11月30日(現地時間)、第89回ニューヨーク映画批評家協会賞が発表された。作品賞は、マーティン・スコセッシ監督の『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』、監督賞はクリストファー・ノーラン(『オッペンハイマー』)、主演女優賞はリリー・グラッドストーン(『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』)、主演男優賞はフランツ・ロゴフスキ(『パッセージ』)、助演女優賞はダヴァイン・ジョイ・ランドルフ(『The Holdovers』)、助演男優賞はチャールズ・メルトン(『May December』)、アニメ映画賞は宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』が受賞した。「Variety」誌によると、ニューヨーク映画批評家協会賞作品賞を受賞した映画は、アカデミー賞の作品賞に候補入りすることがほとんどであり、2009年から今年まで候補入りを逃したのは『キャロル』と『ファースト・カウ』のみとのこと。スコセッシ監督がニューヨーク映画批評家協会賞で作品賞を獲得したのは、『グッドフェローズ』『アイリッシュマン』に続く3度目。80年以上の歴史を誇る同賞で、ほかに作品賞を3度受賞した監督は、ハリウッド黄金期に活躍したウィリアム・ワイラーとフレッド・ジンネマンだけである。(賀来比呂美)■関連作品:君たちはどう生きるか 2023年7月14日より公開©2023 Studio Ghibliキラーズ・オブ・ザ・フラワームーン 2023年10月20日より世界同時劇場公開画像提供 Apple TV+
2023年12月01日11月27日(現地時間)、第33回ゴッサム賞授賞式が開催された。A24の『Past Lives(原題)』が最高賞の作品賞を受賞した。同作はセリーヌ・ソンの長編監督デビュー作。韓国・ソウルの幼なじみの男女が、片方の家族がカナダに移住したことで疎遠になるも、20年以上の時を経て再会するという恋愛ドラマだ。セリーヌ・ソンの半自伝的な物語であり、セリーヌ・ソンは脚本も手掛けている。主演はグレタ・リー(「ザ・モーニングショー」ステラ役)、ユ・テオ(『めまい 窓越しの想い』)。今年1月、サンダンス映画祭にて世界初公開された。ゴッサム賞の作品賞を受賞したことに、映画ファンは「とても美しい映画」「作品賞にふさわしい」「オスカーの作品賞にもノミネートされますように」「今年、私を泣かせた唯一の映画」などの感想をXに寄せている。山田太一の小説「異人たちとの夏」をアンドリュー・ヘイ監督が映画化した『異人たち』は、脚本賞(アンドリュー・ヘイ)、国際長編映画賞、主演賞(アンドリュー・スコット)、助演賞(クレア・フォイ)の最多4ノミネートを果たしたものの、受賞ならず。脚本賞&国際長編映画賞は『Anatomy of a Fall』、主演賞はリリー・グラッドストーン(『The Unknown Country』)、助演賞はチャールズ・メルトン(『May December』)が受賞した。(賀来比呂美)
2023年11月29日国内映画賞のトップを飾る第48回報知映画賞の各賞が決定。『ヴィレッジ』『春に散る』の演技が評価された横浜流星が、昨年の助演男優賞に続いて主演男優賞を初受賞。また、主演女優賞は『レジェンド&バタフライ』『リボルバー・リリー』の演技が評価された綾瀬はるかが初受賞した。『リボルバー・リリー』報知映画賞は、スポーツ新聞が単独開催する初の映画賞として1976年に誕生。年末から年明けにかけて日本各地で開催される映画賞の中でも、先陣を切って発表されるため、その年の受賞者・受賞作品を占う意味でも大きな注目を集めている。『月』作品賞・邦画部門は宮沢りえ主演、石井裕也監督による『月』が受賞し、同作に出演した磯村勇斗、二階堂ふみがそれぞれ助演男優賞、助演女優賞に選ばれ、3冠。監督賞は『ゴジラ-1.0』山崎貴監督が受賞した。第48回報知映画賞各賞作品賞・邦画部門『月』作品賞・海外部門『グランツーリスモ』アニメ作品賞『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』監督賞山崎貴『ゴジラ-1.0』主演男優賞横浜流星『ヴィレッジ』『春に散る』主演女優賞綾瀬はるか『レジェンド&バタフライ』『リボルバー・リリー』助演男優賞磯村勇斗『月』助演女優賞二階堂ふみ『月』新人賞アイナ・ジ・エンド『キリエのうた』(シネマカフェ編集部)■関連作品:リボルバー・リリー 2023年8月11日より全国にて公開©2023「リボルバー・リリー」フィルムパートナーズヴィレッジ(2023) 2023年4月21日より公開©︎2023「ヴィレッジ」製作委員会レジェンド&バタフライ 2023年1月27日より全国にて公開©2023「THE LEGEND & BUTTERFLY」製作委員会春に散る 2023年8月25日より全国にて公開©2023映画『春に散る』製作委員会ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー 2023年4月28日より全国にて公開(C) 2023 Nintendo and Universal Studiosキリエのうた 2023年10月13日より全国にて公開Ⓒ2023 Kyrie Film Bandグランツーリスモ 9月15日(金) 全国の映画館で公開月 2023年10月13日より新宿バルト9、ユーロスペースほか全国にて公開(C)2023『月』製作委員会ゴジラ-1.0 2023年11月3日より全国東宝系にて公開©2023 TOHO CO.,LTD.
2023年11月28日第15回TAMA映画賞の授賞式が26日に東京・パルテノン多摩にて行われ、受賞者が揃った。『わたしの幸せな結婚』『月の満ち欠け』で最優秀新進男優賞に輝いた目黒蓮。「こうして賞をいただけると、作品が生き続けてくれているんだなと実感することができて、とてもありがたく思います」と感謝する。塚原あゆ子監督との出会いが大きかったそうで「『リアルを大切にしてほしい』ということをすごく言っていただいて。塚原監督はお芝居をするというよりも、『こういうことを言われたらこういう反応になるよね』とか、『こういう表情になるよね』とか、現実を大切にされている方なので、お芝居経験がまだ少ない時期に塚原さんと出会うことができて本当に幸運だなと思いますし、『わたしの幸せな結婚』を撮影した後の作品でも、塚原さんに教えていただいたことが生きてきたなと感謝しています」と語った。今田美桜との共演シーンについては「今田さんが今までやってこられていた役や印象として、華やかな方なのかなというイメージがあったので、初めて対峙してお芝居をした時に美世というキャラクターの悲壮感といいますか、そういう部分が表現されていて、僕自身やりやすかったですし役に没頭することができたなと思います。感謝しています」と表す。普段の活動と役者としての活動について聞かれると、「ダンスや歌、振り付けを覚えるのと、アクションは結び付いてはいけないものといいますか、塚原さんに教えていただいたことでもあるんですけど、アクションが振り付けっぽくならないように『きれいにやらないでほしい』と言っていただいて、崩していくような感覚でアクションをやらせてもらっていました」と振り返る。「逆にふだんのSnow Manの時の歌、ダンスパフォーマンスの表現力は、お芝居をたくさん経験させてもらううちに、表現の幅が増えたのかなと思います」と相互に作用している様子。さらに「Snow Manでいる時はなるべく『目黒蓮』というものをどれだけ足していくかという感じなんですけど、役を演じさせていただく時はどれだけ自分を引いていくか。足し算と引き算で全然違うことやってる感覚なんですけど、どちらもすみわけられて楽しくやらせてもらってます」と説明した。最後に目黒は「常に思っているんですが、自分というのは作品のためにあって、作品を通して何か思いを伝えたり、その思いが一人でも多くの方に作品を通して届けばいいなと思いますし、自分が演じるにあたって、観てくださった方の人生、生活に何らかの影響を与えられるようなお芝居ができたらいいなと思います」と語る。「ありがたいことに、いくつか話をいただいているんですけど、誰かがじゃなくて自分がやるべきだと思えるような作品、自分の心も動くような作品に出演させていただいて皆様にお届けできればいいなと思います」と今後の活動についても意気込んだ。○受賞一覧■最優秀作品賞『怪物』(是枝裕和監督 及びスタッフ・キャスト一同)『雑魚どもよ、大志を抱け!』(足立紳監督 及びスタッフ・キャスト一同)■特別賞宮崎駿監督及びスタッフ・キャスト一同(『君たちはどう生きるか』)上田誠氏、山口淳太監督はじめヨーロッパ企画及びスタッフ・キャスト一同(『リバー、流れないでよ』)■最優秀男優賞佐藤浩市(『春に散る』『せかいのおきく』『仕掛け人・藤枝梅安 2』『大名倒産』『キングダム運命の炎』『ファミリア』『映画 ネメシス 黄金螺旋の謎』)鈴木亮平(『エゴイスト』『劇場版TOKYO MER 走る緊急救命室』)■最優秀女優賞菊地凛子(『658 km、陽子の旅』)黒木華(『せかいのおきく』『ヴィレッジ』『映画 イチケイのカラス』『ほつれる』)■最優秀新進監督賞福永壮志監督(『山女』)金子由里奈監督(『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』)■最優秀新進男優賞目黒蓮(『わたしの幸せな結婚』『月の満ち欠け』)奥平大兼(『君は放課後インソムニア』『ヴィレッジ』『あつい胸さわぎ』『映画 ネメシス 黄金螺旋の謎』)■最優秀新進女優賞山田杏奈(『山女』)高石あかり ※高ははしごだか(『ベイビーわるきゅーれ 2 ベイビー』『Single8』『セフレの品格 決意』『わたしの幸せな結婚』ほか)
2023年11月25日“韓国のアカデミー賞”とも称される第59回大鐘賞映画祭にて、映画『コンクリート・ユートピア』が作品賞をはじめ、イ・ビョンホンの主演男優賞、キム・ソニョンの助演女優賞ほか6冠を獲得。また、シリーズ部門では「ムービング」が作品賞に選ばれるなどディズニープラスオリジナル作品が圧倒した。大鐘賞映画祭は、青龍映画賞、百想芸術大賞とともに韓国の3大映画賞といわれる中で最も長い歴史を持つ映画賞。今回、京畿アートセンター大劇場にて11月15日(水)に行われた授賞式はYouTubeで生中継された。『隠された時間』で高評価を得たオム・テファ監督が、イ・ビョンホン、パク・ソジュン、パク・ボヨン、キム・ソニョン、キム・ドユンら豪華キャストを迎えた『コンクリート・ユートピア』(2024年1月5日より公開)は、大地震により一瞬にして廃墟と化したソウルで唯一崩落しなかったマンションを舞台に、生存者たちが極限状態で巻き起こす濃密な人間ドラマを描いた。崩落をまぬがれたマンション=“ファングンアパート”では居住者だけのルールを定め、“ユートピア”を築こうとする。そこで住民代表に選ばれるヨンタクを狂気を持って演じたイ・ビョンホンが、『白頭山大噴火』などに続いて自身4度目の主演男優賞を受賞。「愛の不時着」や『三姉妹』『人生は、美しい』など多くのドラマ・映画で知られ、“ファングンアパート”の婦人会会長としてヨンタクを支持するグメを演じたキム・ソニョンが助演女優賞に。美術賞、音響効果賞、視覚効果賞とディストピア的世界観の表現も評価された。同作は現地韓国では8月9日より公開され、初登場動員数1位、公開7日で観客200万人を突破する大ヒットスタートを切った。トロント国際映画祭、シッチェス・カタロニア国際映画祭、ハワイ国際映画祭などへ出品され、第96回アカデミー賞国際長編映画賞の韓国代表作品ともなっている。また、監督賞は同じくトロント国際映画祭で北米プレミアされた『密輸』(原題/英題『Smugglers』)のリュ・スンワン監督。新人女優賞は『あしたの少女』のキム・シウン、新人男優賞は『貴公子』(原題)のキム・ソンホ。キム・シウン『あしたの少女』2月9日(金)より日本公開の『梟ーフクロウー』のアン・テジン監督は新人監督賞と脚本賞を受賞。ドキュメンタリー賞ではヤン・ヨンヒ監督による『スープとイデオロギー』が受賞した。今年から初めて動画配信サービスの作品も対象になったシリーズ部門では、「ムービング」が作品賞・女優賞(ハン・ヒョジュ)、「カジノ」が監督賞・男優賞(チェ・ミンシク)という結果となった。ハン・ヒョジュ「ムービング」ディズニープラスにて配信中主な受賞結果作品賞:『コンクリート・ユートピア』監督賞:リュ・スンワン『密輸』(原題)新人監督賞:アン・テジン『梟ーフクロウー』脚本賞:アン・テジン、ヒョン・ギュリ『梟ーフクロウー』主演男優賞:イ・ビョンホン『コンクリート・ユートピア』主演女優賞:キム・ソヒョン『ビニールハウス』(原題)助演男優賞:オ・ジョンセ『クモの巣』(原題)助演女優賞:キム・ソニョン『コンクリート・ユートピア』新人男優賞:キム・ソンホ『貴公子』(原題)新人女優賞:キム・シウン『あしたの少女』ドキュメンタリー賞:ヤン・ヨンヒ『スープとイデオロギー』音楽賞:『PHANTOM/ユリョンと呼ばれたスパイ』シリーズ作品賞:「ムービング」シリーズ監督賞:カン・ユンソン「カジノ」シリーズ男優賞:チェ・ミンシク「カジノ」シリーズ女優賞:ハン・ヒョジュ「ムービング」(上原礼子)■関連作品:スープとイデオロギー 2022年6月11日よりユーロスペース、ポレポレ東中野、シネマート心斎橋、第七藝術劇場ほか全国にて公開© PLACE TO BE, Yang Yonghiコンクリート・ユートピア 2024年1⽉5⽇より全国にて公開© 2023 LOTTE ENTERTAINMENT & CLIMAX STUDIO, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
2023年11月19日第33回ゴッサム賞授賞式で、グレタ・ガーウィグ監督の『バービー』が「グローバル・アイコン&クリエイト・トリビュート賞」を受賞することが分かった。ゴッサム賞を主催する「ゴッサム・フィルム&メディア・インスティチュート」が発表した。同賞は「文化的なアイコンと、そのアイコンに命を吹き込んだ映画製作者を表彰する」もので、今年の授賞式のために創設されたという。事務局長ジェフリー・シャープは、「『バービー』の独創的な世界とエッジの効いた脚本、生き生きとした映画製作、感情に訴え、楽しい演技、明るくてにぎやかなセットと衣装デザイン、そして衝撃をもたらすオリジナル音楽に世界中の観客が虜になりました」とコメントしている。『バービー』のクリエイティブチームは撮影監督のロドリゴ・プリエト(『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』)、プロダクション・デザイナーのサラ・グリーンウッド(『美女と野獣』)、衣装デザイナーのジャクリーン・デュラン(『アンナ・カレーニナ』『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』でアカデミー賞受賞)ら。第33回ゴッサム賞授賞式は11月27日に開催される。(賀来比呂美)
2023年11月15日ハリウッドで118日間続いていた全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)のストライキが、ついに終結を迎える。同組合の交渉委員会が、満場一致で交渉相手の全米映画テレビ制作者協会(AMPTP)との暫定合意に達し、「ストライキは11月9日の木曜日、午前12時1分に正式に終了します」という声明を出した。組合員の最低賃金の引き上げ、ストリーミング配信による俳優への収益配分の変更、AIの使用における規制など、組合がAMPTP側に要求していたことが通ったとのこと。SAG-AFTRAは、5月2日から大規模なストライキに突入した全米脚本家組合(WGA)に続く形で7月14日からストライキに入った。両者のダブル・ストライキは1960年から63年ぶり。WGAは9月27日に一足早くストライキを終えていた。SAG-AFTRAのスト中は、原則として俳優は映画やテレビの撮影に参加できず、プロモーション活動もNGだったため、興行収入に大きな影響が出たとみられている。今年の夏は『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』主演のトム・クルーズ、『バービー』主演のマーゴット・ロビーらがプロモーション来日予定だったが、キャンセルとなった。スト終結により、アレック・ボールドウィン、マンディ・ムーア、「ストレンジャー・シングス」のノア・シュナップ、ジョー・ルッソ監督らが喜びの声や祝福メッセージをSNSにアップしている。(賀来比呂美)
2023年11月09日Appleが、「スヌーピー」で知られるチャールズ・M・シュルツの「ピーナッツ」の長編アニメ映画(タイトル未定)の製作を発表した。製作会社は「ワイルドブレイン」。監督は『ILOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』のスティーヴ・マルティノ。脚本は、同作を手掛けたクレイグ&ブライアン・シュルツ、コーネリアス・ウリアーノに『チキンラン』のカーリー・カークパトリックが加わり、共同執筆する。製作は『ヒックとドラゴン』のボニー・アーノルド。Appleの子供番組部門の責任者タラ・ソレンセンは「スヌーピー、チャーリー・ブラウン、そして仲間たちが大都市で繰り広げるハートウォーミングな新しい冒険を、みなさんに体験してもらうのが待ちきれません」とコメント。“大都市”がどこであるかは発表されていないが、公開された画像にはニューヨークの雰囲気漂う街が写っている。スヌーピー、チャーリー・ブラウンのほか、ライナス、ルーシー、フランクリン、シュローダー、ペパーミント・パティ、マーシーの姿も。原作者の息子で脚本家のクレイグ・シュルツは、「父が遺したものを、私と息子のブライアン、それに彼の執筆パートナーであるニール(コーネリアス)のオリジナルストーリーで引き継ぐことができるというのは、すごく特別なことです」と語っている。(賀来比呂美)
2023年11月07日スヌーピーとチャーリー・ブラウンの新たな映画が作られることになった。製作はApple TV+。監督は2015年の『I LOVEスヌーピーTHE PEANUTS MOVIE』のスティーブ・マーティノ。脚本は、やはり2015年の映画にたずさわったクレイグ・シュルツ、ブライアン・シュルツ、コーネリアス・ウリアーノと、新たに加わるケイリー・カークパトリックが共同執筆する。チャーリー・ブラウンと仲間たちが大都市に出かけ、新たな友達に出会うという設定らしい。製作は来年スタートの予定。文=猿渡由紀
2023年11月07日12月1日(金) に公開される映画『エクソシスト 信じる者』より、キャスト・製作陣が作品の魅力を紐解く特別映像が公開された。一人の少女とその母親が体験する戦慄の恐怖を圧倒的なリアリズムで描き、それまでのホラーの常識を覆した映画『エクソシスト』。誕生から50年、本作では悪魔に憑りつかれた2人の少女が呼び覚ます新たな恐怖を描く。特別映像では、監督デヴィッド・ゴードン・グリーンの「憑依を描いた映画は人を虜にする」という言葉に続き、本作で悪魔に取り憑かれてしまう2人の少女、アンジェラ(リディア・ジュエット)とキャサリン(オリヴィア・オニール)も自身の役柄について説明する姿が映し出される。そんな2人の少女の親は正反対の特徴を持っており、アンジェラの父親、ヴィクター(レスリー・オドム・Jr)は既に信仰を捨てたシングルファーザーなのに対し、キャサリンの親、ミランダ(ジェニファー・ネトルズ)とトニー(ノーバート・レオ・バッツ)は毎週教会で行われるミサへと熱心に通うほど信心深い5人家族。この2組の家庭事情がどのように本物語へと関係してくるのかにも注目だ。グリーン監督は「憑依された子を持つ親のもろさを描いてる」と解説し、本作では取り憑かれた少女たちだけでなく、極限状態に陥った際の親の行動も重要であることを示唆。続けて「50年前に演じた役に戻るということはクリスの50年の人生を想像するということよ」と語るのは、1974年のオリジナル版にて、悪魔に取り憑かれた少女リーガンの母親クリス・マクニールを演じ、新章となる本作で再登場を果たしたオスカー女優エレン・バースティン。そんな彼女をオドム・Jr.は「エレンは本作の宝だ」と “エクソシスト“を語るうえで欠かせない人物であると語る。バースティンは「恐ろしいことだわ。自分自身が内なる力に支配されてしまうなんてね。憑依は昔からあった。場所・宗教・文化を超えた普遍的な現象と言えるわね」と本作で起きていることが必ずしもフィクションであると断定することはできず、“憑依“というものは我々の生活の中に既に根付いているものであると語り、映像は締めくくられる。オリジナル版の『エクソシスト』を史上最恐の映画の1つであるとともに、ホラーというジャンルにおける指標だと位置づけるのは、数々のホラー映画を生み出してきたジェイソン・ブラム。製作を務めたブラムは「『エクソシスト』は革新的な作品だったから、そのことを僕たちはこの新章で称えたかった。あの観る者を不安にさせるような物語に回帰するように努めた。この作品で描かれているのは、自分の世界の全てである唯一の子供を奪われそうになった時に親が味わう恐怖だけではない。この異常な世界から誰かを救い出そうとする時、人間はいかに自分の信条の変化を受け入れようとするのかというところを描きたかった」と、ホラー映画の金字塔の新章をつくり上げていくうえで外すことのできないこだわりを説明している。『エクソシスト 信じる者』特別映像「A Look Inside」<作品情報>『エクソシスト 信じる者』12月1日(金) 公開公式サイト: Studios. All Rights Reserved.
2023年10月31日2023年木耐協オンラインセミナー④参加者アンケート木耐協(正式名称:日本木造住宅耐震補強事業者協同組合/事務局:東京都千代田区/理事長:小野秀男/組合員:全国約1,000社)は、いつか起きる地震への備えを広く多くの方に進めていただきたいとの想いから、10月21日(土)にオンラインセミナー「地震による津波災害への備え &実家の片づけ」を開催いたしました。今回は、約90名の参加者の内、67名の方からアンケートの回答をいただきましたので、その結果をまとめました。【2023年度第4回オンラインセミナー開催概要】テーマ:「地震による津波災害への備え &実家の片づけ」日時:2023年10月21日(土)10:00~11:45会場:オンライン参加費:無料主催:日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(略称:木耐協)協力:一般社団法人防災教育普及協会後援:あいおいニッセイ同和損害保険株式会社講師:今村 文彦氏(東北大学災害科学国際研究所教授/一般社団法人防災教育普及協会副会長)杉之原冨士子氏(一般社団法人日本ホームステージング協会代表理事)※セミナーの詳細は下記ホームページをご覧ください 【1】実家の片付け問題はご自身にも起きると思いますか?アンケート回答者の約半数(49%)が実家の片付け問題について、「ご自身にすでに起きている(起きた)」という結果になりました。また、「今後、必ず起きうる」「起きる可能性がある」と回答している方も合わせると、実家の片付け問題は、約95%の方がその当事者になると考えていることが分かります。実家の片付け問題はご自身にも起きると思いますか?【2】実家の片付けについて、家庭で話したことはありますか?実家の片付けについて家庭で話したことがあるかという質問に対し、最も多いのが「話して片付けを進めた(39%)」ですが、「話したがうやむやに終わった(28%)」「話していない(30%)」の合計は、58%という結果になりました。実家の片付けについて、家庭で話したことは?→実家の片付け問題がすでに起きている(起きた)人の内、実家の片付けについて、 しっかりと進められていない人が43%と約半数【1】の質問で「実家の片付け問題がご自身にすでに起きている」と回答した方(有効回答28名)の、【2】の質問の回答数では、「話して片付けを進めた(57%)」で半数を超えた一方、「話したがうやむやに終わった(29%)」「話していない(11%)」「その他(3%)」が43%となり、多くの方が実家の片付け問題が進んでいない状態であるといえます。(問題がすでに起きている人)家庭で話したことは?【3】実家の片付けをする場合、処分に困ると思うものは何ですか。(複数回答可)実家の片付けの際に処分に困るものを回答いただいたところ、1位は、「写真・書類/思い出の品」「家具」がでした。2位が「衣類」、3位が「趣味のもの・コレクション」という結果となりました。実家の片付けをする場合、処分に困ると思うもの<まとめ>参加者の大多数は、「実家の片付け問題」を自身の問題に捉えていることが分かりました。災害時に上からモノが落ちる危険性などから、防災の観点でも「実家の片付け」問題は重要です。行動に移せない方も多い中、いかに自分ごとに捉えてもらう分かりやすい説明が必要だと感じます。住まいと生活を安全・安心に木耐協オンラインセミナー 木耐協組合概要木耐協は、全国約1,000社の工務店・リフォーム会社・設計事務所などから構成される団体です。【地震災害から国民の生命と財産を守るため、「安全で安心できる家づくり・まちづくり」に取り組み、耐震社会の実現を目指す】ことを基本理念とし、地震災害の備えに対する啓発活動や木造住宅の耐震性能向上のための活動を行っています。団体名:日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(略称:木耐協)本部所在地:〒102-0083東京都千代田区麹町2-12-1グランアクス麹町7階TEL:03-6261-2040URL: 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年10月27日先週、現在ストライキ中の全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)が、ハロウィンシーズンの俳優たちの“コスプレ”に関するガイドラインを発表した。その内容は「ストライキに関連する映画やドラマの有名キャラのコスプレは禁止」ということだ。例えば、今年世界中で大ヒットした『バービー』のバービーやケン、去年Netflixで配信された「ウェンズデー」のウェンズデー・アダムスなどはNGで、そういったコスプレ姿の写真や動画は「SNSに掲載不可」としている。その代わりに「幽霊、ゾンビ、蜘蛛など一般的なキャラクターや人物にインスパイアされたコスチュームを選びましょう」とのこと。ただし、このルールは「だれの子どもにも適応されない」ということが後日付け加えられた。それは、ライアン・レイノルズによるポストや俳優たちからの批判が影響した模様。ライアンは「(ハロウィンの)一晩中、8歳の娘に『スト破り!』って叫ぶのが楽しみだよ。娘は組合員じゃないけれど、学ぶことは大事だもんね」とライアン節で嘲笑。共感の声が集まった。2001年から2005年までSAF-AFTRAの代表を務めたメリッサ・ギルバートは、「これがあなたたちが考えたこと?ハロウィンにだれが何を着ようと、文字通りだれも気にしません。こんな幼稚なことがストライキを終結させるとでも本気で思っているの?ジョークにしか見えません。こんなルールは撤回すると言ってほしい…交渉に行ってください!」と組合に訴えた。(賀来比呂美)
2023年10月23日故ジャニー喜多川元社長が、菊田一夫演劇賞特別賞を取り消されたことが18日、明らかになった。同賞は、演劇界の巨星・菊田一夫氏の名を冠し、大衆演劇の舞台ですぐれた業績を示した芸術家(作家、演出家、俳優、舞台美術家、照明、効果、音楽、振付、その他のスタッフ)を表彰する賞。2003年4月4日に第28回(2002年度)菊田一夫演劇賞の選考結果を発表し、永年のショービジネスに対する多大な情熱と功績を讃え、故ジャニー喜多川氏に対して菊田一夫演劇賞特別賞が贈られていた。この度、一般社団法人映画演劇文化協会は、故ジャニー喜多川氏による性加害の実態が明らかとなったことから「菊田一夫演劇賞における顕彰に相応しくないとの判断に至りました」と発表。贈賞を取り消すとともに、協会のホームページ、菊田一夫演劇賞の授賞記録からも削除した。
2023年10月18日『デッドプール』シリーズ第3弾の製作が、ハリウッドで行われている全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)のストライキによって大きな影響を受けているようだ。監督のショーン・レヴィが「The Wrap」に明かした。「正式な公開日が決まっているのかさえ、わからない状況です。(2024年)5月3日に公開予定だったのは知っていますが。ストライキと長期にわたる製作中断によって、公開日が本当に危うくなっています」と説明。製作の進捗については、「映画の半分を撮り終え、編集も終わっています。私たちはどうしても早く仕事に戻って、来年公開したいと思っているんですよ」と語った。『デッドプール』第3弾の当初の公開予定日は2024年11月8日だった。しかし、今年5月に始まった全米脚本家組合(WGA)のストライキをきっかけにディズニーは6月、複数の作品の公開スケジュールを変更。『デッドプール』第3弾の公開日は半年前倒しになったという経緯がある。その後7月からSAG-AFTRAもストに突入したため、多くの作品が製作中断を余儀なくされている。映画ファンは「どう考えても来年の5月公開は厳しそうだ」「もともとの公開日に変更すればいい」「ヒュー・ジャックマン(ウルヴァリン役で登場)にこれ以上ダイエットとワークアウトを続けさせるのは酷だよ!」などのコメントをXに寄せている。(賀来比呂美)■関連作品:デッドプール2 2018年6月1日より全国にて公開© 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved
2023年10月18日テイラー・スウィフトのコンサートフィルム『テイラー・スウィフト: THE ERAS TOUR』が、日本を含む世界中の映画館で公開中。全米ではオープニング3日間で96,000,000ドル(約143億円)を記録(※Box Office Mojo調べ※1ドル=149円換算 10月16日付)し、コンサートフィルム映画史上No.1の週末興行成績となり、社会現象を巻き起こしている。現在世界でツアー中の「THE ERAS TOUR」は、これまでのテイラー・スウィフトの音楽活動を時代(Era)ごとに区切り、時代ごとの名曲を惜しみなく披露する、まさにテイラーの集大成ともいえる奇跡のステージ。そのツアー映像を収めたのが、本作だ。10月13日より世界中での公開が始まり、アメリカでは公開週末の興行収入が速報値で9600万ドルを超える超大ヒットを記録。コンサートフィルムとしては、『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』の2324万ドルや、これまでの歴代No.1の『ジャスティン・ビーバー ネヴァー・セイ・ネヴァー』の2951万ドルという初週末興行成績の記録を3倍以上も上回り大幅に更新、両作品の最終興行収入成績を、週末3日間で抜き去った(※参考:『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』約7209万ドル、『ジャスティン・ビーバー ネヴァー・セイ・ネヴァー』約7301万ドル)。日本でも、10代~30代のテイラーファンの女性を中心に劇場に来場し、コンサートグッズや定番のビーズブレスレットなど自作グッズを持参するファンが交流する姿が見られるなど、劇場は熱気で包まれた。そして、ファンからの熱い希望に応え、「発声可能上映」が10月20日(金)にTOHOシネマズ 六本木ヒルズで開催されることが決定している。『テイラー・スウィフト: THE ERAS TOUR』は公開中。(シネマカフェ編集部)
2023年10月16日解決に向けて希望が持たれていた全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)のストライキが長引きそうだ。労働条件の交渉相手であるスタジオ、配信会社の代表全米映画テレビ製作者協会(AMPTP)と前向きな話し合いが進んでいたと見えたが、現地時間水曜日、スタジオと配信会社のトップが立ち上がって出ていき、交渉が炸裂した。とりわけ配信作品の印税をヒットに応じて払うということについて双方の開きは大きく、再びムードは険悪になっている。SAG-AFTRAのストライキは7月14日にスタートした。2ヶ月半早く始まった全米脚本家組合(WGA)のストライキは、先月末に終了している。文=猿渡由紀
2023年10月13日アメリカで3週連続チャート首位を獲得した『死霊館のシスター 呪いの秘密』がついに本日から日本での公開をスタートさせた。製作を務めたのは、本シリーズの生みの親でもある才人ジェームズ・ワン。これまでの数々のヒット作を生み出してきた彼はこう語る。「ホラー映画で重要なのは……」マレーシアで生まれたジェームズ・ワンは、幼少期にオーストラリアに移住し、大学時代に知り合ったリー・ワネルとコンビを組んで、長編映画『ソウ』を企画し、実現させる。少ない予算を逆手にとり、限定された空間で観客を“ジグソウの計画”に巻き込むストーリーがウケて映画は大ヒット。一躍、注目を集めた彼は次作で「より古典的な物語をつくりたいと思った」と振り返る。「古典的なお化け屋敷の話が大好きなので『インシディアス』をつくったんだ。その後も1960年代や70年代に僕らが観ていた“古典的なお化け屋敷の幽霊の物語”というスタイルを継続したいと考えた。それから、次の映画では実話をベースにしたものにすべきだと感じたんだ」そこでワンは、悪霊退治業界を営むウォーレン夫妻の物語を思い出す。霊能力者のロレインと、その夫で悪魔研究家のエドのウォーレン夫妻が、怪現象に立ち向かうホラー作品『死霊館』の誕生だ。本作は全世界で3億ドルを超える興行収入を記録し、ここから続編と、『アナベル』『ラ・ヨローナ〜泣く女〜』『死霊館のシスター』などのシリーズ作が生まれた。本シリーズでは、単に恐怖をエスカレートさせるのではなく、ワンが得意とするストーリーテリングの工夫(彼は物語に緩急をつけることに長けている)、新鮮さを感じさせる舞台設定、そしてキャラクターの魅力に磨きをかけてきた。「ホラー映画で重要なのは、観る人が気にかける登場人物だ。人々が気にかける登場人物は、あらゆるタイプの恐ろしい状況に起用可能だ。誰しもお気に入りの登場人物に危害が及んで欲しいとは思わないから、そのホラーな状況が反響を呼ぶ。みんな怖いもの見たさで『死霊館』を観に行くけれど、リピーターになるのは(ウォーレン夫妻を演じた)パトリック・ウィルソンとベラ・ファーミガを観たいからだ、と常々言っている。みんなあのふたりを観たくて、続編を観に戻って来るんだよ。第1作でリリ・テイラーやロン・リビングストンなどが演じ、その後登場していない脇役たちでさえも、人々に愛されている。登場人物や家族の関係性に何か惹きつけられるものがあるということが、この映画がこれほどの反響を呼んだ理由だと思う」“死霊館”シリーズの登場人物はみなシリアスなだけでなく、どこか面白みがあったり、愛らしさがあったり、不思議な個性を発揮している。さらにワンがすべてを監督するのではなく、若い才能を呼び込むことで、少しずつ“新たな要素”を加えていることも、シリーズが長続きしている秘訣だろう。「すべてを僕が監督することは不可能だということは分かっていた。だから“死霊館”の世界を理解してくれる映画制作者が必要になったんだ。僕と一緒に作品に携わったことがあり、僕がつくり上げた世界観を心から理解して敬意をもっている映画制作者を引き込むことで、彼らがこの物語を伝えていけるようにしていったんだ」最新作『死霊館のシスター 呪いの秘密』を手がけたマイケル・チャベス監督もそのひとりだ。「マイケルはとても才能があり、この種の映画をつくるために必要なことを理解していると思う。なにより、私たちがつくり上げたこの世界をとても尊重してくれている。彼はこの世界の大ファンだから、作風を壊したりしない。制作に参加し、自分の痕跡を残しながらも、作品に対しての愛と情熱をもって、この映画のレベルを高めたいと思っているんだ。私は彼の初監督作品から一緒に仕事をしてきた。彼は映画を撮るたびに成長している。僕は、こういう若い監督たちを誇らしく思う父親のような気分なんだ(笑)」劇場での映画体験は、ほかの場所では再現できない本作の舞台は、フランスの寄宿学校。特殊な能力を持つ主人公のシスター、アイリーンは、教会の要請を受けて、ある事件の調査に乗り出す。2018年公開の『死霊館のシスター』の続編で、アイリーンはまたもや悪の元凶シスター ヴァラクと向き合うことになるようだ。「カトリック学校を経験した人なら誰でも、シスターは恐ろしい、もしくは恐ろしそうだと言うと思う。前作で彼らは悪魔を追い払った。そして、悪魔のシスター ヴァラクを倒したと思い込んでしまう。しかし、この悪魔がフレンチに取り憑いているかもしれないことが示唆される。だから本作の冒頭でフレンチがメインに出てくるとき、倒したと思っていた悪魔は彼のなかにゆっくりと浸透している。そして彼は自分がこの悪魔に取り憑かれていることに気づく。だからアイリーンは、無意識かもしれないけど、友人のために戻ってくる。そこが僕の大好きなところだ。ふたりのキャラクターは本当に仲が良く、強い友情で結ばれているところが好きなんだ。それはプラトニックな友情で、彼女は彼のことをとても大切に思っていて、全力を尽くしてこの悪魔と再び戦う。そして彼女は、彼女の信仰への挑戦というこれまでの人生で最も困難なことに挑まなければならないんだ」本作もワンの言う“観る人が気にかける主人公”アイリーンの物語だ。そして、彼女が本作で対峙するヴァラクは、ホラー映画史上最強にして最凶のキャラクターだ。観客は映画館で思わず悲鳴をあげることになるかもしれないが、ワンはそれこそが「ホラーが映画館で上映される理由」だと語る。「劇場で体験を分かち合えるからこそ、僕は大スクリーンで上映されるホラー映画の大ファンなんだ。いつもファンにはこういう映画を暗い劇場の大きなスクリーンで、大勢とともに観ることを勧めている。大勢で観ると、楽しい体験ができて、それが人々に広がりやすいんだ。誰かひとりが叫ぶと、全員が叫ぶ。そして自分たちが叫んでしまったことが面白くて、全員が笑い出す。ホラー映画が劇場で上映される理由はここにあると思っている。劇場での映画体験は、ほかの場所では再現できない。家で作品を観て、物語を追うことはできるけど、まったく異なる体験になってしまうよ」『死霊館のシスター呪いの秘密』公開中(C)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
2023年10月13日第15回TAMA映画賞 受賞作品・受賞者が5日、明らかになった。同映画賞は、多摩市及び、近郊の市民からなる実行委員が「明日への元気を与えてくれる・夢をみせてくれる活力溢れる"いきのいい"作品・監督・俳優を、映画ファンの立場から感謝をこめて表彰」するもの。最優秀作品賞には「声に出せない思いを抱えるこどもたちが解放された光溢れる世界を映すことで、「怪物」を生み出す実社会の生きづらさを描き出した」として『怪物』、及び「少年たちは、友の危機にそれぞれの覚悟で立ち向かう。その姿は大人へと成長する逞しさを感じさせ、観る者の胸に熱く迫った」と、『雑魚どもよ、大志を抱け!』が選ばれた。最優秀男優賞には「俳優・佐藤浩市ならではの滲み出る渋さと颯爽と放つ華が、若手俳優の魅力も最大限引き出し、作品を輝かせ続けている」と評価された佐藤浩市と、「『エゴイスト』において、愛とエゴの狭間で葛藤しながらも献身的に注ぐ愛は繊細で切なく、実在感あるものとして観る者の心に刻まれた」という鈴木亮平、最優秀女優賞には「故郷への旅のなかでさまざまな人と出会い、自身の孤独な人生と向き合って、静かに奮い立つ瞬間を表現した」という菊地凛子と、「凛とした所作が美しい武家の娘であり、気っぷがよいおきゃんな娘でもある『おきく』の創出により、爽やかな青春ドラマに昇華させた」という黒木華が選出された。また最優秀新進男優賞の目黒蓮は「キャラクターを華がある演技でスクリーンに焼き付けて観る者をとりこにし、美世への想いの移ろいを繊細な感情表現で演じきった」、奥平大兼は「物語に溶け込み、役柄を的確に捉える優れたバランス感覚と素直な表現力は、映画の未来を担っていくことを予感させる」と評価を受けたほか、下記の受賞者・受賞作品がそろった。○■最優秀作品賞『怪物』(是枝裕和監督 及びスタッフ・キャスト一同)『雑魚どもよ、大志を抱け!』(足立紳監督 及びスタッフ・キャスト一同)○■特別賞宮崎駿監督及びスタッフ・キャスト一同(『君たちはどう生きるか』)上田誠氏、山口淳太監督はじめヨーロッパ企画及びスタッフ・キャスト一同(『リバー、流れないでよ』)○■最優秀男優賞佐藤浩市(『春に散る』『せかいのおきく』『仕掛け人・藤枝梅安 2』『大名倒産』『キングダム運命の炎』『ファミリア』『映画 ネメシス 黄金螺旋の謎』)鈴木亮平(『エゴイスト』『劇場版TOKYO MER 走る緊急救命室』)○■最優秀女優賞菊地凛子(『658 km、陽子の旅』)黒木華(『せかいのおきく』『ヴィレッジ』『映画 イチケイのカラス』『ほつれる』)○■最優秀新進監督賞福永壮志監督(『山女』)金子由里奈監督(『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』)○■最優秀新進男優賞目黒蓮(『わたしの幸せな結婚』『月の満ち欠け』)奥平大兼(『君は放課後インソムニア』『ヴィレッジ』『あつい胸さわぎ』『映画 ネメシス 黄金螺旋の謎』)○■最優秀新進女優賞山田杏奈(『山女』)高石あかり ※高ははしごだか(『ベイビーわるきゅーれ 2 ベイビー』『Single8』『セフレの品格 決意』『わたしの幸せな結婚』ほか)
2023年10月05日7月14日からストライキをしている全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)と、労働条件交渉相手の全米映画テレビ製作者協会(AMPTP)が、現地時間来週月曜日に話し合いを再開することになった。交渉が炸裂した7月13日以来、初めての話し合いとなる。AMPTPは、現地時間先週日曜、全米脚本家組合(WGA)と新たな契約条件で合意をし、水曜日をもってWGAのストライキは終わった。この勢いに乗ってSAG-AFTRAとも合意を取り付け、映画、テレビの製作、宣伝活動を再開したいところだ。このダブルストライキがロサンゼルスの経済に及ぼした損害は50億ドルにも及ぶと見られている。文=猿渡由紀
2023年09月29日5月2日に始まった全米脚本家組合(WGA)のストライキが、現地時間27日0時をもって、正式に終了した。24日にWGAの交渉リーダーと全米映画テレビ製作者協会(AMPTP)の間でなされた合意について、26日にWGAの役員らが投票を行ったところ、全会一致で承認が出たことを受けてのもの。近々、全組合員による投票も行われるが、それを待たずして、脚本家は仕事に戻ることができる。ストライキが始まってすぐに製作が中止になった深夜のトーク番組などは、ただちに脚本家を呼び戻して再開準備に入る模様だ。ただし、全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)とAMPTPの話し合いは断絶したまま。映画やドラマの撮影は、こちらのストライキが終わるまで始められない。文=猿渡由紀
2023年09月28日5月2日から続いている全米脚本家組合(WGA)のストライキが、終了間近となった。現地時間9月24日、メジャースタジオと配信会社を代表する全米映画テレビ製作者協会(AMPTP)とWGAが、契約条件で合意したのだ。詳しい内容は、現地時間火曜日に組合の委員会と役員の投票が終わった後に組合員に知らされる。その後、全組合員の投票を得て、正式にストライキは終了となる。スタジオや配信会社のオフィスの前で行われてきたデモ行進は、ただちに中止となるが、まだストライキを続けている全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)を支援し、彼らのプラカードを持ってデモに参加することは奨励されている。全組合員による投票が終わるまでにも、WGAのトップは組合員に仕事再開を許可する見込みだが、その通知があるまでは仕事に戻ることはできない。次はSAG-AFTRAとAMPTPの話し合いの再開が待たれる。文=猿渡由紀
2023年09月26日『ボーダーライン』シリーズ第3弾が製作されることが分かった。同シリーズのプロデューサーのベイジル・イヴァニクと製作総指揮のエリカ・リーが、ニュースサイト「The Messenger」に認めた。現在、ハリウッドでは脚本家と俳優のストライキ中であることから、リーは「いまは中断していますが(脚本を)書けるようになったら。アイディアは最高なんですよ」と第3弾の構想がすでに固まっていることを明かした。イヴァニクは「『ボーダーライン3』が待ち遠しいです。あの役を演じるベニチオのことは永遠に見ていられます。まぁ、ベニチオが出演するならどんな作品も観られますけど、あのキャラクターは飽きませんね」と、シリーズ2作にわたって出演しているベニチオ・デル・トロが続投することを語った。ベニチオは、同シリーズで麻薬カルテルに家族を殺された過去を持つ暗殺者アレハンドロを演じている。同じく2作に出演しているアレハンドロの相棒マット役のジョシュ・ブローリンについては触れなかった。監督は、1作目の『ボーダーライン』はドゥニ・ヴィルヌーヴ、2作目『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』ではステファノ・ソリマが務めたが、3作目については明らかになっていない。(賀来比呂美)■関連作品:ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ 2018年11月16日より全国にて公開© 2018 SOLDADO MOVIE, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
2023年09月22日今年5月に始まった全米脚本家組合(WGA)のストライキに、少し希望が見えた。労働条件の交渉相手である全米映画テレビ製作者協会(AMPTP)とは、長い間話し合いすらしない状態が続いていたが、西海岸時間20日に行われたミーティングにはディズニー、ワーナー、ユニバーサル、Netflixのトップが自ら出席し、かなりの進展が見られたというのである。話し合いは明日も続けられる。明日のミーティングにも、これらスタジオのトップの何人かは出席する予定とのことだ。WGAと、7月に始まった全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)のダブルストライキのせいで、ハリウッドでは映画やテレビの撮影が止まったまま。秋に始まるメジャーネットワークの新シーズンや、映画の公開スケジュールに影響が出ている。このストライキがロサンゼルスの経済に与える打撃は大きく、一刻も早く、フェアな条件で合意が成立することが待たれる。文=猿渡由紀
2023年09月21日積水ハウス株式会社は、本日発表の「第17回キッズデザイン賞」において3作品がそれぞれこども政策担当大臣賞・キッズデザイン協議会会長賞・BEYOND COVID-19特別賞を受賞しました。キッズデザイン賞は、キッズデザイン協議会主催の子どもや子どもの産み育てに配慮したすべての製品・サービス・空間・活動・研究を対象とする顕彰制度で、大人が使うものでも子どもに配慮されたものやサービスはすべて対象とし、普及を後押しすることで子どもを産み育てやすい社会づくりを目指しています。キッズデザイン賞受賞作品258点の中から、優秀作品へノミネートされた37作品が最優秀賞、優秀賞、奨励賞、特別賞として選出され、当社は『「一つ屋根の下で一緒に過ごす!」フジ虎ノ門こどもセンター』がこども政策担当大臣賞に、『~子育て世代へ LIFE IDEASを盛り込んだ住まい提案~ 積水ハウス ノイエ』がキッズデザイン協議会会長賞に、そして『分譲マンションにおける子育て支援サービスの提案』がBEYOND COVID-19特別賞に選出されました。キッズ・ファースト企業である積水ハウスは、2007 年の設立第1回から17年連続、累計116作品を受賞しています。受賞作品表1: 積水ハウスは“「わが家」を世界一幸せな場所にする“というグローバルビジョンのもと、子どもたちや高齢者を含む誰もが安全で使いやすい「スマート ユニバーサルデザイン」の推進など、子どもや子育てに関わる社会課題解決に取り組み、人生100年時代における「幸せ住まい」を追求し続けてまいります。キッズデザイン賞 公式サイト: キッズデザイン協議会HP: 受賞作品詳細■優秀賞 こども政策担当大臣賞:「一つ屋根の下で一緒に過ごす!」フジ虎ノ門こどもセンター受賞部門:子どもたちを産み育てやすいデザイン部門 地域・社会部門【作品説明】:一つ屋根の下で、ケアの必要な健常児とチャレンジドが一緒に過ごすこどもセンターを医療法人が運営。こどもたちが安心して学び生きるためのコミュニケーションを実践しています。小児難病や発達障がい、不登校児を支援、放課後児童クラブを併設、保護者様の子育て不安解消等、”すべてはこども達のために”をテーマに、地域の持続可能な暮らしを支える場を目指します。公式サイト: 【受賞理由】:「未就学から高校生まで、多様な立場の多世代交流を促す空間とプログラムが相互の学びの場になる。インクルーシブデザインが意味する、多様な存在を認め合い、交流と気づきを得るという考え方はキッズデザインでも非常に重要な視点であり、本賞にふさわしい内容である。」■奨励賞 キッズデザイン協議会会長賞:~子育て世代へ LIFE IDEASを盛り込んだ住まい提案~ 積水ハウス ノイエ受賞部門:子どもたちを産み育てやすいデザイン部門 個人・家庭部門【作品説明】:共働きを中心とした子育て世代の家族に向け、積水ハウス ノイエでは、家事を効率化しつつ子どもと一緒に過ごす時間を楽しめるアイデアやデザインが盛り込まれた『パッケージプラン』を提案しています。吟味を重ねてつくり上げた理想のプランの中から最適な住まいを提案し、家族みんなが楽しく共に成長できる住まいを提供していきます。公式サイト: 【受賞理由】:「収納・家事・食事・育児の4つのテーマについてリサーチ、アンケートを実施し、データに基づいたプランをパッケージ化した子育て支援住宅の提案である。それぞれの間取りや設備、空間のアイデアは子育て層の悩みやニーズを丹念に拾い、解決策を提示したもので現実的だ。」■特別賞 BEYOND COVID-19特別賞:分譲マンションにおける子育て支援サービスの提案受賞部門:子どもたちを産み育てやすいデザイン部門【作品説明】:これまでの分譲マンションにはない子育て支援サービス(設備)を提案します。1.共用エントランスに自動水栓・ソープディスペンサを備えた手洗いを設置。2.住戸玄関ポーチにネットスーパー用受取りボックスを設置。住戸内ではなく共用部に設置することで居住者共通のメリットとなります。今後子育て支援サービスとしてシリーズ化が可能です。【受賞理由】:大規模分譲マンションでありながら共用部に手洗い場や宅配ボックスなどを備え、インフラに新たな提案を行った。コロナ禍を経て日常の衛生に関するリテラシーも変化した。分譲マンションも個別住戸の集合体からコミュニティとしての機能が必要である。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年09月20日2023年木耐協オンラインセミナー③参加者アンケート木耐協(正式名称:日本木造住宅耐震補強事業者協同組合/事務局:東京都千代田区/理事長:小野秀男/組合員:全国約1,000社)は、いつか起きる地震への備えを広く多くの方に進めていただきたいとの想いから、9月9日(土)にオンラインセミナー「巨大災害に備える&地震被害を映像で学ぶ」を開催いたしました。今回は、150名の方にご参加いただき、その内118名の方からアンケートの回答をいただきましたので、その結果をまとめました。【2023年度第3回オンラインセミナー開催概要】テーマ:「巨大災害に備える&地震被害を映像で学ぶ」日時:2023年9月9日(土)10:00~11:45会場:オンライン参加費:無料主催:日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(略称:木耐協)協力:一般社団法人防災教育普及協会後援:あいおいニッセイ同和損害保険株式会社講師:平田直氏(東京大学名誉教授/防災教育普及協会会長)木戸崇之氏(朝日放送テレビ/人と防災未来センターリサーチフェロー)※セミナーの詳細は下記ホームページをご覧ください 【近年、自然災害が増えていると思いますか?】アンケート回答者の95%が「自然災害が増えている」と感じていることが分かりました。地震に限らず、台風や大雨による洪水・浸水・土砂災害などが発生しているため、そのように感じる方が多いようです。近年、自然災害が増えていると思いますか?【お住まいの地域で、どんな自然災害が発生すると思いますか?(複数選択可)】皆さんが住む地域でどのような自然災害が発生すると思っているか、考えるもの全て選択をしていただきました。最も多いのは「巨大地震」で80%の方が発生すると考えており、続いて台風・大雨による被害でした。お住まいの地域で、どんな自然災害が発生すると思いますか?(複数選択可)【上で選んだ災害に、 自分が遭うと思いますか?】お住まいの地域で発生すると考えている自然災害に対して、95%の方は「災害に遭う」という回答でした。ほとんどの方が、ご自身が自然災害と近い環境で生活していると考えています。上で選んだ災害に、 自分が遭うと思いますか?<まとめ>参加者の大多数は自然災害が増えていると感じ、自身が生活する地域で自然災害が発生すると考え、そして自分が被害に遭うと考えていることがわかります。つまり、自然災害への備えの必要性をいかに伝え、備えに対する意識的・金銭的ハードルを下げるかが重要になります。次回は、10月21日(土)に「地震による津波災害への備え&実家の片づけ」をテーマに開催します。詳細は下記URLからご覧いただけますので、ぜひご参加ください。<次回>住まいと生活を安全・安心に木耐協オンラインセミナー④テーマ:地震による津波災害への備え&実家の片づけ日時:2023年10月21日(土)10:00~11:45会場:オンライン参加費:無料木耐協オンラインセミナー④ : 木耐協組合概要木耐協は、全国約1,000社の工務店・リフォーム会社・設計事務所などから構成される団体です。【地震災害から国民の生命と財産を守るため、「安全で安心できる家づくり・まちづくり」に取り組み、耐震社会の実現を目指す】ことを基本理念とし、地震災害の備えに対する啓発活動や木造住宅の耐震性能向上のための活動を行っています。団体名:日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(略称:木耐協)本部所在地:〒102-0083東京都千代田区麹町2-12-1グランアクス麹町7階TEL:03-6261-2040URL: 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年09月13日オスカーの特別賞に当たるガバナーズ賞の授賞式が、11月18日から来年1月9日に延期されることになった。映画俳優組合と脚本家組合のストライキが理由。今年は、アンジェラ・バセット、メル・ブルックス、キャロル・リトルトンが名誉賞を受賞する。ガバナーズ賞はテレビ中継されず、特定の映画の宣伝につながるものでもないが、席はひとり7,500ドルと高額で、基本的にはスタジオがテーブルを買い、本番のオスカーに入ってきそうな作品にかかわった俳優、脚本家、監督などを招待する。それは、メジャースタジオと配信会社に対して俳優と脚本家がストライキをしている中では無理がある。しかし、現在も両者の話し合いは進んでおらず、1月にストライキが終わっているのかどうかも不明だ。文=猿渡由紀
2023年09月08日ヴィム・ヴェンダース監督の『PERFECT DAYS』が、第96回アカデミー賞国際長編映画賞の日本代表作品として出品されることが分かった。日本映画製作者連盟が発表した。7名の選考員が、8作品の中から選出したという。近年、同部門に出品された作品には早川千絵監督の『PLAN 75』、濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』、河瀬直美監督の『朝が来る』などがある。海外メディアも報じており、「The Hollywood Reporter」は「日本からこの部門に、日本人以外の監督が手掛けた作品が出品されるのは初めて」と報じている。ヴェンダース監督は『パリ、テキサス』『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』などの名作を世に送り出してきた映画界の巨匠。主演の役所広司は今年のカンヌ国際映画祭で、日本人俳優としては『誰も知らない』の柳楽優弥以来19年ぶり2人目となる男優賞を受賞する快挙を成し遂げた。また、本作は同映画祭でエキュメニカル賞も受賞した。監督はドイツ人だがキャストは日本人で言語も日本語。役所さんのほか、柄本時生、中野有紗、アオイヤマダ、麻生祐未、石川さゆり、三浦友和、田中泯が出演している。『PERFECT DAYS』は、10月23日から11月1日に開催される第36回東京国際映画祭のオープニング作品に決定しており、ヴェンダース監督がコンペティション部門の審査員長を務めることも明らかになっている。日本公開は12月22日。(賀来比呂美)■関連作品:PERFECT DAYS 2023年12月22日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© 2023 MASTER MIND Ltd.
2023年09月05日8月30日夜(現地時間)、第80回ヴェネチア国際映画祭が開幕した。全米脚本家組合(WGA)と全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)がストライキを行っている影響で、当初オープニング作品に決定していたルカ・グァダニーノ監督×ゼンデイヤ主演映画『Challengers(原題)』は公開日を延期したため取り下げに。代わりにエドアルド・デ・アンジェリス監督の『Comandante(原題)』が上映された。審査員長を務めるデイミアン・チャゼル監督は、レッドカーペットでは正装だったが、記者会見には「Writers Guild on Strike!(脚本家組合はストライキ中!)」というロゴが入ったTシャツを着用して臨み、脚本家や俳優たちを支持する姿勢を見せた。リリアーナ・カヴァーニに栄誉金獅子賞を授与するセレモニーも行われた。トロフィーを渡したのは、1975年のカヴァーニ作『愛の嵐』でルチアを演じたシャーロット・ランプリング。客席から盛大なスタンディングオベーションを受け、舞台の上のカヴァーニは親指を立てるサムズアップで応じた。ストライキ中は俳優による作品のプロモーション活動が制限されているため、今年のヴェネチア国際映画祭に出席できる俳優は少ないが、主催者は『Ferrari(原題)』のアダム・ドライバー、『The Promised Land(原題)』のマッツ・ミケルセン、『Priscilla(原題)』でプリシラ&エルヴィス・プレスリーを演じているケイリー・スピーニー&ジェイコブ・エロルディらが来場すると発表。これらの作品は、ストライキの交渉相手である全米映画テレビ制作者協会が関与していないインディ作品であることから、SAG-AFTRAより宣伝活動が許可されている。(賀来比呂美)
2023年08月31日現地時間5月2日からストライキをしている全米脚本家組合(WGA)が、先週金曜日から全米映画テレビ製作者協会(AMPTP)と話し合いを始めている。ようやくまた交渉のテーブルについただけでも進歩ながら、両者の間にはまだ大きな開きがある。しかし、複数の項目のうちにはお互い妥協できそうなものもあり、そこを先に解決して弾みをつけたい様子だ。両者は現地時間明日金曜日にもまた話し合いを持つ。7月14日からストライキをしている全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)とAMPTPの話し合いはまだ止まったままだ。しかし、WGAとSAGが求めていることには共通する部分もあり、WGAが解決を見出せれば、SAGにも多少希望が見えてきそうだ。文=猿渡由紀
2023年08月18日『ハリー・ポッター』シリーズや『ゼロ・グラビティ』『パディントン』などを手がける映画プロデューサー、デイビッド・ヘイマンが公開中の映画『バービー』で製作を務めている。これまで数々の意欲的なプロジェクトに挑み、成功をおさめてきたヘイマンは、本作が劇場用映画であること、そして世界中で観客を集めていることに“希望”を感じていると語る。ヘイマンは英国出身の映画プロデューサーで、『ハリー・ポッター』シリーズや、アルフォンソ・キュアロン監督の名作『ゼロ・グラビティ』、クエンティン・タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』など数多くの人気作を手がけ、現在はティモシー・シャラメを主演に迎えた話題作『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』を製作中。常に多くのプロジェクトを抱えているが、ある日、世界中の子どもたちが愛する人形バービーの映画化プロジェクトの話を持ちかけられたと振り返る。「マーゴット・ロビーとトム・アーカリーがバービー人形を発売しているマテル社から映画化権を獲得して、グレタ・ガーウィグとノア・バームバックに脚本を依頼しました。マーゴットとトムは優れた映画製作者で、これまでにも多くの素晴らしい作品を手がけてきましたが、『バービー』は大規模な作品で、プロジェクトがスムーズに進んでいない時期がありました。私は25年に渡ってワーナー・ブラザース映画とお付き合いがあり、大規模なプロジェクトを手がける機会がありました。マーゴットとは彼女が俳優として出演した『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』で仕事をしていますし、本作の脚本を手がけたノアが監督した『ホワイト・ノイズ』で製作を務めました。そこで私がこのプロジェクトに加わることで、製作がスムーズに進むと思ったのです。監督のグレタも私が参加することでプロジェクトが前進すると考えました」ヘイマンが製作者に加わり、『バービー』は実現に向けて前進していった。とは言え、ヘイマンは「この企画には、製作者で俳優のマーゴット・ロビー、脚本家のノア・バームバック、そして脚本と監督を務めたグレタ・ガーウィグがいたわけですから、映画が特別なものになる要素はすでに揃っていた」と語る。「素晴らしい映画をつくる唯一の方法は、素晴らしい監督とタッグを組むことです。どれだけプロデューサーが素晴らしい仕事をしたとしても、実際に映画を良いものにするのは監督です。現在の私があるのは素晴らしい監督・脚本家と仕事ができたおかげですが、グレタもまた、そんな素晴らしい才能のひとりでした」映画『バービー』は、子どもたちの愛するバービーの世界をそのまま映画化した作品ではない。子どもたちが愛するバービーたちが暮らす“バービーランド”が登場し、そこで暮らすバービーのひとりがある朝、自分に異変が起こり、完璧なバービーでなくなっていることに気づくところから物語が始まる。自分に起こった謎を解くべく、彼女は人間の暮らす世界に旅立ち、そこで予想もしなかった出来事に遭遇するのだ。本作はとにかく楽しく、最後の最後まで展開の読めないストーリーが語られるエンターテイメント作品だが、一方で映画ファンもうなる“攻めた”作品だ。物語は重層的になっていて、様々な角度から楽しむことができるようになっており、撮影手法もあえてCGを極力使わずに実物のセットにこだわり、衣装や美術、劇中音楽も時間とアイデアがふんだんに盛り込まれている。普通の映画プロデューサーであれば、ワクワクしつつも、その規模の大きさと複雑さに不安を感じてもおかしくはない。しかし、ヘイマンはこれまでも数々の“誰もやったことのない”企画に挑んできた男だ。「『ハリー・ポッター』は本が出版される前から権利を取得して、映画化に取り組んできました。正直に言いますが、私はあの本があそこまでの成功をおさめるとは予想していませんでした。だから最初はまったく怖くもないし、不安もなかったんです。だんだんと怖くなってきたのかもしれません(笑)。私はいつも映画製作の最初期に、その作品にどんなエッセンスをもたせるべきなのか、監督と話し合うことが一番重要だと思っています。監督がどんな映画をつくりたいのか私がよく理解することが大事です。そこがクリアできれば、私が製作過程で行うこと、彼らに質問すること、彼らに投げかけるアイデア……そのすべては“監督と最初に話し合ったビジョン”をサポートするものになります。私は指示はしません。私の仕事は監督のビジョンをサポートすることです」グレタ・ガーウィグが自らのビジョンを実現し、映画『バービー』が唯一無二の映画になった裏にはヘイマンのサポートがあったようだ。彼は完成した映画を「とにかくハッピーで、誰もが楽しめるエンターテイメントになった」と語るも「アイデアにあふれていて、様々な層で構成されている作品」と分析する。ヘイマンが『バービー』に“希望”を感じた理由確かに本作でマーゴット・ロビーが演じるバービーは、魅力的で、観客が愛したくなる愉快なキャラクターだ。一方で彼女は迷い、試行錯誤を繰り返し、時には圧倒的な孤独を感じたりもする。しかし、ヘイマンはそこに、この映画の希望があるという。「私は映画館に行くことが大好きなんです。映画を観る経験を周囲の人たちと分かち合う。一緒に笑ったり、怖がったり、時には涙を流したりする。観客が劇場で一緒になって映画を観ることは本当に素晴らしいと思っています。私の参加してきた作品の多くには共通点があります。それは“人間は誰もがひとりぼっちなんだ”ということです。家族がいても、ビジネスで大成功していても、恋人がいても、人間はどこかで自分のことをわかってもらえないと孤独を感じてしまうことがあります。私の関わった映画の多くは、そんな中で、他人とのつながりや、コミュニティを感じることができるものだと思います。映画館に行って、みんなで一緒に同じ映画を観ること。それは“人間が生きている”と感じられる瞬間だと思います。だからこそ『バービー』を愛し、映画館に集まって観たいと思ってくれた人がたくさんいた。そのことに私は希望を感じているのです」本作を紹介する記事では繰り返し“なりたい自分を見つける”というフレーズが登場する。しかし、映画『バービー』は、その道のりは“自分ひとり”では成し遂げられないことも丁寧に描き出している。失敗したり、孤独を感じることもあるけれど、映画館に人々が集うように、自分の部屋を出て様々な人に出会い、孤独や不安を感じているのは自分だけではないことにも気づくことで、自分だけの道を見つけていくのだ。『バービー』を映画館で観ることは、単に大きなスクリーンで映画を観ること以上の意味があるのかもしれない。「映画をめぐる環境は日々変化していますから、他とは違うオリジナルなものをつくる難しさを私もよく理解しています。でも『バービー』は他にない映画になりました。そのことにも私は希望を感じているのです」『バービー』公開中(C)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
2023年08月17日