●大学を卒業したら地元で就職すると思っていた現在放送中の関西テレビ・フジテレビ系ドラマ『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』『緊急取調室』、8月からスタートのWOWOW『連続ドラマW プラージュ ~訳ありばかりのシェアハウス~』と立て続けにドラマ、映画に出演する俳優・眞島秀和。独特の存在感で求められ続けている。6月17日公開の映画『心に吹く風』では、『冬のソナタ』ユン・ソクホ監督のもと、北海道の豊かな自然の中で初恋を蘇らせた。眞島は主役のリョウスケを演じ、高校時代に愛し合い23年ぶりに再会した男女が過ごす数日間が描き出された。俳優を志した意外と知られていないきっかけや、『フラガール』『怒り』等で知られる李相日監督との出会い、そして今回の映画でのユン監督とのやりとりなど、眞島本人に話を聞いた。○幸せな役があまりない――俳優を志したのは、大学生のときだそうですね。東京の大学に入ったのは、単純に地元の大学に落ちたからなんです。そのころは、大学を卒業したら地元に帰って就職しようと思ってたんですけどね。――ダンスをやっている友達を見て、自分も何かをやろうと思ったのがきっかけだとか……。そうです。同じ年頃の友人たちが、ダンスや音楽をしているのが、楽しそうに見えたんでしょうね。それで自分も俳優をやってみようと。でも、よく考えたら、10代のときから、すごくテレビを見るのが好きで、ドラマの中のセリフを自分でも言ってみたりとか、そういうことはしてたんです。だから、ちょっとは興味があったのかもしれないですね。ただ、自分が俳優になるということは全く考えてなかったです。――俳優をやろうと決めてからは、どんなことをしていたんでしょうか。劇団の研究生をやったり、仲間と自主映画を撮ったりしていました。――その後1999年、李相日監督の卒業制作『青~chong~』主演に抜擢されたのがデビューになりましたが、どんなきっかけで出演することになったんでしょうか。僕は俳優の養成所に通っていたんですけど、その養成所が、李監督のいた日本映画学校(現・日本映画大学)に「うちの研究生を使ってください」と資料を持参していたらしく、それがきっかけで映画に出ることができました。でも、主演できたとはいえ、まだ当時はどうなるかわからないと思っていました。――その後、転機はありましたか?『青~chong~』に出られたのも転機ですし、今の事務所に入れたこともあります。作品で言うなら、NHKの『海峡』(2007年)や、WOWOWの『なぜ君は絶望と闘えたのか』(2010年)だったのかなと思います。その2作で「この先もどんどんやっていって、年を重ねたらどうなるのかな」と思ったというのはあります。ただ、役をいただいて、それをいかに演じていくかということに対しての考えは、ずっと変わらないですね。――そして今では、毎クールドラマで眞島さんを見ないときはないくらいですが。自分としては、そんなにたくさんという感じではないんですけどね。いろんな役をやりたいので。それがこの仕事の楽しいところだし、なんでもやってみたいというシンプルな考えなんです。――今年ですと『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』や、『連続ドラマW プラージュ ~訳ありばかりのシェアハウス~』などのドラマに出られていますし、『バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~』にも、もうひとつのバイプレイヤーズとして出演されていましたが、ご自身で演じられる役には傾向はありますか?いろんな役があるし、それが楽しみでもあるんですが、幸せな人物の役があんまりないのかなとは思います(笑)。――いろんなドラマで眞島さんを見て、気になっている方もたくさんいるんじゃないかと思いますけど、ご自身が今の自分をどう捉えられてますか?結局、今になっても、この仕事を続けていくのは大変だなと実感しているし、だからこそやっていきたいなとは思っています。――これからこうなりたいという俳優像はありますか?仕事をしていると、先輩の役でこういうのがいいなとか、面白いなというのはたくさんあります。僕が50代、60代になったときに、そういう先輩たちの役を演じられていたらいいなと思いながらやっています。●初恋の思い出はしまってある○『冬のソナタ』を見返した――17日からは『心に吹く風』が公開されますが、ユン・ソクホ監督と初めてあったときのことを教えてください。面接を受けたときですね。そのときは、映画や役についていろいろ聞かれたというよりは、普段のことを話したり、世間話をした感じでした。ユン監督の作品は『冬のソナタ』や、スペシャルドラマを見たことはありました。やっぱり、とても話題になっていたので、どんな作品なのだろうという興味で見ました。今回も作品に出演することになって、また見返しました。――ユン監督と実際に撮影してみていかがでしたか?ユン監督の撮影スタイルが通常の撮影スタイルと違っていて、最初のほうは戸惑いました。通常は段取りを確認して、テストをして、それで本番に入ることが多いんですが、ユン監督は最初からカメラを回していて、それがもう本番なんです。この映画が「偶然」を大事にしているからなのかなと思いました。――ユン監督は、眞島さんが初恋の相手と再会して、高校時代の思い出の歌を歌うシーンで、眞島さんが演じるリョウスケが少し恥ずかしそうな雰囲気だったのを見て、日本と韓国の文化の差なのかなと思われたというエピソードを聞きましたが、そういう感情表現の違いは感じられましたか?実は、その初恋の歌を歌うシーンが、初めて撮影したシーンだったんです。それで、どういう風に演じるか、探りながらやっていたところ、そういう恥ずかしそうな感じになったのかもしれません。自分自身の感覚だと、照れくさいなと思う部分もあるんですけど、リョウスケというキャラクターは、照れないでいられる人だと思うので、監督の求めるものを演じたいとは思っていました。――映画の中で印象的だったシーンはありますか?ピアノのシーンですね。音楽を担当されたイ・ジスさんが実際に撮影現場で即興でピアノを弾いてくれて、すごく感動しました。それを聞いて、この音楽がひとつのテーマになるのだなと思ったし、物語に説得力を与える素敵な曲だと思いました。――ユン監督の要望というのはありましたか?リョウスケというキャラクターに関しては、アーティスト特有の頑固さを持ちながら、優しい男でいてくれということはありました。監督は、ヒロインの春香を演じる真田(麻垂美)さんと僕との2人がとにかく空気がいいようにと気を使ってくださって、それですごく楽しく撮影できました。○いろいろな縁があってここにいる――この映画は初恋がテーマですし、ユン監督も常に初恋をテーマに描かれてきた方ですが、眞島さんは初恋に対してはどういう考えを持たれてますか?ユン監督ほど語れないかもしれないけど、いい思い出としてどこかにしまってある感じですね。――ユン監督にも取材したんですが、ちゃんと話すには徹夜の覚悟がいりますよと言われました(笑)。眞島さんは、この映画のように初恋の人と再会したりは?そういうこともないですね。きっとユン監督もそうなんじゃないかな。――そうですね。ユン監督もあえて再会しなかったと言われていました。やっぱりそうですか。――最後に、『心に吹く風』を見られる方に、一言お願いします。大人のラブストーリーなんですけど、生きていく中で、誰しも初恋を胸に抱いていたり、いろんな偶然があったりするもんだと思うんですよ。だから、大人の人が見たら、そういう思いってあるんだ、偶然ってあるんだと思える作品になっているんじゃないかと思います。――眞島さんも偶然ってあるんだなと思うときはありますか?もちろんです。特にこの仕事って、偶然がたくさんあると思うし、いろんな縁があってここにいるんだなと思います。(C)松竹ブロードキャスティング(ヘアメイク:佐伯憂香 スタイリスト:M&E)<著者プロフィール>西森路代ライター。地方のOLを経て上京。派遣社員、編集プロダクション勤務を経てフリーに。香港、台湾、韓国、日本などアジアのエンターテイメントと、女性の生き方について執筆中。現在、TBS RADIO「文化系トーラジオLIFE」にも出演中。著書に『K-POPがアジアを制覇する』(原書房)、共著に『女子会2.0』(NHK出版)などがある。
2017年06月13日「現代版・仕事人」として話題を呼んだ坂口いくのストーリー漫画を初めて舞台化する舞台「闇狩人」が、5月13日(金)より東京・天王洲銀河劇場にて上映されることが決定。メインキャストを、ドラマ「表参道高校合唱部」の高杉真宙と、彼とはプライベートでも交友があり本格的な共演は初となる、「烈車戦隊トッキュウジャー」でブレイクした横浜流星が務めることが分かった。原作は、1988年から「少年ジャンプ」にて連載された同名漫画。バブル全盛期の華やかな社会を背景に、美味しい汁をすすり、暗躍する血も涙も無い卑劣な悪人たちと、その圧力に苦しみ潰され、あえなく命を落とす庶民の嘆きが対照的に描かれ、その中で裏稼業として許せぬ悪を成敗する“闇狩人”の生き方を、魅力的に、鮮やかに、そして刹那的に表現した傑作として知られる。本舞台では、大型国家プロジェクトの裏側で進んでいる壮大な陰謀を知ってしまった闇狩人たちが、想像を超える強大な敵との抗争に巻き込まれ、激しい死闘を繰り広げる。遂に悪の首領に辿り着いた闇狩人たちは、雌雄を決するべく戦いに挑むのだが…。主人公の間武士役を務めるのは、「仮面ライダー鎧武/ガイム」で注目を集め、「表参道高校合唱部」「明日もきっと、おいしいご飯~銀のスプーン~」などのテレビドラマでも活躍し、昨年秋は主演舞台「TRUMP」での演技が高い評価を受けた、いま最も勢いのある若手俳優・高杉真宙。普段は漫画家志望の冴えない予備校生だが、裏の顔に変わった瞬間、凄腕の闇狩人としてステンレス製の定規などを武器に悪に立ち向かう武士を演じる。二面性のある役どころについて高杉さんは、「演じ分けをするのがすごく楽しみです。僕は、舞台『TRUMP』ではソフィとウルという2役をやらせて頂いたので、今回はそのときに身に付いたものをしっかり生かして演じたい」と意気込みを寄せた。そして、同じく闇狩人のひとり・我竜京介役を、「烈車戦隊トッキュウジャー」ヒカリ・トッキュウ4号役で一躍人気を博し、ドラマ「JKは雪女」、主演舞台「スーパーダンガンロンパ2 THE STAGE」、映画『オオカミ少女と黒王子』出演など幅広く活躍する気鋭の実力派俳優・横浜流星が演じる。トレジャーハンターと称してジャーナリストのような仕事をする京介は、自信家でナルシスト、しかも滅法強い美貌の闇狩人。特殊加工されたけん玉を武器に用いるそう。横浜さんは、本作の演出・深作健太が手掛けスペクタクル時代劇「里見八犬伝」を観賞したことがあるようで「2年前、舞台『里見八犬伝』を観劇したとき僕もこういう舞台に立ちたいと強く思いました。素直にかっこいいと思いましたし、心打たれるものがありました。そんな素晴らしい作品を作りあげたプロデューサーの松村さん、演出の深作健太さんを始めとした、皆様と今回一緒に舞台を作ることになり光栄です」と念願叶っての出演を喜んでいる様子。実は、高杉さんと横浜さんはプライベートでも仲が良く切磋琢磨し合える関係だそうだが、本格的な共演は本作が初めて。作中で演じる役柄も、時に対峙し、時に協力し、闇狩人の世界ではライバル関係であることから、若き実力派俳優たちが互いを高め合い、さらなる飛躍へのきっかけとなる作品に仕上がることが期待される。共演について、高杉さんは「この舞台では楽しみなことがたくさんありますが、まず何より楽しみなのは、横浜流星くんとご一緒できること。流星とは同じ年で、プライベートでも仲が良く、いつかがっつり一緒に仕事したいと二人でよく話をしていたので。流星は本当に格好よくて殺陣が上手く、運動神経がよくて、僕がうらやましいなぁと思うところがめちゃくちゃ多いんです!一緒にいい作品を作れたらと思います」と明かし、横浜さんも「同い年で親友の高杉真宙との共演は念願なので楽しみ」と話した。このほか、闇狩人には、三枝将役に鈴木勝大、陣内力役に荒井敦史、そして最大の敵・皇静馬役を丸山敦史が担当。加えて稲垣成弥、森田彩華、市瀬秀和、中村誠治郎など、舞台経験が豊富で個性豊かな華のあるキャストを揃え、情感豊かで奥行きの深い演出で定評のある深作氏が演出を担当、彼とは名コンビで知られる鈴木哲也が脚本を手掛け、舞台版「闇狩人」の世界を原作のテイストを活かしながら、新たなアクション現代劇を創作する。舞台「闇狩人」は5月13日(金)~22日(日)まで東京・天王洲銀河劇場にて、5月28日(土)に北九州芸術劇場大ホールにて、6月11日(土)12日(日)に大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演予定。(text:cinemacafe.net)
2016年01月06日