国際ナッツ・ドライフルーツ評議会はこのほど、プルーンの骨量減少防止効果について発表した。プルーンにはビタミンKをはじめ、食物繊維や銅などが多く含まれている。さらに、独特の組み合わせのポリフェノール類を含有し、その量が豊富なことも特筆される(※1)。プルーンの研究については、骨粗しょう症の動物モデルを用いて、骨密度の維持と骨量減少の防止の可能性など、多くの研究が進められてきた。実験結果によると、骨質量および骨梁(こつりょう / 海綿骨)の量、数および厚みが増加するとのこと。骨梁間隔が増大すると、骨粗しょう症のリスクにつながると言われているが、プルーン摂取により骨形成が促進し、骨梁間隔が狭まることもわかった。また、骨再吸収が抑制され、骨強度の増加がみられたという。骨を守る効果は、抗酸化経路もしくは抗炎症経路、およびその下流シグナル伝達メカニズムを介して発揮され、骨芽細胞の石灰化と破骨細胞の不活性化につながると考えられている(※2)。2016年に公表されたランダム化比較試験によると、プルーンの摂取が骨量が減少した閉経後の高齢女性において、全身の骨密度(BMD)の減少を抑える可能性があることがわかった。同試験では、骨量が減少した65~79歳の女性48名を3つのグループ(「プルーン50グラムを摂取するグループ」「プルーン100グラムを摂取するグループ」「対照群」)に割り当て、6カ月間の実験を実施。骨密度測定(DEXA)法によって、スタート時と6カ月後における全身、大腿骨近位部、腰椎の骨密度を測定した。加えて実験中に、いくつかの骨代謝マーカーも判定された。研究データより、プルーンを摂取したいずれのグループの女性も、対照群の女性と比較して、全身の骨密度の減少が抑制されたことが明らかになった(※3)。この効果は、部分的にはプルーンに骨再吸収を抑制する力があるためだと説明されている。そして同研究結果は、プルーンが特に閉経後の高齢女性の骨量減少を防ぐ役割を果たす可能性を示す、従来のデータを裏付けているとしている(※4、5)。※1 米国農務省国立栄養データベース標準リファレンス、リリース28、2015年9月発行、2016年5月一部修正※2 Shen CL, von Bergen V, Chyu MC「骨の保護に役立つフルーツと食用フィトケミカル」『Nutr Res』2012年32(12):897-910※3 Hooshmand, S, Kern, M, Metti, D他「骨量が減少した閉経後女性の骨密度と骨バイオマーカーに対する2サービングのプルーンの効果:ランダム化比較試験」『Osteoporosis International』2016年;1-9※4 Franklin M, Bu SY, Lerner MR, Lancaster EA他「男性の骨粗鬆症モデルにおける乾燥プラム摂取の骨量減少を抑える効果‐IGF-I とRANKに関連」『Bone』2006年;39(6):1331-42※5 Rendina E, Hembree KD, Davis MR他「閉経後の骨粗鬆症モデルにおける骨量減少の防止と骨代謝の改善に役立つ乾燥プラムの特性」『PloS one』2013年;8(3):e60569
2017年01月20日「汚い」「バイキンがいっぱい」など、唾液にはあまりいいイメージがないかもしれません。しかし、唾液には非常に重要な役割があると力説するのは、『長生きする人は唾液が多い』(本田俊一、フォレスト出版)の著者。大阪で歯科医院を開業している現役の歯科医師だそうです。具体的にどのような役割があるのかといえば、まず唾液がたくさん出る人は虫歯もできない。そればかりかガンやインフルエンザを予防でき、病気知らずで長生きできるというのですから驚きです。つまり本書では、正しい唾液との秘密を明らかにしているわけです。■食後3分以内に歯磨きしても無意味?ところでそんな本書のなかで、著者は「333運動」について意外な事実を明らかにしています。ご存知の方も多いと思いますが、これは「食後3分以内に、1日に3回、3分間歯を磨こう」というもの。しかし食後に歯を磨く習慣があるのは、世界のなかでも日本をはじめとする少数の国だけなのだそうです。そしてその結果、人によってはドライマウスが進行したり、虫歯になりやすくなったり、食後しばらくしてから口臭がひどくなるケースが多発したのだとか。■飲食後の口腔ケアは歯磨きではないしかも海外の多くの国では起床直後に歯を磨くのに、日本人の多くは朝食後に磨くもの。しかしそもそも、ものを食べたら必ず歯を磨かないといけないのだとすれば、1日に何度も歯を磨かなければならないことになります。飲食後の口腔内は酸性に傾きやすい状態になるため、例外なく口腔ケアが必要。海外でもそれは同じですが、ただし決して歯磨きではないのだそうです。そして歯磨きには、唾液が大きく影響しているのだと著者はいいます。また、「333運動」がよくないのは、食後、口のなかが酸性に傾いているときにブラッシングをするべきではないから。そういう意味で食後の歯磨きは明らかに逆効果で、飲食後にブラシで歯垢を取る必要はなし。大切なのは、舌の上の食べかすや飲みかすを処理することと、pHをコントロールして、酸性化しやすい状態を中和してくれる唾液をいかに活用すること。■歯のためにタブレットやガムの利用を唾液の流れを確保するには、唾液腺から分泌された唾液を飲み込みつつ、唾液を分泌し続けるという舌の連続した動きが重要。そして食後は歯磨きよりも、唾液をしっかり出す方法を実践することの方が、歯の健康のためには有効。食べかすや飲みかすの処理を考えるならば、タブレットやガムを口に入れて転がし続けることが最適だそうです(ちなみに唾液をしっかり出す方法は他にもたくさんあり、本書ではそれもしっかり紹介されています)。逆に、歯磨きをして口をすすぐのでは、唾液は逆に喪失してしまうというのです。■虫歯予防でフッ素を取り込むべきか否かなお現在のほとんどの歯磨き剤には、虫歯の予防のためフッ素が入っています。たしかにフッ素は虫歯予防のために有効ですが、フッ素を口から取り込むことに反対する団体もあるのだといいます。また、日本の歯磨き剤メーカーの多くは、合成界面活性剤のメーカー。合成界面活性剤の成分のひとつであるラウリル硫酸ナトリウムとその誘導体については以前から人体への有害性が指摘されており、アレルギーを引き起こしたり発がん性があったりと、さまざまな問題が取りざたされているのだとか。また歯磨き剤には、たくさんの殺菌剤や薬品、有機溶媒のアルコールなどが配合されています。歯磨き剤は1日に何度も口に入れるものですから、長期使用の影響が懸念されても無理はないでしょう。しかも合成界面活性剤はいくらすすいでも残留しやすく、一度口に入ると、容易なことでは取り除くことができないというのですから恐ろしい話です。その結果、わずかではあっても、毎日、口腔内粘膜から吸収されてしまう。これが、歯磨き剤は少量にすべきだという考え方の根拠。つまり、合成界面活性剤の入っていないオーガニックな歯磨き剤を選ぶことが大切だということです。■ただし起床直後の唾液は危険なので注意なお、先に「海外の多くの国では起床直後に歯を磨く」と書きましたが、これには根拠があるようです。起床直後の唾液には、細菌や、細菌がつくり出した「内毒素」が飽和状態になっているというのです。これは、組織や骨まで破壊する威力を持っているもの。つまり起床直後の唾液は、一晩かかって口腔内で培養された最高濃度の細菌溶液のみならず、最高濃度の毒薬に匹敵するもの。そこで、起床直後の歯磨きが非常に大切なのです。逆に起床後、歯を磨かずに朝食をとるということは、菌を朝食と一緒に飲み込んでいるということになるわけです。*歯磨きとの関係だけを見てみても、唾液の重要性を理解できるのではないでしょうか?他にも知られざる唾液の秘密が満載されていますので、読んでおくべきだと思います。(文/書評家・印南敦史)【参考】※本田俊一(2015)『長生きする人は唾液が多い』フォレスト出版
2015年11月02日●利用率減少の理由その1米国でのApple Payの利用動向に関して、ある最新のアンケート調査報告が話題になっている。米国でのサービスインから9カ月近くが経過したApple Payだが、その利用率は今春の水準をピークに減少へと転じており、サービス利用に必要なiPhone 6の販売台数が増えるにつれ、相対的に利用率が減少する現象が顕在化しつつあるようだ。この状況の背景にあるものは何なのか。今回の調査報告を行っているのはPYMNTS.comで、同社がInfoScoutとの共同調査形態でユーザーアンケートをまとめて8月5日(米国時間)に公開したものだ。両社は昨年2014年11月のBlack Friday、今年2015年3月、そして今回の6月という形で3回にわたってApple Payの利用動向調査を行っている。Black FridayのタイミングではiPhone 6 (iPhone 6 Plus)発売から2カ月が経過した程度であり、あまり十分なデータが取れなかったようだが、iPhone 6の普及率が一定水準に達した今年3月と6月の2つのデータの比較で今回の傾向が明らかになったという。具体的には、Apple Payの利用経験があるかという問いに対して、2015年3月時点では15.1%があると答えていたのに対し、6月には13.1%へと減少している。また実際に買い物に利用したかどうかの問いに対して、3月時点では39.3%だったものが、6月には23%まで減少しているという。実際に決済にApple Payを利用したか、という後者の問いについては、過去に利用経験があり、かつ実際に店舗に非接触決済ターミナルが存在してiPhone 6が手元にあるにも関わらず、あえて利用しなかったユーザーの比率が増えているということだ。ここでは2つのデータが読み取れる。ひとつは「アーリーアダプター」がキーワードになる。例えばAppleの会計年度で2015年度第3四半期(4~6月期)だけで4753万台のiPhoneが販売されているが(すべての種類のiPhoneを含む)、iPhone 6の販売期間である直前6カ月の2014年9月~2015年3月だけで1億3600万台のiPhoneが販売されており、おおまかに2015年4月から6月の3カ月間に3割程度iPhone 6ユーザーが増えていると推測される。もし、Apple Payに興味あるiPhoneユーザーが、新製品発売後すぐに入手して試そうとするようなアーリーアダプターに偏っていた場合、この3割程度の母数上昇で「実際に試してみた」という比率を押し下げる結果になってもおかしくなく、その意味では15.1%から13.1%への減少幅というのは比較的小規模に収まっているのではないかというのが筆者の感想だ。もう1つのデータは、実際に利用経験があるにも関わらずApple Payそのものの利用率が減っているという現象だ。これは2つの側面があると考えられ、まず一度ないし何回か試したユーザーがすでに「飽きて」しまい、次から使わなくなってしまうことが理由の1つだと考えられる。本来であればタップ&ペイで気軽に決済が行えるはずなのに、むしろ元の支払いスタイルに戻ってしまっているということは、モバイル端末で支払うことにあまりメリットを見出せず、リピーターを掴んでいないことの証左だといえる。●利用率減少の理由その2○セキュリティに懸念理由の2つめは「技術を信用していない」という部分で、PYMNTS.comのデータでも「セキュリティ上の懸念がある」との回答が15%から19%に増加しているほか、実際に使えない可能性があるとの理由で敬遠しているといった回答もみられる。本来、トークナイゼーション(Tokenization)に対応してEMVのチップ入りクレジットカードではない磁気ストライプ型のカードよりははるかに安全なApple Payであり、既存のクレジットカードインフラをそのまま利用して決済が可能な仕組みではあるが、利用方法の周知も含め、ユーザーへの教育が浸透していない結果なのだろう。今回のPYMNTS.comの報告では、9 to 5 Macがきれいに要点をまとめているが、Apple Payが技術普及におけるかなり初期のステージに位置していることがよくわかる調査報告となった。非接触ターミナルを使ったモバイル決済において10年以上が経過している日本では「すでに通った道」という印象が強いが、「インフラ普及(端末普及も含む)」と「ユーザーへの教育」が浸透したうえで、かつ「継続利用するモチベーション」が重要な意味を持っており、Apple Payが広く認知されるにはまだ期間が必要だといえる。例えばFeliCaの利用が急増したのは大型小売店舗での一斉導入がスタートした時期で、さらにポイントカード連動によるユーザーの囲い込み策が継続利用のモチベーションとなっている。交通系から小売店まで、都市部ではおサイフケータイのみでほぼ生活できる状況が整ったのは比較的最近の話だが、おそらくはApple Payについてもこのレベルの利便性が確保されない限り、利用率は今後も微減傾向が続くと考えられる。iOS 9ではPassbook改め「Wallet」が導入され、Apple Payとストアカードの連動が可能になったが、これはサービス普及のための大前提であり第一歩だといえる。いずれにせよ、1~2年でどうこうなる話ではなく、インフラとして認知されるまで数年単位の継続努力が必要となるはずだ。
2015年08月10日カゴメは7月22日、野菜・果実ミックスジュースを継続して飲むことで、肌の奥の「隠れジミ」が減少することを、ヒト試験により明らかにしたと発表した。同成果の詳細は8月27日より開催される「日本食品科学工学会大62回大会」にて発表される予定だという。隠れジミは、肌の奥に潜むメラニンで、シミ予備軍とも呼ばれるもの。肌のターンオーバー(新陳代謝)により肌の表面に押し出され排出さるが、ターンオーバーが乱れると、肌の奥に留まってしまうことが知られていた。これまでの研究から、トマトジュースの飲用により隠れジミが改善され、その効果がカロテンの一種であるβ-カロテンによるものである可能性が報告されていた。今回の研究は、トマトジュース以上にβ-カロテンを含有している野菜・果実ミックスジュースにも隠れジミの改善効果があるのかどうかをヒト試験にて確認したもので、継続して飲用した結果、隠れジミが減少することを確認したほか、この効果の有効成分が、β-カロテンやα-カロテンのようなカロテン類であることが示唆されたとしている。なお、β-カロテンはジュースなどに加工することで、吸収性が高まるという。
2015年07月22日歯磨きはしっかりしていても、なぜか気になる口臭!?実は、口臭予防は、「唾液」がカギを握っているとのこと。「口」ストレッチを推奨する日本大学歯学部教授植田耕一郎先生にお話を伺いました。植田耕一郎(うえだ こういちろう)日本大学歯学部歯学科摂食機能療法学 教授気になる口臭の原因は?――口臭は、なぜ発生するのですか?植田先生:口臭の原因には、舌苔(ぜったい)と呼ばれる舌の表面につく苔状のものと歯周病が考えられます。舌苔や歯周病部分には細菌が生息しています。この細菌が、食べ物に含まれるたんぱく質やアミノ酸を分解し、腐敗させて口臭を発生させます。口臭を防ぐ秘けつとは?――どうしたら口臭を防げますか?植田先生:実は、この口臭を抑える役割をするのが唾液なのです。唾液には口の中を洗浄する機能があります。また、唾液に含まれる炭酸・重炭酸・リン酸などが細菌の異常な繁殖を抑える役割をはたしています。――唾液が分泌すると口臭が防げるということでしょうか?植田先生:そうです。「食べる」「話す」「呼吸する」「表情をつくる」の4つの行動を行うことで唾液が多く分泌されます。ただ、これらを日々意識して生活をしろというのは、なかなか難しいことです。そこで私が推奨しているのが「口」ストレッチです。感情を入れながらの「口」ストレッチが効く――具体的に教えてください。植田先生:唇をとがらせたり、頬をふくらませたり、すぼめたり。これらの簡単な口のストレッチで、唾液の分泌が促されますが、これに感情を組み入れることで一層の効果が期待できます。「口」ストレッチには、「微笑み口」「大笑い口」「怒り口」「大泣き口」などがあります。これらは、実際に嬉しい、悲しいといった場面を想像しながら、感情を入れてストレッチするのがコツです。――感情が大事なのですね植田先生:最近の研究では、表情をつくることが心身に影響を与えると言われています。「笑顔」が脳に伝達され、実際に楽しい、嬉しいと本当に思えるようになるのです。意図的に作った表情であっても喜怒哀楽の感情が生まれるとリラックス効果につながります。リラックスすると副交感神経が優位となり唾液も十分に分泌され、ごはんもおいしくなり、されに唾液が増加する。これにより口臭も防げるという好循環を生み出します。ストレスが口臭を招く――唾液が減ると口臭は発生しますか?植田先生:リラックスして副交感神経が優位のときは、さらさらとした唾液が十分に分泌されます。いっぽう、緊張しているなどのストレス状態では、交感神経が優位となります。唾液も、ネバネバとしてきて分泌量も少なくなります。例えば、プレゼンテーションの前など、緊張しているときに口臭が気になることが多いと思いますが、それは、唾液の分泌量が減少しているからなのです。口臭が気になるなら、唾液の効果や仕組みを理解することが大事です。唾液を十分に分泌させるためのちょっとした工夫をすることで、口臭は改善されるかもしれません。「口」ストレッチの詳細が掲載されています。「長生きは『唾液』で決まる!」植田耕一郎講談社+α新書
2015年07月13日「歯磨きをきちんとしていれば、むし歯は防げる」と思っている人は多いのではないでしょうか。確かに歯磨きは大切ですが、もっと重要なものがあります。それは「唾液」。唾液は、口の中でどのような役割をしているのでしょうか。日本大学歯学部教授 植田耕一郎先生に聞きました。――虫歯予防のための唾液の役割はどのようなものですか?植田先生:唾液の役割は、消化作用、抗菌作用、円滑作用などいくつかありますが、歯に直接かかわる作用は3つあります。口の中を洗い流す洗浄作用、歯の表面に皮膜をつくって歯の保護作用、虫歯になりかけた歯の再石灰化作用です。この唾液の役割はとても重要です。以前、脳卒中を発症して3カ月経つ患者さんの口腔ケアを行いましたが、ほとんどの歯が虫歯になってしまっていました。これは、歯磨きができなかったからだけではありません。筋肉の麻痺によって口の運動ができなくなり、唾液が出づらくなったり、口の中での唾液の循環が上手くいかなくなってしまったりすることが原因です。例えば、健康な人が3カ月歯磨きをしなかったとしても、食べる、話すなどの日常的な機能が働いていれば、そんなに簡単に虫歯はできません。また実際に、「ほとんど歯磨きをしないが虫歯はない」という人もいます。唾液の作用により歯が守られているからです。――どうすればきちんと唾液が分泌するのでしょうか。植田先生:最近はストレスなどで唾液の分泌が悪くなり、口が渇くという人もいるかもしれません。唾液を健康のバロメーターの一つとして、自分の体の声に耳を傾け、心身の調子を整える努力をするのもよいかもしれませんね。唾液は、副交感神経が優位になり、リラックスしているときによく分泌されます。唾液が少ないと思ったら、食事や会話を積極的に楽しみ、口によい刺激を与えてください。その際重要なのは、「おいしい」「楽しい」という豊かな気持ちです。食事でも、義務的に咀嚼するより自分の好きなものを食べる方が、ずっと唾液の分泌がよくなりますからね。――唾液を健康に保てば、歯磨きに神経質にならなくてもよいのですか?植田先生:歯磨きは確かに大切だと思いますが、回数を多くすればよいということでもありませんし、力を入れすぎるのも逆効果です。とくに、若い人の中には知覚過敏の人が増えていますが、力を入れ過ぎたり、回数が過度であったりしているからだと思います。ただ、ポイントを押さえて歯磨きをすることは重要です。人によって口の中の状態は違いますから、自分はどこが汚れやすくてどう歯ブラシを動かしたらよいのかなどを、かかりつけの歯科医などで教えてもらうのもよいのではないでしょうか。右利きの人は右側の裏を磨くのが苦手、などの傾向もあります。――唾液は重要なのですね?植田先生:唾液の役割はむし歯予防だけではありません。味覚を促進させたり、食べ物を飲み込む、消化吸収させやすくするなど、人間にとって欠かせない「食べる」機能に重要な役割を果たしています。また近年、歯周病になった部分からばい菌が血液中に入り、生活習慣病(糖尿病や心臓病、脳卒中など)の原因となることがわかってきています。唾液は歯周病菌の繁殖を抑える役割も持っていますから、病気予防の役割もしているわけです。唾液を意識する生活は歯だけでなく、全身の健康にとって重要です。植田先生のご著書(amazon)『長生きは「唾液」で決まる!』
2015年07月07日「唾液」を意識したことがありますか?空気と同じで、ふだん気にしていない唾液が、実は私たちの健康に大きく関わっています。虫歯や全身の健康に関わる唾液の役割について、日本大学歯学部教授 植田耕一郎先生にお話を伺いました唾液が全身の健康に関わる――唾液はどのような役割を果たしているのでしょうか。植田先生:唾液に抗菌・殺菌作用や虫歯予防の効果があることはよく知られていますが、食べ物を飲み込むのを促し、消化吸収を助けるのも大きな働きです。例えば、点滴から栄養を摂っていたときは体重が全く増えなかった患者さんが、口から食べるようになってから体重が増えたりします。唾液により消化吸収がよくなったからです。消化吸収がよければ、免疫力もあがってきますよね。そんな風に全身にも影響を及ぼします。口が渇き、ペットボトルが手放せない――唾液が健康でないというひとはどういうひとでしょうか?植田先生:若い人でも口が渇いてペットボトルが手離せないという人がいます。ストレスの多い生活をしているからでしょうか。いつも何か飲んでいたり、ガムやグミをかんでいないと口が渇くという人は、唾液の分泌が低下しているのでしょうね。唾液は、リラックスして副交感神経が働いているときにサラサラのものが多く出ます。緊張して交感神経優位のときはネバネバのものが少しだけ出ます。緊張とリラックスはどちらも必要なものですが、そのバランスを見直してストレスを取り除くなどの対処が必要でしょうね。――どうすれば、口の中を健康的な唾液で満たすことができるのでしょうか。植田先生:食べる、話す、呼吸する、表情をつくるなども口の機能なので、これらの刺激を取り入れることによっても唾液は増加します。ここで覚えておきたいのは、これらの動きを、感情を伴って実践すること。唾液を出すために機械的に噛むのではなく、食事をしながら、「おいしい」「幸せ」「楽しい」と感じることが大切なのです。そのためには、食物は全て“命”から生まれていますので「(命を)いただきます」、また食事を作ってくださった方に「御馳走様でした」と感謝と喜びを感じることが大事だと思います。食べたいものをおいしく食べることでリラックスして、唾液の分泌量は増加します。この効果はとても大きく、病気などで口から食事ができない状態になっても、その人が自分の好物を食べることをきっかけに、摂食機能が改善するケースもあるんですよ。硬いものがよいとか何回噛みましょう、などと推奨されることもありますが、まずは食べたいと思うものを食べ、口に楽しい刺激を与えて唾液を健康に保ってください。唾液がそのひとの人生を左右する!?――植田先生は、『長生きは「唾液」で決まる!』という本も出版されています。唾液が体に及ぼす影響は大きいのでしょうか。植田先生:私が唾液と健康の関わりに関心を持ち始めたのは、1990年東京都内のリハビリ専門病院に勤務し、患者さんの口腔ケアを始めてからです。多くの患者さんは体に麻痺などがある状態で、食べたものがそのまま口の中に残っていたり、歯がほとんど虫歯になり根っこだけの状態になってしまっていたりと、それは大変な状態でした。麻痺によって口の機能が低下し、唾液が満足に出なかったり口の中で循環させることができなかったりする状況だったからです。唾液が健全に出る人なら、歯磨きが2~3カ月間できなかったとしてもこのような状態にはなりません。――加齢によって唾液が出にくくなるとも言われていますが。植田先生:高齢で唾液が出にくくなる原因の8~9割は薬の副作用によるものです。さらに薬は、眠気を誘発するものも多いです。寝ている間には唾液はほとんど出ませんから、悪循環ですよね。薬を飲まないと不安という場合もありますので、薬を急にやめるわけにもいかないでしょうが、唾液が出ないと味覚の機能も低下し、食べ物もおいしくなくなってしまいます。これでは生活意欲も低下してしまいますよね。――唾液が、口の中の健康を左右するのですね。植田先生:そう言っても過言ではありません。唾液は、心身の状態をみるバロメーターでもあります。リハビリ専門病院の勤務後、大学病院で集中治療室の患者さんを診る機会もありましたが、極端な例では、たとえ意識のない方でも口の中に刺激を与えたときに唾液が出れば、「この人は回復する」と確信できました。意識があっても口の中がカラカラの方は「危ないかもしれない」と思う。これはだいたい、予想通りの経過をたどることが多かったです。口の機能を健全に維持し自分の口から食べられるか、そうでなくなってしまうかは,その人生を左右するほどの大きな問題であり、それは唾液で決まります。植田先生のご著書(amazon)『長生きは「唾液」で決まる!』
2015年06月30日歯は、虫歯菌などの働きにより歯の成分であるリンやカルシウムが溶け出す「脱灰」と、唾液中に含まれるリンやカルシウムが結晶化して再び歯に戻る「再石灰化」を繰り返しています。この再石灰化の力が弱くなると次第に虫歯に進行してしまいます。日々の歯磨きでこの再石灰化を助けて虫歯を予防する歯磨き粉が登場しました。歯の再石灰化のための最先端技術を取り入れた歯磨きペースト「クリンプロ」(90g・参考価格1,180円)がスリーエム ジャパンから発売。6月2日から歯科専用のケア製品として販売が開始されます。歯磨きペースト「クリンプロ」(90g・参考価格1,180円)クリンプロには、再石灰化の成分となるリンとカルシウムの結晶体「fTCP」を配合。さらに、これらを歯に戻す働きをするフッ素も同時配合。両者の働きによって、歯の石灰化を強力に進めます。これまで、フッ化物のみを配合した歯磨きペーストは多く出ていますが、分子の性質上、フッ化物とリン、カルシウムを同時配合して効果を発揮することはできませんでした。同社は独自の技術により、これらを同時配合して再石灰化を高めることに成功。実験では、フッ化物のみ配合したペースト、fTCPのみ配合したペーストと比べて、両者を配合したクリンプロは最も高い再石灰化率となりました。製品担当のスリーエム ジャパン ヘルスケアカンパニーの相川光広さん歯を守るために重要な唾液は通常、1日に1~1.5リットル分泌されていると言われていますが、ストレスなどで唾液が出にくく、再石灰化の働きが悪くなって虫歯ができやすい状態になってしまっている人も多くいます。再石灰化を促すクリンプロのケアで、少しでも虫歯予防をしませんか?※クリンプロ取り扱い歯科医は、6月下旬から下記ウェブサイトでご紹介します。Tooth! Navi 歯と健康を考えるサイトクリンプロについてのお問い合わせ(フリーダイヤルマーク)0120-332-329(平日9:00~17:00/スリーエムジャパン歯科用製品事業部)Photo by ND Strupler
2015年06月15日フィリップス エレクトロニクス ジャパンはこのほど、全国の30代~50代の男女600名と歯科医師・歯科衛生士100名を対象に実施した「お口の乾燥と唾液に関する調査」の結果を明らかにした。唾液には、口内の細菌の繁殖を抑える「緩衝作用」や口内の細菌の活動を抑える「抗菌作用」など、オーラルケアの観点からさまざまなメリットがある。ただ、年齢を重ねるにつれて、唾液の分泌量が減少したり、サラサラの唾液からネバネバの唾液へと変わり質の低下が起こったりするという。実際、同社が日常的に口の中が乾燥していると感じることがあるか尋ねたところ、一般人の5割以上が「よくある(9.2%)」「たまにある(45.5%)」と回答した。歯科従事者でも約4割が「よくある(5.0%)」「たまにある(34.0%)」と回答している。全体でも52.4%と、約半数が日常的に口の中が乾燥していると感じていることがわかった。口を潤すためにしていることについて聞くと、全体のトップ3は「飲み物を飲む(70.4%)」「口をゆすぐ/うがいをする(45.6%)」「水を口に含む(43.7%)」だった。歯科従事者は、「舌を動かす(32.0%)」「唾液線マッサージをする(28.0%)」「アゴを動かす(24.0%)」など、口の周りを動かして唾液の分泌につながる方法を実践している人が多かった。医療法人社団誠敬会 誠敬会クリニック内科・歯科の田中真喜先生は、「飲み物を飲むことで口内を潤すことができる一方、糖分を含んだものは虫歯や糖尿病のリスクを高めます。舌や唇を動かしたり、唾液腺マッサージをしたりするだけでなく、食事の際に咀嚼(そしゃく)回数を増やして口の周りを動かす習慣をつけることが大切です」と指摘している。これまで唾液の作用について知る機会はあったか尋ねると、「まったくなかった(9.8%)」「ほとんどなかった(60.0%)」と一般人の約7割はそのような機会に恵まれなかったと回答した。唾液についてもっと知りたいと思うか聞くと、一般人は「とても知りたいと思う(17.2%)」「少し知りたいと思う(63.0%)」と答えた。歯科従事者では「とても知りたいと思う(56.0%)」「少し知りたいと思う(35.0%)」 と、9割以上が興味を示している。
2015年04月08日LINEは29日、公式ブログにて「不正ログイン(乗っ取り)対策に関する現状のご報告」と題した記事を掲載し、不正ログインによる被害が大幅に減少していると発表した。LINEにおける、不正ログイン(乗っ取り)による被害は、2014年6月頃より報告されており、「登録している友だちに身に覚えのないメッセージを勝手に送信される」ほか、「コンビニでWebMoneyを買ってくれ」など、電子マネーを購入を持ちかける詐欺被害も発生していた。そうした不正ログイン(乗っ取り)による被害に対し、同社はパスワード変更やPINコードの設定をユーザーに求めてきた。その結果、同社に寄せられる不正ログイン(乗っ取り)に関する被害の相談件数が大幅に減ったという。また同ブログでは、警視庁からの発表として「これまでに657件の被害届・被害相談があったが、現時点では警視庁管内での被害届件数がゼロになった」とアナウンスしている。同ブログ上では、ユーザーに対し「これまでの皆様のご協力にスタッフ一同、心より御礼申し上げます」と感謝の意を綴っている。なお、既に発生している被害については、不正アクセス禁止法違反や詐欺の疑いで捜査機関による捜査が継続されている。(記事提供: AndroWire編集部)
2014年10月30日(画像はイメージです)リコピンが卵巣癌のリスク減少リコピンが抗酸化作用を持つことから、さまざまな癌のリスクを減らすということが、いくつもの臨床結果から示唆されています。しかし、今まで公開された臨床試験すべてが癌に効果ありという結果となったわけではありません。今回、Soochow大学のリー氏らがメタアナリシスの手法を用いて今までの文献を総合的に分析しました。その結果、リコピンの摂取量が多くなると、卵巣癌のリスクは低下することがすることが分かったといいます。卵巣癌のリスクが高くなる閉経後の女性では、リコピンを摂取することは有益ということが統計学的に証明されました。リコピンと癌米国国立がん研究所のPDQ(R)でリコピンの効果について記載。また、疫学研究でもリコピンの摂取量と前立腺癌の発生率の間に関連がある可能性があると記載されています。リコピンの効果抗酸化作用が効いているといわれていますが、男性ホルモンに対して影響を与えるために前立腺癌や卵巣癌に効果を示しているという説もあります。【参考】・Nature Scientific Reports 4, Article number 4885・米国国立癌研究所リコペン
2014年05月25日フレンテの事業会社であるフレンテ・インターナショナルは、「乳酸菌LS1」がヒトの口腔(こうくう)内に存在した場合、歯周病菌を減少させる効果があることを明らかにした。この研究は、東海大学 医学部 感染症研究室 古賀泰裕教授と共同で行われたという。同社では既に、「乳酸菌LS1」(ラクトバチルス・サリバリウス TI2711、ヒト口腔内由来の善玉菌で、歯周病菌を抑制する働きがある)を含む錠菓を服用すると、歯周病菌数が減少することを発表している。今回はさらに研究を進め、同乳酸菌が口腔内に存在した場合の「P.gingivalis菌」(ポルフィロモナス・ジンジバリス菌。歯周病を引き起こす、歯周病菌と言われる菌の一つ)に対する作用について検証した。検証では、同乳酸菌および「キシリトール」、「ハイドロキシアパタイト」(歯を構成する成分でリン酸カルシウムの一種)を配合した錠菓を用いたヒト臨床試験を実施。歯肉縁下プラーク(歯垢)中に同乳酸菌が存在するとき、約8割の被験者の「P.gingivalis菌」数が有意に減少するという結果が得られたという。なお、今回の臨床試験の結果は、9月23日に開催された「第55回秋季日本歯周病学会学術大会(つくば国際会議場)」にて発表。同社では引き続き、歯周病予防の分野に「プロバイオティクス」(乳酸菌やビフィズス菌など、体内で有用な働きをする「善玉菌」のこと)を応用する研究を続けていくとのこと。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年10月01日酒造会社で機能性食品の研究・開発を手掛ける中野BCは23日、悪玉コレステロールを減少させるという熟す前の「青柿」の粉末を食品やサプリに使う業務用商材として発売した。同社は柿の中でも、特に未成熟な「青柿」に着目。2007年から、同社のリサーチセンター「食品科学研究所」と岐阜県生物工学研究所、(独)食品総合研究所と共同で機能性等の研究を進め、2009年に青柿に含まれる「タンニン」が、善玉コレステロール(HDL)を減らさずに、動脈硬化などを進行させる悪玉コレステロール(LDL)を減少させる効果を発見した。さらに2008年には、特許出願中の独自技術を考案し、青柿を「無味」の粉末にすることに成功。無味の粉末にしたことで、応用範囲が広がり、菓子などの食品やサプリメント等の商品化を検討することとなった。商品名は「パーシモンパウダー」で、これは柿の木や実を意味するパーシモンという英単語が由来とのこと。価格は100g 1,650円(送料別)、1kg 1万5,000円(送料込)。年間300kgの売り上げを目指すという。また同社は発売を前に、青柿の粉末を使用したスイーツの共同開発を高知県の菓子工房「コンセルト」に依頼。4月から「柿フィナンシェ」「柿と酒粕のサブレ」「わらび餅」の3商品を試験販売しており、健康になれる“機能性スイーツ”として、評判は上々だという。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年05月31日