【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第46回>TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】学生のころにいじめをしてしまった記憶に苛まれています。私は中学生時代にいじめグループに所属していたことがあります。当時の私は、自分が無視されてしまうことがほんとうに怖くて、自分が標的にならないようにと、同じクラスの子を集団で無視したり、筆箱や上履きを隠したり、影で悪口を言ったりと、いじめに加担していました。その結果、標的となった彼女は不登校になったのち、別の学校へ転校。その後どうしているのかは全くわかりません。それから20年ーー。私は結婚して子どもができたのですが、子どもを見ていると、何であんなことをしてしまったのかと、後悔がどっと押し寄せてきています。こんな私にいまできることは何かありますでしょうか。(34歳・女性・主婦)【回答】そうですか。いじめる側でしたか。愛おしい子を待つ身となって、その時のことを後悔されていらっしゃるのですね。私は、いじめる側といじめられる側は対極にあるように見えて実は同じだと思っています。どちらも道の端っこから転がり落ちてしまっているという点では、ですけれども。でも、若く経験の足りない頃は自分の歩いている位置がわからないので、どこが端っこか見当がつかず、うっかり落ちてしまうことがしばしばあります。何度も何度も落ちているうちに、「あぁ、ここが端っこだ」とわかるようになり、落ちないように真ん中を歩くことができるようになるのです。いじめに加担しなければ自分がいじめられる側になってしまうと思って、いじめる側だったあなたには、両者が同じということがよくおわかりいただけるのではないでしょうか。20年たって、そのからくりがようやく腹に落ちたのですね。さて、こんな私に今できることはあるか。いろいろあると思います。こうやって質問してきてくださるほど深く考えることも「できること」でしょう。我が子を見守り、必要であれば経験から得た助言をすることも「できること」でしょう。経験したからこそわかる当事者の気持ちを活かして、いじめ問題に取り組むことだってできると思います。ただ、なかったことにすることはできません。誰かに許しを請うのも、違うような気がします。やってしまったことはやってしまったこととして、後悔の念に七転八倒しながら、一歩でもまっとうな人間に近づけるように日々精進していく。もう二度と道を踏み外さないようにしっかり真ん中を歩いていく。それが、一番重要な「できること」のような気がします。彼女、幸せになってくれているといいですね。彼女の人生が、豊かで、穏やかで、順調でありますように。私も祈ります。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年10月02日大反響の「ゆるゆる人生相談」を一挙108本収録した、世界一ゆるい自己啓発本『笑われる勇気』(光文社・900円+税)も発売中の“世界一ゆるい70代”となった蛭子能収(72)が、読者からの相談に答える!【Q】「5歳の孫が心配です。嫁は教育熱心で『私立小学校にいれる』と塾に通わせています。オモチャを買ってあげても『勉強のジャマ』と取り上げられたよう。孫がかわいそうです」(スベランカさん・61・主婦・愛知県)【A】「子どもや孫は過保護にせずに遠くから見守っていればいい」(蛭子能収)オレにも孫が6人いますが、(マネージャー「8人です!」)あ、そっか!でも孫にあまり興味がありません……というか、もう何年も会っていませんよ。(マネージャー「奥さんがお年玉を渡すなどしているし、連絡をとっていますよ」)あ、そっか!オレが、散歩に行く公園には喫茶店があって、コーヒーを飲みながら、子ども連れのお母さんたちをよく見ています。若いお母さんたちは、自分たちのおしゃべりに夢中で、小さい子どもたちがトコトコと歩き回っても気がつかないんですよね。ほほ笑ましいけどつい「あ〜、迷子にならないかな」と思ってしまうんですよね。(マネージャー「それはダメです、その発言は絶対にダメです!」)あ、そっか……。そのときはオレがすかさず出ていって「こっちに行きましたよ」と教えてあげようと思っただけですけどね……。おばあちゃんもそんなふうに遠くから見守るようなスタンスで孫と接すればいいと思いますよ。(マネージャー「あ、そっか!」)「女性自身」2020年9月29日・10月6日合併号 掲載
2020年09月28日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第45回>TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】最近、弟夫婦の暮らしが心配でなりません。義妹の母は以前の病気の後遺症で、1人で自由に出歩くことができません。父も認知症を患っているようで、生活のサポートが必要です。そのため義妹は仕事と家事の傍ら、休みのほとんどを2人の通院や日々の買い物のサポートに当てています。一方で、私の弟とはというと、仕事以外なにもしません。家事を手伝うことはなく、休みの日も趣味に明け暮れてばかり。また、弟夫婦は90歳近い私たちの母とも暮らしているのですが、弟は母の世話はもちろん、話し相手になることもありません。それでも義妹はとても前向きな性格で周りに不満を漏らすことはなく、母も身の回りのことは自分でできているので、いまは何とかなっています。ただ、義妹の負担や母の寂しそうな様子を見ると、この先がとても心配で……。弟夫婦の問題なので、気安く口出しするのもあれなんですが、もう少し弟に積極的に向き合ってほしいと思っています。自分はどういう風に関わっていけばよいでしょうか。(61歳・女性・会社員)【回答】義妹さんの負担がご心配で、なんとか弟さんに変わって欲しいと思っていらっしゃるのですね。そのお気持ちは伝わってきました。でも、残念ながら人を変えるということは、私たちには120%できません。人は変わるけれど、変えられないのです。こちらがいくらあれこれ気を揉んだところで、弟さんご自身がそう思わなければ変わりません。だから、弟さんを変えようという方法は、早々にあきらめましょうね。今のところ、義妹さんからのSOSも出ていないようですね。ご両親に加えて義母さまの面倒まで見ていらっしゃるのですから、本当に大変なことと思いますが、持ち前の前向きな性格でこなしていらっしゃる。たいしたものです。救援信号が出ていないとなると、あなたのご心配は杞憂である可能性もあります。さて、これからどういう風に関わっていけばよいのか、とのことですね。ものすごく短絡的で恐縮なのですが、義理の妹さんを手伝いに行ってさしあげればよいのでは?「弟夫婦の問題なので気安く口出しするのもあれ」とのことですが、こうやってもうすでに首を突っ込んでいらっしゃるわけですから、ね。お母さまが寂しそうだと感じていらっしゃるなら、お話しをしに訪ねてみるのもよいでしょう。なんとなく、それが憚られるご状況がおありなのでしょうか。もしそうだとすると、問題は弟さんではなく、義妹さんとあなたとのご関係ということになるかもしれませんね。きっといろいろな背景がおありでご苦労の多いことと思いますが、最後に、ひとつの言葉をご紹介させてください。「菩提心を因となし、大悲を根本とし、方便を究竟となす」これは弘法大師空海の教えで、意訳すると“人のためという気持ちで愛に基づき行動することこそが一番大事”という意味になります。この言葉の中にこれからの関わり方のヒントがあれば幸いです。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年09月25日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第44回>TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】このコロナ禍で、東京にある大学に戻ろうかどうか悩んでいます。私は今年の4月に東京の大学院に進学しました。でも、入学早々にコロナの影響で大学からは極力来ないでほしいとの連絡が……。私も感染するのが怖かったので、一週間も経たずに地元の浜松に戻ってきました。それから5カ月、私は今も浜松の実家にいます。修士1年である私は2年間の研究テーマを決めなければいけません。けれど、指導教員とはオンラインで一度しか話ができておらず、いまだに方向性を定められていません。また、専門書などがない実家ではできることも少なくなってきました。でも、東京に戻ることを考えると、どうしても感染することが頭にチラついて、なかなか一歩踏み出すことができません。玉置先生ならこんなとき、実家に残りますか。それとも研究を進めるためにリスクを取って東京に戻りますか。(23歳・女性・学生)【回答】2020年。今年がこんな年になるとは本当に思ってもいませんでしたよね。晴れて大学院に進学され、修士1年目の華々しいスタートだったはずなのに、出端をくじかれたお気持ちはいかばかりかとお察しいたします。さて、感染することが頭にチラついてなかなか一歩を踏み出すことができない、とのことですが、その根拠についてはもう調査済みでしょうか。あなたもこれから大学院で研究論文をまとめようという方ですから、立派な科学者の一員です。感染を怖れるにはその根拠がなくてはいけません。どうでしょう。新型コロナウイルスの感染者数は毎年流行しているほかの感染症と比べてどうですか。重症化率は?致死率は?後遺症の報告数は?もうすでに分析済みとは思いますけれど、結果はいかがでしたでしょうか。まさかとは思いますが、危険を煽るワイドショーの報道だけを根拠にしてはいませんよね?それとも、踏み出せない理由には回りの方の強い反対もあるのかしら。私たちはひとりで生きているわけではありませんから、周りの方の心情も慮らねばなりません。お父さまやお母さまのご心配もおありでしょうし、地域の人の目もあります。好き勝手にはできない、しちゃいけないってこともありますよね。でも、だからこそ、しっかりした根拠でもって安心させてあげるのがあなたの役割なんじゃないかなあ、とも思います。たったの2年しか時間がないのに、指導教員とも話せず、テーマも決まらないとあっては焦るでしょう。でも、その停滞をコロナのせいにばかりにしていては逃げになってしまうのではないかしら。大学院にいってまで研究したいことがあったから、進学したのでしょう?方向性を決めるのに重要なのは、専門書でも指導教員の助言でもなく、あなたのパッションですよ。それがあれば、今の時代、どこにいるかは何の障害にもならないはずです。「実家に残るかリスクをしょって東京に戻るか」なんて二者択一に自分を追い込まないで、もっと視野を広く持っていきましょうよ。ね。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年09月18日大反響の「ゆるゆる人生相談」を一挙108本収録した、世界一ゆるい自己啓発本『笑われる勇気』(光文社・900円+税)も発売中の“世界一ゆるい70代”となった蛭子能収(72)が、読者からの相談に答える!【Q】「女性の部下に無視されたり、言うことを聞いてくれなかったりといじめられています。彼女たちのリーダーのおつぼねさんに嫌われたのが原因のようです。どうしたらいい?」(カツラ四枝さん・35・会社員・愛知県)【A】「女性の言うことをすべて聞いていれば、波風立てることなく生きていける」(蛭子能収)これはキツいですね。いっそのこと、このリーダーに謝っちゃえばいいと思いますよ。「なにをしたかわかりませんが、ごめんなさい」と。女の人の言うことはすべて聞いていれば、波風立てずに生きていけると思いますよ。この前、大きな台風がやって来たときに、オレもなにか対策しようとしましたがオロオロするばかり。結局、女房が避難先を調べたり、防災グッズを買ったりして対応してくれました。女の人に従えば問題ありませんよ。そういえば、以前、長崎に台風が来て、町が洪水になったときのニュースで、オレが通っていたパチンコ屋が映ったことがあります。店まで雨が入ってきて、客の足は完全に水のなかにつかっていましたが、それでも「できなくなるまでやる」と話していました。困った店員に何言われても、勝つまでやめない信念はすごいですよね。(マネージャー「相談に回答してください!」)、あそっか!女性の言うことを聞くか、嫌われてもいいから貫き通すか、どっちかテキトーにすればいいですよ!「女性自身」2020年9月22日 掲載
2020年09月14日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】上の階からの騒音に困っています。郊外のマンションに暮らし始めて20年目。今年の3月に、6歳と2歳の男の子を持つご夫婦がマンションの上階に引っ越してきました。子どもたちはとにかく元気なようで、朝から晩まで、家の中を走り回る音やボールを床について遊ぶ音が響いてきます。一方こちらは夫婦ふたりの静かな生活。最初は緊急事態宣言もあって仕方ないと思っていたのですが、さすがに耐えかねて奥さんに今の状況をお伝えしました。しかし、宣言が解除されても相変わらず走り回る音は響きわたってきて……。どうにか穏便に解決できないでしょうか。(53歳・女性・主婦)【回答】朝から晩まで、家の中を走り回る音やボールを床について遊ぶ音。いやあ、これは気になりますね。大変でしょう。人間の耳は選択透過性です。すべての音を聞いているのではなく、自分に必要な音だけを聞いています。でもこの選択は好ましい音だけを選ぶわけではなく、自分にとって嫌な音を積極的にピックアップしてしまうこともあります。例えば、耳鳴りの原因のひとつに“自分の血流の音”というのがあります。誰にもその音は発生しているのですが、ほとんどの人がその音をシャットアウトして生活することができています。でも、ひょんなことから気になりはじめてしまうと、今度は進んでピックアップしてしまい、つらい耳鳴りになってしまうのです。このように、一度気になりはじめてしまった音を私たちは積極的に聞いてしまうようにできているのです。厄介ですね。さて、本来、子どもというのは元気なものです。そして、そんな子ども、とくに我が子が走り回る様子などは見ていて幸せを感じませんか。ほかにも、ペットちゃんだって好きならその鳴き声も足音も気になりませんでしょう。ところが「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」で、負の回路が回りだすと笑い声も鳴き声も不快な雑音になってしまうのです。また、あなたの旦那さまはこのことについてどんな反応をしていらっしゃいますか?まったく気にならない様子? それともやはり気にしているご様子でしょうか。というのも、もし旦那さまが上階の物音で不機嫌になられるとしたら、あなたはその旦那さまの不機嫌が嫌で上階の物音に困っていらっしゃるのかもしれません。あれこれと言いましたが、ここでお伝えしたかったのは、困りごとの根本の原因は「上階の物音」ではないかもしれないということです。ご自分のもののとらえ方だったり、旦那さまの態度に対するご自分の気持ちだったり。つまりは「自分」なのです。私たちは他人を変えることは一切できません。上階の奥さまにいくら苦情を訴えても、あなたの思うようには改善しないでしょう。でも、自分の在りようならば、変えることができるのです。決して我慢をしろと言っているのではありません。自分をリセットする方が楽で、得で、確実だからご紹介いたしました。上階のドタバタもあと2〜3年でしょう。でも、大変ですよね。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年09月11日大反響の「ゆるゆる人生相談」を一挙108本収録した、世界一ゆるい自己啓発本『笑われる勇気』(光文社・900円+税)も発売中の“世界一ゆるい70代”となった蛭子能収(72)が、読者からの相談に答える!【Q】「単身赴任先で出会った料理屋の女性と付き合っています。おとなしく従順な妻にはない、男勝りで積極的な彼女と不倫を続けたいけど、妻と別れる気持ちはありません。どうすればいい?」(二股三郎さん・41・会社員・宮城県)【A】「不倫の先には恐ろしい地獄が待っている」(蛭子能収)これは絶対に恐ろしい地獄が待っていますよ、ウヘヘ。たしか日本では一夫多妻ではないですよね。結婚のルールがあるんだったら、それに従えばいいだけじゃないですか。後ろめたく生きなくてもいいように、オレはルールを守ることを大事にしています。(マネージャー「賭博マージャンで逮捕されていますが」)あれ、そうやったっけ?不倫がバレたら、すべて失うみたいに言われていても、欲張ってその関係を続けようとするなら、簡単に幸せになることを考えちゃダメだと思いますけどね。(マネージャー談「アンジャッシュの渡部(建)さんも不倫で仕事がなくなり、年収1億円がパーになりました」)たとえ1億円あっても、ゼロになる可能性がある不倫はよくないと思います。ギャンブラーはつねに持っている金を少しでも増やそうと考えるもの。オレが競艇に行くことを変な目で見る人がいますが、休日に競艇場まで出かけて、金を増やそうとしている。たしかに持ち金が減ることばかりですが、尊い気持ちがあるんです。「女性自身」2020年9月15日 掲載
2020年09月07日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】次女のスマホの使い過ぎをやめさせることができません。高校生の娘は本当に四六時中、スマホを片手に持っていて、トイレに行くときもお風呂に入るときも、スマホを手放すことができません。みかねて「我が家のスマホルール」を作ったのですが、守ってくれることはほとんどなく、友人家族のやり方を参考にしたり、インターネットで調べた方法を試したりもしましたが、まったく効果はありませんでした。この状況に妻はかなりイライラしているようで、私たちの目を盗んで娘がスマホを使っていることに気づくと、露骨に口数が減り、家の中がギクシャクします。ただ、娘にとってスマホが大事なコミュニケーションツールということもわかっているので、思春期の娘の気持ちもないがしろにしたくないと思っています。みんなが幸せになれる効果的な方法はないのでしょうか。(49歳・男性・会社員)【回答】うーん……四六時中スマホ。母としてご心配のあまり奥さまがイライラするお気持ち、察するに余りあります。そして、間に立ってなんとかみんなが幸せになれる効果的な方法はないかとお考えになっているあなたさまのご心労、いかばかりか。我が家にも娘さんと同じ年ごろの愚息がおりますが、やっぱり息をするように一日中スマホをいじっています。ただ、それは、時代が完全に変わったからだと私は思うのです。あなたさまも電車に乗ったときご覧になったことがあるでしょう。箱の中の9割の人間がスマホを見ています。良い悪いではなく、そういう時代になったのです。ひと世代前の私たちとしては、なかなかその変化に対応できない。朝から晩までスマホをいじっていることを真っ向から否定したくなります。なぜなら、自分の中にその文化が無いから。そこには、事の良し悪しの公平な判断ではなく、やみくもに自分の持っている文化を相手に押し付けようとしているところがないでしょうか。当然のことながら、共通の基盤を持たない者がつくった「ルール」というのは、得てして守られないものです。まずは、お嬢さんが身を置いている時代の波に私たちも乗ってみませんか。「すごいね。面白そうだね。何をやっているのか教えてよ」と。そうして、あなたの文化を認めているよ、共有したいと思っているんだということを伝えます。次に、「あなたはスマホばっかりいじって!」という言葉を「私は一日中スマホをいじっているあなたが心配なの」と言い換えて、お話をしてみてください。ポイントは「あなたは」を「私は」にすることです。「あなたは!」は相手に防御態勢をとらせてしまいます。まずは「私は」で壁を壊してこちらの思いが相手に届くようにしましょう。そして、ぜひ娘さんに、電源さえ落とせばあなたが見ている世界からいつでも離れることができると、脱出ルートを教えてあげておいてください。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年09月04日大反響の「ゆるゆる人生相談」を一挙108本収録した、世界一ゆるい自己啓発本『笑われる勇気』(光文社・900円+税)も発売中の“世界一ゆるい70代”となった蛭子能収(72)が、読者からの相談に答える!【Q】「築100年の古家に85歳の姉と住んでいます。主人も子どももない不運な2人。貯金もなく、葬式代も永代供養代もありません。老い先短いこれからを生き抜く知恵を教えてください」(無い無いずくしさん・81・無職・兵庫県)【A】「生きているだけですごいこと。それで十分だと思う」(蛭子能収)オレは今、73か74歳ですけど(マネージャー「72歳です!」)、あれ、そうだっけ?忘れてしまいました。でも80歳を過ぎるまで生きられるなんて、それだけですごいと思いますよ。生きていると、病気をしたり、疲れたり、こうやって年齢を間違えて変な目で見られたりと大変ですが、やっぱり生きていることが大事だと思いますよ。葬式も永代供養なども必要ありませんよ。そもそも死んだあとのことは考えなくてもいいですよ。とにかく生きていることがすごいですよ。それだけで十分だと思っていればいいと思いますけどね。オレは兄貴も80歳くらいですが、ちょっと前まで数百円を持った兄貴と大村競艇場でよく会っていました。オレが高校生のとき、兄貴が競輪で勝った100万円を「これで家ば建て替えろ」と母親にたたきつけたことがあります。100万円で建てられた家っていうのが笑っちゃうけど、その家は、橋ができるということで、立ち退き料が出て800万円に!ギャンブラーとして尊敬しています。「女性自身」2020年9月8日 掲載
2020年08月31日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】結婚して23年。会社員で3歳年上の夫と会話が成立しません。交際していたときは普通に話ができていたのですが、結婚してからというもの夫の口数はどんどん減るばかり……。子どもを挟まないとコミュニケーションが成り立たず、夫婦2人きりなったリビングは真空のように無音の状態で、地獄の時間が続きます。子どもが独立したあとの生活を考えると、今では熟年離婚も選択肢の一つとして真剣に考えるようになりました。これからの暮らしをより良くするために、私はどうすればいいのでしょうか。(52歳・女性・パート)【回答】真空状態とは一大事ですね。命に係わります。さて、「これからの暮らしをより良くするためにどうすればいいか」とのことですが、まずは、あなたさまにとって「より良い暮らし」とはどういった暮らしなのか、具体的に考えてみようではありませんか。会話が成立しない無音の状態を地獄と感じていらっしゃるのですから、少なくとも今より良くなるためには会話が必要そうですね。して、その会話の内容は何でもOKですか?たとえば、旦那さまが職場のことを一方的に話してくれるとか、旦那さまのご両親やご兄弟についてあれこれ話してくれるとか、旦那さまの趣味や得意分野のこととか。とにかく話をしてくれればいい?あなたさまがそれを興味深く熱心に微笑みながら聞いて相づちを打ってくだされば、きっと会話の絶えない幸せなリビングになりますよ。さあ、他にはどんなビジョンがあるでしょうか。どんどん具体的に「より良い暮らし」のイメージをふくらませてみてください。ところで、あなたさまが思い描く「より良い暮らし」があるように、旦那さまにも旦那さまの思い描く「より良い暮らし」が必ずあります。双方のすり合わせは、済んでいらっしゃいますか。他人は自分の鏡と申します。ご夫婦ならましてやのこと。つまり、相手の態度は自分の態度の“映し”なのです。旦那さまの口数は勝手にどんどん減っていったのではなく、あなたさまが減らさせたという捉え方もできるということです。若いころの情熱は沈静し、子育ても終わってしまって、なんの役割も期待もなくなってしまってからが「その人と一緒にいるかどうか」の正念場のような気がします。相手がひとりの人間として存在していることだけにOKが出せるかどうか。一緒にいたのではお互いにそれぞれの「より良い暮らし」を実現できないことが確定なら、離婚もいいでしょう。反りが合わなくなってしまった人と一緒にいるより、ひとりのほうがずっと「より良い暮らし」を実現しやすいと思いますから。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年08月28日大反響の「ゆるゆる人生相談」を一挙108本収録した、世界一ゆるい自己啓発本『笑われる勇気』(光文社・900円+税)も発売中の“世界一ゆるい70代”となった蛭子能収(72)が、読者からの相談に答える!【Q】「実母と夫と3人で暮らしていますが、母が夫につらく当たります。私にとっては優しい夫ですが、母は『仕事ができない』と罵ります。母と夫が仲よくなる方法を教えてほしい」(茶々丸さん・41・自営業・宮城県)【A】「争いがある場所からは、すぐに抜け出したほうがいい」(蛭子能収)久しぶりに競艇をしました。今は窓口で舟券が買えないから、ネットで購入する方法を教えてもらいました。その日の多摩川競艇場は有利なインコースがダメだったので5、6号艇に予想をしぼりました。いい読みだったんですが、最後に4号艇が伸びてきて、結局大負け。4号艇さえこなければ20万円は取っていました。認知症になった(※編集部注:7月9日に放送された『主治医が見つかる診療所』〈テレビ東京系〉で、記憶力が著しく衰えたことから専門医を受診した蛭子さんは、アルツハイマー病とレビー小体病を併発している軽度の認知症であることを告げられた)あと、マネージャーに「競艇にはもう行きたくない」と言ったようですが、オレはまったく覚えていません。必死に予想して、レース展開に手に汗握ったからか血の巡りがよくなりました。これまでいろんなギャンブルをしてきましたが、やっぱり競艇ですね。(マネージャーに「回答してください」と促され)あっ、そっか!この人は、旦那だけを見ていればいいんですよ。争いがある場所は誰だって嫌、すぐに抜け出したほうがいいですよ。母親には「別居しますよ」と言ってみたらどうですか。4号艇がこなければ、もっといい回答ができたと思いますが、これで勘弁してください。「女性自身」2020年9月1日 掲載
2020年08月24日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】遠く離れてひとりで暮らす母に介護が必要になりました。これからも母の要介護度が高くなることを考えると、いつかは帰郷して母の面倒を見たいと思っています。そんな折、私の勤務先の会社が早期希望退職の募集を開始。退職金も上乗せになるとのことで、いっそ会社を辞めて故郷に帰ろうかという気持ちが日増しに強くなっています。一方で上洛してから25年。子どもたちを育てた家は京都にあり、都会に深い愛着があるのも事実。ふん切りがつかない状態でいます。このような判断を迫られたとき、どのような基準で決断するのがよいのでしょうか。(58歳・男性・会社員)【回答】親の介護。頭の痛い問題ですね。あれこれ悩まれ、ふん切りがおつきにならないのも無理ありません。心中、お察し申し上げます。さて、そのようなとき、どのような基準で決断すればいいのかということですね。あくまでも私の感覚で申しますが、判断基準は「ケツを持てるか」です。人間は5秒で損得を考えだすそうです。行動を起こそうとしたとき、ほんの5秒間躊躇するだけでもう「どっちが有利だろう」「こうしたほうが得なんじゃないか」「世間体というのもある」「長男の立場としてはどうするべきか」と、まあ数えきれないくらいの損得を考えはじめてしまうそうです。それが「人間というものだ」とのことですから損得を考えるのはよいのですが、問題なのは損得に振り回されて本当のところ「自分はどうしたいのか」が抜けてしまうことだと思うのです。決断するということは、ひとつを選んで、そのほかを捨てるということです。そして、そのひとつを選んだことによって生じるすべての結果に対してケツを持つ覚悟をするということです。「自分はどうしたいのか」に忠実に従って選んだ末の結果でなければ、覚悟を持ち切らんでしょう。そして、そのケツを持つ覚悟があれば、自らが下した決断はすべて「最良の決断」になります。たとえすべてを失い、世間様には大失敗だとせせら笑われようともです。ここで今一度、ご自分が大切にしているもの、守りたいもの、失いたくないもの、貫きたいもの、譲れないもの、愛しているもの、それがなんなのかをすべての外界をシャットアウトして考えてみてください。あなたさまが「ケツを持つ」と覚悟できる方へ進めば、あなたさまの周りの方々もみな安定します。場が安定すれば、未来は開けます。私はそう思っています。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年08月21日大反響の「ゆるゆる人生相談」を一挙108本収録した、世界一ゆるい自己啓発本『笑われる勇気』(光文社・900円+税)も発売中の“世界一ゆるい70代”となった蛭子能収(72)が、読者からの相談に答える!【Q】「彼氏をとられました!彼氏と一緒に行くはずだったライブに私が行けなくなり、チケットを友達にゆずったのがきっかけでした。何か効果的な復讐方法を教えてください!」(ピンサッシーさん・28・OL・静岡県)【A】「紙に『復讐』と書いて部屋に貼っておけばいい」(蛭子能収)なんかわからないけど(※編集部注:7月9日に放送された『主治医が見つかる診療所』(テレビ東京系)で、記憶力が著しく衰えたことから専門医を受診した蛭子さんは、アルツハイマー病とレビー小体病を併発している軽度の認知症であることを告げられた)、というわけで、人生相談は、今までどおり続けますね。何か役割を持ったほうが認知症にはいいみたいですよ。オレのテキトーな回答が役に立つとはまったく思いませんけどね……。この女の人は、かわいそうですが、男の人は、この彼氏だけではありませんからね。復讐なんて考えないほうがいいですよ。みっともない結果になったら恥ずかしいし、「私は負けた」と引き下がったほうがいいですよ。そしたら、次にいい男の人が見つかるかもしれませんよ。(マネージャー「20年ぐらい前、蛭子さんは、楽しみにしていた『プッチンプリン』を小学生の息子さんの友達が勝手に食べたことに怒って、漫画でその友達が火ダルマになる絵を描いて復讐していましたよ!」)あれ、そうだっけ。今それを言われると恥ずかしいですね。でも漫画で復讐するのはありだと思いますよ。それが面倒だったら、紙に「復讐」と書いて部屋の壁に貼っておけばいいですよ。すごく怖い部屋になりますけどね。「女性自身」2020年8月18日・25日合併号 掲載
2020年08月17日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】会社の働き方がテレワーク中心になり、定年退職を自宅で迎えそうです。私は今年の11月、60歳になり、37年間勤めた会社を定年退職します。勤めている会社は去年、定年退職した人に退職の挨拶をしてもらったり、感謝状を渡したりと、小さなセレモニーを開いていました。しかし、今回のコロナ禍を受けて働き方はテレワークにシフト。通勤手当もなくなるという本気ようで、会社にはほとんど誰も行かなくなりました。私は目立つことが好きではないので、セレモニーがなくなりそうなことに関してはホッとしています。一方で同僚に全く気づかれずに職場を離れる寂しさやお世話になった人に直接挨拶することができないもどかしさは感じていて、会社をやめた実感がわかず、気持ちの区切りをうまくつけられない気もしています。どうしようもないことだとはわかっているのですが、どうすればこのモヤモヤを解消して退職できるでしょうか。(59歳・女性・会社員)【回答】37年間にもわたるご勤務。まさに偉業。まずは、心からリスペクト申し上げます。きちんと最後の区切りをつけたいと思っていらしたのに、このコロナ禍で出勤すらままならなくなってしまわれたのですね。いかんともしがたい複雑なお気持ちでしょう。「どうすればこのモヤモヤを解消して退職できるでしょうか」。ごもっともです。浅知恵ですがご提案させてください。まずは、ご自分のお気持ちを整理してごらんになってはいかがでしょうか。「セレモニーがなくなりそうなことに関してはホッとしている」とおっしゃっておいでですが、果たして本当にそうですか。どうも行間から「私にもセレモニーをやるのが当然でしょう」「37年間も勤め上げての晴れ舞台だったはずなのに」「私も感謝状と花束が欲しい」「同僚や上司から労いの言葉があるべき」という無念がにじみ出ていらっしゃるようにお見受けするのですが、いかがでしょう。そういうお気持ちになるほうが、私にはかえって自然なような気さえします。万一にでも、そのお気持ちを大人の自粛で抑え込んでしまわれているようなことがあると、もっとモヤモヤ度が増すことになると思うのです。残念無念は口に出して大っぴらに認めてしまった方が、お気持ちはすっきりするかもしれません。同時に、37年間も続けてこられた生活スタイルが変わるのですから、ある種の喪失感や虚脱感のようなものが芽生えてもおかしくありません。「さて、これからどうしよう」という漠然とした不安は、例年通りにセレモニーが開催されて同僚やお世話になった方々に直接ご挨拶することができたとしても生じるもので、いま抱えていらっしゃるモヤモヤの原因はそこではないかもしれません。長い年月を費やしてきたものから離れるとき、そうそう簡単には気分転換できないのが、私たちのような気がします。「モヤモヤを解消してすっきり退職」は理想ですが、現実ではないということです。次の生活スタイルに慣れていくまでに、モヤモヤするリハビリ期間がきっと必要なのでしょう。そんな気がいたします。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年08月14日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】先月、大切な人を亡くしました。彼とは38年前からお付き合いをしていました。ただ、彼には奥さまもお子さまもいて……。何度も別れようとしたのですが、どうしても無理でした。そんななか8年前に奥さまがお亡くなりになって、その数カ月後に彼もがんであることが発覚しました。抗がん剤治療や手術で入退院を繰り返す日々。でも、合い間には旅行に行ったり、食事に行ったりすることもできて、幸せなときでもありました。それに彼はいつも自分より私を心配してくれて、何度も籍を入れようと話をしてくれましたし、お墓も奥さまとは別にすると言ってくれました(一方で、当然のことながらお子さまは私とは会えないと言っていて、籍を入れたら彼もお子さまに会えなくなるのではと思い、このままでいいと返事をしました。お墓も最終的に彼は奥さまと同じ場所で眠っています)。ただ、最期の日はあまりにも急に来てしまった……。どんどん衰弱していき、ほとんど話をすることもできずに逝ってしまいました。あんなにも時間があったのに自分の思いを素直に伝えられなかった。今はそんな後悔ばかりが募っています。どう生きたらいいかも分からず、苦しくて辛くて。どうにかなりそうで毎日が怖いです。(60歳・女性・無職)【回答】38年……。長い、長い時間でしたね。人生の半分以上を一緒に過ごされたのですから、それはそれは、いろんなことがおありだったことでしょう。先月に看取られたばかりで、まだまだ怒涛のような想いの中にいらっしゃることだろうと思います。「自分の思いを素直に伝えられなかった」と思い悩まれているとのこと。どんな思いをお伝えできなかったのでしょうか。お時間があればゆっくりお聴きしたいところです。苦しくて辛くてどうにかなりそうな毎日をお過ごしのあなたさまに、今はかける言葉も見つからず、ただただどんなにお辛いだろうと、思い巡らせるのが精一杯です。それでも、ひとつお耳に入れておくことができるとすれば、この世は諸行無常であるということでしょうか。この世の中のすべては、なにひとつとして同じかたちで続いていくものはないのだという理です。抵抗することのできない別れで、幸せな時間はかたちを変えてしまいましたでしょうが、今のあなたさまの苦しさ辛さも、いずれかたちを変えていきます。いついつまでも続くものではありません。ただ、渦中にいらっしゃれば、そんなふうに考える余裕なども持てずにいらっしゃることでしょう。そんなときは、もがくよりも膝を抱えて縮こまっているほうが得策なような気がいたします。嵐はいずれ過ぎてゆき、雨もきっと上がります。ところで、あなたさまの大切なお方ですが、私はお墓になんかいらっしゃらないと思いますよ。あんな狭いところにはおさまってはいらっしゃらず、世界中を自由に飛んで回っておられることでしょう。間違いなく、あなたさまのおそばにもいらっしゃっていて、「ほれ、しっかりせい」と見てくださっておいでだと思います。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年08月07日大反響の「ゆるゆる人生相談」を一挙108本収録した、世界一ゆるい自己啓発本『笑われる勇気』(光文社・900円+税)も発売中の“世界一ゆるい70代”となった蛭子能収(72)が、読者からの相談に答える!【Q】「20年以上、腰痛で苦しんでいます。腰が重くて、やる気が起きず会社を休むことも。漫画家の蛭子さんも机での作業が多いと思いますが、腰痛対策はどうしていますか?」(サッシー楽さん・51・会社員・福島県)【A】「腰が痛かったら病院へ。それより会社に行かないのはマズいですよ」(蛭子能収)最近、オレも腰が重くなることがあります。だから毎日5キロくらい歩くようにしているんですけどね。(マネージャー「違いますよ、せいぜい500メートルくらいです!」)オレは猫背だし、漫画を描くときは長時間座っていましたが、腰が痛くなることはあまりなかったような……。パチンコ店に徒歩で行ったり、競艇場まで電車で行ったりして、よく歩いていたのがよかったと思いますよ。腰が痛かったらオレに相談するよりも病院行ったり、マッサージをしてもらったりすればいいのに。オレはほかの人から体を触られるのがすごく嫌だから、マッサージが気持ちいいという人の気持ちがまったくわかりませんけどね。それよりも会社に行かないのはマズいと思いますよ。やる気があってもなくても、金を稼ぐためには働かなければいけませんよね。オレは体調が悪いからと仕事を休んだことは一度もありません。(マネージャー「いいえ、頭がクラクラするといって仕事に行かなかったことがあります!」)えっ、そうだっけ!「女性自身」2020年8月11日 掲載
2020年08月03日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】私はさまざまな死別経験から、遺族ケアや生・死について深く学び関わることが自分の使命であると思っています。これまでもグリーフケアをはじめ、いろいろ学び、民間資格の取得にも挑戦しました。しかし正直にいうと、十分に理解できていないです。どうしたら、そうしたことをもっと学べるのか?どうしたらもっと関わることができるのか?いま何をすべきなのかわからなくなっています。何かアドバイスや情報をいただけないでしょうか。(34歳・女性・看護師)【回答】「死について深く学び関わることが自分の使命」。ご自分のミッションをはっきりと自覚なさっている。尊敬します。そして、ミッション達成に向けて努力もしていらっしゃる。ぶれていませんね。すごいです。そして今、「どうしたら、そうしたことをもっと学べるのか?どうしたらもっと関わることができるのか?いま何をすべきなのかわからなくなって」いらっしゃる。壁にぶち当たっていらっしゃるのですね。学ぶとき、最善にして最短の方法は「経験すること」だと私は思っています。実際に体験することで得る経験値はどんな専門書にも勝る、と。でも、なかには自分で経験してみることができないこともありますね。「死」もそのひとつです。本当は一度死んでみるのがいいのでしょうが、死んだら今の状態にはもどってこられないルールのようなので、せっかく死んでみても経験値として活用できません。「死」だけに限らず、宇宙のことも、人間の体のことも、病気のことも、実はわからないことだらけなのが現状ではないでしょうか。私たちはそれを、いかにもわかっているようなふり、もしくは勘違いをして過ごしているだけです。「わからない」ものを「わからない」と言うことは、どんなに難しいことなのでしょう。「わからない」ものを「わからないまま」に見ていることは、どんなに我慢のならないことなのでしょう。その点、あなたさまは「十分に理解できていない」と認めていらっしゃる。天晴です。「わかった」と勘違いをして上っ面なことをしてしまうよりも、ずっと肝のすわった態度です。死について深く学び関わるためには、「わからない」「わかるわけがない」という自分に対する戒めと、それでも「わかりたい」「1ミリでも近づきたい」という真摯な、もはや祈りといってもいいような渇望が原動力になるような気がしています。この道には、決して満足できるシチュエーションはありません。そのことを忘れずに在り続けることが、今すべきことなのだと思っています。同志よ、共に学ぶ仲間として、日々粛々とやってまいりましょう。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年07月31日大反響の「ゆるゆる人生相談」を一挙108本収録した、世界一ゆるい自己啓発本『笑われる勇気』(光文社・900円+税)も発売中の“世界一ゆるい70代”となった蛭子能収(72)が、読者からの相談に答える!【Q】「コロナ禍で旅行ができずに悶々と。夏には夫婦で南米マチュピチュに行く予定でしたがキャンセルに。旅がなければ楽しみもない!面白いことがない!旅行好きにはツラいですよ」(オットー太郎さん・65・無職・東京都)【A】「旅に行かなくても、身近に面白いことはたくさんある」(蛭子能収)オレも旅行が好きですが、行けなくても苦痛ではありません。旅番組がコロナの影響で撮影ができないのは困りますけどね。最近はよく散歩しています。近くにすごくいい公園があるんですが、そこの芝生に座って、おしゃべりに夢中になっているお母さんたちの子どもがトコトコ歩いている姿を見ながら「迷子にならんかな、そうなったらオレが助けるのに」とワクワクしながら見ています。わざわざ旅に行かなくても、身近にも面白いことが多いんじゃないかと思いますよ。オレがよく散歩に行くのは、テレビ東京の『主治医が見つかる診療所2時間スペシャル』で認知症と診断され、少しでも進行を遅らせるため。ただ認知症と言われたからといって、オレが突然、変わったわけではありません。女房には迷惑をかけているみたいで、それには感謝していますが、これまでと同じように過ごしています。認知症がどんなもんか、いろんな人に知ってもらうためにも、この人生相談は続けてみようかと思っています。「女性自身」2020年7月28日・8月4日合併号 掲載
2020年07月27日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】交際していた彼の人生を狂わせてしまいました。彼とは8年間も付き合っていて、最初は11歳という年の差に迷っていたんですが、占いをしている母に「その人はソウルメイトだ」と強く勧められて交際を始めました。でも時間が経つにつれ、気持ちが冷めてしまって……。彼はプロポーズまでしてくれましたが、私は友人から紹介された別の男性を好きになったり、出会いの場に自ら足を運んだりと、遊びを繰り返して今では別の彼がいます。でもこんな状況に、自分のせいとは重々承知ですが、自分だけが幸せになってしまったという罪悪感から精神的に不安定になってしまい心の病気に。体にもいろいろな症状が出てきて、生きた心地がしません。母には、なぜ私の人生を変えるようなことを言ったのかとフラストレーションが溜まるばかりです。以前付き合っていた彼はいま46歳ーー。いくら男性でも、この年齢で普通の出会いはなかなか難しいと思います。私は人の役に立つことを沢山したいと思って生きてきたのに、ひとりの男性の人生を狂わせてしまいました。この先、この思いを抱えてどういう風に生きていけばいいのでしょうか。(35歳・女性・受付)【回答】なんて大変な人生でしょう。「人の役に立つことを沢山したい」という崇高な志を持っておられるあなたさまが、どうしてこんなお辛い運命を背負わされなければならないのか。この世は本当にままならないことばかりですね。でも、あなたさまも人生始めて35年。そろそろこの澱みから脱出しないといけません。私はあなたさまよりだいぶ長く生きているので、少し先輩風を吹かせて2つお伝えしようと思います。1つ目は自分の人生船の船長たる覚悟を持つこと。「お母さまに勧められてお付き合い」。私たちは独りで生きているわけではありませんから、周りの方からアドバイスをいただいたり、本などのメディアから情報を得ることもあるでしょう。でもそれは、どちらに進むかを決めるための材料にすぎません。最終的にはその材料をもとに、自分で自分の人生船をどちらに進めるかを決めるのです。ここを勘違いしてはいけませんよ。お母さまに対して「なぜ私の人生を変えるようなことを言ったのか」なんて、もう片腹痛い。あなたさまはどこまで自分の船の舵取りを人さまにあずけてしまうおつもりなのでしょうか。しかも、自分の船が迷走している責任までも人さまに押し付けるなんて。あなたさまの船の舵取りをしているのは、他ならぬあなたさまです。どんな結果になろうと、人生船の船長たる覚悟を持ってください。すべてはその覚悟からはじまります。2つ目は自分の頭のハエを追うことに専念すること。「プロポーズまでしてくれた彼氏に見切りをつけ、別の男性を好きになったり、出会いの場に行ったりと遊びを繰り返して今の彼氏と巡り合った」のですよね。生きていればきれいごとだけでは片付かないこともあるでしょう。若いときはなおさらです。でも、そうやって本当の愛を見つけていくのですよね。だからそのプロセスを批判するつもりはまったくありませんが、「自分だけが幸せになってしまったという罪悪感から……」というくだりには噴飯しました。まずそのかつての彼氏さんに失礼でしょう。46歳の彼が今もあなたさまを想い続けていらっしゃるとでも?あなたさまと別々の人生を歩みはじめて、案外せいせいされていらっしゃるかもしれませんよ。人の役に立つことをしたいのであれば、まずは自分の心と体を良好に保つこと。あなたさまが心と体を壊していては、今の彼氏さんだって楽しくないでしょう。いらんことを考えてヒロインになっていないで、とっとと自分の頭のハエを追い払ってくださいませ。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年07月24日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】3月末に母が他界しました。がんで腎臓と膵臓を摘出していたので苦しかったはずですが、本人の意志で最期も自宅で私と二人暮らしでした。日中は私が仕事で母は家で一人でしたが、それでもヘルパーの力は借りずに、ケンカしたり笑ったりしながら過ごす日々。母は何度も「自分の誕生日に旅立つわ」と言っていて、冗談だと思っていましたが、本当に旅立っていきました。でも、バタバタと家族葬の準備をしていたとき、母からの手紙が出てきて……。入院して手術になったときの不安な気持ち、日中に一人でいる寂しさ、遺品の処理を任せることへの謝罪、私のこれからの心配と応援などが書かれていたんです。最後には幸せだったとも書いてありましたが、母の気持ちを改めて知り、本当に母は幸せだったのか?母に何ができたのだろうか?と考えるようになり、喧嘩ばかりで優しくしてやれなかったと反省と後悔の念が押し寄せています。さらにコロナの影響で収入が下がるという別の不安もあって。他人に弱いところは見せるなと手紙には書いてあり、なんとか生きないと母にまた心配をかけると思いながらも泣いています。毎日、いろいろなことを思い出して、不安な気持ちと母への謝罪の気持ちでいっぱいです。(48歳・男性・自営業)【回答】お母さまを亡くされて、まだ間がないのですね。誕生日に逝くとおっしゃっていてその通りにされたとは、潔いというかお見事というか、とにかく天晴れなお姿でした。しかも、お手紙までしたためていらしたなんて。なかなかできることではありませんよ。よほど魂のレベルが高い方だったのでしょうね。「本当に母は幸せだったのか、母に何ができたのだろうか」と反省の日々を送られていらっしゃるとのことですが、まず、幸せだったかどうかを決めるのはお母さまご自身で、あなたさまではないということ。最後のお手紙のなかに「幸せだった」と書いてあったのでしょう?お母さまがそうおっしゃっているのに、「本当に幸せだったのか?」ってあなたが疑ってどうするんですか。それから、「母に何ができたのだろうか」ですけれど。私にも息子がいますのでね、思うところを申しますと、子どもが生まれてきてくれたときにはもう母はすべてをもらっているんですよ。完璧にfullなのです。その後の時間はたとえ喧嘩したって、いがみ合ったって、オマケみたいなもの。子どもという存在を得た完璧なfullは欠けることはありません。母親なんてそんなものですよ。だから、あなたが何もしてくれなかったとしても、それでどうこうなることはありませんね。人間はいつまでも生きているわけにはいかないものです。だから先に生まれた親の方が先に逝くようになっています。空の上から可愛いわが子を見下ろしたときに、毎日不安と謝罪の気持ちでいっぱいな様子を見たら、せっかく天国にいるのにのんびりもできやしない。いろいろなことを思い出してくれるなら「ありがとう」と「大好き」って気持ちでいてくれたら安心です。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年07月17日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】私の家には代々続く家業があり、両親が亡くなったあとは私が継いだのですが、最近は人手が足りず、継続するのにも苦労しています。一方で、恥ずかしい話ですが、家族には無職の弟がいて。仕事をやらせる意味でも家業を手伝わせようとしたのですが、「興味がない」と断られてしまいました。このままでは家業の先々についても不安ですし、無職の弟の将来のことも心配です。なんとか彼をやる気にさせる方法はないのでしょうか。(40代・男性・自営業)【回答】家業の先々に、弟さんの将来。ご心労が絶えないご様子に胸がつまります。無職の弟さんになんとかやる気を出させる方法はないものかとのことですが、根も葉もない言い方をお許しいただければ「ない」です。そもそもやる気というのは他人から言われて生じるものではなく、自分のなかから湧き出てくるものだからです。高野山での修行で護摩行をやっていたときの話です。護摩木を組み上げて火を焚くのですが、簡単なようでこれがなかなか難しい。途中、もっと燃えよと油をかけたり、風を送ったりするのですが、炎と呼吸が合わないと助けたつもりが逆に勢いを削いでくすぶらせてしまいます。やみくもに油をかけてやればいいというわけではないのですね。どちらの方向に燃え広がりたいのか、ちょろちょろ燃えていたいのか、大きく燃えて火柱を上げたいのか、火の意向と合わないとうまくいかないのです。これまでにも幾人か「仕事しない」「何事にも興味がない」という方のご相談をお受けしてまいりましたが、不思議なことに、みなさんご相談にお見えになるのはご本人ではなくご家族なのです。困ったり心配したりしているのは周りで、ご本人のまったくどこ吹く風なご様子を拝見すると、いつも、護摩の火のことを思い出します。息が合っていないなあ、って。さあ、いかがでしょう。これまでに、弟さんが何かをなさろうとしているときに「ほれっ」と油をかけたり、ゆっくり歩こうとされているときに後ろから「ぷうっ」と風を送ったりなさったことはありませんでしたか?火はタイミングの合わないことを何回かやられるとふてくされて消えてしまうのですが、はてさて、人はどうでしょうか。簡単なことではないと思いますが、いま一度あなたさまからは何もしないことになさってみてはいかがでしょう。無職でいらっしゃるのにお腹をすかせているようにはお見受けしないのですが、もちろん、上げ膳据え膳をなさる必要もありません。火の意に任せるのも胆力のいることです。でも、火が燃えようと思わなければ、周りがなにをやったって燃え上がりはしないのです。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年07月10日大反響の「ゆるゆる人生相談」を一挙108本収録した、世界一ゆるい自己啓発本『笑われる勇気』(光文社・900円+税)も発売中の“世界一ゆるい70代”となった蛭子能収(72)が、読者からの相談に答える!【Q】「アミューズメント施設でダンサー(派遣)をしていましたが、コロナの影響で失職。失業手当が出ますがつくづくフリーは大変。フリーとして働く心構えを教えてください」(ののさん・31・無職・千葉県)【A】「フリーとして働くうえで大切なのは“朝昼晩、規則正しく食事すること”」(蛭子能収)ちり紙交換や漫画家と、長いこと、フリーとして働いているオレが大事にしていたことは、食事をきちんととることです。朝昼晩とできれば規則正しく食べることが重要。うまいとか、まずいとか考えず、とにかく腹持ちのいいものを食べていました。あと大切なことは、自分がやりたいことは続けることです。最初は結婚した20代のころは貧乏していましたが、競艇場通いをやめることはしませんでした。当時から大穴配当という夢を追い続けていたから負け続きでした。でも、そのおかげで、今でもスポーツ紙で競艇の予想コラムを書いて稼ぐことができます。あとは人と同じことをしないようにしています。オレが描く四コマ漫画には起承転結がありません。あえて4コマ目はオチをつけずに、結末をわざとおもしろくないようにしたり、上のコマと関係ない絵にしたりすることも。意味不明と言われますが、なかには「わからないけどいい!」と褒めてくれる人がいるんですよ、テヘッ!「女性自身」2020年7月14日号 掲載
2020年07月06日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】父親の死をどう乗り越えればいいのかわかりません。病気もせずに、毎日元気に自分で運転して、母と一緒にゲートボールを楽しんでいた90歳の父。昨年6月、急に体調を崩して二度も救急車で運ばれました。されど、原因ははっきりせず……。母親と一緒に看病をしながら、どうしたらいいかと悩み、原因を追究するために総合病院で半日かけて検査をしてもらいました。それでも診断は水分不足と過呼吸のみ。検査後に点滴だけしてもらい、自宅に帰ることになりました。でも家に入った途端に苦しみながら倒れて。必死に心臓マッサージをしましたが、そのまま亡くなってしまいました。半日もかけて検査を受けさせたこと、今でも後悔していて、苦しい思いをさせてしまった父親に謝りたいですし、最近は父親が倒れてから亡くなるまでの状況を思い出すことが多くて悲しいです。どうしたらよいのかまったくわからず、相談させていただきました。(55歳・女性・会社員)【回答】親を亡くすのは、本当に寂しいものです。それまでお元気でいらしたのに急であれば、なおのことお気持ちの整理がつかないでしょう。半日もかけて検査を受けさせてしまったと後悔されているのですね。検査が長く苦しかったから、お父さまが逝ってしまわれたように感じていらっしゃるのでしょうか。あの検査さえ受けさせていなければお父さまはまだご存命だったかもしれない、苦しい思いをさせたうえに逝かせてしまったと。私たちには、どんなことにも“理由”を探してしまう癖があります。走ったから転んだ、落としたから壊れた、出かけたから交通事故に遭った…という具合に。なかには、その因果関係を断つことができる場合もありそうですが、こと「死」についてはどうだろうと考えることがあります。というのは、たとえば「餅を食べたから詰まらせて死んでしまった」けれど、「餅さえ食べなければ生き続けていられる」のかということです。たぶん違うでしょう。いずれ、どんな理由にせよ必ず死んでゆくのが人間です。ということは、「死」の究極の理由は、「生きているから」。この因果関係は、私たち人間ごときにはどうにも断つことができません。お父さまは、今ごろどうされていらっしゃると思われますか?痛んだり壊れたりするこの肉体は、じつは足枷です。脱ぎ捨てて自由になったお父さまには、もう苦しみも悲しみもありません。あなたの周りにいることもできるし、行きたいと思うだけで天の川にだって行くことができます。この世しか知らない私たちは「苦しい思いをさせた」「謝りたい」と負の感情で亡き人を拘束しようとしますが、どっこい、もうそんな次元にはいらっしゃらないのです。お父さまのために何かしてさしあげたかったと思われる? いまからでもできますよ。それが回向(えこう)です。私たちがこちらの世の中で徳を積むと、その徳があちらにいらっしゃるお父さまの活力になります。徳というのは、ボランティアをするとか、ゴミを拾うとか、そういった良いことをして積むこともできますが、なによりも貯まるのは「笑顔」と「感謝」です。お父さまを思い出されるときには、どうぞ「笑顔」と「感謝」で徳を積んでください。それがお父さまにとってなによりの活力になりますから。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年07月03日大反響の「ゆるゆる人生相談」を一挙108本収録した、世界一ゆるい自己啓発本『笑われる勇気』(光文社・900円+税)も発売中の“世界一ゆるい70代”となった蛭子能収(72)が、読者からの相談に答える!【Q】「妻から『マズそうな顔で食べないで』と叱られます。焼きなすを食べたときも『もう食べないで!』とキレられました。料理はおいしいのに。上手な食べ方を教えてください」(ロビロビンさん・26・会社員・茨城県)【A】「有吉弘行さんはホントにオレのことが好きですね」(蛭子能収)オレは、テレビのレポが苦手です。とくに漁師町の食堂に行くと「これどうぞ」と、オレが嫌いな魚の刺身をわざわざ出してくれる店員さんがいます。テレビカメラも回っているし「どうも」と言わないといけないし、お礼を言ったら食べるしかありません。そんなときは笑顔をつくって「おいしい!」と言ってごまかします。この人の場合は、奥さんの料理がマズくないんだったら、別に心を偽る必要もありませんよね。演技でもいいからほほ笑みながら「うまい!」と言えばいいですよ。そういえば、黒川(弘務・前検事長)さんの賭けマージャンが話題になったとき、有吉(弘行)さんが「蛭子さんなんて『お上の許しが出たかって』って言うと思うよ」と『マツコ&有吉かりそめ天国』でオレのことをいじっていましたが、ホントに有吉さんはオレが好きですよね。ふだんは毒舌っぽい演技をしていますが、有吉さんは、すごくオレのことを気にかけて、一生懸命、宣伝してくれる。その気持ちがありがたいですね。「女性自身」2020年7月7日号 掲載
2020年06月29日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】結婚して2年目になります。30代半ばにさしかかり、そろそろ子どもを生むかどうか決断しなくてはと感じているのですが、強く「子どもがほしい」と思えません。一方で、「生まなかったら後悔するのではないか」という気持ちがよぎることもあって。どうしても決めきることができません。授かるには不妊治療しかないかという状況……。周りの結婚している友達は、疑問なく子どもを生んでいるか、不妊治療に励んでいる人しかいなくて、あまり悩みも打ち明けられずにいます。どうやったら決断できるでしょうか。(34歳・女性・会社員)【回答】30代半ば。子どもを生むか生まないか、悩ましいですね。出産にはどうしたって年齢的な縛りがありますから、ぎゅっと突き詰めて考えないといけないところがあります。あなたのご参考になるかどうかわかりませんが、看護師として見てきたケースをいくつかお話しさせてください。まったく子どもに興味がなく望まない妊娠だったAさんは、いよいよ出産となって入院してきたときにも表情が硬く、子育て大丈夫かしら? と心配しましたが、いざ産まれたらメロメロなママになりました。妊娠出産でホルモンバランスも変わりますから、「欲しくなかったけど、産んでみたらもうかわいくて!」というママはけっこういらっしゃいます。ずっと授からないようにしてきたBさんは、やっぱり子どもをつくろう、年齢的にもそろそろリミットだしと解禁したのですが、結局コウノトリはやってきませんでした。長年不妊治療をがんばってきたCさんは、もうこれ以上は無理と30代最後の年に泣く泣く不妊治療をやめましたが、その半年後、自然妊娠で子宝に恵まれました。こんなふうに、生命誕生のドラマはいつだって神秘的です。本来、たかだか人間ごときにどうにかできるものではないのだという気がしています。だから、ひとつだけ覚えておいていただけると嬉しいのは、「あなたの心をいつもやわらかくしておいてほしい」ということです。子どもなんていてもいなくてもどっちでもいいや、という柔軟さを持ち続けてほしいのです。私たちは「絶対」とか「必ず」とか「どうしても」という言葉を使いはじめると、袋小路に追い込まれ逃げ道をなくして苦しくなります。どんな結果になっても「それが私の人生」と受け入れるやわらかいアタマとココロさえあれば、穏やかに過ごせるはずです。「何があっても良しとする」。それはある意味、“覚悟”でもあります。覚悟ができたら、運を天に任せてごらんになってみては?【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年06月26日大反響の「ゆるゆる人生相談」を一挙108本収録した、世界一ゆるい自己啓発本『笑われる勇気』(光文社・900円+税)も発売中の“世界一ゆるい70代”となった蛭子能収(72)が、読者からの相談に答える!【Q】「付き合って半年の彼氏の口癖が『死ね』です。ちょっと約束の時間に遅れただけでも『死ねよ』と。冗談だとわかっているけどすごく嫌です。どうすればいでしょうか?」(中トロレモンさん・21・学生・愛知県)【A】「『死ね』なんて想像力のないことを言える人とは距離を置くべき」(蛭子能収)オレは死ぬことがなによりも怖いと思っています。楽しく自由に生きていくためには死を感じることから遠ざかって暮らしたいもの。ふだんからわざわざ死を感じる必要はありませんからね。だから、できればこんな相談とは距離を置いていたいんですけど……。彼がどんな人かわかりませんが、離れたほうがいいと思いますよ。本当に相手が死んだらゾッとすると思いますがそれさえ考えられない。そんな想像力がない人とは交際しないほうがいいですよ。冗談でも相手が不快と感じる言葉を口にする人とは距離を置いたほうがいいですよ。そもそも「死ね」と言っている本人が気持ちいいはずがありませんよ。漫画でたくさんの人を殺しているオレですが、さすがに他人に「死ね」と言えば、後ろめたくて、気持ち悪くなりそうです。インターネットでは「死ね」がよく使われているようですが、それを発言する人は、平気そうにしていても、たぶん心のどこかで嫌〜な気持ちになっているはずですよ、まいっか!「女性自身」2020年6月23・30日合併号 掲載
2020年06月22日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】今年2月に理髪店を独立開業したのですが、いきなりコロナの影響でお店の経営が非常に厳しくなっています。しかも、付き合っている彼女が同時期に九州から上京してきて、同棲しながら東京で働きだしたのですが、こちらもコロナ禍で失業してしまいました。結婚も考えていたのですが、日々の生活を送るだけでも精いっぱいでそれどころではなくなり、彼女との関係も微妙な感じに……。九州に一度帰る話まで出てきています。いったい、私たちは、今後どうすればいいのでしょうか。(40代・男性・自営業)【回答】ああ、なんと申し上げればよいのか……。本当にこのたびの新型コロナウイルス感染拡大はいろいろなことを引き起こしています。倒産、離婚、虐待……。2020年がこんな年になるなんて、いったい誰が予測していたでしょう。お店の経営が非常に厳しくなっていらっしゃるとのこと。とても心配です。なんとか持ちこたえられそうですか?国は救済処置をはじめているようですが、利用できそうでしょうか?せっかく彼女さんが上京されて一緒に暮らしはじめた矢先だというのに、最悪ですね。貧すれば鈍するで、こんな最悪な状況下では彼女さんとの関係がギクシャクしてしまうのも無理ありません。どんな言葉もあなたさまの慰めにすらならないとわかっています。でも、あえてひとつ、申し上げさせていただこうと思います。人の人生のうちには、脱皮のように爆発的なエネルギーでもって殻を破り次元上昇する“機”が何度かあります。“機を待つ”。わたしたちは人生のたいていの時間をこの“機を待つ”ことに費やしているのです。凍てつく冬の間は膝を抱え、縮こまってやり過ごす。春に芽を出すためには、冷たい土のなかでじっと待つ冬が必要です。つまり、“機”を迎えて大きく跳ね上がるためには、低く沈み込む時間が必要なのです。私たちはいま、この状況をどうすることもできません。でも、これを次元上昇のための“機”ととらえるか、すべてがだめになった“災難”ととらえるかは、あなたの自由です。「冬来たりなば春遠からじ」。冬のあとには春がやってきます。必ず。誰にでも平等にーー。いまこんなに厳しい冬が来ているのですから、春はもうじきだと信じて、いま少しふんばってみませんか。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年06月19日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】緊急事態宣言が解除されてからの会社の指示に少しモヤモヤしています。宣言が出されてから私の会社は全面的に在宅勤務となったのですが、解除された途端に会議のために出社しろと上司から連絡が入りました。自粛が一部緩和されたとはいえ、まだまだ新型コロナウイルス感染の不安は残っていますし、満員電車の日々に舞い戻れば感染リスクも高まる気がします。なので、個人的にはなるべく外出を控えたいのですが、どうしても上司や同僚の目が気になってしまう……。どうすれば正解なのでしょうか。(35歳・女性・会社員)【回答】いや、おっしゃる通りです。いったいどうすればいいのか、“正解”がわかりません。たぶん正解を知っている人は、この世の中にひとりもいないのじゃないかしら。でも、みんながわからないのだとすれば、最終的な判断は自分でするしかないのだと思います。上司や同僚の目を気にして自らの命をかけて会社に行くか。自分の命を守るために会社を捨てるか。今回の新型コロナウイルスは、それぞれの個人に究極まで突き詰めた選択を問うていると感じます。ただ、もちろん事の大小はありますが、じつはこれまでだってそうだったのです。道を歩けば、交通事故に遭うかもしれないし、犯罪に巻き込まれるかもしれないし、上から物が落ちてくるかもしれない。いつだって命の危険は決してゼロではありません。でも、日々の生活のなかで私たちはそんなことなど考えもせずに「この命は必ず明日も続いていくものだ」と根拠なく信じ込んできたでしょう?その根拠なき確信が崩されただけ。私たちはもともと「明日をも知れない命」を抱えているのだということを見せつけられただけなのです。これが、今回の新型コロナウイルスがもたらした大きな事象です。さあ、どう生きていきましょう。一切の危険を排除しつつ衣食住が足るという方法はないものでしょうか。それを見つけられたら万事OKなのですが、なかなかそうはいきません。どこかで折り合いをつけて、妥協して、ときに諦めて、覚悟して、事に及ばなければならないようです。あなたの大事な命がかかっているのですよ。他人の目なんて気にしている場合ではありません。最終的な判断は、あなた自身が全責任を負ってする。そしてそれが、あなたの“正解”となるのです。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネージャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年06月12日大反響の「ゆるゆる人生相談」を一挙108本収録した、世界一ゆるい自己啓発本『笑われる勇気』(光文社・900円+税)も発売中の“世界一ゆるい70代”となった蛭子能収(72)が、読者からの相談に答える!【Q】「近所のAさんは、自治会のお金を流用している疑いがあります。『Aさんはお金を返さない』という話も聞きました。証拠もないし、忘れたほうがいいのでしょうか?」(嫌なことは見ないふり?さん・49・家事手伝い・山口県)【A】「嫌なことは忘れよう。オレも雀荘で逮捕されたことは忘れました」(蛭子能収)忘れたほうがいいですよ。不安が広がっている今は、他人のやることが気になるかもしれません。確証がないなら、人をおとしめるよりも自分のことを考えたほうがいいですよ。しかも、相談のハガキには「余った82円切手の使い道を思いつかず」と書いてありますが、悩みを打ち明けるより、懸賞とか何でもいいから82円をいかに“増やす”かということに努力を傾けたほうがいいですよ。オレがギャンブルをするのは、金を少しでも増やしたいと思っているから。だから、勝ったときに一緒に行った人にご祝儀を配る風習が嫌いです。でも何人かで行ったときに予想が当たることが多くて、暗い気持ちになります。最近はお金を賭けない健康麻雀をしていますが、お金が増えるチャンスがないから面白くありません。麻雀といえば、黒川検事長が賭け麻雀をしてニュースになりました。マスコミからコメントを求められましたが、オレが賭け麻雀で逮捕されたのは22年前のこと。忘れたほうがいいことなのでお断りしました、テヘッ!「女性自身」2020年6月16日号 掲載
2020年06月08日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】親が過干渉で困っています。私はもう40歳目前ですが、いまだに実家暮らしを強いられ、出かけるときには誰に会うのか、どこに行くのかを詳細に親に伝えなくてはなりません。夜にたまに出かけるだけで「また飲みに出かけるのか」などと小言ばかりを言われます。耐えかねて年末年始はゆっくりひとり旅でもしようと計画していましたが、「正月に家にいないのはどういうことだ」と怒られ、結局叶いませんでした。交際相手のことにもすべて口を出してくるので、なかなか上手くいかず、このままではずっと結婚できないのではないかと焦っています。(39歳・女性・公務員)【回答】さて、親御さんが過干渉で困っていらっしゃるとのことですが、あらまあ、40歳も近いというのに、どうしてご実家をお出にならないのかしら。なにかどうしてもご実家にいなくてはならない深いご事情がおありでしたらごめんなさい。公務員でいらっしゃるなら収入もしっかりしていらっしゃるでしょうし、普通にひとり暮らしができるだろうに…と思ってしまったのです。詳細をお聞きしていないので適当なことを申しますけれどね、世の中に「強いられて」どうにもならないことというのは、そうそうあるものじゃありません。○○のせいであれができない、これもできないというのは、たいていの場合、じつは自分の心の奥底に「そうしたくない」という気持ちがあるものなのです。私なんぞは育ちが雑ですから、「正月に家にいないとはどういうことだ」なんていくら小言を言われても、「はあ、さようでございますか」ってな感じで出かけちゃいますからね。こんなことを言われると、「そんなことありません!なにもかも親のせいで…!」というお気持ちがムクムクされるでしょう。そのお気持ちもわかります。でも、40歳近いということでいらっしゃいますから、そろそろ自分に「軸」を持ちましょう。いまのあなたさまは「軸」を親御さんに渡してしまっているのです。親御さんに「軸」を渡して被害者でいることのほうがラクなのかもしれないですよ。厳しいことを言いますが、そのラクさを結局はあなたさまが選んでいるのです。「四十にして惑わず」ともいいますから、自信を持って自分の思うとおりにしてみましょう。簡単です。このままご実家にいるにしろ、出るにしろ、すべて「自分で選択したこと」という覚悟を持つこと。それだけです。誰かのせいじゃなくてね。自分のお尻は自分で拭く。自分に「軸」を持つことで、毎日は見違えるように楽しくなりますよ。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年06月05日