手入れの行き届いた肌や髪、そして美しいシルエットを保つボディ。それらは日々の腸活によって手に入れたもの。“腸活の女神”とも称される加治ひとみさんが、新たに取り入れているのが“藻活(もかつ)”なのだそう。日本古来の食材である“藻”は腸活の即戦力!日本人が毎日当たり前のように食べている海藻は、漢字のとおり海の“藻”。こんぶやわかめ、ひじき、もずくなどその種類も多く、味噌汁、煮物、揚げ物とさまざまな料理で親しまれている。まさに、日本古来の食材といえるだろう。ところが、ここまで藻を食べる国は、世界でも珍しいという。そしていまこの藻が、欧米を中心に海外から注目されていることから、改めて私たち日本人が藻のよさを見直すという“逆輸入”状態にあるという。「腸を整えるのに役立つ栄養成分が豊富な藻は、ヘルシー志向の海外セレブをきっかけに、人気に火がついたとみられています。この機会に、藻の素晴らしい栄養成分を再認識するのもいいかもしれません」(管理栄養士・浅野まみこさん)人体に欠かすことのできない微量ミネラルのひとつであり、甲状腺ホルモンを構成して成長や代謝を促す“ヨウ素”が海藻には非常に豊富。さらに“水溶性食物繊維”が多く含まれていて、便を柔らかくする貯水と潤滑剤の役割を担っている。「最近特に話題なのが、水溶性食物繊維が大腸の善玉菌によって分解されると、酢酸や酪酸、プロピオン酸といった“短鎖脂肪酸”を生み出す働き。短鎖脂肪酸は腸の内側の粘膜を厚くし、滑りをよくするなどして、体の免疫調整機能を向上させるのです」腸活の即戦力になる“藻活”に改めて注目してみよう!腸活の女神!加治ひとみさんも“藻活”に注目長年、腸活を続け、その実践方法や体の変化などをSNSやメディアで発信しているモデルの加治ひとみさん。知識が豊富で、最新の腸活事情にも詳しい加治さんが、少し前から始めているのが“藻活”。「藻に注目するようになったのは、昨年、リサーチを兼ねて、最新の健康食品やオーガニックフードを取り揃えるLAのスーパーマーケット『Erewhon』に立ち寄ったことがきっかけでした。その時、ブルーやピンクのカラフルな“シーモスジェル”入りのスムージーを、おしゃれな女性たちが飲んでいたんです。私も試しに飲んでみたら、クセなどなくスイーツみたいに美味しくて。海外でのブームを実感し、改めて藻について調べてみると、ビタミンやミネラル、食物繊維などの成分を含んでいるため腸活に最適で、しかも低カロリーだとわかりました。藻を食べる習慣がある日本人は、自然と“藻活”をしていたんですね」それ以来、意識して藻類を摂るようになったという。「腸活というと発酵食品のイメージですが、“藻活”も立派な腸活。実は集中力を高めるために、藻の一種であるブルーグリーンアルジーのサプリは以前から飲んでいたのですが、藻類は普段の食事からも摂りやすいと再認識してからは、料理にも積極的に取り入れるようになりました。お味噌汁にとろろこんぶやわかめ、海苔を入れたり、わかめと海苔、アボカド、薄切りにした玉ねぎを和えて中華風の味付けにしたり。乾燥わかめを常備しておくと、日持ちもして、汁物にはそのまま入れるだけで食べられるので圧倒的に便利です。忙しい人は、千切りにして売られているキャベツに、味付けがしてあるお惣菜のひじきを混ぜるだけでも立派な一皿になりますよ」日々、コツコツと腸活を続けながら、毎朝ジムに行ってランニングをしているという加治さん。「朝起きた時に疲れが取れていたり、肌の調子がいいのは、ミネラル類が豊富な藻類のおかげでもあるかも。最近お米づくりに興味があって、稲を植えるところから参加しているんですが、外で作業を続けているとどうしても髪や肌は紫外線の影響を受けてしまいます。でも、普段から代謝や免疫機能の向上を意識した食生活や運動などをしていれば、日焼けなどもあまり怖がらずに、その時を楽しめます。藻活を含めた腸活は、私にとって人生を楽しむためでもあるんです。だからあまりストイックになりすぎないことも、腸活を続けるためのポイント。みなさんも人生を充実させるための手段として、藻活にトライしてみてください」加治さんのリアル藻活ライフわかめ×アボカドサラダ藻パウダー入りホットケーキブルーグリーンアルジーサプリメント藻の一種、ブルーグリーンアルジーのサプリはカプセルでも摂っていますが、熱を加えても成分が壊れないパウダーも常備して、料理にも活用。ホットケーキミックスにひとさじ加えて焼いたりも。乾燥わかめは、さっと水で戻して豆腐やアボカドと和えておかずに。かじ・ひとみモデル、タレントとして活動。10年以上続けている腸活が話題になり、腸活ブームの火付け役に。以降、美腸プランナーとしてもさまざまなメディアに登場。自律神経の名医・小林弘幸医師との共著『かぢ習慣』が大きな話題になる。カーディガン¥14,300パンツ¥19,250(共にemmi/エミ ニュウマン新宿店 TEL:03・6380・1018)キャミソール¥9,900(Sea Roomlynn TEL:03・6804・6844)右手のリング¥11,000(アガット TEL:0800・500・5000)左手のリング(太)¥38,500(リキッド)左手のリング(細)¥7,800(ヨア)浅野まみこさん管理栄養士。総合病院や企業にて1万8000人以上の栄養相談を実施。コンビニや外食の実践型栄養アドバイスや講演会などを行う。著書に『コンビニ・ダイエット』(星海社新書)ほか。※『anan』2024年7月31日号より。写真・天日恵美子(加治さん)スタイリスト・Toriyam悦代(One8tokyo/加治さん)ヘア&メイク・原野麻美(加治さん)取材、文・若山あや(by anan編集部)
2024年07月25日その活躍はアニメだけに留まらず、TVドラマやバラエティ、舞台など幅広いジャンルで名を馳せる、声優の宮野真守さん。エンタメが大好きと語る宮野さんに、エンターテイナーたるゆえんを聞きました。声優としてはもちろん俳優、アーティストとしても幅広い層から支持されている宮野真守さん。ジャンルを超えた万能エンターテイナーぶりは周知の通りだが、多岐にわたる活躍の陰で悔しい思いをしたこともあったそう。「子どもの頃からエンターテインメントが大好きだったので、やれることはなんでもやりたかったし、できるようになりたいと思ってました。でも7歳からこの世界で仕事を始めて、10代は全然うまくいかなかった。あの時代を下積みと言っていいのかわからないけれど、悔しい思いばかりしていましたね。その頃の劣等感が拭えなくて、とにかく何者かになりたくて、10代の頃はがむしゃらに突っ走ってました」そんな宮野さんに転機が訪れたのは18歳の時。「たまたま声優のお仕事をさせていただいて、そこから世界が広がったんです。自分に声の演技ができるだなんて考えたこともなかったので、拾っていただいたことは本当に幸運でしたし、感謝しかないです。当時は右も左もわからなかったから、現場で失敗しながら一生懸命仕事を覚えました。今では、これだけ長いこと声優として仕事を続けてこられたことが僕の自信の基盤になっています。20年以上やってきて、スキルも自分の引き出しも増えましたし、いろんな恩恵を与えてくれました」宮野さんには新人の頃、大先輩にかけてもらった忘れられない言葉があるという。「現場で僕が硬くなっていた時、林原めぐみさんに『もっとやっちゃいなよ!』と声をかけていただいたことがあるんです。『ポケットモンスター』のアフレコ現場で、周りは大先輩ばかり。自分でも気づかないうちに縮こまっていたんでしょうね。その、なにげない言葉に勇気をもらって、僕は殻を破ることができたんです。先輩の一言が後輩にとってどれだけ刺激になるか身をもって知っているから、僕も後輩に声をかけてあげたいです。そういうふうに思えるようになるくらい、僕も大人になったということですね(笑)。でも、だからこそ言葉には気をつけています。あくまでその子の人生であり、選択ですから」声優だけでなく、すべての仕事において日々のアップデートを大事にしているという宮野さん。その時、自分の前に立ちはだかるのはいつも過去の自分なのだという。「例えば、19歳の時の自分の演技を今聴き直してみると、その頃の演技のピュアさに自分でもハッとすることがあるんですよ。でも、今の自分にはこれまでの年月で培ってきた経験値がある。過去にすがるんじゃなくて戦い方をアップデートすること、お芝居の仕事ってこれの繰り返しなんですよね。常に過去の自分と戦っているんです」25枚目のシングル『The Battle』にはそんな自分自身との戦いという想いを込めた。「TVアニメ『現代誤訳』の主題歌で、偉人の名言を間違った解釈で覚えていたとしても、それが自分にとって大事な指針になっているのであればそれでいいじゃない、間違いを正すことより自分が自分らしく生きることのほうが大事だよ、というメッセージを込めました。過去の自分との向き合い方、自分との戦い方をテーマにした曲ですね」アーティストデビュー15周年を締めくくり、年末からはライブツアーの開催も控えている。「今回、“大人の男”というテーマで撮影していただきましたが、40代になった今だからこそ見せられるもの、というのをきちんと見つけたいなと思っていて。そんな想いを元にライブの構想を練っているので、新たな宮野真守を見せられるツアーになるんじゃないかなと思っています。僕がライブを構成する上で大事にしているのは、とにかく飽きさせないこと。僕は自分で曲を作ってきた人ではないから想いを曲として届けるということが最初はまだできなくて、自分でライブを演出することがクリエイティブな部分での軸になってくれました。それに僕自身がプレイヤーだから、観ている人に楽しんでもらいたいという想いがあるんですよね。ライブももうずいぶん長くやっているからアウトプットばかりだと出がらしになっちゃうので、過去の自分に勝つためには上質なインプットが大事になってきます。僕の場合は直近の自分の経験がいいインプットになってくれています。例えば舞台での経験が作詞する上で役に立ったりするんですよ。自分が演じた役の想いを歌詞にすることもありますし。すべての仕事がつながっていて、インプットとアウトプットが循環しているような感じです。まるで回し車の中をぐるぐる走ってるハムスターみたい(笑)」何もわからなかった20代から、いろんなものを得た30代を経て、これからの40代ではさらにその先を見据えていきたいと語る。「大人の男として憧れるのは、ずっと体型を維持している人ですね。これがどれだけ大変なことかって、意外とみなさん知らなくて。そのために自分を厳しく律して、時間も使っているわけですよ。僕もやる側の人間なのでわかるんですけど、演じる役柄によって体型まで変えてしまう俳優さんは本当にすごいと思います。増量した後の減量ってどうしてるんだろうって、想像しただけで倒れそう…。僕もそういった方々を尊敬していると言っている手前、もしオファーをいただけたらしっかりがんばりますけど。でも大変ですよね。仲良くさせていただいているTHE ALFEEの高見沢俊彦さんも体型を維持していらっしゃいますもんね。たしか(高見沢さんが)筋トレを始めたのって60代になってからなんですよ。以前、『筋肉と愛は育てるものだよ』って言葉をかけてもらいました(笑)。郷ひろみさんともTV番組で一緒に歌わせていただいたことがあるんですけど、本当にかっこいい。周りにこれだけ偉大な先輩アーティストの方がたくさんいらっしゃるので、僕ももっとがんばらないと。これから先はきっと、できることも変わっていくと思うので、そういう変化にもきちんと向き合っていけたらと思います」みやの・まもる声優、俳優、歌手。TVアニメ『忘却バッテリー』(要圭)、ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』(ディオ・ブランドー)など出演作多数。最新シングル『The Battle』が7月24日に発売。※『anan』2024年7月24日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)スタイリスト・横田勝広(YKP)ヘア&メイク・Chica(C+)取材、文・尹 秀姫(by anan編集部)
2024年07月24日やわらかな雰囲気の中に宿る、確かな意志。年齢やジェンダーという枠にとらわれず、“千葉雄大”としてその存在感を放つ千葉さんが思う“大人”とは。そしてそのポジティブなオーラの秘訣とは――。大学進学を機に10代で上京した千葉雄大さん。大人になったと感じたのは、二十歳で仕事を始め、数年経ってからのことだそう。「やっとごはん屋さんでオーダーができるようになったんです。それまでは店員さんに『すみません』も言えず、全部弟にやらせていました(笑)。返信が遅いところは、大人になり切れてないですね。友達から空いてる日を聞かれていたことを忘れちゃって、気づいたら当日のことも(笑)」そんなかわいらしいエピソードの持ち主にはどんな大人が魅力的に映るのか伺うと、少し考えてから“無邪気な人”と話してくれた。「年齢を重ねていくと、視野が狭まるんでしょうね。後ろに気づけなくなっちゃう。そういう変化さえも、面白がれる無邪気な大人は素敵ですよね」そうした無邪気さは、自身も持ち合わせているのでは。「どうでしょう。自分ができることを周りの人にも求めてしまったり、嫌な自分が出ちゃう瞬間もあって、大人とはいえない自分と、折り合いをつけながら生きています」そんな千葉さんが大切にしているのが“ギャルマインド”。上手く使いこなせれば、立派な処世術に。「誰にでもイライラすることってありますけど、苛立ちを表に出さずにやりすごすのが大人で、出せちゃうのがギャル。『意味わかんなすぎぃ~!』とかギャルっぽく言うと角が立たない気がします。“まあいっか。次いこう!”っていう気持ちにもなれちゃう。僕にとってギャルマインドは、ポジティブに生きるための術。“うちのツレを泣かすヤツは許さない!”みたいな筋の通った、硬派なギャルのマインドが好きです(笑)」今日の撮影ではスカートルックをチャーミングに着こなしてくれたが、監督した短編が出品された映画祭のセレモニーにもスカート風のパンツで登壇して話題になったばかり。その理由が何とも軽やか。「トム ブラウンが着たいなって。華やかな場で全身を見ていただける機会だったので、せっかくだから何か面白いことをしようという考えもありましたけど、お洋服を着る理由なんて難しく考えなくていいのでは。好きな服を着たらテンションが上がる!そのくらいシンプルでいいんじゃないかな。最近の私服は完全にY2Kです。派手なTシャツにボロボロのデニムみたいな(笑)。そういう格好をしてると『あれ、おいくつでしたっけ?』とか言ってくる人がたまにいるんですよ。『何歳になっても好きな服を着てよくないですか?』とは思っても言わないです。笑顔で『35歳です』と返して終わり。“年齢は記号にすぎない”というフレーズを、周りへの気配りなしに好き勝手するための免罪符にさえしなければ、いくつになっても好きなファッションを楽しんでいい!」年齢を超えたエイジレスな魅力の秘密を伺うと…。「ここ3か月で朝晩パックをするようになりました。ドンキで買ったお徳用のものでもメイクさんから肌の調子がいいってめっちゃ言われるので、やっぱりやると違うんですね」9月から始まる出演舞台『ワタシタチはモノガタリ』ではSNSがキーに。肘森富子は、初恋相手との15年にも及ぶ文通内容を脚色してSNSに投稿。それがバズって映画化に…というストーリーだ。「思い出はたいがい美化されるものですよね。酷い別れ方だったのに、大恋愛したような口ぶりの人もいますし(笑)。でも、ネガティブなまま残り続けるよりよっぽどいいと思います。ただ、美化することに慣れすぎてしまうと、自分が何を考えていたのかわからなくなってしまいそうですよね。これはSNSではないんですけど、僕はぶば~っと書くことでネガティブな気持ちを昇華させることがあるんです。その文章を後から読むと“なんでこんなに怒ってたんだろう”って不思議なんですけど、そのとげとげしさも、推敲して丸みを帯びた文章もいいなって思うんです。要はバランスですよね。僕は、ちゃんと自分を大切にできる大人になりたいと思っているんですけど“大切にする”のもバランス。心がすり減ってしまった時に立ち止まって自分の時間を過ごすことも、お尻を叩いて頑張らせるのもどちらも“大切にする”こと。上手くバランスをとれる大人になれたら」ちば・ゆうだい1989年3月9日生まれ、宮城県出身。2010年、俳優デビュー。今年、アクターズ・ショート・フィルム4『ハルモニア』で監督・脚本を担当。作・横山拓也の舞台『ワタシタチはモノガタリ』はPARCO劇場にて9月8日開幕。ジャケット¥389,400ポロシャツ¥251,900(以上THOM BROWNE/THOM BROWNE AOYAMA TEL:03・5774・4668)※『anan』2024年7月24日号より。写真・恒川脩平(SIGNO)スタイリスト・寒河江 健(Emina)ヘア&メイク・堤 紗也香取材、文・小泉咲子(by anan編集部)
2024年07月23日これまで幅広い役をこなし着実にキャリアを積みながら、大河ドラマ『光る君へ』で一気に注目を浴びた玉置玲央さん。第1話から、主人公の目の前でその母親が殺されるという衝撃的な展開で始まった大河ドラマ『光る君へ』。この凄惨なシーンで、躊躇なく刀を突き刺す冷徹な藤原道兼を演じていたのが玉置玲央さん。「映像作品ではわりと悪い役をいただきますが、面白がってやっているところはあります。わかりやすい悪であればそちらに徹しますけれど、できれば僕は、主人公側から見たら悪だけれど、それぞれに事情と正義があるんだということを大事にしたい。事情があって悪にならざるを得なかったとか、こういう思考だからこんな行動をとったとか、台本上でも懇切丁寧に描いてくださってることもあるし。…シェイクスピアの登場人物は短絡的に悪事に走ったりするんですけど。それでも自分なりの正義をちゃんと持ってやりたいとは思っています」道兼も、回を重ねる中で、父親や家のため、自ら汚れ役を引き受けてきた悲しい人物であることが徐々に明かされていく役だった。「大河ドラマという性質上、劇中で道兼として年齢を重ねていって、取り巻く環境や人間関係が変わっていく様子が描かれるじゃないですか。それを道兼という役で演じられ、いろんな側面を見せられたのはとても面白かったです」演じるうえで、明確な答えを提示しないよう意識したと話す。「明確な怒りとか悲しみを提示するよりも、その場では答えを渡さずに、見ている方にこの人はどんな気持ちでいるんだろうと解釈を委ねる部分を大事にしたつもりです。僕は、怒りとも哀れみとも、悲しみとも驚いて愕然としているとも取れるほうが面白いと思っている節があって、それが多くの人に伝わったんだとしたら嬉しいです」高校入学の際に、たまたま演劇科を選んだことがお芝居を始めたきっかけ。劇団柿喰う客に所属し、ここまで舞台を中心に活動してきた。「24歳くらいまでは、自分が一番芝居がうまいし面白いと思ってました(苦笑)。でも、いろんな先輩がたを見てきて、ひとりでできることには限界があることに気づくわけです。とくに舞台は需要と供給がひとつの場所で循環していて、お客様が入って完成する総合芸術。作・演出家とスタッフ、共演者の方と豊かなやりとりをすることで、作品に厚みが生まれるもので、どんなにすごいワンマンプレイヤーがいてもダメ。でも、だから舞台が好きなんだろうなと思っています」自分ひとりで完結する世界は、あまり得意ではないそう。自ら演劇ユニットを結成し、演出から宣伝美術まで手がけるなど、自分の世界も持っている多才な人だけに意外。「自分だけでやれることってやっぱり限界があるし、ちゃんと甘えられる人や頼れる誰かと一緒に肩を組んでやっていくほうが効率もいいし、楽しいと思っちゃいます。振り返って考えると、今この仕事を続けているのは、自分のことよりも、身近で自分の面倒を見てくれている人たちが豊かになっていくとか喜んでくれるのを見るのが嬉しかったからで。さらに、僕に声をかけてくださったスタッフの方たちが喜んでくれ、その先にお客様とか視聴者の方がたがいてくれるんだと実感できたときに、お芝居を生業としてやっていこうと思えた。自分のためだけに自分の世界を突き詰めていくのはしんどいというか、消耗してしまいそうで…。なるべく自分に期待しすぎず、背負いすぎないのが向いているし、居心地よくいられる秘訣なのかなって」そんな玉置さんに、大人というテーマをぶつけると、「なんなら自分は、そこから逃げてきている気がするんですよね」と苦笑いされた。「大人になるに従って背負う責任も大きくなっていくから、周りのいろんなことに配慮して活動していくことを求められます。それは大事なことだけれど、こと表現に携わるとき、そういうものに縛られないほうが、人が惹きつけられるような逸脱した面白いものが生まれたりする。僕は感情に任せて表現することが多いし、本質的にそういう表現が好きなんですよね。ありがたいことに、ここまでずっとやりたくないと思ったお仕事ってなくて。高校から芝居を始めて、給料がもらえるようになったのは26~27歳くらいですが、生活のために仕方なく仕事した記憶って全然ないんです。だからこのまま子供のまんまでも大丈夫じゃんって思っちゃっています(笑)」とくに自分がまだ子供だなと思うのはどんなとき?「普段、人と食事に行くときはちょっと遠慮するんですが、本当はものすごく食べるんです。たとえばひとりで中華料理屋に行って、1回の食事で定食を2つ食べて、さらにアラカルトで1品とか頼んだり。好きなものを好きなタイミングに、パンパンになるまで食べちゃうんです」その一方で、大人になったと実感するのは親御さんとの関係性とか。「この間、家族でショッピングモールに行ったんです。買い物している間はそれぞれ別行動で、あとで合流して一緒にコーヒーを飲んだとき、オーダーが複雑だからって僕がメニューを決めて注文して、僕が両親のぶんも払ったんですが、なんかすごく不思議な感覚になりました。親と子という関係性は変わらないけれど、自分がいい大人になってきて、体力だったりいろんな面で、逆転してきているわけです。そうなったとき、自分が両親のようにちゃんと社会的に責任を果たせる人になっているのかなとは思いますよね」この先目指したいのは、段田安則さんのような俳優。「特別じゃなく俳優として存在している、というんでしょうか。余裕っていうのとは少し違って、すごくニュートラルにお芝居されている。人間的な部分とか感情とか、とても豊かなんだけれど、そこにはちゃんと余地があっていろんな形にフィットしていける。その柔軟さがカッコいいし素敵だなと思っています」たまおき・れお1985年3月22日生まれ、東京都出身。最近の出演作に、ドラマ『大奥Season2』『光る君へ』、映画『夢の中』などがある。8月11日に開幕する舞台『朝日のような夕日をつれて2024 』への出演を控える。コート¥121,000(blankblank.info193@gmail.com)シャツ¥41,800ベルト¥22,000(共にガラアーベント/サーディヴィジョンピーアール TEL:03・6427・9087)イヤーカフ、上¥25,300下¥29,700リング、右手・人差し指¥117,700小指¥37,400左手・中指¥31,350小指¥30,800ブレスレット¥84,700(以上プリュイ/プリュイ トウキョウ TEL:03・6450・5777)その他はスタイリスト私物※『anan』2024年7月24日号より。写真・樽木優美子(TRON)スタイリスト・藤長祥平ヘア&メイク・KATO(TRON)取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2024年07月22日はたから見ればマニアック。超私的な大人の男の魅力についてスペシャリストが熱っぽく激白!芸人・ヒコロヒーさんが選ぶのは、「大衆居酒屋でご一緒したい男」です。大衆居酒屋でご一緒したい男に熱視線。お酒をこよなく愛し、ひと月の飲み代が50万円いくこともあると番組で告白したこともある芸人のヒコロヒーさん。「言ってもいいこととあかんことの分別がついている人は大人ですよね。酒が入っても気が大きくなっても、その分別はついていてほしいですし、悪口を言わず、飲み方がきれいな人ってやっぱりいい。好みの居酒屋は、広くなく、小汚いくらいの店。接客もちょっと雑くらいがちょうどいい。そういうお店で飲むと、誰もがフラットな感じがして、スターとも近しくなれそうな気がします」映画『仁義なき戦い』の梅宮辰夫さんの名前も挙げてくれた。「この映画の辰夫さんは、怖いヤクザなんですけど、身内には優しくて明るいんです。ご自身も豪快な飲みっぷりで楽しませてくれそう。まずは瓶ビールでおでんの昆布を。『余計な調理は邪魔くさい』とか言ってほしいですね。理想は左にゴズリング、右に辰夫です(笑)」【シルヴェスター・スタローンさん】狭いお店で窮屈そうな肉体派スターと麦焼酎を。70歳を越えても筋トレを続ける、アクションスター。「天井の低いお店で、あの大きな体を窮屈そうにかがめてる彼と飲みたいですね。酔っぱらいながら笑ってほしい。変なヤツに絡まれたら、すぐマシンガンをぶっ放して追い払ってくれそうなところもいいですね」『ランボー3 /怒りのアフガン4K Ultra HD Blu-ray』¥7,480発売・販売元:KADOKAWA ©1988 STUDIOCANAL【井上 順さん】好きな人のダジャレを聞きながら酒機嫌。昭和の時代から第一線で活躍するスター。「『ラヂオの時間』を観て、なんてカッコいい人がいるんだとファンに。いつも機嫌がよさそうで、佇まいにも大人の余裕が感じられますよね。偶然、店に居合わせて、順さんがお好きなダジャレを聞かせてもらえたら最高です」【ライアン・ゴズリングさん】超大物スターと熱燗を飲みながらくだらない話を。アイドル出身の演技派俳優。「『ラ・ラ・ランド』を観て素敵だなって。顔が好き(笑)。ゴズリングが赤提灯の立ち飲みにいたら…と妄想が膨らみます。あえて『無人島に何持っていく?』とか『宝くじが当たったらどうします?』とかくだらない話をしたい」『ラ・ラ・ランド』デジタル配信中4K ULTRA HD¥8,580Blu-ray¥2,750DVD¥1,980発売元:ギャガ/販売元:ポニーキャニオン ©2017 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.ヒコロヒーさん1989年生まれ、愛媛県出身。『キョコロヒー』(テレビ朝日)ほか、レギュラー多数。『THE TIME,』(TBS)に月曜マンスリーレギュラーとして出演中。今年、短編恋愛小説集『黙って喋って』(朝日新聞出版)を上梓。※『anan』2024年7月24日号より。イラスト・岡田成生取材、文・小泉咲子(by anan編集部)
2024年07月21日大人の男を愛する3人が、世間を魅了してやまない大人の男たちについてトーク。惹かれる秘密を探ります!座談会参加者Y子ライター。TV好き。子どもの頃に映画『探偵物語』の松田優作を見て以来、大人の男に心奪われる人生を歩むことに。A子編集者。劇団俳優から演歌歌手、アイドルと幅広いジャンルを日々、チェックしている。儚いムードをまとった大人に弱い。S子ライター。『RRR』をきっかけに、インド映画と俳優の魅力に開眼。肩幅の広い、強いフィジカルの持ち主に惹かれやすい。S子:最近、本当によく「鈴木亮平さんが好き!」っていう声を耳にするのですが。A子:わかる。『シティーハンター』も話題になったしね。ガンアクションのカッコよさに痺れた~。Y子:私が最初に気になったのは、『孤狼の血 LEVEL2』で。眉毛を剃って剃り込みを入れていたんだけど、今まで見たチンピラ役で一番怖かったな。個人的に好きなのは、ドラマ『エルピス―希望、あるいは災い―』で演じたテレビ局の記者、斎藤正一。斎藤キャップですよ。日本の全女子が落ちた…みたいな感じがあったよね。A子:私もその一人でございます。スーツ姿もあいまって、色気がダダ漏れていました。『エゴイスト』での演技も、しばらく頭から離れないというか余韻がすごかった。S子:鈴木亮平じゃなく、浩輔がそこに居るっていう感覚を味わったというか。エンドロールで、あ、これは映画だとハッとした記憶。Y子:私は龍太にお寿司を押し付けるシーンが好き(笑)。演技力が高いから、本当に役の幅が広いよね。妙な安定感があるし、どんな役にも対峙する懐の深さや思慮深さを感じるというか…。すべてにおいて“ちゃんとしている”ところが大人なんだよね。A子:さっき、『エルピス』の話が出たけど、プロデューサーの村井喬一を演じた岡部たかしさんも素敵だよね。今年はなんといっても、『虎に翼』での寅子(ともこ)の父・直言(なおこと)役が印象的。娘の夢を応援する姿や、追い詰められるも信念を貫き通して奮闘する姿にグッときて、朝から何度も泣いちゃった。S子:劇団東京乾電池出身で、「城山羊の会」の舞台でもおなじみ。役者としてのキャリアがとても長いんですよね。そこはかとなく漂う色気はもちろんのこと、『情熱大陸』ではチャーミングな姿も垣間見えて…。無敵です。A子:多面的な人って魅力的だよね。“え、こんな表情するの?”って、心掴まれて大変よ。あと、今年、話題になった作品といえば、映画『帰ってきた あぶない刑事』でしょ。タカ~!ユージ~!S子:舘ひろしさんも柴田恭兵さんも、ずーっとダンディでドキッとします。Y子さんは子どもの頃からファンでしたよね?Y子:最初は仲村トオルさんが好きで見始めたんだけど、登場人物や横浜の街並み、音楽、車、銃の撃ち方…、何から何までおしゃれで。これぞ大人!な世界観すべてが好きになって。でも、タカとユージの魅力に目覚めたのは大人になってから。ダンディな見た目、刑事に見えないスーツ、軽薄そうなのに女性に優しい。というか、どんな人のことも尊敬しているところも最高なんだよね。S子:なるほど!今の時代に新作が作られるのも納得です。Y子:特に、浅野温子さん演じる薫ちゃんとの関係性がよくて。二人が人として薫を尊重して、一緒にいるのを楽しんでいそうな感じが、“そうありたい”と思わせる関係性なんだよね。A子:ちなみに、タカとユージ、どちらが好きとかあるの?Y子:どちらも本当に素敵なんだけど、二人でいることで魅力が倍増している感じもあって面白いというか。ある意味、元祖バディなんだと思う!こんなにカッコいい大人のコンビは後にも先にも出てこないだろうしね。これからも新作はもちろん、アーカイブも繰り返し見ようと思ってる。S子:私のイチオシは、プラバースさん。『バーフバリ』でご存じの人も多いんじゃないかな?インド映画界が誇る超人気俳優です。バーフバリが治める国に住みたいくらい素敵な国王役だったのよ。A子:S子が『RRR』ファンなことは知っていたけど、他の作品も好きなんだね。S子:どちらもS・S・ラージャマウリ監督作品なんだけど、彼が描くヒーローが好きなのかもしれない。とにかくフィジカルが強くて、優しくて、人として正しいことを迷いなくやる、という。『あぶない刑事』の話で、Y子がタカ&ユージは女性を尊敬していると言っていたけど、ラージャマウリ監督作の主人公もそういうケースが多いから、安心して観られるのも嬉しい。ちなみに『バーフバリ』には、痴漢をした男が首を飛ばされるシーンがあるので、ぜひ。A子:インドの俳優さんって、演技はもちろん、アクションやダンスもできる、高いスキルの持ち主が多いイメージがあるな。S子:プラバースさんの新作『SALAAR/サラール』も、パワフルなアクションが満載だよ!ストイックな役者魂と見事な演技で魅了!鈴木亮平がとにかくカッコいい。役に対するストイックな姿勢が高い評価を受ける鈴木亮平さん。ドラマ『エルピス―希望、あるいは災い―』、映画『エゴイスト』『シティーハンター』と注目作が続き、人気を不動のものに!『シティーハンター』北条司の大ヒット同名漫画を実写化。鈴木さんが演じた冴羽獠は、完成度の高さで大きな話題となった。Netflix映画『シティーハンター』は独占配信中。『エゴイスト』編集者の浩輔はパーソナルトレーナーの龍太と出会い愛し合うように。しかし、そんな時間は長く続かず…。原作/高山真『エゴイスト』(小学館)監督・脚本/松永大司Blu‐ray(通常盤)¥4,950©2023 高山真・小学館/「エゴイスト」製作委員会『虎に翼』でも話題。大人の色気あふれる岡部たかしにファン急増中。NHK連続テレビ小説『ブギウギ』『虎に翼』など、数々の作品に出演。自身で立ち上げた演劇ユニット「切実」では演出も担当。放送中のドラマ『新宿野戦病院』(フジテレビ系)や、8/30公開の映画『マンガ家、堀マモル』に出演。シリーズ最新作も大ヒット中。やっぱり大好き!『あぶ刑事』コンビ。最強バディ、タカ&ユージが、映画『帰ってきた あぶない刑事』で復活。定年退職をして探偵となった二人のもとに、どちらかの娘かもしれない永峰彩夏が母親捜しを依頼しに来るが、殺人事件が発生し…。全国の映画館で公開中。たくましいフィジカルとワイルドさ。インド映画界の至宝・プラバースに夢中!2002年に『Eeswar』で映画デビュー。主人公を演じた『バーフバリ 伝説誕生』はインド映画として初めて全米映画興行収入ランキングトップ10入りを果たす。新作『SALAAR/サラール』が絶賛公開中。配給:ツイン※『anan』2024年7月24日号より。取材、文・重信 綾(by anan編集部)
2024年07月21日ドラマ『マウンテンドクター』で共演中の杉野遥亮さんと大森南朋さん。今年29歳になる杉野さんと、俳優として、そして大人の男として大先輩の大森さんが語る“大人”論とは?写真右・大森南朋さん、左・杉野遥亮さん――ドラマ『マウンテンドクター』で共演されている杉野遥亮さんと大森南朋さん。カメラの前に並んだ時、杉野さんが嬉しそうに大森さんに話しかけて、話が盛り上がっていましたね。杉野さんにとって大森さんはどんな存在ですか?杉野:大森さんとは大河ドラマに続いて2度目なんですが、一度ご一緒しているというのもあって、現場はより楽しいです。お芝居について相談させていただくと、僕とは全然違う観点で物事を見ていてちゃんと言葉にして伝えてくださるし、支えになっています。大森:大河では他にキャストが大勢いたというのもあって、じっくり話すことはあまりなかったもんね。――杉野さんは新人の山岳医で、大森さんは同じ病院のベテラン山岳医を演じていますが、今回はかなり密に関わっていくのではないでしょうか。杉野:はい、僕らふたりの関係性の変化はやはり見どころのひとつです。――大河での共演を経て、大森さんからご覧になって、杉野さんの成長みたいなものは感じていますか?大森:今回のお芝居は特に、僕らの中の細かい心情が関わってくるのですが、杉野くんはお芝居のことをすごく深く考えていると感じました。成長したというよりも、“大人だな”って思いました。まあ僕はまだ、大人になりきれていないところもありますが(笑)。杉野:僕も直情的なところがまだまだあるので、落ち着いていないです。大森:シャイ度が高いというか、シャイの出し方が可愛らしい、杉野くんは。杉野:人好きだけど、人嫌いみたいなところもあるんです。本当は人と関わるのがうまくなくて。――今号の特集が「大人の男」なんですが、大森さんが大人になったと自覚したのはいつごろでしょうか。大森:う~ん、45歳過ぎたぐらいじゃないですか?それも自分がどうというより、周りに若い役者やスタッフさんが増えていって、もう大人のポジションにならざるを得ないという感じで。それまではもうちょっとはしゃいでいてもいいと思ってたんですが、これはもうはしゃげないぞ、と。――なんとなく寂しい感じもします。大森:そうなんです、寂しいんですよ。だからたまに、信じられないぐらい先輩だらけの現場に呼ばれると、52歳にしてワクワクするんです。70歳超えた先輩たちがすごいカッコいい!って。杉野:それはどんな現場ですか?大森:北野(武)監督の現場とか。――なるほど。杉野さんは、大人の男と聞いて何をイメージしますか?杉野:あまりそういうことを意識していなくて、誰にでも、いくつになっても子供っぽいところと大人っぽいところがあるんじゃないかと思っています。大森:子供の頃、授業中に手を挙げられる子供だった?杉野:それが意外と積極的に手を挙げる子供でした。大森:そうなんだ。僕はすごい消極的だったので、こんなんじゃダメだと思い、それ以来ずっと、リハビリしながら生きている感じで。杉野:でも僕も、あまりにも落ち着きのない子供で、ある時自分中心で騒ぐことが迷惑なんだとわかってから、抑えようと意識している感じです。大森:そういう自分の不甲斐ないところを少しずつ正していかなきゃ…と思いながら生きていくんだよ。多分このままずっとね。でもいつかそれを、面白いと思えるようになるといいよね。杉野:大人っぽいといえば、子供の頃は甲子園に出ている高校球児たちがやけに大人に見えました。不思議です。大森:大人っぽく見えるよね。自分が40歳ぐらいになってやっと、彼らを見て、若いな~って思えてくるんだけど。『サザエさん』のカツオを見ている感じと同じかも。小さい頃からカツオがずっと年上で、ある時カツオと同級生になっても…「あれ、何の話?杉野:カツオの話ですね(笑)。――30代目前の杉野さんに向けて、今やっておくべきことなどありますか。大森:杉野くんはすでに役者としてたくさん経験していると思いますし、30代なんてどんどん脂が乗ってくるだろうから大丈夫。杉野:現場で大森さんのお芝居を拝見していると、経験値の違いとか大きな年輪みたいなものを痛感していますが、僕は、一生懸命生きてお芝居をすることを続けるしかないと思っています。大人になる…か。でも、そういえば20歳になる時は“大人になれるんだ”って思っていましたね。大森:ところが、20歳超えて歳を重ねていくうちに、まだ子供のままでいたいと思うものなんだよね(笑)。『マウンテンドクター』生まれ育った長野県松本市の総合病院に勤務することになった、整形外科医の宮本歩(杉野遥亮)。命じられたのは整形外科と山岳診療科の兼務。山で起きた病気やケガの対応に山岳外来での診療、土日には山小屋で泊まり込みの勤務も行うという。ある日、遭難事故が発生。ヘリで現場に向かった歩は、突然ある記憶が蘇り、呼吸が荒くなる。なぜ自分が山岳診療を?疑問を持つ歩の前に現れたのは、国際山岳医の江森岳人(大森南朋)だった…。出演/杉野遥亮、岡崎紗絵、宮澤エマ、向井康二、八嶋智人、檀れい、大森南朋ほか。毎週月曜22時からカンテレ・フジテレビ系にて放送中。おおもり・なお1972年2月19日生まれ、東京都出身。連続テレビ小説『ちむどんどん』、ドラマ『厨房のありす』、映画『Dr.コトー診療所』『法廷遊戯』『首』などに出演。ミュージシャンとしても活躍。ジャケット¥69,300パンツ¥39,600(共にtangenetmitsuruyoshiya@gmail.com)シャツ¥41,800(HEUGN/IDEAS TEL:03・6869・4279)その他はスタイリスト私物すぎの・ようすけ1995年9月18日生まれ、千葉県出身。主演を務めているドラマ『マウンテンドクター』(カンテレ・フジテレビ系)、『磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~』(WOWOW)が放送・配信中。ジャンプスーツ¥127,600Tシャツ¥39,600(共にマラン/イザベル マラン 青山店TEL:03・6427・3443)ローファー¥172,700(ピエール アルディ/ピエール アルディ 東京 TEL:03・6712・6809)その他はスタイリスト私物※『anan』2024年7月24日号より。写真・来家祐介(aosora)スタイリスト・伊藤省吾(sitor/杉野さん)橋本 敦(大森さん)ヘア&メイク・AZUMA(杉野さん)TAKAHASHI(STEREO Gno/大森さん)取材、文・若山あや撮影協力・スタジオバスティーユ(by anan編集部)
2024年07月21日幼い頃に自分と母を捨てた父・陽二が、久々に会うと認知症で別人のようになっていた。父の再婚相手の直美は行方不明で、息子の卓(たかし)は、残された手紙やメモからふたりの間に何があったのかを辿っていく。ヒューマンドラマにサスペンス的な要素も加えた映画『大いなる不在』。昨年から世界の映画祭で上映され話題を呼んでいるが、本作で父子を演じたのが森山未來さんと藤竜也さん。こぼれ落ちた記憶を辿るサスペンス・ヒューマンドラマ。写真右・藤竜也さん、左・森山未來さん藤竜也(以下、藤):撮影に入る前に森山さんが舞踏をされていらっしゃるのを拝見したんですけれど、大谷翔平さんみたいに何刀流もされているなんて素晴らしいですよね。隔世の感があります。そんな素晴らしい役者さんとお仕事ができて楽しいですね。森山未來(以下、森山):藤さんが今回の映画の現場のことを“居合”という言葉で表現されていたんです。映画は舞台のように一緒に時間を共有するということが撮影の日までほぼないですし、今回は監督にもその場で生まれるものを撮りたいという意図があったようで。藤さんと現場で言葉を多く交わすことはなかったですが、ある種、映画の現場だからこそのヒリヒリ感みたいなものを浴びさせてもらいました。藤:人間の感情ってとても複雑で、端的な言葉で表現できるものではないんですよね。私たちの職業って不思議で、ディスカッションしたりすればするほど言葉に縛られてしまうんです。でも、たとえば森山さんがちょっと視線を下げてぐっと上げる一瞬でも、小説で10ページや20ページ費やすようなものが表現できちゃったりする。それぞれが培ってきた経験を持ち寄って、役として対峙すれば、言葉はいらないんです。そういう意味で森山さんとは楽しく仕事ができましたね。――印象的なシーンについて伺うと、「陽二さんがそこにいるだけで、私はいませんでしたから」と藤さん。藤:陽二さんがたっくん(卓)と話している間、ふたりの成り行きを、上の方から見守っている感覚でした。森山:まさに現場はそんな空気感でした。しかも僕が対峙した陽二さんは記憶がかなり断片的で、次に何を言い出すかもわからないし、それが嘘か本当かもわからなくて。とにかく翻弄されていたというか、この人の話のどこまでが本当なのかずっと見定めようとしていた気がします。――映画は、掘り返されていく過去が断片的に挟み込まれて進んでゆく。森山:最初に脚本を読んだときには、卓という人がこの状況をどう認識して反応しているのかが掴みづらくて、監督の近浦(啓)さんとかなり話させてもらいました。脚本自体、近浦さん自身の経験に紐づいている部分があったので、実際に認知症のお父さんに会ったときのことや、父子の関係値、そういったことを話している監督自身の様子など、それらから少しずつヒントをもらって、役を積み上げていった感じです。藤:私自身も日々老いと向き合っているわけで、シンパシーを感じましたし、人生の末期に迷宮に入り込んでしまった人間というのをわりとすんなり掴むことができた気がします。妄想を話す場面も、陽二の中では実際に起きたことなわけですから、話しているうちに本当にボロボロ涙が出てきちゃったりして。森山:物理学者でロジックの世界の中で生きてきた陽二さんが、言葉や記憶を剥ぎ取られていく中で、コアにある他者への求めが剥き出しになっていく。そういう人間の根源的な部分を感じさせる作品ですよね。藤:怖いし感動もあるし、この映画を観終わった後の不思議な感覚を、ぜひ味わってほしいですね。『大いなる不在』森山未來と藤竜也が初共演を果たした注目作。トロント国際映画祭やサンフランシスコ国際映画祭など国外の映画祭でも高い評価を得ている。監督/近浦啓出演/森山未來、真木よう子、原日出子、藤竜也ほか全国公開中。©2023 クレイテプスふじ・たつや1941年生まれ、神奈川県出身。近年の主演作に、映画『それいけ!ゲートボールさくら組』『高野豆腐店の春』などがある。また、本作で、サン・セバスティアン国際映画祭コンペディション部門最優秀俳優賞を受賞。もりやま・みらい1984年生まれ、兵庫県出身。俳優として活動する傍ら、ダンサーとして国内外で公演をおこなうほか、神戸に設立したアーティスト・イン・レジデンス神戸の運営にも携わるなど多岐に活動。近作に映画『ほかげ』『i ai』など。ジャケット¥66,000ロングシャツ¥55,000(共にBED j.w. FORD/BIRTHLY CO.,LTD. TEL:03・6455・5095)※『anan』2024年7月24日号より。写真・兼下昌典スタイリスト・杉山まゆみヘア&メイク・須賀元子インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2024年07月19日1990~2020年代の間で10年ごとに区切って、テレビドラマを彩る魅力的な“大人の男”キャラを考察。実はトレンドや社会情勢などの時代背景によって、視聴者から求められる男性キャラクターは大きく変わってくることに注目。またそれを演じる俳優たちがなぜレジェンドとなるのかをドラマ考察を得意とするライターの木俣冬さんに分析していただきました。【’90s】輝かしいテレビスターの時代。’90sを代表する大人の男『古畑任三郎』の古畑任三郎(田村正和)一家団欒の中心にテレビがあり、家族みんなでテレビドラマを見ていた’90年代。「ドラマを彩る俳優たちは“圧倒的スター”で、一般人とは一線を画していました」と木俣冬さん。「特に’80~’90年代にかけて活躍したのは田村正和さん。ホームドラマが人気を博していたこの時代に、『パパはニュースキャスター』(’87年)や『カミさんの悪口』(’93年)などで父親役や夫役として圧倒的信頼を獲得。なおかつチャーミングな一面も目立っていました。そんな田村さんの当たり役となったのが、’94年からフジテレビで放送が始まった『古畑任三郎』シリーズ。脚本家の三谷幸喜さんが作り上げた、ダンディでコミカルな古畑任三郎のキャラクター像は、当時50代に入った田村さんが演じると、斬新かつ洒脱で、老若男女問わず人気に。“正統派の二枚目でありながら、喜劇もできる俳優”として名を馳せました」田村さんといえば、大正から昭和の時代にかけて一世を風靡した名優・阪東妻三郎さんを父に持つ。「まさに俳優界のサラブレッド。キラキラなスターオーラを放ち、俳優としての技術も高く、全てを兼ね備えた“圧倒的スター”だといえます。’90年代はのちに阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件が起きたり、’99年に地球は滅亡するという予言がもてはやされるようになるなど、不穏なムードが漂っていくのですが、田村さんはその直前、日本がまだ元気だった時代の、最後のスターかも。そしてテレビドラマ界も、新しく面白いことをやっていこうという活気に溢れていました」“庶民とは違う世界の特別な人”という認識の背景にはこんな理由も。「当時は、インターネットやSNSでプライベートを明かす時代ではなく、芸能界で活躍している人たちの私生活は謎に包まれていました。それもまた、特別感となっていたと思いますが、田村さんもミステリアスな魅力が光る人でした」’90s 大人の男の条件一般人とは一線を画す“圧倒的スター”。正統派の二枚目でありながら喜劇もできる実力派で、ミステリアスな一面も。【’00s】“愛され有能キャラ”の台頭。’00sを代表する大人の男『TRICK』の上田次郎(阿部 寛)“社会人になっても実家で親と同居する未婚者”という意味の“パラサイトシングル”という言葉が広まった’00年代は、インドア系の男性が増え始めた時代でもある。インターネット掲示板の書き込みをきっかけに『電車男』(’05年)が制作され、大ヒットに。「ドラマの主人公は頭がよくて仕事ができるのに、人には言えないコンプレックスを持っているなど、これまでにはなかったオタク系キャラクターが新鮮に映りました。ただカッコいいだけではなく、情けない部分、恥ずかしい一面を晒すことが愛される理由になっていた時代です。例えば、『TRICK』シリーズ(’00年~)の上田次郎は、有能な物理学者でありながら、臆病者でトリックに騙されやすく、オカルトに弱いという人物。それをあえて、ファッションモデル出身の阿部寛さんが演じるから面白かった。阿部さんはその後、『結婚できない男』シリーズ(’06年~)でも、高級マンションでおしゃれな一人暮らしをする建築家で、偏屈な独身男・桑野信介を演じて絶賛されました。また、福山雅治さんがドラマ『ガリレオ』シリーズ(’07年~)で演じた物理学者、湯川学も頭脳明晰、容姿端麗でモテるのに“変人ガリレオ”と呼ばれるほどの変わり者でした」’00年代が、’90年代の主人公のキャラクターと大きく異なる理由は、21世紀に入りインターネットがより普及したことにもあるよう。「ネットカルチャーが浸透し始め、漫画やアニメの人気が高まったり、ある分野のカルチャーに詳しい“オタク”が増え、モテの対象はヒーローよりも頭脳明晰な人になってきたのかもしれません。また、バブル崩壊後の名残を地味に引きずっていた’90年代後半を経て、ますます経済状況が悪くなっていった’00年代は、給料のいい専門職や、知識豊富な堅実派といった国民の憧れをドラマの主人公に具現化した作品が多かったともいえるのではないでしょうか」’ 00s 大人の男の条件いわゆる二枚目俳優が、容姿のカッコよさだけじゃない、情けない部分を見せたりできるのが、愛される理由。【’10s】勧善懲悪な正義漢がブームに。’10sを代表する大人の男『半沢直樹』の半沢直樹(堺 雅人)竹野内豊さんや西島秀俊さんなどのいわゆる“演技派”と肩を並べている堺雅人さん。代表作は『リーガル・ハイ』シリーズ(’12年~)や、もちろん『半沢直樹』シリーズ(’13年~)は外せない。視聴率を取るのが難しい“経済ドラマ”にもかかわらず、銀行員の主人公・半沢直樹のお決まりのセリフは、’13年の新語・流行語大賞にも選ばれ、社会現象を巻き起こしたほどのヒット作となった。「みなさんご存じの『倍返しだ!』を聞くと、アツいキャラクターにも取れるのですが、’00年代の主人公たちに比べるとさらに知的な人物像に描かれています。そもそも堺さんは、早稲田大学で文学を学び、共著で若山牧水にまつわる新書を出版するなど、文学青年の一面を持つ人。役作りのために並々ならぬ力を注いだエピソードをトーク番組で語るなど、もともと備わった才能やコツコツ積み重ねてきた実力が『リーガル・ハイ』や『半沢直樹』で発揮されたのでしょう。堅実なお芝居ができる俳優の代表といえます」この時代に“堅実さ”や“実直さ”がウケた背景には、’11年に発生した東日本大震災も関係している、と木俣さん。「謹慎ムードが漂い、経済が危ぶまれる中で日本社会はどうあるべきかを考えるような風潮になったことが、きっかけになっているでしょう。弱き者という立場の半沢直樹が、理屈を早口でまくし立てて次々に劣勢な状況をひっくり返していく様や、勧善懲悪の姿は、視聴者に爽快感を与えたはず。そして堺さんならではの説得力が、俳優としての信頼に繋がっていったのでしょう。’00年代同様、半沢直樹は国民の理想の人物であったかもしれません」一方で、そんな社会的風潮に疲れてきた視聴者が求める対象として、のちに中村倫也さん、松下洸平さんのような“ささやき声”を持つ“癒し系俳優”が活躍する時代へと繋がる、とも分析される。’10s 大人の男の条件実力を積み重ね、本来の才能とともに発揮。“堅実”な姿勢で説得力があり、国民が抱く理想像のような人であること。【’20s】“完璧じゃない”人柄に注目。’20sを代表する大人の男『光る君へ』の藤原道長(柄本 佑)不穏さが漂っていた時代から一転、’20年代に入ると、それまでの絶対的正義や堅実さは守りながらも、新たな魅力に注目が集まるようになってきたという。「何を考えているかわからないような雰囲気を持つ人。脇役で光るような、ちょっとふわっとしたお芝居ができる俳優にスポットが当たるように。例えば、柄本佑さんや長谷川博己さんなど。長谷川さんが主演を務めた『麒麟がくる』(’20年)の明智光秀や、『アンチヒーロー』(’24年)の明墨正樹はとても風変わりな人物でしたが、圧倒的な魅力を拡散する絶対的主人公。放送中の大河ドラマ『光る君へ』で藤原道長を演じて抜群の存在感を示している柄本さんも、ファン層を拡大しています。柄本さんは、高校在学中に映画『美しい夏キリシマ』(’03年)でデビューして、その後も多くの映画やテレビドラマに出続けている売れっ子ですが、ちょっとクセのある脇役を演じることも多かった人。そんな彼の個性的な魅力が一般的に光り始めたのは、『知らなくていいコト』(’20年)で主人公の真壁ケイト(吉高由里子)を全方向から守る尾高由一郎を演じたあたりから。個性派でありながら包容力があって、取り乱さずに、常に落ち着いている役の印象は本人ともリンクするのでしょう。これは、ハラスメント問題からむやみに怒ってはいけないとか、コンプライアンスを意識したこの時代の生き方や考え方にも、ちょうどマッチしているのかもしれません」どこかミステリアスな部分や、そこから滲み出る独特の色気は、年齢を重ねるごとに増しているようにも。「芸能一家のお家柄だということも含め、一周して、’90年代の田村正和さんに通じるところもあります。安藤サクラさんと結婚され、脈々と俳優一家の血筋を守っていく感じにも安定感があっていい。そして一見地味そうに見えても、絶対に埋没しない“華”がある。これは、今回取り上げた4人の共通点でもあります」’20s 大人の男の条件個性派でありながら包容力があって、常に落ち着いている人。ミステリアスな部分から放たれる独特な色気を持つ。きまた・ふゆライター。テレビドラマや映画のノベライズを数多く手掛ける。代表作は『コンフィデンスマンJP』(上・下・運勢編/扶桑社)、『どうする家康』(NHK出版)など。また、著書に『ネットと朝ドラ』(blueprint)などがある。Webメディア「CINEMAS+」で2015年から毎日朝ドラレビューを掲載している。※『anan』2024年7月24日号より。イラスト・タテノカズヒロ取材、文・若山あや(by anan編集部)
2024年07月19日ダジャレ交じりのスピード感のあるセリフ。単なる言葉遊びかと思いきや、いつしか言葉が、物語が、二重にも三重にも意味を持ち始め、観客の想像力を掻き立て、深い思考に誘い込む。今なお日本の演劇界の先頭を走り続ける野田秀樹さんの新作舞台『正三角関係』は、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』を入り口にした、とある場所、とある時代の花火師一家の物語。長澤まさみ「宝箱のような脚本で、演じるほど自分の課題が見えてくるのが楽しい」「野田さんワールド全開で、台本を読んでも読んでも追いつかず、何度読んでも気づきをもらえる、たくさんの人物や要素が詰め込まれた宝箱のような台本です。回想や別の物語が突然現れてきたり、計り知れない奥行きがあるんです。キャラクターも、稽古を重ねる中で思いもよらない設定や奥行きが見えてきて、なるほどと思うこともあって。演じれば演じるほど自分の課題が見えてくる感じも楽しいです」そう話す長澤まさみさんの言葉の端々からは、稽古を心から楽しんでいる様子が伝わってくる。「野田さんの舞台は、ただ役を演じるだけじゃないんですよね。仕掛けがたくさんあって、自分が舞台装置のひとつになった気持ちになるから、始まってしまったらもう前に進むしかない感じがして、それがすごく新鮮で。俳優でありながらスタッフでもあるような、みんなでその場で作り上げていく感覚が面白いです」カラマーゾフよろしく本作にも三兄弟が登場。長男に松本潤さん、次男に永山瑛太さん、そして長澤まさみさんはなんとふたりの弟である三男を演じるという。「松本さんはとても真面目な人。ずっと高いモチベーションのまま芸能界にいらっしゃる姿は、とても学ぶことが多いです。わからないことをそのままにせず、ちゃんと野田さんに疑問を投げかける姿を見ながら、本当に信頼できる人だなと思っています。永山さんは、お芝居をする上で、コミュニケーションをとってくださる方。日々稽古場で芝居が変わっていく中、毎日話し合いながら進めさせてもらっています」今回グルーシェニカという女性も演じるが「二役を演じる気持ちで取り組まないようにしている」そう。「素直に、その場の物語に順応していくことが一番大事だと思っています。いつも演じるときに大事にしているのは、物語のためにいる人になるということ。ご覧になる方には、私が一人二役であることよりも、作品自体を楽しんでもらいたいという気持ちが強いので」近年、舞台に出演する機会が増えているが、なんと三谷幸喜さんに勧められたことがきっかけだとか。「以前に共演した舞台をベースにされている俳優さんにも、『身長が高くて舞台映えする』と褒めてもらったこともあるんです。それについては自分でも自覚があったので、自分の長所を活かせたらと思っていたこともあり、でも何よりも、好きな人と一緒に仕事がしたいんですよね。だから今回、野田さんから話をいただいたとき、『やったー!』でしたから(笑)」NODA・MAP第27回公演『正三角関係』7月11日(木)~8月25日(日)池袋・東京芸術劇場 プレイハウス作・演出/野田秀樹出演/松本潤、長澤まさみ、永山瑛太、村岡希美、池谷のぶえ、小松和重、野田秀樹、竹中直人ほかNODA・MAP TEL:03・6802・6681(平日11:00~17:00)全公演当日券あり。詳細は公式HPにて。北九州・大阪・ロンドン公演あり。ながさわ・まさみ1987年6月3日生まれ、静岡県出身。最近の主な出演作に、ドラマ『エルピス―希望、あるいは災い―』、映画『四月になれば彼女は』など。9月13日には、三谷幸喜監督の主演映画『スオミの話をしよう』が公開に。ニットドレス¥159,500(GIA STUDIOS/THE WALL SHOWROOM TEL:050・3802・5577)ネックレス¥57,600ブレスレット¥375,200(共にTOM WOOD/TOM WOOD STORE AOYAMA TEL:03・6447・5528)シューズ¥181,500(J.M. WESTON/J.M. WESTON AOYAMA TEL:03・6805・1691)※『anan』2024年7月17日号より。写真・野呂知功(TRIVAL)スタイリスト・仙波レナヘア・ASASHI(ota office)メイク・笹本恭平(ilumini.)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2024年07月16日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、ファンであることをアピールする女性、「ユニフォームを着て会社に来る女」になりきり。好きなものをトレードマークにしてみよう!吉本興業の社員さんが、大谷翔平選手のユニフォームTシャツを着て現場に来たんです。長年働いていて、チャキチャキして、いつも活気に満ち溢れています。「今日は暑いわね、頑張っていきましょう!」みたいなテンションで現れたのですが、胸元に「Dodgers」という文字が見え、なんで?と思っていたら、背中には大きく「OHTANI」と書かれていて(笑)。球場やプライベートで着ている人は見たことがあったけれど、仕事に着てくる人は初めてだからびっくり!でも、ユニフォームTシャツというアイテムが、その人のキャラクターにめちゃくちゃ合っていて素敵だなと思いました。それに、これを着ていたら、ひとまずは話のネタに困らないですよね。「今日の大谷選手はどうでしたか?」と盛り上がれるし、実際に聞いてみたら「本当に頑張ってくれてるよ。私だって頑張んなくちゃ!」と明るく話していて、元気をもらえたんですよね。ユニフォームって、パワーみたいなものが伝わってくるアイテムなんだなと気づかされるいい機会に。大谷さんのパワーをもらって頑張る姿はとても健康的だし、現場が一気に明るくなっていました。ちなみにその人が、「肌寒くなってきた」と言ってカーディガンを羽織ったのですが、カーディガンから「OHTANI」の文字が透けて見えていて、それもなんだか面白くてよかったです(笑)。彼女のように好きなものをアピールできる人になるには、好きな食べ物をモチーフにしたアクセサリーや小物を持ち歩くなど、“この人といえばこれ”と思われるようなトレードマークを作ることから始めてみては。それをきっかけに、トークも盛り上がるはず。バンドTシャツなども、ライブ会場以外で着てみましょう。よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。バラエティ番組やCMで活躍中。2023年6月に第三子を出産。※『anan』2024年7月17日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2024年07月15日頭部が肥大して生まれてきた少年フクスケ。盲目の妻サカエと彼女に歪んだ愛情を抱くコオロギの夫婦。ある日行方不明になった妻マスを14年間捜し続ける夫ヒデイチ。歪な登場人物たちの運命が交じり合い、やがて暴走してゆく松尾スズキさんの『ふくすけ』は、世の中のタブーに踏み込み、人間のしたたかさやしぶとさの中に悲哀や切なさも感じる傑作。1991年に初演され、何度も再演されてきた舞台が12年ぶりに上演。そこで岸井ゆきのさんが、タイトルロールを演じる。ダークだけど笑いや爽快感があって、エンタメなのが松尾作品の魅力です。「松尾さんの演出する作品に出演できるのは嬉しいです。ただ、前回と前々回にフクスケを演じられていたのが阿部(サダヲ)さんで、年齢も性別も違う私が、阿部さんのようなエネルギーを出せるのか、プレッシャーを感じています」このキャスティングは松尾さんたっての希望だったそう。「なぜ私だったのかはまだ聞けていません。ただ、セリフの中に“中二病”という言葉が出てきますし、今回は、フクスケが14歳の少年であることをより強調したかったのかな、と。そこを拠りどころに、今は頑張っているところです」薬剤被害で身体障がい児に生まれたフクスケは、製薬会社の御曹司ミスミに長い間監禁されてきた。「人と違う体で生まれて変態の手で育てられて…。当初は世の中への恨みが強いのかと思っていたら、フクスケは自身が周りと違うことに誇りを感じていて、世界に抗って生まれてきた反逆児だと言うんです。演じていて面白いんですけど、松尾さんからいろんなセリフの言い方や動きを提案されるので、とにかく今はやってみているという感じで…」そう話しながらも楽しげな笑顔。「松尾さんって、私に役の感情のことを言ってくださるのは、私とふたりのときなんです。でも、動きだったり振り付けのことだったりは、稽古中のみなさんが一緒のところで面白いことをおっしゃる。瞬発的にやって生まれる化学反応みたいなものを見ていて、感情のことは後でひとりで考えられるようにということなんでしょうね。考える力と瞬発力とが同時に鍛えられている感じがして面白いです。あと、松尾さんの作品って、舞台美術の細やかさも転換の技術もすごいんです。いま稽古場に仮のセットを立てているんですが、そのセットを見て、おお~っとなりました(笑)」フクスケを演じてきた阿部さんは今回コオロギ役で出演。「稽古場で見ていても一番エネルギーを感じる」とは岸井さんの阿部さん評。「私は、今もまだ松尾さんの作品に出られることが嬉しくて興奮しちゃってる状態ですが、阿部さんや皆川(猿時)さんはドラえもんみたいなんです。阿部さんはポケットから次々違う武器を出すし、皆川さんはたくさん鞘を持っていて、いろんな出し方をしてくる。自分の四次元がいかに狭いかを感じます。でも、みなさんすごく楽しんでいますし、私も楽しまなきゃと思っています」世間ではタブー視されるものをあえて取り上げ、人間の歪さを露悪的なほどに容赦なく描き出す。そのシニカルな視点は、安っぽい同情やヒューマニズムなど寄せ付けず圧倒的パワーを持って迫ってくるが、それでいながらどこか切なさや人間賛歌を感じさせるのが本作の魅力だ。「すごくダークな題材にもかかわらず笑いや爽快感があって、エンタメに昇華してくれている感じがするんですよね。あと、登場人物それぞれに境遇や背景が濃く描かれています。フクスケに限らず、いろんな障がいや事情を抱えた人が出てきますが、みんな同じ世界にいるんだって感じていただけたら嬉しいです」COCOON PRODUCTION 2024『ふくすけ2024―歌舞伎町黙示録―』盲目の妻サカエ(黒木)に歪んだ愛情を抱くコオロギ(阿部)。彼が警備員として勤める病院に、薬剤被害で頭部が肥大して生まれ、長く監禁されて育ったフクスケ(岸井)が入院してきて――。7月9日(火)~8月4日(日)新宿・THEATERMILANO‐Za作・演出/松尾スズキ出演/阿部サダヲ、黒木華、荒川良々、岸井ゆきの、皆川猿時、松本穂香、伊勢志摩、猫背椿、宍戸美和公、内田慈、町田水城、河井克夫、菅原永二、オクイシュージ、松尾スズキ、秋山菜津子ほかS席1万2000円A席9500円Bunkamura TEL:03・3477・3244(10:00~18:00)京都、福岡公演あり。きしい・ゆきの1992年2月11日生まれ、神奈川県出身。最近の主な出演作に、ドラマ『大奥 Season2 幕末編』など。10月には出演映画『若き見知らぬ者たち』の公開も控える。ピアス¥66,000(himie TEL:03・5485・1277)※『anan』2024年7月10日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・藤井牧子ヘア&メイク・根本亜沙美インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2024年07月09日自然体のふんわりチャーミングなほほ笑みで見る者をやさしく包み込んでくれる上戸彩さん。いつもヘルシーな輝きに満ちた彼女にご自身にとっての“癒し”について聞いてみました。上戸彩~普遍の癒し力(パワー)昨年6月に第三子を出産。俳優、そして3児の母として、多忙な日々を送りながらも、至高の輝きを纏い続け、とびきりの笑顔で周りに癒しを与えてくれる上戸彩さん。そんな彼女のリフレッシュ方法とは…。「今は子供が最優先なので、自分だけの時間というのが本当になくて。以前は一人になれる唯一の時間がバスタイムでしたが、現状はそれも難しい。3番目の子供は家族に見てもらったとしても、2番目の子がお風呂に入ってきちゃう。『これが鳴ったら来てね』と、10分タイマーを渡しても、4分ぐらいで入ってきちゃうの(笑)。慌ただしい日々ですが、先日、仕事のスケジュールが空いて、奇跡的にオフの時間ができたんです。タイ古式マッサージで体を伸ばしてリフレッシュしてきました」昨年公開の映画『シャイロックの子供たち』では、日本アカデミー賞の優秀助演女優賞を受賞するなど、仕事も充実。「仕事で外に出ることが気分転換になっている」とのこと。「昔は、結婚したら仕事は辞めようと考えていたけど、続けていてよかったなーと(笑)。家では鏡を見る時間もなく自分はほったらかしですが、現場でメイクしてもらうと気分が上がるし、スタッフさんたちと話したりする時間も大事で。深く呼吸できてる感じがするんですよね」一人の時間が確保できたら何がしたい?の問いには、「映画を観に行きたい」と答える。「少し前に、友人が出ている舞台を観に行ったんですが、一人で舞台を鑑賞したのは初めての経験で。これまでの私はカフェすら一人で入れない人間だったんですが、一人で行ってみたらすごく集中できるし、とても贅沢な時間でした。だから次は映画館に一人で行ってみたいですね」心と体をヘルシーに保つためには、「言いたいことは溜め込まずに言うのも大事」と上戸さん。「仕事先でも家庭でも気になったらすぐに伝える。たとえ家族でも、言葉にしないと分かり合えないと思うんです。若い頃は言葉にしなくても分かり合える関係が理想だったけど、言葉にしないことで、自分の都合のいいように解釈してしまうこともあって。言わないことですれ違ったり、イライラしてしまうなら、ぶつかったほうがいい。それが私なりのストレスを溜めないコツですね」最近、ピラティスも始めたそうで、「まだ1回しか行けてないのですが、終わったあとは全身筋肉痛に(笑)。時間を作れたらまた行きたい」と隙間時間で心身をメンテナンス。それでも、一番の癒しは我が子の存在。「子供の無邪気な笑顔はただただ可愛くて(笑)、ポジティブなパワーをもらえるし、毎日頑張れるのは子供たちがいてくれるから。何にも代えがたい癒しですし、子供が喜ぶお仕事をいただけたときは気持ちが上がりますね。だから、映画『アンパンマン』のゲスト声優のお仕事が決まったときは本当に嬉しくて。子供たちも『ママやるの?すごーい!』と大喜びで、幸せです」そう柔らかなママの顔で話す上戸さんが挑戦したのは、劇場版最新作『それいけ!アンパンマンばいきんまんとえほんのルルン』のゲスト声優。“絵本の世界”の森に住む愛らしい妖精・ルルンの声を務めた。「声優のお仕事も何度かやらせてもらっているので、過去に演じたキャラクターの声とはかぶらないようにしたいという思いがあって。アフレコに入る際、『一番ラクな声で入れてください』と言ってもらったのですが、ルルンの可愛い見た目に合わせて高めのキーにしたほうがいいのかなとも思い、『2パターン録って、自分でも聞いてみたいです』とお願いして。両方やってみたら、『その中間で!』という話になり、途中で休憩に入ると、どのトーンだったか忘れてしまって、調整しながら演じるのが大変でした(笑)」今作ではアンパンマンとばいきんまんが力を合わせて絵本の世界を守る。あらすじが解禁されると、SNS上では「エモい!」との声が続出。「私も台本を読んで驚きましたし、自信がなくて、うじうじしちゃうルルンに、ばいきんまんが『俺もいつもダメダメなんだ』と自分のダメさを認めて励ます場面が大好きで。落ち込んでいる人を上から救ってあげるのも大事だけど、同じ目線に立ち、『一緒に頑張ろう』と共に立ち上がる、その励まし方が素敵だなーって。今回は、ばいきんまんのやさしさが見えるお話ですが、普段は悪さばかりしていて、いわば悪役キャラ。でも、アンパンマンをはじめ、みんながばいきんまんを受け入れて、否定しない。他者を尊重する現代にも合っている作品だと思います」大人にも刺さる教えや感動が詰まった作品だからこそ、多くの人を魅了し、長く愛され続けている。「私も幼少期はアンパンマンを見て育ちましたが、目が回る忙しさだった10代の頃にも見ていて、癒しをもらっていました。大人になると恥ずかしくて言えないような言葉が詰まっていて、忘れてしまった感情を気づかせてくれる。ピュアな気持ちになれるんですよね。そんな大好きな作品に出られるなんて本当に夢のよう。今作は子供たちを連れて映画館に観に行きたいと思っています」うえと・あや1985年9月14日生まれ、東京都出身。近年の出演作に映画『沈黙の艦隊』『シャイロックの子供たち』、ドラマ『となりのチカラ』『半沢直樹』など。ボイスキャストを務めた映画『それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン』が公開中。ドレス¥83,490(AKIRANAKA/Harumi showroom TEL:03・6433・5395)バラピアス各¥9,900リング¥50,600イヤーカフ¥15,400(以上e.m./e.m.青山店 TEL:03・6712・6797)※『anan』2024年7月10日号より。写真・三宮幹史(TRIVAL)スタイリスト・宮崎真純(likkle more)ヘア&メイク・中谷圭子(AVGVST)取材、文・関川直子(by anan編集部)
2024年07月07日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、印象に残ったことをちゃんと記憶する女性、「記憶と感情を遡る女」になりきり。相手の人柄に関する話を覚えておこう!元マネージャーさんの結婚式に呼ばれて行ったのですが、新郎の入場の時、新郎とお父様、お母様の3人が立っていました。さらに、「ここでお母様からのメッセージです」というアナウンスが流れ、司会の方によって、お母様と新郎のエピソードが披露されるという展開に。それも、「息子がお腹にいた時は…」と新郎が生まれる前のことから遡って話されるので、新郎とは初対面だしお人柄も一切知らないのに泣いてしまいました。母親の愛情がどんどん発表されていき、新郎がどれだけ大切に育てられてきて、今ここに立っているのかということが伝わり、会場は大きな感動に包まれました。それが終わったと思ったら、想像していた通り、次は新婦である元マネージャーさんの番に。今度は妊娠が発覚した時の喜びから語られ、一人の人生や子育ての歴史を思うとグッときて、また泣けて…。お母様たちが30年くらい前の話をこんなにも覚えているんだ、ということにも驚きでした。あとで元マネージャーさんに聞いてみたところ、この演出は式場のサプライズで、新郎新婦は知らなかったとか。素晴らしいなって思いました。記憶や感情を遡れる人になるためには、印象に残ったことや嬉しかったことをその都度書き留めて、記憶しておくようにする。特に、相手の人間性に関わるようなエピソードをしっかり記憶して、「あの人はこういう人で、こういうところがあって…」と、話せるようにしておくとよさそう。また、「妊娠がわかった時はどう思いましたか?」など質問を投げかけられた時に、ベストな答えが入っている引き出しを開けてパッと答えられるように心構えをしたり、誰かに質問をしてもらってトレーニングしておくと、いざという時に生かせそうです!よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。バラエティ番組やCMで活躍中。2023年6月に第三子を出産。※『anan』2024年7月10日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2024年07月07日鳥飼茜さんによる漫画『先生の白い嘘』は、親友の婚約者に関係を強要されながらも抗えない主人公・美鈴を軸に、男女間にある性の不平等を描いた問題作。本作の映画化で美鈴役のオファーを受けた奈緒さん。割り切って考えられないことが多く、演じるのが苦しかったです。「もともと私は、作品に込めたテーマについては、ご覧になった方がそれぞれに受け取ってくださればいいと思っているんです。でも今作に関しては、原作者の先生が伝えたいメッセージ…その想いを正しく伝える責任があると思いました。これはどの作品にも言えることですが、この映画で誰かが傷ついたり、辛い思いにならないようにと心から願ってはいて…。この作品を観ることを選んでくれた方々がどういった思いでご覧になるのかをちゃんと想像しながら、ちゃんと覚悟をもってやらないといけないなと思いました」地味でおとなしい高校教師の美鈴は、自分とは真逆な親友の美奈子(三吉彩花)の婚約者・早藤(風間俊介)を否定しながらも従属してしまう自分への嫌悪ゆえ、感情を殺して生きる複雑なキャラクター。役の理解を深めるため、性被害に関して書かれた多くの書籍にあたったそう。「世の中には美鈴のような思いをしている人が実際にいる。役を演じるうえで、どうしてもそこと向き合っていかなければいけなかったのですが、割り切った気持ちでは考えられないことが多くて…。知れば知るほど演じるのが苦しかったです」画面に映る美鈴の空虚な表情のリアルさは彼女の抱えた闇の深さを想像させ、こちらも苦しくなるほど。「こう見せたいとか、こういう感情で演じようということは正直考えていなくて。ただ、その場で湧き上がる感情みたいなものは、お芝居をしていたらどうしてもあるので、それを大切にしていました。4人の主要人物がいて、それぞれとの関係性が美鈴という人物を理解するうえですごく大きな部分。だから早藤くんや美奈子、そしてそこに現れた新妻くん(猪狩蒼弥)に対して自分の中で芽生えていく気持ち、初めて出合う感情を一個一個ちゃんと掬い取りたいと思っていました。そのうえで画面の中でどう見えてどう受け取られるかは、編集まで手がける監督さんやお客さんが決めてくださることですので、私は意識してないです」重苦しく辛い場面が多いが、救いもある。ひょんなことから美鈴は、新妻から心を寄せられるようになる。猪狩さん扮する新妻との純粋でまっすぐな恋は、美鈴の、そして観客にとっても癒しのような場面だ。「まさに新妻くんとの場面は、猪狩くんがまっすぐに現場にいてくださってこそ生まれたものでした。私自身は、まさかあんなに穏やかなものになるとは思ってもいなかったのでとても印象に残っています」センセーショナルではあるが、希望を与えてくれる作品でもある。「今は、性別の違いとか個性の違いについて考えたり主張もできる世の中になったと思うんです。この映画が、新しい視点や人との違いを、希望をもって受け入れるヒントになってくれたら嬉しいです」『先生の白い嘘』鳥飼茜の同名漫画を実写映画化。ひとりの女性が、自らの性に対する矛盾した感情や男女間の“性の格差”に向き合う姿を描く、人の根底にある醜さと美しさを映し出したヒューマンドラマ。R15。7月5日(金)公開。©2024「先生の白い嘘」製作委員会©鳥飼茜/講談社配給:松竹ODS事業室/イノベーション推進部なお1995年2月10日生まれ、福岡県出身。近作に主演ドラマ『春になったら』、舞台『Medicine メディスン』など。公開中の『陰陽師0』『告白 コンフェッション』のほか、9月には主演映画『傲慢と善良』が控える。シャツ¥93,500パンツ¥75,900(共にMSGM/アオイ TEL:03・3239・0341)イヤカフ¥374,000(oeau/Harumi Showroom TEL:03・6433・5395)※『anan』2024年7月3日号より。写真・内山めぐみスタイリスト・岡本純子ヘア&メイク・竹下あゆみインタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2024年07月01日大ヒットドラマ『梨泰院クラス』で敵役を演じ、世界中から注目を集めた韓国の人気俳優アン・ボヒョンさんがananに初登場!アジアNo.1とも称される鍛え上げられた肉体美の秘密と、飾らない素顔に迫ります。AHN BO HYUN(アン・ボヒョン)将来を嘱望されたボクシング選手から、モデルを経て俳優となったアン・ボヒョンさん。ドラマ『梨泰院クラス』の敵役チャン・グンウォンを演じたことで一躍注目された彼ですが、素顔はやさしく思慮深い好青年。憎まれ役として相手を殴るシーンを演じたものの、精神的には「自分が殴られるほうがむしろ気楽なのに…」と実は思い悩んでいたそう。「グンウォンの一連の行動は主人公セロイが立ち上がるきっかけになるので、とても大事なシーンばかりです。でも僕自身、人を殴ったり、頭に牛乳をかけたりするのはとてもできない性格。僕がグンウォンを演じることを心配する人も多かったんですよ。でも実際に放送が始まってみたら、僕個人ではなくグンウォンという人物にしか見えないと言ってもらえて、演じた甲斐がありました」今年、韓国で放送されたドラマ『財閥X刑事』では世間知らずのお坊ちゃま刑事チン・イスを好演。韓国での人気ぶりはすさまじく、シーズン2の制作も決定した。「イスも、僕とは何もかも正反対なキャラクター。普段の僕は物静かなんですが、イスは常にテンションが高くて、そんな彼を演じていて僕もいつもよりテンションが高くなりました。『生まれ変わってもよろしく』では人付き合いを避けるソハを演じながら僕も憂鬱気味になりましたし、『ユミの細胞たち』では監督から『本当に天然ボケな子に見えるね』と言われたことも」演じるたびに大きく印象が変わり、カメレオン俳優と称されることも多いボヒョンさん。「挑戦を続けることには困難もあるけれど、それ以上に面白いんです」とにっこり。「今でも自分の演技に迷うことは正直あるし、正解を見つけるために長い時間をかけることもあります。しかし、俳優としていろんな人物を演じるのは単純に楽しい。この楽しさがあるから、僕は俳優という仕事を続けていられるんだと思います。楽しさが、僕の演技の原動力です」高い演技力、そして分厚いだけでなく引き締まったボヒョンさんの肉体美に惹かれるファンは世界中に――。週3日以上のトレーニングでこの筋肉をキープしているそう。「僕は運動をサボるとすぐ肉がつくんですよ。しかも最近は痩せにくくなったと感じているので、最低でも週に3日は筋トレと有酸素運動をしています。有酸素運動は主に階段トレーニングと、ランニングマシンで傾斜をつけて走っています。野菜はあまり得意ではないんですが、食物繊維が摂れるのでしっかり食べて、あとはタンパク質と炭水化物。会食の席ではストレスにならない程度に食べますが、次の日に節制してコントロールしています。最近はボディメイクのためというより、体力づくりや健康に重点を置いたトレーニングを心がけています」徹底した自己管理にはストイックさを感じるが、ボヒョンさんいわく「三日坊主の運動法」なんだとか。「僕もそこまで筋トレが好きなわけではないんですよ。なので“週に3日だけはやろう”と心に決めています。3日運動したら次の日にはもうサボりたくなるから、その日はチートデーにして好きなものを食べて、翌日には食べた分だけ運動しなきゃ、というのを繰り返しているだけ。仕事から帰った後も、20分でもいいから家で体を動かしてからシャワーを浴びるようにしています。疲れている時に運動するのは大変だけど、次の日に“昨日も運動したから大丈夫”と思えるので、精神的にラクなんです。運動を続けているとそれだけで達成感もありますしね」最後に、“これからトレーニングを始めよう”と考えているanan読者にメッセージをお願いしました。「いつかは運動しよう、と思っている方も多いと思いますが、始めようと思った時がやるべき時。ためらわずに、怖がらずに、1日も早く、覚悟を決めて今すぐ始めましょう!」Ahn Bo Hyunアン・ボヒョン1988年5月16日生まれ、韓国・釜山広域市出身。『太陽の末裔』で注目され、『梨泰院クラス』で一躍人気に。『マイネーム:偽りと復讐』『軍検事ドーベルマン』など出演作多数。※『anan』2024年7月3日号より。写真・田形千紘スタイリスト・lee inwooヘア・cho chunilメイク・kim mijin取材、文・尹 秀姫(by anan編集部)
2024年07月01日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、設定を完ぺきに守り続ける女性、「世界観を壊さない女」になりきり。ツッコまれた時のかわし方も身につけよう。先日、警察署のイベントに参加した時のことです。警察署の女性とトークセッションをしている中で、「横澤さん、今日はゲストが来てくれていますよ」と言われたので見てみると、そこには、しんちゃんという名前の人形が。そして、「こんにちは!」としゃべり始めました。そう、一緒に話していた女性が腹話術を披露してくれたんです。実は、この女性とは別の警察署でのお仕事でお会いしたことがあったのですが、その時にはなかった演出が衝撃的でした。そして、最後にイベントの感想を聞かれたのですが、「こういうイベントで腹話術を見るのが初めてだったから楽しかったです。お上手でびっくりしました!」みたいに答えたところ、「腹話術ってなんのこと?」と言われ、あ、すみません!という気持ちに。その女性は、あくまで中の人はおらず、「しんちゃん」が話しているという世界観を守っているのに…と、めちゃくちゃ反省したし、ちゃんと貫けるのはすごいなと思いました。後で聞いてみると、今の警察署に赴任してきた時に人形を見つけ、「これで腹話術をやろう」と思い、練習したのだそう。それを聞いて、なんてすごいバイタリティの持ち主なんだろうかと感動したし、イベントでは、大人から子どもまで、めちゃくちゃウケていました。腹話術だけでなく、イベントのキャスティングやポスター作り、MCなどあらゆることを担当していて、思わず「本職はなんですか?」と聞きたくなるくらい活躍されていて。この方の話を聞きたい!と思わされました。彼女のようになるには、設定や世界観を絶対にキープするという強い意思で、努力をすることが大事。また、私のようなネタバレに触れられた時の上手なかわし方を見つけておくと、安心です!よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。バラエティ番組やCMで活躍中。2023年6月に第三子を出産。※『anan』2024年7月3日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2024年06月30日イントロが聞こえてきただけで、心がワクワク。そこから始まるのは、思わず一緒に踊りたくなるような、胸が高鳴るメロディとリズム。まだか、まだか…と期待が最高潮に達したところで、光り輝く和服に身を包んだお殿様が登場!日本で一番多幸感がある曲と言っても過言ではない「マツケンサンバII」。歌い踊るのは、ご存じ、松平健さん。昭和の時代、『暴れん坊将軍』という時代劇でスターになった松平さんが、今年なんと芸能活動50周年を迎えました。おめでとうございます!――弊誌は20~30代の女性に向けて作っている雑誌なのですが、その世代にも「マツケンサンバII」は大人気です。松平健さん(以下、松平):ねぇ、びっくりですよね。この曲を出した20年前もキャーッていう歓声をもらったのを覚えているんですが、最近もまだ黄色い歓声が起こるんですよ。コンサートをやると、若い世代の男性も結構来てくれて、みんなサンバで大喜びしてくれる。とにかく嬉しいですね。ただ、若い人はこの曲をいったいどう受け取っているのか、実はすごく気になっていて…。機会があればそのへんを若い人に聞いてみたいです。――もう少し上の世代にとって松平健さんといえば、時代劇『暴れん坊将軍』で将軍吉宗を演じているイメージが強いと思います。だからこそサンバで歌い踊る姿を見たとき、そんな時代劇のスターがなぜサンバ!?と驚いた人も多かったのでは。松平:私はもともとレビューやミュージカルが好きで、歌い踊るのも大好き。役者を目指して上京し、最初に劇団に入っていた頃は、日劇(日本劇場:かつて東京・有楽町に存在した劇場)という大きな劇場で、いわゆるショーにも出ていましたし、舞台をやるようになってからは、毎年ブロードウェイにミュージカルを観に行くくらい、好きなんですよ。――つまり時代劇もお好きだし、サンバも大好き。松平:おっしゃるとおり。でも確かにあの曲が世に出たときには、「将軍のイメージが吹っ飛んだ…」と言われたのを覚えています。――「マツケンサンバII」の曲が生まれた経緯を教えていただけますか?松平:私は長年、舞台をやっていまして、その構成が第一部が芝居で第二部が歌と踊りのショーなんです。そのショーのフィナーレ用に曲を作っていて、「松健音頭」から始まり、「まつけん小唄」「松健数え唄」ときまして、そのあとラテンがいいなと思って「マツケンマンボ」が生まれて。――松平さんが、「ラテンがいいな」とご提案されたんですか?松平:そう。いつも私が「マンボでどうですか?」とか「次はサンバでお願いします」とか、要望を出すんです。それで、「マツケンサンバI」を2~3年やったんですが、そろそろ新しいのを作らないと…となり、出来上がったのが「マツケンサンバII」。それが’94年です。最初の振り付けは日舞の先生だったので、全然今と違う感じでね。それで、’97年にアメリカ公演が決まり、劇団時代に日劇で共演していたマジー(真島茂樹さん)に新たに振り付けをお願いして、衣装もアメリカ向けにスパンコール生地の着物に替えて。――アメリカでの反応はどうでした?松平:なんかすごいウケてました。それで帰国後は、日本の舞台でもこのスタイルでやるようになったんですが、最初の頃、日本のお客さんは笑ってる人が多くてね。――それはいい笑いですか?松平:いや、冷ややかな笑い(笑)。でも徐々にいい笑顔に変わっていって、最終的には皆さんとても幸せな顔をされていました。――「マツケンサンバII」で歌い踊るのは、松平さんにとってはどんな楽しみや喜びが?松平:サンバは、観に来てくれたお客さんに楽しんでもらって、喜んでもらうためにやっているんです。芝居、ショー、そして最後にサンバで笑顔で帰っていただく。――松平さん自身の楽しみはどこにありますか?松平:その笑顔を見るのが、私の楽しみであり、喜びです。お客さんの喜ぶ顔を見るのが、一番の私のエネルギーなんですよ。レギュラードラマが終了、スケジュールが真っ白に…。――ものすごいサービス精神。そのお気持ちは、昔からですか?松平:いや、出演していたテレビの時代劇『暴れん坊将軍』が終わったときからですね。2002年にシリーズが終わって、2003年に最終回スペシャルが放送されて。そこでスケジュールが真っ白になっちゃったんです。「これで終わりです」って言われて正直大ショック。でも事務所も抱えているし、スタッフの生活もある。何かしなきゃいけない…。それで、ドラマや映画に比べて比較的すぐに公演できるコンサートなどに移行したんです。『暴れん坊』(編集部注:松平さんは『暴れん坊将軍』のことを『暴れん坊』とおっしゃいます)をやっているときは、将軍のイメージを壊してはいけないと思っていましたけれど、ドラマが終わった時点で意識を変えて、もう何でも挑戦しよう、と。――それで翌2004年にリリースされ、大ヒットした、と。松平:そうですね。ほんと、ありがたいことに。――その後も、2020年の大晦日に『絶対に笑ってはいけない』シリーズに出演されたことも、みんなの度肝を抜きました。松平:オファーをいただいて、いろいろ説明を聞くと、どうやら私はただ真面目に芝居をやっていればいいらしい、とのことだったので、出演を決めて。ただ、作り物の馬を出されて「これに乗って」と言われたときは、“これはさすがに…”と思ったんですが、“でも、まあいいか”みたいな感じで(笑)。――なぜ“まあいいか”とポジティブに転換できるんですか?松平:見ている方が喜んでくれるなら、いいじゃないですか。あと先ほども言ったように『暴れん坊』をやっていたときにはそういうことは一切していなかったのでね。5000人くらいしかいなかったYouTubeの登録者数が、あの番組に出たおかげで一気に6万人近くに増えたんです。結果的には出てよかったですよ。私自身もおもしろかったですし。――YouTubeではユニークな企画をやられてますよね。ブルブルマシンに乗りながら電話をしたり、いろんなアイテムをパターに見立ててゴルフをしたり…。松平:スタッフがおもしろい企画を考えてくれるんです。でも実は、YouTubeをやろうって言ったのは私なんですよ。――え、まさかの!松平:コロナ禍に入って、またスケジュールが真っ白になっちゃったんですよ。それでファンの人が寂しいっておっしゃったので、最初は後援会の留守番電話にファンの皆さん向けのメッセージを吹き込んでいたんです。でも皆さん物足りなくなったのか「動画が見たい」という声が増えて(笑)。それで、チャンネルを作ったんです。――最近は“マツケン”がマンガになったりもしていますが、それも松平さん提案ですか?松平:いや、あれは違います。若い方がいろいろ企画を持ってきてくださるんですよ。すごいよね、若い人たち(苦笑)。あのマンガ『マツケンクエスト~異世界召喚されたマツケン、サンバで魔王を成敗致す~』もそうですよ。私はもう、若い人が考えてくれるおもしろいことに乗っかってるだけです(笑)。――ご自身では、若い世代に何がウケてるのだと思いますか?松平:もはやマツケンは一つのキャラクターなのか…。あとはキラキラしてるところ…?いや、正直全然わからないです(笑)。7月6日より明治座にて『松平健芸能生活50周年記念公演』を上演予定。第一部は時代劇「暴れん坊将軍」、第二部は「マツケン大感謝祭~歌って踊って~オーレ!」。第一部の脚本と演出、第二部の構成と演出を担当するのは、細川徹氏。いったいどんな愉快な舞台になっているのか、乞うご期待!また松平さんの公式サイトで販売されているオリジナルグッズや、YouTubeチャンネルの「マツケンTube」も要注目です。まつだいら・けん1953年生まれ、愛知県出身。’76年に『人間の條件』でドラマ初主演。’78年に時代劇『暴れん坊将軍』の主役・徳川吉宗に抜擢され、時代劇スターに。以降ドラマ、映画、舞台で活躍。’94年に舞台公演のために作られた曲「マツケンサンバII」が、2004年に大ブレイク。祝祭感のある曲として愛されている。※『anan』2024年7月3日号より。写真・神藤 剛スタイリスト・梶原寛子ヘア&メイク・酒井さとみ(by anan編集部)
2024年06月29日文学作品から評伝、SFに家族劇、ナンセンスコメディと、幅広い作品を生み出し、いまや日本の演劇界を牽引するケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下、KERA)さん。犬山イヌコさんは、そのKERAさんと劇団・ナイロン100°Cの前身である劇団健康時代から現在まで、共に演劇活動を続けてきた。KERAさんの書く笑いは、稽古場で何回見ても面白いです。「KERAさんがやっていた有頂天というバンドで知り合ったんですが、当時、ライブの合間に寸劇みたいなものをやっていて、すごく面白かったんです。そこから劇団を立ち上げることになって、何もわからないまま始めた感じだったから、KERAさん自身も、こんなに続けるとは思ってなかったんじゃないかな」いまや劇団は結成30年以上に。「劇団健康の頃はナンセンスコメディをやっていたけれど、途中からKERAさんが、人間模様の説得力にどんどん厚みを持たせた作品を書くようになっていったんですよね。そこをしっかり描いたうえで、とんでもなくくだらないことをやったり、気持ちの悪いものをやったり、かと思えば大河ドラマのような重厚な作品をやってみたり。次々といろいろな作品を生み出していますけれど、いつまでもずっと面白いです」ただ、そんなKERAさんらしい会話の些細なズレや間が生み出すなんとも言えないおかしみも、それを理解して演じられる俳優がいてこそ。まさに劇団員がそんな存在だ。「KERAさんは当て書きされることが多いんですが、台本を読みながら、このセリフを誰が言うのか想像しながら読むと面白いんです。なのに、実際にその人が演じるのを見ると、こっちの『それそれ』っていうのを超えてくる気持ちの良さがある。笑いって何度も見るとだんだん飽きて面白くなくなるものですが、この役者のココっていうところにストンとセリフがハマった場面は、稽古場で何回見ていても面白いです」犬山さんは、そんな笑いの部分をこれまでも多く担ってきた人。それは、KERAさんの信頼の表れ。「大事なのは役として新鮮でいること。ナンセンスコメディの場合、そんなことないよって展開もたくさんあるけれど、作品の中の人にとって嘘がなければ成立するんです」49回目を数える今回の劇団公演は『江戸時代の思い出』。なんと初の時代劇になる…らしい。「まだ台本が最後まで上がっていなくて、現代も出てきたりします。しかもKERAさんは、時代劇には全く造詣が深くないと公言してまして(笑)、でもだからこそどんなものを書いてくれるのか楽しみです。いまや劇団員もいい歳になって、大河ドラマに出ているような人も多いんです。そんな錚々たるメンツが、たぶんとってもくだらない時代劇をやることになるわけで、そんなものなかなかないと思うので、観た方がいいんじゃないでしょうか(笑)」ナイロン100°C結成30周年記念公演 第二弾 ナイロン100°C 49th SESSION『江戸時代の思い出』6月22日(土)~7月21日(日)下北沢・本多劇場作・演出/ケラリーノ・サンドロヴィッチ出演/三宅弘城、みのすけ、犬山イヌコ、峯村リエ、大倉孝二、松永玲子、安澤千草、藤田秀世、喜安浩平、眼鏡太郎、猪俣三四郎、水野小論、伊与勢我無、木乃江祐希、池田成志、坂井真紀、奥菜恵、山西惇全席指定¥7,600ほかキューブ TEL:03・5485・2252(平日12:00~17:00)新潟、兵庫、北九州公演あり。いぬやま・いぬこ12月16日生まれ、東京都出身。俳優として活躍する一方、アニメ『ポケットモンスター』のニャース役や洋画の吹き替えなど声優としても活動。最近の出演作に、舞台『骨と軽蔑』、映画『PERFECT DAYS』など。※『anan』2024年6月26日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2024年06月26日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、自身の経験をもとに人を助ける女性、「チームを組んでくれる女」になりきり。自分がぶち当たった壁を隠さずに共有していこう。仲良くしているママ友が、悩みを相談した時に、「じゃあ、私が知っている情報を共有するね」と言って助けてくれるんです。彼女も子どもが3人いるなど状況も似ていることもあり、とても頼りになる存在。「こういう時、どうしてる?」と聞くと、自身の経験をもとに、子育てにおける壁の乗り越え方を教えてくれるので、本当に助かっていて。そして、「いろいろ教えてくれてありがとう」と伝えたところ、「いや、子育てはチーム戦だから。私が持っている情報は全部共有するね。だから、なっちゃんも共有してね。一緒に攻略していこう」と言ってくれたんです。私はこれまで、ママ友のことをチームだと思ったことはなかったけど、いろいろなアイデアをもらってきたし、同じことに立ち向かう同志なんだとハッとしました。そして、いいチームメイトに恵まれているなと、めちゃくちゃ嬉しい気持ちに。しかも、そのママ友は育児本を読んだり、子育てに関する講演会に行ったりと勉強熱心な人で、「〇〇っていう教授がこう言ってたよ」と説得力のある情報を教えてくれるし、さらに「実践したらこうなった」と結果まで伝えてくれる。彼女が素敵だと思うのは、私に教えてくれる時に、「なっちゃんに伝えることで私も復習ができるんだよね」と、こちらに気を遣わせない言葉を添えるところ。悩みを聞いて、理解してくれて、一緒に立ち向かってくれる存在がいることで、気持ちが楽になるし、問題解決にも近づける。本当に心強いです!誰かとチームを組む人になるためには、まず、自分がぶち当たった壁や大変だったこと、失敗談などを覚えておくことがポイントに。それを恥ずかしいからと隠したりせず素直に伝えて、悩んでいる人をサポートできるといいですよね。よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。バラエティ番組やCMで活躍中。2023年6月に第三子を出産。※『anan』2024年6月26日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2024年06月26日一昨年の1月、ひっそり深夜にスタートしたドラマ『おいハンサム!!』。個性的な娘たちの“あるあるな言動”や、超マイペースな母の優しさ、熱いからこそウザい、でもそこが魅力的な父親の格言に多くの人が共感。ファンが感激をもって迎えたシーズン2を経て、今回まさかの映画化!でも三姉妹を演じる木南晴夏さん、佐久間由衣さん、武田玲奈さんは映画化に戸惑いもあったようで…。三姉妹と同世代の女性なら、お父さんの格言、響くはず。左から佐久間由衣さん、木南晴夏さん、武田玲奈さん。木南晴夏さん(以下、木南):実はシーズン1の時点ですでに、監督から映画化の構想を聞いていたので驚きはなかったんです。ただ、この作品はいわゆる〈日常を描くホームドラマ〉なので、正直“映画でいったい何をやるの…?”という疑問はありました(笑)。佐久間由衣さん(以下、佐久間):私も、“深夜に密やかにやっていたドラマがスクリーンに?!”というドキドキはありました。また伊藤家のみんなと過ごせるのはすごく嬉しかったです。武田玲奈さん(以下、武田):ドラマの放送中、いろんな人から「見てるよ!」と本当にたくさん声をかけてもらったので、映画でまた新たな物語をお届けできることに喜びを感じました。――映画でも本当に素敵な三姉妹ですが、撮影現場での3人は、どんな感じなのでしょうか?木南:この現場、待ち時間が長いんですよ。特に食事のシーンとかは、普通に映画1本見られるくらい待ったりすることもあって(笑)。ちょっとした時間ならおしゃべりもしますが、長時間の場合は、おのおのマイペースに好きなことをしてますね。佐久間:本当に一軒家で撮影をしているので、リビングにいたり、個室にいたり。私は本を読んでいることが多かったです。武田:私もマンガを読んでいました。でもその“好き勝手に過ごせる”感じがすごく居心地が良くて…。佐久間:実家感、ありましたよね。木南:あった。寒い日は暖房がある部屋に、暑い日は涼がとれる部屋に集まるという。武田:私は実生活では一人っ子なので、この作品を通して“姉妹がいるってこんな感じかな…”とうっすらわかった気がします(笑)。――ハンサムな父・伊藤源太郎を演じた吉田鋼太郎さんは、現場ではどんな感じなのですか?木南:この作品の現場って台詞の変更が当日に大量に来たり、先ほど言ったようにとにかく長い待ち時間があったりなど、結構変わった現場なんです(笑)。でも鋼太郎さんはどしっと構えて、何が起きても動じない。しかも、みんなに声をかけて現場の士気を高めてくれたり…。佐久間:謎の待ち時間のときに、周りを気遣ってすごく声をかけてくれましたよね。あと、当日変更になった長台詞なのに、あっという間に覚えて完璧に言えてしまうのが本当にかっこよかった。思わず現場で拍手が起きました。武田:鋼太郎さんが長台詞を言うシーンで、キャストが多かったこともあり、結構何度も撮ることがありまして。そのときも毎回同じ熱量で私に向き合ってくださって、感動しましたし、勉強にもなりました。――お母さん役のMEGUMIさんに関してはどうですか?武田:とにかくいつもシャンとしていて佇まいが本当に素敵。木南:作品をプロデュースしたりカフェを経営したり、お芝居以外の仕事もたくさんされていて、その行動力、かっこいいですよね。佐久間:肌もすごくきれいですし。木南:そんなにいろいろやられてて、さらに美容にも時間をかけるって、いったいどういうタイムスケジュールで動いているのか、気になりますよね。佐久間:でも、シーズン1のときに言っていたのですが、“このお母さんはあんまり肌がピンとしていないほうがいいのかも”と。撮影のとき、あえてケアをしないようにしているのを見て、役に対する思いの強さに感動したのを覚えています。――今回は映画なので、ドラマを見ていない方々も劇場に足を運ぶ可能性があります。『おいハンサム!!』ワールド未経験な人たちに、どんな作品なのかと、映画の魅力を教えていただけますか?武田:ひとことで言うの、難しいですよね…(苦笑)。ただのホームドラマともコメディとも言い切れない。木南:基本的にはコメディなんだけど、静かなテンションの中でいろいろ起こる、珍しいコメディ。佐久間:この作品は、鍋に入った伊藤家という家族が煮込まれて、出汁が出て、そこにたまに家族じゃない人が加わって味わいが変わる、そんな作品だと思っています。武田:その煮込まれて出た出汁の中に、優しい気持ちになれるシーンや、美味しいごはん、人生の格言も出てくる。結構考えさせられる台詞があることも、この作品の魅力かも。木南:お父さん、結構いいこと言うんですよ。20~30代の女性だったら、娘として、また子供がいる場合は親として、どっちの立場でもグッとくると思います。佐久間:三姉妹を見て、“悩んだりもがいたりしているのは自分だけじゃないんだ”という気持ちになってくれたら嬉しいです。三姉妹みたいにたまにやさぐれたりするのも、全然悪くないと思いますよ(笑)。映画『おいハンサム!!』伊藤源太郎(吉田鋼太郎)と妻・千鶴(MEGUMI)の間には、実家から独立した由香(木南晴夏)・里香(佐久間由衣)・美香(武田玲奈)の三姉妹が。恋に仕事に邁進中の三姉妹の未来はいかに?監督・脚本/山口雅俊6月21日より全国公開。©2024映画「おいハンサム!!」製作委員会きなみ・はるか1985年生まれ、大阪府出身。主な映画出演作に『シャイロックの子供たち』『ゆとりですがなにか インターナショナル』など。7月よりドラマ『ビリオン×スクール』(フジテレビ系)に出演。ジャケット¥132,000(renoma PARIS/untlim TEL:03・5466・1662)ブラウス¥44,000(KEISUKEYOSHIDAinfo@keisukeyoshida.com)イヤリング¥155,100リング¥70,400(共にJOAQUIN BERAO TEL:03・6821・7772)さくま・ゆい1995年生まれ、神奈川県出身。主な映画出演作に『“隠れビッチ”やってました。』『君は永遠にそいつらより若い』『ちひろさん』『キングダム 運命の炎』など。リサイクルサテントップス 参考価格¥37,400(GANNIcustomerservice@ganni.com)たけだ・れな1997年生まれ、福島県出身。主な出演作に配信ドラマ『少女ピカレスク』、映画『真・鮫島事件』、『唄う六人の女』。ドラマ『あなたの恋人、強奪します。』(テレビ朝日系)に出演中。セーター¥55,000中に着たブラウス¥42,900(共にアミ/アミ パリス ジャパン TEL:03・3470・0505)イヤーカフ¥1,144,000人差し指のリング¥1,716,000中指のリング¥220,000ブレスレット¥539,000(以上メシカ/メシカジャパン TEL:03・5946・8299)※『anan』2024年6月26日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)スタイリスト・中井綾子(crepe/木南さん)柳田真樹(佐久間さん)小川未久(武田さん)ヘア&メイク・井手真紗子(木南さん)秋鹿裕子(W/佐久間さん)ken nagasaka(武田さん)(by anan編集部)
2024年06月20日人気加速中の台湾俳優で、その名をアジアへ轟かせている許光漢(シュー・グァンハン)さん。台湾で生まれ育ち、各地で撮影の経験がある彼が“とっておき”を伝えます!許光漢(シュー・グァンハン)台湾出身の俳優シュー・グァンハンさん。ドラマ『時をかける愛』でブレイクし、幅広い役柄で存在感を発揮。ハイブランドのアンバサダーにも抜擢されるなどアジアエンタメ好きの間ではすでに話題のスターだったが、5月に公開された清原果耶さんとのダブル主演映画『青春18×2 君へと続く道』で、日本での知名度が一気に加速。初恋のときめきや切なさに揺れる青年ジミーを好演し、一躍注目の人に。そんな人気急上昇中の彼が生まれ育った台湾とは?その魅力を聞いてみると…。「この映画でも語られていることですが、“人情”だと思います。台湾で何か困ったことがあったら、勇気を出して地元の人に話しかけてみてください。きっとみんな喜んで助けてくれると思いますよ。場合によってはどこかに遊びに連れていってくれたり、おいしいものを食べさせてくれたりすることもあるかもしれません。それほど台湾は、人情に溢れているんです」確かに、劇中で清原さん演じるバックパッカーのアミは、台南で財布を失くし、日本に帰れなくなってしまうが、地元のカラオケ店で住み込みのアルバイトをさせてもらうなど、ジミーをはじめ台南の人たちが何かと温かく手助けをしてくれる。これは“映画だから”というわけではなく、台湾を旅したことがある人なら、アミの経験をリアルに感じられるはず。「僕も、台湾を旅していて地元の人から親切にしてもらったことがあります。山間部や人里離れた郊外で、そこに住むおじさんやおばさんが、どこにおいしいお店があるとか、ここの特産品はこれだとか、いろんなことを教えてくれるんです。どうしてこれほど台湾の人たちは、人情に厚いのかというと…。もしかしたら温暖な気候が関係しているのかも?寒い場所だとそもそも出歩く人が、台湾ほど多くないでしょうからね(笑)」一見クールな雰囲気のシューさんだが、話している様子はいたってフランク。台湾の穏やかな空気感をそのまま纏っているような印象だ。そんなシューさんから、今後、台湾を旅したいと思っている人へ、おすすめの場所があるという。「ぜひ行ってもらいたいのが、台南です。『青春18×2 君へと続く道』のロケ地でもありますが、僕は仕事で台南に何度も長期滞在をしたことがあって、そのたびに人がとても親切で、ごはんがおいしいと実感します。それに何より、台南独自の文化は台湾の人だけでなく、外国からの旅行者にもおもしろく感じられるはず。旅をしていて、すごく楽しい場所です」台南は、台湾のかつての首都。数百年前に建てられた建造物が数多く残るなど、古都の面影を今に伝える台湾屈指の観光名所でもある。また、様々なローカルフードが楽しめる、美食の街としても知られている。「僕が好きなのは、牛肉入りスープの『牛肉湯(ニュウロウタン)』。その場で作ってくれるお店が多くて、出来たてが最高なんです」というコメントとともに「めっちゃおいしいです!」と日本語で強調。今作にはジミーが日本語を話すシーンがあり、その練習のために覚えた日本語をインタビューでも時折交えてくるところがチャーミング。「あとは、甘味のある混ぜご飯にエビがのった『蝦仁飯(シャーレンファン)』ですかね。スイーツなら『白糖※(米へん+果)(ベーダングィ)』がおすすめです。もち米をのばして作った生地にゴマ粉などを塗って食べるのですが、日本のお餅に似ています」白糖※(米へん+果)は『時をかける愛』に登場し、注目されたスイーツでもある。最後に、シューさんイチオシの台湾カルチャーについて尋ねてみると、日本でも人気の台湾のバンド「落日飛車(Sunset Rollercoaster)」の名前を挙げるとともに、彼らとの親交についても教えてくれた。「落日飛車は、国際的に活躍するバンドであり、仲のいい友人でもあります。ライブにはよく行っていて、昨年は日本のサマーソニックに出演したので、それも観に行きましたよ。とてもいい音楽なので、ぜひ聴いてみてもらいたいですね」Hsu KuangHanシュー・グァンハン1990年10月31日生まれ、台湾出身。俳優として活躍中。’19年、ドラマ『時をかける愛』でブレイク。ほかに出演作は映画『ひとつの太陽』(’19)、『僕と幽霊が家族になった件』(’23)など。’23年、宮崎駿監督の映画『君たちはどう生きるか』で、青サギ役の吹き替えを務める。プルオーバー¥50,600パンツ¥48,400(共にイレニサ/ドウシ TEL:03・6427・6954)ブレスレット¥13,200(リトルビッグ TEL:03・6327・4378)『青春18×2 君へと続く道』監督・脚本は、映画『余命10年』でメガホンをとった藤井道人さん。物語は36歳のジミー(シュー・グァンハン)が、18歳の時に恋をした日本人女性アミ(清原果耶)と過ごした日々に思いを巡らせることから動き出す。台湾と日本を舞台とした切なくも美しいラブストーリーは、公開直後から評判となり、アジアで観客動員250万人を突破。現在全国公開中。©2024「青春 18×2」Film Partners配給:ハピネットファントム・スタジオ※『anan』2024年6月19日号より。写真・森山将人(TRIVAL)スタイリスト・藤長祥平ヘア・Edmund Lin(Zoomhairstyling)メイク・Kao Hsiu Wen(prettycool)取材、文・保手濱奈美協力・沢井メグ撮影協力・AWABEESBACKGROUNDS FACTORY(by anan編集部)
2024年06月19日「実は今年に入って台湾を訪れるのはこれでもう3回目。プライベートでも大好きな場所で『anan』のカバーまで飾れて、すごくうれしいです。おいしいものをたくさん食べたり、気になっていたお店でショッピングしたり、ロケで訪れたとは思えないくらいリラックスして、1泊2日の台北の旅を思いっきり楽しむことができました」。顔をほころばせながらそう語ってくれた内田理央さん。そんな彼女が初めて台湾の地を踏んだのは、今から10年くらい前のこと。「最初はたしか雑誌のお仕事で来たんですけど、とにかく現地で口にするものすべてがおいしくて、感動しました。もともと小籠包が大好きなんですが、初めて本場の味に遭遇したときの衝撃はかなりのもの。『ジューシーで軽くて、無限に食べられちゃう!』って思いました。今回のロケでも行った『京鼎樓』さんは、ほぼ毎回足を運んでいる気がします。何回食べても飽きるどころかどんどん好きになっていくから不思議。それと私、東洋医学が大好きなんです。家にも足つぼグッズがたくさんあるんですけど、台湾はその本場の一つ。滞在中、足つぼマッサージに通うのも毎回、お楽しみの一つです。次の日の行程を全力で楽しみたいから、その日の疲れはその日のうちに取っておくのがモットー。夜ごはんの後、ホテルに帰る前に近くにあるお店を調べてふらっとドアを叩きます」可愛いカフェやヘルシーなおやつなど乙女心をくすぐるエッセンスも、内田さんが台湾を推すポイント。「次々とフォトジェニックなお店やセレクトが気になるお店が増えていて、行きたいところだらけ。マップアプリも“次はここに行こう”っていうブックマークでいっぱいです。スイーツは王道だけどパイナップルケーキが大好きで、いろいろ食べ比べた結果、『手天品社區食坊』さんが私の中で一等賞。ヘルシーな食材にこだわって一つ一つ手作りされているからこその素朴な味わいがたまらないんです。クラフト感のあるお店の雰囲気も可愛くて、私のタイプです」いい意味でゆるっとした空気が流れているのも、台湾の魅力。「この街は、そこにいる人がみんな温かい雰囲気を纏っている印象があるんですよね。街角でちょっと道に迷っていたらすぐに声をかけて親切に教えてくれたり、そういうちょっとした瞬間、心がほっこりします。それから私、旅先でローカル感を楽しむのが好きなんです。南国では特にナイトマーケットで売ってる雑貨やお洋服を身につけたりすることが多いんですけど、今回も最終日、すべての撮影が終わった後でロケ中に買ったTシャツに着替えました。日本にいるときと違ったキメキメじゃないファッションを楽しむこともすごくオフ感に繋がるんです」街の至る所に遊び心を感じるポップカルチャーが溢れているのも内田さんのハートを捉えた様子。「『PAR STORE』とか『純愛小吃部』みたいに“好きでやってるんだから、いいじゃん!”みたいな自由な発想でクリエイティブされている空間にいると、それだけでキュンとします。私もあんなふうにもっと心を解放して生きていけたら、人生がもっと楽しいかもしれないとか、新しい“気付き”をもらえるのも、台湾の好きなところ。いつでもリフレッシュできるし、それと同時に元気にもなれるんです。海外なのにフライト時間が短くて、アクセスもいいから、思い立ったときにすぐ遊びに行けるのもいいですよね。またすぐ来られるといいな」今回のロケは、早朝便で羽田を出発して深夜便で台湾から帰国。これなら短期間の滞在でもたっぷり遊べてコスパもアップ。みなさんも次の休日、台湾に出かけてみませんか?Rio’s台北日記何度もリピートしている愛すべきお店と気になっていたNEOスポットを全部詰め込んで。リピートしまくりの絶品パイナップルケーキ。手天品社區食坊(ショウティェンピンシァチュシーファン)“手作り・天然・品質”にこだわり、100%自然な食材を使ったお菓子やパンを販売。「優しい味わいのパイナップルケーキが大好きで必ず立ち寄ります」。台北市大安區潮州街188‐1號TEL:02・2343・58749:00~20:00(金曜~21:00、土曜~18:00)日曜休カード不可、日本語可(時間による)。行くたびに新しい発見が。時間を忘れてショッピング。PAR STORE(パーストア)日本のカルチャーを愛するオーナーによる個性豊かなセレクトショップ。「本や雑貨、お洋服、LPまで遊び心のあるアイテムがいっぱい。パロディTシャツとステッカーをゲットしました」。台北市大同區赤峰街3巷1號B1TEL:非公開14:00~20:00(金~日曜21:00)無休カード可、日本語可。ゆっくりと流れる贅沢な時間も一緒に楽しみたい。Liquide Ambre 琥泊(リキッド アンバー フーポォ)ハイセンスな隠れ家ティーサロン。「オーナーが厳選した茶器で入れてくださるお茶がうっとりするほどおいしい。おみやげの商品のパッケージもおしゃれ」。台北市大安區樂利路72巷15號2樓TEL:02・2736・728712:00~19:00月曜休カード可、日本語メニューなし、日本語少し。台湾ならではの熱気溢れる夜市に夢中!士林夜市(シーリンイェシー)台北最大の夜市は、毎日がお祭りムード。「ここで売ってる胡椒餅がクセになるおいしさで今回も迷わず購入。一瞬で完食しました。お買い物はもちろん、縁日みたいなゲームも楽しい」。台北市士林區大東路、基河路周辺TEL:なし15:00~24:00ごろ無休(店舗による)カード不可、日本語不可。行列必至の人気店で疲れた胃に優しい朝ごはんを。世紀豆漿大王(シージードウジィァンダーワン)台湾朝食の代名詞、豆漿(豆乳)店の老舗。「豆漿に揚げパンを浸して食べるのが好き。“原味蛋餅”という甘辛のタレで食べる薄皮の卵焼きはもはやおやつ感覚」。台北市大同區萬全街16號TEL:02・2557・79665:00~11:00第2・4木曜休カード不可、日本語メニューあり、日本語不可。チャレンジしたくなる、変わり種も盛りだくさん。京鼎樓(ジンディンロウ)コラーゲンたっぷりのスープ×ジューシーな豚肉の小籠包が看板メニュー。「トリュフや烏龍茶の小籠包も絶品。炒飯や炒め物もおいしくて無限に食べられます」。台北市長春路47號TEL:02・2523・663911:00~14:30、17:00~22:00第1・3月曜休カード可、日本語メニューあり、日本語可。思わず写真を撮りたくなる!映える’80 s インテリア&メニュー。純愛小吃部(チュンアイシャオチーブー)ネオンに染まった店内に、セクシーなポスターがズラリ。「レトロなムードにときめき。魯肉飯やお刺し身などお酒が進むメニューが多彩」。台北市中正區汀州路三段104巷9號 TEL:02・2367・500517:30~24:00(金・土曜~翌2:00)無休カード可、日本語メニューなし、日本語不可。すご腕マッサージ師の施術で街歩きの疲れを癒す。潮澤養生会館 マッサージ ノア(チャオザァヤンシォンフゥェイグァン)マッサージから台湾式シャンプーまでコースの種類が豊富。「施術中に出してくれるごぼう茶で心もほっこり。清潔感の高さもうれしい」。内田さんが受けたコースは60分で1200元。台北市中山區長春路20號TEL:02・2568・163611:00~翌2:00無休カード可、日本語メニューあり、日本語可。うちだ・りお1991年9月27日生まれ、東京都出身。俳優、モデルなど、多岐にわたり活躍。現在、ドラマ『ダブルチート 偽りの警官』(テレビ東京×WOWOW共同制作)に出演。「tigerair taiwan」のアンバサダーを務める。ワンピース 参考価格¥25,300(ガニーcustomerservice@ganni.com)バッグ 参考商品(スリョ/フィルグ ショールーム TEL:03・5357・8711)サンダル¥9,680(ウーフォス/アルコ インターナショナル TEL:06・6563・7346)その他はスタイリスト私物キャミソールワンピース¥27,500パンツ¥27,500(共にフィーニー TEL:03・6407・8503)ピアス¥15,400ブレスレット¥17,050(共にサンドラアレクサンドラ/レイ ビームス 新宿 TEL:03・5368・2191)サンダル¥3,960(トロープ TEL:03・6450・7454)トップスはスタイリスト私物Tシャツ¥3,850(大浪漫商店info@bigromanticrecords.com)サンダル¥3,960(トロープ TEL:03・6450・7454)その他はスタイリスト私物フリンジトップス¥29,700Tシャツ¥15,400(共にババコ/ショールームリンクス)パンツ¥37,400(シモーネ ワイルド/フィルグ ショールーム TEL:03・5357・8771)ピアス¥20,900(アデル ビジュー×アールビーエス/レイ ビームス 新宿 TEL:03・5368・2191)※『anan』2024年6月19日号より。写真・東 京祐スタイリスト・榊原優佳ヘア&メイク・北原 果(KiKi inc.)取材、文・石橋里奈コーディネーター・田中左千子(TOP TAIWAN)(by anan編集部)
2024年06月16日東京で働く商社マンのヒデキがモンタナの牧場を訪れ、カウボーイや異文化に触れながら、人生を見つめ直していく映画『東京カウボーイ』。井浦新さんが心温まる再生物語でアメリカ映画デビュー。「ヒデキは日常に一生懸命で、目の前のことにしか目が向かなくなっています。特別個性的でもなく、誰しもがなり得るキャラクターが、信じていたものの外側に広がる世界を知り、新しい生きがいを見つけていく。そんな普遍的な物語なので、世界中の人に共感や希望を持ってもらえるんじゃないかと思います」そう話す主演の井浦新さんが演じるヒデキには、上司で7年付き合っているケイコ(藤谷文子)がいる。モンタナへの出張は、停滞する二人の関係を見つめ直すきっかけに。「おそらくヒデキはいい大学を出て、いい会社に就職して勝ち続けてきたタイプ。それまでのすべてが通じず、初めて負けたのがモンタナという場所だったんです。東京でのヒデキはケイコと会話はしているんだけど、彼女の顔を見てはいません。でも、モンタナで負けを受け入れられた時に、ケイコという存在を大切に感じられて、ちゃんと向き合い“ありがとう”“ごめんなさい”を伝えられる人にならないと、二人で歩んでいけないと気づけたんじゃないかな」温かな再生の物語である本作には「派手なカーアクションもCGもない」。しかし、舞台のモンタナの自然はため息が出るほど広大で美しい。「車で何時間走ってもロッキー山脈が続いて頭がバグりました(笑)。見慣れてくると話すペースも景色を見つめる眼差しも変わり、心の画角が広角になっていくのを感じました」慣れない英語のセリフには、発音で苦心したよう。「セリフに牧場を表す“ranch”が何度も出てくるんですが、『昼ごはん(lunch)じゃないよ』ってよく言われました(笑)。ただ、ヒデキは英語が得意なわけではないから、英語と日本語を交ぜて話してみたら監督が面白がってくれて。でも、流暢に話せなくてもいいというのは、自分自身への言い訳でもあったなと。これはあくまでアメリカ映画。英語で伝わらなければダメなんだと考えを改めました」もともとは海外作品に積極的に出たいわけではなかったという井浦さんが、参加を決めた理由は。「日本で出合った作品で、その瞬間ごと自分の最高を更新していけるように役に向き合っていると、海外の映画祭に立ち会えるというご褒美のようなことがたまに起こるんです。映画は国や言葉の違いを超え、どこまでも飛んでいけることを実感してきましたし、この作品に関しても、僕の出演作を見てくれていた監督やプロデューサーとのご縁でした。最初の話し合いでは『新の芝居を見ているとそこにいた人にしか見えなくなる』とまで言ってもらえて。僕は、俳優としての生みの親である是枝裕和監督からは『表面的な芝居なんかしなくていい』、育ての親である若松孝二監督からは『下手な芝居をするくらいならお前の心を見せてくれ』と、演出スタイルの異なる監督から同じようなことを言われてきました。自分の礎となった演技スタイルが通じず苦々しい想いをしたこともあるから芝居が上手くなりたい気持ちが、なりたくない気持ちと同じようにあるといった話をしました」アメリカ映画の現場で受けた刺激を日本で活かしたいとも話す。「英語圏の俳優さんは、その場で積極的に意見を出します。気持ちが乗らない自分自身に対して怒り始めることも。すると、そのシーンが成立するにはどうすればいいか、全員がおのずと考えるんです。これまでの僕はそういう姿を見せないようにしてきたけど、感じたまま伝えることは何もマイナスじゃない。先輩後輩関係なく、相手への敬意や感動も、その場で感じたことを率先して伝えられる俳優になりたいです」映画『東京カウボーイ』勤務する商社が所有する牧場を立て直すために、ヒデキは畜産業の専門家のワダ(國村隼)と共にアメリカへ。脚本は『忍びの家 House of Ninjas』のデイヴ・ボイルと、日米に拠点を置く藤谷文子の共作。公開中。いうら・あらた1974年9月15日生まれ、東京都出身。映画『ワンダフルライフ』に初主演以降、数々の作品に出演。ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』(カンテレ/フジテレビ)が放送中。待機作に映画『ラストマイル』。ジャケット¥35,200パンツ¥23,100(共にニードルズ/ネペンテス TEL:03・3400・7227)その他はスタイリスト私物※『anan』2024年6月19日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)スタイリスト・上野健太郎ヘア&メイク・山口恵理子インタビュー、文・小泉咲子(by anan編集部)
2024年06月15日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、相手の心に届く言葉をかける女性、「褒め方を褒める女」になりきり。相手が喜ぶツボを見極め、心から褒めてみよう!テレビCMで見た、公文の体験学習に長女が行くことに。当日、先生と一緒にいろいろな問題に取り組んでいる姿を見て、私と夫は、「え、すごい。できるじゃん!」と、めちゃくちゃ褒めまくっていたんです。すると、先生に「お父さんとお母さんの褒め方でしたらバッチリです!」「ちゃんと褒めてもらって、楽しいと思えることが大事なんです」と言ってもらい、すごく嬉しい気持ちになりました。同時に、褒め方を褒めてくれる人がいるんだ!と、先生の“神の上にいる神”みたいな視点に驚いたし、褒め方にも良し悪しがあって、ただ褒めればいいわけじゃないんだな、ということにも気づかされました。これまでの自分の褒め方を振り返ってみると、たとえば保育園に娘を迎えに行って、「お母さん、ブロック見て!」と言われた時に、「すごいすごい。ほら、行くよ!」と早く終わらせようとしていたなと。先生からも、「“すごい”が乾きすぎですよ」と言われました(笑)。以前、ママ友が「親の褒めに敵うものはない、一番子どもにいい効果がある」と教えてくれたこともあり、しっかり心に届くような褒め方をしたいと思うようになりました。褒め方を褒められるようになるようには、まず、人が誰かを褒めることに敏感になること。そのなかで、素敵な褒め方をしてるなと思ったら、「すごいね!」のようにポジティブな言葉をかけてあげるといいのではないでしょうか。たとえば、先日、保育園に子どもを迎えに行った時、先生が子どもに片付けをさせようと「お母さんに片付けられるところを見せてあげよう」と伝えていて。結果的に早く片付けが終わったし、私からも褒められるという、見事な言葉選びに感動しました。次からは声をかけたいなと思います!よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。バラエティ番組やCMで活躍中。2023年6月に第三子を出産。※『anan』2024年6月19号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2024年06月14日事故で両親を失った4兄弟が支え合いながら生きる日常を描くドラマ『柚木さんちの四兄弟。』で、親代わりとして一家を支える長男の隼を演じる藤原大祐さん。年の離れた弟たちやご近所さんの温かい触れ合いに、ほっこり癒されるホームドラマとなっている。藤原大祐――若手俳優の登竜門ともいわれているNHK夜ドラ枠で、ドラマ初主演ですね。主演は役に入っていられる時間が長くて、それはすごく贅沢なことだと実感しています。ただ、座長としてどんと構えられるほどの経験も実力も僕にはまだないので、現場では3人のお兄ちゃんとしていることだけを意識しています。――これまでの出演作に、ロールモデルになるような主演の方はいましたか?直近だと『リビングの松永さん』の中島健人くん。みんなを引っ張っていく座長らしいところもあれば、お茶目に現場を明るくしてくれて。そのバランス感覚がすごく素敵だと思いました。――これまで学園ドラマで生徒役を演じることが多かったですが、このドラマでは教師役です。最初は、生徒役と教師役とのギャップに戸惑いもあったんですけど、このドラマで大事なのは、4兄弟の関係性であったり、何でも一生懸命取り組む隼の愛おしさだと思うので、教師という設定に囚われず取り組んでいます。――年下に囲まれてのお芝居はいかがですか?弟たちに気づかされることが多いですね。ごはんを口いっぱいに入れちゃって台詞が言えなくなっちゃったり(笑)、暑い日のロケでアイスを食べると急に元気になったり、すごく自然体なんですよ。今まではキャラクターの設定を強く意識して演じてたんですけど、今回はありのまま演じるという新しい芝居のアプローチをしています。弟たちはすべてがかわいくて、みんなが20歳になった時が楽しみで仕方ないんです。その時も活躍していてくれたら嬉しいし、また共演できるように僕も頑張りたいです。この仕事から離れていたとしても、幸せに暮らしていてほしいんですよね。――兄弟愛に溢れていますね。僕は実生活では一人っ子で、お兄ちゃんがいたらいろんなところに連れていってもらえるのかな、お姉ちゃんがいたら女の子の考え方が知れるんだろうなって、憧れてきたんです。この作品を通じて、兄弟のよさを知ることできましたし、親の愛を独り占めできる一人っ子のよさも改めて感じました。――ちなみに4兄弟だったら、どのポジションがいいですか?絶対末っ子!下の子がいると面倒みなきゃいけないんで(笑)。頼られたり甘えられたりするより、自分が甘えたいです。――ドラマの末っ子・岳は小1ですが、藤原さんはどんなお子さんでしたか?『プリキュア』や『仮面ライダー』に憧れていて、岳と同じ小学1年生の時は『ドラゴンボール』のスーパーサイヤ人になりたくて、ひたすらかめはめ波を出す特訓をしてましたね(笑)。『空想科学読本』というマンガやゲームの世界を科学的に考察する本に、何十日か気を溜めればちょっと出せるって書いてあったので、実践したんです。授業中も机の下でこっそり溜めてました(笑)。――中学生になってから、たくさんスカウトを受けたそうで。背が伸びたからだと思うんですけど、いろんな場所でスカウトしてもらいました。ある時、知らない人が近づいてきたから「スカウトですか?」ってこっちから聞いたら「いや、道を聞きたいんですけど…」ってことも(笑)。あの時は恥ずかしかった…。――最初の現場で、演技で感情を表に出すことへの照れくささみたいなものはありましたか?それはなかったんですけど、完成作を見たら想像以上に芝居ができてなくて…。その悔しさをバネに頑張ってきたところがありますね。最近は、オモロイ人間であることが、魅力的な芝居に繋がるのかなと思っています。――“オモロイ人間”とは?予想外なことで楽しませられる唯一無二の人。今度の作品は、どんな役をやるんだろうと楽しみにしてもらったり、藤原大祐が出てるから見たいと思ってもらえる俳優になりたいです。僕にとってそういう方は、日本だと山田孝之さんや柳楽優弥さん。くすっと笑っちゃうようなユーモアのあるお芝居も、めちゃくちゃ怖いお芝居もなさるじゃないですか。演技の振り幅が大きくて、「今回はこうきたか!」って毎回思わせてくださるので、新しい作品でお二人の芝居を見るのが楽しみです。――同世代に切磋琢磨する俳優仲間は?’20年に『恋する母たち』というドラマで共演した宮世琉弥と奥平大兼ですね。本気で仕事に取り組んでることを知っているので、リスペクトしてます。もちろん負けてられないなとも思うし、ライバルではあるんですけど、悔しいとかそういう感情は超越してますね。お互いが出てるドラマを一緒にツッコミながら見たり、たわいのない話をする親友って感じです。新米高校教師で長男の隼、クールな次男・尊(大野遥斗)、元気いっぱいの三男・湊(山口暖人)、しっかり者の四男・岳(永瀬矢紘)は、互いに思いやりながら明るく暮らす柚木家の4兄弟。何気ない日常の中で、ささやかな事件が起きても、4兄弟が寄り添いながら乗り越えていく。夜ドラ『柚木さんちの四兄弟。』は、毎週月~木曜22:45~NHK総合にて放送中。ふじわら・たいゆ2003年10月5日生まれ、東京都出身。’19年、CMでデビュー以降、ドラマ『おじさんはカワイイものがお好き。』などで注目を集める。’22年、『追想ジャーニー』で映画初主演。出演ドラマ『リビングの松永さん』では、切ない演技が話題を呼んだ。俳優活動の傍ら、’23年、シンガーソングライターとしてもEP『SHOW TiME』でメジャーデビュー。シャツ¥4,950(CASPER JOHN/シアン PR TEL:03・6662・5525)※『anan』2024年6月19日号より。写真・竹内 誠スタイリスト・勝見宜人(Koa Hole inc.)ヘア&メイク・佐々木麻里子インタビュー、文・小泉咲子(by anan編集部)
2024年06月13日『スパイの妻』(’20)がヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞するなど、世界から高い評価を得ている黒沢清監督。1998年に日本で劇場公開された映画『蛇の道』が、自身初の試みとなるセルフリメイクで、日仏共同制作で蘇った。自ら「これまでのキャリアの中で最高傑作かもしれない」と語る今作で、主人公の新島小夜子を演じた柴咲コウさん。オールフランスロケ、全編フランス語の難役に挑んだ。できるかわからないけどやってみるのは、自分らしい。「フランス語を話せないのになぜ?と思いつつ、いつか黒沢監督とご一緒したかったというのと、以前からフランスにどこか惹かれるものがあって。撮影期間中、2か月間フランスに住めるというのも貴重な機会だったから逃したくないと思ったし、私は、自分の人生において興味が赴くままにいろいろ挑戦したいという気持ちが強いんです。できるかわからないけどやってみるのは自分らしいと思ってお引き受けしました」長年フランスで心療内科医をしている小夜子を演じるには、語学力はもちろんのこと、生活感や日本人離れした雰囲気を纏わなければ成立しないはずだが、見事に演じている。もちろん、並々ならぬ努力があった。「ただフランス語でセリフを覚えるのではなく、相手の言葉を理解して会話にしなければいけないのは大変でした。しかも早口とかボソボソとか、いろんな喋り方の役者さんがいましたから。まずはフランス語を読めるようにしたのですが、母音ありきの日本語とは違い“cv”とか“vr”で終わる言葉の発音は本当に難しくて。毎日念仏のように唱えながら体に覚え込ませていきました。監督が重視した小夜子のイメージは、新しい感じではなく使い込んでくたっとしているような、その辺にいそうなフランス在住の女性。私もそれに賛成で、ヘアメイクはもちろん、服や立ち居振る舞いもきらびやかとは無縁な感じにして。ちなみに滞在中は自炊を続けていました。凝った料理ではなく炒め物や和食中心で、白玉でぜんざいを作っておやつにしたりも(笑)。マルシェで新鮮な野菜を買うのも楽しかったです」実際にそこに“住む”ことは役作りにも役立ったよう。昼間は心療内科医でありながら、その裏では娘を殺された父、アルベール・バシュレ(ダミアン・ボナール)の、犯人への復讐に協力する小夜子。「何を考えているのかわからないように見えると面白いのかなって。表情をそぎ落とし、笑顔も険しい顔もせず、それでも彼女のことを窺いたくなってしまうような雰囲気を出すように意識しました」個々のあり方を尊重するフランス人スタッフや現地の文化に触れ「仕事で意見が言いやすいのは、生きやすいし楽だと思った。このまま住みたいと思ったぐらい」と柴咲さん。「わかりやすい復讐劇で、パキッと晴れないような曇天のグレーが混ざった色合いの作品。ヌルヌルと蠢いていく、黒沢作品特有の奇妙さを楽しんでいただきたいです」『蛇の道』娘を殺されたアルベール・バシュレ(ダミアン・ボナール)は、心療内科医の新島小夜子(柴咲コウ)と共に犯人を突き止め復讐を企てる。とある財団の関係者らを拉致し、真相は次第に明らかに…。6月14日より公開。©2024 CINEFRANCE STUDIOS‐KADOKAWA CORPORATION‐TARANTULAしばさき・こう8月5日生まれ、東京都出身。『Dr.コトー診療所』シリーズではヒロインを務め、ドラマ『35歳の少女』、映画『ホリック xxxHOLiC』など数々の主演作を持つ。また、歌手としても活躍。ドレス¥52,800(URUHcontact@uruh.jp)左手のリング¥275,000(oeau/Harumi Showroom TEL:03・6433・5395)右手のリング¥41,800ピアス¥30,800(共にMAYU/MAYU SHOWROOMkohcoon@mayuokamatsu.com)※『anan』2024年6月12号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・柴田 圭(tsujimanagement)ヘア&メイク・渡辺真由美(GON.)インタビュー、文・若山あや(by anan編集部)
2024年06月11日10代でアイドルとしてデビューし、現在は俳優として活躍している松井玲奈さん。一方で小説家としての顔もあり、このたび2冊目のエッセイ集『私だけの水槽』を上梓。30歳を迎える前後の繊細な心の動きや、人との距離感についての悩み、旅先で食べたおいしいごはん、さらには部屋の片付けをしながら思い浮かんだあれこれ…など、松井さんの日々の暮らしと思考を覗き見しているような気持ちになる、そんな本。人の日記をこっそり見る、そんなふうに楽しんでもらえたら。「今回の本に収録しているのは、『小説トリッパー』という文芸誌に連載をしていた作品です。連載のお話をいただいたときは、自分も読んでいる憧れの文芸誌だったので嬉しかった。でも、テーマは自由、そして文字量がこれまで私が書いてきたエッセイの約3倍だったので、最初は書いても書いても“え、まだあと半分も残ってる?!”という感じで、選んだ題材が意外と広がらず、“テーマ選び、間違えた…”みたいなこともありました(笑)。でも、“長い文章”の先、さらにそのまた先に自分自身を連れていくという作業が、徐々に楽しくなってきて。2年間エッセイを連載させていただけて、とても勉強になりました」小説を書くときは、松井玲奈という人間を感じてもらいたくなく、いつもの自分からまったく離れた物語を書く。一方エッセイは、それを通じて自分を知ってほしい気持ちを込め、“半径5m程度の世界”を書く。本の中に綴られる、頑なで少し不器用、でも自分なりに楽しく毎日を過ごす松井さんの姿に、同世代の女性は共感すること間違いない。「誰かのエッセイを読んでいると、その人の日記の一部をこそっと見せてもらっている感じがして、そこには“秘密を共有させてもらう喜び”があると思うんです。私のエッセイを読んでくださる人も、そんなふうに感じてくれたら…と思います」自身に起きた出来事や心の動きをまっすぐに見つめ、内側から、そして時には俯瞰で自分自身を分析し、文章にする。1つのエッセイの中で、自分を切り取る視点が変化していくところがとてもユニークだ。「本になり、改めて読んで気がついたのですが、結果的に、いま私が何を考えそしてこの先どう進んでいきたいのかということにフォーカスをしたエッセイ集になったな、と思っています。でも、現在や未来のことを考えていると、『じゃああのとき私はどうだったんだろう』と過去を振り返りたくなることもある。私は物事を記憶するとき、自分の主観で見た映像ではなく、別のところにあるカメラで私を含めた状況を撮っている、そんな映像で覚えていることが多いんです。もしかしたら、“かつての私”に関して書いているところが俯瞰の描写になっているのは、そのせいかも…。でもその“記憶の形”も、このエッセイたちを書かなければ気がつかなかったこと。いろいろな発見がありますね(笑)」小さい頃から、作文を書いたり、絵を描いたり、芝居をしたりなど、自分の中にあるものを表現することが好きだった。今の松井さんにとって文章を書くことは、デトックスすることにも近い、とも。「思考や思いは、自分の中にある間はなかなか形にできないもの。それを吐き出して、ベタベタと触りながら、粘土を固めていくように形作っていく作業が、今の私にとっての“書くこと”です。それはどこか、心の整理や調整の作業にも近い。連載が終わった今、エッセイが書けないのがちょっとつらいので、日記を書くようになりました(笑)」表紙には、レトロなウォーターゲームの中を女性と魚が気持ちよさそうに泳ぐイラストが。表紙をめくると現れるのは、深い海のようなブルー。タイトルは、松井さんが地下鉄の駅で偶然見かけた、水槽を描いた絵画に着想を得た。「自由に、自分の好きなように泳ぎ回れる水槽を持っていたら、きっと人生は楽しいし、強く生きられる気がして、この書名にしました。そんな私の気持ちが、本を手にとってくださる方に伝わったら嬉しいです」『私だけの水槽』文芸誌『小説トリッパー』に連載されたエッセイに加え、新たに書き下ろした作品も収録。松井さんと同世代の女性に向けご本人からのおすすめは、「クリストファー・ロビンに従って」。また、ラストの「趣味の収穫どき」も秀逸。朝日新聞出版1650円まつい・れな1991年生まれ、愛知県出身。役者、小説家。著作に小説『カモフラージュ』『累々』(共に集英社)、エッセイ『ひみつのたべもの』(小社刊)が。現在文芸誌『小説すばる』(集英社)にて、小説を連載中。ジレ¥104,500スカート¥41,800(共にエズミ/リ デザイン TEL:03・6447・1264)カットソー¥31,900(プント ドーロ/ブランドニュース TEL:03・3797・3673)アクセサリーはスタイリスト私物※『anan』2024年6月12号より。写真・内山めぐみスタイリスト・井阪 恵ヘア&メイク・白石真弓(by anan編集部)
2024年06月10日30年近い付き合いの仲良し同士、バカリズムさんと東京03の飯塚悟志さんがタッグを組んでおくるロケバラエティ『バカリヅカ』。お互いのことをよく知る間柄ならではのあうんの呼吸、ゆるい空気感が何ともいえない魅力の番組だ。バカリズム×飯塚悟志――この5月からシーズン2が開始。放送が決まった時のお気持ちは?バカリズム:またやりたかったので、待ってましたという気持ちでした。飯塚:僕は升野くん(バカリズム)におまかせで、本当に楽しいだけなので嬉しかったですね。これがなければ会う機会もなかなかないんですよ。だから、ここで会えて楽しいことができたら最高だなと思ってました。前回も結構、反響が大きくて。バカリズム:この二人でコントじゃないことをするというのが新鮮だったみたいです。飯塚:僕もオンエアを毎回楽しみにしていました。二人の空気感が放送でもそのまま出ていたので、今回も大丈夫だろうなと思っています。――では、(取材時)#1、2の収録を終えていかがでしたか?バカリズム:楽しかったですね。ほんと、仕事感がないというか(笑)。大丈夫かな、これ本当に放送されるのかなって思ってます。飯塚:前回より頑張ってないよね。バカリズム:何もせず、ただただ遊んでいただけでしたね。前回は、ロケのテーマが決まったら、どんなことができるかとか打ち合わせしていたんですよ。今回は、以前やったのと同じ牽引車企画(※牽引車に引かれた車でドライブ気分を味わうという企画)だったので、頭脳労働まったくなしで臨みました。飯塚:“見切り発車バラエティ”と銘打たれているんですけど、まさにその通りでしたね。バカリズム:ゲストもいますけど、気を遣わなくて済む人ばかりなのでありがたいです。朝日奈央とか、もう勝手知ったる間柄のメンバーばかりなので。ライブの企画コーナーみたいな感じでした(笑)。飯塚:ゆるゆるでした。ほんと、面白かったですね。――飯塚さんは、東京03のメンバーと一緒に番組をやる時とはまた違う感覚ですか?飯塚:相方だとやっぱり仕事感が出ちゃう。03でこういうロケをやってる画が浮かばないです。バカリズム:こんなにゆるくならないでしょうね。飯塚:不思議だけどね。一応やっぱり仕事だって思っちゃうから…。その点、『バカリヅカ』は台本ちゃんと見てないし、ほんとに野面(のづら)で来ちゃってるんですよね(笑)。――もはや仕事だと思ってない、みたいな…?(笑)飯塚:完全に思ってないですね。思ってしまったら、逆に嫌になっちゃうだろうなぁ。バカリズム:仕事だと思っちゃったら、(『バカリヅカ』に対して)「これじゃダメだ」ってなる。飯塚:ほんと、そうだ(笑)。――では、この番組における今後の目標をお聞かせください。バカリズム:長寿番組になったら嬉しいなと思っています。――今回は6回限りの放送ですが、レギュラー化されるといいですよね。バカリズム:レギュラーになったらいいですね。でも、ならなかったら、もうしょうがないかって(笑)。飯塚:「まぁ、やっぱりそうか」ってなるね(笑)。バカリズム:頑張ってないから文句言えないんですよ。飯塚:そうなの。「なんでこんなに頑張ったのにレギュラー化してくれないんですか!」って言えない(笑)。バカリズム:さすがにそんな上手い話はないですからね(笑)。バカリズム(写真右)1975年11月28日生まれ、福岡県出身。’95年、お笑いコンビ「バカリズム」を結成。2005年12月よりピン芸人として活動。レギュラー番組を中心に活動する傍ら脚本、俳優など多方面で活動中。現在、ドラマ『イップス』(フジテレビ系)に出演中。いいづか・さとし(写真左)1973年5月27日生まれ、千葉県出身。2003年に豊本明長、角田晃広と東京03を結成。’09年に「キングオブコント」優勝。レギュラー番組に出演するほか、俳優としても活動中。3月には『高速を降りたら』(NHK)でドラマ初主演を果たした。『バカリヅカ』バカリズムと飯塚悟志がどうなるか分からない見切り発車な企画に挑戦するバラエティ。2023年に全6回で放送され好評を博し、第2弾の放送が決定。第2弾では、毎回ゲストも登場。毎週月曜24:30~テレ東にて放送中。※『anan』2024年6月5日号より。写真・土佐麻理子インタビュー、文・野村 文(by anan編集部)
2024年06月05日映画『違国日記』で、主人公を演じる新垣結衣さん。人と人との関わりの難しさや尊さを感じさせる本作を経て新垣さんは何を想い、何を考えたのか。そして彼女に訪れていた、ある“変化”とは。突然の交通事故で両親を亡くした15歳の田汲朝(たくみ・あさ)と、彼女を引き取ることになった叔母の高代槙生(こうだい・まきお)。親戚という言葉だけでは到底表すことができない二人のぎこちなくも温かい関係性を描き、多くの人の心を掴んだヤマシタトモコの同名漫画を実写化した映画『違国日記』。人見知りの小説家である槙生を演じるのは、「原作は、もともと友人に薦められて読んでいました」という新垣結衣さんだ。「作品で使われている言葉が、吹き出しの外に手書きされているユーモアのあるものも含めて、すごく好きです。でも、とても好きな作品だからこそ、オファーをいただいた時に私でいいのだろうか、魅力的な槙生ちゃんという役が務まるのだろうかという想いもありました。思い入れが強すぎると、いつまでも納得できないなど、自分で自分に対するハードルを上げたりもしてしまうので。でも、やっぱり嬉しい気持ちの方が強く、ありがたくお受けしました。槙生ちゃんは人見知りかもしれないけれど、人が嫌いではないよな、と思うんです。朝に対してもですが、ファーストコンタクトでは戸惑うものの、相手を拒絶しているわけではなく、適当にせず、ちゃんと向き合う。私も初めての方とお話をする時は緊張したり、失礼なことがないかなどと構えてしまい、話をするのに勇気が必要なこともあるので、槙生ちゃんもそうだったりするのかな?と思いました」また、槙生は自分に対しても人に対しても、嘘がない人だと分析する。「だからこそ、演じるにあたって、いろいろな表情を見せることは意識していました。愛想笑いをしなかったり、鋭い表情も印象的な人ですが、一方で、関わりの深い人の前では普通に笑うし、目を大きく開けてびっくりするようなこともあれば、戸惑いの顔が見えることもある。眉間に皺をよせているようなベースとなるイメージはちゃんと頭に入れつつも、そこに囚われすぎず、笑いたい時には笑ったり、自然にしていました」朝を演じた早瀬憩(いこい)さんとは、「いい関係だったと思います」と微笑む。「第一印象は本当にフレッシュで、ピュアが全身から溢れている…という感じでした。それが、本読みの時に初めてちゃんと話をしたのですが、シャイな感じはありつつも、すごく堂々としていて。監督の指示を聞いている時に積極的に質問をしたり、言われたことを受けてからのアウトプットがすごく早いのを見て、とても心強いなと思いました。現場では、二人とも基本的にいつも近くの椅子に座っていて、何気ない会話をすることもあれば、お互い別のことをしている時も。それがまったく気にならない空気感でしたね。一つの作品を作り上げる仲間として、できることがあればしたいと思ったし、私自身も頼りにしていて、『今のどうだった?』と聞くこともできました。会った時にいつも、すごく喜んでくれるのも、本当に可愛かったです(笑)」こちらの質問に対して深く考えながら言葉を紡ぐ新垣さんの姿は、嘘のない槙生と重なっても見える。自身のコミュニケーションについて尋ねると、以前と少し変化したことを教えてくれた。「昔は、“この人とこんな話をした”ということを、何年経ってもよく覚えていたんです。でも、30歳を過ぎてしばらくした頃からか、覚えていないことが増えてきて…。年齢も関係あるかもしれないけれど、前よりは構えず、力を抜いて、人と接することができるようになったような気がしています。相手に全意識を集中してガチガチになっていたからこそ、その時のエピソードがずっと頭に染み付いたのかなと。今は、その時に自然に出てきた言葉や気持ちをちょっとずつ伝えられるように。人を頼ったり、甘えたり、隙を見せたりできるようになったのかもしれません。もちろん、一人になってから反省することや、ずっと忘れられないこともたくさんありますけどね」今作でも描かれているとおり、人と関係性を築くことは容易ではなく、傷つくことも少なからずある。それでも、誰かと繋がりたいと思ってしまうのはなぜなのだろうか。「私は、人と関わることで本当に救われてきた人生だと思っているんです。自分では見つけられなかった視点や考え方を教えてもらえることもあれば、他者の目を通じて自分を知ることもある。それに、話を聞いてもらえるだけでも、単純に、すごく救われます。槙生ちゃんと同じで、私もわりと一人の時間を大事にしたい人ですが、でも、人とも一緒にいたいんですよね。朝は槙生ちゃんと出会うことで世界が広がり、槙生ちゃんは朝と出会うことで自身のトラウマに触れるなどヒリヒリした気持ちになりつつも、知らなかった自分の感情に気が付いていく。誰かとの出会いによって見える世界が広がることが、原作の魅力の一つだと思うし、人と関わるということの魅力かもしれません。映画にも、そういうところが映っているといいなと思っています」『違国日記』無愛想で人付き合いが苦手な小説家・高代槙生と、天真爛漫な15歳の田汲朝。年齢や性格、過ごしてきた環境も違う二人が同居生活をスタート。葛藤しながらもまっすぐに向き合う日々を描く。監督は瀬田なつき。6月7日より全国の劇場で公開。あらがき・ゆい1988年6月11日生まれ、沖縄県出身。俳優。映画『ミックス。』で第41回日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞。主な出演作に映画『ゴーストブック おばけずかん』『正欲』、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』などがある。シャツ¥53,900エプロンドレス¥42,900(共にTHE RERACS TEL:03・6432・9710)ピアス¥7,700右手のリング¥5,500(共にloniloni_info@auntierosa.com)左手のリング¥198,000(oeau/Harumi Showroom TEL:03・6433・5395)※『anan』2024年6月5日号より。写真・野呂知功(TRIVAL)スタイリスト・小松嘉章(nomadica)ヘア&メイク・藤尾明日香(kichi)取材、文・重信 綾(by anan編集部)
2024年06月04日