今年で3度目の小籔千豊が座長を務める「吉本新喜劇」東京公演が、この夏開催。7月1日には吉本興業 東京本部にて開催発表会見が行われ、小籔座長が「東京での活動は新喜劇を盛り上げたい、恩返ししたいという思いでやらせてもらっています。3回目の東京公演も成功できるように頑張って、5年10年と続けていきたいと思っております」と意気込みを語った。「吉本新喜劇 小籔座長東京公演2016」チケット情報一昨年は俳優座劇場、昨年はサンシャイン劇場で開催。今年、ジャニーズの聖地である東京グローブ座で行うことに小籔座長は、「グローブ座でやらせていただくことで、ジャニーズファンがまさかここに来るとは思ってませんけども」と前置きしながらも、「普段全く見向きもせえへん方たちに、まずはチラシを手に取っていただけたら。ジャニーズパワーが降り注いでいる劇場でやらせていただく、僕の狙い通りです」と語った。今回は2部制で、第1部は、新喜劇「似て非なるもの?」(作・演出/大崎知仁)を上演予定。小籔座長が観てほしいという座員は、「アメトーーク!」のギター芸人に出演した松浦真也や、大阪でちびっこに大人気の今別府直之など。中でも、「観に来たら忘れへんと思う」と特にオススメするのが祐代朗功。「2代目Mr.オクレを襲名してもらいたいと思うぐらいの逸材」と太鼓判を押した。第2部は、ゲストを迎えるトークコーナーで、東京の一線で活躍している芸人が出演する予定とのこと。「例えばミランダ・カーが来るとか、オバマ大統領が来るとか、そういうことはありません。そういう意味で言いますと、だいぶ目玉的には弱いかなと思います(笑)」と話し、笑わせた。最後に、「新喜劇なんてどうせおもんないやろ、一切笑えへんのちゃうか、と思ってる方に、できたら一回チャンスをいただけたらなと思います。ちびっこ、カップル、ご夫婦、ご家族で来ていただけたら」とPR。さらに、「テレビに小籔が出てきたらチャンネル変えるっていう方が多いと思うんですけど、新喜劇のときは偉そうなことを言うてませんので。僕のことは嫌いになっても、新喜劇のことは嫌いにならないでください」と吉本新喜劇への情熱を語り、場内を沸かせた。「吉本新喜劇 小籔座長東京公演2016」は、8月24日(水)から28日(日)までの5日間で計9公演。東京グローブ座にて開催。チケットの一般発売は7月9日(土)より。取材・文:門 宏
2016年07月04日12月3日、東京・銀河劇場で藤原竜也主演の舞台『とりあえず、お父さん』が開幕した。同作は、世界中で愛されるイギリスの喜劇作家アラン・エイクボーンが1965年に発表した4人芝居。エイクボーン初の大ヒットとして、その名を世に知らしめた作品(原題『Relatively Speaking』)だ。舞台『とりあえず、お父さん』チケット情報登場人物は、グレッグ(藤原竜也)とジニィ(本仮屋ユイカ)の若いカップルと、シーラ(浅野ゆう子)とフィリップ(柄本明)の熟年夫婦という4人。勘違いが勘違いを呼ぶシチュエーション・コメディとなっており、藤原にとって海外戯曲のコメディは初挑戦だ。その演出を手掛けるのは、翻訳ものコメディの演出家としても高い評価を得る綾田俊樹。来年結成40周年を迎える劇団「東京乾電池」を共に結成した柄本を綾田が演出するのも見どころのひとつだ。舞台は、ジニィの部屋で朝を迎えシーツにくるまるグレッグと、シャワーを浴びるジニィから始まる。ふたりは出会って1か月の恋人同士。ふざけたり、甘えたり、すねたり……恋愛初期ならではのやりとりは甘さたっぷりで微笑ましい。ジニィと結婚したくてたまらないグレッグだが、気になるのは彼女の元恋人。年上で既婚者だったという元恋人の痕跡は、ジニィの部屋のそこかしこから見つかるが、ジニィに問い詰めてもうまくかわされてしまう。そんな中、ジニィは「実家に行く」と出かけることに。両親に挨拶したいグレッグは、ジニィに秘密で後を追う。同じ頃、ジニィの目的地ではフィリップとシーラ夫妻が探り合いを繰り広げていた。シーラが若い男と付き合っているのではないかと疑うフィリップ。グレッグとジニィのかわいらしいやりとりに比べ、ふたりの掛け合いにはそこはかとなく重みがあり、妻にやり込められるフィリップには滑稽さが漂う。しかしそのフィリップこそがジニィの元恋人であり、いつまでも未練たらたら花やチョコレートを送り付けている男だった。そんなふたりのもとに、ジニィより先にグレッグが到着してしまう。グレッグは夫妻をジニィの両親だと思い込むが……というところからこの舞台の真髄ともいえる部分に突入する。中でも、藤原と柄本がお互いのことを勘違いしたまま対決するシーンは見どころのひとつ。切羽詰まった空気になればなるほど、おとぼけ感が漂い、思わずププッと笑ってしまう。そこには男性の単純さや女性のしたたかさも描かれているが、4人の姿がとても愛らしく、にくめない。年末年始の楽しみにピッタリの作品だ。公演は、12月23日(水・祝)までの東京・銀河劇場を皮切りに、1月には富山、熊本、福岡、大阪、愛知を巡演する。取材・文中川實穗
2015年12月07日自身にとって2度めとなる舞台『とりあえず、お父さん』への出演が決まった本仮屋ユイカ。現代を代表する喜劇作家として、アメリカのニール・サイモンと並ぶイギリスのアラン・エイクボーンのヒット作に、藤原竜也、浅野ゆう子、柄本明という豪華キャストとともに挑む。久々の舞台に燃える女優としての思いを、率直に語った。舞台『とりあえず、お父さん』チケット情報「初舞台のとき、舞台に立っていて毎日幸せだったので、またあの感動を味わえるのかと思うとうれしくて」と、いちばんに再び舞台に立てる喜びを口にした本仮屋。初舞台を振り返って、「自分の肉体と思考と感情と直感をすべてフルに使って表現できて、それに対するお客さんのリアクションをまた自分の力にできるという、あの劇場でしか味わえない循環が最高だったんです」と語る。ましてや今回演じるのは、誰もが間違いなく笑えるエイクボーンの人気作。「どんな反応があるのか楽しみ。やりがいがあるなと思います!」。演じるのは、結婚を前提にグレッグ(藤原竜也)と交際しているジニィ。以前付き合っていた既婚の年上男性フィリップ(柄本明)とその妻シーラ(浅野ゆう子)をグレッグがジニィの両親と勘違いするところから、誤解が誤解を生む大いなる喜劇が始まる。「私だったら『それは誤解ですよ』と勘違いを正しそうなんですけど(笑)、ジニィは何とかごまかそうと、慌てたり、焦ったり、困ったりする。その姿がきっと笑えると思うんですね。だからこそ、既婚男性と付き合う奔放な女性だと思われるかもしれないですけど、『ジニィの気持ちわかる』と共感してもらえるように丁寧に演じたい」と早くも役に思いを寄せる。また、この作品が投げかけるものについても、「自分の見えてる世界だけが正しいと思い込んで勘違いの渦に巻き込まれていくジニィたちを見ると、その思い込みをなくしたら人生もう少し楽しくなるんじゃないかと思ってもらえると思うので。この舞台が明日からの活力になるとうれしい」と明快。「舞台をやると、その戯曲を通して作家さんが何を伝えたいのかっていうことを、全身全霊で探求し、表現し、伝えるのが女優の仕事だと改めて思い知らされます。そしてそこには人生の真理がいっぱい詰まっているんだと思ったら、演じることが尊いものに思えてくるので。しっかり伝えられる女優にならないと」。映像でもその演技力は知られている。が、本仮屋ユイカの底力は舞台でこそ放たれるのかもしれない。公演は12月3日(木)から23日(水・祝)まで東京・天王洲 銀河劇場にて。その後全国を巡演。東京公演のチケット一般発売は10月17日(土)午前10時より。取材・文:大内弓子
2015年10月09日山高帽、ステッキ、ちょびヒゲ、ぶかぶかのズボン…。映画黎明期に数々の名作を生み出し、世界中を笑いと涙で包んだ“喜劇王”チャールズ・チャップリンは、1977年のクリスマスの朝、スイスの自宅で永眠。それからまだ涙も乾かないほんの数か月後、なんと“チャップリンの遺体誘拐事件”が発生!?このウソみたいな本当の話が、チャップリン遺族の全面協力を得て映画化された『チャップリンからの贈りもの』が、7月18日(土)より公開されることが決定、このたび予告編が解禁となった。オスマンは、まだ小さな娘とトレーラーハウス生活。愛する妻は過酷な労働がたたって入院中だ。そんなとき、命の恩人、でもお調子者で問題児のエディが刑務所から出所。妻と娘の反対をよそに、お人よしのオスマンは、エディ用のトレーラーハウスを用意し、一緒に暮らし始めた。しかし、生活に窮するばかりの彼ら。そんなとき、“喜劇王チャップリン死亡”という衝撃のニュースが、テレビから流れてきた。チャップリンの棺を盗んで身代金をもらうことを思いついたエディは、気の弱いオスマンを巻き込んで、いざ決死の犯行へ。しかし浅はかな計画は、次々とボロが出て…。追い詰められた2人は、最後の賭けに出た。そして、まさかの結末が…。1978年の“チャップリンの遺体誘拐事件”には全世界が驚いたが、マヌケな犯人2人組の浅はかな犯行もまた驚愕のものだった。まさにコメディ映画にぴったりな題材だが、なんと本作の映画化にあたっては、チャップリンの遺族が全面協力!チャップリンが晩年を過ごした邸宅や、実際に彼が眠る墓地での撮影が実現し、実の息子や孫娘も特別出演を果たした。予告編からも見てとれるように、ダメダメでツイてない男たちのコミカルな大騒動の中に、『街の灯』や『ライムライト』など、往年の名シーンや名曲が散りばめられており、まるでチャップリンも出演者のひとりのように感じさせている。また、音楽は、巨匠ミシェル・ルグランが担当。壮麗な音楽とゆるゆるな2人のドジっぷりが、ミスマッチなはずなのに、なぜか心地よく、美しい戦慄がストーリーをリードする。なお、5月26日(火)、27日(水)には、チャップリンの実の息子ユージーン・チャップリン氏の来日も決定!本編中でもチャップリンの親日ぶりが分かるエピソードが描かれているが、ユージーン氏の口からもチャップリンの日本への愛が聞けるかもしれない。もし、チャップリンが天国からこのドジな2人を見ていたら、きっと彼らを主人公にコメディ映画を作りたくなったかもしれない…、そんな気持ちを起こさせてくれる本作。どこか憎めない2人のオヤジのビター&スウィートな珍騒動をお楽しみに。『チャップリンからの贈りもの』は7月18日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年05月11日3月6日、藤山直美主演の舞台『スーパー喜劇「かぐや姫」』が東京・新橋演舞場で幕を開けた。【チケット情報はこちら】「スーパー喜劇」とは三代目市川猿之助(現猿翁)による「スーパー歌舞伎」と、藤山直美が演じる喜劇が合体したもので、2005年に第1弾として『狸御殿』を上演。今回、10年ぶりに第2弾が上演される。太陽の王と月の女王との間に生まれたかぐや姫(藤山直美)は、ある月の掟を破ってしまい、罰として蒼い星<地球>に流刑されることに。いにしえの地球に落ちたかぐや姫は、竹林で月庵(上條恒彦)と照乃夫妻に拾われ、人智を超える早さですくすく育つ。月での記憶を失いながらも、不思議な力を宿していたかぐや姫、人々を明るくさせる福女ぶりの噂に尾ひれがついて広がり、次々とムコ候補が名乗り出る。一方月の世界では、かぐや姫の母、月の女神・月光(水谷八重子)が、地上から“かぐや姫のムコ候補が次々と名乗り出ている”という報告を聞き、不安を募らせていた・・・。同作は、日本昔話で広く知られている「かぐや姫」という切なさや儚さといった印象のある物語が、楽しく、笑いに包まれて展開されていく。藤山が楽しい音楽にあわせて歌い踊るシーンや、かぐや姫を心配する親心を歌う水谷の美声も見所のひとつ。また、拍子木や太鼓といった歌舞伎の技法も盛り込まれている。“スーパー喜劇”お約束の宙乗りもあり、楽しみな要素が詰まった公演だ。『スーパー喜劇「かぐや姫」』は3月31日(火)まで東京・新橋演舞場、4月5日(日)から27日(月)まで、大阪・松竹座で上演。チケットは発売中。
2015年03月09日古田新太、小泉今日子が出演する歌謡ファンク喜劇『いやおうなしに』が1月9日(金)KAAT 神奈川芸術劇場 ホールで開幕する。前日の8日には舞台稽古を公開、開幕にあたりキャストと演出の河原雅彦よりコメントも寄せられた。歌謡ファンク喜劇『いやおうなしに』チケット情報本作は『俺のせいで甲子園に行けなかった』『好きな男の名前 腕にコンパスの針でかいた』など、ダメな人々の悲哀をムードたっぷりに歌い上げるOnly Love Hurts(面影ラッキーホール)の楽曲にのせて描く音楽劇。古田と小泉は再起をかけてもつ煮込み専門店「ららホルモン」を開店する夫婦役、太一と奈美子を演じる。オープン初日、太一の起こした事件によって甲子園出場を取り消された時の野球部のキャプテン藤岡が店へとやってくる……。寄る辺なき男と女のやるせない物語をバカバカしくも切なく描いていく。「面影」独特の楽曲について、小泉は「最初はその独特な世界観に戸惑いましたが(笑)、毎日聴いているうちに好きになりました。人間って生々しくて可笑しくて切なくて悲しい、でも愛しいものだと思わせてくれる曲たちです。歌っているときに曲の世界に入りやすくてとても気持ちがいいです!」とご機嫌な様子。演出の河原も「古田さん、小泉さんを筆頭に全ての役者が「この人以外考えられない」と言い切れるほど、肥溜めのようなこの舞台の住人になっています。この作品において古田さんと小泉さんは肥溜め界のベストカップルです」と自信?のコメント。一方古田は「新春にふさわしいさわやかな作品です」とおどけたコメントを寄せた。神奈川公演は1月12日(月・祝)まで。その後、1月17日(土)・18日(日)埼玉会館、1月20日(火)から25日(日)まで大阪・森ノ宮ピロティホール、1月27日(火)・28日(水)愛知芸術劇場 大ホール、1月31日(土)・2月1日(日)宮城・電力ホール、2月5日(木)から3月1日(日)まで東京・PARCO劇場で公演。
2015年01月09日12月20日、都内で『新橋演舞場 二月喜劇名作公演』の出演者による記者会見が行われ、水谷八重子、中村梅雀、渋谷天外、藤田朋子、英太郎、山村紅葉が公演に向ける意気込みを語った。演目には、『お種と仙太郎』『大当り高津の富くじ-江戸育ち亀屋伊之助-』『おやじの女』の3つが並ぶ。『お種と仙太郎』は、息子夫婦の仲の良さを妬んで嫁をいびる姑と、じっと耐える妻、そしてそんな関係を見るに見かねた周囲の人情を描いた作品で、今回は、2006年の京都・南座での公演に出演した英と山村が、ふたたび姑と嫁に扮して贈る。そして、「関西弁が苦手なので、どうかと思っていたら、江戸の人間に変えていただくことができた」と梅雀が語るのは、藤山寛美の得意演目を書き直した『大当り高津の富くじ-江戸育ち亀屋伊之助-』。「甘やかされて育った伊之助は、まっすぐで気の良い男。“こういうことがあったらいいな”と観ていながらホロッとくる、ほっこりと心が温まるような舞台にしたい」と抱負を語った。一方、『おやじの女』は、劇団新派と松竹新喜劇の本格的な共演に注目度が高い。死んだ義太夫語りの妻、愛人、弟が繰り広げる新喜劇作品で、波乃久里子、水谷、渋谷がそれぞれの役を演じる。水谷は言う。「“江戸の新派、大阪の新喜劇”というように同じような立場にあるもの同士が一度何かで正式にご一緒できればなと常々思っていました。そこに今度は元前進座の方(梅雀)まで加わって一座ができたのは、楽しみでうれしいこと。それぞれの劇団のカラーが一色に溶け込んだマーブルのような楽しさを出したいと思います」。なお、波乃は、5日に弟の中村勘三郎さんが亡くなったばかりということで記者会見に欠席。「喜劇公演の会見という楽しいお席で悲しい話題が出ましても申し訳ないと存じ、出席をご遠慮させていただくことにいたしました」と書面でメッセージを寄せた。『二月喜劇名作公演』は、東京・新橋演舞場にて2月1日(金)から24日(日)まで上演。チケットは12月25日(火)に一般発売を開始する。
2012年12月21日韓国出身の男性5人組グループ・BIGBANGのメンバー、V.Iが、関西の新喜劇番組『よしもと情熱コメディ~TVのウラ側で大騒ぎ!モンスターAD奮闘記~』(読売テレビ 日曜午後4時25分~)に出演することがわかった。BIGBANGの公演チケット情報同番組は、読売テレビが24年ぶりに「よしもとコメディ」を復活させ、7月からレギュラー化してスタートさせる番組。大阪・なんばグランド花月で7月25日(水)に行われる公開収録に、V.Iがゲスト出演する。BIGBANGのメンバーの中でも、日本語が堪能なV.Iだが、関西お笑いの殿堂で、一癖も二癖もある吉本芸人たちと絡んでどれだけ笑わせてくれるか期待される。出演にあたり、V.Iは「『よしもと情熱コメディ』に出演することができて、とても嬉しいです。僕はお笑い芸人ではありませんが、人に喜びを与えるという意味ではお笑い芸人の方もアーティストも同じ。今回の出演を機に、僕だけでなくBIGBANGも、もっともっと日本のみなさんに親しまれるグループになれるように頑張ります」と意気込みを語っている。V.I出演回は7月29日(日)放送。
2012年07月12日三谷幸喜らしさがこれほど際立つ舞台は珍しい。国も違う100年も後輩の演劇人によって、自らの戯曲にチューンナップが施され、作品本来の喜劇性を取り戻したと知ったら、チェーホフはどう思うか。それが、三谷版『桜の園』の稽古場取材で得た感想だった。三谷版『桜の園』公演情報初めて他人の戯曲を演出することになった三谷にとって、まず最初に頼りにしたのが、キャスティングだろう。破産寸前なのに優雅な暮らしをあきらめきれない“桜の園”の女地主・ラネーフスカヤに、浅丘ルリ子。自前の豪華なドレスで稽古に取り組む姿勢からはスターの風格が漂い、世俗に染まらないピュアな印象が役によく合う。何より、嘆きのセリフが暗くなりすぎないのがいい。透明感のある声はどこか凛々しく、特権階級としての矜持をにじませる。一方、彼女の対極に位置するのが、成り上がりの実業家・ロパーヒン役の市川しんぺーだ。猫のホテルのメンバーとして小劇場で足腰を鍛えたタフな存在感が、浅丘と絶妙なコントラストをなす。作者チェーホフが“喜劇”と称していながら、笑いの部分をきちんと汲み取った上演は、これまで多くなかった。だからこそ笑える舞台にしようと立ち上がった三谷だけに、やはりそこへのこだわりは並大抵ではない。笑いの達人である藤井隆、青木さやかのほかにも、大和田美帆、瀬戸カトリーヌ、阿南健治、藤木孝ら、陽性なキャストが揃っている。普通、出番でない俳優は自分の世界に没頭していてもおかしくないが、この現場では、笑い声をあげながら、他人の稽古を楽しそうに見ている俳優が多いのが印象的だった。また、お互いの役名を早く覚えようと、役名入りゼッケンを胸につけて稽古するというもの、悲劇の稽古場なら考えられない。ましてや、演出家までもが自らの胸に“アントン”(チェーホフのファーストネーム)と書いてみせるなんて。チェーホフ戯曲のどこに面白さを感じるか。そして、自分が感じたその印象に観客をどう巻き込むか。他の演出家なら素通りしてしまいそうな何気ない場面が、テンポや間のとり方、セリフのトーンを変えただけで、爆笑シーンとして生まれ変わる不思議。すべては演出家のセンス次第だ。つまり今回の三谷の挑戦は、自らのクリエイターとしての資質にあらためて向き合う作業に他ならない。チェーホフでありながら、三谷流。三谷ワールド全開なのに、あくまでもチェーホフ。最良の着地点を目指して、稽古は開幕まで続く。6月9日(土)から7月8日(日)まで東京・PARCO劇場、7月12日(木)から22日(日)まで大阪・森ノ宮ピロティホール、7月25日(水)から29日(日)までKAAT 神奈川芸術劇場 ホールにて上演。チケット発売中。
2012年05月28日大相撲春場所の担当部長を務める貴乃花親方が2月25日、大阪・なんばグランド花月の「吉本新喜劇」に登場、堂々の“新喜劇デビュー”を果たした。平成24年度大相撲三月場所チケット情報貴乃花親方は“大相撲をPRするため、大阪であいさつ回り中”という、実際の役柄で出演。櫓太鼓の音とともに舞台に登場すると、たちまち会場からは大きな歓声と拍手が送られた。そして、「僕、偉いな~」と身長差約40センチの池乃めだかを子ども扱いして池乃のギャグを誘ったほか、島田珠代に股間を弾かれるギャグ「チーン」の洗礼を受けたり、ズッコケにも挑戦したりと、次々と繰り出される“笑いの技”に応じる。一方では高々と足を上げて見事な四股も披露と、約5分の出演を務めた。ズッコケ後、「関取でコケるのは良くありませんが、吉本新喜劇だと嬉しいです!」と嬉々として語る親方に、またしても場内から大きな拍手が起こった。なお、この模様は3月10日(土)、MBS『よしもと新喜劇』(昼12:54~1:54関西ローカル)で放送される。舞台後の会見では、「吉本新喜劇に入団した貴乃花です!」と親方。「相撲の広報まで出演者の皆様方にしていただいて感無量です。これを契機に、一人でも多くの方が大相撲に足を運んでくださることを願うばかりです」と“初舞台”の感想を述べた。また、島田珠代の「チーン」を受けた感想を求められると、「素敵な“チーン”でした!」と満面の笑みを浮かべた。大相撲春場所は3月11日(日)より大阪府立体育館で開幕する。チケット発売中。
2012年02月27日喜劇役者の藤山直美と歌舞伎俳優の坂東薪車が出演する舞台『年忘れ喜劇特別公演』が12月1日、東京・新橋演舞場で開幕する。この興行は、年上女房・おかつと甘えん坊の若い夫・清之助の物語を、笑いと涙でたっぷり描いた上方人情喜劇の名作『銀のかんざし』と、薪車が領主前田能登守と盗賊の赤鞘主水の2役を演じ、大立廻りもある『殿様茶店の恋日和』の2本立てだ。初日前日の11月30日、『銀のかんざし』の稽古を終えた藤山と薪車が取材に応じた。『年忘れ喜劇特別公演』チケット情報藤山は「おかつと清之助は今流行りの年の差夫婦なんですけど、薪車さんは“じじい”っぽいんですよね(笑)。本当は私の方が年上ですけれど、普通にやっております」と笑いを誘い、新車は「じじい、じじいってねぇ(笑)。見た目がちょっと老けているのかな」とおどけてみせた。また藤山との共演は「年上ってこんなにも心地良いものかとお芝居を通して改めて感じています。100%信頼して思いっきりやらせていただいています」と話し、『銀のかんざし』については「男の夢がつまっています。人間の絆、夫婦の絆というものを観ていただきたい」とみどころをアピール。藤山も、もう1本の『殿様茶店の恋日和』について「薪車さんの15分もあるすっごい立廻りは見物です。思わず『音羽屋!』(坂東薪車の屋号)と大向こうをかけたくなります」と力強く語った。そして「お芝居をご覧になったお客様が面白かったなぁ、楽しかったなぁと言っていただけるのが頂点の喜びです」と締めた。公演は同劇場で12月25日(日)まで上演。チケットは発売中。
2011年12月01日