら、一般的な債券投資の収益の源泉は、値上がり益(キャピタル・ゲイン)に加え、利息収入(インカム・ゲイン)です。だからこそ、短期的な債券価格の変動を追うだけではなく、中長期的にじっくり継続して利息を受け取っていく付き合い方もあります。○債券ファンドでの債券投資って、どうなの?では最後に、単体の債券に投資する場合と債券ファンドに投資する場合との違いについて考えてみましょう。債券ファンドで投資をすると、運用のプロであるファンド・マネジャーの眼を通して、複数銘柄に分散投資できます。そのため、発行体がつぶれたり資金を支払えなくなるリスク(デフォルト・リスク)からの影響の軽減が期待できます。また、プロの投資家(機関投資家)にしか買えない銘柄にも投資が可能です。このように、債券投資で最も難しい、「どの銘柄がよいかの見極め」をプロがやってくれるところこそがファンドで持つ意義といえます。債券を債券ファンドで持つことの主なメリットプロが銘柄を選択し複数銘柄に分散投資することで、発行体が破綻するリスクからの影響の軽減が期待できる。プロの投資家(銀行や保険会社などの機関投資家)にしか買えない銘柄にも投資できる。●ピクテ投信投資顧問が提供する、「ファンドベーシック」からの転載です。
2015年08月21日リスクの低い資産は? というとイメージするのは債券。しかし、投資環境は変化していきます。これからの時代、資産を守ってくれるのは?○今回のポイント債券の時代の終焉。ほとんど低下余地がなくなった債券利回りは、今後上昇の可能性大(=債券価格下落)。資産を守ってくれる投資対象は時代とともに変化。今後、インフレから資産を守ることが重要。株式も加えた分散投資を!○債券の時代は終わった!?今、マーケットで注目されていることといえば、米国がいつ「利上げ」するか? ですね。2008年のリーマン・ショック以降、世界的に低金利が長く続きましたが、新たなステージに入ろうとしています。債券利回りを長いトレンドで見てみましょう。先進国国債と米国国債の利回りは、約30年かけて10%を超える利回りから下がり続けてきました。利回り低下=債券価格の上昇でしたね。つまり、過去30年間では、債券価格は上昇し続けてきました。だからこそ債券投資でリターンを期待することができていたのです。現在、低下余地がほとんどない債券利回りは、今後米国の利上げを契機に利回りが上昇していく時代に入っていく可能性が高いと思われます。一般的に利回り上昇=債券価格の下落です。○資産を守ってくれる主役交代さらに、私達がこれから念頭に置いておかなければいけないのは「インフレ(物価上昇)」です。日本政府は2%のインフレ目標を掲げています。インフレとは、モノやサービスの値段が上昇することです。インフレ下では、資産をインフレ率と同じ分だけ、増やしていかないと資産の価値が目減りすることになります。現在、日本の預金金利や個人向け国債の利回りでは、インフレ2%を上回るのは難しい状況にあります。昔から、インフレには株式が強いといわれています。従来は、債券を保有していれば、資産を守ることができました。しかし、債券に期待できなくなった今、「欲張らない投資」の実現には、株式を含めた分散投資が必要だといえます。○(月次、期間:1984年12月末~2015年7月末)●ピクテ投信投資顧問が提供する、「「欲張らない投資」のススメ」からの転載です。
2015年08月11日財務省は10日、2015年7月の対外および対内証券売買契約等の状況(指定報告機関ベース)を発表した。それによると、海外投資家による日本株への投資は2カ月連続の売り越しで、売り越し額は3,279億円となった。○国内投資家の株式投資、8カ月連続買い越し中長期債は3カ月ぶりの買い越しで、買い越し額は1兆8,054億円。短期債は2カ月ぶりの買い越しで、買い越し額は2兆5,812億円だった。国内投資家による海外投資について見ると、株式投資は8カ月連続の買い越しで、買い越し額は1兆2,022億円。中長期債は2カ月ぶりの買い越しで、買い越し額は1兆9,679億円。短期債は2カ月ぶりの買い越しで、買い越し額は12億円だった。
2015年08月10日投資に関するアドバイザーは数多く存在しますが、『10万円から始める! 貯金金額別 初めての人のための資産運用ガイド』(内藤忍著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者による手法は、他の専門家とは大きく異なるのだそうです。なぜなら、イギリスの年金運用の手法をベースにしているから。しかもそれは、資産運用の知識がまったくない人でも再現できる方法なのだといいます。特徴は、過剰にリスクを取りすぎることなく、長期分散投資で着実に資産を増やせることだとか。しかし、そもそもなぜ投資をするべきなのでしょうか?コラム「投資をするべき『3つの理由』に、その答えを探してみたいと思います。投資はギャンブルと同じだと思われがちですが、両者には大きな違いがあるそうです。つまり投資は、新しい価値を生み出し、人生を豊かにする手段だということ。では、なぜ投資なのか?この疑問に答えるべく、著者は投資を始めるべき3つの理由を説明しています。■1:将来の生活基盤をつくる最初の理由は、資産を増やして将来の生活の安心を得るため。日本経済の不安定が続く今後に求められるのは、自分の資産は自分で守るという「自己責任」。少子高齢化が進むなか、老後の年金も医療費も、これまでのように国や会社のサポートを期待しづらい状況になっています。だとすれば当然のことながら、自分のお金は自分で用意しなければなりません。また、今後さらに円安になれば、円の価値が下落して日本人の生活水準が下がることに。そのときの対策として、外貨投資も考えておく必要があるというわけです。■2:投資は社会貢献にも次に注目すべきは、「投資は社会貢献にもなる」ということ。投資で得た利益について「あぶく銭」のようなネガティブなイメージを抱く人もいますが、それは正しくないと著者。なぜなら株式などに投資されたお金は、企業の経済活動に使われ、新しい価値を生み出すから。その結果、企業の価値が高まり、投資のリターンとなるということ。いわば投資の利益は、社会に価値が生み出されたことに対するご褒美。お金が社会で有効に使われたことの証明だということです。■3:投資を通じて自己成長そして3つ目の理由は、自己成長。資産とともに自分の成長できるのが、投資の大きなリターンだという考え方です。投資をはじめると、経済の動きやマーケットの変動に注意するようになるもの。そして「なぜ円高になったのだろう?」「どうして景気は悪化しているのだろう?」といった疑問が出てくることになります。そのような疑問を解決していくなかで得られるのは、経済や金融に関する知識。社会人として知っておくべき情報や知識を無理に勉強しなくても、投資について考えることによって、自然と自分で考えて解決できるようになるわけです。*こうした理由があるからこそ、日本人はもっと投資に対してポジティブになるべきだと著者は主張しています。投資の基礎を学ぶことができる本書、興味のある方は読んでみてはいかがでしょうか?(文/印南敦史)【参考】※内藤忍(2015)『10万円から始める! 貯金金額別 初めての人のための資産運用ガイド』ディスカヴァー・トゥエンティワン
2015年08月10日「『投資』は、普通の人にこそ必要」と 前回のコラム で教えてくれた、ファイナンシャルプランナーの岩城みずほさん。今回は、投資を始める前に知っておきたい「わが家は月々いくら投資に回すことができるのか?」についてお話ししてくれます。貯蓄を「生活防衛資金」と「余裕資金」に分ける「投資」は、余裕資金でするというのが鉄則です。「余裕資金」とはなんでしょう?明確な定義はないのですが、「当面使う予定のないお金」と考えていいと思います。銀行の口座に長く貯めたままになっているお金です。そのうち、以下のように、一部を生活防衛資金とします。予期せぬケガや病気で働けなくなった時など、もしもの時のために準備しておくお金です。会社員の家計では、月の生活費×6ヵ月分=生活防衛資金自営業者の家計では、月の生活費×1年分=生活防衛資金となります。なぜ、両者に差があるかというと、会社員は「傷病手当金」を受けられるからです。病気やけがが保障される会社員と、されない自営業者傷病手当金というのは、業務外の病気やけがで会社を休んだ場合、被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。会社を休んだ日が連続して3日間あった上で、4日目以降、休んだ日に対して、1日につき、支給開始日(一番最初に給付が支給された日)以前の継続した12ヵ月間の隔月の標準報酬月額を平均した額(※)の3分の2に相当する額が、最長1年6ヵ月日間支給されます。しかし、自営業者は傷病手当金が受けられないので、仕事を休めば無給状態になってしまいます。より多くの生活防衛資金が必要です。たとえば、生活費が30万円で、当面使い道の決まっていない預貯金が250万円ある会社員世帯の場合、生活防衛資金:30万円×6ヵ月=180万円余裕資金:250万円×180万円=70万円と考えます。月々で考えることもできます。可処分所得(税金や社会保険料を払ったあとの自由に使えるお金)が、月36万円の世帯の場合、生活費30万円を差し引いた6万円のうち、教育資金への貯蓄を5万円とした場合、残りの1万円が余裕資金となります。(生活防衛資金は貯蓄済みと仮定)「余裕資金」の使い方が未来の安心を生むさて、みなさんは、余裕資金を何に使いますか?前から欲しかった洋服やバッグを買いたい。旅行に行きたいなどなど、使い道はいろいろですね。でも、この余裕資金は、資産形成のために投資に回せるお金でもあるのです。今、働いて毎月入ってくるお金は、現在の生活費であり、これからかかる子どもの教育費のために貯蓄しておくお金であり、そして、老後のために貯めて行くお金でもあるのです。今、欲望を少し我慢することで、将来の安心と豊かさをつくることができます。まずは、自分の支出の状況を把握し、なるべくたくさん余裕資金を生み出すことが大切です。次回は、支出をどう意識していけば、家計を合理的にできるのか、とても簡単な方法をお話しします。(※)平成28年(2016年)4月1日より、傷病手当金の支給額の計算方法が変わったため、修正しました。(2016年4月12日)これまでは、病気やケガで仕事を休んだ直近の月の標準報酬日額をもとに計算されていましたが、支給開始日(一番最初に給付が支給された日)以前の継続した12ヵ月間の隔月の標準報酬月額を平均した額で支給されます。1日あたりの金額=支給開始日(一番最初に給付が支給された日)以前の継続した12ヵ月間の隔月の標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3支給開始日以前の期間が12ヵ月に満たない場合は、以下の2つのうち、少ないほうの額で計算されます。・支給開始日の月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額・28万円(当該年度の前年度9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額)
2015年08月03日大切なお金をいくら投資したらいいのか、迷うことも多いはず。どう判断すれば効率的なのかを考えてみましょう。○今回のポイント投資比率が小さければ、金融資産全体でみたリターンは小さい!「欲張らない投資」には、ある程度大きな金額で投資すべき。資産の一部に「欲張らない投資」を組み込めば、高リスクの投資を増やすことなくインフレへの備えが可能に!○「欲張らない投資」の目的って?「欲張らない投資」の目的は、インフレから資産を守るということ。だから、政府・日銀が目指す2%のインフレ目標に勝てたらよいのです。そのためには、大きく上下するものではなく、ゆったりと2~4%のリターンを期待するタイプのものが適しています。○「多い」「少ない」どっちがいい?仮に1,000万円の預貯金があったとすると、物価が2%上昇した場合には、20万円分のお金の価値が目減りしたことになります。この目減り分を補うために行うものが「欲張らない投資」です。では、2つの方向から考えてみましょう。まず1つめが、右図Aのように、大きくリターンを期待できる半面、リスクが高い日本株式に投資した場合。2つめが、右図BのようにAの投資に「欲張らない投資」を加えた場合です。リスクが高い資産へ投資する場合、投資に二の足を踏んで、Aのように投資金額が小さくなりがちです。資産のうち10%しか投資しなかった場合、金融資産全体で考えたリターンはたったの1%。しかし、「欲張らない投資」にも40%投資した場合には、リターンは1.8%~2.6%になり、インフレに勝つことができました。このように、大きなリターンを狙って投資に二の足を踏むより、「欲張らない投資」にある程度の金額で投資したほうがより効果的にインフレへの備えができそうです。金融資産全体でとらえるリターンのイメージ(※日本株式:TOPIX(2013年12月30日~2014年12月30日))(※預金金利:預金額1,000万円以上・預入期間1年(2015年5月25日現在))(※リターンは年率)(※上記はイメージ図です。)●ピクテ投信投資顧問が提供する、「「欲張らない投資」のススメ」からの転載です。
2015年07月27日不動産投資には「難しそう」というイメージがありますし、実際問題、興味があったとしてもなかなか一歩を踏み出せないもの。しかし、『不動産投資は地方に一棟買うことからはじめなさい!!』(竹居百合子著、総合法令出版)の著者は、そうは考えていないようです。■仕事の空き時間で不動産投資2006年から不動産投資をはじめ、今年で10年目になるという人物。現在の所有不動産はアパート・マンション8棟、戸数は100戸、家賃収入は6,800万円ほど。8月末には、総資産は6億4,500万円になる予定だというから驚き。しかも注目すべきは、著者が「特別な人」ではないという事実。2年前に独立するまでは23年間サラリーマン生活を送り、仕事の空き時間を利用して不動産投資をしてきたというのです。そんなことが本当に可能なのかと思いたくもなりますが、物件の選び方を間違えず、しっかり管理すれば、不動産投資は失敗する可能性がとても低いのだそうです。■成功するためのシンプルな法則ちなみに、不動産投資で成功するためのシンプルな法則は、次の3つ。(1)稼げる物件を探す(2)融資の審査をうまく通す(3)きちんと管理する本当にこれだけだけれど、この3つのことをするために、多くの人は時間を浪費しているのが実態。でも、「不動産投資は時間がなくてもできる」という認識を持つことが大切なのだそうです。■足りない時間をうまく使うコツとはいえ、「でも時間がない」という人は少なくないはず。そこで著者がオススメしているのは、お昼休みをうまく使うこと。意外にも思えますが、著者もお昼休み1時間のうち30分で不動産会社や管理会社、銀行と連絡をとってきたのだといいます。管理業はそれぞれのプロに任せ、大家である自分自身は、管理会社、修繕会社、清掃会社などをマネジメントするだけ。このやり方で、不動産投資をはじめて3年半で資産が億を超え、その後も徐々に増やすことができたのだとか。■不動産投資で最初にすべきことただし本書は、無責任に「いいこと」ばかりを並べ立てているわけではありません。つまり、たしかにお昼休みの30分を利用するだけで、一生困らないお金をつくれるけれど、「その前にすべき大切なこと」があるともはっきり述べているのです。それは、まとまった金額の頭金、つまり自己資金を用意すること。なぜなら銀行からは通常、物件価格の1~3割にあたる頭金を要求されるから。頭金ゼロ、全額融資の「フルローン」で買う人もいますが、初心者にとってこれは非常に危険な投資なのだそうです。だからこそ、安全に不動産投資をするなら、まずは自己資金を貯めることが大事だということ。たとえば3,000万円の物件を購入するなら、最低でも500万円くらいの頭金は必要だと考えるべきだといいます。*考え方が現実的で、説明も具体的なので、読んでみれば不動産投資が必ずしも手の届かないものではないことがわかるはず。将来のために、考えてみるのもいいかもしれません。(文/印南敦史)【参考】※竹居百合子(2015)『不動産投資は地方に一棟買うことからはじめなさい!!』総合法令出版
2015年07月20日みなさんは、「投資」にどんなイメージを持っていますか?「怖い」「難しそう」「投資ってギャンブルよね」「誰かが得をすれば誰かが損をするゼロサムゲーム」「まともな人のすることではない」「投資はお金持ちがするもの」などなど。中には、「祖父の代からの家訓で、投資には絶対に手を出すなといわれています」という人もいましたよ。投資ってブラックなイメージがあるようですね。でも、そんな時、私はこう答えます。「あなたが思っているのは、投資ではありません。投機です」と。投機とは、つまり、ギャンブルです。ギャンブルは、勝つか負けるかわからない。結果に法則性がありません。運です。結果をコントロールすることは誰にもできないのです。パチンコ、競馬、競輪そして宝くじなど、「今度こそ!」と夢見て、お金を投じますよね。投資の結果はある程度コントロールできる「投資」はギャンブルではありません。偶然性に賭ける「投機」と違って、「投資」の結果には、ある程度の法則性があり、結果をコントロールすることができます。 第1回のコラム でお伝えしたように、「会社にお金を使わせてあげる」というのは、「将来有望な会社の株式を持つ」ということです。株主になることですね。言い換えれば、モノやサービスを作り出す会社のオーナーになることです。価値を生み出す会社の株を長期保有することで、その会社が成長し、あなたのお金も増やすことができるのです。これを「長期投資」といいます。一方、「短期投資」というのもあります。これは、株を売ったり買ったりして、株の値動きにかけて儲けようとするものです。デイトレードと言って、一日中株価をウォッチして、タイミングをみて売買するので、子育てやお仕事に忙しいママには難しい取引ですね。また、FX(外国為替証拠金取引)も、女性に人気があるようですが、これは、外国為替を使って短期の取引をし、円と交換する時の値段の変動と、金利で儲けようとするものです。為替自体が付加価値を生み出しているわけではないので、こちらも投機の対象だと思います。「投資」は、普通の人にこそ必要みなさんに今後ぜひして欲しいのは、月々の収入から少しずつ、長い期間をかけてコツコツ積立投資をすることです。できるだけ安定的にお金が増えていくように運用していきます。そのためには、何にどう投資していくのかが重要になります。どういう金融商品を持てばお金を安定的に増やしていけるかはこのコラムでお話していきますが、「資産運用をしていこう!」と決めたからと言って、勧められるままにファンドや個人年金保険などを買わないでくださいね。どういうしくみなのか、なぜお金が増えるか(儲かるのか)を理解できない商品や、「あなただけ特別に」などと、耳元でささやかれた時には手を出してはいけません。自分で理解できて、必要だと思う商品を持つことが大切です。そして、「投資ってお金持ちがするものでしょう?」と思っているあなた。お金が十分にある人は、むしろお金を増やす必要なんてありませんよね。「投資」は、普通の人にこそ必要なのです。少しずつコツコツと買っていく「積立投資」で、会社の成長を買って、のんびり資産形成をしていきましょう。次回は、「投資」をスタートするその前に、あなたの家計と支出について考えてみましょう。
2015年07月20日技術評論社は15日、書籍『空き家は使える! 戸建て賃貸テッパン投資法』を発売した。著者は不動産投資家のサーファー薬剤師氏、価格は1,580円(税別)。○戸建て投資の魅力を伝授現在、日本では住宅の7~8戸に1戸は空き家となっている。しかし、このような空き家のうち実に7割以上が活用可能な状態にあるという。著者は空き家を中心に戸建て物件投資を行っており、現在は千葉県に7戸の戸建てを所有し、購入価格は1戸当たり平均318万円、平均表面利回りは24%を誇る。本書では、不動産投資に興味がある人や一棟物・区分物件の投資家などに対し、戸建て投資の魅力とノウハウをわかりやすく紹介している。主な内容は、「第1章 戸建て投資はいまがチャンス! そのワケは?」「第2章 戸建て物件購入記&物件の強みと弱み」「第3章 テッパンの戸建て物件はどこにある?」などとなっている。著者のサーファー薬剤師氏は1980年東京都足立区生まれ。薬科大学卒業後に薬剤師免許取得。オーストラリアにワーキングホリデーに行った後、帰国し、パート薬剤師のかたわら、輸入販売を手がけるが挫折。その後、著名不動産投資家の石原博光氏に出会い、不動産投資の勉強を始める。2012年に第1号の物件を取得。現在、大手不動産投資ポータルサイト「楽待」にコラムを掲載している。
2015年07月15日最近の日本の話題は、「インフレ」と「低金利」。今後はどのように付き合っていくのがよいのでしょうか。○今回のポイント今、預貯金や債券では、インフレ対策には不十分といえそう。これからは、インフレに強いといわれる株式の出番かも!でも、株式は怖い。そんなときには、株式も投資対象としているバランスファンドに投資することも考えてみよう。○今、日本で起きていること現在、日本政府・日銀は2%の物価上昇(インフレ)を目指しています。実際に物価が2%上昇すると、現在100万円の車は1年後には102万円出さないと買えなくなります。インフレになると、今まで買えたものが同じ金額では買えなくなってしまいます。つまり、お金の価値が実質的に減ってしまうのがインフレです。○株式の力を借りてインフレに対抗!そこで、今後はインフレに強いといわれる株式の出番。…といっても、株式は怖い。そんなときには、株式を含めた複数の資産に分散投資するバランスファンドを考えてみる余地がありそうです。日本の物価上昇率目標と個人向け国債の利回り・預金金利(2015年5月末現在)●ピクテ投信投資顧問が提供する、「「欲張らない投資」のススメ」からの転載です。
2015年06月25日大垣共立銀行と共立キャピタルは15日、共同で設立した「大垣共立アグリビジネス1号投資事業有限責任組合(OKBアグリビジネスファンド)」による第1号投資を実行した。OKBアグリビジネスファンドはアグリビジネスへの支援強化を狙い、2013年6月に開設した「アグリビジネスサポートデスク」の資金支援制度。将来性のあるアグリビジネス企業へ長期安定資金を供給することで東海地方のアグリビジネス発展に貢献しようと2014年3月に設立したもの。このたびの第1号投資では「農業生産法人 株式会社HighlandFarm東濃」が新規事業としてチャレンジする、資源循環型の農業構築を目的としたバナメイエビの閉鎖循環式陸上養殖(陸上において飼育水を濾過(ろか)システムで浄化しながら、循環利用する養殖方式。安定した環境下での飼育が可能で、病気が蔓延する心配が少ない)プロジェクトを支援するという。OKB大垣共立銀行はこれからも、グループの総合力を活かしてアグリビジネスの成長産業化を推進し、地域の「地方創生」を積極的に支援していくとしている。
2015年06月17日アジアインフラ投資銀行とはなにか?最近何かと話題の中国主導の国際金融機関「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」。2015年末からの本格始動を開始する予定ですが、AIIBの始動で東南アジアの状況も大きく変わる可能性があります。今回は、東南アジア地域において、AIIBがどのような影響を及ぼすのかこれまでの事実を鑑み、考察してみたいと思います。そもそもAIIBとはどのような機関なのか。AIIBは名前の通りアジア地域のインフラ開発を促進するための資金を融資するために創設される国際機関です。創設メンバーは全57カ国で、東南アジア諸国連合(ASEAN)全10カ国のほか、イギリス、フランス、ドイツなど欧州主要国、ブラジル、インド、ロシア、南アフリカのBRICS諸国、サウジアラビアなどの中東諸国が含まれています。今年5月にシンガポールで開催されたAIIBの第5回会合では、創設メンバー57カ国の代表がAIIBの設立協定に合意しました。また6月末には北京で創設メンバーによる協定署名式を実施する予定で、今年末の始動に向けて着々と準備を進めています。AIIB初代総裁はまだ決定されていませんが、元ADB(アジア開発銀行)副総裁の金立群・元中国財政次官が有力視されています。金氏はAIIBの設立準備事務局長を務める人物です。これまで明らかになったところでは、AIIB発足時の資本金は当初計画の2倍に相当する1000億ドル(約12兆円)になるとみられています。このうち、中国の出資比率は20%台後半になる可能性が高いといいます。©Singapore Tourism Board東南アジア諸国にとってのAIIBの存在意義なぜAIIBがこれほどニュースで取り上げられるのか。それは、米国主導の世界銀行・IMFによる国際金融システムに対抗する機関として創設される意味が非常に大きいからです。国際政治学の世界では、米国が覇権国家となれたのは世銀・IMFを中心にした国際金融システムによるところが大きいと見られています。また同時に、米国の覇権は新興国の台頭を背景に明らかに弱まっており、世界は多極化に進んでいるという見方が多くなっています。AIIB創設は、まさにこの多極化を象徴する出来事として見ることができます。東南アジア諸国にとっては、これまでインフラ開発するときの資金を融資してくれる国際金融機関は世界銀行かIMFしかありませんでした。しかし、世界銀行・IMFから資金を借りるときは、厳しい融資条件を受け入れる必要があり、マレーシアがIMFの融資プログラムを断ったケースに見て取れるように、この国際金融システムはインフラ開発をスムーズに進めることのできるものではなかったと言えるでしょう。そこに、米国と覇権を争う中国が、アジアのインフラ開発に特化した金融機関創設を発表したので、インフラ開発需要が高まる東南アジア諸国は真っ先にAIIB参加を決めたわけです。一方で、世界銀行グループで、アジアのインフラ開発を担当してきたADBはその存在意義を示すために、AIIBに対抗する必要がでてきました。これは、今年5月東京で行われた安倍首相の講演内容から伺うことができます。安倍首相はこの講演で、官民の資金を総動員し、アジア地域で良質なインフラ開発を促進する構想を正式に発表し、日本とADBによる支援額を現在より30%増やし、今後5年間で1100億ドル(約13.3兆円)にするというものです。明らかにAIIBに対抗する意識を読み取ることができると思います。東南アジア諸国にとっては、インフラ開発資金を借りられる先と額が増加することを意味し、今後東南アジアのインフラ開発は加速していくことになるでしょう。ADBは国際金融機関なのに、なぜ日本がここまで肩入れするのか、と疑問を持つ方もいるかもしれません。しかし実際は、世銀・IMFを取り仕切る米国の同盟国である日本がADBを創設以来取り仕切っています。それは、出資比率と歴代総裁を見てみると明らかです。2013年時点のADBの最大出資国は日本(出資比率15.7%)です。米国の出資比率は15.6%と2番目で、米国から日本がADBを任されている構図がお分かりかと思います。また、ADBの歴代総裁は全員が日本人で、前総裁は現日銀総裁の黒田東彦氏でした。このような構図があるため、米国と日本は一緒になって、世銀・IMFとADBの存在意義を相対的に低下させてしまうAIIBの動きに懸念を示しているのです。©ASEAN-Japan CentreAIIBとADBによる競争で、東南アジアのインフラ開発は加速するか?インフラ開発の中でも、交通インフラの整備が進むことが予想できます。中国は陸・海上の壮大な経済圏「シルクロード(一帯一路)」構想を実現しようとしています。一帯一路とは海上と陸上のインフラを整備して、アジア・中東・欧州をつなぐ巨大経済を創りだそうというもの。海上では中国から南シナ海・インド洋を経由し、欧州に向かうルートと、南シナ海から南太平洋に延びるルート、陸上では中国から①中央アジア・欧州・ロシア、②中央アジア・西アジア・地中海、③東南アジア・南アジア・インド洋の3ルートを整備することを計画しています。これに伴い、日本もADBを通じてアジア地域における交通インフラ整備に力を入れることが予想されます。実際に、タイでの高速鉄道建設プロジェクトでは日本と中国が競り合い、結果日本の新幹線を建設することで合意しています。またマレーシア―シンガポール間でも高速鉄道建設が計画されており、日本政府はここにも新幹線を売り込もうと、安部首相自らトップセールスをしかけています。東南アジア諸国にとって資金調達先を選択できるようになるということは、競争の原理がある程度機能し、資金を借りやすい環境が整うことが予想されます。そうなれば、インフラ開発が遅れていた地域もこれまでより速いスピードで発展できる可能性があります。©ASEAN-Japan Centre©ASEAN-Japan Centre観光にも影響が及ぶでしょう。インフラが整えば、観光産業も盛り上がることが見込まれので、これまで行ったことのないような場所に旅行できるようになるかもしれません。シンガポール―マレーシア間の高速鉄道が完成すれば、これまで6時間かかっていたクアラルンプールとシンガポールの移動は1時間30分に短縮されると言われています。またタイやラオスなどにも高速鉄道が建設される可能性もあります。新幹線でいろんなところに旅行することが、東南アジアでもできるようになる日もそう遠くはないでしょう。(text : 細谷 元)アジBiz ~1分で読める東南アジアのビジネス情報~その他の記事を読む>
2015年06月17日日経平均株価が2万円台を回復するなどの投資環境の変化で、これまで投資に興味がなかった人でも、投資をやってみようかと心の片隅で思い始めた人も多いのではないだろうか。若い世代にとっても、ここ数年は給料を貯金に回す傾向が見られたが、最近の株高で、投資に興味を持つ人が増えているようだ。そうした中、エイト証券が「スマホ世代向け」に提供を始めたのが『8 Now!(エイトナウ)』という国際分散投資サービスだ。今回は、同社代表取締役社長の飯盛信文氏に、『8 Now!(エイトナウ)』のサービス提供にいたった経緯や、そのサービス内容についてお伺いした内容を紹介したい。飯盛社長へのインタビューの前に、『8 Now!(エイトナウ)』のサービス内容を簡単に説明したい。『8 Now!(エイトナウ)』は、オンライン上の8つの質問に答えるだけで、顧客のリスク許容度や投資目的に沿った最適なポートフォリオを提案。ポートフォリオは、米国大手の投資調査・運用会社であるMorningstar Investment Management(モーニングスター・インベストメント・マネジメント)社が開発したアルゴリズムを用いて作成され、海外の株式・債券など異なる資産を組み合わせた米国市場に上場されたETFで構成される。また、市場の動向に基づき、自動的にリバランス(構成銘柄や構成比率の見直し)される。価格は約1万円(88米ドル)から始めることが可能。ポートフォリオ評価額の0.88%(年率・税抜)の投資顧問料を月額で支払う。追加の手数料や違約金はなく、顧客の自由な判断で追加購入・売却を行うことができる。24時間365日、PC、タブレット、スマートフォン、どんなデバイスからでも、すぐに顧客のポートフォリオの損益を確認できる。○「エイト証券」ってどんな会社?――『8 Now!(エイトナウ)』のサービスを簡潔に表現していただけますか?一言で言いますとラップ口座の一種で、国際分散投資をしてみませんかという商品です。それも敷居の高い話ではなくて、非常な小口で投資ができます。88米ドル、約1万円から海外のポートフォリオを組んで投資ができる画期的なサービスです。今年の5月26日にサービスを開始しました。――それまでエイト証券さんというのは、どういったサービスをされていたのでしょうか。私どもは、基本的には証券会社と名のつくとおり、株の取引仲介をしている会社ですが、ちょっと違うのは、一般的には野村證券さんを初めとした証券会社、あるいはオンラインの証券会社のSBI証券さんなどと異なるのは、日本株をやっていない点です。たぶん、一般の投資家のイメージで証券会社というと、たとえば東京証券取引所の株を売ったり買ったり、あるいは投信を販売したりと、そんなイメージがあると思うのですが、私どもの特徴は、外国株を中心に扱っているということです。――外国株というと、どちらの株になりますでしょうか。私どもは、昨年3月に社名変更をしたのですが、それ以前はユナイテッドワールド証券という社名で、社歴自体は長く13年ほどこの商売をしております。香港の取引所に上場している株式の仲介業をしてきました。社名変更後の昨年4月からは、アメリカの証券取引所に上場の株の取り扱いも始めました。――なるほど。中国株と米国株を取り扱ってらっしゃるんですね。実は当社はオンラインでの中国株のパイオニアでして、あまり知られていませんが、大手さんの会社のシステムを全部私どもがやっていました。一時期大きな中国株ブームがありましたが、当時、日本の投資家から香港への投資というと、たぶん、システム面での半分以上のシェアは当社が持っていたと思います。○米国市場のETFを組み合わせると、国際分散投資が可能に――知る人ぞ知る、という感じですね。『8 Now!(エイトナウ)』のサービスは"国際分散投資"ができるということですが、御社のそうしたバックグラウンドを背景としたものと言っていいのでしょうか。"国際分散投資"と言葉だけで言うと、いろんな市場の株を買っているようなイメージがあると思いますが、そうなると手間もかかるし、コストもかかってしまいます。かつ、個別の株を買っていくと、各国ミニ株もありますが、基本は単位株がありますので、今お話しした1万円という非常に小さなお金では投資ができません。ただ、お聞きになったこともあるかもしれませんが、実は米国の市場は、ETF(上場投資信託)の銘柄数がすごく多いんです。ETFは株と同じようにいつでも売ったり買ったりできるのが特徴でして、資源とか通貨、いろんなところに投資をしている。インデックス投信というものですが、これが米国にはたくさんありまして、米国市場のETFを組み合わせると、必然的にいろんなところに投資をするのと同じ効果が得られるのです。○『8 Now!(エイトナウ)』は「コストが安い」「手間いらず」が特徴――『8 Now!(エイトナウ)』では、ETF(上場投資信託)を活用して、国際分散投資を行うのですね。そうです。また、ETF(上場投資信託)は、非常にコストが安いのも特徴です。――なるほど。『8 Now!(エイトナウ)』のコンセプトはいくつかありまして、まず第一は、若い層に参加してほしい。ここ1年は株価が好調ですが、ここ10年、15年はあまりいい投資環境ではなくて、若い層が投資の世界に入ってきてないんですね。昨今、各社さんが手をうったり、国としても投資の方に目を向けてもらうためにNISA(少額投資非課税制度)を創設したりしていますが、なかなか難しい。そこで我々は、特に25歳ぐらいから35歳ぐらいまでの若い層に投資をしていただくためには、何が必要か考えました。我々の今の品揃えから見ると、アメリカや香港の個別株を買うというのは、投資に慣れていないとなかなか難しい。また若い方々は仕事などで時間に追われている人もいて、手間がかかるものも難しい。そこで、コストも安く、手間もかからず、手軽に投資ができる『8 Now!(エイトナウ)』のサービスを開発しました。○スマホで見ると一番きれいに見えるように設計――実際に見せていただけますか。これが『8 Now!(エイトナウ)』のページです。ここに口座をつくってくれた方はログインしてからとなりますが、口座をつくってなくても、ニックネームでいいのでお名前を入れていただいて、Eメールアドレスを入れていただくと、ポートフォリオを組むという作業が始まります。実はこのようにPCでもできますが、若い方々とお話しして分かったのは、PCをあまり見なくて、ネットはほとんどスマホで見るという方々が多いことです。ですので、『8 Now!(エイトナウ)』は、スマホで見ると一番きれいに見えるようにつくってあります。――まさに"スマホ世代向け"なんですね。ポートフォリオを組むときは、どんな質問をされるのですか。どんな投資がお好みですかとか、どれぐらいの投資期間をお考えですとかとか、です。見た目はシンプルに作っていますが、裏では最先端のロボ・アドバイザーが走っています。8個答えていくと裏でアルゴリズムが走るのです。○モーニングスターのアルゴリズムが銘柄選定――人工知能(AI)みたいな感じですね。まさにその通りです。実は当社の社員が開発したわけではなくて、米国のモーニングスターという、信託評価とか、調査とか、投資顧問をやっているこの世界ではかなり有名な会社がありまして、そこが持っているアルゴリズムと契約し、それが裏で走っています。――銘柄を選ぶのはアルゴリズムなんですね。質問をすると、答えた人の投資性向や、債券、株式、その他の投資割合、北米、アジアなど投資先の地域がこういう比率で組まれました、という結果が出てきます。これは具体的なETFの銘柄としても表示されます。実はこれだけでは終わりません。○「リバランス」で自動的に組み入れ銘柄を組み換え――と言いますと…今日はこの組み合わせが一番いいけれども、来年この組み合わせがいいとは限らないじゃないですか。マーケットが動いていますから。そこで、人工知能が裏側で、ある定点で検証を常にしています。例えば、どこかで非常に大きな経済事象が起こったとか、あるいは為替が動いたとか、マーケットが暴騰した、暴落したというようないろんなケースにおいてポートフォリオの見直しを行います。これを「リバランス」といいます。――組み入れ銘柄の組み換えが自動的に行われるわけですね。人工知能だけではありません。この商品、強烈なのは投資顧問料以外、一切いただかないんです。○投資顧問料の比率は0.88、1万円のポートフォリオで年間約90円――投資顧問料の比率は0.88となっていますが…たとえば1万円のポートフォリオですと、1年間で90円ぐらいしかいただかないのです。――かなり低く感じます。はい。まず、『8 Now!(エイトナウ)』を広げたいのです。投資リテラシーが固まっていない方々に、まずは触れていただきたいのです。投資額が1万円なら、多くの若い方がその意欲をお持ちだと思うんです。――ちょっとしたゲーム感覚と申し上げても大丈夫ですか。はい。たとえば、投資にも自己満足が必要です。その満足は人によって違うのですが、何となく思っているのは、語弊があるかもしれませんが、USドルを使って海外のポートフォリオを持っているという行為が"カッコイイ"という感覚です。ファッショナブルというような意識を持っていただくのもいいと思います。――USドルを少額でも持つことで、経済ニュースなどに興味を持つきっかけにもなるかもしれませんね。本日はありがとうございました。飾らなく話してくれる飯盛社長の語り口が印象的なインタビューだった。全ての資産を預金で持つことに不安を感じる人は多いと思うが、その不安をどう行動に転換したらいいのか分からない人も多いのではないだろうか。その一つの選択肢として、『8 Now!(エイトナウ)』もアリではないか、と感じさせられたインタビューだった。興味がある方はこちらからアクセスしていただきたい。
2015年06月11日クレディセゾンは1日、シード・アーリーステージの国内ベンチャー企業に投資を行う「セゾン・ベンチャーズ」を設立したと発表した。国内カード業界では初のコーポレート・ベンチャーキャピタルとなるという。セゾン・ベンチャーズでは、これまでクレディセゾンがクレジットカードビジネスにおいて培ったリテールファイナンスのノウハウとグループの顧客基盤、革新的な商品・サービス、多種多様な提携パートナーといった資産を活用し、投資先ベンチャー企業の成長をサポートする。主な投資対象は、「金融×IT(Fintech)」の分野で次世代の金融・決済ソリューションの創造に挑戦する意欲的なベンチャー企業、カード会員資産や永久不滅ポイントなど、クレディセゾン固有の経営資源を活用し、日常の生活や消費シーンを大きく変える可能性を秘めたインターネット・モバイル関連のベンチャー企業などとなる。今後は、「変化に対応できるノンバンク」として、クレジットカードをはじめとする多彩な決済サービスの提供、リース事業やファイナンス事業といったノンバンクビジネスの強化、ネットビジネスを通じたフィービジネスの拡大、ASEAN諸国への本格的な参入など、持続的な成長を実現するための基盤構築に向け、ベンチャー企業との連携を強化し、新たな収益源を確立していくという。
2015年06月01日ノークリサーチは、2015年中堅・中小企業におけるPC関連の投資規模と今後の投資意向に関する調査の分析結果を発表した。この調査は、全国の農業/林業/狩猟業/漁業/鉱業を除く、年商5億円以上~500億円である国内民間企業の、企業経営もしくはITの導入/選定/運用作業に関わる職責者を対象に、2015年1月~4月に実施されたもの。有効回答件数は771社。調査結果からは、PC更新サイクルが徐々に長期化しており、今後、Windows 10やスマートデバイスの影響も検討が必要となることがわかった。PC関連投資規模の平均成長率(2014年~2019年)は0.86%となっており、ほかの投資分野と比べて低い値だという。その大きな要因の1つがWindows XPが長期間にわたって使い続けられたことなどに起因するPC更新サイクルの長期化が挙げられている。今夏~秋にリリースが予定されているWindows 10ではリリース後の1年間、Windows 7/8.xを対象とする無償アップグレードがSA契約の範囲内で提供される予定だ。また、Windows 10における機能強化などは「バージョンアップ」とは異なる「サービス形態」で提供される予定。中堅・中小企業においてもWindowsはPC向けOSの大半を占めるため、Windows 10の発売によってPC更新サイクルにも大きな影響を与える可能性が考えられる。また、年商30~50億円の企業ではPC更新にやや消極的で、企業規模と投資意向は必ずしも比例しないことも明らかとなった。なお、同調査で「PC関連」とされるものは、従来存在するPCハードウェアを導入する形態だけではなく、仮想化したサーバ上で複数のPC環境を動作させる「仮想PC型(VDI)」や、サーバ上のアプリケーションを複数ユーザーで共有する「共有サービス型」、各PCを遠隔操作する「1to1型リモートアクセス」、仮想PC型VDIをSaaS形態で利用する「DaaS」の利用形態も含めて算出されている。長期化するPC更新サイクルへの対策を講じるためにはPC販売にとどまらない視点の拡大が重要となってくるとも述べられている。
2015年05月20日京浜急行電鉄は5月13日、平成27年度の鉄道事業設備投資計画を発表し、鉄道事業において総額約207億円(うち安全対策設備投資は約177億円)の設備投資を行うことを明らかにした。具体的には、高架橋耐震補強工事、法面防護、トンネル補修、橋梁補修などの防災・地震対策が積極的に行われるほか、ホーム隙間・段差解消など駅の改良工事、車両の新造・改造・更新、列車無線の改良工事、大師線連続立体交差事業(第1期)工事などの安全対策も実施される。約43億円かけて、新型車両として「新1000形」が20両新造され、現行車両の2100形が24両更新される。駅改良工事としては約25億円をかけて、ホーム隙間・段差を解消する工事が黄金町駅と三崎口駅で行われ、金沢八景駅・神奈川新町・日ノ出町駅・逸見駅・堀ノ内駅・穴守稲荷駅で、駅舎改修・改築が行われる。
2015年05月14日東急電鉄は5月13日、2015年度の鉄軌道事業設備投資計画を発表した。同社は、2015年度に鉄軌道事業で総額482億円の設備投資を行う。同計画によると、田園都市線の6ドア車45両の4ドア車への置き換えを開始し、車両のドア位置の課題を解消することにより、従来のホームドア設置計画を10年以上短縮する。2020年を目標に東横線・田園都市線・大井町線全64駅にホームドアを設置し、今年度は、東横線の都立大学駅、新丸子駅、元住吉駅、大倉山駅、菊名駅、田園都市線の宮前平駅、大井町線溝の口駅など10駅で工事に着手する。踏切安全対策として、昨年度から、踏切内を立体的に検知できる3D式の踏切障害物検知装置の設置を開始しているが、今年度は、妙蓮寺-白楽駅間などで光線式から3D式へ更新するほか、緑が丘-自由が丘駅間の未設置場所への新設を含め、15カ所への設置を目指す。また、五反田駅などの駅改良工事やあざみ野駅などのホーム屋根ふきかえなどの施設更新を行うなど、長寿命化工事・施設更新・ホーム屋根補強工事などの減災対策も行われる。バリアフリー対策としては、用賀駅や宮前平駅にエスカレーターを新設するほか、菊名駅などでは、複数のバリアフリー経路を確保するため、エレベーターを増設する。さらに、雨の日でも快適に利用できるよう、鷺沼駅、たまプラーザ駅などでホーム屋根を延伸する。
2015年05月14日