IPAは、コンピュータウイルスや不正プログラムの状況分析から、「今月の呼びかけ」を発表している。今月は、ウイルス感染するマクロが仕込まれたばらまき型メールについて取り上げている。○10月に検知されたばらまき型メールIPAによると、10月8日、27日、30日にウイルス感染させることを目的とした多数のメールが検知された。具体的には、図1のようなメールである。まず、特徴的なことであるが、日本語に不自然な点がまったく見受けられない点である。そして、実在する組織からのメールのように装うことだ。さらに、共通なのは、不正なマクロが仕掛けられたWordの文書ファイルが添付されていた。上述の3日間にIPAなどで確認されたばらまき型メールは、以下の通りである。マクロであるが、実行されると別のウイルスをインターネットからダウンロードし、感染させるという活動を行う。これらのマクロは、ばらまき型メール用に作成されたものらしく、セキュリティ対策ソフトでは検知されなかった。同様の手口であるが、標的型攻撃などでも使われることがある。標的型攻撃と異なるのは、特定の攻撃対象にメールが送られるのに対し、今回は不特定多数に送られた点である。関連性などについては、不明とのことである。なお、IPAによれば、日本語ではなく英文であるが、添付ファイルがExcelのばらまき型メールも確認されたとのことである。Wordファイル同様、ウイルスをダウンロードするマクロが仕込まれていた。それ以外にも、PDFファイルに偽装した実行形式のファイル(アイコンをPDFに偽装し、実体はexeファイル)がアーカイブされたzipファイルが添付されたばらまき型メールもあったとのことだ。○ばらまき型メールへの対策IPAによれば、1通だけでなく、2~3通のばらまき型メールを受信した事例もあるとのことだ。11月以降、ばらまき型メールの確認は行われていないが、今後も同じようなばらまき型メールが送信される可能性もある。IPAでは、以下の対策を紹介している。マクロが自動で有効になるような設定は行わない安全性が確認できないファイルはマクロを有効にするための[コンテンツの有効化]を絶対にクリックしないまた、組織内での感染を防ぐために、以下の対策が有効となる。ウイルス感染の影響がない環境(万が一、ウイルスに感染しても組織運営への支障を最小限に留められる端末など)で添付ファイルを開く必要に応じて、添付ファイル(メール)の送信者に対して送信有無を確認するそして、添付ファイルを開き、マクロを実行してしまった場合への対処であるが、以下の手順を推奨する。当該端末をネットワークから切り離す(LANケーブル外す、無線LAN機能の無効化)セキュリティ対策ソフトでウイルススキャン(できれば完全スキャン)を実施する必要に応じて、スキャン結果や開いてしまったファイルの情報、セキュリティ対策ソフトの定義ファイルの情報などをまとめ、セキュリティベンダに相談する通信ログを確認(監視)するウイルス感染が確認できた場合は、当該端末の初期化または保全を検討する最後の初期化であるが、ウイルス対策ソフトなどでウイルスの検知・駆除が行われたとしても、未知のウイルスが残る可能性もある。そこで、初期化を行うのである。また、今後の解析などのために、端末を保全することも意味がある。○情報提供受付専用メールアドレスの新設IPAでは、これまで相談窓口として、情報セキュリティ安心相談窓口を開設していた。こちらは、今後も変わることない。被害や対策などについて相談が可能である。しかし、新たな手口による攻撃に備え、その兆候を察知することを目的とした情報受付専用メールアドレスを新設した。teikyo@virus.ipa.go.jp受付専用なので、相談などはできない点には注意してほしい。一方、不審を感じた事例などがあれば、積極的に情報提供を行ってほしい。
2015年12月03日国立感染症研究所は12月1日、11月16~22日の期間中の感染症発生動向調査を公開した。同調査の結果から、同期間中における1週間あたりの「RSウイルス感染症」の患者が、2015年で最多だったことがわかった。RSウイルス感染症は、RSウイルスによって引き起こされる呼吸器の感染症。ウイルスの典型的な潜伏期間は4~6日とされている。風邪のように発熱や鼻水などの症状が出るが、重度の場合だと肺炎や気管支炎になるケースもある。同研究所は、生後1歳までに半数以上の子どもが感染するとしており、同2歳までにはほぼ100%の子どもがRSウイルスに初感染するという。ただ、生後数週間~数カ月間程度の乳児が初めて感染した場合は、重篤な症状が出る可能性が高まるとされている。全国約3,000カ所の定点医療機関から11月16~22日(第47週)の期間中に報告があった全国の患者数は6,687人。第43週に1週間あたりの患者数が4,000人を超え、第47週に2015年になって初めて6,000人を突破した。直近5年間の同時期の患者数と比較しても、2015年が最も多い。2番目に同時期の患者数が多かったのが2014年で、その数は5,151人。最少だった2011年は2,389人となっているから、いかに今年の患者数が多いかがわかる。第47週において、都道府県別での患者数が最も多かったのは大阪府の580人。2位以下は北海道(499人)、愛知県(354人)、東京都(335人)、埼玉県(291人)と続く。第46週の患者数も大阪府、北海道、東京都、愛知県、埼玉県の順に多かったため、この5地域において患者が増加傾向にあることがうかがえる。また、ノロウイルス由来の患者が冬場に多くなる「感染性胃腸炎」も患者数が増加している。第47週における、1医療機関からの感染性胃腸炎患者の報告数は「7.18人」。第43週には4.33人だっただけに、1カ月間で約1.66倍にはねあがっている。※写真と本文は関係ありません
2015年12月02日冬になると毎年のように流行するインフルエンザ。悪寒や高熱などの症状が出た場合、インフルエンザと自覚できるがは、実は「感染に気付かないインフルエンザ」もあるのをご存じだろうか。○インフルエンザ特有の症状が出ない38度以上の発熱や頭痛、関節痛、筋肉痛などの症状が特徴のインフルエンザは、せきやくしゃみなどによる飛沫(ひまつ)感染が主な感染経路となる。通常は、ウイルスの潜伏期間をへた後にこれらの症状が現れる、だが、中にはインフルエンザ特有の症状が出ない「不顕性(ふけんせい)感染」の人も少なからずいる。済生会横浜市東部病院 小児肝臓消化器科の十河剛医師によると、不顕性感染にはさまざまな要素が関わってくるという。「不顕性感染かどうかは、元々の体質の特性に加えて、そのときの体力の状態や感染しているウイルスのタイプなどが関わってきます。そのため、一概にどういう人が不顕性感染になりやすいということは言えません」。○不顕性感染の人が感染を拡大させる恐れ苦しい症状が出ないというのは、本人にとってはありがたいことだが周囲にとっては必ずしもそうではない。なぜなら、不顕性感染の人が媒介役となって、感染を拡大させる可能性があるからだ。「私たちが病院で診察する患者さんは、38度とか39度くらいの高い熱が出て『自分がインフルエンザだ』と思って来るわけです。ただ、中には『家族がインフルエンザになりました。私の熱は37度台なので、私はインフルエンザじゃなく鼻かぜだと思います』などと話されている人でも、検査するとインフルエンザであることもあります。症状が弱く出る人はいますので、そういう人がウイルス感染を広めている可能性はありますね」。国内で近年流行しているインフルエンザウイルスは、A型とB型だ。ウイルスには流行する時期があり、例年は3月頃にB型ウイルスの感染者が増えてくるが、この時期は小学校などでインフルエンザ感染が散発的にみられるタイミングでもある。この現象も不顕性感染が関係しているのではないかと十河医師は推測する。「例えば、B型のインフルエンザウイルスは比較的症状が穏やかなので、インフルエンザと気づかれずに『風邪かな』とご両親たちが思ってお子さんたちが学校に行っていたら、実はインフルエンザだったということもあります。そういったお子さんと遊んだ子や、近くにいた子も検査したらインフルエンザだったというのもよく聞く話です」。○飛沫対策をしっかりとろう一目で「インフルエンザだ」とわかるような症状を呈していないだけに、不顕性感染の人を見分けるのは困難と言っていい。ただ、飛沫感染であることは通常と変わらないため、厚生労働省は■普段からくしゃみを他の人に向けて発しないこと■せきやくしゃみが出るときはできるだけマスクをすること■手のひらでせきやくしゃみを受け止めたときはすぐに手を洗うことなどを対策として掲げている。自身が気づかないうちに家族や恋人、友人などを感染させてしまう可能性もあるため、寒い季節はこれらの対策を徹底するように努めよう。
2015年11月30日アッヴィは11月26日、ジェノタイプ1型C型慢性肝炎ウイルス(HCV)に感染した成人患者向けの治療薬として「ヴィキラックス配合錠」を発売したと発表した。ヴィキラックスは、2種の直接作用型抗ウイルス剤であるオムビタスビルとパリタプレビルにリトナビルを加えた配合剤で、12週間にわたって固定用量を1日1回服用する。インターフェロンやリバビリンの併用は不要。厚生労働省より2015年4月に優先審査対象に指定され、同年2月の製造販売承認申請後、7カ月後の同年9月に承認された。 同承認は第III相臨床試験のGIFT-I試験を根拠とし、主要評価項目であるインターフェロン治療の対象で肝硬変を発症していない高ウイルス量の未治療患者においては、ウイルス学的著効率95%を達成している。薬価は1錠2万6801.2円として収載され、12週間の治療全体の費用は450万2601.6円となる。
2015年11月26日国立感染症研究所が11月24日に発表した感染症発生動向調査によると、直近の11月9~15日の期間中のインフルエンザ患者は全国で707人だった。まだ少数だが、昨シーズンは12月上旬で流行期入りが確認されており、今シーズンもこれから流行期にむかっていくことになる。頭痛や関節痛、倦怠(けんたい)感など複数の症状が出るインフルエンザだが、実際にはどの症状がどの程度現れるのだろうか。今回は、インフルエンザ感染を経験したことがあるマイナビニュース会員300名に「経験したことがあるインフルエンザの症状とその程度」について聞いたので、詳しく紹介しよう。Q. 経験したことがあるインフルエンザの症状を教えてください(複数回答可)1位: 悪寒(80.0%)2位: 発熱を伴う頭痛(58.3%)3位: 関節痛(51.3%)4位: 鼻水(43.3%)5位: 倦怠感(42.7%)6位: せき(35.0%)■悪寒・「とにかく毛布を何枚かぶっても寒かった」(38歳女性/情報・IT/事務系専門職)・「背筋がゾクゾクする感じ」(50歳以上男性/金融・証券/専門職)・「関節が痛くて動くのがつらいのと、震えが止まらず熱を測ると40度を超える熱が出ていた」(25歳女性/食品・飲料/専門職)・「ふとんにくるまっているのに寒くて仕方がない。ぶるぶるふるえながら寝、寒くなくなったと思ったら今度は暑くて汗。せきが出始めるとおなかと横隔膜あたりが痛いし、夜もとぎれとぎれしか寝られなくて大変だった」(34歳女性/自動車関連/秘書・アシスタント職)■発熱を伴う頭痛・「頭痛薬がないと眠れないくらい」(30歳女性/情報・IT/クリエイティブ職)・「喉の痛みから始まり悪寒や頭痛。病院でインフルに伴うぜんそくから肺炎になりかけていると言われた。点滴やレントゲンで治療費支払時に一万を超えてしまい、お金がたりなくてビックリした」(42歳女性/その他/その他)・「天井が回っているようでずっと酔っているようだった」(23歳男性/ホテル・旅行・アミューズメント/販売職・サービス系)・「朝起きたときから異様な頭痛でふらつきがひどい。病院にいざ行こうとしても寒気がひどく、歩くのも足が痛んで正直行くのも辛い」(32歳女性/医療・福祉/専門職)■関節痛・「関節が痛くなって、全く動けなくなって寝込んだことがあります」(44歳男性/情報・IT/技術職)・「最初は『筋肉痛かな? だるいし』と思っていたら、のどから始まりいろんなところが一気に来た」(29歳女性/人材派遣・人材紹介/事務系専門職)・「身体の骨が痛くてだるすぎて動けなかったです」(37歳女性/金属・鉄鋼・化学/事務系専門職)・「非常に体が重くなって、節々が痛くなりました。寝ても寝ても治らない上に、痛くて寝転ぶのも起き上がるのもつらかったです」(25歳女性/情報・IT/技術職)■鼻水・「寒気がして、節々が痛くなると高熱が出たと感じる。そのあと、咳や鼻水、喉の痛みが止まらなくなり、黄色い痰が出ると熱っぽい感じがする」(26歳女性/情報・IT/事務系専門職)・「まず、とにかく透明の鼻水が大量に出て、翌朝からドンドン熱が上がり頭痛と関節が痛くなりました」(36歳女性/団体・公益法人・官公庁/技術職)・「最高で39.3度の熱が出て、1日に50枚くらいティッシュを使うほど鼻水が出た」(33歳男性/医薬品・化粧品/技術職)・「いきができない」(33歳女性/自動車関連/事務系専門職)■倦怠感・「倦怠感がひどく何もする気になれなかった」(26歳男性/電機/技術職)・「気分が悪くて立ち上がれないほどしんどかったです」(31歳男性/食品・飲料/販売職・サービス系)・「最悪の二日酔いが3日くらい続いているような気だるさと吐き気、悪寒で死にそうだった」(25歳女性/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)■せき・「震えが止まらないほど寒い。せきが止まらず呼吸ができないほど」(47歳男性/電力・ガス・石油/技術職)・「勤務中に体調が悪くなりました。朝はいつも通りだったのですが、お昼ごろからのどが痛くなり、退社する頃には声が出なくなってしまいました。家に帰ってから熱を測ったら38.5度くらいあり、関節が痛かったです」(50歳以上女性/その他/その他)・「高熱が出て意識がもうろうとした。せきが止まらなかった」(34歳女性/団体・公益法人・官公庁/秘書・アシスタント職)■総評1位は80.0%の人が回答した「悪寒」だった。回答者の多くは「震え・寒さが止まらない」「体をどれだけ温めても寒い」「布団を何枚重ねても寒い」などの意見を寄せており、相当耐え難い寒さに苦しめられたことがうかがえる。58.3%で2位になったのは「発熱を伴う頭痛」。38度以上の高熱にうなされ、眠れないほどの激しい痛みや、頭をグルグルと回されているかのように感じる頭痛を経験した人が見られた。3位は51.3%の人が支持した「関節痛」だった。回答者の意見を総合すると、「最初は筋肉痛かとも思ったが、体の節々が異様に痛み出して動けないほどになり、痛みで眠れないときもあった」となる。そのほかでは「痰(たん)」(20.7%)、「吐き気」(20.3%)、「下痢」(14.0%)などの症状にさいなまれた人も見られ、まさに「脅威」の一言がふさわしいインフルエンザ。ワクチン接種が効果的な予防策だが、有効期間は接種から2週間~5カ月ほど。昨年の接種分による効果は期待できないため、気をつけよう。※写真と本文は関係ありません調査時期: 2015年10月29日~10月31日調査対象: マイナビニュース会員調査数: 男性122名 女性178名 合計300名調査方法: インターネットログイン式アンケート
2015年11月25日国立感染症研究所は11月24日、11月9~15日の期間中の感染症発生動向調査を公開した。同調査により、ノロウイルス感染由来とみられる感染性胃腸炎およびRSウイルス感染症の患者が全国的に増加していることが明らかになった。食品などを通じて感染するノロウイルスによって引き起こされる症状は、おう吐や下痢、腹痛などがある。ノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒は通年で発生しているが、特に冬季に流行する傾向がある。同研究所によると、全国約3,000カ所の定点医療機関から11月9~15日(第46週)の期間中に報告があった感染性胃腸炎の患者数は2万1,696人。第42週(10月12~18日)は1万393人だったため、約1カ月の間に1週間あたりの患者数が約2.1倍に増加していることになる。第46週において、都道府県別での感染者が最も多かったのは東京都(1,871人)だった。以下、大阪府(1,680人)、福岡県(1,561人)、神奈川県(1,323人)、兵庫県(1,235人)と続き、前週と同じ地域が上位5つに入っている。一方のRSウイルス感染症は、RSウイルスによって引き起こされる呼吸器の感染症。風邪のように発熱や鼻水などを伴う症状が出るが、重度の場合は肺炎や気管支炎になるケースもある。同研究所は、生後数週間~数カ月間程度の乳児が初めて感染した場合は、重篤な症状が出る可能性が高いとしている。同じく、全国約3,000カ所の定点医療機関から11月9~15日(第46週)の期間中に報告があった全国の感染者数は5,465人。第42週(10月12~18日)は3,861人だったため、1カ月間で1週間あたりの患者数は約1.4倍になっている。第46週に都道府県別での感染者が最も多かったのは、536人を記録した大阪府。以下、北海道(423人)、東京都(310人)、愛知県(258人)、埼玉県(250人)となっており、東京都はどちらも患者が多く報告されている。周囲でも感染者が増加していることを受けてか、Twitter上では「ノロウイルスは防げねえがな…」「ノロウイルスほんまにこわいよ~」「RSウイルスがこわい」などの不安な気持ちをつづったコメントが多数見られている(コメントは原文)。※写真と本文は関係ありません
2015年11月24日「教えて!『かくれ脱水』委員会」はこのほど、ノロウイルスとインフルエンザに関するセミナーを東京都内で開催。感染症の有識者が登壇し、2015-2016シーズンの傾向や感染した際の対処法などについて講演した。○医療機関あたりの患者数はノロの方が多い首都大学東京の矢野一好客員教授は「ノロウイルス感染症とインフルエンザに関する今シーズンの特徴」との題で講演した。ノロウイルスは冬季の感染性胃腸炎や食中毒の原因となるウイルスで、感染すると下痢やおう吐、吐き気などの症状を引き起こす。冬に流行するウイルスといえばインフルエンザを真っ先に思い浮かべる人も少なくないだろうが、ノロウイルスの感染力も相当な驚異だ。矢野客員教授はその証拠として、全国に数千カ所ある定点医療機関からの患者報告数を挙げる。2000年から2011年までの12年間においては、1つの医療機関から感染性胃腸炎の患者が年間平均で321.17人報告された。一方で、インフルエンザの患者は255.52人と、感染性胃腸炎の約8割にとどまっている。○今冬は「新型ノロウイルス」が流行か多くの患者をうみだすノロウイルスだが、今シーズンはウイルスの遺伝子型がこれまでと微妙に異なる「新型ノロウイルス」が流行しそうだと矢野客員教授は懸念している。「2006年、2012年、昨年に主に流行していた遺伝子型は『GII.4』です。今年は今まで流行していなかったウイルスの『GII.17』が、少し変異して流行しそうということで注意喚起をしているところです」。「新型ノロウイルス」の症状や感染経路は従来と変わりはない。ただ、これまで日本で流行したことがない遺伝子型がやや変異しているため、私たちの体に免疫がなく、今冬に一気に感染が広まる恐れがある。例年以上に予防や感染防止対策に努めたほうがよいだろう。矢野客員教授はインフルエンザに関しても言及。今年は11月初旬の時点において、AH3亜型やB型など複数のウイルスが検出されており、どれが流行するか予測しづらいという。ただ、検出されているすべてのウイルスは今年のワクチン株に含まれているとのことなので、予防接種の効果は見込めそうだ。○ウイルスに感染した際は脱水に注意だが、どれだけ予防をしていたとしても、ノロとインフルエンザという2つの強力なウイルスから体を100%守りきることは不可能だ。そのため、有事に備えて発病してしまった際のケア方法について、済生会横浜市東部病院 小児肝臓消化器科の十河剛医師が解説してくれた。十河医師はウイルスに感染した際、「自分の免疫で体からウイルスを排除するまでの期間をどのように過ごすかが重要」としたうえで、特に大事な取り組みとして「脱水予防」を挙げた。脱水は、体に入ってくる水分より出て行く水分が多くなるために起きる。ノロウイルスやロタウイルスなどの消化管感染症は下痢やおう吐、食事摂取量低下などが、インフルエンザやRSウイルスなどの気道感染症では、食事摂取量低下や発汗などが脱水の主な原因となる。○経口補水療法の効果特に感染性胃腸炎に由来する下痢・おう吐では、体内の水分と共にナトリウムやカリウムなどといった電解質も失われてしまう。電解質は筋肉細胞や神経細胞の働きなどに関わっているため、これらの症状に悩まされた際は水分と一緒に電解質も摂取することが重要だ。市販されているスポーツドリンクにもナトリウムやカリウムが含まれているが、含有量が十分ではない。そこで、十河医師は手軽に失われた電解質を補うためには、電解質と糖質の配合バランスが考慮されている「経口補水液」が有効だと話す。実際、患者に経口補水液を摂取させる「経口補水療法」は、点滴と同等の効果が得られるそうで、「ほとんどの人が経口補水療法だけで大丈夫だと示唆するデータも出ています」。経口補水療法で重要なのは「1回5ccを、1~5分ごとに飲ませる」ことだ。5ccはティースプーン1杯分に相当し、「おう吐があっても少しずつ飲ませましょう」と十河医師は力を込める。感染性胃腸炎のおう吐のピークは半日から1日程度のため、吐き気が止まれば少しずつ一度に飲ませる量を増やしていくとよい。○水分と一緒に電解質の補給をノロウイルスもインフルエンザウイルスも、感染拡大を防ぐためには「手洗い」や「マスク」が基本となるのは共通している。そして、原因は違えど脱水症状につながる恐れがある点も共通している。今冬はできる限りの予防をしたうえで万一、感染してしまった場合は水分と一緒に電解質もしっかりと補給するようにしよう。
2015年11月21日アッヴィ合同会社はこのほど、「RSウイルス感染症と保育施設利用に関する意識調査」を実施し、その結果を発表した。同調査は、2歳以下の子どもを保育施設に預けている両親(母親515名、父親515名)を対象とし、7月にマクロミル・ネットモニターを利用したオンライン調査によって実施された。まず、RSウイルス感染症を知っているのかを調べたところ、保育施設に子どもを預ける両親のうち、「RSウイルス感染症がどのような病気か知っている」と答えた両親は33.2%、「名前は聞いたことがある」と答えた両親は43.1%、「知らない」と答えた両親は23.7%を占めた。RSウイルス感染症をどのような病気か詳しく知らない両親が66.8%を占めることが明らかになった。次に、RSウイルス感染症の重症化のリスクを知っているのかを質問。「生後6カ月の乳児が感染すると重症化し、入院治療が必要になることがあることを知っていた」人は全体の21.5%、「重症化すると脳症や死に至る可能性があることを知っていた」人は全体の17.3%、「重症化すると将来的にぜんそくや喘鳴(ぜんめい)の症状が出る可能性をあることを知っていた人」は全体の16.7%であった。この1年間で、年長の子どもが病気の疑いがあっても保育施設を利用した経験があるのかをたずねると、「ある」と答えた両親は全体の56.9%であった。さらに、子どもがどのような体調のときに保育施設を利用したことがあるのかをきくと、「鼻水が出ている時」が70.6%、「微熱がある時」が63.5%、「咳(せき)をしている時」が52.2%となっている。子どもが病気の疑いがあるにも関わらず保育施設に預ける背景を調べたところ、78.7%の両親が、子どもが保育施設を休む場合やお迎えに行く場合に「母親が仕事を休んだ」と回答しているが、「子どもの病気やケガのためとはいえ仕事を休みづらい」と感じている両親は78.7%いることが分かった。さらに、子どもの病気やケガの際に早退・遅刻しやすくなったりするためには、職場の上司や同僚の理解が必要であると答えた人は約8割(75.1%)、配偶者のサポートを求める母親は5割以上(52.1%)となっている。同調査の監修を務めた、東京都保険医療公社 多摩北部医療センター 小児科の小保内俊雅部長は、「RSウイルス感染症は、生後6カ月以内の乳児や早産児、慢性肺疾患、先天性心疾患などの基礎疾患をもっている乳幼児が感染すると症状が重症化しやすく、肺炎や細気管支炎や無呼吸を引き起こし、死に至る場合もあります。また、重症化すると将来的に喘息等の原因となることが知られています」とコメント。そして、「初期症状が出ているにも関わらず保育施設を利用することは、子どもの容態を悪化させるのみでなく、保育施設における感染の拡大につながります」としながら、予防法について次のように述べている。「重症化や感染拡大を防ぐためには、職場環境や家庭内での両親の育児の配分など、子どもの病気の際に両親が仕事を休みやすい環境が整えられることが必要です。また、RSウイルス感染症には予防ワクチンや治療薬がないため、両親や保育施設の職員など周囲の大人が、手洗いなどの基本対策でかからないように予防することが最も重要です」。
2015年11月20日エーザイはこのほど、「先輩受験生ママの風邪・感染症等の対策」に関する意識調査の結果を発表した。調査は10月9~16日にインターネット上で行われ、2014年度に中学受験・高校受験をした子どもを持つ女性500名から回答を得た。はじめに、子どもが受験生だったとき、風邪・感染症対策にいつも以上に気をつかったかどうか尋ねると86%が「いつも以上に気をつかっていた」と回答。受験生本人の対策を本格的に開始した時期については、「2014年10月頃から」(20%)と「2014年11月頃から」(20%)が多く、同社は「寒さが本格化する同タイミングから意識し始めていたようです」と分析している。次に、受験生本人の対策として取り入れていたものを調査した。結果は「手洗い・うがいの励行」(84%)、「マスクをする」(68%)、「予防接種を受ける」(57%)が上位にランクイン。さらに89%の人が「2つ以上の対策を取り入れていた」と回答した。加えて受験生本人の対策として費用をかけたアイテムを調べたところ、「マスク」(67%)が最も多く1位となった。また、比較的高額である「加湿器」を購入した人も21%いた。アイテムの購入費用としては、受験生本人の対策費用が平均7,239円、母親については平均4,275円、父親では4,278円と受験生本人と比べて約3,000円の差があった。最後に、「子どもが受験生だったときの風邪・感染症などの対策について、不安を感じた事はありますか」と質問した結果、58%が「ある」と回答。具体的な不安や悩みとしては、69%の人が「対策をしても十分なのかどうか判断がつかない」をあげた。次いで、「どの対策が有効なのか、優先度がわからなくなる」(32%)、「情報が多すぎて正確なものが見極められない(見極めるのが難しい)」(23%)が続いた。杉並堀ノ内クリニックで小児科院長を務める粂川好男医師は、風邪・感染症対策として「『手洗い』『うがい』『マスク』の"3点セット"が一番重要です」とコメント。このうちマスクを使う際の注意点として、「マスクの内側は外気や手指などに触れる可能性が高い」と指摘した上で、「流行のシーズンはつけはずしをできるだけ少なくすることが理想的」とアドバイスしている。
2015年11月20日おう吐や下痢などの症状に悩まされるノロウイルス。自分が苦しいのはもちろんだが、恐ろしいのが「もしかしたら……感染させてしまったのではないか」と思う瞬間だ。周囲にも自分と同じつらさを経験させてしまった罪悪感は、計り知れないものがあるのではないだろうか。今回はノロウイルスの感染経験があるマイナビニュース会員300人に、「ノロウイルスを周囲に感染させた、もしくは感染させてしまったのではないかと思ったことがあるか」尋ねた。Q.ノロウイルスを周囲に感染させた、もしくは感染させてしまったのではないかと思ったことがありますか?はい: 11.3%いいえ: 88.7%Q.「はい」と回答した人にお聞きします。そのときの状況を具体的に教えてください■看病してくれた人が感染・「看病してくれていた奥さんの具合が悪くなったとき」(33歳男性/電機/技術職)・「子どもの看病にお手伝いに来てもらった私の母にもうつり、母から父にもうつり、大変だったらしい」(38歳女性/情報・IT/事務系専門職)・「看病に来た母親と彼氏にうつった」(27歳女性/その他/その他)■友人や職場の人に感染・「旅館の宴会の時に感染したっぽい」(30歳男性/学校・教育関連/専門職)・「親友と前日もいっしょにいて、翌日いっしょにノロにかかったとき」(24歳女性/商社・卸/事務系専門職)■家族が感染・「家族の前でマスクを外している時に大きなくしゃみをしてしまった」(26歳男性/農林水産/技術職)・「最初は普通の腹痛だと思い、家族のお弁当や食事を作っていて、家族にうつった」(33歳女性/建設・土木/事務系専門職)・「家族でタオルなどを共有していたので」(30歳女性/人材派遣・人材紹介/秘書・アシスタント職)■その他・「ブラック企業勤務だった当時にノロウイルスに感染し症状もあったが出社した。結局帰宅中に倒れて病院に担ぎ込まれたがブラック企業ゆえ会社を休むと叱責(しっせき)されるため、そのまま会社をトンズラした。トンズラしたので後のことはどうなったか分からない」(31歳男性/機械・精密機器/事務系専門職)Q.「いいえ」と回答した人にお聞きします。感染を防げたと思う理由について具体的に教えてください■消毒を徹底・「トイレの消毒を徹底した」(36歳女性/医療・福祉/専門職)・「つらい中、家族に感染させたくなったので、トイレ使用後自分で除菌作業しました」(50歳以上女性/その他/その他)・「母が私の行くところへアルコールを持ってついてきていたからだと思う」(24歳女性/生保・損保/事務系専門職)■隔離された・「部屋に隔離されていたから」(32歳女性/金融・証券/事務系専門職)・「自分だけ別の部屋でひたすらこもっていたから」(38歳女性/生保・損保/事務系専門職)■その他・「トイレが2カ所あったので片方だけをつかった」(47歳女性/医療・福祉/専門職)・「理由はわからない。特に対策はしていなかった。運が良かっただけかもしれない」(24歳女性/食品・飲料/専門職)・「子ども→主人→自分と、自分(の感染)が最後だった」(32歳女性/自動車関連/事務系専門職)・「空気清浄機をつかっていたから」(29歳男性/建設・土木/事務系専門職)■総評結果としては、「感染させてしまった(感染させたかもしれない)」と回答した人は約1割にとどまった。症状が発症する前に気づかず感染させてしまったケースや、看病してくれた人や家族など、身近な人への感染が防げなかったケースが主だった。およそ9割の人が感染の拡大を防げたのはなぜだろうか。理由としては「徹底して消毒を行った」という対策をとっていた人が多かったことがあるだろう。「徹底的に効果があると書いてあったアルコール剤で除菌していたから(母が)」(26歳男性/マスコミ・広告/営業職)など周囲が気をつけていたり、自らトイレを消毒したりしていたという回答もあった厚生労働省はノロウイルスの感染について、「ふん便や吐ぶつからの二次感染、ヒトからヒトへの直接感染、飛まつ感染を予防する必要があります」と指摘。「吐ぶつやふん便は乾燥しないうちに速やかに処理し、十分に換気を行う」「感染者が使用した食器は次亜塩素酸ナトリウム液で消毒する」などの対策が必要としている。自らの感染を防ぐことももちろんだが、症状の苦しみを周囲の人に広げないためにも、感染してしまった場合には対策の徹底をお願いしたい。※写真と本文は関係ありません調査時期: 2015年11月6日~11月13日調査対象: マイナビニュース会員調査数: 男性122名 女性178名 合計300名調査方法: インターネットログイン式アンケート
2015年11月20日ライトエアはこのほど、同社が開発した空気清浄の技術「イオンフロー」の機能として、空気中のウイルスの感染力を低下させる効果があることが証明されたと発表した。同社は11月17日、東京都港区のスウェーデン大使館にて記者会見を開催。その研究成果について説明した。○イオンの力でインフルエンザウイルスなどを除去同社が開発した「イオンフロー」は、毎秒数十億ものマイナスイオンを放出することで、空気をきれいにする空気清浄の技術。同技術の特徴は、空気中に浮遊している粉じんやカビなどの粒子にマイナスの電荷を与えて「イオン化」することだ。"プラス"の電荷を帯びた清浄機の収集板に、"マイナス"の電荷を帯び「イオン化」された微粒子が吸い寄せられる仕組みになっていて、結果的として有害な微粒子を取り除くことができる。同社代表取締役社長のロジャー・ソヤ氏は、「花粉やバクテリアに限らず、PM2.5やインフルエンザウイルス、ノロウイルスなどのナノ粒子(大きさが0.1マイクロメートル以下の微粒子)も除去できる」とアピール。0.007~0.1マイクロメートルのナノ粒子は99.93%以上取り除くことができるという。○「除去」するだけでなく「感染力」も低下させるインフルエンザをはじめとしたウイルスを取り除くことができるという同技術。さらに今回、「ウイルスの感染力を低下させる効果がある」ことが証明されたという。スウェーデンのカロリンスカ研究所などが行った研究では、同技術を使って「イオン化」させたウイルスの感染力を調査。研究の結果、空気中に浮遊するウイルスの感染力が97%以上低下することがわかった。加えて、インフルエンザウイルスに感染したモルモット4匹を入れたゲージAと、感染していないモルモット4匹を入れたゲージBを24時間横に並べて置き、ウイルスの感染力を確かめる研究も実施。2つのゲージの間に「イオンフロー」の技術を搭載した空気清浄機(作動中)を置かなかった場合では、Bゲージのモルモット3匹が感染した一方で、同空気清浄機(作動中)を置いた場合ではBゲージのモルモットが1匹も感染しなかった。これらの成果は、世界的に権威があるとされているオンライン科学誌「Nature Scientific Reports」にて発表されたとのこと。説明にあたった同社のジュリアン・リー氏は、「ウイルスの感染力を低下させる効果があるということを実証データで示せる空気清浄の技術は、世界でも『イオンフロー』のみだ」と強調した。同技術を搭載した空気清浄機「ライトエア イオンフロー50」は、商品のサイズによって価格が異なり、3万7,000円(税込)から購入が可能。有害な微粒子を集める収集版には水洗いが可能な金属製の部品を使っているため、フィルター交換の必要がない商品となっている。インフルエンザの流行期が近づくこの季節、予防対策の1つとして取り入れてみてもいいかもしれない。
2015年11月18日国立感染症研究所は11月17日、11月2~8日の期間中の感染症発生動向調査を公開した。同調査により、ノロウイルス感染由来とみられる感染性胃腸炎の全国患者が、直近1カ月で1.8倍に増加していることが明らかになった。食品などを介して感染するノロウイルスはおう吐や下痢、腹痛などの症状を引き起こす。ノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒は通年で発生しているが、特に冬季に流行する傾向がある。厚生労働省によると、ウイルスの潜伏期間は24~48時間で、吐き気や下痢などの症状が1~2日続いた後、症状は回復に向かうという。ただ、症状が治まってからも長いときで4週間程度、ウイルスは体内から排出され続けるため、二次感染に注意が必要となる。国立感染症研究所によると、全国約3,000カ所の定点医療機関から11月2~8日(第45週)の期間中に報告があった感染性胃腸炎の患者数は1万8,010人。第42週(10月12~18日)は1万393人だったが、そこから1万3,628人(第43週)、1万5,919人(第44週)と患者は増加の一途をたどっている。第41週(10月05~10月11日: 1万224人)から第45週の約1カ月の間で、1週間あたりの患者数は約1.8倍となっている。第45週において、都道府県別での感染者が最も多かったのは東京都(1,394人)だった。以下、大阪府(1,350人)、福岡県(1,215人)、神奈川県(988人)、兵庫県(953人)と続き、大都市圏での感染者が増えている。東京都だけに限ってみると第41週の患者は911人で、約1カ月の間に1週間あたりの患者数が約1.5倍へと増えている。ノロウイルスに効果のある抗ウイルス剤はなく、治療は対症療法に限られるため、予防が肝心となる。予防に関しては手洗いや食品の加熱調理が有効とされており、厚労省は「子どもやお年寄りなどの抵抗力の弱い方は、加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱することが重要」と注意を呼びかけている。※写真と本文は関係ありません
2015年11月17日数ある感染症の中でも、おう吐や下痢など複数の重い症状に苦しめられるノロウイルス。寒さも厳しくなってくるこれからの季節、注意しなければならないウイルスの1つだ。感染予防への意識を高めるためにも、今回はノロウイルスに感染したことのあるマイナビニュース会員300人に具体的な症状や、症状が続いた期間について聞いてみた。感染中につらかったときのエピソードもあわせてご紹介する。Q.ノロウイルスにかかったときの症状を教えてください(複数回答可)1位: 下痢(69.0%)2位: おう吐(68.3%)3位: 吐き気(67.0%)4位: 腹痛(40.3%)5位: 発熱(27.0%)6位: 頭痛(12.0%)7位: 筋肉痛(4.7%)Q.ノロウイルスの症状が続いた期間を教えてください1位: 2日以上~4日未満(41.0%)2位: 1日以上~2日未満(31.7%)3位: 4日以上~1週間未満(14.7%)4位: 1日未満(9.3%)5位: 1週間以上(3.3%)Q.ノロウイルスに感染し、つらかったときのエピソードを具体的に教えてください■トイレから離れられない・「トイレと友達だと言えるくらいずっとトイレにいた」(33歳女性/建設・土木/技術職)・「下痢が止まらず、ずっとトイレにいて、そこで寝ていた」(33歳男性/電機/技術職)・「下痢とおう吐が止まらなくてトイレに張り付きっぱなしだった。両方のにおいでさらに吐き気が増した」(28歳女性/ソフトウエア/技術職)■水分が十分にとれない・「脱水状態になり倒れた」(32歳女性/金融・証券/事務系専門職)・「下痢が続いて脱水症になりかけたこと。身体からどんどん水分が抜けていくのが分かった」(24歳女性/食品・飲料/専門職)■家族で感染・「下痢が止まらないのと、おう吐がひどいなか、同じ症状の子どもの看病をしなくてはならなかったこと」(36歳女性/団体・公益法人・官公庁/技術職)・「子どものノロウイルスが家族全員にうつってしまい、みんなトイレの順番待ち。つらいのに子どもが吐きまくるから、洗濯物がたまるし、乾かない地獄になりました」(38歳女性/情報・IT/事務系専門職)■旅行中に発症・「台湾でウイルスにかかった。ずっとトイレとベッドの往復。せっかくの旅行が台無しだった」(28歳女性/ホテル・旅行・アミューズメント/販売職・サービス系)・「旅行中で電車の中でもよおすなど最低でした」(30歳男性/運輸・倉庫/技術職)■複数の症状を発症・「おう吐しながら下痢をしていた」(37歳女性/商社・卸/事務系専門職)・「下痢と吐き気が同時に来て、どちらを優先するか悩んだ」(30歳女性/機械・精密機器/事務系専門職)■その他・「デートした次の日からかかったので彼氏にうつしたのではないかと自分の体以上に心配でつらかった」(34歳女性/その他/その他)・「1人暮らしの時だったので非常につらかったです。ご飯が食べられないし動けなかったので本当に死ぬかと思いました」(39歳/食品・飲料/販売職・サービス系)・「ブラック企業勤務だったので症状があったが休めず会社に行き失神しそうになった。帰り道の駅で失神し救急車で運ばれた」(31歳男性/機械・精密機器/事務系専門職)■総評具体的な症状については、6割以上の人が「下痢」「おう吐」「吐き気」を訴えた。ほかにも、約4割が「腹痛」と回答。少数ではあるが、頭痛や筋肉痛をあげる人もいた。症状が続いた期間としては、「2日以上~4日未満」と答えた人が最も多かった一方で、「4日以上~1週間未満」(14.7%)、「1週間以上」(3.3%)など、長期間苦しめられた人も少なからずみられた。さらに、ノロウイルスに感染してつらかったことについて自由回答で答えてもらったところ、「トイレから離れられない」という内容の回答が目立った。「胃の中に何もなくなっても吐き気が止まらずトイレから離れられなかった」(25歳女性/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)など、離れられない事情から症状の重さがうかがい知れる結果となった。また、「家族全員でおう吐下痢の症状があり、きつかった」(31歳女性/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)という回答があった一方、1人暮らしで症状に対処する大変さを訴える人もいた。これらのエピソードに加えて、やはり多かったのが「症状自体のつらさ」に関する回答だ。複数の症状が同時に発症したり、これらの症状が派生して痔(じ)や脱水症状になったりする人もいた。厚生労働省によれば、現在ノロウイルスに効果のある抗ウイルス剤はなく、発症した場合、水分と栄養の補給を十分に行って回復を待つしかないとのこと。脱水症状がひどい場合には病院で輸液を行うなどの治療が必要になるという。苦しい症状に悩まされることのないよう、手洗いや食品の加熱処理などを徹底し、事前の予防をぜひとも徹底してほしい※写真と本文は関係ありません調査時期: 2015年11月6日~11月13日調査対象: マイナビニュース会員調査数: 男性122名 女性178名 合計300名調査方法: インターネットログイン式アンケート
2015年11月17日マカフィーは11月9日、Gate.Wormファイル感染ウイルスの最新バージョンに関する情報をセキュリティブログで公開した。Gate.Wormに感染した場合、正規コードに制御を戻せなくなる仕様で、特定のアプリケーションが起動しなくなり、マルウェアコードのみが実行される。このバージョンは2013年の「Obfuscated-FBU!hb」による寄生型ウイルスの変種と類似しているが、作者は別の人物。新しいコードは以前のコードに似ているが、機能がかなり減らされているという。マルウェアの目的は、SecurityGate.ruグループがテストサンプルとして作成したものと推測している。セキュリティブログによると、マルウェアがコンピューターに侵入して感染させるまでの挙動は以下の通り。まず、IsDebuggerPresent Windows APIを呼び出して、プロセスがデバッグ中かどうかを確認する。マルウェアの作者はこの機能を使用して、デバッグによって"悪質なバイナリ"の分析を防止する。チェックの結果がtrueの場合、マルウェアは実行を終了する。次にマルウェアはコンソールウィンドウを開き、「SAFEMODE: This WORM is designed only to test…with respect SafetyGate.ru.」 というメッセージを表示する。GetCurrentDirectoryAを使用して現在のディレクトリを取得し、そこに含まれるすべてのファイルを列挙する。そのために、マルウェアはFindFirstFileA and FindNextFileAを使用してファイル名配列を作成する。現在のフォルダ内の全ファイルを配列に追加したら、マルウェアはマルウェアファイルのファイルサイズを計算し、マルウェアサンプル全体をクリーンファイルの冒頭に挿入してコンピューターに感染する。感染後は、MZ構造がマルウェア本体に置き換えられ、元のファイルは単なるオーバーレイデータとして存在するようになるため、感染したクリーンファイルを実行できなくなる。さらに、感染ファイルに以下のような形式のシグネチャを追加する。感染ルーチンは現在のフォルダ内のすべてのサンプルに対して繰り返し実行され、プロセスが終わると、マルウェアはSleep APIを呼び出して10秒間実行を停止する。その後、コンソールウィンドウを閉じてマルウェアプロセスを終了する。最後は、感染したすべてのサンプルに以下のようなアイコンが表示される。オーバーレイに複数のオリジナルサンプルが含まれた感染サンプルも存在する。感染ファイルはすでに感染していたファイルが含まれることがあるため、このような状況が発生する。新しいクリーンファイルがこのサンプルに感染すると、新たに感染したファイルには過去に感染していたファイル(複数の場合もある)とマルウェアコード、新しいシグネチャが含まれる。ポータブルな実行可能ファイルだけではなく、あらゆる種類のファイルがこのマルウェアに感染する。このようにして、ホストコンピュータの現在のフォルダ内の大半のファイルがウイルスに感染してしまう。通常、ユーザーはファイルをダウンロードフォルダ、ドキュメントフォルダ、デスクトップフォルダにダウンロードするが、フォルダによって影響度が違う。マルウェアにはネットワーク機能がなく、外付けドライブを感染させることはできない。被害者が直接ダウンロードして実行するか、感染したサンプルを外付けドライブに手動でコピーし、別なシステムで実行する以外、このマルウェアをまん延させることはできないという。
2015年11月11日国立感染症研究所は11月10日、10月26~11月1日の期間中の感染症発生動向調査を公開した。同調査により、2015年の1週間あたりの「RSウイルス感染症」の患者が、同期間中に最多だったことが明らかになった。RSウイルス感染症は、RSウイルスによって引き起こされる呼吸器の感染症で、飛沫(ひまつ)感染と接触感染によって感染する。潜伏期間は2~8日で、典型的には4~6日とされている。症状はさまざまで、風邪のように発熱や鼻水などを伴うときもあれば、重度の場合は肺炎や気管支炎になるケースもある。同研究所は、生後1歳までに半数以上の子どもが、同2歳までにほぼ100%の子どもがRSウイルスに初感染するとしている。ただ、生後数週間~数カ月間程度の乳児が初めて感染した場合は、重篤な症状が出る可能性が高まるとされている。全国約3,000カ所の定点医療機関から10月26~11月1日(第44週)の期間中に報告があった全国の感染者数は4,740人。第40週に2,643人で2,000人を超えてから右肩上がりに感染者が増加し、第43週(10月19~25日)に4,118人で今年になって初めて4,000人を突破。そして第44週にその感染者数をさらに上回る数値を記録した。直近5年間の同時期の感染者数を見ると、1,945人(2011年)、3,092人(2012年)、4,195人(2013年)、3,423人(2014年)と推移していることから、今年の感染者が多いことがうかがえる。第44週において、都道府県別での感染者が最も多かったのは北海道(364人)だった。以下、東京都(357人)、大阪府(351人)、福島県(237人)、宮城県(224人)と続き、2015年の累積感染者も6万人を超えた。東京都だけで見ると、感染者は第41週から398人、363人、384人、357人となっており、300人台の高水準を維持している。この現状を受けて、東京都感染症情報センターはRSウイルス感染症に関して、「定点当たり報告数は、過去5年平均より高い値で推移している」と警鐘を鳴らしている。感染は全国的な拡大を見せており、Twitter上でもRSウイルスはインフルエンザより厄介だと嘆く声や、小児がいる家庭に注意を呼びかける声などがあがっている。※写真と本文は関係ありません
2015年11月10日国立感染症研究所は11月2日、10月19~25日の期間中の感染症発生動向調査を公開した。同調査により、同期間中のインフルエンザの患者が全国で500人近くであることが判明した。インフルエンザは「のどの痛み」「せき」などの風邪のような症状に加え、「38度以上の発熱」「頭痛」「関節痛」「筋肉痛」などの症状も伴う。日本では例年12月から3月頃にかけて流行が見られ、一度流行が始まると短期間に多くの人へと感染する点が特徴だ。全国5,000カ所の定点医療機関から10月19~25日(第43週)の期間中に報告があった全国の感染者数は498人。第40週に212人を数えてから319人(第41週)、370人(第42週)と推移しており、わずかずつではあるが増加傾向にある。第43週に都道府県別での感染者が最も多かったのは神奈川県(68人)。以下、愛知県(66人)、沖縄県(51人)、東京都(49人)、福岡県(40人)と続く。第42週で報告が多かったのは愛知県、沖縄県、千葉県、東京都、広島県となっており、愛知県と沖縄県、東京都での患者の多さが比較的目立っている。インフルエンザの定点報告数も増加している。第40週は0.04だったが、そこから0.06、0.08と増えていき、第43週には0.1となった。「流行開始」の指標となる数値「1.00」の10分の1ではあるが、そろそろ注意が必要となってくることがうかがえる。なお昨シーズンにおいては、同研究所が昨年12月5日に定点報告数が「1.00」を上回ったことを明らかにしている。インフルエンザは、せきやくしゃみなどによる飛沫(ひまつ)感染が主な感染経路となる。予防策としてはワクチン接種のほか、マスク着用や手洗い、うがいなどがある。※写真と本文は関係ありません
2015年11月04日ファイザーはこのほど、「長寿社会ニッポンにおける感染症の潜在リスクと最新対策」と題したセミナーを東京都内で開催。慶応義塾大学医学部 感染症学教室の岩田敏教授が登壇し、ワクチンによる感染症対策などについて講演した。○2025年の医療費は50兆円以上?医学雑誌「Lancet」にて最近発表された研究によると、日本人の健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されずに生活できる期間)は73.4歳(2013年時点)で世界でもトップだという。定年後の人生を積極的に楽しむアクティブシニアが増えてきていることが伺える一方で、超高齢社会に伴う医療費も問題になっている。厚生労働省の試算などによると、2008年時点で34.8兆円だった国民医療費は2025年には52.3兆円まで膨らむと見込まれており、そのうち老人医療費は24.1兆円を占めるとされている。そのため、岩田教授は「超高齢社会における医療費の問題や健康寿命を鑑みると、感染症予防と予防接種の果たす役割が大きいのではないか」と提唱する。感染症を予防する手段の代表例としては、ワクチン接種があげられる。VPD(Vaccine Preventable Diseases: ワクチンで予防できる疾患)は、成人では「インフルエンザ」「肺炎球菌による感染症」「破傷風」などが、小児ではこれらに加え、「結核」「ポリオ」「水痘」「ロタウイルス」などがある。岩田教授は「ワクチンというと『子供が中心』と考えがち。もちろん子供に対してワクチンを打つのはとても大事ですが、大人にも必要なワクチンがあるんです」と力を込めるが、実際は成人の予防接種への意識は高くない現状が伺える。○成人のワクチン接種率は4割同社が7月28日から8月7日にかけて、各都道府県に住む60歳以上の男女150人(合計7,050人)を対象に行った調査によると、成人してからワクチンを接種した経験がある人は2,998人と全体の4割ほどにとどまっていた。そのうち、最も多かったのはインフルエンザワクチン(2,302人)で、その次に多かったのが肺炎球菌感染症(肺炎)ワクチン(1,501人)だった。最多となるインフルエンザワクチンですら、全体の32%ほどしか接種していないこととなり、予防接種への関心率の低さが浮き彫りとなっている。ワクチン接種率の低さの原因として「感染を100%防げない」をあげる人も少なくないだろう。ただ、重症化を防いだり、死亡リスクを低減させたりするなど、一定の臨床効果は示されている。例えば、インフルエンザワクチン接種率と学級閉鎖日数の相関を見ると、ワクチン接種率が高いほど学級閉鎖日数が少ないなどの結果も得られており、「一定の接種率を確保すると、学校などでの集団生活の中でインフルエンザが流行するというのは、ある程度抑えられます」。ただ、今年は従来よりも対応ウイルスの種類を増やしたワクチンに切り替えられている。これまではA型2種とB型1種だったが、新たにB型をもう1種増やして4種類に対応するように変更。そのため、ワクチン接種費用が高くなる傾向が見られている。岩田教授はワクチン接種に係る料金値上がりに伴う接種率の低下も懸念しつつも、「接種が重要」との見解を示した。○インフル流行時は肺炎球菌のワクチンもインフルエンザ以上に接種率が低い肺炎球菌に関しても、岩田教授はその重要性を指摘している。免疫機能が未発達の5歳未満や機能が低下してくる高齢者(65歳以上)が肺炎球菌による感染症になりやすい。日常生活で発症する肺炎である「市中肺炎」に罹患(りかん)すると死亡リスクが上昇するなど、日常生活に多大な影響を及ぼすことがわかっている。市中肺炎の入院患者の原因微生物を見ると、肺炎球菌が全体の4分の1を占めたという報告があるほか、インフルエンザ流行時に検出された肺炎の原因となった細菌は肺炎球菌が多いというデータもある。「インフルエンザが流行したときは肺炎球菌を起こしやすくなるので、インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンを一緒に受けておいたほうが予防としてはいいということになります」。肺炎球菌ワクチンの定期接種は2014年10月から開始されており、2018年度までは該当する年度に65歳、70歳、75歳などのように「5歳の倍数となる高齢者」などが対象となっている。また、乳幼児や高齢者だけではなく、喫煙者や糖尿病、心疾患、呼吸器疾患などを患っている人も肺炎球菌感染症のリスクが高くなる。来る11月12日は「世界肺炎デー」。これを機に、肺炎球菌について詳しく知ろうとしてみるのもいいだろう。○医療従事者と患者間で予防接種の会話増を最後に岩田教授はワクチンが導入・普及されて日本では確実に病気の数が減ってきているとしたうえで、その接種率を高く保ち続けることが大切になってくると指摘。そのために、「医療関係者と患者さんの間で予防接種に関する会話が多くなることが重要」だとした。これからインフルエンザが本格的に流行する時期になる。岩田教授によると、健康な成人におけるインフルエンザワクチンの有効性は約7割だという。1回あたりの接種金額が500円~1,000円ほど値上がりしている病院もあるようだが、ワクチンを接種して自分の体を賢く守るよう、努めるに越したことはないと言えそうだ。
2015年11月02日朝晩が寒くなり、乾燥が気になってきました。これから冬にかけて流行してくる感染症として、インフルエンザやノロウイルスなどがあります。東京都感染症情報センターによると、すでにインフルエンザとみられる症状で学級閉鎖になった都内の小学校もあるとのことで、これからの季節、流行が心配されます。また、ひどい吐き気や下痢といった、つらい症状を引き起こす、ノロウイルス。家族間で感染しやすく、肉体的ダメージが多いこともあり、私のママ友の間でも「子どもにかかってほしくない感染症」で上位にランクインしています。免疫力の弱い小さいお子さんを持つママは、特に心配ですよね。そんな感染症の予防法はというと、まずは「手洗い・うがい」です。しかし、ちゃんとした手洗い・うがいってできていますか?親指も忘れずに! 正しい手洗いの方法まずは正しい手洗いの仕方から。1.水で簡単に汚れを落とした後、石けんをつけます。2.泡立てた石けんで、手のひら・手の甲・指の間を洗います。3.次は爪を洗いましょう。手のひらに爪を立てるようにしてこすり洗います。ここで、ポイント! 手のひらのしわや溝の部分にこすりつけ、汚れをかき落とすようにすると、さらに効果的です。4.忘れがちなのが、親指です。特に、親指と人差し指の間には汚れやばい菌がたまりやすいので、しっかり汚れを落としましょう。親指を握るようにして洗うときれいになります。指しゃぶりなどが多い小さなお子さんは、特に気をつけて洗ってあげてくださいね。5.最後に手首まで洗っておしまい。水で流しましょう。 実はこのようにしっかり洗おうとすると20~30秒くらいかかります。お子さんが飽きてしまわないように、横についてあげて、一緒に歌を歌いながら洗うと、時間が経つのも早くておすすめですよ! たとえば「チューリップ」の歌の1番を歌うと、20秒ちょっとかかります。そのほか、幼稚園や保育園では、正しい手洗いを歌で教えているところもあります。楽しく歌うことで、正しい手洗いが習慣になるといいですね。小さな子供は「ぶくぶくぺっ」の練習から、正しいうがいの方法まずは、口をゆすぎます。そして口の中をきれいにしてからうがいをするのが、正しい方法です。小さいお子さんも、まずは「クチュクチュうがい」から始めてみましょう。水を口に含んで、「ぶくぶくぺっ」の練習です。それに慣れてきたら、水を口に含んだまま顔を少し上に向けて「あー」と声を出す練習をしてみましょう。これで「ガラガラうがい」ができるようになります。横で数を数えてあげたりすると、「何秒できた!」という達成感があってお子さんも嬉しいかもしれませんね。感染症を防ぐには、とにかく「手洗い・うがい」が大切です。しっかりした手洗い・うがいでこれからの季節を元気に過ごしましょう。(あい)
2015年11月01日「ブランでスッキリ! 」委員会はこのほど、首都圏在住の20~50代の女性を対象に、冬に感じる心身の悩みについて調査を実施し、その結果を発表した。まず、便秘に悩む女性にもっとも悩む季節を尋ねたところ、「冬」と回答した人は、他の季節の約2倍にあたる約7割(67.5%)に及んだ。また、冬に風邪、インフルエンザ、ノロウィルスやロタウィルスなどの感染症にかかりやすい女性のうち「インフルエンザ」「風邪」で約半数、「感染症」の6割超が便秘になりやすいと感じていることが分かった。次に、風邪・インフルエンザ予防に効果的だと考える対策を尋ねたところ、「外出からの帰宅時にうがい・手洗いを必ず行う」(90.5%)、続いて「マスクをする」(82.5%)との回答が上位となり、多くの女性が外敵を自分の体に侵入させない方法で予防していることがうかがえる。また、注目度はあまり高くないものの、「腸内環境を整える」と回答した人も36.3%を占めた。続いて、冬に風邪、インフルエンザ、ノロウィルスやロタウィルスなどの感染症にかかりやすいと考える女性に原因を聞いたところ、約半数が「免疫力の低下によるもの」と回答。また、免疫力を高めるために効果的と考えられることは何かという問いに対しては、「睡眠を十分にとる」(85.9%)、「ストレスをためない」(80.3%)など、生活習慣の見直しが8割以上を占めた。一方で、「腸内環境を整える」は43.0%にとどまっており、多くの人が免疫力強化の方法を模索中であることが浮き彫りになったとしている。調査結果を受け、同委員会の委員で医療法人小林メディカルクリニック東京院長の小林暁子医師は、「冬に風邪やインフルエンザにかかりやすいのは、体の免疫力の低下が影響している可能性がある」と指摘。免疫細胞は70%が腸に集まり腸内環境と密接に関わっているため、便秘解消によって腸内環境を改善すれば、免疫の活性を助ける働きがあるとのこと。また、腸の動きをコントロールしている自律神経は、交感神経が優位になると動きが悪くなるという。冬は寒さから交感神経が優位になりやすく腸の蠕動(ぜんどう)運動が鈍って便秘になりやすい季節であり、年末年始は食生活が乱れて運動不足も重なって便秘を悪化させてしまいがちだという。そこで、食物繊維が豊富な食品を習慣的に摂(と)り、便秘を解消することが大切だとアドバイスしている。同調査は、首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)在住の20~50代女性400名を対象に、インターネット調査によって8月に実施された。
2015年10月23日国立感染症研究所は10月20日、10月5~11日の期間中の感染症発生動向調査を公開した。同調査により、RSウイルスが原因の「RSウイルス感染症」の患者が、昨年末からこれまでに全国で5万人を超えたことが判明した。RSウイルス感染症は、RSウイルスによって引き起こされる呼吸器の感染症。同研究所によると、生後1歳までに半数以上の子どもが、同2歳までにほぼ100%の子どもがRSウイルスに初感染するという。感染経路は飛沫(ひまつ)感染と接触感染。症状はさまざまで、風邪のように発熱や鼻水などを伴ったり、重度の場合は肺炎や気管支炎になったりすることもある。だが、生後数週間~数カ月間程度の乳児が初めて感染した場合は、重篤な症状が出る可能性が高まるとされている。全国約3,000カ所の定点医療機関から10月5~11日(第41週)の期間中に報告があった全国の感染者数は3,696人。第39週の1,997人、第40週の2,643人と比較してみると、患者が急増していることが伺える。都道府県別での感染者が最も多いのは東京都(398人)。東京都は第39週に209人だったが、第40週に303人、そして今回398人と2週間で倍増している。東京都に次いで多かったのは大阪府(266人)で、以下に神奈川県(187人)、北海道(159人)、埼玉(158人)と続いている。逆に患者が少ないのは沖縄県(4人)、山梨県(6人)、和歌山県(10人)、茨城県(16人)などとなっている。全国のRSウイルス感染症患者の累積数は、第41週の数値を合算して5万2,756人となり、昨年よりも早く5万人を突破した。全国的な感染が拡大していることを受け、Twitter上では「RSウイルスっての流行ってるから3歳未満の子が居る人気を付けてくださいね」「今回RSウイルス、インフルエンザより厄介なことがよーくわかった」「ジリジリとRSウィルスがやってきたか」などの声があがっている(すべて原文)。※写真と本文は関係ありません
2015年10月20日岡山大学は10月19日、B型肝炎ウイルス(HBV)の感染を認識する新たな宿主因子cGASを同定したと発表した。同成果は岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(医)腫瘍ウイルス学分野の團迫浩方 助教、加藤宣之 教授らの研究グループによるもので、10月16日付けで欧州の生化学関連の総合誌「FEBS Journal」に掲載された。同研究グループはHBVゲノムである二本鎖DNAを「非自己」として認識する宿主因子cGASを新たに同定。解析を進めた結果、HBV感染を認識したcGASが、自然免疫応答の1つであるSTINGシグナル伝達系を発動させ、最終的に細胞内で新たに作られるHBV感染粒子の形成を阻害するという新たな分子機構が明らかになった。今回の研究成果について同研究グループは、「B型慢性肝炎患者の肝臓内におけるcGASの発現量によりHBV量が調節されている可能性があることが分かりました。cGASの発現を人為的に高めることができれば、体内の自然免疫応答が高まりHBV量を大幅に減少させることができると期待されます。」とコメントしている。
2015年10月19日理化学研究所(理研)は10月15日、小児慢性疲労症候群(CCFS)の患児の脳では、2つ以上のことを同時に進行するときに前頭葉が過剰に活性化し、非効率な脳活動状態となっていることを明らかにしたと発表した。同成果は理研ライフサイエンス技術基盤研究センター健康・病態科学研究チームの渡辺恭良 チームリーダー、水野敬 上級研究員らと、大阪市立大学、熊本大学、兵庫教育大学、および生理学研究所との共同研究グループによるもの。9月10日付けのオンライン科学誌「Neuroimage: Clinical」に掲載された。慢性疲労症候群は原因不明の疲労・倦怠感により半年以上も正常な社会生活が送れなくなる病気で、主に20~50代の患者が多いことが知られている。一方、CCFSは不登校児童や生徒に多く、3カ月以上持続する疲労・倦怠感、睡眠リズム障害などの症状が現れる。今回の研究ではCCFS患児15名と健常児13名を対象に、平仮名で書かれた物語を読ませ、母音の拾い上げと物語の内容理解の同時処理を要求する仮名拾いテストと呼ばれる注意配分課題を実施し、二重課題および一重課題(母音拾い上げ、または内容理解のどちらか一方)遂行中の脳活動状態をfMRIで測定した。その結果、CCFS患児と健常児いずれも二重課題遂行中は一重課題遂行中に比べて前頭葉の一部である脳の左側の下前頭回背側部と頭頂葉の一部である左側の上頭頂小葉が活性化しており、2つの部位が二重課題の遂行に必要な脳領域であることがわかった。また、疲労と脳の活性化の関係を調べたところ、健常児では疲労度が高いほど左側下前頭回背側部の活動度が高く、また物語の内容理解度が低い場合も活動度が高いことがわかった。これは、疲労していると脳の活動が活発化するものの、それが課題成績には結びつかないことを示す結果だという。一方、CCFS患児と健常児の脳活動を比較すると、二重課題および、一重課題のいずれにおいても、CCFS患児では右中前頭回が特異的に活性化しており、その活性度は内容理解度と正の相関関係にあった。さらに、二重課題では右中前頭回に加え前帯状回背側部と左中前頭回も健常児に比べ、特異的に活性化していたことから、健常児の場合は疲れていても疲れていなくても、注意配分時に左下前頭回のみの活性で情報処理するのに対し、CCFS患児の場合は右中前頭回と前帯状回背側部を活性化させ、内容の理解度を高めようとすることがわかった。これらの過剰な神経活動は、前頭葉の非効率な活動状態を示すだけでなく、精神的な負荷となって疲労増強の原因となる可能性がある。同研究グループは、CCFS患児は疲労により脳が活動しにくくなっているというよりも、脳の機能低下を補うために脳を過剰活動させていると考えており、今後、健常児の疲労およびCCFSにおける慢性疲労により引き起こされる前頭葉の過活動が疲労回復または治療により低減するかどうか研究を続けていくとしている。
2015年10月16日国立感染症研究所は10月13日、9月28~10月4日の期間中の感染症発生動向調査を公開。同調査により、流行性角結膜炎(はやり目)の患者が前週に比べ、全国で約1.3倍に増加していることが判明した。流行性角結膜炎は、「アデノウイルス」に接触して感染することによって発症する。同ウイルスの感染者が目を手でこするなどして、その手でドアノブやパソコンのキーボード、紙幣などに触れると感染が広がっていきやすいという。主な症状として「目の充血」「大量の目やに」「目のゴロゴロ感」などがある。ウイルスの潜伏期間は7~14日とされており、突如として充血や大量の目やにに悩まされてもいつ・どこで感染したかわかりにくい特徴を持つ。9月28~10月4日(第40週)の期間中の全国の患者報告数は749人。定点医療機関当たりの患者数は1.09で、前週の第39週(9月21~9月27日)の数値(0.84)に比べて約3割増加している。都道府県ごとの数値は宮崎県(8.33)が最多となっており、以下熊本県(7.56)、鳥取県(6.0)、福岡県(3.15)、長崎県(2.75)と続く。東京都は1.18で、前週の第39週(0.64)に比べて2倍近いものの、第37週(1.08)、第38週(1.11)と比較すれば同程度の数値となっている。第40週だけを見ると、都内では中央区(7.0)、葛飾区(6.0)、荒川区(3.0)などが定点医療機関当たり報告数が多い。アデノウイルス対策としては手洗いやうがいでの予防が肝心で、「トイレを使用したら手を洗う」などの習慣づけが必要となってくる。全国的な拡大傾向を受けて、Twitter上では「ヤバい、はやり目の可能性がある」「過去に2度痛い目に遭ったから『はやり目』怖い」などの不安な声が多数見られている(コメントはすべて原文)。※写真と本文は関係ありません
2015年10月14日国立感染症研究所は9月24日、9月7~9月13日の期間中の感染症発生動向調査を公開。同調査により、RSウイルスが原因の「RSウイルス感染症」の患者が前週に比べ、約1.3倍に増加していることが判明した。RSウイルスによって引き起こされる呼吸器の感染症であるRSウイルス感染症は、生涯にわたって何度も感染と発病を繰り返す。ただ、同研究所は生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の子どもがRSウイルスの初感染を受けるとしている。飛沫(ひまつ)感染と接触感染がRSウイルスの感染経路となる。風邪のように発熱や鼻水などを伴ったり、重度の場合は肺炎や気管支炎になったりと症状はさまざまだ。しかし、生後数週間~数カ月間程度の乳児が初めて感染した場合は、重篤な症状が出る可能性が高まるとされている。全国約3,000カ所の小児科から9月7~9月13日(第37週)の期間中に集まった感染報告数は、2,652。前週(第36週)の2,083からおよそ3割、さらにその前の週(第35週)の1,683からおよそ6割増加している計算になる。感染者が多い5地域は福岡県(304人)、東京都(247人)、大阪府(162人)、宮崎県(125人)、広島県(123人)となっている。東京都だけで見ると、第35週(106人)に初めて100人を超え、172人(第36週)、247人(第37週)と直近3週間で約2.3倍に増えている。逆に第37週の感染者が少ない地域は、群馬県(1人)、山梨県(1人)、富山県(2人)など。RSウイルス感染症は例年、冬場に報告数のピークが見られるが、2011年以降は7月から報告数の増加傾向がみられている。今年の第37週までの累積報告数は4万1,360で、昨年同時期(3万2,495人)に比べ、約1.3倍となっている。
2015年09月25日国立感染症研究所は9月15日、8月31~9月6日の期間中の感染症発生動向調査を公開。同調査により、RSウイルスが原因による「RSウイルス感染症」の患者が、前週に比べて約1.2倍に増加していることが明らかになった。RSウイルス感染症は、RSウイルスによって引き起こされる呼吸器の感染症。生涯にわたって何度も感染と発病を繰り返すが、同研究所によると、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の子どもがRSウイルスの初感染を受けるという。症状は、発熱や鼻水などの風邪に似たようなものから、重度の場合は肺炎や気管支炎までとさまざまだ。ただ、生後数週間~数カ月間程度の乳児が初めて感染した場合は、重篤な症状が出る可能性が高まるとされている。全国約3,000カ所の小児科から8月31~9月6日(第36週)の期間中に集まった感染報告数は、2,083。その前の週の1,683から1.2倍以上に増加している。特に多い地域としては、福岡県(295人)を筆頭に、東京都(172人)、大阪府(108人)、広島県(101人)で感染者が100人を超えている。東京都だけで見ると、35人(第33週)、68人(第34週)、106人(第35週)、172人(第36週)と推移しており、3週間前に比べて約5倍となっている。RSウイルス感染症は例年、冬場に報告数のピークが見られる。だが、2011年以降は7月から報告数の増加傾向がみられている。厚生労働省によると、2014年の報告数は第30週から徐々に増加傾向となり、第34週から第37週にかけて急速に増えたという。今年も第34週から1,119人、1,689人、2,083人と着実に増加しており、昨年と似た傾向となっている。RSウイルスの感染経路は飛沫(ひまつ)感染と接触感染。そのため、「マスク着用」「子どものおもちゃなどのアルコール消毒」「手洗い」などが予防策となる。全国的に患者が増えていることもあり、Twitter上では「乳幼児の咳には要注意」「RSウイルス、流行の兆しね」「次はRSウイルスが流行っているのか」といった不安や戸惑いのコメントがみられる(すべて原文)。※写真と本文は関係ありません
2015年09月16日国立精神・神経医療研究センター(NCNP)は9月15日、神経難病である多発性硬化症(MS)患者の腸内細菌叢について解析を行った結果、細菌叢構造の異常、特に特定の細菌で著しい減少がみられることを明らかにしたと発表した。同成果はNCNP神経研究所 免疫研究部部長兼センター病院 多発性硬化症センターの山村隆 センター長、東京大学の服部正平 教授、麻布大学の森田 英利教授、順天堂大学の三宅幸子 教授の共同研究チームによるもの。9月14日(現地時間)に科学誌「PLOS ONE」オンライン版に掲載された。MSは脳や脊髄、視神経に繰り返し炎症性の病変が生じる慢性疾患。視力障害や手足の麻痺、高次脳機能障害などの神経症状を伴う再発を繰り返しながら、徐々に神経障害が進行していく神経難病で、患者は全国に約2万人いると推定されている。日本では過去30年間で患者数が約1000人から2万人近くまで増加しているが、まだ原因ははっきり分かっていない。近年、さまざまな自己免疫疾患に腸内細菌叢などが関与している可能性が注目されており、MSも自己免疫疾患の1つと考えられていることから、同研究グループは、患者数増加の背景に日本人の食生活の変化などが腸内細菌に影響を与え、発症しやすくなったのではないかという仮説を立て、MS患者の腸内細菌を構成する菌について研究を開始した。今回の研究では、NCNP病院に通院中の20名の再発寛解型を示すMS患者の寛解期の糞便を解析し、糞便を構成する数百種類の菌種の同定、多様性の評価などを行った。その結果、MSの腸内細菌叢では健常者と比べて、炎症性のリンパ球に対して抑制的に機能するリンパ球を効率よく誘導する細菌と同じグループに属する細菌が減少していることが判明。この腸内細菌叢の異常が発症の危険因子になっている可能性が考えられるという。再発頻度や再発症状の重症度などMSは個人差が大きい。同研究グループは今後、より多数の多様な背景をもった患者の腸内細菌叢の解析を進めることにより、同疾患の多様性を説明する因子が発見できる可能性があるとしている。
2015年09月15日東京都感染症情報センターは9月2日、都内のデング熱報告数の推移などを明らかにした。蚊を媒介して感染するデング熱は、デングウイルスを原因とする急性の熱性感染症。主な症状として発熱や頭痛、筋肉痛、皮膚の発疹などがある。症状は1週間程度で回復するが、ごくまれに感染者が死亡するケースもある。昨年は8月中旬頃から東京都をはじめとする関東圏で、70年ぶりとなるデング熱の国内感染者が続出。8月末から厚生労働省が感染者数の公表に追われ、最終的な国内感染者は160人を数えた。昨年9月4日にデングウイルスを保有している蚊が東京都の代々木公園で確認されたことなどもあり、同公園や国立オリンピック記念青少年総合センター、新宿御苑などの施設が閉鎖された時期もあった。今年は国内感染者がいまだ報告されていない一方、海外での感染者は増えている。8月30日時点での東京都における感染報告数は53人。2011年以降の推移と比べると、国内感染者が続出した2014年を除けば2番目に報告数が多かった2012年と、今年8月時点の数値がほぼ等しくなっている。このまま増えていけば、2012年や2013年の報告数を上回る可能性もある。厚生労働省が「海外の流行地で感染し帰国した症例が近年では毎年200名前後」見られるとしているように、元来、デング熱は主に東南アジアや南アジア、中南米などで感染者が多く報告されている。実際、同センターも「推定感染地域別報告数」を公表しているが、今年の東京都の感染者数の大半がインドネシアやフィリピン、タイなどで感染したと見ている。今後もこれらの地域に渡航する際は、注意が必要といえそうだ。なお、世界保健機関の西太平洋地域事務所によると、今年のマレーシアのデング熱の感染者は8月15日時点で約7万6,000人となっており、昨年同時期に比べて3割近く増加している。ベトナムは8月16日時点で感染者が2万5,000人近く報告されており、昨年同時期に比べて5割以上も多くなっている。同じくフィリピンもやや増加傾向にあるとのこと。一方で、中国は7月の感染者数は過去3年と似たような傾向にあり、オーストラリアの感染者数も昨年とほぼ同様となっている。※画像はすべて東京都感染症情報センター提供
2015年09月03日東京大学は9月2日、培養細胞で高い増殖能を有するインフルエンザウイルスの作出に成功したと発表した。同成果は東京大学医科学研究所ウイルス感染分野の河岡義裕 教授らによるもので、9月2日に英国科学雑誌「Nature Communications」オンライン版に掲載された。現在、季節性インフルエンザワクチンは受精卵でウイルスを増殖させて製造しているが、その製造過程で抗原変異が起こりワクチンの有効性が大きく低下することが知られていた。一方、培養細胞でウイルスを増殖すると抗原変異が入る危険性が低減され、より有効なワクチンを製造することが可能になる。しかし、培養細胞ではウイルス増殖性が悪いという欠点があった。今回の研究成果では、インフルエンザウイルスの2種類の主要な抗原タンパク質を入れ換えるだけで、理論的にはどのような型のウイルスでも同様の方法で高増殖性ウイルスの作出が可能となることがわかった。河岡教授がすでに発表していたリバースジェネティクスの手法を用いるという。現在、高病原性インフルエンザウイルスによるパンデミック対策として、国が迅速な製造が可能な培養細胞を用いて製造するパンデミックワクチンの備蓄に取り組んでいるが、生産性の低さが問題となっている。今回の成果は、従来の季節性インフルエンザワクチンに比べ高い有効性が期待できるだけでなく、パンデミック発生時には迅速かつ十分な量のワクチン供給を実現するものとして期待される。
2015年09月03日新潟大学は8月20日、若年性認知症の原因疾患である「HDLS」の診断基準案を策定したと発表した。同成果は同大学脳研究所神経内科の今野卓哉 医師、西澤正豊 教授、同遺伝子機能解析学分野の池内健 教授らの研究グループと厚生労働省の共同研究によるもので、第56回日本神経学会学術大会で発表した。HDLSは65歳未満で発症する認知症である若年性認知症の原因疾患の1つで、大脳白質が病変の主座となる。HDLSを診断するためには、病理組織学的な検索が必要とされ、診断が困難だった。2012年に原因遺伝子が発見されてからは遺伝子解析による診断が可能となったが、大脳白質が侵される白質脳症の原因疾患は多岐におよび、実地臨床における鑑別診断はなおも難しい現状がある。そのため、数ある白質脳症の中からHDLSの可能性を見出し、効率よく遺伝子診断につなげるためには、HDLSの臨床的特徴を反映した臨床診断基準が必要となる。今回、研究班でこれまでに解析した変位陽性22家系24症例と、文献検索によって得られた変位陽性50家系77症例の臨床像を解析し、HDLSの臨床像と画像所見の特徴を系統的に抽出した。その結果、発症年齢は43±7歳、死亡年齢は52±9歳、死亡までの罹患期間は5±3年と、比較的若年発症で進行が速く、初発症状は認知機能障害が最も多く、次いで精神症状、運動症状の頻度が高いことがわかった。また、頭部画像では白質病変のパターンや脳梁の菲薄化、脳内石灰化病変などの特徴が見られ、これらの特徴に基づき、definite、probable、possibleの判定基準を持つ、臨床診断基準案を作成した。同案を用いると、変位陽性例を95%以上の感度でpossible以上と診断でき、ほかの白質脳症との鑑別においては、解析に用いた変位陰性白質脳症53症例のうち42%を鑑別することができたことなどから、同案はHDLSの臨床診断に十分寄与しうると考えられるという。
2015年08月21日ギネスブックに「人類史上最も感染者の多い感染症」として登録された病気があります。それは「歯周病」。「命に関わるような病気でもない」と軽く考えるのは禁物。自覚症状のない歯周病は、気づいたときには抜歯しかすべがなかったということも多くあるのです。歯周病の現状と予防法などについて、歯科衛生士の土屋和子先生(スマイル・ケア代表)にお聞きしました。あなたも感染している!?歯周病――歯周病は「感染症」なのですか。土屋先生:歯周病の元となる歯周病菌は、最初は感染によって人の口内に入り込みます。虫歯菌と同様、親子間の接触で感染したり、成人になってからも唾液を介して、キスなどで感染することもあります。いったん感染すると口の中の歯周病菌を完全になくすことはできません。ですから、ほとんどの人が感染しているといっても過言ではないでしょう。――親子間で感染するということは、若い人でも歯周病になる可能性があるのでしょうか。土屋先生:実は、歯周病菌は赤ちゃんが生まれるときに通る産道でも見つかっています。それくらい小さな頃から私たちの間で蔓延しているのです。子どものうちは影響を受けにくいのですが、遺伝的要素が高いと、早い人では乳歯の段階から歯周病が出ることもあります。歯科の予防医療が進んでいるアメリカやヨーロッパでは、15~18歳ごろから歯周病に気をつけるよう指導されています。「若いから歯周病にはならない」と思っていてはいけません。ほうっておくと怖い!歯周病――歯周病の症状について教えてください。土屋先生:歯周病菌の働きによって歯茎が炎症を起こし、やがて歯を支える骨にまで進行していきます。骨の組織が破壊されると、最終的には抜歯をしなければならない状態になります。気をつけなければならないのは、歯周病は初期の自覚症状がまったくないということです。歯茎が腫れている、歯が動く、噛むと違和感がある……、そのような状態になったときは、すでに手遅れのことが多いのです。――歯周病を、初期のうちに自分で発見する方法はないのでしょうか。土屋先生:「歯周病かな?」と思う以前に、口内に少しでも気になることがあればすぐに歯科を訪れた方がよいでしょう。中高年になると抜歯を経験される方も増えてきますが、ご自分が抜歯をした原因を覚えていない人が少なくありません。実際、歯周病が原因で抜歯をする方はとても多いのです。歯周病が骨まで進んでしまった場合、元の状態にするのは多くの場合不可能です。歯周病を防ぐには?――歯磨きをきちんとしていれば防げますか?土屋先生:日々のケアももちろん重要ですが、それだけで歯周病を防ぐことは不可能です。検診も含めて定期的に歯科に通い、歯根周囲のプラーク(歯垢)や歯石を除去することがなにより重要です。プラークや歯石のもとは細菌で、まさに歯周病の病原ですが、これらは歯科で専門的な処置をしなければ除去することはできません。これを放置しておくのは、歯周病を育てているようなものです。歯が丈夫な人は、「自分は虫歯がないから歯周病にもなっていないだろう」と思うかもしれませんが、これも危険です。虫歯がないために歯医者に通う習慣がなく、歯周病の発見が遅れてしまうというケースも多くあります。唾液ケアが大事――定期的な歯科検診が最重要ということですね。ほかに、自分で予防のためにできることはありますか?土屋先生:唾液が少ない状態になると歯周病のリスクが高まるので、気をつけた方がよいですね。唾液は歯や粘膜を保護し、抗菌作用によって歯周病菌が増殖しないようコントロールしてくれます。いまはパソコン画面の見すぎなどによるドライアイが流行していますが、実はドライアイの人はドライマウスの疑いがあります。唾液が少ない人はとても増えてきています。――唾液を増やす方法はあるのですか?土屋先生:唾液は、口の中の唾液腺を刺激することによって多く分泌されますから、まずは食事のときによく噛んで食べましょう。一口あたり30回くらい噛むのが理想です。また、ガムを噛むなどもおすすめです。そして、口呼吸の人が最近増えていますが、口の中の乾燥の原因となりますから、鼻呼吸を習慣付けるとよいでしょう。――口腔衛生の管理には、さまざまな視点が必要なのですね。土屋先生:菌の暴走を抑えるという点では、全身の健康管理も重要です。睡眠をしっかりとる、バランスのよい食事をする、ストレスをためすぎないなどに留意してください。ふだん元気な人が体調を崩したときに、歯周病も急に進行してしまうことがあります。「歯科は、虫歯ができたり歯の調子が悪くなったりしたら診てもらうところ」と思っている人がまだ多いかもしれません。しかし、予防をしっかりして虫歯や歯周病にならないようにすることが、長い目で見て体への負担も経済的な負担も小さくすむものです。歯に関する悩みや疑問があったら、どんなことでも歯科医師や衛生士に相談してみてください。<プロフィール>株式会社スマイル・ケア代表土屋和子先生【出身】兵庫県神戸市【経歴】1977年 歯科衛生士ライセンス取得1982年~ 日本におけるフリーランスプロフェッショナルハイジニスト第1号数多くの歯科医院、病院、施設にて勤務現在まで、約350名の歯科医師、約1,400回の講演に関わる2007年 株式会社スマイル・ケア設立2011年 全米NLP協会公認トレーナーライセンス取得2012年 LABプロファイル®公認トレーナーライセンス取得2014年 日本歯科医療人育成協会設立理事デンタルNLP®・ぺリオマネージメント®主宰現在 Dr.土屋賢司・Dr.植松厚夫・Dr.北原信也のオフィス勤務
2015年08月19日